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高い移動性をもつ、周期的に構造化された有機膜を調製するプロセス

申请号 JP2012036855 申请日 2012-02-22 公开(公告)号 JP5860722B2 公开(公告)日 2016-02-16
申请人 ゼロックス コーポレイション; XEROX CORPORATION; 发明人 エイドリアン・ピー・コート; マシュー・エイ・ホイフト;
摘要
权利要求

周期的な部分領域または部分を有していてもよい、0.1〜3.0cm2/Vsの範囲の移動性を有する高い移動性をもつ構造化された有機膜(SOF)を調製するプロセスであって、 (a)コンピュータシミュレーションおよび/または材料モデリングを行い、前記コンピュータシミュレーションおよび/または材料モデリングの値に基づいてSOFの分子レベルでの構造を作ることと; (b)溶媒と、それぞれ1個のセグメントと複数の官能基とを含む複数の分子ビルディングブロックとを含む、液体を含有する反応混合物を調製し、複数の分子ビルディングブロックが、前記コンピュータシミュレーションおよび/または材料モデリングから得られる結果に基づいて選択されることと; (c)前記反応混合物を濡れた膜として堆積させることと; (d)濡れた膜の変化を促進し、SOFの作成された分子レベルでの構造を実質的に複製する乾燥SOFを作成することとを含み、 前記コンピュータシミュレーションおよび/または材料モデリングは、密度汎関数理論(DFT)および量子化学計算を使用し、推定SOF構造についてバンド構造に関連するフェルミ準位を計算し、前記高い移動性をもつ分子ビルディングブロック、結合部、及びSOFの種類を予測する方法。少なくとも1つのセグメントが、アリールビルディングブロック、アリールアミンビルディングブロックまたはチオフェンビルディングブロックから誘導される、請求項1に記載の方法。前記アリールビルディングブロック、アリールアミンビルディングブロックまたはチオフェンビルディングブロックから誘導される少なくとも1つのセグメントが、トリアリールアミン、ヒドラゾン、エナミン、アレーン、ヘテロアレーン、ニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン、マロニトリル、ジフェノキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、チオフェン、オリゴチオフェン、縮合チオフェン、ペリレンビスイミド、テトラチオフルバレン、メラミン、ポルフィリン、フタロシアニンからなる群から選択される少なくとも1つのコアを含む、請求項2に記載の方法。前記複数の結合部が、共有結合結合部、エステル結合部、ケトン結合部、アミド結合部、アミン結合部、イミン結合部、エーテル結合部、ウレタン結合部、カーボネート結合部からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。前記高い移動性をもつSOFが、複数の1セグメントの厚いSOFを含み、この複数の1セグメントの厚いSOFが層状構造を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。前記SOFの30重量%〜99重量%が周期的である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。周期的である前記SOFの一部が、前記SOF中に均一に分布している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。周期的である前記SOFの一部が、前記SOF中に均一に分布していない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

複数のセグメントと、複数の結合部とを含み、これらが共有結合性有機骨格として整列する高い移動性をもつ、規則的に(周期的に)構造化された有機膜であって、巨視的な見方だと、この共有結合性有機骨格が膜であるような、高い移動性をもつ、規則的に(周期的に)構造化された有機膜が提供される。このようなSOFは、広い範囲にわたって規則的な(周期的な)分子を有していてもよく、その結果、非常に優れた(正孔/電子)移動性をもっていてもよい。本開示には、デザイナー分子ビルディングブロックを選び、これを用い、ビルディングブロックを規則正しく並べやすくする反応条件を用いることによる、高い移動性をもつSOFを製造する方法も開示されている。

図1Aは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Bは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Cは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Dは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Eは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Fは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Gは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Hは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Iは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Jは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Kは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Lは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Mは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Nは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図1Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示した図である。

図2は、イミン結合した六形SOFを作るために用いられる、三角形の分子ビルディングブロックと線状の分子ビルディングブロックの図である。

図3は、三角形の分子ビルディングブロックと線状の分子ビルディングブロックが結合した層の間の積み重なりを示す、イミンSOFの分子レベルでの構造を示す。

図4は、実施例のSOF構造のモデリングから予想されるX線回折パターンをあらわすグラフである。

図5は、このSOFの導体傾向を示す、バンド内でのフェルミ準位の位置を示す状態密度の図をあらわすグラフである。

用語「SOF」は、一般的に、巨視的な見方だと膜である、共有結合性有機骨格(COF)を指す。語句「巨視的な見方」は、このSOFの肉眼での見え方を指す。

丈夫な網目構造の有機材料では、高い移動性を得ることは難しい。用語「高い移動性をもつSOF」は、広い範囲にわたって規則的な(周期的な)分子を有しており、その結果、非常に優れた(正孔/電子)移動性をもち、この移動性が、既知の名目上の有機電子材料の移動性と実質的に同等であるか、またはそれ以上であるようなSOFを指す。本開示では、「高い移動性」をもつSOFは、移動性が、約0.1cm2/Vsより大きくてもよく、例えば、約0.1〜約3.0cm2/Vs、または約0.2〜約2cm2/Vs、または約0.5〜約1.5cm2/Vsの範囲であってもよい。高い電荷移動性は、原子レベルでの材料の電子構造に関連することがわかっている。このような電子構造は、「バンド構造」と呼ばれることもあり、材料内の電子エネルギーレベルをあらわす確立された表現である。バンド内にフェルミ準位を含むことが特定されている材料は、電荷を輸送する固有の能を有している。

