Alkane oxidation by a modified hydroxylase

申请号 JP2009549270 申请日 2008-02-08 公开(公告)号 JP2010517579A 公开(公告)日 2010-05-27
申请人 ザ カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー; 发明人 ファサン,ルーディ;
摘要 本発明は修飾ヒドロキシラーゼに関連する。 本発明はさらに、該修飾ヒドロキシラーゼを発現する細胞、および適当な基質を該細胞に 接触 させることでヒドロキシル化アルカンを生成する方法に関連する。
【選択図】 なし
权利要求
  • 3-炭素アルカンに対する相対活性が2-炭素アルカンまたは4-炭素アルカンに対する相対活性よりも高いプロパンヒドロキシラーゼ活性を持つ、単離または組換えシトクロムP450ポリペプチド。
  • プロパンを基質として用いる場合に触媒効率が少なくとも1 x 10 4 M -1 sec -1である、請求項1記載のポリペプチド。
  • ポリペプチドが巨大菌シトクロムP450または巨大菌シトクロムP450の変異型である、請求項1または2記載のポリペプチド。
  • ヨードメタンデハロゲナーゼ活性を持つ、単離または組換えシトクロムP450ポリペプチド。
  • ポリペプチドが巨大菌シトクロムP450または巨大菌シトクロムP450の変異型である、請求項4記載のポリペプチド。
  • 残基47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366および443を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号1に定めた残基1〜約455のアミノ酸配列を含む、単離または組換えポリペプチドであって、
    (a)47、82、142、205、236、252、および255位のアミノ酸残基が、グリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、およびシステイン(C)から成る群から選択され、
    (b)52、94、175、184、188、290、353、366および443位のアミノ酸残基が、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、およびメチオニン(M)から成る群から選択され、
    (c)226位のアミノ酸残基が、リシン(K)およびアルギニン(R)から成る群から選択され、
    (d)78および328位のアミノ酸残基が、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、およびヒスチジン(H)から成る群から選択され、
    (e)74位のアミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、およびグルタミン酸(E)から成る群から選択され、
    プロパンからプロパノールへの変換を触媒する、上記ポリペプチド。
  • 最高50の同類アミノ酸置換が最高25の同類アミノ酸置換を含む、請求項6記載のポリペプチド。
  • 最高50の同類アミノ酸置換が最高10の同類アミノ酸置換を含む、請求項6記載のポリペプチド。
  • 最高50の同類アミノ酸置換が最高5の同類アミノ酸置換を含む、請求項6記載のポリペプチド。
  • ポリペプチドが以下より成る群から選択される、請求項6記載のポリペプチド:
    (a)配列番号125に定める配列を含むポリペプチド、および(b)配列番号125に定める配列から成るポリペプチド。
  • 以下より成る群から選択される、単離または組換えポリペプチドであって:
    (a)配列番号125に定めたアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%のポリペプチドであって、プロパンからプロパノールへの変換を触媒する、上記ポリペプチド、ならびに(b)最高75の同類アミノ酸置換を持つ配列番号125のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、配列番号125の47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366、443、464、698、および710位のアミノ酸残基は置換されておらず、プロパンからプロパノールへの変換を触媒する、上記ポリペプチド。
  • 以下より成る群から選択される、単離または組換えポリペプチドであって:
    (a)残基47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366および443を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号1に定めたアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (b)残基48、53、75、79、83、95、143、176、185、189、206、227、238、254、257、292、330、355、368および445を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号2または配列番号3に定めたアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (c)残基50、55、77、81、85、97、145、178、187、191、208、229、240、256、259、294、332、358、371および448を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号4に定めたアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (d)残基54、59、81、85、89、101、149、182、191、195、212、232、243、259、262、297、336、361、374および452を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号5に定めたアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (e)残基51、56、78、82、86、98、146、179、188、192、208、231、242、258、262、296、337、353、376および455を除いて最高50の同類アミノ酸置換を持つ、配列番号6に定めたアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    ここで:
    (i)配列番号1の47、82、142、205、236、252、および255位、配列番号2または配列番号3の位置48、83、143、206、238、254、および257位、配列番号4の50、85、145、208、240、256、および259位、配列番号5の54、89、149、212、243、259、および262位、ならびに配列番号6の51、86、146、208、242、258、および262位のアミノ酸残基が、グリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、およびシステイン(C)から成る群から選択され、
    (ii)配列番号1の52、94、175、184、188、290、353、366および443位、配列番号2または配列番号3の53、95、176、185、189、292、355、368および445位、配列番号4の55、97、178、187、191、294、358、371および448位、配列番号5の59、101、182、191、195、297、361、374および452位、ならびに配列番号6の56、98、179、188、192、296、353、376および455位のアミノ酸残基が、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、およびメチオニン(M)から成る群から選択され、
    (iii)配列番号1の226位、配列番号2または配列番号3の227位、配列番号4の229位、配列番号5の232位、および配列番号6の231位にアミノ酸残基が、リジン(K)およびアルギニン(R)から成る群から選択され、
    (iv)配列番号1の78および328位、配列番号2または配列番号3の79および330位、配列番号4の81および332位、配列番号5の85および336位、ならびに配列番号6の82および337位にアミノ酸残基が、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、およびヒスチジン(H)から成る群から選択され、
    (v)配列番号1の74位、配列番号2または配列番号3の75位、配列番号4の77位、配列番号5の81位、および配列番号6の78位のアミノ酸残基が、アラニン(A)、セリン(S)、およびグルタミン酸(E)から成る群から選択され、
    プロパンからプロパノールへの変換を触媒する、上記ポリペプチド。
  • 請求項1、4、6、11または12のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする単離された核酸。
  • 請求項13記載の核酸を含むベクター。
  • 発現ベクターである、請求項14記載のベクター。
  • 請求項13記載の単離された核酸をトランスフェクトされた宿主細胞。
  • 請求項14記載のベクターをトランスフェクトされた宿主細胞。
  • 細胞が原核細胞または真核細胞である、請求項17記載の宿主細胞。
  • 真核細胞が酵母細胞、昆虫細胞、または動物細胞である、請求項18記載の宿主細胞。
  • 原核細胞が細菌細胞である、請求項18記載の宿主細胞。
  • 宿主細胞が核酸を発現し、アルカンからアルコールへの酵素触媒ができるよう十分な時間アルカンの存在下で宿主細胞を培養することを特徴とする、請求項17記載の宿主細胞をアルカンと接触させることを含む、アルカンをアルコールに変換する方法。
  • 請求項1、6、11または12のいずれか1項記載のポリペプチドを準備すること、およびアルカンからアルコールへの酵素触媒ができるよう十分な時間ポリペプチドをアルカンと接触させることを含む、アルカンをアルコールに変換する方法。
  • 宿主細胞が核酸を発現し、ハロゲンの酵素的除去ができるよう化合物の存在下で十分な時間宿主細胞を培養することを特徴とする、請求項17記載の宿主細胞とハロゲンを含む化合物を接触させることから成る、ハロゲンを化合物から除去する方法。
  • 請求項4のポリペプチドを提供し、ハロゲンの酵素的除去ができるよう十分な時間ポリペプチドを化合物と接触させることを含む、ハロゲンを化合物から除去する方法。
  • 说明书全文

    本発明は、修飾ヒドロキシラーゼに関連する。 本発明はさらに、該修飾ヒドロキシラーゼを発現する細胞、ならびに適当な基質を該修飾ヒドロキシラーゼおよび/または該細胞と接触させることで酸化アルカンを生成する方法に関連する。 また、独自の位置選択性を有する修飾ヒドロキシラーゼも含まれる。

    直鎖アルカンの水酸化は、化学合成の貴重な中間体を提供するという重要な実用的意義がある。 しかしながら、炭化水素の選択的オキシ官能化は、現代化学にとってなおも大きな難問の一つとなっている。 水酸化の多くの化学的方法は、厳しい条件の温度または圧を必要とし、反応は過酸化しやすいため、幅広い生成物が生成されるがその多くは望ましいものではない。

    酵素は、化学触媒に対する魅力的な代替策である。 特に、モノオキシゲナーゼには、不活性CH結合の特異的水酸化を触媒する能力がある。 これらの補助因子依存性酸化酵素には、複雑な電子移動機構を通して還元等価物を触媒中心に輸送するための複数のドメインおよび機能がある。 典型的なモノオキシゲナーゼには、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ(「P450」)がある。 P450は、二原子酸素からの一つの酸素原子をさまざまな疎水性基質に挿入する、幅広く分布したヘム含有酵素群であり、多くの場合は高い領域選択性と立体選択性を有する。 高い特異性および選択性をもってこれらの反応を触媒する能力により、P450は酸化化学を含む化学合成やその他の用途にとって魅力的な触媒となっている。

    脂肪酸芳香族化合物、アルカン、アルケン、および天然生成物を含む幅広い化合物を選択的に水酸化するこれらの酵素の能力にもかかわらず、この大規模なタンパク質スーパーファミリーのうちアルカンを水酸化できるのは数種のみである。 したがって、生体内でアルカンを効率的に水酸化する能力を持つ修飾ヒドロキシラーゼに対するニーズが存在する。 さらに、回収可能量のアルカン由来アルコールを生成しつつ、該修飾ヒドロキシラーゼを発現することのできる細胞に対するニーズも存在する。

    本明細書では、アルカンをアルコールに変換するポリペプチドを提供する。 該ポリペプチドをコードする核酸分子、該ポリペプチドを発現する細胞、および適当なアルカン基質からアルコールを合成する方法も提供する。 したがって、さまざまな実施例において、配列番号1、2、3、4、5または6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドには、(a)配列番号1の残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、および353、(b)配列番号2または配列番号3の残基48、79、83、95、143、176、185、206、227、238、254、257、292、330、および355、(c)配列番号4の残基49、80、84、96、144、177、186、207、228、239、255、258、293、331、および357、(d)配列番号5の残基54、85、89、101、149、182、191、212、232、243、259、262、297、336、および361、ならびに(e)配列番号6の残基51、82、86、98、146、179、188、208、231、242、258、262、296、337、および363を除いて最高50、25、10、または5個のアミノ酸の同類置換が含まれる。 アミノ酸配列には、以下の残基を含む:
    (1)以下の位置にZ1アミノ酸残基:(a)配列番号1の47、82、142、205、236、252、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の48、83、143、206、238、254、および257、(c)配列番号4の49、84、144、207、239、255、および258位、(d)配列番号5の54、89、149、212、243、259、および262位ならびに(e)配列番号6の51、86、146、208、242、258、および262位、
    (2)以下の位置にZ2アミノ酸残基:(a)配列番号1の94、175、184、290、および353位、(b)配列番号2または配列番号3の95、176、185、292、および355位、(c)配列番号4の96、177、186、293、および357位、(d)配列番号5の101、182、191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の98、179、188、296、および363位、
    (3)以下の位置にZ3アミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、および(e)配列番号6の231位、ならびに (4)以下の位置にZ4アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、および(e)配列番号6の82および337位。

    一般に、Z1アミノ酸残基には、グリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、またはシステイン(C)が含まれる。 Z2アミノ酸残基には、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、またはメチオニン(M)が含まれる。 Z3アミノ酸残基には、リシン(K)、またはアルギニン(R)が含まれる。 Z4アミノ酸残基には、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、またはヒスチジン(H)が含まれる。

    その他の実施形態において、ポリペプチドはさらに(a)配列番号1の285位、(b)配列番号2または3の287位、(c)配列番号4の288位、(d)配列番号5の292位、および(e)配列番号6の291位の位置にZ3アミノ酸残基を含む。 Z3アミノ酸残基には、リシン(K)、アルギニン(R)、またはヒスチジン(H)が含まれる。 幾つかの態様において、この位置のアミノ酸残基はアルギニン(R)である。

    また別の実施形態において、ポリペプチドは前記の一つまたは複数の残基の置換に加え、配列番号1の52位のイソロイシン、74位のグルタミン酸、188位のプロリン、366位のバリン、443位のアラニン、698位のグリシン、配列番号2の53位のイソロイシン、75位のグルタミン酸、189位のプロリン、368位のバリン、配列番号3の53位のイソロイシン、75位のグルタミン酸、189位のプロリン、368位のバリン、配列番号4の55位のイソロイシン、77位のグルタミン酸、191位のプロリン、371位のバリン、配列番号5の59位のイソロイシン、81位のグルタミン酸、195位のプロリン、374位のバリン、配列番号6の56位のイソロイシン、78位のグルタミン酸、192位のプロリン、376位のバリン、および配列番号7の52位のイソロイシン、74位のグルタミン酸、188位のプロリン、366位のバリンを含む。

    一般に、本明細書で提供するポリペプチドは、アルカンをアルコールに変換するヒドロキシラーゼ活性を示す。 一般に、アルカンには、メタン(CH 4 )、エタン(C 2 H 6 )、プロパン(C 3 H 8 )、ブタン(C 4 H 10 )、ペンタン(C 5 H 12 )、ヘキサン(C 6 H 14 )、ヘプタン(C 7 H 16 )、オクタン(C 8 H 18 )、ノナン(C 9 H 20 )、デカン(C 10 H 22 )、ウンデカン(C 11 H 24 )、およびドデカン(C 12 H 26 )が含まれる。 また一般に、アルコールにはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、へキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、およびドデカノールが含まれる。

    別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にグリシン(G)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、またはシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47、82、142、205、236、252、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の48、83、143、206、238、254、および257位、(c)配列番号4の49、84、144、207、239、255、および258位、(d)配列番号5の54、89、149、212、243、259、および262位ならびに(e)配列番号6の51、86、146、208、242、258、および262位、
    (2)以下の位置にバリン(V)またはイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94、175、184、290、および353位、(b)配列番号2または配列番号3の95、176、185、292、および355位、(c)配列番号4の96、177、186、293、および357位、(d)配列番号5の101、182、191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の98、179、188、296、および363位、
    (3)以下の位置にアルギニンアミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、および(e)配列番号6の231、ならびに (4)以下の位置にフェニルアラニン(F)またはヒスチジン(H)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、および(e)配列番号6の82および337位。

    別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にセリン(S)残基:(a)配列番号1の82、142、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の83、143および257位、(c)配列番号4の84、144、および258位、(d)配列番号5の89、149、および262位、および(e)配列番号6の86、146および262位、
    (2)以下の位置にシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47および205位、(b)配列番号2または配列番号3の48および206位、(c)配列番号4の49および207位、(d)配列番号5の54および212位、および(e)配列番号6の51および208位、
    (3)以下の位置にグルタミン(Q)アミノ酸残基:(a)配列番号1の236位、(b)配列番号2または配列番号3の238位、(c)配列番号4の239位、(d)配列番号5の243位、および(e)配列番号6の242位、
    (4)以下の位置にグリシン(G)アミノ酸残基:(a)配列番号1の252位、(b)配列番号2または配列番号3の254位、(c)配列番号4の255位、(d)配列番号5の259位、および(e)配列番号6の258、
    (5)以下の位置にバリン(V)アミノ酸残基:(a)配列番号1の184、290および353位、(b)配列番号2または配列番号3の185、292、および355位、(c)配列番号4の186、293および357位、(d)配列番号5の191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の188、296、および363位、
    (6)以下の位置にイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94および175位、(b)配列番号2または配列番号3の95および176位、(c)配列番号4の96および177位、(d)配列番号5の101および182位、および(e)配列番号6の98および179位、ならびに (7)以下の位置にフェニルアラニン(F)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、ならびに(e)配列番号6の82および337位。

    別の実施形態において、配列番号1、2、3、4、5または6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドには、以下の位置のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の少なくとも80%、85%、90%、または95%を含む:
    (1)以下の位置にセリン(S)残基:(a)配列番号1の82、142、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の83、143および257位、(c)配列番号4の84、144、および258位、(d)配列番号5の89、149、および262位、ならびに(e)配列番号6の86、146および262位、
    (2)以下の位置にシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47および205位、(b)配列番号2または配列番号3の48および206位、(c)配列番号4の49および207位、(d)配列番号5の54および212位、ならびに(e)配列番号6の51および208位、
    (3)以下の位置にグルタミン(Q)アミノ酸残基:(a)配列番号1の236位、(b)配列番号2または配列番号3の238位、(c)配列番号4の239位、(d)配列番号5の243位、および(e)配列番号6の242、
    (4)以下の位置にグリシン(G)アミノ酸残基:(a)配列番号1の252位、(b)配列番号2または配列番号3の254位、(c)配列番号4の255位、(d)配列番号5の259位、および(e)配列番号6の258位、
    (5)以下の位置にバリン(V)アミノ酸残基:(a)配列番号1の184、290および353位、(b)配列番号2または配列番号3の185、292、および355位、(c)配列番号4の186、293および357位、(d)配列番号5の191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の188、296、および363位、
    (6)以下の位置にイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94および175位、(b)配列番号2または配列番号3の95および176位、(c)配列番号4の96および177位、(d)配列番号5の101および182位、ならびに(e)配列番号6の98および179位、
    (7)以下の位置にフェニルアラニン(F)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、ならびに(e)配列番号6の82および337位、
    (8)以下の位置にアルギニン(R)アミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、および(e)配列番号6の231位。

    その他の実施形態において、ポリペプチドはさらに以下の位置にZ3アミノ酸残基を含む:(a)配列番号1の285位、(b)配列番号2または配列番号3の287位、(c)配列番号4の288位、(d)配列番号5の292位、および(e)配列番号6の291位。 Z3アミノ酸残基には、リシン(K)、アルギニン(R)、またはヒスチジン(H)が含まれる。 幾つかの態様において、この位置のアミノ酸残基はアルギニン(R)である。

    また別の実施形態において、配列番号1の残基456-1048、配列番号2の残基456-1059、配列番号3の残基456-1053、配列番号4の残基456-1064、配列番号5の残基456-1063、または配列番号6の残基456-1077を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドには、以下の残基を除いて最高65、40、25、または10個が同類アミノ酸置換されるアミノ酸配列を含む:(a)配列番号1の残基464、631、645、710および968、(b)配列番号2の残基475、641、656、721および980、(c)配列番号3の残基467、634、648、713および972、(d)配列番号4の残基477、644、659、724および983、(e)配列番号5の残基472、640、656、723および985、および(f)配列番号6の残基480、648、664、733および997。 アミノ酸配列は、以下の残基を含む:
    (1)以下の位置にZ1、Z3、Z4、またはZ5アミノ酸残基:(a)配列番号1の464位、(b)配列番号2の475位、(c)配列番号3の467位、(d)配列番号4の477位、(e)配列番号5の472位、および(f)配列番号6の480位、
    (2)以下の位置にZ1アミノ酸残基:(a)配列番号1の631および710位、(b)配列番号2の641および721位、(c)配列番号3の634および713位、(d)配列番号4の644および724位、(e)配列番号5の640および723位、および(f)配列番号6の648および733位、
    (3)以下の位置にZ3アミノ酸残基:(a)配列番号1の645位、(b)配列番号2の656位、(c)配列番号3の648位、(d)配列番号4の659位、(e)配列番号5の656位、および(f)配列番号6の664位、および (4)以下の位置にZ2アミノ酸残基:(a)配列番号1の968位、(b)配列番号2の980位、(c)配列番号3の972位、(d)配列番号4の983位、(e)配列番号5の985位、および(f)配列番号6の997位。 Z1はグリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、およびシステイン(C)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z2はアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、およびメチオニン(M)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z3はリシン(K)、およびアルギニン(R)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z4はチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、およびヒスチジン(H)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、トレオニン(T)、バリン(V)、およびイソロイシン(I)から成る群から選択されるアミノ酸残基である。

    別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)アミノ酸残基:(a)配列番号1の464位、(b)配列番号2の475位、(c)配列番号3の467位、(d)配列番号4の477位、(e)配列番号5の472位、および(f)配列番号6の480位、
    (2)以下の位置にアスパラギン(N)アミノ酸残基:(a)配列番号1の631位、(b)配列番号2の641位、(c)配列番号3の634位、(d)配列番号4の644位、(e)配列番号5の640位、および(f)配列番号6の648位、
    (3)以下の位置にアルギニン(R)アミノ酸残基:(a)配列番号1の645位、(b)配列番号2の656位、(c)配列番号3の648位、(d)配列番号4の659位、(e)配列番号5の656位、および(f)配列番号6の664位、
    (4)以下の位置にトレオニン(T)アミノ酸残基:(a)配列番号1の710位、(b)配列番号2の721位、(c)配列番号3の713位、(d)配列番号4の724位、(e)配列番号5の723位、および(f)配列番号6の733位、および (5)以下の位置にリシン(L)アミノ酸残基:(a)配列番号1の968位、(b)配列番号2の980位、(c)配列番号3の972位、(d)配列番号4の983位、(e)配列番号5の985位、および(f)配列番号6の997位。

    単離または組換えポリペプチドは、残基47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366および443を除いて最高50個が同類アミノ酸置換される配列番号1に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含み、ここでアミノ酸配列は以下から成る群より選択される残基を含む:(a)47、82、142、205、236、252、および255位に、Z1アミノ酸残基、(b)52、94、175、184、188、290、353、366および443位に、Z2アミノ酸残基、(c)226位に、Z3アミノ酸残基、(d)78および328位に、Z4アミノ酸残基、(e)74位に、アラニン(A)、セリン(S)、およびグルタミン酸(E)から成る群から選択されるアミノ酸、ここでZ1はグリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、およびシステイン(C)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z2はアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、およびメチオニン(M)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z3はリシン(K)、およびアルギニン(R)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z4はチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、およびヒスチジン(H)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、ここでポリペプチドはアルカンのアルコールへの変換を触媒する。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号7で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドは、アルカンをアルコールに変換するヒドロキシラーゼ活性を示し得る。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号8で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号9で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号10で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    配列番号7、8、9または10のポリペプチドには、さらに任意にアミノ酸残基285位にアルギニン(R)を含む。

    先述のとおり、本明細書で提供するポリペプチドは、アルカンをアルコールに変換するヒドロキシラーゼ活性を示し得る。 一般に、アルカンには、メタン(CH 4 )、エタン(C 2 H 6 )、プロパン(C 3 H 8 )、ブタン (C 4 H 10 )、ペンタン(C 5 H 12 )、ヘキサン(C 6 H 14 )、ヘプタン(C 7 H 16 )、オクタン(C 8 H 18 )、ノナン(C 9 H 20 )、デカン(C 10 H 22 )、ウンデカン(C 11 H 24 )、およびドデカン(C 12 H 26 )が含まれる。 一般に、アルコールにはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、へキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、およびドデカノールが含まれる。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、285、290、328、353、464、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号11で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、645、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号12で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    別の実施形態において、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、631、および710を除いて最高75、50、25、または10個が同類アミノ酸置換される配列番号13で定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号7に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号7に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、(c)配列番号7のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド、または(d)配列番号7のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、BLOSUM62 マトリクス、ギャップ存在ペナルティ11、およびギャップ伸長ペナルティ1を用いて、少なくとも1830の類似性スコアを生じさせるために配列番号7の配列に任意にアラインメントできるアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号8に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号8に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号8のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号8に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号9に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号9に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号9のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号9に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号10に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号10に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号10のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号10に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号11に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号11に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号11のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、285、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号11に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号12に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号12に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号12のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、645、および710を除いて、配列番号12に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号13に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号13に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号13のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、631、および710を除いて、配列番号13に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、単離された核酸分子が提供される。 該核酸分子には以下を含む:(a)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(b)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子、(c)配列番号7または11に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(d)配列番号7、8、9、10、12、13または125に定めるアミノ酸配列の残基約456〜約1088を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(e)配列番号15に定めるヌクレオチド配列を含む核酸分子、(f)配列番号15に定めるヌクレオチド配列から成る核酸分子、(g)配列番号17に定めるヌクレオチド配列を含む核酸分子、(h)配列番号17に定めるヌクレオチド配列から成る核酸分子。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子には以下を含む:(a)配列番号2または3に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、および257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、および254位はグリシン(G)である;(b)配列番号2または3に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、および254位はグリシン(G)である;(c)配列番号4に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:49および207位はシステイン(C)であり、80および331位はフェニルアラニン(F)であり、84、144、および258位はセリン(S)であり、96および177位はイソロイシン(I)であり、186、293、および357位はバリン(V)であり、228位はアルギニン(R)であり、239位はグルタミン(Q)であり、および255位はグリシン(G)である;(d)配列番号4に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:49および207位はシステイン(C)であり、80および331位はフェニルアラニン(F)であり、84、144、および258位はセリン(S)であり、96および177位はイソロイシン(I)であり、186、293、および357位はバリン(V)であり、228位はアルギニン(R)であり、239位はグルタミン(Q)であり、および255位はグリシン(G)である;(e)配列番号5に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:54および212位はシステイン(C)であり、85および336位はフェニルアラニン(F)であり、89、149、および262位はセリン(S)であり、101および182位はイソロイシン(I)であり、191、297、および361位はバリン(V)であり、232位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、および259位はグリシン(G)である;(f)配列番号5に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:54および212位はシステイン(C)であり、85および336位はフェニルアラニン(F)であり、89、149、および262位はセリン(S)であり、101および182位はイソロイシン(I)であり、191、297、および361位はバリン(V)であり、232位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、および259位はグリシン(G)である;(g)配列番号6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:51および208位はシステイン(C)であり、82および337位はフェニルアラニン(F)であり、86、146、および262位はセリン(S)、98および179位はイソロイシン(I)であり、188、296、および363位はバリン(V)であり、231位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、および258位はグリシン(G)である;および(h)配列番号6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:51および208位はシステイン(C)であり、82および337位はフェニルアラニン(F)であり、86、146、および262位はセリン(S)であり、98および179位はイソロイシン(I)であり、188、296、および363位はバリン(V)であり、231位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、および258位はグリシン(G)である。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子には以下を含む:(a)配列番号2に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、および257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227、287、および656位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、254位はグリシン(G)であり、475位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、641はアスパラギン(N)であり、721はトレオニン(T)であり、および980位はロイシンである;(b)配列番号2に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、および257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227、287、および656位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、254位はグリシン(G)であり、475位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、641位はアスパラギン(N)であり、721位はトレオニン(T)であり、および980位はロイシンである;(c)配列番号3に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、および257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227、287、および648位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、254位はグリシン(G)であり、467位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、634位はアスパラギン(N)であり、713位はトレオニン(T)であり、および972位はロイシンである;(d)配列番号3に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:48および206位はシステイン(C)であり、79および330位はフェニルアラニン(F)であり、83、143、および257位はセリン(S)であり、95および176位はイソロイシン(I)であり、185、292、および355位はバリン(V)であり、227、287、および648位はアルギニン(R)であり、238位はグルタミン(Q)であり、254位はグリシン(G)であり、467位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、634位はアスパラギン(N)であり、713位はトレオニン(T)であり、および972位はロイシンである;(e)配列番号4に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:49および207位はシステイン(C)であり、80および331位はフェニルアラニン(F)であり、84、144、および258位はセリン(S)であり、96および177位はイソロイシン(I)であり、186、293、および357位はバリン(V)であり、228、288、および659位はアルギニン(R)であり、239位はグルタミン(Q)であり、255位はグリシン(G)であり、477位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、644位はアスパラギン(N)であり、724位はトレオニン(T)であり、および983位はロイシンである;(f)配列番号4に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:49および207位はシステイン(C)であり、80および331位はフェニルアラニン(F)であり、84、144、および258位はセリン(S)であり、96および177位はイソロイシン(I)であり、186、293、および357位はバリン(V)であり、228、288、および659位はアルギニン(R)であり、239位はグルタミン(Q)であり、255位はグリシン(G)であり、477位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、644位はアスパラギン(N)であり、724位はトレオニン(T)であり、および983位はロイシンである;(g)配列番号5に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:54および212位はシステイン(C)であり、85および336位はフェニルアラニン(F)であり、89、149、および262位はセリン(S)であり、101および182位はイソロイシン(I)であり、191、297、および361位はバリン(V)であり、232、292、および656位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、259位はグリシン(G)であり、472位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、640位はアスパラギン(N)であり、723位はトレオニン(T)であり、および985位はロイシンである;(h)配列番号5に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:54および212位はシステイン(C)であり、85および336位はフェニルアラニン(F)であり、89、149、および262位はセリン(S)であり、101および182位はイソロイシン(I)であり、191、297、および361位はバリン(V)であり、232、292、および656位はアルギニン(R)であり、243はグルタミン(Q)であり、259位はグリシン(G)であり、472位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、640はアスパラギン(N)であり、723位はトレオニン(T)であり、および985位はロイシンである;(i)配列番号6に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:51および208位はシステイン(C)であり、82および337位はフェニルアラニン(F)であり、86、146、および262位はセリン(S)であり、98および179位はイソロイシン(I)であり、188、296、および363位はバリン(V)であり、231、291、および664位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、258位はグリシン(G)であり、480位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、648位はアスパラギン(N)であり、733位はトレオニン(T)であり、および997位はロイシンである;(j)配列番号6に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:51および208位はシステイン(C)であり、82および337位はフェニルアラニン(F)であり、86、146、および262位はセリン(S)であり、98および179位はイソロイシン(I)であり、188、296、および363位はバリン(V)であり、231、291、および664位はアルギニン(R)であり、243位はグルタミン(Q)であり、258位はグリシン(G)であり、480位はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、648位はアスパラギン(N)であり、733位はトレオニン(T)であり、および997位はロイシンである。

    一つの実施形態において、本発明の核酸分子を含む単離された核酸分子および異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が提供される。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子がトランスフェクトされた宿主細胞、または本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。 宿主細胞には、酵母細胞、昆虫細胞、または動物細胞などの真核細胞を含む。 宿主細胞にはまた、細菌細胞などの原核細胞を含む。

    別の実施形態において、アルカンをアルコールに変換する細胞を生成する方法が提供される。 該方法には一般に以下を含む:(a)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子による細胞の形質転換、(b)本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子による細胞の形質転換、または(c)本発明の単離された核酸分子による細胞の形質転換。

    別の実施形態において、アルカンをアルコールに変換する細胞を選定する方法が提供される。 一般的に以下の方法を含む:(a)修飾シトクロムP450ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物を含有する細胞を提供し、該ヌクレオチド配列は以下から選定される:(i)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(ii)本発明のポリペプチドをコードする核酸分子、または(iii)本発明の核酸分子。 本方法にはさらに、(b)適当なアルカンの存在下およびアルカンをアルコールに変換するのに十分なレベルで修飾シトクロムP450が発現する条件下での細胞の培養が含まれる。 本明細書で提供する方法により、または酵素分野の当業者に公知の方法により、検出可能なレベルでアルコールが生成された場合に、該条件が満たされる。

    別の実施形態において、アルコールの生成方法が提供される。 本方法には以下を含む。 (a)修飾シトクロムP450ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物を含有する細胞を準備し、該ヌクレオチド配列は以下から選定される:(i)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(ii)本発明のポリペプチドをコードする核酸分子、または(iii)本発明の核酸分子。 方法にはさらに、(b)適当なアルカンの存在下および効果的なレベルで修飾シトクロムP450を発現する条件下での細胞の培養、および(c)メタン(CH 4 )、エタン(C 2 H 6 )、プロパン(C 3 H 8 )、ブタン(C 4 H 10 )、ペンタン(C 5 H 12 )、ヘキサン(C 6 H 14 )、ヘプタン(C 7 H 16 )、オクタン(C 8 H 18 )、ノナン(C 9 H 20 )、デカン(C 10 H 22 )、ウンデカン(C 11 H 24 )およびドデカン(C 12 H 26 )などの適当なアルカンの水酸化によるアルコールの生成が含まれる。 一般に、本発明の方法により形成されるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、へキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、およびドデカノールが含まれる。

