〔技術分野〕 本発明は、製薬産業の分野に属し、新規アザフェニルアラニン誘導体、これを調製する方法、およびこれを含む医薬化合物に関する。 新規アザフェニルアラニン誘導体は、酵素活性(セリンプロテアーゼ)および抗凝血作用を有している。 【0001】 〔技術上の課題〕 抗凝血活性を有し、経口あるいは非経口のどちらで投与してもよく、高度に選択的で、毒性の低い新しい医薬製品は、常に要求されている。 近年、この分野では、低分子量トロンビン阻害物質がより重要なものとなってきている。 【0002】 〔従来技術〕 セリンプロテアーゼとしてのトロンビンは、凝血作用および血栓症の発症において鍵となる酵素の一つである(Edit,J.F.;Allison,P.;Noble,S.;Ashton,J.;Golino,P.;McNard,J.;Buja,L.M.;Willerson,J.T.,J.Clin.Invest.1989,84,18)。 【0003】 トロンビンのセリンプロテアーゼおよびセリンの結晶構造は知られている(Bode,W.;Turk,D.;Karshikov,A.J.,Protein Sci.1992,1,426)。 【0004】 現在使用されている抗凝血薬剤は毒性を有し、有効性が限られていた。 低分子量トロンビン阻害物質は、選択的な有効性を持つことが予想され、経口投与にて使用できる。 可逆的および非可逆的トロンビン拮抗薬剤がある(Kimball,S.D.,Curr.Pharm.Design1995,1,441,Das,J.;Kimball,S.D.,Bioorg.Med.Chem.1995,3,999,Kimball,S.D.,Blood Coagulation and Fibrinolysis 1995,6,511,Breznik,M.;Peear,S.,Farm.Vestn.1997,48,545,Sanderson,P.E.J.;Naylor−Olsen,A.M.;Current Med.Chem.1998,5,289,Rewinkel,J.B.M.;Adang,A.E.P.,Curr.Pharm.Design 1999,5,1043,Wiley,M.R.;Fisher,M.J.;Exp.Opin.Ther.Patents 1997,7,1265,Menear,K.;Current Med.Chem.1998,5,457。 【0005】 可逆的トロンビン拮抗剤の大部分は、ペプチド模倣して改変された(peptidomimetically modified)構造D−Phe−Pro−Argから得られるものである。 この改変は、化学的安定性、選択性および有効性を得るためになされる。 【0006】 日本及びアメリカ合衆国で用いられる有効成分は、アルガトロバンである(Kikumoto,R.;Tamao,Y.;Tezuka,T.;Tonomura,S.;Hara,H.,Ninomiya,K.;Hijikata,A.;Okamoto,S.,Biochemistry 1984,23,85)。 【0007】 アミジノフェニルアラニン誘導体およびアミノピリジルアラニン誘導体は選択的抗血栓症活性を有している(Danilewicz,J.,et al.WO 95/13274(1995))。 【0008】 アミノピリジンP1群を、弱い基本2−アミノ−6−メチルピリジン構造に取り替えることで、選択的および効果的で、経口投与が可能なトロンビン阻害物質が得られている(Sanderson,P.E.J.;et al.,Bioorg.Med.Chem.1998,8,817)。 【0009】 SI20025には、アザフェニルアラニンの誘導体である、トロンビン阻害物質が記載されている。 【0010】 したがって、本発明は、この従来技術が直面している課題を克服することを目的としている。 〔実施例を含む技術上の課題の解決手段の記載〕 上記課題は、例えば請求項1により特定される化合物、および請求項6により特定される方法、同様に請求項8により特定される医薬化合物により解決される。 【0011】 本発明は、特に、一般式(I)の新規アゾフェニルアラニン誘導体およびその類似物であって、 【0012】 【化13】
【0013】 の残基を示し、
ここで、R
4 =H,アルキル(C 1 −C 3 ),OH,O−アルキル(C 1 −C 3 ),NH 2であり; R
2が化学式【0014】 【化14】
【0015】
の残基を示し、
ここで、R
5 =H,アルキル(C 1 −C 3 ),CF 3 ,COOR 9 , R
6 =H,アルキル(C 1 −C 3 ),CF 3 ,COOR 9 , R
7 =アルキル(C 1 −C 3 ),シクロアルキル(C 3 −C 6 ), R
8 =アルキル(C 1 −C 3 ),シクロアルキル(C 3 −C 6 ), R
9 =H,アルキル(C 1 −C 3 ), R
10 =H,アルキル(C 1 −C 3 ),ベンジルR 11 =H,SO 2 Me,CO 2 Meであり; R
3が化学式【0016】 【化15】
【0017】
の残基を示し、
R
12 =H,アルキル(C 1 −C 3 ),アセチルであるもの、およびその医薬的に受容可能な塩類に関する。 【0018】
SI20025に記載された化合物と比べ、本発明の化合物は活性が高い。 特許SI20025にかかる化合物aのKiトロンビン(μM)は0.032であり、本発明にかかる化合物bのKiトロンビン(μM)は0.005である。
【0019】
【化16】
【0020】
本発明は、特に一般式(I)のアゾフェニルアラニン誘導体及びその類似物の調製方法にも関連している。
【0021】
これらは、以下のように調製されるのが好ましい:
a)化学式(II)の3−シアノベンズアルデヒド【0022】
【化17】
【0023】
これを、触媒による水素化により、もしくはNaCNBH
3と共に還元させて、化合物(V)に化学変化させ、 【0024】
【化18】
【0025】
これを、「ワンポット」反応にて、トリホスゲン、およびR
5およびR 6が化学式(I)と同様の意味を示す化学式(VI)のアミンと共に反応させ、 【0026】
【化19】
【0027】
R
2が化学式(I)と同様の意味を示す化合物(XI)とする。 【0028】
【化20】
【0029】
化合物(XI)における保護BOC群は、HCl(g)と共にHOAcにて室温で除去され、R
2が化学式(I)と同様の意味を示す化合物(XII)を得る。 【0030】
【化21】
【0031】
これを、芳香族塩化スルホニルと共に反応させ、R
2およびR 3が化学式(I)と同様の意味を示す化合物(XIII)にする。 【0032】
【化22】
【0033】
これは、例えばヒドロキシルアミンと、例えば−エタノールのような無水アルコールもしくは例えばHCl(g)あるいは酢酸アンモニウムのような無機酸と、を加えて、化合物(XIII)を化学変化させることで達成でき、これにより化合物(I)を得られる。 化合物(XIII)がヒドロキシルアミンと無水アルコール中で反応したとき、R
4はOH群を意味し、化合物(XIII)がHCl(g)および酢酸アンモニウムと反応した後は、R 4は水素を意味する。 【0034】
特に指示がない限りは、初期の化合物は、文献に記載された方法に従って調製される;例えば、化学式IVの化合物については、A. Fassler,et. al. ,J. Med. Chem. 1996,39,3203−3215に記載された方法に従う。
【0035】
