アセチル−補酵素A誘導イソプレノイドの生産

申请号 JP2014541353 申请日 2012-11-09 公开(公告)号 JP2014532444A 公开(公告)日 2014-12-08
申请人 アミリス, インコーポレイテッド; アミリス, インコーポレイテッド; 发明人 ティモシー スティーブンス ガードナー,; ティモシー スティーブンス ガードナー,; クリスティー ミシェル ホーキンス,; クリスティー ミシェル ホーキンス,; アダム レオン メドウズ,; アダム レオン メドウズ,; アニー エニング ソン,; アニー エニング ソン,; ヨセフ ツェガエ,; ヨセフ ツェガエ,;
摘要 宿主細胞におけるアセチル−CoA由来イソプレノイドの異種生産のための組成物および方法を本明細書に提供する。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA、E.C.1.2.1.10)と、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含むMEV経路とをコードしている異種ヌクレオチド配列を含むように遺伝子改変されている。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ADAと、アセトアセチル−CoAシンターゼを含むMEV経路とをコードしている異種ヌクレオチド配列を含むように遺伝子改変される。一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ホスホケトラーゼおよびホスホトランスアセチラーゼをコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、天然PDH−バイパスの機能破壊をさらに含む。
权利要求
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸と、
    (b)アシル化アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADA)をコードしている異種核酸とを含む細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素が、アセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む、請求項1に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼを含む、請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素が、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA(HMG−CoA)をメバロネートに変換するNADH使用酵素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ホスホトランスアセチラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 天然ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)−バイパスの1つ以上の酵素の機能破壊をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記PDH−バイパスの1つ以上の酵素が、アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)から選択される、請求項8に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ACS1が、機能的に破壊されている、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ACS2が、機能的に破壊されている、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ALD6が、機能的に破壊されている、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ACS1およびACS2が、機能的に破壊されている、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ACS1、ACS2およびALD6が、機能的に破壊されている、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)活性を有する1つ以上の酵素の機能破壊をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • ADH活性を有する前記1つ以上の酵素が、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)、アルコールデヒドロゲナーゼ3(ADH3)、アルコールデヒドロゲナーゼ4(ADH4)およびアルコールデヒドロゲナーゼ5(ADH5)から選択される、請求項15に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記ADAのアミノ酸配列が、配列番号2と少なくとも80%同一である、請求項1から16のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列が、配列番号16と少なくとも80%同一である、請求項3に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼのアミノ酸配列が、配列番号20と少なくとも80%同一である、請求項5に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記ホスホケトラーゼ(PK)のアミノ酸配列が、配列番号12と少なくとも80%同一である、請求項6に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記ホスホトランスアセチラーゼ(PTA)のアミノ酸配列が、配列番号14と少なくとも80%同一である、請求項7に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、アセチル−CoAの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む、請求項1、4から17、および19から21のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、アセトアセチル−CoAをアセチル−CoAと縮合させてHMG−CoAを形成する酵素を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、HMG−CoAをメバロネートに変換する酵素を含む、請求項1から3、6から18、および20から22のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、メバロネートをメバロン酸5−リン酸にリン酸化する酵素を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、メバロン酸5−リン酸をメバロン酸5−ピロリン酸に変換する酵素を含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、メバロン酸5−ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記1つ以上の酵素が、HMG−CoAシンターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼおよびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼから選択される、請求項1から27のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の前記酵素のすべてをコードしている複数の異種核酸を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素をコードしている前記1つ以上の異種核酸が、単一の転写調節因子の制御下にある、請求項1から29のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記MEV経路の1つ以上の酵素をコードしている前記1つ以上の異種核酸が、複数の異種転写調節因子の制御下にある、請求項1から29のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換し得る酵素をコードしている異種核酸をさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合させてポリプレニル化合物を形成し得る酵素をコードしている異種核酸をさらに含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • IPPまたはポリプレニルを修飾してイソプレノイド化合物を形成し得る酵素をコードしている異種核酸をさらに含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • IPPまたはポリプレニルを修飾してイソプレノイド化合物を形成し得る前記酵素が、カレンシンターゼ、ゲラニオールシンターゼ、リナロールシンターゼ、リモネンシンターゼ、ミルセンシンターゼ、オシメンシンターゼ、α−ピネンシンターゼ、β−ピネンシンターゼ、γ−テルピネンシンターゼ、テルピノレンシンターゼ、アモルファジエンシンターゼ、α−ファルネセンシンターゼ、β−ファルネセンシンターゼ、ファルネソールシンターゼ、ネロリドールシンターゼ、パチュロールシンターゼ、ノートカトンシンターゼおよびアビエタジエンシンターゼからなる群より選択される、請求項34に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記イソプレノイドが、ヘミテルペン、モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、セスキテルペンおよびポリテルペンからなる群より選択される、請求項34に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記イソプレノイドが、セスキテルペンである、請求項34に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記イソプレノイドが、C 〜C 20イソプレノイドである、請求項34に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記イソプレノイドが、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α−ファルネセン、β−ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチュロール、β−ピネン、サビネン、γ−テルピネン、テルピノレンおよびバレンセンからなる群より選択される、請求項34に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記細胞が、酵母細胞である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記酵母細胞が、Aciculoconidium、Ambrosiozyma、Arthroascus、Arxiozyma、Ashbya、Babjevia、Bensingtonia、Botryoascus、Botryozyma、Brettanomyces、Bullera、Bulleromyces、Candida、Citeromyces、Clavispora、Cryptococcus、Cystofilobasidium、Debaryomyces、Dekkara、Dipodascopsis、Dipodascus、Eeniella、Endomycopsella、Eremascus、Eremothecium、Erythrobasidium、Fellomyces、Filobasidium、Galactomyces、Geotrichum、Guilliermondella、Hanseniaspora、Hansenula、Hasegawaea、Holtermannia、Hormoascus、Hyphopichia、Issatchenkia、Kloeckera、Kloeckeraspora、Kluyveromyces、Kondoa、Kuraishia、Kurtzmanomyces、Leucosporidium、Lipomyces、Lodderomyces、Malassezia、Metschnikowia、Mrakia、Myxozyma、Nadsonia、Nakazawaea、Nematospora、Ogataea、Oosporidium、Pachysolen、Phachytichospora、Phaffia、Pichia、Rhodosporidium、Rhodotorula、Saccharomyces、Saccharomycodes、Saccharomycopsis、Saitoella、Sakaguchia、Saturnospora、Schizoblastosporion、Schizosaccharomyces、Schwanniomyces、Sporidiobolus、Sporobolomyces、Sporopachydermia、Stephanoascus、Sterigmatomyces、Sterigmatosporidium、Symbiotaphrina、Sympodiomyces、Sympodiomycopsis、Torulaspora、Trichosporiella、Trichosporon、Trigonopsis、Tsuchiyaea、Udeniomyces、Waltomyces、Wickerhamia、Wickerhamiella、Williopsis、Yamadazyma、Yarrowia、Zygoascus、Zygosaccharomyces、Zygowilliopsis、およびZygozymaからなる群より選択される属に属する、請求項40に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記酵母が、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、Dekkera bruxellensis、Kluyveromyces lactis (以前はSaccharomyces lactisと呼ばれていた)、Kluveromyces marxianus、Arxula adeninivoransおよびHansenula polymorpha(今ではPichia angustaとして公知)からなる群より選択される、請求項40に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記酵母が、Candida lipolytica、Candida guilliermondii、Candida krusei、Candida pseudotropicalisおよびCandida utilisからなる群より選択される、請求項40に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記酵母が、Saccharomyces cerevisiaeである、請求項40に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • 前記酵母が、パン酵母、CBS 7959、CBS 7960、CBS 7961、CBS 7962、CBS 7963、CBS 7964、IZ−1904、TA、BG−1、CR−1、SA−1、M−26、Y−904、PE−2、PE−5、VR−1、BR−1、BR−2、ME−2、VR−2、MA−3、MA−4、CAT−1、CB−1、NR−1、BT−1およびAL−1からなる群より選択されるSaccharomyces cerevisiaeの株である、請求項44に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸と、
    (b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、
    (c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と、
    (d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、
    (e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、該1つ以上の酵素が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、
    (b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、
    (c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊とを含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、該1つ以上の酵素が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、
    (b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、
    (c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と (d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、
    (e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、該1つ以上の酵素が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼを含む、1つ以上の異種核酸と、
    (b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、
    (c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊とを含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、
    (a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の複数の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、該複数の酵素が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼおよびNADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、
    (b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、
    (c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と (d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、
    (e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  • イソプレノイドを生産するための方法であって、
    (a)請求項1から50のいずれか一項に記載の遺伝子改変された酵母細胞の集団を、炭素源を有する培地において、該イソプレノイド化合物の製造に適する条件下で培養すること;および (b)該イソプレノイド化合物を培地から回収することを含む方法。
  • 前記イソプレノイド化合物が、培地1リットルにつき約10グラムより多い量で生産される、請求項51に記載の方法。
  • 前記イソプレノイド化合物が、乾燥細胞重量1グラムにつき約50mgより多い量で生産される、請求項51に記載の方法。
  • 前記宿主細胞が、前記ADAをコードしている異種ヌクレオチド配列を含まない同じ宿主細胞と比較して増加された量のイソプレノイド化合物を生産する、請求項51から53のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記増加された量が、少なくとも10%である、請求項54に記載の方法。
  • 说明书全文

    本願は、2011年11月9日に出願した米国仮出願第61/557,893号の優先権の利益を主張する。 米国仮出願第61/557,893号の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。

    1. 発明の分野 本開示は、(遺伝子)操作された宿主細胞においてアセチル−CoAを生産するための組成物および方法に関する。

    2. 背景 アセチル補酵素A(アセチル−CoA)は、ポリケチド、脂肪酸、イソプレノイド、フェノール類、アルカロイド、ビタミンおよびアミノ酸をはじめとする必要不可欠な生体化合物の合成における重要な中間体である。 アセチル−CoAに由来する代謝産物には一次および二次代謝産物があり、それらは工業的に有用な化合物を含む。 例えばイソプレノイドは、医薬製品において、ならびにバイオ燃料、食品添加物および他の特殊化学製品として使用される。 イソプレノイド製品は、不規則なイソプレノイドおよびポリテルペンが報告されているが、典型的には、5炭素イソペンテニル二リン酸(IPP)繰り返し単位からなる。 自然界では、イソプレノイドは、それらの前駆体IPPとその異性体ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)の逐次的縮合によって合成される。 これらの前駆体についての2つの経路が公知である。 原核生物は、若干の例外はあるが、典型的にはデオキシキシルロース−5−リン酸(DXP)経路を利用してピルビン酸およびグリセルアルデヒド3−リン酸(G3P)をIPPおよびDMAPPに変換する。 真核生物は、植物を除き、一般にはメバロン酸依存性(MEV)経路を使用してアセチル−CoAをIPPに変換し、その後、そのIPPがDMAPPに異性体化される。

    単細胞真菌Saccharomyces cerevisiaeおよびその近縁種は、2つの内因性経路を使用してアセチル−CoAを産生する。 1つの経路は、ミトコンドリアマトリックスにおいて起こり、そこではPDH複合体が、グルコースから解糖によって産生されたピルベートのアセチルCoAへの酸化的脱カルボキシル化を触媒する。 前記PDH複合体は、60ポリペプチド鎖−すなわち、リポアミドレダクターゼ−トランスアセチラーゼの24鎖、ジヒドロリポイル(dihydrolipyl)デヒドロゲナーゼの12鎖、およびピルビン酸デカルボキシラーゼの24鎖−からなる。 この巨大複合体は、ピルベートをアセチル−CoAに変換して、NADHを副産物として産生する。 その後、その得られたアセチル−CoAは、エネルギー産生のためにクエン酸回路によってCO およびH Oに完全に酸化されることもあり、またはミトコンドリア内で行われる生合成反応に使用されることもある。

    ミトコンドリア内で産生されたアセチル−CoAは、ミトコンドリア膜を横断してサイトゾルに行くことができない。 したがって、重要な一次および二次代謝産物の生合成に必要とされるサイトゾルアセチル−CoAを産生するために、S. cerevisiaeは、「PDH−バイパス」として公知の、サイトゾル内にある独立したメカニズムを使用する。 この多段階経路は、(1)ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC、EC4.1.1.1)により、ピルベートのアセトアルデヒドへの脱カルボキシル化を触媒する;(2)1つのNADP を1つのNADPHに還元するアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ACDH、EC1.2.1.5およびEC1.2.1.4)により、アセトアルデヒドのアセテートへの変換を触媒する;および(3)1つのATPを1つのAMPに加分解する(2つのADPへの2つのATP加水分解のエネルギー当量)、アセチル−CoAシンセターゼ(ACS、EC6.2.1.1)により、アセテートおよびCoAからのアセチル−CoAの合成を触媒する。

    自然は、多くのアセチル−CoA由来生体分子の抽出ために収量の低い源しか与えてくれないので、遺伝子改変微生物を使用する発酵生産は、それらの生産の有望な代替策になっている。 しかし、アセチル−CoA中間体の生産のための天然アセチル−CoA経路の利用には、一定の制限がある。 例えば、天然MEV経路によるイソプレノイド生産は、図1に示すように、3つのアセチル−CoA分子と、産生されるメバロネートの各分子に対して2つのNADPHの酸化とを要する。 PDH−バイパスは、アセチル−CoA 1つにつき1つのNADPHを産生する一方で、2ATP当量がこのプロセスで消費される。 したがって、NADPHの産生は、天然MEV経路の補因子要求量に関しては有益であるが、産生されるメバロネート1つにつき6ATP当量の消費は、エネルギー不足の反応を生じさせる結果となる。 製品収率を犠牲にして、より多くの炭素源を、例えばTCA回路および酸化的リン酸化によって、ATP合成に転用しなければならないからである。

    したがって、アセチル−CoA由来化合物を効率的に生産する生産宿主を設計することの課題の1つは、ATP要求量を最少にするようにアセチル−CoA生産を最適化すると同時に、生合成経路の補因子および要求量も満たすことである。 本明細書に提供する組成物および方法は、この要求に対処し、および関連した利点も提供する。

    3. 発明の概要 本明細書に記載する組成物および方法は、アセチル−CoA由来イソプレノイドのエネルギー効率の良い、かつ補因子のバランスの取れた生産に備えるものである。 異種アシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(あるいは「アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセチル化」、「アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アシル化」または「ADA」(EC1.2.1.10)とも呼ばれる)をアセチル−CoAのサイトゾル生産のPDH−バイパスの代替として利用することにより、生産されるアセチル−CoAの分子1つにつき2当量のATPが保存される。 ADAは、ATPを消費せずにアセトアルデヒドを直接アセチル−CoAに変換し、そのプロセスで1つのNAD を1つのNADHに還元する。

    ADAでのPDH−バイパスの置換から得られるATP保存量を、より高い製品産出に利用することができるが、ADAと天然メバロン酸経路の併用には潜在的欠陥が付随する。 第一に、天然PDH−バイパスの不活性化は、1つのNADPH源を除去するが、ADAによって触媒される反応がNADHを生産する。 したがって、さらなる経路修飾がなければADAでのPDH−バイパスの置換により、NADPHを消費するイソプレノイド合成に酸化還元不均衡が導入される。

    第二に、ADAは、次の可逆的反応を触媒する:

    アセチル−CoAを形成するための天然PDH−バイパス反応は、この反応がATPのAMPへの加水分解に結びつけられるので、熱学的に好適である。 対照的に、ADA反応は、ATPに結びつけられず、アセチル−CoAを形成するための天然PDH−バイパス反応よりはるかに平衡に近い。 したがって、ADAによって触媒される前記反応は、アセトアルデヒドのアセチル−CoAへの変換の背後にある熱力学的駆動力がより低く、さらなる経路修飾がなければADAの理論的エネルギー獲得を実現できない。

    本明細書に記載する組成物および方法は、これらの欠点に対処する。 一部の実施形態では、PDH−バイパスのADAでの置換によって導入される酸化還元不均衡に対処するために、前記遺伝子改変された宿主細胞は、イソプレノイド経路におけるNADH使用酵素をさらに利用してADA産生NADHを消費する。 したがって、アルデヒドのアセチル−CoAへのADA媒介変換によって産生されるNADHのプールをイソプレノイド合成に直接利用することができる。 一部の実施形態において、NADH使用酵素は、イソプレノイド経路に本来はない酵素である。 例えば、前記NADH使用酵素は、イソプレノイド経路に本来あるNADPH使用酵素に取って代わることができる。 特定の実施形態において、前記NADH使用酵素は、HMG−CoAをメバロネートに変換するNADH使用3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ(HMG−CoAレダクターゼ)である。

    一部の実施形態では、前記ADA反応の背後にあるより低い熱力学的駆動力に対処するために、前記遺伝子改変された宿主細胞は、メバロン酸経路における第一段階として、アセチル−CoAの直ぐ下流での熱力学的に好適な反応をさらに利用して、ADA反応を引っ張る。 一部の実施形態において、アセトアセチル−CoAのアセチル−CoAからの形成は、アセトアセチル−CoAシンターゼ(AACS;あるいはアセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼと呼ばれる)によって触媒される。 AACSによって触媒される前記反応は、アセチル−CoAカルボキシラーゼによるマロニル−CoAの産生の結果として生ずる1つのATPの加水分解のため、天然メバロン酸経路のアセチル−CoAチオラーゼによって触媒される反応より熱力学的に好適である(図5)。 したがって、AACSは、ADA反応を前に行かせるようにアセチル−CoAをより強く引っ張る。

    異種ADAをこれらの修飾と併用することの利点は、MEV経路を含む宿主細胞におけるセスキテルペンファルネセンの理論収率向上によって例示される。 天然メバロン酸経路によるイソプレノイド生産を図1および図2に図示する。 図3に示すように、サイトゾルアセチル−CoAを、天然酵母代謝ネットワークにおいて発生する化学反応のみを使用してグルコースから合成する場合、メバロン酸経路によるグルコースのファルネセンへの変換についての最大可能化学量論的収率は、23.6重量%であり、4.77のグルコース分子がファルネセンの各分子の合成に必要とされる。 ファルネセン1分子につき27ATPが要求され、そのうちの18は、PDH−バイパスによるアセトアルデヒドからのサイトゾルアセチル−CoAの合成で消費される。 しかし、図4に図示するように、ADAおよびNADH使用HMG−CoAレダクターゼによって触媒される反応をメバロネート生産の代謝ネットワークに含めることにより、最大理論化学量論的収率は、25.2重量%に向上される。 詳細には、ADAは、一切ATPインプットなしでアセトアルデヒドをアセチル−CoAに変換する;これは、ファルネセン合成に必要とされるATP当量を9に低減させ、その結果、生産されるファルネセン1分子につき18ATP当量((2ATP当量/アセチル−CoA)×(9アセチル−CoA/1ファルネセン))が保存される。 アセチル−CoA生産中のATP使用量のこの保存は、ファルネセン生産のためにTCA回路を実行するための細胞の酸素必要量を削減する。 グルコースのファルネセンへの変換のための酸素要求量は、消費されるグルコース1つにつきO 分子7.8から6へと減少し、その結果、発酵槽に酸素を供給する大きな生産コストが大規模に低減される。 加えて、酸化還元不均衡は、ADAによって産生されるNADHを消費するNADH使用HMG−CoAレダクターゼの同時導入によって緩和される。

    図4に示すように、ADAとNADH使用HMG−CoAレダクターゼの両方を含む株には、細胞が維持および成長のために使用することができる化学量論的過剰量のATPが残存する。 あるいは、この過剰ATPの一部を、アセトアセチル−CoAシンターゼ(AACS)の導入によりアセトアセチル−CoA生産の動態の向上に利用することができる。 図5に図示するように、AACSは、マロニル−CoAおよびアセチル−CoAからアセトアセチル−CoAを合成する酵素である。 マロニル−CoA合成は、(アセチル−CoAカルボキシラーゼによって触媒されて)変換されるアセチル−CoAの1分子につき1ATPのエネルギーインプットを要し、それによって、アセチル−CoAからのアセトアセチル−CoA合成の熱力学的駆動力を向上させる。 重要なこととして、これは、図6に図示するようにこの株の設計には利用可能な過剰ATPがまだあるので、この経路の糖または酸素要求量からのファルネセンの最大化学量論的収率に影響を及ぼさない。

    図7に示すように、ホスホケトラーゼ(PK)およびホスホトランスアセチラーゼ(PTA)酵素の導入によりさらなる効率を得ることができる。 PKおよびPTAは、フルクトース−6−リン酸(F6P)またはキシルロース(xyulose)−5−リン酸(X5P)をアセチル−CoAに変換するための反応を触媒する。 利用可能なこれらの代謝経路を用いて、最適で、前記反応ネットワークは、29.8重量%物質収率以上に達すること、最大理論収率の有意な増加、が可能である。 この解決法は、低解糖(lower glycolysis)(G3P→ピルベート)からの炭素の転用を含み、その結果、ATPおよびNADH(これらの両方が、ADAおよびNADH使用HMG−CoAレダクターゼ修飾を含むネットワーク内に既に過剰にある)の産生がより少なくなる。 低解糖によってフラックスを低下させることの1つの利点は、ピルベートのアセトアルデヒドへの変換の際により少ないCO が生産される点であり、したがって、より多くの炭素が最終製品内に捕捉され、その結果、ネットワークの最大理論収率を増加させることができる。 第二の利点は、より少ないNADHが生産される点であり、したがって、それを再酸化させるために必要とされる酸素が有意に少ない。 詳細には、酸素要求量は、最適で、消費されるグルコース1つにつきたった1.84のO 分子である。 PKおよびPTAのADAバックグラウンドへの追加についての酸化還元インパクトは、図13に図示するように、マイクロスケールでの低収率ではあるものの明白であり、グリセロール生産が野生型レベルに戻る。

    したがって、遺伝子改変された宿主細胞、およびアセチル−CoA由来イソプレノイドの生産のためのそれらの使用方法を、本明細書に提供する。 1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸と(b)アシル化アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードしている異種核酸とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼ(すなわち、アセトアセチル−CoAシンターゼ(AACS))を含む。

    一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、HMG−CoAをメバロネートに変換するNADH使用酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ホスホケトラーゼをコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ホスホトランスアセチラーゼをコードしている異種核酸をさらに含む。

