アスタキサンチン製造のためのヘマトコッカスの培養方法

申请号 JP2018513543 申请日 2016-09-09 公开(公告)号 JP2018530321A 公开(公告)日 2018-10-18
申请人 ウニベルジテート ツー ケルン; 发明人 ポドラ、 ビョルン; メルコニアン、 ミハエル; コスタ キパーストック、 アリス; セベスチェン、 ペトラ;
摘要 基材を用意する工程、前記基材表面上にヘマトコッカスを配置する工程、並びに前記ヘマトコッカスを低光エネルギーに暴露して初期培養を行う第1段階と、その後に前記第1段階で適用されたものよりも高い光エネルギーに前記ヘマトコッカスを暴露してアスタキサンチン形成を誘導することにより前記ヘマトコッカスを引き続き培養する第2段階とを含むヘマトコッカスの2段階培養プロセスを行わずに、前記基材上に配置された前記ヘマトコッカスを培養プロセスの開始から高光強度に暴露する工程、を含み、さらに 培養された前記ヘマトコッカスを回収する工程、及び/又はアスタキサンチンを単離する工程、を所望により含む、アスタキサンチン製造のためのヘマトコッカスの培養方法。 【選択図】図1
权利要求

基材を用意する工程、 前記基材表面上にヘマトコッカスを配置する工程、並びに 前記ヘマトコッカスを低光エネルギーに暴露して初期培養を行う第1段階と、その後に前記第1段階で適用されたものよりも高い光エネルギーに前記ヘマトコッカスを暴露してアスタキサンチン形成を誘導することにより前記ヘマトコッカスを引き続き培養する第2段階とを含むヘマトコッカスの2段階培養プロセスを行わずに、前記基材上に配置された前記ヘマトコッカスを培養プロセスの開始から高光強度に暴露する工程、 を含み、さらに 培養された前記ヘマトコッカスを回収する工程、及び/又は アスタキサンチンを単離する工程、 を所望により含む、アスタキサンチン製造のためのヘマトコッカスの培養方法。回収されたヘマトコッカスから前記アスタキサンチンが単離される、請求項1に記載の方法。前記ヘマトコッカスがヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)である、請求項1又は請求項2に記載の方法。前記第1段階における前記低光エネルギーが約50μmol photons m−2s−1以上約200μmol photons m−2s−1未満である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。前記第2段階における前記高い光エネルギーが約200μmol photons m−2s−1以上であり、特に約500μmol photons m−2s−1以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。前記基材がシート状の材料であり、特に多孔質シートである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。前記シート状の材料が、紙、セルロースエステル、特に酢酸セルロース、セルロース混合エステル、セルロース、硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル及び/又はポリオレフィンからなる群から選択される、請求項6のいずれか1項に記載の方法。

说明书全文

本発明は、アスタキサンチン製造のためのヘマトコッカスの改良された培養方法に関する。

微細藻類であるヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)は、高い色素性と抗酸化性を有するその二次代謝化合物、すなわちアスタキサンチンによって知られている。アスタキサンチンの着色性は主に、サケ及びエビの肉のピンク色がかった色を強めるために、産養殖に使用されている(Lorenz & Cysewski 2000)。抗酸化剤としては、アスタキサンチンはヒトの健康補助製品として市販されている(アスタリール社(AstaReal)、アルガテクノロジーズ社(Algatechnologies Ltd)、シアノテック社(Cyanotech Ltd)、ニュートレックスハワイ社(Nutrex Hawaii Ltd)、フジヘルスサイエンス社(Fuji Health Science Inc.)を参照)。現在のアスタキサンチンの主な供給源は化学合成である(CARDAX社及びBASF社を参照、動物用飼料としての目的にのみ許可)。

しかしながら、より良好なバイオアベイラビリティ及び抗酸化能を示すいくつかの研究、並びに天然製品又は「バイオ」製品に対する消費者の一般的な嗜好により、天然源由来のアスタキサンチンが関心を集めつつあり、高い価値を有している(Nguyen 2013)。