本発明は、さらに化学式Iの化合物の、治療の活性を持つ化合物としての使用に関する。 新規化合物は、好ましくはトロンビン阻害物質である。 これらはトロンビンおよびフィブリン形成を阻害する。 これらは、種々の血栓症の型を治療するあるいは阻止するのに有用である。 種々の血栓症の型は:(i)静脈血栓塞栓症は血管内に血栓が形成されることによる(静脈血栓症)もので、後天的な(長期のベット療養、手術、けが、悪性腫瘍、妊娠および産後、あるいは先天的な(自然の凝血阻害物質の欠損症)危険因子に関連し、また分離した血栓による肺動脈の閉塞あるいは塞栓(肺塞栓症)に関連している。(ii)心臓血栓塞栓症は心臓に血栓が形成されることによるもので、心不整脈、心臓弁異常、人工心臓弁、もしくは心臓病に関連し、また分離した血栓による末梢動脈の塞栓症、最も一般的には脳での塞栓症(虚血性脳卒中)に関連する。(iii)動脈血栓塞栓症は、動脈の潜在的なアテローム硬化の過程を原因とし、動脈を閉塞あるいは塞栓し、心筋虚血(狭心症、急性冠状動脈症候群)または心筋死細胞(心筋梗塞)、末梢動脈の閉塞あるいは塞栓(虚血性末梢動脈病)、そして上記過程の後の血管における動脈の閉塞あるいは塞栓(経腔的冠動脈形成の後の再閉塞または再狭窄、末梢血管の経皮的経腔的血管形成の後の再閉塞または再狭窄)を引き起こす。そして、(iv)数多くの状況において、(例えば、妊娠中の併合症において、転移性の(metastazing)悪性腫瘍において、広範囲なけがにおいて、細菌性敗血症において)血栓形成活性化により血管システムに広範囲に血栓を形成する(播種性血管内凝固症候群)。
【0036】
本発明の化合物は、最近の心筋梗塞の血栓溶解療法と組み合わせてもよく、経皮的経腔的血管形成を受ける不安定な狭心症の患者においてはアスピリンと共に、血栓症の患者にはヘパリン誘導による血小板減少と共に、補助的療法として用いてもよい。
【0037】
本発明の化合物は、さらに非生物的な表面(人工血管、血管ステント、人工心臓弁、人工循環システム、血液透析)と接触する凝血を防ぐために用いられてもよく、体外ではテストまたは保存のための生物サンプルの凝血を防ぐために用いてもよい。
【0038】
本発明は、特に化学式Iの化合物を含む医薬化合物にも関連する。 これは、注射剤として、もしくは経口処方で処方できる。 この活性医薬成分は、投与の意図された形式に関して、適した標準的添加物と複合しても構わない。 この医薬化合物は、標準的な手順に従って調製すればよい。 上記調製品は、調節されたあるいは持続的に活性成分を放出するような方法で処方すればよい。 服用量、頻度、および投与の形態は種々の要素によって決まり、また、これらは個々の活性成分およびその薬物動態的パラメータ、および患者の治療の必要性によって決まる。
【0039】
[プロテナーゼ阻害を測定するインビトロアッセイ]
(凝血アッセイ)
トロンビン阻害物質の抗凝血作用はトロンビン時間(TT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、およびプロトロンビン時間(PT)アッセイにより測定された。 阻害物質は、標準的に集められたヒト血漿に、種々の濃度の範囲で添加され、凝固は自動凝固測定器(Fibrintimer,Dade/Behring)により記録した。 凝血時間を2倍にする阻害物質の濃度を各アッセイにより測定した。
【0040】
1. トロンビン時間(TT)
a)方法の原理血漿サンプルでは、トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに化学変化させ、凝血が形成される。 この凝血形成の時間が測定された。 トロンビン時間は、フィブリン重合障害、またはトロンビン阻害物質の存在によって長くなる。
【0041】
b)試薬トロンビン(テストトロンビン試薬、1.5IU/mL,Dade/Behring):凍結乾燥ウシトロンビンを、5mLのHEPES(25mmol/L,pH7.4)に溶かした。 試薬はアッセイに先立って37度に温められた。
【0042】
標準的な集められた血漿:11人の見かけ上健康な志願者から静脈血液を集め(0.11mol/Lのクエン酸ナトリウム溶液1に対し、血液9の割合)、すぐに2000×gでの遠心を、4℃で30分行う。 血漿を取り出し、溜められ、使用されるまで−70℃にて一定分量で保存する。
【0043】
阻害物質:DMSO(10mMストックソルーション)に溶かし、蒸留水にて希釈し、試験用溶液とした(最高濃度100μM)。
【0044】
c)方法阻害物質(2.5μMから100μMまでの濃度の10μL試験用溶液)および集められた血漿(90μL)を37℃で5分保温し、トロンビン(200μL)を加えた。 凝血形成は凝固測定器にて2回繰り返して測定された。
【0045】
2. 活性部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
a)方法の原理血漿を、適量のリン脂質および表面活性剤とともに保温し、内因的凝血経路の因子を活性化する。 カルシウムイオンの添加により凝血の作用を引き起こす。 フィブリン凝固を形成する時間を測定した。 aPTTは内因的凝血経路での凝血障害のためのスクリーニングテストとして用いた。 これは、内因的凝血因子欠損または阻害因子の存在により長くなる。
【0046】
b)試薬パソロムチン(Pathromtin)SL(Dade/Behring):二酸化ケイ酸粒子、植物リン酸脂質、塩化ナトリウム(2.4g/L),Hepes(14.3g/L,pH7.6),アジ化ナトリウム(<1g/L)。 試薬は室温(15−25℃)にて使用された。
【0047】
塩化カルシウム溶液:0.025mol/L、37度保温。
【0048】
標準的な集められた血漿:11人の見かけ上健康な志願者から静脈血液を集め(0.11mol/Lのクエン酸ナトリウム1に血液9の割合)、すぐに2000×gでの遠心を、4℃で30分行う。 血漿を取り出し、溜められ、使用されるまで−70℃にて一定分量で保存する。
【0049】
阻害物質:DMSO(10mMストックソルーション)に溶かし、蒸留水にて希釈し、試験用溶液とした(最高濃度100μM)。
【0050】
c)方法阻害物質(5μMから100μMまでの濃度の10μL試験用溶液)および集められた血漿(90μL)を37℃で5分保温した。 パソロムチン(100μL)を加え、サンプルを37℃でさらに2分間保温した。 塩化カルシウム(100μL)を加えることで、凝血作用を引き起こし、凝血形成は凝固測定器にて2回繰り返して測定された。
【0051】
3. プロトロンビン時間(PT)
a)方法の原理適量のトロンボプラスチンとカルシウムとを血漿サンプルに加え、フィブリン凝固形成の時間を測定した。 PTは、迅速で感度の良い、外因的経路の凝血障害のスクリーニングテストである。 これは、経口抗凝血治療を導入および観察するのに適しており、これにより、凝血因子の遺伝的または後天的な欠損を診断する、および肝臓病における肝臓の合成機能をチェックできる。 PTは外因的凝血因子の欠損や阻害物質の存在により長くなる。
【0052】
b)試薬トロンボプラスチン(トロンボレル(Thromborel) S, Dade/Behring):4mLの蒸留水に溶かした。 使用に先立って、少なくとも30分間、試薬を37度にした。
【0053】
標準的な集められた血漿:11人の見かけ上健康な志願者から静脈血液を集め(0.11mol/Lのクエン酸ナトリウム溶液1に血液9の割合)、すぐに2000×gでの遠心を、4℃で30分行う。 血漿を取り出し、集められ、使用されるまで−70℃にて一定分量で保存する。