    一部の実施形態において、前記ADAのアミノ酸配列は、配列番号2と少なくとも80%同一である。 一部の実施形態において、前記アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列は、配列番号16と少なくとも80%同一である。 一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼのアミノ酸配列は、配列番号20と少なくとも80%同一である。 一部の実施形態において、前記ホスホケトラーゼのアミノ酸配列は、配列番号12と少なくとも80%同一である。 一部の実施形態において、前記ホスホトランスアセチラーゼのアミノ酸配列は、配列番号14と少なくとも80%同一である。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、天然ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)−バイパスの1つ以上の酵素の機能破壊をさらに含む。 一部の実施形態において、前記PDH−バイパスの1つ以上の酵素は、アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)から選択される。 一部の実施形態において、ACS1は、機能的に破壊されている。 一部の実施形態において、ACS2は、機能的に破壊されている。 一部の実施形態において、ALD6は、機能的に破壊されている。 一部の実施形態において、ACS1およびACS2は、機能的に破壊されている。 一部の実施形態において、ACS1、ACS2およびALD6は、機能的に破壊されている。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)活性を有する1つ以上の酵素の機能破壊をさらに含む。 一部の実施形態において、ADH活性を有する前記1つ以上の酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)、アルコールデヒドロゲナーゼ3(ADH3)、アルコールデヒドロゲナーゼ4(ADH4)およびアルコールデヒドロゲナーゼ5(ADH5)から選択される。

    一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoAの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセトアセチル−CoAをアセチル−CoAと縮合させてHMG−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、HMG−CoAをメバロネートに変換する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロネートをメバロン酸5−リン酸にリン酸化する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロン酸5−リン酸をメバロン酸5−ピロリン酸に変換する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロン酸5−ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、HMG−CoAシンターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼおよびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼから選択される。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、前記MEV経路のすべての酵素をコードしている複数の異種核酸を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸は、単一の転写調節因子の制御下にある。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸は、多数の異種転写調節因子の制御下にある。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換することができる酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合させてポリプレニル化合物を形成することができる酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、IPPまたはポリプレニルを、イソプレノイド化合物を形成するように修飾することができる酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、IPPまたはポリプレニルを、イソプレノイド化合物を形成するように修飾することができる前記酵素は、カレンシンターゼ、ゲラニオールシンターゼ、リナロールシンターゼ、リモネンシンターゼ、ミルセンシンターゼ、オシメンシンターゼ、α−ピネンシンターゼ、β−ピネンシンターゼ、γ−テルピネンシンターゼ、テルピノレンシンターゼ、アモルファジエンシンターゼ、α−ファルネセンシンターゼ、β−ファルネセンシンターゼ、ファルネソールシンターゼ、ネロリドールシンターゼ、パチュロールシンターゼ、ノートカトンシンターゼおよびアビエタジエンシンターゼからなる群より選択される。 一部の実施形態において、前記イソプレノイドは、ヘミテルペン、モノテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、セスキテルペンおよびポリテルペンからなる群より選択される。 一部の実施形態において、前記イソプレノイドは、C 〜C 20イソプレノイドである。 一部の実施形態において、前記イソプレノイドは、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α−ファルネセン、β−ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチュロール、β−ピネン、サビネン、γ−テルピネン、テルピノレンおよびバレンセンからなる群より選択される。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、酵母細胞である。 一部の実施形態において、前記酵母は、Saccharomyces cerevisiaeである。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸と、(b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、(c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と、(d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、(e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、前記1つ以上の酵素が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、(b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、(c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、前記1つ以上の酵素が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、(b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、(c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と(d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、(e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の1つ以上の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、前記1つ以上の酵素が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼを含む、1つ以上の異種核酸と、(b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、(c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、(a)イソペンテニルピロリン酸を作るためのメバロン酸(MEV)経路の複数の酵素をコードしている1つ以上の異種核酸であって、前記複数の酵素が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼおよびNADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む、1つ以上の異種核酸と、(b)アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(ADA)をコードしている異種核酸と、(c)アセチル−CoAシンターゼ1(ACS1)、アセチル−CoAシンターゼ2(ACS2)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ6(ALD6)からなる群より選択される天然PDH−バイパスの少なくとも1つの酵素の機能破壊と、(d)ホスホケトラーゼ(PK)をコードしている異種核酸と、(e)ホスホケトラーゼ(PTA)をコードしている異種核酸とを含む細胞を、本明細書に提供する。

    もう1つの態様では、イソプレノイドを生産するための方法であって、(a)本明細書に記載する遺伝子改変された酵母細胞の集団を、炭素源を有する培地において、前記イソプレノイド化合物の製造に適する条件下で培養すること;および(b)前記イソプレノイド化合物を前記培地から回収することを含む方法を、本明細書に提供する。

    図1は、イソペンテニル二リン酸(「IPP」)の生産のためのメバロン酸(「MEV」)経路の略図を提供する。

    図2は、IPPおよびジメチルアリルピロリン酸(「DMAPP」)のゲラニルピロリン酸(「GPP」)、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)およびゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)への変換の略図を提供する。

    図3は、サイトゾルアセチル−CoAが「野生型」PDH−バイパスによって産生されるメバロン酸経路によるグルコースのファルネセンへの変換における炭素および代謝要求量の最適な流れならびに収率の略図を提供する。

    図4は、サイトゾルアセチル−CoAがADAよって産生されるメバロン酸経路によるグルコースのファルネセンへの変換における、炭素および代謝要求量の最適な流れならびに収率の略図を提供し、このメバロン酸経路は、NADH使用HMGrをNADPH使用HMGrの代わりに含む。

    図5は、アセトアセチル−CoA(AcAcCoA)がマロニル−CoAおよびアセチル−CoA(AcCoA)からアセトアセチル−CoAシンターゼ(AACS)によって合成される、アセチル−CoAからのファルネセン生産の略図を提供する。 マロニル−CoA合成は、(アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC1)によって触媒されて)変換されるアセチル−CoAの1分子につき1ATPのエネルギーインプットを要する。

    図6は、サイトゾルアセチル−CoAがADAよって産生されるメバロン酸経路によるグルコースのファルネセンへの変換における炭素および代謝要求量の最適な流れならびに収率の略図を提供し、このメバロン酸経路は、NADH使用HMGrをNADPH使用HMGrの代わりに含み、ならびにアセトアセチル−CoAが、マロニル−CoAおよびアセチル−CoAからアセトアセチル−CoAシンターゼによって合成される。

    図7は、サイトゾルアセチル−CoAがADAよって産生されるメバロン酸経路によるグルコースのファルネセンへの変換における炭素および代謝要求量の最適な流れならびに収率の略図を提供し、このメバロン酸経路は、NADH使用HMGrをNADPH使用HMGrの代わりに含み、ならびにホスホケトラーゼ(PK)およびホスホトランスアセチラーゼ(PTA)が、フルクトース−6−リン酸(F6P)をアセチル−CoAに変換するための反応を触媒する。

    図8は、Sacchormyces cerevisiaeからのヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(Sc.tHMG−CoAレダクターゼ)、Pseudomonas mevalonii(Pm.)、Delftia acidovorans(Da.)およびSilicibacter pomeroyi(Sp.)からのヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼのNADPH比活性またはNADH比活性(nmol/mg/分として測定)を提供する。

    図9は、NADPH使用HMG−CoAレダクターゼ(Sc.tHMG−CoAレダクターゼ)を含む異種MevT経路を含むS. cerevisiae(Sc.)株、またはNADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む異種MevT経路を含む株(Pm.−Pseudomonas mevalonii;Da.−−Delftia acidovorans;Sp.−−Silicibacter pomeroyi)についての、野生型ADH1およびADH1ノックアウト(adh1Δ)バックグラウンド、それぞれにおける、24時間および48時間後の細胞密度(OD

    600として測定)を提供する。

    図10は、NADPH使用HMG−CoAレダクターゼ(Sc.tHMG−CoAレダクターゼ)を含む異種MevT経路を含むS. cerevisiae(Sc.)株、またはNADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む異種MevT経路を含む株(Pm.−Pseudomonas mevalonii;Da.−−Delftia acidovorans;Sp.−−Silicibacter pomeroyi)についての、野生型ADH1とADH1ノックアウトバックグラウンドの両方における、24時間および48時間後のグリセロール生産(g/Lとして測定)を提供する。

    図11は、NADPH使用HMG−CoAレダクターゼ(Sc.tHMG−CoAレダクターゼ)を含むS. cerevisiae(Sc.)株、またはNADH使用HMG−CoAレダクターゼを含む株(Pm.−Pseudomonas mevalonii;Da.−−Delftia acidovorans;Sp.−−Silicibacter pomeroyi)についての、野生型ADH1とADH1ノックアウト(adh1Δ)バックグラウンドの両方における、24時間および48時間後のメバロン酸生産(g/Lとして測定)を提供する。

    図12は、S. cerevisiae株のファルネセン生産および細胞密度を提供するものであり、(A)acs1Δ acs2Δ ald6Δと結び付けて考えられる異種発現ADA(Dz.eutE)、およびNADPH使用HMG−CoAレダクターゼまたはNADH使用HMG−CoAレダクターゼのいずれかを含むMEV経路;(B)インタクト(野生型)PDH−バイパス、およびNADPH使用HMG−CoAレダクターゼまたはNADH使用HMG−CoAレダクターゼのいずれかを含むMEV経路を含む。 「空」と示されているカラムは、培地のみを有する(細胞なし)ウェルを表す。

    図13は、(A)野生型株(Y968);ADA(Dz.eutE)を異種発現する株(Y12869);ならびに(B)ADA(Dz.eutE)、ホスホケトラーゼ(PK)およびホスホトランスアセチラーゼ(PTA)を異種発現する株(Y12745)による、グリセロール生産(上方パネル)およびグルコース消費(下方パネル)を提供する。

    図14は、S. cerevisiae株によるメバロネート生産を提供するものであり、インタクト(野生型)PDH−バイパス、またはacs1Δ acs2Δ ald6Δと結び付けて考えられる異種発現ADA(Dz.eutE)のいずれか;およびERG10(アセチル−CoAチオラーゼ)またはnphT7(アセトアセチル−CoAシンターゼ)のいずれかを含むMEV経路を含む。

    5. 実施形態の詳細な説明 5.1 用語 本明細書において用いる場合、用語「異種(の)」は、自然界で通常は見つけられないものを指す。 用語「異種ヌクレオチド配列」は、自然界で所与の細胞において通常は見つけられないヌクレオチド配列を指す。 したがって、異種ヌクレオチド配列は、(a)その宿主細胞にとって外来である(すなわち、その細胞にとって「外因性」である)ことがあり;(b)宿主細胞において天然に見つけられる(すなわち「内因性」である)が、その細胞内に不自然な量(例えば、その宿主細胞において天然に見つけられる量より多いもしくは少ない量)で存在することがあり;または(c)宿主細胞において天然に見つけられるが、その天然配座以外に位置することがある。 用語「異種酵素」は、自然界での所与の細胞において通常は見つけられない酵素を指す。 この用語は、(a)所与の細胞にとって外因性である(すなわち、その宿主細胞に天然に存在しないまたはその宿主細胞において所与の状況では天然に存在しないヌクレオチド配列によってコードされている);および(b)宿主細胞において天然に見つけられる(例えば、その酵素は、その細胞にとって内因性であるヌクレオチド配列によってコードされている)が、その宿主細胞内に不自然な量(例えば、天然に見つけられる量より多いまたは少ない量)で生産される酵素を包含する。

    一方、本明細書において分子、特に、酵素および核酸に関連して用いる場合の用語「天然(の)」または「内因性(の)」は、それらが由来するまたは自然界で見つけられる生物において発現される分子を、その発現レベルに関係なく示し、前記発現レベルは、天然微生物におけるその分子の発現レベルより低いこともあり、該発現レベルに等しいこともあり、または該発現レベルより高いこともある。 天然酵素またはポリヌクレオチドの発現が組換え微生物では修飾され得ることは理解される。

    本明細書で使用する場合、例えば、標的遺伝子、例えばPDH−バイパスの1つ以上の遺伝子の、「機能的に破壊する」ことまたは「機能的破壊」は、標的遺伝子によってコードされているタンパク質の活性をその宿主細胞において減少させるようにその標的遺伝子を変性させることを意味する。 類似して、例えば、標的タンパク質、例えばPDH−バイパスの1つ以上の酵素の、「機能的に破壊する」ことまたは「機能的破壊」は、タンパク質の活性をその宿主細胞において減少させるようにその標的タンパク質を変性させることを意味する。 一部の実施形態では、前記標的遺伝子によってコードされている前記標的タンパク質の活性を前記宿主細胞においてなくす。 他の実施形態では、前記標的遺伝子によってコードされている前記標的タンパク質の活性を前記宿主細胞において減少させる。 前記標的遺伝子の機能破壊は、遺伝子発現をなくすもしくは低減させるように、または遺伝子産物の活性をなくすもしくは低減させるように、前記遺伝子のすべてまたは一部を欠失させることによって果たすことができる。 前記標的遺伝子の機能破壊はまた、発現をなくすもしくは低減させるように前記遺伝子の調節要素、例えば前記遺伝子のプロモーターを突然変異させることによって、または遺伝産物の活性をなくすもしくは低減させるように前記遺伝子のコード配列を突然変異させることによって果たすことができる。 一部の実施形態において、前記標的遺伝子の機能破壊は、前記標的遺伝子の完全オープン・リーディング・フレームを除去する結果となる。

    本明細書において用いる場合、用語「親細胞」は、本明細書に開示する遺伝子改変された宿主細胞と、その改変された宿主細胞へと(遺伝子)操作される1つ以上の特定の遺伝子改変、例えば、ADAの異種発現、NADH使用HMG−CoAレダクターゼの異種発現、AACSの異種発現、ホスホケトラーゼの異種発現、ホスホトランスアセチラーゼの異種発現、およびメバロン酸経路の1つ以上の酵素の異種発現からなる群より選択される1つ以上の改変を含まないことを除き、同一の遺伝学的バックグラウンドを有する細胞である細胞を指す。

    本明細書において用いる場合、用語「生産」は、一般に、本明細書に提供する遺伝子改変された宿主細胞によって生産されるイソプレノイドの量を指す。 一部の実施形態では、生産を、宿主細胞によるイソプレノイドの収率として表す。 他の実施形態では、生産を、イソプレノイドの生産に関する宿主細胞の生産性として表す。

    本明細書において用いる場合、用語「生産性」は、経時的に(時間あたりで)、宿主細胞を培養する発酵ブロスの(重量での)量に対する、生産されるイソプレノイドの(重量での)量として表される、宿主細胞によるイソプレノイドの生産を指す。

    本明細書において用いる場合、用語「収率」は、重量で、宿主細胞によって消費される炭素源の量に対する、生産されるイソプレノイドの量として表される、宿主細胞によるイソプレノイドの生産を指す。

    5.2 アセチル−CoA由来イソプレノイドを生産する遺伝子改変された微生物 5.2.1 宿主細胞 本明細書に提供する組成物および方法に有用な宿主細胞としては、古細菌、原核細胞または真核細胞が挙げられる。

    適する原核生物宿主としては、様々なグラム陽性、グラム陰性またはグラム不定菌のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。 例としては、属:Agrobacterium、Alicyclobacillus、Anabaena、Anacystis、Arthrobacter、Azobacter、Bacillus、Brevibacterium、Chromatium、Clostridium、Corynebacterium、Enterobacter、Erwinia、Escherichia、Lactobacillus、Lactococcus、Mesorhizobium、Methylobacterium、Microbacterium、Phormidium、Pseudomonas、Rhodobacter、Rhodopseudomonas、Rhodospirillum、Rhodococcus、Salmonella、Scenedesmun、Serratia、Shigella、Staphlococcus、Strepromyces、SynnecoccusおよびZymomonasに属する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。 原核生物株の例としては、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefacines、Brevibacterium ammoniagenes、Brevibacterium immariophilum、Clostridium beigerinckii、Enterobacter sakazakii、Escherichia coli、Lactococcus lactis、Mesorhizobium loti、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mevalonii、Pseudomonas pudica、Rhodobacter capsulatus、Rhodobacter sphaeroides、Rhodospirillum rubrum、Salmonella enterica、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonneiおよびStaphylococcus aureusが挙げられるが、これらに限定されない。 特定の実施形態において、前記宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞である。

    適する古細菌宿主としては、属:Aeropyrum、Archaeglobus、Halobacterium、Methanococcus、Methanobacterium、Pyrococcus、Sulfolobus、and Thermoplasmaに属する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。 古細菌株の例としては、Archaeoglobus fulgidus、Halobacterium sp. , Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcanium、Pyrococcus horikoshii、Pyrococcus abyssiおよびAeropyrum pernixが挙げられるが、これらに限定されない。

    適切な真核宿主としては、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞および植物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。 一部の実施形態では、本方法において有用な酵母としては、微生物寄託機関(例えば、IFO、ATCCなど)に寄託されている酵母であって、数ある中でも、以下の属:Aciculoconidium、Ambrosiozyma、Arthroascus、Arxiozyma、Ashbya、Babjevia、Bensingtonia、Botryoascus、Botryozyma、Brettanomyces、Bullera、Bulleromyces、Candida、Citeromyces、Clavispora、Cryptococcus、Cystofilobasidium、Debaryomyces、Dekkara、Dipodascopsis、Dipodascus、Eeniella、Endomycopsella、Eremascus、Eremothecium、Erythrobasidium、Fellomyces、Filobasidium、Galactomyces、Geotrichum、Guilliermondella、Hanseniaspora、Hansenula、Hasegawaea、Holtermannia、Hormoascus、Hyphopichia、Issatchenkia、Kloeckera、Kloeckeraspora、Kluyveromyces、Kondoa、Kuraishia、Kurtzmanomyces、Leucosporidium、Lipomyces、Lodderomyces、Malassezia、Metschnikowia、Mrakia、Myxozyma、Nadsonia、Nakazawaea、Nematospora、Ogataea、Oosporidium、Pachysolen、Phachytichospora、Phaffia、Pichia、Rhodosporidium、Rhodotorula、Saccharomyces、Saccharomycodes、Saccharomycopsis、Saitoella、Sakaguchia、Saturnospora、Schizoblastosporion、Schizosaccharomyces、Schwanniomyces、Sporidiobolus、Sporobolomyces、Sporopachydermia、Stephanoascus、Sterigmatomyces、Sterigmatosporidium、Symbiotaphrina、Sympodiomyces、Sympodiomycopsis、Torulaspora、Trichosporiella、Trichosporon、Trigonopsis、Tsuchiyaea、Udeniomyces、Waltomyces、Wickerhamia、Wickerhamiella、Williopsis、Yamadazyma、Yarrowia、Zygoascus、Zygosaccharomyces、ZygowilliopsisおよびZygozymaに属する酵母が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記宿主微生物は、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、Dekkera bruxellensis、Kluyveromyces lactis(以前はSaccharomyces lactisと呼ばれていた)、Kluveromyces marxianus、Arxula adeninivorans、またはHansenula polymorpha(今ではPichia angustaとして公知)である。 一部の実施形態において、前記宿主微生物は、Candida属の株、例えば、Candida lipolytica、Candida guilliermondii、Candida krusei、Candida pseudotropicalisまたはCandida utilisである。

    特定の実施形態において、前記宿主微生物は、Saccharomyces cerevisiaeである。 一部の実施形態において、前記宿主は、パン酵母、CBS 7959、CBS 7960、CBS 7961、CBS 7962、CBS 7963、CBS 7964、IZ−1904、TA、BG−1、CR−1、SA−1、M−26、Y−904、PE−2、PE−5、VR−1、BR−1、BR−2、ME−2、VR−2、MA−3、MA−4、CAT−1、CB−1、NR−1、BT−1およびAL−1からなる群より選択されるSaccharomyces cerevisiaeの株である。 一部の実施形態において、前記宿主微生物は、PE−2、CAT−1、VR−1、BG−1、CR−1およびSA−1からなる群より選択されるSaccharomyces cerevisiaeの株である。 特定の実施形態において、前記Saccharomyces cerevisiaeの株は、PE−2である。 もう1つの特定の実施形態において、前記Saccharomyces cerevisiaeの株は、CAT−1である。 もう1つの特定の実施形態において、前記Saccharomyces cerevisiaeの株は、BG−1である。

    一部の実施形態において、前記宿主微生物は、工業的発酵に適している微生物である。 特定の実施形態では、前記微生物は、工業的発酵環境について認知されているストレス条件である高い溶媒濃度、高温、基質利用拡大、栄養制限、糖および塩に起因する浸透圧ストレス、酸性度、亜硫酸塩および細菌汚染またはこれらの組み合わせのもとで生存するように馴化される。

    5.2.2 アセチル−CoA生産のための異種ADA
    1つの態様では、アセチル−CoA由来イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された宿主細胞であって、アシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(あるいは「アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)」、「アセチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アシル化」、またはADA(EC1.2.1.10)と呼ばれる)をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む細胞を、本明細書に提供する。

    本明細書に提供する組成物および方法に有用であるこの反応を触媒する能力があるタンパク質は、次の4タイプのタンパク質を含む:

    (1)アセチル−CoAのアセトアルデヒドへの可逆的変換、およびその後のアセトアルデヒドのエタノールへの可逆的変換を触媒する二機能性タンパク質。 このタイプのタンパク質の一例は、大腸菌(E.coli)におけるAdhEタンパク質(Gen Bank番号NP_415757)である。 AdhEは、遺伝子融合の進化産物であるように思われる。 AdhEタンパク質のNH 末端領域は、アルデヒド:NAD オキシドレダクターゼと高度に相同であり、これに対してそのCOOH末端領域は、Fe 2+依存性エタノール:NAD オキシドレダクターゼのファミリーと相同である(Membrillo−Hernandezら(2000)J.Biol.Chem.275:33869−33875)。 大腸菌AdhEは、金属触媒酸化を受ける、したがって、酸素感受性である(Tamaritら(1998)J.Biol.Chem.273:3027−32)。

    (2)絶対的または条件的嫌気性微生物においてアセチル−CoAのアセトアルデヒドへの可逆的変換を触媒するが、アルコールデヒドロゲナーゼ活性を保有しないタンパク質。 このタイプのタンパク質の一例は、Clostridium kluyveriにおいて報告されている(Smithら(1980) Arch.Biochem.Biophys.203:663−675)。 ADAは、Clostridium kluyveri DSM 555(アクセッション番号:EDK33116)のゲノムにおいてアノテーションされている。 相同タンパク質AcdHは、Lactobacillus plantarum(アクセッション番号NP_784141)のゲノムにおいて同定されている。 このタイプのタンパク質のもう1つの例は、Clostridium beijerinckii NRRL B593におけるald遺伝子産物である(Tothら(1999)Appl.Environ.Microbiol.65:4973−4980、アクセッション番号:AAD31841)。

