【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はペルフルオロアルキルハライドとその誘導体に関し、かかるハライド類とその誘導体の製造と利用に関する。 【0002】 【従来の技術】過フッ化炭化水素誘導体(有機フッ素系化合物あるいはフッ素系化学品とも呼ばれる)とは、その性質が例えば、疎水性、疎油性で、化学的に不活性な過フッ化炭化水素部分と、その性質が、例えば、有機反応に於て化学的に反応性のある有機物系または炭化水素の部分とからなる化合物類である。 これらは、世間一般によく使われている。 【0003】例えば、繊維製品に対油性、防水性、染みや汚れを防止する性能を付与する物質で、商品名スコッチガードの絨毯保護剤の様なものを含む。 またこの種の物質には多くの工業的な用途があり、例えば、液体の表面張力を低下させるため、揮発発性有機溶媒の蒸発や引火性を抑制するため、有機高分子被覆剤の均一付着を促進するためなどのために用いられている。 工業的製品の例には、商品名フルオラッドのフッ素系化学品の界面活性剤があり、1988年3月発行のスリーM社の商品速報中に98−0211−2213−4(38.3)BH Pとして記載されている。 【0004】通常のフッ素系化学品はフルオロアルキルヨウ化物、フルオロアルキルカルボキシ酸フッ化物、またフルオロアルキルスルホン酸フッ化物の様な前駆物質から作られる。 例えば、R. E. バンクス編「有機フッ素化合物とそれらの工業的利用」214−234頁(1 979年、英国チャイチェスター、エリス ホーウッド社発行)を参照されたい。 【0005】ペルフルオロアルキルのいくつかはC 2 F 5 Iか(CH 3 ) 2 CFIとC 2 F 4をテロマー化(短鎖重合)させて、それぞれ、C 2 F 5 (C 2 F 4 )nI か(CF 3 ) 2 CF(CF 2 CF 2 )Iにすることによって作られる(ここでnは通常1から4である)。 上記R. E. バンクスを参照されたい。 (CF 3 ) 2 CFI から得られる全てのペルフルオロアルキルヨウ化物は、 一個の側鎖基を有するペルフルオロアルキル基を含み、 以後、文中でこれらの側鎖を有するペルフルオロアルキル基を記号Rfbで表す。 C 2 F 5 Iから得られる全てのペルフルオロアルキルヨウ化物は、側鎖を有しない直鎖のペルフルオロアルキル基を含み、以後、文中でこれらの直鎖の(線状の)ペルフルオロアルキル基を記号R fsで表す。 簡略化のため、以後、記号Rfは直鎖形及び側鎖形ペルフルオロアルキルの双方を表す。 【0006】ペルフルオロアルキルヨウ化物は、例えば、次式に示す様に他の官能基を有する(反応性の)物質に変換され得る。 Rf−I+CH 2 =CH 2 ------> Rf−CH 2 CH 2 −I Rf−CH 2 CH 2 −I+H 2 O------> Rf−CH 2 CH 2 −OH Rf−CH 2 CH 2 −I+H 2 NC(S)NH 2 ------> Rf−CH 2 CH 2 −SH Rf−CH 2 CH 2 −I------> Rf−CH=CH 2上記反応にアルコール、チオール、オレフィン誘導体などが加わると、誘導体はさらに多様化し、例えば、アクリル酸化合物及びそれらのポリマー類、硫酸化合物及びそれらの塩類、カルボキシ酸及びそれらのエステル類などが出来る。 これらの誘導体は、Rf基が直鎖であれ側鎖を持つものであれ、元のRfやその基の構造を維持している。 【0007】テロマーヨウ化物から誘導される(上記のような)反応性物質は、100%の直鎖(Rfs)かまたは100%の側鎖形(Rfs)ペルフルオロアルキル基から作られる。 側鎖形ペルフルオロアルキル基に対する直鎖形のものの比較的有利性に関しては、相矛盾するデータが出されている。 米国特許第4,127,711 号(ロアーら)によると直鎖ペルフルオロアルキルは繊維への応用に、より適しているとされているが、他方米国特許第3,525,758号(カツシマら)では溶液の表面張力を低下させるためには、100%の側鎖形ペルフルオロアルキル基からなる界面活性剤の方が、直鎖ペルフルオロアルキル基からなるものより効果的であることが開示されている。 【0008】しかし、溶液の表面張力低下作用は、同一炭素原子数のフッ素系界面活性剤にあっては、直鎖形の製品の方がより大きい事が一般的に認められている。 前記バンクスの著書の222−223ページでは、かなりの(0.01%、100ppm以下の)低濃度の場合を除いて、直鎖形のフッ素系界面活性剤の方が低い表面張力を与えるとしている。 加えて、ベンネットとチスマンの報文(ジャーナル・フィジカルケミストリー、71巻2 075−2082頁、1967年)では、完全にフッ素化された直鎖アルカン酸の配列による単分子膜は、同一鎖長を有し末端が枝分かれしているアナログよりも、低い臨界表面エネルギーを与えることを示している。 【0009】さらに上記のテロマー化の方法以外に、多くのフッ素系化学品やその前駆物質を製造する他のフッ素化のプロセスが、1950年代にスリーM社によって商業化されたが、それは原料の有機物と液状の無水フッ化水素との混合物に電流を流す方法を含む。 このフッ素化プロセスは通常、「電気化学的フッ化法」または”E CF”と呼ばれる。これらの技術を述べたいくつかの初期の特許には、米国特許第2,519,983号(シモンズ)、2,567,011号(ディースリンら)、 2,666,797号(ハステッドら)、2,691, 043号(ハステッドら)、2,732,398号(ブライスら)があり、それらはかかるフッ素系化合物を、 例えば、C 4 F 9 −COFの様なペルフルオロアルキルカルボニルフッ化物、C 4 F 9 −SO 2 Fの様なペルフルオロアルキルスルホニルフッ化物、及びそれらの誘導体として表している。 【0010】ペルフルオロアルキルカルボニルフッ化物とペルフルオロアルキルスルホオン酸フッ化物が、適当な炭化水素前駆物質から電気化学的フッ化法(ECF) によって調製されるとするならば、得られる製品は混合化合物であって、それらの上記化合物は、例えば、Rf s−SO 2 Fの様な前記直鎖ペルフルオロアルキル基と、Rfb−SO 2 Fの様な前記枝分かれ型ペルフルオロアルキル基を含む。 これらの混合物はたとえ原料が直鎖アルキル基のみからなる場合にも起こる。 かかる混合化合物、即ち、Rfs−SO 2 FとRfb−SO 2 Fとの混合物は、簡便化のために記号Rfsb−SO 2 Fで表し、これは混合物である事を示している。 このsbの下付け記号はこの式が混合物であって、Rfs−SO 2 FとRfb−SO 2 Fの混合であることを意味する。 【0011】ECFによる酸フッ化物は他の反応性物質に転換し得るが、例えば、次式によって表される。 Rfsb−COF--->Rfsb−CH 2 −OH ジヒドロ誘導体 Rfsb−COF--->Rfsb−CON(R)CH 2 CH 2 −OH カルボキシアミド誘導体 Rfsb−SO 2 F--->Rfsb−SO 2 N(R)CH 2 CH 2 −OH スルホンアミド誘導体 おのおののRfsbを含む式は、例えば、Rfsb−C OFであるならば、それはECFによって調製され、直鎖のペルフルオロアルキル基を持った化合物と、分枝鎖を持ったペルフルオロアルキル基からなる他の化合物を含むことを意味する。 【0012】米国特許第2,950,317号(ブラウンら)は、フルオロカーボンスルホン酸塩化物をそれと対応するフルオロカーボンスルホン酸フッ化物から調製する方法を開示している。 パークらの報文(ジャーナル オルガニックケミストリー23巻、1166−116 9頁、1958年)は、完全にフッ素化された炭素原子3個あるいはそれ以下を持った、ある種のフッ素系化学物質を調製する方法を示している。 記載された化合物には、n−C 3 F 7 −CH 2 CH 2 −Iとn−C 3 F 7 C H 2 COHが含まれている。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】簡単には、本発明は、 第一には、ペルフルオロアルキルハライド化合物の混合物を含む優れたフッ素系化学品組成物を供給するものである。 上記混合物に於ける上記ペルフルオロアルキルハライド化合物のあるものは、例えば、CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 −の様な直鎖のペルフルオロアルキル基を含み、またあるものは、例えば、(CF 3 ) 2 CFCF 2 −の様な枝分かれしたペルフルオロアルキル基を含む。 上記ペルフルオロアルキルハライド化合物はCl、B r、Iからなる基の中から選ばれたハロゲン原子を含み、上記ペルフルオロアルキル並びに上記ハロゲン原子に結合したフッ素を含有しない連結アルキレン基を含む。 上記連結アルキレン基は少なくとも2個のカテナリー(架橋)炭素原子を含み、例えば、Rfsb−CH 2 CH 2 −Iの様にその一つは上記ペルフルオロアルキル基に接続し、他の一つの炭素原子は上記ハロゲン原子に接続していて、Rfsb−CH(CH 3 )−Iの様にはなっていない。 【0014】上記ペルフルオロアルキル基に直接に結合した連結アルキレン基の炭素原子はアルファ炭素原子と呼ばれ、また連結アルキレン基のカテナリー炭素原子で、上記アルファ炭素原子の次に位置するものはベータ炭素原子と呼ばれる。 この様なα、β炭素原子は例えば、次の式で表される。 (ここで用いる「直鎖」と言う言葉はその許容される意味での、ノルマルの、或は枝分かれしていない、事を示す。) 【0015】次いで、本発明は、第二には、優れたペルフルオロ化学品の組成物を提供するが、本組成物は、前記ペルフルオロアルキルハライド化合物を含むペルフルオロアルキル誘導体化合物の混合物からなる。 上記混合物の前記ペルフルオロアルキル誘導体のあるものは、例えば、CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 −の様な直鎖のペルフルオロアルキル基を含み、またあるものは、例えば、 (CF 3 )CFCF 2 −の様な枝分かれ状ペルフルオロアルキル基を含む。 上記誘導体は一つ以上の段階によって前記ハライドから得られ、前駆物質のハライドからのペルフルオロアルキル基と連結基のアルファ、ベータ炭素原子を残している。 上記アルファ、ベータ炭素原子の一方または双方は、例えば、カルボニル基(C=O) か、アルキレン炭素原子(C=C)に変換し得るが、しかしそれらは常に何れかの形態で該誘導体に存続する。 【0016】好ましくは、本発明の組成物は、直鎖のペルフルオロアルキル基(Rfs)を含む前記化合物を5 0から95%と、枝分かれ状ペルフルオロアルキル基(Rfb)を含む前記化合物を5から50%含有してなるものが適する。 