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ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れた脂環式ジカルボン酸の金属塩、該脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法

专利类型 发明专利 法律事件
专利有效性 有效专利 当前状态
申请号 JP2021211216 申请日 2021-12-24
公开(公告)号 JP7122640B2 公开(公告)日 2022-08-22
申请人 新日本理化株式会社; 申请人类型 企业
发明人 岩崎 祥平; 松本 和也; 井上 光子; 篠田 佑里恵; 北川 幸緒; 内山 陽平; 第一发明人 岩崎 祥平
权利人 新日本理化株式会社 权利人类型 企业
当前权利人 新日本理化株式会社 当前权利人类型 企业
省份 当前专利权人所在省份: 城市 当前专利权人所在城市:
具体地址 当前专利权人所在详细地址:京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 邮编 当前专利权人邮编:
主IPC国际分类 C07C61/08 所有IPC国际分类 C07C61/08
专利引用数量 6 专利被引用数量 0
专利权利要求数量 1 专利文献类型 B2
专利代理机构 专利代理人 弁理士法人WisePlus;
权利要求

【請求項1】 脂環式ジカルボン酸が、シクロヘキサン環に直接結合した1のアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸であり、金属塩が、カルシウム塩であり、シクロヘキサン環を介した前記アルキル置換基と、前記金属塩を構成するオキシカルボニル基との立体異性体中、シス異性体のモル比率が、90%以上であり、前記アルキル置換基が、メチル基又はtert-ブチル基であり、前記アルキル置換基の位置が、シクロヘキサン環の4位である脂環式ジカルボン酸の金属塩。

说明书全文

【技術分野】

【0001】 本発明は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れており、その結果、加工条件に依存することなく、ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤としての本質的な性能である結晶性の改善効果に非常に優れた脂環式ジカルボン酸の金属塩に関するものである。詳しくは、ポリオレフィン系樹脂に配合することによりポリオレフィン系樹脂の結晶化速度、即ち結晶化温度を著しく向上することのできるポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れた特定の構造の脂環式ジカルボン酸の金属塩、及び該金属塩を含む結晶核剤、更には該結晶核剤を配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物並びに該樹脂組成物を原料とするポリオレフィン系樹脂成形体に関する。

【背景技術】

【0002】 ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、安価でバランスの良い性能を有し、汎用のプラスチックとして様々な用途で使用されている。また、一般的に結晶性の樹脂の場合、その結晶性を改良することにより、例えば、成形加工性を改善することや得られた成形品の機械的特性や熱的特性、光学的特性を向上することが可能あることが広く知られており、ポリオレフィン系樹脂の場合も同様である。

【0003】 ポリオレフィン系樹脂の結晶性を改良する方法には、樹脂の構造・組成を制御する方法も広く検討されており、実際に実用化されているが、添加剤を配合する方法が、簡易でより実用的な方法として広く用いられている。結晶核剤は、樹脂の結晶性を改良することのできる代表的な添加剤であり、これまでも様々な検討がなされ、タルク等の無機化合物、ジアセタール化合物、リン酸エステルの金属塩、カルボン酸やスルホン酸の金属塩等の有機化合物等の結晶核剤が様々な結晶性の樹脂で検討され、実用化されている。

【0004】 上記結晶核剤のなかでも、カルボン酸の金属塩が優れた核剤効果を有することが古くから知られている。その代表的なものとしては、安息香酸のナトリウム塩やp-tert-ブチル安息香酸のヒドロキシアルミニウム塩等が挙げられ、様々な用途で広く使われてきた(特許文献1、2、非特許文献1、2)。

【0005】 また、最近では、ヘキサヒドロフタル酸や添ナジック酸のカルシウム塩やナトリウム塩等の脂環式カルボン酸の金属塩が、熱可塑性樹脂の結晶核剤として優れた効果を有することは報告されている(特許文献3~7)。

【0006】 上記金属塩系の結晶核剤は、通常樹脂に溶解することなく、樹脂中に分散することにより結晶核剤として効果を発揮する。また、樹脂の核形成は結晶核剤との接触面で発生することが知られている。従って、金属塩系等の分散タイプの結晶核剤の効果は、樹脂との接触面が広いほど、即ち結晶核剤の粒子が細かいほど、核剤としての効果が優れている、しかし、金属塩系の結晶核剤の場合、二次凝集性があり、粒子が細かくなると二次凝集して、樹脂中での分散性が悪く、加工条件によっては分散不良となり、十分な性能が得られない傾向があり、その改善が必要であった。

【0007】 これまでにも、その改善のために、様々な検討が行われてきた。例えば、上記脂環式カルボン酸の場合には、ワックスや脂肪酸石鹸、シリコン等の添加剤を併用することにより樹脂中での分散性を改善する方法等が提案されている(特許文献8~10)。また、上記リン酸エステルの金属塩の場合には、脂肪酸石鹸等の添加剤を併用することにより樹脂中での分散性を改善する方法等が提案されている(特許文献11~13)。

【0008】 しかし、上記の様な他の添加剤の併用系では、本質的な改善効果は得られず、従って、加工条件によっては、十分な性能が得られていないのが現状である。また、用途によっては、併用する添加剤に制約があり、また、場合によっては結晶核剤を配合する本来の目的である結晶性の改善効果を低下させる懸念があり、その改善が望まれている。

【0009】 また、近年、様々な用途で、コスト削減や軽量化等の目的でプラスチックへの切り替えが進んでおり、なかでもポリオレフィン系樹脂は安価でかつ軽量であることより最も有用な材料として注目されている。その中でも、自動車用途は、最近の環境問題より低燃費化の要求が強く、最もポリオレフィン系樹脂の使用が進んでいる分野である。最近では小型部材にとどまらず、大型部材にもポリオレフィン系樹脂を使われるようになっており、その様な分野では、これまでに知られている結晶核剤による結晶性の改善では必ずしも十分とは言えず、更なる結晶性の改善が望まれている。

【0010】 また、上記金属塩系の核剤の問題として、他の添加剤、例えば、充填剤であるタルクや残存する重合触媒の中和剤であるステアリン酸カルシウム等との相性が悪く、その様な添加剤との併用系では十分な性能を発揮することができないケースが多く、実用化の大きな障害となっている。

