細胞培養

申请号 JP2015525405 申请日 2013-07-29 公开(公告)号 JP6363601B2 公开(公告)日 2018-07-25
申请人 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール; サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック; CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE; 发明人 ヴィアスノフ, ヴィルジル ニコラ ロバート; リ, チウシ;
摘要
权利要求

貫通孔を有する有孔膜を含んでなる三次元の細胞培養基質であって、 有孔膜は3つの膜表面、すなわち上面、上面の反対側にある下面及び貫通孔の内部にある複数の内面を有し、 有孔膜は細胞培養に適している硬化性ポリマーからなり、当該膜は有孔膜の3つの表面のうちの少なくとも2つの修正された細胞培養表面を有し、 ここで第1の表面は、細胞の増殖及び/又は分化又は機能を増強するための少なくとも1つの第1の細胞培養作用剤を含み、第2の表面は、第1の細胞培養作用剤を含まないが、細胞の増殖及び/又は分化又は機能を増強するための第2の異なった細胞培養作用剤を含むことを特徴とし、 第1及び第2の細胞培養表面が3つの膜表面のうちの2つの表面であり、第1及び第2の細胞培養表面のいずれかが貫通孔の内部にある複数の内面である、基質。当該膜が複数の孔を含有していて当該孔は直径が少なくとも5〜1000μmである、請求項1に記載の基質。孔が2以下の縦横比を有している、請求項1又は2に記載の基質。当該硬化性ポリマーがUV硬化性である、請求項1〜3の何れか一項に記載の基質。当該UV硬化性ポリマーがアクリレート系ポリマーである、請求項4に記載の基質。当該細胞培養作用剤及び/又は当該膜を、細胞培養作用剤の当該膜との架橋結合を促進して修正された細胞培養膜をもたらす架橋剤の封入によってさらに修正する、請求項1〜5の何れか一項に記載の基質。当該膜が1.30〜1.50の屈折率を有している、請求項1〜6の何れか一項に記載の基質。当該細胞培養基質が相互接続した細胞培養マイクロウェルのネットワークを含んでいる、請求項1〜7の何れか一項に記載の基質。当該ネットワークが、少なくとも当該第1及び第2の修正された細胞培養表面を提供するのに適している複数の細長い細胞培養マイクロウェルを含んでいる、請求項8に記載の基質。当該細長い細胞培養マイクロウェルの長さが少なくとも300μmである、請求項9に記載の基質。当該細長い細胞培養マイクロウェルの幅が少なくとも30μmである、請求項10に記載の基質。工程: i)1つ又はそれ以上の隆起した突起を含む基質と支持体の表面を接触させ、1つ又はそれ以上の当該突起を当該支持体の表面に接触させること; ii)硬化性の、細胞培養適合性ポリマーの溶液を当該基質に適用すること; iii)適用したポリマーを硬化して3つの膜表面、すなわち上面、上面の反対側にある下面及び貫通孔の内部にある複数の内面を有する細胞培養膜を形成すること; iv)当該膜を当該基質から除去して第1膜表面を第1の細胞培養作用剤と接触させること;そして v)当該膜を再配向して第2膜表面を曝すこと;及び当該第2膜表面を、第1の細胞培養作用剤ではなく、第1の細胞培養作用剤とは異なる第2の細胞培養作用剤と接触させること: を含んでおり、 ここで、第1及び第2の細胞培養表面は、3つの膜表面のうちの2つの表面であり、第1及び第2の細胞培養表面のいずれかが貫通孔の内部にある複数の内面であり、 少なくとも2つの機能化された細胞培養表面に適合された少なくとも1つの細胞培養マイクロウェル、を含んでいる細胞培養膜の製造方法。工程: vi)当該細胞培養膜をさらに機能化するためにiv)及び/又はv)を繰り返すこと をさらに含む、請求項12に記載の方法。第1又は第2の細胞培養作用剤の当該膜との架橋結合を促進するために化学架橋剤を使用する、請求項12又は13に記載の方法。当該化学架橋剤がヘテロ二官能性架橋剤である、請求項14に記載の方法。当該化学架橋剤がアルファ−アクリロイル−オメガ−カルボキシスクシンイミジルエステル ポリ(エチレングリコール)であって、請求項12の工程ii)の細胞培養適合性ポリマーの溶液に含まれる、請求項15に記載の方法。当該細胞培養作用剤がタンパク質である、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。当該細胞培養作用剤が炭化物である、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。当該細胞培養作用剤が脂質である、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。当該細胞培養作用剤がポリアミノ酸コーティングを含んでいる、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。当該作用剤が防汚剤である、請求項12〜20の何れか一項に記載の方法。請求項1〜11の何れか一項による細胞培養基質を含んでいる、細胞培養容器。少なくとも1つの細胞及び細胞培養培地をさらに含んでいる、請求項22に記載の細胞培養容器。当該細胞培養基質が細胞培養培地中に担持されている、請求項23に記載の細胞培養容器。当該細胞培養基質が、細胞培養容器の表面に接触しない1つ又はそれ以上の細胞培養表面を含んでいる、請求項24に記載の細胞培養容器。当該細胞が哺乳類細胞である、請求項22〜25の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該哺乳類細胞が齧歯類細胞である、請求項26に記載の細胞培養容器。哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項26に記載の細胞培養容器。当該哺乳類細胞が、表皮化細胞、繊維芽細胞、上皮細胞、神経グリア細胞又は神経細胞、肝細胞又は肝星細胞、間葉細胞、筋細胞、腎臓細胞、血液細胞、膵β細胞又は内皮細胞よりなる群から選ばれる、請求項26〜28の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該細胞が肝細胞である、請求項29に記載の細胞培養容器。当該細胞が癌細胞である、請求項23〜28の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該細胞が幹細胞である、請求項23〜28又は31の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該細胞培養容器が支持細胞を含有している、請求項26〜32の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該細胞が原核細胞である、請求項25に記載の細胞培養容器。当該細胞が、当該細胞内に選択された核酸を組み換えで発現するように単離された核酸又は発現ベクターを用いてトランスフェクトして遺伝子的に改変されている、請求項25〜34の何れか一項に記載の細胞培養容器。当該核酸又は発現ベクターがリポーターポリペプチドを発現するのに適している、請求項35に記載の細胞培養容器。工程: i)a)細胞; b)請求項1〜11の何れか一項に記載の細胞培養基質; c)当該細胞の生育を十分にサポートする細胞培養培地: を含んでいる細胞培養容器を備えること;及び ii)当該細胞の増殖及び/又は分化及び/又は機能を促進する細胞培養条件を与えること:を含んでいる細胞の培養方法。当該細胞が哺乳類細胞である、請求項37に記載の方法。当該哺乳類細胞が齧歯類細胞である、請求項38に記載の方法。当該哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項38に記載の方法。当該細胞が肝細胞である、請求項37〜40の何れか一項に記載の方法。当該細胞培養基質が当該細胞培養培地中に担持されている、請求項37〜41の何れか一項に記載の方法。当該細胞培養基質が、細胞培養容器の表面に接触しない1つ又はそれ以上の細胞培養表面を含んでいる、請求項42に記載の方法。i)少なくとも1つの細胞及び請求項1〜11の何れか一項に記載の細胞培養基質を含んでいる細胞培養容器を備えること; ii)少なくとも1つの試験する薬剤を添加すること;及び iii)当該細胞の増殖、分化又は機能に関して薬剤の活性を観察すること: の工程を含んでいる、細胞の増殖、分化又は機能に影響を及ぼす薬剤をスクリーニングする方法。当該細胞が肝細胞である、請求項44に記載の方法。i)少なくとも1つの肝細胞及び請求項1〜11の何れか一項に記載の細胞培養基質を含んでいる細胞培養容器を備えること; ii)少なくとも1つの試験する薬剤を添加すること;及び iii)当該薬剤の毒性の測定として当該肝細胞の増殖、分化又は機能に関して薬剤の活性を観察すること: の工程を含んでいる、薬剤の肝毒性を試験する方法。当該薬剤が化学療法剤である、請求項46に記載の方法。当該薬剤がウィルス又はウィルス遺伝子治療ベクターである、請求項46に記載の方法。