最も好ましくは、本発明の組成物は、 直鎖のペルフルオロアルキル基(Rfs)を含む前記化合物を60から90%と、枝分かれ状ペルフルオロアルキル基(Rfb)を含む前記化合物を10から40%含有してなるものが適する。 【0017】本発明の組成物はまた、ペルフルオロアルキル基内に存在する炭素原子の数が優勢であって、即ち一連の長さの70%以上であり、例えば、各化合物の混合物中の全てのペルフルオロアルキル基の70%以上のものが8個の炭素原子を有する、といった状態で各化合物の混合物を含有し得る。 【0018】 【課題を解決するための手段】本発明のフッ素系化学品組成物が広範な種類のものに及ぶために、それらには既存のフッ素系化学品が用いられている分野を含めて、数多くの応用がある。 それらの応用については、前記バンクスの著書に述べられている。 本発明のフッ素系化学品組成物は、溶液や基体に対して物性を改良し活性化する作用があり、例えば、濡れ、浸透、拡散、平準化、起泡、泡の安定化、流動性、乳化、分散、さらにオイル、 水、汚れへの耐性付与に有効である。 【0019】本発明のフッ素系化学品組成物の分類としては、式Iによって表されるペルフルオロアルキルハライド化合物の混合物を含む。 Rfsb−CH 2 CH(R 1 )R 2 −X (I) 式Iに於て、fsbの下付きは、式Iの物質は化合物の混合物であって、即ち、Rfs−CH 2 CH(R 1 )R 2 −XとRfb−CH 2 CH(R 1 )R 2 −Xとの混合物であることを示している。 該化合物は直鎖のペルフルオロアルキル基(Rfs)を含有し、該化合物の他の部分は枝分かれ状ペルフルオロアルキル基(Rfb)からなる。 【0020】式Iに於いてはRfsbはペルフルオロアルキル基である。 該ペルフルオロアルキル基は、飽和し、1価であり、少なくとも4個の完全にフッ素化された炭素原子を有する。 このペルフルオロアルキル基は多数の炭素原子を含有することが適するが、しかし、ペルフルオロアルキル基は20個以下の炭素原子数である事が適切かつ適当である。 その理由はラジカルが大きすぎると、普通は、より短いものに比して、フッ素の利用効率が低下(低フッ素利用率)するからである。 ペルフルオロアルキル基の炭素原子数は約4個から約10個のものが最適である。 【0021】式Iに於いて、R 1は短鎖のアルキル基、 即ち1から4個の炭素原子のもの、或は芳香族基、即ちフェニル基、または両者の組合せによるトリル基である。 R 1はまた、S、O、N、Siを含むことが出来るし、−CH 2 −OHであってもよい。 式Iに於いて、R 2は(CH 2 )mの様な共有結合かアルキレン基(ここでmは1から20である)であるか、−CH(R)であり、ここでRはR 1とR 2で規定したものであって前記の炭素原子数を有する。 【0022】式Iに於いて、ペルフルオロアルキル基に結合する炭素原子はアルファ炭素原子と呼んで良いであろうが、式Iの中でCH 2の”C”として表される。 アルファ炭素原子に結合して書かれた他の炭素原子はベータ炭素原子と呼んで良いであろうが、式Iの中でCH (R 1 )の”C”で表される。 式Iに於いて、XはI、 Cl、またはBrである。 【0023】本発明のフッ素系化学品組成物の下位分類としては、ペルフルオロアルキルハライド化合物の混合物であって、式IIによって示される混合物を含む。 Rfsb−(CH 2 CH 2 )n−X (II) 式IIに於いて、RfsbとXは上記式Iで述べたものと同じであり、nは1から5までの整数である。 本発明のペルフルオロアルキルハライドの混合物は反応性に富んだ化合物であり、1つ以上の段階を踏んで他の反応性または機能性のある化合物に変換することが出来る。 かかる誘導体の種類は式Rfsb−Zによって表され、ここでRfsbは前記に規定し記述した通りであり、Zは有機物部分かまたは酸素を含む無機部分であって該ハライド化合物の1段または多段の反応によって得られる誘導体である。 Rfsb部分を分子内に導くに当たって、Z の種々な機能を利用することでこの誘導体は有用な薬品になる。 【0024】Zは1個または2個以上の炭素原子を含む有機物の反応性部分、即ち、カルボニルを含む、スルホニル基を含む、アルキレンを含む、窒素を含む、酸素を含む部分であり得るし、またZは、スルホニルを含むまたスルホニルオキシ基を含む、酸素含有無機化合物を含む部分でも有り得る。 代表的な機能性のZの部分は、例えば、電子親和性の、求核反応性の、またフリーラヂカル反応によって、重合し易い基であって、この種の基を持った誘導体はペルフルオロアルキル基が複数個つながった鎖状のポリマーを得るのに適している。 本発明の誘導体化合物はカルボキシ酸とスルホン酸とそれらの金属またはアンモニュウム塩、アルキルとアルケニルエステルを含むエステル類、アミド類、テトラヒドロアルコール(−C 2 H 4 OH)、テトラヒドロアルコールのエステル、アクリル酸エステル(及びポリアクリル酸エステル類)、メルカプタン類、アルケニルエーテル類、などを含む。 【0025】言い替えれば、上記式中のZは次のものを含む: 【化1】 なとである。 【0026】ここでMは”V”の荷電を持った金属原子であり、例えば、KやNaなどの1価の金属原子である;Rは、アルキル基(即ち、1から14個の炭素原子を持つ)、アリル基(即ち、6から10個、または12 個の環状の炭素原子を持つ)、或はそれらの組合せによるもの(即ち、アルカリル基、またはアラルキル基)であり;R 1とR 2はそれぞれ別個にHまたはRであり; R 3はアルキレン基(即ち、1から13個の炭素原子からなる)であり;R 4はHかCH 3であり;Aはアリファティックまたはアロマティック部分であり、その中に、カルボキシ基、スルホ基、アルカリ金属、アンモニュウム塩、またはそれらのエステル類、カルボキシアミド、スルホアミドを含有し、また、1から3個のヒドロキシ基、1個またはそれ以上のエーテル酸素或はオキシラン酸素、シアン基、フォスフォノ基、1個またはそれ以上の1級、2級、3級アミノ基、第4級アミン基、その他の反応基を含有し得る。 【0027】以上に示した誘導体は他の本発明のフッ素系化学品組成物に転化することができる。 例えば、水酸基を官能基に持った誘導体はそれに対応する硫酸基誘導体に転化することで、有用な界面活性剤を得ることができ、この例は米国特許第2,803,656号(アールブレヒトら)に見られるし、リン酸基誘導体に替えると、米国特許第3,094,547号(ヘイン)に記載の様に、繊維や皮革の処理剤として有用なものが得られる。 水酸基を官能基に持つ誘導体はまたイソシアネートと反応させてカルバメートを含む誘導体を得るが、これらは織物の様な繊維状の物質を処理に有用な物質であり、例えば、ウレタン類、カーボジイミド類、ビューレット類、アロファネート類、グアニジン類であって、例えばそれぞれ、米国特許第3,398,182号(グエンスナーら)、4,024,178号(ランドッチ)、 4,668,406号(チャン)、4,606,737 号(スターン)、4,540,497号(チャンら)に記載されている。 【0028】アミン基を官能基に持つ誘導体は対応するアミン塩に変換され、有用な界面活性剤を得るが、これらは、例えば、米国特許第2,764,602号(アールブレヒト)、2,759,019号(ブラウンら)に記載され、或は両性界面活性の例は、例えば、米国特許第4,484,990号(バルトマンら)に記載されている。 アミン基を官能基に持つ誘導体は、例えば、米国特許第4,359,096号(ベルガー)に記載される様に、逐次的に反応させて、両性界面活性剤が得られる(表1参照)。 【0029】本発明の重合性機能を有する誘導体は、例えば、ポリアクリル酸塩(エステル)類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリビニルエーテル類の様なポリマーを作るために用いられる。 これらのポリマーは通常の段階反応、鎖長延長反応、グラフト重合などの技術やプロセスによって調製される。 段階反応によるポリマーは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、 イソシアネート、アミノなどの重合性基を持った誘導体から作られる。 本発明のアクリル酸塩、メタクリル酸塩、ビニール誘導体は、ポリアクリレートの様な鎖長延長反応によるポリマーの調製に用いられる。 本発明のエチレン形の不飽和基を有するフッ素系化学品のモノマーは、同一体によるホモポリマーにすることができ、共重合するモノマーと共に、ランダム、ブロック、グラフトポリマーに共重合させることができる。 【0030】用いることの出来る共重合可能なモノマーには、フッ素を含むものとフッ素を含まないモノマー(炭化水素)があり、例えば、メチルメタクリレート、 エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、ポリ(オキシアルキレン)ポリオールオリゴマーとポリマーのアクリレートとメタクリレートエステル、例えば、ポリ(オキシエチレン)ジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレン、ビニルアセテート、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオライド、アクリロニトリル、ビニルクロロアセテート、イソプレン、クロロプレン、スチレン、ブタジエン、ビニルピリジン、ビニルアルキルエーテル類、ビニルアルキルケトン、アクリル酸とメタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−メチロールアクリルアミド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニューム)エチルメタクリレート、その他である。 【0031】このポリマーは水溶液、非水溶液、またはエマルションの形で基体の表面自由エネルギーを改善するために、コーチングまたは仕上げ剤として用いられる。 基体としては、多孔質でないものに、ガラス、金属、プラスチック、陶器があり、織物のように繊維状のものと多孔質のものには、ナイロンカーペット繊維やポリエステル外套類織物、皮革、紙、板紙、木材に防油性や防水性の付与などで、前述のバンクスの著書に記載されている。 【0032】本発明のモノマーと共に用いられ得る種々のコモノマーの相対量は、一般的には経験的に選ばれるし、また用いられる基体によって変わるが、例えば、望まれる防水性や防油性の程度に依存するし、どの様な方法で基体に用いるかによっても異なる。 