【0054】
阻害物質:DMSO(10mMストックソルーション)に溶かし、蒸留水にて希釈し、試験用溶液とした(最高濃度100μM)。
【0055】
c)方法阻害物質(5μMから100μMまでの濃度の10μL試験用溶液)および集められた血漿(90μL)を37℃で5分保温し、そして、トロンボレルS(200μL)を加えた。 凝血形成は凝固測定器にて2回繰り返して測定された。
【0056】
(酵素アッセイ)
化合物の酵素阻害作用は阻害定数Kiの決定により確認される。 これは、酵素−阻害物質複合体の解離の度合いを示している。 解離定数が低いと、阻害物質が高い有効性を示すことを意味する。 Kiは、酵素の反応において、酵素による加水分解を受けて発色している特定の発色基質により決定できる。 分光光度法により時間ごとの反応を記録し、Kiは動態学的パラメーター(Vmax,Km,反応率)から計算される。
【0057】
1. トロンビンKiの決定a)方法の原理化合物のヒトトロンビン触媒活性の阻害物質としての能力は、Kiの決定により評価された。
【0058】
b)試薬バッファー. HBSA,pH7.5(10mM Hepes,150mM NaCl,0.1%w/vウシ血清アルブミン)
基質(S−2238:H−D−Phe−Pip−Arg−pNA HCl,25mg;発色物質):蒸留水に1mM濃度となるように溶かす。 (Kmは2.6μm)
ヒトトロンビン(308NIH;Sigma):生理食塩水に溶かし、20NIH/mLのストックソルーションを得る。
【0059】
阻害物質:DMSOに溶かし(10mMストックソルーション)、蒸留水に希釈し、試験用試薬とした(DMSOの最高最終濃度は3%)。
【0060】
c)方法50μLバッファー、50μL阻害物質の混合液を、水に加えたもの(最終濃度は10から100μM)、および50μLトロンビン(0.5NIH U/mL f.c.)の混合液を、室温で15分保温した。 反応は、50μLのS−2238(20μMもしくは40μM f.c.)で開始し、各サンプルの405nm(25℃で)における吸光度はマイクロタイタープレートリーダー(Tecan Sunrise)を用いて、15分の間10秒ごとに測定され、3回繰り返された。
【0061】
トロンビン活性は、速度グラフの線部分における吸光度の変化から決定された。 Kiは、KiをIC
50 /(1+S/Km)とするチェンとプルソフ(Cheng and Prussof)(Biochem Pharmacol,1973)にしたがって計算された。 基質のKmは、Km付近の少なくとも6つの異なる基質濃度の試験条件において決定され、非線形回帰プログラムカーブエキスパートで算出された。 【0062】
2. トリプシンKiの決定a)原理化合物のトリプシン触媒活性の阻害物質として働く能力は、Kiを決定することにより評価された。
【0063】
b)試薬バッファー. HBSA,pH7.5(10mM Hepes,150mM NaCl,0.1%w/vウシ血清アルブミン)
基質(S−2222:N−benzoyl−Ile−Glu−Gly−Arg−pNA HCl,25mg;発色物質):蒸留水に2mM濃度となるように溶かす。 (Kmは21μm)
トリプシン(6000E/mgプロット;Sigma):蒸留水に溶かし、300E/mLのストックソルーションを得る。
【0064】
阻害物質:DMSOに溶かし(10mMストックソルーション)、蒸留水に希釈し、試験用試薬とした(DMSOの最高最終濃度は10%)。
【0065】
c)方法50μLバッファー、50μL試験化合物を水に加えたもの(最終濃度は50から300μM)、および50μLトリプシン(3mE/mL f.c.)の混合液を、室温で15分保温した。 反応は、50μLのS−2222(50μMもしくは100μM f.c.)で開始し、各サンプルの405nm(25℃で)における吸光度はマイクロタイタープレートリーダー(Tecan Sunrise)を用いて、15分の間10秒ごとに測定して、3回繰り返した。
【0066】
トリプシン活性は、速度グラフの線部分における吸光度の変化から決定された。 Kiは、KiをIC
50 /(1+S/Km)とするチェンとプルソフ(Biochem Pharmacol,1973)にしたがって計算された。 基質のKmは、Km付近の少なくとも6つの異なる基質濃度の試験条件において決定され、非線形回帰プログラムカーブエキスパートで算出された。 【0067】
3. トロンビン選択性トリプシンのような他のセリンプロテアーゼを、適切な発色基質とともに用いることで、トロンビンに対する阻害物質の選択性が決定された。 阻害物質の選択性は、トロンビンのKiに対するトリプシンのKiの比率として表される。
【0068】
[インビボアッセイ]
1. 鬱血誘導性凝血(方法の原理)
静脈血栓形成モデルのラットにおいて、血栓形成誘発(0.045ng/kgの組織因子)と鬱血とを組み合わせ、化合物の血栓形成への影響の能力をテストした。
【0069】
(方法)
Vogelらによる記載(Thromb. Res., 1989, 54, 399−410) にしたがって、鬱血と凝固性亢進との組み合わせによる血栓形成を誘導した。 オスのスプレーグドーリーラット(250−300g)をペントバルビトン(pentobarbitone)ナトリウム(30mg/kg,i.p.)により麻酔した。 動物の腹部を外科的に切開し、慎重に解剖した後、大静脈を露出させ、周辺の組織から離れるように切開する。 生理食塩水、もしくは種々の化合物を、血栓症誘発の5分前に静脈に投与した。 下大静脈には0.7cm離れた2つのゆるい縫合を施し、全ての平行する血管を結紮した。 ヒト組織因子(0.045ng/kgを静脈に)を注入し、陰茎肺静脈に注入した。 注入終了から10秒後、上記2つを、初めに基部側を、それから末端部側を締める事で、鬱血を起こさせた。 腹腔は暫定的に閉じられ、鬱血は20分間維持された。 それから、腹腔を再び切開し、結紮した部分を長軸方向に開いて、形成された血栓を取り出し、洗浄して、濾紙ににじませ、60℃にて一晩乾燥して、重量を測った。 これらの実験条件において、対照血栓重量は、5.5±0.1mg(n=15)であった。
【0070】
2. 出血時間(方法の原理)
選択された化合物による治療に関連した出血に伴う危険性は、出血の実験モデル:ラットの尾の切断:を用いて決定された。
【0071】
(方法)
出血時間は、フェノバルビタール麻酔されたラット(30mg/kg i.p.)の尾の先から2mmを切断することで決定された。 化合物は、静脈に、指示された投与量で、尾切断の5分前に投与された。 血液は15秒ごとに慎重に濾紙に染み込ませた。 1分以上血液の染みがこれ以上観察されない場合に、止血されたとみなした。
【0072】
〔実施例〕
本発明は、さらに以下の実施例を用いて説明されるが、これに限定されるものではない。
【0073】
〔実施例1〕
第3ブチル2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−1−カルボン酸ヒドラジン【0074】
【化23】
【0075】