    (3)エタノールアミン異化に関与するタンパク質。 エタノールアミンは、多くの腸内細菌により炭素源と窒素原の両方として利用され得る(Stojiljkovicら(1995)J.Bacteriol.177:1357−1366)。 エタノールアミンは、先ず、エタノールアミンアンモニアリアーゼによってアンモニアおよびアセトアルデヒドに変換され、その後、アセトアルデヒドは、ADAによってアセチル−CoAに変換される。 このタイプのADAの一例は、Salmonella typhimuriumにおけるEutEタンパク質である(Stojiljkovicら(1995)J.Bacteriol.177:1357−1366、アクセッション番号:AAL21357;U18560.1も参照されたし)。 大腸菌もまたエタノールアミンを利用することができ(Scarlettら(1976)J.Gen.Microbiol.95:173−176)、S. typhimuriumにおけるEutEタンパク質と相同であるEutEタンパク質(アクセッション番号:AAG57564;EU897722.1も参照されたし)を有する。

    (4)4−ヒドロキシ−2−ケト吉草酸異化に関与する二機能性アルドラーゼ−デヒドロゲナーゼ複合体の一部分であるタンパク質。 かかる二機能性酵素は、カテコール(多くの細菌種におけるフェノール、トルエート、ナフタレン、ビフェニルおよび他の芳香族化合物の分解の中間体)のメタ切断経路の最後の2段階を触媒する(PowlowskiおよびShingler(1994)Biodegradation 5、219−236)。 4−ヒドロキシ−2−ケトバレレートが先ず4−ヒドロキシ−2−ケト吉草酸アルドラーゼによってピルベートおよびアセトアルデヒドに変換され、その後、アセトアルデヒドがADAによってアセチル−CoAに変換される。 このタイプのADAの一例は、Pseudomonas sp CF600におけるDmpFタンパク質(アクセッション番号:CAA43226)である(Shinglerら(1992)J.Bacteriol.174:71 1−24)。 大腸菌は、Pseudomonas sp. CF600におけるDmpFタンパク質との相同MphFタンパク質を有する(Ferrandezら(1997)J.Bacteriol.179:2573−2581、アクセッション番号:NP_414885)。

    一部の実施形態において、本明細書に記載する組成物および方法に有用なADA(またはかかる活性をコードしている核酸配列)は、国際公開番号WO2009/013159パンフレット(この内容は、それら全体が参照により本明細書に援用されている)に記載されているような、大腸菌adhE、Entamoeba histolytica adh2、Staphylococcus aureus adhE、Piromyces sp. E2 adhE、Clostridium kluyveri(EDK33116)、Lactobacillus plantarum acdHおよびPseudomonas putida(YP 001268189)からなる群より選択される。 一部の実施形態において、前記ADAは、Clostridium botulinum eutE(FR745875.1)、Desulfotalea psychrophila eutE(CR522870.1)、Acinetobacter sp. HBS−2 eutE(ABQ44511.2)、Caldithrix abyssi eutE(ZP_09549576)およびHalorubrum lacusprofundi ATCC 49239(YP_002565337.1)からなる群より選択される。

    特定の実施形態において、本明細書に提供する組成物および方法に有用なADAは、Dickeya zeaeからのeutEである。 Dickeya zeaeの代表的eutEヌクレオチド配列としては、アクセッション番号NC_012912.1:1110476. . 1111855、および本明細書提供の配列番号1が挙げられる。 Dickeya zeaeの代表的eutEタンパク質配列としては、アクセッション番号YP_003003316、および本明細書提供の配列番号2が挙げられる。

    本明細書に提供する組成物および方法において同じく有用であるADAは、本明細書に記載するADAのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。 かかる「誘導体」は、次の特徴を有する:(1)それは、本明細書に記載するADAのいずれかと実質的相同性を共有する;および(2)アセトアルデヒドのアセチル−CoAへの変換を触媒する能力がある。 ADAの誘導体は、該誘導体のアミノ酸配列が、本明細書に記載するADAのいずれかのものと少なくとも80%、少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは95%同じである場合、ADAと「実質的相同性」を共有すると言われる。

    5.2.2.1 機能性ADAの同定方法 もう1つの態様では、高いin vivo性能を有するADAについてのスクリーニング方法を本明細書に提供する。 このスクリーニング方法では、高いin vivo性能を有するADAを、(遺伝子)操作された宿主細胞を細胞死からレスキューするそれらの能力によって同定する。 前記(遺伝子)操作された宿主細胞は、サイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物、例えばイソプレノイド、の生産のための異種経路を含む。 一部の実施形態において、前記(遺伝子)操作された宿主細胞は、機能的に破壊されたPDH−バイパス経路と、弱い活性のADAとをさらに含み、前記機能的に破壊されたPDH−バイパス経路と前記弱い活性のADAの総合活性は、(1)サイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝物と(2)細胞生存、健康および/または成長に要するサイトゾルアセチル−CoA由来一次代謝物、両方の生産の要件を満たすために十分なサイトゾルアセチル−CoAを生じさせない。 したがって、生存、健康および/または成長のために、前記宿主細胞は、増大したサイトゾルアセチル−CoAプールの生産が可能である活性ADAを要する。

    一部の実施形態において、高いin vivo性能を有するADAについてスクリーニングするための方法は、(a)機能的に破壊されたPDH−バイパス経路を有する宿主細胞において対照ADAを発現させて、高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物を生産すること(この場合、前記高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産は、前記宿主細胞の生存度を、前記高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物を生産しない親細胞と比較して低減させる);および(b)前記宿主細胞において対照ADAではなく試験ADAを発現させること(それによって、前記対照ADAを発現する宿主細胞と比較して前記試験ADAを発現する宿主細胞の生存度の増加より、前記試験ADAが前記対照ADAと比較して向上したin vivo性能を有すると確認される)を含む。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞における前記高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産は、誘導可能である。 誘導は、誘導剤(例えば、ガラクトース(galcatose))または特異的成長条件(例えば、成長温度)に応答して起こり得る。 誘導剤の不在下で成長したとき、その宿主細胞のADA活性は、該宿主細胞が生存に要するサイトゾルアセチル−CoAの生産を可能にするために十分なものである。 しかし、誘導剤の存在下で成長したとき、その宿主細胞のADA活性は、該宿主細胞が生存に要するサイトゾルアセチル−CoAと、高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の両方の生産を可能にするために十分なものではない。 したがって、後者の場合、前記宿主細胞は、増大したサイトゾルアセチル−CoAプールの生産を可能にする、より活性の高いADAを生存のために要する。 前記宿主細胞におけるサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産は、その親細胞におけるサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産より約10%から少なくとも約1,000倍高い、またはそれ以上高い範囲にわたり得る。

    前記親細胞と比較した前記対照ADAを発現する宿主細胞の生存度低減は、細胞成長減少から致死にわたり得る。 したがって、一部の実施形態において、前記対照ADAを発現する宿主細胞は、液体培地中または寒天プレート上で、前記親細胞と比較して低減された数の子孫細胞を生産する。 他の実施形態において、前記ADAを発現する宿主細胞は、液体培地中または寒天プレート上で、前記親細胞と比較して子孫細胞を生産しない。 したがって、対照ADAではなく試験ADAを発現する宿主細胞の生存度の増加は、対照ADAを発現する宿主細胞によって生産される子孫細胞の数またはコロニーサイズと比較して、液体培地中ではより多数の子孫細胞によって、または寒天プレート上ではより大きいコロニーサイズによってはっきりと分かるであろう。

    前記宿主細胞におけるサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物またはその前駆体の生産に関与する酵素の発現および/または活性を改変することによって、前記宿主細胞において高レベルのサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産を果たすことができる。 一部のかかる実施形態では、前記MEVまたはDXP経路の酵素の発現および/または活性を改変する。 一部のかかる実施形態では、HMG−CoAレダクターゼおよび/またはメバロン酸キナーゼの発現および/または活性を改変する。

    前記対照ADAおよび試験ADAは、天然に存在するADAであってもよいし、または天然に存在しないADAであってもよい。 一部の実施形態において、試験ADAは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加が対照ADAと異なる、対照ADAの変異体である。 一部の実施形態において、試験ADAは、対照ADAと同一のアミノ酸を含むが、これらのアミノ酸をコードしているコドンは、試験ADAと対照ADA間で異なる。 一部の実施形態において、前記コドンは、宿主細胞における使用頻度について最適化される。 一部の実施形態において、対照ADAおよび/または試験ADAは、ピルビン酸デカルボキシラーゼに融合している。 一部の実施形態において、前記試験ADAの発現は、強力なプロモーターの調節制御下にある。 一部の実施形態において、試験ADAの発現は、中等度の強度のプロモーターの調節制御下にある。 一部の実施形態において、試験ADAの発現は、弱いプロモーターの調節制御下にある。

    試験ADAの存在下での宿主細胞の生存度の増加は、対照ADAより活性が高い試験ADAによって果たされることもあり、または対照ADAと同様に活性であるもしくは活性が低いが、より高レベルで発現される試験ADAによって果たされることもある。 宿主細胞において対照ADAと試験ADAを同様のレベルで発現させることによって、増加した活性を有する試験ADAの同定を果たすことができる。 これは、例えば、宿主細胞における対照ADAおよび試験ADAをコードしているヌクレオチド配列を同じ調節要素の制御下に置くことによって果たすことができる。 例えば所望の発現レベルをもたらす調節要素(例えば、プロモーター)を同定するために、前記方法を用いる他の実施形態において、試験ADAは、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列ではなく発現レベルが対照ADAと異なる。 かかる実施形態では、異なる調節要素を対照ADAおよび試験ADAの発現に使用することができ、および宿主細胞生存度の比較により、試験ADAの活性についてではなく、試験ADAの発現を駆動する調節要素の強度についての情報が得られる。

    向上したADA変異体ではなく成長促進突然変異を含む急速成長偽陽性宿主細胞が宿主細胞培養物に取って代わる競合成長刺激を防止するために、前記スクリーニング方法の1つの実施形態は、寒天プレートベースの選択システムを含む。 この実施形態では、宿主細胞を寒天プレートにプレーティングし、向上したin vivo性能を有する試験ADA変異体を含む宿主細胞をコロニー成長によって同定する。

    本開示スクリーニング方法の実質的利点は、ハイスループット実現についてのその単純性および能力である。 ADA変異体は、細胞生存度に基づいて容易に同定され、これにより、他の費用の嵩むかつ時間のかかるスクリーニング方法が事実上不要になる。 したがって、1つの実施形態では、前記方法を用いて、ADA変異体のコレクション(例えば、突然変異体ADAのライブラリー)を、向上したin vivo性能を有するADA変異体についてスクリーニングする。 かかる実施形態では、単一の試験ADAを宿主細胞において発現させるのではなく、試験ADAのコレクションを宿主細胞のコレクションにおいて発現させる。 その後、それらの宿主細胞を寒天プレート上で成長させ、向上したin vivo性能を有するADA変異体を発現する宿主細胞をコロニー成長に基づいて同定することができる。 一部の実施形態において、ADA変異体の前記コレクションは、2から5、5から10、10から50、50から100、100から500、500から1,000、1,000から10,000、10,000から100,000、100,000から1,000,000、およびそれ以上のADA変異体を含む。

    本開示スクリーニング方法のもう1つの大きな利点は、ある反復で同定された試験ADAが後続の反復で対照ADAとして使用される反復様式でどんどんよいADA変異体を選択するその継続能力である。 しかし、かかる実施形態には、反復するごとに、宿主細胞におけるサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物の生産を確認することおよびことによると、宿主細胞が新たな対照ADA(すなわち、前の反復の試験ADA)を発現したときに低減された生存度を生じさせるレベルに(例えば、酵素の発現レベルを増加もしくは減少させること、酵素を足すもしくは引くこと、遺伝子のコピー数を増加もしくは減少させること、酵素の発現を制御するプロモーターを交換すること、または遺伝子突然変異により酵素を変性させることによって)増加させることが求められる。 あるいは、または加えて、反復するごとに、対照ADAの発現を(例えば、対照ADA転写産物もしくはポリペプチドの発現を減少させることによって、またはより弱いプロモーターを使用することによって、または対照ADA転写産物もしくはポリペプチドの安定性を低減させることによって)低減させて、低減された対照ADA活性をもたらすことができる。 次の反復の際に、前の反復のその試験ADAと比較して増加されたin vivo性能をまだ有する試験ADAを同定することができる。

    本開示スクリーニング方法のもう1つの大きな利点は、向上したADAについての選択をin vitroではなくin vivoで行う点である。 結果として、ADA変異体のin vivo性能を強化する多数の酵素特性の向上を得ることができる。

    本開示スクリーニング方法を使用して開発した酵素を、蛍光スクリーニングおよび/またはサイトゾルアセチル−CoA由来二次代謝産物のガスクロマトグラフィーによる直接定量をはじめとする(しかしこれらに限定されない)さらなる任意選択スクリーニング手段に付すことができる。 より具体的には、これは、ファルネセンなどのセスキテルペンの生産を測定するためのナイルレッドベースのハイスループット蛍光アッセイ、およびファルネセンなどのセスキテルペンの力価を測定するためのガスクロマトグラフィー(GC)ベースの直接定量方法を含む。 それらの向上した酵素を、誘導突然変異およびこれらに類するものなどの遺伝子操作方法によってさらに向上させることもできる。 結果として、最終酵素性能を強化する多数の酵素特性の向上が継続的に遂行され、最も有効な酵素変異体が同定される。

    5.2.3 PDH−バイパスの機能破壊 アセチル−CoAは、ミトコンドリアにおいてPDH複合体によって触媒されるピルベートの酸化的脱カルボキシル化によって形成され得る。 しかし、S. cerevisiaeはアセチル−CoAをミトコンドリアから外に輸送することができないため、PDHバイパスは、サイトゾル区画へのアセチル−CoAの供給に不可欠な役割を有し、およびピルベートのアセチル−CoAへの変換のためのPDH反応への代替ルートを提供する。 前記PDHバイパスは、酵素ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC;EC4.1.1.1)、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ACDH;EC1.2.1.5およびEC1.2.1.4)およびアセチル−CoAシンセターゼ(ACS;EC6.2.1.1)を含む。 ピルビン酸デカルボキシラーゼは、ピルベートのアセトアルデヒドおよび二酸化炭素への脱カルボキシル化を触媒する。 アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アセトアルデヒドを酢酸に酸化させる。 S. cerevisiaeにおけるアルデヒドデヒドロゲナーゼのファミリーは、5つのメンバーを含有する。 ALD2(YMR170c)、ALD3(YMR169c)およびALD6(YPL061w)は、サイトゾルアイソフォームに対応し、その一方でALD4(YOR374w)およびALD5(YER073w)は、ミトコンドリア酵素をコードしている。 主サイトゾルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼアイソフォームは、ALD6によってコードされている。 アセテートからのアセチル−CoAの形成は、ACSによって触媒され、ATPの加水分解を伴う。 2つの構造遺伝子、ACS1およびACS2、はACSをコードしている。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパス経路の1つ以上の遺伝子の機能破壊を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞のPDH−バイパスの1つ以上の遺伝子の破壊は、次の反応の1つ以上を触媒するその能力が損なわれている遺伝子改変された微生物細胞を生じさせる結果となる:(1)ピルビン酸デカルボキシラーゼによるピルベートのアセトアルデヒドへの脱カルボキシル化;(2)アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼによるアセトアルデヒドのアセテートへの変換;および(3)アセチル−CoAシンセターゼによるアセテートおよびCoAからのアセチル−CoAの合成。

    一部の実施形態において、親細胞と比較して、宿主細胞は、PDH−バイパス経路の1つ以上の遺伝子の機能破壊を含み、この場合、単独または弱いADAとの組み合わせでの、低減された機能または非機能性PDH−バイパス経路の活性は、宿主細胞の成長、生存および/または健康を支援するために十分でない。

    一部の実施形態において、前記PDH−バイパスの1つ以上の内因性タンパク質の活性または発現は、少なくとも約50%低減される。 もう1つの実施形態において、前記PDH−バイパスの1つ以上の内因性タンパク質の活性または発現は、前記PDH−バイパスの1つ以上の内因性タンパク質の活性または発現の低減または欠失を含まない組換え微生物と比較して、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%低減される。

    当業者には理解されるように、タンパク質、例えばPDH−バイパスのタンパク質、の活性を低減させるまたは破壊するために利用可能な幾つかのメカニズムがあり、それらとしては、調節されたプロモーターの使用、弱い構成プロモーターの使用、二倍体酵母におけるタンパク質をコードしている遺伝子の2つのコピーの一方の破壊、二倍体酵母における前記遺伝子の両方のコピーの破壊、アンチセンス核酸の発現、siRNAの発現、内因性プロモーターの負の調節因子の過発現、内因性もしくは異種遺伝子の活性の変性、より低い比活性を有する異種遺伝子の使用、これらに類するものまたはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしている少なくとも1つの遺伝子の突然変異であって、該遺伝子によってコードされているポリペプチドの活性を低減させる結果となる突然変異を含む。 もう1つの実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしている遺伝子の部分的欠失であって、該遺伝子によってコードされているポリペプチドの活性を低減させる結果となる欠失を含む。 もう1つの実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしている遺伝子の完全欠失であって、該遺伝子によってコードされているポリペプチドの活性を低減させる結果となる欠失を含む。 さらにもう1つの実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしている遺伝子に付随する調節領域の改変であって、該遺伝子によってコードされているポリペプチドの発現を低減させる結果となる改変を含む。 さらにもう1つの実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしている遺伝子の転写の低減を生じさせる結果となる、転写調節因子の改変を含む。 さらにもう1つの実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、PDH−バイパスのタンパク質をコードしているすべての遺伝子の突然変異であって、該遺伝子(単数または複数)によってコードされているポリペプチドの活性を低減させる結果となる突然変異を含む。 1つの実施形態において、前記PDH−バイパスのタンパク質の活性または発現は、少なくとも約50%低減される。 もう1つの実施形態において、前記PDH−バイパスのタンパク質の活性または発現は、前記PDH−バイパスのタンパク質の活性または発現の低減を含まない組換え微生物と比較して少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%低減される。

    一部の実施形態において、PDHバイパスの1つまたはそれより多くの遺伝子の破壊は、微生物細胞への構築物の導入でPDHバイパスの遺伝子を特異的に破壊する能力がある「破壊構築物」を用いて、破壊される遺伝子を非機能性にすることによって達成される。 いくつかの実施形態において、標的遺伝子の破壊は、機能性タンパク質の発現を阻止する。 いくつかの実施形態において、標的遺伝子の破壊は、破壊される遺伝子からの非機能性タンパク質の発現を生じる。 一部の実施形態において、PDHバイパスの遺伝子の破壊は、相同組換えにより標的遺伝子座内の「破壊配列」の組込みによって達成される。 そのような実施形態において、破壊構築物は、標的遺伝子座の1対のヌクレオチド配列に相同である1対のヌクレオチド配列(相同配列)に隣接した破壊配列を含む。 破壊構築物による標的遺伝子の標的部分の置換で、破壊配列は、機能性タンパク質の発現を阻止し、または標的遺伝子からの非機能性タンパク質の発現を引き起こす。

    1つまたはそれより多くのPDHバイパスの遺伝子を破壊する能力がある破壊構築物は、当該技術分野において周知の標準の分子生物学技術を用いて構築することができる。 例えば、Sambrookら、2001、Molecular Cloning−A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NYおよびAusubelら編、現行版、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、NYを参照。 本方法の実施において変わり得る破壊構築物のパラメータには、相同配列の長さ、相同配列のヌクレオチド配列、破壊配列の長さ、破壊配列のヌクレオチド配列、および標的遺伝子のヌクレオチド配列が挙げられるが、それらに限定されない。 いくつかの実施形態において、各相同配列の長さについての有効な範囲は50〜5,000塩基対である。 特定の実施形態において、各相同配列の長さは約500塩基対である。 遺伝子を標的にするのに必要とされる相同性の長さの議論については、Hastyら、Mol Cell Biol 11:5586−91(1991)を参照されたい。 いくつかの実施形態において、相同配列は、標的遺伝子のコード配列を含む。 他の実施形態において、相同配列は、標的遺伝子の上流配列または下流配列を含む。 いくつかの実施形態において、一方の相同配列は、標的遺伝子のコード配列の5'に位置するヌクレオチド配列と相同であるヌクレオチド配列を含み、他方の相同配列は、標的遺伝子のコード配列の3'に位置するヌクレオチド配列と相同であるヌクレオチド配列を含む。 いくつかの実施形態において、破壊配列は、破壊配列を含む微生物細胞の選択を可能にする選択マーカーをコードするヌクレオチド配列を含む。 したがって、そのような実施形態において、破壊構築物は、二重機能、すなわち、標的遺伝子を機能的に破壊すること、および標的遺伝子が機能的に破壊されている細胞の同定のための選択マーカーを提供することを有する。 いくつかの実施形態において、終止コドンは、標的遺伝子によってコードされる野生型タンパク質のある程度の活性を有する融合タンパク質を生じる可能性がある翻訳の読み過ごしを防ぐために選択マーカーをコードするヌクレオチド配列とインフレームで、および、それの下流に位置する。 いくつかの実施形態において、破壊配列の長さは、1塩基対である。 単一塩基対の挿入は、コード配列における単一塩基対の挿入が、機能性タンパク質の発現を阻止することができるフレームシフト突然変異を構成することができるため、標的遺伝子を破壊するのに十分であり得る。 いくつかの実施形態において、破壊配列の配列は、相同配列の間に位置する標的遺伝子のヌクレオチド配列と単一塩基対だけ、異なる。 標的遺伝子内のヌクレオチド配列の破壊配列との置換で、導入される単一塩基対置換は、タンパク質における重要部位での単一アミノ酸置換、および非機能性タンパク質の発現を生じ得る。 しかしながら、非常に短い破壊配列を用いてもたらされる破壊は、自然突然変異によって野生型配列への復帰変異を起こしやすく、したがって、PDHバイパス機能の回復を宿主株にもたらすことは認識されるべきである。 したがって、特定の実施形態において、破壊配列は、1〜2、3塩基対より長い。 それとは正反対に、過剰な長さの破壊配列は、中程度の長さの破壊配列に優る少しの利点でも与える可能性は低く、トランスフェクションまたはターゲティングの効率を減少させる可能性がある。 この関連における過剰な長さは、標的遺伝子における選択された相同配列間の距離より何倍も長い。 このように、ある特定の実施形態において、破壊配列についての長さは、2塩基対から2,000塩基対までであり得る。 他の実施形態において、破壊配列についての長さは、破壊構築物における相同配列とマッチする標的遺伝子座の領域間の距離とおよそ等しい長さである。