说明书全文

(序論) 本開示は細胞、一般的には真核細胞又は原核細胞の増殖、分化又は機能を解析するのに適している細胞培養条件を提供するのに適している1つ又はそれ以上の機能化表面からなる3次元〔3−D〕細胞培養膜の製造に関する。この細胞培養膜は従来の細胞の生育のための細胞培養プラスティック容器に、そして高解像度顕微鏡技術にも導入して使用するのに適している。この細胞培養膜のマルチ細胞配列形態も、薬物スクリーニング方法で用いられる培養において再現性良く細胞を提供する効率的で費用効果の高い手段を提供する。

真核細胞、例えば哺乳類細胞の培養は日常的な方法となって、細胞が増殖、分化及び機能できる細胞培養条件は明確に定義されている。一般的に、哺乳類細胞の細胞培養は無菌の容器(通常はプラスティック(一般的にポリスチレン)から製造される)、限定生育培地及び、幾つかの例では、支持細胞及び血清を必要としている。支持細胞は細胞増殖を刺激し、そして/又は細胞を未分化状態に保持するシグナルを提供するように働いて、細胞機能に影響を与えることができる。哺乳類細胞の培養は多くの用途を有していて、実験及び研究;例えば、組織工学における細胞の使用;組み換えタンパク質の産生のための哺乳類発現システムの使用及び薬剤の一次スクリーニングにおける哺乳類細胞の使用;に細胞培養が用いられる多くのインビトロアッセイ及びモデルがある。

哺乳類細胞は、リード治療薬(例えば、小分子アゴニスト又はアンタゴニスト、モノクローナル抗体、ペプチド治療薬、核酸アプタマー、阻害性低分子RNA)が有効であるか否かを動物試験が行われる前に確認する一次薬剤スクリーニングにおいて用いられる。確実な方法で細胞増殖、分化及び機能性の解析が可能なそれらの自然状態に技術的に可能な限り近づいている細胞集団を提供するように哺乳類細胞を培養できる改善された細胞培養システムを提供する必要がある。

細胞培養システムは当該技術分野において公知であって長年当業者に入手可能であった。例えば、国際特許出願公開第WO2010/005995号は感染症解析プラットフォームとして、マイクロパターン化共培養システムを開示している。国際特許出願公開第WO2003/014334号は、前立腺内皮細胞がインビボで見出される前立腺腺房に酷似している3D前立腺様腺房を形成できる培養療法を提供するインビトロ細胞培養開示している。更に、微小細胞性高分子材料からなる細胞培養基質が国際特許出願公開第WO00/34454号に開示されている。これらの高分子は、相互に連結して細胞が付着して増殖できる基質を提供する孔の網状構造を形成する。

細胞培養は一般に、密閉培養容器内で無菌条件下の単層培養による細胞の生育を含んでいる。手法は2Dタンパク質パターン化又は3Dマイクロウェルの何れかを用いることである。2Dタンパク質パターン化は達成されていて細胞行動を調節するために広く用いられている。更に、シリコンでエッチングされたSiウェファー〔1,2〕、ガラス〔3〕、ポリジメチルシロキサン〔PDMS〕〔4〕、弾性スタンプ(elastomeric stamps)〔5〕、アガロース又はPEGのようなヒドロゲル〔6、7〕、コラーゲン〔8〕又はパリレン(Parylen)フィルム〔9〕及び繊維〔10〕を用いるマイクロウェルの製造は密閉環境における単一細胞又は限定数の細胞を培養するために用いられている。しかしながら、この技術は通常、ウェル内へ細胞を拘束する利点及び3Dタンパク質をコーティングした微小環境を作り出す可能性を得ることがない、マイクロウェルを小型ペトリ皿として用いることを意味している。これは大部分が、化学コーティングはウェルの側面、上面及び底面上を区別することができないので、少なくとも単一細胞培養については、2Dパターン化表面より殆ど有意性が観察されないほど細胞へ単一の化学刺激のみを提供するとういう事実に起因している。また、単一細胞のマイクロウェル技術は、これが細胞とマイクロウェルの形成で用いられた物質の間の指数変化(例えば、シリカ重合体は1.45前後の屈折率を有している)によって画像歪曲を被るので、単一細胞マイクロウェル技術は高分解能画像にはそれ程適していない〔11〕。

本開示は初代肝細胞を用いて、限定のない実施例で説明されている。我々の3D分別表面コーティングは初代肝細胞の培養を、薬物代謝の分析に有用である制御された毛細胆管〔BC〕形態を有する細胞ダブレットとして認める。我々の技術は機能的初代管細胞の培養を少なくとも96時間ダブレットレベルに置く。また、我々の技術は、標準的な細胞培養装置に採り入れることができる万能のスタンドアロン型膜を提供する。本明細書で開示された細胞培養システムは、哺乳類細胞に適用して、例えば組織工学、組み換えタンパク質生産及び薬物スクリーニングのような適用を有しているより信頼性のある細胞培養システムを提供するインビボ条件により酷似している細胞培養物を産生する手段をもたらすことができる。

本発明の態様によると、当該膜が少なくとも2つの修正された細胞培養表面を有する(ここで第1の表面は少なくとも1つの細胞培養作用剤からなり、そして第2の表面は第2の異なった細胞培養作用剤からなる)ことを特徴とする、細胞培養に適している硬化性ポリマーからなる有孔膜:を含んでなる、三次元の細胞培養基質(ここで、当該膜は膜に関連している細胞の増殖、分化又は機能を増強する)を提供する。

本発明の好ましい実施態様では、当該膜は複数の孔を含み、ここで当該孔は直径が少なくとも5μm〜1000μm;好ましくは直径が約20μm〜300μmである。

縦横比は一般に、高さと機構の特徴的な横寸法の間の比例関係として知られている。本開示において、孔の直径に関しては、縦横比は2以下である。

本発明の好ましい実施態様では、当該孔は高さが10〜50μm、好ましくは高さが40μmである。

本発明の好ましい実施態様では、当該硬化性ポリマーがUV硬化性である。好ましい当該硬化性ポリマーはアクリレート重合体である。

アクリレート重合体は当該技術分野において周知であって、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)〔PMMA〕、光学接着剤のNorland Adhesive シリーズ〔NOA series; http://www.norlandprod.com を参照されたい〕を包含する。さらなる例は、My Polymer http://www.mypolymers.com から得ることができる屈折が異なる望ましい光学特性を有する硬化性ポリマー、例えば、My132、133、136、145、147を包含する。

本発明の好ましい態様では、細胞培養作用剤の当該膜への架橋結合を促進して改良された細胞培養表面をもたらす架橋剤を混入することによって、当該細胞培養作用剤及び/又は当該膜がさらに改良される。

改良された細胞培養表面の提供は膜に適用された細胞の生育及び分化を促進する。本発明による細胞培養作用剤は通常タンパク質又は糖タンパク質である。細胞の増殖及び分化の保持に関与するタンパク質は周知である。例えば、典型的なタンパク質因子は、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、カドヘリン及び線維芽細胞増殖因子のような細胞外基質タンパク質を含むが、本発明の範囲内に、細胞型によって細胞増殖及び/又は分化に必要なモノカイン及びサイトカインも含まれる。さらに、レクチンのような炭化物は、細胞分化の促進に、そして類似及び非類似細胞型間の細胞接触の形成に関与していることは周知である。

本発明の好ましい実施態様では、当該膜は約1.30〜約1.50、好ましくは約1.33〜約1.45の屈折率を有している。 本発明の好ましい実施態様では、当該細胞基質は相互接続した細胞培養マイクロウェルのネットワークを含んでいる。

本発明のさらに好ましい実施態様では、当該ネットワークは少なくとも第1及び第2の改良された細胞培養表面をもたらすように適合された複数の細長い細胞培養マイクロウェルを含んでいる。

好ましくは、当該細長いマイクロウェルは長さが少なくとも300μmである。

好ましくは、当該細長いマイクロウェルは幅が少なくとも30μmである。

本発明のさらなる態様によると、少なくとも1つの細胞培養マイクロウェル(ここで、当該マイクロウェルは少なくとも2つの官能化された細胞培養表面に適合している)を含んでいる細胞培養膜の微小加工が提供され、これは 工程: i)支持体の表面を1つ又はそれ以上の隆起した突起を提供して適用された基質に接触させること(ここで1つ又はそれ以上の当該突起は当該支持体の表面に接触している); ii)細胞培養適合性ポリマー溶液を当該基質に適用すること(ここで、当該ポリマーは硬化性である); iii)適用されたポリマーを硬化して細胞培養膜を形成すること; iv)当該膜を当該基質から除去して第1膜表面を1つ又はそれ以上の細胞培養作用剤と接触させること; v)当該膜を再構築して第2膜表面を露出して;当該第2膜表面を第2の、異なった、細胞培養作用剤と接触させること;及び任意に vi)当該細胞培養膜をさらに機能的にするためにiv)及び/又はv)を繰り返すこと: を含んでいる。