SOFは、コンポジットSOFであってもよい。このようなSOFでは、SOFの一部または部分領域がコンポジットSOFであってもよく、そのSOFの異なる一部または部分領域は、このコンポジットSOFと隣接していてもよく、隣接していなくてもよく、周期的なSOFのような別の種類のSOFある。

本開示のSOFは、巨視的な見方で、実質的にピンホールのないSOFであるか、またはピンホールのないSOFであってもよく、例えば、1ミリメートルを超える長さ〜1メートル程度の長さ、理論的には数百メートル程度の大きな長さにわたって広がり得る連続的な共有結合性有機骨格を有していてもよい。また、SOFは、大きなアスペクト比を有する傾向があり、典型的には、SOFの二方向の寸法が、第3の寸法よりもかなり大きいことも理解されるだろう。

「実質的にピンホールのないSOF」または「ピンホールのないSOF」は、反応混合物から作られてもよい。「実質的にピンホールのないSOF」は、1平方センチメートルあたりに、隣接する2つのセグメントのコア間の距離よりも大きなピンホール、孔またはギャップを実質的に含まず、例えば、1cm2あたり、直径が250nmより大きなピンホール、孔またはギャップが10個未満、または1cm2あたり、直径が100nmより大きなピンホール、孔またはギャップが5個未満である。「ピンホールのないSOF」は、1μm2あたりに、隣接する2つのセグメントのコア間の距離よりも大きなピンホール、孔またはギャップを含まず、例えば、1μm2あたり、直径が約500Å、または約250Å、または約100Åより大きなピンホール、孔またはギャップを含まない。

本開示のSOFは、セグメント(S)を有する分子ビルディングブロックを含み、少なくとも2個の官能基を必要とする。官能基は、分子ビルディングブロックの反応性化学部分であり、SOF形成プロセス中に、セグメントと結合する化学反応に関与する。セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの部分である。

官能基は、1個の原子で構成されていてもよく、または、官能基は、ハロゲン、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、カーボネート、アミン、アミド、イミン、尿素、アルデヒド、イソシアネート、トシレート、アルケン、アルキンのように、2個以上の原子で構成されていてもよい。セグメントは、官能基を保持し、官能基に関連しない全原子を含む分子ビルディングブロックの部分である。SOFは、第1のセグメントを含んでいてもよく、この第1のセグメントは、第2のセグメント、第3のセグメント、第4のセグメント、第5のセグメントなどと同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。

SOF組成物のコンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、望ましい性質または所定の性質を有する望ましいSOFの構造を選択してもよい。例えば、特定のSOF組成物のコンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、電子を伝導し得る望ましいSOFを選択してもよい。コンピュータシミュレーションによって抽出可能な他の非限定的な性質の例は、光学特性、機械特性、分子レベルでの構造パラメータ、拡散性、多孔性である。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングの値を用い、望ましい性質をもつ特定のSOF組成物を選択してもよい。コンピュータシミュレーションの値としては、特に、予想される分子軌道の重なり度合い、ビルディングブロックの空間配置に関して予想される均一度、バンド構造、原子レベルでの応力、ジオメトリー最適化、X線(または他の)散乱パターンのようなパラメータが挙げられる。

SOF構造のモデリングは、組成物のモジュール性(すなわち、網構造の化学)を使うと簡単になる。網構造の化学の分野では、分子ビルディングブロックは、幾何形状であると考えてもよく、結果、これらの「分子形状」の配置が、分子ビルディングブロックの反応(SOF形成反応)による所定の配置の数になる。パラメータの数をコンピュータで計算し、次いで、SOF構造のコンピュータシミュレーション中およびその後に調べ、特定のSOF構造の性質を評価してもよい。

コンピュータシミュレーションによるSOF構造から性質を抽出する例示的な方法としては、例えば、SOFのバンド構造を計算することが挙げられる。このような計算を用いてもよく、この計算によってフェルミ準位の位置とバンドギャップの大きさおよび位置を示すことによって光学特性および電気特性を予測してもよい。

コンピュータシミュレーションによるSOF構造から性質を抽出する方法は、機械特性に関する情報および/またはパラメータを含んでいてもよく、この情報および/パラメータは、剪断下にてSOFにかかる原子レベルでの応力を監視することによって概算してもよい。コンピュータシミュレーションによるSOF構造から性質を抽出する方法は、構造に関するなんらかの値に関する情報および/またはパラメータを含んでいてもよく、この情報および/パラメータは、例えば、ジオメトリー最適化計算によって、分子レベルで計算されてもよい。コンピュータシミュレーションによるSOF構造から性質を抽出する方法は、構造のかさ高さに関する情報および/またはパラメータを含んでいてもよく、この情報および/パラメータは、例えば、材料のX線(またはその他の)散乱パターンを計算することによってシミュレーションされてもよい。コンピュータシミュレーションによるSOF構造から性質を抽出する方法は、拡散性に関する情報および/またはパラメータを含んでいてもよく、この情報および/パラメータは、例えば、分子動力学法を用い、次いで、SOF構造にわたる集合の勾配を計算して評価されてもよい。多孔性(表面積)は、Connoly方法によって評価されてもよい。