    いくつかの実施形態において、破壊構築物は、直鎖DNA分子である。 他の実施形態において、破壊構築物は、環状DNA分子である。 いくつかの実施形態において、環状破壊構築物は、上記のような破壊配列によって分離した1対の相同配列を含む。 いくつかの実施形態において、環状破壊構築物は、単一の相同配列を含む。 そのような環状破壊構築物は、標的遺伝子座での組込みで、直鎖状になり、相同配列の部分は各末端に位置し、破壊構築物の残りのセグメントは、標的遺伝子ヌクレオチド配列のいずれとも置換することなく、標的遺伝子に挿入され、それを破壊するであろう。 特定の実施形態において、環状破壊構築物の単一の相同配列は、標的遺伝子のコード配列内に位置する配列と相同である。

    破壊構築物は、非限定的に、当業者に公知の任意の方法によって微生物細胞へ導入することができる。 そのような方法には、溶液からの細胞による分子の直接的取り込み、または例えば、リポソームもしくは免疫リポソームを用いるリポフェクションによる促進性取り込み;粒子媒介性トランスフェクションなどが挙げられるが、それらに限定されない。 例えば、米国特許第5,272,065号;Goeddelら編、1990、Methods in Enzymology、185巻、Academic Press, Inc. 、CA;Krieger、1990、Gene Transfer and Expression−A Laboratory Manual、Stockton Press、NY;Sambrookら、1989、Molecular Cloning−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、NY;およびAusubelら編、現行版、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、NYを参照。 酵母細胞を形質転換する特定の方法は当技術分野において周知である。 Hinnenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1292−3(1978);Creggら、Mol. Cell. Biol. 5:3376−3385(1985)参照。 例示的な技術として、スフェロプラスト化、エレクトロポレーション、PEG 1000媒介性形質転換、および酢酸リチウムまたは塩化リチウム媒介性形質転換が挙げられるが、それらに限定されない。

    5.2.3.1 ALD4およびALD6
    一部の実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ACDH)活性をコードしている1つ以上の遺伝子を宿主細胞において機能的に破壊する。 一部の実施形態において、前記アルデヒドデヒドロゲナーゼは、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6、ならびにそれらの相同体および変異体からなる群より選択される遺伝子によってコードされている。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ALD4の機能破壊を含む。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的ALD4ヌクレオチド配列としては、アクセッション番号NM_001183794、および本明細書提供の配列番号7が挙げられる。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的Ald4タンパク質配列としては、アクセッション番号NP_015019.1、および本明細書提供の配列番号8が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、サイトゾルアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALD6)の機能破壊を含む。 Ald6pは、天然PDH−バイパスにおいてアセトアルデヒドをアセテートに変換するように機能する。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的ALD6ヌクレオチド配列としては、アクセッション番号SCU56604、および本明細書提供の配列番号9が挙げられる。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的Ald6タンパク質配列としては、アクセッション番号AAB01219、および本明細書提供の配列番号10が挙げられる。

    当該技術分野では理解されるであろうように、S. cerevisiae以外の酵母におけるアルデヒドデヒドロゲナーゼの天然に存在する相同体を、本明細書に記載する方法を用いて同様に不活性化することができる。

    当業者には理解されるであろうように、1つより多くのアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。 1つの特定の実施形態では、ALD4およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。 もう1つの特定の実施形態では、ALD5およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。 さらにもう1つの特定の実施形態では、ALD4、ALD5およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。 さらにもう1つの特定の実施形態では、サイトゾルに局在しているアルデヒドデヒドロゲナーゼALD2、ALD3およびALD6またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。 さらにもう1つの特定の実施形態では、ミトコンドリアに局在しているアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ALD4およびALD5またはそれらの相同体もしくは変異体の活性または発現を低減させるまたはなくすことができる。

    5.2.3.2 ACS1およびACS2
    一部の実施形態では、アセチル−CoAシンターゼ(ACS)活性をコードしている1つ以上の遺伝子を宿主細胞において機能的に破壊する。 一部の実施形態において、前記アセチル−CoAシンターゼは、ACS1、ACS2、ならびにその相同体および変異体からなる群より選択される遺伝子によってコードされている。

    一部の実施形態では、アセチル−CoAシンターゼ(ACS)活性をコードしている1つ以上の遺伝子を宿主細胞において機能的に破壊する。 ACS1およびACS2は両方とも、アセテートをアセチル−CoAに変換することができるアセチル−CoAシンターゼである。 ACS1は、呼吸条件下でしか発現されないが、ACS2は、構成的に発現される。 ACS2がノックアウトされると、株は、呼吸条件(例えば、エタノール、グリセロールまたはアセテート培地)では成長できるが、発酵性炭素源(例えば、スクロース、グルコース)では死滅する。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ACS1の機能破壊を含む。 S. cerevisiaeのACS1遺伝子の配列は、以前に記載されている。 例えば、Nagasuら、Gene 37(1−3):247−253(1985)を参照されたし。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的ACS1ヌクレオチド配列としては、アクセッション番号X66425、および本明細書提供の配列番号3が挙げられる。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的Acs1タンパク質配列としては、アクセッション番号AAC04979、および本明細書提供の配列番号4が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ACS2の機能破壊を含む。 S. cerevisiaeのACS2遺伝子の配列は、以前に記載されている。 例えば、Van den Bergら、Eur. J. Biochem. 231(3):704−713(1995)を参照されたし。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的ACS2ヌクレオチド配列としては、アクセッション番号S79456、および本明細書提供の配列番号5が挙げられる。 Saccharomyces cerevisiaeの代表的Acs2タンパク質配列としては、アクセッション番号CAA97725、および本明細書提供の配列番号6が挙げられる。

    当該技術分野では理解されるであろうように、S. cerevisiae以外の酵母におけるアセチル−CoAシンターゼの天然に存在する相同体を、本明細書に記載する方法を用いて同様に不活性化することができる。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、呼吸条件下で(すなわち、前記宿主細胞を、例えばエタノール、グリセロールまたはアセテートの存在下で成長させた場合)アセテートをアセチル−CoAに変換することができるサイトゾルアセチル−coAシンターゼ活性を含む。 一部のかかる実施形態において、前記宿主細胞は、ACS1活性を含む酵母細胞である。 他の実施形態において、前記宿主細胞は、親細胞と比較して、呼吸条件下で内因性アセチル−CoAシンターゼ活性を含まない、または低減された内因性アセチル−CoAシンターゼ活性を含む。 一部のかかる実施形態において、酵母細胞である宿主細胞は、親細胞と比較して、ACS1活性を含まない、または低減されたACS1活性を含む。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、非呼吸条件下で(すなわち、前記宿主細胞を発酵性炭素源(例えば、スクロース、グルコース)の存在下で成長させた場合)アセテートをアセチル−CoAに変換することができるサイトゾルアセチル−coAシンターゼ活性を含む。 一部のかかる実施形態において、前記宿主細胞は、ACS2活性を含む酵母細胞である。 他の実施形態において、親細胞と比較して、前記宿主細胞は、非呼吸条件下で内因性アセチル−CoAシンターゼ活性を含まない、または低減された内因性アセチル−CoAシンターゼ活性を含む。 一部のかかる実施形態において、前記宿主細胞は、親細胞と比較して、ACS2活性を含まないまたは低減されたACS2活性を含む酵母細胞である。

    5.2.4 ホスホケトラーゼ(PK)およびホスホトランスアセチラーゼ(PTA)
    酵母において、アセチル−CoAは、解糖、トリカルボン酸(TCA)回路、酸化的リン酸化、およびビルビン酸代謝によってグルコースから生合成される。 しかし、この生合成経路では、CO が、ピルビン酸代謝中にピルビン酸カルボキシラーゼによって、ならびにTCA回路でピルビン酸デヒドロゲナーゼおよびイソクエン酸デヒドロゲナーゼによって失われる。 工業的発酵設定で、低解糖によってフラックスを低下させることの1つの利点は、ピルベートのアセトアルデヒドへの変換の際により少ないCO が生産される点であり、したがって、より多くの炭素が最終製品内に捕捉され、その結果、最大理論収率を増加させることができる。 第二の利点は、より少ないNADHが生産される点であり、したがって、それを再酸化させるために必要とされる酸素は有意に少ない。 炭素原子の損失は、理論的には、TCA回路を迂回することによって回避することができる。 これは、ホスホケトラーゼ(PK)(酵素クラスEC4.1.2.9、EC4.1.2.22)をホスホアセチルトランスフェラーゼ(PTA)(EC2.3.1.8)と併用することによって果たすことができる。

    PKおよびPTAは、フルクトース−6−リン酸(F6P)またはキシルロース−5−リン酸(X5P)をアセチル−CoAに変換するための反応を触媒する(図7)。 PKは、ペントースリン酸中間体キシルロース(xyulose)5−リン酸から、または高解糖(upper glycolysis)中間体D−フルクトース6−リン酸(F6P)から取り出す;PKは、X5Pをグリセルアルデヒド3−リン酸(G3P)およびアセチルリン酸に、またはF6Pをエリトロース4−リン酸(E4P)に分裂させる。 その後PTAは、そのアセチルリン酸をアセチル−CoAに変換する。 G3Pは、低解糖に再び入ることができ、E4Pは、ペントースリン酸経路に再び入ることができ、またはトランスアルドラーゼおよびトランスケトラーゼの非酸化的ペントースリン酸経路ネットワークの循環によって解糖に再び入ることができる。

    一部の実施形態において、本明細書に提供する遺伝子改変された宿主細胞は、ホスホケトラーゼをコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記ホスホケトラーゼは、Leuconostoc mesenteroidesからのもの(Leeら、Biotechnol Lett.27(12);853−858(2005))である。 Leuconostoc mesenteroidesの代表的ホスホケトラーゼヌクレオチド配列としては、アクセッション番号AY804190、および本明細書提供の配列番号11が挙げられる。 Leuconostoc mesenteroidesの代表的ホスホケトラーゼタンパク質配列としては、アクセッション番号YP_819405、AAV66077.1、および本明細書提供の配列番号12が挙げられる。 他の有用なホスホケトラーゼとしては、Bifidobacterium dentium ATCC 27678からのもの(ABIX02000002.1:2350400..2352877;EDT46356.1);Bifidobacterium animalisからのもの(NC_017834.1:1127580..1130057;YP_006280131.1);およびBifidobacterium pseudolongumからのもの(AY518216.1:988..3465;AAR98788.1)が挙げられるが、これらに限定されない。

    本明細書に提供する組成物および方法において同じく有用なホスホケトラーゼは、本明細書に記載するホスホケトラーゼのいずれかの「誘導体」と言われる分子を含む。 かかる「誘導体」は、次の特徴を有する:(1)それは、本明細書に記載するホスホケトラーゼのいずれかと実質的相同性を共有する;および(2)X5Pのグリセルアルデヒド3−リン酸(G3P)およびアセチルリン酸への変換またはF6Pのエリトロース4−リン酸(E4P)への変換を触媒する能力がある。 ホスホケトラーゼの誘導体は、該誘導体のアミノ酸配列がホスホケトラーゼのものと少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%および最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、ホスホケトラーゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。

    一部の実施形態において、本明細書に提供する遺伝子改変された宿主細胞は、ホスホトランスアセチラーゼをコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記ホスホトランスアセチラーゼは、Clostridium kluyveriからのものである。 Clostridium kluyveriからの代表的ホスホトランスアセチラーゼヌクレオチド配列としては、アクセッション番号NC_009706.1:1428554. . 1429555、および本明細書提供の配列番号13が挙げられる。 Clostridium kluyveriからの代表的ホスホトランスアセチラーゼタンパク質配列としては、アクセッション番号YP_001394780、および本明細書提供の配列番号14が挙げられる。 他の有用なホスホトランスアセチラーゼとしては、Lactobacillus reuteriからのもの(NC_010609.1:460303..461277;YP_001841389.10);Bacillus subtilisからのもの(NC_014479.1:3671865..3672836;YP_003868063.1);およびMethanosarcina thermophileからのもの(L23147.1:207..1208;AAA72041.1)が挙げられるが、これらに限定されない。

    本明細書に提供する組成物および方法において同じく有用なホスホトランスアセチラーゼは、本明細書に記載するホスホトランスアセチラーゼのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。 かかる「誘導体」は、次の特徴を有する:(1)それは、本明細書に記載するホスホトランスアセチラーゼのいずれかと実質的相同性を共有する;および(2)アセチルリン酸のアセチル−CoAへの変換を触媒する能力がある。 ホスホトランスアセチラーゼの誘導体は、該誘導体のアミノ酸配列がホスホトランスアセチラーゼのものと少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%および最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、ホスホトランスアセチラーゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。

    5.2.5 MEV経路 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の1つ以上の異種酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoAの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセトアセチル−CoAをアセチル−CoAと縮合させてHMG−CoAを形成する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、HMG−CoAをメバロネートに変換する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロネートをメバロン酸5−リン酸にリン酸化する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロン酸5−リン酸をメバロン酸5−ピロリン酸に変換する酵素を含む。 一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、メバロン酸5−ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む。

    一部の実施形態において、前記MEV経路の1つ以上の酵素は、アセチル−CoAチオラーゼ、アセトアセチル−CoAシンターゼ、HMG−CoAシンターゼ、HMG−CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼおよびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼからなる群より選択される。 一部の実施形態において、アセトアセチル−CoAの形成を触媒する能力があるMEV経路の酵素に関して、前記遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル−CoAの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素、例えば、アセチル−CoAチオラーゼ;またはアセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素、例えばアセトアセチル−CoAシンターゼのいずれかを含む。 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル−CoAの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素、例えば、アセチル−CoAチオラーゼ;およびアセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する酵素、例えばアセトアセチル−CoAシンターゼ、両方を含む。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の1つより多くの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の2つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、HMG−CoAをメバロネートに変換することができる酵素とメバロネートをメバロン酸5−リン酸に変換することができる酵素とをコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の3つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の4つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の5つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の6つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の7つの酵素をコードしている1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、MEV経路の酵素の全てをコードしている複数の異種核酸を含む。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換することができる酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合させてポリプレニル化合物を形成する酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、IPPまたはポリプレニルを、イソプレノイド化合物を形成するように修飾することができる酵素をコードしている異種核酸をさらに含む。

    5.2.5.1 アセチル−CoAのアセトアセチル−CoAへの変換 一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル−補酵素Aの2つの分子を縮合させてアセトアセチル−CoAを形成することができる酵素、例えば、アセチル−CoAチオラーゼをコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(NC_000913 REGION:2324131.2325315;Escherichia coli)、(D49362;Paracoccus denitrificans)、および(L20428; Saccharomyces cerevisiae)が挙げられるが、これらに限定されない。

    アセチル−CoAチオラーゼは、アセトアセチル−CoAを生じさせるための2つのアセチル−CoA分子の可逆的縮合を触媒するが、この反応は、熱力学的に好適でない;アセトアセチル−CoAチオリシスのほうがアセトアセチル−CoA合成より有利である。 アセトアセチル−CoAシンターゼ(AACS)(あるいはアセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼと呼ばれる;EC.2.3.1.194)は、アセチル−CoAをマロニル−CoAと縮合させてアセトアセチル−CoAを形成する。 アセチル−CoAチオラーゼとは対照的に、AACSによって触媒されるアセトアセチル−CoA合成は、マロニル−CoAの付随する脱カルボキシル化のため、本質的にエネルギー好適反応(energy−favored reaction)である。 加えて、AACSは、アセトアセチル−CoAに対してチオリシス活性を呈示せず、したがって、この反応は不可逆的である。

    異種ADAおよびアセチル−CoAチオラーゼを含む宿主細胞において、アセトアセチル−CoAチオリシスに有利である、アセチル−CoAチオラーゼによって触媒される可逆的反応は、大きなアセチル−CoAプールを生じさせる結果となり得る。 ADAの可逆的反応性にかんがみて、このアセチル−CoAプールは、アセチル−CoAをアセトアルデヒドに変換する可逆的反応にADAを次々に向かわせ、その結果、ADAによって提供されるアセチル−CoA生産の利点は減少される。 したがって、一部の実施形態では、ADAの正反応を駆動するようにアセチル−CoAを強く引っ張る、本明細書に提供する遺伝子改変された宿主細胞のMEV経路は、アセトアセチル−CoAシンターゼを利用して、アセチル−CoAおよびマロニル−CoAからアセトアセチル−CoAを形成する。

    一部の実施形態において、前記AACSは、Streptomyces sp. 株CL190からのもの(Okamuraら、Proc Natl Acad Sci USA 107(25):11265−70(2010))である。 Streptomyces sp. 株CL190の代表的AACSヌクレオチド配列としては、アクセッション番号AB540131.1、および本明細書提供の配列番号15が挙げられる。 Streptomyces sp. 株CL190の代表的AACSタンパク質配列としては、アクセッション番号D7URV0、BAJ10048、および本明細書提供の配列番号16が挙げられる。 本明細書に提供する組成物および方法に有用な他のアセトアセチル−CoAシンターゼとしては、Streptomyces sp. (AB183750;KO−3988 BAD86806);S. anulatus strain 9663(FN178498;CAX48662);Streptomyces sp. KO−3988(AB212624;BAE78983);Actinoplanes sp. A40644(AB113568;BAD07381);Streptomyces sp. C(NZ_ACEW010000640;ZP_05511702);Nocardiopsis dassonvillei DSM 43111(NZ_ABUI01000023;ZP_04335288);Mycobacterium ulcerans Agy99(NC_008611;YP_907152);Mycobacterium marinum M(NC_010612;YP_001851502);Streptomyces sp. Mg1(NZ_DS570501;ZP_05002626);Streptomyces sp. AA4(NZ_ACEV01000037;ZP_05478992);S. roseosporus NRRL 15998(NZ_ABYB01000295;ZP_04696763);Streptomyces sp. ACTE(NZ_ADFD01000030;ZP_06275834);S. viridochromogenes DSM 40736(NZ_ACEZ01000031;ZP_05529691);Frankia sp. CcI3(NC_007777;YP_480101);Nocardia brasiliensis(NC_018681;YP_006812440.1);およびAustwickia chelonae(NZ_BAGZ01000005;ZP_10950493.1)が挙げられるが、これらに限定されない。 追加の適するアセトアセチル−CoAシンターゼとしては、米国特許出願公開第2010/0285549号および同第2011/0281315号明細書に記載されているものが挙げられ、前記明細書の内容は、それら全体が参照により本明細書に援用されている。

    本明細書に提供する組成物および方法において同じく有用なアセトアセチル−CoAシンターゼは、本明細書に記載するアセトアセチル−CoAシンターゼのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。 かかる「誘導体」は、次の特徴を有する:(1)それは、本明細書に記載するアセトアセチル−CoAシンターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;および(2)アセトアセチル−CoAを形成するためのアセチル−CoAとマロニル−CoAの不可逆的縮合を触媒する能力がある。 アセトアセチル−CoAシンターゼの誘導体は、該誘導体のアミノ酸配列がアセトアセチル−CoAシンターゼのものと少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%および最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、アセトアセチル−CoAシンターゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。

    5.2.5.2 アセトアセチル−CoAのHMG−CoAへの変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、アセトアセチル−CoAを別のアセチル−CoA分子と縮合させて、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA(HMG−CoA)を形成することができる酵素、例えばHMG−CoAシンターゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(NC_001145.補体19061.20536;Saccharomyces cerevisiae)、(X96617;Saccharomyces cerevisiae)、(X83882;Arabidopsis thaliana)、(AB037907;Kitasatospora griseola)、(BT007302;Homo sapiens)、および(NC_002758、Locus tag SAV2546、GeneID 1122571;Staphylococcus aureus)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.3 HMG−CoAのメバロネートへの変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、HMG−CoAをメバロネートに変換することができる酵素、例えばHMG−CoAレダクターゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 一部の実施形態において、HMG−CoAレダクターゼは、NADH使用ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ−CoAレダクターゼである。 HMG−CoAレダクターゼ(EC1.1.1.34;EC1.1.1.88)は、(S)−HMG−CoAの(R)−メバロネートへの還元的脱アシル化を触媒し、および該HMG−CoAレダクターゼを2つのクラス、クラスIおよびクラスII、にカテゴリー分けすることができる。 クラスIは、真核生物および大部分の古細菌からの酵素を含み、クラスIIは、一定の原核生物および古細菌のHMG−CoAレダクターゼを含む。 配列の相違に加えて、前記2つのクラスの酵素は、それらの補因子特異性に関して異なる。 NADPHを排他的に利用するクラスI酵素とは異なり、クラスII HMG−CoAレダクターゼは、NADPHとNADHとを識別する能力が様々である。 例えば、Hedlら、Journal of Bacteriology 186(7):1927−1932(2004)を参照されたし。 抜粋したクラスII HMG−CoAレダクターゼについての補因子特異性を下に提供する。

    本明細書に提供する組成物および方法に有用なHMG−CoAレダクターゼとしては、NADHを補因子として利用する能力があるHMG−CoAレダクターゼ、例えば、P. mevalonii、A. fulgidusまたはS. aureusからのHMG−CoAレダクターゼが挙げられる。 特定の実施形態において、前記HMG−CoAレダクターゼ、例えば、P. mevalonii、S. pomeroyiまたはD. acidovoransからのHMG−CoAレダクターゼは、NADHを補因子として専ら利用する能力がある。

    一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、Pseudomonas mevaloniiからのものである。 HMG−CoAレダクターゼ(E.C.1.1.1.88)をコードしている、Pseudomonas mevaloniiの野生型mvaA遺伝子の配列は、以前に記載されている。 BeachおよびRodwell、J. Bacteriol. 171:2994−3001(1989)を参照されたし。 Pseudomonas mevaloniiの代表的mvaAヌクレオチド配列としては、アクセッション番号M24015、および本明細書記載の配列番号17が挙げられる。 Pseudomonas mevaloniiの代表的HMG−CoAレダクターゼタンパク質配列としては、アクセッション番号AAA25837、P13702、MVAA_PSEMV、および本明細書記載の配列番号18が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、Silicibacter pomeroyiからのものである。 Silicibacter pomeroyiの代表的HMG−CoAレダクターゼヌクレオチド配列としては、アクセッション番号NC_006569.1、および本明細書記載の配列番号19が挙げられる。 Silicibacter pomeroyiの代表的HMG−CoAレダクターゼタンパク質配列としては、アクセッション番号YP_164994、および本明細書記載の配列番号20が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、Delftia acidovoransからのものである。 Delftia acidovoransからの代表的HMG−CoAレダクターゼヌクレオチド配列としては、NC_010002 REGION:補体(319980..321269)、および本明細書記載の配列番号21が挙げられる。 Delftia acidovoransからの代表的HMG−CoAレダクターゼタンパク質配列としては、アクセッション番号YP_001561318、および本明細書記載の配列番号22が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、Solanum tuberosumからのもの(Craneら、J.Plant Physiol.159:1301−1307(2002))である。