本発明による基質は、シリコン系、例えば、ポリジメチルシロキサン〔PDMS〕又は弾性スタンプであってよい。本発明に従う過程は、最大3つの機能化された表面(この表面は複数の細胞培養作用剤によって優れた細胞培養膜を提供するように改良することができる)を有することができる大きい表面積を有する三次元の細胞培養膜を作ることは明らかであろう。細胞培養に適合するポリマーは、別の硬化(例えば、熱)も本発明に含まれるが、一般にUV硬化性ポリマーである。

本発明の好ましい方法において、工程ii)〜vi)は当該細胞培養作用剤の当該細胞膜への架橋を促進する化学架橋剤の封入によってさらに改良される。

好ましい当該化学架橋剤はヘテロ−二官能性の架橋剤である。

架橋剤の例は当該技術分野において公知である。例えば、アクリル−peg−Nとしても知られている(www.nanocs.net)アルファ−アクリロイル−オメガ−カルボキシスクシンイミジルエステル ポリ(エチレングリコール)のようなアクリレートからなる架橋剤の封入。

本発明の好ましい方法において、当該試薬はアルファ−アクリロイル−オメガ−カルボキシスクシンイミジルエステル ポリ(エチレングリコール)であって、本発明による過程の工程ii)に封入される。

本発明の好ましい方法において、当該細胞培養作用剤はタンパク質である。

本発明の別の好ましい方法において、当該細胞培養作用剤は炭水化物である。

本発明のさらに別の方法において、当該細胞培養作用剤は脂質の作用薬、例えば糖脂質である。

本発明の別の好ましい方法において、当該作用薬はポリアミノ酸コーティングである。

ポリアミノ酸は、タンパク質及び特にそれに細胞が付着して生育できるタンパク質を模倣する特性を有している。ポリアミノ酸はホモポリマー又はヘテロポリマーでであってよい。細胞培養に有用なポリアミノ酸の例はポリ−L−オルニチン及びポリ−L−リジンを包含する。タンパク質コーティングは当該技術分野において周知である。例えば、Culture of Animal Cells, Ian Freshney, Wiley-Liss 1994 を参照されたい。

本発明の好ましい方法において、当該作用薬は防汚剤である。

防汚剤は当該技術分野において公知であって細胞培養中に作られる細胞残屑の蓄積を防ぐ。防汚剤の例はPEGメタクリレート又はプルロニック酸(登録商標)である。

本発明のさらなる態様によると、本発明による方法によって得られる又は入手可能な細胞培養膜が提供される。

本発明のさらなる態様によると、本発明による培養膜を含んでいる細胞培養容器が提供される。

本発明のさらなる態様によると、少なくとも1つの細胞型及び細胞培養培地を含んでいる本発明による細胞培養容器が提供される。

本発明の好ましい実施態様では、当該細胞培養基質は当該細胞培養培地中に懸濁、担持される。

本発明のさらに好ましい実施態様では、当該細胞培養基質は1つ又はそれ以上の細胞培養表面(ここで、当該細胞培養表面は細胞培養容器の表面と接触しない)を含んでいる。

「細胞培養容器」は上記の細胞培養基質を入れるのに適している任意の手段と定義される。一般に、このような容器の例はペトリ皿;細胞培養ビン又はフラスコ或いはマルチウェル培養皿又はウェル挿入具である。マルチウェル培養皿は、自動充填及びロボット処理システムとの互換性のために通常用いられる、6、12、48、96及び384ウェルのような形式を有するマルチウェルのマイクロタイタープレートである。通常、ハイスループット・スクリーンはシグナルの産生において変換又は改変の何れかの結果である指標化合物を有する指示薬の均一な混合物を用いる。このシグナルは適切な方法(例えば、蛍光放射、光学密度、又は放射能の検出)によって測定し、続いて細胞、基質/作用薬及び指標化合物を含有しているそれぞれのウェル由来のシグナルを統合する。

本発明の好ましい実施態様では、当該細胞は真核細胞、例えば、哺乳類細胞である。

本発明の別の好ましい実施態様では、当該哺乳類細胞は齧歯類細胞、例えば、ラット、マウス又はハムスターの細胞である。

本発明の別の好ましい実施態様では、当該哺乳類細胞は霊長類細胞であり;好ましくは、当該霊長類細胞がヒト細胞である。

本発明の好ましい実施態様では、当該哺乳類細胞は:表皮化細胞、繊維芽細胞(例えば、皮膚、角膜、腸粘膜、口腔粘膜、膀胱、尿道、前立腺、肝臓)、上皮細胞(例えば、角膜、皮膚、角膜;腸粘膜、口腔粘膜、膀胱、尿道、前立腺、肝臓)、神経グリア細胞又は神経細胞、肝細胞又は肝星細胞、間葉細胞、筋細胞(心臓細胞又は筋管細胞)、腎臓細胞、血液細胞(例えば、CD4+ リンパ球、CD8+ リンパ球)、膵β細胞;又は内皮細胞):よりなる群から選ばれる。

本発明の好ましい実施態様では、当該細胞は肝細胞である。

本発明の好ましい実施態様では、当該細胞は癌組織由来の癌細胞である。

本明細書で用いられる用語「癌(cancer)」は、自律的増殖、すなわち、急速増殖を特徴としている異常な状態又は条件の細胞増殖を行う能がある細胞を示す。この用語は、組織病理学的な種類又は侵襲の段階に関わらず、癌性増殖又は発癌過程、転移組織又は悪性形質転換した細胞、組織或いは臓器の全てのタイプを包含することを意味している。用語「癌」は、例えば、、胸部、甲状腺、リンパ、胃腸、及び泌尿生殖器を侵すような、多種の器官系の悪性腫瘍、並びに、大部分の結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌及び/又は精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌及び食道の癌を包含する。用語「癌腫(carcinoma)」は当該技術分野で認識されていて、呼吸器系の癌腫、消化器系の癌腫、泌尿生殖器系の癌腫、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系の癌腫、及び黒色腫を含んでいる、上皮又は内分泌組織の腫瘍を示す。典型的な癌腫は、頸部、肺、前立腺、胸部、頭頸部、結腸及び卵巣の組織で形成されたものを包含する。用語「癌腫」は、癌肉腫、例えば、癌性及び肉腫性組織からなる悪性腫瘍を包含する、癌肉腫も包含する。「腺癌」は、腺組織に由来する癌腫であるか又はそこで腫瘍細胞がはっきりした腺構造を形成する癌腫を示す。用語「肉腫」は、当該技術分野で認識されていて、間葉由来の悪性腫瘍を示す。

本発明の別の好ましい実施態様では、当該細胞は幹細胞である。

本発明の好ましい実施態様では、当該幹細胞は:造血幹細胞;神経幹細胞;骨幹細胞;筋幹細胞;間葉幹細胞;上皮幹細胞(皮膚、胃腸粘膜、腎臓、膀胱、乳腺、子宮、前立腺及び下垂体のような内分泌腺のような臓器に由来する);内胚葉幹細胞(肝臓、膵臓、肺及び血管のような臓器に由来する);胚幹細胞;胚性生殖細胞;胚性腫瘍幹細胞:よりなる群から選ばれる。

本発明の好ましい実施態様では、当該胚幹細胞/胚性生殖細胞は多様性細胞であって全能細胞ではない。

本発明の別の好ましい実施態様では、当該細胞培養容器はフィーダー細胞、好ましくは繊維芽フィーダー細胞を含有している。

本発明の好ましい実施態様では、当該細胞は原核細胞、例えば、細菌性細胞である。

本発明のさらに好ましい実施態様では、当該細胞は当該細胞内に選択された核酸を組み換え的に発現する単離された核酸又は発現ベクターを用いるトランスフェクションによって遺伝子操作されている。