    また別の実施形態において、アルカンを水酸化するシトクロムP450変異型を生成する方法が提供される。 該方法には、親シトクロムP450 ポリペプチドの選定および親シトクロムP450ポリペプチドのヘムドメインの活性部位内またはその近くに位置する少なくとも一つのアミノ酸残基の修飾が含まれる。 一般に、修飾により活性部位の量は低下する。 本方法にはさらに、アルカンの水酸化および水酸化アルカンの検出に適当な条件下で修飾アミノ酸を含むポリペプチドを少なくとも一つのアルカンと接触させることが含まれる。 修飾には、異なるアミノ酸に対する親アミノ酸の置換や、追加の群を含むための親アミノ酸の修飾を含みうる。 修飾が置換である場合、該置換には親シトクロムP450ポリペプチドのヘムドメインの活性部位内またはその近くに位置する親アミノ酸残基に対するフェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、またはセリンを含みうる。

    開示の一つまたは複数の実施例の詳細は、以下の図面および明細書に示す。 別の機能、目的および利点も、図面および特許請求の範囲から明らかである。

    さまざまな図面の同種参照記号は、同種成分を示す。

    図1は、指向進化により達成される基質サイズの減少とCH結合解離エネルギーの上昇を示す。 指向進化は、脂肪酸ヒドロキシラーゼから得た野生型P450 BM-3を、よりエネルギーの高いエタンのCH結合を活性化できる酵素へと段階的に変換するために使用した。 図は、野生型P450 BM-3およびその突然変異体53-5Hの基質範囲と、比較のために別のアルカンモノオキシゲナーゼの基質範囲を示している。

    図2は、変異型53-5Hを触媒として使用した場合のエタノール反応混合物のガスクロマトグラムを示す。 分析前に、エタノールを誘導体化して電子捕獲型検出器(ECD)による検出用に亜硝酸エチルを生成した。

    図3は、200 nMタンパク質を用いた場合のエタンからエタノールへの変換を示し、53-5Hおよび35-E11の酵素活性部位当たりそれぞれ50回および250回のターンオーバーに対応する。 酵素濃度の半減または倍増は、およそ相応に低いまたは高い生成物濃度をそれぞれ生んだ。 エタンなしまたは不活性タンパク質による制御反応では、バックグラウンドレベル1μMを上回るエタノール濃度は含まれなかった。 エラーバーは、三つの実験の標準偏差である。

    図4は、53-5HおよびNADPH再生システムで培養された単独の

    13 C標識エタノールの

    13 C-NMRスペクトルを示す。 エタノールの過酸化を理由とする

    13 C標識カルボニルのピークは、一切検出可能ではなかった。

    図5は、53-5Hの吸収スペクトルを示す。 鉄のヘム鉄は低スピン形態である。 エタンの添加に伴う高スピン鉄へのシフトは検出できなかった。 オクタンを添加しても、390 nmでの上昇は誘発されなかった。 35-E11のスペクトルは実質的に類似している。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6A-1の続き。

    図6A-2の続き。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6B-1の続き。

    図6B-2の続き。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6C-1の続き。

    図6C-2の続き。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6D-1の続き。

    図6D-2の続き。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6E-1の続き。

    図6E-2の続き。

    図6E-3の続き。

    図6A - 6Fは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図6F-1の続き。

    図7は、アルコールオキシダーゼおよびPurpaldでの処理後のBM-3変異型35-E11および変異型35-E11-E464Rのメタン反応のスペクトルを示す。 550 nmでのピークは、生成されたメタノールに相当する。 メタンを除いたすべての反応物を含有する溶液は、同様に処理された場合にこの領域では吸収されていない。

    図8は、配列番号1(巨大菌由来のCYP102A1)を示す。

    図9は、配列番号2(CYP102A1に対する同一性が59%の枯草菌由来のCYP102A2)を示す。

    図10は、配列番号3(CYP102A1に対する同一性が58%の枯草菌由来のCYP102A3)を示す。

    図11は、配列番号4(CYP102A1に対する同一性が60%のセレウス菌由来のCYP102A5)を示す。

    図12は、配列番号5(CYP102A1に対する同一性が38%のジクロロメタン分解菌由来のCYP102E1)を示す。

    図13は、配列番号6(CYP102A1に対する同一性が46%のブラディリゾビウム・ジャポニクム由来のCYP102A6)を示す。

    図14は配列番号7(35-E11)を示す。

    図15は配列番号8(35-E11-E464R)を示す。

    図16は配列番号9(35-E11-E464Y)を示す。

    図17は配列番号10(35-E11-E464T)を示す。

    図18は配列番号11(20-D3)を示す。

    図19は配列番号 12(23-1D)を示す。

    図20A-Bは、配列番号 13(21-4G)および125(P450

    PMO )を示す。

    図20A-Bは、配列番号 13(21-4G)および125(P450

    PMO )を示す。

    図21は、配列番号 15(53-5H)を示す。

    図22Aおよび22Bは、配列番号 16(変異型53-5Hのヘムおよびレダクターゼドメインを含有する発現プラスミドpCWORI-53-H)を示す。

    図22Aおよび22Bは、配列番号 16(変異型53-5Hのヘムおよびレダクターゼドメインを含有する発現プラスミドpCWORI-53-H)を示す。

    図23は、配列番号 17(変異型35-E11をコードする核酸配列)を示す。

    図24Aおよび24Bは、配列番号 18(変異型35-E11のヘムおよびレダクターゼドメインを含有する発現プラスミドpCWORI-35-E11)を示す。

    図24Aおよび24Bは、配列番号 18(変異型35-E11のヘムおよびレダクターゼドメインを含有する発現プラスミドpCWORI-35-E11)を示す。

    図25Aは、アルキルメチルエーテルアッセイを示す。 パネルa)は、染料Purpaldを用いて簡単に検出できるホルムアルデヒドを生成するプロパン代理ジメチルエーテルの水酸化を示す。 パネルb)は、へキシルメチルエーテルをオクタン代理として使用できることを示す。 パネルc)は、P450含有細胞溶解物を有する典型的なスクリーニングプレートを示し、これはDMEまたはHMEのメトキシ基の水酸化またはPurpaldの添加に伴い紫色になる。 各ウェルは、異なるBM-3変異型を表す。

    図25Bは、アルキルメチルエーテルアッセイを示す。 パネルa)は、染料Purpaldを用いて簡単に検出できるホルムアルデヒドを生成するプロパン代理ジメチルエーテルの水酸化を示す。 パネルb)は、へキシルメチルエーテルをオクタン代理として使用できることを示す。 パネルc)は、P450含有細胞溶解物を有する典型的なスクリーニングプレートを示し、これはDMEまたはHMEのメトキシ基の水酸化またはPurpaldの添加に伴い紫色になる。 各ウェルは、異なるBM-3変異型を表す。

    図25Cは、アルキルメチルエーテルアッセイを示す。 パネルa)は、染料Purpaldを用いて簡単に検出できるホルムアルデヒドを生成するプロパン代理ジメチルエーテルの水酸化を示す。 パネルb)は、へキシルメチルエーテルをオクタン代理として使用できることを示す。 パネルc)は、P450含有細胞溶解物を有する典型的なスクリーニングプレートを示し、これはDMEまたはHMEのメトキシ基の水酸化またはPurpaldの添加に伴い紫色になる。 各ウェルは、異なるBM-3変異型を表す。

    図26は、Purpaldを用いたホルムアルデヒド(黒塗り四)およびヘキサナール(黒塗りひし形)の標準曲線を示す。 アッセイは、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて実施され、最終量はウェル当たり250μLであった。

    図27は、BM-3突然変異体、クロロメタンおよび補助因子再生システムを含有する反応混合物にPurpaldを添加した後の比色分析反応を示す。 パネルAおよびパネルBは、独立した実験を意味する。

    図28は、BM-3突然変異体により触媒されたCM脱ハロゲン化の反応についての合計ターンオーバー数を示す。

    図29は、A328位で置換された反応BM-3変異型に対する比色分析反応を示す。

    図30は、異なる種類のハロゲン化アルカン上でP450突然変異体により触媒される水酸化/脱ハロゲン化反応からの生成物の化学的構造を示す。

    図31A - 31Cは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のヘムドメイン(残基1-455)のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図31A-1の続き。

    図31A-2の続き。

    図31A - 31Cは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のヘムドメイン(残基1-455)のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図31B-1の続き。

    図31B-2の続き。

    図31A - 31Cは、6 CYP102ホモログおよびBM-3突然変異体35-E11のヘムドメイン(残基1-455)のアミノ酸配列アラインメントを示す。 ホモログ内の対応する突然変異を表4に提供する。

    図31C-1の続き。

    図32は、本明細書に説明するポリペプチドに対するタンパク質の類似性スコアを示す。 パネルAは、全長ポリペプチド(例えば、配列番号1〜7)に対する典型的な類似性スコアを示す。 パネルBは、P450ポリペプチドのヘムドメインに対応した配列番号1〜7の残基1〜455に対する典型的な類似性スコアを示す。

    図33は、本明細書に説明するポリペプチドに対するタンパク質パーセント(%)同一性を示す。 パネルAは、全長ポリペプチド(例、配列番号1〜7)に対する典型的なパーセント(%)同一性を示す。 パネルBは、P450ポリペプチドのヘムドメインに対応した配列番号1〜7の残基1〜455に対する典型的なパーセント(%)同一性を示す。

    図34A-Bは、P450

    BM3および天然の非ヘム気体アルカンモノオキシゲナーゼを示す。 (A)(巨大菌からの)P450

    BM3は、ゴルドニア属からの長鎖脂肪酸およびプロパンモノオキシゲナーゼの末端近くの水酸化を触媒する。 TY-5はプロパンの2-プロパノールへの水酸化を触媒する。 P450

    BM3は、プロパンに対する測定可能な活性が全くなく、その一方でTY-5 PMO特異性はプロパンに制限されている。 (B)P450

    BM3および可溶性気体アルカンモノオキシゲナーゼ(可溶性メタンモノオキシナーゼ、sMMOで示される)酸化還元システムの構造。 単一成分P450

    BM3 (119 kDa)は、三つの機能的サブドメインであるヘム-、FMN-、およびFAD-結合ドメイン(ラットのCPR構造からモデル化)から構成されている。 sMMO(およびPMOおよびBMOを含む推定上の別の細菌複数成分モノオキシゲナーゼ)は、250 kDa α

    2 β

    2 γ

    2ヒドロキシラーゼ、15 kDa補助因子なしエフェクタータンパク質、および40 kDa [2Fe-2S]-およびFADを含有するレダクターゼを含む。

    図34A-Bは、P450

    BM3および天然の非ヘム気体アルカンモノオキシゲナーゼを示す。 (A)(巨大菌からの)P450

    BM3は、ゴルドニア属からの長鎖脂肪酸およびプロパンモノオキシゲナーゼの末端近くの水酸化を触媒する。 TY-5はプロパンの2-プロパノールへの水酸化を触媒する。 P450

    BM3は、プロパンに対する測定可能な活性が全くなく、その一方でTY-5 PMO特異性はプロパンに制限されている。 (B)P450

    BM3および可溶性気体アルカンモノオキシゲナーゼ(可溶性メタンモノオキシナーゼ、sMMOで示される)酸化還元システムの構造。 単一成分P450

    BM3 (119 kDa)は、三つの機能的サブドメインであるヘム-、FMN-、およびFAD-結合ドメイン(ラットのCPR構造からモデル化)から構成されている。 sMMO(およびPMOおよびBMOを含む推定上の別の細菌複数成分モノオキシゲナーゼ)は、250 kDa α

    2 β

    2 γ

    2ヒドロキシラーゼ、15 kDa補助因子なしエフェクタータンパク質、および40 kDa [2Fe-2S]-およびFADを含有するレダクターゼを含む。

    図35A-Cは、野生型P450

    BM3からのP450

    PMOの指向進化を示す。 (A)タンパク質工学ステップおよび各ラウンドから選定された変異型。 (B)P450

    BM3ヘムドメイン結晶構造(PDBエントリー1FAG)上で突然変異した残基(球体モデル)のマップ。 L188(ETS8 → 19A12遷移においてプロリンに突然変異)が示されている。 結合パルミチン酸(スティックモデル)が示される一方でヘム(球体モデル)が示されている。 (C)はドメインに基づく工学ストラテジーを示す。 P450

    BM3変異型35E11のヘム-、FMN-およびFAD-結合ドメインは別々に進化させて、各領域の別個の変異導入ライブラリに向けて準備した。 ヘムドメインは、数回のラウンドでの指向進化にわたりプロパン活性について最適化された。 35E11レダクターゼドメインのライブラリのスクリーニング後、活性にとって重要な部位を特定し、11-3のヘムドメインを用いてさらに最適化した。 P450

    PMOは、7-7のヘムドメインを用いてこれらのライブラリから得られる最も有益なレダクターゼドメイン突然変異の組換えにより得られた。

    図35A-Cは、野生型P450

    BM3からのP450

    PMOの指向進化を示す。 (A)タンパク質工学ステップおよび各ラウンドから選定された変異型。 (B)P450

    BM3ヘムドメイン結晶構造(PDBエントリー1FAG)上で突然変異した残基(球体モデル)のマップ。 L188(ETS8 → 19A12遷移においてプロリンに突然変異)が示されている。 結合パルミチン酸(スティックモデル)が示される一方でヘム(球体モデル)が示されている。 (C)はドメインに基づく工学ストラテジーを示す。 P450

    BM3変異型35E11のヘム-、FMN-およびFAD-結合ドメインは別々に進化させて、各領域の別個の変異導入ライブラリに向けて準備した。 ヘムドメインは、数回のラウンドでの指向進化にわたりプロパン活性について最適化された。 35E11レダクターゼドメインのライブラリのスクリーニング後、活性にとって重要な部位を特定し、11-3のヘムドメインを用いてさらに最適化した。 P450

    PMOは、7-7のヘムドメインを用いてこれらのライブラリから得られる最も有益なレダクターゼドメイン突然変異の組換えにより得られた。

    図35A-Cは、野生型P450

    BM3からのP450

    PMOの指向進化を示す。 (A)タンパク質工学ステップおよび各ラウンドから選定された変異型。 (B)P450

    BM3ヘムドメイン結晶構造(PDBエントリー1FAG)上で突然変異した残基(球体モデル)のマップ。 L188(ETS8 → 19A12遷移においてプロリンに突然変異)が示されている。 結合パルミチン酸(スティックモデル)が示される一方でヘム(球体モデル)が示されている。 (C)はドメインに基づく工学ストラテジーを示す。 P450

    BM3変異型35E11のヘム-、FMN-およびFAD-結合ドメインは別々に進化させて、各領域の別個の変異導入ライブラリに向けて準備した。 ヘムドメインは、数回のラウンドでの指向進化にわたりプロパン活性について最適化された。 35E11レダクターゼドメインのライブラリのスクリーニング後、活性にとって重要な部位を特定し、11-3のヘムドメインを用いてさらに最適化した。 P450

    PMOは、7-7のヘムドメインを用いてこれらのライブラリから得られる最も有益なレダクターゼドメイン突然変異の組換えにより得られた。

    図36は、P450

    BM3変異型の熱安定性を示す。 35E11(白抜き丸)、ETS8(白抜きひし形)、および野生型P450

    BM3 (白抜き四角)に対応する曲線が示されている。 T

    50値は、中間点の変性温度に対応する。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図37A-Fは、P450

    BM3からP450

    PMOへの系統上での変異型の機能特性および安定特性を示す。 (A)プロパン水酸化の合計ターンオーバー数(molプロパノール/mol P450)。 (B)プロパノール形成速度/NADPH酸化速度により与えられる結合効率。 (C)プロパノール形成に対するK

    m値。 (D)プロパノール形成に対する触媒反応速度定数(k

    cat )。 (E)ヘムドメインの熱不活化からT

    50値として報告される酵素熱安定性。 (F)各ラウンドで蓄積された突然変異数により正規化される、指向進化の各ラウンドの安定性ペナルティ。

    図38Aは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Bは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Cは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Dは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Eは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Fは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Gは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Hは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図38Iは、プロパンに対する活性のP450

    BM3の再特殊化を図示する。 各変異型がより好む基質上の活性(= 100%)と比較して報告される、C

    2 〜C

    10アルカン上の操作された変異型の活性。 点線は、各指向進化ステップにおける基質特異性の変化を強調表示するために、前文の変異型のプロファイルを示す。

    図39は、活性部位の操作を示す。 P450

    BM3ヘムドメインのパルミチン酸結合構造上での飽和変異導入のために標的とされる活性部位残基のマップ(PDBエントリー1FAG)。

    図40は以下を示す。 (A)プロパン上でのP450

    PMOの触媒反応速度と、その好適な基質上での天然アルカンモノオキシゲナーゼ(pMMO、sMMO、BMO、AlkB、cyp153(A6))の触媒反応速度の比較。 (B)pMMO(試験管内での活性に基づく)の報告された基質特異性プロフィール、ゴルドニア属TY-5からのPMO(成長率に基づく)、ノカルディオイデス属からのBMO 、CF8(成長率に基づく)、およびマイコバクテリウム属由来のCYP153(A6)、HXN-1500(試験管内での活性に基づく)。

    図41は、C

    1 -C

    3アルカンおよびハロゲン化メタン誘導体の CH結合解離エネルギー(A)および分子サイズ(B)を示す。 実験的なCH BDE値は、Cherkasov et alに由来する。

    図42は、P450

    PMOおよびハロゲン化メタン誘導体、CH

    3 Cl、CH

    3 BrおよびCH

    3 Iとの反応からのPFHA誘導体化ホルムアルデヒドのGCクロマトグラムである。

    図43A-Cは、プロパン水酸化における収束進化と新規機能の現れを示す。 (A)ミカエリス・メンテン・プロットから測定される、アルカンのk

    cat値。 (B)進化するP450

    BM3の基質範囲の、天然の非ヘムオキシゲナーゼ(AlkB:内在性膜アルカンヒドロキシラーゼ)との重複。 P450

    PMOは、脂肪酸に対する本来の活性を完全に欠失する形で、プロパン水酸化のために再特殊化した(AA:アラキドン酸、PA:パルミチン酸、MPA:13-メチル-PA)。 全体的に、34の突然変異事象がP450

    PMOとP450

    BM3を分離し、23のアミノ酸の違いにつながった。 (C)ホルムアルデヒド形成速度から測定される、P450

    PMOおよびその前駆物質のハロメタンデハロゲナーゼ活性。

    図43A-Cは、プロパン水酸化における収束進化と新規機能の現れを示す。 (A)ミカエリス・メンテン・プロットから測定される、アルカンのk

    cat値。 (B)進化するP450

    BM3の基質範囲の、天然の非ヘムオキシゲナーゼ(AlkB:内在性膜アルカンヒドロキシラーゼ)との重複。 P450

    PMOは、脂肪酸に対する本来の活性を完全に欠失する形で、プロパン水酸化のために再特殊化した(AA:アラキドン酸、PA:パルミチン酸、MPA:13-メチル-PA)。 全体的に、34の突然変異事象がP450

    PMOとP450

    BM3を分離し、23のアミノ酸の違いにつながった。 (C)ホルムアルデヒド形成速度から測定される、P450

    PMOおよびその前駆物質のハロメタンデハロゲナーゼ活性。

    図43A-Cは、プロパン水酸化における収束進化と新規機能の現れを示す。 (A)ミカエリス・メンテン・プロットから測定される、アルカンのk

    cat値。 (B)進化するP450

    BM3の基質範囲の、天然の非ヘムオキシゲナーゼ(AlkB:内在性膜アルカンヒドロキシラーゼ)との重複。 P450

    PMOは、脂肪酸に対する本来の活性を完全に欠失する形で、プロパン水酸化のために再特殊化した(AA:アラキドン酸、PA:パルミチン酸、MPA:13-メチル-PA)。 全体的に、34の突然変異事象がP450

    PMOとP450

    BM3を分離し、23のアミノ酸の違いにつながった。 (C)ホルムアルデヒド形成速度から測定される、P450

    PMOおよびその前駆物質のハロメタンデハロゲナーゼ活性。

    本発明の詳細を記述する前に、本発明は特定の組成または生物システムに限定されるものではなく、当然ながらさまざまに異なりうることが理解されるべきである。 また、本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明する目的でのみ使用されるものであり、限定することを意図しない。 本明細書や特許請求の範囲で使用される場合、「a」「an」および「the」の単数形は、内容において明確な別段の指示がない限り複数形も含む。 別途定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語や科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解されている用語と同一の意味を持つ。 本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および物質を本発明の試験実施のために使用することができるものの、適切な物質および方法についての特定の例を本明細書に記載する。

    天然ガス中のメタンの世界的な埋蔵量は、石油よりも豊富である。 メタン水和物中のメタンは、これを数桁単位で増加させる。 メタンはまた、炭層から放出され、埋立地およびヒトや動物の廃水における有機物質の嫌気性腐敗から再生可能な形で生産される。 エネルギー業界では「迷子」と見なされるこれらの資源の大多数は、遠隔すぎてガスを電力発電施設に輸送することができない、または小量すぎるために既存の技術を用いてより簡単に輸送できるメタノールに経済的に変換することができないため、使用されていない。 メタンからメタノールへの変換の実用的な触媒によって、メタンガスのこうした資源をより輸送が簡単な液体燃料に変換することを実現できる。 新規技術によりこうした資源を利用できれば、エネルギー業界や化学商品業界の両方に劇的な効果をもたらすであろう。

    これらの資源からのメタノールの大規模な生成はまた、大気圏における温室ガスの濃度にも良好な影響を与えるであろう。 メタンは二酸化炭素に比べて20倍も高い地球温暖化の可能性がある。 人間の活動は、一年当たり約300 MMTものメタンを大気圏に放出しており、これは測定された世界の温度上昇の約1/4にあたる。 この過程により大気圏からメタンを除去するのに加え、メタノールは燃料として燃焼されるとガソリン同等量の燃焼から得られる放出量と比べてより少量(~1/2)の二酸化炭素を放出するため、この使用されていないメタンのメタノールへの変換は、大気圏中の地球温暖化ガスの濃度に劇的な効果を与える可能性がある。 人間の活動から環境に放出されたメタンを使用可能な代替燃料に変換することは、そのため、地球温暖化を抑制する最も効果的な手段の一つである。

    本開示全体にわたり記載される操作されたシトクロムP450突然変異体は、指向進化実験において点突然変異体を蓄積することにより取得された。 新規または改変された特性を備えるP450を取得するべく指向進化のためのライブラリを作成する別の方法は、組換えまたはキメラ形成であり、ここで相同P450の一部はスワップされて機能キメラを形成する。 相同タンパク質の同等のセグメントを組み換えることで、各アミノ酸置換が親の一つにおいて成功したことがすでに実証された変異型が形成される。 そのため、この方法で形成されたアミノ酸変異は、平均してランダム突然変異よりも破壊性が低い。 SCHEMAなどの構造ベースのアルゴリズムは、タンパク質がその活性形態に折り畳まれることを阻止する破壊的相互作用を最小限に抑えるために組換えできるタンパク質の断片を特定する。 SCHEMAは、P450 BM-3およびそのホモログCYP102A2のキメラを設計するのに使用されており、63%のアミノ酸配列同一性を共有する。 構築されたハイブリッドタンパク質17種のうち14種が正確に折り畳まれ、CO差スペクトルで決定されるとおりヘム補助因子を組み入れた。 キメラの半数は基質特異性を改変し、その一方で三つの突然変異体はいずれの親によっても水酸化されない新規基質に対して活性を得た。 BM-3とそのホモログCYP102A2およびCYP102A3とのSCHEMA誘導組換えにより生成されたキメラの大規模なライブラリは、3000種以上の新しく適切に折り畳まれたBM-3の変異型を含む。 さらに新規生体触媒の形成に加え、これらのキメラ形成研究では、相同P450酵素CYP102A2およびCYP102A3は、この方法で組換えができるほど十分にBM-3との類似性が高く、なおも高確率の折り畳みを保つことが示されている。

    本明細書では、メタンからメタノールへの直接変換を触媒するシトクロムP450 BM-3の変異型を提供する。 反応は、空気中の二酸素および生物補助因子であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)の還元型を用いる。 BM-3変異型により触媒作用された反応の化学量論は、CH 4 + O 2 + NADPH + H + → CH 3 OH + H 2 O + NADP +である。

    「合計ターンオーバー数」(TTN)という用語は、その生涯期間中または一定期間中、単一酵素により生成物に変換(またはターンオーバー)される基質分子の合計数である。 任意の触媒量から得られる生成物の合計量の計算を可能にするため、TTNは触媒についての重要な性能指数である。 「結合」という用語は、酵素で触媒作用された反応中に消費された補助因子(NAD(P)H)に形成された生成物の比率(%)を意味する。 形成された生成物の各モルについて補助因子2モルが消費された場合、反応の結合は50%である。 任意の生成物量を生成するためにどの程度の補助因子が必要かを評価できるようになるため、結合もまた重要な性能指数である。

    BM-3ベースの触媒は、大気温度および圧力で機能する。 メタンモノオキシゲナーゼ酵素とは異なり、このBM-3ベースの生体触媒は、生成される中でメタノールを消費しない宿主生物中で発現し得る。 そのため、メタンおよび空気の存在下でもメタノールを蓄積することのできる全細胞生態触媒システムへと組み入れることができる。

    シトクロムP450酵素(P450)は優れた酸化触媒であり、同様に穏やかな条件下では化学的方法での達成が時として不可能な、高い選択的形質転換を生じさせる。 これらの汎用的な酵素は、創薬、化学合成、バイオレメディエーション、およびバイオテクノロジにおける用途において大きな可能性を秘めている。 しかしながら、多くの用途で必要となるように非天然基質を受け入れるようP450を調整することは、複数の補助因子、基質およびタンパク質ドメインが関与するこの複雑な触媒システムでは極めて困難である。 天然のP450と比べて操作されたP450は劣った触媒効率および結合効率を示すことから、天然様の能力を得ることが、化学合成においてこれらの汎用的なオキシゲナーゼの触媒能力を活用する上で不可欠な最初のステップである。

    P450触媒回路は、大きな構造改変およびヘム酸化還元ポテンシャルのシフトを伴う基質結合事象によって開始される。 これは、NAD(P)H補助因子からヘムへの電子移動を誘発し、基質を活性化する反応性の高い鉄オキソ種を形成する。 効率的な触媒を制御する機構は、P450が不活性基質と結合するかアミノ酸置換が行われる場合に破壊され、その両方ともが補助因子活用の非結合、および生成物形成および反応性酸素種の形成を理由とする迅速な酵素不活性を招く。

    P450は、酸素を幅広い化合物に挿入する。 ただし、小型アルカンに対する反応において特殊化したことが知られているP450は存在しない。 気体アルカン(メタン、プロパン、ブタン)およびハロメタン(CH 3 Cl、CH 3 Br)は、数多くの好気性微生物にとって唯一の炭素およびエネルギー源であり、ここでの第一の酸化手順は非ヘムメタン、プロパンおよびブタンモノオキシゲナーゼ(MMO、PMO、BMO)により触媒される。

    したがって、「ヒドロキシラーゼ」または「モノオキシゲナーゼ」という用語は、二原子酸素からの一つの酸素原子を基質に挿入できる酵素を含むものと考えられるべきである。 典型的な酵素には、シトクロムP450モノオキシゲナーゼがある。 「シトクロムP450モノオキシゲナーゼ」または「P450酵素」は、P450ヘムチオラートタンパク質のスーパーファミリー中の酵素を意味し、これは細菌、菌類、植物および動物に幅広く分布している。 酵素がシトクロムP450酵素かどうかを定義する独自の特徴は、従来は一酸化炭素(CO)と酵素のヘム鉄の還元型との結合に伴って観察される450 nm近くに特徴的な吸収極大(「ソーレー帯」)であると考えられている。 シトクロムP450酵素により触媒される反応には、エポキシ化、N-脱アルキル、O-脱アルキル、S-酸化および水酸化を含む。 P450酵素により触媒される最も一般的な反応は、モノオキシゲナーゼ反応、即ち、別の酸素原子が水に還元される一方で酸素の一つの原子を基質に挿入することである。

    「基質」または「適切な基質」という用語は、酵素触媒の作用によって別の化合物に変換される、または変換されるはずの基質または化合物を意味する。 この用語はアルカンを含み、また単一化合物だけではなく、溶液、混合物、および少なくとも一つの基質を含むその他の物質などの化合物の組み合わせも含む。 本発明のシトクロムP450酵素を用いた水酸化のための基質には、12-pNCAなどのパラニトロフェノキシカルボン酸(「pNCA」)のほか、デカン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、および別の脂肪酸および脂肪酸誘導体を含む。 アルカン/アルケン基質については、プロパン、プロペン、エタン、エテン、ブタン、ブテン、ペンタン、ペンテン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、オクタン、オクテン、スチレン、p-ニトロフェノキシオクタン(8-pnpane)、およびそのさまざまな誘導体を使用し得る。 「誘導体」という用語は、アルコール、アミン、ハロゲン、チオール、アミド、カルボン酸などを含むがこれらに限定されない、基質に対する一つまたは複数の官能基の付加を意味する。

    以下に詳述されるように、本発明は、少なくとも部分的には、アルカンのアルコールへの水酸化を触媒する新規酵素の生成および発現に基づく。 一つの実施形態において、アルカンをアルコールに変換するように操作された新規ポリペプチドが提供される。 該ポリペプチドには、特定の残基にアミノ酸置換を含むように改変されたP450変異型も含む。

    これらの変異型を以下に詳述するが、本発明のポリペプチドは、一つまたは複数の修飾アミノ酸を含みうることが理解される。 修飾アミノ酸の存在は、例えば、(a)生体内(インビボ)半減期のポリペプチドの増加、(b)ポリペプチド抗原性の低下または増加、および(c)ポリペプチド保存安定性の増加において有利でありうる。 アミノ酸は例えば、組換え生産中に翻訳と共役しながらまたは翻訳後に(例えば、哺乳細胞内で発現中のN--X--S/TモチーフでのN結合型グリコシル化)により修飾するか、合成手段で修飾する。 したがって、「突然変異体」、「変異型」または「修飾された」タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞は、親タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞から改変もしくは由来する、または何らかの形で異なるか変化した、タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞を意味する。 必ずというわけではないが、突然変異体または修飾タンパク質または酵素は通常、突然変異体ポリヌクレオチドまたは遺伝子から発現される。

    「親」タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞は、親自体が天然または突然変異体であるかに関係なく、任意の方法、ツールまたは技法を用いて別のタンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞が由来または形成されるもととなるタンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞である。 親ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、親タンパク質または酵素をコードする。

    本開示は、例えば、指向進化が長鎖脂肪酸P450ヒドロキシラーゼを堪能なプロパンヒドロキシラーゼに変換したことを示す。 この小型アルカンに対する高い活性および触媒効率を達成するために、活性部位は基質範囲の狭小化およびK mの低下により判断される進化するP450中で徐々に最適化された。 これは、P450 PMOにつながる突然変異事象の配列と一貫しており、新規基質にとって最適な構成を希求する活性部位残基の連続的再配列を示す。 例えば、P450 BM3のP450 PMOへの進化は、P450酵素ファミリーの特殊化されたメンバーは点突然変異および徐々に異なる基質に対する機能の選択により、新しい再特殊化された機能へと進化できることを示している。 特に、天然酵素機能は新規機能に対する陽性選択の圧力下でのみ最終的に消滅し、陰性選択は不要であったことに注目すべきである。 本開示は、天然アルカンモノオキシゲナーゼに匹敵する触媒反応速度および特異性を含む、操作されたP450、P450 PMOを提供する(図40)。

