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抗FGFR2抗体と他剤の組合せ

阅读:898发布:2023-12-27

专利汇可以提供抗FGFR2抗体と他剤の組合せ专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】癌の治療又は予防に使用される医薬組成物等を提供すること。 【解決手段】 抗体 依存性細胞傷害活性を有し、且つ、線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor:FGFR)に結合する抗体もしくはその機能断片および他剤の組合せ又は該抗体もしくはその機能断片および他剤を含む医薬組成物。 【選択図】なし,下面是抗FGFR2抗体と他剤の組合せ专利的具体信息内容。

抗体依存性細胞傷害活性を有し、且つ、線維芽細胞増殖因子受容体2(fibroblast growth factor receptor2:FGFR2)に結合する抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片であって、 該抗体が、配列表の配列番号52(図60)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号53(図61)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号54(図62)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含むことからなる重鎖、並びに、配列表の配列番号61(図69)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号62(図70)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号63(図71)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含むことからなる軽鎖。配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号21に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)がヒトFGFR2である、請求項1又は2に記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIbに結合する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2の有する免疫グロブリン様ドメインの一つ又は二つ以上に結合する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2の有する免疫グロブリン様ドメイン3に結合する、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIb及び/又はヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIcに対する中和活性を有する、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIbを有する、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。抗腫瘍活性を有する、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。イン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を示す、請求項9に記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。モノクローナル抗体である、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。キメラ抗体である、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト化抗体である、請求項1乃至12のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。請求項1又は2に記載の抗体と、ヒトFGFR2への結合において競合する、抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒト抗体である、請求項1乃至14のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。ヒトFGFR2へのFGFの結合を阻害する、請求項1乃至15のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。抗体依存性細胞媒介食活性を有する、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。請求項1乃至17のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片の修飾体であって、該修飾体がN−結合への糖鎖付加、O−結合への糖鎖付加、N末のプロセッシング、C末のプロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化、プロリン残基のアミド化及び重鎖または軽鎖のカルボキシル末端における1乃至5個のアミノ酸の欠失からなる群より選択される1又は2以上の修飾を含む抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片である、抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。糖鎖修飾が調節されてなる、請求項18に記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。さらなる化合物とコンジュゲートされた、請求項1乃至19のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片。請求項1乃至19のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片を有効成分として含んでなる医薬組成物。癌の治療もしくは予防に使用される、請求項21に記載の医薬組成物。癌がFGFR2陽性である、請求項22に記載の医薬組成物。他の医薬を含む、請求項21乃至23のいずれか一つに記載の医薬組成物。請求項1乃至20のいずれか一つに記載の抗体もしくはその糖鎖修飾を有する抗原結合断片を含んでなる癌の検査用または診断用の組成物。

说明书全文

本発明は、新規な抗体もしくはその機能断片またはその修飾体および他の有効成分の組合せ、該抗体もしくはその機能断片またはその修飾体および他の有効成分を含有する医薬組成物等に関する。

線維芽細胞増殖因子(FGF)はFGFレセプター(FGFR)シグナルを介して、胚形成、組織ホメオスタシスおよび代謝に重要な役割を果たしていることが知られている(非特許文献1)。ヒトでは、22のFGF(FGF1乃至14、および、FGF16乃至23)およびチロシンキナーゼドメインを有する4つのFGFレセプター(FGFR1乃至4:以下まとめて「FGFRs」と呼ぶ)が存在する。FGFRsは、2つあるいは3つの免疫グロブリン様ドメイン(IgD1乃至3)から成るリガンド結合部位を含む細胞外領域、1回膜貫通領域、およびチロシンキナーゼドメインを含む細胞内領域から構成されている。FGFR1、FGFR2およびFGFR3には、IIIbおよびIIIcと呼ばれる各2つのスプライシングバリアントが存在する。これらのアイソフォームはIgD3の後半において約50のアミノ酸配列が異なっており、異なる組織分布およびリガンド特異性を示す。一般に、IIIbアイソフォームは上皮細胞で発現し、IIIcは間葉系細胞で表現することが知られている。FGFsがFGFRsに結合すると、FGFRsは二量体化し、特定のチロシン残基がリン酸化される。この現象がFGFR基質2α(FRS2α)のような重要なアダプター蛋白質のリクルートを促進し、MAPKおよびPI3K/Akt経路を含む、多数のシグナル経路の活性化を誘導する。その結果、FGFsおよびそれらに対応するレセプターは、増殖、分化、運動および生存を含む幅広い細胞機能を制御する。

FGFRsの異常な活性化は、特定のヒトの悪性腫瘍に関わることが知られている(非特許文献1及び2)。特にFGFR2シグナル異常と癌との関連性に関しては、FGFR2とそのリガンドの過剰発現、レセプターの変異や遺伝子増幅、およびアイソフォームのスイッチングなどの知見がある。具体的には、FGFR2のイントロン2内の一塩基変異多型(SNP)は、FGFR2の高発現による乳癌進行の危険性と相関しているとの報告がある(非特許文献3及び4)。FGFR2を恒常的に活性化するミスセンス変異は、子宮内膜癌、卵巣癌、乳癌、癌および胃癌で報告されている(非特許文献2、3及び5)。また、FGFR2遺伝子の増幅や過剰発現が胃癌および乳癌で報告されている(非特許文献2、3及び5)。更に、FGFR2IIIbからFGFR2IIIcへのクラススイッチが前立腺癌や腎癌の進行中に起こり、予後不良と相関することも知られている(非特許文献6及び7)。

以上のように、FGFR2過剰発現あるいは変異、IIIbからIIIcへのスイッチングと多くのタイプの癌との関連性から、FGFR2が癌に対する優れた治療標的となる可能性が示唆されている。実際に腫瘍形成におけるFGFR2の役割を明らかにするとともに、FGFR2の癌治療標的としての可能性を見極めるために、FGFR2に対するモノクローナル抗体が取得され、前臨床試験で抗腫瘍作用が評価されている(非特許文献8及び9)。いずれの抗体もFGFR2IIIbに対するリガンドからのシグナリングを阻害する中和作用を有することは示されているが、ADCCなどのエフェクター作用やIIIcに対する中和作用を有する機能抗体は報告されていない。

また、細胞の増殖、生存を司るレセプターに対し、細胞外領域に作用し、直接増殖シグナルを遮断したり、ADCCを介して抗腫瘍活性を示す抗体と、細胞内のtyrosine kinaseに作用し、そのシグナル伝達を遮断して細胞死に誘導するtyrosine kinase阻害剤(TKI)があるが、同じレセプターに対する薬剤の併用や、異なるレセプターをそれぞれ阻害する薬剤を併用することで抗癌作用を強める方策は以前より行われてきた。

Laptinib (Her2 TKI)とHerceptin (抗Her2抗体)の併用は、乳癌治療において併用効果が認められ、lapatinibの作用によりHer2が細胞表面に蓄積することで、Her2の効果を強めている可能性が示唆されている(非特許文献10)。また、ErbBファミリー全体を阻害するafatinibと、抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブのEGFRの二重阻害においても強い抗癌作用を示すことが明らかとなっている(非特許文献11)。このように、受容体型tyrosine kinaseに対し、それを認識する抗体と、そのtyrosin kinase活性を阻害する低分子薬剤との併用は、強い増殖阻害を引き起こし、有用な治療法に繋がる可能性がある。

しかしながら、FGFRに関して、tyrosine kinase阻害剤と抗FGFR2抗体との併用により、増強される抗癌作用については、これまで明らかではなかった。

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発明が解決しようとする課題 本発明の一つの課題は抗FGFR2抗体および他剤の組合せ、ならびに、該抗体および他剤を含有する医薬組成物等を提供することである。

また、本発明の他の一つの課題は、癌の治療又は予防に使用される抗FGFR2抗体および他剤を組合せ、ならびに、癌の治療又は予防に使用される、該抗体および他剤を含有する医薬組成物を提供することにある。、

さらに、本発明の他の一つの課題は、抗FGFR2抗体と他剤とを組み合わせて投与することにより、または、該組成物を投与することにより、癌を治療又は予防する方法を提供することにある。

発明者らは上記課題を解決するために鋭意、検討を行い、新規な抗FGFR2抗体を創出し、該抗体が抗癌作用を有することを見出するとともに該抗体とFGFRキナーゼ阻害剤とを組み合わせて使用することにより、優れた抗腫瘍効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。

本発明は、 (1) 抗体依存性細胞傷害活性を有し、且つ、線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor:FGFR)に結合する抗体もしくはその機能断片および他剤の組合せ又は該抗体もしくはその機能断片および他剤を含む医薬組成物、

(2) 線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)がヒトFGFRである、(1)記載の組合せ又は組成物、

(3) 線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)がFGFR2である、(1)又は(2)記載の組合せ又は組成物、

(4) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIb及び/又はヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIcに結合する、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(5) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIb及びヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIcに結合する、(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(6) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2の有する免疫グロブリン様ドメインの一つ又は二つ以上に結合する、(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(7) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2の有する免疫グロブリン様ドメイン2に結合する、(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(8) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2の有する免疫グロブリン様ドメイン3に結合する、(1)乃至(4)及び(6)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(9) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIb及び/又はヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIcに対する中和活性を有する、(1)乃至(8)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(10) 該抗体もしくはその機能断片がヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIb及びヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(ヒトFGFR2)IIIcに対する中和活性を有する、(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(11) 該抗体もしくはその機能断片が抗腫瘍活性を有する、(1)乃至(10)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(12) 該抗体もしくはその機能断片がイン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を示す、(11)記載の組合せ又は組成物、

(13) 該抗体が配列表の配列番号52(図60)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号53(図61)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号54(図62)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH3を含むことからなる重鎖、並びに、配列表の配列番号61(図69)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号62(図70)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号63(図71)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL3を含むことからなる軽鎖からなり、且つヒトFGFR2に結合する、(1)乃至(4)、(6)、(8)、(9)、(11)及び(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(14) 該抗体が配列表の配列番号55(図63)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号56(図64)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号57(図65)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH3を含むことからなる重鎖、並びに、配列表の配列番号64(図72)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号65(図73)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号66(図74)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL3を含むことからなる軽鎖からなり、且つヒトFGFR2に結合する、(1)乃至(7)及び(9)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(15) 該抗体が配列表の配列番号58(図66)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号59(図67)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号60(図68)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRH3を含むことからなる重鎖、並びに、配列表の配列番号67(図75)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号68(図76)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号69(図77)に示されるアミノ酸配列もしくは該アミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなるCDRL3を含むことからなる軽鎖からなり、且つヒトFGFR2に結合する、(1)乃至(7)及び(9)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(16) CDRH3が配列表の配列番号60(図68)に示されるアミノ酸配列において1つ又は2つのアミノ酸が置換されてなるアミノ酸配列からなる、(15)記載の組合せ又は組成物、

(17) 抗体がモノクローナル抗体である、(1)乃至(16)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(18) 抗体がキメラ抗体である、(1)乃至(17)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(19) 抗体がヒト化抗体である、(1)乃至(17)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(20) 抗体が下記(i)乃至(xix)から選択される、(19)記載の組合せ又は組成物: (i)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号97(図105)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H19/L1); (ii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号97(図105)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H12/L1); (iii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号89(図97)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H8/L1); (iv)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号95(図103)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H11/L1); (v)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号83(図91)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H5/L1); (vi)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号75(図83)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H1/L1); (vii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号77(図85)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H2/L1); (viii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号79(図87)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H3/L1); (ix)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号81(図89)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H4/L1); (x)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号85(図93)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H6/L1); (xi)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号87(図95)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H7/L1); (xii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号91(図99)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H9/L1); (xiii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号93(図101)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H10/L1); (xiv)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号99(図107)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H13/L1); (xv)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号101(図109)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H14/L1); (xvi)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号103(図111)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H15/L1); (xvii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号105(図113)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H16/L1); (xviii)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号107(図115)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H17/L1);および (xix)配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖、および、配列番号109(図117)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、を含んでなるヒト化抗体(hFR2−14_H18/L1)、

(21) (20)に記載の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列とそれぞれ95%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含んでなり、且つヒトFGFR2に結合する、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(22) 該抗体もしくはその機能断片が、(13)乃至(16)および(20)のいずれか一つに記載の抗体が認識する抗原上の部位に結合する、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(23) 該抗体もしくはその機能断片が、(13)乃至(16)および(20)のいずれか一つに記載の抗体と、ヒトFGFR2への結合において競合する、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(24) 該抗体もしくはその機能断片が、配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列中の155番目のチロシン(Tyr)、157番目のスレオニン(Thr)、176番目のリジン(Lys)、181番目のアラニン(Ala)、182番目のグリシン(Gly)、183番目のグリシン(Gly)、184番目のアスパラギン(Asn)、185番目のプロリン(Pro)、186番目のメチオニン(Met)、188番目のスレオニン(Thr)、200番目の(グルタミン)、201番目のグルタミン酸(Glu)、205番目のグリシン(Gly)、206番目のグリシン(Gly)、208番目のリジン(Lys)、209番目のバリン(Val)、210番目のアルギニン(Arg)、211番目のアスパラギン(Asn)、212番目のグルタミン(Gln)、213番目のヒスチジン(His)、214番目のトリプトファン(Trp)、および、217番目のイソロイシン(Ile)の各残基から構成される、ヒトFGFR2上のエピトープに結合する、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(25) 該抗体もしくはその機能断片が、配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列中の155番目のチロシン(Tyr)、157番目のスレオニン(Thr)、176番目のリジン(Lys)、181番目のアラニン(Ala)、182番目のグリシン(Gly)、183番目のグリシン(Gly)、184番目のアスパラギン(Asn)、185番目のプロリン(Pro)、186番目のメチオニン(Met)、188番目のスレオニン(Thr)、200番目のグルタミン(Gln)、201番目のグルタミン酸(Glu)、205番目のグリシン(Gly)、206番目のグリシン(Gly)、208番目のリジン(Lys)、209番目のバリン(Val)、210番目のアルギニン(Arg)、211番目のアスパラギン(Asn)、212番目のグルタミン(Gln)、213番目のヒスチジン(His)、214番目のトリプトファン(Trp)、および、217番目のイソロイシン(Ile)の各残基との間で相互作用距離を有する、(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(26) 相互作用距離が6オングストローム以下である、(25)記載の組合せ又は組成物、

(27) 相互作用距離が4オングストローム以下である、(25)または(26)記載の組合せ又は組成物、

(28) 抗体がヒト抗体である、(1)乃至(12)および(21)乃至(27)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(29) 該抗体もしくはその機能断片がヒトFGFR2へのFGFの結合を阻害する、(1)乃至(28)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(30) 該抗体もしくはその機能断片が抗体依存性細胞傷害活性及び/又は抗体依存性細胞媒介食活性を有する、(1)乃至(29)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(31) 下記の工程(i)及び(ii)を含むことからなる抗体又はその機能断片の製造方法により得られる抗体もしくはその機能断片および他剤の組合せ又は該抗体もしくはその機能断片および他剤を含む医薬組成物: (i)下記(ア)又は(イ)記載細胞を培養する工程; (ア)下記(i)乃至(iii)のいずれか一つに記載のヌクレオチドが挿入された組換えベクター又は該ヌクレオチドが導入された組換え細胞: (i)(1)乃至(30)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含んでなるヌクレオチド; (ii)(1)乃至(30)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む塩基配列からなるヌクレオチド; (iii)(1)乃至(30)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるヌクレオチド; (イ)(1)乃至(30)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片を産生する細胞、 および (ii)前記工程(i)で得られた培養物から(1)乃至(30)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片を回収する工程、

(32) 該抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端またはカルボキシル末端において1乃至5個のアミノ酸が欠失してなる、(1)乃至(31)記載のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(33) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片の修飾体および他剤の組合せ又は該修飾体および他剤を含む医薬組成物、

(34) 糖鎖修飾が調節されてなる、(33)記載の組合せ又は組成物、

(35) 抗体もしくはその機能断片が(20)の(i)乃至(xix)から選択される、(34)記載の組合せ又は組成物、

(36) 癌の治療もしくは予防に使用される、(1)乃至(35)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(37) 癌がFGFR2陽性である、(36)記載の組合せ又は組成物、

(38) さらなる他の医薬を組合わせてなるかもしくはさらなる他の医薬を含む、(1)乃至(37)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(39) 該抗体もしくはその機能断片がさらなる化合物とコンジュゲートされた、(1)乃至(38)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(40) 他剤がFGFRチロシンキナーゼ阻害剤である、(1)乃至(39)のいずれか一つに記載の組合せ又は組成物、

(41) FGFRチロシンキナーゼがFGFR2阻害剤である、(40)記載の組合せ又は組成物、

(42) FGFR2阻害剤がアシルアミノピラゾール、フェノキシ基もしくはフェニルチオ基で修飾された、キノリン又はキナゾリン誘導体、BGJ398、LY2874455、Brivanib、Dovitinib、Lenvatinib、Masitinib、Nintedanib、Regorafenib、Pazopanib、TSU68、ENMD−2076およびPonatinibからなる群から選択される1つ又は2つ以上である、(41)記載の組合せ又は組成物、

(43) FGFR2阻害剤がAZD4547である、(41)又は(42)記載の組合せ又は組成物、および、

(44) FGFR2阻害剤がKi23057である、(41)又は(42)記載の組合せ又は組成物、

(45) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体と併用するための、FGFRチロシンキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物、

(46) FGFRチロシンキナーゼ阻害剤と併用するための、(1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体を含む医薬組成物、

(47) FGFRチロシンキナーゼ阻害剤を含み、(1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはの機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体と併用することにより、該抗体、該機能断片又は該修飾体の作用を上昇させる医薬組成物、

(48) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはの機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体を含み、と併用することにより、該FGFRチロシンキナーゼ阻害剤の作用を上昇させる医薬組成物、

(49) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体、および、FGFRチロシンキナーゼ阻害剤が組み合わせて投与されることを特徴とする医薬組成物、

(50) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体、および、FGFRチロシンキナーゼ阻害剤が、それぞれ別の製剤に有効成分として含有され、同時にまたは異なる時間に投与されることを特徴とする、(49)記載の医薬組成物、 ならびに、

(51) (1)乃至(32)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は(33)若しくは(34)に記載の修飾体、および、FGFRチロシンキナーゼ阻害剤が、単一の製剤に有効成分として含有されることを特徴とする、(49)記載の医薬組成物、 等に関する。

本発明の提供する抗体および他剤の組合せを用いることにより各種癌の治療または予防が可能となる。

図1は、ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13およびFR2−14)のヒトFGFR2に対する結合活性をフローサイトメトリー法により検証した図である。縦軸はフローサイトメトリー法により測定された平均蛍光強度の相対値を示す。

図2は、ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13およびFR2−14)が結合するヒトFGFR2上のエピトープをフローサイトメトリー法により検証した図である。縦軸はフローサイトメトリー法により測定された平均蛍光強度の相対値を示す

図3Aは、ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13およびFR2−14)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図3Bは、ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13およびFR2−14)のヒトFGFR2IIIcに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図4は、ラット抗FGFR2抗体FR2−10のFGFR2に対するシグナル抑制作用をウエスタンブロット法により示した図である。ヒト胃癌細胞株SNU−16にFGF7を添加することによって誘導されたFGFR2、FRS2、ERKのリン酸化が、ラットFR2−10抗体添加により阻害されることが例証された。

図5は、ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のヒトFGFR2に対する結合活性をCell−ELISA法により検証した図である。

図6Aは、ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図6Bは、ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のヒトFGFR2IIIcに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図7は、ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のADCC活性を示した図である。ヒトFGFR2IIIb発現293T-lacZ細胞を標的細胞、ヒトPBMCをエフェクター細胞として用いた。

図8は、ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。A)はcFR2−10抗体、B)はcFR2−13抗体、C)はcFR2−14抗体についての結果である。

図9はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号1)。

図10はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号2)。

図11はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号3)。

図12はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号4)。

図13はラット抗FGFR2抗体 FR2−14重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号5)。

図14はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号6)。

図15はラット重鎖増幅用プライマー(配列表の配列番号7)。

図16はFR2−10重鎖用のシークエンスプライマー(配列表の配列番号8)。

図17はFR2−13重鎖用のシークエンスプライマー(配列表の配列番号9)。

図18はFR2−14重鎖用のシークエンスプライマー(配列表の配列番号10)。

図19はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号11)。

図20はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号12)。

図21はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号13)。

図22はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号14)。

図23はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号15)。

図24はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号16)。

図25はラット軽鎖増幅用プライマー(配列表の配列番号17)。

図26はラット軽鎖用のシーケンスプライマー(配列表の配列番号18)。

図27はFR2−10軽鎖用のシークエンスプライマー(配列表の配列番号19)。

図28はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号20)。

図29はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号21)。

図30はラットFR2−13及びFR2−14軽鎖増幅用プライマー(配列表の配列番号22)。

図31はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号23)。

図32はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号24)。

図33はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(配列表の配列番号25)。

図34はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号26)。

図35はヒトκ鎖分泌シグナル配列及びヒトκ鎖定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片(配列表の配列番号27)。

図36は軽鎖発現ベクター用プライマーF(配列表の配列番号28)。

図37は軽鎖発現ベクター用プライマーR(配列表の配列番号29)。

図38はヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片(配列表の配列番号30)。

図39はヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)軽鎖の塩基配列(配列表の配列番号31)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10軽鎖の塩基配列には含まれない。

図40はヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)軽鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号32)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図41はヒトキメラ化FR2−10軽鎖用プライマーセットF(配列表の配列番号33)。

図42はヒトキメラ化FR2−10軽鎖用プライマーセットR(配列表の配列番号34)。

図43はヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)重鎖の塩基配列(配列表の配列番号35)。うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10重鎖の塩基配列には含まれない。

図44はヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)重鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号36)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10重鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図45はヒトキメラ化FR2−10重鎖用プライマーセットF(配列表の配列番号37)。

図46はヒトキメラ化FR2−10重鎖用プライマーセットR(配列表の配列番号38)。

図47はヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)軽鎖の塩基配列(配列表の配列番号39)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13軽鎖の塩基配列には含まれない。

図48はヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)軽鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号40)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図49はヒトキメラ化FR2−13軽鎖用プライマーF(配列表の配列番号41)。

図50はヒトキメラ化FR2−13軽鎖用プライマーR(配列表の配列番号42)。

図51はヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)重鎖の塩基配列(配列表の配列番号43)。うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13重鎖の塩基配列には含まれない。

図52はヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)重鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号44)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13重鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図53はヒトキメラ化FR2−13重鎖用プライマーF(配列表の配列番号45)。

図54はヒトキメラ化FR2−13重鎖用プライマーR(配列表の配列番号46)。

図55はヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)軽鎖の塩基配列(配列表の配列番号47)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14軽鎖の塩基配列には含まれない。

図56はヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)軽鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号48)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図57はヒトキメラ化FR2−14軽鎖用プライマー(配列表の配列番号49)。

図58はヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)重鎖の塩基配列(配列表の配列番号50)。うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14重鎖の塩基配列には含まれない。

図59はヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)重鎖のアミノ酸配列(配列表の配列番号51)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14重鎖のアミノ酸配列には含まれない。

図60はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号52)。

図61はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号53)。

図62はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号54)。

図63はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号55)。

図64はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号56)。

図65はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号57)。

図66はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号58)。

図67はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号59)。

図68はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号60)。

図69はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号61)。

図70はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号62)。

図71はラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号63)。

図72はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号64)。

図73はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号65)。

図74はラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号66)。

図75はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(配列表の配列番号67)。

図76はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(配列表の配列番号68)

図77はラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(配列表の配列番号69)

図78はヒトFGFR2IIIbのアミノ酸配列(配列表の配列番号70)

図79はヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列(配列表の配列番号71)

図80はhFR2−14_L1の塩基配列(配列表の配列番号72)、うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_L1の塩基配列には含まれない。

図81はhFR2−14_L1のアミノ酸配列(配列表の配列番号73)、うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_L1のアミノ酸配列には含まれない。

図82はhFR2−14_H1の塩基配列(配列表の配列番号74)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H1の塩基配列には含まれない。

図83はhFR2−14_H1のアミノ酸配列(配列表の配列番号75)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H1のアミノ酸配列には含まれない。

図84はhFR2−14_H2の塩基配列(配列表の配列番号76)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H2の塩基配列には含まれない。

図85はhFR2−14_H2のアミノ酸配列(配列表の配列番号77)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H2のアミノ酸配列には含まれない。

図86はhFR2−14_H3の塩基配列(配列表の配列番号78)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H3の塩基配列には含まれない。

図87はhFR2−14_H3のアミノ酸配列(配列表の配列番号79)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H3のアミノ酸配列には含まれない。

図88はhFR2−14_H4の塩基配列(配列表の配列番号80)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H4の塩基配列には含まれない。

図89はhFR2−14_H4のアミノ酸配列(配列表の配列番号81)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H4のアミノ酸配列には含まれない。

図90はhFR2−14_H5の塩基配列(配列表の配列番号82)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H5の塩基配列には含まれない。

図91はhFR2−14_H5のアミノ酸配列(配列表の配列番号83)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H5のアミノ酸配列には含まれない。

図92はhFR2−14_H6の塩基配列(配列表の配列番号84)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H6の塩基配列には含まれない。

図93はhFR2−14_H6のアミノ酸配列(配列表の配列番号85)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H6のアミノ酸配列には含まれない。

図94はhFR2−14_H7の塩基配列(配列表の配列番号86)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H7の塩基配列には含まれない。

図95はhFR2−14_H7のアミノ酸配列(配列表の配列番号87)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H7のアミノ酸配列には含まれない。

図96はhFR2−14_H8の塩基配列(配列表の配列番号88)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H8の塩基配列には含まれない。

図97はhFR2−14_H8のアミノ酸配列(配列表の配列番号89)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H8のアミノ酸配列には含まれない。

図98はhFR2−14_H9の塩基配列(配列表の配列番号90)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H9の塩基配列には含まれない。

図99はhFR2−14_H9のアミノ酸配列(配列表の配列番号91)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H9のアミノ酸配列には含まれない。

図100はhFR2−14_H10の塩基配列(配列表の配列番号92)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H10の塩基配列には含まれない。

図101はhFR2−14_H10のアミノ酸配列(配列表の配列番号93)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H10のアミノ酸配列には含まれない。

図102はhFR2−14_H11の塩基配列(配列表の配列番号94)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H11の塩基配列には含まれない。

図103はhFR2−14_H11のアミノ酸配列(配列表の配列番号95)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H11のアミノ酸配列には含まれない。

図104はhFR2−14_H12およびhFR2−14_H19の塩基配列(配列表の配列番号96)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19の塩基配列には含まれない。

図105はhFR2−14_H12およびhFR2−14_H19のアミノ酸配列(配列表の配列番号97)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19のアミノ酸配列には含まれない。

図106はhFR2−14_H13の塩基配列(配列表の配列番号98)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H13の塩基配列には含まれない。

図107はhFR2−14_H13のアミノ酸配列(配列表の配列番号99)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H13のアミノ酸配列には含まれない。

図108はhFR2−14_H14の塩基配列(配列表の配列番号100)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H14の塩基配列には含まれない。

図109はhFR2−14_H14のアミノ酸配列(配列表の配列番号101)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H14のアミノ酸配列には含まれない。

図110はhFR2−14_H15の塩基配列(配列表の配列番号102)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H15の塩基配列には含まれない。

図111はhFR2−14_H15のアミノ酸配列(配列表の配列番号103)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H15のアミノ酸配列には含まれない。

図112はhFR2−14_H16の塩基配列(配列表の配列番号104)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H16の塩基配列には含まれない。

図113はhFR2−14_H16のアミノ酸配列(配列表の配列番号105)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H16のアミノ酸配列には含まれない。

図114はhFR2−14_H17の塩基配列(配列表の配列番号106)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H17の塩基配列には含まれない。

図115はhFR2−14_H17のアミノ酸配列(配列表の配列番号107)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H17のアミノ酸配列には含まれない。

図116はhFR2−14_H18の塩基配列(配列表の配列番号108)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H18の塩基配列には含まれない。

図117はhFR2−14_H18のアミノ酸配列(配列表の配列番号109)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H18のアミノ酸配列には含まれない。

図118はhFR2−14_H2タイプ重鎖用プライマーVH3A−F(配列表の配列番号110)

図119はhFR2−14_H2タイプ重鎖用プライマーVH3A−R(配列表の配列番号111)

図120はD2増幅用プライマーD23fw(配列表の配列番号112)

図121はD2増幅用プライマーD23rv(配列表の配列番号113)

図122は、4種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1〜H4/L1)及びヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)の各ヒトFGFR2バリアント蛋白質に対する結合活性をBiacoreにより測定した図である。各抗体を293F細胞で発現させ、精製して測定に使用した。

図123は、15種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1及びhFR2−14_H5〜H18/L1)のヒトFGFR2—IIIcバリアント蛋白質に対する結合活性をBiacoreにより測定した図である。各抗体を293F細胞で発現させた培養上清を測定に使用した。

図124は、3種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1及びhFR2−14_H12/L1)のヒトFGFR2選択的結合性をCell−ELISA法により検証した図である。

図125Aは、5種類のヒト化抗FGFR2抗体のサーモグラムを示した図である。

図125Bは、5種類のヒト化抗FGFR2抗体のサーモグラムを示した図である。

図125Cは、10種類のヒト化抗FGFR2抗体のTm値を示した図である。

図126は、hFR2−14_H1/L1抗体、hFR2−14_H2/L1抗体、hFR2−14_H3/L1抗体、hFR2−14_H4/L1抗体、hFR2−14_H5/L1抗体、hFR2−14_H8/L1抗体、hFR2−14_H9/L1抗体、hFR2−14_H11/L1抗体、およびhFR2−14_H12/L1抗体、hFR2−14_H19/L1抗体の劣化前後検体についての、抗原とのKD値を示した図である。

図127Aは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図127Bは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のヒトFGFR2IIIcに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図128Aは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H6/L1、hFR2−14_H7/L1、hFR2−14_H8/L1)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図128Bは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H10/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H13/L1)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図128Cは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H14/L1、hFR2−14_H15/L1、hFR2−14_H16/L1、hFR2−14_H17/L1、hFR2−14_H18/L1)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図129Aは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒトFGFR2IIIbに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図129Bは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒトFGFR2IIIcに対するシグナル中和活性をElk1トランスレポーターアッセイ法により示した図である。

図130Aは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1)のADCC活性を示した図である。ヒトFGFR2IIIb発現293T-lacZ細胞を標的細胞、ヒトPBMCをエフェクター細胞として用いた。