それにもかかわらず、ヘマトコッカス・プルビアリス(H. pluvialis)によるアスタキサンチンの生産は未だに高価で難易度の高い技術である。これはある程度、ヘマトコッカス・プルビアリスによるアスタキサンチン生産は通常細胞分裂が停止する際に起こることに起因する。アスタキサンチン生産は、高光強度(200μmol photons m−2s−1超)、塩ストレス及び養分欠乏などの、特定のストレス因子によって誘導される(Aflalo et al. 2007)。

そのため、従来の培養方法は以下の2段階からなる:(i)培養パラメーターを、高い細胞密度を生んで十分なバイオマスを得るのに最適なものとする、「グリーンフェーズ」(光強度:50〜200μmol photons m−2s−1;温度:20〜25℃;pH6.5〜8);並びに、(ii)ストレスを加えることで、細胞分裂の著しい減少又は停止を伴いつつも、アスタキサンチンの生産及び蓄積を増強する、「レッドフェーズ」。結果として、製品としてのアスタキサンチンという観点からは、確立された技術では、総生産期間の約50%を占める非生産的なグリーンフェーズが問題とされる(Suh et al. 2006; Aflalo et al. 2007)。さらに、2段階の手順は、2つの別々のバイオリアクター系を必要とするため、より高度な技術的努を必要とする。すなわち、グリーンフェーズは低光強度を与えるために主に屋内に設置され、光化学的ストレスを避けながら人工光源による照射を受ける一方、レッドフェーズは屋外のフォトバイオリアクターにみられるような高い太陽放射照度の恩恵を受ける。

非連続的な2段階法のこのような明らかな欠点に加えて、従来の培養系は、チューブラー型リアクター及びオープンポンドでの懸濁増殖をベースとしている(Lorenz and Cysewski 2000)。しかしながら、これらの系は、建設費、運用費及び維持費等のコストが高いことがよく知られている(Ozkan et al. 2012)。バイオリアクター設計における最近の進歩により、バイオフィルムベースのバイオリアクターが、これらの懸濁型バイオリアクターの欠点の一部を克服する可能性があることが示された(例えば、Berner et al. 2014)。具体的には、低光強度で多孔質基材バイオリアクターを利用して、ヘマトコッカス・プルビアリスのバイオフィルム内での増殖が成功した(Wan et al. 2014; Yin et al. 2015; Zhang et al. 2014)。アスタキサンチン形成は、ゾル−ゲル法による固定化された生微細藻類においても報告されている(Fiedler et al 2007)。

本発明の目的は、高光強度を利用し、1段階の手順でのヘマトコッカスのバイオフィルム(固定化)培養を使用して、バイオマス生産性を増加させ、アスタキサンチン生産を誘導及び増加させることによる、改善されたアスタキサンチン生産を提供することである。本発明のさらなる目的は、従来の2段階手順の欠点を回避することである。

本発明の根底にある前記目的は、 基材を用意する工程、 前記基材表面上にヘマトコッカスを配置する工程、及び 前記基材上に配置されたヘマトコッカスを培養プロセスの開始から高光強度に暴露する工程、ただし 前記ヘマトコッカスを低光エネルギーに暴露して初期培養を行う第1段階と、その後に前記第1段階で適用されたものよりも高い光エネルギーに前記ヘマトコッカスを暴露してアスタキサンチン合成を誘導することにより前記ヘマトコッカスを引き続き培養する第2段階とを含むヘマトコッカスの2段階培養プロセスを行わないこと、 を含み、さらに 培養されたヘマトコッカスを回収する工程、及び/又は 前記アスタキサンチンを単離する工程、 を所望により含む、アスタキサンチン製造のためのヘマトコッカスの培養方法によって解決される。

本発明は、低光量暴露の下、第1段階(グリーンフェーズ)で十分な量のヘマトコッカス細胞集団を作製し、十分な量の細胞集団の形成後に、高光強度でアスタキサンチン形成を誘導することは必須ではないという予想外の発見に基づいている。