    「突然変異」は、突然変異タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞を生じる過程または機構を意味する。 これには、タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、または遺伝子配列が改変される突然変異、および該突然変異から生じる細胞内での検出可能な改変を含む。 典型的には、突然変異は単一または複数のヌクレオチド残基の点突然変異体、欠失、または挿入によりポリヌクレオチドまたは遺伝子配列内で発生する。 突然変異には、遺伝子のタンパク質をコードする領域内で生じるポリヌクレオチド改変のほか、調節配列またはプロモーター配列を含むがこれらに限定されないタンパク質をコードする配列外の領域内での改変を含む。 遺伝子内での突然変異は「サイレント」でもありえる。 これは、発現時にアミノ酸改変に反映されないために、遺伝子の「配列保存的」変異型につながる可能性がある。 これは一般に、一つのアミノ酸が一つ以上のコドンに対応する場合に生じる。

    修飾アミノ酸の非限定的な例には、グリコシル化アミノ酸、硫酸化アミノ酸、プレニル化(例えば、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化)アミノ酸、アセチル化アミノ酸、アシル化アミノ酸、ペグ化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸等が含まれる。 アミノ酸の修飾について当業者を導くのに十分な参考文献は、文献全体にわたり充実している。 例証的なプロトコルは、Walker(1998年)Protein Protocols on CD-ROM(Humana Press、ニュージャージー州トワタ)に見受けられる。

    本発明の修飾P450ポリペプチドを形成・単離するための組換え方法が、本明細書に記載されている。 組換え生産に加え、ポリペプチドは固相法(例えば、Stewart et al. (1969年) Solid-Phase Peptide Synthesis (WH Freeman Co、サンフランシスコ州);およびMerrifield (1963年) J. Am. Chem. Soc. 85: 2149-2154;その各自を参照により組み込む)を用いた直接ペプチド合成により形成し得る。 ペプチド合成は、手動法または自動化により実施し得る。 自動合成は、例えば、メーカー支給の取扱説明にしたがって、 Applied Biosystems 431A ペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いて達成し得る。

    「シトクロムP450モノオキシゲナーゼ」または「P450酵素」は、P450ヘム-チオラートタンパク質のスーパーファミリーに属する酵素を意味し、細菌、菌類、植物および動物に幅広く分布している。 この酵素は、多量の外因性化合物および内因性化合物双方の代謝に関与するものである。 通常、P450酵素は多成分の電子移動連鎖内の末端酸化酵素、即ち、P450含有モノオキシゲナーゼシステムとして作用する。 酵素がシトクロムP450酵素かどうかを定義する独自の特徴は、従来的に一酸化炭素(CO)と酵素のヘム鉄の還元型との結合に伴って観察される450 nm近くに特徴的な吸収極大(「ソーレー帯」)であると考えられている。 シトクロムP450酵素により触媒される反応には、エポキシ化、N-脱アルキル、O-脱アルキル、S-酸化および水酸化を含む。 P450酵素により触媒される最も一般的な反応は、モノオキシゲナーゼ反応、即ち、酸素の一つの原子を基質に挿入し、別の酸素原子を水に還元することである。

    「ヘムドメイン」は、酸素担体タンパク質内のアミノ酸配列を意味し、その配列はポルフィリンなどの鉄錯体構造を結合する能力を持つ。 鉄化合物は典型的には、側鎖組成において異なりうるポルフィリン(テトラピロール)環内で錯体を形成している。 ヘム群は、シトクロムの補欠分子族でもよく、大多数の酸素担体タンパク質に見られる。 典型的なヘムドメインには、P450 BM-3(P450 BM -P)、配列番号3のヘムドメインの他、鉄錯体構造を結合する能力を保持するトランケート型または変異型も含まれる。 当業者であれば、当技術分野において公知の方法を用いて、特定のタンパク質のヘムドメインを容易に特定することができる。

    上述のとおり、本明細書で提供されるポリペプチドには一般に、例えば、配列番号1〜配列番号13および配列番号125などで提供されたさまざまなP450配列のアミノ酸残基1〜約455を含む「ヘムドメイン」が含まれる。 本明細書で使用される場合、「ヘムドメイン」という用語は、モノオキシゲナーゼ/ヒドロキシラーゼ活性を示すポリペプチドの触媒機能を持つ領域を意味する。 ヘムドメインは、ポルフィリンなどの鉄錯体構造を結合する能力を持つ酸化還元ドメインである。 鉄化合物は典型的には、側鎖組成において異なりうるポルフィリン(テトラピロール)環内で錯体を形成している。 ヘム群は、シトクロムの補欠分子族でもよく、大多数の酸素担体タンパク質に見られる。 典型的なヘムドメインには、P450 BM-3のヘムドメイン(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1〜約455)のほか、鉄錯体構造を結合する能力を保持するトランケート型または変異型も含まれる。 当業者であれば、当技術分野において公知の方法を用いて、特定のタンパク質のヘムドメインを容易に特定することができる。 したがって、当業者であれば、アミノ酸残基1〜「約」または「凡そ」430とは、当技術分野の当業者により決定される特定値の許容される誤差範囲内を意味し、その一部は値が測定または決定される方法、即ち測定システムの限界に左右されることを認識できる。 例えば、「約」は、ヘムドメインまたはレダクターゼドメインにおけるアミノ酸残基の数などの任意の値の最高20%、最高10%、最高5%、最高1%の範囲を意味し得る。

    本明細書では互換的に使用される「タンパク質」または「ポリペプチド」は、ペプチド結合と呼ばれる化学結合により結合されたアミノ酸と呼ばれる化学的成分の1つ以上の鎖から構成される。 「酵素」は、1つ以上の化学的または生物化学反応を多かれ少なかれ具体的に触媒または促進する完全または主にタンパク質から構成される物質を意味する。 「酵素」という用語はまた、触媒ポリヌクレオチド(例えば、RNAまたはDNA)も意味する。 「天然」または「野生型」タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞は、天然に存在するタンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、遺伝子、または細胞を意味する。

    図6A - 6FにおけるさまざまなシトクロムP450の配列比較に関して、配列番号1には巨大菌から単離されたシトクロムP450 BM-3のアミノ酸配列を含む。 この野生型P450 BM-3はまたCYP102A1と指定される。 配列番号2は、枯草菌株1A1.15からの野生型シトクロムのアミノ酸配列を提供する。 この野生型P450はCYP102A2と指定され、CYP102A1(配列番号1)に対するアミノ酸配列同一性は59%である。 配列番号3は、枯草菌株1A1.15からの野生型シトクロムP450のアミノ酸配列を含む。 この野生型P450はCYP102A3と指定され、CYP102A1(配列番号1)に対するアミノ酸配列同一性は58%である。 配列番号4は、セレウス菌からの野生型シトクロムP450のアミノ酸配列を含む。 この野生型P450はCYP102A5と指定され、CYP102A1(配列番号1)に対するアミノ酸配列同一性は60%である。 配列番号5は、ジクロロメタン分解菌からの野生型シトクロムP450のアミノ酸配列を含む。 この野生型P450はCYP102E1と指定され、CYP102A1(配列番号1)に対するアミノ酸配列同一性は38%である。 配列番号6は、ブラディリゾビウム・ジャポニクムからの野生型シトクロムP450のアミノ酸配列を含む。 この野生型P450はCYP102A6と指定され、CYP102A1(配列番号1)に対するアミノ酸配列同一性は38%である。

    配列番号1〜6に定めるシトクロムP450は密接に相互関連しており、高度の配列同一性を示す。 配列は、配列相同性に基づきアラインメントすることができる。 図6A - 6Fに提供するアラインメントは、配列における「等価位置」を同定する。 等価位置は、双方に共通するアミノ酸残基の並置を達成するために、問題の親シトクロムP450の配列と問題の「基準」シトクロムP450アミノ酸配列(例えば、配列番号1)とのアラインメントを根拠として、問題の基準配列における特定の位置に最も密接に対応する位置を意味する。 この過程により、配列にギャップまたは挿入が現れる場合がある。 図6A〜6Fまたは図31A〜31Cのアラインメントでは、等価位置は互いに垂直に並んだ形で示される。 例えば、配列番号1における87位は、配列番号2および3における88位および配列番号 4における89位と等価である。 図6A〜6F、また特に図31A〜31Cに示すとおり、ヘムドメインにおける同一性は、ヘムドメインとレダクターゼドメイン間のリンカー領域の大きな違い(〜残基470)のため、多くの場合は報告されるよりも高い(Gonindaraj & Poulos, J. Biol. Chem. 272:7915を参照)。

    本明細書では、さまざまなアルカンをアルコールに水酸化する能力を持つ新規修飾シトクロムP450酵素を提供する(例えば、メタノールを形成するメタン)。 ヘムドメインはこの反応を行えるため、別の資源からシトクロムP450を製造しても類似の結果につながることが期待される。 当技術分野においては、特定の効果(例えば、新規基質に対する活性を与える)を持つアミノ酸置換は、密接に関連するタンパク質でも同様の効果を持ちうることがよく知られている。 例えば、図6A〜6Fに示すこれらの4つのホモログおよび35-E11のアラインメントは、4つのシトクロムP450の間、特にヘムドメインにおいて高い配列類似性を示す。 複数の場合において、これらの酵素の等価位置にアミノ酸置換は、機能に対して等価効果を持つことが示されてきた。 例えば、CYP102A1のAによるF87の置換は、酵素のペルオキシゲナーゼ活性を高める。 CYP102A2およびCYP102A3における等価位置の同一置換はF88Aであり、ペルオキシゲナーゼを高めるという同一の効果がある。 31 Appel et al.は、CYP102A1におけるA74G、F87AおよびL188Qはともに、オクタンおよびナフタレンを水酸化するように酵素の基質範囲を広げることを示した。 Lentz et al.は、CYP102A3における等価位置、F88からV、およびS188からQに置換することで(すでにGが存在する位置のためA74Gでは置換は不要であった)オクタンおよびナフタレンを水酸化する能力が与えられる、という類似の効果があったことを実証した。 そのため、この経験を根拠として、メタン水酸化活性を与えると本明細書でCYP102A2について記載したものに同等の置換は、CYP102A2、CYP102A3ならびにセレウス菌などCYP102Aに対して高い同一性(55%以上)を持つ別のシトクロムP450でも同様の効果がある、と推定するのは道理に適う。 さらに、これらのP450酵素は、メタン水酸化活性を取得および/または高めるための本明細書に記載される技法およびスクリーニングを用いて、数回の指向進化を受けさせることができる。 関連のないβ-プロテオバクテリアジクロロメタン分解菌(CYP102E1)およびグラム陰性菌ブラディリゾビウム・ジャポニクム(CYP102A6)からのP450を含め、BM-3と類似のドメインアーキテクチャを持つ、密接な関連性がより低いシトクロムP450もまた文献で報告されており、メタン酸化のために同様に操作できる可能性がある(これらの二つのP450における対応する突然変異については図6A〜6Fおよび表4を参照)。

    したがって、さまざまな実施例において、配列番号1、2、3、4、5または6に定めるアミノ酸初列の残基1〜約455を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドには、以下の残基を除いて最高50、25、10、または5個の同類アミノ酸置換を含む:(a)配列番号1の残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、および353、(b)配列番号2または配列番号3の残基48、79、83、95、143、176、185、206、227、238、254、257、292、330、および355、(c)配列番号4の残基49、80、84、96、144、177、186、207、228、239、255、258、293、331、および357、(d)配列番号5の残基54、85、89、101、149、182、191、212、232、243、259、262、297、336、および361、ならびに(e)配列番号6の残基51、82、86、98、146、179、188、208、231、242、258、262、296、337、および363。 アミノ酸配列には、以下の位置に以下の残基を含む:
    (1)以下の位置にZ1アミノ酸残基:(a)配列番号1の47、82、142、205、236、252、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の48、83、143、206、238、254、および257位、(c)配列番号4の49、84、144、207、239、255、および258位、(d)配列番号5の54、89、149、212、243、259、および262位ならびに(e)配列番号6の51、86、146、208、242、258、および262位、
    (2)以下の位置にZ2アミノ酸残基:(a)配列番号1の94、175、184、290、および353位、(b)配列番号2または配列番号3の95、176、185、292、および355位、(c)配列番号4の96、177、186、293、および357位、(d)配列番号5の101、182、191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の98、179、188、296、および363位、
    (3)以下の位置にZ3アミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、および(e)配列番号6の231位、および (4)以下の位置にZ4アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、および(e)配列番号6の82および337位。

    その他の実施形態において、ポリペプチドはさらに以下の位置にZ3アミノ酸残基を含む:(a)配列番号1の285位、(b)配列番号2または配列番号3の287位、(c)配列番号4の288位、(d)配列番号5の292位、および(e)配列番号6の291位。 Z3アミノ酸残基には、リシン(K)、アルギニン(R)、またはヒスチジン(H)が含まれる。 幾つかの態様において、この位置にアミノ酸残基はアルギニン(R)である。

    幾つかの実施形態において、ポリペプチドはさらに、上記の一つまたは複数の残基置換に加え、配列番号1の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリン、443位にアラニン、698位にグリシン、配列番号2での53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、445位にアラニン、709位にグリシン、配列番号3の53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、445位にアラニン、701位にグリシン、配列番号4の55位にイソロイシン、77位にグルタミン酸、191位にプロリン、371位にバリン、448位にアラニン、813位にグリシン、配列番号5での59位にイソロイシン、81位にグルタミン酸、195位にプロリン、374位にバリン、452位にアラニン、811位にグリシン、配列番号6の56位にイソロイシン、78位にグルタミン酸、192位にのプロリン、376位にバリン、455位にアラニン、821位にグリシン、および配列番号7の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリン、443位にアラニン、698位にグリシンを含む。

    特定の配列の「同類アミノ酸置換」または単に「保存的変異」は、一つのアミノ酸または一連のアミノ酸を、実質的に同一のアミノ酸配列で置き換えることを意味する。 当業者であれば、コードされた配列において単一のアミノ酸または一連のアミノ酸を改変、付加または欠失する個々の置換、欠失または付加が、「保存的変異」を結果的に生むことを認識できる(ここで改変は化学的に類似するアミノ酸を伴うアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、またはアミノ酸の置換を生じる)。

    機能的に類似するアミノ酸を提供する同類置換表は、当技術分野において周知である。 例えば、一つの同類置換群には、アラニン(A)、セリン(S)、およびトレオニン(T)を含む。 別の同類置換群には、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)がある。 別の同類置換群には、アスパラギン(N)およびグルタミン(Q)がある。 また別の同類置換群には、アルギニン(R)およびリシン(K)を含む。 別の同類置換群には、イソロイシン、(I)ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)がある。 別の同類置換群には、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、およびトリプトファン(W)がある。

    そのため、列挙したポリペプチド配列(例えば、配列番号1〜6)の「同類アミノ酸置換」には、ポリペプチド配列のアミノ酸のある割合、典型的には10%未満を、同じ同類置換群から保存的に選定されたアミノ酸で置換することが含まれる。 したがって、本発明のポリペプチドの同類置換される変異は、同じ同類置換群からの同類置換された変異との100、75、50、25、または10個の置換を含むことができる。

    非機能または非コード配列の追加など核酸分子のコードされる活性を変えない配列の追加は、塩基核酸の保存的変異であることが理解される。 酵素の「活性」は、反応を触媒する能力、すなわち「機能する」能力を測り、反応生成物の生成速度で表わされる。 例えば、酵素活性は、単位時間当たりまたは酵素単位当たり(例えば、濃度または重量)、または親和性または解離定数という点から、形成される生成物量として示し得る。 本明細書において互換的に使用される「シトクロムP450活性」、「シトクロムP450の生物活性」または「シトクロムP450の機能活性」は、標準方法にしたがってin vivoまたはin vitroで決定されるシトクロムP450ポリペプチド基質に対するシトクロムP450タンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子の活性を意味する。 シトクロムP450の生物活性が本明細書に説明されている。

    当業者であれば、開示された核酸構築物の多くの保存的変異は機能的に同一の構築物を生産することを認識できる。 例えば、遺伝子コードの縮重による、「サイレント置換」(すなわち、コードされたポリペプチドの改変を生じない核酸配列における置換)は、アミノ酸をコードするすべての核酸配列の黙示的な特徴である。 同様に、アミノ酸配列における一つまたは数個のアミノ酸での「同類アミノ酸置換」は、高い類似特性を持つ異なるアミノ酸により置換され、また、開示された構築物を高い類似性を持つことが簡単に同定される。 開示された各配列の該保存的変異は、本明細書に提供するポリペプチドの特徴である。

    当業者であれば、遺伝子コードの縮重により、本発明の修飾P450ポリペプチドをコードする複数のヌクレオチド配列を形成することができ、その一部は本明細書で明示的に開示した核酸配列と実質的な同一性を持つことを認識できる。 例えば、コドンAGA、AGG、CGA、CGC、CGG、およびCGUはすべてアミノ酸アルギニンをコードする。 そのため、アルギニンがコドンによって指定される本発明の核酸の各位置において、コードされたポリペプチドを改変させることなく、コドンを先述の対応するコドンに改変させることができる。 RNA配列のUは、DNA配列のTに対応することが理解される。

    「保存的変異」は、極性または非極性、サイズ、形状および荷電を含む類似の特性を持つアミノ酸による置換えを含むがこれらに限定されない、タンパク質または酵素の全体的な配座および機能を変えることなく、任意のアミノ酸残基を変化させたタンパク質または酵素である。 保存的と指定されるもの以外のアミノ酸は、類似の機能を持つ2つのタンパク質間のタンパク質またはアミノ酸配列のパーセント類似性が異なるようにタンパク質または酵素において異なる場合があり、また、例えばアラインメントスキームにしたがって決定されるように、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%でありうる。 本明細書において言及される場合、「配列類似性」は、ヌクレオチドまたはタンパク質の配列が関連する程度を意味する。 2つの配列間の類似性の程度は、パーセント配列同一性および/または保存性に基づく。 本明細書における「配列同一性」は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列が不変である程度を意味する。 「配列アラインメント」は、類似性の程度を評価する目的で最大レベルの同一性(またアミノ酸配列の場合は保存)を達成するために、2つ以上の配列を並列させる過程を意味する。 配列のアラインメントおよび類似性/同一性の評価に対する多数の方法が当技術分野において公知であり、これには例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づくCluster方法のほか、BLASTN、BLASTP、およびFASTA(Lipman and Pearson、1985年; Pearson and Lipman、1988年)がある。 これらのプログラムをすべて使用する場合、好適な設定は最も高い配列類似性を結果的に生む設定である。

    特定のポリペプチドの非保存的修飾は、同類置換と特徴付けられていないアミノ酸を置換するものである。 例えば、前記で定めた6つの群の境界を超える置換である。 これには、中性アミノ酸に対する塩基または酸性アミノ酸の置換、(例えば、Val、Ile、LeuまたはMetについてはAsp、Glu、Asn、またはGln)、塩基または酸性アミノ酸に対する芳香族アミノ酸(例えば、Asp、Asn、GluまたはGlnについてはPhe、TyrまたはTrp)または同様のアミノ酸でアミノ酸を置き換えない別の置換が含まれる。 塩基側鎖には、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)があり、酸性側鎖にはアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)があり、電荷を持たない極性側鎖にはグリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、システイン(C)があり、非極性側鎖にはアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)があり、β分岐型側鎖にはトレオニン(T)、バリン(V)、イソロイシン(I)があり、芳香族側鎖にはチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)がある。

    したがって、ポリペプチド内の特定の位置にアミノ酸残基によっては、同類アミノ酸置換から「除外」される。 代わりに、これらの制限されたアミノ酸は一般に、「Z」群から選ばれる。 「Z」群とは、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、およびZ6に指定されたアミノ酸群である。 これらのアミノ酸残基は、修飾型または変異型ポリペプチドを得るために指定された位置で置換し得る。 ある程度の重複は発生するかもしれないが、各「Z」群のメンバーは上記で定義する「同類アミノ酸置換」ではない。 「Z」群のメンバーは、表4に定める置換に基づき設定される。 一般に、これらの突然変異は、指定された配列内の指定位置に非同類置換を表す。 例えば、一列目の最初のカラムに示すとおり、アルギニン(R)からシステイン(C)への置換は、配列番号1の位置47で行われる。 この置換は一般に、「同類」置換とは見なされない。 類似の置換は、ポリペプチドの活性を修飾するために、指定位置においてさまざまな配列全体を通して行われる。 該修飾は、アルカンなどの基質上で活性であるポリペプチドを形成するために行われる。 再び表4に関して言えば、親ポリペプチドをコードする核酸配列を修飾することで、親ポリペプチド(例えば、配列番号1、2、3、4、5または6)を修飾して特定の残基においてアミノ酸置換を含むことができる(核酸配列の就職に関する追加情報については以下を参照)。 修飾されたP450の領域は、表4の左側で特定される。 特定の置換を、表4全体で特定している。 したがって、「Z」群は、以下のとおり特定される:Z1アミノ酸残基にはグリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、またはシステイン(C)を含み、Z2アミノ酸残基にはアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、またはメチオニン(M)を含み、Z3アミノ酸残基にはリシン(K)、またはアルギニン(R)を含み、Z4アミノ酸残基にはチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、またはヒスチジン(H)を含み、Z5アミノ酸残基にはトレオニン(T)、バリン(V)、およびイソロイシン(I)を含み、Z6アミノ酸残基にはアスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)を含む。

    したがって、本明細書で提供するポリペプチドには、特定のアミノ酸置換に「限定された」アミノ酸を含みうる。 例えば、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、および353は、以下および本明細書全体で定義する「Z」群で定めた置換に限定される。 特定された限定残基すべてを同じポリペプチドで改変させる必要はないことが理解される。 幾つかの実施形態において、本発明では限定されたアミノ酸残基の約80%、85%、90%または95%のみを任意のポリペプチドにおいて改変し得るポリペプチドを網羅している。

    各「Z」群のメンバーの残基は、指定されたポリペプチドの適切な位置に含みうる。 したがって、別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にグリシン(G)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、またはシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47、82、142、205、236、252、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の48、83、143、206、238、254、および257位、(c)配列番号4の49、84、144、207、239、255、および258位、(d)配列番号5の54、89、149、212、243、259、および262位ならびに(e)配列番号6の51、86、146、208、242、258、および262位、
    (2)以下の位置にバリン(V)またはイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94、175、184、290、および353位、(b)配列番号2または配列番号3の95、176、185、292、および355位、(c)配列番号4の96、177、186、293、および357位、(d)配列番号5の101、182、191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の98、179、188、296、および363位、
    (3)以下の位置にアルギニンアミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、ならびに(e)配列番号6の231位、
    (4)以下の位置にフェニルアラニン(F)またはヒスチジン(H)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、ならびに(e)配列番号6の82および337位。

    別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にセリン(S)残基:(a)配列番号1の82、142、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の83、143および257位、(c)配列番号4の84、144、および258位、(d)配列番号5の89、149、および262位、ならびに(e)配列番号6の86、146および262位、
    (2)以下の位置にシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47および205位、(b)配列番号2または配列番号3の48および206位、(c)配列番号4の49および207位、(d)配列番号5の54および212位、および(e)配列番号6の51および208位、
    (3)以下の位置にグルタミン(Q)アミノ酸残基:(a)配列番号1の236位、(b)配列番号2または配列番号3の238位、(c)配列番号4の239位、(d)配列番号5の243位、ならびに(e)配列番号6の242位、
    (4)以下の位置にグリシン(G)アミノ酸残基:(a)配列番号1の252位、(b)配列番号2または配列番号3の254位、(c)配列番号4の255位、(d)配列番号5の259位、ならびに(e)配列番号6の258位、
    (5)以下の位置にバリン(V)アミノ酸残基:(a)配列番号1の184、290および353位、(b)配列番号2または配列番号3の185、292、および355位、(c)配列番号4の186、293および357位、(d)配列番号5の191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の188、296、および363位、
    (6)以下の位置にイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94および175位、(b)配列番号2または配列番号3の95および176位、(c)配列番号4の96および177位、(d)配列番号5の101および182位、ならびに(e)配列番号6の98および179位、および
    (7)以下の位置にフェニルアラニン(F)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、ならびに(e)配列番号6の82および337位。

    幾つかの実施形態において、ポリペプチドはさらに、前記の一つまたは複数の残基置換に加え、配列番号1の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリン、443位にアラニン、698位にグリシン、配列番号2の53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、配列番号3の53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、配列番号4の55位にイソロイシン、77位にグルタミン酸、191位にプロリン、371位にバリン、配列番号5の59位にイソロイシン、81位にグルタミン酸、195位にプロリン、374位にバリン、配列番号6の56位にイソロイシン、78位にグルタミン酸、192位にのプロリン、376位にバリン、および配列番号7の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリンを含む。

    ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または別の成分は、通常これらが関連する成分(別のタンパク質、核酸、細胞、合成試薬など)から部分的または完全に分離される場合に、「単離された」ことになる。 核酸またはポリペプチドは、人工的または工学的タンパク質または核酸に由来する場合に、「組換え」されたことになる。 例えば、自然に存在する場合は通常ポリヌクレオチドに隣接するヌクレオチド配列との関連がないように、ベクターまたは例えば組換え生物のゲノム中など別の異種の場所に挿入されるポリヌクレオチドは、組換えポリヌクレオチドである。 組換えポリヌクレオチドからin vitroまたはin vivoで発現されるタンパク質は、組換えポリペプチドの一例である。 同様に、例えば天然の遺伝子の変異型など、自然に出現しないポリヌクレオチド配列は組換え体である。 例えば、「単離された」核酸分子は、核酸の天然源において存在する別の核酸分子から分離されるものである。 例えば、ゲノムDNAに関して、「単離された」という用語は、ゲノムDNAが自然に関連する染色体から分離される核酸分子を含む。 典型的には、「単離された」核酸には、核酸が抽出されるもととなる生物のゲノムDNAにおいて、核酸に自然に隣接する配列(すなわち、核酸の5'および3'の末端に位置する配列)がない。 例えば、さまざまな実施例において、単離された核酸分子は、核酸が抽出されるもととなる細胞のゲノムDNA中の核酸分子に自然に隣接する、約5 kb、4kb、3kb、2kb、1 kb、0.5 kbまたは0.1 kb未満のヌクレオチド配列を含みうる。 さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え方法により形成された場合には別の細胞物質または培地が実質的にない、または化学合成された場合には化学的前駆物質または別の化学物質が実質的にない。

    「リンカー」領域および「レダクターゼ」ドメインの修飾は、P450ポリペプチドの領域に関連することが構想される。 「リンカー」領域は一般に、例えば配列番号1〜6の約450〜約480位の残基を含むものである。 さらに、「レダクターゼ」ドメインは一般に、配列番号1〜6の約470〜約1050位からの残基を含むものである。 表4に示すように、これらの残基においてアミノ酸置換を含むポリペプチドが提供される。 これらの置換は、「ヘム」ドメインでの置換と併せて行うか、またはヘムドメインの置換とは分けて行うことができる。

    したがって、また別の実施形態において、配列番号1の残基456〜1048、配列番号2の残基456〜1059、配列番号3の残基456〜1053、配列番号4の残基456〜1064、配列番号5の残基456〜1063、または配列番号6の残基456〜1077を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドには、以下の残基を除いて最高65、40、25、または10個が同類アミノ酸置換されるアミノ酸配列を含む:(a)配列番号1の残基464、631、645、710および968、(b)配列番号2の残基475、641、656、721および980、(c)配列番号3の467、634、648、713および972、(d)配列番号4の残基477、644、659、724および983、(e)配列番号5の残基472、640、656、723および985、ならびに(f)配列番号6の残基480、648、664、733および997。 アミノ酸配列には、以下の残基を含む:
    (1)以下の位置にZ1、Z3、Z4、またはZ5アミノ酸残基:(a)配列番号1の464位、(b)配列番号2の475位、(c)配列番号3の467位、(d)配列番号4の477位、(e)配列番号5の472位、および(f)配列番号6の480位、
    (2)以下の位置にZ1アミノ酸残基:(a)配列番号1の631および710位、(b)配列番号2の641および721位、(c)配列番号3の634および713位、(d)配列番号4の644および724位、(e)配列番号5の640および723位、ならびに(f)配列番号6の648および733位、
    (3)以下の位置にZ3アミノ酸残基:(a)配列番号1の645位、(b)配列番号2の656位、(c)配列番号3の648位、(d)配列番号4の659位、(e)配列番号5の656位、ならびに(f)配列番号6の664位、および (4)以下の位置にZ2アミノ酸残基:(a)配列番号1の968位、(b)配列番号2の980位、(c)配列番号3の972位、(d)配列番号4の983位、(e)配列番号5の985位、ならびに(f)配列番号6の997位。

    Z1はグリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、およびシステイン(C)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z2はアラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、およびメチオニン(M)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z3はリシン(K)、およびアルギニン(R)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、Z4はチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、およびヒスチジン(H)から成る群から選択されるアミノ酸残基であり、トレオニン(T)、バリン(V)、およびイソロイシン(I)から成る群から選択されるアミノ酸残基である。

    別の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸配列には、以下の位置に残基を含む:
    (1)以下の位置にグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)アミノ酸残基:(a)配列番号1の464位、(b)配列番号2の475位、(c)配列番号3の467位、(d)配列番号4の477位、(e)配列番号5の472位、および(f)配列番号6の480位、
    (2)以下の位置にアスパラギン(N)アミノ酸残基:(a)配列番号1の631位、(b)配列番号2の641位、(c)配列番号3の634位、(d)配列番号4の644位、(e)配列番号5の640位、および(f)配列番号6の648位、
    (3)以下の位置にアルギニン(R)アミノ酸残基:(a)配列番号1の645位、(b)配列番号2の656位、(c)配列番号3の648位、(d)配列番号4の659位、(e)配列番号5の656位、および(f)配列番号6の664位、および (4)以下の位置にトレオニン(T)アミノ酸残基:(a)配列番号1の710位、(b)配列番号2の721位、(c)配列番号3の713位、(d)配列番号4の724位、(e)配列番号5の723位、および(f)配列番号6の733位、および (5)以下の位置にリシン(L)アミノ酸残基:(a)配列番号1の968位、(b)配列番号2の980位、(c)配列番号3の972位、(d)配列番号4の983位、(e)配列番号5の985位、および(f)配列番号6の997位。

    本発明は、第一の供給源に由来するヘム触媒ドメインおよび第二の供給源に由来する電子移動ドメイン(例えば、レダクターゼドメイン)を含むキメラポリペプチドの合成を構想している。 第一の供給源および第二の供給源は、由来する属または種ごとに異なるか、互いに同じ種から由来するが同じ種の異なる細胞小器官また部分から由来する場合がある。 一般に、電子移動ドメインはヘムレダクターゼドメインである。

    したがって、全長P450ポリペプチドの変異型の提供に加え、 1)第一の生物から単離された変異型ヘムドメインで、新規活性を含むように修飾されたもの、および2)第二の生物から単離された変異型レダクターゼドメインで、新規活性またはヘムドメインを相補する活性を含むように修飾されたものを含むキメラポリペプチドが提供される。 本発明のキメラポリペプチドを操作する方法は、米国特許出願公開第20050124025号で開示されており、その内容を参照により本明細書に組み込む。