【0011】 例えば、上記自動車部材の中でもバンパー等の安全性に係る部材では、優れた剛性や強度等の機械的性能が必要であり、ポリオレフィン系樹脂単独で十分な機械的性能を得ることが難しく、タルク等の充填剤を配合する処方が一般的である。近年、上述の様に軽量化の要求が強く、充填剤の配合量を可能な限り少なくする傾向が一般的となってきている。しかし、充填剤の配合量を少なくすると機械的性能等の性能低下は避けられず、その改善が大きな課題であった。上述の通り、結晶核剤は、ポリオレフィン系樹脂の結晶性や機械的強度を向上することが可能であり、上記の機械的性能等の性能低下を結晶核剤の配合で補うことが検討され、実際に使われている。しかし、従来の結晶核剤の多くは、充填剤との併用系では十分な効果を発揮することが難しく、近年益々厳しくなってきている軽量化の要求に対応することが難しいのが現状である。従って、タルク等の充填剤との併用系で優れた効果を発揮する結晶核剤の開発が強く望まれている。

【先行技術文献】

【0012】

米国特許第3207737号明細書

米国特許第3207739号明細書

特表2004-525227号公報

特表2004-524417号公報

特表2004-531613号公報

特表2007-509196号公報

特開2012-97268号公報

特表2016-501961号公報

国際公開第2007/044122号

国際公開第2008/005143号

特開2003-313444号公報

特開2005-120237号公報

国際公開第2007/039997号

【0013】 J.Appl.Poly.Sci.,11,673-685(1967)Polymer,11(5)、253-267(1970)

【発明の概要】

【0014】 本発明は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れており、その結果、加工条件に依存することなく、ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤としての本質的な性能である結晶性の改善効果に非常に優れた脂環式ジカルボン酸の金属塩、該脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法及び該脂環式ジカルボン酸の金属塩を含むポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤、更に該結晶核剤と脂肪酸の金属塩とを含んでなるポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物、また、該結晶核剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物、並びに、該ポリオレフィン系樹脂組成物を原料とするポリオレフィン系樹脂成形体を提供することを目的とする。

【0015】 本発明者らは、上述の状況に鑑み、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の構造の脂環式ジカルボン酸の金属塩が、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れ、加工条件に依存することなく、ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤としての本質的な性能である結晶性の改善効果に非常に優れていることを見出し、また、上記特定の構造の脂環式ジカルボン酸の金属塩に更に特定の構造の脂肪酸の金属塩加えることにその効果をより一層向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。

【0016】 即ち、本発明は以下に示すポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤として非常に優れた脂環式ジカルボン酸の金属塩及びその製造方法、更には、該脂環式ジカルボン酸の金属塩を含む結晶核剤及び結晶核剤組成物、並びに、該結晶核剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物及び該樹脂組成物を原料とするポリオレフィン系樹脂成形体を提供するものである。

【0017】 本発明は、脂環式ジカルボン酸が、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸であり、かつ、金属塩が、カルシウム塩、ヒドロキシアルミニウム塩、二ナトリウム塩、又は、二リチウム塩である脂環式ジカルボン酸の金属塩である。

【0018】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、上記アルキル置換基が、炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。

【0019】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、上記アルキル置換基が、メチル基又はtert-ブチル基であることが好ましい。

【0020】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、上記アルキル置換基の位置が、シクロヘキサン環の3位又は4位であることが好ましい。

【0021】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、上記金属塩が、カルシウム塩又は二ナトリウム塩であることが好ましい。

【0022】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、シクロヘキサン環を介した上記アルキル置換基と、上記金属塩を構成するオキシカルボニル基との立体異性体中、シス異性体のモル比率が、70%以上であることが好ましい。

【0023】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法は、上記脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法であって、炭素数5~8の共役ジエン化合物と無水マレイン酸を反応させて、アルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る工程1、上記工程1で得られたアルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を水素化して、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る工程2、及び、上記工程2で得られたアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体と、金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させて、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の金属塩を得る工程3を具備する。

【0024】 本発明の結晶核剤は、上記本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩又は上記本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法で得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩を含む。

【0025】 本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤と、分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩とを含んでなる。

【0026】 本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物は、上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を形成する金属種が、リチウム、マグネシウム、アルミニウム又は亜鉛であることが好ましい。

【0027】 本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤と、ポリオレフィン系樹脂とを含む。

【0028】 本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を含んでなる。

【0029】 本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を原料とする。

【0030】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に非常に優れており、本発明の結晶核剤、即ち本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩を含んでなる結晶核剤をポリオレフィン系樹脂に配合することによりポリオレフィン系樹脂の結晶化速度、即ち結晶化温度を著しく向上することができる。その結果、特に大型部材等における成形サイクルが大きく短縮され、コストダウンや加工時のトラブル防止等に非常に有効である。更に、ポリオレフィン系樹脂の結晶性を改善することにより、得られたポリオレフィン系樹脂成形体の剛性等の機械的性能、透明性等の光学的性能、耐熱性等の熱的性能が向上するだけでなく、ひけやそりが少なくなり、複雑な形状のポリオレフィン系樹脂成形体も安定して製造可能となる。更に、本発明の結晶核剤はタルク等の充填剤との併用系でもその効果が低減することなく、優れた効果を発揮することが可能である。また、本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に非常に優れているだけでなく、ステアリン酸カルシウム等の他の添加剤を併用した系でも安定した性能を得ることができる。

【発明を実施するための形態】

【0031】 <脂環式ジカルボン酸の金属塩>

本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩は、特定の構造の脂環式ジカルボン酸と特定の金属種との金属塩であることを特徴とする。

【0032】 [脂環式ジカルボン酸]

本発明の脂環式ジカルボン酸は、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸である。上記アルキル置換基は、炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロプル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はtert-ブチル基が、結晶化の改善効果の観点より、特に推奨される。