本発明の好ましい実施態様では、当該核酸又は発現ベクターはレポーターポリペプチドを発現するように構築されている。

細胞内のプロモーター活性の分析は、プロモーターを「レポーター」タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸と融合させて都合よく監視できる。実例は当該技術分野において周知であって、β−グルクロニダーゼのような酵素を含んでいる。タンパク性フルオロフォアであるレポーターも当該技術分野において公知である。緑色蛍光タンパク質、GFPは、太平洋クラゲ(Pacific jellyfish)、オワンクラゲ(Aequoria victoria)のような、腔腸動物から単離された自発的蛍光タンパク質である。その役割は、エネルギー伝達によって、別のタンパク質の青色化学発光、エクオリンを緑色蛍光に変換することである。GFPは、その多くが元来の機能を保持している非常に多種のタンパク質とのN−及びC−末端融合物に耐容性を示すので、タンパク質標識として機能する。殆どの場合、これは、コドン使用頻度がヒトのコードに適合している改善されたGFPの形態で用いられている。その他のタンパク性フルオロフォアは黄色、赤色及び青色の蛍光タンパク質である。これらは、例えば、Clontech (www.clontech.com) から入手できる。さらに別の例は蛍ルシフェラーゼである。

本発明の態様によると、 i)a)細胞; b)本発明による細胞培養基質; c)当該細胞の生育をサポートするのに十分な細胞培養培地 を含有している細胞培養溶液を備えること;そして ii)当該細胞の増殖及び/又は分化及び/又は機能化を促進する条件を提供すること: の工程を含んでいる細胞を培養する方法が提供される。

本発明の好ましい方法では、当該細胞は真核細胞;好ましくは哺乳類細胞である。

本発明の好ましい実施態様では、当該哺乳類細胞は齧歯類細胞、例えば、ラットの細胞である。

本発明の別の好ましい方法では、当該哺乳類細胞はヒトである。

本発明の好ましい方法において、当該細胞は肝細胞である。

本発明の好ましい方法では、当該細胞培養基質は当該細胞培養培地内に懸濁して担持されている。

本発明のさらに好ましい方法では、当該細胞培養基質は1つ又はそれ以上の細胞培養表面(ここで、当該細胞培養表面は細胞培養四右記の表面と接触していない)を含んでいる。

本発明のさらなる態様によると、 i)少なくとも1つの細胞及び本発明による細胞培養基質を含んでいる細胞培養容器を準備すること; ii)少なくとも1つの試験する薬剤を添加すること;及び iii)当該細胞の増殖、分化又は機能化に関して薬剤の活性をモニターすること: の工程を含んでいる、 薬剤(ここで、当該薬剤は細胞の増殖、分化又は機能化に影響を及ぼす)をスクリーニングする方法が提供される。

本発明の好ましい方法では、当該細胞は肝細胞である。

本発明の好ましい方法では、当該スクリーニング方法は、上記(iii)における活性データを照合すること;照合したデータを分析可能な形態に変換すること;及び随意に分析したデータに関するアウトプットを提供すること:の工程を含んでいる。

細胞発現で生じる空間的で時間的な変化、例えば、遺伝子発現の蛍光タンパク質及びその他のマーカー、に関する情報を画像化及び抽出する多くの方法が知られている(Taylor et al Am. Scientist 80: 322-335, 1992 を参照されたい、これは参照により本明細書に取り込まれている)。さらに、米国特許第5,989,835号及び米国特許出願公開第09,031,271号(これらの両方は参照により本明細書に取り込まれている)は多数の薬剤を生物活性についてスクリーニングするために細胞中の蛍光レポーター分子の分布及び活性を確認するための蛍光システムを開示している。上記の特許に開示されているシステムも収集したデータを処理、保管及び表示するためのコンピューター化された方法を記載している。

多数の薬剤のスクリーニングには細胞の処理及び試薬の投与のために細胞の調製アレイが必要である。アッセイ装置は、例えば、6、12、48、96及び384ウェルのような構成の標準マルチウェルマイクロタイタープレートを包含し、これは通常自動化充填及びロボット処理システムとの互換性のために用いられる。通常、ハイスループット・スクリーンはシグナルの産生において変換又は改変の何れかの結果である指標化合物を有する指示薬の均一な混合物を用いる。このシグナルは適切な方法(例えば、蛍光放射、光学密度、又は放射能の検出)によって測定し、続いて細胞、基質/作用薬及び指標化合物を含有しているそれぞれのウェル由来のシグナルを統合する。

用語「薬剤」は、任意の小分子、抗体、ポリペプチド、ペプチド、アプタマー、二本鎖又は阻害的低分子RNAを包含する。これらはアゴニスト又はアンタゴニストであってよい。低分子アンタゴニストは癌のような疾患の治療に有用な化学療法剤を包含する。

本発明の更なる態様によると、 i)少なくとも1つの肝細胞及び本発明による細胞培養基質を含んでいる細胞培養容器を準備すること; ii)試験する少なくとも1つの薬剤を添加すること;及び iii)薬剤の毒性の1つの指標として当該肝細胞の増殖、分化又は機能化に関して試薬の活性をモニターすること: の工程を含んでいる薬剤の肝毒性を試験する方法が提供される。

本発明の好ましい方法において、当該薬剤は化学療法剤である。

本発明の別の方法において、当該薬剤はウィルス、例えば、ウィルス遺伝子治療ベクターである。

本明細書の本文及び特許請求の範囲を通して、用語「を含む(comprise)」及び「含有している(contain)」並びにこの単語の変化形、例えば、「comprising」及び「comprises」は「包含しているが限定されていない」を意味して、その他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を除外することを意図していない(そして除外しない)。「本質的に〜からなる(consisting essentially)」は必須な整数を有しているが、必須な整数の機能に実質的に影響しない整数を含んでいる。

本明細書の本文及び特許請求の範囲を通して、単数形は、文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、複数を包含する。特に、不定冠詞が用いられている場合は、文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、明細書を複数並びに単数を目論んでいると理解すべきである。

本発明の特定の態様、態様、実施態様又は実施例に関連して記載されている特性、整数、特徴、特質、化学部分又は基は、それと互換性がない場合を除いて、本明細書に記載されている任意の別の態様、実施態様又は実施例に適用されると理解すべきである。

本発明の実施態様を実施例のみによって、そして以下の図面を参照してここに記載する。

図1は、マイクロウェル作成及びコーティングの過程を示す。(A)は、マイクロウェル作成過程の概略図である。標準的なソフトリソグラフィーを用いてPDMSステンシルを組み立てて(工程1)平らな基質の上に置く。UVプレポリマー混合物(NOA64)を用いる毛管現象によって隙間を埋める(工程2)。UV硬化の後、ステンシルを除去してNOA膜を、最終的にウェルの側面をコーティングするタンパク質の溶液中で培養する(工程3〜4)。膜を洗浄し、乾燥してタンパク質でコーティングしたスライドグラス上に反転してウェルの底に局在化させる(工程5〜7)。ウェルの上部を不動態化するためにプルロニック酸を最終的に用いた(工程8〜9)。(B)は、12mmのガラス底培養皿中のマイクロウェル膜の写真である(スケールバー=1cm)。(C)は、マイクロウェル中の肝細胞のDIC画像である(スケールバー=100μm)。(D)は、マイクロウェルの空間的に構成されたコーティングの共焦点画像である。プルロニック酸(P、緑色、Alexa488)及びフィブロネクチン(F、赤色、Alexa561)を用いた。X/Xはコーティングの側面/底面順序を示す(ここでXはF又はPの何れかである)。(スケールバー=5μm)

図2Aは、様々な異なったコーティングを有する円形ウェル(直径30μm、高さ40μm)の共焦点画像である。緑色:BSA−GFP+PEG、赤色:フィブロネクチン−Alexa568。図2Bは、4倍及び10倍の倍率における播種密度の明視野画像である。肝細胞を50万/mlで播種して記載したプロトコールに従ってゆっくり撹拌した。

図3は、細胞生存アッセイである。時間に応じた全ての細胞が生存しているウェルの割合。全ての条件をポリマー及び3つのコーティングの組み合わせの両方で表す。NOAウェルにおいて、生存率はコーティングの組み合わせに殆ど依存しておらずにMyPoly133より明らかに大きい。

図4は、差別的なコーティングの肝細胞ダブレットの形態及び形状への影響を示す。サンプルを緑色(Phaliodin−Alexa488)中のアクチン、青色(DAPI)中の核、及び赤色(抗体−Alexa568)中のMrP2で固定した。A:肝細胞ダブレットが側面及び底面に接着し分岐形態の毛細胆管を示す(恐らく、アクチンストレス線維による内部張力による)。底面の細胞のみが基質に接着できる場合は、毛細胆管は丸くなる。B:細胞が側面のみに付着する場合は、右図のzプロジェクションから明らかなように毛細胆管は主に垂直に形成される。この方向は細胞質からのタンパク質の蓄積を研究するために非常に有用である。