    本明細書に提供する組成物および方法において同じく有用なNADH使用HMG−CoAレダクターゼは、本明細書に記載する、例えばP. mevalonii、S. pomeroyiおよびD. acidovoransからの、NADH使用HMG−CoAレダクターゼのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。 かかる「誘導体」は、次の特徴を有する:(1)それは、本明細書に記載するNADH使用HMG−CoAレダクターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;および(2)(S)−HMG−CoAの(R)−メバロネートへの還元的脱アシル化を触媒する能力があり、同時に補因子としてNADHを優先的に使用する能力がある。 NADH使用HMG−CoAレダクターゼの誘導体は、該誘導体のアミノ酸配列がNADH使用HMG−CoAレダクターゼのものと少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%および最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、NADH使用HMG−CoAレダクターゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。

    本明細書において用いる場合、句「NADH使用」は、そのNADH使用HMG−CoAレダクターゼが、例えば、NADPHよりNADHに対して高い比活性を明示することにより、補因子としてNADPHよりNADHに対して選択的であることを意味する。 一部の実施形態では、補因子としてのNADHに対する選択性を、κ cat (NADH) /κ cat (NADPH)比として表す。 一部の実施形態において、NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、少なくとも5、10、15、20、25、または25より大きいκ cat (NADH) /κ cat (NADPH)比を有する。 一部の実施形態において、NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、NADHを排他的に使用する。 例えば、NADHを排他的に使用するNADH使用HMG−CoAレダクターゼは、in vitroで唯一の補因子として供給されるNADHに伴って多少の活性を表示し(例えば、下の実施例1およびセクション6.1.1.3を参照されたし)、NADPHを唯一の補因子として供給すると検出可能な活性を表示しない。 Kimら、Protein Science 9:1226−1234(2000);およびWildingら、J. Bacteriol. 182(18):5147−52(2000)によって記載されたもの(これらの内容は、それら全体が本明細書に援用されている)をはじめとする、当該技術分野において公知の補因子特異性を判定するための任意の方法を利用して、補因子としてNADHを選好するHMG−CoAレダクターゼを同定することができる。

    一部の実施形態では、例えば補因子結合ポケットの部位特異的突然変異誘発によって、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼをNAPDHよりNADHに対して選択的であるように(遺伝子)操作する。 NADH−選択性を(遺伝子)操作するための方法は、Watanabeら、Microbiology 153:3044−3054(2007)に記載されており、HMG−CoAレダクターゼの補因子特異性を判定するための方法は、Kimら、Protein Sci. 9:1226−1234(2000)に記載されており、前記参考文献の内容は、それら全体が参照により本明細書に援用されている。

    一部の実施形態において、前記NADH使用HMG−CoAレダクターゼは、メバロン酸分解経路を天然に含む宿主種、例えば、メバロネートをその唯一の炭素源として異化する宿主種に由来する。 これらの実施形態の中で、その天然宿主細胞内の内在化(R)−メバロネートの(S)−HMG−CoAへの酸化的アシル化を正常に触媒するNADH使用HMG−CoAレダクターゼを利用して、メバロン酸生合成経路を含む遺伝子改変された宿主細胞において逆反応、すなわち(S)−HMG−CoAの(R)−メバロネートへの還元的脱アシル化、を触媒する。 唯一の炭素源としてメバロネートを用いて成長する能力がある原核生物は、Andersonら、J. Bacteriol、171(12):6468−6472(1989);Beachら、J. Bacteriol. 171:2994−3001(1989);Benschら、J. Biol. Chem. 245:3755−3762;Fimongnariら、Biochemistry 4:2086−2090(1965);Siddiqiら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 8:110−113(1962);Siddiqiら、J. Bacteriol. 93:207−214(1967);およびTakatsujiら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 110:187−193(1983)により記載されており、前記参考文献の内容は、それら全体が参照により本明細書に援用されている。

    本明細書に記載する組成物および方法の一部の実施形態において、前記宿主は、NADH使用HMGrとNADPH−使用HMG−CoAレダクターゼの両方を含む。 NADPH使用HMG−CoAレダクターゼをコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(NM_206548;Drosophila melanogaster)、(NC_002758、Locus tag SAV2545、GeneID 1122570;Staphylococcus aureus)、(AB015627;Streptomyces sp. KO 3988)、(トランケート型HMG−CoAレダクターゼをコードしている配列を提供する、AX128213;Saccharomyces cerevisiae)、および(NC_001145:補体(115734.118898;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.4 メバロネートのメバロン酸−5−リン酸への変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、メバロネートをメバロン酸−5−リン酸に変換することができる酵素、例えばメバロン酸キナーゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(L77688;Arabidopsis thaliana)、および(X55875;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.5 メバロン酸−5−リン酸のメバロン酸−5−ピロリン酸への変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、メバロン酸5−リン酸をメバロン酸5−ピロリン酸に変換することができる酵素、例えばホスホメバロン酸キナーゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AF429385;Hevea brasiliensis)、(NM_006556;Homo sapiens)、および(NC_001145.補体712315.713670;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.6 メバロン酸−5−ピロリン酸のIPPへの変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、メバロン酸5−ピロリン酸をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換することができる酵素、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(X97557;Saccharomyces cerevisiae)、(AF290095;Enterococcus faecium)、および(U49260;Homo sapiens)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.7 IPPのDMAPPへの変換 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、前記MEV経路によって産生されたIPPをジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換することができる酵素、例えばIPPイソメラーゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列をさらに含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(NC_000913,3031087.3031635;Escherichia coli)、および(AF082326;Haematococcus pluvialis)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.8 ポリプレニルシンターゼ 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合させて、5個より多くの炭素を含有するポリプレニル化合物を形成することができるポリプレニルシンターゼをコードしている異種ヌクレオチド配列をさらに含む。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、1つのIPP分子と1つのDMAPP分子を縮合させてゲラニルピロリン酸(「GPP」)を形成することができる酵素、例えばGPPシンターゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AF513111;Abies grandis)、(AF513112;Abies grandis)、(AF513113;Abies grandis)、(AY534686;Antirrhinum majus)、(AY534687;Antirrhinum majus)、(Y17376;Arabidopsis thaliana)、(AE016877、遺伝子座AP11092;Bacillus cereus;ATCC 14579)、(AJ243739;Citrus sinensis)、(AY534745;Clarkia breweri)、(AY953508;Ips pini)、(DQ286930;Lycopersicon esculentum)、(AF182828;Mentha x piperita)、(AF182827;Mentha x piperita)、(MPI249453;Mentha x piperita)、(PZE431697、遺伝子座CAD24425;Paracoccus zeaxanthinifaciens)、(AY866498;Picrorhiza kurrooa)、(AY351862;Vitis vinifera)および(AF203881、遺伝子座AAF12843;Zymomonas mobilis)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、2つのIPP分子と1つのDMAPP分子を縮合させるか、またはIPP分子をGPP分子に付加させて、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)を形成することができる酵素、例えばFPPシンターゼ、をコードしている異種ヌクレオチド配列を含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(ATU80605;Arabidopsis thaliana)、(ATHFPS2R;Arabidopsis thaliana)、(AAU36376;Artemisia annua)、(AF461050;Bos taurus)、(D00694;Escherichia coli K−12)、(AE009951、遺伝子座AAL95523;Fusobacterium nucleatum subsp.nucleatum ATCC 25586)、(GFFPPSGEN;Gibberella fujikuroi)、(CP000009、遺伝子座AAW60034;Gluconobacter oxydans 621H)、(AF019892;Helianthus annuus)、(HUMFAPS;Homo sapiens)、(KLPFPSQCR;Kluyveromyces lactis)、(LAU15777;Lupinus albus)、(LAU20771;Lupinus albus)、(AF309508;Mus musculus)、(NCFPPSGEN;Neurospora crassa)、(PAFPS1;Parthenium argentatum)、(PAFPS2;Parthenium argentatum)、(RATFAPS;Rattus norvegicus)、(YSCFPP;Saccharomyces cerevisiae)、(D89104;Schizosaccharomyces pombe)、(CP000003、遺伝子座AAT87386;Streptococcus pyogenes)、(CP000017、遺伝子座AAZ51849;Streptococcus pyogenes)、(NC_008022、遺伝子座YP_598856;Streptococcus pyogenes MGAS10270)、(NC_008023、遺伝子座YP_600845;Streptococcus pyogenes MGAS2096)、(NC_008024、遺伝子座YP_602832;Streptococcus pyogenes MGAS10750)、(MZEFPS;Zea mays)、(AE000657、遺伝子座AAC06913;Aquifex aeolicus VF5)、(NM_202836;Arabidopsis thaliana)、(D84432、遺伝子座BAA12575;Bacillus subtilis)、(U12678、遺伝子座AAC28894;Bradyrhizobium japonicum USDA 110)、(BACFDPS;Geobacillus stearothermophilus)、(NC_002940、遺伝子座NP_873754;Haemophilus ducreyi 35000HP)、(L42023、遺伝子座AAC23087;Haemophilus influenzae Rd KW20)、(J05262;Homo sapiens)、(YP_395294;Lactobacillus sakei subsp. sakei 23K)、(NC_005823、遺伝子座YP_000273;Leptospira interrogans serovar Copenhageni str.Fiocruz L1−130)、(AB003187;Micrococcus luteus)、(NC_002946、遺伝子座YP_208768;Neisseria gonorrhoeae FA 1090)、(U00090、遺伝子座AAB91752;Rhizobium sp.NGR234)、(J05091;Saccharomyces cerevisae)、(CP000031、遺伝子座AAV93568;Silicibacter pomeroyi DSS−3)、(AE008481、遺伝子座AAK99890;Streptococcus pneumoniae R6)および(NC_004556、遺伝子座NP 779706;Xylella fastidiosa Temecula1)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、IPPとDMAPPまたはIPPとFPPを組み合わせてゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)を形成することができる酵素をコードしている異種ヌクレオチド配列をさらに含む。 かかる酵素をコードしているヌクレオチド配列の例証となる例としては、(ATHGERPYRS;Arabidopsis thaliana)、(BT005328;Arabidopsis thaliana)、(NM_119845;Arabidopsis thaliana)、(NZ_AAJM01000380、遺伝子座ZP_00743052;Bacillus thuringiensis serovar israelensis、ATCC 35646 sq1563)、(CRGGPPS;Catharanthus roseus)、(NZ_AABF02000074、遺伝子座ZP_00144509;Fusobacterium nucleatum subsp.vincentii、ATCC 49256)、(GFGGPPSGN;Gibberella fujikuroi)、(AY371321;Ginkgo biloba)、(AB055496;Hevea brasiliensis)、(AB017971;Homo sapiens)、(MCI276129;Mucor circinelloides f.lusitanicus)、(AB016044;Mus musculus)、(AABX01000298、遺伝子座NCU01427;Neurospora crassa)、(NCU20940;Neurospora crassa)、(NZ_AAKL01000008、遺伝子座ZP_00943566;Ralstonia solanacearum UW551)、(AB118238;Rattus norvegicus)、(SCU31632;Saccharomyces cerevisiae)、(AB016095;Synechococcus elongates)、(SAGGPS;Sinapis alba)、(SSOGDS;Sulfolobus acidocaldarius)、(NC_007759、遺伝子座YP_461832;Syntrophus aciditrophicus SB)、(NC_006840、遺伝子座YP_204095;Vibrio fischeri ES114)、(NM_112315;Arabidopsis thaliana)、(ERWCRTE;Pantoea agglomerans)、(D90087、遺伝子座BAA14124;Pantoea ananatis)、(X52291、遺伝子座CAA36538;Rhodobacter capsulatus)、(AF195122、遺伝子座AAF24294;Rhodobacter sphaeroides)および(NC_004350、遺伝子座NP_721015;Streptococcus mutans UA159)が挙げられるが、これらに限定されない。

    5.2.5.9 テルペンシンターゼ 一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ポリプレニルを、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、ポリテルペン、ステロイド化合物、カロテノイドまたは修飾イソプレノイド化合物を形成するように修飾することができる酵素をコードしている異種ヌクレオチド配列をさらに含む。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、カレンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AF461460、領域 43.1926;Picea abies)および(AF527416、領域:78.1871;Salvia stenophylla)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、ゲラニオールシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AJ457070;Cinnamomum tenuipilum)、(AY362553;Ocimum basilicum)、(DQ234300;Perilla frutescens strain 1864)、(DQ234299;Perilla citriodora strain 1861)、(DQ234298;Perilla citriodora strain 4935)および(DQ088667;Perilla citriodora)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、リナロールシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AF497485;Arabidopsis thaliana)、(AC002294、遺伝子座AAB71482;Arabidopsis thaliana)、(AY059757;Arabidopsis thaliana)、(NM_104793;Arabidopsis thaliana)、(AF154124;Artemisia annua)、(AF067603;Clarkia breweri)、(AF067602;Clarkia concinna)、(AF067601;Clarkia breweri)、(U58314;Clarkia breweri)、(AY840091;Lycopersicon esculentum)、(DQ263741;Lavandula angustifolia)、(AY083653;Mentha citrate)、(AY693647;Ocimum basilicum)、(XM_463918;Oryza sativa)、(AP004078、遺伝子座BAD07605;Oryza sativa)、(XM_463918、遺伝子座XP_463918;Oryza sativa)、(AY917193;Perilla citriodora)、(AF271259;Perilla frutescens)、(AY473623;Picea abies)、(DQ195274;Picea sitchensis)および(AF444798;Perilla frutescens var.crispa cultivar No.79)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、リモネンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(+)−リモネンシンターゼ(AF514287、領域:47.1867;Citrus limon)および(AY055214、領域:48.1889;Agastache rugosa)ならびに(−)−リモネンシンターゼ(DQ195275、領域:1.1905;Picea sitchensis)、(AF006193、領域:73.1986;Abies grandis)および(MHC4SLSP、領域:29.1828;Mentha spicata)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、ミルセンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(U87908;Abies grandis)、(AY195609;Antirrhinum majus)、(AY195608;Antirrhinum majus)、(NM_127982;Arabidopsis thaliana TPS10)、(NM_113485;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_113483;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(AF271259;Perilla frutescens)、(AY473626;Picea abies)、(AF369919;Picea abies)および(AJ304839;Quercus ilex)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、オシメンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(AY195607;Antirrhinum majus)、(AY195609;Antirrhinum majus)、(AY195608;Antirrhinum majus)、(AK221024;Arabidopsis thaliana)、(NM_113485;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_113483;Arabidopsis thaliana ATTPS−CIN)、(NM_117775;Arabidopsis thaliana ATTPS03)、(NM_001036574;Arabidopsis thaliana ATTPS03)、(NM_127982;Arabidopsis thaliana TPS10)、(AB110642;Citrus unshiu CitMTSL4)および(AY575970;Lotus corniculatus var.japonicus)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、α−ピネンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(+)α−ピネンシンターゼ(AF543530、領域:1.1887;Pinus taeda)、(−)α−ピネンシンターゼ(AF543527、領域:32.1921;Pinus taeda)および(+)/(−)α−ピネンシンターゼ(AGU87909、領域:6111892;Abies grandis)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、β−ピネンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(−)β−ピネンシンターゼ(AF276072、領域:1.1749;Artemisia annua)および(AF514288、領域:26.1834;Citrus limon)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、サビネンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Salvia officinalisからのAF051901、領域:26.1798が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、γ−テルピネンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(Citrus limonからのAF514286、領域:30.1832)および(Citrus unshiuからのAB110640、領域1.1803)が挙げられる。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、テルピノレンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(Oscimum basilicumからのAY693650)および(Pseudotsuga menziesiiからのAY906866、領域:10.1887)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、アモルファジエンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例は、米国特許出願公開第2004/0005678号の配列番号37である。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、α−ファルネセンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Pyrus communis cultivar d'AnjouからのDQ309034(セイヨウナシ;遺伝子名AFS1)およびMalus domesticaからのAY182241(リンゴ;遺伝子AFS1)が挙げられるが、これらに限定されない。 Pechouusら、
    Planta 219(1):84−94(2004)。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、β−ファルネセンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Mentha x piperitaからのアクセッション番号AF024615(ペパーミント;遺伝子Tspa11)、およびArtemisia annuaからのAY835398が挙げられるが、これらに限定されない。 Picaudら、Phytochemistry 66(9):961−967(2005)。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、ファルネソールシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Zea maysからのアクセッション番号AF529266、およびSaccharomyces cerevisiaeからのYDR481C(遺伝子Pho8)が挙げられるが、これらに限定されない。 Song,L. 、Applied Biochemistry and Biotechnology 128:149−158(2006)。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、ネロリドールシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Zea maysからのAF529266(トウモロコシ;遺伝子tps1)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、パチュロール(patchouliol)シンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Pogostemon cablinからのAY508730 領域:1.1659が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、ノートカトンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、Citrus sinensisからのAF441124 領域:1.1647およびPerilla frutescensからのAY917195 領域:1.1653が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記異種ヌクレオチドは、アビエタジエンシンターゼをコードしている。 適するヌクレオチド配列の例証となる例としては、(U50768;Abies grandis)および(AY473621;Picea abies)が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、C イソプレノイドを生産する。 これらの化合物は、1つのイソプレン単位に由来し、ヘミテルペンとも呼ばれる。 ヘミテルペンの例証となる例は、イソプレンである。 他の実施形態において、前記イソプレノイドは、C 10イソプレノイドである。 これらの化合物は、2つのイソプレン単位に由来し、モノテルペンとも呼ばれる。 モノテルペンの例証となる例は、リモネン、シトラネロール、ゲラニオール、メントール、ペリリルアルコール、リナロール、ツジョンおよびミルセンである。 他の実施形態において、前記イソプレノイドは、C 15イソプレノイドである。 これらの化合物は、3つのイソプレン単位に由来し、セスキテルペンとも呼ばれる。 セスキテルペンの例証となる例は、ペリプラノンB、ギンコライド(gingkolide)B、アモルファジエン、アルテミシニン、アルテミシン酸、バレンセン、ノートカトン、エピセドロール、エピアリストロケン、フェルネソール、ゴシポール、サノニン、ペリプラノン、フォルスコリン、およびパチュロール(パチュリアルコールとしても公知である)である。 他の実施形態において、前記イソプレノイドは、C 20イソプレノイドである。 これらの化合物は、4つのイソプレン単位に由来し、ジテルペンとも呼ばれる。 ジテルペンの例証となる例は、カスベン、エロイテロビン、パクリタキセル、プロスタチン、プソイドプテロシンおよびタキサジエンである。 さらに他の例では、前記イソプレノイドは、C 20+イソプレノイドである。 これらの化合物は、4つより多くのイソプレン単位に由来し、トリテルペン(6つのイソプレン単位に由来するC 30イソプレノイド化合物)、例えば、アルブルシドE(arbrusideE)、ブルセアンチン、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾン、ジギトキシンおよびスクアレン;テトラテルペン(8つのイソプレン単位に由来するC 40イソプレノイド化合物)、例えば、β−カロテン;ならびにポリテルペン(8つより多くのイソプレン単位に由来するC 40+イソプレノイド化合物)、例えば、ポリイソプレンを含む。 一部の実施形態において、前記イソプレノイドは、アビエタジエン、アモルファジエン、カレン、α−ファルネセン、β−ファルネセン、ファルネソール、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、イソプレン、リナロール、リモネン、ミルセン、ネロリドール、オシメン、パチュロール、β−ピネン、サビネン、γ−テルピネン、テルピノレンおよびバレンセンからなる群より選択される。 イソプレノイド化合物としては、カロテノイド(例えば、リコペン、α−およびβ−カロテン、α−およびβ−クリプトキサンチン、ビキシン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンならびにルテイン)、ステロイド化合物、ならびに他の化学基によって修飾されているイソプレノイドからなる化合物、例えば混合テルペン−アルカロイド、および補酵素Q−10も挙げられるが、これらに限定されない。

    5.3 遺伝子改変された細胞の作製方法 上に記載した改変の1つ以上、例えば、ADA、NADH使用HMG−CoAレダクターゼ、AACS、PK、PTAおよび他のメバロン酸経路酵素から選択される1つ以上の酵素をコードする1つ以上の異種核酸(nucleic heterologous nucleic acids)、を含むように遺伝子操作されている宿主細胞を生産するための方法も、本明細書に提供する。 宿主細胞における異種酵素の発現は、該酵素をコードしているヌクレオチド配列を含む核酸を該宿主細胞に、該宿主細胞における発現を可能にする調節要素の制御下で導入することによって果たすことができる。 一部の実施形態において、前記核酸は、染色体外プラスミドである。 他の実施形態において、前記核酸は、ヌクレオチド配列を宿主細胞の染色体に組み込むことができる染色体組み込みベクターである。

    これらのタンパク質をコードしている核酸を、宿主細胞に、当業者に公知の任意の方法によって無制限に導入することができる(例えば、Hinnenら(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1292−3;Creggら(1985)Mol.Cell.Biol.5:3376−3385;Goeddelら編、1990、Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press,Inc.、CA;Krieger、1990、Gene Transfer and Expression −− A Laboratory Manual、Stockton Press、NY;Sambrookら、1989、Molecular Cloning −− A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、NY;およびAusubelら編、現行版、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、NYを参照されたし)。 例示的技術としては、スフェロプラスト、エレクトロポレーション、PEG 1000媒介形質転換、および酢酸リチウムまたは塩化リチウム媒介形質転換が挙げられるが、これらに限定されない。