特定のSOF組成物のコンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、結合した分子ビルディングブロック間の空間配置が均一であるような特定の分子ビルディングブロック、結合部、SOFの種類を選択してもよい。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングによって特定される反応成分(例えば、分子ビルディングブロックなど)を用い、SOF(例えば、周期的なSOF)を製造する。例えば、周期的な構造をもつSOFが作られるように、結合して作られる分子ビルディングブロック間の空間配置がSOF全体にわたって均一であるように反応条件を調節してもよい。反応成分は、コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングによって特定される結合した分子ビルディングブロックを逆合成することによって選択される。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングの結果、特定される反応成分(例えば、分子ビルディングブロックなど)を用い、周期的な一部または部分領域をもつSOFが作られるように、結合した分子ビルディングブロック間の空間配置が、SOFの一部または部分領域全体で均一であるようにSOFの製造プロセスの反応条件を調節することによって、SOFを製造する。

SOF全体で分子ビルディングブロック間の分子軌道の重なり度が大きくなるように、結合した分子ビルディングブロックを選択してもよい。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、SOF全体で分子ビルディングブロック間の分子軌道の重なり度が大きくなるような、結合した分子ビルディングブロックを特定してもよい。分子ビルディングブロック、結合部およびSOFの種類を選択して、電子/正孔にとって有効な伝導経路を作ることを可能にしてもよい。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、電子/正孔にとって有効な伝導経路を作ることを可能にするような分子ビルディングブロック、結合部およびSOFの種類を選択してもよい。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、例えば、SOFの電荷輸送性を概算および/または最大化することによって、SOFの分子レベルでの構造を作ってもよい。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングの結果を用い、少なくともSOFの一部領域で、SOFの分子レベルでのモデル化された構造を実質的に複製するような特定の分子ビルディングブロック、結合部、SOFの種類を選択してもよい。本明細書で用いられる場合、用語「実質的に複製する」は、シミュレーションしたSOFの性質および特性をもつような、シミュレーションしたSOFの明らかな複製を指し、例えば、シミュレーションしたSOFについて予測される性質および特性の少なくとも80%をもつ乾燥SOF(例えば、シミュレーションされたSOFで予測される、移動性、予測された分子軌道の重なり度合い、ビルディングブロックの空間配置に関して予想される均一度、バンド構造、原子レベルでの応力(および他の性質および特性)をもつ乾燥SOF)、すなわち、シミュレーションされたSOFで予測される、移動性、予測された分子軌道の重なり度合い、ビルディングブロックの空間配置に関して予想される均一度、バンド構造、原子レベルでの応力(および他の性質および特性)の少なくとも80%をもつ乾燥SOF、または、シミュレーションしたSOFについて予測される性質および特性の少なくとも90%をもつ乾燥SOF、または、シミュレーションしたSOFについて予測される性質および特性の少なくとも95%をもつ乾燥SOF、シミュレーションしたSOFについて予測される性質および特性の少なくとも95%をもつ乾燥SOFを指す。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングの結果として特定された、選択された反応成分(例えば、分子ビルディングブロック、結合部など)を反応させ、SOFを製造する。コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングの結果として特定された反応成分(例えば、分子ビルディングブロック、結合部など)を、少なくともSOFの所定の領域で、SOFの分子レベルでのモデル化された構造を複製するために必要な条件で反応させてもよい。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングは、密度汎関数理論および量子化学計算を使用し、SOFの事前選択した性質または値を計算してもよい。例えば、コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングは、密度汎関数理論および量子化学計算を使用して、この材料の状態密度の図(広がった固体の分子軌道図)を作成し、フェルミエネルギー準位を計算してもよい。どのようにして状態密度の図を作成するか、どのようにしてフェルミ準位を計算するかに関する一般的な検討は、以下の参考文献中に見いだすことができる。 Perdew,J.P.ら、Phys.Rev.B.、33、8800(1986);Density Functional Theory:A Tool for Chemistry,Politzer,P.; Seminario,J.M.編集、Elsevier:Amsterdam(1995)およびそこに記載される参考文献;Bradley,C.R.;Cracknell,A.P.The Mathematical Theory of Symmetry in Solids,Clarendon Press:Oxford(1972); S.J.Clarkら、Zeitschrift fuer Kristallographie 220(5−6)pp.567−570(2005); M.C.Payneら、Rev.Mod.Phys.64、1045−1097(1992)。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングは、密度汎関数理論および量子化学計算を使用し、推定SOF構造をバンド構造に関連するフェルミ準位の位置について評価することによって、高い移動性のものを予測してもよい。例えば、本開示の方法では、コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを用い、フェルミ準位がバンド内にあり、電荷を輸送する固有の能力を有する材料(例えば、高い移動性をもつSOF材料)を特定してもよい。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングは、特定の分子ビルディングブロック、結合部、SOFの種類を選択し、SOFの分子レベルでの構造を作るように設計されたアブイニシオ方法を含んでいてもよい。アブイニシオ方法では、分子のエネルギーおよびその分子の全誘導体の値は、波動関数を決定することによって決まる。この方法の問題点は、波動関数を物理的に観測することができないことであり、すなわち、波動関数は、純粋に数学的な概念である。実際には、波動関数は、単に、電子が分子の特定の位置または一部(例えば、SOF)に存在し得る統計的な確率である。波動関数が、原子または分子の物理的に測定可能な性質として存在しない場合であっても、波動関数(およびこれを用いた原子軌道および分子軌道)を数学的に決定することは、分子の種々の性質を良好に予測するものであってよく、拡張された系の場合では、大きな電子構造を良好に予測するものであってよい。