【0033】 上記アルキル置換基の位置は、シクロヘキサン環の3位又は4位であることが好ましく、どちらの位置に置換されていても良い。特に好ましいアルキル置換基の位置は、置換されているアルキル置換基と金属塩を形成する金属種の種類により、適宜選択される。

【0034】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の最大の特徴は、上述の通り、ポリオレフィン系樹脂中での分散性に優れ、その結果、加工条件に依存することなく、ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤としての本質的な性能である結晶性の改善効果を発揮することである。これは、シクロヘキサン環に置換された上記特定の構造のアルキル基が結晶核剤としての性能、即ち結晶性の改善効果を損なうことなく、ポリオレフィン系樹脂中での分散性を大きく改善する効果を示すことにより、上記特徴を得ることが可能となったものである。一般に、置換された非極性のアルキル基は、同じく非極性のポリマーであるポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる効果があるが、逆に相溶性が良くなりすぎると結晶性の改善等の核剤としての効果が低下する傾向にあると言われており、本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩においても特定の構造のアルキル基で置換することで、初めてポリオレフィン系樹脂中での分散性と結晶性の改善効果を同時に満足させることが可能となった。

【0035】 [金属塩]

本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩を形成する金属種は、本発明の効果を奏することができる金属種であれば、どの様な金属種でも良いが、実用面や性能面から総合的に判断した場合、カルシウム、アルミニウム、ナトリウム及びリチウムからなる群より選ばれた一種であることが好ましい。これらの中でも、結晶性改善効果の観点より、カルシウム又はナトリウムであることがより好ましい。

【0036】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の具体的な態様としては、例えば、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、3-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、3-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、3-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、3-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、3-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、3-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、3-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、3-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、3-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウムの塩、3-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、3-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、3-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-エチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-イソプロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-n-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩、4-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩、4-イソブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二リチウム塩等が例示され、中でも好ましい態様としては、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の二ナトリウム塩、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のカルシウム塩等が挙げられる。

これらの中でも、脂環式ジカルボン酸の金属塩は、結晶性改善効果の観点より、カルシウム塩又は二ナトリウム塩のものが好ましい。

【0037】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩には、シクロヘキサン環を介したアルキル置換基と、金属塩を構成するオキシカルボニル基とが同方向を向いているシス異性体と異方向を向いているトランス異性体の2種類の立体異性体が存在する。本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩においては、本発明の効果を奏する限り、その異性体の構造に依存するものではなく、シス異性体、トランス異性体及びその混合物の何れであっても良いが、結晶性改善の効果の観点より、シス異性体がリッチであることが望ましく、例えば、上記立体異性体中、シス異性体のモル比率が、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上であることが推奨される。

なお、上記シクロヘキサン環を介したアルキル置換基と、金属塩を構成するオキシカルボニル基との立体異性体において、シス異性体とは、シクロヘキサン環が有するアルキル置換基と、金属塩を構成する2つのオキシカルボニル基とが全て同方向を向いていることを意味する。

【0038】 上記シス異性体のモル比率を測定する方法の一例としては、後述する本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法における工程2で得られた脂環式ジカルボン酸又はその誘導体の立体異性体をガスクロマトグラフィー(GC)によって測定し、面積百分率法により各ピークの面積割合を算出し、[(シス異性体の面積割合)/(シス異性体の面積割合+トランス異性体の面積割合)]×100により求めることができる。

なお、後述する本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法における工程3の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体と、金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させる工程の前後において立体異性体中のシス異性体のモル比率は変化しない。

【0039】 また、上記ガスクロマトグラフィー(GC測定)における各々のリテンションタイムに対応する化合物が上述した脂環式ジカルボン酸又はその誘導体であること、及び、そのシス異性体又はトランス異性体であることは、核磁気共鳴分光分析(NMR分析)及び赤外線分光分析(IR分析)を測定することで特定することができる。

例えば、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物の核磁気共鳴分光分析(NMR分析)では、得られた2次元NMRスペクトルにおける1.4ppm付近に存在するシクロヘキサン環が有するアルキル基の置換部分のメチン水素と、3.2ppm付近に存在する酸無水物の付け根部分のメチン水素の核オーバーハウザー効果(NOE)から異性体構造を特定することができ、NOEが観測される方がシス異性体のピーク、NOEが観測されない方がトランス異性体のピークと帰属することができる。

なお、脂環式ジカルボン酸又はその誘導体と、金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させる工程後に、赤外線分光分析(IR分析)及び誘導結合プラズマ分析(ICP分析)を行い、元素固有のスペクトルを特定し、その発光強度を測定することにより、目的とする脂環式ジカルボン酸の金属塩が得られたことを確認することができる。

【0040】 上記ガスクロマトグラフィー(GC測定)、核磁気共鳴分光分析(NMR分析)及び赤外線分光分析(IR分析)及び誘導結合プラズマ分析(ICP分析)は、例えば、後述する実施例に記載の条件により好適に測定することができる。

【0041】 また、本発明の脂環式カルボン酸の金属塩には、金属塩を構成する2つのオキシカルボニル基が同方向を向いているシス異性体と異方向を向いているトランス異性体の2種類の立体異性体が存在するが、本発明においては、本発明の効果を奏する限り、その異性体の構造に依存するものではなく、シス異性体、トランス異性体及びその混合物の何れであっても良いが、結晶性改善の効果の観点より、シス異性体であることが好ましい。

【0042】 <脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法>

本発明の脂環式ジカルボン酸の製造方法は、本発明の効果を奏する限り、特に制限されないが、例えば、(a)アルキル置換基を有するフタル酸無水物又はその誘導体を水素化してアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得て、更にそれを金属塩にする方法や、(b)ディールズ・アルダー法等で得られたアルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を水素化して、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得、更にそれを金属塩にする方法等で容易に製造することができる。以下に好ましい例の1つとして、(b)法の具体的な例の詳細を記載する。

【0043】 工程1:炭素数5~8の共役ジエン化合物と無水マレイン酸を反応させて、アルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る。

工程2:工程1で得られたアルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を水素化して、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る。

工程3:工程2で得られたアルキル置換シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体と金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させて、本発明のアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の金属塩を得る。