図5は、細胞−ECM付着の三次元構成は肝細胞カプレットの方向及びBC形態に影響することを示す。三次元側面図(右図、緑色、F−アクチン;青色、核)及び各種のコーティングを有するマイクロウェル(右図)中で2日間培養した肝細胞カプレットのzプロジェクション(中央図)が(A〜C)に示されている。F/F(A、n=39)及びP/F(B、n=48)中のカプレットは大部分が平面な毛細単環を形成した。F/P(C、n=44)においてBCは殆ど垂直であった。F/F(A、XY)中のBCはインビボ様の筒型形状を示した;P/F(B、XY)ではこれらは球状に拡大する。白色の点線は視覚的な誘導のための実質上のマイクロウェル境界である。(スケールバー=5μm)(D)は、マイクロウェル底部と比較したBC方向の定量分析を示す。ヌル角に対応する平行配向(

**、t検定、p<0.05)。

図6は、細胞−ECM付着の混乱又はアクトミオシン収縮性が、F/Fマイクロウェル中でBCを球状にすることを示す。(A)可溶性RGD(250μMを1晩)、(B)ブレビスタチン+/−(100μMを4時間)、又は(C)Y27632(10μMで4時間)の処理は管状BCを球状のものにした(青色、核;緑色、F−アクチン;スケールバー=5μm)。(D)は無次元形態学指数及び垂直縦横比に準じたBC形態の分類を示す。対照F/Fウェル中のBC(黄色の丸、n=35)は、可溶性RGD(青色の三角、n=39)、ブレビスタチン(緑色の菱形、n=44)又はY27632(紫色の三角、n=42)で処理した細胞と比較して、より平らな管状形状(低いi)と共により高度な折り畳みrを明確に示す。薬剤処理はF/Fマイクロウェル中のBC形態をP/Fコーティング(赤色の四角、n=37)中のそれと区別ができないようにする。

図7は、特定の三次元ECM構成と組み合わせた物理的な制約はアクトミオシン収縮を介してBCを伸長することを示す。F−アクチンで染色した代表的なBC形状(i)及び2日目の異なった形状を有するマイクロウェル中のBCの確率マップ(ii)。BCの中央(黒色の円)及びBCの最も離れた先端(白色の三角)を重ね合わせる。円形のF/Fマイクロウェル(A、n=35)は折り畳まれたBCを等方的にもたらすのに対して、F/F三角マイクロウェル(B、n=29)中で培養したカプレットは殆どが3つの頂点に向かって突き出ている分岐を有しているBCを形成した。BCは主に、〜6の肝細胞を含有しているF/P細長マイクロウェル(C、n=46)の長軸に沿って伸張した。短軸に沿ったBC突起の相対的不在に注目されたい。(スケールバー=5μm)

図8は、F/Pコーティングされた交差して伸張しているマイクロウェル中で形成されたBCの肝細胞索様ネットワークを示す。(A)は、〜60個の肝細胞を含有している2日目の交差伸張マイクロウェル(それぞれの交差長、300μm)内の肝細胞の位相差画像である。(B)は、(A)と同じ画像のCLFの蛍光像である。(C)は、交差伸張マイクロウェルで形成された毛細胆管の免疫染色画像である。F−アクチン(緑色)及び核(赤色)を染色した。横軸に沿うBCの相対不在に注目されたい。(D)は、(C)の表面レンダリング画像である。F−アクチン(緑色)及びpan−カドヘリン(赤色)が存在している。(E)は、(D)の1つの枝を拡大したものである。

図9は、マイクロウェル装置における肝細胞の生存率を説明している。

図10は、マイクロウェル装置における毛細胆管の機能性を説明している。

図11は、マイクロウェル装置におけるF−アクチン及びZO−1の染色を説明している。

図12は、マイクロウェル装置における毛細胆管の排泄を説明している。

図13は、異なった表面コーティングを有しているマイクロウェル装置における毛細胆管の形態を説明している。

(材料及び方法) (マイクロウェル装置) 標準的なソフトリソグラフィー方法を用いてSU8でコーティングしたシリコンウェハー上に弾性スタンプ(ポリジメチルシロキサン PDMS)を組み立てた。スタンプ装備の一般的な大きさは高さ及び幅の両方が20〜40μmである。

1.ピラー特性を有するPDMSを裁断する。次の工程における効率的な毛管充填を可能にするようにピラー特性周囲に平面を残してはならない。

2.PDMS片を、ペトリ皿の表面に対してピラーを有するペトリ皿に載せる。スティックを用いてポリマーを採取してPDMSの一側面に少量を落とす。ポリマーはピラーの間を毛管現象によって流れていなければならない。

3.UVランプを起動してランプを15分間温める。ポリマーがピラーの隙間を埋めた後、追加のポリマーをPDMSスタンプの廻りに加える。

4.紫外線をPDMSとポリマーに、NOAを用いる場合は20秒或いはMypoly133を用いる場合は5分照射する。PDMS片を硬化ポリマーからナイフで剥離する。マイクロウェルがポリマー膜に形成される。

5.ポリマーシート上と共にウェルの内部をコーティングしようと思う試薬を含有している溶液Aを一滴添加する;通常は、1μg/mlのフィブロネクチン又は0.2%のプルロニック酸(登録商標)。コラーゲン、カドヘリン、炭水化物及び機能性PEGも用いられる。

6.マイクロウェル中に取り込まれた空気を抜いて溶液Aをそこに入れるために10分間減圧にする。

7.溶液Aを有するマイクロウェルを室温で1時間培養する。

8.ウェルの底部表面をコーティングする試薬を含有している溶液Bと適切な容器〔例えば、ガラス、シリカ、プラスティック〕を室温で培養する。通常は、側面に用いたものと同じ試薬をここで用いることができる。また、担持脂質二重層がマイクロウェルの底にさらに形成される場合は無菌のガラスを用いることができる。

9.マイクロウェルとガラス底培養皿を水で3回洗浄する。

10.水を吸い上げてマイクロウェルとガラス底培養皿を風乾する。

11.ポリマーシートの端を切り取る。ペトリ皿からこのシートを剥がして、これをガラス底培養皿に逆に置き、平らなPDMSでこのポリマーシートを押し付ける。

12.ポリマーシートの上端を0.2%のプルロニック酸(登録商標)で30分間不動態化する。この段階で1%のPEG/メタクリレートも用いることができる。続いて、ポリマー表面の反応しなかったアクリレート基への共有結合を確保するためにUV下に1分間暴露する。

13.ポリマーシートを水で3回洗浄する。

14.ポリマーシートを水に浸漬してそれを10分間真空にする。

15.ポリマーシートを水で3回洗浄する。ポリマーシートを15分以上UV処理して殺菌する。

(細胞播種) 1.ウェル内のPBSを細胞培養培地と取り替える。それを摂氏37度で培養する。 2.それぞれの培養皿に50万個の肝細胞を播種する。培養皿を前後に揺すって肝細胞を均等に広げる。培養皿をゆっくり培養器に入れる。 3.15分培養した後、培養皿を再び揺すって培養皿をゆっくり培養器に入れる。 4.工程3を2回繰り返す。 5.培養皿をPBSで2回洗浄して細胞培養培地を加える。

(細胞培養) 5%のCO2及び摂氏37度において細胞を培養する。細胞培養培地を1日単位で交換する。ここでは、細胞培養のために特殊の培地、ウィリアムE培地を用いる。0.1%のBSA、2mMのL−グルタミン、100nMのデキサメタゾン、100単位/mlのペニシリン、0.1mg/mlのストレプトマイシン、0.05μg/ulのリノール酸及び0.3μg/mlのインスリンをウィリアムE培地に補完する。

(肝細胞の単離、播種及び培養) 肝細胞は雄性ウィスターラットから、〔33〕に記載のように、2段階 in situ コラーゲン潅流方法によって単離した。動物はシンガポール国立大学(National University of Singapore)のIACUC委員会によって承認されたIACUCプロトコールに従って取り扱った。>108細胞/ラットの収率で、トリパンブルー排除試験によって肝細胞の生存率を>90%に成るように試験した。