従来の2段階の培養によるヘマトコッカス、特にヘマトコッカス・プルビアリスの培養とは対照的に、本発明の製造方法は、特にバイオフィルムフォトバイオリアクターを適用することで維持費及び回収費を低減するとともに、バイオマス及びアスタキサンチンの両方を、高光強度下で1段階で培養することを可能にする。

本発明において、高光強度という用語は、当業者には、相対的な用語としてではなく、具体的な用語として理解され、例えば、少なくとも約150、200、250又は500μmol photons m−2s−1以上に相当する。

ストレス因子とは、ヘマトコッカス、特にヘマトコッカス・プルビアリスにおけるアスタキサンチン生産を誘導する、例えば150μmol photons m−2s−1超の光強度、塩分(0.8%NaCl)、30℃を超える温度、及び栄養飢餓(特に窒素及びリン、ただし他の欠乏も関与し得る)などの環境的影響である。特に、本明細書に記載のようにバイオフィルム内で増殖したヘマトコッカス、特にヘマトコッカス・プルビアリスの細胞内のアスタキサンチン含量は、高光強度に加えて、窒素源又はリン源を含有しない培地に細胞を曝した場合、さらに約50%増加し得る。同じ設定において、成長表面当たりの総アスタキサンチン生産性は、窒素欠乏及び/又はリン欠乏の適用によって、さらに最大約15%増加し得る。

ヘマトコッカス・プルビアリスの培養に使用される光は、通常、300nm〜780nmのUV及び可視域の光である。

高光強度(約1,000μmol photons m−2s−1)でのヘマトコッカス・プルビアリスのバイオマス生産に関していくつかのデータが存在するが、アスタキサンチンの蓄積は少なく、高光強度と栄養制限とが組み合わされた場合にしか起こらない(Del Rio et al. 2005; Garcia−Malea Lopez et al. 2006)。本発明によれば、全培養プロセスを、高強度の(自然)照明の下で1段階で実行可能であり、さらに、回収方法に応じて、高いバイオマス生産性、高いアスタキサンチン含量、及び高いアスタキサンチン生産性を達成する連続的な生産プロセスのために最適化することができる。785μmol photons m−2s−1の光強度で10日間かけて、バイオマス生産性は乾燥物質で16g m−2d−1にも達し、アスタキサンチン含量は乾燥物質の2〜2.5%になり得る。すなわち、アスタキサンチン生産性は0.39mg m−2d−1に達し得る。従来の2段階アプローチでは、第2段階、すなわちレッドフェーズについてのみで見た場合でも、これらの値はより低い傾向がある。Wang et al.(2013)により確認されたように、両段階の期間全体を考慮に入れたより正確な計算ではさらに低くなるであろう。

本発明の一実施形態では、ヘマトコッカスはヘマトコッカス・プルビアリスである。本発明はヘマトコッカス・プルビアリスへ言及することよってより詳細に説明される。ヘマトコッカス・プルビアリスに関する本開示が、アスタキサンチンを生産できるヘマトコッカスの他の種に対しても有効であることは、当業者によって理解される。

本発明の別の実施形態では、第1段階(グリーンフェーズ)における低光エネルギーは、約50μmol photons m−2s−1以上約200μmol photons m−2s−1未満である。

さらに別の実施形態では、第2段階(レッドフェーズ)におけるより高い光エネルギーは、約200μmol photons m−2s−1以上であり、特に、約500μmol photons m−2s−1以上である。

本発明の別の実施形態では、ヘマトコッカスは材料(基材)の表面上で培養される。

本発明のさらに別の実施形態では、前記材料はシート状の材料である。

本発明の別の実施形態では、前記シート状の材料は多孔質である。

本発明の別の実施形態では、前記シート状の材料は、紙、セルロースエステル、特に酢酸セルロース、セルロース混合エステル、セルロース、硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル及び/又はポリオレフィンからなる群から選択される。