一般には、ポリマー鎖の中で、相互的に重合するか反復的に存在するコポリマーの場合には、5から95モル%のこの種のものにペンダント状のペルフルオロアルキル基を含有させる。 本発明のフルオロアリファティックポリマーは、他のまたは既知のポリマーと混合させることができ、例えば、それはペルフルオロメチルを末端基に持つフルオロアリファティックビニールポリマーであり、混合使用によって、例えば、繊維品の水や油に対する反発力を改善するために、表面物性が改良された織物類を得ることが出来る。 【0033】界面活性剤として有用な本発明のフッ素系化学品は、通常、例えば、−CO 2 Na、−SO 2 NH C 3 H 6 N + (CH 3 ) 3 Cl - 、−SO 2 N(C 2 H 5 )C 2 H 4 O(C 2 H 4 O) 7 H、と−CONHC 3 H 6 N + (CH 3 ) 2 CH 2 CO 2 -の様な極性基を含み、これらの部分は、それぞれ、アニオン、カチオン、 非イオン、両性界面活性剤の極性基を表す。 界面活性剤は水溶液と非水性(有機)溶液系に於て、濡れ、浸透、 拡散伸展、平準化、起泡、泡の安定化、流動性、乳化、 分散、撥油や撥水、汚れの防止などの作用をもたらしまた改善する点で有用である。 【0034】上記液体系では普通液体相(その液相には界面活性剤が溶解または分散している)を含み、さらに、他の液相、気相、分散した固相(例えばポリマーの粒子)から選ばれる一つまたはそれ以上の他の相を含み、この系はエマルション、サスペンジョン(分散系)、泡末系(例えば、気泡)の形態をなし得る。 かかる液体系や、上記界面活性剤の応用分野の例としては、 リンス仕上げ、洗浄、エッチング、メッキ浴、床磨き用乳剤、写真処理材料、水性被覆剤、粉体被覆剤、有機溶剤系被覆剤、アルカリ性汚れ落し、フッ素系高分子エマルション、はんだ付けシステム、特殊インキ、例えば、 スリーM社の速報98−0211−2213−4(3 8.3)BPHに記載された例などがある。 【0035】界面活性剤として有用なフッ素化学品はまた他の物質に包含させたり混合させることが出来る。 例えば、十分に熱安定性がある場合には、それらは、ポリアミド(例えば、ナイロン)、或はポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)の様な高分子物質の中に包含させられ、その配合物は型どりされたり、ブロー成形されたり、イクストルードされたり、その他の方法で、フィルム状、繊維状などの形に成形される。 この様に配合されたフッ素系化学品は、成形された物体の状態を改良し、例えば、それらの表面に撥水性、撥油性などを与える。 本発明のフッ素系界面活性剤はまた他の界面活性剤と混合し得る。 例えば、炭化水素系の界面活性剤および/または従来品のフッ素系化学品の界面活性剤(例えば、米国特許第2,567,011号、2,732,3 98号記載の)と混合し得る。 そしてこれらの混合界面活性剤は、例えば、米国特許第3,562,156号(フランセン)記載の様に水性の泡状フィルム形成剤として用いられる。 【0036】次に示す実施例では、本発明のフッ素系化学品組成物の性能が改善されることが示される。 次の作用例に示す様に、本発明のある種の組成物は、ECFによって作られスルホンアミド架橋基を含むフッ素系化学品組成物に比べて、繊維基体に対して強い撥油性を示す。 本発明の他の組成物は、テロマー化によって得られたフッ素系化学品組成物に比べて(これらは、全ての化合物は直鎖構造をなすか、または全ての化合物が枝分かれ構造を持つかの、何れかの、ペルフルオロアルキル基からなる)、有機溶媒系または水溶液系で、より表面張力を低下させ、より良い溶解性を示す。 【0037】本発明のペルフルオロアルキルハライドを調製するために便利な方法は、ペルフルオロアルキルスルホニルフッ化物(ECFによって得られる)を用いて、次に図示する工程で行われる。 Rfsb−SO 2 F+Na 2 SO 3 +I 2 ----> Rfsb−I Rfsb−I+C 2 H 4 ----> Rfsb−C 2 H 4 −I A Rfsb−SO 2 F----> Rfsb−SO 2 Cl Rfsb−SO 2 Cl+C 2 H 4 ----> Rfsb−C 2 H 4 −Cl B Rfsb−SO 2 F----> Rfsb−SO 2 Br Rfsb−SO 2 Br+C 2 H 4 ----> Rfsb−C 2 H 4 −Br C 【0038】式A、B、Cに示すペルフルオロアルキルは容易に種々の誘導体に変換し得る。 例えば、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、酸基、酸の塩、エステル、などを含む誘導体であり、さらに、それらの付加物や誘導体で、例えば、ウレタン、アクリル酸塩とそのポリマー、その他であって、既存の合製法によって調製されるが、それら多くについては実施例に示される。 どのペルフルオロアルキルハライドもその他の2種のハライドの何れにも変換することが出来る。 以下の実施例に於て、本発明の実施例に用いられた全てのペルフルオロアルキルスルホニルフッ化物は、炭化水素前駆物質から電気化学的フッ素化法(ECF)によって調製されたものである。 【0039】 【実施例】 実施例1 本実施例は、ペルフルオロアルキルスルホニルフッ化物を1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロアルキルヨウ化物、即ちRfsb−CH 2 CH 2 −I、に転化するものである。 5lの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、温度計、攪拌機を付け、1,4−ジオキサン58 5g、585gの無塩水、亜硫酸ナトリウム248gを入れた。 米国特許第3,420,877号の実施例2に概要が記載されている合製法を用いたが、但し、ペルフルオロオクタンスルホニルフロリドの代わりに700g のペルフルオロデカンスルホニルフロリドを用い、臭素の代わりに435gのヨウ素を用いた点で異なる。 用いたペルフルオロデカンスルホニルフロリドは直鎖異性体約65%と枝分かれ鎖異性体約35%を含んだ。 反応が終了した後、得られたペルフルオロデシルヨウ化物は反応物混合液から水蒸気蒸留によって取り出し、428g (72%)の沸点が94−100℃の黄色の生成物が得られる。 この生成物は約45℃で400gの10%亜硫酸ナトリューム水溶液によって洗浄した。 【0040】得られた生成物(419g)は45℃で無色の液体であり室温では固液混合物であった。 F−NM Rによる分析結果によると、ペルフルオロアルキルの約65%が直鎖であり、約10%が過フッ化イソプロピルの枝分かれした−CF(CF 3 ) 2基を炭素鎖の末端に持ち、約0.2%が過フッ化ターシャリーブチル末端基−C(F 3 ) 3を持ち、残りは内部の枝分かれ基として存在した。 このF−NCRのデータは生成物をアセトンD6に溶解して94.2MHz のF−NMR装置によって測定した。 【0041】鉄製の3l容器に上記ペルフルオロデシルヨウ化物295g(0.45モル)と、ジt−ブチルパーオキシド1.8gと触媒を入れた。 この触媒は30g のアルミナ、2gの塩化第二銅、2gの4塩化スズと8 mlの2−アミノエタノールを混合して作られたものである。 反応物は青紫色の粉体であった。 反応容器を脱気し、窒素ガスで満たす。 12.8g(0.45モル)のエチレンを三等分して反応容器に加えた。 添加する度に圧力が上がり108℃の温度で約120psi(0.28MP a)になった。 最初の添加の後、約30分の間に圧力が約40psi(0.28MPa)に下がったところで、次の第二のエチレンの添加を行った。 三度目の添加を同様に行った。 【0042】全てのエチレンの添加が終った後、圧力が40psi(0.28MPa)に下がるまで、108℃の温度で加熱を続けこの圧力で安定化させ、全てのエチレンを消費させた。 温かい反応生成物を反応容器から取り出し、 僅かに黄色の固体の生成物(307g)が得られた。 H −NMRによる分析の結果はペルフルオロデシルテトラヒドロヨウ化物、C 10 F 21 CH 2 CH 2 Iが得られた事を示した。 生成物を1000gのアセトンに溶解し、触媒を濾過して除いた。 溶媒を蒸発させて除くと、僅かに黄色を帯びた固体が得られた。 F−NMRによる分析の結果によると、生成したペルフルオロデシルテトラヒドロヨウ化物の過フッ化された鎖状の構造は、前駆物質のペルフルオロデシルヨウ化物の構造と基本的に同じであった。 【0043】実施例2−5 実施例1で概要を記述した方法によって、実施例2から5の生成物を得た。 【表1】 *ペルフルオロデカンスルホニルフッ化物は室温で液体成分と半固体成分とからなる混合物である。 実施例1では、半固体成分のC10 F 21 SO 2 Fが用いられたが、F −NMRによってこの部分は直鎖の過フッ化鎖の主要部分(約65%)を含むことが解った。 実施例5に於いては、ペルフルオロデカンスルホニルフッ化物の液体部分(約40%が直鎖で、約60%が枝分かれ)が用いられた。 F−NMRの結果によると、実施例5の結果による生成物のペルフルオロデシルテトラヒドロヨウ化物は、
約40%の直鎖の過フッ化鎖を有し、約10%のペルフルオロイソプロピル基と、約3.0%の末端ペルフルオロt−ブチル基と、残余は(約44.5%)内部的に枝分かれした物質、CF
3 −(CF 2 )x−CF(C F