【0044】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法は、上記工程1~3を具備する。

すなわち、炭素数5~8の共役ジエン化合物と無水マレイン酸を反応させて、アルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る工程1、上記工程1で得られたアルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を水素化して、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を得る工程2、及び、上記工程2で得られたアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体と、金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させて、アルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の金属塩を得る工程3を具備する脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法もまた、本発明の一態様である。

【0045】 上記炭素数5~8の共役ジエン化合物としては、例えば、2-メチル-1、3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1、3-ブタジエン、2-ブチル-1、3-ブタジエン、2-tert-ブチル-1、3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン(ピペリレン)、1,3-ヘキサジエン、2,4-ヘキサジエン、2,4-ヘプタジエン、2,4-オクタジエン等が挙げられる。

また、上記金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物としては、カルシウム、アルミニウム、ナトリウム及びリチウム等の金属種の酸化物、水酸化物又は塩化物等が挙げられる。

上記工程1の炭素数5~8の共役ジエン化合物と無水マレイン酸を反応させる方法、上記工程2のアルキル置換基を有する4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又はその誘導体を水素化する方法、上記工程3のアルキル置換基を有するシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の金属塩を得る方法としては特に限定されず、公知の方法を適宜選択して用いることができる。

【0046】 <ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤>

本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤は、上記本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩又は上記本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩の製造方法で得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩を含むことを最大の特徴とする。

【0047】 本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤の粒子形状は、本発明の効果を奏する限り、特に制限はないが、本発明の結晶核剤が、分散タイプの結晶核剤であることを考えると、上述の通り、二次凝集により樹脂中での分散性が悪化しない程度に粒子の大きさが小さいほど、樹脂との接触面が広くなり、より少量で、より優れた核剤としての性能を発揮できる可能性がある。従って、核剤性能の観点より、レーザー回折式粒度分布測定により求めた粒径の平均値が、100μm以下、好ましくは50μm、より好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下であることが推奨される。また、分散性の観点より、上述の通り、レーザー回折式粒度分布測定により求めた粒径の平均値が、0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μ以上であることが推奨される。

【0048】 <ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物>

また、本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の結晶核剤以外のその他の結晶核剤や一般的にポリオレフィン系樹脂に使われている各種添加剤を含有させる処方で調製された結晶核剤組成物として用いることもできる。

これらの中でも、脂肪酸の金属塩は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性をより一層向上させる効果が期待され、好ましく用いられる処方である。

その場合、結晶核剤組成物中に占める本発明の結晶核剤と脂肪酸の金属塩との比率(結晶核剤の質量/脂肪酸金属塩の質量)は、5/1~1/4、好ましくは4/1~1/3、より好ましくは3/1~1/2、特に好ましくは2/1~1/1の範囲であることが推奨される。

【0049】 [脂肪酸の金属塩]

上記の結晶核剤組成物に用いられる脂肪酸の金属塩としては、上記分散性の改善効果等の観点より、分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩であることが推奨される。

上記ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤と、上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩とを含んでなるポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物もまた、本発明の一態様である。

【0050】 上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を構成する脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。これらの中でもラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸又はベヘン酸が推奨され、特にステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸が最も推奨される。

【0051】 また、上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を形成する金属種としては、具体的に、リチウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、アルミニウム、カリウム、ストロンチウム、亜鉛等が挙げられる。これらの中でもリチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛が推奨され、特にリチウム、亜鉛が最も推奨される。

【0052】 <ポリオレフィン系樹脂組成物>

本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤と、ポリオレフィン系樹脂とを含むことを最大の特徴とする。

【0053】 本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤とポリオレフィン系樹脂とを、必要に応じてその他のポリオレフィン系樹脂用添加剤を加えて、室温にてドライブレンド後、所定の条件にて溶融混合することにより、容易に得ることができる。

【0054】 また、上記ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤に、必要に応じてその他のポリオレフィン系樹脂用の添加剤を配合して、ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤組成物を調製して、該組成物とポリオレフィン系樹脂とを、室温にてドライブレンド後、所定の条件にて溶融混合することによって、得ることもできる。

【0055】 ポリオレフィン系樹脂組成物中の上記ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤の含有量は、結晶核剤としての効果を奏する限り、特に制約はないが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001~10質量部、より好ましくは0.01~5質量部であることが推奨される。

【0056】 [ポリオレフィン系樹脂]

上記ポリオレフィン系樹脂としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されることなく、従来公知のポリオレフィン系樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等が例示される。より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上、好ましくは70重量%以上のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。また、上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。更に、これらの樹脂の立体規則性がある場合は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等の炭素数2~12のα-オレフィン、1,4-エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示される。

【0057】 かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系、メタロセン触媒等も使用できる。

【0058】 本発明に係るポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210-1999)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常0.01~200g/10分程度、好ましくは0.05~100g/10分程度が推奨される。

【0059】 [その他の添加剤]

また、上述の通り、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、その使用目的やその用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲でその他のポリオレフィン系樹脂用添加剤が含まれていてもよい。

【0060】 上記ポリオレフィン系樹脂用添加剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(2004年9月)に記載されている各種添加剤が挙げられる。具体的には、蛍光増白剤(2,5-チオフェンジイル(5-t-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)、4,4’-ビス(ベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン等)、酸化防止剤、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8~22の高級脂肪酸、炭素数8~22の高級脂肪酸金属(Al、Ca等)塩、炭素数8~22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4~22の高級脂肪酸と炭素数4~18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8~22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発泡助剤、ポリマー添加剤、可塑剤(ジアルキルフタレート、ジアルキルヘキサヒドロフタレート等)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料(インディゴ化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ウルトラマリン化合物、アルミン酸コバルト化合物等)、加工助剤、中和剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。

通常、金属塩系の核剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物では、滑剤や中和剤として用いられるステアリン酸カルシウム等との併用系では十分な性能を発揮することができないケースが多いが、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物では、ステアリン酸カルシウム等の存在下においても、十分な性能を発揮することができる。

【0061】 これらの添加剤を使用する場合、その使用量は、本発明の効果を阻害しない限り、通常使用されている範囲で使用すればよいが、例えば、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~100質量部程度、より好ましくは0.001~50質量部程度で使用されるのが一般的である。