    別の実施形態において、配列番号1、2、3、4、5または6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 ポリペプチドは、以下の位置に対応するアミノ酸配列内のアミノ酸残基を含み、アミノ酸配列において以下で指定される位置の少なくとも80%、85%、90%、または95%のアミノ酸残基が存在する:
    (1)以下の位置にセリン(S)残基:(a)配列番号1の82、142、および255位、(b)配列番号2または配列番号3の83、143および257位、(c)配列番号4の84、144、および258位、(d)配列番号5の89、149、および262位、ならびに(e)配列番号6の86、146および262位、
    (2)以下の位置にシステイン(C)アミノ酸残基:(a)配列番号1の47および205位、(b)配列番号2または配列番号3の48および206位、(c)配列番号4の49および207位、(d)配列番号5の54および212位、ならびに(e)配列番号6の51および208位、
    (3)以下の位置にグルタミン(Q)アミノ酸残基:(a)配列番号1の236位、(b)配列番号2または配列番号3の238位、(c)配列番号4の239位、(d)配列番号5の243位、および(e)配列番号6の242位、
    (4)以下の位置にグリシン(G)アミノ酸残基:(a)配列番号1の252位、(b)配列番号2または配列番号3の254位、(c)配列番号4の255位、(d)配列番号5の259位、および(e)配列番号6の258位、
    (5)以下の位置にバリン(V)アミノ酸残基:(a)配列番号1の184、290および353位、(b)配列番号2または配列番号3の185、292、および355位、(c)配列番号4の186、293および357位、(d)配列番号5の191、297、および361位、ならびに(e)配列番号6の188、296、および363位、
    (6)以下の位置にイソロイシン(I)アミノ酸残基:(a)配列番号1の94および175位、(b)配列番号2または配列番号3の95および176位、(c)配列番号4の96および177位、(d)配列番号5の101および182位、ならびに(e)配列番号6の98および179位、
    (7)以下の位置にフェニルアラニン(F)アミノ酸残基:(a)配列番号1の78および328位、(b)配列番号2または配列番号3の79および330位、(c)配列番号4の80および331位、(d)配列番号5の85および336位、ならびに(e)配列番号6の82および337位、および (8)以下の位置にアルギニン(R)アミノ酸残基:(a)配列番号1の226位、(b)配列番号2または配列番号3の227位、(c)配列番号4の228位、(d)配列番号5の232位、および(e)配列番号6の231位。

    その他の実施形態において、ポリペプチドはさらに以下の位置にZ3アミノ酸残基を含む:(a)配列番号1の285位、(b)配列番号2または配列番号3の287位、(c)配列番号4の288位、(d)配列番号5の292位、および(e)配列番号6の291位。 Z3アミノ酸残基には、リシン(K)、アルギニン(R)、またはヒスチジン(H)が含まれる。 幾つかの態様において、この位置のアミノ酸残基はアルギニン(R)である。

    幾つかの実施形態において、ポリペプチドはさらに、前記の一つまたは複数の残基置換に加え、配列番号1の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリン、443位にアラニン、698位にグリシン、配列番号2の53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、配列番号3の53位にイソロイシン、75位にグルタミン酸、189位にプロリン、368位にバリン、配列番号4の55位にイソロイシン、77位にグルタミン酸、191位にプロリン、371位にバリン、配列番号5の59位にイソロイシン、81位にグルタミン酸、195位にプロリン、374位にバリン、配列番号6の56位にイソロイシン、78位にグルタミン酸、192位にプロリン、376位にバリン、および配列番号7の52位にイソロイシン、74位にグルタミン酸、188位にプロリン、366位にバリンを含む。

    したがって、幾つかの実施形態において、本明細書で提供するポリペプチドは、少なくとも80%、85%、90%、または95%の確率で特定の配列における位置に対応するアミノ酸残基置換を含む。 つまり、本発明は所定の配列内の列挙された位置の80%、85%、90%、または95%において列挙されたアミノ酸置換を含有するポリペプチドを含む。 当業者ならば、アルカン基質上で活性のある修飾ポリペプチドを得るには、置換群からのすべての置換が必要なわけではないことを認識できる。

    別の実施形態において、配列番号7に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号7(図14を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型はまた、35-E11と指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号8に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号8(図15を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型は35-E11-E464Rと指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号9に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号9(図16を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型は35-E11-E464Yと指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号10に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号10(図17を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型は35-E11-E464Tと指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    また別の実施形態において、配列番号7、8、9または10のポリペプチドには、さらに必要に応じてアミノ酸残基285位にアルギニン(R)を含む。

    別の実施形態において、配列番号11に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号11(図18を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型はまた、20-D3と指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、285、290、328、353、464、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号12に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号12(図19を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型は23-1Dと指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、645および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号13に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号13(図20を参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型は21-4Gと指定される。 ポリペプチドには、残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、631、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、配列番号125に定めるアミノ酸配列を含む単離または組換えポリペプチドが提供される。 配列番号125(図21Bを参照)は、P450 BM-3変異型のアミノ酸配列を提供する。 この変異型はまた、P450 PMOと指定される。 ポリペプチドには、残基47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366、443、464、698、および710を除いた、最高で75、50、25、または10個の同類アミノ酸置換を含みうる。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号7に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号7に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、(c)配列番号7のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて当該アミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド、または(d)配列番号7のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、BLOSUM62マトリクス、ギャップ存在ペナルティ11、およびギャップ伸長ペナルティ1を用いて、少なくとも1830の類似性スコアを生じるように配列番号7の配列に任意にアラインメントできるアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号8に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号8に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号8のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号8に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号9に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号9に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号9のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号9に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号10に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号10に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号10のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号10に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号11に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号11に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号11のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、 285、290、328、353、464、および710を除いて、配列番号11に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号12に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号12に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号12のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、645、および710を除いて、配列番号12に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号13に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号13に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号13のアミノ酸残基47、78、82、94、142、175、184、205、226、236、252、255、290、328、353、464、631、および710を除いて、配列番号13に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    別の実施形態において、本発明の単離または組換えポリペプチドには以下を含む:(a)配列番号125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(b)配列番号125に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチド、または(c)配列番号125のアミノ酸残基47、52、74、78、82、94、142、175、184、188、205、226、236、252、255、290、328、353、366、443、464、698、および710を除いて、配列番号125に定めるアミノ酸配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%、または98%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むポリペプチド。

    本明細書における「配列同一性」は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列が不変である程度を意味する。 「配列アラインメント」は、類似性の程度を評価する目的で最大レベルの同一性(またアミノ酸配列の場合は保存)を達成するために、2つ以上の配列を並列させる過程を意味する。 配列のアラインメントおよび類似性/同一性の評価のための多数の方法が当技術分野において公知であり、これには例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づくCluster方法のほか、BLASTN、BLASTP、およびFASTA(Lipman and Pearson、1985年; Pearson and Lipman、1988年)がある。 これらのプログラムをすべて使用する場合、好適な設定は最も高い配列類似性を結果的に生む設定である。 例えば、アラインメントされたアミノ酸配列の特定のペアに関する「同一性」または「パーセント同一性」は、ClustalW分析により得られるアミノ酸配列同一性の割合を意味し(バージョンW 1.8は英国ケンブリッジの欧州バイオインフォマティクス研究所より入手可能)、アラインメントにおける完全な一致数を数え、この完全な一致数を(i)アラインメントされた配列の長さ、および(ii)96のうちより大きな方で割り、以下のデフォルトClustalWパラメータを用いて緩慢/正確なペアワイズアラインメントを達成する--ギャップオープンペナルティ:10;ギャップ伸長ペナルティ:0.10;タンパク質重量マトリクス:Gonnetシリーズ;DNA重量マトリクス:IUB;トグルスロー/ファストペアワイズアラインメント=SLOWまたはFULLアラインメント。

    2つの配列は、その配列ペアにとって最高のスコアに到達するように、定義されるアミノ酸置換マトリクス(例えば、BLOSUM62)、ギャップ存在ペナルティおよびギャップ伸長ペナルティを用いて、類似性スコアリングのためにアラインメントされる場合に「最適にアラインメント」される。 2つの配列間の類似性を定量化する上でのアミノ酸置換マトリクスおよびその使用は、当技術分野では公知であり、例えばDayhoff et al. (1978年)「A model of evolutionary change in proteins」(右記に掲載)、「Atlas of Protein Sequence and Structure」Vol. 5, Suppl. 3 (ed. MO Dayhoff), pp. 345-352. Natl. Biomed. Res. Found., Washington, DCおよびHenikoff et al.(1992年)Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919(各自を参照により組み込む)に説明がある。 BLOSUM62マトリクス(図10)は、Gapped BLAST 2.0などの配列アラインメントプロトコルにおけるデフォルトスコアリング置換マトリクスとしてしばしば使用される。 ギャップ存在ペナルティは、アラインメントされた配列の一つにおける単一アミノ酸ギャップの導入に対して課せられ、ギャップ伸長ペナルティはすでに開いたギャップに挿入される追加的な空のアミノ酸位置それぞれに対して課せられる。 アラインメントは、可能な限り高いスコアに到達するために、一つまたは両方の配列における一つまたは複数のギャップの最適な挿入により、アラインメントが開始・終了する各配列内のアミノ酸位置によって定義される。 最適なアラインメントおよびスコアリングは手動で達成し得るが、この過程はAltschul et al.(1997年)Nucl. Acids Res. 25: 3389-3402(参照により本明細書に組み込む)に記載するコンピュータ制御アラインメントアルゴリズム、例えば Gapped BLAST 2.0などの使用によってさらに促進され、国立生物工学情報センター(NCBI)ウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov)から一般に利用できるようになっている。 多重アラインメントを含む最適なアラインメントは、例えばNCB1ウェブサイトから利用できるPSI-BLASTや、Altschul et al.(1997年)Nucl. Acids Res. 25:3389-3402(参照により本明細書に組み込む)で記載されるものを用いて準備することができる。

    基準配列と最適にアラインメントされたアミノ酸配列に関して、アミノ酸残基は残基がアラインメントにおいてペア化される基準配列内の位置「に対応する」。 「位置」は、N末端に対する位置に基づき基準配列内の各アミノ酸を連続的に特定する数を意味する。 例えば、配列番号1において、1位はTであり、2位はIであり、3位はKである。 テスト配列が配列番号1と最適にアラインメントされた場合、3位でKとアラインメントするテスト配列内の残基は、配列番号1の「3位に対応する」と言える。 最適なアラインメントを決定する際に考慮する必要のある欠失、挿入、切断、融合などを理由として、一般に、単にN末端から数えて決定されるテスト配列内のアミノ酸残基の数は、必ずしも基準配列内での対応する位置の数と同じではない。 例えば、アラインメントされたテスト配列内において欠失がある場合は、欠失部位である基準配列内の位置に対応するアミノ酸はない。 アラインメントされた基準配列内に挿入がある場合は、該挿入は基準配列内のアミノ酸位置には対応しない。 切断または融合の場合には、対応する配列内のアミノ酸に対応しない基準配列またはアラインメントされた配列のいずれかにおいて一続きのアミノ酸が存在する可能性がある。

    別の実施形態において、単離された核酸分子が提供される。 一つの態様において、本発明は本明細書では「P450ポリヌクレオチド」または「P450核酸分子」と呼ばれる、単離または組換えポリヌクレオチドの新規ファミリーを提供する。 P450ポリヌクレオチド配列は、P450ポリペプチドをコードする能力により特徴付けられる。 一般に、本発明には、本明細書に説明する新規P450ポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を含む。 本発明の幾つかの態様において、アルカンに対する活性によってP450変異型ポリペプチドをコードするP450ポリヌクレオチドが提供される。 「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」および「核酸分子」という用語は、関連する文脈によるが、ヌクレオチドのポリマー(A、C、T、U、Gなどまたは天然または人工的なヌクレオチド類似体)、例えばDNAまたはRNA、またはそれらを表示するもの、例えば文字列などを意味するものとして使用される。 所定のポリヌクレオチドまたは相補的ポリヌクレオチドは、任意の指定されたヌクレオチド配列から決定される。

    一つの態様において、P450ポリヌクレオチドは、例えば細菌株などの生物から単離された天然の核酸の組換えまたは単離された形態を含む。 典型的なP450ポリヌクレオチドには、配列番号1、2、3、4、5、または6に定める野生型ポリペプチドをコードするものを含む。 本発明の別の態様において、P450ポリヌクレオチドは、例えば一つまたは複数の天然の、単離または組換えP450ポリヌクレオチドの組換えおよび/または突然変異によって多様化することで生成される。 本明細書の別の部分で詳述するとおり、多様化過程において素材または親として使用されたP450ポリヌクレオチドよりも例えば触媒機能の向上、安定性の向上、またはより高い発現レベルなどのより優れた機能特性を持つP450ポリペプチドをコードする多様化したP450ポリヌクレオチドを生成することは、多くの場合可能である。 典型的なP450ポリヌクレオチドには、配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるP450変異型ポリペプチドをコードするものを含む。

    本発明のポリヌクレオチドは、例えば本発明のP450ポリペプチドの組換え生産(すなわち発現)、および例えば新規および/または改善されたP450ホモログおよび同類のものを生成するための組換え反応または突然変異反応といったさらなる多様性を生むための素材として、さまざまな使用法がある。

    P450ポリヌクレオチドの特定の具体的、実質的および信頼性の高い有用性については、当該ポリヌクレオチドが充分なP450活性または変異型P450活性を有するポリペプチドをコードすることが必要とされないことと注記することが重要である。 例えば、活性酵素をコードしないP450ポリヌクレオチドは、望ましい機能特性(例えば、高catまたはk cat /K m 、低K m 、熱または別の環境要因に対する高安定性、高い転写速度または翻訳速度、タンパク質分解的切断に対する耐性など)を備えた、P450ポリヌクレオチド変異型または非P450ポリヌクレオチドに到達するための多様化手順において使用するために、親ポリヌクレオチドの貴重な資源となりうる。

    P450ポリペプチドおよびその変異型をコードするヌクレオチド配列を含むP450ポリヌクレオチド、P450ポリペプチドの断片、関連する融合タンパク質、またはその機能等価物は、細菌細胞などの適切な宿主細胞においてP450ポリペプチドの発現を導く組換えDNA分子において使用される。 遺伝子コードの固有の縮重により、実質的に同一または機能的に同等のアミノ酸配列をコードする別の核酸配列もまた、P450ポリヌクレオチドをクローニングおよび発現するために使用し得る。 「宿主細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸構築物を用いた形質転換しやすい細胞タイプを含む。 「形質転換」という用語は、宿主細胞が導入された遺伝子または配列を発現して望ましい物質、典型的には導入された遺伝子または配列によりコードされたタンパク質または酵素を生成するための、宿主細胞への外来(すなわち、外因性または細胞外)遺伝子、DNAまたはRNA配列の導入を意味する。 導入された遺伝子または配列は、開始、終了、プロモーター、シグナル、分泌、または細胞の遺伝機構により使用される別の配列などの調節配列または制御配列を含みうる。 導入されるDNAまたはRNAを受け取り発現する宿主細胞は「転換され」、「形質転換細胞」または「クローン」である。 宿主細胞に導入されたDNAまたはRNAは、宿主細胞と同じ属または種の細胞、あるいは異なる属または種の細胞を含む任意の資源に由来し得る。

    当業者には知られているように、特定の宿主では、その発現を増強するためにコード配列を修飾することが有利となり得る。 遺伝コードは64の潜在的コドンを持ち重複しているが、ほとんどの生物は、一般にこれらのコドンのサブセットを使用する。 一種において最もよく使用されるコドンは最適コドンと呼ばれ、あまり使用されないものは希少または低使用頻度コドンとして分類される(例えば、Zhang et al. (1991年) Gene 105:61-72を参照。参照により本明細書に組み込む)。 コドンは、宿主の優先コドン使用頻度を反映するように代用することが可能で、このプロセスは時に「コドン最適化」または「種コドン偏向のための制御」と呼ばれる。

    原核生物または真核生物宿主によって好まれるコドンを含む最適化されたコード配列(Murray et al.(1989年)Nucl. Acids Res. 17:477-508参照)は、例えば翻訳速度を増すため、または非最適化配列から生成される転写産物と比べて半減期が長いなど、望ましい特性を持つ組換えRNA転写産物を生成するために作成され得る。 翻訳停止コドンは、宿主選択を反映するために修飾することもできる。 例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエおよび哺乳類の典型的停止コドンはそれぞれ、UAAおよびUGAである。 単子葉植物に対する好ましい停止コドンはUGAであり、その一方昆虫および大腸菌はUAAを停止コドンとして使用することを好む(Dalphin et al. (1996年) Nucl. Acids Res. 24: 216-218、参照により本明細書に組み込む)。 例えば、米国特許第6,015,891号およびその引用文献において、植物における発現のためのヌクレオチド配列の最適化方法が提供される(参照により本明細書に組み込む)。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子には以下を含む:(a)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(b)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子、(c)配列番号7または11に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(d)配列番号7、8、9、10、12、13または125に定めるアミノ酸配列の残基456〜約1088を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(e)配列番号15に定めるヌクレオチド配列を含む核酸分子、(f)配列番号15に定めるヌクレオチド配列から成る核酸分子、(g)配列番号17に定めるヌクレオチド配列を含む核酸分子、(h)配列番号17に定めるヌクレオチド配列から成る核酸分子。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子には以下を含む:(a)配列番号2または3に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)である;(b)配列番号2または3に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)である;(c)配列番号4に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基49および207はシステイン(C)であり、残基80および331はフェニルアラニン(F)であり、残基84、144、および258はセリン(S)であり、残基96および177はイソロイシン(I)であり、残基186、293、および357はバリン(V)であり、残基228はアルギニン(R)であり、残基239はグルタミン(Q)であり、残基255はグリシン(G)である;(d)配列番号4に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基49および207はシステイン(C)であり、残基80および331はフェニルアラニン(F)であり、残基84、144、および258はセリン(S)であり、残基96および177はイソロイシン(I)であり、残基186、293、および357はバリン(V)であり、残基228はアルギニン(R)であり、残基239はグルタミン(Q)であり、残基255はグリシン(G)である;(e)配列番号5に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基54および212はシステイン(C)であり、残基85および336はフェニルアラニン(F)であり、残基89、149、および262はセリン(S)であり、残基101および182はイソロイシン(I)であり、残基191、297、および361はバリン(V)であり、残基232はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基259はグリシン(G)である;(f)配列番号5に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基54および212はシステイン(C)であり、残基85および336はフェニルアラニン(F)であり、残基89、149、および262はセリン(S)であり、残基101および182はイソロイシン(I)であり、残基191、297、および361はバリン(V)であり、残基232はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基259はグリシン(G)である;(g)配列番号6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基51および208はシステイン(C)であり、残基82および337はフェニルアラニン(F)であり、残基86、146、および262はセリン(S)であり、残基98および179はイソロイシン(I)であり、残基188、296、および363はバリン(V)であり、残基231はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基258はグリシン(G)である;(h)配列番号6に定めるアミノ酸配列の残基1〜約455から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基51および208はシステイン(C)であり、残基82および337はフェニルアラニン(F)であり、残基86、146、および262はセリン(S)であり、残基98および179はイソロイシン(I)であり、残基188、296、および363はバリン(V)であり、残基231はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基258はグリシン(G)である。

    別の実施形態において、本発明の核酸分子には以下を含む:(a)配列番号2に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227、287、および656はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)であり、残基475はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基641はアスパラギン(N)であり、残基721はトレオニン(T)であり、および残基980はロイシンである;(b)配列番号2に定めるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227、287、および656はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)であり、残基475はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基641はアスパラギン(N)であり、残基721はトレオニン(T)であり、および残基980はロイシンである;(c)配列番号3に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227、287、および648はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)であり、残基467はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基634はアスパラギン(N)であり、残基713はトレオニン(T)であり、および残基972はロイシンである;(d)配列番号3に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基48および206はシステイン(C)であり、残基79および330はフェニルアラニン(F)であり、残基83、143、および257はセリン(S)であり、残基95および176はイソロイシン(I)であり、残基185、292、および355はバリン(V)であり、残基227、287、および648はアルギニン(R)であり、残基238はグルタミン(Q)であり、残基254はグリシン(G)であり、残基467はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基634はアスパラギン(N)であり、残基713はトレオニン(T)であり、および残基972はロイシンである;(e)配列番号4に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基49および207はシステイン(C)であり、残基80および331はフェニルアラニン(F)であり、残基84、144、および258はセリン(S)であり、残基96および177はイソロイシン(I)であり、残基186、293、および357はバリン(V)であり、残基228、288、および659はアルギニン(R)であり、残基239はグルタミン(Q)であり、残基255はグリシン(G)であり、残基477はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基644はアスパラギン(N)であり、残基724はトレオニン(T)であり、および残基983はロイシンである;(f)配列番号4に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基49および207はシステイン(C)であり、残基80および331はフェニルアラニン(F)であり、残基84、144、および258はセリン(S)であり、残基96および177はイソロイシン(I)であり、残基186、293、および357はバリン(V)であり、残基228、288、および659はアルギニン(R)であり、残基239はグルタミン(Q)であり、残基255はグリシン(G)であり、残基477はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基644はアスパラギン(N)であり、残基724はトレオニン(T)であり、および残基983はロイシンである;(g)配列番号5に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基54および212はシステイン(C)であり、残基85および336はフェニルアラニン(F)であり、残基89、149、および262はセリン(S)であり、残基101および182はイソロイシン(I)であり、残基191、297、および361はバリン(V)であり、残基232、292、および656はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基259はグリシン(G)であり、残基472はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基640はアスパラギン(N)であり、残基723はトレオニン(T)であり、および残基985はロイシンである;(h)配列番号5に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基54および212はシステイン(C)であり、残基85および336はフェニルアラニン(F)であり、残基89、149、および262はセリン(S)であり、残基101および182はイソロイシン(I)であり、残基191、297、および361はバリン(V)であり、残基232、292、および656はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基259はグリシン(G)であり、残基472はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基640はアスパラギン(N)であり、残基723はトレオニン(T)であり、および残基985はロイシンである;(i)配列番号6に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基51および208はシステイン(C)であり、残基82および337はフェニルアラニン(F)であり、残基86、146、および262はセリン(S)であり、残基98および179はイソロイシン(I)であり、残基188、296、および363はバリン(V)であり、残基231、291、および664はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基258はグリシン(G)であり、残基480はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基648はアスパラギン(N)であり、残基733はトレオニン(T)であり、および残基997はロイシンである;(j)配列番号6に定めるアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードする核酸分子で、該ポリペプチドが以下のアミノ酸残基を持つもの:残基51および208はシステイン(C)であり、残基82および337はフェニルアラニン(F)であり、残基86、146、および262はセリン(S)であり、残基98および179はイソロイシン(I)であり、残基188、296、および363はバリン(V)であり、残基231、291、および664はアルギニン(R)であり、残基243はグルタミン(Q)であり、残基258はグリシン(G)であり、残基480はグリシン(G)、アルギニン(R)、チロシン(Y)、またはトレオニン(T)であり、残基648はアスパラギン(N)であり、残基733はトレオニン(T)であり、および残基997はロイシンである。

    一つの実施形態において、本発明の核酸分子を含む単離された核酸分子および異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が提供される。

    「サイレント変異」は、「保存的に修飾された変異」の一種である。 当業者であれば、核酸内の各コドン(通常はメチオニンに対する唯一のコドンであるAUGを除く)は、機能的に同一のポリペプチドをコードするために標準方法により修飾できることを認識できる。 したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された配列に影響を与えない。 本発明は、可能なコドンの選択に基づき組み合わせを選択することで生成できる、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列のすべての変異を提供している。 これらの組み合わせは、本発明のP450ホモログポリペプチドをコードする核酸配列に該当する標準的なトリプレット遺伝子コードにしたがって行われる。 本明細書の各核酸のすべてのこのような変異は、遺伝子コードとの組み合わせによる配列を考慮して具体的に提供・記述されるものである。 本明細書で注記するとおり変異型を生成し得る。

    一般に、本発明には、本明細書に記載される突然変異、再帰的配列組換えおよび/またはポリヌクレオチド配列の多様化から抽出される、修飾P450ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを含む。 本発明の幾つかの態様において、ヘムドメインおよび/またはレダクターゼドメインなどのP450ポリペプチドは、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、挿入、または一つまたは複数のこれらのタイプの修飾を組み合わせて修飾される。 置換は保存的でも非保存的でもよく、機能を改変してもしなくてもよく、新規機能を追加してもよい。 挿入および欠失は、配列の実質的断片の切断、または内部またはNまたはC末端のいずれかでの追加配列の融合という場合のように、実質的なものでもあり得る。

    本発明の一つの態様は、修飾P450ポリペプチドまたはその生物活性のある部分をコードする単離された核酸分子に関連する。 本明細書で使用される場合、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)およびヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体を含むことが意図される。 核酸分子は一本鎖でも二本鎖でもよいが、二本鎖DNAが好ましい。

    本発明の核酸分子、例えば配列番号1〜13および125に定めるポリペプチドをコードする核酸分子や、配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列またはその部分を持つ核酸分子は、標準の分子生物方法および本明細書に記載の配列情報を用いて単離し得る。

    本発明の核酸は、cDNA、mRNAを用いて、または別の方法として、標準的なPCR増幅方法に従いテンプレートとしてゲノムDNAおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅し得る。 そのように増幅された核酸は、適切なベクターへとクローニングされ、DNA配列分析により特徴付けを行うことができる。 さらに、ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成方法、例えば自動DNA合成機を用いて調製することができる。 幾つかの実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1〜13および125に定めるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列を持つヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。 さらにまた別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1〜13および125に定めるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列の部分を持つヌクレオチド配列と少なくとも約50%、54%、55%、60%、62%、65%、70%、75%、78%、80%、85%、86%、90%、95%、97%、98%以上の同一性があるヌクレオチド配列を含む。

    当技術分野の当業者であれば、配列番号1〜13、および125に定めるポリペプチドをコードする、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列を持つヌクレオチド配列に加え、タンパク質のアミノ酸配列の変化につながるDNA配列多型が集団内に存在する場合があることを認識するであろう。 このような遺伝子多型は、天然の対立遺伝子の変異により、集団内の個々に存在してもよい。 このような天然の対立遺伝子の変異には、機能的および非機能的なタンパク質の両方を含み、典型的には遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変異を招き得る。 天然の対立遺伝子の変異の結果であり、タンパク質の機能活性を改変しない、遺伝子内におけるすべてのこのようなヌクレオチド変異および結果生じるアミノ酸多型は、本発明の範囲内であることが意図される。

    したがって、別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、ストリンジェント条件において、配列番号1〜13および125に定めるポリペプチドをコードする、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列を持つ、ヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズする。 別の実施形態において、核酸の長さは少なくとも30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、または600ヌクレオチドである。 一つのポリヌクレオチドの少なくとも一つの鎖が所定のストリンジェントな条件下において別のポリヌクレオチドにアニールできる場合に、核酸分子は互いに「ハイブリダイズ可能」である。 ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば(a)ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄が実施される温度、(b)ハイブリダイゼーションおよび洗浄液のイオン強度および極性(例えば、ホルムアミド)のほか別のパラメータにより決定される。 ハイブリダイゼーションでは、2つのポリヌクレオチドが実質的に相補的な配列を含むことが求められるが、ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で不一致が許容される場合もある。 典型的には、高ストリンジェンシー(例えば、65℃、0.5 X SSC水溶液)での2つの配列のハイブリダイゼーションには、配列がその配列全体にわたって高度の相補性を示すことが必要となる。 中程度のストリンジェンシー(例えば、65℃、2 X SSC水溶液)および低ストリンジェンシー(例えば、55℃、2 X SSC水溶液)の条件では、ハイブリダイズする配列間の全体的な相補性も対応して低い必要がある(1 X SSCは0.15 M NaCl、0.015 M Naクエン酸)。 ハイブリダイズする核酸分子には、適当なストリンジェンシー条件下でアニールしたり、本発明のアルカン(例えば、メタン)のアルコール(例えば、メタノール)への変換を触媒する能力など同じ機能を持つポリペプチドまたは酵素をコードするものが含まれる。 さらに、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする」という用語は、ヌクレオチド配列が互いに少なくとも30%、40%、50%、または60%の相同性を有し、典型的には互いにハイブリダイズされたままとなる、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明することを目的とする。 配列が互いに少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より一層好ましくは少なくとも約85%または90%の相同性を有し、典型的には互いにハイブリダイズされたままとなるような条件が好ましい。 場合によっては、ストリンジェントな条件下において配列番号1〜13、および125に定めるポリペプチドをコードする、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチドを持つ核酸配列をハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然の核酸分子に対応する。 本明細書で使用される場合、「天然の」核酸分子とは、天然の(例えば、天然タンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を持つRNAまたはDNA分子を意味する。

    当業者ならば、配列番号1〜13、および125に定めるポリペプチドをコードする、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列を持つ核酸配列のヌクレオチド配列内への突然変異によって変化を導入することができ、それゆえコードされたタンパク質のアミノ酸配列における変化につながることを認識できる。 場合によっては、改変はポリペプチドの改変された機能につながる。 別の場合では、変化はコードされたポリペプチドの機能を改変しない。 一般に、ポリペプチドの機能を改変しない置換には、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換につながるヌクレオチド置換を含む。 一般に、これらの置換は例えば、アルカンのアルコールへの酸化を触媒する酵素の能力を改変することなく、配列番号7〜13および125に定めるポリペプチドをコードする、または配列番号15〜18に定めるヌクレオチド配列を持つ配列において行い得る。 「非必須」アミノ酸残基とは、結果生じるポリペプチドの生物活性を改変することなく親配列を改変できる(例えばメタンのメタノールへの変換を触媒する)残基である。

    ポリペプチドが特定の基質上で新規または改善した活性を持つように、親ポリペプチドの活性を改変することが望ましい状況もまた意図されている。 これらのアミノ酸置換は一般に「保存的」置換には相当しないことが理解される。 その代わり、これらの置換は新規または改善された活性を得るために配列に導入される非同類置換に相当する。 例えば、表4(配列番号1〜6)に定めるポリペプチドは、親ポリペプチドの活性の変化に貢献する特定のアミノ酸置換を説明している。 配列番号1〜6はP450野生型ポリペプチドである。 これらのポリペプチドはまた、そのアミノ酸配列に行われる置換は親配列と比較して改変または修飾された活性を生む可能性がある修飾P450ポリペプチドを生じさせるため、「親」アミノ酸配列とも呼ばれる(表4を参照)。 例えば、配列番号1は配列番号7に定める修飾P450ポリペプチドに対する親配列を提供した。 配列番号7は、親ポリペプチドでは測定できない配列番号7ポリペプチドに対する活性を与えるアミノ酸置換を含む。 したがって、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸分子は、アミノ酸置換を含む修飾ポリペプチドをコードする核酸分子を得るために突然変異を行い得るもととなる「親」核酸分子を提供する。 一般に、これらの突然変異は、指定された配列内の指定位置に非同類アミノ酸置換を提供する。

    修飾ポリペプチドは、追加の置換を行い得るもととなる「親」ポリペプチドを構成し得ることが理解される。 したがって、親ポリペプチド、および親ポリペプチドをコードする核酸分子は、「野生型」配列だけでなく修飾ポリペプチドを含む。 例えば、配列番号7のポリペプチドは、配列番号1(すなわち「親」ポリペプチド)に関する修飾ポリペプチドである。 同様に、配列番号8のポリペプチドは、配列番号7に関する修飾ポリペプチドである。 したがって、配列番号7は配列番号8の親配列である。 さらに、配列番号7のポリペプチドをコードする核酸配列は親配列を提供し、当該親配列を変異させ配列番号8のポリペプチドをコードする核酸配列を得ることができる。

    配列番号1〜13、および125のポリペプチドと相同のポリペプチドをコードする単離された核酸分子は、一つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失がコードされたタンパク質に導入されるように、特定のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列へと一つまたは複数のヌクレオチド置換、追加または欠失を導入することで作成できることが理解される。 突然変異は、部位特異的変異導入およびPCR媒介性の変異導入などの標準方法により、核酸配列へと導入することができる。 非アミノ酸同類置換(上記参照)を行うことが望ましい場合の位置とは対照的に、一部の位置ではアミノ酸の同類置換を行うことがより好ましい。 「同類アミノ酸置換」は、類似の側鎖を持つアミノ酸残基によりアミノ酸残基が置き換えられる置換である。 類似の側鎖を持つアミノ酸残基ファミリーは、当技術分野において定義されてきた。 これらのファミリーには、塩基側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖(例グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸が含まれる。