図1は実験室規模の二層試験管を図示している。

図2は、様々な光強度で培養されたヘマトコッカス・プルビアリスのバイオマス及びアスタキサンチン生産を示している。

図3は、本明細書に示される10日間の1段階プロセスと、各々5日間の「グリーンフェーズ」及び「レッドフェーズ」を組み合わせた仮定上のPSBR2段階プロセスとの比較における、ヘマトコッカス・プルビアリスのバイオマス(g m

−2)及びアスタキサンチン(g m

−2)の生産性を比較している。

国際公開第2005/010140号には、バイオフィルム中の微細藻類の培養、微細藻類の増殖、及びアスタキサンチンの回収の特に有用な方法が記述されており、具体的には、本発明で使用される多孔質基材が記述されている。この参考文献は参照によって援用される。図1には、種々の光及びCO2条件下で生物膜において微細藻類を培養するための、Schultze et al.(2015)に提案されたような、実験室規模の二層試験管、alg(固定化された微細藻類)、pcm(微細藻類の担体としてのポリカーボネート膜)、gf(グラスファイバーマット)、空気供給用の空気膜ポンプ、cm(培地)が図示されている。国際公開第2005/010140号に記載された原理を実現する、多孔質基材バイオリアクターの他の実験室規模の変更形態が、Liu et al.(2013);Murphy et al.(2012);Nowack et al.(2005))により報告されており、これらは参照によって援用される。

バイオフィルム培養用の数平方メートルに達する基材表面を提供する、この特定技術のスケールアップされた発展がNaumann et al.(2013)及びZhang et al.(2015)により報告されており、これらは全て参照によって援用される。

ヘマトコッカス・プルビアリスは、Zhang et al.(2014)、Wan et al.(2014)及びYin et al.(2015)によって提案されたデバイスを利用して、低光強度で、多孔質基材バイオリアクターを用いて増殖された。これらは全て参照によって援用される。

多孔質基材バイオリアクターのこれらの変更形態においてヘマトコッカス・プルビアリスを培養する代わりに、ヘマトコッカス・プルビアリスは、2つの主面(major surface)を示さない他の基材上のバイオフィルムに固定化して増殖可能である。これは、プラスチック製又はコンクリート製の構造物などであってよく、これらにバイオフィルムの表面に付与される培地が供給される。

これらの培養方法を用いて、ヘマトコッカス・プルビアリスを培養し、高光強度に供することができる。

図2は、後述の実施例1に記載の実験における、5%のCO2補充下での種々の光レベルにおけるヘマトコッカス・プルビアリスの培養を示している。45μmol m−2s−1(懸濁培養のグリーンフェーズと同等)の低光強度ではアスタキサンチン生産は達成されず、中程度のバイオマス生産性が達成されるのみである。約530及び785μmol m−2s−1の高光強度ではバイオマス及びアスタキサンチン生産性が並行して増加した。このことは、(i)高光強度によるアスタキサンチン誘導は、懸濁型バイオリアクターで観察されるように増殖を妨げないこと、及び、(ii)アスタキサンチンの生産は連続的1段階プロセスで行うことができ、非生産的な(グリーン)増殖段階を経ずにすむこと、を示している。最も高いアスタキサンチンの生産性は785μmol m−2s−1で達成された。高光強度は約0.39g m−2d−1の総アスタキサンチン生産性を誘導し、これは実験期間中は直線的であり、増殖10日後には3.3g m−2に達した。より長い培養期間では、アスタキサンチンは4g m−2を超えることができ、1,013μmol m−2s−1というより高い光強度でも、アスタキサンチン生産性は0.32g m−2d−1にも達する(データ未記載)。本発明による1段階の系に対して生産性を比較するために、仮定上の2段階のシナリオを構築した。