3 )−(CF 2 )y−、を含むことが解った。 ここでxとyは共に1より大きい数である。 【0044】F−NMRの結果によると、実施例2−4 の生成物はおよそ次の組成からなる化合物の混合物であった。 即ち、直鎖の、CF 3 −(CF 2 )x−を70− 90%、枝分かれ鎖10−30%で、ペルフルオロイソプロピル分枝基、(CF 3 ) 2 CF(CF 2 )xを約1 0%、ペルフルオロt−ブチル分枝基、(CF 3 ) 3 C −(CF 2 )xを約0.3%、そして内部的に枝分かれしたもの約15−20%とからなった。 実施例6−11 に於いては、ペルフルオロアルカンスルホニルフッ化物のテトラヒドロ塩化物への転化(実施例6−10)と同族体及びテトラヒドロ臭化物(実施例11)が記載されている。 【0045】実施例6 ペルフルオロオクタンスルホニル塩化物を、対応するスルホニルフッ化物で約70%の直鎖と約30%の枝分かれ異性体をもつものから作った(米国特許第3,42 0,877号記載の方法によった)。 粗製の反応生成物を水と、希釈した重炭酸カリ水溶液、水の順で洗浄し、 無水硫酸ナトリュームで乾燥した。 ペルフルオロオクタンスルホニル塩化物(12g、0.0232モル)とジt−ブチルパーオキサイド(0.40g)を肉厚のガラスアンプルにとった。 アンプルを液体窒素のバス内に入れ、ポンプで脱気し、次いでエチレン(1.28g、 0.046モル)をアンプル内に注入した。 このアンプルをシールし、グラスウールのクッションを当てがったハスターロイB槽に入れ、アンプル内の圧力とバランスさせるために、窒素ガスで容器を加圧した。 【0046】反応容器を115℃で6時間保持し、室温に冷却した。 次いで該ガラスアンプルを液体窒素中で冷却し、開封して暗褐色の半固体状の生成物(11g)を得た。 GC/MS分析の結果、生成物はC 8 F 17 CH 2 CH 2 ClとC 8 F 17 (CH 2 CH 2 ) 2 Clの混合物であった。 NMR分析の結果は生成物の比率は、1対1 と1対2の付加物について、2:1であった。 この生成物は化合物の混合物からなり、その内容の70%が直鎖であり、30%が枝分かれペルフルオロアルキル基であった。 【0047】実施例7 この実施例では、生成物の比率をより良く制御するために、エチレン添加は、加熱されたペルフルオロオクタンスルホニル塩化物に、ジt−ブチルパーオキサイドをフリーラジカルのイニシエーターに用いて、斬増的に行った。 C 8 F 17 SO 2 Cl(300g、0.58モル)とジt−ブチルパーオキサイドのイニシエーター(1.8 g)を300mlのモネル反応器に取った。 エチレン(2.6g)を加え、混合物は振騰を加えながら115 ℃に加熱した。 エチレンを追加して(2.5、4.0、 3.0、と2.7g)3時間以上にわたって全量で1 4.7gのエチレンを斬増的に加えた。 室温に冷却した後、どろどろした生成物(303g)が得られ、主としてC 8 F 17 C 2 H 4 Clであった。 【0048】実施例8 同様に、C 8 F 17 SO 2 Cl(30g)をイソオクタン(30g)に溶解し、ベンゾイルパーオキサイド(0. 1g)を添加し、混合物はガラスライニングされたハスターロイB反応器中で過剰のエチレン(8g)を加えて100℃で攪拌された。 100−105℃で8時間の反応の後に、主としてC 8 F 17 C 2 H 4 Clからなる、明るいクリーム色の固体の生成物が得られた。 【0049】実施例9 ペルフルオロヘキサンスルホニル塩化物で80%の直鎖異性体を含むもの10g(0.024モル)、エチレン(1.3g、0.046モル)、ジt−ブチルパーオキサイド(0.4g)をガラスアンプルに充填した。 混合物は100℃で18時間加熱した。 生成物は褐色の液体として分離された。 GCによる分析の結果は、1:1と1:2の付加物について3:2であった。 質量スペクトル分析とプラズマクロマトグラフィーは、生成物に硫黄が含まれておらず、C 6 F 13 CH 2 CH 2 ClとC 6 F 13 (CH 2 CH 2 ) 2 Clの構造を持った。 【0050】実施例10 ペルフルオロオクタンスルホニル塩化物を対応するスルホニルフッ化物(約60%の直鎖異性体からなる)から作り、このものを対応するテトラヒドロ塩化物の調製に用いた。 ペルフルオロオクタンスルホニル塩化物(2 0.0g、0.032モル)、エチレン(5.0g、 0.17モル)とアゾビスイソブチロニトリル(VAZ 064、)を180ml容量のガラスライニングされたハスタロイB反応器にとり、容器は振騰しながら70−7 5℃に16時間加熱した。 反応容器を室温に冷却し、上昇した圧力を低下させて、蝋状の固体の生成物(21. 3g)を分離した。 真空による昇華によってサンプルを精製し白色の結晶を得た。 NMRとGC/MS分析によって生成物は、C 10 F 21 (CH 2 CH 2 )nClの構造を持ち、主として1:1と1:2の付加物の混合物であることが示され、ここでnは主に1か2であり、ごく少量(5%以下)の生成物がn=3であった。 【0051】実施例11 ペルフルオロブタンスルホニル臭化物を、ユスタス・リービッヒのアナーレン・デア・ヒミー1973年、33 −39に記載されたハルツドルフの方法で調製し、この方法によってペルフルオロブタンスルフィン酸を(約9 0%が直鎖であるC 4 F 9 SO 2 Fから)酢酸中で臭素化した。 ペルフルオロブタンスルホニル臭化物(10 g、0.0226モル)、エチレン(0.046モル) とジt−ブチルパーオキシド(10.4g)の混合物をガラスライニングされた180ml容のハスタロイB反応器に入れ、90℃で16時間加熱した。 反応の終了後暗色の液体が(6.5g)分離された。 反応混合物中の酸性成分は、該液状相を重炭酸カリュウムの水溶液で洗浄し、次いで2回の水洗を行って除去し、硫酸ナトリュウムで乾燥させた。 GC/MS分析の結果は、低沸点の成分(C 4 F 9 Br)の存在が認められ、求められた生成物のC 4 F 9 CH 2 CH 2 BrとC 4 F 9 (CH 2 CH 2 ) 2 Brとが2:3の比率で存在した。 【0052】実施例12 この実施例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロヨウ化物のペルフルオロアルキルテトラヒドロアルコールへの転化を示す。 3lの三つ口フラスコに、攪拌機、温度計、還流コンデンサーを付け、実施例4の方法で得られたC 8 F 17 CH 2 CH 2 Iを574g(1モル)と、 N−メチルピロリドン549g(6モル)と、水72g (4モル)を加えた。 混合物を加熱して還流状態にした(約117℃)。 反応を40時間継続し暗褐色の反応混合物を得、そのものを約80℃に冷却して2相に分かれた反応混合物が得られた。 無塩水1lを加えて70℃に1時間加熱して2つの液相を得た。 生成物を含む褐色の下の相を水相から分離し、それぞれ1lの水を用いて約70℃で2回洗浄した。 底部の反応物相を水相から分離し、400mlの水を用いてディーン・スターク式トラップによって水蒸気蒸留し精製した。 94℃から102℃ の間に溜出する生成物を集めた。 全収量は475gで約40gで液体、残りの約435gがスラリー状の固体であった。 【0053】H−NMRとGC/MS分析の結果液体はオレフィン、C 8 F 17 CH=CH 2である事が確認された。 固体はガスクロマトグラフィーによって分析され、 95%のテトラヒドロアルコール、C 8 F 17 CH 2 CH 2 OHを含み、残余は未反応のテトラヒドロヨウ化物である事が解った。 テトラヒドロアルコールの収率は84 %だった。 F−NMR分析の結果この生成物の混合物は、約74%の直鎖、約11%のペルフルオロイソプロピル末端基、約0.2%のペルフルオロt−ブチル末端基と約14%の内部枝分かれ基を有することが解った。 室温に放置すると、スラリー状の固体は2つの物理的状態に分離した。 一つは少量の上部の液状相であり他は下部の半固体相である。 上部の液体を分離し、F−NMR 分析を行った。 この液相の化合物混合物は約44%が直鎖であり、約12%のペルフルオロイソプロピル末端基、約0.3%のペルフルオロt−ブチル末端基と約4 3%の内部枝分かれ基を有した。 【0054】実施例13,14 実施例12で概要を述べた方法によって、次のペルフルオロアルキルテトラヒドロアルコールが実施例1と2のテトラヒドロヨウ化物から得られた。 【表2】 【0055】実施例15 この実施例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロヨウ化物のペルフルオロアルキルテトラヒドロチオールへの転化について記述する。 3lの三つ口フラスコに、攪拌機、温度計、還流コンデンサーを付け、実施例4の方法で得られたペルフルオロオクチルテトラヒドロヨウ化物、C 8 F 17 CH 2 CH 2 Iを574g(1モル)と、 チオ尿素114g(1.5モル)と、エタノール400 gを加えた。 混合物を窒素気流中で75℃に5時間にわたって加熱した。 反応混合物を窒素中で50℃に冷却した。 次いで50%のNaOH溶液120g(1.5モル)と無塩水200gを加えて50℃で1時間加熱を続けた。 水1lを加えて2つの液状相が得られた。 【0056】生成物を含む褐色の下の相を1lの水を用いて室温で2回洗浄し、反応物相を分離した。 ディーン・スターク式トラップを組み立て、400mlの水を加えて水蒸気蒸留し、94℃から99℃の間に溜出するペルフルオロアルキルテトラヒドロチオール生成物を集めて、430gの無色の液状生成物を得た。 ガスクロマトグラフィーによる分析で、84%の収率でC 8 F 17 CH 2 CH 2 SHが得られ、約2%が未反応のオレフィン、 C 8 F 17 CH=CH 2である事が解った。 F−NMR分析の結果、このC 8 F 17 CH 2 CH 2 SH生成物の混合物は、約77%の直鎖、約9%のペルフルオロイソプロピル末端基、約0.2%のペルフルオロt−ブチル末端基と約13%の内部枝分かれ基を有することが解った。 【0057】実施例16−19 実施例15に概要を述べた方法によって、次のペルフルオロアルキルテトラヒドロチオールを調製した。 【表3】 【0058】実施例20 この実施例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロアルコールの対応するペルフルオロアルキルアクリレートへの転化について示す。 500mlの三つ口フラスコに、 還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、実施例12 の方法で得られたペルフルオロオクチルテトラヒドロアルコール、C 8 F 17 CH 2 CH 2 OHを232g(0. 5モル)と、メチルエチルケトン(MEK)90gを加えた。 ディーン・スターク式トラップを用いて、20g MEKを蒸留して除き、反応混合物を窒素気流中で室温に冷却し、次いで乾燥したトリエチルアミン50.5g とチバガイギー社製の抗酸化剤イルゴノックス1010 100ppm を加えた。 注加用のロートと窒素気流を用いて45g(0.5モル)のアクリルクロリドを1時間にわたって添加した。 20℃の発熱が見られた。 発熱反応(約20℃の温度上昇)によって白色のスラリー状のものが得られた。 添加が終了した後反応混合物は50℃に2時間保持された。 ガスクロマトグラフィー分析の結果によると95%がアクリル酸化合物に転化された。 反応混合物を200mlの水で3回洗浄した。 無色の液状生成物、C 8 F 17 CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2の収量は237g(94%)であった。 【0059】実施例21 実施例20の方法によって、実施例13のアルコールを原料として、生成物のC 4 F 9 CH 2 CH 2 OCOCH =CH 2がわずかに黄色の液体として90%の収量で得られた。 