    多様性を生成する突然変異方法には、例えば、部位特異的変異導入(Ling et al. (1997年) "Approaches to DNA mutagenesis: an overview" Anal Biochem. 254(2): 157-178; Dale et al. (1996年) "Oligonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method" Methods Mol. Biol. 57:369-374; Smith (1985年) "In vitro mutagenesis" Ann. Rev. Genet. 19:423-462; Botstein & Shortle (1985年) "Strategies and applications of in vitro mutagenesis" Science 229:1193-1201; Carter (1986年) "Site-directed mutagenesis" Biochem. J. 237:1-7; and Kunkel (1987年) "The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis" in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, DMJ eds., Springer Verlag, Berlin));ウラシルを含有するテンプレートを用いた変異導入(Kunkel (1985年) "Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection" Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492; Kunkel et al. (1987年) "Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection" Methods in Enzymol. 154, 367-382;およびBass et al. (1988年) "Mutant Trp repressors with new DNA-binding specificities" Science 242:240-245); オリゴヌクレオチド特異的変異導入(Methods in Enzymol. 100: 468-500 (1983年); Methods in Enzymol. 154: 329-350 (1987年); Zoller & Smith (1982年) "Oligonucleotide-directed mutagenesis using M13-derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment" Nucleic Acids Res. 10:6487-6500; Zoller & Smith (1983年) "Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors" Methods in Enzymol. 100:468-500; and Zoller & Smith (1987年) "Oligonucleotide-directed mutagenesis: a simple method using two oligonucleotide primers and a single-stranded DNA template" Methods in Enzymol. 154:329-350);ホスホロチオエート修飾DNA変異導入(Taylor et al. (1985年) "The use of phosphorothioate-modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA" Nucl. Acids Res. 13: 8749-8764; Taylor et al. (1985年) "The rapid generation of oligonucleotide-directed mutations at high frequency using phosphorothioate-modified DNA" Nucl. Acids Res. 13: 8765-8787; Nakamaye & Eckstein (1986年) "Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide-directed mutagenesis" Nucl. Acids Res. 14: 9679-9698; Sayers et al. (1988年) "YT Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis" Nucl. Acids Res. 16:791-802;およびSayers et al. (1988年) "Strand specific cleavage of phosphorothioate-containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide" Nucl. Acids Res. 16: 803-814);ギャップあり二本鎖DNAを用いた変異導入(Kramer et al. (1984年) "The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed mutation construction" Nucl. Acids Res. 12: 9441-9456; Kramer & Fritz (1987年) Methods in Enzymol. "Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA" 154:350-367; Kramer et al. (1988年) "Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed construction of mutations" Nucl. Acids Res. 16: 7207;およびFritz et al. (1988年) "Oligonucleotide-directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro" Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999) (各文献を参照により援用する)がある。

    追加的な適切な方法には、点ミスマッチ修復(Kramer et al. (1984年) "Point Mismatch Repair" Cell 38:879-887)、修復欠損宿主株を用いた変異導入 (Carter et al. (1985年) "Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors" Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443;およびCarter (1987年) "Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors" Methods in Enzymol. 154: 382-403)、欠失変異導入 (Eghtedarzadeh & Henikoff (1986年) "Use of oligonucleotides to generate large deletions" Nucl. Acids Res. 14: 5115)、選択制限および精製制限(Wells et al. (1986年) "Importance of hydrogen-bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin" Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 317: 415-423)、全遺伝子合成による変異導入 (Nambiar et al. (1984年) "Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein" Science 223: 1299-1301; Sakamar and Khorana (1988年) "Total synthesis and expression of a gene for the a-subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide-binding protein (transducin)" Nucl. Acids Res. 14: 6361-6372; Wells et al. (1985年) "Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites" Gene 34:315-323;およびGrundstrom et al. (1985年) "Oligonucleotide-directed mutagenesis by microscale `shot-gun` gene synthesis" Nucl. Acids Res. 13: 3305-3316);二重鎖切断修復 (Mandecki (1986年); Arnold (1993年) "Protein engineering for unusual environments" Current Opinion in Biotechnology 4:450-455;および "Oligonucleotide-directed double-strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site-specific mutagenesis" Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177-7181) (各文献を参照により援用する)がある。 前記方法の多くの追加的な詳細は、Enzymology Volume 154に掲載されており、さまざまな変異導入方法に伴う問題をトラブルシューティングする上で有益な対応策を説明している。

    さまざまな多様性生成方法に関するさらなる詳細は、以下の米国特許、PCT公報、およびEPO公報に見受けられる:Stemmerに付与された米国特許第5,605,793号(1997年2月25日)、"Methods for In vitro Recombination"、Stemmer et al.に付与された米国特許第5,811,238号 (1998年9月22日) "Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination"、 Stemmer et al.に付与された米国特許第5,830,721号( 1998年11月3日)、"DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly"、 Stemmer et al.に付与された米国特許第5,834,252号 (1998年 11月10日)、"End-Complementary Polymerase Reaction"、 Minshull et al.に付与された米国特許第5,837,458号 (1998年 11月17日)、"Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering"、WO 95/22625、StemmerおよびCrameri、"Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly"、StemmerおよびLipschutzによるWO 96/33207 "End Complementary Polymerase Chain Reaction"、StemmerおよびCrameriによるWO 97/20078 "Methods for Generating Polynucleotides having Desired Characteristics by Iterative Selection and Recombination"、MinshullおよびStemmerによるWO 97/35966 "Methods and Compositions for Cellular and Metabolic Engineering"、Punnonen et al.によるWO 99/41402 "Targeting of Genetic Vaccine Vectors"、Punnonen et al.によるWO 99/41383 "Antigen Library Immunization"、Punnonen et al.によるWO 99/41369 "Genetic Vaccine Vector Engineering"、Punnonen et al.によるWO 99/41368 "Optimization of Immunomodulatory Properties of Genetic Vaccines"、StemmerおよびCrameriによるEP 752008 "DNA Mutagenesis by Random Fragmentation and Reassembly"、StemmerによるEP 0932670 "Evolving Cellular DNA Uptake by Recursive Sequence Recombination"、Stemmer et al.によるWO 99/23107 "Modification of Virus Tropism and Host Range by Viral Genome Shuffling"、Apt et al.によるWO 99/21979 "Human Papillomavirus Vectors"、del Cardayre et al.によるWO 98/31837 "Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Sequence Recombination"、PattenおよびStemmerによるWO 98/27230 "Methods and Compositions for Polypeptide Engineering"、Stemmer et al.によるWO 98/13487 "Methods for Optimization of Gene Therapy by Recursive Sequence Shuffling and Selection"、WO 00/00632 "Methods for Generating Highly Diverse Libraries"、WO 00/09679 "Methods for Obtaining in vitro Recombined Polynucleotide Sequence Banks and Resulting Sequences"、Arnold et al.によるWO 98/42832 "Recombination of Polynucleotide Sequences Using Random or Defined Primers"、Arnold et al. WO 99/29902 "Method for Creating Polynucleotide and Polypeptide Sequences"、VindによるWO 98/41653 "An in vitro Method for Construction of a DNA Library"、Borchert et al.によるWO 98/41622 "Method for Constructing a Library Using DNA Shuffling"、PatiおよびZarlingによるWO 98/42727 "Sequence Alterations using Homologous Recombination"、Patten et al.によるWO 00/18906 "Shuffling of Codon-Altered Genes"、del Cardayre et al.によるWO 00/04190 "Evolution of Whole Cells and Organisms by Recursive Recombination"、Crameri et al.によるWO 00/42561 "Oligonucleotide Mediated Nucleic Acid Recombination"、SelifonovおよびStemmerによるWO 00/42559 "Methods of Populating Data Structures for Use in Evolutionary Simulations"、Selifonov et al.によるWO 00/42560 "Methods for Making Character Strings, Polynucleotides & Polypeptides Having Desired Characteristics"、Welch et al.によるWO 01/23401 "Use of Codon-Varied Oligonucleotide Synthesis for Synthetic Shuffling"、およびAffholterによるWO 01/64864 "Single-Stranded Nucleic Acid Template-Mediated Recombination and Nucleic Acid Fragment Isolation"(各文献を参照により援用する)。

    また、前記で広義に説明した、一つまたは複数の核酸配列を含む組換え構築物が提供される。 当該構築物は、プラスミド、コスミド、ファージ、ウィルス、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などのベクターを含み、本発明の核酸配列は順方向、逆方向により当該構築物に導入される。 この実施例の好適な態様では、構築物はさらに、例えば配列に作用可能な形で連結されたプロモーターを含む調節配列を含む。 大量の適当なベクターおよびプロモーターが当業者には公知であり市販されている。

    したがって、別の実施形態において、本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。 別の実施形態において、本発明の核酸分子をトランスフェクトされた宿主細胞、または本発明の核酸分子を含むベクターが提供される。 宿主細胞には、酵母細胞、昆虫細胞、または動物細胞などの真核細胞を含む。 宿主細胞にはまた、細菌細胞などの原核細胞を含む。

    「ベクター」、「ベクター構築物」および「発現ベクター」という用語は、ビヒクルを意味し、これによってDNAまたはRNA配列(例えば、外来遺伝子)を宿主細胞に導入し、宿主を形質転換し、導入された配列の発現を促進することができる。 ベクターは典型的には、伝染性物質のDNAを含み、その中にタンパク質をコードする外来DNAが制限酵素技術により挿入される。 一般的なタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは一般に追加(外来)DNAを簡単に受容することができ、適当な宿主細胞に簡単に導入することのできる二本鎖DNAの自己完結型分子である。 さまざまな真核および原核宿主における複製および/または発現について、プラスミドおよび菌株ベクターを含む多数のベクターが説明されてきた。 非制限的な例には、pKKプラスミド(Clonetech)、pUCプラスミド、pET プラスミド(Novagen, Inc.、ウィスコンシン州マディソン)、pRSETまたはpREPプラスミド(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)、またはpMALプラスミド(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)、および、本明細書で開示または引用されたか当業者に公知の方法を用いた多くの適切な宿主細胞がある。 組換えクローニングベクターは多くの場合、クローニングまたは発現のための一つまたは複数の複製システム、宿主内での選択のための一つまたは複数のマーカー、例えば抗生物質抵抗性、および一つまたは複数の発現カセットを含む。

    「発現する」および「発現」という用語は、対応する遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することでのタンパク質の生成など、遺伝子またはDNA配列内の情報が現れるようにする、または現れさせることを意味する。 DNA配列は、細胞内または細胞によって発現され、タンパク質などの「発現産物」を形成する。 発現産物自体、例えば結果生じるタンパク質もまた、細胞により「発現される」と言える。 ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、例えば、外来または天然のプロモーターの制御下で外来宿主細胞において、または外来プロモーターの制御下で天然宿主細胞内において発現または生成される場合に、組換え発現される。

    本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現するために適当なさまざまな発現ベクターの一つへと組み入れることができる。 適当なベクターには、染色体配列、非染色体配列および合成DNA配列、例えばSV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウィルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNA、ワクシニア、アデノウィルス、鶏痘ウィルス、仮性狂犬病、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、レトロウィルスおよび多くのその他などのウィルスDNAの組み合わせから由来するベクターが含まれる。 遺伝子物質を細胞に形質導入し、複製が望ましい場合には関連する宿主内で複製可能でありかつ存続可能なベクターを使用し得る。

    ベクターは、本発明でのタンパク質またはポリペプチドを発現できるよう適切な宿主を形質転換するために使用することができる。 適切な発現宿主の例には、大腸菌、枯草菌、ストレプトミセス、およびネズミチフス菌などの細菌細胞、出芽酵母、メタノール資化酵母、およびアカパンカビなどの菌株細胞、およびショウジョウバエおよびスポドプテラ・フルギペルダなどの昆虫細胞、CHO、COS、BHK、HEK 293およびボウズ・メラノーマなどの哺乳類細胞、または植物細胞もしくは外植体などが含まれる。

    細菌システムにおいて、発現ベクター数はP450ポリペプチドの使用意図によって選択され得る。 例えば、量産または抗体の誘発のために必要な大量のP450ポリペプチドまたはその断片が必要な場合には、容易に精製できる融合タンパク質の高レベルの発現を導くベクターが望ましい可能性がある。 該ベクターには、多機能の大腸菌クローニングおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)。BLUESCRIPTは、P450ポリペプチドをコードする配列を、βガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびその後の7つの残基の配列と共にベクターにインフレームでライゲートし、ハイブリッドタンパク質を生成し得る)、pINベクター(Van Heeke & Schuster (1989年) J. Biol. Chem. 264: 5503-5509)、pETベクター(Novagen、ウィスコンシン州マディソン)等が含まれるがこれらに限定されない。

    同様に、酵母出芽酵母において、本発明のP450ポリペプチドの生成のためにα因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHなどの構成的または誘導プロモーターを含有する複数のベクターを使用することができる。 レビューについては、Ausubel(前掲)およびGrant et al. (1987年) Methods in Enzymology 153:516-544(参照により本明細書に援用する)を参照。

    また、ベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)により形質導入(形質転換またはトランスフェクト)される処理済み宿主細胞のほか、組換え方法による本発明のポリペプチドの生成が提供される。 ベクターは例えば、プラスミド、ウィルス粒子、ファージなどでもよい。 処理済み宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換細胞の選択、またはP450ホモログ遺伝子の増幅に適切なものとして修飾された従来の培養液において培養することができる。 温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前使用されたものであり、当業者にとって、また例えば Sambrook, Ausubel and Bergerサンブルック、オースベルおよびバーガーの他、例えばFreshney(1994年)Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 3rd ed. (Wiley-Liss, New York) を含む本明細書で引用される文献や、同書で引用される文献において明らかである。

    別の実施形態において、アルカンをアルコールに変換する細胞を生成する方法が提供される。 該方法には一般に以下を含む:(a)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子による細胞の形質転換、(b)本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子による細胞の形質転換、または(c)本発明の単離された核酸分子による細胞の形質転換。

    別の実施形態において、アルカンをアルコールに変換する細胞を選定する方法が提供される。 該方法には一般に以下を含む:(a)修飾シトクロムP450ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物を含有する細胞を準備し、該ヌクレオチド配列は以下から選定される:(i)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(ii)本発明のポリペプチドをコードする核酸分子、または(iii)本発明の核酸分子。 本方法にはさらに、(b)適当なアルカンの存在下および効果的なレベルで修飾シトクロムP450を発現する条件下での細胞の培養、および(c)アルコール生成の検出が含まれる。

    別の実施形態において、アルコールの生成方法が提供される。 本方法には以下を含む:(a)修飾シトクロムP450ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸構築物を含有する細胞を準備し、該ヌクレオチド配列は以下から選定される:(i)配列番号7、8、9、10、11、12、13または125に定めるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、(ii)本発明のポリペプチドをコードする核酸分子、または(iii)本発明の核酸分子。 本方法にはさらに、(b)適当なアルカンの存在下および効果的なレベルで修飾シトクロムP450を発現する条件下での細胞の培養、および(c)メタン(CH 4 )、エタン(C 2 H 6 )プロパン(C 3 H 8 )、ブタン(C 4 H 10 )、ペンタン(C 5 H 12 )、ヘキサン(C 6 H 14 )、ヘプタン(C 7 H 16 )、オクタン(C 8 H 18 )、ノナン(C 9 H 20 )、デカン(C 10 H 22 )、ウンデカン(C 11 H 24 )およびドデカン(C 12 H 26 )などの適当なアルカンの水酸化によるアルコールの生成が含まれる。 一般に、本発明の方法により形成されるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、へキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、およびドデカノールが含まれる。

    シトクロムP450メタンヒドロキシラーゼは大腸菌内にて機能形態で発現し、大腸菌内にてこうした酵素の最適なバージョンを用いてメタンからメタノールへの全細胞変換を可能とする。 本明細書に記載する例で示すように、BM-3酵素を過剰発現する大腸菌は、個々のBM-3触媒の活性と同等の相対活性を備えた全細胞生態触媒として作用する。 これらの全細胞実験に使用される基質には、アルカン、アルケン、および複素環化合物を含む。 メタン水酸化の場合には、全細胞の培養液内で気体基質レベルを保つことにより過程がさらに複雑化し、このシステムでの将来的な作業の大部分を占めることになる。 さらに、宿主生物の代謝を操作して、本明細書に記載の生体触媒に利用できるNADPH(またはNADHを受容するBM-3変異型についてはNADH)レベルを高めることができる。

    メタンをメタノールに変換するために使用され得る全細胞システムの例をここで記述する。 天然ガスのアルカン含有量は一般に、メタン約80%および別の小型アルカン、主にエタンおよびプロパン20%を含む。 グラム陰性(例えば、シュードモナス)およびグラム陽性(例えば、ロドコッカス属)の天然株、および大腸菌の実験室株さえも、その唯一の炭素源として小型アルコールを用いて増殖させることができる。 これらの細菌株の一つにおける生体触媒に基づく最適化されたBM-3の発現により、メタンをメタノールへの変換中に、炭素およびエネルギー(および補助因子再生)の唯一の源として天然ガス内のアルカン不純物を細菌が使用することができるようになる。 これらのいずれかの細菌内でのBM-3酵素の発現は、複数宿主プラスミドおよびシャトルベクターを用いた当技術分野での標準方法により実施し得る。

    埋立地および農業廃棄物でのバイオマスの腐敗により生成されるメタンは、別のアルカンを含まない。 BM-3生体触媒を含有する全細胞システムによってこれらのメタン源を利用するためには、グルコースなどの外部炭素およびエネルギー源を宿主細胞に供給してNADPHを再生成する必要がある。 グルコースまたは(より高いNADPH生成能を有する)類似の化合物をこれらの全細胞反応に直接添加するか、メタン生成廃棄物に存在するバイオマスから生成することができる。 これらの炭素源から宿主生物が生成する補助因子の量はまた、メタン生成について細胞株を簡素化することでも高め得る。 これらの細菌内での最適化されたBM-3酵素の発現は、株特異的なプラスミドを用いて当技術分野での標準方法により実施し得る。 NADPHの利用可能性を最適化するための大腸菌株の修飾はまた、ファージ送達DNAの染色体挿入およびプラスミドからの相同遺伝子断片の組換えなどの当技術分野で標準の代謝工学方法を用いて実施することができる。

    別の方法として、メチロトローフ、すなわちメタノールを代謝する酵母(例えば、ピキア属株)および細菌細胞株(例えば、メチロバクテリウム株)は、BM-3生体触媒のための宿主として役立つ。 このシナリオでは、操作されたBM-3酵素は、生成のために過剰メタノールを生成する一方で宿主が増殖・生存するために必要とするすべてのメタノールを供給する。 これらの細胞株はまた、生成し得るメタノール量を最適化するために遺伝子修飾されうる。 さらに、これらのメチロトローフ株の増殖はメタノールに左右されることから、これらの株は、メタンに対して改善された活性を持つ新規酵素変異型を特定するために使用することができる。 ピキア属におけるBM-3の発現は、当技術分野において標準のピキア属特有の遺伝子発現プラスミドを用いて可能である。 メチロトローフでの発現は、複数宿主シャトルベクターを用いた当技術分野での標準方法により可能である。

    本発明の方法は、メタンからメタノールへの全細胞の生物変換のために特定の微生物の培養液を使用することができるが、別の細菌、別の酵母、および植物、藻類、および菌類さえも含むがこれらに限定されない別の宿主生物も使用することができる。 二酸化炭素および光を糖(およびその後のNAD(P)H)に変換することのできる植物、藻類、およびシアノバクテリアなどの光合成細菌さえも、BM-3メタン酸化の生体触媒のための宿主として特に貴重である。 それはこれらの生物は二酸化炭素以外の炭素を必要としないためである。 バイオマスに由来するメタンストリームは約50%の二酸化炭素を含有するため、これらの宿主は埋立地および廃棄物で生成されたメタンを用いてメタンをメタノールに変換する過程にとって理想的である。 植物および菌類内でのBM-3の発現は、植物に対するウィルスベクターの使用などこれらのタイプの細胞に特異的なDNA移入方法により可能である。

    前述したとおり、ベクター、プロモーターおよび多くのその他の関連するトピックの使用を含む、本明細書で有益な分子生物的技法を記述する一般的なテキストには、BuegerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology Volume 152、(Academic Press, Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ) (「バーガー」);Sambrook et al.、Molecular Cloning--A Laboratory Manual, 2d ed., Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989年(「サンブルック」)およびCurrent Protocols in Molecular Biology, FM Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc.およびJohn Wiley & Sons, Inc.、1999年まで増補)(「オースベル」)(その各文献を参照により援用する)がある。 in vitroでの増幅方法について当業者を導くのに十分なプロトコルの例には、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、リガーゼ鎖反応(LCR)、Qβレプリカーゼ増幅および別のRNAポリメラーゼ介在方法(例えば、NASBA)、例えば本発明の相同核酸の生成のためのものは、バーガー、サンブルック、およびオースベルの他、Mullis et al.(1987年)米国特許第4,683,202号、Innis et al., eds.(1990年)PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications(Academic Press Inc.、 カリフォルニア州サンディエゴ)(「イニス」);Arnheim & Levinson(1990年10月1日)C&EN 36-47;The Journal Of NIH Research(1991年)3:81-94;Kwoh et al.(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173; Guatelli et al. (1990年) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 87: 1874; Lomell et al. (1989年) J. Clin. Chem 35: 1826; Landegren et al. (1988年)Science 241: 1077-1080; Van Brunt (1990年) Biotechnology 8: 291-294; Wu and Wallace (1989年)Gene 4:560;Barringer et al. (1990年)Gene 89:117;およびSooknananおよびMalek (1995年) Biotechnology 13: 563-564(各文献を参照により援用する)に説明がある。 in vitroでの増幅核酸のクローニングに関する改善された方法は、Wallace et al. 米国特許第5,426,039号に説明される。 PCRにより大型核酸を増幅するための改善された方法は、Cheng et al. (1994年)Nature 369: 684-685および同書で引用される文献(文献を参照により援用する)に要約されており、ここでは最高40 kbのPCR増幅物が生成される。 当業者であれば、実質的にいかなるRNAも制限消化、PCR増幅および配列決定に好適な二重鎖DNAへと逆転写酵素およびポリメラーゼを用いて変換できることが理解される。 例えば Ausubel, SambrookおよびBerger(すべて前掲)を参照。

    本発明を以下の実施例により説明するが、これは例証目的で提供するものであり、限定することを意図するものではない。

    実施例1:エタン変換 緩和な条件下で気体アルカンを簡単に輸送できるアルコールへ選択的に酸化するための触媒により、局所の少量の天然ガスの資源と遠隔にある莫大な埋蔵物の両方を経済的に活用することができる。 本研究に先立って、エタンおよびメタンの主としてその対応するアルコールへの選択的変換は実証されていない。 本明細書では、高い選択性および生産性を持つ、エタンをエタノールに、メタンをメタノールに変換する酵素ベースの触媒を提供する。 酵素は周囲温度および圧力で機能し、空気からの二酸素を酸化物として使用し、生成する有害廃棄物は少量または全くない。

    生物系は、空気からの二酸素を用いてアルカンをアルコールに変換する効率的かつ生産的な金属酵素を進化させてきた。 メタンモノオキシゲナーゼ(MMO)は、メタンからメタノールへの変換を触媒し、それゆえメタン資化性細菌がメタンを炭素およびエネルギーの資源として使用できるようにする。 より大きな気体アルカン(エタン、プロパン、ブタン)上で増殖する微生物もまた報告されており、当該微生物は第一のアルカン酸化手順のために同様の酵素を使用していると考えられる。 比較的深く研究されてきたMMOも、化学触媒の設計者にとってインスピレーションの源であった。 残念ながら、これらの構造的に複雑な酵素は、生物変換および過程の最適化に適当な異種生物においては全く機能的に発現しておらず、それ自体ではアルコールの生成にとっての実用性がほとんどないことを実証した。

    本研究では、ヘム含有中鎖脂肪酸ヒドロキシラーゼを小型アルカンに対する水酸化触媒へと変換する指向進化法を使用する。 典型的なヒドロキシラーゼには、巨大菌という細菌において同定された第三のP450であるシトクロムP450 BM-3(CYP102A1)を含む。 P450 BM-3は、巨大菌から単離された触媒的に自己充足的な可溶性脂肪酸モノオキシゲナーゼである。 これは、一つのFAD、一つのFMNおよび一つのヘムドメインという3つのドメインから成る複数ドメイン構造を備えており、1048つの残基の同じ119 kDaポリペプチド鎖上に融合される。 さらに、その細菌起源にもかかわらず、P450 BM-3はミクロソーム真核P450に典型的なクラスII P450酵素として分類され、ミクロソーム脂肪酸ωヒドロキシラーゼとは30%の配列同一性、ミクロソームNADPH:P450レダクターゼとは35%の配列同一性、および別の細菌P450を持つホモログとは20%のみの配列同一性を有する。 P450 BM-3(CYP102A1)のホモログは、枯草菌における2つの特徴付けられたシステム、CYP102A2およびCYP102A3を含む別の細菌内でも認識されてきた。

    BM-3のヘムおよびレダクターゼドメイン間の伝達は基質依存性であり、2つのレダクターゼ結合フラビンを通してNADPH補助因子から電子対を移動した後、触媒中に電子を一つずつヒドロキシラーゼドメインにシャトルするために微調整される。 エタンおよび/またはメタンなどの新規基質上での活性のためにタンパク質を操作する場合は、この制御される伝達を確保する必要があり、技術上の大きな難関となっている。 操作された酵素は、脂肪酸よりも相当に小さい基質であるエタンおよび/またはメタンを直接、ヒドロキシラーゼドメインの活性部位におけるヘムの上に結合する必要がある。 基質結合は、触媒中にレダクターゼドメインからヘムドメインへの電子移動を開始する必要がある。 電子移動が発生すると、活性鉄オキソ種はエタン内の高エネルギーCH結合を破壊する能力を有する必要がある(野生型BM-3の脂肪酸基質の第二のCH結合での95-99 kcal mol-1に対して101.1 kcal mol-1)。 最後に、単独で水酸化された生成物は、さらなる酸化が発生する前に活性部位から放出される必要がある。

    基質を伴う場合も伴わない場合もあるBM-3ヘムドメインの結晶構造は、レダクターゼドメインの構造が利用できない場合でも利用できる。 さらに、触媒中の両方のドメインにおける大きな構造変化によって、すべてのこれらの問題に対処することのできるアミノ酸置換を同定することが困難になる。 本研究では、エタンおよび/またはメタンヒドロキシラーゼは、突然変異が複数のランダム突然変異導入の生成およびスクリーニングが蓄積される「進化」ストラテジーを用いて操作した。 アプローチ法は、より小さくなるアルカン上でより高いターンオーバーを示すよう酵素を適応するために指向進化方法を使用することであった(例えば図1を参照)。 ヘムドメインの連続的な数回での突然変異導入(配列番号1の残基1-429)を通して、オクタンに対するBM-3の活性が高まった。 スクリーニングは当初、オクタン代理基質p-ニトロフェニルオクチルエーテルの水酸化に基づいていた。 結果生じる突然変異体139-3は、ヒドロキシラーゼドメイン全体にわたり分布しオクタン上で良質の活性を示す、11つのアミノ酸置換を含んだ。 これはまた、2-プロパノールおよび極めて少量の(3%以下の)1-プロパノール量を生成するプロパン上での活性を少量だが感知できた。 その後に、そのヘムドメインをランダム突然変異させ、(プロパン代理)基質ジメチルエーテルに対する活性について結果生じるライブラリをスクリーニングすることで、この突然変異体のプロパンを水酸化する活性を高めた。 この方法で得られた突然変異体9-10Aは、139-3よりもプロパンに対する活性がさらに高く、相当により多くの1-プロパノール(8%)を生成した。 プロパン末端CH結合エネルギー(100.4 kcal/mol)はエタンのCH結合エネルギー(101.1 kcal/mol)に類似することから、1-プロパノールの上昇は特に興味深い。

    エタンを水酸化するP450を得るために、9-10Aの指向進化を開始した。 突然変異は、ヘムドメイン全体ではなく活性部位を標的とした。 大多数のこうした標的置換は、遺伝子コードの保存的性質を理由としてランダム点変異導入では利用することができなかった。 BM-3活性部位は、ヘムのすぐ上に位置する疎水性チャネルから構成される。 結合パルミトイルグリシン基質と結合するP450 BM-3の高解像度の結晶構造により誘導され、結合基質の8つの炭素が末端の5Å内に位置するこのチャネル内において、11つのアミノ酸残基を変異導入のために選択した。 触媒中に活性部位において小型アルカンと接触する可能性が高いことから、これらの残基は標的となった。 これらの各々の残基のために構築された飽和変異導入ライブラリは、ジメチルエーテルに対して改善された活性を示す突然変異体についてスクリーニングした。 これらのライブラリから選択された単一突然変異体はその後組換えされて、有益な活性部位突然変異のすべての可能な組合せを含む大きなライブラリを形成し、ジメチルエーテルに対する活性についてこのライブラリをスクリーニングした。 プロパン上で最も高い活性をもつ突然変異体53-5Hは単離・精製され、370 min -1 (表1を参照)の速度でプロパンからプロパノールへのターンオーバーを数千回、触媒することが示された。

    特記すべき点は、P450 BM-3突然変異体53-5Hはまた、エタンを水酸化してエタノールを生成することである(表1を参照)。 53-5HはA78F、A82S、およびA328Fという3つの活性部位突然変異を含み、そのすべてが活性部位の容積を低下させるより大きな側鎖でアラニンを置き換え、触媒中に小型アルカンをヘムの上に位置付ける。 エタンに対するその活性に加え、53-5HはBM-3変異型において未だに遭遇していないオクタンに対して最も高い領域選択性(89% 2-オクタノール)およびエナンチオ選択性(65% S-2-オクタノール)を示したが(表1を参照)、操作された活性部位において基質結合がより強い証拠を示している。

    53-5Hによるエタン水酸化は、エタノールのないNADPH再生システム(市販のNADPHは2〜3%エタノールを含有)を含有するエタン飽和緩衝液において酵素を12時間培養した後に測定した。 反応はエタンの存在下においてNADPH酸化に結合されていない(660 min -1 、表2を参照)ものの、53-5Hはそれでも一貫して、酵素の開始濃度とは無関係に少なくとも50個のエタノール等価物を生成した(図2および3を参照)。 過酸化は、エタノールを基質として供給し、ガス・クロマトグラフィによりエタノール枯渇と、 13 C標識エタノールを用いた13 C NMRによるアセトアルデヒドおよび酢酸の生成をモニタリングすることにより試験した。 いかなる(即ちこれらの実験の検出限界である10%未満)過酸化生成物も、これらの実験では検出されなかった(図4を参照)。 一般に、P450における疎水性活性部位は、単独で水酸化される生成物の放出に役立つ。 アルカンを水酸化する突然変異体は、ヘキサンなど鎖がより短いもの(< 1%)よりもデカンなど鎖のより長いアルカンをより高い割合(< 7%)へと過酸化する。 突然変異体53-5Hもまた、1% エタノールの存在下において、迅速(660 min-1)および効率的に(80%結合)にオクタンから主に2-オクタノールへの変換を触媒し、エタノールは触媒を阻止しないことを示している。 これらの結果は、エタンの101.1 kcal/molのCH結合解離エネルギーはシトクロムP450に対して基本的な障壁とはならないこと、およびP450に基づく生体触媒は望ましくない副反応を生じることなくエタンをエタノールにきれいに変換できることを実証している。