コンピュータシミュレーションまたは材料モデリングは、密度汎関数理論に基づく計算方法を含んでいてもよい。密度汎関数理論(DFT)は、分子の電子密度の決定に基づき、分子の性質または分子の集まりを誘導する計算方法である。物理的に現実的な値ではなく、数学的な概念である波動関数とは異なり、電子密度は、あらゆる分子の物理的な特性である。ある機能は、ある機能の関数であると定義され、分子のエネルギーは、電子密度の関数である。電子密度は、電子の位置を示す3つの変数x、y、zを用いた関数である。電子の数が増えるにつれて複雑さが顕著に増していく波動関数とは異なり、電子密度の決定は、電子の数には依存しない。

本開示の方法で使用可能である、適切なDFT計算方法の種類または分類としては、局所密度近似(LDA)法、勾配補正(GC)法、ハイブリッド法などが挙げられる。局所密度近似(LDA)法は、分子の密度が分子全体で均一であると推定する。勾配補正(GC)法は、電子密度の不均一性を説明するためのものである。ハイブリッド方法は、名前から連想されるように、アブイニシオ方法(具体的には、Hartree−Fock法)から得られるもっと有用な特徴のいくつかと、DFT計算のいくつかの改良を組み合わせることを意図している。

周期的なSOFである特定の分子ビルディングブロック、結合部、SOFの種類を、材料モデリングソフトウェアによって電荷輸送性を概算することが可能なコンピュータによる設計によって選択する。例えば、現在、DFT法は、Gaussian、GAMESS、HyperChem、Spartan、Materials Studioを含む種々のソフトウェアパッケージで標準である。それに加えて、ユーザーは、改良型DFT法を含むように計算をカスタマイズしてもよい。このようなソフトウェアパッケージとしては、Materials Studioが挙げられる。

本発明で、Materials StudioのDmol3モジュールを使用した。このモジュールは、電子構造を含む材料の種々の性質を計算するためのDFTに基づくツール一式を格納している。SOFシステムの場合、勾配補正法は、Perdew−Burke−Ernzerhof補正を用いた(PBE;Perdew,J.P.;Burke,K.;Ernzerhof,M.Phys.Rev.Lett.,77,3865(1996))、d関数を含む二重数値(DND)基底関数、1×1×1のk点セットを解く。

SOFは、アスペクト比が、約30:1より大きくてもよく、約100:1より大きくてもよく、約1000:1より大きくてもよい。SOFのアスペクト比は、SOFの厚み(すなわち、最も短い寸法)の平均に対する、幅または直径(すなわち、厚みに対して次に大きな寸法)の平均の比率であると定義される。SOFの最も長い寸法は、長さであり、SOFアスペクト比の計算では考慮されない。

SOFは、幅および長さが約500μmよりも大きいか、または30mmよりも大きく、厚みが、1セグメントの厚い層では約10Å〜約250Å、複数のセグメントを含む厚い層では、約20nm〜約5mmであってもよい。分子ビルディングブロックの対称性は、分子ビルディングブロックセグメントの周囲にある官能基(Fg)の位置に関係がある。対称型の分子ビルディングブロックは、Fgの位置が、棒の端点、規則的な幾何形状の端点、またはゆがんだ棒またはゆがんだ幾何形状の端点に関連し得るものである。

図1A〜Oは、例示的なビルディングブロックについて、対称型の成分の概略を示す。

本開示のSOFのための分子ビルディングブロックとして機能し得る種々の分類の例示的な分子部分の非限定的な例としては、炭素原子コアまたはケイ素原子コアを含むビルディングブロック;アルコキシコアを含むビルディングブロック;窒素原子コアまたはリン原子コアを含むビルディングブロック;アリールコアを含むビルディングブロック;カーボネートコアを含むビルディングブロック;炭素環、炭素二環、または炭素三環のコアを含むビルディングブロック;オリゴチオフェンコアを含むビルディングブロックが挙げられる。

1型、2型、3型のSOFは、SOFの縁には存在しておらず、かつ、少なくとも3個の他のセグメントに結合部によって接続しているセグメントを含む。例えば、SOFは、理想的な三角形のビルディングブロック、ゆがんだ三角形のビルディングブロック、理想的な四面体のビルディングブロック、ゆがんだ四面体のビルディングブロック、理想的な四角形のビルディングブロック、ゆがんだ四角形のビルディングブロックからなる群から選択される少なくとも1個の対称型ビルディングブロックを含む。結合に関する化学は、結合に関する化学の副生成物が存在することが望ましくないような用途のためのSOFを得るために選択されてもよい。結合に関する化学の反応としては、例えば、縮合反応、付加/脱離反応、付加反応が挙げられ、例えば、エステル、イミン、エーテル、カーボネート、ウレタン、アミド、アセタール、シリルエーテルを生成する反応が挙げられる。