図130Bは、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のADCC活性を示した図である。ヒトFGFR2IIIb発現293T-lacZ細胞を標的細胞、ヒトPBMCをエフェクター細胞として用いた。

図131は、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1のADCC活性を示した図である。ヒトFGFR2発現NCI−H716細胞を標的細胞、ヒトPBMCをエフェクター細胞として用いた。

図132は、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のADCC活性を示した図である。ヒトFGFR2発現A)NCI−H716、B)SNU—16、C)KATOIII細胞を標的細胞、ヒトPBMCをエフェクター細胞として用いた。

図133は、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のADCP活性を示した図である。ヒトFGFR2発現A)NCI−H716、B)KATOIIIを標的細胞、ヒトPBMCより分化させたマクロファージ様細胞をエフェクター細胞として用いた。

図134Aは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H1/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図134Bは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H2/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図134Cは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H3/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図134Dは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H4/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Aは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H5/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Bは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H8/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Cは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H9/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Dは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H11/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Eは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H12/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図135Fは、ヒト化抗FGFR2抗体hFR2−14_H19/L1のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。

図136は、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒト大腸癌細胞株NCI−H716腫瘍ブロックモデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。(A)はhFR2−14_H12/L1、(B)はhFR2−14_H19/L1の結果である。

図137は、ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒト大腸癌細胞株NCI−H716−luc腹膜播種モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性を示した図である。(A)はLuciferase活性、(B)は生存率を示した結果である。

図138は、FGFR2D2/H3L1Fab複合体のリボンモデルを示した図である。FGFR2D2を左下方に、H3L1FabのH鎖(濃いグレー)を中央から右上方に、L鎖をそれらの右側にそれぞれ表示した。

図139は、FGFR2/FGF1とFGFR2D2/H3L1Fabの重ね合わせを示した図である。FGFRD3(IgD3)を中央下方に、FGFRD3の上方にFGF1(濃いグレー)を、FGF1の上方FGFRD2を、FGFRD2の右上方にH3L1FabのH鎖(濃いグレー)とL鎖をそれぞれ表示した。

図140は、cFR2−10、hFR2−14_H12/L1、およびhFR2−14_H19/L1抗体によるリガンドFGF7のFGFR2レセプターへの結合を阻害する活性を示した図である。

図141は、SNU−16細胞をAZD4547あるいはKi23057で処理することにより、未処理(None)、もしくはDMSO処理時と比較して細胞表面のFGFR2の抗原数が上昇することを示した図である。

図142Aは、SNU−16細胞を薬剤またはDMSOで処理しなかった時のhFR2−14_H19/L1のADCC活性を示した図である。

図142Bは、SNU−16細胞を0.01%DMSOで処理した時のhFR2−14_H19/L1のADCC活性を示した図である。

図142Cは、SNU−16細胞を0.001%DMSOで処理した時のhFR2−14_H19/L1のADCC活性を示した図である。

図142Dは、SNU−16細胞を1000nM AZD4547で処理した時のhFR2−14_H19/L1のADCC活性を示した図である。

図142Eは、SNU−16細胞を100nM Ki23057で処理した時のhFR2−14_H19/L1のADCC活性を示した図である。

図143は、ヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおける、hFR2−14_H19/L1単独投与、AZD4547単独投与およびhFR2−14_H19/L1とAZD4547の併用投与でのin vivo抗腫瘍効果を示した図である。シンボル白四は無処置対照群、シンボル白丸はhFR2−14_H19/L1 20mg/kg、シンボル黒丸はAZD4547 3mg/kg、シンボル黒四角はhFR2−14_H19/L1 20mg/kg+AZD4547 3mg/kgを示す。

図144は、ヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおける、最終測定日である移植21日後での1群あたりの匹数中のComplete Response(CR)個体数を示した表である。

図145は、ヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスに対してhFR2−14_H19/L1単独投与、AZD4547単独投与またはhFR2−14_H19/L1とAZD4547の併用投与を行った翌日の腫瘍中のFGFR2抗原量をウェスタンブロットにより検出した図である。コントロールとしてGAPDHを検出した。

図146は、ヒト胃癌細胞株SNU−16移植ヌードマウスにおける、hFR2−14_H19/L1単独投与、Ki23057単独投与またはhFR2−14_H19/L1とKi23057の併用投与でのin vivo抗腫瘍効果を示した図である。シンボル無しは無処置対照群、シンボル黒丸はhFR2−14_H19/L1 20mg/kg、シンボル白三角はKi23057 5mg/kg、シンボル白四角はKi23057 20mg/kg、シンボル黒三角はhFR2−14_H19/L1 20mg/kg+Ki23057 5mg/kg、シンボル黒四角はhFR2−14_H19/L1 20mg/kg+Ki23057 20mg/kgを示す。

1.定義 本発明において、「遺伝子」とは、蛋白質のアミノ酸をコードする塩基配列が含まれるヌクレオチドまたはその相補鎖を意味し、例えば、蛋白質のアミノ酸をコードする塩基配列が含まれるヌクレオチドまたはその相補鎖であるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、DNA、mRNA、cDNA、cRNA等は「遺伝子」の意味に含まれる。かかる遺伝子は一本鎖、二本鎖又は三本鎖以上のヌクレオチドであり、DNA鎖とRNA鎖の会合体、一本のヌクレオチド鎖上にリボヌクレオチド(RNA)とデオキシリボヌクレオチド(DNA)が混在するもの及びそのようなヌクレオチド鎖を含む二本鎖又は三本鎖以上のヌクレオチドも「遺伝子」の意味に含まれる。本発明の「FGFR2遺伝子」としては、例えば、FGFR2蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれるDNA、mRNA、cDNA、cRNA等をあげることができる。

本発明において、「ヌクレオチド」と「核酸」は同義であり、例えば、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プライマー等も「ヌクレオチド」の意味に含まれる。かかるヌクレオチドは一本鎖、二本鎖又は三本以上の鎖からなるヌクレオチドであり、DNA鎖とRNA鎖の会合体、一本のヌクレオチド鎖上にリボヌクレオチド(RNA)とデオキシリボヌクレオチド(DNA)が混在するもの及びそのようなヌクレオチド鎖を含む二本鎖又は三本以上の鎖の会合体も「ヌクレオチド」の意味に含まれる。

本発明において、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「蛋白質」は同義である。 本発明において、「抗原」を「免疫原」の意味に用いることがある。

本発明において、「細胞」には、動物個体に由来する各種細胞、継代培養細胞、初代培養細胞、細胞株、組換え細胞及び生物等も含まれる。

本発明においては、FGFR2、FGFR2IIIb、FGFR2IIIc、FGFR3、FGFRs等を認識する抗体を、それぞれ「抗FGFR2抗体」、「抗FGFR2IIIb抗体」、「抗FGFR2IIIc抗体」、「抗FGFR3抗体」及び「抗FGFRs抗体」等と表記することがある。かかる抗体には、キメラ化抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等が含まれる。

本発明における「抗体の機能断片」とは、元の抗体が奏する機能の少なくとも一部を奏する抗体断片を意味する。「抗体の機能断片」としては、例えば、Fab、F(ab’)2、scFv、Fab’、一本鎖免疫グロブリン等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。かかる抗体の機能断片は、抗体蛋白質の全長分子をパパイン、ペプシン等の酵素で処理することによって得られたものに加え、組換え遺伝子を用いて適当な宿主細胞において産生された組換え蛋白質であってもよい。

本発明において、抗体が結合する「部位」、すなわち抗体が認識する「部位」とは、抗体が結合又は認識する抗原上の部分ペプチド又は部分高次構造を意味する。本発明においては、かかる部位のことをエピトープ、抗体の結合部位とも呼ぶ。本発明の抗FGFR2抗体が結合又は認識するFGFR2蛋白質上の部位としては、FGFR2蛋白質上の部分ペプチド又は部分高次構造等を例示することができる。

抗体分子の重鎖及び軽鎖にはそれぞれ3箇所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)があることが知られている。相補性決定領域は、超可変領域(hypervariable domain)とも呼ばれ、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域内にあって、一次構造の変異性が特に高い部位であり、重鎖及び軽鎖のポリペプチド鎖の一次構造上において、通常、それぞれ3ヶ所に分離している。本発明においては、抗体の相補性決定領域について、重鎖の相補性決定領域を重鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRH1、CDRH2、CDRH3と表記し、軽鎖の相補性決定領域を軽鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRL1、CDRL2、CDRL3と表記する。これらの部位は立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。

本発明において、「抗体変異体」とは、元の抗体が有するアミノ酸配列においてアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入(以下、「変異」と総称する)してなるアミノ酸配列を有し、且つ本発明のFGFR2蛋白質に結合するポリペプチドを意味する。かかる抗体変異体における変異アミノ酸の数は、1乃至2個、1乃至3個、1乃至4個、1乃至5個、1乃至6個、1乃至7個、1乃至8個、1乃至9個、1乃至10個、1乃至12個、1乃至15個、1乃至20個、1乃至25個、1乃至30個、1乃至40個又は1乃至50個である。かかる抗体変異体も本発明の「抗体」に包含される。

本発明において、「1乃至数個」における「数個」とは、3乃至10個を指す。

本発明の抗体が奏する活性・性質としては、例えば、生物的活性、理化学的性質等を挙げることができ、具体的には、各種生物活性、抗原やエピトープに対する結合活性、製造や保存時における安定性、熱安定性等をあげることができる。

本発明において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、5×SSCを含む溶液中で65℃にてハイブリダイゼーションを行い、ついで2×SSC−0.1%SDSを含む溶液中で65℃にて20分間、0.5×SSC−0.1%SDSを含む水溶液中で65℃にて20分間、ならびに、0.2×SSC−0.1%SDSを含む水溶液中で65℃にて20分間、それぞれ洗浄する条件又はそれと同等の条件でハイブリダイズすることを意味する。SSCとは150mMNaCl−15mMクエン酸ナトリウムの水溶液であり、n×SSCはn倍濃度のSSCを意味する。

本発明において「細胞傷害」とは、何らかの形で、細胞に病理的な変化をもたらすことを指し、直接的な外傷にとどまらず、DNAの切断や塩基の二量体の形成、染色体の切断、細胞分裂装置の損傷、各種酵素活性の低下などあらゆる細胞の構造や機能上の損傷を意味する。本発明において「細胞傷害活性」とは上記細胞傷害を引き起こすことを意味する。

本発明において「抗体依存性細胞傷害活性」とは、「antibody dependent cellular cutotoxicity(ADCC)活性」を指し、NK細胞が抗体を介して腫瘍細胞等の標的細胞を傷害する作用活性を意味する。

本発明において「抗体依存性細胞媒介食活性」とは「andibody dependent cell phagocytosis(ADCP)活性」を指し、単球やマクロファージ細胞が抗体を介して腫瘍細胞等の標的細胞を貪食する作用活性を意味する。「抗体依存性貪食活性」ともいう。

本発明において「補体依存性細胞傷害作用活性」とは、「complement dependent cytotoxicity(CDC)活性」を指し、補体が抗体を介して腫瘍細胞等の標的細胞を傷害する作用活性を意味する。

本発明において「癌」と「腫瘍」は同じ意味で用いられる。

本発明において「免疫組織化学(immunohistochemistry:IHC)」とは組織標本中の抗原を検出する組織学的(組織化学的)手法を意味し、「免疫抗体法」と同義であり、「免疫染色(immunostaining)」も同じ意味に用いられる。

本発明において「他の有効成分」とは、抗FGFR2抗体と組み合わせて使われるか、または本発明の医薬組成物に抗FGFR2抗体とともに含まれる疾患の治療又は予防活性を有する成分である。好適な態様において、かかる組合せまたは医薬組成物は癌の治療又は予防に有効であり、より好適な態様において、せまたは医薬組成物は癌の治療又は予防において相乗効果を示す。

本発明において「相乗効果」とは、複数の有効成分を組み合わせて使用した場合または複数の有効成分を1つの医薬組成物に含有せしめた場合、それぞれを有効成分が示す抗癌活性を加算したより強い抗癌活性を示すことをいう。例えば、有効成分AおよびBの奏する抗癌活性がそれぞれaおよびbであって、AとBを組み合わせて使用するかまたはAとBを1つの医薬組成物に含有せしめて使用した場合に、その抗癌活性がaとbを加算したより大きければ、該組合せまたは医薬組成物は相乗効果を奏するとみなすことができる。別の例として、有効成分AおよびBの奏する抗癌活性がそれぞれおaおよびゼロ(0:すなわちBが抗癌活性を奏さない濃度)であって、AとBを組み合わせて使用しするかまたはAとBを1つの医薬組成物に含有せしめた場合、その抗癌活性がaより大きければ、該組合せまたは医薬組成物は相乗効果を奏するとみなすことができる。また別の例として、有効成分AおよびBの奏する抗癌活性がいうれもゼロ(0:すなわちAとBがいずれも抗癌活性を奏さない濃度)であって、AとBを組み合わせて使用しするかまたはAとBを1つの医薬組成物に含有せしめた場合、その抗癌活性がゼロ(0)より大きければ、該組合せまたは医薬組成物は相乗効果を奏するとみなすことができる。

2.抗原蛋白質 (2−1)特性 FGFRsは線維芽細胞増殖因子(FGF)に結合する受容体蛋白質である。本発明において、FGFRsは脊椎動物由来、好適には哺乳動物由来であり、より好適にはヒト由来である。ヒトFGF及びFGFRsは、22のFGF(FGF1乃至14、および、FGF16乃至23)、ならびにチロシンキナーゼドメインを有する4つのFGFR(FGFR1乃至4)にそれぞれ分類される。FGFRsは、2つあるいは3つの免疫グロブリン様ドメイン(IgD1乃至3)から成るリガンド結合部位を含む細胞外領域、1回膜貫通領域、およびチロシンキナーゼドメインを含む細胞内領域から構成されている。このうち、FGFR1、FGFR2およびFGFR3には、IIIbおよびIIIcと呼ばれる各2つのスプライシングバリアントが存在する。これらのアイソフォームはIgD3の後半において約50のアミノ酸配列が異なっており、異なる組織分布およびリガンド特異性を示す。FGFRsは次のような活性を有する:(1)FGFに結合する;(2)かかる結合によりFGFRsは二量体化する;(3)かかる二量体化によりFGFRsの特定のチロシン残基がリン酸化される;(4)かかるリン酸化によりFGFR基質2α(FRS2α)等のアダプター蛋白質のリクルートが促進される;(5)該FGFRsを発現している細胞又は組織にFGF刺激によるシグナルを伝達するか又はシグナル伝達を活性化する。

本発明においてFGFR2蛋白質は以下の性質を有する。 (i)FGFに結合する。 FGFR2IIIb蛋白質は、通常、FGF1、FGF3、FGF7(KGF)、FGF10,FGF22及びFGF23からなる群より選択される1又は2以上に結合するが、他のFGFに結合してもよく、変異型の場合は前記群に含まれるFGFであっても結合しないことがある。 FGFR2IIIc蛋白質は、通常、FGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF9、FGF17、FGF18、FGF21、FGF23からなる群より選択される1又は2以上に結合する。他のFGFに結合してもよく、変異型の場合は前記群に含まれるFGFであっても結合しないことがある。

(ii)FGFR2発現細胞又は組織内にFGF刺激により生じるシグナルを伝達する。 FGF刺激により生じるシグナル伝達としては、特に限定されるものではないが、例えば、FGFR2自己リン酸化、FGFR基質のリクルート及びその促進、それらを介したMAPK,PI3K、Akt、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)等のシグナル経路の活性化等をあげることができる。FGFR基質としては、FGFR基質2α(FRS2α)等を例示することができる。 かかるシグナル伝達の活性化及びその抑制を評価するための試験方法は、特に限定されものではなく、公知の方法から任意に選択することができるが、例えば、ERKシグナル伝達を評価する系そして、後述のElk1ルシフェラーゼレポーターアッセイをあげることができる。

(iii)本発明においてFGFR2IIIb蛋白質は、次の(a)乃至(d)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列(以下、「FGFR2IIIbアミノ酸配列」という)を含んでなるか、FGFR2IIIbアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなるか、またはFGFR2IIIbアミノ酸配列からなる: (a)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列; (b)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列と80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を示し且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列; (c)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至35個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなり且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列;及び、 (d)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列を有するヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの有する塩基配列によりコードされ、且つ、FGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列。

(b)乃至(d)記載のいずれか一つに記載のポリペプチドは、FGF結合活性に加え、FGFR2の有する他の活性を有していてもよい。 本発明においてFGFR2IIIc蛋白質は、次の(a)乃至(d)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列(以下、「FGFR2IIIcアミノ酸配列」という)を含んでなるか、FGFR2IIIcアミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなるか、またはFGFR2IIIcアミノ酸配列からなる: (a)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列; (b)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列と80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を示し且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列; (c)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至35個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなり且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列;及び、 (d)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列を有するヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの有する塩基配列によりコードされ、且つ、FGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列。

(b)乃至(d)記載のいずれか一つに記載のポリペプチドは、FGF結合活性に加え、FGFR2の有する他の活性を有していてもよい。 また、ヒトFGFR2IIIb及びヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列としては、それぞれ上記(a)乃至(d)に加え、NP_075259及びNP_000132として公表されているアミノ酸も、それぞれあげることができる。

(iv)本発明のFGFR2蛋白質は、脊椎動物、好適には哺乳動物、より好適にはマウス、ラット等のげっ歯類及びヒト、より一層好適にはヒト、ラット又はマウスの、FGFR2を発現している細胞、組織又は癌組織、かかる組織由来の細胞、かかる細胞の培養物等より得ることができる。

FGFR2を高発現している正常組織には、脳、大腸、甲状腺、子宮、胆嚢、皮膚等を例示することができる。FGFR2を高発現している癌には、胃癌、乳癌など遺伝子増幅が見られるもの、および、膵臓癌、卵巣癌など過剰発現がみられるものがある。FGFR2IIIbを高発現している培養細胞株としては、胃癌細胞株、乳癌細胞株等を例示することができる。FGFR2IIIbを高発現している培養細胞株としては、大腸(盲腸)癌細胞株を例示することができる。FGFR2IIIcを発現している癌組織としては、子宮頚癌、非小細胞肺癌等を例示することができ、このうち子宮頚癌では高発現している。

本発明のFGFR2蛋白質は天然型(非組換型)及び組換え型のいずれであってもよい。また、担体やタグなど他のペプチドや蛋白質との融合物もFGFR2蛋白質の意味に含まれる。さらに、PEG等のポリマー付加を含む化学修飾、及び/又は、糖鎖修飾を含む生物学的修飾がなされたものもFGFR2蛋白質の意味に含まれる。また、FGFR2蛋白質断片も本発明のFGFR2蛋白質の意味に含まれる。FGFR2蛋白質断片のうち上記(i)及び/又は(ii)記載の性質を具備したものをFGFR2蛋白質機能断片と呼ぶ。

(2−2)抗原遺伝子 本発明においてFGFR2IIIb遺伝子は、次の(a)乃至(c)のいずれか一つに記載の塩基配列(以下、「FGFR2IIIb遺伝子配列」という)を含んでなるか、FGFR2IIIb遺伝子配列を含む塩基配列からなるか、またはFGFR2IIIb遺伝子配列からなる: (a)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列; (b)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列;及び (c)配列表の配列番号70(図78)で示されるアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個の塩基が置換、欠失、付加または挿入してなるアミノ酸配列をコードし且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列。

(b)又は(c)記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、FGF結合活性に加え、FGFR2の有する他の活性を有していてもよい。

本発明においてFGFR2IIIc遺伝子は、次の(a)乃至(c)のいずれか一つに記載の塩基配列(以下、「FGFR2IIIc遺伝子配列」という)を含んでなるか、FGFR2IIIc遺伝子配列を含む塩基配列からなるか、またはFGFR2IIIc遺伝子配列からなる: (a)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列; (b)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列;及び (c)配列表の配列番号71(図79)で示されるアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなるアミノ酸配列をコードし且つFGF結合活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列。

(b)又は(c)記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、FGF結合活性に加え、FGFR2の有する他の活性を有していてもよい。

FGFR2遺伝子の発現及び発現量の測定は、FGFR2遺伝子の転写産物及びFGFR2蛋白質のいずれを指標としてもよく、前者はRT−PCR法、ノーザンブロット・ハイブリダーゼーション法等により、後者はEnzyme−linked immuno−sorbent assay:以下、「ELISA」という)、ウエスタンブロッティング法、免疫組織染色法等の免疫アッセイ法等により、それぞれ測定することができる。

本発明においては、FGFR2IIIb遺伝子配列とFGFR2IIIc遺伝子配列をあわせてFGFR2遺伝子配列と呼ぶ。

(2−3)抗原蛋白質の調製 本発明のFGFR2蛋白質は、動物組織(体液を含む)、該組織由来の細胞もしくは該細胞培養物からの精製及び単離、遺伝子組換え、インビトロ翻訳、化学合成等により調製することができる。 (2−3−1)非組換型FGFR2の精製、単離 非組換型FGFR2蛋白質は、FGFR2を発現している細胞、正常組織もしく癌組織またはそれらに由来する細胞より精製、単離することができる。FGFR2を発現している正常組織、癌組織、癌細胞としては(2−2)の(iv)記載のものを例示することができるが、非組換型FGFR2蛋白質の由来はそれらに限定されるものではない。

かかる組織、細胞、細胞培養物等からの精製・単離は当業者に周知の分画、クロマトグラフィー等の手法を組み合わせることにより行うことができる。かかる手法には、塩析、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、順相又は逆相クロマトグラフィー等が含まれるが、それらに限定されるものではない。アフィニティークロマトグラフィー用のカラムは、抗FGFR2モノクローナル抗体を架橋したアフィニティーゲルを作製して充填することにより作製することができる。かかるカラムにFGFR2蛋白質を含有する粗画分又は部分精製画分を添加し、次いで滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で非特異的吸着物を除去した後、溶出用緩衝液を添加することによりFGFR2蛋白質を選択的に回収することができる。FGFR2蛋白質含有溶液は、ゲルろ過やCentriprep等の濃縮装置でバッファー交換及び/又は濃縮することができる。

(2−3−2)組換型FGFR2蛋白質の調製 本発明のFGFR2蛋白質は、組換型としても調製することができる。すなわち、FGFR2蛋白質又はFGFR2蛋白質断片のアミノ酸配列をコードする遺伝子を宿主細胞に導入し、かかる細胞の培養物からFGFR2蛋白質を回収することができる。例えば、FGFR2遺伝子又はその断片を発現ベクターに挿入し、次いで、原核又は真核の宿主細胞に該組換えベクターを導入して得られる組換え細胞を保温すれば、該細胞にFGFR2蛋白質を発現させることができる。発現形態としては、分泌発現、細胞内可溶発現、インクルージョンボディー法など公知の形態を用いることができる。また、アミノ末端(N末)及び/又はカルボキシ末端(C末)が天然型と同一の分子のみならず、分泌シグナル、細胞内局在化シグナル、アフィニティー精製用タグ、パートナーペプチドとの融合蛋白質として発現させることもできる。かかる組換え細胞培養物からのFGFR2蛋白質の精製、単離は、(2−3−1)記載の非組換型FGFR2蛋白質の精製、単離に記載の分画、クロマトグラフィー等の操作を適宜組み合わせることにより行うことができる。

FGFR2遺伝子又はその断片は、当業者に周知の方法により調製することができる。

例えば、FGFR2を発現している細胞や組織等から調製したcDNAライブラリーを鋳型とし、当該配列を特異的に増幅し得る一組のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という:Saiki,R.K.,et al.,Science(1988)239,p.487−489)、FGFR2を発現している細胞や組織等から調製したmRNA画分を鋳型とし、当該配列を逆転写し得るプライマー及び当該配列を特異的に増幅し得る一組のプライマーを用いた逆転写PCR(以下、「RT−PCR」という)、免疫アッセイを利用した発現クローニング、精製FGFR2蛋白質の部分アミノ酸配列を利用したcDNAクローニング等をあげることができる。

(2−3−3)インビトロ翻訳 本発明のFGFR2蛋白質はインビトロ翻訳によっても調製することができる。かかる翻訳法としては、転写及び翻訳に必要な酵素、基質並びにエネルギー物質を含む無細胞翻訳系を利用した方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ロシュ・ダイアグノスティックス社製のラピッドトランスレーションシステム(RTS)を利用する方法をあげることができる。

(2−3−4)化学合成 本発明のFGFR2蛋白質は化学合成によっても調製することができる。化学合成法としては、例えば、Fmoc合成法、Boc合成法などのペプチド固相合成法をあげることができる。

3.抗体 (3−1)抗体の分類 本発明の抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれであってもよい。本発明のモノクローナル抗体としては、非ヒト動物由来の抗体(非ヒト動物抗体)、ヒト由来の抗体(ヒト抗体)、キメラ化抗体(「キメラ抗体」ともいう)、ヒト化抗体等をあげることができる。

非ヒト動物抗体としては、哺乳類、鳥類等の脊椎動物に由来する抗体等をあげることができる。哺乳類由来の抗体としては、マウス抗体、ラット抗体等げっ歯類由来の抗体等をあげることができる。鳥類由来の抗体としては、ニワトリ抗体等をあげることができる。抗ヒトFGFR2ラットモノクローナル抗体としては、FR2−10、FR2−13、FR2−14等をあげることができる。

キメラ化抗体としては、非ヒト動物抗体由来の可変領域とヒト抗体(ヒト免疫グロブリン)定常領域とを結合してなる抗体等をあげることができるが、それに限定されるものではない。非ヒト動物抗体由来の可変領域とヒト抗体定常領域が結合してなるキメラ化抗体としては、前述のラットモノクローナル抗体FR2−10、FR2−13又はFR2−14由来の重鎖及び軽鎖可変領域、ならびに、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域を有する、cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14等をそれぞれあげることができる。

ヒト化抗体としては、非ヒト動物抗体の可変領域中のCDRをヒト抗体(ヒト免疫グロブリンの可変領域)に移植したもの、CDRに加え非ヒト動物抗体のフレームワーク領域の配列も一部ヒト抗体に移植したもの、それらのいずれかの非ヒト動物抗体由来の1つ又は2つ以上のアミノ酸をヒト型のアミノ酸で置換したもの等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。非ヒト動物抗体の可変領域中のCDRとしては、前述のFR2−10、FR2−13又はFR2−14由来の重鎖可変領域中のCDRH1乃至CDRH3および軽鎖可変領域中のCDRL1乃至CDRL3を例示することができる。

ヒト抗体としては、本発明の抗原を認識する抗体であれば特に限定されるものではないが、本発明の抗体のCDRを有する抗体と同一の部位に結合するヒト抗体、前述のFR2−10,FR2−13又はFR2−14とFGFR2上で同一の部位に結合するヒト抗体等を例示することができる。

本発明における抗体は、FGFR2に結合する活性を有していれば、複数の異なる抗体に由来する部分から構成される抗体であってもよく、例えば、複数の異なる抗体間で重鎖及び/又は軽鎖を交換したもの、重鎖及び/又は軽鎖の全長を交換したもの、可変領域のみ又は定常領域のみを交換したもの、CDRの全部又は一部のみを交換したもの等をあげることができる。キメラ化抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域は、異なる本発明の抗体に由来してもよい。ヒト化抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域中のCDRH1乃至CDRH3並びにCDRL1乃至CDRL3は、2種又はそれ以上の本発明の抗体に由来してもよい。ヒト抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域中のCDRH1乃至CDRH3並びにCDRL1乃至CDRL3は、2種又はそれ以上の本発明の抗体が有するCDRの組合せであってもよい。そのような複数の異なる抗体に由来する部分から構成される抗体は、(3−3)乃至(3−6)記載の1つ又は2つ以上の活性を有していてもよい。

本発明のモノクローナル抗体のアイソタイプは特に限定されるものではないが、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等のIgG、IgM、IgA1、IgA2等のIgA、IgD、IgE等をあげることができ、好適にはIgGおよびIgMを挙げることができる。モノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスは、例えば、オクテルロニー(Ouchterlony)法、ELISA法、Radio immunoassay(以下、「RIA」という)法等で決定することができる、市販の同定用のキット(マウスタイパーキット:バイオラッド社製、RAT MONOCLONAL ANTIBODY ISOTYPING TEST KIT:serotec社 等)も利用することができる。

(3−2)抗体の結合特異性 本発明の抗体はFGFR2蛋白質を認識する。言い換えれば、本発明の抗体はFGFR2蛋白質に結合する。かかる抗体は「抗FGFR2抗体」と表記される。また、本発明の好適な抗体はFGFR2蛋白質を特異的に認識する。言い換えれば、本発明の好適な抗体はFGFR2蛋白質に特異的に結合する。さらに、本発明の、より好適な抗体はFGFR2IIIb蛋白質及び/又はFGFR2IIIc蛋白質に特異的に結合し、より一層好適な抗体はFGFR2IIIb蛋白質及び/又はFGFR2IIIc蛋白質の有する免疫グロブリン様ドメイン(以下、「Ig様ドメイン」という)に特異的に結合する。かかるIg様ドメインとしては、Ig様ドメイン2、Ig様ドメイン3等を例示することができる。

本発明において「特異的な認識」、すなわち「特異的な結合」とは、非特異的な吸着ではない結合を意味する。結合が特異的であるか否かの判定基準としては、例えば、解離定数(Dissociation Consitant:以下、「KDという」)をあげることができる。本発明の好適な抗体のFGFR2蛋白質に対するKD値は1×10−5以下、5×10−6以下、2×10−6以下または1×10−6以下、より好適には5×10−7以下、2×10−7以下または1×10−7以下、より一層好適には5×10−8以下、2×10−8以下または1×10−8以下、さらにより一層好適には5×10−9以下、2×10−9以下または1×10−9以下、最適には5×10−10以下、2×10−10以下または1×10−10以下である。

本発明における抗原と抗体の結合は、ELISA法、RIA法、Surface Plasmon Resonance(以下、「SPR」という)解析法等により測定または判定することができる。SPR解析に用いる機器としては、BIAcoreTM(GEヘルスケア社製)、ProteOnTM(BioRad社製)、SPR−NaviTM(BioNavis社製)、SpreetaTM(Texas Instruments社製)、SPRi−PlexIITM(ホリバ社製)、Autolab SPRTM(Metrohm社製)等を例示することができる。細胞表面上の発現している抗原と抗体との結合は、フローサートメトリー法、Cell ELISA法等により測定することができる。

(3−3)抗体の抗腫瘍活性 本発明の抗体は、抗腫瘍活性を有し、好適にはイン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を有する。本発明において、抗腫瘍活性と抗癌活性は同義である。