    53-5Hのエタン活性を高めるためにさらに数回の指向進化を実施し、この時にはレダクターゼドメインの突然変異を標的とし、これをヘムドメインにつなげるポリペプチドリンカーを含める。 リンカー領域におけるアミノ酸置換E464Gは、選択されたBM-3突然変異体における合計ターンオーバーを高める。 この突然変異だけでは、53-5Hによるエタノールの生成は向上しないが、さらなる改善が、ジメチルエーテルに対する高い活性についてレダクターゼドメイン内に当該突然変異およびランダム突然変異を含む53-5Hのライブラリをスクリーニングすることにより見出され、その後に基質の非存在下にてNADPH消費速度の低下が続いた。 結果生じる突然変異体35-E11は、53-5Hにおいて見つかった15個すべてのヒドロキシラーゼドメイン置換、リンカー突然変異E464G、および新しい突然変異を含み、レダクターゼドメインに位置する置換I710Tへとつながった。 53-5Hと比べ、突然変異体35-E11ではエタンからエタノールへの合計ターンオーバーが5倍も上昇した(合計ターンオーバー数(ttn)= 250)。 エタンとの典型的な反応では、200 nMの突然変異体35-E11は、50μM以上のエタノールを生成した(図3)。 35-E11による生成物形成の速度は53-5Hの速度に等しく、またエタンが存在する場合のNADPH消費速度は~520 min-1に低下した(表2)。 生産性の向上は、触媒寿命の長期化を反映する可能性が高く、生産性のない補助因子酸化の低下により達成され、これがさまざまな反応性種を形成してタンパク質を不活性化する。 相同性のあるラットP450レダクターゼの結晶構造と比較したアミノ酸残基I710は、FAD補助因子近くに位置する。

    したがって、本明細書では、より小さな基質を水酸化するよう適応された変異型P450を提供している。 例えば、野生型シトクロムP450のBM-3酵素は、プロパンに対して不活性である。 しかしながらオクタンヒドロキシラーゼとなるようにこれを進化させると、プロパンに対する少量の活性が生成される。 同様に、新しく得られたプロパン活性の上昇はエタンに対する測定可能な活性を生成した。 指向進化は、エタンに対する活性を持つ生体触媒を生成した。 さらに、以下で提供するように、追加的に数回行う指向進化はメタンをメタノールに変換する能力を持つBM-3変異型を生成した。 この酵素は、メタンからメタノールを生成する新しい生物触媒経路の基礎を提供する。

    試薬:別途指摘されない限り、化学物質はSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入した。 エタン(99.95%)、プロパンおよびジメチルエーテル(DME)はSpecial Gas Services, Inc.(ニュージャージー州ウォーレン)またはAdvanced Gas Technologiesから購入した。 エタノールはAAPER(ケンタッキー州シェルビーヴィル)から購入した。 NADP+およびNADPHはRoche(インディアナ州インディアナポリス)またはBiocatalytics, Inc.(カリフォルニア州パサデナ)から購入した。 ヘキサン(99.94 %)はEMD(ニュージャージー州グリブスタウン)から購入した。 制限酵素はRoche(インディアナ州インディアナポリス)またはNew England Biolabs(マサチューセッツ州ビバリー)、Taq DNAポリマーゼはRoche(インディアナ州インディアナポリス)、PfuターボDNAポリマーゼはStratagene(カリフォルニア州ラ ホーヤ)、およびT4 DNAリガーゼはInvitrogen(カリフォルニア州カールスバッド)から購入した。

    P450 BM-3の発現および精製:P450 BM-3突然変異体53-5Hをコードする遺伝子(アミノ酸置換R47C、V78F、A82S、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、A328F、L353Vを持つ)および35-E11(追加的なアミノ酸置換E464GおよびI710Tを持つ)は、(Peters et al., J. Am. Chem. Soc. 125:13442(2003年);参照により本明細書に組み込む)に記述するように発現・精製された。 酵素濃度は、CO差スペクトルから三重で測定した。

    飽和変異導入ライブラリの構築:PfuターボDNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて、PCRオーバーラップ伸長変異導入により突然変異体9-10A(アミノ酸置換R47C、V78A、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、L353Vを持つ)に突然変異を導入した。 各飽和ライブラリに対するプライマーは、特定の残基に対するコドンにおいて、塩基のすべての可能な組み合わせNNN(N = A、T、G、またはC)を含んだ。 「for」という引用は、「順方向」プライマーを意味する。 したがって、各ライブラリに対する順方向でのプライマーは以下のとおりである:
    74NNN-for (5'-GTCAANNNCTTAAATTTGCACG-3') (配列番号19)
    75NNN-for (5'-GTCAAGCGNNNAAATTTGCACG-3') (配列番号20)
    78NNN-for (5'-GCTTAAATTTNNNCGTGATTTTGCAGG-3') (配列番号21)
    81NNN-for (5'-CGTGATNNNGCAGGAGAC-3') (配列番号22)
    82NNN-for (5'-CGTGATTTTNNNGGAGAC-3') (配列番号23)
    87NNN-for (5'-GAGACGGGTTANNNACAAGCTGGAC-3') (配列番号24)
    88NNN-for (5'-GGAGACGGGTTATTTNNNAGCTGGACG-3') (配列番号25)
    260NNN-for (5'-CAAATTATTNNNTTCTTAATTGCGGGAC-3') (配列番号26)
    263NNN-for (5'-ACATTCTTANNNGCGGGACACGAAAC-3') (配列番号27)
    264NNN-for (5'-ACATTCTTAATTNNNGGACACGAAAC-3') (配列番号28)
    328NNN-for (5'-CCAACTNNNCCTGCGTTTTCC-3') (配列番号29)

    これらのライブラリそれぞれに対する逆方向プライマーは、その対応する順方向プライマーに相補的である。 各突然変異について、各々が完全に相補的なプライマー、BamHI-forw(5'-GGAAACAGGATCCATCGATGC-3')(配列番号30)およびSacI-rev(5'-GTGAAGGAATACCGCCAAGC-3')(配列番号31)を用いて、配列末端および突然変異プライマーにおいて、2つの別々のPCRを実施した。 突然変異を含む結果生じた2つの重複する断片は次に、第二のPCRにてアニールされて完全に突然変異した遺伝子を増幅した。 全遺伝子は次に、BamHIおよびSacI制限酵素により切断し、野生型遺伝子を除去するためにあらかじめBamHIおよびSacIにより切断したT4リガーゼ(Invitrogen)によりpBM-3-WT18-6にライゲートした。 ライゲーション混合物は次に、大腸菌DH5αエレクトロコンピテントセルに形質転換し、ルリア−ベルターニ(LB)寒天プレートに播種して採取のため単一コロニーを形成した。

    活性部位組換えライブラリの構築:飽和変異導入ライブラリから採取された改善された突然変異は、コンビナトリアル法で組み換えした。 アミノ酸74、81、263および264位の飽和ライブラリは改善された突然変異体を生じさせなかったため、残りの7つの部位の有益な変異のみを組み換えした。 突然変異は、縮重プライマー(上記参照)または縮重プライマー混合物(プライマー内の突然変異部位は太字)を用いたオーバーラップ伸長PCRを用いて、連続的に加えた。 突然変異体9-10Aから開始し、アミノ酸78位および82位の突然変異は以下のプライマーを用いて導入した:
    78A/T 82A/T/S/F/I/C/G/L/V-for
    (5'GCTTAAATTCRCGCGTGATTTTDBCGGAGACG)(配列番号32)、および
    78F 82A/T/S/F/I/C/G/L/V-for
    5'CTTAAATTCTTTCGTGATTTTDBCGGAGACG) (配列番号33)。

    次に、以下のプライマーを用いて260位に突然変異を導入した:
    260T-for (5'CAAATTATTACATTCTTAATTGCGGGAC) (配列番号34)、260N-for (5'CAAATTATTAACTTCTTAATTGCGGGAC) (配列番号35)および
    260L-for (5'CAAATTATTCTTTTCTTAATTGCGGGAC) (配列番号36)。

    次に、以下のプライマーを用いて87位および88位に突然変異を導入した:
    87F/I/V/L 88T for (5'GAGACGGGTTANTYACAAGCTGGAC) (配列番号37)および87F/I/V/L 88C (5'GAGACGGGTTANTYTGTAGCTGGAC) (配列番号38)。

    次に、以下のプライマーを用いて328位に突然変異を導入した:
    328A-for (5'CCAACTGCTCCTGCGTTTTCC) (配列番号39)、
    328L/F/V-for (5'CCAACTBTTCCTGCGTTTTCC) (配列番号40)および
    328M-for (5'CCAACTATGCCTGCGTTTTCC) (配列番号41)。

    最後に、以下のプライマーを用いて75位に突然変異を導入した:
    75L/I-for (5'CTTAAGTCAAGCGMTTAAATTC) (配列番号42)および
    75W-for (5'CTTAAGTCAAGCGTGGAAATTC) (配列番号43)。

    得られるエタンを水酸化する変異体53-5Hの配列:野生型P450 BM-3と比較した核酸の突然変異には、C142T、T234C、G235T、A237T、G247A、C248G、A249C、A284T、C324T、C427T、C527T、C554T、T617G、C681G、T711G、A758G、C766A、C872T、G985T、C986T、C1060G、およびA1119Gを含む。 野生型P450 BM-3と比較されるアミノ酸の突然変異には、R47C、V78F、A82S、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、A328F、およびL353Vを含む。

    レダクターゼライブラリの構築:突然変異E465Gは、本研究では報告されていない異なるBM-3変異型の指向進化により発見された。 この突然変異を含む53-5Hのレダクターゼライブラリを作成するために、E465G BM-3遺伝子(1285 bp〜3147 bp)のレダクターゼ部分のランダムライブラリをプライマーSac1-for(5'-GACTTTGAAGATCATACAAACTACGAGCTCG-3')(配列番号44)およびEcoRI-rev(5'-AGATCTGCTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATGAATTC-3')(配列番号45)を使用して、さまざまな濃度のMnCl 2 (0、50、100、および150 μM)を添加してPCRで増幅した。 増幅されたDNAはSac1およびEcoRIを用いて制限消化し、その次にT4リガーゼを用いて、Sac1およびEcoRIによりそのレダクターゼ部分が除去された53-5H遺伝子を含有するpCWoriプラスミドにライゲートした。 各PCR条件に由来する小型ライブラリ(~100 変異体)の突然変異率を試験した。 100μM MnCl 2条件は、遺伝子当たり1〜2の突然変異という最適な突然変異率を生み、この条件からの2610メンバーを含むより大規模なライブラリを採取およびスクリーニングした。

    結果得られるエタンを水酸化する突然変異体35-E11の核酸配列(野生型P450 BM-3核酸配列のコード配列に関して与えられる位置)にはC142T、T234C、G235T、A237T、G247A、C248G、A249C、A284T、C324T、C427T、C527T、C554T、T617G、C681G、T711G、A758G、C766A、C872T、G985T、C986T、C1060G、A1119G、A1394G、T2132C、およびA2313Gを含む。 野生型P450 BM-3と比較したアミノ酸の突然変異には、R47C、V78F、A82S、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、A328F、L353V、E464G、I710Tがある。

    ハイスループットスクリーニング用の細胞溶解物は、Peters et al., J. Am. Chem. Soc. 125:13442 (2003年)(参照により本明細書に援用する)にこれまで記述されたとおりに準備した。 ハイスループットジメチルエーテル(DME)スクリーニングは、以前に記述したとおり96ウェルプレートで実施した。 改善された突然変異体は、9-10A(飽和変異導入ライブラリ)および1-12G(組換えライブラリ)と比較して信号が増加していることに基づき選択した。 オクタンおよびプロパンに対する反応は、記述したとおりガス・クロマトグラフィにより分析した。

    エタンに対する反応は、プロパンについて記述したのと同様に実施した(Peters et al., J. Am. Chem. Soc. 125:13442(2003年);参照により本明細書に援用する)。 市販のNADPHは2〜3%エタノールを含むため、NADPH再生システムを使用した。 それゆえ、バックグラウンドエタノール濃度は凡そ1μMにまで低下させた。 エタン水酸化反応は20 mLガラス瓶で実施した。 5.0 mL反応混合物は、エタンおよび二酸素で飽和された0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)において100、200または500 nMの精製タンパク質を含んだ。 300μL の再生システム(1.66 mM NADP+、167 U/mLイソクエン酸脱水素酵素、416 mMイソクエン酸)を添加した。 バイアルはセプタムで即座に閉め、20 psiのエタンで加圧し、25℃で攪拌した。 合計ターンオーバーを決定するため、4時間反応させた。 速度決定のため、反応を0、15および30分間で停止した。 内部標準として、5 mMの1-ブタノール50 μLを反応混合物に添加した。 エタノールおよび1-ブタノールはその後、それぞれの対応する亜硝酸アルキルに誘導体化した。 対照群反応は、エタノールのバックグラウンドレベルを是正するために、基質を用いることなく、かつ不活性タンパク質を用いて、これらの手順を反復して実施した。 エタンおよび酸素で飽和された反応緩衝液は、このバックグラウンドを上回るエタノール濃度を含有していなかった。 エタン存在下での反応、およびエタンなしまたは不活性タンパク質を伴う対照群反応は、三重に実施した。 約1μMのバックグラウンドエタノール濃度(エタンなしの対照群反応については1.2 ± 0.1μM、不活性P450を伴う対照群反応については0.8 ± 0.1 uM)を考慮に入れると、反応は53-5Hおよび35-E11に対してそれぞれ合計ターンオーバー数50および250に対応する最終エタノール濃度を生んだ(例えば、図2および3を参照)。

    エタノールのガス・クロマトグラフィ分析は、購入した基準および1-ブタノールを内部標準として使った5ポイントでの較正曲線を用いて実施した。 サンプルに容積1μLでインジェクションし、分析は少なくとも三重に実施した。 エタノール分析は、電子捕獲型検出器(ECD)に接続されるHP-1 カラム(Agilent Technologies、30m長さ、0.53 mm ID、2.65μM膜厚)を用いて、Hewlett-Packard 5890シリーズII Plusガス・クロマトグラフ上で実施した。 温度プログラムは、60℃インジェクション器、150℃検出器、35℃オーブンで3分間、10℃/分勾配から60℃、60℃勾配から200℃、その後は200℃で5分間であった。

    さらに、53-5Hによるエタノールの過酸化を試験した。 最初に、前記の反応条件下で基質としてエタノール(20μM)をエタンの代わりに使用し、反応過程においてエタノール濃度の低下は実験誤差(± 3μM)では観察されなかった。 第二に、NMR(Varian Mercury 300 MHz)スペクトロスコピーを使用して、 13 C標識エタノール(HO- 13 CH 2 CH 3 、57 ppm)のみにより、53-5Hの反応をモニタリングした。 10μMのP450(0.1Mリン酸カリウム緩衝液ではpH=8、10%重水を添加)の存在下では低ければ50μM にもなる13 C標識エタノールの濃度を、NMRの13 C経路を用いて検出することが可能であった。 アセトアルデヒド(206 ppm)および酢酸(176 ppm)中のカルボニル炭素原子のより長い緩和速度は、実験ではその炭素NMR信号の高さを25〜40%低下させ、その検出限界は凡そ100μMでなる。 10μMの53-5H、1 mM 13 C-エタノール、100μMのNADP+、50 mMイソクエン酸、および10 U/mLイソクエン酸脱水素酵素を用いた反応は、室温で12時間攪拌した。 次に重水(10%最終濃度)を各反応に添加し、そのNMRスペクトル(各平均~20,000スキャン)を記録した。 同一のバッチに由来する50 nMの53-5H、4 mMのオクタン、100μMのNADP+、50 mMイソクエン酸、および10 U/mLイソクエン酸脱水素酵素を用いた対照群反応もまた実施し、P450が完全に活性を持つことを検証するため生成物が特徴付けられた。 これらの実験ではいかなる過酸化生成物も検出されず、1 mMエタノールの存在下では、53-5Hはエタノールの10回未満の合計ターンオーバーを触媒することを示唆する(図4を参照)。

    53-5Hおよび35-E11に対する吸収スペクトルは、石英キュベットにおいて精製P450の3 μM溶液を用いて得られた。 エタンとの培養後、鉄P450の低(418 nmでA max )から高スピン(390 nmでA max )構成への平衡のシフトは観察されなかった。 優れた基質であるオクタンもまた、シフトを誘発しなかった。 突然変異体35-E11も同様であった(図5を参照)。 以前に公開された突然変異体、例えば9-10Aは、オクタンなどの優れた基質との培養後に大幅なスピンシフトを示す。

    NADPH酸化速度は、BioSpec-1601 UV-Visスペクトロフォトメーター(Shimadzu、メリーランド州コロンビア)および1cmパス長のキュベットを用いて、25℃で20秒間以上測定した。 1 mL反応混合物は、P450を100 nM、NADPHを166μMおよびメタン、エタンまたはプロパンのいずれかの飽和リン酸カリウム緩衝液(0.1 M、pH 8.0)または4 mMオクタンおよびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M、pH 8.0)中1%エタノールを含有した。 反応はNADPHの添加により開始し、340 nmでの吸収低下をモニタリングした。 NADPH消費速度はまた、基質なしでも測定した(表2を参照)。

    オクタン反応を1%エタノールの存在下で実施し、結果を表1に示す。 エタノール形成速度は、30分間にわたり電子捕獲型検出器(ECD)に接続されたガス・クロマトグラフィ(GC)を用いて測定し、nmolエタノール/分/nmol酵素として報告した。 誤差は最大限でも10%であった。 反応の完了後にGCを用いて合計ターンオーバー数(ttn)を測定し、nmol生成物/nmolタンパク質で報告した。 誤差は最大でも10%であった。 プロパノールおよびオクタノール形成の当初の速度は、1分間にわたりGCで測定し、nmol生成物/分/nmolタンパク質で報告した。 誤差は最大限でも15%であった。 2-オクタノール(主生成物)の「ee」はGCにより測定し、好ましいエナンチオマーが括弧内に列記されている。 野生型P450 BM-3は主に3-および4-オクタノールを生成する。 収量は、wt BM-3についてeeを決定する上で不十分であった。 突然変異体9-10Aはアミノ酸置換R47C、V78A K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、およびL353Vを含む。

    表2は、基質が存在する状態と存在しない状態における53-5Hおよび35-E11のNADPH酸化速度を提供する。 結合効率は生成物形成率/NADPH 酸化速度から推定される。 一般に、NADPH酸化速度は、エタノール形成速度と同じ時間尺度では測定できない。

    実施例2:メタン変換 メタンヒドロキシラーゼ変異型は、突然変異が複数のランダム突然変異導入の生成とスクリーニングにおいて蓄積し、つまりより小さくなるアルカン上でより高いターンオーバーを示すように酵素を適応させる「進化」ストラテジーにより生成した。 第一の生成において、BM-3のオクタンに対する活性は増加し、少量ながら感知できるプロパンに対する活性も得られた。 さらに進化は、プロパンに対する活性がより高い変異型につながり、有意義な点として、より多くの1-プロパノールを生成した。 プロパン末端CH結合エネルギー(100.4 kcal/mol)はエタンのCH結合エネルギー(101.1 kcal/mol)に類似することから、末端水酸化生成物の上昇は特に興味深い。

    継続した指向進化は次に、前述の第一のエタンを水酸化するP450 BM-3へとつながった。 エタンを水酸化するP450 BM-3変異型35-E11は、記述のとおり三種の活性部位変異型53-5Hにおける電子移動を改善することで得られた。 手短にいえば、53-5H(V78F、A82S、およびA328F)での活性部位変異は、プロパンに対する高活性のためにこれまでに進化させたBM-3変異型の単一部位変異についてのすべての可能な組み合わせを含むライブラリをスクリーニングして得られた。 53-5Hにおける15つの突然変異(12つは活性部位のものでない)は、ヘムドメインに存在する:R47C、V78F、A82S、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、A328F、L353V。 特定の作用機構には結合されていないものの、活性部位変異はエタンが結合・水酸化するように活性部位の大きさを低下させる役目を果たすと考えられる。 突然変異体53-5Hのエタンに対する活性は限られており、不活性化される前には約50回の合計ターンオーバーのみを生成する。 変異型35-E11は、触媒中に電子を活性部位に効率的に移動するために、53-5Hのレダクターゼドメインを修飾することで得られた。 この変異型は2つの突然変異を含み、一つは2つのドメイン(E464G)を接続するリンカー領域に、一つはレダクターゼドメイン(I710T)にあり、これが結合を改善しエタンに対する合計ターンオーバーを250回以上にも高める。

    35-E11変異型は、AnthonおよびBarrett(Agric. Food Chem., 52:3749 (2004年))の方法を用いて、メタンをメタノールに変換する能力について試験した。 本方法は、10μMほどの水中でもメタノール濃度を検出できるように最適化された。 このアッセイを用いて、35-E11変異型はメタンからメタノールを生成すると同定された。

    35-E11の突然変異体のライブラリは、メタンよりも多少大きな小型のガス状基質上での生成物形成の増加を示す表現型についてスクリーニングした。 さらに、これらは生成物形成に対するNADPH還元等価物の消費の結合増加についてもスクリーニングした。 結合増加を主にバックグラウンドNADPH消費速度の低下(基質が不在の状態では340 nmで写真分光学的測定を行う)により決定する一方、生成物形成はジメチルエーテル水酸化の合計量を測定して決定した。

    35-E11の突然変異体について4つのライブラリを構築した。 2つの飽和変異導入ライブラリを35-E11において準備し、ここで2つの非ヘムドメイン突然変異であるE464GおよびI710Tの位置で、すべての可能なアミノ酸置換を導入した。 さらに、35-E11の2つのランダム突然変異導入ライブラリは、各ライブラリが平均で1〜2つのアミノ酸突然変異を有するようにエラープローンPCRにより準備した。 これらのランダム突然変異導入ライブラリの一つは、ヘムドメインにおける変異のみを含み(残基1〜約455)、その一方別のライブラリは二つのドメインおよびレダクターゼドメイン(残基約470〜1048)の間のリンカーにおいてのみ突然変異を含んだ。 これらの4つのライブラリは前記のとおりスクリーニングされ、さらなる分析のため幾つかの改善された変異型(後述)が単離、配列決定、および精製された。

    後述の突然変異体BM-3酵素は、公開された手順を用いて精製され、メタンとの少量反応において触媒として使用した。 磁気攪拌棒を含むガラス製ヘッドスペースバイアルにおいて、メタンで飽和された0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH=8)にBM-3触媒を添加した。 バイアルは次にクリンプシャットされ、メタンにより20 psiで加圧した。 生体内変化を開始するため、NADP+、イソクエン酸、およびイソクエン酸脱水素酵素から成るNADPH再生システムを注射器から添加した。 攪拌して12〜15時間反応させた。 メタノール生成は、結合酵素アッセイを用いて測定した。 反応のアリコートは96ウェルマイクロタイタープレートに移して、5分間室温で酵素アルコールオキシダーゼと反応させた。 アルコールオキシダーゼは、BM-3変異型により生成されるメタノールを染料Purpaldでの検出が可能なホルムアルデヒドに変換する。 ホルムアルデヒドを検出しアルコールオキシダーゼ反応をクエンチするために、2 M NaOH中のPurpald溶液を添加して1時間反応させた。 ホルムアルデヒドの存在によりPurpaldが形成する紫色を、1時間後に550 nmでウェルを分光器で読み取り、吸光度を同様に処理したBM-3溶液、NADPH再生システム、およびスパイクしたメタンなしの緩衝液に対する吸光度を既知の濃度のメタノールと比較した。 これらの生体内変化の結果は表3に報告され、比色分析からのサンプルスペクトルを図7に示している。

    スクリーニング基質に対する活性の相対的増加から予想されるように、これらのライブラリから単離された突然変異体の幾つかでは、メタンに対する活性が増加した。 これらの突然変異体のうち3つは、リンカー位置464:E464R、E464Y、およびE464Tの飽和ライブラリから単離された。 これらの突然変異体のいずれも、スクリーニング基質DMEに対してより高い活性は示さなかったが、そのすべてがスクリーニングにおいて30〜40%低いNADPHバックグラウンド消費速度を示し、これは親35-E11と比べて生成された酸化DMEの凡その等価生成物では必要となるNADPHがより少量であることが示唆される。 このDMEへの結合増加は、メタンのTTN(8〜11-13)の増加につながった。 ヘムドメインライブラリから、DMEに対する活性増加について突然変異体20-D3が同定された。 NADPHのバックグラウンド消費速度はスクリーニングにおいて同量分増加したものの、これらの還元等価物は基質の存在下でこの突然変異体のヘムドメインに移入され、メタノール形成の増加につながった(8〜10TTN)。 この突然変異H285Rは、ヘムおよびレダクターゼドメインの間の推定的インターフェース近くのヘムドメインの表面に位置している。 レダクターゼドメインライブラリから、バックグラウンドNADPH消費速度の低下について、2つの突然変異体23-1Dおよび21-4Gが同定され、メタノール形成の増加につながった。 これらの変異型Q645R/P968LおよびD631Nにおける突然変異はそれぞれ、電子移動経路の外に位置している。 しかしながら、その存在により35-E11のメタンのTTNは増加する(8〜10-11)。

    本明細書で報告されるメタン水酸化活性は、メタンをメタノールに変換する実用的過程にとって十分に高いものではない。 TTNを増加させ、補助因子の消費とメタノール生成の結合を増加するか酵素も使用する必要があるが、突然変異を形成し明細書で記述するライブラリをスクリーニングする方法を使用して、さらに活性、TTNおよび結合を改善し得る。

    全細胞触媒。 細胞集団は、グルコースおよび窒素および細胞に供給される別の栄養物などの炭素源を用いて生成される。 最適の細胞密度において、当技術分野では公知のストラテジーを用いてP450生体触媒の発現が誘発される。 最適な生体触媒発現レベルに達した後、培地から窒素を除去して細胞の増殖を阻止し、非増殖細胞に供給される追加的な炭素源はメタノール生成のための還元等価物に変換されることを保証する。 メタンおよび酸素は次に、プロペラ式混合または空気リフト混合のいずれかで混合することで維持される飽和レベルで、培養液に供給される。 メタノールが培養液中で蓄積する中、培養液の一部は主な反応器から分離され、(主要な反応器に戻される)細胞を除去するために遠心分離にかけ、メタノールを回収するために上清が処理される。 この過程は、バッチまたは連続的過程のどちらかとして構成し得る。

    特に、大腸菌の実験室株において発現したBM-3またはそのホモログの一つに基づく触媒を用いた全細胞メタノール生成の最初の実証は、酸素およびグルコースレベルを簡単にモニタリングおよび調整できる小さな発酵槽で行う。 それは酸素が存在しない場合には、条件的好気性菌である大腸菌がグルコースをエタノールおよび二酸化炭素へと分解し始めるため、酸素レベルが特に重要である。 これにより細胞は、触媒により生成された微量のメタノールを消費するアルコールデヒドロゲナーゼの生成を上方制御することになる。 さらに、嫌気性代謝から蓄積されるエタノールは、メタノール検出アッセイに干渉する。 発酵槽において全細胞反応を実施するために、1μg/mLアンピシリンを含有するTB液(Terrific Broth)(生体触媒遺伝子を含有するPCWoriプラスミドの保持用)において細胞培養液1 Lを高密度(OD 600 = 1-2)で増殖させる。 触媒発現は、1 mM IPTGおよび0.5 mM δ-アミノレブリン酸の添加により誘発される。 12〜24時間後、培養液を遠心分離して生体触媒を含む細胞を収集する。 上清を除去した後、細胞を再懸濁し、窒素のない最少培地で洗浄して微量のTBを除去した。 次に、窒素のない最少培地において細胞を発酵槽に添加し、0.5%グルコースを与えた。 反応中は、さらにグルコースを添加してこのレベルを維持する。 発酵槽において、飽和レベルで酸素を培養液に添加し、反応中はこれらのレベルを維持するために必要に応じてモニタリングと添加を行う。 反応を開始するため、培養液からメタンが発生する。 培養液中に窒素が存在しないため、細胞は非増殖状態を強いられ、大部分のグルコースは好気的に消費され生体触媒のためにNADPHへと変換される。 好気性菌としての役目を果たす大腸菌細胞はメタノール生成物を含むアルコ―ルを代謝する能力もまた、限られている。 メタノールをこの培養液中で、本研究のin vitroでの反応で記載するとおりに測定する。

    本データは、指向進化によりさまざまなシトクロムP450酵素の修飾を通してメタン水酸化活性を達成し得ることを示している。 生成に伴いメタノールを代謝しない異種宿主においてこの酵素は発現し得るため、この生体触媒の発明はまた、可能な全細胞過程を用いてメタノールの生成を行う。

    酵素で触媒されるメタンからメタノールへの変換に対する反応は、10 mLガラス製ヘッドスペースバイアルで実施した。 0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)において精製BM-3変異型5μMを含有する反応混合物470μLを、まず最初にバイアルに添加した。 バイアルはセプタムで直ちに閉め、30 psiのメタンで加圧し、4℃で1時間振とうした。 次に、NADPH再生システム30μL(1.66 mM NADP+、167 U/mLイソクエン酸脱水素酵素、416 mMイソクエン酸)を添加して反応を開始した。 合計ターンオーバーを決定するため、室温で20時間反応させた。

    20時間のメタン反応中に形成されたメタノール生成物量を、アルコールオキシダーゼおよびPurpaldの使用により比色分析によって定量化した。 反応混合物190μLは、96ウェルプレートの単一細胞に移した。 アルコールオキシダーゼの0.05U/μL溶液10μL(メタノール資化酵母から得られたもの、Sigma-Aldrichから購入)を細胞に添加し、室温で5分間インキュベートした。 この時間中、アルコールオキシダーゼはメタノールをホルムアルデヒドに変換する。 次にPurpald(2 M NAOHで168 mM)を添加して、ホルムアルデヒドを有する紫色生成物を溶液中で形成させた。 紫色については、Spectramax Plusマイクロタイタープレートリーダーを用いて凡そ1時間後に550 nmで読み取りを行った。 メタノールの濃度は、メタノール較正曲線と比較した吸光度の測定値に基づき決定した。 メタノール較正曲線は幾つかの標準法により生成された。 各標準には、メタン加圧のない状態での、前記のメタノール溶液100μL(10、20、40、60、100μM)およびメタン反応混合物90μLを含む。

    表3は、メタン水酸化活性を示す二世代目35-E11変異型のアミノ酸置換、スクリーニングおよび活性データを示す。 Purpaldで処理してから1時間後に、相対ジメチルエーテル(DME)活性を純平均として測定した。 突然変異体の8つのマイクロタイタープレートDME反応物に由来する550 nmにおける吸光度を35-E11の8つの等価物反応と比較した。 すべての数値は、各ウェル内でP450濃度をCO結合により測定することで正規化された。 「アステリスク」は、さらなる特徴付けのためにライブラリから突然変異体を選択するために使用する基準を示す。 酸化速度は、P450含有細胞溶解物を含む8つのマイクロタイタープレートウェルにNADPHを添加してから1分間後に340 nmでの吸光度の変化として測定して、35-E11の8つの等価物反応と比較した。 すべての数値は、各ウェル内でP450濃度をCO結合により測定することで正規化された。 合計ターンオーバー数(TTN)は、アルコールオキシダーゼおよびPurpaldによる処理の後に、各突然変異体とのメタン反応の550 nmでの吸光度として測定した。

    表4は、さまざまな親P450配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、および6)におけるアミノ酸置換の網羅的リストを提供する。

    実施例3:領域特異的活性 生体触媒は、酵素の固有な特異性によって従来の化学合成に対する有益な代替策を提供する。 基質の単一エナンチオマーまたは位置異性体のみを受容するエナンチオ選択性触媒は、指向進化を用いて形成された。 しかしながら、アキラル化合物の酵素的、領域選択的およびエナンチオ選択的な官能化はより大きな難関である。 特に、飽和した炭化水素の領域選択的およびエナンチオ選択的な水酸化は、引き続き化学合成上の問題となっている。