図3は、光が適用される唯一のストレス因子である場合の1段階アプローチ及び2段階アプローチの効率を比較するために、本明細書に示される16日間の1段階プロセスと、各々8日間の「グリーンフェーズ」及び「レッドフェーズ」を組み合わせたPSBR2段階プロセスとの比較における、ヘマトコッカス・プルビアリスのバイオマス(g m−2±SD、n=3;図3A)及び総アスタキサンチン(g m−2±SD、n=3;図3B)生産性を比較している。1段階アプローチは1,000μmol photons m−2s−1への16日間の暴露(黒色の四)からなり、一方、2段階アプローチは90μmol photons m−2s−1の8日間と1,000μmol photons m−2の8日間とからなった(灰色の四角)。垂直の点線は、2段階アプローチでいつ光強度が切り替えられたかを示している。明暗サイクルは14時間/10時間であり、培養期間全体を通じて5%CO2を補充して通気が行われた。バイオマスは培養の各段階で直線的に増加したが、速度は大きく異なっていた(図3A)。低光強度では5.4g m−2d−1の増殖速度が観察され、高光強度に切り替えられると増殖速度は17.2g m−2d−1に増加した。この値は、1段階アプローチで直接1,000μmol photons m−2s−1に曝された培養の最初の8日間で得られた値と類似していた。また、8日目の現存量は、2段階アプローチの48.2g m−2と比較すると、1段階アプローチでは3倍高く、その値は146g m−2であった。総アスタキサンチン値を解析した場合も類似の傾向が得られた。すなわち、2段階群における蓄積は高光強度でのみ起こり、1段階群の最初の8日間で観察された蓄積と同様の速度で起こった(それぞれ、0.34g m−2d−1及び0.35g m−2d−1)(図8B)。8日目のアスタキサンチン生産量は、1,000μmol photons m−2s−1で2.5g m−2、及び90μmol photons m−2s−1で0.08g m−2であり、32倍の増加がもたらされた。この差は高光強度への暴露後に消失し、アスタキサンチン生産は16日目には両群で2.8g m−2に達した。しかし、2段階の系では、1段階アプローチの2倍の期間を必要とした。以上から、高照射量の効果は暴露の開始時点とは無関係であった。すなわち、低光強度のグリーンフェーズを用いると、同様の生産量に達するためにより長い培養期間を要し高い生産性を妨げた。これはコスト及び汚染リスクを増大させる。

本発明によれば、培養後、ヘマトコッカス・プルビアリスは、物質を吹き飛ばすためのエアブレード若しくは他の適切なツールによる掻き取りや剥離等の機械的外力の作用によって、又は、界面活性剤処理及び/若しくは有機溶剤処理等の化学的処理によって、支持体、特に有孔の支持体から外すことができる。

別の実施形態では、ヘマトコッカス・プルビアリスは、有孔の支持体と一緒に回収することができる。これは、例えば抽出によって成分を得るためにヘマトコッカス・プルビアリスが支持体上に残ったまま分解される場合に実用的であり得る。抽出されたヘマトコッカス・プルビアリス又は細胞片は、支持体と一緒に、抽出物から機械的に分離することができる。

さらに別の実施形態では、(低)体積の液体(例えば水、培地)を用いて、固定化されたヘマトコッカス・プルビアリスを有孔の支持体から洗い出し、さらなる処理(アスタキサンチンの濃縮、乾燥、及び/又は抽出)のためのヘマトコッカス・プルビアリスの高濃度懸濁液を得ることができる。あるいは、流動培地中で外れたバイオマスを収集してヘマトコッカス・プルビアリスを得てもよい。

具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリスは、乾燥後に支持体から外してもよく、その後に収集してもよい。

別の実施形態では、ヘマトコッカス・プルビアリスは、支持体から外され、乾燥後、若しくは乾燥せずに、又はアスタキサンチンの抽出を行わずに、使用され得る。

さらなる別の実施形態では、ヘマトコッカス・プルビアリスが基材上に残っており、アスタキサンチンが化学薬品によりヘマトコッカス・プルビアリスから取り出される場合、アスタキサンチンの抽出は化学薬品(例えば溶媒、特に有機溶剤)での処理により行われ得る。