本発明において、抗腫瘍活性とは、腫瘍組織及び/又は腫瘍細胞の増殖、悪性化、浸潤、転移、腫瘍サイズ増大又は重量増加等を抑制する活性を意味する。

抗腫瘍活性は、定法に従って評価することができる。イン・ビボ抗腫瘍活性は、例えば、ヒト癌組織又は癌細胞を移植した非ヒト動物モデル(ゼノグラフト)を用いることにより、ヒト腫瘍に対する効果を評価することができる。ゼノグラフトに用いる非ヒト動物としては、ヌードマウス等のマウスやラット等をあげることができる。 また、抗腫瘍活性は、癌細胞の細胞増殖に対する抑制または阻害活性としても評価することができる。

(3−4)抗体の細胞傷害活性 本発明の抗FGFR2抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介食活性(ADCP)活性を有していてもよい。本発明の好適な抗体はADCC活性を有し、より好適な抗体は、FGFR2発現細胞に対してADCC活性を有する。ADCC活性、CDC活性およびADCP活性は公知の方法により測定することができる。

ADCC活性の測定には、目的とする抗原を発現する細胞(標的細胞)と、その標的細胞を殺傷するエフェクター細胞が用いられる。エフェクター細胞はFcγ受容体を介して、標的細胞に結合した抗体のFc領域を認識する。Fcγ受容体から伝達されるシグナルにより、エフェクター細胞が標的細胞を殺傷する。ヒト由来のFc領域を有する抗体のADCC活性を測定する場合、エフェクター細胞としてヒトNK細胞が用いられる。ヒトNK細胞はヒト末梢血単核球(PBMC)から公知の方法により調製することができる。あるいはPBMCをそのままエフェクター細胞として用いることもできる。

ADCP活性の測定には、目的とする抗原を発現する細胞(標的細胞)と、その標的細胞を貪食する単球やマクロファージなどのエフェクター細胞が用いられる。これらのエフェクター細胞は、ヒト末梢血単核球(PBMC)から公知の方法により分離したモノサイト画分を公知の方法によりマクロファージへと分化誘導させて調製することができる。

(3−5)シグナル伝達に対する抗体の作用 本発明の抗FGFR2抗体の有する生物学的活性及び性質は、FGFR2を介したFGFシグナルを通じて評価することもできる。FGFR2を介したFGF刺激によるシグナル伝達としては、特に限定されるものではないが、例えば、FGFR2自己リン酸化、FGFR基質のリクルート及びその促進、それらを介したMAPK,PI3K、Akt、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)等のシグナル経路の活性化等をあげることができる。FGFR基質としては、FGFR基質2α(FRS2α)等を例示することができる。かかるシグナル伝達の活性化及びその抑制を評価するための試験方法は、特に限定されものではなく、公知の方法から任意に選択することができるが、例えば、ERKシグナル伝達を評価する系そして、後述のElk1ルシフェラーゼレポーターアッセイを例示することができる。

また、本発明の好適な抗体はFGFR2に対する中和活性を有し、より好適にはFGFR2IIIb及び/又はFGFR2IIIcに対する中和活性を有する。中和活性とは、FGFR2のリガンドによるFGFR2活性化を阻害又は抑制する活性を意味する。例えば、FGF依存性のFGFR2介在性シグナル、シグナル伝達等を阻害する抗体は、かかる中和活性を有すると判定することができる。実施例2の2)−3および実施例11に中和活性測定の例を示す。

(3−6)抗体の受容体−リガンド間の結合を阻害する活性 本発明の好適な抗体はFGFR2とそのリガンドの結合を阻害し、より好適にはFGFR2IIIb及び/又はFGFR2IIIcとFGFの結合を阻害する。かかる受容体−リガンド間の結合阻害は、競合的阻害および非競合的阻害のいずれであってもよい。FGFR2IIIbおよびFGFR2IIIcに対するリガンドとしては、FGF1、FGF3、FGF7、FGF10、FGF22およびFGF23、ならびに、FGF1、FGF2、FGF4、FGF6、FGF9、FGF17、FGF18、FGF21およびFGF23を、それぞれ例示することができる。

(3−7)モノクローナル抗体 本発明はモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体には、ラット抗体、マウス抗体、ウサギ抗体、ニワトリ抗体、魚類抗体等の非ヒト動物由来のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、それらの機能断片、それらの修飾体等が含まれる。このうち、ラットモノクローナル抗体の例としては、FR2−10抗体、FR2−13抗体、FR2−14抗体等をあげることができる。

FR2−10は実施例1に記載の方法により得られた抗ヒトFGFR2ラットモノクローナル抗体である。FR2−10の重鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号11(図19)に、アミノ酸配列は配列番号12(図20)に記載されている。FR2−10の軽鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号20(図28)に、アミノ酸配列は配列番号21(図29)に記載されている。FR2−10のCDRH1のアミノ酸配列は配列番号52(図60)に、CDRH2のアミノ酸配列は配列番号53(図61)に、CDRH3のアミノ酸配列は配列番号54(図62)に、CDRL1のアミノ酸配列は配列番号61(図69)に、CDRL2のアミノ酸配列は配列番号62(図70)に、CDRL3のアミノ酸配列は配列番号63(図71)にそれぞれ記載されている。

FR2−13は実施例1に記載の方法により得られた抗ヒトFGFR2ラットモノクローナル抗体である。FR2−13の重鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号13(図21)に、アミノ酸配列は配列番号14(図22)に記載されている。FR2−13の軽鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号23(図31)に、アミノ酸配列は配列番号24(図32)に記載されている。FR2−13のCDRH1のアミノ酸配列は配列番号55(図63)に、CDRH2のアミノ酸配列は配列番号56(図64)に、CDRH3のアミノ酸配列は配列番号57(図65)に、CDRL1のアミノ酸配列は配列番号64(図72)に、CDRL2のアミノ酸配列は配列番号65(図73)に、CDRL3のアミノ酸配列は配列番号66(図74)にそれぞれ記載されている。

FR2−14は実施例1に記載の方法により得られた抗ヒトFGFR2ラットモノクローナル抗体である。FR2−14の重鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号15(図23)に、アミノ酸配列は配列番号16(図24)に記載されている。FR2−14の軽鎖可変領域の塩基配列は配列表の配列番号25(図33)に、アミノ酸配列は配列番号26(図34)に記載されている。FR2−14のCDRH1のアミノ酸配列は配列番号58(図66)に、CDRH2のアミノ酸配列は配列番号59(図67)に、CDRH3のアミノ酸配列は配列番号60(図68)に、CDRL1のアミノ酸配列は配列番号67(図75)に、CDRL2のアミノ酸配列は配列番号68(図76)に、CDRL3のアミノ酸配列は配列番号69(図77)に記載されている。

本発明の抗体変異体には、好適には、蛋白質の分解もしくは酸化に対する感受性の低下、生物活性の改善、抗原結合能の改善、又は理化学的性質もしくは機能的性質の付与等がなされている。そのような抗体変異体の例として、抗体の有するアミノ酸配列において保存的アミノ酸置換されてなるアミノ酸配列を有する抗体をあげることができる。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸側鎖に関連のあるアミノ酸グループ内で生じる置換である。

好適なアミノ酸グループは、以下のとおりである:酸性グループ=アスパギン酸、グルタミン酸;塩基性グループ=リジン、アルギニン、ヒスチジン;非極性グループ=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および非帯電極性ファミリー=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。他の好適なアミノ酸グループは次のとおりである:脂肪族ヒドロキシグループ=セリン及びスレオニン;アミド含有グループ=アスパラギン及びグルタミン;脂肪族グループ=アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;並びに芳香族グループ=フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン。かかる抗体変異体におけるアミノ酸置換は、元の抗体が有する抗原結合活性を低下させない範囲で行うのが好ましい。

蛋白質中に含まれるアスパラギン酸は、そのC末側に連結するアミノ酸が小さい側鎖を有する場合は異性化によりイソアスパラギン酸に変換され易く、一方で、アスパラギンの場合は脱アミド化によりアスパラギン酸に変換され易く、さらに異性化によりイソアスパラギン酸に変換される可能性がある。そのような異性化や脱アミド化が進めば、蛋白質の安定性に影響が生じ得る。そこで、かかる異性化や脱アミド化を回避するために、蛋白質中のアスパラギン酸やアスパラギンあるいはそれらに隣接するアミノ酸等を他のアミノ酸で置換することができる。かかるアミノ酸置換がなされた抗体変異体は、元の抗体が有する抗原結合活性を保持していることが好ましい。

本発明のFR2−10、FR2−13又はFR2−14が有するアミノ酸配列において保守的アミノ酸置換がなされたアミノ酸配列を有する抗体変異体、ならびに、FR2−10、FR2−13又はFR2−14由来のCDRH1乃至CDRH3及びCDRL1乃至CDRL3のいずれかのアミノ酸配列において保守的アミノ酸変異がなされたアミノ酸配列を有する該CDRを含むマウス抗体、ラット抗体、キメラ化抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等も本発明に包含される。

本発明のFR2−10、FR2−13又はFR2−14由来のCDRH1乃至CDRH3及びCDRL1乃至CDRL3のいずれか1つ又は2つ以上のアミノ酸配列において1乃至数個、好適には1乃至3個、より好適には1又は2個、最適には1個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されてなるアミノ酸配列を有するCDRH1乃至CDRH3及びCDRL1乃至CDRL3を含む抗体の変異体であって、且つヒトFGFR2に結合するものは、本発明の抗体の変異体に包含される。

FR2−14の好適な変異体としては、例えば、CDRH3のアミノ酸配列においてアミノ酸が他のアミノ酸で置換されてなるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む抗体をあげることができる。

FR2−14重鎖CDRH3のアミノ酸が置換された好適な変異体としては、例えば、1番目のアミノ酸であるアスパラギン酸(配列番号51、図59の118番目のアミノ酸)がグルタミン酸で置換された変異体、2番目のアミノ酸であるグリシン(配列番号51、図59の119番目のアミノ酸)がチロシン、アラニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、アスパラギン、メチオニン、ロイシン、リジン、イソロイシン、ヒスチジン、フェニルアラニンまたはグルタミン酸で置換された変異体、8番目のアミノ酸であるスレオニンがアラニンで置換された変異体等を例示することができる。

また、複数の抗体に由来するCDRH1乃至CDRH3およびCDRL1乃至CDRL3を有する抗体も、抗体変異体に含まれる。そのような変異体の例として、CDRH3のみある抗体に由来し、CDRH1及びCDRH2ならびにCDRL1乃至CDRL3は別の抗体に由来する抗体変異体をあげることができる。

本発明においては抗体変異体も「抗体」に包含される。

本発明の抗体の定常領域としては、とくに限定されるものではないが、ヒトの疾患を治療または予防するための本発明の抗体としては、好適にはヒト抗体のものが使用される。ヒト抗体の重鎖定常領域としては、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cμ、Cδ、Cα1、Cα2、Cε等をあげることができる。ヒト抗体の軽鎖定常領域としては、例えば、Cκ、Cλ等をあげることができる。

(3−8)キメラ抗体 本発明の抗FGFR2キメラ化抗体又はその機能断片は、抗腫瘍活性を有し、好適にはイン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を有する。また、かかるキメラ化抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2IIIb蛋白質及び/又はFGFR2IIIc蛋白質に特異的に結合し、より好適にはそれらの蛋白質の有するIg様ドメインに結合する。さらに、かかるキメラ化抗体又はその機能断片は、好適にはADCC活性及び/又はADCP活性を有する。また、本発明のキメラ抗体又はその機能断片はFGFR2に対する中和活性を有し、好適にはFGFR2IIIb及び/又はFGFR2IIIcに対する中和活性を有し、より好適にはFGFR2IIIb及びFGFR2IIIcに対する中和活性を有する。さらに、本発明のキメラ抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2とそのリガンドの結合を阻害する。

本発明のラット−ヒトキメラ化抗体として例示されるcFR2−10の軽鎖塩基配列及びアミノ酸配列ならびに重鎖塩基配列及びアミノ酸配列は、配列表の配列番号31、32、35及び36(図39、40、43及び44)にそれぞれ示される。同じく、cFR2−13の軽鎖塩基配列及びアミノ酸配列ならびに重鎖塩基配列及びアミノ酸配列は、配列表の配列番号39、40、43及び44(図47、48、51及び52)に、cFR2−14の軽鎖塩基配列及びアミノ酸配列ならびに重鎖塩基配列及びアミノ酸配列は、配列表の配列番号47、48、50及び51(図55、56、58及び59)に、それぞれ示される。それらの軽鎖の塩基配列におけるヌクレオチド番号1乃至60、ならびに、それらの軽鎖のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1乃至20は、シグナル配列であり、通常大部分の成熟軽鎖の塩基配列およびアミノ酸配列にはそれぞれ含まれない。同様に、それらの重鎖の塩基配列におけるヌクレオチド番号1乃至57、ならびに、それらの重鎖のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1乃至19は、シグナル配列であり、通常大部分の成熟重鎖の塩基配列およびアミノ酸配列にはそれぞれ含まれない。

(3−9)抗体の機能断片 本発明は一つの態様として、本発明の抗FGFR2抗体の機能断片を提供する。抗体の機能断片とは、該抗体の有する機能の少なくとも一部を保持する断片を意味する。かかる抗体の機能としては、一般的には、抗原結合活性、抗原の活性を調節する活性、抗体依存性細胞障害(ADCC)活性及び抗体依存性細胞媒介食(ADCP)活性等を挙げることができる。本発明の抗FGFR2抗体の機能としては、例えば、FGFR2蛋白質結合活性、ADCC活性、ADCP活性、FGFR2に対する中和活性、イン・ビボ抗腫瘍活性、FGFR2とそのリガンドの結合を阻害する活性等をあげることができる。

抗体の機能断片としては、該抗体の有する活性の少なくとも一部を保持している該抗体の断片であれば特に限定されないが、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、重鎖及び軽鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)、diabody(diabodies)、線状抗体、及び抗体断片より形成された多特異性抗体、F(ab’)2を還元条件下で処理した抗体の可変領域の一価の断片であるFab’等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。リンカー部分を保有するscFvのように、本発明の抗体の断片以外の部分を含む分子も、本発明の抗体の機能断片の意味に包含される。

抗体蛋白質のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端のアミノ酸が1乃至数個又はそれ以上を欠失してなり、且つ該抗体の有する機能の少なくとも一部を保持している分子も、抗体の機能断片の意味に包含される。例えば、哺乳類培養細胞で生産される抗体の重鎖のカルボキシル末端のリジン残基が欠失することが知られており(Journal of Chromatography A,705:129−134(1995))、また、同じく重鎖カルボキシル末端のグリシン、リジンの2アミノ酸残基が欠失し、新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基がアミド化されることが知られている(Analytical Biochemistry,360:75−83(2007))。しかし、これらの重鎖配列の欠失及び修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作用など)には影響を及ぼさない。そのような抗体の機能断片の修飾体も、本発明の抗体もしくはその機能断片、又はその修飾体(後述)に包含される。

本発明の抗体又はその機能断片は、少なくとも2種類の異なる抗原に対して特異性を有する多特異性抗体であってもよい。多特異性抗体は、2種類の異なる抗原に結合する二重特異性抗体(bispecific antibody)に限定されず、3種以上の異なる抗原に対して特異性を有する抗体も本発明の「多特異性抗体」の意味に包含される。

本発明の多特異性抗体は、全長抗体又はその機能断片であってもよい(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)。二重特異性抗体は2種類の抗体の重鎖と軽鎖(HL対)を結合させて作製することもできる。また、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを2種類以上融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製することによっても、得ることができる(Millstein et al.,Nature(1983)305,p.537−539)。多特異的抗体も同様の方法により調製することができる。

本発明の抗体の一つの態様は、一本鎖抗体(以下、「scFv」という)である。scFvは、抗体の重鎖V領域と軽鎖V領域とをポリペプチドのリンカーで連結することにより得られる(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,113,Rosenburg及びMoore編,Springer Verlag,New York,p.269−315(1994)、Nature Biotechnology(2005),23,p.1126−1136)。また、2つのscFvをポリペプチドリンカーで結合させて作製されるBiscFvを二重特異性抗体として使用することができる。さらに3つ以上のscFvよりMultiscFvも多特異性抗体として使用することができる。

本発明には、抗体の重鎖及び軽鎖の全長配列を適切なリンカーを用いて連結し、一本鎖イムノグロブリン(single chain immunoglobulin)が含まれる(Lee,H−S,et.al.,Molecular Immunology(1999)36,p.61−71;Shirrmann,T.et.al.,mAbs(2010),2,(1)p.1−4)。このような一本鎖イムノグロブリンは二量体化することによって、本来は四量体である抗体と類似した構造と活性を保持することが可能である。また、本発明の抗体は、単一の重鎖可変領域を有し、軽鎖配列を有さない抗体であってもよい。このような抗体は、単一ドメイン抗体(single domain antibody:sdAb)又はナノボディ(nanobody)と呼ばれており、抗原結合能が保持されていることが報告されている(Muyldemans S.et.al.,Protein Eng.(1994)7(9),1129−35,Hamers−Casterman C.et.al.,Nature(1993)363(6428)446−8)。これらの抗体も、本発明における抗体の機能性断片の意味に包含される。

(3−10)ヒト化抗体およびヒト抗体 本発明はその一つの態様において、ヒト化抗体又はその機能断片を提供する。 本発明の抗FGFR2ヒト化抗体又はその機能断片は、抗腫瘍活性を有し、好適にはイン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を有する。また、かかるヒト化抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2IIIb蛋白質及び/又はFGFR2IIIc蛋白質に特異的に結合し、より好適にはそれらの蛋白質の有するIg様ドメインに結合する。さらに、かかるヒト化抗体又はその機能断片は、好適にはADCC活性及び/又はADCP活性を有する。また、本発明のヒト化抗体又はその機能断片はFGFR2に対する中和活性を有し、好適にはFGFR2IIIb及び/又はFGFR2IIIcに対する中和活性を有し、より好適にはFGFR2IIIb及びFGFR2IIIcに対する中和活性を有する。さらに、本発明のヒト化抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2とそのリガンドの結合を阻害する。

本発明の好適なヒト化抗体の例としては、以下のA乃至Cに記載するように、ラットFR2−10抗体、ラットFR2−13抗体またはラットFR2−14抗体の重鎖のCDRH1乃至CDRH3および軽鎖のCDRL1乃至CDRL3を有するヒト化抗体等をあげることができる。 (A.ラットFR2−10抗体の重鎖のCDRH1乃至CDRH3および軽鎖のCDRL1乃至CDRL3を有するヒト化抗体)

本発明の抗FGFR2ヒト化抗体又はその機能断片としては、例えば、配列表の配列番号52(図60)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号53(図61)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号54(図62)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む可変領域を有する重鎖、並びに、配列表の配列番号61(図69)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号62(図70)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号63(図71)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む可変領域を有する軽鎖からなり、本発明のFGFR2蛋白質を認識するヒト化抗体もしくは該抗体のFGFR2蛋白質結合活性を保持している該抗体の断片、またはその変異体等をあげることができる。 (B.ラットFR2−13抗体の重鎖のCDRH1乃至CDRH3および軽鎖のCDRL1乃至CDRL3を有するヒト化抗体)

また、他の抗FGFR2ヒト化抗体又はその機能断片としては、例えば、配列表の配列番号55(図63)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号56(図64)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号57(図65)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む可変領域を有する重鎖、並びに、配列表の配列番号64(図72)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号65(図73)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号66(図74)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む可変領域を有する軽鎖からなり、本発明のFGFR2蛋白質を認識するヒト化抗体もしくは該抗体のFGFR2蛋白質結合活性を保持している該抗体の断片、またはその変異体等をあげることができる。 (C.ラットFR2−14抗体の重鎖のCDRH1乃至CDRH3および軽鎖のCDRL1乃至CDRL3を有するヒト化抗体)

さらに、他の抗FGFR2ヒト化抗体又はその機能断片としては、例えば、配列表の配列番号58(図66)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号59(図67)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号60(図68)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む可変領域を有する重鎖、並びに、配列表の配列番号67(図75)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号68(図76)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号69(図77)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む可変領域を有する軽鎖からなり、本発明のFGFR2蛋白質を認識するヒト化抗体もしくは該抗体のFGFR2蛋白質結合活性を保持している該抗体の断片、またはその変異体等をあげることができる。

本発明の好適なヒト化抗体は上記A乃至C記載のものには限定されない。より好適なヒト化抗体はヒト化FR2−14抗体およびその変異体であり、以下にその例としてhFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1を挙げるが、それらに限定されるものではなく、例えば、hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1のいずれか一つのヒト化抗体の重鎖可変領域を含む重鎖、ならびに、hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1のいずれか一つのヒト化抗体の軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含んでなる抗体も、本発明のより好適なヒト化抗体に含まれる。

hFR2−14_H1/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号74(図82)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号75(図83)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H2/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号76(図84)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号77(図85)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H3/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号78(図86)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号79(図87)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H4/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号80(図88)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号81(図89)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H5/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号82(図90)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号83(図91)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有しており、過酷な条件に曝しても高い抗原結合活性を維持した(実施例参照)。

hFR2−14_H6/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号84(図92)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号85(図93)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H7/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号86(図94)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号87(図95)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H8/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号88(図96)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号89(図97)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有しており、過酷な条件に曝しても高い抗原結合活性を維持した(実施例参照)。

hFR2−14_H9/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号90(図98)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号91(図99)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H10/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号92(図100)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号93(図101)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H11/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号94(図102)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号95(図103)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有しており、過酷な条件に曝しても高い抗原結合活性を維持した(実施例参照)。

hFR2−14_H12/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号96(図104)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号97(図105)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ADCP活性、FGFR2リガンドとFGFR2の結合を阻害する活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有しており、過酷な条件に曝しても高い抗原結合活性を維持した(実施例参照)。

hFR2−14_H13/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号98(図106)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号99(図107)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H14/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号100(図108)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号101(図109)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H15/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号102(図110)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号103(図111)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H16/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号104(図112)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号105(図113)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H17/L1は実施例8において得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号106(図114)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号107(図115)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H18/L1は実施例8おいて得られたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号108(図116)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号109(図117)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、ならびにFGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、in vivo抗腫瘍活性を有していた(実施例参照)。

hFR2−14_H19/L1は実施例9において得られた、糖鎖修飾が調節されたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)にのアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号96(図104)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号97(図105)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。該抗体はTm値が高く立体構造安定性に優れ、FGFR2に対する高い結合活性、優れた熱安定性、FGFR2リガンド依存性のFGFR2シグナル中和活性、ADCC活性、ADCP活性、FGFR2リガンドとFGFR2の結合を阻害する活性、ならびにin vivo抗腫瘍活性を有しており、過酷な条件に曝しても高い抗原結合活性を維持した(実施例参照)。

また、これらのヒト化FR2−14抗体をマウスに投与したところ、体重減少、その他の顕著な毒性所見は認められなかった。hFR2−14_H12/L1抗体およびhFR2−14_H19/L1抗体をカニクイザルに約150mg/kg単回投与して14日後に観察したところ、顕著な臨床所見、血液学的変化、体重減少、その他の顕著な毒性所見は認められなかった。このように本発明のヒト化抗体は疾患の治療または予防のための医薬組成物として優れた安全性を具備している。

本発明のより好適なヒト化であるhFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1の中で、さらに好適な抗体はhFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1およびhFR2−14_H19/L1であり、さらに一層好適な抗体はhFR2−14_H12/L1およびhFR2−14_H19/L1である。

本発明のラットFR2−10、FR2−13およびFR2−14抗体、キメラcFR2−10、cFR2−13および、cFR2−14抗体、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1抗体のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列と80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上又は99%以上の同一なアミノ酸配列を含む重鎖または軽鎖を含み、且つFGFR2に結合する抗体又はその機能断片も、本発明に包含される。かかる配列同一性は、好適には94%以上、より好適には96%以上、より一層好適には98%以上、最適には99%以上である。また、それらの抗体は、好適には(3−3)乃至(3−6)記載の活性を一つ又はそれ以上有している。

二種類のアミノ酸配列間の同一性あるいは相同性は、Blast algorithm version 2.2.2(Altschul, Stephen F.,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J.Lipman(1997),「Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs」,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)のデフォルトパラメーターを使用することによって決定することができる。Blast algorithmは、例えば、インターネットでhttp://blast.ncbi.nlm.nih.gov/にアクセスすることによっても使用することができる。

本発明のラットFR2−10、FR2−13およびFR2−14抗体、キメラcFR2−10、cFR2−13および、cFR2−14抗体、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1抗体のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至35個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなるアミノ酸配列を含む重鎖または軽鎖を含み、且つFGFR2に結合する抗体又はその機能断片も、本発明に包含される。かかるアミノ酸変異は好適には置換であり、変異されるアミノ酸の個数は好適には1乃至5個、より好適には1乃至4個、より一層好適には1乃至3個、さらにより一層好適には1乃至2個、最適には1個である。また、それらの抗体は、好適には(3−3)乃至(3−6)記載の活性を一つ又はそれ以上有している。

本発明のラットFR2−10、FR2−13FRおよびFR2−14抗体、キメラcFR2−10、cFR2−13および、cFR2−14抗体、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1抗体のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な塩基配列を有するヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含む重鎖または軽鎖を含み、且つFGFR2に結合する抗体又はその機能断片も、本発明に包含される。それらの抗体は、好適には(3−3)乃至(3−6)記載の活性を一つ又はそれ以上有している。

本発明は別の一つの態様において、ヒト抗体又はその機能断片を提供する。本発明のヒト抗体は、FGFR2に結合するヒト由来の抗体であれば特に限定されるものではないが、抗腫瘍活性を有し、好適にはイン・ビボ(in vivo)で抗腫瘍活性を有する。また、かかるヒト化抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2IIIb蛋白質及び/又はFGFR2IIIc蛋白質に特異的に結合し、より好適にはそれらの蛋白質の有するIg様ドメインに結合する。さらに、かかるヒト抗体又はその機能断片は、好適にはADCC活性及び/又はADCP活性を有する。また、本発明のヒト抗体又はその機能断片はFGFR2に対する中和活性を有し、好適にはFGFR2IIIb及び/又はFGFR2IIIcに対する中和活性を有し、より好適にはFGFR2IIIb及びFGFR2IIIcに対する中和活性を有する。さらに、本発明のヒト抗体又はその機能断片は、好適にはFGFR2とそのリガンドの結合を阻害する。

(3−11)エピトープに結合する抗体 本発明の提供する抗体と「同一の部位に結合する抗体」も本発明の抗体に含まれる。ある抗体と「同一の部位に結合する抗体」とは、該抗体が認識する抗原分子上の部位に結合する他の抗体を意味する。第一抗体が結合する抗原分子上の部分ペプチド又は部分立体構造に第二抗体が結合すれば、第一抗体と第二抗体は同一の部位に結合すると判定することができる。また、第一抗体の抗原に対する結合に対して第二抗体が競合する、すなわち、第二抗体が第一抗体と抗原の結合を妨げることを確認することによって、具体的な結合部位のペプチド配列又は立体構造が決定されていなくても、第一抗体と第二抗体が同一の部位に結合すると判定することができる。さらに、第一抗体と第二抗体が同一の部位に結合し、且つ第一抗体が抗腫瘍活性など本発明の抗体の一つの態様に特徴的な効果を有する場合、第二抗体も同様の活性を有する蓋然性は極めて高い。従って、第一の抗FGFR2抗体の結合する部位に第二の抗FGFR2抗体が結合すれば、第一抗体と第二抗体がFGFR2蛋白質上の同一の部位に結合すると判定することができる。また、第一の抗FGFR2抗体のFGFR2蛋白質への結合に対して第二の抗FGFR2抗体が競合することを確認できれば、第一抗体と第二抗体がFGFR2蛋白質上の同一の部位に結合する抗体と判定することができる。

本発明のモノクローナル抗体FR2−10、FR2−13又はFR2−14が認識するFGFR2蛋白質上の部位に結合する抗体も本発明に含まれる。

抗体の結合部位は、免疫アッセイ法など当業者に周知の方法により決定することができる。例えば、抗原のアミノ酸配列をC末またはN末から適宜削ってなる一連のペプチドを作製し、それらに対する抗体の反応性を検討し、大まかな認識部位を決定した後に、さらに短いペプチドを合成してそれらのペプチドへの抗体の反応性を検討することにより、結合部位を決定することができる。抗原断片ペプチドは、遺伝子組換、ペプチド合成等の技術を用いて調製することができる。

抗体が抗原の部分高次構造に結合又は認識している場合、かかる抗体の結合部位は、X線構造解析を用いて、当該抗体に隣接する抗原上のアミノ酸残基を特定することにより決定することができる。例えば、抗体又はその断片および抗原又はその断片を結合させて結晶化し、構造解析を行うことにより、抗体と相互作用距離を有する抗原上のアミノ酸残基を特定することができる。相互作用距離は8Å以下であり、好適には6Å以下であり、より好適には4Å以下である。そのような抗体との相互作用距離を有するアミノ酸残基は1つまたはそれ以上で抗体の抗原結合部位(エピトープ)を構成し得る。かかるアミノ酸残基が2つ以上の場合、各アミノ酸は一次配列上で互いに隣接していなくてもよい。

ラット、キメラ又はヒト化FR2−14抗体のFabフラグメントとヒトFGFR2IIIbのD2断片(配列番号70:図78のアミノ酸番号128乃至249からなるペプチド)を結合させ、1.1乃至2.1M硫酸アンモニウム−0.15MTris塩酸緩衝液(pH6.5乃至8.5)の条件下で結晶化させると、正方晶系で空間群がP41212、結晶の単位格子がa=b=60.57Å、c=331.2Åの結晶が得られる。その三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定することができる(実施例15参照)。