結合に関する化学は、結合に関する化学の副生成物が、SOFの性質に影響を与えないような用途、または、結合に関する化学の副生成物が、SOFの性質を変え得るような用途のためのSOFを得るために選択されてもよい。結合に関する化学の反応としては、例えば、置換反応、メタセシス反応、金属触媒によるカップリング反応、例えば、炭素−炭素結合を生成する反応が挙げられる。

SOFは、高い熱安定性を有していてもよく(典型的には、周囲条件下で400℃よりも高い)、有機溶媒への溶解度が低く(化学安定性)、多孔性であってもよい(ゲストを可逆的に取り込むことができる)。さらなる機能性によって、そのさらなる機能性に「偏った特性」を有する分子ビルディングブロックの集合体を生じてもよい。また、さらなる機能性によって、そのさらなる機能性に「偏った特性」を有するわけではないが、得られたSOFが、SOF内でセグメント(S)および結合部と結合する結果として、そのさらなる機能性を有するようになるような分子ビルディングブロックの集合体を生じてもよい。さらに、さらなる機能性は、このさらなる機能性に「偏った特性」を有する分子ビルディングブロックを用いる効果と組み合わせることによって生じてもよく、この偏った特性は、SOF内でセグメントおよび結合部と結合すると、改変されるか、または高まる。

分子ビルディングブロックの「偏った特性」との用語は、ある特定の分子組成物について存在することが知られている性質、またはセグメントの分子組成を観察すれば、当業者ならば合理的に特定可能な性質を指す。さらなる機能性としては、または他の極性種(例えば、メタノール)をはじく性質を指す疎水性(超疎水性);水または他の極性種、またはこのような種によって簡単に濡れる表面に引きつけられ、吸着するか、または吸収される性質を指す、親水性;油または他の非極性種(例えば、アルカン、脂肪、ワックス)をはじく性質を指す、疎油性(油をはじく性質);油または非極性種(例えば、アルカン、脂肪、ワックス)またはこれらの種によって簡単に濡れる表面に引きつけられる性質を指す、親油性(油分に溶ける性質);電荷(電子および/または正孔)を輸送する性質を指す、電気活性が挙げられる。

高度にフッ素化されたセグメントを用いてもよく、このセグメントは、セグメントに存在するフッ素原子の数を、セグメントに存在する水素原子の数で割ると、1より大きいセグメントであると定義される。上述のフッ素化されたセグメントとしては、テトラフルオロヒドロキノン、ペルフルオロアジピン酸水和物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールなどが挙げられる。電気活性との用語は、電荷(電子および/または正孔)を輸送する特性を指す。電気活性材料としては、導体、半導体、電荷輸送材料が挙げられる。導体は、電位差がある状態で電荷を簡単に輸送する材料であると定義される。半導体は、それ自体は電荷を伝導しないが、電位差があり、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で導電性になり得る材料であると定義される。電荷輸送材料は、電位差のある状態で、別の材料(例えば、染料、顔料または金属)から電荷が注入されると、電荷を輸送することができる材料であると定義される。

さらに、導体は、電位差計を用い、約0.1〜約107S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。

半導体は、さらに、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられた状態で、電位差計を用い、約10−6〜約104S/cmのシグナルが得られる材料であると定義されてもよい。あるいは、半導体は、刺激(例えば、電場、電磁照射、熱など)が加えられると、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動性および/または正孔移動性を有する材料であると定義されてもよい。

電荷輸送材料は、さらに、飛行時間技術を用いて測定した場合、10−10〜約106cm2V−1s−1の範囲の電子移動性および/または正孔移動性を有する材料であると定義されてもよい。いくつかの条件下では、電荷輸送材料は半導体に分類されてもよいことを注記しておくべきである。

さらなる機能として電気活性を有するSOFは、偏った特性として電気活性を有する分子ビルディングブロックを用いて調製されてもよく、および/または共役したセグメントおよび結合部の集合体から電気活性が生じてもよい。以下の章で、偏った正孔輸送性、偏った電子輸送性、偏った半導体性を有する分子ビルディングブロックについて記載する。

さらなる機能として正孔輸送性を有するSOFは、以下の一般式を有する、トリアリールアミン、ヒドラゾン(Tokarskiらに対する米国特許第7,202,002 B2号)、およびエナミン(Kondohらに対する米国特許第7,416,824 B2号)などのセグメントコアを選択することによって得られてもよく、

式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5は、それぞれ独立して、置換または非置換のアリール基をあらわし、または、Ar5は、独立して、置換また非置換のアリーレン基をあらわし、kは、0または1をあらわし、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5のうち、少なくとも2つは、Fg(上に定義したもの)を含む。Ar5は、置換されたフェニル環、置換/非置換のフェニレン、置換/非置換の一価の結合した芳香族環(例えば、ビフェニル、ターフェニルなど)、または置換/非置換の縮合した芳香族環(ナフチル、アントラニル、フェナントリルなど)であると定義されてもよい。