【0062】 上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が例示され、具体的な酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のフェノール系酸化防止剤、アルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチアゾール等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、3,9-ビス(2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等の亜リン酸エステル系酸化防止剤等が例示される。中でも、フェノール系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、亜リン酸エステル系の酸化防止剤であるトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、3,9-ビス(2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等が特に推奨される。

【0063】 また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記ポリオレフィン系樹脂用の結晶核剤のポリオレフィン系樹脂中での分散性等の観点より、その他の添加剤として分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を配合する処方が特に推奨される。

【0064】 上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を構成する脂肪酸としては、具体的に、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。これらの中でもラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸が推奨され、特にステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸が最も推奨される。

【0065】 また、上記分子中に少なくとも1個の水酸基を有していても良い炭素数12~22の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩を形成する金属種としては、具体的に、リチウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、アルミニウム、カリウム、ストロンチウム、亜鉛等が挙げられる。これらの中でもリチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛が推奨され、特にリチウム、亜鉛が最も推奨される。

【0066】 <ポリオレフィン系樹脂成形体>

本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を原料とする。

本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を慣用されている成形方法に従って成形することにより得られる。上記成形方法としては、本発明の効果を奏する限り、特に制約はなく、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれも採用できる。

【0067】 かくして得られたポリオレフィン系樹脂成形体は、ポリオレフィン系樹脂の結晶化温度が高く、即ち結晶化速度が速く、その結果、特に大型部材等における成形サイクルが大きく短縮され、コストダウンや加工時のトラブル防止等に非常に有効である。更に、ポリオレフィン系樹脂の結晶性を改善することにより、得られたポリオレフィン系樹脂成形体の剛性等の機械的性能、透明性等の光学的性能、耐熱性等の熱的性能が向上するだけでなく、ひけやそりが少なくなり、複雑な形状のポリオレフィン系樹脂成形体も安定して製造可能となり、成形品やシート、フィルムとして、自動車部材、電気部材、機械部品、日常雑貨等様々な用途で、非常に有用である。

【0068】 以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例中の化合物の略号、及び各特性の測定は以下の通りである。

【0069】 [得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩の分析方法]

(1)ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)

実施例等において得られた脂環式ジカルボン酸又はその誘導体のシクロヘキサン環を介した3位又は4位のアルキル置換基と、金属塩を形成するオキシカルボニル基の立体異性体中のシス異性体のモル比率を、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。その後、面積百分率法により各ピークの面積割合を算出し、脂環式ジカルボン酸の金属塩中のシクロヘキサン環を介した3位又は4位のアルキル置換基と、金属塩を構成するオキシカルボニル基の立体異性体中のシス異性体のモル比率を、[(シス異性体の面積割合)/(シス異性体の面積割合+トランス異性体の面積割合)]×100により求めた。

なお、脂環式ジカルボン酸又はその誘導体と、金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩化物とを反応させる工程の前後において上記立体異性体中のシス異性体のモル比率が変化していないことは、得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩を酸に戻して同様の測定を行った結果との比較により確認した。

また、各々のリテンションタイムに対応する化合物が、脂環式ジカルボン酸又はその誘導体であること、及び、そのシス異性体及びトランス異性体であることは、下記核磁気共鳴分光分析(NMR測定)及び赤外線分光分析(IR分析)で確認した。

《GCの測定条件》

機種:ガスクロマトグラフ GC-2010((株)島津製作所製)

検出器:FID、280℃

カラム:DB-1701(30m×0.25mmφ×0.25μm)

カラム温度:145℃

インジェクション温度:280℃

キャリアガス:ヘリウム(線速度:30cm/sec)

注入量:0.1μl(スプリット比:1/15)

【0070】 (2)核磁気共鳴分光分析(NMR分析)

上記ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)における各異性体の構造を、核磁気共鳴分光分析(NMR分析)により確認した。以下にNMR分析の測定条件を記す。

NMR分析装置:商品名「DRX-500」、Bruker社製

溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)

内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS)

試料管:5mm

1H-NMR・・・共鳴周波数:500.1MHz、積算回数4回

13C-NMR・・・共鳴周波数:125.8MHz、積算回数23回

なお、測定試料は、30mgの試料を0.8mlの溶媒で希釈して調整した。

【0071】 (3)赤外線分光分析(IR分析)

上記ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)における各異性体の構造並びに実施例等で得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩の構造を、赤外線分光分析(IR分析)により確認した。以下にIR分析の測定条件を記す。

FT-IR装置:商品名「Spectrum One」、パーキンエルマー社製、

測定範囲:650~4000cm-1

測定方法:ATR法

積算回数:3回

分解能:4.00cm-1

なお、測定はサンプルを装置のセル上に押し付けて分析を行った。

【0072】 (4)誘導結合プラズマ分析(ICP分析)

実施例等で得られた脂環式ジカルボン酸の金属塩の構造を、誘導結合プラズマ分析(ICP分析)により確認した。以下にICP分析の測定条件を記す。

ICP装置:商品名「iCAP 6500Duo」Thermo Fisher SCIENTIFIC社製、

スプレイチャンバ:サイクロン噴霧器

プラズマ条件:プラズマ/補助/キャリアー=15/1.0/0.6

プラズマ観測方向:アキシャル方向3回

なお、測定はマイクロウェーブ分解法による前処理を行い測定用試料とした。

マイクロウェーブ装置:Anton Paar社製Multiwave PRO

分解条件:試料約0.05gと硝酸(特級)6mLを分解後、蒸留水で希釈して調整した。

【0073】 [ポリオレフィン系樹脂組成物の評価方法]

(5)結晶化温度

示差走査熱量分析装置(パーキンエルマー社製、DSC8500)を用い、JISK7121(1987)に従って測定した。評価用試料には、各実施例・比較例のポリオレフィン系樹脂組成物約6mgを使用した。その試料を装置にセットし、200℃で3分間保持した後、10℃/分の冷却速度で冷却し、吸熱ピークの頂点を結晶化温度(℃)とした。