ラット、キメラ又はヒト化FR2−14抗体は、ヒトFGFR2IIIb上又はヒトFGFR2IIIc上の部分高次構造を認識する。かかる抗体のエピトープは、ヒトFGFR2IIIbのアミノ酸配列(配列番号70:図78)又はヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列(配列番号71:図79)中の、155番目のチロシン(Tyr)、157番目のスレオニン(Thr)、176番目のリジン(Lys)、181番目のアラニン(Ala)、182番目のグリシン(Gly)、183番目のグリシン(Gly)、184番目のアスパラギン(Asn)、185番目のプロリン(Pro)、186番目のメチオニン(Met)、188番目のスレオニン(Thr)、200番目の(グルタミン)、201番目のグルタミン酸(Glu)、205番目のグリシン(Gly)、206番目のグリシン(Gly)、208番目のリジン(Lys)、209番目のバリン(Val)、210番目のアルギニン(Arg)、211番目のアスパラギン(Asn)、212番目のグルタミン(Gln)、213番目のヒスチジン(His)、214番目のトリプトファン(Trp)、および、217番目のイソロイシン(Ile)の各残基から構成される。言い換えると、かかる抗体はヒトFGFR2IIIbのアミノ酸配列(配列番号70:図78)又はヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列(配列番号71:図79)中の、155番目のチロシン(Tyr)、157番目のスレオニン(Thr)、176番目のリジン(Lys)、181番目のアラニン(Ala)、182番目のグリシン(Gly)、183番目のグリシン(Gly)、184番目のアスパラギン(Asn)、185番目のプロリン(Pro)、186番目のメチオニン(Met)、188番目のスレオニン(Thr)、200番目の(グルタミン)、201番目のグルタミン酸(Glu)、205番目のグリシン(Gly)、206番目のグリシン(Gly)、208番目のリジン(Lys)、209番目のバリン(Val)、210番目のアルギニン(Arg)、211番目のアスパラギン(Asn)、212番目のグルタミン(Gln)、213番目のヒスチジン(His)、214番目のトリプトファン(Trp)、および、217番目のイソロイシン(Ile)と相互作用距離を有する。この抗体のエピトープ部位は、ヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列中にも存在する。かかるエピトープに結合するか、または、かかるアミノ酸残基と相互作用距離を有する抗体、その機能断片またはその修飾体も、本発明の抗体、その機能断片またはその修飾体に包含される。

(3−12)抗体の修飾体 本発明は、抗体又はその機能断片の修飾体を提供する。本発明の抗体又はその機能断片の修飾体とは、本発明の抗体又はその機能断片に化学的又は生物学的な修飾が施されてなるものを意味する。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N−結合またはO−結合炭水化物鎖の化学修飾体等が含まれる。生物学的な修飾体には、翻訳後修飾(例えば、N−結合またはO−結合への糖鎖付加、N末またはC末のプロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化)されたもの、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによりN末にメチオニン残基が付加したもの等が含まれる。また、本発明の抗体または抗原の検出または単離を可能にするために標識されたもの、例えば、酵素標識体、蛍光標識体、アフィニティ標識体もかかる修飾物の意味に含まれる。このような本発明の抗体又はその機能断片の修飾物は、元の本発明の抗体又はその機能断片の安定性および血中滞留性の改善、抗原性の低減、かかる抗体又は抗原の検出又は単離等に有用である。

化学的修飾体に含まれる化学部分としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを例示することができる。

生物学的な修飾体としては、酵素処理や細胞処理等により修飾が施されたもの、遺伝子組換えによりタグ等他のペプチドが付加された融合体、ならびに内因性又は外来性の糖鎖修飾酵素を発現する細胞を宿主として調製されたもの等をあげることができる。

本発明の抗体又はその機能断片に結合している糖鎖修飾を調節すること(グリコシル化、脱フコース化等)によって、抗体依存性細胞傷害活性を増強することが可能である。抗体の糖鎖修飾の調節技術としては、例えば、WO99/54342、WO00/61739、WO02/31140等に記載された方法が知られているが、これらに限定されるものではない。本発明の抗体の修飾体には当該糖鎖修飾が調節された抗体も含まれる。

かかる修飾は、抗体またはその機能断片における任意の位置に、または所望の位置において施されてもよく、1つ又は2つ以上の位置に同一又は2種以上の異なる修飾がなされてもよい。

本発明において「抗体断片の修飾体」は「抗体の修飾体の断片」をもその意味に含むものである。

本発明においては抗体の修飾体、その機能断片の修飾体を、単に「抗体」、「抗体の機能断片」と呼ぶことがある。

hFR2−14_H19/L1は実施例9において得られた、糖鎖修飾が調節されたヒト化抗体である。当該抗体の軽鎖の塩基配列は配列番号72(図80)のヌクレオチド番号61乃至705を、アミノ酸配列は配列番号73(図81)のアミノ酸番号21乃至235を、重鎖の塩基配列は配列番号96(図104)のヌクレオチド番号58乃至1401を、アミノ酸配列は配列番号97(図105)のアミノ酸番号20乃至467を、それぞれ含んでいる。かかるヒト化抗体も本発明の抗体、本発明の抗体の修飾体に包含される。

本発明において、抗体、その機能断片、抗体の修飾体、および抗体の機能断片の修飾体には、それらの塩も含まれる。本発明の塩は、本発明の抗体、機能断片または修飾体と塩を形成し、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩等が挙げられるが、好ましくは、無機酸塩または有機酸塩である。塩の水和物も本発明の範囲に含まれる。無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられ、より好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩またはリン酸塩であり、もっとも好ましくは臭化水素酸塩である。有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられ、特に好ましくはフマル酸塩またはマレイン酸塩である。無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等が挙げられる。酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩等が挙げられる。

4.抗体の製造方法 (4−1)ハイブリドーマを用いる方法 本発明の抗FGFR2抗体は、コーラーとミルスタインの方法(Kohler and Milstein,Nature (1975)256,p.495−497、Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibodies,p.365−367,Plenum Press,N.Y.(1980))に従って、FGFR2蛋白質又はその可溶型フォームで免疫した動物の脾臓より抗FGFR2抗体の産生細胞を単離し、該細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、かかるハイブリドーマの培養物からモノクローナル抗体を取得することができる。

(4−1−1)抗原の調製 抗FGFR2抗体を作製するための抗原は、本発明の他の部分に記載された天然型または組換え型のFGFR2蛋白質の調製法等に従って、取得することができる。そのようにして調製し得る抗原としては、FGFR2蛋白質若しくはその少なくとも6個の連続した部分アミノ酸配列を含むことからなるFGFR2蛋白質断片、またはそれらに任意のアミノ酸配列や担体が付加された誘導体等(以下、まとめて「FGFR2抗原」とよぶ)を挙げることができる。

組換え型FGFR2抗原は、FGFR2抗原の有するアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる遺伝子を宿主細胞に導入し、該細胞の培養物から該抗原を回収することにより、調製することができる。かかる組換型抗原は、免疫グロブリンのFc領域など他の蛋白質との融合蛋白質であってもよい。また、FGFR2抗原のアミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれる遺伝子をイン・ビトロ(in vitro)翻訳系により無細胞系において得られるFGFR2抗原も組換え型FGFR2抗原に含まれる。非組換型FGFR2抗原は、(2−2)の(iv)に記載された、FGFRを発現している正常組織、癌組織、癌細胞、癌細胞の培養物等から精製、単離することができる。

(4−1−2)抗FGFR2モノクローナル抗体の製造 モノクローナル抗体の製造は、通常、下記のような工程を経る。 (a)抗原を調製する工程、 (b)抗体産生細胞を調製する工程、 (c)骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ」という)を調製する工程、 (d)抗体産生細胞とミエローマとを融合させる工程、 (e)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群を選別する工程、及び (f)単一細胞クローンを得る工程(クローニング)。 必要に応じてさらに、(g)ハイブリドーマの培養工程、ハイブリドーマを移植した動物の飼育工程等、(h)モノクローナル抗体の生物活性の測定工程・判定工程等が加わる。

以下、モノクローナル抗体の作製法を上記工程に沿って詳述するが、該抗体の作製法はこれに制限されず、例えば脾細胞以外の抗体産生細胞及びミエローマを使用することもできる。 (a)抗原の精製 前記(2−3)記載のFGFR2蛋白質の調製法に準ずる。 (b)抗体産生細胞を調製する工程 工程(a)で得られた抗原と、フロインドの完全又は不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物は公知のハイブリドーマ作製法に用いられる動物を支障なく使用することができる。具体的には、たとえばマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ等を使用することができる。ただし、摘出した抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞の入手容易性等の観点から、マウス又はラットを被免疫動物とするのが好ましい。

また、実際に使用するマウス及びラットの系統は特に制限はなく、マウスの場合には、例えば、A、AKR、BALB/c、BALB/cAnNCrj、BDP、BA、CE、C3H、57BL、C57BL、C57L、DBA、FL、HTH、HT1、LP、NZB、NZW、RF、R III、SJL、SWR、WB、129等が、ラットの場合には、例えば、Wistar、Low、Lewis、Sprague−Daweley、ACI、BN、Fischer等を用いることができる。

これらのマウス及びラットは例えば日本クレア、日本チャ−ルスリバー、等実験動物飼育販売業者より入手することができる。

このうち、後述のミエローマ細胞との融合適合性を勘案すれば、マウスではBALB/c系統が、ラットではWistar及びLow系統が被免疫動物として特に好ましい。

また、抗原のヒトとマウスでの相同性を考慮し、自己抗体を除去する生体機構を低下させたマウス、すなわち自己免疫疾患マウスを用いることも好ましい。

なお、これらマウス又はラットの免疫時の週齢は、好ましくは5乃至12週齢、さらに好ましくは6乃至8週齢である。

FGFR2蛋白質で動物を免疫するには、例えば、Weir, D.M.,Handbook of Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964) 等の方法を用いることができる。

抗体価の測定法としては、例えば、RIA法、ELISA法等の免疫アッセイを挙げることができるが、それらの方法に限定されるものではない。

免疫された動物から分離された脾臓細胞又はリンパ球に由来する抗体産生細胞は、例えば、Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495,;Kohler et al.,Eur.J.Immnol.(1977)6,p.511,;Milstein et al.,Nature(1977),266,p.550,;Walsh,Nature,(1977)266,p.495,)等の公知の方法に従って調製することができる。

脾臓細胞の場合には、脾臓を細切して細胞をステンレスメッシュで濾過した後、イーグル最小必須培地(MEM)等に浮遊させて抗体産生細胞を分離する一般的方法を採用することができる。

(c)ミエローマを調製する工程 細胞融合に用いるミエローマ細胞には特段の限定はなく、公知の細胞株から適宜選択して用いることができるが、融合細胞からハイブリドーマを選択する際の利便性を考慮して、その選択手続が確立しているHGPRT(Hypoxanthine−guanine phosphoribosyl transferase)欠損株、すなわちマウス由来のX63−Ag8(X63)、NS1−ANS/1(NS1)、P3X63−Ag8.Ul(P3Ul)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO、BU.1等、ラット由来の210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)等、ヒト由来のU266AR(SKO−007)、GM1500・GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LOW−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)等を用いるのが好ましい。これらのHGPRT欠損株は例えば、American Type Culture Collection (ATCC)等から入手することができる。

これらの細胞株は、適当な培地、例えば8−アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミン、2−メルカプトエタノール、ゲンタマイシン、及びウシ胎児血清(以下「FBS」という)を加えた培地に8−アザグアニンを加えた培地]、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;以下「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;以下「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3乃至4日前に正常培地[例えば、10% FBSを含むASF104培地(味の素(株)社製)]で継代培養し、融合当日に2×107以上の細胞数を確保しておく。

(d)抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合させる工程 抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、公知の方法(Weir,D.M.,Handbookof Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964)等)に従い、細胞の生存率を極度に低下させない程度の条件下で実施することができる。例えば、ポリエチレングリコール等の高濃度ポリマー溶液中で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合する化学的方法、電気的刺激を利用する物理的方法等を用いることができる。

(e)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群を選別する工程 細胞融合により得られるハイブリドーマの選択方法は特に制限はないが、通常HAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)選択法(Kohler et al., Nature(1975)256,p.495;Milstein et al.,Nature(1977)266,p.550)が用いられる。この方法は、アミノプテリンで生存し得ないHGPRT欠損株のミエローマ細胞を用いてハイブリドーマを得る場合に有効である。すなわち、未融合細胞及びハイブリドーマをHAT培地で培養することにより、アミノプテリンに対する耐性を持ち合わせたハイブリドーマのみを選択的に残存させ、かつ増殖させることができる。

(f)単一細胞クローンを得る工程(クローニング) ハイブリドーマのクローニング法としては、例えば、メチルセルロース法、軟アガロース法、限界希釈法等の公知の方法を用いることができるが(例えば、Barbara, B.M. and Stanley, M.S.:Selected Methods in Cellular Immunology,W.H. Freeman and Company,San Francisco(1980)参照)、好適には限界希釈法である。

(g)ハイブリドーマの培養工程、ハイブリドーマを移植した動物の飼育工程 選択されたハイブリドーマを培養することにより、モノクローナル抗体を産生することができるが、好適には所望のハイブリドーマをクローニングしてから抗体の産生に供する。

かかるハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体は、該ハイブリドーマの培養物から回収することができる。また、該モノクローナル抗体遺伝子が導入された細胞の培養物から組換え抗体として回収することもできる。さらに、同系統のマウス(例えば、上記のBALB/cAnNCrj)、あるいはNu/Nuマウスの腹腔内にハイブリドーマを注射し、該ハイブリド−マを増殖させることにより、その腹水から回収することもできる。

(h)モノクローナル抗体の生物活性の測定工程・判定工程 各種生物試験を目的に応じて選択し、適用することができる。

(4−2)細胞免疫法 天然型のFGFR2蛋白質を発現する細胞、組換え型FGFR2蛋白質またはその断片を発現する細胞等を免疫原として使用することにより、前記のハイブリドーマ法により抗FGFR2抗体を調製することができる。

天然型のFGFR2蛋白質を発現する細胞としては、FGFR2を発現している細胞、FGFR2を発現している組織又は癌に由来する細胞株、FGFR2IIIbからFGFR2IIIcへのスイッチングが見られる癌組織に由来する細胞株等を例示することができる。FGFR2を高発現している癌には、胃癌、乳癌など遺伝子増幅が見られるもの、および、膵臓癌、卵巣癌など過剰発現がみられるものがある。FGFR2IIIbを高発現している培養細胞株としては、胃癌細胞株、乳癌細胞株等を例示することができる。FGFR2IIIcを高発現している培養細胞株としては、大腸(盲腸)細胞癌を例示することができる。FGFR2IIIbからFGFR2IIIcへのスイッチングが見られる癌組織としては、前立腺癌、膀胱癌、乳癌等を例示することができる。FGFR2IIIcを発現している癌組織としては、子宮頚癌、非小細胞肺癌等を例示することができ、このうち子宮頚癌では高発現している。また、FGFR2を高発現している正常組織としては、脳、大腸、甲状腺、子宮、胆嚢、皮膚等を例示することができる。

FGFR2を発現している細胞は、1×105乃至1×109個、好適には1×106乃至1×108個、より好適には0.5乃至2×107個、より一層好適には1×107個を1回の免疫に用いるが、FGFR2蛋白質の発現量に応じて免疫に供する細胞数を変えることができる。かかる免疫源は、一般的には腹腔内に投与するが、皮内等に投与することもできる。ハイブリドーマの作製手法としては(4−1−2)記載の方法を適用することができる。

(4−3)遺伝子組換え 本発明の抗体は、その重鎖アミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれるヌクレオチド(重鎖ヌクレオチド)及びその軽鎖アミノ酸配列をコードする塩基配列が含まれるヌクレオチド(軽鎖ヌクレオチド)、又は、かかる重鎖ヌクレオチドが挿入されたベクター及び軽鎖ヌクレオチドが挿入されたベクターを宿主細胞に導入し、該細胞を培養した後その培養物からかかる抗体を回収することにより調製することができる。一つのベクターに重鎖ヌクレオチド及び軽鎖ヌクレオチドが挿入されていてもよい。

宿主細胞としては、原核細胞又は真核細胞を用いることができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真核微生物を用いることができる。

動物細胞としては、例えば、哺乳類由来の細胞、すなわち、サル由来のCOS細胞(Gluzman, Y. Cell(1981)23,p.175−182、ATCC CRL−1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL−1658)、マウスNS0細胞株(ECACC)、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO細胞、ATCC CCL−61)、そのジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(CHOdhfr−:Urlaub,G.and Chasin,L.A. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1980)77,p.4126−4220)、CHOK1SV(Lonza Biologics)、ニワトリ等鳥類由来の細胞、昆虫由来の細胞等を挙げることができる。

また、抗体等の蛋白質の糖鎖修飾を調節するよう改変された細胞も宿主として用いることができる。例えば、抗体のFc領域に結合するN−グリコシド結合複合型糖鎖のうち、糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合している糖鎖を減らすかまたは無くすよう改変されたCHO細胞を用いて抗体等を発現させれば、脱フコース化した抗体(抗体の修飾体とも呼ぶ)を調製することが可能である(WO00/61739号、WO02/31140号等)。

真核微生物としては、例えば、酵母等をあげることができる。 原核細胞としては、例えば、大腸菌、枯草菌等をあげることができる。

本発明の抗体(各種動物由来のモノクローナル抗体、ラット抗体、マウス抗体、キメラ化抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等)を分泌させるためのシグナルペプチドとしては、当該抗体と同種、同タイプ及び同サブタイプの抗体の分泌シグナル、ならびに、当該抗体自体の分泌シグナルに限定されるものではなく、他のタイプもしくはサブタイプの抗体の分泌シグナル、または、他の真核生物種もしくは原核生物由来の蛋白質の分泌シグナルであれば、任意のものを選択して利用することができる。

(4−4)ヒト化抗体のデザイン法および調製法 ヒト化抗体としては、非ヒト動物抗体のCDRのみがヒト由来の抗体に組込まれ抗体(Nature(1986)321,p.522−525参照)、CDR移植法によりCDRの配列に加え一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体(WO90/07861号、US6972323号公報参照)、それらのいずれかにおける非ヒト動物抗体の1つまたは2つ以上のアミノ酸がヒト型のアミノ酸で置換されてなる抗体等を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。

(4−5)ヒト抗体の調製法 本発明の抗体としては、さらに、ヒト抗体を挙げることができる。抗FGFR2ヒト抗体とは、ヒト由来の抗体のアミノ酸配列からなる抗FGFR2抗体を意味する。抗FGFR2ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒトゲノムDNA断片を有するヒト抗体産生マウスを用いた方法(Tomizuka,K.et al.,Nature Genetics(1997)16,p.133−143,; Kuroiwa,Y.et.al.,Nuc.Acids Res.(1998)26,p.3447−3448;Yoshida, H.et.al.,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69−73(Kitagawa, Y.,Matuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers,1999.;Tomizuka,K.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722−727等を参照。)によって取得することができる。

ヒト抗体産生動物は、具体的には、非ヒト哺乳動物の内在性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が破壊され、代わりに酵母人工染色体(Yeast artificial chromosome,YAC)ベクターなどを介してヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座が導入された組換え動物、それらの動物同士を掛け合わせることにより作り出された組換え動物のいずれであってもよい。

また、遺伝子組換え技術により、そのようなヒト抗体の重鎖及び軽鎖の各々をコードするcDNA、好ましくは該cDNAを含むベクターにより真核細胞を形質転換し、遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養することにより、この抗体を培養上清中から得ることもできる。

ここで、宿主としては例えば真核細胞、好ましくはCHO細胞、リンパ球やミエローマ等の哺乳動物細胞を用いることができる。

また、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレイ由来のヒト抗体を取得する方法(Wormstone,I.M.et.al,Investigative Ophthalmology & Visual Science.(2002)43(7),p.2301−2308;Carmen,S.et.al.,Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002),1(2),p.189−203;Siriwardena,D.et.al.,Opthalmology(2002)109(3),p.427−431等参照。)も知られている。

例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージ表面に発現させて、抗原に結合するファージを選択するファージディスプレイ法(Nature Biotechnology(2005),23,(9),p.1105−1116)を用いることができる。

抗原に結合することで選択されたファージの遺伝子を解析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。

抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する発現ベクターを作製し、適当な宿主に導入して発現させることによりヒト抗体を取得することができる(WO92/01047,WO92/20791,WO93/06213,WO93/11236,WO93/19172,WO95/01438,WO95/15388、Annu.Rev.Immunol(1994)12,p.433−455、Nature Biotechnology(2005)23(9),p.1105−1116)。

(4−6)抗体の機能断片の調製法 一本鎖抗体を作成する方法は当技術分野において周知である(例えば、米国特許第4,946,778号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号等を参照)。このscFvにおいて、重鎖可変領域と軽鎖可変領域は、コンジュゲートを作らないようなリンカー、好ましくはポリペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988),85,p.5879−5883)。scFvにおける重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、同一の抗体に由来してもよく、別々の抗体に由来してもよい。

可変領域を連結するポリペプチドリンカーとしては、例えば12乃至19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。

scFvをコードするDNAは、前記抗体の重鎖又は重鎖可変領域をコードするDNA、及び軽鎖又は軽鎖可変領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにポリペプチドリンカー部分をコードするDNA、及びその両端が各々重鎖、軽鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。

scFvをコードするDNAを用いて、該DNAを含有する発現ベクター、及び該発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を常法に従って調製することができ、また、その宿主細胞を培養することにより、常法に従ってかかる培養物から該scFvを回収することができる。

その他の抗体の機能断片も、前記の方法に準じて該機能断片をコードする遺伝子を取得して細胞に導入し、該細胞の培養物から該機能断片を回収することにより、得ることができる。

本発明の抗体は、多量化して抗原に対する親和性を高めたものであってもよい。多量化する抗体としては、1種類の抗体であっても、同一の抗原の複数のエピトープを認識する複数の抗体であってもよい。抗体を多量化する方法としては、IgG CH3ドメインと2つのscFvとの結合、ストレプトアビジンとの結合、へリックス−ターン-へリックスモチーフの導入等を挙げることができる。

本発明の抗体は、アミノ酸配列が異なる複数種類の抗FGFR2抗体の混合物、すなわちポリクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体としては、例えば、CDRの一部又は全部が異なる複数種類の抗体の混合物を挙げることができる。そのようなポリクローナル抗体は、異なる抗体の産生細胞を混合培養し、該培養物から回収することができる(WO2004/061104号)。また、別個に調製した抗体を混合することも可能である。さらに、ポリクローナル抗体の一つの態様である抗血清は、動物を所望の抗原で免疫し、定法に従って、該動物から血清を回収することにより調製することができる。

抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。

本発明の抗体は、更にこれらの抗体と他の薬剤がコンジュゲートを形成しているもの(Immunoconjugate)でもよい。このような抗体の例としては、該抗体が放射性物質や薬理作用を有する化合物と結合している物を挙げることができる(Nature Biotechnology(2005)23,p.1137−1146)。

(4−7)抗体の精製 得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。

例えばクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988))が、これらに限定されるものではない。

クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。

これらのクロマトグラフィーは、HPLCやFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。

アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラム、抗原カラム等をあげることができる。

プロテインAカラムとしては、例えば、Hyper D(),POROS(アプライドシステムズ社製),Sepharose F.F.(GEヘルスケア社製)等が挙げられる。 また抗原を固定化した担体を用いて、抗原への結合性を利用して抗体を精製することも可能である。

(4−8)抗体をコードするヌクレオチド・組換ベクター・組換細胞 本発明は、本発明の抗体もしくはその機能断片またはその修飾体をコードするヌクレオチド(「抗体遺伝子」という)、該遺伝子が挿入された組換えベクター、該遺伝子又はベクターが導入された細胞(「抗体遺伝子導入細胞」という)、その他本発明の抗体もしくは機能断片またかうその修飾体を産生する細胞(「抗体産生細胞」という)をも提供する。

本発明の抗体遺伝子は、好適には、次の(a)乃至(e)のいずれか一つに記載の塩基配列(以下、「抗体遺伝子配列」という)を含んでなるか、抗体遺伝子配列を含む塩基配列からなるか、または抗体遺伝子配列からなる: (a)ラットFR2−10、FR2−13およびFR2−14、キメラcFR2−10、cFR2−13およびcFR2−14、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1のいずれか一つの抗体の重鎖アミノ酸配列をコードする塩基配列と軽鎖アミノ酸配列をコードする塩基配列の組合せ; (b)ラットFR2−10、FR2−13およびFR2−14、キメラcFR2−10、cFR2−13およびcFR2−14、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1のいずれか一つの抗体のCDRH1乃至CDRH3を含む重鎖のアミノ酸配列をコードする塩基配列とCDRL1乃至CDRL3を含む軽鎖のアミノ酸配列をコードする塩基配列の組合せ; (c)ラットFR2−10、FR2−13およびFR2−14、キメラcFR2−10、cFR2−13およびcFR2−14、ならびに、ヒト化hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H19/L1のいずれか一つの抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする塩基配列と軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列コードする塩基配列の組合せ; (d)(a)乃至(c)のいずれか一つに記載の塩基配列に相補的な塩基配列からなるヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つFGFR2に結合する抗体のアミノ酸配列をコードする塩基配列;および、 (e)(a)乃至(c)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において1乃至50個、1乃至45個、1乃至40個、1乃至30個、1乃至25個、1乃至20個、1乃至15個、1乃至10個、1乃至8個、1乃至6個、1乃至5個、1乃至4個、1乃至3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなるアミノ酸配列をコードし且つFGFR2に結合する抗体のアミノ酸配列をコードする塩基配列;

(d)又は(e)記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する抗体は、FGFR2結合活性に加え、上記(3−3)乃至(3−6)記載の1つ又は2つ以上の活性を有していてもよい。 ただし、本発明の抗体遺伝子は、上記(a)乃至(e)記載のものに限定されない。

本発明は、(4−3)記載のように、本発明の抗体遺伝子導入細胞を培養する工程、および、その培養物から抗体もしくはその機能断片またはその修飾体を回収する工程、を含む、抗体もしくはその機能断片またはその修飾体の製造方法をも提供する。かかる製造方法により得られた抗体もしくはその機能断片またはその修飾体も、本発明に含まれる。

5.医薬組成物 本発明は抗FGFR2抗体もしくはその機能断片またはその修飾体を含む医薬組成物を提供する。

本発明の医薬組成物は、FGFR2もしくはそのリガンドの過剰発現またはFGFR2の変異もしくは遺伝子増幅によるFGFR2シグナル異常又は亢進、または、FGFR2のアイソフォームのスイッチングにより惹起されるか又は増悪化される各種疾患(以下、「FGFR2に関わる疾患」という)、とりわけ各種癌の治療又は予防に有用である。

かかる治療又は予防の対象となる癌の惹起又は増悪化の原因としては、FGFR2遺伝子のイントロン内の一塩基置換(SNP)、FGFR2の高発現、FGFR2を恒常的に活性化するミスセンス変異、FGFR2遺伝子の増幅又は過剰発現、FGFR2IIIbからFGFR2IIIcへのスイッチング等を例示することができる。

かかる癌種としては、例えば、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、非小細胞肺癌などの肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝臓癌、膵臓癌、大腸癌、食道癌、膀胱癌、子宮頚癌、血液癌、リンパ腫、悪性黒色腫等をあげることができ、好適にはFGFR2蛋白質を発現しているそれらの癌をあげることができる。

本発明において、疾患の治療または予防には、かかる疾患、好適にはFGFR2蛋白質を発現している個体におけるかかる疾患の発症の予防、増悪化又は進行の抑制又は阻害、かかる疾患に罹患した個体が呈する一つ又は二つ以上の症状の軽減、増悪化若しくは進行の抑制または寛解、二次性疾患の治療又は予防等が含まれるが、それらに限定されるものではない。

本発明の医薬組成物には、治療または予防に有効な量の抗FGFR2抗体又は該抗体の機能断片と薬学上許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤を含有せしめることができる。

「治療または予防に有効な量」とは、特定の疾患、投与形態および投与径路につき治療又は予防効果を奏する量を意味し、「薬理学的に有効な量」と同義である。

本発明の医薬組成物には、pH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、無菌性、該組成物又はそれに含まれる抗体の安定性、溶解性、徐放性、吸収性、浸透性、剤型、強度、性状、形状等を変化させたり、維持したり、保持したりするための物質(以下、「製剤用の物質」という)を含有せしめることができる。製剤用の物質としては、薬理学的に許容される物質であれば特に限定されるものではない。例えば、非毒性又は低毒性であることは、製剤用の物質が好適に具備する性質である。

製剤用の物質として、例えば、以下のものをあげることができるが、これらに限定されるものではない; グリシン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸類、抗菌剤、アスコルビン酸、硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤、リン酸、クエン酸、ホウ酸バッファー、炭酸水素ナトリウム、トリス−塩酸(Tris−Hcl)溶液等の緩衝剤、マンニトールやグリシン等の充填剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤、カフェイン、ポリビニルピロリジン、β−シクロデキストリンやヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等の錯化剤、グルコース、マンノース又はデキストリン等の増量剤、単糖類、二糖類やグルコース、マンノースやデキストリン等の他の炭水化物、着色剤、香味剤、希釈剤、乳化剤やポリビニルピロリジン等の親水ポリマー、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロレキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素等の防腐剤、グリセリン、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等の溶媒、マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール、懸濁剤、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルビテート20やポリソルビテート80等ポリソルビテート、トリトン(triton)、トロメタミン(tromethamine)、レシチン又はコレステロール等の界面活性剤、スクロースやソルビトール等の安定化増強剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールやソルビトール等の弾性増強剤、輸送剤、希釈剤、賦形剤、及び/又は薬学上の補助剤。

これらの製剤用の物質の添加量は、抗FGFR2抗体もしくはその機能断片またはその修飾体の重量に対して0.001乃至1000倍、好適には0.01乃至100倍、より好適には0.1乃至10倍である。

抗FGFR2抗体もしくはその機能断片またはその修飾体をリポソーム中に含有せしめたイムノリポソーム、抗体とリポソームとが結合してなる抗体修飾体(米国特許第6214388号等)を含有する医薬組成物も、本発明の医薬組成物に含まれる。

賦形剤や担体は、通常液体又は固体であり、注射用の水、生理食塩水、人工脳脊髄液、その他の、経口投与又は非経口投与用の製剤に用いられる物質であれば特に限定されない。生理食塩水としては、中性のもの、血清アルブミンを含むもの等をあげることができる。

緩衝剤としては、医薬組成物の最終pHが7.0乃至8.5になるように調整されたTrisバッファー、同じく4.0乃至5.5になるように調整された酢酸バッファー、同じく5.0乃至8.0になるように調整されたクエン酸バッファー、同じく5.0乃至8.0になるように調整されたヒスチジンバッファー等を例示することができる。

本発明の医薬組成物は、固体、液体、懸濁液等である。凍結乾燥製剤をあげることができる。凍結乾燥製剤を成型するには、スクロース等の賦形剤を用いることができる。

本発明の医薬組成物の投与径路としては、経腸投与、局所投与及び非経口投与のいずれでもよく、例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、経皮投与、骨内投与、関節内投与等をあげることができる。

かかる医薬組成物の組成は、投与方法、抗体のFGFR2蛋白質結合親和性等に応じて決定することができる。本発明の抗FGFR2抗体もしくはその機能断片またはその修飾体のFGFR2蛋白質に対する親和性が高いほど(KD値が低いほど)、少ない投与量でその薬効を発揮し得る。