    宿主細胞における酵素のコピー数を、該酵素をコードしている遺伝子の転写を修飾することによって変えることができる。 これは、例えば、前記酵素をコードしているヌクレオチド配列のコピー数を(例えば、前記ヌクレオチド配列を含む、より高もしくはより低コピー数発現ベクターを使用することによって、または前記ヌクレオチド配列の追加のコピーを宿主細胞のゲノムに導入することによって、または宿主細胞のゲノムにおける前記ヌクレオチド配列を欠失もしくは破壊することによって)変更することによって;オペロンの多シストロン性mRNA上のコード配列の順序を変化させること、もしくはオペロンを破壊して、各々がその固有の制御要素を有する個々の遺伝子にすることによって;または前記ヌクレオチド配列が作動可能に連結されているプロモーターもしくはオペレーターの強度を増加させることによって、果たすことができる。 あるいは、または加えて、宿主細胞における酵素のコピー数を、該酵素をコードしているmRNAの翻訳レベルを修飾することによって、変えることができる。 これは、例えば、前記mRNAの安定性を修飾することによって;リボソーム結合部位の配列を修飾することによって;リボソーム結合部位と前記酵素コード配列の開始コドンの間の距離を変更もしくは配列を修飾することによって;前記酵素コード領域の開始コドンの5'側「の上流に」もしくは5'側に隣接して位置する全シストロン間領域を修飾することによって;ヘアピンおよび専用配列を使用して前記mRNA転写産物の3'末端を安定させることによって;酵素のコドン使用頻度を変更することによって;前記酵素の生合成に使用されるレアコドンtRNAの発現を変えることによって;ならびに/または前記酵素の安定性を例えばそのコード配列の突然変異などにより増加させることによって、果たすことができる。

    宿主細胞における酵素の活性を多数の方法で変性させることができ、それらの方法としては、前記宿主細胞において溶解度増加または減少を呈示する改変された形態の酵素を発現させる方法、前記酵素の活性を阻害するドメインがない変性された形態の酵素を発現させる方法、基質に対してのより高いもしくはより低いKcatまたはより低いもしくはより高いKmを有する修飾形態の酵素を発現させる方法、あるいは前記経路の別の分子によるフィードバックまたはフィードフォワード調節による影響をより大きくまたはより小さく受ける変性された形態の酵素を発現させる方法が挙げられるが、これらに限定されない。

    一部の実施形態において、宿主細胞を遺伝子改変するために使用する核酸は、形質転換された宿主細胞の選択に有用な、および外来DNAを維持するために前記宿主細胞に選択圧をかけるのに有用な、1つ以上の選択可能マーカーを含む。

    一部の実施形態において、前記選択可能マーカーは、抗生物質耐性マーカーである。 抗生物質耐性マーカーの例証となる例としては、BLA、NAT1、PAT、AUR1−C、PDR4、SMR1、CAT、マウスdhfr、HPH、DSDA、KAN およびSH BLE遺伝子産物が挙げられるが、これらに限定されない。 大腸菌からのBLA遺伝子産物は、a−ラクタム抗生物質(例えば、狭域セファロスポリン、セファマイシン、およびカルバペネム(エルタペネム)、セファマンドール、およびセフォペラゾン)に対する耐性およびテモシリンを除くすべての抗グラム陰性菌ペニシリンに対する耐性を付与し;S. nourseiからのNAT1遺伝子産物は、ノウルセオトリシン(nourseothricin)に対する耐性を付与し;S. viridochromogenes Tu94からのPAT遺伝子産物は、ビアロフォス(bialophos)に対する耐性を付与し、Saccharomyces cerevisiaeからのAUR1−C遺伝子産物は、オーレオバシジン(Auerobasidin)A(AbA)に対する耐性を付与し;PDR4遺伝子産物は、セルレニンに対する耐性を付与し;SMR1遺伝子産物は、スルホメツロンメチル(sulfometuron methyl)に対する耐性を付与し;Tn9トランスポゾンからのCAT遺伝子産物は、クロラムフェニコールに対する耐性を付与し;マウスdhfr遺伝子産物は、メトトレキサートに対する耐性を付与し、Klebsiella pneumoniaのHPH遺伝子産物は、ヒグロマイシンBに対する耐性を付与し;大腸菌のDSDA遺伝子産物は、唯一の窒素原としてD−セリンを伴うプレートでの細胞の成長を可能にし;Tn903トランスポゾンのKAN 遺伝子は、G418に対する耐性を付与し;およびStreptoalloteichus hindustanusからのSH BLE遺伝子産物は、ゼオシン(ブレオマイシン)に対する耐性を付与する。 一部の実施形態において、前記抗生物質耐性マーカーは、本明細書中に記載の遺伝子改変された宿主細胞が単離された後に欠失される。

    一部の実施形態において、前記選択可能マーカーは、遺伝子改変された微生物中の栄養要求性(例えば、栄養学的栄養要求性(nutritional auxotrophy))をレスキューする。 かかる実施形態において、親微生物は、アミノ酸またはヌクレオチド生合成経路において機能する1つ以上の遺伝子産物に関する機能破壊を含み、非機能的な場合には、該親細胞を、1つ以上の栄養素を補給せずに培地で成長することができないものにする。 このような遺伝子産物としては、例えば酵母におけるHIS3、LEU2、LYS1、LYS2、MET15、TRP1、ADE2およびURA3の遺伝子産物が挙げられるがこれらに限定されない。 その後、破壊された遺伝子産物の機能性コピーをコードするように発現ベクターまたは染色体組み込み構築物で前記親細胞を形質転換することによって前記栄養要求性表現型をレスキューすることができ、生じた遺伝子改変された微生物細胞をその親細胞の栄養要求性表現型の喪失に基づいて選択することができる。 URA3、TRP1およびLYS2遺伝子の選択可能マーカーとしての利用は、ポジティブセレクションとネガティブセレクションの両方が可能であるので、顕著な利点を有する。 ポジティブセレクションは、URA3、TRP1およびLYS2突然変異の栄養要求性の相補によって行われ、これに対してネガティブセレクションは、特異的阻害剤、すなわち、それぞれ5−フルオロオロチン酸(FOA)、5−フルオロアントラニル酸およびアミノアジピン酸(aAA)に基づき、これらは、それぞれ、原栄養株の成長を妨げるが、URA3、TRP1およびLYS2変異体の成長を可能にする。 他の実施形態において、選択可能マーカーは、公知の選択法によって同定され得る他の非致死的欠失または表現型をレスキューする。

    本開示の方法、組成物および生物において有用な特異的遺伝子およびタンパク質を本明細書に記載するが、かかる遺伝子の絶対的一致が必要ないことは理解されるであろう。 例えば、ポリペプチドまたは酵素をコードしている配列を含む特定の遺伝子またはポリヌクレオチドの変更を行うことができ、活性についてスクリーニングすることができる。 典型的に、かかる変更は、保存的突然変異およびサイレント突然変異を含む。 かかる改変されたまたは突然変異したポリヌクレオチドおよびポリペプチドを、当該技術分野において公知の方法を用いて機能性酵素の発現についてスクリーニングすることができる。

    遺伝子コードの固有の縮重に起因して、実質的に同じまたは機能的に等価のポリペプチドをコードしている他のポリヌクレオチドを使用して、かかる酵素をコードしているポリヌクレオチドをクローニングすることおよび発現させることもできる。

    当業者には理解されるであろうように、コード配列を、特定の宿主におけるその発現を増進するように改変することは、有利であり得る。 遺伝子コードは、可能性のある64のコドンが重複しているが、大部分の生物は、典型的にこれらのコドンのサブセットを使用する。 種の中で最も多く利用されるコドンは、最適コドンと呼ばれ、殆ど利用されないものは、レアまたは低使用頻度コドンとして分類される。 ときとして「コドン最適化」または「種のコドンバイアスの制御」と呼ばれるプロセスで、宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するようにコドンを置換することができる。

    特定の原核生物または真核生物宿主によって選好されるコドンを含有する最適化コドン配列(Murrayら、1989、Nucl Acids Res.17:477−508)を、例えば、翻訳速度を増加させるように、または非最適化配列から生産された転写産物と比較してより長い半減期などの望ましい特性を有する組換えRNA転写産物を生産するように、調製することができる。 宿主選好を反映するように翻訳終止コドンを改変することもできる。 例えば、S. cerevisiaeおよび哺乳動物の典型的な終止コドンは、それぞれ、UAAおよびUGAである。 単子葉植物の典型的な終止コドンは、UGAであり、その一方で昆虫および大腸菌は、一般にUAAを終止コドンとして使用する(Dalphinら、1996、Nucl Acids Res.24:216−8)。

    遺伝子コードの縮重性に起因して、ヌクレオチド配列が異なる様々なDNA分子を、本開示の所与の酵素をコードするために使用することができることは、当業者には分かるであろう。 上に記載した生合成酵素をコードしている天然DNA配列は、単に本開示の実施形態を例証するために本明細書中で言及するものであり、本開示は、本開示の方法において用いる酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードしている任意の配列のDNA分子を含む。 同様に、ポリペプチドは、典型的に、所望の活性の喪失または有意な喪失を伴うことなく、そのアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸置換、欠失および挿入を許容することができる。 本開示は、本明細書に記載する特定のタンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するそのようなポリペプチドを、該改変されたまたは変異体ポリペプチドが参照ポリペプチドの酵素的同化または異化活性を有する限り含む。 さらに、本明細書に示すDNA配列によってコードされているアミノ酸配列は、本開示の実施形態を例証するものに過ぎない。

    加えて、本明細書に提供する組成物および方法に有用な酵素の相同体は、本開示に包含される。 一部の実施形態において、2つのタンパク質(またはそれらのタンパク質の領域)は、それらのアミノ酸配列が、少なくとも約30%、40%、50% 60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するとき、実質的に相同である。 2つのアミノ酸配列の、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、最適比較を目的としてそれらの配列をアラインする(例えば、最適なアラインメントのために第一および第二のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、ならびに比較を目的として非相同配列を無視することができる)。 1つの実施形態において、比較を目的としてアラインする参照配列の長さは、その参照配列の長さの少なくとも30%、典型的には少なくとも40%、さらに典型的には少なくとも50%、さらにいっそう典型的には少なくとも60%、およびさらにいっそう典型的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。 その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。 第一の配列内の位置が、第二の配列内の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されているときには、それらの分子は、その位置で同一である(本明細書において用いる場合、アミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と同義である)。 2配列間の同一性パーセントは、それら2配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れて、それらの配列が共有する同一位置の数の関数である。

    タンパク質またはペプチドに言及する際に「相同の」を用いるとき、同一でない残基位置は、多くの場合、保存的アミノ酸置換が異なることは認知されている。 「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されているものである。 一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質に変化させることにならない。 2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換の点で互いに異なる場合、配列同一性パーセントまたは相同度を上方調整して、置換の保存的性質を修正することができる。 この調整を行う手段は、当業者には周知である(例えば、Pearson W.R.、1994、Methods in Mol Biol 25:365−89を参照されたし)。

    次の6群各々は、互いに保存的置換であるアミノ酸を有する:1)セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アラニン(A)、バリン(V)、および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。

    配列同一性パーセントとも呼ばれる、ポリペプチドについての配列相同性は、典型的に、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。 異なる生物からの多数の配列を含有するデータベースと分子配列を比較するために使用される典型的なアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLASTである。 多数の異なる生物からの配列を含有するデータベースを検索するとき、アミノ酸配列を比較することは一般的である。

    さらに、上述の酵素をコードしている任意の遺伝子(または本明細書中で言及する任意の他のもの(またはそれらの発現を制御もしくは修飾する任意の調節要素))を、当業者に公知である遺伝子/タンパク質(遺伝子)操作技術、例えば、指向性進化または合理的突然変異誘発によって最適化することができる。 かかる作業によって、当業者は、酵母における発現および活性について酵素を最適化することができる。

    加えて、これらの酵素をコードしている遺伝子を、他の真菌および細菌種から同定することができ、この経路の修飾のために発現させることができる。 Saccharomyces spp. (S.cerevisiaeおよびS.uvarumを含む)、Kluyveromyces spp. (K.thermotolerans、K.lactisおよびK.marxianusを含む)、Pichia spp. 、Hansenula spp. (H.polymorphaを含む)、Candida spp. 、Trichosporon spp. 、Yamadazyma spp. (Y.spp.stipitis,Torulaspora pretoriensis,Issatchenkia orientalisを含む)、Schizosaccharomyces spp(S.pombeを含む)、Cryptococcus spp. 、Aspergillus spp. 、Neurospora spp. 、またはUstilago spp. をはじめとする(しかしこれらに限定されない)様々な生物が、これらの酵素の源としての役割を果たすことができよう。 嫌気性真菌からの遺伝子源としては、Piromyces spp. 、Orpinomyces spp. またはNeocallimastix spp. が挙げられるが、これらに限定されない。 有用である原核生物酵素源としては、大腸菌、Zymomonas mobilis、Staphylococcus aureus、Bacillus spp. 、Clostridium spp. 、Corynebacterium spp. 、Pseudomonas spp. 、Lactococcus spp. 、Enterobacter spp. およびSalmonella spp. が挙げられるが、これらに限定されない。

    当業者に公知の技術は、さらなる相同遺伝子および相同酵素の同定に適し得る。 一般に、相似遺伝子および/または相似酵素を機能分析によって同定することができ、それらは、機能的類似性を有することになる。 当業者に公知の技術は、相似遺伝子および相似酵素の同定に適し得る。 例えば、相同または相似ADA遺伝子、タンパク質または酵素を同定するための技術としては、ADA遺伝子/酵素の公開配列に基づくプライマーを使用するPCRによるまたはADA遺伝子間の保存領域を増幅するように設計された縮重プライマーを使用する縮重PCRによる遺伝子のクローニングが挙げられるが、これらに限定されない。 さらに、当業者は、機能的相同性または類似性を有する相同もしくは相似遺伝子、タンパク質または酵素を同定するための技術を用いることができる。 技術には、細胞または細胞培養物を酵素の触媒活性について、該活性についてのin vitro酵素アッセイにより(例えば、本明細書に記載するまたはKiritani,K.、Branched−Chain Amino Acids Methods Enzymology、1970に記載されているように)検査すること;その後、前記活性を有する酵素を精製によって単離すること;前記酵素のタンパク質配列をエドマン分解などの技術によって決定すること;可能性の高い核酸配列に対するPCRプライマーの設計;PCRによる前記DNA配列の増幅;および前記核酸配列のクローニングが含まれる。 相同もしくは類似遺伝子および/または相同もしくは類似酵素、相似遺伝子および/または相似酵素もしくはタンパク質を同定するための技術には、候補遺伝子または酵素に関するデータとデータベース、例えば、BRENDA、KEGGまたはMetaCYCとの比較も含まれる。 候補遺伝子または酵素を上述のデータベース内でここでの技術に従って同定することができる。

    5.4 イソプレノイドを生産する方法 もう1つの態様では、イソプレノイドの生産方法であって、(a)本明細書に記載する遺伝子改変された宿主細胞のいずれかの集団を、炭素源を有する培地中、イソプレノイド化合物の作製に適する条件下で培養する工程;および(b)前記イソプレノイドを前記培地から回収する工程を含む方法を、本明細書に提供する。

    一部の実施形態において、前記遺伝子改変された宿主細胞は、ADAの異種発現、NADH使用HMG−CoAレダクターゼの異種発現、AACSの異種発現、ホスホケトラーゼの異種発現、ホスホトランスアセチラーゼの異種発現、およびメバロン酸経路の1つ以上の酵素の異種発現からなる群より選択される1つ以上の改変を含み;前記遺伝子改変された宿主細胞は、前記1つ以上の改変を含まない親細胞、または前記遺伝子改変された宿主細胞の1つ以上の改変のサブセットしか含まず、他の点では遺伝子的に同一である親細胞と比較して増加された量のイソプレノイド化合物を生産する。 一部の実施形態において、前記増加された量は、例えば、収率、生産、生産性に関して、細胞培養物1リットルあたりのグラム数で、乾燥細胞重量1グラムあたりのミリグラム数で、細胞培養物の単位体積あたりベースで、単位乾燥細胞重量あたりベースで、単位時間あたりの細胞培養物の単位体積あたりベースで、または単位時間あたりの単位乾燥細胞重量あたりベースで測定して、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%である、または100%より多い。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、発酵培地1リットルあたり約10グラムより多い、高レベルのイソプレノイドを生産する。 一部のかかる実施形態において、前記イソプレノイドは、細胞培養物1リットルあたり約10から約50グラムの、約15グラムよりより多い、約20グラムより多い、約25グラムより多い、または約30グラムより多い量で生産される。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、乾燥細胞重量1グラムあたり約50ミリグラムより多い、高レベルのイソプレノイドを生産する。 一部のかかる実施形態において、前記イソプレノイドは、乾燥細胞重量1グラムあたり約50から約1500ミリグラムの、約100ミリグラムより多い、約150ミリグラムより多い、約200ミリグラムより多い、約250ミリグラムより多い、約500ミリグラムより多い、約750ミリグラムより多い、または約1000ミリグラムより多い量で生産される。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、細胞培養物の単位体積あたりベースで、親細胞によって生産されるイソプレノイドのレベルより少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍もしくは少なくとも約1,000倍またはそれ以上高い、高レベルのイソプレノイドを生産する。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、単位乾燥細胞重量あたりベースで、親細胞によって生産されるイソプレノイドのレベルより少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍もしくは少なくとも約1,000倍またはそれ以上高い、高レベルのイソプレノイドを生産する。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、単位時間あたりの細胞培養物の単位体積あたりベースで、親細胞によって生産されるイソプレノイドのレベルより少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍もしくは少なくとも約1,000倍またはそれ以上高い、高レベルのイソプレノイドを生産する。

    一部の実施形態において、前記宿主細胞は、単位時間あたりの単位乾燥細胞重量あたりベースで、親細胞によって生産されるイソプレノイドのレベルより少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍もしくは少なくとも約1,000倍またはそれ以上高い、高レベルのイソプレノイドを生産する。

    殆どの実施形態において、前記宿主細胞による高レベルのイソプレノイドの生産は、誘導化合物によって誘導可能である。 かかる宿主細胞を誘導化合物不在下で容易に操作することができる。 その後、誘導化合物を添加して、前記宿主細胞による高レベルのイソプレノイドの生産を誘導する。 他の実施形態において、前記宿主細胞による高レベルのイソプレノイドの生産は、例えば成長温度、培地成分およびこれらに類するものなどの、培養条件を変更することによって誘導可能である。

    5.4.1 培養培地および条件 微生物培養物の維持および成長のための材料および方法は、微生物学または発酵科学技術分野の当業者には周知である(例えば、Baileyら、Biochemical Engineering Fundamentals、第二版、McGraw Hill、New York、1986を参照されたし)。 宿主細胞、発酵およびプロセスの特異的要件に依存して、好気性、微好気性または嫌気性条件のための適切な培養培地、pH、温度および要件を考慮しなければならない。

    本明細書に提供するイソプレノイドの生産方法は、細胞培養プレート、フラスコまたは発酵槽をはじめとする(しかしこれらに限定されない)適する容器において(例えば、パントテン酸塩を補足したまたはしていない)適する培養培地で行うことができる。 さらに、前記方法を当該技術分野において公知の任意の発酵規模で行って、微生物製品の工業生産を支援することができる。 撹拌タンク型発酵槽、エアーリフト型発酵槽、気泡発酵槽またはこれらの任意の組み合わせをはじめとする、任意の適する発酵槽を使用することができる。 Saccharomyces cerevisiaeを宿主細胞として利用する特定の実施形態では、KosaricらによってUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第六版、第12巻、398−473頁、Wiley−VCH Verlag GmbH & Co. KDaA、Weinheim、Germanyに詳細に記載されているような発酵槽で、株を成長させることができる。

    一部の実施形態において、前記培養培地は、イソプレノイドを生産する能力がある遺伝子改変された微生物が存続することができる、すなわち成長および生存を維持することができる、任意の培養培地である。 一部の実施形態において、前記培養培地は、同化性炭素、窒素およびホスフェート源を含む水性培地である。 かかる培地は、適切な塩、無機質、金属および他の栄養素も含み得る。 一部の実施形態では、前記炭素源および各々の必須細胞栄養素を発酵培地に漸増的にまたは継続的に添加し、例えば、炭素源をバイオマスに変換する細胞の代謝または呼吸機能に基づく所定の細胞成長曲線に従って、成長細胞による十分な同化に必要な本質的に最低のレベルで各必要栄養素を維持する。

    微生物の培養に適する条件および適する培地は、当該技術分野において周知である。 一部の実施形態では、その適する培地に1つ以上の追加の薬剤、例えば、誘導物質(例えば、遺伝子産物をコードしている1つ以上のヌクレオチド配列が、誘導性プロモーターの制御下にあるとき)、抑制剤(例えば、遺伝子産物をコードしている1つ以上のヌクレオチド配列が、抑制性プロモーターの制御下にあるとき)、または選択剤(例えば、前記遺伝子改変を含む微生物について選択するための抗生物質)などを補足する。

    一部の実施形態において、前記炭素源は、単糖類(単純糖)、二糖類、多糖類、非発酵性炭素源、またはこれらの1つ以上の組み合わせである。 適する単糖類の非限定的な例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース、およびこれらの組み合わせが挙げられる。 適する二糖類の非限定的な例としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、およびこれらの組み合わせが挙げられる。 適する多糖類の非限定的な例としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。 適する非発酵性炭素源の非限定的な例としては、アセテートおよびグリセロールが挙げられる。

    培養培地中の炭素源、例えばグルコース、の濃度は、細胞成長を促進すべきであるが、使用する微生物の成長を抑制するほど高くあってはならない。 典型的には、(約0.1g/L未満である検出限界を用いて)検出不能なレベルでだが所望の成長およびバイオマスレベルを達成するようなレベルで、炭素源、例えばグルコースを添加して、培養を実行する。 他の実施形態において、前記培養培地中の炭素源、例えばグルコース、の濃度は、約1g/Lより高く、好ましくは約2g/Lより高く、およびさらに好ましくは約5g/Lより高い。 加えて、前記培養培地中の炭素源、例えばグルコース、の濃度は、典型的には、約100g/L未満、好ましくは約50g/L未満、およびさらに好ましくは20g/L未満である。 培養成分の濃度への言及は、初期成分濃度および/または進行中の成分濃度、両方を指すことに留意しなければならない。 場合によっては、培養中に培養培地の炭素源を枯渇させることが望ましいことがある。

    適する培養培地で使用することができる同化性窒素原としては、単純窒素原、有機窒素原および複合窒素原が挙げられるが、これらに限定されない。 かる窒素原としては、無水アンモニア、アンモニウム塩、ならびに動物、植物および/または微生物起源の物質が挙げられる。 適する窒素原としては、タンパク質加水分解産物、微生物バイオマス加水分解産物、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、尿素、およびアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。 典型的には、前記培養培地中の窒素原の濃度は、約0.1g/Lより高く、好ましくは約0.25g/Lより高く、およびさらに好ましくは約1.0g/Lより高い。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地への窒素原の添加は、微生物の成長に有利ではない。 結果として、前記培養培地中の窒素原の濃度は、約20g/L未満、好ましくは約10g/L未満、およびさらに好ましくは約5g/L未満である。 さらに、場合によっては、培養中に培養培地の窒素原を枯渇させることが望ましいことがある。