トリホスゲン(2.296g)を15ml無水ジクロロメタンに溶かし、−5℃に冷やした。 アルゴン雰囲気下で攪拌する間、N−1−(第3ブトキシカルボニル)−N−2−[(3−シアノフェニル)メチル]ヒドラジン(3.833g)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.040ml)の、25mlのジクロロメタンへの溶液を滴状に加えた。 添加後、反応混合液をさらに5分間攪拌し、4−メチルピペリジン(1.836ml)およびN,N−ジイソプロピルチラミン(4.040ml)の25mlジクロロメタンへの混合液を、ここで一度に添加し、さらに20分間室温にて攪拌した。 溶媒は減圧中で蒸発させ、残渣を50mlの酢酸エチルに溶かし、25mlの5%クエン酸、25mlの5%NaHCO
3溶液、および25mlの塩水で洗浄した。 有機相(organic phase)はMgSO 4により乾燥し、濾過し、減圧下で濾液を濃縮した。 【0076】
生成した混合物を20mlのジエチルエーテルに懸濁し、5mlのヘキサンを加えた。 沈殿は吸着により濾過された。
【0077】
産量:1.756g
融解範囲:147−150℃
IR(KBr,cm
−1 ):3275.0,2922.7,2229.3,1722.3,1632.3,1497.3,1445.5,1367.6,1252.9,1157.0,979.2,805.1,736.2,573.2 NMR(DMSO−d
6 )):δ(ppm):0.86(d,J=6,4Hz,3H,CH 3 ),0.90−1.05(m,2H,Pip−H 3,5 ),1.35(s,9H,Boc),1.45−1.60(m,4H,Pip−H 3',5' ),2.60−2.75(m,2H,Pip−H 2,6 ),3.70−3.85(m,2H,Pip−H 2',6' ),4.52(brs,2H,CH 2 ),7.58−7.66(m,1H,Bn−H 5 ),7.79−7.85(m,1H,Bn−H 6 ),7.93−8.05(m,2H,Bn−H 2,4 ),11.05(s,1H,NH) C
20 H 27 N 4 O 3の分子量:算出値:372;実験値(found):373(MH + ) 〔実施例2〕
2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウム【0078】
【化24】
【0079】
第3ブチル2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]カルボン酸ヒドラジン(1.173mg)を30mlの氷酢酸に溶かし、HClガスを上記溶液に通して20分間泡立たせた。 反応の進行は、TLCにより観察された。 氷酢酸はロタベイパー(rotavapor)で蒸発させ、ジエチルエーテルを油性生成物に注いだ。 液体相は除去され、生成した沈殿を50℃で乾燥して、NaOHで24時間乾燥させた。
【0080】
産量:混合物の0.875g(%)
融解範囲:170−173℃
IR(KBr,cm
−1 ):3417.8,2934.6,2664.1,2227.3,1711.6,1641.3,1433.7,1402.3,1249.6,1132.0,1017.8 NMR(DMSO−d
6 ):δ(ppm):0.92(d,J=6,4Hz,3H,CH 3 ),0.99−1.16(m,2H,Pip−H 3,5 ),1.52−1.71(m,4H,Pip−H 3',5' ),2.90−3.05(m,2H,Pip−H 2,6 ),3.80−3.95(m,2H,Pip−H 2',6' ),4.62(s,2H,CH 2 ),7.59−7.69(m,1H,Bn−H 4,5 ),7.79−7.88(m,1H,Bn−H 2,6 ) C
14 H 19 ClN 4 Oの分子量:算出値:294.78;実験値(found):295(MH + ) 〔実施例3〕
N'−(3−シアノベンジル)−N'−[(4−メチル−1ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド(naphthalenesulfonohydrazide)
【0081】
【化25】
【0082】
2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジン(0.870g)を50mlのジクロロメタンに溶かし、−5℃に冷やした。 攪拌する間、1.190mlのトリエチルアミンと0.640gのナフタレン−2−塩化スルホニルを添加した。 反応混合液は、−5℃で30分間、さらに室温で24時間攪拌した。 減圧環境で溶媒を蒸発させ、100mlの酢酸エチルを残渣に加えた。 分液ロートにて、50mlの水、50mlの10%クエン酸、および50ml塩水で2回洗浄した。 有機相(organic phase)はNa
2 SO 4により乾燥し、濾過し、減圧下で濾液を濃縮した。 生成した混合物をジエチルエーテルに懸濁し、沈殿は吸着により濾過された。 このとき沈殿はエタノールから再結晶化し、結晶は吸着によりろ過された。 【0083】
産量:0.464g(35.6%)
融解範囲:92−95℃
IR(KBr,cm
−1 ):3191.7,2931.6,2221.0,1680.5,1433.5,1333.1,1168.8,857.9,749.4,692.2
1 H NMR(DMSO−d 6 )):δ(ppm):0.10−0.35(m,2H,Pip−H 3,3',5,5' ),0.47(d,3H,J=6.0Hz,CH 3 ),1.22−1.32(m,3H,Pip−H 3,3',4,4',5,5' ),2.30−2.45(m,1H,Pip−H 2,2' ),2.65−2.80(m,1H,Pip−H 6,6' ),3.45−3.65(m,2H,Pip−H 2,2',6,6' ),4,38(brd,2H,CH 2 ),7.47−7.55(m,2H,Bn−H 5,6 ),7.58−7.63(m,1H,Bn−H 2 ),7.63−7.80(m,4H,Bn−H 4 in Nf−H 3,6,7 ),8.02−8.18(m,3H,Nf−H 4,5,8 ),8.43(s,1H,Nf−H 1 )9.60(s,1H,NH)。 2つの信号セット(Two sets of signals) C
25 H 26 N 4 O 3 Sの分子量:算出値:462.6;実験値(found):463(MH + ) 〔実施例4〕
N'−ヒドロキシ−3−[[1−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−(2−ナフチルスルホニル)ヒドラジノ]メチル]ベンゼンカルボキシミダミド(benzenecarboximidamide)
【0084】
【化26】
【0085】
N'−(3−シアノベンジル)−N'−[(4−メチル−1ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド(0.223g)を、アルゴン雰囲気下で20mlの無水エタノールに溶かし、0.032gのヒドロキシアミンを添加した。 反応混合液を24時間、還流の温度に熱し、減圧環境で濃縮した。 生成生成物はカラムクロマトグラフィーにより精製され(溶出剤:クロロホルム/メタノール=9/1)、白色結晶を得た。
【0086】
産量:0.215g(38%)
融解範囲:169−173℃
IR(KBr,cm
−1 ):3365.8,3194.6,2943.8,2864.7,1652.6,1447.5,1332.2,1169.3,1076.1,756.2,700.3,553.2