具体的には、乾燥又は濃縮したヘマトコッカス・プルビアリス細胞からのアスタキサンチンの抽出は、塩酸の前処理とその後のアセトン抽出、ヘキサン/イソプロパノール混合物溶媒抽出、メタノール抽出とその後のアセトン抽出、又はダイズ油若しくはパーム油等の他の天然油などの、有機溶剤を利用する方法(Dong et al., 2014)により行われ得る。アスタキサンチンはさらに、ヘマトコッカス・プルビアリス細胞の破砕後に二酸化炭素を用いる超臨界抽出(例えば、Nobre et al., 2006)を行うことによって得ることができる。

本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。

実施例1 実験設計 ベンチスケールのバイオフィルムフォトバイオリアクター 使用されたベンチスケールの二層フォトバイオリアクター(PBR)は、Schultze et al.(2015)(参照によって援用される)に記載されたものであった。概要としては、この系は、ポリ塩化ビニル(PVC)製支持体上の透明なPMMA管(長さ50cm、直径12cm)内に垂直に設置されたグラスファイバーマット(50×10cm)からなる。培地が蠕動ポンプ(peristaltic pump)によって一定に循環されている。培地はグラスファイバーの頂部から付与され、重力により下に拡散し、PVC支持体内に設置された培地貯留槽に戻る。この系には1Lの培地が供給され、藻類の成長用の栄養が制限されることを防ぐため2〜3日毎に交換される。通気はPVC管内に供給される。

バイオリアクターの播種用に、Naumann et al.(2013)(参照によって援用される)に記載されるように、ヘマトコッカス・プルビアリス懸濁培養液を濃縮し、次いでポリカーボネート膜(PC40、孔径0.4μm、直径25mm、ワットマン社(Whatman)、ダッセル、ドイツ)上で濾過して、5g m−2の初期バイオマス密度を得た。その後、フィルターをPBR上の濡れたグラスファイバーマット上に配置した。

1段階アプローチ用に、栄養分に富んだ培地を実験期間の全体にわたって使用し、様々な光強度を評価した。比較用に、低光強度での2段階実験を行った。増殖のため始めは完全培地を使用した。6日後、培地を変更することで、すなわち、窒素源を除去、及び/又は塩を追加(0.8%)することで、ストレスを誘導した。

サンプリング及び乾燥重量の測定 各サンプリング時点において、少なくとも3枚のフィルターを各PBRから採取した。播種領域を超えて増殖したバイオマスを除去し、フィルターを凍結乾燥して恒量とした。乾燥重量を重量測定法で求め、アスタキサンチン解析までバイオマスを−20℃で保存した。

アスタキサンチン測定 アスタキサンチンをLi et al.(2012)に記載されるように分光測定した。凍結乾燥されたバイオマス試料をジメチルスルホキシド(DMSO、メルク社、ダルムシュタット、ドイツ)で抽出し、70℃で5分間インキュベートし、次いで4000Gで5分間遠心した。無色のペレットが得られるまで抽出を繰り返した。上清を集め、530nmでODを測定した(Infinite M200プレートリーダー、テカン社(Tecan)、メンネドルフ、スイス)。完全な抽出に必要な場合、砂ですりつぶして細胞を破砕した。DMSOに溶解及び希釈したアスタキサンチン標準物質(純度98.6%、ドクトル・エレンストルファー社(Dr. Ehrenstorfer)、アウクスブルク、ドイツ)を用いて作成した検量線に基づいて、アスタキサンチン濃度を決定した。

さらに、微細藻類の増殖を促進するのに適する他の人工又は天然培地も、ヘマトコッカス・プルビアリス培養に使用することができる。

補充のCO2は特に高光強度条件下でバイオマス成長を促進するのに有利であるが、必須ではない。

光源は、通常は人工照明でも太陽光の使用としてもよいが、経済的な理由から太陽光の使用が好ましい場合がある(特に、高強度が求められる場合)。

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