    先述のとおり、シトクロムP450 BM-3は、単一ポリペプチド上にヒドロキシラーゼドメインおよびレダクターゼドメインを含有する可溶性タンパク質である。 また先述のとおり、効率的なアルカンヒドロキシラーゼ活性を示すシトクロムP450 BM-3変異型が提供される。 これらの変異型の一つである9-10Aは、基質と密接する11個の活性部位残基においてさらに修飾し、活性をスクリーニングする。 良性変異が組換えされ、さまざまな位置選択性を持つ直鎖アルカンの水酸化を触媒する変異型を生成する。

    突然変異体9-10Aは、プロパンほども小さなアルカンに対して高い活性を示す。 この突然変異体のアルカン水酸化特性は表5および6で詳述している。

    表5において、生成物分布は特定のアルコール生成物/全アルコール生成物合計量の比率(%で提供)として決定される。 ケトンの生成物分布は、アルコール生成物分布に類似していた。 本明細書で報告される数値は、生成物合計量(アルコール + ケトン)と比較したすべてのケトンの合計量(%)である。 好ましいエナンチオマーを括弧内に列挙している。

    表6で示すデータについて、当初のNADPH消費速度は、340 nmで15秒間、nmol NADPH/分/nmol タンパク質として測定した。 オクタン反応は100 nMのP450、166 uMのNADPH、およびオクタン4 mMを1%エタノールおよびリン酸カリウム緩衝液中に含有した。 プロパン反応は200 nMのP450、166μMのNADPH、およびプロパン飽和リン酸カリウム緩衝液を含有した。 誤差は最大でも10%であった。 初速度は、GCにより1分間、合計生成物/分/nmolタンパク質として測定された。 オクタン反応は100 nMのP450、500μMのNADPH、およびオクタン4 mMを1%エタノールおよびリン酸カリウム緩衝液中に含有した。 プロパン反応は1μMのP450、500 uMのNADPH、およびプロパン飽和リン酸カリウム緩衝液を含有した。 結合は、生成物形成率/NADPH消費速度の比率により決定した。 合計ターンオーバー数は、nmol生成物/nmol酵素として決定した。 オクタン反応は10-25 nMのP450、500μMのNADPH、およびオクタン4 mMを1%エタノールおよびリン酸カリウム緩衝液中に含有した。 プロパン反応は、10-25 nMのタンパク質、プロパンで飽和されたリン酸カリウム緩衝液、ならびに100 uM NADP+、2 U/mLイソクエン酸脱水素酵素、および10 mMイソクエン酸を含有するNADPH再生システムを含有した。

    表5で示すとおり、突然変異体9-10Aはオクタンをオクタノールとケトンの混合物へと水酸化する。 これらの生成物の分布は、野生型BM-3により生成された分布とは異なる。 9-10Aはヘムドメインにおいて14個の変異を持ち、そのうちの一つV78Aのみが活性部位に位置している。 このデータは、活性部位の変化、特に複数の変化は、生成物分布を変え活性を高め得ることを示唆している。 例えば、2つの別の活性部位突然変異であるA82LおよびA328Vは、アルカン水酸化の領域選択性を主に単一の末端近く(ω-1)位置へとシフトさせた。 これらの結果に基づき、水酸化の改変された領域選択性および改変された基質特異性を持つ酵素を得るために、活性部位変異型が生成された。

    アルカンの存在下でのNADPH消費速度の分光的なモニタリングによるライブラリのスクリーニングは多くの場合、生成物形成と非常に切り離されたNADPH酸化速度を持つ突然変異体を選択する。 これは、望ましい基質を模倣する代理基質の使用を通して克服できるが、水酸化されると直接または染料の添加によって簡単に検出できる種を生じさせる。 例えば、前記のとおりプロパンに対する活性を持つ突然変異体BM-3酵素のハイスループット同定に対するスクリーニングは、ジメチルエーテル(DME)をプロパン代理基質として使用する。 水酸化されると、これはメタノールおよび染料感応性のあるホルムアルデヒドへと分解される。 さらに、へキシルメチルエーテル(HME)はオクタンに対する代理として使用され得る。 これは、そのCH結合の緩衝液での可溶性、大きさ、形状、および強度を含むオクタンの物理特性の大多数を共有する。 HMEがそのメトキシ炭素で水酸化される場合は、染料Purpaldにより10μMほどの低濃度でも可視検出されるホルムアルデヒド等価物を生成する(図25を参照)。 へキシル基のα-炭素が水酸化される際に形成されるアルデヒド生成物であるヘキサナールは、本スクリーニングで使用される濃度の一部ではPurpaldに対して実際には反応性がなかった。 ホルムアルデヒドは、ヘキサナールよりも凡そ42倍もPurpaldに対する感応性が高かった(図26を参照)。 この不釣合いな反応により、対称的エーテルDMEとは対照的に、HMEは末端アルカン水酸化について領域選択的スクリーニングをする。

    9-10Aにおける各々の個々の活性部位位置に変化に対する小さなライブラリが形成され、アルカンに対するその活性を高めるかその領域選択性を改変する変化を同定した。 11個の重要な活性部位残基は、公開された結晶構造におけるBM-3ヘムドメインで共結晶化された結合脂肪酸基質への近接性、すなわちヘム補助因子に最も近い10個の炭素原子の5オングストローム以内の近接性によって選ばれた。 これらの活性部位残基は、A74、L75、V78、F81、A82、F87、T88、T260、I263、A264、およびA328であった。 例えば、基質の有無に関係なく野生型P450 BM-3の結晶構造は、活性部位に基質結合に伴う大きな立体構造変化を明らかにした。 基質のない構造は、17〜21の順序付けられた水分子を持つオープンアクセスチャンネルを示す。 基質の認知は、チャンネルを閉じるための立体配座トリガーとして機能し、これが活性部位を脱水し、酸化還元ポテンシャルを高め二酸素のヘムに対する結合が可能となる。 本研究では、これら11個の各位置において飽和変異導入ライブラリを形成した。 ライブラリを、ジメチルエーテル(DME)およびへキシルメチルエーテル(HME)に対する活性についてスクリーニングした。

    これらの基質のいずれかに対する活性がより高い21の単一活性部位突然変異体が、単離された。 活性を改善した突然変異は、アミノ酸L75(I、W)位、A78(T、F、S)位、A82(T、S、F、I、C、G、L)位、F87(I、V、L)位、T88(C)位、T260(N、L、S)位およびA328(L、F、M)位で見つかった。 9-10Aの単一活性部位突然変異体は、オクタンに対するその改変された領域選択性により特徴付けられた。 これらの各突然変異は、ヘム補助因子の上にある活性部位の構造を改変するその存在の結果として、特性的なオクタノール生成物分布を生成する。 オクタンに対するこれらの21種の異なる突然変異体およびその領域選択性を、表7に列挙している。 形質転換は、細胞溶解物を用いて実行された。 突然変異は、変異型9-10A(アミノ酸突然変異R47C、V78A、K94I、P142S、T175I、A184V、F205C、S226R、H236Q、E252G、R255S、A290V、L353Vを持つ)において生成された。 「その他」は、アルコールと類似の生成物分布を有する過酸化生成物(ケトンおよびアルデヒド)を示唆している。 「速度」は、nmolオクタノール/nmol P450/分として測定した。 「TTN」は、4時間の反応で生成されたnmolオクタノール/nmol P450として測定した。

    前記の本来のアミノ酸および良性変異は組換えされて、これらの突然変異のすべての可能な組み合わせを含有する突然変異体のライブラリを形成した。 以前の実験において領域選択性の決定要因として実証済みのため、突然変異A82LおよびA328Vをこのライブラリに含めた。 多くの活性部位突然変異は、コードする遺伝子上で互いに近接しすぎているため、DNAシャフリングやStEPの標準方法を使って組換えを行うことができない。 そのため、組換えライブラリは、突然変異を含む指定されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いてステップワイズで組み合わせた。 突然変異体1-12G2は、スクリーニング手順における対照群として使用した。 1-12Gと比べDMEまたはHMEに対して改善された活性を持つ合計16個の突然変異体を、精製およびさらなる特徴付けのために選んだ。 オクタンをアルカン水酸化に対するモデル基質として使用し、生成物形成の速度、合計ターンオーバー数および領域選択性を決定した(表8)。 突然変異は、アミノ酸75位、78位、82位、87位および328位で見つかった。 ライブラリを構築中に、部分的ライブラリの改善された10の構成員をスクリーニングし配列決定した。 75位および260位でのすべての可能なアミノ酸が同定され、8つのうち4つのアミノ酸は78位であった。

    表8は、BM-3活性部位突然変異体の触媒を受けるオクタン水酸化反応の突然変異、生成物分布、速度および合計ターンオーバー数のリストを提供している。

    突然変異は変異型9-10A(前記)と比較したものである。 野生型は78位にバリンを有する。 生成物分布は、特定のアルコール生成物/アルコール生成物合計量の比率(%で提供)として決定される。 ケトンの形成もまた観察されたが、生成物の合計量の5% 未満であった。 生成物形成の初速度は、GCにより60秒間、nmol合計生成物/分/nmolタンパク質として測定した。 反応は、エタノール(1%)およびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M, pH=8.0)中にP450(100 nM)、NADPH(500μM)、およびオクタン(4 mM)を含有した。 合計ターンオーバー数は、nmol生成物/nmolタンパク質として決定した。 反応は、エタノール(1%)およびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M, pH=8.0)中にP450(25 nM)、NADPH(500μM)、およびオクタン(4 mM)を含有した。

    HMEスクリーニング手順を使用して、アルカン鎖の末端メチル炭素に向けてシフトした領域選択性を持つBM-3変異型を同定した。 一般に、スクリーニングにおいてHMEの合計ターンオーバーが高い突然変異体は1-12Gと比べてより多量の1-オクタノールを生成した。 形成された1-オクタノールの合計量(1-オクタノールの割合をttnで掛ける)は、変換されたHME量と高い相関性がある。 例えば、突然変異体77-9H(上記表8を参照)は、オクタンに対する速度および合計ターンオーバーを考慮すれば1-12Gと比較して改善されないが、この突然変異体はオクタンを52%の1-オクタノールに変換し、スクリーニングにおけるHMEに対する活性が高くなる。 生成物混合物における1-オクタノールの比率は、3〜51%とさまざまである。 相当に異なる位置選択性を示す単一活性部位変異体を組換えした。 組換えおよび末端水酸化に対するシフトについてのスクリーニングに伴い、すべての同定された変異型は末端メチルまたは最後から二番目の末端近くメチレン基について選択的であった。 例えば直鎖アルカン鎖の第3または第4の炭素の水酸化に対する組換えライブラリのスクリーニングは、この特異的な領域選択性を示す変異型を同定しうる。

    組換えライブラリは、P450 BM-3の凡そ9,000種の異なる突然変異体を含有し、その各々が特性的な活性部位を含む。 これらの70%以上で、DMEまたはHMEに対する活性があった。 本明細書で提供されるデータは、活性部位における突然変異が高い領域選択性およびエナンチオ選択性を持つ2-シクロペンチルベンゾオキサゾールなどの複雑な基質を水酸化する変異型を生み、化学合成に対して貴重な中間体を生む可能性がある(下記の例を参照)。

    相同タンパク質へ活性部位突然変異の適用:前記の突然変異体9-10Aは、指向進化実験において点突然変異体を蓄積することで得られた。 新規または改変された特性を備えるP450を取得するべく指向進化のためのライブラリを作成する別の方法は、組換えまたはキメラ形成であり、相同P450の一部はスワップされて機能キメラを形成した。 相同タンパク質の同等のセグメントを組み換えることで、各アミノ酸置換が親の一つにおいて成功したことがすでに実証済みの変異型が形成される。 そのため、この方法で形成されたアミノ酸突然変異は、平均してランダム突然変異よりも破壊性が低い。 最近、構造ベースのアルゴリズム「SCHEMA」が開発された。 このアルゴリズムは、タンパク質がその活性形態に折り畳まれることを阻止する破壊的相互作用を最小限に抑えるために組換えできるタンパク質の断片を同定する。 P450 BM-3およびそのホモログは、触媒ヘム-ドメインならびにFADおよびFMN含有NADPHレダクターゼから成る可溶性融合タンパク質である。 これらでは、基質の水酸化を触媒する上で二酸素およびNADPH補助因子を必要とする。 しかしながら、ヘムドメインは触媒に過酸化物「シャント」経路を介して過酸化水素を活用することができる。 この「ペルオキシゲナーゼ」活性はCYP102A1では低いものの、アミノ酸置換F87Aにより増強される。 CYP102A2における同等のF88A突然変異でも、同様の効果が示されている。

    SCHEMAは、P450 BM-3およびそのホモログCYP102A2のキメラを設計するのに使用されており、63%のアミノ酸配列同一性を共有する。 構築されたハイブリッドタンパク質17種のうち14種がCO差スペクトルで決定されるとおり正確に折り畳まれ、ヘム補助因子を組み入れた。 折り畳まれたキメラはペルオキシゲナーゼ活性を示した。 BM-3とそのホモログCYP102A2およびCYP102A3とのSCHEMA誘導組換えにより生成されたキメラの大規模なライブラリは、3000以上の新しく適切に折り畳まれたBM-3の変異体を含む。 さらに新規生体触媒の形成に加え、これらのキメラ形成研究では、相同P450酵素CYP102A2およびCYP102A3が、BM-3との十分類似性が高くこの方法で組換えができ、なおも高確率の折り畳みを保つことを示している。

    n-アルカン類の水酸化についての変異体77-9Hの領域選択性:末端水酸化について最高の選択性を持つ突然変異体77-9Hは、鎖の長さがC6〜C10のアルカンとの反応において特徴付けられた。 表9で要約した生成物分布は、突然変異体77-9Hが主に末端位置においてオクタンのみを水酸化したことを示す。 オクタンよりも短いまたは長いアルカンは、主に2位で水酸化される。 野生型BM-3は、ラウリン酸およびパルミチン酸を末端近く位置で水酸化する。 ラウリン酸は主に(48%)ω-1 位置で水酸化される一方、パルミチン酸はω-2位置(48%)で水酸化される。 脂肪酸では、突然変異体77-9Hは特定の末端近く位置に対して選択性を持つ同様の傾向を示した(表10を参照)。 基質の末端8個の炭素に接触する残基は、結合パルミトイルグリシンを持つ結晶構造に基づき改変された。 この領域外のアミノ酸残基は、特にカルボキシ部分と相互作用する残基では修飾されなかった。

    表9は、特定のアルコール生成物/アルコール生成物の合計量の比率(%で提供)として決定される生成物分布を示す。 ケトンの形成もまた観察されたが、生成物の合計量の10%未満であった。

    表10は、シトクロムP450 BM-3の77-9Hにより触媒された脂肪酸の水酸化についての生成物分布を示す。 生成物分布は、特定の水酸化生成物/水酸化生成物の合計量の比率(%で提供)として決定した。

    P450 BM-3突然変異体F87Aは、ラウリン酸のω-水酸化に役立つと報告されている。 しかしながら、本明細書で提供されるデータでは、F87A突然変異は領域選択性を広げ、水酸化が末端位置から遠のくことを示す。 本研究では、F87A置換は野生型P450 BM-3および9-10Aへと導入した。 アルカンおよび脂肪酸の水酸化生成物の位置異性体の分布を分析した。 いずれの変異型も、アルカン(表11)または脂肪酸(表12)に対する末端水酸化活性を支持しない。 表11は、シトクロムP450 BM-3の変異型wt F87Aおよび9-10A F87Aにより触媒されたアルカンの水酸化についての生成物分布を示す。

    表12は、シトクロムP450 BM-3の変異型wt F87Aおよび9-10A F87Aによる触媒された脂肪酸水酸化についての生成物分布を示す。

    合計ターンオーバー数(ttn)および生成物形成の速度を、77-9Hによるさまざまなアルカンの水酸化について測定した(表13を参照)。 生成物形成の速度は、112 min -1 (ヘプタン)〜742 min -1 (ノナン)にわたる。 末端水酸化反応を実行するシトクロムP450の最大ターンオーバー速度は、77-9Hよりも一桁分低い。 野生型BM-3は、一桁分低い速度でアルカンを水酸化する(例えば、オクタンでは30 min-1)。 TTNを決定するために、酵素はフラビンの透析により、P450が酸素制限でも不活性でもない濃度で希釈した。 合計ターンオーバー数は基質依存性であることが判明し、一般にアルカンの鎖の長さに伴い増加する。 基質水酸化の速度は、同じ傾向をたどるように思われる。 還元された酸素種の非生産的解離は、酵素を不活性化するスーパーオキシドまたは過酸化物の形成につながることがよく知られている。 これは酵素が、結合効率が最大(66%、表13)の基質であるノナンに対する大多数のターンオーバーを支持するという事実と一致する。

    表13では、合計ターンオーバー数はnmol生成物/nmolタンパク質として決定した。 反応は、エタノール(2 %)およびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M、pH 8.0)中にP450(25 nM)、NADPH再生システム(166μM NADP+、6.6 U/mLイソクエン酸脱水素酵素、41.6 mMイソクエン酸)およびオクタン(4 mM)を含んだ。 生成物形成の速度は、GCにより20秒間、nmol合計生成物/分/nmolタンパク質として測定した。 反応は、エタノール(2%)およびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M, pH=8.0)中にP450(200 nM)、NADPH(500μM)、およびオクタン(2 mM)を含有した。 NADPH酸化速度は、340 nmで20秒間、nmol NADPH/分/nmolタンパク質として測定した。 反応は、エタノール(2%)およびリン酸カリウム緩衝液(0.1 M, pH=8.0)中にP450(200 nM)、NADPH(160μM)、およびオクタン(2 mM)を含有した。 バックグラウンドNADPH酸化速度(基質なし)は220/分であった。 結合効率は、生成物形成速度/NADPH酸化速度の比率である。

    野生型P450 BM-3は、補助因子(NADPH)からヘムへの電子移動を厳密に調節する。 基質が不在の状態では、結合の弱い水分子はヘム鉄の第六の軸配位子として機能する。 基質がこの水分子に置き換わり、高スピンの形が有利となるようにヘム鉄のスピン状態の均衡を混乱させ、またヘム鉄の還元ポテンシャルを凡そ130 mV高める。 これらの事象は、基質結合ヘムへの電子移動をトリガーし、触媒回路を開始する。 しかしながら、突然変異体BM-3酵素および非天然基質により、NADPH消費は必ずしも生成物の形成に結合されるわけではない。 その代わりに、NADPHからの電子はヘム結合二酸素を水または反応性酸素種の過酸化物およびスーパーオキシドに還元する。 突然変異体77-9Hの結合効率(生成物形成に使用されるNADPHの断片)を決定するために、アルカン基質の添加に伴うNADPH酸化速度が測定され、生成物形成の速度と比較される(表13)。 生成物形成の速度は、結合効率との相関性がある、即ち反応がNADPH酸化と結合される程度が高いほど、生成物形成の速度も高い。 最大の結合効率(66%)はノナンで観察された。

    直鎖アルカンは、シトクロムP450の活性ヘム鉄オキソ種との反応に対するその指向性を是正する官能基は含まないため、選択的水酸化にとって難問である。 金属ポルフィリンのモデル研究では、基質結合効果がない場合には、n-アルカン水酸化の領域選択性は相対結合解離エネルギーにより決定されることを示している。 末端ヒドロキシラーゼ活性に対するP450の操作は、そのため、末端メチル炭素のみが活性化されるように、メチレン基に対する触媒種の固有特異性をオーバーライドする必要がある。

    野生型シトクロムP450 BM-3は、その好ましい基質である中鎖脂肪酸を末端近くの位置で水酸化する。 末端炭素は水酸化されない。 飽和変異導入ライブラリを11の活性部位位置でスクリーニングし、良性変異を組換えすることで、脂肪酸およびアルカン水酸化に対して広範な位置選択性を示す一連のP450 BM-3突然変異体が本明細書に記載されている。 一つの突然変異体77-9Hは、51%の選択性をもって末端位置でオクタンを水酸化するが、この選択性はオクタンに対してのみ示される。 そのため77-9Hの活性部位は、末端近くの水酸化を阻止するための活性酸素近くには制限されない。 オクタンの末端メチル基に対する特異性は恐らく、活性部位残基およびオクタンメチレン基および/または未反応側のメチル基の間の特定の相互作用を反映したものである。 末端水酸化活性のスクリーニングに使用されるへキシルメチルエーテル基質は、オクタンと同じ鎖の長さである。 HMEの末端水酸化を可能にする突然変異は、オクタンの末端水酸化を促進するために類似の方法で作用する可能性が高い。

    直鎖末端アルケンのエポキシ化に対する活性部位突然変異の組換え:標的反応は、直鎖末端アルケンの選択的エポキシ化であった。 同じ飽和変異導入ライブラリをスクリーニングし、この活性を示す単一活性部位突然変異体を同定した。 有益な活性部位突然変異の組換えに伴い、高い領域選択性および逆エナンチオ選択性を持つ直鎖末端アルケンをエポキシ化する2つの突然変異体を同定した。

    より大きな化合物の領域選択的水酸化に対する活性部位組換え変異体の可能な応用:標的化合物である2-シクロペンチルベンゾオキサゾールは、高い領域およびエナンチオ選択性を持つ活性部位突然変異体1-12Gにより水酸化した(「Regio- and Enantio-Selective Alkane Hydroxylation with Engineered Cytochromes P450'−PCT/US04/18832を参照、参照により本明細書に援用する)。本明細書で提示された研究では、活性部位突然変異体が化学合成に対するキメラ中間体の準備に適することを示している。この場合、ヒトHIVに対して活性を持つ可能性がある、例えば、カルボビル、カルボン酸ヌクレオシドの合成の中間体として、水酸化生成物を使用し得る。

    本明細書に記載の活性部位突然変異体53-5Hおよび77-9Hについて、2-シクロペンチルベンゾオキサゾールの水酸化を試験した。 3-(ベンゾオキサゾール-2-イル)シクロペンタノールの形成に関する領域選択性は、1-12Gで報告されたものよりも高かった。 53-5Hおよび77-9Hの観察された選択性はそれぞれ99.4 %および99.9 %であった。 エナンチオ選択性は、53-5Hでは55.8 %、77-9Hでは1.5 %で、測定されたee値ほど高くはなかった。 しかしながら、突然変異体はエナンチオ選択性ではなく高い領域選択性について選択された。

    エタンまたはプロパンなどの気体アルカンの対応するアルコールへの直接変換:本明細書で提供する突然変異体は、単一活性部位突然変異体、およびその組み合わせを使用して、気体アルカンを含む幅広い基質を結合させる能力のある活性部位をP450 BM-3内で生成させ得ることを示唆している。

    プロパン上で最も高い活性をもつ突然変異体53-5Hは、370 min -1の割合でプロパンからプロパノールへの数千回ものターンオーバーを触媒することを示した。 この突然変異体はまたエタンを水酸化してエタノールを生成し、53-5HはA78F、A82S、およびA328Fという3つの活性部位突然変異を含み、そのすべてが活性部位の容積を低下させるより大きな側鎖でアラニンを置き換え、触媒中にヘムの上に小型アルカンを位置付ける。 エタンに対するその活性に加え、53-5Hは本明細書で同定したBM-3変異体のオクタンに対して、最大の領域選択性(89% 2-オクタノール)およびエナンチオ選択性(65% S-2-オクタノール)を示した。 この情報はさらに、操作された活性部位におけるより密接な基質結合が修飾酵素において生じることを示唆している。

    P450 BM-3突然変異体によるハロゲン化アルカンの脱ハロゲン化:鎖の長さが短いまたは中程度のアルカンに対するBM-3活性部位突然変異体の水酸化活性は、ハロゲン化アルカンの脱ハロゲン化を実行する上で有益となり得る。 したがって、野生型P450 BM-3は活性部位変異型を生成する開始点として使用した。 アミノ酸位置328でのアラニンは、標準DNA操作方法を用いて、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、およびバリンにより置換した。 野生型酵素のアミノ酸配列は、配列番号1で提供している(図8を参照)。

    脱ハロゲン化反応は、開始ハロアルカンに依拠してアルデヒドまたはケトンの形成につながる、自発的な(塩基触媒)α脱離反応によりハロゲンを搬送する炭素原子の水酸化に基づく。 一般的なαハロアルカンの脱ハロゲン化に対して予想される反応機構は、以下のスキームにより記述されている:

    このアプローチの実用性を試験するために、脱ハロゲン化反応の基質としてクロロメタンを使用した。 別のハロアルカンに比べ、クロロメタン(CM)には水中(0.5g/100 ml)で軽度の可溶性があり、水酸化/α脱離反応の最終生成物としてホルムアルデヒドにつながるという利点がある。 ホルムアルデヒドは次に、前述のとおりPurpaldを用いた比色分析反応により簡単に検出され得る。 反応を試験するため、ランダム突然変異導入の後半のラウンドで得られた2つのBM-3突然変異体である35-E1141および20-D3を、CMおよびNADP + 、グルコース-6-リン酸およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼをベースとする補助因子再生システム中でインキュベートした。 酵素がない状態での野生型P450 BM-3を用いた反応を、対照群として含めた。 特定の比色分析反応(図27Aを参照)は、BM-3突然変異体が存在する中でのみ観察された。

    反応は1-8H、1-12G2および野生型P450 BM-3を含む追加的BM-3突然変異体の存在下で繰り返し、ここでA328はバリンで置換した(BM-3-A328V)(図27B)。 CM上でのBM-3-A328Vの合計ターンオーバー数は、本研究において検討される別の突然変異体よりも大幅に高く、その一方、野生型酵素は検出可能な活性を一切示さなかった(図28)。 野生型BM-3は、V328位で別のアミノ酸残基により置換した。 しかしながら、これらの突然変異体はCM上での活性がBM-3-A328Vよりも遥かに低かった(図29)。

    CMならびにHME、DME、およびプロパンなどの他の基質に対するBM-3-A328Vの活性は、さらに生成物形成の速度、補助因子消費および結合効率を測定することで調査された(表14)。 この突然変異体はまた、合計で約5〜10のターンオーバーのみではあったが、エタンをエタノールに水酸化する能力があることが判明した。 表14において、「消費」速度はnmol NADPH/nmol酵素/分として表し、「生成物形成」の速度はnmol生成物/nmol酵素/分として表した。

    クロロメタンについて記述される脱ハロゲン化反応のタイプは、ブロモ-およびヨードメタンといった別のハロメタンの他、より長いハロアルカン(例えば、ハロエタン、1-および2-ハロプロパン)にも及び得ることが想定される。 結果生じるハロアルコールは、水酸化反応の領域選択性および開始化合物の性質に依拠して、対応するカルボニル化合物(アルデヒド、ケトン)またはエポキシドを形成し得る反応中間体である(図30)。 これらの反応は、バイオレメディエーションの他、合成目的でも有益である。

    実施例4:プロパノル突然変異体 プラスミドおよびオリゴヌクレオチド:すべてのプラスミドは、ベクターpCWoriに由来する。 コードする配列(3040 bp)は、tacプロモーターの制御下でBamH IおよびEcoR I制限部位の間から成る。 P450 BM3変異型139-3、J、および35E11については前述のとおりである。 プラスミドpCWori_35E11は第一のライブラリ構築のためのテンプレートとして使用された。 本研究全体にわたり使用されたオリゴヌクレオチドの配列は、表15に示している。

    表15:ライブラリの構築に使用したオリゴヌクレオチド。

    熱安定性ライブラリの構築(HL1):L52I、S106R、M145A、L324I、V340M、I366V、E442K置換は、PCRオーバーラップ伸長変異導入により35E11配列に導入した。 複数の突然変異体は、単一突然変異体からのPCR生成物を用いて遺伝子SOEingにより準備した。 pCWori_35E11をテンプレートとして、BamHI_fwdおよびSacI_revをメガプライマーとして、および#1〜#14を突然変異導入プライマーとして使用した。 増幅領域(1.5 Kbp)は、BamH IおよびSacI制限酵素を用いてpCWori_35E11にクローニングした。

    ランダム突然変異導入ライブラリ(HL2)の構築:ETS8ヘムドメイン(BamH I - Sac I領域)のランダム突然変異導入ライブラリは、Taqポリメラーゼ(Roche、インディアナ州インディアナポリス)、pCWori_ETS8をテンプレートとして、BamHI_fwdおよびSacI_revをプライマーとして、および異なる濃度のMnCl 2 (50、100、150、200、300μM)を用いて、エラープローンPCRにより形成した。 突然変異率は、8つのランダムに選ばれたコロニーを配列決定して推定した。

    活性部位ライブラリ(HL3)の構築:437位および438位の部位飽和(NNK)ライブラリは、pCWori_19A12をテンプレートとして、BamHI_fwd、およびEcoRI_revのメガプライマー、および#17〜#20のプライマーを用いてPCR オーバーラップ伸長変異導入により準備した。 増幅領域(~ 3.2 Kbp)は、BamH IおよびEcoR I制限酵素を用いてp19A12にクローニングした。 74、75、78、82、87、88、181、184、188、260、264、265、268、328、および401位の部位飽和(NNK)ライブラリは、BamHI_fwdおよびSacI_revメガプライマー、ならびに#22〜#53プライマーを用いて準備した。 増幅領域(1.5 Kbp)は、BamH IおよびSac I制限酵素を用いてpCWori_35E11にクローニングした。

    ヘム組換えライブラリ(HL4)の構築:組換えライブラリは、SOEingによりHL3ライブラリから得られる単一突然変異体(例えば、A74S、A74Q、V184S、V184T、V184A)を組み換えて準備した。 RF-g3生成からの単一点突然変異体の配列は、テンプレートとしての役目を果たした。 BamHI_fwdおよびSacI_revをメガプライマーとして使用し、増幅領域(1.5 Kbp)はBamH IおよびSac I制限酵素を用いてpCWori_35E11にクローニングした。

    ヘム飽和組換えライブラリ(HL5)の構築:これらのライブラリは、74位にS/NNK、82位にS/G、184位にS/T/NNKを含む遺伝子断片を組み合わせる方法を用いて、オーバーラップ伸長によるSOEingにより準備した。 82G突然変異を導入するために、プライマー#54および#55を使用した。 74および184位をランダム化するために、プライマー#26および#27ならびにプライマー#34および#35をそれぞれ使用した。 残りの突然変異を導入するために、対応する変異型のプラスミドをテンプレートとして使用した。 複数の突然変異体について、第一のPCRに由来する精製生成物をテンプレートとして用い、第二のPCRを実施した。 BamHI_fwdおよびSacI_revは、メガプライマーの役目を果たした。 増幅領域(1.5 Kbp)は、BamH IおよびSac I制限酵素を用いてpCWori_35E11にクローニングした。

    レダクターゼドメインランダム突然変異導入ライブラリ(RL1-2)の構築。 35E11 FMN結合ドメイン(432-720)およびFAD結合ドメイン領域(724-1048)のランダム突然変異導入ライブラリは、Taqポリメラーゼ(Roche、インディアナ州インディアナポリス)、pCWori_35E11をテンプレートとして、FMN_for/FMN_revおよびFAD_for/FAD_revプライマーのペア、ならびに異なる濃度のMnCl 2 (100、200、300μM)を用いて、エラープローンPCRにより形成した。 増幅領域(1.9 Kbp)は、Sac IおよびEcoR I制限酵素を用いてpCWori_35E11にクローニングした。 突然変異率は、8つのランダムに選ばれたコロニーを配列決定して推定した。

    レダクターゼドメイン飽和変異導入ライブラリ(RL3-4)の構築。 443、445、515、580、654、664、698、1037位の部位飽和(NNK)ライブラリは、pCWori_11-3をテンプレートとして、FMN_for、およびEcoRI_revのメガプライマー、ならびに#60〜#75プライマーを用いてPCR オーバーラップ伸長変異導入により準備した。 増幅領域(1.9 Kbp)は、Sac IおよびEcoR I制限酵素を用いてp11-3にクローニングした。