新たに単離されたラット肝細胞(50万個)を35mm−ガラス底培養皿内のマイクロウェルに播種して、2mMのL−グルタミン、1mg/mlのBSA、0.3μg/mlのインスリン、100mMのデキサメタゾン、50μg/mlのリノール酸、100単位/mlのペニシリン、及び100mg/mlのストレプトマイシン(これは全て、Aldrich-Sigma in Singapore から入手した)を補完した2mlのウィリアムE培地で培養した。37℃及び95%の湿度で5%のCO2を用いて細胞を培養した。1時間培養した後、付着していない細胞を含んでいる細胞培養培地を除去した。マイクロウェルをPBSで洗浄して、新鮮な培養培地を補完する。1時間後、50万個の別の肝細胞を加えて1時間培養した。PBSで洗浄して付着しなかった細胞を除去して、培養培地を再び補完する。1日単位で培養培地を交換する。

(膜形成及び屈折率整合) 最初に、記載したようなプロトコールに従って貫通孔を有する膜を形成する。膜は、Norland Adhesive 製の低粘度UV硬化性樹脂であるNOA73、或いは水と屈折率が整合している My polymer 製の別のUV硬化性樹脂であるMyPoly 133 DCで作られる。NOA73は、長期的には培養培地中の溶媒を放出しないので、長期培養に優先的に用いられる。MyPoly133は短期培養及び高分解能画像に用いられる。培地との屈折率整合が極めて良いことが期待される場合は、MYPOLy 133をMypoly134と適切な割合で混合してDEM培地と整合している1.38の屈折率を得ることができる。両ポリマーの割合は用いられる培地の屈折率及び波長に従って調節される。別の手段は、Mypoly134で膜を作って培養培地を蔗糖又はソルビトールで1.34の屈折率整合が1.34になるまで補完することである。

(生存試験及び毛細胆管分泌機能試験) 肝細胞の生存能を、死滅細胞のみを染色する色素である、ヨウ化プロピジウム(Sigma、81845FLUKA)を用いて毎日評価した。5μMのPIを肝細胞と共にマイクロウェル中、37℃で30分間培養した。PBSで洗浄した後、染色された細胞を培養培地中に残して広視野EVOS顕微鏡(Life Technology)下で観察した。生存率は、(死滅細胞を有するマイクロウェル数)/(全ウェル数)として算出した。

毛細胆管〔BC〕分泌を、機能的毛細胆管のみに分泌される(ここで、これは蛍光を発するようになる)色素である、CLF(BD、451041)で毎日評価した。培養培地中のCLF(5μM)をμウェル中の肝細胞と共に37℃で30分間培養した。PBSで洗浄した後、染色された細胞を培養培地中に残して広視野EVOS顕微鏡下で観察した。機能的毛細胆管比は、(機能的な毛細胆管を有するマイクロウェル数)/(全ウェル数)として算出した。

(免疫染色及び画像収集) 対照のために、マイクロウェル中で48時間培養した肝細胞を4%のパラホルムアルデヒド(PFA)中で30分間固定した。±ブレビスタチン(Merck、203390)又はY27632(Sigma、Y0503)処置のために、薬剤を固定化の4時間前に添加したが、可溶性RGD(Sigma、G5646)は肝細胞と1晩培養した。固定化した後、細胞をPBSで洗浄して、TBST(TBS中の0.2%トリトン−X)中で30分間透過処理した。透過した細胞をTBS中の1%BSAで4時間阻害して、pan−カドヘリン抗体(sigma、C1821)及び抗−ZO−1抗体(life technology、61−7300)とマニュアルの指示通りに4℃で1晩培養した。TBSTで洗浄した後、二次抗体(Life Technology、A10040及びA−31571)及びPhallodin−alexa488(Life Technology、A12379)中で、暗所において37℃で1時間培養した。再びTBSTで洗浄して直ちにDAPI(Sigma、D9564)と培養した後、封入剤(DACO、S3023)に封入した。共焦点顕微鏡画像の3Dスタックは、Nicon A1R Confocal Microscope 上の100X NA1.4オイルレンズで得られた。

(画像解析) 画像スタックの厳選された部分を最大強度の画像又は直交断面図として再構築した。F−アクチンはZO−1と比べて、BC境界のより明確な定義をもたらすので(図11)、F−アクチンのシグナルに基づいて手作業で分割した。パラメーター、集密、水平スピンサイズ及び毛細胆管の領域のような、いくつかの特徴をその後抽出した。

三角形のマイクロウェル又は細長いマイクロウェルにおける毛細胆管の形態解析に関しては、毛細胆管を抽出して二値画像に変換した。これら二値毛細胆管の全てをマイクロウェルの方向に並べる、つまり重ね合わせた。得られた画像を毛細胆管の出現確率に基づいて色分けした。色がより暖色になる程、特定の位置で毛細胆管がより多く出現する。

(統計分析) 少なくとも3回の独立した実験から得たデータを解析して、値を平均値±標準誤差として示した。各群のサンプル数をグラフ中で個々に示した。スチューデントt−検定を用いてデータの統計的有意差を解析した。0.05未満のp値を有する値を統計的に有意であると考えた。

実施例1 (チップ上のECMタンパク質の3Dマイクロパターン化) 3Dにおける細胞−ECMの付着を構築するために、標準的なソフトリソグラフィー方法を用いて貫通孔を有する薄膜(5〜40μm)〔24〕を作成する、マイクロウェルを作る新規な方法を開発した(図1)。PDMSスタンプをSU8中で形成されたマイクロウェルを有するざらざらしたウェファー上に微小加工した。スタンプを平らなPDMS表面に載せて内腔をUV硬化性ポリマーである、NOA64で満たした。30秒の暴露(400nmで20mW/cm2の出力で操作する300Wのニューポートランプ)が、続いてステッカーとして用いることできる固体フィルムを形成するのに十分である〔28〕。続いてスタンプを剥がした。次いで、3つの異なったコーティング構成を得た:側面/底面の順番に従ってF/F、F/P、P/F(ここで、Fはフィブロネクチンを表し、そしてPはプロニック酸を表す)。10μg/mlのフィブロネクチン及び0.2%のプルロニック酸溶液を用いて以下に示したように(図1)異なったコーティングを達成した。

i−側面のコーティングを最初に達成した。膜を適切な水性溶液と共に1時間培養した。マイクロウェルに閉じ込められた気泡を除去するために真空下で脱気を行った。続いて膜を洗浄してゆっくり風乾した。

ii−酸で洗浄したカバースリップを所望の溶液と1時間培養して底面のコーティングを達成した。マイクロウェル膜をひっくり返して乾燥したカバーグラスに重ねた。

iii−続いて膜の上端をプルロニック酸を用いて1時間不動態化した。これは肝細胞が膜の上端への最小限の付着及び細胞のウェルへの最大自発局在化を保証する。次いで、このシステムをフィブロネクチンのかなりの損失なしでUV下で滅菌する(拡散アッセイで試験した、データは示していない)。

細胞生存能を、ヨウ化プロピジウムを用いて4日間3つのコーティング構成それぞれで毎日評価した。生存率を、(死滅細胞がないマイクロウェルの数)/(マイクロウェルの総数)の比率として計算した(図9)。生存率はコーティング構成に関係なく4日後に〜70%であった。

次いで、4日以上かけて機能性のBCの維持をアッセイした(図10)。機能性指数を(choly−lysyl−フルオレセイン(CLF)で染色した機能性BCを示すマイクロウェルの数)/(マイクロウェルの総数)の比率として計算した。一般に、ウェルの総数の50〜70%が機能性BCを示した。3日後に、何れのコーティング状態に関しても細胞が徐々に離脱した。これは恐らくマイクロウェルにコーティングされたフィブロネクチンの酵素分解に起因している。しかしながら、残りのカプレットの75%は機能的であった。我々はBCが平衡状態に達して、肝細胞の付着が未だ摂動を受けていない2日目に全ての実験を行った。

実施例2 図2は我々が用いた各種の組み合わせを説明している。BSA、カドヘリン及びコラーゲンを含む、多くの別の組み合わせを試験した。これらは実行できるが肝細胞の培養には用いなかった。タンパク質コーティングは主としてタンパク質の吸着に起因している。ヘテロ二機能性PEG分子、NANOCS(nanocs.com.)によるアクリレート−PEG−NHSを用いて、直接ケミカルグラフティングを実施する可能性を現在検討している。アクリレート部分がUVで硬化しているポリマーと反応し、そしてNHS部分がタンパク質機能付与のための標準的な官能基である。