さらなる機能として正孔輸送性を有する、アリールアミンを含むセグメントコアとしては、アリールアミン、例えば、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[p−ターフェニル]−4,4”−ジアミン;ヒドラゾン、例えば、N−フェニル−N−メチル−3−(9−エチル)カルバジルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,2−ジフェニルヒドラゾン;オキサジアゾール、例えば、2,5−ビス(4−N,N’−ジエチルアミノフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール、スチルベンなどが挙げられる。

偏った性質として正孔輸送性を有するトリアリールアミンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

ヒドラゾンを含むセグメントコアは、以下の一般式によってあらわされ、

式中、Ar1、Ar2、Ar3は、それぞれ独立して、場合により1個以上の置換基を含むアリール基をあらわし、Rは、水素原子、アリール基またはアルキル基をあらわし、場合により置換基を含んでいてもよく;Ar1、Ar2、Ar3のうち、少なくとも2つは、Fg(上に定義したもの)を含み; 関連するオキサジアゾールは、以下の一般式によってあらわされ、

式中、Ar、Ar1は、それぞれ独立して、Fg(上に定義したもの)を含むアリール基をあらわす。

偏った性質として正孔輸送性を有するヒドラゾンコアセグメントおよびオキサジアゾールコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

エナミンを含むセグメントコアは、以下の一般式によってあらわされ、

式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は、それぞれ独立して、場合により1個以上の置換基を含むアリール基、または場合により1個以上の置換基を含むヘテロ環基をあらわし、Rは、水素原子、アリール基またはアルキル基をあらわし、場合により置換基を含んでいてもよく;Ar1、Ar2、Ar3、Ar4のうち、少なくとも2つは、Fg(上に定義したもの)を含む。

偏った性質として正孔輸送性を有するエナミンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

さらなる機能として電子輸送性を有するSOFは、以下の一般構造化をもつニトロフルオレノン、9−フルオレニリデンマロニトリル、ジフェノキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドを含むセグメントコアを選択することによって得てもよい。

さらなる機能として半導体性を有するSOFは、以下の一般構造をもつアセン、チオフェン/オリゴチオフェン/縮合チオフェン、ペリレンビスイミド、またはテトラチオフルバレン、およびこれらの誘導体などのセグメントコアを選択することによって得てもよい。

SOFは、p型半導体、n型半導体、または両極性半導体であってもよい。SOFの半導体の種類は、分子ビルディングブロックの性質に依存する。電子供与性を有する分子ビルディングブロック(アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基)は、SOF中に存在する場合、SOFをp型半導体にし得る。あるいは、電子吸引性である分子ビルディングブロック(例えば、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、フッ素化アルキル基、フッ素化アリール基)は、SOFをn型半導体にし得る。

偏った性質として半導体性を有するアセンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

偏った性質として半導体性を有するチオフェン/オリゴチオフェン/縮合チオフェンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

偏った性質として半導体性を有するペリレンビスイミドコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよい。

偏った性質として半導体性を有するテトラチオフルバレンコアセグメントを含む分子ビルディングブロックは、以下のものを含む化学構造のリストから誘導されてもよく、

式中、Arは、それぞれ独立して、場合により1個以上の置換基を含むアリール基、または場合により1個以上の置換基を含むヘテロ環基をあらわす。

周期的な部分領域または部分を有していてもよいSOF(例えば、高い移動性をもつSOF)を製造するプロセスは、典型的には、多くの作業または工程(以下に記載される)を含み、任意の適切な順序で行ってもよく、または、2つ以上の作業を同時に行ってもよく、非常に近い時間に行ってもよい。 構造化された有機膜を調製するプロセスは、 (a)それぞれ1個のセグメントと多くの官能基と、プレSOFとを含む複数の分子ビルディングブロックを含む、液体を含有する反応混合物を調製することと; (b)この反応混合物を濡れた膜として堆積させることと; (c)分子ビルディングブロックを含む濡れた膜の変化を促進し、複数のセグメントと、複数の結合部とが共有結合性有機骨格として整列したSOFを含む乾燥した膜にし、この共有結合性有機骨格が、巨視的な見方だと膜であることと; (d)場合により、コーティング基材からSOFを取り外し、自立型SOFを得ることと; (e)場合により、この自立型SOFをロールへと加工することと; (f)場合により、このSOFを切断し、ベルトになるように縫い合わせることと; (g)場合により、SOF(上述のSOF形成プロセスによって調製された)を基材として用い、次のSOF形成プロセスで上述のSOF形成プロセスを行うことと; (h)場合により、種々のSOF組成物のコンピュータシミュレーションまたは材料モデリングを行い、特定の分子ビルディングブロックおよび反応成分を選択することとを含む。

反応混合物は、液体に溶解するか、懸濁するか、または混合するような複数の分子ビルディングブロックを含む。複数の分子ビルディングブロックは、1種類であってもよく、または2種類以上を含んでいてもよい。1種類以上の分子ビルディングブロックが液体である場合、さらなる液体の使用は任意である。