本発明の抗FGFR2抗体の投与量は、薬理学的に有効な量であれば限定されず、個体の種、疾患の種類、症状、性別、年齢、持病、該抗体のFGFR2蛋白質結合親和性又はその生物活性、その他の要素に応じて適宜決定することができるが、通常、0.01乃至1000mg/kg、好適には0.1乃至100mg/kgを、1乃至180日間に1回、又は1日2回若しくは3回以上投与することができる。

医薬組成物の形態としては、注射剤(凍結乾燥製剤、点滴剤を含む)、坐剤、経鼻型吸収製剤、経皮型吸収製剤、舌下剤、カプセル、錠剤、軟膏剤、顆粒剤、エアーゾル剤、丸剤、散剤、懸濁剤、乳剤、点眼剤、生体埋め込み型製剤等を例示することができる。

抗FGFR2抗体もしくはその機能断片またはその修飾体(以下「抗FGFR2抗体等」という)は、他剤と組み合わせて用いることができる。抗FGFR2等、またはそれを有効成分として含む医薬組成物は、他剤、すなわち抗FGFR2抗体等以外の化合物を有効成分としての医薬組成物と同時にあるいは個別に投与することができる。例えば、他剤を投与した後に抗FGFR2抗体等を有効成分として含む医薬組成物を投与するか、抗FGFR2抗体等を有効成分として含む医薬組成物を投与した後に、他剤を投与するか、または、抗FGFR2抗体等を有効成分として含む医薬組成物と他剤とを同時に投与してもよい。単一の医薬組成物中に抗FGFR2抗体等および他剤の両方の有効成分が含まれる場合と、両有効成分が複数の医薬組成物に分かれて含まれる場合のいずれも、本発明においては「抗FGFR2抗体等および他剤を含む医薬組成物」という。本発明において、かかる「医薬組成物」は「抗FGFR2抗体等と他剤を組み合わせて投与される医薬組成物」と同義である。

本発明において、抗FGFR2抗体等と他剤を「組み合わせて投与される」とは、ある一定期間において、被投与対象の体内に、抗FGFR2抗体等と他剤が取り込まれることを意味する。抗FGFR2抗体等と他剤が単一製剤中に含まれた製剤が投与されてもよく、またそれぞれが別々に製剤化され、別々に投与されても良い。別々に製剤化される場合、その投与の時期は特に限定されず、同時に投与されてもよく、時間を置いて異なる時間に、又は、異なる日に、投与されても良い。抗FGFR2抗体等と他剤が、それぞれ異なる時間又は日に投与される場合、その投与の順番は特に限定されない。通常、それぞれの製剤は、それぞれの投与方法に従って投与されるため、それらの投与は、同一回数となる場合もあり、異なる回数となる場合もある。また、それぞれが別々に製剤化される場合、各製剤の投与方法(投与経路)は同じであってもよく、異なる投与方法(投与経路)で投与されてもよい。また、抗FGFR2抗体等と他剤が同時に体内に存在する必要は無く、ある一定期間(例えば一ヶ月間、好ましくは1週間、さらに好ましくは数日間、さらにより好ましくは1日間)の間に体内に取り込まれていればよく、いずれかの投与時にもう一方の有効成分が体内から消失していてもよい。

「抗FGFR2抗体等と他剤を組み合わせて投与される医薬組成物」の投与形態としては、例えば、1)抗FGFR2抗体等と他剤を含む単一の製剤の投与、2)抗FGFR2抗体等と他剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、3)抗FGFR2抗体等と他剤を別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、4)抗FGFR2抗体等と他剤を別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、5)抗FGFR2抗体等と他剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与などを挙げることができる。「抗FGFR2抗体等と他剤を組み合わせて投与される医薬組成物」の投与量、投与間隔、投与形態、製剤等は、抗FGFR2抗体を含有する医薬組成物のそれらに準ずるが、それらに限定されるものではない。

かかる医薬組成物は、それが2種の異なる製剤にされた場合には、それらを含むキットであってもよい。

本発明において、抗FGFR2抗体等および他剤の「組合せ」とは、抗FGFR2抗体等および他剤を「組み合わせて投与される」ことを意味する。

本発明において、「他剤」はチロシンキナーゼ阻害剤であれは特に限定されるものではなく、好適にはFGFRチロシンキナーゼ阻害剤(本発明においては「FGFR阻害剤」という)、より好適にはFGFR2チロシンキナーゼ阻害活性を有するFGFR2阻害剤(本発明においては「FGFR2阻害剤」という)である。FGFR2阻害剤としては、例えば、アシルアミノピラゾール、フェノキシ基もしくはフェニルチオ基で修飾された、キノリン又はキナゾリン誘導体、BGJ398、LY2874455、Brivanib、Dovitinib、Lenvatinib、Masitinib、Nintedanib、Regorafenib、Pazopanib、TSU68、ENMD−2076、Ponatinib等を挙げることができる。アシルアミノピラゾールの好適な例としては、AZD4547(N−(5−(3,5−dimethoxyphenethyl)−1H−pyrazol−3−yl)−4−((3S,5R)−3,5−dimethylpiperazin−1−yl)benzamide:国際公開WO2008/075068 A2)を挙げることができる。フェノキシ基もしくはフェニルチオ基で修飾された、キノリン又はキナゾリン誘導体の好適な例としては、Ki23057(2−((2−((4−(4−((4−(tert−butyl)phenyl)amino)phenoxy)−6−methoxyquinolin−7−yl)oxy)ethyl)amino)ethanol:国際公開WO2003/033472 A1)を挙げることができる。ただし、本発明の組合せ又は医薬組成物に含まれる「他剤」はこれらに限定されない。

本発明の組合せ又は医薬組成物には、さらに他の医薬を使用することができる。さらなる他の医薬としては、化学療法剤、放射線療法(放射線療法剤)など各種抗癌剤等をあげることができる。

本発明は癌などFGFRに関わる疾患の治療方法または予防方法、該疾患の治療用または予防用医薬組成物を調製するための本発明の抗体の使用、該疾患の治療または予防のための本発明の抗体の使用、をも提供する。本発明の抗体を含む治療用または予防用キットも本発明に含まれる。

6.治療対象者の選別 ヒトFGFR2IIIb選択性を有する抗体としては、ラットFR2−10抗体ラットFR2−10抗体、キメラcFR2−10抗体、ヒト化FR2−10抗体等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。それらの抗体を用いて被験サンプルについて免疫アッセイを実施することにより、FGFR2IIIbを発現しているサンプルを同定することができる。

ヒトFGFR2IIIbおよびヒトFGFR2IIIcの両方に選択性を有する抗体としては、ラットFR2−13抗体、ラットFR2−14抗体、キメラcFR2−13抗体、ヒト化FR2−13抗体、キメラcFR2−14抗体、ヒト化FR2−14抗体等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。 (i)被検サンプル中のヒトFGFR2IIIbとヒトFGFR2IIIcを検出または測定し、(ii)該サンプル中のヒトFGFR2IIIbを検出または測定し、(iii)(i)の検出または測定の結果と(ii)の検出または測定の結果を比較することにより、あるいは(i)の検出または測定の結果から(ii)の検出または測定の結果を差し引くことにより、該サンプル中のヒトFGFR2IIIcを検出または測定することができる。

個体由来サンプル中のヒトFGFR2を測定し、該サンプル中に、ヒトFGFR2が検出されたか、または、健常個体由来サンプル中に検出されたヒトFGFR2の量と比較してより多くのヒトFGFR2が検出された場合に、該個体を陽性と判定することができる。また、かかる同定方法の好適な一態様において、該個体は癌に罹患しているかまたはそのリスクがあり、本発明の医薬の組合せおよび医薬組成物は、その一態様において、かかる同定方法において陽性と判定された個体に投与され得る。

以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.著,Cold SpringHarbor Laboratory Pressより1989年発刊)に記載の方法及びその他の当業者が使用する実験書に記載の方法により行うか、または、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って行った。

実施例1 ラット抗ヒトFGFR2抗体の作製 1)−1 免疫 8週齢のWKY/Izmラットの雌(日本エスエルシー社)および7週齢のCrlj:WIラットの雌(日本チャールスリバー社)を使用した。WKY/Izmラットでは0日目に50μgのRecombinant Human FGFR2β(IIIb) /Fc Chimera (R&D SYSTEM社製)とFreund‘s Complete Adjuvant(和光純薬社製)を混合(体積比で1:2)したものをラットの尾根部に投与した。21日目に50μgのRecombinant Human FGFR2β(IIIb) /Fc Chimeraをラットの尾根部に投与した。35日目にラットのリンパ節あるいは脾臓を採取しハイブリドーマ作製に用いた。Crlj:WIラットでは0日目に50μgのFGFR2β(IIIb) /Fc ChimeraとFreund‘s Complete Adjuvantを混合(体積比で1:1)したものをラットの皮下あるいは皮内に投与した。7日目、14日目と21日目に50μgのFGFR2β(IIIb) /Fc ChimeraとFreund‘s Incomplete Adjuvantを混合(体積比で1:1)したものをラットの皮下あるいは皮内に投与した。38日目に50μgのFGFR2β(IIIb) /Fc Chimeraをラットの尾静脈内に投与し、42日目にラットのリンパ節あるいは脾臓を採取しハイブリドーマ作製に用いた。

1)−2 ハイブリドーマ作製 リンパ節細胞あるいは脾臓細胞とマウスミエローマSP2/0−ag14細胞とをHybrimune Hybridoma Production System(Cyto Pulse Sciences社製)を用いて電気細胞融合し、ClonaCell−HY Selection Medium D(StemCell Technologies社製)に希釈して培養した。出現したハイブリドーマコロニーを回収することでモノクローンハイブリドーマを作製した。回収された各ハイブリドーマコロニーを培養し、得られたハイブリドーマ培養上清用いて抗FGFR2抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングを行った。

1)−3 抗原結合性抗体スクリーニング用発現ベクターの構築 1)−3−1 ヒトFGFR2IIIbおよびFGFR2IIIc発現ベクター(pcDNA−DEST40—FGFR2IIIbおよびpcDNA−DEST40—FGFR2IIIc)の構築 ヒトFGFR2IIIbバリアント蛋白質(アイソフォーム2:NP_075259)およびヒトFGFR2IIIcバリアント蛋白質(アイソフォーム1:NP_000132)をコードするcDNAをpcDNA−DEST40ベクターにクローニングし、それぞれのバリアント蛋白質を発現するベクターpcDNA−DEST40—FGFR2IIIbおよびpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcを構築した。

1)−3−2 Ig様ドメイン欠損FGFR2IIIb発現ベクターの構築 FGFR2IIIbの全長アミノ酸(1−822)のうちの54−110番の領域の欠損体(以下「IgD1欠損体」と記す)、154−246番の領域の欠損体(以下「IgD2欠損体」と記す)、263—358番の領域の欠損体(以下「IgD3欠損体」と記す)を発現するベクターをpcDNA−DEST40—FGFR2IIIbを鋳型にしてPCR法により構築した。

1)−4 Cell−ELISA法による抗体スクリーニング 1)−4−1 Cell−ELISA用抗原遺伝子発現細胞の調製 HEK293細胞を10% FBS含有DMEM培地中7.5×105細胞/mlになるよう調製した。それに対し、Lipofectamine 2000(Life Technologies社製)を用いて、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIbもしくはコントロールとしてpcDNA−DEST40を導入し、96−wellハーフエリア plate(Corning社製)に50μlずつ分注し、10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。得られた導入細胞を接着状態のまま、Cell−ELISAに使用した。

1)−4−2 Cell−ELISA 実施例1)−4−1で調製した発現ベクター導入HEK293細胞の培養上清を除去後、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40導入HEK293細胞のそれぞれに対しハイブリドーマ培養上清を添加し、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで1回洗浄後、5% FBS含有PBSで500倍に希釈したAnti−Rat IgG−Peroxidase antibody produced in rabbit(SIGMA社製)を加えて、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで5回洗浄した後、OPD発色液(OPD溶解液(0.05 M クエン酸3ナトリウム、0.1M リン酸水素2ナトリウム・12水 pH4.5)にo−フェニレンジアミン二塩酸塩(和光純薬社製)、H2O2をそれぞれ0.4mg/ml、0.6%(v/v)になるように溶解)を25μl/ウェルで添加した。時々攪拌しながら発色反応を行い、1M HClを25μl/ウェルを添加して発色反応を停止させた後、プレートリーダー(ENVISION:PerkinElmer社)で490nmの吸光度を測定した。細胞膜表面上に発現するFGFR2に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択するため、コントロールのpcDNA−DEST40導入HEK293細胞と比較し、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIb発現ベクター導入HEK293細胞の方でより高い吸光度を示す培養上清を産生するハイブリドーマを抗FGFR2抗体産生陽性として選択した。

1)−5 フローサイトメトリーによる抗体スクリーニング 1)−5−1 フローサイトメトリー解析用抗原遺伝子発現細胞の調製 HEK293T細胞を5×104細胞/cm2になるよう225平方cmフラスコ(住友ベークライト社製)に播種し、10% FBS含有DMEM培地中で37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、N末端IgD1ドメインを欠損したpcDNA−DEST40−FGFR2IIIb IgD1欠損体とコントロールとしてpcDNA−DEST40をそれぞれHEK293T細胞にLipofectamine 2000を用いて導入し、37℃、5% CO2の条件下でさらに一晩培養した。翌日、発現ベクター導入HEK293T細胞をTrypLE Express(Life Technologies社製)で処理し、10% FBS含有DMEMで細胞を洗浄した後、5% FBS含有PBSに懸濁した。得られた細胞懸濁液をフローサイトメトリー解析に使用した。

1)−5−2 フローサイトメトリー解析 実施例1)−4のCell−ELISAで陽性と判定されたハイブリドーマが産生する抗体のFGFR2IIIbに対する結合特異性をフローサイトメトリー法によりさらに確認した。実施例1)−5−1で調製したHEK293T細胞懸濁液を遠心し、上清を除去した後、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIb IgD1欠損体導入HEK293T細胞およびpcDNA−DEST40導入HEK293T細胞のそれぞれに対しハイブリドーマ培養上清を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したAnti−Rat IgG FITC conjugate(SIGMA社製)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで3回洗浄した後、2μg/ml 7−aminoactinomycin D(Molecular Probes社製)を含む5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社製)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社製)で行った。7−aminoactinomycin D陽性の死細胞をゲートで除外した後、生細胞のFITC蛍光強度のヒストグラムを作成した。コントロールであるpcDNA−DEST40導入HEK293T細胞の蛍光強度ヒストグラムに対しpcDNA−DEST40−FGFR2IIIb IgD1欠損体導入HEK293T細胞のヒストグラムが強蛍光強度側にシフトしているサンプルを産生するハイブリドーマを抗FGFR2IIIb抗体産生ハイブリドーマとして取得した。

1)−6 シグナル中和作用スクリーニング 得られたハイブリドーマが産生する抗FGFR2抗体のシグナル中和作用を評価するため、リガンドであるFGF7刺激によるFGFR2活性化により誘導されるERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)活性化を検出するElk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ系を以下に示す方法で構築し、取得抗体の作用を評価した。 1)−6−1 レポーターアッセイ用ベクターの構築 まず始めにpFR−Luc2CPベクターを構築した。pFR−Luc(Stratagene #219005)をHindIIIで切断して末端をT4 DNA polymerase で平滑化した後、BamHIで切断し、5個のGAL4 結合エレメントとTATA boxを含む140bp の断片を取り出した。次にpGL4.12[luc2CP](Promega #E6661)をEcoICRIとBglIIで切断して脱リン酸化した後、前記の140bpの断片とライゲーションしpFR−Luc2CPベクターを作製した。

1)−6−2 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ 実施例1)−5で選択したハイブリドーマ培養上清を用いて、Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを実施した。インテグリンαvおよびインテグリンβ3発現ベクターをHEK293細胞内に安定形質移入した細胞株293αに対して、Lipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いた形質移入手順に従い、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIb、pcDNA−DEST40、pFA2−Elk1(Stratagene社製)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega社製)で一過性に同時トランスフェクションし、白色96ウェル細胞培養プレート(Corning社製)に播種し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去し、5% FBS−DMEMで5倍に希釈したハイブリドーマ培養上清を50 μl/wellで添加し37℃、5% CO2で1 時間培養の後、リガンドであるヒトFGF7 (R&D systems社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、細胞溶解物を調製し、Dual−luciferaseレポーターアッセイシステム(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。FGFR2発現HEK293レポーター細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化をリガンド無しの値レベルまで抑制する抗FGFR2抗体産生ハイブリドーマFR2−10、FR2−13、FR2−14を選択した。

1)−7 抗体のアイソタイプ決定 抗FGFR2抗体産生ハイブリドーマFR2−10、FR2−13、FR2−14のアイソタイプは、Rat monoclonal isotyping test kit(serotec社製)により決定された。その結果、FR2−10のアイソタイプはIgG2a、κ鎖であり、FR2−13及びFR2−14のアイソタイプはIgG1、κ鎖であることが確認された。

1)−8 モノクローナル抗体の調製 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ移植マウスの腹水(以下「抗体精製原料」という。)から精製した。 マウス腹水は以下のように調製した。まず、7−8週齢のBALB/cAJcl−nu/nu(日本エスエルシー社)をプリスタン(Sigma社製)処理し、約1−4週間後にPBSで洗浄したハイブリドーマをマウス1匹あたり1−2×107細胞で腹腔内に移植した。1‐2週間後に腹腔内に貯留した腹水を採取し0.22μmのフィルターを通して滅菌し抗体精製原料として用いた。 抗体はHitrap MabSelect SuRe(GE Healthcare Bio−Sciences社製)で精製された。抗体精製原料をカラムに添加しPBSで洗浄後、2M Arginine−HCl pH4.0で溶出した。溶出された抗体溶液は中和後、PBSにバッファー置換された。精製した抗体の濃度は、POROS G 20μm Column PEEK,4.6mm×50mm,0.83ml(Applied Biosystems社製)に結合させた抗体を溶出し、溶出液の吸光度(O.D.280nm)を測定することにより求めた。具体的には、平衡化バッファー(30.6mM リン酸2水素ナトリウム・12水、19.5mM リン酸1カリウム、0.15M NaCl、pH7.0)で平衡化したPOROS G 20μmにPBSで希釈した抗体サンプルを添加し、平衡化バッファーでカラムを洗浄後、カラムに結合した抗体を溶離液(0.1%(v/v) HCl、0.15M NaCl)で溶出した。溶出液の吸光度(O.D.280nm)のピーク面積を測定し、次式で濃度を算出した。抗体サンプル濃度(mg/ml)=(抗体サンプルのピーク面積)/(標準品(ヒトIgG1)のピーク面積)×標準品の濃度(mg/ml)×サンプルの希釈倍率。また、得られた抗体に含まれるエンドトキシン濃度をリムルス ES−II シングルテスト ワコー(和光純薬工業 295−51030 コントロールスタンダードエンドトキシンを含む)と、トキシノメーター(和光純薬工業 ET−301、またはET−5000)を用いて測定し、1EU/mg以下であることを確認し以下の実験に使用した。

実施例2 ラット抗ヒトFGFR2抗体(FR2−10、FR2−13、FR2−14)のin vitro評価 2)−1 取得ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13、FR2−14)のヒトFGFR2選択的結合性の検討 2)−1−1 ヒトFGFR1IIIc、ヒトFGFR3IIIb、ヒトFGFR3IIIc、およびヒトFGFR4発現ベクターの構築 ヒトFGFR1IIIcバリアント蛋白質(アイソフォーム1:NP_075598)、ヒトFGFR3IIIbバリアント蛋白質(アイソフォーム3:NP_001156685)、ヒトFGFR3IIIcバリアント蛋白質(アイソフォーム1:NP_000133)、およびヒトFGFR4蛋白質(アイソフォーム1:NP_002002)をコードするcDNAをpcDNA−DEST40ベクターにクローニングし、それぞれのバリアント蛋白質を発現するベクターpcDNA−DEST40—FGFR1IIIc、pcDNA−DEST40—FGFR3IIIb、pcDNA−DEST40—FGFR3IIIc、およびpcDNA−DEST40—FGFR4を構築した。

2)−1−2 フローサイトメトリー解析 実施例1)−3−1および2)−1−1で構築した各種ヒトFGFR発現ベクターを1)−5−1で示す方法によりHEK293T細胞に導入した細胞懸濁液を遠心し、上清を除去した後、各種ヒトFGFR発現ベクター導入HEK293T細胞およびpcDNA−DEST40導入HEK293T細胞のそれぞれに対しFR2−10、FR2−13、またはFR2−14抗体を含むハイブリドーマ培養上清を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したAnti−Rat IgG FITC conjugate(SIGMA社製)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで3回洗浄した後、2μg/ml 7−aminoactinomycin D(Molecular Probes社製)を含む5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社製)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社製)で行った。7−aminoactinomycin D陽性の死細胞をゲートで除外した後、生細胞のFITC蛍光強度のヒストグラムを作成し、平均蛍光強度(MFI)を算出した。図1に示すとおり、ラットFR2−10抗体は、ヒトFGFR2IIIb選択的に結合し、ラットFR2−13およびFR2−14抗体はヒトFGFR2IIIbおよびFGFR2IIIcの両方に対して選択的に結合することが示された。

2)−2 取得ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13、FR2−14)のエピトープの同定 FGFR2細胞外領域に存在する3つのIg様ドメインを一箇所ずつ欠失発現するベクターを用いて、取得ラット抗FGFR2抗体が結合するエピトープを同定した。1)−3−2で構築したFGFR2IIIbのIgD1、IgD2、IgD3欠損体発現ベクターを実施例1)−5−1で示す方法によりHEK293T細胞に導入した細胞懸濁液を遠心し、上清を除去した後、各Ig様ドメイン欠損FGFR2IIIb発現ベクター導入HEK293T細胞およびpcDNA−DEST40導入HEK293T細胞のそれぞれに対しFR2−10、FR2−13、またはFR2−14抗体を含むハイブリドーマ培養上清を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで2回洗浄した後、5% FBS含有PBSで320倍に希釈したAnti−Rat IgG FITC conjugate(SIGMA社製)を加えて懸濁し、4℃で1時間静置した。5% FBS含有PBSで3回洗浄した後、2μg/ml 7−aminoactinomycin D(Molecular Probes社製)を含む5% FBS含有PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社製)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社製)で行った。7−aminoactinomycin D陽性の死細胞をゲートで除外した後、生細胞のFITC蛍光強度のヒストグラムを作成し、平均蛍光強度(MFI)を算出した。図2に示すとおり、ラットFR2−10抗体は、ヒトFGFR2IIIbのIg様ドメイン3に結合することが示された。一方、ヒトFGFR2IIIcにも結合性を示すラットFR2−13およびFR2−14抗体はヒトFGFR2IIIbとFGFR2IIIcで共通するIg様ドメイン2に結合することが示された。

2)−3 取得ラット抗FGFR2抗体(FR2−10、FR2−13、FR2−14)のシグナル中和作用 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにより取得抗体のシグナル中和作用を評価するため、実施例1)−3−1で構築したpcDNA−DEST40—FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcと、pFA2−Elk1(Stratagene社製)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega社製)を実施例1)−6−2で示す方法により293α細胞に導入し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去後、2% FBSを含むDMEMで希釈したラットFR2−10、FR2−13、またはFR2−14抗体と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンドであるヒトFGF7(R&D systems社製)またはヒトFGF9、peprotech社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後Dual−Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。図3Aに示す通り、ラットFR2−10、FR2−13、FR2−14は、FGFR2IIIb発現細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。また、図3Bに示す通り、ラットFR2−13、FR2−14は、FGFR2IIIc発現細胞において、FGF9によるリガンド依存的レポーター活性を抑制した。以上の結果、これらの抗体はFGFR2のリガンドによる活性化を阻害する作用を有することが明らかとなった。

2)−4 取得ラット抗FGFR2抗体(FR2−10)のヒト癌細胞株におけるFGFR2シグナル抑制作用 FGFR2を内在的に発現する胃癌細胞株SNU−16を用いて、取得抗体のFGFR2シグナル抑制作用を検証した。12ウェルプレート上に、0.1%のウシ血清アルブミン−RPMI培地で懸濁したSNU−16細胞(3×106)を播き、終夜インキュベーションした。ラットFR2−10抗体を添加して37℃で1時間インキュベーションの後に、10ng/mlのFGF7(R&D systems社製)を添加し、さらに、10分間インキュベートした。次いで、complete mini(Roche社製)およびホスファターゼ阻害剤(Nacalai tesque社製)を含有するRIPAバッファー(1% NP−40,0.5% Sodium deoxycholate,0.1% SDS in PBS)で細胞を溶解させた。その細胞溶解液から溶解物を遠心分離し、BCAタンパク質アッセイ(PIERCE社製)を用いてタンパク質濃度を決定した。溶解物を、DTTを含有するバッファー中に再懸濁し、99℃で5分間変性させた。5〜20%のゲルにおけるSDS−PAGEによって、タンパク質(20μg/レーン)を分離した。PVDF膜(BioRad社製)上にタンパク質をブロッティングした。その膜を室温で1時間、5%スキムミルク(印)−TBS−T(2mM Tris,50mM NaCl,0.1% Tween−20(pH7.4))でブロックした後、FGFR2、リン酸化FGFR2(p−FGFR2)、FRS2、リン酸化FRS2(p−FRS2)、ERK、リン酸化ERK(p−ERK)抗体を添加して4℃で一終夜インキュベートした。洗浄の後、膜をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギ二次抗体(Amersham)と共にインキュベートした。ECL plus基質(GE Healthcare)を用いて、X線フィルムで免疫反応性バンドを可視化した。図4に示すとおり、リガンドFGF7刺激によってFGFR2、FRS2,ERKのリン酸化が亢進し、ラットFR2−10抗体の添加濃度依存的にこれらの分子のリン酸化の亢進が抑制された。

実施例3 ラット抗ヒトFGFR2抗体(FR2−10、FR2−13、FR2−14)の可変領域をコードするcDNAの塩基配列の決定 3)−1 ラットFR2−10、FR2−13、及びFR2−14の重鎖と軽鎖のN末端アミノ酸配列の同定 ラットFR2−10、FR2−13、及びFR2−14抗体の重鎖と軽鎖のN末端アミノ酸配列を同定するために、実施例1)−8で精製したラットFR2−10、FR2−13、及びFR2−14抗体をそれぞれSDS−PAGEで分離した。分離後のゲルからSequi−Blot PVDF膜(BIO−RAD社)にゲル中のタンパク質を転写し、洗浄バッファー(25mM NaCl、10mM ホウ酸ナトリウムバッファー pH8.0)で洗浄した後、染色液(50% メタノール、20% 酢酸、0.05% クマシーブリリアントブルー)に5分間浸して染色してから、90% メタノールで脱色した。PVDF膜上で可視化されたそれぞれの重鎖(移動度が小さい方のバンド)および軽鎖(移動度が大きい方のバンド)に相当するバンド部分を切りとり、Procise cLC プロテインシーケンサー Model 492cLC (Applied Biosystems)を用いて、自動エドマン法(Edman et al. (1967) Eur.J.Biochem.1,80参照)によりそれぞれのN末端アミノ酸配列の同定を試みた。その結果、FR2−10の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列は、EVQLVESGGGLV(配列表の配列番号1:図9)であり、軽鎖に相当するバンドのN末端アミノ酸配列は、DIQMTQSPSSLSA(配列表の配列番号2:図10)であった。 FR2−13の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列は、QVKLL(配列表の配列番号3:図11)であり、軽鎖に相当するバンドのN末端アミノ酸配列は、DIQMTQSPASLSASLGE(配列表の配列番号4:図12)であった。 FR2−14の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列は、QVKLL(配列表の配列番号5:図13)であり、軽鎖に相当するバンドのN末端アミノ酸配列は、DIQMTQSPASLSASLGE(配列表の配列番号6:図14)であった。

3)−2 FR2−10、FR2−13、及びFR2−14産生ハイブリドーマからのmRNAの調製 FR2−10、FR2−13、及びFR2−14の可変領域を含むcDNAを増幅するため、FR2−10、FR2−13、及びFR2−14産生ハイブリドーマよりmRNA Isolation kit(Roche applied science社)を用いてそれぞれの細胞からmRNAを調製した。

3)−3 cDNA(5’−RACE−Ready cDNA)の合成 cDNA(5’−RACE−Ready cDNA)の合成は実施例3)−2で調製したmRNAの70ngを用い、PrimeScript Reverse Transcriptase(TAKARA社)とSMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)を用いて実施した。

3)−4 5’-RACE PCRによるFR2−10、FR2−13、及びFR2−14の重鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定 FR2−10の重鎖のアイソタイプがIgG2aであり、FR2−13、及びFR2−14のそれがIgG1であることから(実施例1)−7)、重鎖遺伝子の可変領域のcDNAをPCRで増幅するためのプライマーとして、UPM (Universal Primer A Mix:SMART RACE cDNA Amplification Kitに付属)、及び、5’−GAGTTACTTTTGAGAGCAGTTCCAGGAG−3’(RG1R1:配列表の配列番号7:図15)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。UPMはSMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)に付属のものを使用し、RG1R1はデータベースのラット重鎖(IgG2a及びIgG1)の定常領域の配列から設計した。 このプライマーの組み合わせと、実施例3)−3で合成したcDNA(5’−RACE−Ready cDNA)を鋳型とした5’−RACE PCRによりFR2−10、FR2−13、及びFR2−14の重鎖の可変領域を含むcDNAをそれぞれ増幅した。PCRは、PolymeraseとしてKOD−Plus−(TOYOBO社)を用い、SMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)のマニュアルに従い、タッチダウンPCRプログラムで実施した。 5’−RACE PCRで増幅したそれぞれの重鎖の可変領域を含むcDNAをMinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製した後に、塩基配列のシークエンス解析を実施した。 シークエンスプライマーとして、5’−GAGTTACTTTTGAGAGCAGTTCCAGGAG−3’(RG1R1:配列表の配列番号7:図15)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。 さらに、このシークエンス解析結果をもとに、下記に示すそれぞれのcDNAの相補鎖に対するシークエンスプライマーを設計して塩基配列のシークエンス解析を実施した。 FR2−10用のシークエンスプライマー 5’−GGTTCTCCCACTCAGTAATC−3’ (10HF:配列表の配列番号8:図16) FR2−13用のシークエンスプライマー 5’−CATATGATCAGTGTCCTCTC−3’ (13HF:配列表の配列番号9:図17) FR2−14用のシークエンスプライマー 5’−ATATGATCAGTGTCCTCTCC−3’ (14HF:配列表の配列番号10:図18) シークエンス解析は遺伝子配列解析装置(「ABI PRISM 3700 DNA Analyzer;Applied Biosystems」あるいは「Applied Biosystems 3730xl Analyzer;Applied Biosystems」)を用いて実施し、シークエンス反応は、GeneAmp 9700(Applied Biosystems社)を用いた。 決定されたFR2−10、FR2−13、及びFR2−14の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列、ならびに、該可変領域のアミノ酸配列を、配列表の配列番号11、13、および15、ならびに、配列番号12、14、および16(図19、21及び23、ならびに、図20、22及び24)にそれぞれ示した。 塩基配列より決定されたFR2−10、FR2−13、及びFR2−14の重鎖の可変領域のアミノ酸配列は実施例3)−1で決定したN末端アミノ酸配列と一致した。