1 H NMR(DMSO−d 6 ):δ(ppm):0.01−0.36(m,2H,Pip−H 3,5 ),0.44(d,3H,J=6.4Hz,CH 3 ),1.15−1.27(m,3H,Pip−H 3,4,5 ),2.27−2.42(m,1H,Pip−H 2 ),2.56−2.75(m,1H,Pip−H 6 ),3.45−3.63(m,2H,Pip−H 2,6 ),4,35(brd,2H,CH 2 ),7.14(d,1H,J=7.9,Bn−H 4 ),7.25−7.40(m,1H,Bn−H 5 ),7.48−7.59(m,2H,Bn−H 2,6 ),7.63−7.81(m,3H,Nf−H 3,6,7 ),8.02−8.19(m,3H,Nf−H 4,5,8 ),8.46(s,1H,Nf−H 1 ),9.40(s,1H,NH),9.78(s,1H,OH) C
25 H 30 N 5 O 4 Sの分子量:算出値:495.6;実験値(found):496(MH + ) 〔実施例5〕
イミノ(3−[[1−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−(2−ナフチルスルホニル)ヒドラジノ]メチル]フェニル)塩化メタナミニウム(methanaminium chloride)
【0087】
【化27】
【0088】
N'−(3−シアノベンジル)−N'−[(4−メチル−1ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド(0.200g)を、10mlのエタノールに懸濁し、アイスバスにて冷やし、HClを懸濁液に30分間泡立てた。 混合液は室温で4時間攪拌し、溶液は蒸発ダンダーにて減圧された。 固体残渣はイソプロピルエーテルにて洗浄され、吸着により濾過された。 生成された沈殿は10mlエタノールに溶かし、酢酸アンモニウム(0.092g)を加えた。 生成された混合液を室温で20時間攪拌し、この溶液に30分間HClを通した。 24時間後白色の沈殿が形成され、吸着により濾過された。
【0089】
産量:50.4mg(52%)
融解範囲:148−152℃
IR(KBr,cm
−1 ):3396.1,3101.7,2945.8,1669.1,1435.8,1335.9,1165.9,1072.4,749.4,668.4
1 H NMR(DMSO−d 6 ):δ(ppm):0.01−0.40(m,2H,Pip−H 3,5 ),0.47(d,3H,J=6.4Hz,CH 3 ),1.15−1.29(m,3H,Pip−H 3,4,5 ),2.27−2.42(m,1H,Pip−H 2 ),2.56−2.75(m,1H,Pip−H 6 ),3.45−3.60(m,2H,Pip−H 2,6 ),4.41(brd,2H,CH 2 ),7.14(d,1H,J=7.9,Bn−H 4 ),7.25−7.40(m,1H,Bn−H 5 ),7.48−7.59(m,2H,Bn−H 2,6 ),7.63−7.81(m,3H,Nf−H 3,6,7 ),8.02−8.19(m,3H,Nf−H 4,5,8 ),8.46(s,1H,Nf−H 1 ),9.40(s,1H,NH) C
24 H 27 N 5 O 3 S(フリーベース)の分子量:算出値:465.57;実験値(found):466(MH + ) 〔実施例6〕
第3−ブチル2−(3−シアノベンジリデン)−1−カルボン酸ヒドラジン【0090】
【化28】
【0091】
EtOH(100mL)に懸濁された3−シアノベンズアルデヒド(40.0mmol)を、攪拌した第3−ブチルカルバジド(butylcarbazate)(40.0mmol)のEtOH溶液に添加した。 混合物は還流の温度に加熱され、4時間後、EtOHを減圧下で一部蒸発させた。 水(100mL)を加え、沈殿生成物は濾過により集められて、ジエチルエーテルにて洗浄されて第3ブチル2−(3−シアノベンジリデン)−1−カルボン酸ヒドラジンの白色固体を得た。
【0092】
産量:77%
融解範囲:115−158℃
IR(KBr):3297,2977,2232,1703,1530,1477,1376,1248,1160,1061,941,865cm
−1 MS(FAB):MH
+ =246
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.55(s,9H,Boc−H),7.55(m,2H,Bn−H),7.93(m,3H,Bn−H in CH),8.24(s,1H,NH) 元素分析:C
13 H 15 N 3 O 2の算出値:C,63.66;H,6.16;N,17.13,実験値(found)C,63.38;H,6.18;N,17.09 〔実施例7〕
第3−ブチル2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジン【0093】
【化29】
【0094】
第3−ブチル2−(3−シアノベンジリデン)−1−カルボン酸ヒドラジン(60.0mmol)をMeOH(250mL)に溶かし、10%Pd/C(10w/w%)を添加した。 混合液は6時間水素化された。 触媒は濾過除去され、濾液は減圧環境で濃縮され、油性第3ブチル2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジンを得た。 これを、一晩結晶化した。
【0095】
産量:95%
融解範囲:75−80℃
IR(KBr):3368,2980,2226,1679,1482,1366,1286,1166,793cm
−1 MS(FAB):MH
+ =248
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.47(s,9H,Boc−H),4.04(brs,2H,CH 2 ),4.28(brs,1H,NH),6.09(brs,1H,NH),7.12−7.41(m,4H,Bn−H), 元素分析:C
13 H 17 N 3 O 2・1/4H 2 Oの算出値:C,62.01;H,7.00;N,16.69,実験値(found)C,61.90;H,7.22;N,16.69 〔実施例8〕
第3−ブチル2−(3−シアノベンジル)−2−[(2−メチル−1ピペリジニル)カルボニル]−1−カルボン酸ヒドラジン【0096】
【化30】
【0097】
生成物は、第3−ブチル2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジン、および2−メチルピペリジンから、実施例1に記載の手順を用いて得た。
【0098】
産量:42%
MP:油IR(KBr):3271,2941,2230,1725,1644,1428cm
−1 MS(FAB):MH
+ =373
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.22(d,J=6,8Hz,3H,CH 3 ),1.45(s,9H,Boc),1.45−1.79(m,5H,Pip−H),2.97−3.10(m,1H,Pip−H),3.44−3.54(m,1H,Pip−H),3.63−3.76(m,1H,Pip−H),4.18−4.32(m,1H,Pip−H),4.48(s,2H,CH 2 ),6.30(s,1H,NH),7.46(t,J=7.9Hz,1H,Bn−H),7.56−7.67(m,3H,Bn−H) 〔実施例9〕
2−(3−シアノベンジル)−2−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウム【0099】
【化31】
【0100】
生成物は、第3−ブチル2−(3−シアノベンジル)−2−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−1−カルボン酸ヒドラジンから、実施例2に記載の手順を用いて得た。