反応混合物の成分(分子ビルディングブロック、場合により、液体、場合により、触媒、場合により、添加剤)を容器内で混合する。反応混合物の成分を加える順序は、さまざまであってもよいが、典型的には、SOFを調製するプロセスが、プレSOFを含むか、またはプレSOFを作成することを含む場合、触媒を、存在する場合には、反応混合物を濡れた膜として堆積させる前に反応混合物に加えてもよい。分子ビルディングブロックを、触媒が存在する状態、または存在しない状態で、化学線によって、熱によって、化学的に、または任意の他の手段によって反応させ、プレSOFを得てもよい。

反応混合物を、濡れた膜として堆積させる前に加熱してもよい。95%プレSOF分子の分子量は、5,000ダルトン未満、例えば、2,500ダルトン未満、または1,000ダルトン未満である。

特定の実施形態では、反応混合物は、堆積した濡れた層を保持するような粘度を有している必要がある。反応混合物の粘度は、約10〜約50,000cps、例えば、約25〜約25,000cps、または約50〜約1000cpsの範囲である。

分子ビルディングブロックおよびキャッピングユニットを保有すること、または反応混合物中の「保有量」は、分子ビルディングブロックと、場合により、キャッピングユニットおよび触媒との合計重量を、反応混合物の合計重量で割ったものであると定義される。ビルディングブロックの保有量は、約3〜100%、例えば、約5〜約50%、または約15〜約40%の範囲であってもよい。液体の分子ビルディングブロックが反応混合物の唯一の液体成分として用いられる(すなわち、さらなる液体を使用しない)場合、ビルディングブロックの保有量は、約100%であり得る。

反応混合物中で用いられる液体は、純粋な液体(例えば、溶媒)であってもよく、および/または溶媒混合物であってもよい。適切な液体は、沸点が約30〜約300℃、例えば、約65℃〜約250℃、または約100℃〜約180℃であってもよい。

液体としては、アルカン;混合アルカン;分岐アルカン;芳香族化合物;エーテル、環状エーテル;エステル;ケトン、環状ケトン;アミン;アミド;アルコール;ニトリル;ハロゲン化芳香族;ハロゲン化アルカン;水などの種類の分子が挙げられる。

また、第1の溶媒、第2の溶媒、第3の溶媒などを含む混合液体を、反応混合物中で用いてもよい。

用語「実質的に除去する」は、それぞれの溶媒を少なくとも90%、例えばそれぞれの溶媒を約95%除去することを指す。用語「実質的に残っている」は、それぞれの溶媒が2%を超えない量で除去される、例えばそれぞれの溶媒が1%を超えない量で除去されることを指す。

場合により、反応混合物中に触媒が存在させて、濡れた層を乾燥したSOFにすることを促進するしてもよい。任意要素の触媒の選択および使用は、分子ビルディングブロックの官能基によって変わる。触媒は、均一系であってもよく(溶解していてもよく)、不均一系であってもよく(溶解しないか、または部分的に溶解していてもよく)、ブレンステッド酸;ルイス酸;ブレンステッド塩基;ルイス塩基;金属;金属塩;金属錯体が挙げられる。典型的な触媒の保有量は、反応混合物中の分子ビルディングブロックの保有量の約0.01%〜約25%、例えば約0.1%〜約5%の範囲である。触媒は、最終的なSOF組成物中に存在していてもよく、存在していなくてもよい。

場合により、添加剤または第2の成分(例えば、ドーパント)が、反応混合物および濡れた層に存在していてもよい。また、このような添加剤または第2の成分を、乾燥SOFに組み込んでもよい。添加剤または第2の成分は、反応混合物、濡れた層、または乾燥SOF中で均一であってもよく、不均一であってもよい。用語「添加剤」または「第2の成分」は、SOF中に共有結合していないが、組成物にランダムに分布している原子または分子を指す。第2の成分(例えば、従来の添加剤)を用い、SOFの物理的性質、例えば、電気特性(導電性、半導体性、電気輸送性、正孔輸送性)、表面エネルギー(疎水性、親水性)、引張強度、熱伝導性を変えてもよく、このような添加剤としては、衝撃改質剤、強化繊維、潤滑剤、静電気防止剤、カップリング剤、濡れ性付与剤、曇り止め剤、難燃剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、殺虫剤、染料、顔料、着臭剤、脱臭剤、成核剤などが挙げられる。

SOFは、SOFを酸化しないように保護するために、第2の成分として酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、存在する場合、SOFコンポジットに任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、SOFの約0.25重量%〜約10重量%、またはSOFの約1重量%〜約5重量%の量で存在していてもよい。

第2の成分(ポリマーを含む)を、均一に分布させてもよく、不均一に(例えば、SOF内で線形または非線形の勾配になるように)分布させてもよい。ポリマーを繊維の形態でSOFに組み込んでもよく、粒子の形態で組み込んでもよく、このとき、粒径は約50nm〜約2mmの範囲であってもよい。ポリマーが存在する場合、SOFコンポジット中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、SOFの約1重量%〜約50重量%、またはSOFの約1重量%〜約15重量%の量で存在していてもよい。

SOFは、正孔輸送分子または電子受容体を第2の成分としてさらに含んでいてもよく、このような電荷輸送分子としては、主鎖または側鎖に多環芳香族環を含む化合物(例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなど)、または窒素を含有するヘテロ環(インドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール、ヒドラゾン化合物)から選択される正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送分子または電子受容体は、存在する場合、SOFコンポジット中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、SOFの約0.25重量%〜約50重量%、またはSOFの約1重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。