    有効な培養培地は、他の化合物、例えば無機塩、ビタミン、微量金属または成長促進剤を含有し得る。 かかる他の化合物は、有効な培地中の炭素、窒素または無機質源中にも存在することもあり、または前記培地に特別に添加されることもある。

    前記培養培地は、適するホスフェート源も含有し得る。 かかるホスフェート源は、無機ホスフェート源と有機ホスフェート源の両方を含む。 好ましいホスフェート源としては、リン酸塩、例えば、一または二塩基性リン酸ナトリウムおよびカリウム、リン酸アンモニウム、およびこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。 典型的には、前記培養培地中のホスフェートの濃度は、約1.0g/Lより高く、好ましくは約2.0g/Lより高く、およびさらに好ましくは約5.0g/Lより高い。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地へのホスフェートの添加は、微生物の成長に有利ではない。 したがって、前記培養培地中のホスフェートの濃度は、典型的には約20g/L未満、好ましくは約15g/L未満、およびさらに好ましくは約10g/L未満である。

    適する培養培地はまた、マグネシウム源を、好ましくは、生理的に許容され得る塩、例えば、硫酸マグネシウム・七水和物の形態で含み得るが、同様のマグネシウム量に寄与する濃度で他のマグネシウム源を使用してもよい。 典型的には、前記培養培地中のマグネシウムの濃度は、約0.5g/Lより高く、好ましくは約1.0g/Lより高く、およびさらに好ましくは約2.0g/Lより高い。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地へのマグネシウムの添加は、微生物の成長に有利ではない。 したがって、前記培養培地中のマグネシウムの濃度は、典型的には約10g/L未満、好ましくは約5g/L未満、およびさらに好ましくは約3g/L未満である。 さらに、場合によっては、培養中に培養培地のマグネシウム源を枯渇させることが望ましいことがある。

    一部の実施形態において、前記培養培地はまた、生物学的に許容され得るキレート剤、例えばクエン酸三ナトリウムの二水和物を含み得る。 そのような場合、前記培養培地中のキレート剤の濃度は、約0.2g/Lより高く、好ましくは約0.5g/Lより高く、およびさらに好ましくは約1g/Lより高い。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地へのキレート剤の添加は、微生物の成長に有利ではない。 したがって、前記培養培地中のキレート剤の濃度は、典型的には約10g/L未満、好ましくは約5g/L未満、およびさらに好ましくは約2g/L未満である。

    前記培養培地はまた、該培養培地の所望のpHを維持するために生物学的に許容され得る酸または塩基を最初に含み得る。 生物学的に許容され得る酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、およびこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。 生物学的に許容され得る塩基としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。 一部の実施形態において、使用される塩基は、水酸化アンモニウムである。

    前記培養培地はまた、塩化カルシウムをはじめとする(しかしこれに限定されない)、生物学的に許容され得るカルシウム源を含み得る。 典型的に、前記培養培地中のカルシウム源、例えば、塩化カルシウム・二水和物、の濃度は、約5mg/Lから約2000mg/Lの範囲内、好ましくは約20mg/Lから約1000mg/Lの範囲内、およびさらに好ましくは約50mg/Lから約500mg/Lの範囲内である。

    前記培養培地はまた、塩化ナトリウムを含み得る。 典型的に、前記培養培地中の塩化ナトリウムの濃度は、約0.1g/Lから約5g/Lの範囲内、好ましくは約1g/Lから約4g/Lの範囲内、およびさらに好ましくは約2g/Lから約4g/Lの範囲内である。

    一部の実施形態において、前記培養培地はまた、微量金属を含み得る。 かかる微量金属を前記培養培地に保存溶液として添加することができ、その保存溶液を、便宜上、前記培養培地の残部から別途調製することができる。 典型的に、前記培養培地に添加されるかかる微量金属溶液の量は、約1mL/Lより多く、好ましくは約5mL/Lより多く、およびさらに好ましくは約10mL/Lより多い。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地への微量金属の添加は、微生物の成長に有利ではない。 したがって、前記培養培地に添加される微量金属溶液の量は、典型的には、約100mL/L未満、好ましくは約50mL/L未満、およびさらに好ましくは約30mL/L未満である。 微量金属を保存溶液で添加することに加えて、個々の成分を、上記の微量金属溶液範囲によって指示される成分の量に各々独立して対応する範囲内で、別々に添加してもよいことに留意されたい。

    前記培養培地は、他のビタミン、例えば、パントテン酸塩、ビオチン、カルシウム、パントテン酸塩、イノシトール、ピリドキシン−HCl、およびチアミン−HClを含み得る。 かかるビタミンを前記培養培地に保存溶液としてとして添加することができ、その保存溶液を、便宜上、前記培養培地の残部から別途調製することができる。 しかし、一定の濃度を超えての、前記培養培地へのビタミンの添加は、微生物の成長に有利ではない。

    本明細書に記載する発酵方法を、バッチ、フェッドバッチ、細胞再循環、連続および半連続モードを含む(しかしこれらに限定されない)、従来の培養モードで行うことができる。 一部の実施形態では、フェッドバッチモードで発酵を行う。 そのような場合、発酵生産工程中にパントテン酸塩を含めて、前記培地の成分の一部が培養中に枯渇される。 一部の実施形態では、最初に、例えば生産工程の最初に、前記培養物に比較的高濃度のかかる成分を補足することができ、その結果、追加が必要とされる前、一定の期間にわたって成長および/またはイソプレノイド生産を支援する。 培養によってレベルが枯渇されるにつれて添加を行うことにより、その培養を通してこれらの成分の好ましい範囲を維持する。 例えば、前記培養培地を定期的にサンプリングし、濃度についてアッセイすることによって、前記培養培地中の成分のレベルをモニターすることができる。 あるいは、基準培養手順を開発したら、その培養を通して特定の時点での既知レベルに応じて設定した時間間隔で添加を行うことができる。 当業者には認知されているであろうように、栄養素の消費速度は、培養中に培地の細胞密度が増加するにつれて増加する。 さらに、外来微生物の培養培地への導入を回避するために、当該技術分野において公知であるような無菌添加方法を用いて添加を行う。 加えて、少量の消泡剤を培養中に添加してもよい。

    前記培養培地の温度は、前記遺伝子改変された細胞の成長、および/またはイソプレノイドの生産に適する任意の温度であり得る。 例えば、前記培養培地に接種物を接種する前に、その培養培地を約20℃から約45℃の範囲の温度、好ましくは約25℃から約40℃の範囲の温度、およびさらに好ましくは約28℃から約32℃の範囲の温度にし、その温度で維持することができる。

    前記培養培地のpHを、その培養培地への酸または塩基の添加によって制御することができる。 そのような場合、pHを制御するためにアンモニアを使用すると、それがその培養培地の窒素原としても適便に役立つ。 好ましくは、前記pHを約3.0から約8.0、さらに好ましくは約3.5から約7.0、および最も好ましくは約4.0から約6.5に維持する。

    一部の実施形態では、前記培養培地の炭素源濃度、例えばグルコース濃度を、培養中にモニターする。 前記培養培地のグルコース濃度は、上清中のグルコース濃度、例えばその培養培地の無細胞成分、をモニターするために用いることができる公知の技術、例えば、グルコースオキシダーゼ酵素試験または高圧液体クロマトグラフィーの使用などを用いてモニターすることができる。 前に述べたように、炭素源濃度を、細胞成長阻害が起こるレベル未満に保持すべきである。 かかる濃度は生物によって様々であり得るが、炭素源としてのグルコースについては、細胞成長阻害が約60g/Lより高いグルコース濃度で起こり、それを試験によって容易に判定することができる。 したがって、グルコースを炭素源として使用するとき、好ましくは、グルコースを発酵槽に供給し、検出限界未満で維持する。 あるいは、前記培養培地中のグルコース濃度を約1g/Lから約100g/Lの範囲、さらに好ましくは約2g/Lから約50g/Lの範囲、およびさらにいっそう好ましくは約5g/Lから約20g/Lの範囲で維持する。 前記炭素源濃度を、例えば実質的に純粋なグルコース溶液の添加によって所望のレベル内で維持してもよいが、元の培養培地のアリコートの添加によって前記培養培地の炭素源濃度を維持することは、許容可能であり、そのほうが好ましいこともある。 元の培養培地のアリコートの使用は、その培地中の他の栄養素(例えば、窒素およびホスフェート源)の濃度を同時に維持することができるので、望ましいことがある。 同様に、前記培養培地中の微量金属濃度を、微量金属溶液のアリコートの添加によって維持することができる。

    5.4.2 イソプレノイドの回収 イソプレノイドが前記宿主細胞によって生産されたら、当該技術分野において公知の任意の適する分離および精製方法を用いて、後の使用のためにそれを回収または単離することができる。 一部の実施形態では、イソプレノイドを含む有機相を遠心分離によって発酵から分離する。 他の実施形態では、イソプレノイドを含む有機相が発酵から自然に分離する。 他の実施形態では、イソプレノイドを含む有機相を、発酵反応に解乳化剤および/または成核剤を添加することによって発酵から分離する。 解乳化剤の例証となる例としては、凝集剤および凝固剤が挙げられる。 成核剤の例証となる例としては、イソプレノイド自体の液滴、ならびに有機溶媒、例えばドデカン、ミリスチン酸イソプロピルおよびオレイン酸メチルが挙げられる。

    これらの細胞において生産されるイソプレノイドは、培養上清中に存在することもあり、および/またはそれらの宿主細胞に付随することもある。 イソプレノイドが宿主細胞に付随している実施形態において、そのイソプレノイドの回収は、前記細胞を透過性にするまたは溶解する方法を含み得る。 あるいは、または同時に、前記培養培地中のイソプレノイドを、クロマトグラフィー、抽出、溶媒抽出、膜分離、電気透析、逆浸透圧、蒸留、化学的誘導体化および結晶化をはじめとする(しかしこれらに限定されない)回収プロセスを用いて、回収することができる。

    一部の実施形態では、イソプレノイドをその有機相中に存在し得る他の産物から分離する。 一部の実施形態では、吸着、蒸留、気液抽出(ストリッピング)、液液抽出(溶媒抽出)、限外濾過および標準的なクロマトグラフ技術を用いて分離を果たす。

    6. 実施例 6.1 実施例1:
    NADH特異的HMG−CoAレダクターゼの同定および特徴づけ この実施例は、NADH補因子特異性を有することが以前には公知でないHMG−CoAレダクターゼの同定および特徴づけを記載するものである。

    6.1.1 材料および方法 6.1.1.1 株の(遺伝子)操作 野生型Saccharomyces cerevisiae株(CEN.PK2、Mat a、ura3 、TRP1 、leu2 、MAL2−8C、SUC2)を、(アセチル−CoAチオラーゼ(ERG10)がアセチル−CoAをアセトアセチル−CoAに変換し;HMG−CoAシンターゼ(ERG13)がアセトアセチル−CoAをHMG−CoAに変換し;そしてHMG−CoAレダクターゼがHMG−CoAをメバロネートに変換する(図1))メバロン酸(MevT)経路の発現のための宿主として使用した。

    この株を、Staphylococcus aureus(ZP_06815052)、Herpetosiphon aurantiacus(YP_001546303)、Pseudomonas mevalonii(P13702)、Delftia acidovorans(YP_001561318)、Menthanosaeta thermofila(YP_843364)もしくはSilicibacter pomeoyri(YP_164994)に由来する異種クラスII HMG−CoAレダクターゼ;または前記Saccharomyces cerevisiae HMG−CoAレダクターゼのN末端トランケートバージョン(tHMG−CoAレダクターゼ)(EEU05004)のいずれかをコードしているプラスミドで形質転換した。 前記クラスII HMG−CoAレダクターゼを酵母発現のためにコドン最適化し、c末端FLAG−HISタグを用いて化学合成したが、例外としてP. mevalonii HMG−CoAレダクターゼは、次の追加の改変を伴うように合成した:

    NotI部位−GAL1プロモーター−NdeI部位−[P. mevalonii HMG−CoAレダクターゼ]−−−EcoRI部位−FLAGタグ−HISタグ−終止コドン−PGK1ターミネーター−−−NotI部位

    このDNAをpBluescript SK+ベクター(Stratagene)のNotI部位にクローニングした。 野生型CENPK2株のゲノムDNA抽出物をテンプレートとして使用し、オリゴヌクレオチドYT_164_30_Gal7F(これは、5'末端にSacIおよびNotI制限部位を含有する)およびYT_164_30_Gal7R(これは、3'末端にNdeI制限部位を含有する)を使用して、酵母Gal7プロモーターをPCR増幅した(表2参照)。 そのPCR産物をpCR II−TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。 SacIおよびNotIを使用して両方のプラスミドを切断し、切除されたSc. GAL7プロモーターを使用して、P. mevalonii HMG−CoAレダクターゼ遺伝子の上流のGal1プロモーターを交換した。 得られたプラスミドおよびpAM70(配列番号23)、URA3マーカーを有する酵母エピソームベクターpRS426、を両方ともNotIで消化した。 その後、そのNotI断片をpAM70のNotI消化部位にライゲートすることによってプラスミドpAM01147(配列番号24)を構築した。 このプラスミドをベースプラスミドとして使用して、そのプラスミドをNdeIおよびEcoRIで消化すること、そして5'および3'末端にそれぞれNdeIおよびEcoRI部位を有する対象となる消化されたHMG−CoAレダクターゼコード配列をライゲートすることにより、P. mevalonii HMG−CoAレダクターゼコード配列を、対象となる任意のHMG−CoAレダクターゼ(酵母tHMG−CoAレダクターゼを含む)コード配列と交換した。 プラスミドDNAの増殖を大腸菌株DH5αで行った。 その後、異なるHMG−CoAレダクターゼについてのコード配列を内部に持つプラスミドで株Y1389を形質転換し、2%グルコースを含有するウラシル不含のCSM培地プレートを用いて形質転換体を選択した。 S. cerevisiaeへのすべてのDNA媒介形質転換を、Gietz RWおよびWoods RA、Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology、Part B、San Diego、CA:Academic Press Inc. 、87−96頁(2002)により記載されているような標準的酢酸リチウム法を用いて行った。

    Sc. アセトアセチル−CoAチオラーゼ(ERG10)およびSc. HMG−CoAシンターゼ(ERG13)のゲノム組み込みを、下に示す組み込み構築物(配列番号25)を使用して宿主株のGal80遺伝子座に標的化した。

    100ngのY002ゲノムDNAをテンプレートとして使用して、前記組み込み構築物の各成分をPCR増幅した。 位置−1000から−1の上流GAL80遺伝子座のPCR増幅を、オリゴヌクレオチドYT_164_36_001およびYT_164_36_003で行った(表2参照)。 酵母ERG10およびERG13遺伝子のPCR増幅を、ERG13についてはオリゴヌクレオチドYT_164_36_002とYT_164_36_005のペアを、ERG10についてはYT_164_36_006とYT_164_36_009のペアを使用して行った。 オリゴヌクレオチドYT_164_36_004およびYT_164_36_007を使用してGAL1/10プロモーターを増幅し、その一方でプライマーYT_164_36_008およびYT_164_36_011を使用してLEU2遺伝子を増幅した。 下流GAL80遺伝子座位置23から1000(終止コドンの後)のPCR増幅は、オリゴヌクレオチドYT_164_36_010およびYT_164_36_012で行った。 100fmolの各DNA片を単一チューブに添加し、プライマーYT_164_36_001およびYT_164_36_012を使用してステッチングPCR反応(stitching PCR reaction)(米国特許第8,221,982号明細書に記載されているとおり;その内容は参照により本明細書に援用されている)によって組み立てた。 予想した分子量を有するPCR産物をゲル精製した。

    異なるHMG−CoAレダクターゼ(上で示したとおり)で形質転換されたY1389の誘導体を、ERG10/ERG13組み込み構築物で形質転換して、下の表3に収載する株を作成した。 ウラシルおよびロイシン不含の2%グルコース培地プレートを含有するCSMで形質転換体を選択した。 すべての遺伝子破壊および置換を表現型分析およびコロニーPCRによって確認した。

    株Y1431、Y1433、Y1435およびY1487について、下に示す分解構築物(配列番号44)を使用してADH1遺伝子をノックアウトした:

    前記破壊構築物を、米国特許第8,221,982号明細書に記載されているポリヌクレオチド組み立て方法によって産生した。 前記組み込み構築物のADH1 5'相同領域は、ADH1コード配列の位置−563から−77に相同であり、前記ADH1 3'相同領域は、位置87から538(ADH1遺伝子の終止コドンの後)に相同であった。 プライマーRYSE 0およびRYSE 19を使用して、その産物を増幅した。 株Y1431、Y1433、Y1435およびY1487(表2)をその産物で形質転換し、2%グルコースとG418(ジェネテシン)とを含有するYPD培地プレートを用いて形質転換体を選択した。 ADH1遺伝子破壊を表現型分析およびコロニーPCRによって確認した。

    6.1.1.2 細胞培養 所与の酵母株のシングルコロニーを2%スクロースを有する3mLの酵母窒素塩基(YNB)培地中でスターター一夜培養物(overnight starter culture)として培養した。 翌日、250mL使い捨てPETG滅菌フラスコ(Nalgene)内の40mL YNB−4%スクロース生産培養培地で前記スターター培養物から希釈した0.05の初期OD 600を有する生産フラスコを用意した。 前記フラスコを、下に示す継続時間にわたって250RPMで振盪することによって30℃でインキュベートした。

    6.1.1.3 無細胞抽出物を使用するHMG−CoAレダクターゼ活性アッセイ 酵母細胞を48時間HMG−CoAレダクターゼ活性アッセイ(図8)のために、または72時間、メバロネートアッセイ(表4)のために成長させ、Falconチューブ用の固有のカートリッジを有するスインギング・バケット・ローターJS−5.3において15mL Falconチューブ中で10分間、4000×gで遠心分離することによって回収した。 その細胞ペレットを1mLで再懸濁させ、冷溶解バッファー(Mini、EDTA不含プロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche)を添加した100mM Tris pH7.0、1mM DTTおよび1mM EDTA)を使用して1回洗浄した。 その後、Oリングキャップを有する2mLプラスチック製スクリューキャップマイクロチューブ(Fisher Brand 520−GRD)に細胞を移し、分解ビース(Disruption beads、0.5Mm、Fisher)およびビーズビーターを使用して1分間、6M/Sで細胞を溶解した。 直ちにそれらのチューブを氷水浴内に、少なくとも5分間、置いた。 チューブを最低8000×gで20分間、回転させた。 その後、上清を新たな低温チューブに移した。 タンパク質についての古典的ブラッドフォードアッセイ(Bradford MM、「A rapid and sensitive method for quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein−dye binding」、Anal.Biochem 72、248−254(1976))を用いて、タンパク質濃度を測定した。

    HMG−CoAレダクターゼアッセイのために、反応バッファー(100mMリン酸バッファーpH7.0、100mM KCl、1mM DTTおよび1mM EDTA)を最初に96ウェルプレートにおいて30℃でプレインキュベートした。 最終濃度150μMのNADHまたはNADPHのいずれか、最終濃度400μM HMG−CoA、および5mM最終濃度のDTTを各ウェルにおける190μLの総容積に添加した。 線形活性範囲に希釈した10マイクロリットルの無細胞抽出物を添加することによってアッセイを開始させた。 Molecular Devices Spectramax M5プレートリーダーを使用して340nmでNADPHまたはNADHの吸光度の減少を測定することによって、反応をモニターした。 340nmでの吸光度の線の傾きとともにタンパク質濃度を用いて、各無細胞抽出物についてのHMGrの比活性を計算した。

    6.1.1.4 有機酸およびアルコール測定 有機酸およびアルコールアッセイのための試料を、1mLの発酵ブロスを使い、それらの試料を1.5mLエッペンドルフチューブに移すことによって調製した。 卓上エッペンドルフ遠心機を使用して1分間、13,000RPMで試料を回転させた。 その後、その上清を15mM硫酸で希釈した(1:1 v/v)。 その混合物をボルテックスにかけ、1分間、13,000RPMで遠心分離した。 その清澄化された上清をHPLC分析用のバイアルに移した。

    HPLC Thermofisherを使用して、およびColumn Waters IC−Pak 7.8mm x 300mm、7μm、50Å(Waters)を使用するイオン排除クロマトグラフィーによって、および屈折率(RI)検出(Thermofisher)を用いて、グリセロールおよびメバロネート含有量についてのHPLC分析を行った。 15mM硫酸水系移動相を0.6mL/分の流量で使用して均一濃度で溶離を行った。

    6.1.2 結果 6.1.2.1 クラスII HMG−CoAレダクターゼについての補因子特異性の判定 図8に示すように、D. acidovoransおよびS. pomeroyiからのHMG−CoAレダクターゼは、NADHに対する高い特異性および高い比活性をin vitroで呈示する。 これらのHMG−CoAレダクターゼは、NADPHの存在下では比活性を事実上表示しないが、NADHの存在下では比活性がほぼ400nmol/mg/分であった。 同様に、P. mevaloniiからのHMG−CoAレダクターゼは、以前に発表された報告と一致して、補因子としてのNADHに対して選択性を明示した。 例えば、Hedlら、J. Bacteriol 186(7):1927−1932 (2004)を参照されたし。 対照的に、S. cerevisiae、S. aureusおよびH. aurantiacusからのHMG−CoAレダクターゼは、NADHの存在下で測定可能な活性を示さず、M. thermofilaからのHMG−CoAレダクターゼは、NADPHとNADH両方の存在下でかろうじて検出可能な活性を示した。 これらの結果は、D. acidovoransおよびS. pomeroyiからのHMG−CoAレダクターゼが、P. mevaloniiからのHMG−CoAレダクターゼと同様の、NADH感受性HMG−CoAレダクターゼであることを示す。

    加えて、表4は、(P.mevalonii、D.acidovoransおよびS.pomeroyi、それぞれからの)NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含むMevT経路を含む株が、(S.cerevisiae、S.aureusおよびH.aurantiacus、それぞれからの)NADPH使用HMG−CoAレダクターゼを含むMevT経路を含む株より実質的に少ないメバロネートを生産することを示す。 これは、in vivoで、さらなるNADH源が、NADH使用HMG−CoAレダクターゼの全触媒能をメバロネートおよび下流イソプレノイド生産に利用するために必要とされることを示唆する。