【0060】比較実施例22 この例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロヨウ化物のペルフルオロアルキルオレフィンへの転化について記述する。 1lの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、温度計、攪拌機を付け、実施例4で得られたペルフルオロオクチルテトラヒドロヨウ化物57.5g(0. 1モル)と、イソプロパノール100gと水酸化カリ8.4g(0.15モル)を入れた。 反応混合物を還流状態で5時間加熱し褐色の反応混合物を得た。 ガスクロマトグラフィー分析の結果、約96%がオレフィンに転化されたことが解った。 無塩水400mlを加え、ディーン・スタークのトリップを用いて反応生成物を水蒸気蒸留した。 94−98℃の範囲の沸点の溜出で43g(9 5%)の液体オレフィン生成物、C 8 F 17 CH=CH 2 が得られ、その純度は98%以上であった。 F−NMR の結果、化合物の混合物は約74%の直鎖物質と、約1 0%のペルフルオロイソプロピル末端基、約0.2%のt−ブチル末端基、約13%の内部枝分かれとを有した。 【0061】実施例23 実施例22の方法によって、C 10 F 21 CH=CH 2を実施例5のテトラヒドロヨウ化物から調製した。 このオレフィン生成物は約42%が直鎖の過フッ化物であり、約10%のペルフルオロイソプロピル末端基、約46%の内部枝分かれ物であった。 【0062】実施例24 この実施例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロアルコールをペルフルオロアルキルジヒドロカルボキシ酸に転化する方法を述べる。 1lの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、温度計、攪拌機を付け、実施例6で得られたペルフルオロオクチルテトラヒドロアルコール、 C 8 F 17 CH 2 CH 2 OH46.6g(0.1モル) と、アセトン450gを入れた。 この溶液を氷浴中で約5℃に冷却し、過マンガン酸カリ23.7g(0.15 モル)を少量宛2時間にわたって添加した。 この反応は発熱的で、色が紫から褐色に変化するのが観察された。 全ての過マンガン酸カリの添加が終った後、反応をさらに1時間室温で継続させた。 反応液を徐々に加熱して還流状態にし(約58℃)約3時間保持した。 次いで水5 0gを褐色の反応生成物スラリーに加え、全てのアセトンを蒸留で除いた。 【0063】反応物を氷浴中で約5℃に冷却し95%の硫酸100gを2時間にわたって徐々に添加した。 酸の添加の後に反応混合物を95℃で2時間加熱した。 約4 0℃に冷却した後、2相になった混合物に200mlの水を加えた。 褐色の底部相を65℃で水相から分離し、2 00mlの水を用いて2回75℃で洗浄した。 底部相を集めて蒸留した。 約20トールで、100℃から130℃ の間の生成物を集め、室温で固体の物質35gを得た。 GC/MS分析の結果、C 8 F 17 CH 2 COOHが約7 8%、C 8 F 17 CH 2 COOCH 2 CH 2 C 8 F 17 (出発物質のアルコールと生成した酸のエステル)が約11 %、C 8 F 17 COOHが約10%の組成であった。 このペルフルオロオクチルジヒドロカルボキシ酸、C 8 F 17 CH 2 COOHの収量は約57%であった。 【0064】実施例25 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、ホウ酸61.8g(1モル)、アリルアルコール232g(4モル)とトルエン120gを入れた。 ディーン・ストークのトラップを用いて、共沸状態で水を除去した。 反応させる前には反応混合物は白色のスラリーであったが、還流状態で加熱されると透明な溶液になり、共沸蒸留によって53gの水が生じた。 トルエン、過剰のアリルアルコール、トリアリルホウ酸エステル生成物を蒸留して取り出した。 このトリアリルホウ酸エステルは(161g、89%で)無色の粘性のある液体として得られた。 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に上記トリアリルホウ酸エステル18.2g(0.1モル)、酢酸エチル20g、実施例1aの方法で調製したC 4 F 9 I103.8g(0.3モル)と、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2gを入れた。 【0065】この混合物を約40℃に加熱し窒素ガスにアスピレーター吸引を用いてガス置換を行った。 反応混合物を還流状態にまで加熱し、AIBN0.2gを追加して添加した。 還流状態で窒素ガス気流中で15時間加熱を続けた後、さらに0.2gのAIBNを添加し還流状態で5時間反応させた。 透明な黄色の溶液をガスクロマトグラフィー分析の結果、未反応のC 4 F 9 Iが約2 %残っており、主たる生成物はC 4 F 9 CH 2 CH (I)CH 2 OHであった。 230gの無塩水を加えて酢酸エチルを蒸留して除去し、反応生成物を95℃に1 時間加熱した。 反応生成物を含む底部の応褐色の有機物相を、95℃で200gの水を用いて2回洗浄した。 【0066】実施例26 実施例25によって得られた黄褐色液体の生成物に、室温で、水酸化ナトリュウムの50%水溶液24g(0. 3モル)、イソプロパノール100gと水30gを加えた。 反応液混合物を40℃で2時間加熱し、300gの水を加えた。 反応生成物を含む褐色の混合物の底部相を200gの水で2回洗浄した。 減圧蒸留によって得られた生成物をGCと、H−及びF−NMR分析の結果、エポキシ化合物、 【化2】 が61.7g(74%収率)得られ、純度は93%であった。 副成物はC4 F 9 CH=CH 2 OH(3%)であった。 このエポキシ生成物の混合物は約74%の直鎖物質と、約11%のペルフルオロイソプロピル末端基、約14%の内部枝分かれとを有した。 【0067】実施例27 実施例25と26と同様の方法によって、 【化3】 をC8 F 17 Iとホウ酸トリアリルから調製した。 中間生成物のC 8 F 17 CH 2 CH(I)CH 2 OHは単離されていない。 次の表は実施例1−27に於て調製された混合物中の主要な生成物の構造を示している。 表4は、併せて、各生成物混合物中の、直鎖のペルフルオロアルキル基を含有する化合物の重量%と、枝分かれ鎖のペルフルオロアルキル基を含む化合物の重量%を記している。 【0068】 【表4】 【表5】 【0069】実施例28 この実施例では、ペルフルオロアルキルテトラヒドロチオールからペルフルオロアルキルメラミンへの転化について記する。 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、これにヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)(アエロテックス302の商品名で、アメリカン・シアナミド社が販売)39.0 g(0.1モル)、実施例15で得られたペルフルオロオクチルテトラヒドロチオール192g(0.4モル) とp−トルエンスルホン酸0.34gを入れた。 反応混合物を窒素気流中で徐々に80℃まで加熱した。 この反応によって出来るメタノールによる泡が発生した。 温度を2時間にわたって120℃に上昇させた。 この時間の間に約10gのメタノールが発生しディーン・スタークのトラップに補集され、泡は完全に消え去った。 反応混合物を窒素気流中で30分間で温度を120℃から18 0℃にまで上げると、さらに2.5gのメタノールがディーン・スタークのトラップに補集された。 この反応混合物を窒素気流中で5時間180℃で加熱し続けた。 縮合反応した生成物は室温で黄褐色の固体で、式C 3 N 6 (CH 2 OCH 3 )x(CH 2 SC 2 H 4 C 8 F 17 )y の化合物類の混合物を含み、ここでxとyはそれぞれ平均値で約2と4の数値であった。 【0070】500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、これに、上記によって調製された縮合物((a)からの)180gと酢酸ブチル270gを入れた。 反応混合物を65℃に加熱して透明な黄褐色の溶液が得られた。 【0071】1lのセパレートビーカー中にマルロヴェット5401乳化剤(ドイツ国フルス社)18.0g、 エチルセロソルブ(商標)108g、無塩水720gを加え、透明な溶液が得られるまで攪拌加熱(約65℃) した。 激しく攪拌しながら、上記フッ素系メラミン化学品の酢酸ブチル溶液を約65℃で該水溶液中に加えた。 得られた予備乳化液を、予め70℃に加熱したマントンゴーリン乳化機に約4000psi(27.6MPa)の圧力下で通した。 黄褐色の、約70℃でほぼ透明なエマルションが得られた。 真空ポンプを用い、50℃で1から10 トールで溶媒を除いた。 殆ど透明のエマルションが得られ、その固形分含量は約18%であった。 【0072】実施例29、比較実施例C1−C3 実施例28と同様の工程によって、以下の実施例29と比較実施例C1−C3を行った。 比較実施例C2とC3 は直鎖のフルオロアルキル基のみを含む。 比較実施例C 1はペルフルオロアルキルに直接接続したスルホアミド基を含む。 【表6】 【0073】実施例28と29及び比較実施例C1−C 3(Rfs基を含む)は、分散状態で繊維織物の処理に用いられる。 一般に分散系であるかエマルション系である液状の処理浴が、フッ素系化学品組成物と、他の必要であるか好ましいかの材料、例えば種々の、樹脂、触媒、伸展剤、柔軟剤などと共に調製される。 繊維織物は該処理浴中に、例えば、この関連の技術で周知である漬け込み法などによって浸漬される。 浸漬を終った繊維はローラーにかけて過剰の分散液/エマルションを除き、 オーブン内で適当な温度と時間をかけて、乾燥し仕上げ処理される。 この様に処理された繊維製品について、次に示す方法で撥油と撥水性(防油、防水)の試験を行う。 【0074】 水噴霧(SR)試験 AATCC試験法 22−1 977 撥油性(OR)試験 AATCC試験法 118− 1975 ブンデスマン試験 : ドイツ工業基準(DIN) 53−888 ドライクリーニング処理 :AATCC試験法 7−49 75 洗濯処置 : 400cm 2から約900cm 2 の処理済みの織物サンプル230gをバラストとして用いるサンプル(8オンス織物を1.9kg) と共に普通の洗濯機に入れる。 