【0101】
産量:91%
MP:135−137℃
IR(KBr):3429,2949,2229,2708,2230,1694,1526,1420cm
−1 MS(FAB):MH
+ =273
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.23(d,J=6,8Hz,3H,CH 3 ),1.40−1.51(m,1H,Pip−H),1.52−1.79(m,5H,Pip−H),2.98−3.10(m,1H,Pip−H),3.60−3.79(m,1H,Pip−H),4.25−4.388(m,1H,Pip−H),4.64(s,2H,CH 2 ),7.53(t,J=7.9Hz,1H,Bn−H),7.61−7.76(m,3H,Bn−H),9.60(brs,2H,NH 2 ) 〔実施例10〕
第3−ブチル2−(1−アゼパニルカルボニル(azepanylcarbonyl)−2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジン【0102】
【化32】
【0103】
生成物は、第3−ブチル2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジンとアゼペーン(azepane)から、実施例1に記載の手順を用いて得た。
【0104】
産量:63%
MP:油IR(KBr):3287,2925,2223,1726,1634cm
−1 MS(FAB):MH
+ =373
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.45(s,9H,Boc),1.53−1.62(m,4H,Pip−H 4,5 ),1.69−1.80(m,4H,Pip−H 3,6 ),3.39−3.46(m,4H,Pip−H 2,7 ),4.50(s,2H,CH 2 ),6.25(brs,1H,NH),7.45(t,J=7.9Hz,1H,Bn−H),7.56−7.69(m,3H,Bn−H) 〔実施例11〕
2−(1−アゼパニルカルボニル)−2−(3−シアノベンジル)塩化ヒドラジニウム【0105】
【化33】
【0106】
生成物は、第3−ブチル2−(1−アゼパニルカルボニル)−2−(3−シアノベンジル)−1−カルボン酸ヒドラジンから、実施例2に記載の手順を用いて得た。
【0107】
産量:66%
MP:油IR(KBr):2926,2702,2230,1703,1521cm
−1 MS(FAB):MH
+ =273
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):1.53−1.64(m,4H,Pip−H 4,5 ),1.65−1.81(m,4H,Pip−H 3,6 ),3.38−3.46(m,4H,Pip−H 2,7 ),4.70(s,2H,CH 2 ),7.48−7.64(m,2H,Bn−H),7.69−7.80(m,2H,Bn−H),9.60(brs,2H,NH 2 ) 〔実施例12〕
N'−(3−シアノベンジル)−N'−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド【0108】
【化34】
【0109】
生成物は、2−(3−シアノベンジル)−2−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウム、およびナフタレン−2−塩化スルホニルから、実施例3に記載の手順を用いて得た。
【0110】
産量:14%
MP:116−119℃
IR(KBr)3231,2943,2227,1653cm
−1 MS(FAB):MH
+ =273
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.35−0.55(m,2H,Pip−H),0.75−0.90(m,2H,Pip−H),1.03−1.45(m,6H,Pip−H in CH 3 ),2.54−2.70 in 2.75−2.95(m,1H,Pip−H)3.50−3.75 in 3.75−4.00(m,1H,Pip−H),4.31(brd,2H,CH 2 ),7.35−7.70(m,7H,Bn−H in Nph−H),7.75−7.85(m,1H,Nph−H),7.86−8.00(m,3H,Nph−H),8.42(s,1H,Nph−H),(2つの信号セット) 元素分析:C
25 H 26 N 4 O 3 Sの算出値:C,64.91;H,5.67;N,12.11,実験値(found):C,65.07;H,5.58;N,11.93 〔実施例13〕
N'−ヒドロキシ−3−[[1−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−(2−ナフチルスルホニル)ヒドラジノ]メチル]ベンゼンカルボキシミダミド【0111】
【化35】
【0112】
生成物は、N'−(3−シアノベンジル)−N'−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例4に記載の手順を用いて得た。
【0113】
産量:48%
MP:101−103℃
IR(KBr):=3370,2932,1651cm
−1 MS(FAB):MH
+ =496 〔実施例14〕
N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−N'−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド【0114】
【化36】
【0115】
生成物は、2−(3−シアノベンジル)−2−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウム、および6−メトキシ−2−塩化スルホニルナフタレンから、実施例3に記載の手順を用いて得た。
【0116】
産量:26%
MP:169−173℃
IR(KBr):3172,2934,2229,1671,1623cm
−1 MS(FAB):MH
+ =493273
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.47−0.60(m,2H,Pip−H),0.79−0.92(m,2H,Pip−H),1.12−1.50(m,6H,Pip−H in CH 3 ),2.50−2.75 in 2.80−3.15(m,1H,Pip−H),3.55−3.76 in 3.80−3.95(m,1H,Pip−H),3.95 8s,3H,OCH 3 );2.55−2.74(m,1H,Pip−H),3.45−3.65(m,2H,Pip−H),3.84(s,3H,CH 3 ),4.32(brd,2H,CH 2 ),7.28−7.33(m,1H,Nph−H),7.44−7.60(m,5H,Bn−HおよびNph−H),7.75−7.88(m,3H,Nph−H),8.34(d,1H,J=1.88Hz,Nph−H) 〔実施例15〕
N'−ヒドロキシ−3−([2−[(6−メトキシ−2−ナフチル)スルホニル]−1−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]ヒドラジノ]メチル)ベンゼンカルボキシミダミド【0117】
【化37】
【0118】
生成物は、N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−N'−[(2−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例4に記載の手順を用いて得た。