第2の成分または添加剤は、存在する場合、それぞれが、または組み合わせた状態で、組成物中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、例えば、組成物の約1重量%〜約50重量%、または組成物の約1重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。

SOFを、第2の成分(ドーパントおよび添加剤、例えば、正孔輸送分子(mTBD)、ポリマー(ポリスチレン)、ナノ粒子(C60 Buckminsterフラーレン)、有機低分子(ビフェニル)、金属粒子(銅微粉末)、電子受容体(キノン))で改質し、コンポジット構造化された有機膜を得てもよい。反応混合物を、多くの液体堆積技術を用い、濡れた膜として種々の基材に塗布してもよい。

基材としては、ポリマー、紙、金属、金属アロイ、周期律表のIII族〜VI族の元素がドープされた形態およびドープされていない形態、金属酸化物、金属カルコゲニド、あらかじめ調製しておいたSOFまたはキャッピングされたSOFが挙げられる。

多くの液体堆積技術を用い(例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ウェブコーティング、浸漬コーティング、カップコーティング、ロッドコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコーティング、スタンピングなどを含む)、反応混合物を基材に塗布してもよい。濡れた層の厚みは、約10nm〜約5mm、例えば、約100nm〜約1mm、または約1μm〜約500μmの範囲であってもよい。

用語「促進する」は、分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応、例えば、ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの官能基の化学反応を容易にする任意の適切な技術を指す。液体を除去して乾燥膜を作成する必要がある場合には、「促進する」は、液体を除去することも指す。分子ビルディングブロックおよび/またはプレSOFの反応および液体の除去は、連続して行われてもよく、同時に行われてもよい。ある特定の実施形態では、液体は、分子ビルディングブロックのひとつでもあり、SOFに組み込まれる。用語「乾燥SOF」は、液体の含有量がSOFの約5%未満、または液体の含有量がSOFの2%未満の、実質的に乾燥したSOFを指す。

乾燥SOFまたは乾燥SOFの所与の領域(例えば、SOFの厚みの約10%の深さまでの表面、または、SOFの厚みの約5%までの深さ、SOFの上側4分の1、または上述の領域)は、キャッピングユニットとセグメントのモル比が、約1:100〜約1:1、例えば、約1:50〜約1:2、または約1:20〜1:4である。

濡れた層から乾燥SOFを形成するのを促進することは、任意の適切な技術によって行われてもよい。濡れた層から乾燥SOFを形成するのを促進することは、典型的には、オーブンでの乾燥、赤外線(IR)などを用いた、温度が40〜350℃の範囲、60〜200℃の範囲、85〜160℃の範囲での熱処理を含む。合計加熱時間は、約4秒〜約24時間、例えば1分〜120分、または3分〜60分の範囲であってもよい。

濡れた層をCOF膜にするようにIRによって促進することは、ベルト輸送システムに取り付けられたIR加熱モジュールを用いて行われてもよい。種々の種類のIRエミッタを用いてもよく、例えば、炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタ(Heraerusから入手可能)を用いてもよい。炭素IRエミッタまたは短波IRエミッタに関するさらなる例示的な情報を以下の表にまとめている(表1)。

いくつかの実施形態では、自立型のSOFが望ましい。自立型のSOFは、接着性の低い適切な基板を用い、濡れた層の堆積物を支えるときに得られてもよい。第1の分子ビルディングブロックである1,3,5−トリホルミルベンゼン(TFB、三角形のビルディングブロック)を、第2の分子ビルディングブロックである1,4−ジアミノベンゼン(DAB、線状のビルディングブロック)と反応させ、六角形の網目構造のSOFを作成してもよい(図2)。この場合には、ビルディングブロックは、イミン(−HC=N−)結合によって結合し得る。

図2に示されている六角形の網目構造は、分子レベルで周期的なSOFをモデリングするための、分子間距離および封入状態を把握することができるテンプレートとして機能する(図3)。分子ビルディングブロックは、平らな分子であり、イミン結合も平坦な部分であるため、モデリングから層状の構造が予測され、構造指紋(X線回折パターン)を計算することができる(図4)。

このSOFから得ることができる電気特性を理解するために、密度汎関数理論および量子化学計算を用い、この材料の状態密度の図(すなわち、広がった固体の分子軌道図)を作成した(図5)。この状態密度の図で、このSOFは、フェルミエネルギー準位(EF)が−4.5evであり、この準位がバンド(すなわち、広がった軌道エネルギー準位)内にあることがわかった。このような場合には、この材料は、本質的に電子の導体として挙動すると予想される。

1,2,−トリホルミルベンゼンを1,4−ジアミノベンゼンと反応させた生成物のコンピュータシミュレーションは、イミン結合によって結合したこれらのブロックを用いた六角形の網目構造のSOFが、電子を伝導し得ることを示している。密度汎関数理論および量子化学計算を用い、状態密度の図を作成し、この図から、フェルミ準位が−4.5evであり、この準位が、状態密度の図のバンド内にあり、電気を伝導すると予想される。したがって、このような平らな層状構造は、電子を伝導し得る。

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