普通の洗剤46gを加え、洗濯機の上のレベルまで温水(40±3℃)を入れる。 検体とバラストを12分間の通常洗浄サイクルによって5回洗浄した後、検体とバラストを共に普通の乾燥機内で約45分間乾燥する。 乾燥された検体を手持ちアイロンでその個々の織物に適した温度でプレスする。 【0075】処理済みの織物の評価結果(上記の試験法と処理法を用いた)は、それぞれ、実施例28と29、 比較実施例C1、C2、C3の組成物について、下記の表6に示す。 ポリエステル/棉の50/50混紡織物を、織物の重量当り0.3%の固形物水準で含有された処理浴で処理した。 即ち、a)前述の通りほぼ18重量%の固形物を含んだフッ素系メラミン化学品の分散液と、b)ライオフィックスCHN樹脂(ドイツ国、ケミッシェ.ファブリーク・フェルジー社製)12g/l、 クニテックス触媒20(ケミッシェ.ファブリーク・フェルジー社製)6g/l、60%酢酸2ml/l、からなる処理液である。 処理された織物は150℃で5分間乾燥し仕上げされた。 結果を表6に示す。 【0076】 【表7】 【0077】結果に示される通り(実施例18の結果を比較実施例C1とC3の結果と対比されたい)、本発明の組成物はより良好な撥油、撥水性を織物に与え、また処理された織物は洗濯処理、クリーニング処理の後も耐性を維持していた。 本発明の中間生成物を用いた反応から得られた組成物は、ペルフルオロアルキル基中に同数の炭素原子数を含むにも関わらず、直鎖のペルフルオロアルキル基(Rfs)を100%含んだペルフルオロアルキル中間体を用いて調製した組成物に較べ、またスルホアミド結合基を有する(直鎖と枝分かれを有するペルフルオロアルキル基を持った)組成物に較べて、優れていることを、これらの結果が示している。 これらの本発明の中間体は、他の2種類の中間体から得られたものに比較して、さらに有効な耐油、耐水剤である。 さらに驚くべき事は、実施例28と比較実施例C2を比較すると、本発明のC8チオールによって作られた製品は、直鎖のC10チオールから作られた組成物に較べて同等か僅かにより良い性質のあることで、この事はフッ素効率がより良い事を示す。 【0078】本発明のこれらの中間体と組成物の持つ他の利点は、それらの有機溶媒に対する優れた溶解性で、 この事は組成物が水分散系で用いられる場合に重要である。 比較実施例C2は、単にヘキサフルオロキシレンを溶媒に用いたときにのみ乳化することが出来るが、しかし実施例28と29ではエステルやケトンの様な多くの有機溶媒に容易に可溶である。 比較実施例C3の生成物の溶解性は実施例28と29の生成物より良くないものの、比較実施例C2のものよりは良好である(多分これはその平均鎖長が短いためであろう)。 【0079】実施例30 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例12によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 OH46.4g(0.1モル)、酢酸エチル80gを入れた。 ディーン・スタークのトラップを付け、20gの酢酸エチルを溜出させた。 反応物を窒素気流中で約40℃に冷却し、PAPI{芳香族イソシアネートのオリゴマーで次の化学構造を持つ:OCNC 6 H 4 CH 2 〔C 6 H 3 (NCO)〕nC H 2 C 6 H 4 NCO(nの平均は0.7であり、アップジョン社販売)}40.8g(イソシアネートの0.1 モル相当)と3滴のジブチルスズジラウレートを加えた。 反応を窒素気流中で加熱して還流状態(約78℃) にし、還流させながら5時間加熱した。 反応混合物を窒素気流中で約45℃に冷却し、次いで17.4g(0. 2モル)の2−ブタノンオキシム(オランダ国、セルボ社製)を30分間にわたって加えると直ちに約10℃の発熱があった。 反応混合物を60℃で1時間加熱し続けると、赤外分析の結果でイソシアネートの吸収が認められなくなった。 フッ素系ウレタンオリゴマーを含む透明の褐色の溶液が得られた。 【0080】500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、上で得られた酢酸エチル溶液と追加の酢酸エチル80gを入れた。 この混合液を約60℃に加熱すると、透明で褐色の溶液が得られた。 1lのセパレートビーカー中にマルロヴェット5401乳化剤(ヒュルス社販売)10.3g、エチレングリコール60gと無塩水355gをとった。 この溶液を約60℃に加熱し、次いで激しく攪拌して、該有機溶液を水溶液中に添加した。 得られた予備乳化物を余熱したマントン・ゴーリン乳化機に3回、約55℃、 4000psi(27.6MPa)の圧力で通した。 酢酸エチル溶媒をアスピレーターの減圧によって溜出させ、淡い褐色で、僅かに透明の水性分散液が得られ、このものは約18重量%のフッ素系ウレタンオリゴマーを含有した。 【0081】比較実施例C4、C5 実施例30と同様の合成と乳化の工程を用いて、さらに表7に示す実施例を行った。 比較実施例C4はN−メチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエタノール、C 8 F 17 SO 2 N(CH 3 )CH 2 CH 2 OH、(スリーM社販売)を用いて調製され、比較実施例C5はペルフルオロデシルテトラヒドロアルコール、C 10 F 21 CH 2 CH 2 OH(ドイツ国、ヘキスト社販売)から調製され、乳化に際しては2倍の溶媒を使用する必要があった。 【0082】前記実施例28、29及び比較実施例C1 −C3で記述したものと、同じ織物、処理方法、試験方法を用いて、次に示す試験結果が得られた。 【表8】 【0083】結果は再び、本発明の組成物が、直鎖のペルフルオロアルキルを100%含む組成物に比して優れていることを示す。 本発明の組成物はまたスルホンアミド誘導体組成物よりも優れている。 また同じく本発明の中間体はフッ素効率が良好で、機能がより良好で溶解性もより良い。 【0084】実施例31 この実施例では、本発明の組成物がフッ素系ウレタンオリゴマー誘導体の調製に用いられる例を示す。 500ml の三つ口フラスコ中に、実施例20で調製されたアクリレート51.8g、2−メルカプトエタン2g(0.0 25モル)、AIBNイニシエーター0.4gと酢酸エチル40gを入れた。 この混合物を約40℃まで加熱しガスを除いた。 混合物を窒素気流中で還流状態で(約7 8℃)16時間加熱した。 透明で、淡黄色の溶液が得られ、平均分子量約2,200のヒドロキシ官能基を有するフッ素系化学品オリゴマーを含有した。 ガスクロマトグラフィー分析の結果は、全ての試薬が反応を終っていることを示した。 【0085】反応混合物を窒素気流中で約45℃に冷却し、60gの酢酸エチルを加えた。 ディーン・スタークのトラップを付けて20gの酢酸エチルを溜出させた。 この反応混合物を窒素気流中で約45℃に冷却し、PA PI10.2g(0.075モルのイソシアネートと当量)を3滴のジブチルスズジラウレートと共に添加した。 この反応混合物を窒素気流中で還流状態で(約78 ℃)5時間加熱した後、窒素気流中で約50℃に冷却した。 2−ブタノンオキシム4.3g(0.05モル)を加えた後、反応混合物を70℃に1時間加熱した。 透明で、褐色の溶液が得られ、赤外分析の結果イソシアネート基が存在しなかった。 このフッ素系ウレタンオリゴマー生成物を、実施例30で記載し利用した方法に従って、乳化し、試験した。 2種の市販されているフッ素系化学製品を共に試験した。 用いた織物は100%棉であり、結果を表8に示す。 【0086】 【表9】 本発明の実施例が、通常の技術をもってしては処理が難しい事が知られている織物に対しても、市販品に較べて優れている事が解る。 【0087】実施例32 この実施例では、本発明のフッ素系チオール化合物にプロパギルアルコールを加え、結果として得られる付加物をブロック重合オリゴマー化ウレタン誘導体に転化する例を示す。 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例15によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 SHを48g (0.1モル)、プロパギルアルコール2.8g(0. 05モル)、メチルエチルケトン20g、0.15gのAIBNを入れた。 この反応混合物からガスを除き、窒素気流中で還流状態に加熱した(約76℃)。 6時間の後次のAIBNを0.15g添加し、さらに窒素気流中で還流下に15時間反応させて、透明な黄色の溶液を得た。 【0088】ガスクロマトグラフィー分析の結果は、約10%のフッ素系チオール化合物が残存することを示した。 反応混合物を窒素気流中で約40℃に冷却し、ついでメチルエチルケトン40gを加え、PAPI20.4 g(0.15モルのイソシアネートに当量)を3滴のジブチルスズジラウレートと共に添加した。 この反応混合物を窒素気流中で還流状態で5時間加熱した。 反応混合物を再び窒素気流中で約50℃に冷却した後、2−ブタノンオキシム8.2g(0.1モル)を加えた後、反応混合物を70℃に1時間加熱して、透明で褐色の溶液が得られ、このものはオリゴマー化ウレタン誘導体で、ブロックされたイソシアネート基と、一個のヒドロキシ官能基を有する本発明のフッ素系チオール化合物の付加物を持つ。 この反応は次の式で示される(米国特許第4, 158,672号の実施例1を参照されたい)。 【0089】 C 8 F 17 CH 2 CH 2 SH+CH≡C−CH 2 OH--->(RfCH 2 CH 2 S) PAPI nCHxCH 2 OH ------------------>ウレタンオリゴマー 2−ブタノンオキシム n=0,1,2 x=1,2,3 n+x=3 この生成物を実施例30に概要を記載した方法に従って乳化した。 この方法及び乳化方法によって、さらに別の組成物(実施例33と34)が調製され、それらを表9 に示した。 【表10】 【0090】実施例33及び34のフッ素系ウレタンオリゴマー物質は、ポリエステル/棉の65/35の混紡布について、織物当り0.3重量%のフッ素系化学品量で、前記方法によって適用された。 試験結果を表10に示した。 【表11】 データに見られる通り、本発明のフッ素系化学品組成物を用いると優れた結果が得られた。 【0091】実施例35 注意深く乾燥させた500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、窒素気流中で15.3gのPOCl 3と20gのトルエンを入れた。 無塩水1.8g(0.1モル)を激しい攪拌下に15分間にわたって、滴下した。 