実施例3 ラットの肝臓から〔22〕に従って新たに得た肝細胞を、ペトリ皿上に50万個/mLの集密度で播種した。防汚処理を用いて膜の上端を保護することは細胞がウェル内に落下するのに役立つ重要な要素である。防汚処理不足は細胞の上端に付着していてマイクロウェルに落下していない細胞をもたらすだろう。播種に続いてプロトコールに記載された穏やかな振動工程を行ってウェルの最大注入能力を確保する。このプロトコールの後に、ウェルの90%に少なくとも1個の細胞が注入されて、70%に少なくとも2個が注入される。ダブレットの比率のより良い最適化は現在検討中である。

細胞の生存能を、ヨウ化プロピジウム(Sigma)を用いて細胞播種の24時間後から毎日試験した。MyPolymerで作成したマイクロウェルにおいては、播種後48時間で生存率が約20%に下がるにもかかわらず、播種後24時間でウェルに注入した50%以上の細胞が生存している。しかしながら、NOAに関しては、どのコーティング構成を用いても、播種の48時間後にウェルに注入した80%以上の細胞が生存している。NOAポリマーで作成したマイクロウェルにおいて播種96時間後であっても生存率を60%以上に持続することができた。

実施例4 肝細胞をウェル内に固定して抗体で染色することができる。次いで、通常の培養条件と比較して光学分解能を失わない単一ウェル内の高分解能画像化を実施できる。トランスフェクトしたタンパク質による生の画像化も可能である。

これは一連の単一ダブレットの漸進的な変化を経時的に非常に容易な方法で観察する機会を提供する。図4に示したように、毛細胆管の形態及び方向をウェルの化学コーティングを交換することによって回転することができる。そのような特性を毛細胆管の張力及び被検薬剤との相関関係を制御するために用いることができる。垂直の小管(毛細胆管)も、細胞質から胆管への分子移送の高空間時間分解能画像化できる。これは数個の細胞にわたる毛細胆管の形成を制御するための第1段階である。また、垂直の毛細胆管の形成は、薬物試験の重要課題である胆汁分泌を収集することに役立つ。

実施例5 アクトミオシン収縮性は3D細胞−ECM付着と肝細胞カプレット間のBC形態とを連結する。

肝細胞カプレットのECMへの3D付着がBC形態に如何に影響を与えたかを検討した。肝細胞のカプレット形成の効率を最大にするために30μmの円形マイクロウェルを選択した。これは25μmの平均直径を有している。第2日目に細胞を固定化し、F−アクチン及びZO−1で染色して、共焦点顕微鏡で画像化した。F−アクチンのシグナルはZO−1よりBC輪郭のより明確な定義を提供するので(図11)、本研究においてBC形態を明示して定量化するマーカーとしてF−アクチンを選択した。三種のECMコーティング構成が三種の異なったBC形態を誘導した(図5)。

マイクロウェルの側面及び底面をECMでコーティングすると(F/F構成)、カプレットは垂直に積み重なった(図5A、5D)。底面の細胞はマイクロウェルの底面及び側面の両方に付着したのに対して、上端の細胞は側面のみに付着した。BCは細胞間接合の中心部に局在化している平らな(2〜3μm)等方性管状形態を示した。これはインビボで観察されたBC形態〔23〕とよく似ている。

マイクロウェルの底部がECMでコーティングされていて側面が非接着性である(P/F構成)場合は、カプレットも積み重なったままであった(図5B、5D)。垂直カプレットの底部細胞のみがマイクロウェルの底部に接着した。BCは、殆ど折り畳み及び絨毛を有していない大きな球状形態を示し、これは新たに抽出されたカプレット〔26〕若しくは小さいオルガノイド〔27〕で観察されたBCと類似している。任意の形態を有しているBCはマイクロウェル中で機能性を保持し、これをCLF試験で確認した(図12)。

細胞がマイクロウェルの側面のみに付着している(F/P構成)ときは、肝細胞は隣り合わせて位置している(図5C、5D)。このBCは垂直に、殆どの細胞間接触領域に渡って、平らな形態(厚さ2〜3μm)を示して形成された。我々の観察は細胞−ECM接着の空間的構造がBCの中規模形態を制御できることを示唆した。平らな管状BCを得るときの細胞−ECM付着の重要性を確認するために、F/Fマイクロウェル中の肝細胞を1日目に、インテグリンが介在する細胞−ECM付着に拮抗し、さらに化学信号伝達を混乱させない可溶性RGDペプチド(250μM、1晩)で処理した。実際に、細胞がマイクロウェルから剥がされるにつれて、それらのBCはP/Fの場合に観察されたものと形態学的に同等になるように丸まった(図6A)。

細胞−ECM相互複合体はアクチン細胞骨格と親密に関連していて〔28〕、アクトミオシン収縮性はBC動態を調節することが示された〔29〕。従って、アクトミオシン収縮性がBC形態の分別制御に必要か否かを細胞−ECM接着の空間的構造によって試験した。F/Fマイクロウェルで形成された折り畳まれたBCが各種経路を介するミオシンII活性を阻害するように丸まることを、ブレビスタチン(100μM、4時間)又はY27632(10μM、4時間)を用いて見出した。得られた形態はP/F構成で得られたものと類似していた。

異なった条件におけるBC形態を2つのパラメーター:折り畳みの程度及び垂直縦横比:によって定量的に評価した。BCの推計外周Pの推定面積Aに対する比率を測定して折り畳みの程度 r=P2/(4ПA)を求めた。この形態学的指数rは1(円形)からそれ以上(折り畳まれた管状構造)に及ぶ。垂直縦横比iを(BCの最大高さ)/(XY平面の最大延長線)の比として計算した。より高い垂直縦横比はより厚いBCを示す。

折り畳みの程度rを垂直縦横比に対してプロットしたとき(図6D)、F/Fマイクロウェル中のBCの平らで管状の形状は低い垂直縦横比に反映されるが高い折り畳み程度に反映される。反対に、P/Fマイクロウェル中の、可溶性RGDを有するF/Fマイクロウェル中の、ブレビスタチンを有するF/Fマイクロウェル、又はY27632を有するF/Fマイクロウェル中のBCはそれらの膨張した形状の特性である、高い垂直縦横比及び低い折り畳み程度を呈した。F/Fマイクロウェル中のBC形態を、P/F構成又は薬剤処理下のF/F構成の場合と明確に異なる集団に分類する。

実施例6 特定の3D ECM構成と組み合わせた物理的な制約は毛細胆管の伸長を制御する アクトミオシン収縮性は細胞—ECM接着によるBC形態の遠隔調節に参画するので、BCの伸長は物理的制約の影響を受けるだろうと仮定した。これはアクトミオシン収縮性を調整することで知られている〔30〕。異なった形状を有するマイクロウェルを、物理的制約を付してアクトミオシン収縮性を調節するために利用した。アクトミオシン収縮性は頂点付近で局所のアクトミオシン蓄積によって進展する〔31〕ので、F/Fをコーティングした正三角形のマイクロウェル(一辺45μm)中に肝細胞を播種した。播種後2日目に、肝細胞は三角形の頂点の方向を示している三葉のクローバー形状をとるそれらのBCが積み重なったままである(図7B(i))。しかしながら、P/F三角マイクロウェルにはカプレットが殆ど観察されなかったので、BCは形成されなかった(データは示していない)。マイクロウェルの縁を調節したのち後のBCの2値画像を重ね合わせて、三角マイクロウェル中での細胞間接触の任意時点におけるBC発見の確率を計算した(図7B(ii))。さらに、中心の分布及びBCの最も遠い先端部の分布も査定した(図7B(ii))。BCの平均形状は実際に、それぞれの分枝が三角マイクロウェルの頂点の方向に伸びている三つ葉形状であることが明らかになった。対照として、BCの伸長が等方性である円形マイクロウェル中のBCの確率分布図を評価した(図7A(i))。円形マイクロウェルにおける最も可能性のあるBC形状は突出部の先端が等方性に分布している円形である(図7A(ii))。従って、これらの結果は、物理的な制約がアクトミオシン収縮を介するBCの伸長を誘導するということを支持した。