【0119】
産量:45%
MP:172−175℃
IR(KBr):3368,2937,1647,1160cm
−1 MS(FAB):MH
+ =526
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.35−0.50(m,2H,Pip−H),0.79−1.00(m,2H,Pip−H),1.12−1.50(m,6H,Pip−H in CH 3 ),2.40−2.75 in 2.80−3.00(m,1H,Pip−H),3.55−3.76 in 3.80−3.95(m,1H,Pip−H),3.95(s,3H,OCH 3 );4.35(brd,2H,CH 2 ),5.04(s,2H,NH 2 ),7.15−7.65(m,6H,Nph−H in Bn−H),7.74−7.87(m,3H,Nph−H),8.34(s,1H,Nph−H) 元素分析:C
26 H 31 N 5 O 5 S・EtOHの算出値:C,58.83;H,6.52;N,12.25,実験値(found):C,59.41;H,5.96;N,12.09 〔実施例16〕
N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−N'−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジド【0120】
【化38】
【0121】
生成物は、2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウムから、実施例3に記載の手順を用いて得た。
【0122】
産量:50%
MP:169−173℃
IR(KBr):3168,2932,2232,1671cm
−1 MS(FAB):MH
+ =493
1 H NMR(300MHz DMSO−d 6 ):0.15−0.40(m,2H,Pip−H),0.53(d,3H,J=6.0Hz,CH 3 ),1.25−1.39(m,3H,Pip−H),2.25−2.38(m,1H,Pip−H),2.55−2.74(m,1H,Pip−H),3.45−3.65(m,2H,Pip−H),3.84(s,3H,CH 3 ),4.32(brd,2H,CH 2 ),7.28−7.33(m,1H,Nph−H),7.44−7.54(m,3H,Bn−HおよびNph−H),7.60(d,1H,J=1.88Hz,Bn−H),7.60−7.76(m,2H,Bn−HおよびNph−H),7.94(d,1H,J=8.66Hz,Nph−H),8.05(d,1H,J=8.66Hz,Nph−H),8.34(d,1H,J=1.88Hz,Nph−H 1 ),9.46(s,1H,NH) 〔実施例17〕
N'−ヒドロキシ−3−([2−[(6−メトキシ−2−ナフチル)スルホニル]−1−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]ヒドラジノ]メチル)ベンゼンカルボキシミダミド【0123】
【化39】
【0124】
生成物は、N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−N'−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例4に記載の手順を用いて得た。
【0125】
産量:36%
MP:154−156℃
IR(KBr):3473,3365,2950,1646cm
−1 MS(FAB):MH
+ =526
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.30(brd,3H,Pip−H),0.58(d,3H,J=6.0Hz,CH 3 ),1.26(brd,3H,Pip−H),2.45(brs,1H,Pip−H),2.63(brd,1H,Pip−H),3.74(brd,2H,Pip−H),3.97(s,3H,OCH 3 ),4.34(brd,2H,CH 2 ),4.94(s,2H,NH 2 )7.17−7.35(m,4H,Nph−HおよびBn−H),7.49−7.55(m,2H,Bn−H),7.77−7.89(m,4H,Bn−HおよびNph−H),8.35(m,1H,Bn−H),8.65(brs,1H,NH),9.02(s,1H,OH) 〔実施例18〕
イミノ[3−([2−[(6−メトキシ−2−ナフチル)スルホニル]−1−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]ヒドラジノ]メチル)フェニル]塩化メタナミニウム【0126】
【化40】
【0127】
生成物は、N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−N'−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例5に記載の手順を用いて得た。
【0128】
産量:26%
MP:151−154℃
IR(KBr):3054,1677,1624cm
−1 MS(FAB):MH
+ =510
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.28(brd,3H,Pip−H),0.54(d,3H,J=6.0Hz,CH 3 ),1.27(brd,3H,Pip−H),2.45(brs,1H,Pip−H),2.64(brs,1H,Pip−H),3.66(brs,2H,Pip−H),3.95(s,3H,OCH 3 ),4.32(m,2H,CH 2 ),7.16−7.28(m,2H,Nph−H),7.36−7.40(m,2H,Bn−H 2,6 ),7.73−7.87(m,4H,Bn−H 5およびNph−H),7.95(m,1H,Bn−H 4 ),8.78(brs,2H,NH 2 ),8.16(brs,2H,NH 2 ) 〔実施例19〕
N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−2−ナフタレンスルホノヒドラジド【0129】
【化41】
【0130】
生成物は、N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−2−ナフタレンスルホノヒドラジド、およびナフタレン−2−塩化スルホニルから、実施例3に記載の手順を用いて得た。
【0131】
産量:43%
MP:128−130℃
IR(KBr):3190,2942,2223,1674cm
−1 MS(FAB):MH
+ =463
1 H NMR(300MHz DMSO−d 6 ):0.63−1.40(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.90−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 )4.35(brd,2H,CH 2 ),7.45−5.55(m,2H,Nph−H in Bn−H),7.50−7.75(m,5H,Nph−H in Bn−H),8.02−8.15(m,3H,Nph−H),8.45(s,1H,Nph−H),9.56(s,1H,NH) 元素分析:za C
25 H 26 N 4 O 3 Sの算出値:C,64.91;H,5.67;N,12.11,実験値(found):C,64.65;H,5.78;N,12.10 〔実施例20〕