約25℃の発熱が認められ、HClが生成した。 次いで実施例12によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 OHの46.4g(0. 1モル)を15分間にわたって添加した。 この反応混合物をおだやかな窒素気流中で約90℃に加熱し、HCl の発生が無くなるまで(約3時間)続けた。 反応物を窒素気流中で約50℃まで冷却し、1.8g(0.1モル)の無塩水を加えた。 反応混合物をおだやかな窒素気流中で約90℃に加熱し、HClの発生が無くなるまで(約2時間)続けた。 次いで、緩やかな真空(アスピレーター使用)で最後に残った微量のHClを除去した。 無塩水200gを加えて、全てのトルエンを溜出させた。 反応混合物を10%アンモニア水によってpH8に中和し、次いでイソプロパノールと水で10%固形分にまで希釈した。 (水/イソプロパノールの最終比は70/ 30であった。 )得られた透明溶液のサンプルにジアゾメタンを反応させた後、ガスクロマトグラフィー分析の結果、3%の未反応のアルコール、85%のモノエステル、10%のジエステル、2%のトリエステルを含んだ。 【0092】本発明の物質を水で希釈して0.05% (500ppm)と/または0.01%(100ppm)とし、 ドゥノイ表面張力計によって水溶液の表面張力を測定した。 泡の高さは目盛り付きのシリンダーで測定した。 ハーフライフタイム(t1/2)は泡になって存在した溶液の1/2が元に戻る時間である。 泡はホバートミキサー中でワイヤー攪拌器で作られた。 試験される200ml の界面活性剤溶液をホバートのN−50形のボールに入れワイヤー攪拌器で中速(2の目盛りで300rpm)で3 分間攪拌した。 出来た泡を直ちに4000mlの目盛り付きシリンダーに取って泡の高さとハーフライフタイムを測定した。 【0093】実施例36−39、比較実施例C6−C1 1 実施例35の合成法によって、表11の示す実施例36 −39と比較実施例C6−C11を調製した。 【表12】 【0094】実施例40 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例26によって調製した 【化4】 を27.6g(0.1モル)、実施例13で調製したC
4 F 9 CH 2 CH 2 OHを26.4g(0.1モル)とベンゼン60gを入れた。 ディーン・スタークのトラップを付け、20gベンゼンを溜出させた。 反応物を窒素気流中で約40℃に冷却し、次いで0.25gのボロントリフルオライド−エタレート複合物エーテル溶液を加えた。 直ちに約10℃の発熱が観察された。 反応は窒素気流中で75℃で5時間加熱し、その間に透明の褐色の溶液が得られた。 室温で2相の液相が得られた。 生成物を含むベンゼン相を分離した。 反応混合物をガスクロマトグラフィー分析の結果、約15%の未反応のC 4 F 9 CH
2 CH 2 OHと、約70%の1モルのアルコールと1モルのエポキシが反応した1付加物、約10%の1モルのアルコールと2モルのエポキシが反応した2付加物、約3%の高モル同族体を含んだ。 この反応生成物は、実施例35に記載の方法によって、リン酸エステルの混合物とそれらのアンモニューム塩に転化された。 【0095】実施例41 実施例25で概要を記した方法に従って、実施例16で調製されたC 4 F 9 CH 2 CH 2 SHの2モルと、プロパギルアルコール、CH≡C−CH 2 OHの1モルからなる反応生成物を調製した。 得られたヒドロキシ官能基を有する付加物を、実施例35記載の方法によって、リン酸エステル類とそれらのアンモニュウム塩類の混合物に転化した。 【0096】実施例42 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、リンゴ酸6.7g(0. 05モル)、実施例13によって調製したC 4 F 9 CH 2 CH 2 SH26.4g(0.1モル)、メチルイソブチルケトン30g、p−トルエンスルホン酸0.2g入れた。 混合物を加熱して還流状態にし(約98℃)、発生したH 2 Oをディーン・スタークのトラップに捕集した。 6時間の還流加熱の後、1.7gのH 2 Oが得られ、反応が終了した。 全ての溶媒を溜去した。 アルコールのジエステルで、C 4 F 9 CH 2 CH 2 OC(O)C H 2 CH(OH)C(O)OCH 2 CH 2 C 4 F 9の構造を持つものが得られ、これはさらに実施例35の合成方法によって、リン酸エステルのアンモニュウム塩に導かれた。 【0097】 【表13】 【0098】本発明の界面活性剤は予期されない性能を示すことをこのデータは示している(例えば、実施例3 5と比較実施例C6、C7を比較されたい)。 水溶液の起泡性は低いし表面張力も低い。 スルホンアミド結合基を持つ誘導体(比較実施例C6)に較べて本発明の物質は低発泡性で、直鎖の誘導体(比較実施例C7)に較べても、同一のペルフルオロアルキル基鎖長を持つ本発明の物質の表面張力は低い。 本発明の物質の水系に於ける溶解度はそれらの直鎖アナログに較べて良好である(実施例38及び39を比較実施例C8を比較されたい)。 【0099】直鎖物質が100%である構成物は性能は良好であるが、しかしペルフルオロ化された鎖長が炭素原子数で8かそれ以上の長さになると通常溶解性が低下する。 一方枝分かれしたものが100%である構成物では(比較実施例10と11)、炭素原子数10またはそれ以上であってもかなりに溶解性がよいが、それらは表面張力の低下能については良好ではない。 実施例35、 36、37と38に示される通り、好適な構成は直鎖のペルフルオロアルキル鎖が45%から95%であり(枝分かれ鎖が55−5%)、さらに好ましくは直鎖の線状物が50%から85%であるものが適する(枝分かれ鎖が50−15%)。 【0100】実施例43 注意深く乾燥させた500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、室温で窒素存在下で、実施例12によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 OH46.4g(0.1モル)、乾燥したジオキサン20gを入れた。 次いで、0.1モルのクロロスルホン酸ClSO 3 H(12.7g)を30分間にわたって滴下した。 発熱が認められ、HClが生成した。 この反応混合物を窒素気流中で約70℃に加熱し、 HClの発生が無くなるまで(約4時間)続けた。 真空(アスピレーター使用)で残った全てのHClを除去し、無塩水200gを加えて、ジオキサンを蒸溜して除いた。 反応混合物を10%アンモニア水によってpH8に中和し、次いで水/イソプロパノールの70/30混合物を用いて固形分10%にまで希釈した。 得られた透明の黄色溶液はフッ素系化学品の硫酸化物、C 8 F 17 CH 2 CH 2 OSO 3 NH 4を含有した。 【0101】実施例44、比較実施例C12、C13 実施例43と同様な方法を用いて、実施例44と比較実施例C12とC13を実施した(表13に示す)。 【表14】 【0102】これらのフッ素系化学品の硫酸アンモニア化物を実施例35に大要を記載した方法によって試験した。 試験の結果を表14に示す。 【表15】 このデータは本発明の物質が、一般的に起泡性が低く、 表面張力低下能が大きいことを示す。
【0103】実施例45 (米国特許第4,167,639号を参照されたい) 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例13によって調製したC 4 F 9 CH 2 CH 2 SHを52.8g(0.2モル)、無水マレイン酸9.8g(0.1モル)、硫酸(95%)0.2gを入れた。 反応混合物を窒素気流中で140℃に加熱した。 発生したH 2 Oをディーン・スタークのトラップに捕集した。 6時間の加熱による反応の後、1.7gのH 2 Oが得られた。 反応混合物は暗褐色の油状で、開環とエステル化によって得られた不飽和のジエステルを含有した。 【0104】反応混合物を室温に冷却し、無塩水160 gイソプロパノール80g、ナトリュウムメタビサルファイト(Na 2 S 2 O 5 )19g(0.1モル)を加えた。 2相になった混合物から脱ガスし、窒素気流中で還流条件で15時間加熱した。 単一相の透明で褐色の溶液が得られ、NMR分析の結果、ナトリュウムスルホスクシネートのジエステルが含まれることが確認され、その構造はC 4 F 9 CH 2 CH 2 OC(O)CH 2 CH(S O 3 Na)C(O)OCH 2 CH 2 C 4 F 9であった。 反応混合物を水/イソプロパノールで希釈して固形分1 0%とし、最終の溶剤比を水/イソプロパノール=65 /35とした。 【0105】実施例46、比較実施例C14、C15 上記実施例44に記載したものと同様な方法を用いて、 実施例46と比較実施例C14とC15を実施した(表15に示す)。 【表16】 【0106】実施例45、46、C14、C15の生成物について、実施例35に記述した試験を行った。 その結果を表16に示す。 【表17】 これらのデータによって本発明の物質がそれらの直鎖のアナログに較べて、水溶液中で低い表面張力を与えることが解る。 【0107】実施例47 本発明のRfsb−チオールを、炭素と炭素が二重結合で結ばれ電子が減少した基を持ったものにミカエル付加反応させて、界面活性剤を作ることが出来る。 500ml の三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、N−(3−スルホ−2,2ジメチルプロピル)アクリルアミド(AMPS)20.7g (0.05モル)、ジメチルホルムアミド(DMF)5 0g、炭酸カリ6.9g(0.05モル)を入れた。 混合物を激しく15分間攪拌し、透明な無色の溶液が得られた。 ついで、C 8 F 17 CH 2 CH 2 SHを48.0g (0.1モル)と0.01gのKOHを加えた。 反応液を70℃で8時間加熱した。 ガスクロマトグラフィー分析の結果は既に出発物質のRfsbチオールが残存していないことを示した。 水/イソプロパノール=65/3 5の比率の希釈液で固形分含量を10%にし、透明溶液が得られた。 NMR分析の結果このものの構造は、C 8 F 17 CH 2 CH 2 SCH 2 CH 2 C(O)NHCH 2 C (CH 3 )CH 2 SO 3 Kであることが確認された。 【0108】実施例48−54、比較実施例C16、C 17 実施例48−54と比較実施例C16とC17を、実施例47の方法で実施した。 反応生成物を表17に示す。 