3)−5 5’-RACE PCRによるFR2−10の軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定 FR2−10の軽鎖のアイソタイプがκであることから(実施例1)−7)、軽鎖遺伝子の可変領域のcDNAをPCRで増幅するためのプライマーとして、UPM (Universal Primer A Mix:SMART RACE cDNA Amplification Kitに付属)及び5’−TTCATGAGGCACACGACTGAGGCACCTCC−3’(RKR3:配列表の配列番号17:図25)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。UPMはSMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)に付属のものを使用し、RKR3はデータベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した。 このプライマーの組み合わせと、実施例3)−3で合成したcDNA(5’−RACE−Ready cDNA)を鋳型とした5’−RACE PCRによりFR2−10の軽鎖の可変領域を含むcDNAを増幅した。PCRは、PolymeraseとしてKOD−Plus−(TOYOBO社)を用い、SMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)のマニュアルに従い、タッチダウンPCRプログラムで実施した。 5’−RACE PCRで増幅したそれぞれの軽鎖の可変領域を含むcDNAをMinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製した後に、塩基配列のシークエンス解析を実施した。 シークエンスプライマーとして、データベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した5’−TCCAGTTGCTAACTGTTCCG−3’(sqRK:配列表の配列番号18:図26)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。 さらに、このシークエンス解析結果をもとに、下記に示すそれぞれのcDNAの相補鎖に対するシークエンスプライマーを設計して塩基配列のシークエンス解析を実施した。 FR2−10用のシークエンスプライマー 5’−CAGTGGTATCAACGCAGAG−3’ (10LF:配列表の配列番号19:図27) シークエンス解析及びシークエンス反応は前述のとおりに行った。 決定されたFR2−10の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列、および、該可変領域のアミノ酸配列を、配列表の配列番号20、および、配列番号21(図28及び29)にそれぞれ示した。 塩基配列より決定されたFR2−10の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は実施例3)−1で決定したN末端アミノ酸配列と一致した。

3)−6 5’-RACE PCRによるFR2−13、及びFR2−14の軽鎖可変領域を含むcDNAの増幅と配列の決定 FR2−13、及びFR2−14の軽鎖のアイソタイプがκであることから(実施例1)−7)、軽鎖遺伝子の可変領域のcDNAをPCRで増幅するためのプライマーとして、UPM (Universal Primer A Mix:SMART RACE cDNA Amplification Kitに付属)、及び5’−TACGTGCTGTCTTTGCTGTCCTGATCAG−3’(RKR6:配列表の配列番号22:図30)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いた。UPMはSMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)に付属のものを使用し、RKR6はデータベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した。 このプライマーの組み合わせと、実施例3)−3で合成したcDNA(5’−RACE−Ready cDNA)を鋳型とした5’−RACE PCRによりFR2−13、及びFR2−14の軽鎖遺伝子の可変領域を含むcDNAを増幅した。PCRは、PolymeraseとしてKOD−Plus−(TOYOBO社)を用い、SMART RACE cDNA Amplification Kit(CLONTECH社)のマニュアルに従い、タッチダウンPCRプログラムで実施した。 5’−RACE PCRで増幅したそれぞれの軽鎖の可変領域を含むcDNAをMinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いて精製後、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(INVITROGEN社)を用いてクローニングし、クローニングした軽鎖の可変領域を含むcDNAの塩基配列のシークエンス解析を実施した。 シークエンスプライマーとして、データベースのラット軽鎖の定常領域の配列から設計した5’−TTCATGAGGCACACGACTGAGGCACCTCC−3’(RKR3:配列表の配列番号17:図25)の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及びNUP (Nested Universal Primer A:SMART RACE cDNA Amplification Kitに付属)を用いた。 シークエンス解析及びシークエンス反応は前述のとおりに行った。 決定されたFR2−13、及びFR2−14の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列、ならびに、該可変領域のアミノ酸配列を、配列表の配列番号23及び25(図31及び33)、ならびに、配列番号24及び26(図32及び34)にそれぞれ示した。 塩基配列より決定されたFR2−13及びFR2−14の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は実施例3)−1で決定したN末端アミノ酸配列と一致した。

実施例4 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)の作製 4)−1 キメラ化及びヒト化軽鎖発現ベクターpCMA−LKの構築 プラスミドpcDNA3.3-TOPO/LacZ(INVITROGEN社)を制限酵素XbaI及びPmeIで消化して得られる約5.4kbのフラグメントと、配列表の配列番号27(図35)に示すヒトκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域をコードするDNA配列を含むDNA断片をIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて結合して、pcDNA3.3/LKを作製した。 pcDNA3.3/LKを鋳型として、下記プライマーセットでPCRを行い、得られた約3.8kbのフラグメントをリン酸化後セルフライゲーションすることによりCMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、及びヒトκ鎖定常領域を持つ、キメラ化及びヒト化軽鎖発現ベクターpCMA−LKを構築した。 プライマーセット 5’−tataccgtcgacctctagctagagcttggc−3’(3.3−F1:配列表の配列番号28:図36) 5’−gctatggcagggcctgccgccccgacgttg−3’(3.3−R1:配列表の配列番号29:図37)

4)−2 キメラ化及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1の構築 pCMA−LKをXbaI及びPmeIで消化してκ鎖分泌シグナル及びヒトκ鎖定常領域を取り除いたDNA断片と、配列表の配列番号30(図38)で示されるヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片をIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて結合して、CMVプロモーターの下流にシグナル配列、クローニングサイト、ヒトIgG1重鎖定常領域をもつキメラ化及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を構築した。

4)−3 ヒトキメラ化FR2−10軽鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−10軽鎖の可変領域を含むcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ化及びヒト化抗体軽鎖発現汎用ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−10軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/cFR2−10」と命名した。ヒトキメラ化FR2−10軽鎖の塩基配列及び該軽鎖のアミノ酸配列を、配列表の配列番号31及び32(図39及び40)にそれぞれ示す。 ヒトキメラ化FR2−10軽鎖用プライマーセット 5’−atctccggcgcgtacggcgacatccagatgacccagtctccatcttcc−3’(c10−LF:配列表の配列番号33:図41) 5’−ggagggggcggccacagcccgttttatttccaacttcgtccctg−3’(c10−LR:配列表の配列番号34:図42)

4)−4 ヒトキメラ化FR2−10重鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−10重鎖の可変領域をコードするcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ化及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−10重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/cFR2−10」と命名した。ヒトキメラ化FR2−10重鎖をコードする塩基配列及び該重鎖のアミノ酸配列を、配列表の配列番号35及び36(図43及び44)にそれぞれ示す。 ヒトキメラ化FR2−10重鎖用プライマーセット 5’−ccagatgggtgctgagcgaggtgcagctggtggagtctgggggaggc−3’(c10−HF:配列表の配列番号37:図45) 5’−cttggtggaggctgagctgacagtgactgaagttccttgaccccaggc−3’(c10−HR:配列表の配列番号38:図46)

4)−5 ヒトキメラ化FR2−13軽鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−13軽鎖の可変領域をコードするcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ化及びヒト化抗体軽鎖発現汎用ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−13軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/cFR2−13」と命名した。ヒトキメラ化FR2−13軽鎖をコードする塩基配列及び該軽鎖のアミノ酸を、配列表の配列番号39及び40(図47及び48)にそれぞれ示した。 ヒトキメラ化FR2−13軽鎖用プライマーセット 5’−atctccggcgcgtacggcgacatccagatgacacagtctccagcttcc−3’(c13−LF:配列表の配列番号41:図49) 5’−ggagggggcggccacagcccgtttcagttccagcttggtcccaac−3’(c13−LR:配列表の配列番号42:図50)

4)−6 ヒトキメラ化FR2−13重鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−13重鎖の可変領域をコードするcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ化及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−13重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/cFR2−13」と命名した。ヒトキメラ化FR2−13重鎖をコードする塩基配列及び該重鎖のアミノ酸配列を、配列表の配列番号43及び44(図51及び52)にそれぞれ示す。 ヒトキメラ化FR2−13重鎖用プライマーセット 5’−ccagatgggtgctgagccaggttaagctgctgcagtctggggctgag−3’(c13−HF:配列表の配列番号45:図53) 5’−cttggtggaggctgagctgacagtgaccagagtgccttggccccag−3’(c13−HR:配列表の配列番号46:図54)

4)−7 ヒトキメラ化FR2−14軽鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−14軽鎖の可変領域をコードするcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで軽鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現汎用ベクターpCMA−LKを制限酵素BsiWIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−14軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/cFR2−14」と命名した。ヒトキメラ化FR2−14軽鎖をコードする塩基配列及び該軽鎖のアミノ酸配列を、配列表の配列番号47及び48(図55及び56)にそれぞれ示す。

ヒトキメラ化FR2−14軽鎖用プライマーセット 5’−atctccggcgcgtacggcgacatccagatgacacagtctccagcttcc−3’(c13−LF:配列表の配列番号41:図49) 5’−ggagggggcggccacagcccgtttcagttccagcttggtcccagc−3’(c14−LR:配列表の配列番号49:図57)

4)−8 ヒトキメラ化FR2−14重鎖発現ベクターの構築 実施例3)で得られたFR2−14重鎖の可変領域をコードするcDNAをテンプレートとして、KOD−Plus−(TOYOBO社)と下記のプライマーセットで重鎖の可変領域をコードするcDNAを含むDNA断片を増幅し、キメラ化及びヒト化IgG1タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1を制限酵素BlpIで切断した箇所にIn−Fusion Advantage PCRクローニングキット(CLONTECH社)を用いて挿入することにより、ヒトキメラ化FR2−14重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/cFR2−14」と命名した。ヒトキメラ化FR2−14重鎖をコードする塩基配列及び該重鎖のアミノ酸配列を、配列表の配列番号50及び51(図58及び59)にそれぞれ示す。 ヒトキメラ化FR2−14重鎖用プライマーセット 5’−ccagatgggtgctgagccaggttaagctgctgcagtctggggctgag−3’(c13−HF:配列表の配列番号45:図53) 5’−cttggtggaggctgagctgacagtgaccagagtgccttggccccag−3’(c13−HR:配列表の配列番号46:図54)

4)−9 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体の調製 4)−9−1 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体の生産 FreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)はマニュアルに従い、継代、培養をおこなった。 対数増殖期の1.2×109個のFreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)を3L Fernbach Erlenmeyer Flask(CORNING社)に播種し、FreeStyle293 expression medium (INVITROGEN社)で希釈して1.0×106細胞/mlに調整したのちに、37℃、8% CO2インキュベーター内で、90rpmで一時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)3.6mgをOpti−Pro SFM培地(Invitrogen社)20mlに溶解し、次にPureLink HiPure Plasmidキット(INVITROGEN社)を用いて調製したH鎖発現ベクター(0.4mg)及びL鎖発現ベクター(0.8mg)を20mlのOpti−Pro SFM培地(INVITROGEN社)に懸濁した。Polyethyleneimine/Opti−Pro SFM混合液20mlに、発現ベクター/Opti−Pro SFM混合液20mlを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8% CO2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をDisposable Capsule Filter (ADVANTEC #CCS−045−E1H)でろ過した。 pCMA−G1/cFR2−10とpCMA−LK/cFR2−10との組合せによって取得されたヒトキメラ化FR2−10を「cFR2−10」、pCMA−G1/cFR2−13とpCMA−LK/cFR2−13との組合せによって取得されたヒトキメラ化FR2−13を「cFR2−13」、及びpCMA−G1/cFR2−14とpCMA−LK/cFR2−14との組合せによって取得されたヒトキメラ化FR2−14を「cFR2−14」、と命名した。

4)−9−2 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体の精製 上記4)−9−1で得られた培養上清を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー(4−6℃下)とセラミックヒドロキシルアパタイト(室温下)の2段階工程で精製した。rProteinAアフィニティークロマトグラフィー精製後とセラミックヒドロキシルアパタイト精製後のバッファー置換工程は室温下で実施した。最初に、培養上清1100−1200mlを、PBSで平衡化したMabSelectSuRe(GE Healthcare Bioscience社製、HiTrapカラム:容積1ml×2連結)にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、PBS15−30mlでカラムを洗浄した。次に2M アルギニン塩酸塩溶液(pH4.0)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を脱塩カラム(GE Healthcare Bioscience社製、HiTrap Desaltingカラム:容積5ml×2連結)で5mM りん酸ナトリウム/50mM MES/20mM NaCl/pH6.5のバッファーへ置換を行った。さらにその置換した抗体溶液を、5mM NaPi/50mM MES/20mM NaCl/pH6.5のバッファーで平衡化されたセラミックハイドロキシルアパタイトカラム(日本バイオラッド、Bio−Scale CHT2−1 Hydroxyapatite Column:容積2ml)にアプライした。塩化ナトリウムによる直線的濃度勾配溶出を実施し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を脱塩カラム(GE Healthcare Bioscience社製、HiTrap Desaltingカラム:容積5mlx2連結)でCBS(10mM クエン酸緩衝液/140mM 塩化ナトリウム、pH6.0)への液置換を行った。最後にCentrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量30K,Sartorius社,4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を1.0mg/ml以上に調製し精製サンプルとした。

実施例5 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のin vitro活性 5)−1 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)の抗原結合活性 293α細胞(実施例1)−6に記載)を10% FBS含有DMEM培地中5x105細胞/mlになるよう調製した。それに対し、Lipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIbもしくはpcDNA−DEST40−FGFR2IIIcを導入し、96−well plate(Corning社製)に100μlずつ分注し、10% FBS含有DMEM培地中で37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。得られた導入細胞を接着状態のまま、Cell−ELISAに使用した。培養上清を除去後、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIbもしくはpcDNA−DEST40−FGFR2IIIc導入細胞のそれぞれに対しcFR2−10、cFR2−13、cFR2−14抗体を終濃度2μg/mlで添加し、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで1回洗浄後、5% FBS含有PBSで500倍に希釈したAnti−Human IgG−Peroxidase antibody produced in goat(SIGMA社製)を加えて、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで5回洗浄した後、OPD発色液(OPD溶解液(0.05M クエン酸3ナトリウム、0.1M リン酸水素2ナトリウム・12水 pH4.5)にo−フェニレンジアミン二塩酸塩(和光純薬社製)、H2O2をそれぞれ0.4mg/ml、0.6%(v/v)になるように溶解)を100μl/ウェルで添加した。時々攪拌しながら発色反応を行い、1M HClを100μl/ウェルを添加して発色反応を停止させた後、プレートリーダー(ARVO:PerkinElmer社)で490nmの吸光度を測定した。図5に示すとおり、cFR2−10抗体はFGFR2IIIbに選択的に結合し、cFR2−13およびcFR2−14抗体はFGFR2IIIbとFGFR2IIIc両方に結合した。

5)−2 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のシグナル中和作用 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにより取得抗体のシグナル中和作用を評価するため、実施例1)−3−1で構築したpcDNA−DEST40—FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcを実施例1)−6−2で示す方法により293α細胞に導入し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去後、2% FBSを含むDMEMで希釈したcFR2−10、cFR2−13、cFR2−14抗体(終濃度0.05−5μg/ml)と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンドであるヒトFGF7(R&D systems社製)またはヒトFGF9、Peprotech社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、細胞溶解物を調製し、Dual−luciferaseレポーターアッセイシステム(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。図6Aに示す通り、cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14は、FGFR2IIIb発現細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。また、図6Bに示す通り、cFR2−13、cFR2−14は、FGFR2IIIc発現細胞において、FGF9によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。以上の結果、これらの抗体はFGFR2のリガンドによる活性化を阻害する作用を有することが明らかとなった。

5)−3 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のADCC活性 5)−3−1 標的細胞の作製 pLenti6/V5−GW/lacZ、およびViraPower(登録商標)Packaging Mix(Invitorogen社)を添付プロトコールに従って293FT細胞(Invitrogen社)にトランスフェクションすることにより、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現する組み換えレンチウイルスを作製した。得られた組み換えレンチウイルスをViraPower Lentiviral Expression Systems(Invitrogen社)のプロトコールに従って293T細胞に感染させ、10μg/mlのブラストサイジン(Invitrogen社)でウイルス感染細胞を選択することにより、β−ガラクトシダーゼの安定発現株を取得した。このβ−ガラクトシダーゼを安定発現する293T細胞を標的細胞としてADCC活性を測定した。

5)−3−2 標的細胞の調製 実施例5)−3−1で取得したβ−ガラクトシダーゼ安定発現293T細胞(以下293T-lacZと表記)を、10% FBS含有DMEM培地中1x107細胞/mlになるよう225cm2フラスコに播種した。37℃で一晩培養後、pcDNA−DEST40−FGFR2IIIbをLipofectamine 2000(Invitrogen社製)を用いて導入し、10% FBS含有DMEM培地中37℃、5% CO2の条件下で2日間培養した後、TrypLEExpress(Invitrogen社製)を用いて剥離・回収した。5% FBSを含むフェノールレッド不含RPMI1640(以下「ADCC用培地」と略す)にて2回洗浄し、生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測し、ADCC用培地で1×105細胞/mlになるよう再懸濁したものを標的細胞として用いた。

5)−3−3 エフェクター細胞の調製 Uncharacterized Cryopreserved PBMC(Cellular Technology Ltd.社製)を10% FBSを含むフェノールレッド不含RPMI1640培地(Invitrogen社製)に懸濁し、遠心後再懸濁して生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測した。遠心後培地を除去し、ADCC用培地に懸濁し、生細胞密度で2.3×106 細胞/mlになるよう調製し、エフェクター細胞とした。

5)−3−4 ADCCアッセイ 5)−3−2の293T-lacZ細胞を50μl/ウェルで96穴U底マイクロプレートに添加した。そこに終濃度で1〜100ng/mlになるようADCC用培地で希釈したcFR2−10、cFR2−13、cFR2−14、またはヒトコントロール抗体(hIgG)を50μl/ウェルで添加し、4℃で1時間静置した。さらに、5)−3−3のエフェクター細胞を75μl添加し、室温で1200rpm×5分間遠心の後、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、上清50μlを白色プレート(Corning社製)に回収し、β−Gloアッセイシステム(Promega社製)溶液50μlを添加し、発光量をプレートリーダー(ENVISION:PerkinElmer社製)で測定した。ADCC活性による細胞溶解率は次式で算出した。

A:サンプルウェルのカウント B:自然放出(抗体・エフェクター細胞非添加ウェル)カウントの平均値(n=3)。抗 体添加時とエフェクター細胞添加時にそれぞれADCC用培地を50μl、75μl 添加した。それ以外はサンプルウェルと同様の操作を行った。 C:最大放出(標的細胞を界面活性剤で溶解させたウェル)カウントの平均値(n= 3)。抗体添加時とエフェクター細胞添加時にそれぞれADCC用培地を50μl、 75μl添加した。測定時には、細胞を含むウェルに175μlのβ−Gloアッセ イシステム溶液を添加して混和し、そのうち100μl分を白色プレートに加えて測 定を実施した。

図7に示す通り、cFR2−10、cFR2−13およびcFR2−14は、FGFR2IIIb発現細胞に対しADCC活性を有した。

実施例6 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)のin vivo抗腫瘍活性 5×106cellsのヒト胃癌株SNU−16(ATCCより購入)を50%マトリゲル(日本BDより購入)で懸濁し、ヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に移植した。腫瘍体積をもとに群分けをし、移植の7、11、14、18日後にヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−10、cFR2−13、cFR2−14)を1.5、15 mg/kgで担癌マウスの腹腔内に投与した(n=8)。移植腫瘍の長径および短径を週2回、電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。

cFR2−10抗体の結果を図8−Aに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5mg/kg投与群で55%、15mg/kg投与群で35%であった。 cFR2−13抗体の結果を図8−Bに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5mg/kg投与群で57%、15mg/kg投与群で46%であった。 cFR2−14抗体の結果を図8−Cに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5mg/kg投与群で34%、15mg/kg投与群で53%であった。

実施例7 ヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のヒト化バージョン(hFR2−14)の設計 7)−1 FR2−14の可変領域の分子モデリング cFR2−14の可変領域の分子モデリングは、相同性モデリングとして一般的に公知の方法(Methods in Enzymology,203,121−153,(1991))によって実行された。Protein Data Bank(Nuc.Acid Res.28,235−242(2000))に登録されるヒト免疫グロブリンの可変領域の1次配列(X線結晶構造から誘導される三次元構造が入手可能である)を、上で決定されたFR2−14の可変領域と比較した。結果として、1ZANが、cFR2−14の軽鎖の可変領域に対して最も高い配列相同性を有するとして選択された。また、1CT8が、cFR2−14の重鎖の可変領域に対して最も高い配列相同性を有するとして選択された。フレームワーク領域の三次元構造は、cFR2−14の軽鎖及び重鎖に対応する1ZAN及び1CT8の座標を組み合わせて、「フレームワークモデル」を得ることによって作製された。cFR2−14のCDRは、Thornton et al.(J.Mol.Biol.,263,800−815,(1996))の分類に従って、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1及びCDRH2は、それぞれクラスター11A、7A、10A、10A、10Aに割り当てられた。CDRH3は、H3ルール(FEBS letter 399,1−8(1996))を使用して、k(6)−に分類された。次いで、それぞれのCDRについての代表的なコンホメーションがフレームワークモデルに組み込まれた。 最後に、エネルギーの点でcFR2−14の可変領域の可能性のある分子モデルを得るために、不利な原子接触を除くためのエネルギー計算を行った。上記手順を、市販の蛋白質立体構造予測プログラムPrime及び配座探索プログラムMacroModel(Schrodinger,LLC)を使用して行った。

7)−2 ヒト化FR2−14に対するアミノ酸配列の設計 ヒト化FR2−14抗体の構築を、CDRグラフティング(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))として一般的に公知の方法によって行った。アクセプター抗体は、フレームワーク領域内のアミノ酸相同性に基づいて選択された。 cFR2−14のフレームワーク領域の配列を、抗体のアミノ酸配列のKabatデータベース(Nuc.Acid Res.29,205−206(2001))の全てのヒトフレームワークと比較し、結果として、FV/IL−2’CL抗体がフレームワーク領域についての72%の配列相同性に起因して、アクセプターとして選択された。FV/IL−2’CLについてのフレームワーク領域のアミノ酸残基を、cFR2−14についてのアミノ酸残基と整列させ、異なるアミノ酸が使用される位置を同定した。これらの残基の位置は、上で構築されたcFR2−14の三次元モデルを使用して分析され、そしてアクセプター上にグラフティングされるべきドナー残基が、Queen et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,10029−10033(1989))によって与えられる基準によって選択された。 選択されたいくつかのドナー残基をアクセプター抗体に移入することによって、ヒト化FR2−14配列を以下の実施例に記載されるように構築した。 また、cFR2−14の各CDR中の1乃至3個のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したCDR改変ヒト化FR2−14配列についても以下の実施例に記載されるように構築した。

7)−3 FR2−14軽鎖のヒト化 7)−3−1 hFR2−14_L1タイプ軽鎖: 配列表の配列番号48に示されるcFR2−14軽鎖のアミノ酸番号29(アラニン)、35(ロイシン)、37(グルタミン酸)、38(スレオニン)、42(グルタミン酸)、62(アスパラギン)、90(グルタミン)、92(セリン)、94(リジン)、96(アスパラギン)、100(セリン)、103(バリン)、105(セリン)、107(フェニルアラニン)、121(アラニン)、125(ロイシン)、127(ロイシン)、130(アラニン)をそれぞれセリン、バリン、アスパラギン酸、アルギニン、スレオニン、リジン、アスパラギン酸、スレオニン、スレオニン、セリン、プロリン、フェニルアラニン、スレオニン、チロシン、グルタミン、バリン、イソロイシン、スレオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14軽鎖を「hFR2−14_L1タイプ軽鎖」と命名した。 hFR2−14_L1タイプ軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号72であり、シグナル配列が切除された成熟軽鎖をコードするのはヌクレオチド番号61乃至705である。また、hFR2−14_L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号73であり、シグナル配列が切除された成熟軽鎖はそのアミノ酸番号21乃至235からなる。さらに、配列番号72及び73の配列は、それぞれ図80及び81にも記載されている。

7)−4 FR2−14重鎖のヒト化 7)−4−1 hFR2−14_H1タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、62(プロリン)、63(セリン)、64(スレオニン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、グルタミン、グリシン、ロイシン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H1タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H1タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号74であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H1タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号75であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号74及び75の配列は、それぞれ図82及び83にも記載されている。

7)−4−2 hFR2−14_H2タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、62(プロリン)、63(セリン)、64(スレオニン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、91(バリン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、グルタミン、グリシン、ロイシン、メチオニン、アルギニン、バリン、アラニン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H2タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H2タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号76であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H2タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号77であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号76及び77の配列は、それぞれ図84及び85にも記載されている。

7)−4−3 hFR2−14_H3タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H3タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H3タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号78であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H3タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号79であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号78及び79の配列は、それぞれ図86及び87にも記載されている。

7)−4−4 hFR2−14_H4タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、64(スレオニン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、125(スレオニン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、イソロイシン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、アラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H4タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H4タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号80であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H4タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号81であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号80及び81の配列は、それぞれ図88及び89にも記載されている。

7)−4−5 hFR2−14_H5タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、118(アスパラギン酸)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、グルタミン酸に置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H5タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H5タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号82であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H5タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号83であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号82及び83の配列は、それぞれ図90及び91にも記載されている。

7)−4−6 hFR2−14_H6タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、アラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H6タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H6タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号84であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H6タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号85であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号84及び85の配列は、それぞれ図92及び93にも記載されている。

7)−4−7 hFR2−14_H7タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、グルタミン酸に置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H7タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H7タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号86であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H7タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号87であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号86及び87の配列は、それぞれ図94及び95にも記載されている。

7)−4−8 hFR2−14_H8タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、フェニルアラニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H8タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H8タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号88であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H8タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号89であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号88及び89の配列は、それぞれ図96及び97にも記載されている。

7)−4−9 hFR2−14_H9タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、ヒスチジンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H9タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H9タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号90であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H9タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号91であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号90及び91の配列は、それぞれ図98及び99にも記載されている。

7)−4−10 hFR2−14_H10タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、イソロイシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H10タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H10タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号92であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H10タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号93であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号92及び93の配列は、それぞれ図100及び101にも記載されている。

7)−4−11 hFR2−14_H11タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、リジンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H11タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H11タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号94であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H11タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号95であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号94及び95の配列は、それぞれ図102及び103にも記載されている。

7)−4−12 hFR2−14_H12タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、ロイシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H12タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H12タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号96であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H12タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号97であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号96及び97の配列は、それぞれ図104及び105にも記載されている。

7)−4−13 hFR2−14_H13タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、メチオニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H13タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H13タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号98であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H13タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号99であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号98及び99の配列は、それぞれ図106及び107にも記載されている。

7)−4−14 hFR2−14_H14タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、グルタミンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H14タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H14タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号100であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H14タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号101であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号100及び101の配列は、それぞれ図108及び109にも記載されている。

7)−4−15 hFR2−14_H15タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、アルギニンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H15タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H15タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号102であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H15タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号103であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号102及び103の配列は、それぞれ図110及び111にも記載されている。

7)−4−16 hFR2−14_H16タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、バリンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H16タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H16タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号104であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H16タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号105であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号104及び105の配列は、それぞれ図112及び113にも記載されている。

7)−4−17 hFR2−14_H17タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、トリプトファンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H17タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H17タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号106であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H17タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号107であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号106及び107の配列は、それぞれ図114及び115にも記載されている。

7)−4−18 hFR2−14_H18タイプ重鎖: 配列表の配列番号51に示されるcFR2−14重鎖のアミノ酸番号22(リジン)、24(ロイシン)、30(ロイシン)、31(バリン)、39(ロイシン)、43(スレオニン)、56(ロイシン)、57(リジン)、59(バリン)、67(イソロイシン)、86(リジン)、87(アラニン)、94(フェニルアラニン)、95(セリン)、101(アスパラギン酸)、106(スレオニン)、110(アラニン)、114(フェニルアラニン)、119(グリシン)をそれぞれグルタミン、バリン、バリン、リジン、バリン、アラニン、バリン、アルギニン、アラニン、メチオニン、アルギニン、バリン、セリン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、スレオニン、チロシン、チロシンに置き換えることを伴い設計されたヒト化FR2−14重鎖を「hFR2−14_H18タイプ重鎖」と命名した。 hFR2−14_H18タイプ重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号108であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖をコードするのはヌクレオチド番号58乃至1401である。また、hFR2−14_H18タイプ重鎖のアミノ酸配列は、配列表の配列番号109であり、シグナル配列が切除された成熟重鎖はそのアミノ酸番号20乃至467からなる。さらに、配列番号108及び109の配列は、それぞれ図116及び117にも記載されている。

実施例8 ラット抗ヒトFGFR2抗体FR2−14のヒト化抗体(hFR2−14)の取得/発現 8)−1 ラット抗ヒトFGFR2抗体FR2−14のヒト化抗体(hFR2−14)の軽鎖発現ベクターの構築 8)−1−1 hFR2−14_L1タイプ軽鎖発現ベクターの構築 配列番号73のアミノ酸番号21乃至130に示されるhFR2−14_L1タイプ軽鎖可変領域をコードする遺伝子を含むDNAを合成し、制限酵素BsiWIで切り出されるDNA断片を、キメラ及びヒト化抗体軽鎖発現汎用ベクター(pCMA−LK)を制限酵素BsiWIで切断した箇所に挿入することにより、hFR2−14_L1タイプ軽鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−LK/hFR2−14_L1」と命名した。