    6.1.2.2 増加された細胞内NADHはNADH使用HMG−CoAレダクターゼ活性を向上させる 図9〜11に示すように、メバロネート生産は、NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含むMevT経路を含む細胞において、細胞内NADH濃度を増加させる代謝攪乱を導入すると、実質的に向上される。 ADH1は、NADH依存様式でアセトアルデヒドをエタノールに還元する。 adh1Δバックグラウンドでは、宿主細胞は、成長低下(図9)およびグリセロール生産増加(図10)を被り、これは、細胞内NADHの蓄積に起因する可能性が高い酸化還元不均衡を示す。 しかし、NADPH使用HMG−CoAレダクターゼ(S.cerevisiae(Sc.)tHMG−CoAレダクターゼ)を含むMevT経路を含む細胞は、adh1Δバックグラウンドで低減されたメバロネート生産を表示するが、(P,mevalonii、D.acidovoransおよびS.pomeroyi、それぞれからの)NADH使用HMG−CoAレダクターゼを含むMevT経路を含む細胞は、同様に酸化還元ストレスの徴候を示すことにもかかわらず、メバロネート生産の実質的向上を表示する(図11)。 これらのデータは、NADH使用HMG−CoAレダクターゼが、増加された細胞内NADHプールを利用してメバロネート生産を後押しすることができることを示唆する。 これらの結果はまた、増加された細胞内NADH源の不在下では、NADH使用HMG−CoAレダクターゼが限定された補因子であることを示唆する。

    注目に値することとして、発表された以前の報告は、P. mevaloniiのHMG−CoAレダクターゼがメバロネートの分解に利用されることを示している。 Andersonら、J. Bacteriol. (171(12):6468−6472(1989)を参照されたし。P.mevaloniiは、その唯一の炭素源としてメバロネートを用いて存続する能力があると確認されている数少ない原核生物のうちの1つである。しかし、ここに提示する結果は、メバロネートの生合成経路での使用へのP.mevalonii HMG−CoAレダクターゼの予想外の利用を明示する。

    6.2 実施例2:アセチル−CoAおよび代替MEV経路酵素への代替ルートでの向上したイソプレノイド生産および酸化の還元均衡 この実施例は、サイトゾルアセチル−CoA生産への代替ルート、例えば、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセチル化(ADA、E.C.1.2.1.10)の異種発現による経路を、野生型PDH−バイパスの代わりに、および代替MEV経路酵素との様々な組み合わせで利用することによって、MEV経路からのメバロネートおよび下流イソプレノイド生産を向上させることができることを実証するものである。 これらの結果は、NADPH生産PDH−バイパス酵素をNADH生産ADAで置換することによって導入される酸化還元不均衡を、1つには、ADA発現をMEV経路のNADH使用HMG−CoAレダクターゼと、ならびに/またはホスホケトラーゼおよびホスホトランスアセチラーゼの異種発現と併用することによって緩和することができることを示し、サイトゾルアセチル−CoA生産へのさらなる代替ルートも提供することができる。 これらの結果は、MEV経路にアセチル−CoA基質を供給するためのADAの触媒能力が、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼによってもたらされるものなどの、アセチル−CoAのアセトアセチル−CoAへの熱力学的に好適な下流の変換をもたらすことによって実質的に向上されることをさらに明示する。

    6.2.1 材料および方法 6.2.1.1 株の(遺伝子)操作 表5に収載する株を構築して、(1)ADAをNADH使用HMG−CoAレダクターゼとペアにしたときの、NADPH使用HMG−CoAレダクターゼとペアにしたときに対しての、細胞成長および異種イソプレノイド生産に対する効果;(2)ADAの発現によって生ずる酸化還元不均衡に対するホスホケトラーゼおよびホスホトランスアセチラーゼ発現の効果;および(3)ADAを発現する株におけるメバロネートレベルに対するアセトアセチル−CoAシンターゼ発現の効果を判定した。

    6.2.1.1.1 Y968
    Y968は、野生型Saccharomyces cerevisiae CEN. PK2,Matalphaである。 Y12869、Y12746、およびそれらのすべての誘導体についての出発株は、Saccharomyces cerevisiae strain(CEN.PK2,Mat alpha,ura3−52,trp1−289,leu2−3,122,his3^1),Y003であった。 S. cerevisiaeへのすべてのDNA媒介形質転換を、Gietz RWおよびWoods RA、Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology、Part B、San Diego、CA:Academic Press Inc. 、87−96頁(2002)によって記載されているような標準的酢酸リチウム法を用いて行い、すべての場合、それらの構築物の組み込みをゲノムDNAのPCR増幅によって確認した。

    6.2.1.1.2 Y12869
    Y12869をY003への3回の逐次的組み込みによって産生した。 先ず、遺伝子ACS2を、天然S. cerevisiae LEU2遺伝子からなる組み込み構築物(i2235;配列番号45)を導入することによって欠失させ、その結果、この構築物にACS2遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列からなる配列が隣接した。 S. cerevisiae宿主細胞の導入により、この構築物は、相同組換えによってそのゲノムのACS2遺伝子座と一体化し、それによってACS2コード配列をその組み込み配列で置換することによりACS2を機能的に破壊することができる。 唯一の炭素源として2%EtOHを含有するCSM−leuプレートに形質転換体をプレーティングし、PCR増幅によって確認した。 得られた株は、Y4940であった。

    次に、ALD6を欠失させ、下に図示する組み込み構築物(i74804;配列番号46)を用いてDickeya zeae eutEをY4940に導入した。

    この組み込み構築物は、選択可能マーカー(TRP1)と、TDH3プロモーター(天然S.cerevisiae TDH3コード領域の上流840塩基対)およびTEF2ターミネーター(天然S.cerevisiae TEF2コード領域の下流508塩基対)の制御下のDickeya zeaeからの遺伝子eutEをコードしている酵母−コドン最適化配列(NCBIリファレンス配列:YP_003003316.1)1つにつき2つのコピーとを含む。 これらの成分にALD6遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列が隣接している。 宿主細胞への導入により、この構築物は、相同組換えによってその宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってALD6コード配列をその組み込み配列で置換することによりALD6を機能的に破壊する。 米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。 この構築物をY4940に形質転換し、2%グルコースを有するCSM−TRPプレートで形質転換体を選択し、PCR増幅によって確認した。 得られた株は、12602であった。

    次に、ACS1の上流および下流ヌクレオチド配列からなる組み込み構築物(i76220;配列番号47)を導入することにより、Y12602におけるACS1を、その固有のプロモーターおよびターミネーターのもとにある天然S. cerevisiae HIS3遺伝子に隣接して欠失させた。 唯一の炭素源として2%グルコースを含有するCSM−hisプレートに形質転換体をプレーティングし、PCR増幅によって確認した。 得られた株は、Y12747であった。

    次に、Y12747を、天然URA3配列から増幅したPCR産物で形質転換した。 この配列は、ura3−52突然変異を回復させる。 RoseおよびWinston、Mol Gen Genet 193:557−560(1984)を参照されたし。 唯一の炭素源として2%グルコースを含有するCSM−uraプレートに形質転換体をプレーティングし、PCR増幅によって確認した。 得られた株は、Y12869であった。

    6.2.1.1.3 Y12746
    Y12746を、Y4940への3回の逐次的組み込みよって産生させた。 先ず、Y4940を、下に図示する組み込み構築物(i73830;配列番号48)で形質転換した。

    この組み込み構築物は、選択可能マーカー(URA3)と;TDH3プロモーター(TDH3コード配列の上流870bp)およびTDH3ターミネーター(TDH3コード配列の下流259bp)のもとにあるLeuconostoc mesenteroidesからのホスホケトラーゼの酵母コドン最適化バージョン(NCBIリファレンス配列YP_819405.1と;TDH3プロモーター(TDH3コード配列の上流870bp)およびPGK1ターミネーター(PGK1コード配列の下流259bp)の制御下のClostridium kluyveriホスホトランスアセチラーゼの酵母コドン最適化バージョン(NCBIリファレンス配列YP_001394780.1)とを含み;これらにS.cerevisiae BUD9遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列からなる相同配列が隣接している。宿主細胞への導入により、この構築物は、相同組換えによって宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってBUD9コード配列をその組み込み配列で置換することによりBUD9を機能的に破壊する。米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。2%グルコースを有するCSM−URAプレートで形質転換体を選択した。

    得られた株を、下に示す構築物(i74810;配列番号49)で形質転換した。

    この構築物は、選択可能マーカー(TRP1)と;TDH3プロモーター(TDH3コード配列の上流870bp)およびTDH3ターミネーター(TDH3コード配列の下流259bp)のもとにあるLeuconostoc mesenteroidesからのホスホケトラーゼの2つのコピーとを含み;これらにALD6遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列からなる相同配列が隣接している。 宿主細胞への導入により、この構築物は、相同組換えによって宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってALD6コード配列をその組み込み配列で置換することによりALD6を機能的に破壊する。 米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。 2%グルコースを有するCSM−URAプレートで形質転換体を選択し、PCR増幅によって確認した。

    最後に、得られた株を、下に示す構築物(i76221;配列番号50)で形質転換した。

    この構築物は、選択可能マーカー(HIS3)と;TDH3プロモーター(天然S.cerevisiae TDH3コード領域の上流840塩基対)およびTEF2ターミネーター(天然S.cerevisiae TEF2コード領域の下流508塩基対)の制御下のDickeya zeaeからの遺伝子eutEをコードしている酵母−コドン最適化配列(NCBIリファレンス配列:YP_003003316.1)1つにつき2つのコピーとを含む。 これらの成分にACS1遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列が隣接している。 宿主細胞への導入により、この構築物は、相同組換えによってその宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってACS1コード配列をその組み込み配列で置換することによりACS1を機能的に破壊する。 米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。 2%グルコースを有するCSM−HISプレートで形質転換体を選択し、PCR増幅によって確認した。 得られた株は、Y12746であった。

    6.2.1.1.4 ms63907、ms63908、ms63909およびms64472組み込み構築物 ms63907組み込み構築物(i84022;配列番号51)を下に示す。

    この構築物は、選択可能マーカー(URA3)と;その固有のプロモーターのもとにある天然酵母GAL4転写因子のコピーと;メバロン酸経路の2つの天然酵母酵素(アセトアセチル−CoAチオラーゼをコードしているERG10、およびHMG−CoAシンターゼをコードするERG13)、ならびにSilicibacter pomeroyi HMG−CoAレダクターゼの酵母コドン最適化バージョンの2つのコピー[すべて、ガラクトース誘導性プロモーター(S.cerevisiae遺伝子GAL1およびGAL10のプロモーター)のもとにある]とをコードしているヌクレオチド配列を含み、これらに、S. cerevisiae HOエンドヌクレアーゼ遺伝子座の上流および下流ヌクレオチド配列からなる相同配列が隣接している。 宿主細胞への導入により、このms63907構築物は、相同組込みによってその宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってHOコード配列をその組み込み配列で置換することによりHOを機能的に破壊する。 米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。 2%グルコースを有するCSM−URAプレートで形質転換体を選択し、PCR増幅によって確認した。

    ms63908組み込み構築物(i84024;配列番号52)は、次の2つのことを除き、ms63907と同一である:第一に、ERG10が、AHP1ターミネーター(S.cerevisiaeにおけるAHP1コード配列の下流125bp)に融合しているアセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼ(アクセッション番号:AB540131.1)をコードしているStreptomyces sp. CL190のnphT7遺伝子の酵母コドン最適化バージョンによって置換されている;第二に、S. pomeroyi HMG−CoAレダクターゼをコードしている配列が、tHMGr、すなわち天然S. cerevisiae HMG−CoAレダクターゼをコードしているトランケート型HMG1コード配列、によって置換されている。

    ms63909組み込み構築物(i84026;配列番号53)は、次の1つのことを除き、ms63907と同一である:S. pomeroyi HMG−CoAレダクターゼをコードしている配列が、tHMGr、すなわち天然S. cerevisiae HMG−CoAレダクターゼをコードしているトランケート型HMG1コード配列、によって置換されている。

    ms64472組み込み構築物(i85207;配列番号54)を下に示す。

    この構築物は、選択可能マーカー(URA3)と;エルゴステロール経路の5つの天然酵母酵素(メバロン酸キナーゼをコードしているERG12、ホスホメバロン酸キナーゼをコードしているERG8、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼをコードしているERG19、ジメチルアリル二リン酸イソメラーゼをコードしているIDI1、およびファルネシルピロリン酸シンセターゼをコードしているERG20)、およびArtemisia annuaファルネセンシンターゼの進化した酵母コドン最適化バージョン(すべて、ガラクトース誘導性プロモーター(S.cerevisiae遺伝子GAL1、GAL10およびGAL7のプロモーター)のもとにある)とをコードしているヌクレオチド配列を含む。 これらの配列に、GAL80の上流および下流ヌクレオチド配列からなる相同配列が隣接している。 宿主細胞への導入により、このms64472構築物は、相同組込みによってその宿主細胞ゲノムと一体化し、それによってGAL80コード配列をその組み込み配列で置換することによりGAL80を機能的に破壊する。 米国特許第8,221,982号明細書に記載されている方法を用いてこの構築物を組み立てた。 2%グルコースを有するCSM−URAプレートで形質転換体を選択し、PCR増幅によって確認した。

    6.2.1.2 メバロネートの定量 96ウェルプレートのウェル内の、50mM コハク酸塩 pH5.0および20g/L スクロースを有するシード培地(15g/L 硫酸アンモニウム、8g/L リン酸カリウム、6.1g/L 硫酸マグネシウム、150mg/L EDTA、57.5mg/L 硫酸亜鉛、4.8mg/L 塩化コバルト、3.24mg/L 塩化マンガン、5mg/L 硫酸銅、29.4mg/L 塩化カルシウム、27.8mg/L 硫酸鉄、4.8mg/L モリブデン酸ナトリウム、0.6mg/L ビオチン、12mg/L パントテン酸カルシウム、12mg/L ニコチン酸、30mg/L イノシトール、12mg/L 塩酸チアミン、12mg/L 塩酸ピリドキシン、0.24mg/L パラ−アミノ安息香酸)にシングルコロニーを接種し、30℃で3日間、成長させた。 その後、14.4uLの培養物を、50mM コハク酸塩 pH5.0および40g/L ガラクトースを有するシード培地に移して二次培養し、30℃で2日間、成長させた。

    選択されたメバロネートを定量するために、先ず、全細胞ブロスを14,000RPMで5分間、回転させた。 その後、10uLの清澄化されたブロスを190uLのアッセイバッファー(1mM CoA、2mM NAD、0.2mg/mLの精製かつ凍結乾燥されたPseudomonas mevalonii HMG−CoAレダクターゼ、0.1mg/mLの精製かつ凍結乾燥されたPseudomonas mevalonii HMG−CoAリアーゼ、95mM TrisCl pH8.5、20mM MgCl2、および5mM DTT)とともにインキュベートした。 試料を30分間、30℃でインキュベートし、その後、Beckman M5プレートリーダーで340nM吸光度についてアッセイした。 精製されたメバロネートを用いて作成した標準曲線にプロットすることにより、メバロネート濃度を定量した。

    6.2.1.3 ファルネセンの定量 先ず、培養物を上で説明したように成長させた。 ファルネセンを定量するために、600uLの2−ブトキシエタノールを、各200uLの3回の添加で150uLの全細胞ブロスに添加し、各添加間に96ウェルプレートシェーカーを用いて1000rpmで90秒間、振盪した。 その後、それらの試料を40分間インキュベートした。 8uLの2−ブトキシエタノール抽出物を96ウェルUVプレート(Costar 3635)において200uLのイソプロピルアルコールと混合し、その後、プレートリーダーで吸光度222について読取った。

    6.2.1.4 光学密度の定量 96ウェルアッセイプレートにおいて、8uLの培養物を希釈液(20%PEG 200、20%エタノール、2%Triton X−114)と混合し、室温で30分間インキュベートした。 そのアッセイプレートをボルテックスにかけた後、Beckman M5プレートリーダーでOD 600を測定した。

    6.2.1.5 バッチ発酵 Y967、Y12869およびY12746の接種培養物を、50mM コハク酸塩 pH5.0および20g/L スクロースを有する5mLのシード培地においてシングルコロニーから成長させた。 3日の成長の後、それらの予備培養物を、50mM コハク酸塩pH5.0および40g/L スクロースを有する25mLのシード培地に移して二次培養して0.1の初期光学密度(OD)にした。 10時間後、それらの培養物を、再び、50mM コハク酸塩pH5.0および40g/L スクロースを有する50mLのシード培地に移して二次培養して0.05のODにした。 培養物を30℃で成長させた。 ODがおおよそ3になったら、3つのフラスコを半分に分割し、回転沈降させ、培地を廃棄した。 それらの培養物を、40g/L グルコース(コハク酸塩不含)を有する1.5Lシード培地に再懸濁させ、発酵槽に移した。 2L Biostat B plus容器(Sartorius、ドイツ)において発酵実験を行った。 撹拌を1200rpmに制御し、発酵槽を0.5L/分の空気で継続的にスパージした。 14.4M NH OHを用いてpHを5.0で維持し、温度を30℃で維持した。 おおよそ1.5時間ごとに試料を抜き取って、OD、乾燥細胞重量、ならびに有機酸および糖を測定した。

    6.2.2 結果 6.2.2.1 ADA株は、NADPH使用HMGrとペアにしたときに対してNADH使用HMGrとペアにしたときのほうが多くのイソプレノイドを生産する 図12Aは、PDH−バイパスの欠失(acs1Δ acs2Δ ald6Δ)を含み、ADA(Dz.eutE)を異種発現する、株Y12869が、NADPH使用HMGrを含むMEV経路(構築物ms63909)よりNADH使用HMGrを含むMEV経路(構築物ms63907)を発現するときのほうが多くのファルネセンを生産することを示す。 対照的に、図12Bは、インタクトPDH−バイパスを含む株Y968が、NADPH使用HMGrとペアにしたときにより多くのファルネセンを生産することを示す。 これらの結果は、MEV経路からのイソプレノイド生産のためのADAの利用が、MEV経路がNADH使用HMGrを含むときに向上されることを明示する。

    6.2.2.2 ADAの発現は酸化還元不均衡を引き起こし、この不均衡は、PKおよびPTAが解糖に伴うフラックスを共有するときに緩和される 天然酵母は、解糖によって消費されるグルコース1つにつき2つのNADHを生産する。 エタノールに発酵されると、2つのNADHは、NAD+に再び酸化される。 しかし、グルコースの小部分はエタノールに発酵されずにバイオマスに変換され、その結果、過剰なNADHが生ずる。 この過剰なNADHは、ジヒドロキシアセトンリン酸のグリセロール3リン酸への還元によってNAD+に再酸化され、グリセロール3リン酸は、グリセロールに加水分解される。 アシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを天然PDH−バイパスの代わりに使用する株は、NADPHではなくNADHを生産し、その結果、さらなる過剰量のNADHが生ずる。 バイオマスに変換される各グルコースに対して、ADAを天然PDH−バイパスの代わりに使用する株は、まさに2倍のNADHを生産し、これは、過剰なNADHを再酸化させるために2倍のグリセロールを生産しなければならないことを意味する。 図13Aに示すように、Y12869(ADAを野生型PDH−バイパスの代わりに使用する株)は、Y968(インタクトPDH−バイパスを含む)の2倍のグリセロールを生産する一方で、バッチグルコース発酵において匹敵するレベルのグルコースを消費する。 これらの結果は、ADA反応の化学量論によって予測されるようにY12869が酸化還元不均衡であることを明示する。

    ホスホケトラーゼおよびホスホトランスアセチラーゼのADA株への添加は、解糖によって生産されるNADHを低減させ、酸化還元均衡を向上させる、グルコースからのAcCoA産生の代替の非解糖ルートを提供する。 図13Bに示すように、Y12745(ADAに加えてホスホケトラーゼおよびホスホトランスアセチラーゼを保有する株)は、Y12869の半分のグリセロールを生産する一方で、バッチグルコース発酵において匹敵するレベルのグルコースを消費する。

    6.2.2.3 ADA株内でのATP保存により熱力学的駆動力が犠牲になり、その犠牲が、下流でアセチル−CoAを強く引っ張ることによって緩和される アセチル−CoAを形成するための天然PDH−バイパス反応は、この反応がATPのAMPへの加水分解に結びつけられるので、熱力学的に好適である。 対照的に、アシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ反応は、ATPに結びつけられず、アセチル−CoAを形成するための天然PDH−バイパス反応よりはるかに平衡に近い。 それ故、メバロネートを生産するために天然S. cerevisiae経路遺伝子を使用すると、ADAおよびAld6のin vitroでの匹敵する動態特性にもかかわらず、ADAを用いる株のほうが野生型PDH−バイパスを使用する株よりはるかに少ないメバロネートを生産する。 図14(第1および第2カラム)に示すように、ADA株(Y12869.ms63909)におけるメバロネート生産は、in vitroで測定される十分な動態能力にもかかわらず、等価の野生型株(Y968.ms63909)のものの約30%に過ぎない。 この結果は、ADAによるアセトアルデヒドのアセチル−CoAの変換の背後にある熱力学的駆動力の不足を表す。

    Erg10アセチル−CoAチオラーゼは、2つのアセチル−CoAからのアセトアセチル−CoAの形成を触媒し、この反応は熱力学的に好適でない。 nphT7によってコードされているアセトアセチル−CoAシンターゼ(すなわち、アセチル−CoA:マロニル−CoAアシルトランスフェラーゼ)は、アセチル−CoAおよびマロニル−CoAからのアセトアセチル−CoAの形成を触媒し、この反応は、マロニル−CoAの脱カルボキシル化のため熱力学的に好適である。 この熱力学的に好適な反応をAcCoA生産の下流に直接投ずることで、ADAの順方向活性を増加させる熱力学的駆動力が得られる。 図14(第3および第4カラム)に示すように、nphT7をERG10の代わりに過発現させると、Y968. ms63908およびY12869. ms63908は、匹敵するレベルのメバロネートを作る。 さらに、それらは、MEV経路の第一段階にERG10を使用する等価の株(Y968.ms63909およびY12869.63909)よりさらに実質的に多くのメバロネートを生産する。

    本明細書に引用した特許および特許出願は、個々の公報および特許出願各々が参照により援用されていると具体的にかつ個々に示されているかのごとく参考として本明細書に援用されている。 理解の明確さのために上記発明を実例および実施例として多少詳細に説明したが、本発明の教示にかんがみて、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく本発明に一定の変更および修飾を施すことができることは、当業者には容易に分かるであろう。

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