【0074】 (6)半結晶化時間(T1/2)

示差走査熱量分析装置(同社製)を用い、JISK7121(1987)に従って測定した。評価用試料には、各実施例・比較例のポリオレフィン系樹脂組成物約6mgを使用した。その試料を装置にセットし、200℃で3分間保持した後、750℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、その温度において等温結晶化を行った。等温結晶化工程開始から、時間と熱量との関係図において認められる結晶化に基づく発熱ピークの面積の1/2に到達するまでの所要時間を半結晶化時間(T1/2、秒)とした。

【0075】 [ポリオレフィン系樹脂成形体の評価方法]

(7)曇り度(ヘイズ値)

日本電色工業(株)のヘイズメータ(NDH 7000)を用いて、JISK7136(2000)に準じた方法でヘイズ値(%)を測定した。評価試料には、0.5mm厚み射出成形品のオレフィン系樹脂成形体を使用した。得られたヘイズ値の数値が小さい程、透明性に優れていることを示す。

【0076】 (8)曲げ弾性率及び応

万能材料試験機(インストロン社製)を用い、JISK7171(2016)に準じた方法で曲げ弾性率及び応力を測定した。なお、試験温度は25℃、試験速度は10mm/分とした。

【0077】 [ポリオレフィン系樹脂組成物中での分散性の判定]

下記実施例に記載の練り効果の大きく異なる3通りの混練条件を用いて、結晶核剤をポリオレフィン系樹脂に配合したポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度と半結晶化時間(T1/2)を測定し、練り効果の影響の程度を確認した。

3通りの混練り条件下で得られたポリオレフィン系樹脂組成物の測定結果の値が近いほど、練り効果の影響を少ないことを示している。一般に、ポリオレフィン系樹脂組成物中での分散性に優れるほど、練り効果の影響が小さくなる傾向にある。従って、下記3通りの混練条件下で得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて測定した値の差違が小さいほど、ポリオレフィン系樹脂組成物中での分散性に優れることを示している。

Twin:二軸押出機を用いており、非常に大きな練り効果がある。

Single50:一軸押出機を用いているが、回転数を高くすることにより中程度の練り効果がある。

Single25:一軸押出機を用いており、しかも回転数が低いため練り効果が小さい。

【0078】 [実施例1]

耐圧オートクレーブ中に、無水マレイン酸196g、ラジカル重合禁止剤としてp-tert-ブチルカテコール500ppm及び重合防止向上剤としてジフェニルスルフィド500ppmを仕込み、これを50~55℃の加温下で溶融させた後、系内を0.06容量%の酸素を含む窒素ガス攪拌下に置換した。その後、イソプレン(共役ジエン化合物)140gを50~55℃で6時間かけて連続して添加し、更に70℃で1時間ディールズ・アルダー反応した。反応終了後、85℃で常圧下に、次いで減圧下に蒸留して揮発成分を除去し、4-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物332gを得た。

【0079】 続いて、上記で得られた4-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物100gとパラジウム触媒(パラジウム5%/アルミナ95%)0.2gを耐圧オートクレーブ中に仕込み、水素圧1MPa、温度110℃で、攪拌下に5時間水素化反応した。反応終了後、反応物を遠心分離法で触媒と分離して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物197gを得た。ガスクロマトグラフィー分析及びNMR分析により、得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物のシス異性体のモル比率が85%であることを確認した。

なお、得られた2次元NMRスペクトルにおける1.4ppm付近に存在するシクロヘキサン環が有するアルキル基の置換部分のメチン水素と、3.2ppm付近に存在する酸無水物の付け根部分のメチン水素において、核オーバーハウザー効果(NOE)が観測される方をシス異性体のピークと帰属し、NOEが観測されない方をトランス異性体のピークと帰属した。

【0080】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化カルシウム61g(0.81モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに上記で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物136g(0.81モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物1)168gを得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物1の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0081】 [実施例2]

実施例1で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物を減圧下、120℃で蒸留して、低沸点の留分20gを分別した。ガスクロマトグラフィー分析及びNMR分析により、得られた低沸点の留分のシス異性体のモル比率が99%である4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物であることを確認した。

【0082】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水50mlと水酸化カルシウム6.1g(0.08モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに上記で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物13.6g(0.08モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物2)17.1gを得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物2の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0083】 [実施例3]

実施例1で得られたシス異性体のモル比率が85%の4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物と実施例2で得られたシス異性体のモル比率が99%の4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物を36/64の比率でブレンドし、シス異性体のモル比率が94%の4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物を調製した。

【0084】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水50mlと水酸化カルシウム6.1g(0.08モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに上記で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物13.6g(0.08モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物3)15.9gを得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物3の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0085】 [実施例4]

共役ジエン化合物として、イソプレンの代わりにトランス-1,3-ペンタジエンを用いた以外は、実施例1と同様にディールズ・アルダー反応、後処理を実施して、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物330gを得た。

【0086】 続いて、上記で得られた3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物200gを用いて、実施例1と同様に水素化反応、後処理を実施して、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物198gを得た。ガスクロマトグラフィー分析及びNMR分析により、得られた3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物のシス異性体のモル比率が88%であることを確認した。

なお、得られた2次元NMRスペクトルにおける1.4ppm付近に存在するシクロヘキサン環が有するアルキル基の置換部分のメチン水素と、3.2ppm付近に存在する酸無水物の付け根部分のメチン水素において、核オーバーハウザー効果(NOE)が観測される方をシス異性体のピークと帰属し、NOEが観測されない方をトランス異性体のピークと帰属した。

【0087】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物65g(0.39モル)と、水300ml、水酸化ナトリウム32g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、110℃で減圧乾燥して、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二ナトリウム塩66g(化合物4)を得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物4の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0088】 [実施例5]

耐圧オートクレーブ中に、4-tert-ブチルフタル酸ジメチルエステル30gとロジウム触媒(ロジウム5%/アルミナ95%)1.5g、メタノール120gを仕込み、水素圧3MPa、60℃で4時間攪拌して、水素化反応した。反応終了後、反応物を遠心分離法で触媒と分離して、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジメチルエステル31.7gを得た。