8)−2 ラット抗ヒトFGFR2抗体FR2−14のヒト化抗体(hFR2−14)の重鎖発現ベクターの構築 8)−2−1 hFR2−14_H1、hFR2−14_H3、及びhFR2−14_H4タイプ重鎖発現ベクターの構築 配列表の配列番号75のアミノ酸番号20乃至137、配列番号79のアミノ酸番号20乃至137、及び配列番号81のアミノ酸番号20乃至137に示される、hFR2−14_H1、hFR2−14_H3、及びhFR2−14_H4タイプ重鎖可変領域をコードする遺伝子を含むDNAを合成し、制限酵素BlpIで切り出されるDNA断片を、ヒト化抗体重鎖発現汎用ベクター(pCMA−G1)を制限酵素BlpIで切断した箇所に挿入することにより、hFR2−14_H1、hFR2−14_H3、及びhFR2−14_H4タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターをそれぞれ「pCMA−G1/hFR2−14_H1」、「pCMA−G1/hFR2−14_H3」、及び「pCMA−G1/hFR2−14_H4」と命名した。

8)−2−2 hFR2−14_H2タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で構築したpCMA−G1/hFR2−14_H1をテンプレートとして、下記に示すプライマーセットとQuikChange XL Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies社)を用いて、hFR2−14_H2タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H2」と命名した。hFR2−14_H2タイプ重鎖のヌクレオチド配列を配列表の配列番号76に示し、アミノ酸配列を配列番号77に示した。 プライマーセット 5’−ggcagagtgaccctgaccgccgacaagagcaccagcacc−3’(VH3A−F:配列表の配列番号110) 5’−ggtgctggtgctcttgtcggcggtcagggtcactctgcc−3’(VH3A−R:配列表の配列番号111)

8)−2−3 hFR2−14_H5タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H5タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H5」と命名した。 プライマーセット: 5’−GAGGGCTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H5−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R このプライマーは以下共通です)

8)−2−4 hFR2−14_H6タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H6タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H6」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACGCCTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H6−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−5 hFR2−14_H7タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H7タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H7」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACGAGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H7−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−6 hFR2−14_H8タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H8タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H8」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACTTCTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H8−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−7 hFR2−14_H9タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H9タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H9」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACCACTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H9−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−8 hFR2−14_H10タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H10タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H10」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACATCTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H10−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−9 hFR2−14_H11タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H11タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H11」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACAAGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H11−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−10 hFR2−14_H12タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H12タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H12」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACCTGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H12−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−11 hFR2−14_H13タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H13タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H13」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACATGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H13−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−12 hFR2−14_H14タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H14タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H14」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACCAGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H14−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−13 hFR2−14_H15タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H15タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H15」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACCGGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H15−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−14 hFR2−14_H16タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H16タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H16」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACGTGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H16−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−15 hFR2−14_H17タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H17タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H17」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACTGGTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H17−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−2−16 hFR2−14_H18タイプ重鎖発現ベクターの構築 実施例8)−2−1で作製したhFR2−14_H3タイプ重鎖発現ベクターpCMA−G1/hFR2−14_H3をテンプレートとし、下記プライマーセットとKOD −Plus− Mutagenesis Kit(TOYOBO社)を用いて、変異を導入することによりhFR2−14_H18タイプ重鎖発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを「pCMA−G1/hFR2−14_H18」と命名した。 プライマーセット: 5’−GACTACTACGGCGACTGGTTCACATAC−3’(H18−F) 5’−GGTGGCGCAGTAGTACACGGCGGT−3’(H−R)

8)−3 ヒト化FR2−14抗体の調製(FreeStyle 293F細胞) 8)−3−1 ヒト化FR2−14抗体の生産 FreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)はマニュアルに従い、継代、培養をおこなった。 対数増殖期の1.2×109個のFreeStyle 293F細胞(INVITROGEN社)を3L Fernbach Erlenmeyer Flask(CORNING社)に播種し、FreeStyle293 expression medium (INVITROGEN社)で希釈して1.0×106細胞/mLに調製したのちに、37℃、8%CO2インキュベーター内で、90rpmで一時間振とう培養した。Polyethyleneimine(Polyscience #24765)3.6mgをOpti−Pro SFM培地(Invitrogen社)20mlに溶解し、次にPureLink HiPure Plasmidキット(INVITROGEN社)を用いて調製したH鎖発現ベクター(0.4mg)及びL鎖発現ベクター(0.8mg)を20mlのOpti−Pro SFM培地(INVITROGEN社)に懸濁した。Polyethyleneimine/Opti−Pro SFM混合液20mlに、発現ベクター/Opti−Pro SFM混合液20mlを加え穏やかに攪拌し、さらに5分間放置した後にFreeStyle 293F細胞に添加した。37℃、8%CO2インキュベーターで7日間、90rpmで振とう培養して得られた培養上清をDisposable Capsule Filter (ADVANTEC #CCS−045−E1H)でろ過した。 pCMA−G1/hFR2−14_H5、pCMA−G1/hFR2−14_H6、pCMA−G1/hFR2−14_H7、pCMA−G1/hFR2−14_H8、pCMA−G1/hFR2−14_H9、pCMA−G1/hFR2−14_H10、pCMA−G1/hFR2−14_H11、pCMA−G1/hFR2−14_H12、pCMA−G1/hFR2−14_H13、pCMA−G1/hFR2−14_H14、pCMA−G1/hFR2−14_H15、pCMA−G1/hFR2−14_H16、pCMA−G1/hFR2−14_H17、及びpCMA−G1/hFR2−14_H18とpCMA−LK/hFR2−14_L1との組合せによって取得されたヒト化FR2−14抗体をそれぞれ、「hFR2−14_H5/L1」、「hFR2−14_H6/L1」、「hFR2−14_H7/L1」、「hFR2−14_H8/L1」、「hFR2−14_H9/L1」、「hFR2−14_H10/L1」、「hFR2−14_H11/L1」、「hFR2−14_H12/L1」、「hFR2−14_H13/L1」、「hFR2−14_H14/L1」、「hFR2−14_H15/L1」、「hFR2−14_H16/L1」、「hFR2−14_H17/L1」、及び「hFR2−14_H18/L1と命名した。

8)−3−2 ヒト化FR2−14抗体の精製 上記8)−3−1で得られた培養上清から抗体を、rProteinAアフィニティークロマトグラフィー(4乃至6℃下)とセラミックヒドロキシルアパタイト(室温下)の2段階工程で精製した。rProteinAアフィニティークロマトグラフィー精製後とセラミックヒドロキシルアパタイト精製後のバッファー置換工程は4乃至6℃下で実施した。最初に、培養上清を、PBSで平衡化したMabSelectSuRe(GE Healthcare Bioscience社製、HiTrapカラム)にアプライした。培養液がカラムに全て入ったのち、カラム容量2倍以上のPBSでカラムを洗浄した。次に2Mアルギニン塩酸塩溶液(pH4.0)で溶出し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientific社、Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette)によりPBSに置換した後、5mM りん酸ナトリウム/50mM MES/pH7.0のバッファーで5倍希釈した抗体溶液を、5mM NaPi/50mM MES/30mM NaCl/pH7.0のバッファーで平衡化されたセラミックハイドロキシルアパタイトカラム(日本バイオラッド、Bio−Scale CHT Type‐I Hydroxyapatite Column)にアプライした。塩化ナトリウムによる直線的濃度勾配溶出を実施し、抗体の含まれる画分を集めた。その画分を透析(Thermo Scientific社、Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette)によりHBSor(25mM ヒスチジン/5% ソルビトール、pH6.0)への液置換を行った。最後にCentrifugal UF Filter Device VIVASPIN20(分画分子量UF10K,Sartorius社,4℃下)にて濃縮し、IgG濃度を25mg/ml以上に調製し精製サンプルとした。

実施例9 糖鎖修飾が調節されたヒト化FR2−14抗体の調製 配列番号97(図105)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号20乃至467を含む重鎖、および、配列番号73(図81)で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号21乃至235を含む軽鎖を含んでなるヒト化抗体を、公知の方法に従って、該抗体蛋白質に結合する糖鎖修飾を脱フコース化することにより調節し、得られた抗体をhFR2−14 H19/L1と命名した。当該修飾体を質量分析に供したところ、フコースを含有するH鎖のピークは検出限界以下であった。本発明においては、hFR2−14 H19/L1のように糖鎖修飾が調節された抗体も「抗体」または「抗体の修飾体」と呼ぶ。

実施例10 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)の物性評価 10)−1 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)のBiacoreによる抗原結合活性測定 抗体と抗原(rhFGFR2alpha(IIIb)Fc chimeraまたはrhFGFR2alpha(IIIc)Fc chimera)との解離定数測定は、Biacore 3000(GEヘルスケアバイオサイエンス(株))を使用し、固定化した抗ヒトIgG(Fab)抗体に抗体をリガンドとして捕捉(キャプチャー)し、抗原をアナライトとして測定するキャプチャー法にて行った。抗ヒトIgG(Fab)抗体(Human Fab capture kit、GEヘルスケアバイオサイエンス(株))は、センサーチップCM5(BIAcore,Inc.)へアミンカップリング法にて約5000RU共有結合させた。リファレンスセルにも同様に固定化した。ランニングバッファーとしてHBS−EP+(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl,3mM EDTA、0.05%Surfactant P20)を用いた。抗ヒトIgG(Fab)抗体を固定化したチップ上に、精製抗体では1μg/mLの抗体溶液を流速10μL/分で60秒間、抗体を含む培養上清では60秒間添加した後、抗原の希釈系列溶液(0.3乃至500nM)を流速30μl/分で180秒間添加し、引き続き300秒間の解離相をモニターした。再生溶液として、10mM Gly−HCl pH2.1を流速10μl/分で60秒間、2回添加した。データの解析には、分析ソフトウェア(BIAevaluation software, version 4.1)のBivalent結合モデルを用いて、結合速度定数kon、解離速度定数koff及び解離定数(KD;KD=koff/kon)を算出した。

10)−1−1 4種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)の結合活性評価 4種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)を実施例8)−3及び実施例4)−9の方法により発現・精製し、各ヒトFGFR2バリアント蛋白質との結合活性を実施例10)−1に示す方法により評価した。Biacore測定結果を図122に示す。

10)−1−2 15種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1及びhFR2−14_H5〜H18/L1)の結合活性評価 15種類のヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1及びhFR2−14_H5〜H18/L1)を実施例8)−3の方法により発現させた培養上清を用いてFGFR2−IIIc蛋白質との結合活性を実施例10)−1に示す方法により評価した。Biacore測定結果を図123に示す。

10)−2 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1及びhFR2−14_H12/L1)のヒトFGFR2選択的結合性の検討 10)−2−1 ヒトFGFR1IIIb発現ベクター(pcDNA−DEST40—FGFR1IIIb)の構築 ヒトFGFR1IIIbバリアント蛋白質(アイソフォーム2:NP_056934の1−310番目のアミノ酸、および359−820番目のアミノ酸の間に、FGFR1のIIIbドメイン:AAB19502のアミノ酸配列を挿入したもの)をコードするcDNAをpcDNA−DEST40ベクターにクローニングし、pcDNA−DEST40—FGFR1IIIbを構築した。

10)−2−2 Cell−ELISA 実施例1)−3−1、2)−1−1、及び10)−2−1で構築した各種ヒトFGFR発現ベクターをLipofectamine 2000(Life Technologies社製)を用いて293α細胞(実施例1)−6に記載)へ導入し、96−well plate(Corning社製)に100μlずつ分注し、10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。培養上清を除去後、5% FBS含有PBSでhFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1を3μg/mlに希釈した溶液を50μl添加し、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで2回洗浄後、5% FBS含有PBSで2000倍希釈したAnti−human IgG−Peroxidase conjugate antibody produced in goat(SIGMA社製)を加えて、4℃で1時間静置した。ウェル中の細胞を5% FBS含有PBSで3回洗浄した後、OPD発色液(OPD溶解液(0.05 M クエン酸3ナトリウム、0.1M リン酸水素2ナトリウム・12水 pH4.5)にo−フェニレンジアミン二塩酸塩(和光純薬社製)、H2O2をそれぞれ0.4mg/ml、0.6%(v/v)になるように溶解)を100μl/ウェルで添加した。時々攪拌しながら発色反応を行い、1M HClを100μl/ウェルを添加して発色反応を停止させた後、プレートリーダー(ARVO:PerkinElmer社)で490nmの吸光度を測定した。図124に示すとおり、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1抗体は、ヒトFGFR2IIIbおよびFGFR2IIIcの両方に対して特異的に結合することが示された。

10)−3 示差走査カロリメトリー(DSC)を用いたヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)の熱安定性測定 示差走査カロリメトリー(DSC)を用いた、熱安定性の測定を行なった。サンプルは0.5mg/mLの濃度でHBSor緩衝液(25mMヒスチジン(pH6.0)5%ソルビトールに調製)に溶解させ、400μLずつ試料溶液としてDSC測定に使用した。DSC測定条件は、以下のように設定した。即ち、初期温度は20℃、最終温度を100℃とし、昇温速度を200℃/1時間、フィルター時間2秒、フィードバックモードをLowとした。参照液はHBSorを使用した。全てのDSC測定装置としては、米国GEヘルスケアバイオサイエンス(株)製VP−Capillary DSC Platformを使用した。試料溶液から得られたスキャン曲線からベースライン(試料セルにも参照溶液を充填して得られたスキャン曲線)を差し引いてベースライン補正を行なった。次に、各サンプルの分子量から算出されたモル濃度を用いて濃度のキャリブレーションを行った。図125Aおよび図125Bに種々のヒト化FGFR2抗体のサーモグラムを示す。それぞれのサーモグラム中の最大のピークについてピークトップを示した温度を熱変性中点Tmとすると、図125Cに示すように、hFR2−14_H1/L1抗体のTm値が87.6℃、hFR2−14_H2/L1抗体のTm値が87.2℃、hFR2−14_H3/L1抗体のTm値が79.5℃、hFR2−14_H4/L1抗体のTm値が81.6℃、hFR2−14_H5/L1抗体のTm値が77.2℃、hFR2−14_H8/L1抗体のTm値が81.0℃、hFR2−14_H9/L1抗体のTm値が78.8℃、hFR2−14_H11/L1抗体のTm値が80.3℃、hFR2−14_H12/L1抗体のTm値が82.2℃、hFR2−14_H19/L1抗体のTm値が82.2℃であった。

10)−4 Biacoreを用いたヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)の結合安定性試験 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)の抗原との結合安定性を以下の方法により評価した。 各種ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1乃至hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)を実施例8)−3、実施例9)及び実施例4)−9の方法により発現、精製し、20mg/mLの濃度でHBSor緩衝液(25mMヒスチジン(pH6.0)5%ソルビトールに調製)に溶解させ、40℃に4週間加温して劣化検体を作製した。劣化前検体と劣化後検体につきBiacoreによる結合活性測定を実施例10)−1に示す方法により実施した。Biacore測定結果を図126に示す。

実施例11 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)のシグナル中和作用 11)−1 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のシグナル中和作用 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによりヒト化抗体のシグナル中和作用を評価するため、pcDNA−DEST40—FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcと、pFA2−Elk1(Stratagene社製)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega社製)を実施例1)−6−2で示す方法により293α細胞に導入し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去後、2% FBSを含むDMEMで希釈したhFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1、またはcFR2−14抗体と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンド(ヒトFGF7またはヒトFGF9、Peprotech社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、Dual−Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。図127Aに示す通り、hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1およびcFR2−14は、FGFR2IIIb発現細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。また、図127Bに示す通り、hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1およびcFR2−14は、FGFR2IIIc発現細胞において、FGF9によるリガンド依存的レポーター活性を抑制した。以上の結果、これらの抗体はFGFR2のリガンドによる活性化を阻害する作用を有することが明らかとなった。

11)−2 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H6/L1、hFR2−14_H7/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H10/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H13/L1、hFR2−14_H14/L1、hFR2−14_H15/L1、hFR2−14_H16/L1、hFR2−14_H17/L1、hFR2−14_H18/L1)のシグナル中和作用 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによりヒト化抗体のシグナル中和作用を評価するため、pcDNA−DEST40—FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcと、pFA2−Elk1(Stratagene社製)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega社製)を実施例1)−6−2で示す方法により293α細胞に導入し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去後、2% FBSを含むDMEMで希釈した、実施例8)−3−1で調製したhFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H6/L1、hFR2−14_H7/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H10/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H13/L1、hFR2−14_H14/L1、hFR2−14_H15/L1、hFR2−14_H16/L1、hFR2−14_H17/L1、hFR2−14_H18/L1抗体産生293FreeStyle細胞(Invitrogen社製)培養上清と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンド(ヒトFGF7、R&D systems社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、Dual−Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。図128A、図128Bおよび図128Cに示す通り、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H6/L1、hFR2−14_H7/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H10/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H13/L1、hFR2−14_H14/L1、hFR2−14_H15/L1、hFR2−14_H16/L1、hFR2−14_H17/L1、hFR2−14_H18/L1は、FGFR2IIIb発現細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。

11)−3 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のシグナル中和作用 Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによりヒト化抗体のシグナル中和作用を評価するため、pcDNA−DEST40—FGFR2IIIbまたはpcDNA−DEST40—FGFR2IIIcと、pFA2−Elk1(Stratagene社製)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega社製)を実施例1)−6−2で示す方法により293α細胞に導入し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日、培養上清を除去後、2% FBSを含むDMEMで希釈した実施例8)および9)で調製したhFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1抗体と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンドであるヒトFGF7(R&D systems社製)またはヒトFGF9、Peprotech社製)を終濃度10ng/mlでウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、Dual−Glo Luciferase Assay System(Promega社製)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。図129Aに示す通り、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1は、FGFR2IIIb発現細胞において、FGF7によるリガンド依存的レポーター活性化を抑制した。また、図129Bに示す通り、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1は、FGFR2IIIc発現細胞において、FGF9によるリガンド依存的レポーター活性を抑制した。以上の結果、これらの抗体はFGFR2のリガンドによる活性化を阻害する作用を有することが明らかとなった。

実施例12 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)のADCC活性 12)−1 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)およびヒトキメラ化抗FGFR2抗体(cFR2−14)のFGFR2過剰発現細胞に対するADCC活性 実施例5)−3−2の方法で調製したFGFR2IIIbを発現させた293T-lacZ細胞を50μl/ウェルで96穴U底マイクロプレートに添加した。そこに終濃度で1乃至100ng/mlになるよう実施例5)−3−2に記すADCC用培地で希釈したhFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1、cFR2−14またはヒトIgGを50μl/ウェルで添加し、4℃で1時間静置した。さらに、実施例5)−3−3のエフェクター細胞を75μl添加し、室温で1200rpm×5分間遠心の後、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、上清50μlを白色プレート(Corning社製)に回収し、β−Gloアッセイシステム(Promega社製)溶液50μlを添加し、発光量をプレートリーダー(ENVISION:PerkinElmer社製)で測定した。ADCC活性による細胞溶解率は次式で算出した。

A:サンプルウェルのカウント B:自然放出(抗体・エフェクター細胞非添加ウェル)カウントの平均値(n=3)。抗 体添加時とエフェクター細胞添加時にそれぞれADCC用培地を50μl、75μl 添加した。それ以外はサンプルウェルと同様の操作を行った。 C:最大放出(標的細胞を界面活性剤で溶解させたウェル)カウントの平均値(n= 3)。抗体添加時とエフェクター細胞添加時にそれぞれADCC用培地を50μl、 75μl添加した。測定時には、細胞を含むウェルに175μlのβ−Gloアッセ イシステム溶液を添加して混和し、そのうち100μl分を白色プレートに加えて測 定を実施した。

図130Aおよび図130Bに示す通り、hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1、およびcFR2−14は、FGFR2IIIb発現細胞に対しADCC活性を有した。

12)−2 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1)のFGFR2発現癌細胞株に対するADCC活性 12)−2−1 標的細胞の調製 KATOIII、NCI−H716、SNU16細胞は、ADCC用培地で2回洗浄し、セルストレーナー(Becton Dickison社製)を通した後、生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測した。1×105細胞/mlになるよう再懸濁したものを標的細胞として用いた。

12)−2−2 PBMC細胞の調製 20mlリンホセパールI(免疫生物研究所社製)に25ml健常人血液をゆっくり重層後、室温1500rpm×30分間遠心した。血漿とリンホセパールI(免疫生物研究所社製)の中間に位置する細胞層をスポイトで回収し、20ml 10% FBSを含むフェノールレッド不含RPMI1640培地(Life Technology社製)に懸濁した。1500rpm×5分間遠心した。上清を除去後 20ml ADCC用培地を添加し、2回洗浄した。生細胞数はトリパンブルー色素排除試験にて計測し、遠心後培地を除去し、ADCC用培地に懸濁し、エフェクター細胞とした。

12)−2−3 ADCC活性の評価 実施例12)−2−1の方法で調製したNCI−H716細胞を50μl/ウェルで96穴U底マイクロプレートに添加した。そこに終濃度で1乃至1000ng/mlになるようADCC用培地で希釈したhFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1またはヒトIgGを50μl/ウェルで添加し、4℃で1時間静置した。さらに、実施例12)−2−2のPBMC細胞13.4 ×106/mlを75μl添加し、室温で1200rpm×5分間遠心の後、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、CytoTox96 Non−Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega社製)キット付属の10×Lysis Solutionを標的細胞および培地のみのウェルに17.5μl/ウェル添加し攪拌後、37℃、5% CO2の条件下で45分間静置した。室温200g、4分間遠心後、上清50μl/ウェルを96穴平底マイクロプレート(Corning社製)に回収し、50μl/ウェルのSubstrate Mixを添加、遮光し室温で30分間静置した。さらに50μl/ウェルのStop Solutionを添加、490nmの吸光度をプレートリーダー(ARVO:PerkinElmer社製)で測定した。ADCC活性による細胞溶解率は次式で算出した。

A:サンプルウェルのカウント B:エフェクター細胞からの自然放出(エフェクター細胞ウェルから培養液ウェルの補 正)カウントの平均値(n=3)。 C:標的細胞からの自然放出(標的細胞ウェルから培養液ウェルの補正)カウントの平均 値(n=3)。 D:最大放出(標的細胞を界面活性剤で溶解させたウェルから培養液を界面活性剤で溶解 させたウェルの補正)カウントの平均値(n=3)。

図131に示す通り、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H12/L1は、FGFR2発現癌細胞株NCI−H716細胞に対しADCC活性を有した。

12)−3 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のFGFR2発現癌細胞株に対するADCC活性 実施例12)−2−1の方法で調製したKATOIII、NCI−H716、SNU16細胞を50μl/ウェルで96穴U底マイクロプレートに添加した。そこに終濃度で1〜1000ng/mlになるようADCC用培地で希釈した実施例8)および9)で調製したhFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1またはヒトIgGを50μl/ウェルで添加し、4℃で1時間静置した。さらに、実施例12)−2−2のエフェクター細胞20 ×106/mlを75μl添加し、室温で1200rpm×5分間遠心の後、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、CytoTox96 Non−Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega社製)キット付属の10×Lysis Solutionを標的細胞および培地のみのウェルに17.5μl/ウェル添加し攪拌後、37℃、5% CO2の条件下で45分間静置した。室温200g、4分間遠心後、上清50μl/ウェルを96穴平底マイクロプレート(Corning社製)に回収し、50μl/ウェルのSubstrate Mixを添加、遮光し室温で30分間静置した。さらに50μl/ウェルのStop Solutionを添加、490nmの吸光度をプレートリーダー(ARVO:PerkinElmer社製)で測定した。ADCC活性による細胞溶解率は実施例12)−2−3に示す計算方法に従い算出した。 図132のA、B、Cに示す通り、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1は、FGFR2発現癌細胞株NCI−H716、SNU−16、KATOIIIに対しADCC活性を有し、その活性はhFR2−14_H19/L1の方が高いことが示された。

実施例13 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)のADCP活性 13)−1 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のFGFR2発現癌細胞株に対するADCP活性 13)−1−1 標的細胞の調製 KATOIIIおよびNCI−H716細胞を回収し、PBSで3回洗浄後、生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測した。1×106細胞を分取、遠心後、PKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit for General Cell Membrane Labeling(Sigma社製)付属のDiluentC 200μlで細胞を懸濁した。標識溶液として1mM PKH26 LinkerをDiluentCで10μMに希釈後、ただちに、細胞懸濁液と等量のPKH26Linker溶液を混合し、室温5分間静置した。5mlの10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)を添加し2回洗浄後、5×105細胞/mlになるよう再懸濁したものを標的細胞として用いた。

13)−1−2 PBMC細胞の調製 20mlリンホセパールI(免疫生物研究所社製)に25ml健常人血液をゆっくり重層後、室温1500rpm×30分間遠心した。血漿とリンホセパールI(免疫生物研究所社製)の中間に位置する細胞層をスポイトで回収し、20ml 10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)に懸濁した。1500rpm×5分間遠心、上清除去後、20ml 10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)を添加し、2回洗浄した。生細胞数はトリパンブルー色素排除試験にて計測し、エフェクター細胞として用いた。

13)−1−3 エフェクター細胞の調製 実施例13)−1−2で調製したPBMC細胞はRoboSep buffer(STEMCELL社製)にて5×107細胞/mlになるように調製した。Human monocyte Enrichment Kit Without CD16 Depletion(STEMCELL社製)付属のEasySep human Monocyte enrichment cocktail をPBMC細胞懸濁液1mlあたり50μl添加した。4℃ 10分間反応後、EasySep Magnetic ParticlesをPBMC細胞懸濁液1mlあたり50μl添加した。4℃ 5分間反応後、2.5mlになるようにRoboSep buffer(STEMCELL社製)を添加し、EasySep Magnetにセットした。2分30秒後に上清を回収した後1200rpm×5分間遠心し、Monocyte画分を分取した。10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)を添加1回洗浄後、10ng/ml GM−CSF(PEPROTEC社製)と10ng/ml M−CSF(PEPROTEC社製)を含む10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)を添加し、浮遊用225cm2フラスコ(住友ベークライト社製)に播種した。37℃、5% CO2の条件下で14日間培養した。培養期間中は、3〜4日毎に10ng/ml GM−CSF(PEPROTEC社製)と10ng/ml M−CSF(PEPROTEC社製)を含む10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)に交換した。14日後、分化誘導されたマクロファージは0.05%Trypsin−EDTA(Life Technology社製)を添加し、37℃ 40分間反応後、剥離した。10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)を添加し2回洗浄後、5×105細胞/mlになるように、10ng/mlのM−CSF(PEPROTEC社製)と250U/mlのIFN−γ(PEPROTEC社製)を含む10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)に再懸濁し、エフェクター細胞として用いた。

13)−1−4 ADCP活性の評価 実施例13)−1−1の方法で調製した標的細胞100μl/ウェルを超低接着表面96穴U底マイクロプレート(Corning社製)に添加した。そこに終濃度で0.5乃至500ng/mlになるよう10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)で希釈した実施例8)および9)で調製したhFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1、またはヒトIgGを100μl/ウェル添加し、4℃ 30分間静置した。室温1200rpm×5分間遠心、上清除去後、100μl/ウェルの10% FBS含有RPMI1640培地(Life Technology社製)で懸濁した。実施例13)−1−3で調製した、5×105 細胞/ml100μl/ウェルのエフェクター細胞を添加後、37℃、5% CO2の条件下で3時間静置した。4℃ 1200rpm×5分間遠心、上清除去後、200μl/ウェルの5%FBS含有PBSで洗浄した。細胞に45μl/ウェルの5%FBS含有PBS、5μl/ウェルのAPC human CD11b(Becton Dickison社製)を添加し、 4℃、15分間静置した。200μl/ウェルの5%FBS含有PBSで2回洗浄した。200μl/ウェルの1%パラホルムアルデヒド含有PBSで懸濁し、4℃、一晩放置した。翌日フローサイトメトリー(FACS CantoII:Becton Dickison社製)にて測定した。データ解析にはFlowjo(TreeStar社製)を用いた。FSC(前方散乱光)/SSC(側方散乱光)で展開したのち、PE陽性(A)、APC、PE共に陽性(B)となる細胞数を算出した。APC、PE共に陽性(B)となった細胞をマクロファージにより標的細胞が貪食されたものとした。ADCP活性による細胞貪食率は次式で算出した。

図133A、図133Bに示す通り、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1は、FGFR2発現癌細胞株NCI−H716、KATOIIIに対しADCP活性を有した。

実施例14 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14)のin vivo抗腫瘍活性 14)−1 ヒト化抗F GFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性 5×106cellsのヒト胃癌株SNU−16(ATCCより購入)を50%マトリゲル(日本BDより購入)で懸濁し、ヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に移植した。腫瘍体積をもとに群分けをし、移植の7、10、14、17、21日後に実施例8)−3で調製したヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H1/L1、hFR2−14_H2/L1、hFR2−14_H3/L1、hFR2−14_H4/L1)を1.5、15 mg/kgで担癌マウスの腹腔内に投与した(n=8)。移植腫瘍の長径および短径を週2回、電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。 腫瘍体積(mm3)=1/2×短径(mm)×短径(mm)×長径(mm) hFR2−14_H1/L1抗体の結果を図134Aに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5 mg/kg投与群で58%、15 mg/kg投与群で53%であった。 hFR2−14_H2/L1抗体の結果を図134Bに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5 mg/kg投与群で58%、15 mg/kg投与群で58%であった。 hFR2−14_H3/L1抗体の結果を図134Cに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5 mg/kg投与群で64%、15 mg/kg投与群で41%であった。 hFR2−14_H4/L1抗体の結果を図134Dに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、1.5 mg/kg投与群で70%、15 mg/kg投与群で39%であった。

14)−2 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒト胃癌細胞株SNU−16皮下移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性 5×106cellsのヒト胃癌株SNU−16(ATCCより購入)を50%マトリゲル(日本BDより購入)で懸濁し、ヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に移植した。腫瘍体積をもとに群分けをし、移植の7、10(または11)、14、17(または18)日後に実施例8)−3で調製したヒト化抗体(hFR2−14_H5/L1、hFR2−14_H8/L1、hFR2−14_H9/L1、hFR2−14_H11/L1、hFR2−14_H12/L1)または実施例9)で調製したヒト化抗体(hFR2−14_H19/L1)を2、20 mg/kgで担癌マウスの腹腔内にそれぞれ投与した(n=8または9)。移植腫瘍の長径および短径を週2回、電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。

hFR2−14_H5/L1の結果を図135Aに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で41%、20mg/kg投与群で51%であった。 hFR2−14_H8/L1の結果を図135Bに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で30%、20mg/kg投与群で30%であった。 hFR2−14_H9/L1の結果を図135Cに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で1%、20mg/kg投与群で23%であった。 hFR2−14_H11/L1の結果を図135Dに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で61%、20mg/kg投与群で42%であった。 hFR2−14_H12/L1の結果を図135Eに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で36%、20mg/kg投与群で58%であった。 hFR2−14_H19/L1の結果を図135Fに示した。最終測定日である移植21日後における腫瘍増殖抑制率は、2mg/kg投与群で70%、20mg/kg投与群で40%であった。