3−[[1−(1−アゼパニルカルボニル)−2−(2−ナフチルスルホニル)ヒドラジノ]メチル]−N'−ヒドロキシベンゼンカルボキシミダミド【0132】
【化42】
【0133】
生成物は、N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例4に記載の手順を用いて得た。
【0134】
産量:79%
MP:152−155℃
IR(KBr):3365,2924,1646cm
−1 MS(FAB):MH
+ =496
1 H NMR(300MHz DMSO−d 6 ):0.65−1.40(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.90−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 ),4.34(brd,2H,CH 2 )5.87(brs,2H,NH 2 ),7.45−5.55(m,2H,Nph−H in Bn−H),7.50−7.75(m,5H,Nph−H in Bn−H),8.02−8.15(m,3H,Nph−H),8.45(s,1H,Nph−H),9.35(brd,1H,NH),9.67(brs,1H,OH) 〔実施例21〕
(3−[[1−(1−アゼパニルカルボニル)−2−(2−ナフチルスルホニル)ヒドラジノ]メチル]フェニル)(イミノ)塩化メタナミニウム【0135】
【化43】
【0136】
生成物は、N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例5に記載の手順を用いて得た。
【0137】
産量:36%
MP:151−154℃
IR(KBr):3374,3054,2926,1654,1420,1160cm
−1 MS(FAB):MH
+ =480
1 H NMR(300 DMSO−d 6 ):0.60−1.45(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.90−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 ),4.40(brd,2H,CH 2 ),7.44(d,J=8,3Hz,2H,Bn−H 2,6 ),7.62−7.80(m,5H,Bn−H 3,5 in Nph−H)8.02−8.18(m,3H,Nph−H),8.45(s,1H,Nph−H),9.09(s,2H,NH 2 ),9.35(s,1H,NH) 〔実施例22〕
N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−2−ナフタレンスルホノヒドラジド【0138】
【化44】
【0139】
生成物は、2−(3−シアノベンジル)−2−[(4−メチル−1−ピペリジニル)カルボニル]塩化ヒドラジニウムから、実施例3に記載の手順を用いて得た。
【0140】
産量:15%
MP:128−130℃
IR(KBr):3169,2939,2229,1670cm
−1 MS(FAB):MH
+ =493
1 H NMR(300MHz DMSO−d 6 ):0.65−1.50(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.85−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 ),3.91(s,3H,OCH 3 )4.35(brd,2H,CH 2 ),7.28−7.32(m,1H,Bn−H),7.42−7.52(m,3H,Bn−H in Nph−H),7.60(brs,1H,Nph−H),7.66−7.71(m,2H,Nph−H),7.92(d,1H,J=8.7,Nph−H),8.04(d,1H,J=8.7,Nph−H),8.33(d,1H,J=1.5,Nph−H),9.44(s,1H,NH) 元素分析:C
26 H 28 N 4 O 4 Sの算出値:C,63.14;H,6.11;N,11.33,実験値(found):C,63.26;H,5.87;N,11.06 〔実施例23〕
3−([1−(1−アゼパニルカルボニル)−2−[(6−メトキシ−2−ナフチル)スルホニル]ヒドラジノ]メチル)−N'−ヒドロキシベンゼンカルボキシミダミド【0141】
【化45】
【0142】
生成物は、N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例4に記載の手順を用いて得た。
【0143】
産量:24%
MP:173−175℃
IR(KBr):3459,3368,2932,1648cm
−1 MS(FAB):MH
+ =526
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.65−1.50(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.85−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 ),3.97(s,3H,OCH 3 )4.35(s,2H,CH 2 ),4.95,(s,1H,NH)7.28−7.32(m,1H,Bn−H),7.42−7.52(m,3H,Bn−H in Nph−H),7.60(brs,1H,Nph−H),7.66−7.71(m,2H,Nph−H),7.92(d,1H,J=8.7Hz,Nph−H),8.04(d,1H,J=8.7Hz,Nph−H),8.33(d,1H,J=1.5Hz,Nph−H),8.10(brs,1H,NH),8.35(s,1H,OH) 元素分析:C
26 H 31 N 5 O 5 Sの算出値:C,59.18;H,6.30;N,13.27,実験値(found):C,59.68;H,6.16;N,12.88 〔実施例24〕
[3−([1−(1−アゼパニルカルボニル)−2−[(6−メトキシ−2−ナフチル)スルホニル]ヒドラジノ]メチル)フェニル](イミノ)塩化ミタナミニウム【0144】
【化46】
【0145】
生成物は、N'−(1−アゼパニルカルボニル)−N'−(3−シアノベンジル)−6−メトキシ−2−ナフタレンスルホノヒドラジドから、実施例5に記載の手順を用いて得た。
【0146】
産量:21%
MP:151−154℃
IR(KBr):3057,2929,1677,1623,1474,1157cm
−1 MS(FAB):MH
+ =510
1 H NMR(300MHz CDCl 3 ):0.65−1.40(m,8H,Pip−H 3,4,5,6 ),2.95−3.20(m,4H,Pip−H 2,7 ),3.97(s,3H,OCH 3 )4.35(brs,2H,CH 2 ),7.44(d,J=8,3Hz,2H,Bn−H 2,6 ),7.62−7.80(m,5H,Bn−H 3,5 in Nph−H),8.02−8.18(m,3H,Nph−H),8.45(s,1H,Nph−H),9.03(s,2H,NH 2 ),9.35(s,2H,NH 2 ) 選択された化合物の生物インビトロテストの結果【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
〔実施例27〕
選択された化合物の生物インビトロテストの結果【0150】
【表3】
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