【0089】 続いて、攪拌装置と温度計を設置した4つ口フラスコに10%苛性ソーダ水溶液120g、メタノール50mlを入れ、上記で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジメチルエステル31.7gを滴下後、60℃で3時間加熱撹拌を行った。反応終了後、濃塩酸36.3gで中和し、析出固体を濾別した後、濾別した固体を乾燥して、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸23.8gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸のシス異性体のモル比率が100%であることを確認した。

なお、上記方法により、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸を製造する場合には、シス異性体のみしか得られないことを確認した。

【0090】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化カルシウム61g(0.81モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに上記で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸34.5g(0.15モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物5)37gを得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物5の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0091】 [実施例6]

攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化アルミニウム30.4g(0.39モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに実施例3で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物65g(0.39モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の塩基性アルミニウム塩(化合物6)60gを得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物6の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0092】 [実施例7]

攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、実施例3で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物65g(0.39モル)と、水300ml、水酸化リチウム19.2g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、110℃で減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二リチウム塩60g(化合物7)を得た。IR分析及びICP分析により、得られた化合物7の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0093】 [実施例8]

共役ジエン化合物として、イソプレン140gの代わりに2,3-ジメチルブタジエン169gを用いた以外は、実施例1と同様にディールズ・アルダー反応、後処理を実施して、4,5-ジメチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物350gを得た。

【0094】 続いて、上記で得られた4,5-ジメチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物200gを用いて、実施例1と同様に水素化反応、後処理を実施して、4,5-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物160gを得た。

【0095】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、上記で得られた4,5-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物65g(0.39モル)と、水300ml、水酸化ナトリウム32g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、110℃で減圧乾燥して、4,5-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二ナトリウム塩(化合物8)66gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物8の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0096】 [実施例9]

共役ジエン化合物として、イソプレン140gの代わりに2,4-ヘキサジエン169gを用いた以外は、実施例1と同様にディールズ・アルダー反応、後処理を実施して、3,6-ジメチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物320gを得た。

【0097】 続いて、上記で得られた3,6-ジメチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物200gを用いて、実施例1と同様に水素化反応、後処理を実施して、3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物170gを得た。

【0098】 次に、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、上記で得られた3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物65g(0.39モル)と、水300ml、水酸化リチウム19.2g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、110℃で減圧乾燥して、3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二リチウム塩66g(化合物9)を得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物9の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0099】 [比較例1]

攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、実施例1で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物30g(0.18モル)と、水150ml、水酸化カリウム20.7g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(3L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、110℃で減圧乾燥して、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二カリウム塩33.9g(化合物10)を得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物10の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0100】 [比較例2]

攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水50mlと水酸化カルシウム6.1g(0.08モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに市販の無水cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸(富士フイルム和光純薬(株)製、試薬)12.5g(0.08モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)15.8gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物11の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。

【0101】 [実施例10]

ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=30g/10分(荷重2160g、温度230℃))100質量部、結晶核剤として上記実施例2で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物2)0.1質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。

【0102】 次に、上記で得られたドライブレンド物を用いて、下記3通りの条件・方法にて3種類の練り効果の異なるポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。

Twin:二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製。

Single50:一軸押出機(テクノベル社製 L/D=28、スクリュー径25mm、ダイス径4mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製。

Single25:一軸押出機(テクノベル社製 L/D=28、スクリュー径25mm、ダイス径4mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製。

【0103】 [実施例11]

結晶核剤として、実施例5で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物5)を用いた以外は、実施例10と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。

【0104】 [比較例3]

結晶核剤として、比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例10と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。

【0105】 [0007122640000001.tif]

【0106】 [実施例12]

ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=30g/10分(荷重2160g、温度230℃))100質量部、結晶核剤として上記実施例1で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物1)0.2質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0107】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業(株)製NS40-5A)にて射出成形温度(加熱温度)200℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0108】 [実施例13]

化合物1の代わりに実施例2で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物2)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0109】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0110】 [実施例14]

化合物1の代わりに実施例3で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物3)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0111】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0112】 [実施例15]

化合物1の代わりに実施例4で得られた3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二ナトリウム塩(化合物4)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0113】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0114】 [実施例16]

化合物1の代わりに実施例5で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物5)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0115】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0116】 [実施例17]

化合物1の代わりに実施例6で得られた3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の塩基性アルミニウム塩(化合物6)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0117】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0118】 [実施例18]

化合物1の代わりに実施例7で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二リチウム塩(化合物7)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0119】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0120】 [実施例19]

化合物1の代わりに実施例8で得られた4,5-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二ナトリウム塩(化合物8)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0121】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0122】 [実施例20]

化合物1の代わりに実施例9で得られた3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二リチウム塩(化合物9)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0123】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。

【0124】 [0007122640000002.tif]

【0125】 [比較例4]

化合物1の代わりに比較例1で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二カリウム塩(化合物10)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0126】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0127】 [比較例5]

化合物1の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0128】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0129】 [比較例6]

化合物1の代わりに市販の2,2’-メチレンビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩((株)ADEKA製、アデカスタブ NA-11、以下NA-11と略記する)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0130】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0131】 [比較例7]

化合物1の代わりに市販のp-tert-ブチル安息香酸のヒドロキシアルミニウム塩(以下AL-PTBBAと略記する)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0132】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0133】 [比較例8]

化合物1の代わりに市販の安息香酸のナトリウム塩(以下BA-Naと略記する)を用いた以外は、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0134】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0135】 [比較例9]

結晶核剤を配合しないで、実施例12と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0136】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例12と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。

【0137】 [0007122640000003.tif]

【0138】 [実施例21]

化合物2の配合量を、0.2質量部から0.05質量部に変えた以外は、実施例13と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0139】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例13と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0140】 [実施例22]

化合物2の代わりに実施例5で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物5)を用いた以外は、実施例21と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0141】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例21と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0142】 [比較例10]

化合物2の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例21と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0143】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例21と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0144】 [比較例11]

化合物2の代わりに市販のNA-11を用いた以外は、実施例21と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0145】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例21と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表4に示した。