細胞間の相互作用は恐らく細胞−ECM相互作用と同等にアクトミオシン収縮性に影響を及ぼすだろう〔32〕。従って、細胞間の相互作用はBCの形態に影響を与えることが期待される。この仮説を試験するために、多数の肝細胞を細長いマイクロウェル(F/P)内に播種して細胞間接触状況を変えた。他のコーティング構成と比較すると、F/Pの細長いマイクロウェルは、垂直な接触面を有する2本の対向列に自発的に収容されている細胞を最も確実にした(図13)。横枝を有する平らで垂直なBCは、同様なコーティング構成中のカプレットに関する我々の観察に基づいて期待されている(図5C)。しかしながら、BCは、横枝を僅か有している、細長いマイクロウェルの主軸方向に伸びている長い管状構造を選んだ(図7C(i))。これらの細長いマイクロウェル中のBCの確率分布図はマイクロウェルの主軸に沿って中央に集中した(図7C(ii))。

まとめると、物理的制約、細胞−ECM又は細胞−細胞相互作用の何れかによって影響を受けたアクトミオシン収縮性は中規模BC形態を決定できるという仮説を我々の観察が支持した。次いで我々はBC形態を制御するために細胞−細胞/ECM相互作用及び物理的制約を用いて足場生体力学微小環境を開発した。F/Pコーティング構成を有する交差している細長いマイクロウェル(幅が30μm、長さが300μm)を用いて肝細胞索を模倣した。マイクロウェルの全長(300μm)にわたる長い機能性毛細胆管を観察した(図8)。この形態は底部基質上に肝細胞の弱い接着があるF/Pコーティング構成においてのみ観察された。ここではアクトミオシン収縮性が恐らく水平に分布しているので、BCを細長い構造に接続している。形成された管状のネットワークはインビボの肝細胞と同様の大きさ及び形態を有している。

(参考文献) 1. Tokimitsu, Y., et al., Single lymphocyte analysis with a microwell array chip. Cytometry. Part A : the journal of the International Society for Analytical Cytology, 2007. 71(d7423775-bdc6-2ff3-6660-0ba53b91d33e): p. 1003-1013. 2. Frisk, T., et al., A silicon-glass microwell platform for high-resolution imaging and high-content screening with single cell resolution. Biomedical microdevices, 2011. 13(1de755c2-6df9-44ea-c29e-0cd58a5e9531): p. 683-776. 3. Deutsch, M., et al., A novel miniature cell retainer for correlative high-content analysis of individual untethered non-adherent cells. Lab on a chip, 2006. 6(3276c364-c090-f983-f157-0ba20fe8322b): p. 995-1995. 4. Rettig, J. and A. Folch, Large-scale single-cell trapping and imaging using microwell arrays. Analytical chemistry, 2005. 77(7706a861-4581-32ea-9457-0ba411b501ca): p. 5628-5662. 5. Chin, V., et al., Microfabricated platform for studying stem cell fates. Biotechnology and bioengineering, 2004. 88(c19be9be-e822-408b-766b-0ba36cd9b0ac): p. 399-814. 6. Revzin, A., et al., Development of a microfabricated cytometry platform for characterization and sorting of individual leukocytes. Lab on a chip, 2005. 5(9975720d-12e8-4bf4-6a68-0ba3c645580b): p. 30-37. 7. Suh, K., et al., A simple soft lithographic route to fabrication of poly(ethylene glycol) microstructures for protein and cell patterning. Biomaterials, 2004. 25(ec2f0199-35bb-01a4-bcd5-0cd58c13d534): p. 557-620. 8. Matsui, H., et al., Enhanced bile canaliculi formation enabling direct recovery of biliary metabolites of hepatocytes in 3D collagen gel microcavities. Lab on a chip, 2012. 9. Jinno, S., et al., Macrofabricated multilayer parylene-C stencils for the generation of patterned dynamic co-cultures. Journal of Biomedical Materials Research Part A, 2008. 86A(1): p. 278-288. 10. Taylor, L. and D. Walt, Application of high-density optical microwell arrays in a live-cell biosensing system. Analytical biochemistry, 2000. 278(90de4a92-d85b-ee87-eb38-0ba2fc6c99de): p. 132-174. 11. Ochsner, M., et al., Micro-well arrays for 3D shape control and high resolution analysis of single cells. Lab on a chip, 2007. 7(29a38e9e-c43c-0aa9-9324-0cd58c0442f9): p. 1074-1081. 12. Bartolo, D., et al., Microfluidic stickers. Lab on a chip, 2008. 8(f7cc4bb8-f855-9f90-366e-cc3ac0e05b6d): p. 274-283. 13. Morel, M., et al., Microfluidic stickers for cell- and tissue-based assays in microchannels. Lab on a chip, 2009. 9(a5211e5d-4f2c-45a7-d472-0baae240cf77): p. 1011-1014. 14. LeCluyse, E.L., K.L. Audus, and J.H. Hochman, Formation of extensive canalicular networks by rat hepatocytes cultured in collagen-sandwich configuration. The American journal of physiology, 1994. 266(6 Pt 1): p. C1764-74. 15. Moeller, H.-C., et al., A microwell array system for stem cell culture. Biomaterials, 2008. 29(ca0b5d0c-26cd-4c34-6581-d4e27d789b91): p. 752-815. 16. Hakanson, M., M. Textor, and M. Charnley, Engineered 3D environments to elucidate the effect of environmental parameters on drug response in cancer. Integrative biology : quantitative biosciences from nano to macro, 2011. 3(c1bf7ea3-a818-e378-becd-0cd58bf4f5eb): p. 31-39. 17. Evenou, F., T. Fujii, and Y. Sakai, Spontaneous formation of stably-attached and 3D-organized hepatocyte aggregates on oxygen-permeable polydimethylsiloxane membranes having 3D microstructures. Biomedical microdevices, 2010. 12(3): p. 465-75. 18. Nakazawa, K., et al., Hepatocyte spheroid culture on a polydimethylsiloxane chip having microcavities. Journal of biomaterials science. Polymer edition, 2006. 17(8): p. 859-73. 19. Khetani, S.R. and S.N. Bhatia, Microscale culture of human liver cells for drug development. Nature biotechnology, 2008. 26(1): p. 120-6. 20. Fukuda, J. and K. Nakazawa, Hepatocyte spheroid arrays inside microwells connected with microchannels. Biomicrofluidics, 2011. 5(7aa3c3f9-f0b0-8304-fbe5-0bb9e17f273c): p. 22205. 21. Okuyama, T., et al., Preparation of arrays of cell spheroids and spheroid-monolayer cocultures within a microfluidic device. Journal of bioscience and bioengineering, 2010. 110(aa6b4230-b89c-5577-a46a-0bb9e17f7760): p. 572-578. 22. Fry, J.R., et al., The enzymic isolation of adult rat hepatocytes in a functional and viable state. Analytical biochemistry, 1976. 71(2): p. 341-50. 23 S. Hoehme, M. Brulport, A. Bauer, E. Bedawy, W. Schormann, M. Hermes, V. Puppe, R. Gebhardt, S. Zellmer, M. Schwarz, E. Bockamp, T. Timmel, J. G. Hengstler, and D. Drasdo, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2010, 107, 10371-10376. 24. T. Masters, W. Engl, Z. L. Weng, B. Arasi, N. Gauthier, and V. Viasnoff, PLoS ONE, 2012, 7, e44261. 25. D. Bartolo, G. Degre, P. Nghe, and V. Studer, Lab Chip, 2008, 8, 274-279. 26. T. Kitamura, U. Brauneis, Z. Gatmaitan, and I. M. Arias, Hepatology, 1991, 14, 640-647. 27. S. F. Abu-Absi, J. R. Friend, L. K. Hansen, and W.-S. Hu, Experimental Cell Research, 2002, 274, 56-67. 28. A. Ben-Ze'ev, G. S. Robinson, N. Bucher, and S. R. Farmer, Proceedings of the National Academy of Sciences, 1988, 85, 2161. 29. H. Kawahara and S. W. French, Am. J. Pathol., 1990, 136, 521-532. 30. M. Thery, V. Racine, M. Piel, A. Pepin, A. Dimitrov, Y. Chen, J.-B. Sibarita, and M. Bornens, Proceedings of the National Academy of Sciences, 2006, 103, 19771-19776. 31. N. C. Rivron, E. J. Vrij, J. Rouwkema, S. Le Gac, A. van den Berg, R. K. Truckenmuller, and C. A. van Blitterswijk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2012, 109, 6886-6891. 32. G. A. Gomez, R. W. McLachlan, and A. S. Yap, Trends Cell Biol., 2011, 21, 499-505. 33. P. O. Seglen, Methods Cell Biol., 1976, 13, 29-83

QQ群二维码
意见反馈