    ドメイン組換えライブラリ(L9)の構築。 FMN/FAD組換えライブラリは、RDL3ライブラリに由来するG443A、P654K、T664G、D698G、およびE1037G突然変異をプライマー#76〜#79、およびFMN_forおよびEcoRI_revをメガプライマーとして用いて、SOEing組換えすることにより準備した。 レダクターゼドメインライブラリは、Sac IおよびEcoR I制限酵素を用いてpCWori_7-7に増幅領域(1.9 Kbp)をクローニングすることで、7-7ヘムドメインに組み合わせた。

    ハイスループットスクリーニング。 単一コロニーを、Qpixロボット(Genetix、オレゴン州ビーバートン)により、LB(Amp + )培地(400μL)を含有する1-mLの深型ウェルプレートに回収・植菌した。 プレートを30℃、250 rpmにて相対湿度80%でインキュベートした。 24時間後、この前培養から得た50μLを使用して、ウェル当たり900μL TB(Amp + )培地を含有する深型ウェルプレート2 mlに植菌した。 培養物は、37℃、220 rpmにて相対湿度80%で増殖させた。 600 nmにおけるODが1.5に到達したら、細胞に10 mM IPTGおよび10 mM δ-アミノレブリン酸塩酸を含有するTB培地50 μLを添加し、その後に30℃で増殖させた。 24時間後、プレートを5000 rpmで遠心分離し、-20℃で保存した。 細胞は0.5 mg/mLリゾチーム、2 ユニット/mL DNaseI、および10 mM MgCl 2を含有する500μLリン酸カリウム(KPi)緩衝液(0.1 M、pH 8.0)に再懸濁した。 37℃で60分間培養した後、溶解物を1500 gにて10分間遠心分離した。 ジメチルエーテル(DME)活性のスクリーニングは、上清20μlを96ウェルマイクロタイタープレートに移し、DME飽和KPi緩衝液130μlを加え、NADPH(1.0 mM)50μLとの反応を開始することで実施した。 反応において生成されたホルムアルデヒドは、Purpald(2 M NaOH中の168 mM)を添加しSpectramax Plusマイクロタイタープレートリーダーを用いて、550 nMにおける吸光度をモニタリングすることで決定した。 改善されたDME活性を持つ突然変異体は、各陽性クローンについて8つの複製を用いて96ウェルプレートに再スクリーニングした。

    タンパク質発現および精製。 すべての培地および寒天は、100μg/mlアンピシリンを添加した。 大腸菌DH5α細胞は、野生型P450 BM3遺伝子およびその突然変異体をコードするプラスミドで形質転換し、TB培地(Amp + )で増殖させた。 OD 600 = 1.5において、培養物をδ-アミノレブリン酸塩酸(ALA;0.5 mM)およびIPTG 0.5 mMで誘発し、30℃で増殖させた。 細胞は24時間後に、4000 gにて遠心分離により回収した。 細胞ペレットは、25 mM Tris pH 8.0に再懸濁し、超音波処理により溶解した。 遠心分離後、上清をイオン交換カラム(Toyopearl Super Q-650樹脂)にアプライした。 カラムを3カラム容量の25 mM Tris pH 8.0および3カラム容量の25 mM Tris 150 mM NaCl pH 8.0で洗浄し、結合タンパク質を25 mM Tris 340 mM NaCl pH 8.0で溶出した。 P450含有画分を回収し、Centriprep 30(Millipore)を用いて濃縮した。 濃縮タンパク質は、PD-10脱塩カラム(Pharmacia)および100 mM KPi pH 8.0を泳動用緩衝液に使用して脱塩した。 精製サンプルにおけるP450濃度を、三重にCO差スペクトルから測定した。 タンパク質サンプルを等分し、-80℃で保管した。

    T 50の決定。 100 mM KPi pH 8.0緩衝液における精製酵素溶液(1-3μM)をPCR 96ウェルプレートに移し、PCRサーマルサイクラーにおいて異なる温度(37℃〜60℃)で10分間インキュベートした。 プレートを氷上で冷却し、1500 gにて10分間遠心分離した。 タンパク質溶液160μLを次に、1 M KPi pH 8.0中0.1 Mのヒドロ亜硫酸ナトリウム40μLのとともに、96ウェルマイクロタイタープレートに移した。 室温でインキュベートされたタンパク質サンプルと氷上でインキュベートされたタンパク質サンプルが、シリーズに含まれた。 次に、折り畳まれたタンパク質の濃度を、450 nmおよび490 nmにおける吸光度を用いたCO結合差スペクトルおよび吸光係数ε 450-490 = 91,000 M -1 cm -1を測定することで決定した。 CO結合シグナルは、4℃でインキュベートされたサンプルのタンパク質濃度に正規化された。 T 50値は、非線形フィッティングから熱不活性曲線の不活性温度の中間点として計算した。 実験は三重で実施した。

    NADPH酸化速度の決定。 NADPH酸化の当初速度は、プロパン飽和100 mM KPi pH 8.0緩衝液、50-200 nMでの精製酵素、および飽和濃度のNADPH(200μM)を用いて測定した。 340 nmでの吸光度の低下は、BioSpec-1601 UV/VIS分光光度計(Shimadzu、メリーランド州コロンビア)において1分間、25℃でモニタリングした。 速度は最初の20秒間、NADPH伸長係数ε 340 = 6210 M -1 cm -1を用いて計算した。 速度は三重で決定した。 結合値は、プロパンの存在下でのプロパノール形成速度/NADPH酸化速度の比率から計算した。

    アルカンに対する反応。 ペンタンからデカンにわたるアルカンとの反応は、2%エタノール(アルカン可溶化のため)および精製タンパク質を含有する100 mM KPi pH 8.0緩衝液を用いて、3 mLスケールで実施した。 2.5 mL KPi緩衝液に、エタノール中の90 mMアルカン溶液60μL(最終濃度= 1.8 mM)、1μMの酵素溶液150μL(最終濃度= 50 nM)、およびNADPH再生溶液300μL(100 ユニット/mLイソクエン酸デヒドロへナーゼ、70 mg/mLイソクエン酸、1.5 mg/ml NADP + )を添加した。 バイアルを閉じ、4℃で24時間攪拌した。 反応物の1 mLアリコートを取り出し、内部標準10μl(エタノール中の25 mM 1-ブロモヘキサン)を添加して、クロロフォルム200μl(30秒間のボルテックス、10000 gでの1分間の遠心分離)で抽出した。 有機相を取り出し、ガス・クロマトグラフィで分析した。 エタン、プロパン、およびブタンとの反応は、アルカン飽和KPi緩衝液を使用したことを除いてより長いアルカンについて記述したように実施した。 HL5およびL9ライブラリから得られる変異型とのプロパン反応は、20 nM酵素を用いて、1 mLスケール反応で実施し、酸素制限を低下させた。 プロパンおよびブタン反応は、1-ペンタノールを内部標準として用い、GCへの反応溶液の直接インジェクションにより分析した。 エタン反応生成物は官能化され(下記を参照)、1-ブタノールを内部標準として用いてGCにより分析した。 すべての測定は三重に実施した。

    ラウリン酸に対する反応。 ラウリン酸に対するP450 PMO活性は、基質(2 mM)を100 mM KPi pH 8.0 緩衝液中の精製タンパク質(最高0.5μM)と混合し、NADPHを最終濃度の1 mMに添加して試験した。 反応混合物は室温で5 時間、軽く攪拌しつつインキュベートした。 水酸化生成物の分析は、N-メチル-N-トリメチルシリルヘプタフルオロブチルアミド(Aldrich)による誘導体化の後に、公開された手順に従うGC分析により実施した。 対照実験は、野生型P450 BM3を用いて実施した。 野生型P450 BM3との反応から、複数の水酸化生成物が検出された一方、 P450 PMO反応からは一切の水酸化生成物も検出されなかった。

    速度の測定。 生成物形成の初速度は、精製タンパク質(100 nM)および1.6 mMの基質濃度を用いて、100 mM KPi pH 8.0 緩衝液中25℃にて決定した。 5 mLバイアルにおいて、アルカン溶液20μL(エタノール中)をKPi緩衝液400μLに溶解し、これに100~200 nMの酵素溶液500μLを添加した。 反応を5 mM NADPH溶液100μLを添加して開始し、その後、300 rpmで1分間攪拌し、クロロフォルム200μLの添加によりクエンチし、800 rpmで10秒間攪拌した。 溶液をエッペンドルフチューブに移し、これに内部標準(エタノール中の25 mM 1-ブロモヘキサン10μL)を添加した。 チューブを10秒間ボルテックスし、30秒間10,000gにて遠心分離した。 有機相を取り出し、GCにより分析した。 プロパンについては、反応は5 mLスケールで100~400 nMの精製酵素、プロパン飽和緩衝液(プロパン濃度 〜 1.6 mM)および最終濃度500μMのNADPHを用いて実施した。 反応は200μLの濃硫酸を添加して停止し、亜硝酸アルキルへの誘導体化の後に後述のGC-ECD分析により分析した。

    反応速度の測定。 プロパン飽和緩衝液溶液(プロパン水溶性=1.6 mM)の希釈により、1.6 mM〜50μM(6データポイント)のプロパン濃度範囲を準備した。 反応は、100〜400 nM精製酵素および終濃度1 mMのNADPHを用いて、5 mLスケールで実施した。 30秒後、反応を濃H 2 SO 4 200μLを添加することにより停止し、後述するGCにより分析した。 実験中のプロパン漏洩は、測定時間が短いことを理由に無視した。 すべての測定は三重に実施した。 反応速度のパラメータは、以下の最小二乗非線形回帰からミカエリス・メンテン式で推定された:
    v = V max・ S / (K m + S)
    ここでvは初速度、Sは基質濃度、V maxは最大速度、およびK mは基質に対する見かけミカエリス定数である。

    アルカン反応からの生成物は、真正基準(authentic standard)を用いたガス・クロマトグラフィおよび内部標準を用いた検量線により同定・定量化した。 ペンタンからデカンにわたるアルカンとの反応については、Shimadzu GC-17Aガスクロマトグラフ、Agilent HP5カラム(30 mx 0.32 mm x 0.1μmフィルム)、1μLインジェクション、FID検出器、および下記の分離プログラムを用いてGC分析を実施した:250℃入口、250℃検出器、50℃オーブンで3分間、5℃/分勾配で100℃、25℃/分勾配で230℃、および230℃で3分間。 ブタンおよびプロパン(TTN)反応については、Hewlett-Packard 5890シリーズII Plusガスクロマトグラフ、Supelco SPB-1 カラム(60 mx 0.52 mm x 0.5μmフィルム)、0.5μLインジェクション、FID検出器、および下記の分離プログラムを用いてGC分析を実施した:250℃入口、275℃検出器、80°オーブンで2分間、10℃/分勾配から110℃、25℃/分勾配から275℃、その後は275℃で2.5分間。 エタンおよびプロパン(速度)反応については、亜硝酸アルキルへの誘導体化の後にGC-ECD分析を行い、反応混合物の分析を実施した。 ラウリン酸については、N-メチル-N-トリメチルシリルヘプタフルオロブチルアミドによる誘導体化の後にヘキサンでの抽出を行い、反応生成物の分析を実施した。 有機溶液はFID-GCで分析した。

    ハロメタン反応:クロロメタン、ブロモメタン、およびヨードメタンとの反応は、ハロメタン飽和緩衝液(100 mMリン酸pH 8.0)および50〜500 nMの精製タンパク質を用いて、1 mLスケールで実施した。 緩衝液900μLにタンパク質を添加し、15秒間インキュベートした後、100μLのNADPH再生溶液(100 ユニット/mL IDH、70 mg/mLイソクエン酸、1.5 mg/ml NADP+)を添加した。 溶液を密閉し、25℃で30分間攪拌した。 ホルムアルデヒドのバックグラウンドレベルを最低限に低減するため、緩衝液はHPLCグレード水を用いて準備し、使用前に2回オートクレーブした。 反応溶液中のホルムアルデヒド濃度は、o-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル)塩酸ヒドロキシルアミン(PFBHA)による誘導体化およびガス・クロマトグラフィにより決定した。 反応溶液(1 mL)をエッペンドルフチューブに移し、ホルムアルデヒドフリー水中のPFBHA(Fluka)(17 mg/mL)50μLを添加した。 チューブを、サーモブロック内で25℃(1000 rpm)で15分間インキュベートした。 溶液に内部標準(25 mM 1-ブロモヘキサン)10μLを添加し、混合してからヘキサン500μLを添加し、10秒間ボルテックスし、13,000 rpmで30秒間遠心分離した。 有機相を取り出し、1/100 v/vで希釈し、Shimadzu GC-17Aガス・クロマトグラフ上で分析した。 分析条件は以下のとおりであった:Agilent HP1カラム(30 mx 0.53 mm x 2.65μmフィルム)、1μLインジェクション、ECD検出器。 分離プログラムインジェクションは以下のとおり:70℃入口、250℃検出器、45℃オーブンで1分間、15℃/分勾配で200℃、50℃/分勾配で220℃、その後は220℃で3分間。 これらの条件下で、誘導体化されたHCHO(PFBHAカルボニルオキシム)は6.35分で溶出し、未反応のPFBHAは6.88分で溶出した。 既知の濃度のホルムアルデヒドでの検量線および溶液を用いて、定量化を実施した。 速度は30分間の反応から推定した。 測定は三重に実施した。

    可溶性メタンモノオキシゲナーゼおよびクラスIシトクロムP450などの複数成分酸化還元システムにおいて、生成物形成の速度および生成物酸化における結合効率の程度は、試験管内での再構成システム内における個々の成分の相対比率により大きく影響を受ける。 Methylosinus trichosporium OB3bに由来するsMMOにより、プロペン酸化からの生成物収量は、MMOBおよび(MMOHに関する)MMORの相対濃度の変化に伴い、10%〜100%にわたる。 メタン資化性細菌(Bath)に由来するsMMOにより、メタン酸化での結合は、ヒドロキシラーゼとレダクターゼの比率によりさまざまであり、大幅な未結合が化学量論濃度で発生する。 この関係はまた、基質の性質に伴い変化する。 同様の観察は、クラスI P450システムの原型的メンバーであるP450 camでも見られた。 別の酸化還元パートナーと比べて化学量論的に大過剰のプチダレドキシンを添加すると、最高で10倍ものP450 camの触媒速度の向上を達成し得る。 P450 camにおける酸素消費のk cat /K mもまた、プチダレドキシン濃度に大きく依存することが判明している。 原核クラスII P450システムに属するP450 BM3は、ヒドロキシラーゼドメインおよびレダクターゼパートナーを単一ポリペプチドに組み込む。 P450 BM3の触媒機能は、ヘムおよびレダクターゼドメインにおける立体配座の再配列により微調節され、ヒンジ部ドメインの動きを伴う可能性がある。 このシステムにより、任意に選ばれたパラメータ(例えば、酸化還元システムの組成)の交絡効果なく、操作された機能の進化に対するより簡単で偏向のない分析が可能となるが、酵素の天然進化におけるその役割は依然として不明である。

    P450 BM3の折り畳みは、ヘム-、FMN-、およびFAD結合ドメインを含む。 ヘムドメインの他に、レダクターゼドメインおよびリンカー領域における突然変異もまた、酵素の触媒特性に影響を与えることが知られている。 これらの各々の酵素領域における良性変異を同定するために、ドメインに基づく工学的ストラテジーを使用した(図35C)。 ヘムドメインはプロパン活性について最適化されたものの、FMN-およびFAD結合ドメインにおける良性変異をまず最初に同定し(35E11をバックグラウンドとして使用)、その後に最適化した(ヘムドメイン変異型11-3をバックグラウンドとして使用)。 最後の手順において、レダクターゼドメインにおける活性増強性の突然変異を組換え、最も活性の高いヘムドメイン変異型のヘムドメインに結合した(7-7)。 野生型P450 BM3から得たP450 PMOの開発につながる指向進化過程の全体は、図35Aに要約している。

    P450 PMOの開発につながる工学的ストラテジーは、図35に要約している。 第一の手順として、本発明者らはより一層「進化可能な」親を得るために、35E11ヘムドメインの熱安定性を高めることを目標とした。 この選択の動機となった点は、この酵素から開始して改善された変異型を生むことにランダム突然変異および集束変異導入ライブラリが繰り返し失敗したこと、および蓄積された突然変異の結果として安定性の大幅な低下を実証した野生型から35E11への安定性傾向の分析である(図37E)。 安定性を得てさらなる進化を行えるように、熱安定ペルオキシゲナーゼに由来する安定化突然変異を単一または組み合わせて試験した(表16)。 各々の単一突然変異またはその組み合わせの酵素の熱安定性に対する効果は、酵素のCO結合に対する温度依存性不活性をモニタリングすることで評価した(図36C)。 35E11誘導体の中では、プロパンへのプロパン活性を20%低下させただけでより高い熱安定性(ΔT 50 = + 5.1℃)を達成したことから、ETS8がさらなる進化実験の最善の候補として選ばれた。 そのため、野生型から35E11への安定性損失のほぼ半分(ΔT 50 = -11.6℃)は、 単一の手順および2つの突然変異(L52I、I366V)のみにおいて回復し得る。 次に、2.0〜3.5 bp変異/遺伝子にわたる突然変異率で、一連のヘムドメインランダム突然変異導入ライブラリを形成するために、ETS8を親として使用した。 3000メンバーに対するスクリーニングにより2つの改良された変異型19A12と12G7につながり、その両方ともに単一アミノ酸突然変異(それぞれL188PおよびD182Y)を有し、P450 BM3ヘムドメインのヘリックスFに位置する(図35B)。 19A12は、活性部位ライブラリのプール準備のための親配列として機能し、ここで酵素の活性部位内またはその近接の17つの位置が飽和変異導入の標的となった(図39)。 これらの位置には、ヘリックスB1'での残基74、75、78、および82、ヘリックスB1'-ヘリックスCリンカーでの残基87および88、ヘリックスFでの残基181、184および188残基、ヘリックスIでの残基260、264、265および268、ヘリックスK-β-2 リンカーでの残基328、ヘリックスLでの残基401、β-4
    ヘアピンでの残基437および438を含む。 これらの位置のうち11位置は、前回のラウンドですでに飽和されていた(J → 35E11)。 活性部位ライブラリから、複数の変異型においてプロパン水酸化活性のさらなる向上を達成し、その範例は変異型11-3である。 これらの変異型における良性変異の組換えにより、極めて活性の高い変異型、即ち1-3が得られた。 今回そして以前にスクリーニングされた活性部位ライブラリからの選定変異型における突然変異パターンの分析により、代替溶液または新規溶液を模索する同一位置が明らかとなり、プロパンに対する最善の機能には各突然変異手順後の活性部位の微調整が必要なことが示唆される。 この点を説明するために、1-3を親として用いて74、82、および184位を標的とすることで、組換え/部位飽和ストラテジーを使用した。 これらのライブラリから、7-7が最も活性の高いP450変異型として現れ、1-3と比較される標的位置それぞれについて3つの異なる溶液が得られた。 7-7は、プロパンに対して~20,500回のターンオーバーを触媒する能力があり、k catは185 min -1 、プロパン水酸化の結合効率は約90%を示している。 P450 PMOおよびその中間体に存在するすべてのアミノ酸突然変異のリストを、表17に報告している。

    表16 35E11の熱安定性。 S106RおよびM145A突然変異を、ETS2およびETS7にそれぞれ導入し、折り畳まれていない酵素を結果的に生じた。 そのため、前記の突然変異については、組換えを検討しなかった。

    表17。 P450 BM3変異型におけるアミノ酸突然変異。

    35E11のFMN-およびFAD-結合ドメイン領域を標的として、2つのランダム突然変異導入ライブラリを構築した(それぞれRL1およびRL2、図 35C)。 突然変異率は、1.8〜3.0 bp突然変異/遺伝子に及んだ。 各ライブラリからの約5,000メンバーをスクリーニングにより、8つの良性変異(G443D、V445M、T480M、T515M、P654Q、T664M、D698G、およびE1037G)を同定した。 11-3を親として用い、これらの位置を飽和変異導入に供した。 (11-3と比べて)プロパンに対する改良された活性を持つ変異型は、飽和位置480および515を除くすべてのライブラリで同定された。 選択された変異型におけるアミノ酸置換は、G443A、V445R、P654K、T664G、D698G、およびE1037Gであった。 これらの変異体におけるプロパンに対するTTNは20,000〜25,000で、プロパン酸化速度にはほとんどまたは一切変化がなかった。 親と比べ、大多数の変異体、特に11-3(D698G)は、プロパン水酸化に関する結合効率が向上した。 最後の指向進化手順として、FMN-およびFAD-結合ドメインにおける突然変異の組換えライブラリはSOEingにより準備し、最も活性の高いヘムドメイン変異型(7-7)のヘムドメインに融合した。 このライブラリ(L9)から単離された最も活性の高い変異型(P450 PMO )は、7-7にすでに存在するものに加え、G443AおよびD698G突然変異も含む。 ヘムドメインにおけるP450 PMO突然変異部位のマップを、図35Bに示す。

    P450 BM3のヘム-およびFMN-結合ドメインの構造は、pdbエントリー1BU7を用いて得られた。 P450 BM3のFAD-結合ドメインは、ラットのシトクロムP450レダクターゼ構造であるpdb 1AMOをモデルとした。 2つの構造間の構造的類似性は、P450 BM3のFAD-結合ドメインの溶解構造とラットのCPR構造の間のアラインメントにより裏付けられる。 sMMO成分(ヒドロキシラーゼ、MMO-レダクターゼの2Fe-2S N-末端ドメイン、MMO-レダクターゼのC-末端FAD-結合ドメイン、およびMMO調節タンパク質)の構造は、それぞれpdbエントリー1FZH、1JQ4、1TVC、および2MOBを用いて得られた。

    長鎖(C 12 -C 20 )脂肪酸の末端近くの水酸化を触媒する巨大菌に由来する自己完結型ヒドロキシラーゼであるシトクロムP450 BM3 (139-3)の変異型に対して、指向進化を実施した。 本明細書に記載するとおり、プロパンおよびエタンに使用するため139-3 P450を修飾した(35E11)。 これらの小型アルカンおよびP450 BM3の基質の間の物理化学的特性上の非類似性を反映して(図34)、操作された変異型におけるプロパンおよびエタン酸化での結合が有益であった。

    35E11は辛うじて安定性があるため、本明細書に記載する工学ストラテジー(後述)には、当初の安定化手順を伴い、その後に反復的な数回の変異導入とスクリーニングが行われた。 ランダム、飽和および部位特異的な変異導入方法を使用して、突然変異体のライブラリ(図35)を形成し、プロパン代理であるジメチルエーテルに対する活性について該ライブラリをスクリーニングした。 再スクリーニングで陽性が確認され、さらなる分析のために精製された。 精製酵素との反応は、プロパン飽和緩衝液および補助因子再生システムの存在下において密閉したバイアルで実施した。 プロパンの合計ターンオーバー数-酵素1モルあたりに生成されるプロパノールの向上は、突然変異体を次のラウンドに進める上での選択基準であった。

    5回の指向進化は、プロパンに対して20,000回以上のターンオーバー(図37A)、エタンに対して2,500以上のターンオーバー(表18)を支える能力を持つシトクロムP450であるP450 PMOを生成した。 P450 PMOは、7つのアミノ酸位置において35E11と、また合計23(ヒドロキシラーゼ配列の~ 4%)で野生型と異なる。 野生型P450 BM3からP450 PMOへの活性精製の全体的過程を評価するために、P450 PMOおよびその進化的前駆物質について、合計ターンオーバー数(TTN)、触媒効率(k cat /K m )および結合効率を測定した(図37)。 プロパンに対する活性が現れた139-3と比べると(野生型P450 BM3には検出可能なプロパン活性なし)、P450 PMOにより支えられる合計ターンオーバーは100倍にも高まった。 速度定数(K m 、k cat )は、異なる基質濃度でプロパンに対する活性の初速度についてのミカエリス・メンテン・プロットから決定した。 変異型シリーズ全体にわたり、プロパンに対するターンオーバーの上昇には、139-3では>30 mMから~100μMの範囲(1-3:250μM、P450 PMO : 170μM)に及ぶK m値の大幅な低下が伴った(図37C)。 プロパンの大幅なサイズの低下および極性にもかかわらず、プロパンに対するP450 PMO K mは、ラウリン酸に対する野生型酵素のものに類似する(K m = 210 μM)。 触媒定数k catは、139-3(10 min -1 )から19A12(450 min -1 )へと45倍に増加し、その後の生成では400〜200 min -1の間でさまざまであった(図37D)。 P450 PMOには、1.8 x 10 4 M -1 sec -1 、またはプロパン酸化剤139-3よりも約3桁分高く、野生型BM-3よりも少なくとも4桁分優れた触媒効率(k cat /K m )がある。

    各変異型-基質ペアのTTNは、標準化した反応条件(同一酵素および基質濃度、インキュベーション時間、補助因子再生システム)を用いて決定した(表18)。 TTNは触媒効率と結合効率両方の蓄積的測定であり、突然変異体はこの特性が向上していることに基づき選択されるため、TTN値を使用して性能を評価した。 変異型間の比較を容易にするため、TTNをシリーズの最大値(MTN = 最大ターンオーバー数)で正規化し、大きさの増加した基質についてプロットした(図38)。 実験室での進化中の酵素の基質選択性の漸次的シフトは、これらのプロフィールから明らかである。 こうした基質に対する野生型BM3の辛うじて存在する活性(MTN = 150)は、長鎖アルカンに制限されており、ここではBM3の高いC 12 -C 20脂肪酸ヒドロキシラーゼ活性の無差別な機能である。 第一の進化中間体において、基質選択性の中心は培地-鎖アルカン(C 8 -C 7 )であり、オクタンに対する活性に関する選択を反映している。 プロパンに対する活性について選択された35E11において、選択性の中心はなおもC 6 -C 8アルカンにあったが、プロパンを含む鎖のより短いものにも及ぶ。 プロパン活性は、変異型ETS8から19A12への移行に伴い一般的となる。 「転換点」はまた、最も高い順列安定性ペナルティと合致する(図37F)。 例えば、単一突然変異(L188P)はETS8を19A12から分離する。 ロイシン188は、ヘリックスF(図35B)に沿って位置し、これはヘリックスGとともに、P450における基質結合に関連する領域(SRS-2)の一つにおいて活性部位を覆うふたを形成する。 その特定の立体配座要件およびH-結合アミドの欠如により、プロリンは「へリックス破壊剤」として機能する。 特定の動作理論に捉われることなく、L188P突然変異は周囲のヘリックス領域の摂動と関連する場合があり、これはタンパク質の折り畳みを不安定化するが、同時に酵素の基質認識特性に著しい変化を誘発する。 19A12の後で単離された変異型は、プロパンに対するより高値のTTNと、より長いアルカンに対する相対活性の漸減により特徴付けられる。 P450 PMOにおいて、アルカンシリーズに沿った特異性はプロパン周辺で高まり、単一メチレン単位が基質に添加された時でさえ活性が90%低下することを示している。

    表18:エタンからデカンにわたるアルカンに対するP450 BM3変異型の合計ターンオーバー

    理想的な基質の存在下において、生成物形成のNADPH酸化への結合は100%に到達し、例えばP450活性部位ではいかなる副反応も検出されなかった。 そのため、結合は多くの場合、基質がどの程度活性部位に適合するかを定義するために使用される。 変異型シリーズに沿って、プロパン酸化に対する結合は早期のラウンドでの5〜15%からP450 PMOにおいては90%にも上昇する(図37B)。 これは、野生型P450 BM3がミリスチン酸およびパルミチン酸を酸化する効率に似ている(それぞれ88%および93%)。

    ヘム依存性CO結合スペクトルシフトの熱不活性曲線から決定されたT 50値は、実験室での進化中に蓄積された突然変異がどのように酵素安定性に影響を与えたかを示し(図37E)、各指向進化のラウンドについて順列安定性ペナルティの推定を可能にする(図37F)。 徐々ではあるが連続的な安定性の低下が安定化手順の前後にて明らかであり、活性および安定性に対する突然変異の効果についてしばしば観察されるトレードオフを反映している。 各突然変異事象の酵素安定性に対する影響の平均には相当の違いがあるが、最高の安定性コストはETS8から19A12への移行において観察された。 これらの分析は、35E11後の安定化手順の重要さを強調するものであり、安定性と「進化可能性」の間について考えられている関係を裏付ける。

    基質特異性の進化をさらに調査するため、C 5 〜C 8アルカンに対する速度定数は、ミカエリス・メンテン・プロット(表19)から決定された。 中鎖アルカンに対する35E11およびその進化的前駆物質の選択性は、その高いC 8 /C 5特異性((k cat /K m ) 8 /(k cat /K m ) 5 ~100)によって示され、ここではK mが主な寄与要因のように思われる。 C 8 /C 5特異性は、P450 PMOの直前の前駆物質においては~5まで下がり、その後は全体としてより小型なアルカンに変換し、P450 PMOでは0.4となる。 P450 PMOにおいて、触媒効率はプロパンに対して最高であり、k catの低下に促進される形でアルカンシリーズとともに低下する。

    表19 n-アルカンに対する速度定数。 Na = 活性なし。 Nm = 測定不可能。

    酵素の本来機能の運命を評価するために、長鎖脂肪酸ラウリン酸およびパルミチン酸に対するP450 PMO活性を試験した。 これらの基質に対する野生型 P450 BM3の高い触媒効率(それぞれ1.9 x 10 5 M -1 sec -1および6.0 x 10 7 M -1 sec -1 )にもかかわらず、P450 PMOの存在下では検出可能な量の水酸化脂肪酸は観察されず、プロパン水酸化のための再特殊化に伴いこうした本来機能が失われたことを示している。

    エタンのCH結合エネルギーはより高い(プロパンでの98.6 kcal mol -1に対して101.0 kcal mol -1 )にもかかわらず、プロパンに対する活性とともに、P450 PMOもまたエタンを水酸化する(TTN ~ 2,500)。 P450 PMO活性が、メタンのハロゲン化誘導体、CH 3 Cl、CH 3 BrおよびCH 3 Iについて考察された。 ハロメタンの分子サイズやCH結合エネルギーは、メタンおよびプロパンと比べて中間程度だが(図41)、反応性や極性は異なる。 ヨードメタンを除く研究されたすべてのハロメタンは、メタンモノオキシゲナーゼ(MMO)に対する基質であり、MMOはハロメタンをホルムアルデヒドおよびHXに変換する。 精製P450変異型およびハロメタンとの反応は、ホルムアルデヒド形成について分析された(図42)。 P450 PMOおよびその進化的前駆物質の4つは、プロパン活性の~1〜5%を占めるブロモメタンデハロゲナーゼ活性により、ブロモメタンをホルムアルデヒドへと酸化した。 クロロメタンに対する活性は、より低いレベル(プロパン活性の0.5〜1%)で、またより少数のP450変異型において検出された。 ヨードメタンデハロゲナーゼ活性は、P450 PMOおよびその直前の前駆物質1-3のみにおいて検出できた(図43B)。 低いターンオーバー率(0.5〜5 min- -1 )にもかかわらず、P450 PMOにおけるこれらの活動の現れには重要な意義がある。 特に注目に値するのはヨードメタンデハロゲナーゼ活性であり、これは天然P450またはメタンモノオキシゲナーゼにより支援されていない。 この化合物は、P450やMMOとは関連のないコリノイド依存性メチルトランスフェラーゼなどの酵素を用いて、メチロトローフ種の小さなサブセットによって分解されることが知られているだけである。 P450 PMOにより、この化合物の分解に対する代替的な酵素ストラテジーが現れたことになり、既知のP450基質範囲がさらに拡大することとなる。

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