【0146】 [0007122640000004.tif]

【0147】 [実施例23]

ポリオレフィン系樹脂としてリニア低密度ポリエチレン(MFR=20g/10分(荷重2160g、温度190℃))100質量部、結晶核剤として上記実施例4で得られた3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸二ナトリウム塩(化合物4)0.2質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0148】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製NS40-5A)にて射出成形温度(加熱温度)200℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0149】 [実施例24]

化合物4の変わりに実施例1で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物1)を用いた以外は、実施例23と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0150】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例23と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0151】 [実施例25]

化合物4の代わりに実施例5で得られた4-tert-ブチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物5)を用いた以外は、実施例23と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を合わせて表5に示した。

【0152】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例23と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0153】 [比較例12]

化合物4の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例23と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0154】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例23と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0155】 [比較例13]

化合物4の代わりにNA-11を用いた以外は、実施例23と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0156】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例23と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0157】 [比較例14]

結晶核剤を配合しないで、実施例23と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0158】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例23と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表5に示した。

【0159】 [0007122640000005.tif]

【0160】 [実施例26]

ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=30g/10分(荷重2160g、温度230℃))70質量部、充填剤としてタルク70%マスターバッチ(白石カルシウム(株)製)30質量部、結晶核剤として上記実施例2で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物2)0.1質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0161】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製NS40-5A)にて射出成形温度(加熱温度)200℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及び曲げ応力を測定し、得られた結果を合わせて表6に示した。

【0162】 [比較例15]

化合物2の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0163】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率と曲げ応力を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0164】 [比較例16]

化合物2の代わりにNA-11を用いた以外は、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0165】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率と曲げ応力を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0166】 [比較例17]

結晶核剤を配合しないで、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調整した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0167】 続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例26と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率と曲げ応力を測定し、得られた結果を表6に示した。

【0168】 [0007122640000006.tif]

【0169】 [実施例27]

上記実施例3で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物3)100gとラウリン酸マグネシウム(日東化成工業(株)製、以下「La-Mg」と略記する)50gを、均一に混合(ドライブレンド)して、結晶核剤組成物を得た。

化合物2の代わりに上記で得られた結晶核剤組成物を用いた以外は、実施例10と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0170】 [実施例28]

La-Mgの代わりにラウリン酸亜鉛(日東化成工業(株)製、以下「La-Zn」と略記する)を用いた以外は、実施例27と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0171】 [実施例29]

La-Mgの代わりにステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ混合、日東化成工業(株)製、以下「St-Al」と略記する)を用いた以外は、実施例27と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0172】 [実施例30]

La-Mgの代わりにステアリン酸亜鉛(日東化成工業(株)製、以下「St-Zn」と略記する)を用いた以外は、実施例27と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0173】 [実施例31]

La-Mgの代わりに12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム(日東化成工業(株)製、以下「12HSt-Mg」と略記する)を用いた以外は、実施例27と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0174】 [実施例32]

La-Mgの代わりに12-ヒドロキシステアリン酸Li(日東化成工業(株)製、以下「12HSt-Li」と略記する)を用いた以外は、実施例27と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0175】 [参考例1]

化合物3の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例30と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0176】 [参考例2]

La-Mgを混合せず、化合物3を単独で用いた以外は、実施例27と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表7に示した。

【0177】 [0007122640000007.tif]

【0178】 [実施例33]

上記実施例3で得られた4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物3)100gとラウリン酸マグネシウム(日東化成工業(株)製、以下「La-Mg」と略記する)50gを、均一に混合(ドライブレンド)して、結晶核剤組成物を得た。

ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=30g/10分(荷重2160g、温度230℃))100質量部、結晶核剤として上記で得られた結晶核剤組成物0.1質量部、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製)0.05質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。

続いて、上記で得られたドライブレンド物を用いて、実施例10と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0179】 [実施例34]

La-Mgの代わりにラウリン酸Li(日東化成工業(株)製、以下「La-Li」と略記する)を用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0180】 [実施例35]

La-Mgの代わりにSt-Alを用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0181】 [実施例36]

La-Mgの代わりにSt-Znを用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0182】 [実施例37]

La-Mgの代わりに12HSt-Mgを用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0183】 [実施例38]

La-Mgの代わりに12ヒドロキシステアリン酸アルミニウム(日東化成工業(株)製、以下「12HSt-Al」と略記する)を用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0184】 [実施例39]

La-Mgの代わりに12HSt-Liを用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0185】 [実施例40]

La-Mgの代わりに12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛(日東化成工業(株)製、以下「12HSt-Zn」と略記する)を用いた以外は、実施例33と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0186】 [参考例3]

化合物3の代わりに比較例2で得られたシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸カルシウム塩(化合物11)を用いた以外は、実施例36と同様に実施して、結晶核剤組成物、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0187】 [参考例4]

La-Mgを混合せず、化合物3を単独で用いた以外は、実施例33と同様に実施して、3種類のポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、得られた3種類のポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表8に示した。

【0188】 [0007122640000008.tif]

【産業上の利用可能性】

【0189】 本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩を含む結晶核剤は、ポリオレフィン系樹脂に配合することによりポリオレフィン系樹脂の結晶化速度、即ち結晶化温度を著しく向上することが可能であり、例えば、大型部材等における成形サイクルが約半分に短縮され、その結果、コストダウンや加工時のトラブル防止等に大きく貢献することができる。また、本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩を含む結晶核剤は、結晶性を改善することが可能であり、その結果、得られた成形品の剛性等の機械的性能、透明性等の光学的性能、耐熱性等の熱的性能が向上するだけでなく、ひけやそりが少なくなり、複雑な形状の成形品も安定して製造可能となる。更に、タルク等の充填剤との併用系でも、優れた効果を示すことが可能であり、剛性や強度等の要求される用途でも有効に使用することが可能である。従って、本発明の脂環式ジカルボン酸の金属塩を含む結晶核剤は、上記の様な特徴を活かして、自動車部材、電気部材、機械部品、日用雑貨、衣装等のケース、食品等の容器等、様々な用途で広く使うことができる。

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