【表18】 【0109】実施例48−54と比較実施例C16−C 17のフッ素系界面活性剤を実施例35記載の方法で試験した。 それらの結果を表18に示す。 【表19】 【0110】このデータは本発明の生成物が非常に低い表面張力を与える事を示し、また炭素原子数10個迄のフッ素化された鎖長を持つ場合にも、水系の溶媒によく溶解する事を示している。 またこれらの結果は、本発明のフッ素系界面活性剤組成物については、混合物中の化合物の少なくとも40%以上が直鎖のペルフルオロアルキル基である事が好ましく、さらに好ましくは、少なくとも60%以上が直鎖のペルフルオロアルキル基であることが適する事を示している。 【0111】実施例55 この実施例では、アミン類(またはポリアミン類)の、 本発明のアクリレート類へのミカエル付加反応の例を示す。 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、 攪拌機、温度計を付け、この中に、AMPS10.3g (0.05モル)、ジメチルホルムアミド(DMF)8 0g、炭酸カリ3.6g(0.025モル)を入れた。 混合物を室温で激しく攪拌し、15分後に透明な無色の溶液が得られた。 ついで、実施例20で得られたC 8 F 17 CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2を25.9g(0. 05モル)を加え、ついでエチレンジアミン(EDA) 3g(0.03モル)を加えた。 約10℃の発熱が見られた。 反応液を約50℃で3時間加熱した。 【0112】ガスクロマトグラフィー分析の結果は本質的に原料試薬が残存していないことを示した。 水/イソプロパノール50/50の比率の希釈液で固形分含量を5%にした。 生成物の混合物を前記実施例35と同様の方法で試験した。 NMR分析の結果、このものの構造は、C 8 F 17 CH 2 CH 2 OC(O)CH 2 CH 2 NH CH 2 CH 2 NHCH 2 CH 2 C(O)NHCH 2 C (CH 3 ) 2 CH 2 SO 3 Kであることが確認された。 【0113】実施例56−65 実施例56−65は実施例55と同様に調製された。 反応生成物を表19に示す。 【表20】 【0114】a. EDA:エチレンジアミン b. EMAPA:ジメチルアミノプロピラミン c. DMAEMA/DES:ジメチルアミノエチルアクリレート、第三級窒素がジエチルサルフェートで四次化されたもの。 構造はNMRで次の通り確認された。 〔C 8 F 17 CH 2 CH 2 OC(O)CH 2 CH 2 NHC H 2 CH 2 NHCH 2 CH 2 C(O)OCH 2 CH 2 N + (CH 3 )CH 2 CH 3 〕 〔CH 3 CH 2 SO 3 - 〕 d. DETA:ジエチレントリアミン e. TETA:トリエチレンテトラミン f. NMRによって確認された構造は次の通り 【化5】 【0115】上記諸物質は実施例35の方法で、界面活性剤として水溶液で試験された。 結果を表20に示す。 【表21】 これらのデータは、本発明の物質が非常に良好な界面活性を有することを示す。 【0116】実施例66 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例20によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2を15 g、35gのプルロニック44アクリレート(プルロニック44のジアクリレートエステルで、オキシエチレンとオキシプロピレンのブロック重合部分を含むジオールで、BASFが販売)、n−オクチルメルカプタン0. 3g、AIBN0.3g、酢酸エチル35gを入れた。 反応液を約40℃に加温し、アスピレーター真空を用いて3回ガスを除いた。 反応は窒素中で加熱し還流状態にして(約78℃)15時間継続させた。 ガスクロマトグラフィーの結果、ごく微量の出発原料しか残存しないことを示した。 酢酸エチルをアスピレーターの減圧で蒸留して除去し、透明で粘稠な溶液がえられ、本発明のフッ素系非イオン界面活性剤が得られた。 【0117】実施例67 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、20.7g(0.1モル)のAMPS、50gのDMF、10.5g(0.1 モル)のジエタノールアミンを室温で激しく攪拌しながら加えた。 15分後に無色の溶液が得られた。 ついで9.6g(0.02モル)の実施例15によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 SHを、0.2gのAIBNと共に加えた。 この反応混合物を約50℃に加熱しアスピレーターの減圧でガスを除いた。 反応混合物を窒素中で約85℃に15時間加熱した。 濾過の後に透明で黄色の溶液が得られ、NMR分析で次のオリゴマー生成物が確認された。 【化6】 ここでnは平均約5である。 【0118】実施例68 チオールの代わりにC 8 F 17 CH 2 CH 2 I(実施例4)を用いた以外は、実施例67と同様な方法で、他の本発明の付加物を調製した。 【化7】 ここでnは平均約5である。 【0119】実施例69 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、実施例12によって調製したC 8 F 17 CH 2 CH 2 OHを23.3g(0.05 モル)、メチルエチルケトン(MEK)50gを入れた。 次いで20gのMEKを蒸留してディーン・スタークのトラップに受けた。 この混合物を窒素中で室温にまで冷却し、次いで、デワーコンデンサーにドライアイス/アセトン混合物を満たしたものを付け、0.2gの褐色のトリフルオライド・エタレート複合物のエーテル液を添加した。 次ぎに、17.6g(0.4モル)のエチレンオキシドを反応溶液に2時間にわたって泡状に通過させ、反応溶液を35℃から40℃に加温した。 反応を40℃で1時間継続しエチレンオキシドの還流が無くなる迄行った。 反応混合物を約70℃に2時間加熱し、透明で黄褐色の溶液を得、NMR、G/C分析の結果、このものは非イオン界面活性剤、C 8 F 17 C 2 H 4 O(C 2 H 4 O)nHであり、nは平均で8であった。 透明で黄褐色の溶液が得られた。 【0120】実施例70 実施例69と同様な方法を用いて、C 8 F 17 CH 2 CH 2 SH(実施例15で調製された)とエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物とを用いて、非イオン界面活性剤が調製された。 Rfsbチオール/エチレンオキシド/プロピレンオキシドの比率は、1/12/3であった。 NMRはこの生成物が基礎的にはC 8 F 17 CH 2 CH 2 S(CH 2 CH 2 O) 12 (CH 2 CH(C H 3 )O) 3 Hであり、繰り返しの単位が無作意に配列した。 【0121】実施例71 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、10.2g(0.1モル)のN,Nジメチルアミノプロピルアミンと50gのエタノールを入れた。 混合物を50℃に加温し、 【化8】 を47.6g(0.1モル、実施例27で調製された) を30分にわたって加えた。 60℃で2時間加熱を続けた。 ガスクロマトグラフィーの結果全てのフッ素系エポキシ化合物が消費されたことを示した。 次いで0.2モル(24.4g)のプロパンサルホンを15分間にわたって加えた。 約15℃の発熱が認められた。 90℃で加熱を2時間続け透明な褐色の溶液が得られた。 この生成物を無塩水で希釈して10%の固形分にした。 生成物は基本的に次の構造であった。
【化9】 【0122】実施例72 500mlの三つ口フラスコに、還流コンデンサー、攪拌機、温度計を付け、この中に、無水マレイン酸4.9g (0.05モル)、メチルエチルケトン10g、乾燥したカルボワックス750を37.5g(0.05モル) (本品はメトキシポリエチレングリコールでユニオンカーバイト社販売)を入れた。 混合物を70℃で16時間加熱した。 この時点で赤外スペクトル分析の結果、無水物のピークが認められなくなった。 次いで実施例15で得られたC 8 F 17 CH 2 CH 2 SHを24g(0.05 モル)と0.4gのトリエチルアミン触媒と共に添加した。 60℃での加熱を16時間継続し、透明な黄褐色の溶液が得られた。 【0123】ガスクロマトグラフィーの結果によると、 残存するチオールはごく僅かであった。 次いで、MEK を蒸溜して除き反応生成物を水/イソプロパノールの7 0/30混合液に溶解して10%の固形分含量にした。 50%のNaOH水溶液4g(0.05モル)を加えて、透明なアニオン性−非イオン性界面活性剤混合物溶液が得られた。 この生成物はC 8 F 17 CH 2 CH 2 SC H(CONa)CH 2 C(O)O(CH 2 CH 2 O)n CH 3とC 8 F 17 CH 2 CH 2 SCH(CH 2 CON a)C(O)O(CH 2 CH 2 O)nCH 3であり、ここでnは平均値で約16である。 【0124】実施例66から72迄の生成物を界面活性剤として、実施例35と同様にして、水中で500ppm の濃度で試験した。 結果は表21に示す。 【表22】 これらのデータは本発明の界面活性剤が、その極性基(イオン性、非イオン性)や、また分子量の如何に関わらず、優れた表面張力低下能を有することを示す。 この発明の領域と意図を逸脱しない範囲で、技術的熟練による本発明の種々の修正や変形があり得る事は明らかである。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 5識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 A C08L 101/00 LSY 7242−4J C09K 3/00 R 8517−4H 3/18 102 8318−4H C11D 1/04 1/10 1/14 D06M 13/46 (72)発明者 ルドルフ ヨツェフ ダムス ベルギー国,ベー−2070 ツビイントレヒ ト,カナダストラート,11,スリーエム (アントワープ)ベルギー (72)発明者 ヨハン エミエル デビッテ ベルギー国,ベー−2070 ツビイントレヒ ト,カナダストラート,11,スリーエム (アントワープ)ベルギー (72)発明者 ドナルド フレデリック ヘイゲン アメリカ合衆国,ミネソタ 55144−1000, セント ポール,スリーエム センター (番地なし) |