14)−3 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒト大腸癌細胞株NCI−H716ブロック移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性 ヒト大腸癌株NCI−H716(ATCCより購入)の腫瘍ブロック(5x5x5mm3)を、ヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に移植した。移植当日および移植の3、7、10、14、17、21、24日後に実施例8)及び9)で調製したヒト化抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)を20mg/kgで担癌マウスの腹腔内にそれぞれ投与した(n=11)。移植腫瘍の長径および短径を週2回、電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。

hFR2−14_H12/L1の結果を図136Aに示した。最終測定日である移植28日後における腫瘍増殖抑制率は99%であった。 hFR2−14_H19/L1の結果を図136Bに示した。最終測定日である移植28日後における腫瘍増殖抑制率は99%であった

14)−4 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)のヒト大腸癌細胞株NCI−H716−luc腹膜播種モデルにおけるin vivo抗腫瘍活性 3×106cellsのLuciferase遺伝子発現細ヒト大腸癌株NCI−H716−luc(NCI−H716はATCCより購入し、Luciferase遺伝子を遺伝子導入)を生理食塩水(大塚製薬より購入)で懸濁し、NOGマウス(NOD/Shi−SCID, IL−2Rγnull、実験動物中央研究所より購入)の腹腔内に移植した。移植1日後に体重をもとに群分けをし、移植の1、5、8、12、16、19、26日後に実施例8)および9)で調製したヒト化抗体(hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1)を20 mg/kgで担癌マウスの腹腔内にそれぞれ投与した(n=11)。マウスの死亡日を記録し、生存率(%)を算出した。移植37日後、VivoGlo Luciferin(プロメガより購入)を150mg/kgで担癌マウスの尾静脈内に投与し、投与10分後に担癌マウスのLuciferase活性を、IVIS(キャリパーライフサイエンス製)を用いて測定した。Luciferase活性(p/s/cm2/sr)はLiving Image(キャリパーライフサイエンス製)を用いて定量化した。 ヒト化抗体の腫瘍増殖抑制効果を図137の(A)に示した。移植37日後でのLuciferase活性を指標とした非投与群に対する腫瘍増殖抑制率は、hFR2−14_H12/L1投与群で98%、hFR2−14_H19/L1投与群で98%であった。 ヒト化抗体の延命効果を図137の(B)に示した。移植93日後における生存率は非投与群が0%であるのに対し、hFR2−14_H12/L1抗体投与群で64%、hFR2−14_H19/L1抗体投与群で91%であった。

実施例15 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1)抗体とFGFR2蛋白質との複合体のX—線構造解析 15)−1 結晶化用FGFR2蛋白質の調製 15)−1−1 結晶化用FGFR2蛋白質発現ベクターの作製 ヒトFGFR2IIIb・IIIc(図78:配列番号70および図79:配列番号71)共通部分のアミノ酸番号148−249のアミノ酸配列からなる領域(以下「D2」と記す。)を発現するベクターを構築するため、D2増幅用プライマーセット: D23fw:5’−CTGTTTCAAGGTCCGAGCAATAACAAACGTGCACCGTATTGG−3’(図120:配列番号112)及び、 D23rv:5’−CGCAAGCTTGTCGACTCAAACAACATCCAGATGATAGGTATG−3’ (図121:配列番号113)、 のプライマーセットを用いて、ヒトFGFR2(図78:配列番号70および図79:配列番号71)のアミノ酸番号126−313を含むベクタープラスミドを鋳型としてPCR反応を行った。得られたPCR産物を、あらかじめHisタグおよびHRV3cプロテアーゼ切断サイトを導入したpET24b(+)(Novagen社製)にIn−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いて導入した(以下「pET24b(+)−D2」と略す。また、以下及び図中で「pET24b(+)−D2」によって発現する組換え蛋白質をFGFR2D2と記す)。

15)−1−2 結晶化用FGFR2蛋白質(FGFR2D2)の作製 発現プラスミドpET24b(+)−D2で大腸菌Origami2(DE3)(Novagen社製)を形質転換し、25μg/mlのカナマイシン(Wako社製)、12μg/mlのテトラサイクリン(Wako社製)を添加したTerrific培地(FORMEDIUM社製)50mLで37℃、200rpmで一晩前培養を行った。前培養した溶液50mLを同じく25μg/mlのカナマイシンおよび12μg/mlのテトラサイクリンを添加したTerrific培地1Lに加え、37℃250rpmで1時間培養した後温度を16℃に下げ、1mMIPTG添加でFGFR2D2の発現を誘導し、26時間培養を行った。4500rpm、30分間遠心して集菌し、インヒビターカクテル(Roche社製)を溶かした結合バッファー(50mM Tris−塩酸 pH8.0、400mM NaCl、20mM Imidazole)に懸濁した後、氷上で超音波破砕を行った。25000rpm、20分間遠心して上清を回収し、HisTrap FF crudeカラム(GEヘルスケア社製)に供与した。結合バッファーで洗浄した後に、溶出バッファー(50mM Tris−HCl pH8.0、400mM NaCl、500mM Imidazole)にてグラジエント溶出し、目的タンパク質を含むフラクションを集めた。集めたサンプルは、バッファー(50mM Tris−塩酸 pH7.5、0.1mM EDTA)で希釈した後、HiTrap SP HPに供与し、バッファー(50mM Tris−塩酸 pH7.5、1M NaCl、0.1mM EDTA)でグラジエント溶出し、目的タンパク質を含むフラクションを集めた。得られたサンプルは、バッファー(25mM HEPES pH7.5、300mM NaCl、0.1mM EDTA)で平衡化したゲル濾過カラム(HiLoad 16/600 Superdex 75 pg:GEヘルスケア社製)に供与し、目的タンパク質を含むフラクションを集めた。得られたFGFR2D2はアミコンウルトラ−4(メルクミリポア社製)で15mg/mLに濃縮した。

15)−2 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H3/L1)のFabフラグメントの作製 hFR2−14_H3/L1は20mM リン酸10mM EDTA(pH7.0)に透析した後、AmiconUltra15 MWCO 10K(ミリポア社製)で24mg/mlに濃縮し1.9ml調製した。20mM リン酸10mM EDTA(pH7.0)で0.005mMに調製した、Cysteine(Sigma社製)を5.5mlと20mM リン酸10mM EDTA(pH7.0)で1/100に希釈したpapain(Sigma社製)を0.19ml添加し、37℃、18時間反応させた。18時間後、20mM リン酸10mM EDTA(pH7.0)で120mMに溶解させたN−ethylmaleimide(東京化成製)を2.53ml添加して反応を停止させた。反応液はPBSで平衡化させたMabSelect SuRe 5ml(GEヘルスケア社製)に添加し、素通りにFabフラグメントに相当するフラクション18mlを回収した。AmiconUltra15 MWCO 10K(ミリポア社製)で濃縮し、50mM Tris−HCl、20mM NaCl(pH7.5)で平衡化させたSuperdex200 16/60(GEヘルスケア社製)に添加し、Fabフラグメントに相当するフラクション18mlを回収した(以下「H3L1Fabフラグメント」と記す)。

15)−3 H3L1FabフラグメントとFGFR2D2複合体試料の調製 H3L1Fabフラグメント12.5mg/mL1mLに対し、15mg/mLのFGFR2D2を0.5 mL混合し、4℃で一晩置いたのち、結合バッファー(50mM Tris−塩酸 pH8.0、400mM NaCl、20mM Imidazole)で平衡化したHisTrap FF crudeに添加した。結合バッファーで洗浄した後に、溶出バッファー(50mM Tris−塩酸 pH8.0、400mM NaCl、500mM Imidazole)にて溶出した。溶出サンプルはバッファー(25mM Tris−HCl pH7.5、50mMNaCl)で平衡化したゲル濾過カラム(HiLoad 16/600 Superdex 200 pg:GEヘルスケア社製)に添加し、複合体に相当するフラクション11mLを回収した。

15)−4 H3L1FabフラグメントとFGFR2D2複合体の結晶化と構造解析 得られたH3L1FabとFGFR2D2の複合体を22mg/mLに濃縮し、結晶化に用いた。結晶化には蒸気拡散法を用いた。タンパク質溶液0.5乃至0.7μLに沈殿剤溶液(1.225M 硫酸アンモニウム、0.15M Tris—塩酸 pH8.5)を等量加えた溶液を、0.45mLの沈殿剤溶液を入れた密閉容器に両溶液が触れ合わないように収め、20℃で静置した。3日後に0.2mm×0.2mm×0.2mmの単結晶が得られた。 得られた結晶を30%(v/v)ethyleneglycolを加えた沈殿剤溶液に浸し、続いて−180℃の窒素気流下で凍結した。高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設のBL5Aにて95K窒素気流下でX線回折データを収集した。得られた回折像からソフトウェアHKL2000(HKL社製)を用いて回折強度を数値化し、結晶構造因子を求めた。結晶は正方晶系で空間群はP41212、結晶の単位格子はa=b=60.57 Å、c=331.2 Åであった。 得られた構造因子とFGFR2(PDBコード:3OJ2より該当部分を抜粋)及びFab(過去に結晶構造解析した抗体構造を利用)の三次元構造座標を用いて分子置換法を行い、位相を決定した。計算にはソフトウェアphaser(CCP4:Collaborative Computational Project No. 4)を使用した。結晶は非対称単位に1複合体を含んでいた。 ソフトウェアrefmac5(CCP4)を用いて構造の精密化を行い、ソフトウェアcootを用いてモデルの修正を行った。この操作を繰り返し行い、2.3Å分解能で最終のR値21.8%、free R値25.8%を得た。モデルは1複合体から成り、H3L1FabのL鎖アミノ酸残基1−215、H鎖アミノ酸残基1−221、FGFR2D2のアミノ酸残基150−249、硫酸イオン1個、及び285個の水分子を含む。H3L1FabのL鎖のC末1残基、H鎖のC末4残基、FGFR2D2のHisタグおよびプロテアーゼ切断箇所を含むN末20残基はそれぞれ電子密度が明瞭でなかったためモデル構築していない。 決定されたH3L1Fabから4Å以内にあるFGFR2D2のアミノ酸残基は以下の通りである:Tyr155、Thr157、Lys176、Ala181、Gly182、Gly183、Asn184、Pro185、Met186、Thr188、Gln200、Glu201、Gly205、Gly206、Lys208、Val209、Arg210、Asn211、Gln212、His213、Trp214、Ile217。図138に複合体全体のリボンモデルを、また図139にFGFR2D2/H3L1Fab複合体構造中のD2領域をFGFR2/FGF1の複合体構造(PDBコード:3OJ2)の該当部分に重ね合わせた図をそれぞれ示した。

実施例16 ヒト化抗ヒトFGFR2抗体(hFR2−14)のリガンド−レセプター間の結合に対する阻害活性 FGF7リガンドと抗原(C末端にHisタグを付加したrhFGFR2alpha(IIIb))間の結合をELISAにて検出した。rhFGFR2alpha(IIIb)をPBSで2μg/mlに希釈し、100μlを96 well Clear Polystyrene High Bind Stripwell Microplate(コーニング社製)に添加し、4℃で一晩放置した。翌日、溶液をアスピレーターで除去し、0.05% Tween−20(BioRad社製)含有PBSで3回洗浄後、1% BSA(Sigma社製)含有PBSを200μl添加し、室温で1時間放置した。溶液を除去後、0.05% Tween−20含有PBSで3回洗浄し、1% BSA含有PBSで9ng/mlに希釈したFGF7、300μg/mlに希釈したヘパリン(Sigma社製)、0.3乃至30μg/mlに希釈した実施例4)で調製したcFR2−10、実施例8)で調製したhFR2−14_H12/L1、実施例9)で調製したhFR2−14_H19/L1抗体をそれぞれ50μlずつ添加し、室温で2時間放置した。溶液を除去後、0.05% Tween−20含有PBSで3回洗浄し、1% BSA含有PBSで180倍希釈したビオチン化抗FGF−7抗体(Human KGF/FGF−7 DuoSet、R&D社製)を100μl添加し、室温で2時間放置した。溶液を除去後、0.05% Tween−20含有PBSで3回洗浄し、1% BSA含有PBSで200倍希釈したStreptavisdin−HRP(Human KGF/FGF−7 DuoSet、R&D社製)を100μl添加し、遮光して室温で20分放置した。溶液を除去後、0.05% Tween−20含有PBSで3回洗浄し、Reagent A、Reagent Bを等量混合した基質溶液(Substrate Reagent Pack、R&D社製)を100μl添加し、遮光して室温で20分放置して発色反応を行った。Stop solution(R&D社製)を50μl添加して反応を停止させた後、450nm、および570nmの吸光度をプレートリーダーで測定し、450nmの測定値から570nmの測定値を引いた値を求めた。図140に示すとおり、cFR2−10、hFR2−14_H12/L1、hFR2−14_H19/L1抗体は、いずれもリガンドのレセプターへの結合を阻害する活性を有していた。

実施例17 低分子化合物で処理したFGFR2発現癌細胞株におけるFGFR2抗原発現量の測定 17)−1 細胞の調製 SNU−16細胞は、ADCC用培地にて2回洗浄し、生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測し、ADCC用培地で1.25×105細胞/mlになるよう再懸濁し、6穴プレートに2ml/ウェルとなるように添加した。ADCC用培地を用い、終濃度で100乃至1000nMになるよう希釈したAZD4547、Ki23057、または終濃度0.001%乃至0.01%になるよう希釈したDMSOを500μl/ウェルで添加し、37℃、5% CO2の条件下で6時間静置した。6時間後、ADCC用培地を2.5ml/ウェルで追加し、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。細胞を回収して1200rpm×5分間遠心し、上清除去後、120μlの氷冷5% FBS含有PBSに懸濁した。

17)−2 抗原量の測定 細胞表面に発現する抗原量の測定は、QIFIキット(DAKO社製)を用いて実施した。すなわち、抗ヒトFGFR2ラットモノクローナル抗体の重鎖と軽鎖の可変領域をそれぞれマウスIgG1の重鎖と軽鎖の定常領域に連結したもの(ラット-マウスキメラ抗体)、またはコントロールマウスIgG1(R&D社製)を100μg/mlとなるよう氷冷5% FBS含有PBSで希釈し、50μl/ウェルで96穴U底マイクロプレートに添加した。ここに、実施例17)−1の方法で調製したSNU−16細胞を50μl/ウェルで添加した。4℃で1時間静置の後、別ウェルにキット添付のセットアップビーズ、キャリブレーションビーズを100μlずつ添加し、各ウェルに150μl/ウェルの氷冷5% FBS含有PBSを添加して4℃ 1200rpm×5分間遠心した。上清除去後、250μl/ウェルの氷冷5%FBS含有PBSを添加して4℃ 1200rpm×5分間遠心した。上清除去後、氷冷5% FBS含有PBSで50倍希釈したキット添付のFITCコンジュゲート抗体を100μl/ウェルで添加した。遮光して4℃で1時間静置の後、各ウェルに150μl/ウェル氷冷5% FBS含有PBSを添加して4℃ 1200rpm×5分間遠心した。上清除去後、250μl/ウェルの氷冷5% FBS含有PBSを添加して4℃ 1200rpm×5分間遠心した。この操作を2回繰り返した後、上清を除去し、200μl/ウェル氷冷5% FBS含有PBSに懸濁して測定用サンプルとし、フローサイトメーター(FC500:BeckmanCoulter社製)で検出を行った。データ解析はFlowjo(TreeStar社製)で行った。セットアップビーズの陰性ピークの蛍光強度、および5段階の異なる量の抗体を結合させたキャリブレーションビーズの蛍光強度から平均蛍光強度を算出し、検量線を作成して検体サンプルのSABC(1細胞あたりの抗原特異的抗体結合能)値を算出した。図141に示す通り、AZD4547、またはKi23057で処理したSNU−16細胞は、未処理、もしくはDMSO処理時と比較して抗原数が増加することが明らかとなった。

実施例18 ヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H19/L1)の低分子化合物処理したFGFR2発現癌細胞株に対するADCC活性 18)−1−1 標的細胞の調製 SNU−16細胞は、ADCC用培地にて2回洗浄し、生細胞数をトリパンブルー色素排除試験にて計測し、ADCC用培地で1.25×105細胞/mlになるよう再懸濁し、5mlずつ15mlチューブに分注した。さらに、ADCC用培地を用いて終濃度で1000nMになるよう希釈したAZD4547(0.01%DMSO含有)、100nMになるよう希釈したKi23057(0.001%DMSO含有)、または終濃度0.001%乃至0.01%になるよう希釈したDMSO、またはADCC用培地を1.25ml/チューブで添加し、攪拌した。96ウェル黒色プレート(コーニング社製)に50μl/ウェルで添加した後、37℃、5% CO2の条件下で6時間静置した。

18)−1−2 PBMC細胞の調製 20mlリンホセパールI(免疫生物研究所社製)に25ml健常人血液をゆっくり重層後、室温1500rpm×30分間遠心した。血漿とリンホセパールI(免疫生物研究所社製)の中間に位置する細胞層をスポイトで回収し、20ml 10% FBSを含むフェノールレッド不含RPMI1640培地(Life Technology社製)に懸濁した。1500rpm×5分間遠心した。上清を除去後 20ml ADCC用培地を添加し、2回洗浄した。生細胞数はトリパンブルー色素排除試験にて計測し、遠心後培地を除去し、ADCC用培地に懸濁し、エフェクター細胞とした。

18)−2 ADCC活性の評価 実施例18)−1−1の方法で調製したSNU−16細胞に終濃度で0もしくは0.1から1000ng/mlになるようADCC用培地で希釈したhFR2−14_H19/L1またはヒトIgGを25μl/ウェルで添加し、4℃で1時間静置した。さらに、実施例18)−1−2のPBMC細胞12 ×106/mlを25μl添加し(最大放出カウント測定用ウェルには、培地を15μl添加)、室温で1200rpm×5分間遠心の後、37℃、5% CO2の条件下で一晩培養した。翌日、CytoTox−ONE Homogeneous Membrane Integrity Assay(Promega社製)キット付属の10×Lysis SolutionをADCC用培地で5倍希釈し、標的細胞および培地のみのウェルに10μl/ウェルで添加して攪拌した。5分間静置の後、アッセイバッファーに溶解したSubstrate Mixを100μl/ウェルで添加した。10分間遮光して静置の後、50μl/ウェルのStop Solutionを添加し、攪拌後に励起波長560nm、蛍光波長590nmをプレートリーダー(SPECTRAMAX M3:モレキュラーデバイス社製)で測定した。 ADCC活性による細胞溶解率は次式で算出した。

A:サンプルウェルのカウント B:標的細胞、エフェクター細胞のみ含むウェルからの自然放出カウントの平均値(n= 3)。 C:最大放出(標的細胞を界面活性剤で溶解させたウェル)カウントの平均値(n= 3)。 D:標的細胞のみ含むウェルからの自然放出カウントの平均値(n=3)。

図142−A、B、C、D、Eに示す通り、SNU−16細胞をAZD4547またはKi23057で処理することにより、未処理、もしくはDMSO処理時と比較してhFR2−14_H19/L1が示すADCC活性が亢進することが明らかとなった。

実施例19 FGFR2発現癌細胞株に対するヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H19/L1)とAZD4547とのin vivo併用効果 ヒト胃癌細胞株SNU—16(ATCCより購入)をPBSとマトリゲル(日本BDより購入)1:1の混液にて5×107cells/mLに調整し、細胞懸濁液をヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、雌性、5〜6週齢、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に0.1mL移植した。腫瘍体積値を用いて群分けを行い(n=9)、hFR2−14_H19/L1は20mg/kgにて腹腔内に投与し、AZD4547は3mg/kg、10mg/kgもしくは30mg/kgにてマウスに強制経口投与した。hFR2−14_H19/L1は移植7、10、14、17日後に投与し、AZD4547は移植7、8、9、10、13、14、15、16、17、20日後に投与した。経時的に腫瘍の長径(mm)および短径(mm)を電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)で計測し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。

抗腫瘍効果は、最終測定日である移植21日後に以下に示す計算式により腫瘍増殖抑制率(TGI%)で評価した。

A:化合物投与群の判定日の平均腫瘍体積 B:無処置対照群の判定日の平均腫瘍体積

hFR2−14_H19/L1単独投与、AZD4547(3mg/kg)単独投与、およびhFR2−14_H19/L1とAZD4547併用投与の結果を図143に示した。最終測定日である移植21日後におけるTGIは、hFR2−14_H19/L1単独投与群で40%、AZD4547(3mg/kg)単独投与群で24%であったのに対し、hFR2−14_H19/L1とAZD4547併用投与群では87%であり、併用により抗腫瘍効果が増強されることが示された。 図144には最終測定日である移植21日後において腫瘍が完全に消失した(Complete response:CR)個体数を示した。hFR2−14_H19/L1単独投与、AZD4547単独投与では9匹中CRは0匹であり、hFR2−14_H19/L1と3mg/kg AZD4547併用投与群では9匹中CRが0匹、hFR2−14_H19/L1と10mg/kg AZD4547併用投与群では9匹中CRが2匹、hFR2−14_H19/L1と30mg/kg AZD4547併用投与群では9匹中CRは4匹であった。hFR2−14_H19/L1とAZD4547の併用においては、AZD4547の用量に依存して腫瘍が完全に消失する個体の割合が増加することが示された。

実施例20 AZD4547を投与後のFGFR2発現癌細胞株におけるin vivoでのFGFR2抗原発現量の解析 ヒト胃癌細胞株SNU—16(ATCCより購入)をPBSとマトリゲル(日本BDより購入)1:1の混液にて5×107cells/mLに調整し、細胞懸濁液をヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、雌性、5〜6週齢、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に0.1mL移植した。腫瘍体積値を用いて群分けを行い(n=3)、hFR2−14_H19/L1は20mg/kgにて腹腔内に投与し、AZD4547は3mg/kgもしくは30mg/kgにてマウスに強制経口投与した。投与翌日にマウスより腫瘍を回収し、タンパク質分解酵素阻害剤および脱リン酸化酵素阻害剤を含むT−PER(サーモフィッシャーサイエンティフィックより購入)中で腫瘍を破砕した。抽出されたタンパク質をSDS電気泳動に付して、PVDF膜へ転写した。次いで、膜を抗FGFR2抗体(アブカムより購入)あるいは抗GAPDH抗体(CSTジャパンより購入)と反応させ、続いて蛍光標識した適切な2次抗体(LI−CORより購入)と反応させた。ブロット上のFGFR2タンパクあるいはGAPDHは、Odysseyイメージングシステム(LI−COR製)により検出した。 結果を図145に示した。AZD4547投与により、SNU16腫瘍中でのFGFR2抗原発現量は無処置対照群と比べて増加することが示された。

実施例21 FGFR2発現癌細胞株に対するヒト化抗FGFR2抗体(hFR2−14_H19/L1)とKi23057とのin vivo併用効果 ヒト胃癌細胞株SNU—16(ATCCより購入)をPBSとマトリゲル(日本BDより購入)1:1の混液にて5×107cells/mLに調整し、細胞懸濁液をヌードマウス(CAnN.Cg−Foxnlnu/CrlCrlj、雌性、5〜6週齢、日本チャールス・リバーより購入)の腋窩部皮下に0.1mL移植した。腫瘍体積値を用いて群分けを行い(n=5)、hFR2−14_H19/L1は20mg/kgにて腹腔内に投与し、Ki23057は5mg/kg、もしくは20mg/kgにてマウスに強制経口投与した。hFR2−14_H19/L1は移植8、11、15、18日後に投与し、Ki23057は移植8、9、10、11、15、16、17、18日後に投与した。経時的に腫瘍の長径(mm)および短径(mm)を電子デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製)で計測し、以下に示す計算式により腫瘍体積を算出した。 腫瘍体積(mm3)=1/2×[腫瘍長径]×[腫瘍短径]×[腫瘍短径] 抗腫瘍効果は、最終投与から3日後の移植21日後と最終測定日である移植32日後に以下に示す計算式により腫瘍増殖抑制率(TGI%)で評価した。

A : 化合物投与群の判定日の平均腫瘍体積 B : 無処置対照群の判定日の平均腫瘍体積 hFR2−14_H19/L1単独投与、Ki23057単独投与、およびhFR2−14_H19/L1とKi23057併用投与の結果を図146に示した。移植21日後におけるTGIは、hFR2−14_H19/L1単独投与群で65%、Ki23057(5mg/kg)単独投与群で7%、Ki23057(20mg/kg)単独投与群で29%であったのに対し、hFR2−14_H19/L1とKi23057併用投与群では、それぞれ66%、75%であった。最終測定日である移植32日後におけるTGIは、hFR2−14_H19/L1単独投与群で65%、Ki23057(5mg/kg)単独投与群で1%、Ki23057(20mg/kg)単独投与群で−14%であったのに対し、hFR2−14_H19/L1とKi23057併用投与群ではそれぞれ、71%、85%であり、最終投与から14日後も併用による抗腫瘍効果は持続した。

本発明の提供する抗体と他剤の組合せにより各種癌の治療または予防が可能となる。

配列番号1:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図9)。 配列番号2:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図10)。 配列番号3:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図11)。 配列番号4:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図12)。 配列番号5:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14重鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図13)。 配列番号6:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖に相当するバンドのN末端のアミノ酸配列(図14)。 配列番号7:ラット重鎖増幅用プライマー(図15)。 配列番号8:FR2−10重鎖用のシークエンスプライマー(図16)。 配列番号9:FR2−13重鎖用のシークエンスプライマー(図17)。 配列番号10:FR2−14重鎖用のシークエンスプライマー(図18)。 配列番号11:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図19)。 配列番号12:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(図20)。 配列番号13:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図21)。 配列番号14:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(図22)。 配列番号15:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図23)。 配列番号16:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(図24)。 配列番号17:ラット軽鎖増幅用プライマー(図25)。 配列番号18:ラット軽鎖用のシーケンスプライマー(図26)。 配列番号19:FR2−10軽鎖用のシークエンスプライマー(図27)。 配列番号20:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図28)。 配列番号21:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(図29)。 配列番号22:ラットFR2−13及びFR2−14軽鎖増幅用プライマー(図30)。 配列番号23:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図31)。 配列番号24:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(図32)。 配列番号25:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖の可変領域をコードするcDNAの塩基配列(図33)。 配列番号26:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(図34)。 配列番号27:ヒトκ鎖分泌シグナル配列及びヒトκ鎖定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片(図35)。 配列番号28:軽鎖発現ベクター用プライマーF(図36)。 配列番号29:軽鎖発現ベクター用プライマーR(図37)。 配列番号30:ヒト重鎖シグナル配列及びヒトIgG1定常領域のアミノ酸をコードするDNA配列を含むDNA断片(図38)。 配列番号31:ヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)軽鎖の塩基配列(図39)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10軽鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号32:ヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)軽鎖のアミノ酸配列(図40)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号33:ヒトキメラ化FR2−10軽鎖用プライマーセットF(図41)。 配列番号34:ヒトキメラ化FR2−10軽鎖用プライマーセットR(図42)。 配列番号35:ヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)重鎖の塩基配列(図43)。うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10重鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号36:ヒトキメラ化FR2−10(cFR2−10)重鎖のアミノ酸配列(図44)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−10重鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号37:ヒトキメラ化FR2−10重鎖用プライマーセットF(図45)。 配列番号38:ヒトキメラ化FR2−10重鎖用プライマーセットR(図46)。 配列番号39:ヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)軽鎖の塩基配列(図47)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13軽鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号40:ヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)軽鎖のアミノ酸配列(図48)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号41:ヒトキメラ化FR2−13軽鎖用プライマーF(図49)。 配列番号42:ヒトキメラ化FR2−13軽鎖用プライマーR(図50)。 配列番号43:ヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)重鎖の塩基配列(図51)。うちヌクレオチド1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13重鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号44:ヒトキメラ化FR2−13(cFR2−13)重鎖のアミノ酸配列(図52)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−13重鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号45:ヒトキメラ化FR2−13重鎖用プライマーF(図53)。 配列番号46:ヒトキメラ化FR2−13重鎖用プライマーR(図54)。 配列番号47:ヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)軽鎖の塩基配列(図55)。うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14軽鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号48:ヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)軽鎖のアミノ酸配列(図56)。うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14軽鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号49:ヒトキメラ化FR2−14軽鎖用プライマー(図57)。 配列番号50:ヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)重鎖の塩基配列(図58)。うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14重鎖の塩基配列には含まれない。 配列番号51:ヒトキメラ化FR2−14(cFR2−14)重鎖のアミノ酸配列(図59)。うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟cFR2−14重鎖のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号52:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR1のアミノ酸配列(図60)。 配列番号53:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR2のアミノ酸配列(図61) 配列番号54:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の重鎖CDR3のアミノ酸配列(図62) 配列番号55:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR1のアミノ酸配列(図63) 配列番号56:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR2のアミノ酸配列(図64) 配列番号57:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の重鎖CDR3のアミノ酸配列(図65) 配列番号58:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR1のアミノ酸配列(図66) 配列番号59:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR2のアミノ酸配列(図67) 配列番号60:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の重鎖CDR3のアミノ酸配列(図68) 配列番号61:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(図69) 配列番号62:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(図70) 配列番号63:ラット抗FGFR2抗体 FR2−10の軽鎖CDR3のアミノ酸配列((図71) 配列番号64:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(図72) 配列番号65:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(図73) 配列番号66:ラット抗FGFR2抗体 FR2−13の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(図74) 配列番号67:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR1のアミノ酸配列(図75) 配列番号68:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR2のアミノ酸配列(図76) 配列番号69:ラット抗FGFR2抗体 FR2−14の軽鎖CDR3のアミノ酸配列(図77) 配列番号70:ヒトFGFR2IIIbのアミノ酸配列(図78) 配列番号71:ヒトFGFR2IIIcのアミノ酸配列(図79) 配列番号72:ヒト化FR2−14軽鎖(hFR2−14_L1)の塩基配列(図80)、うちヌクレオチド番号1乃至60はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_L1の塩基配列には含まれない。 配列番号73:ヒト化FR2−14軽鎖(hFR2−14_L1)のアミノ酸配列(図81)、うちアミノ酸番号1乃至20はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_L1のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号74:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H1)の塩基配列(図82)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H1の塩基配列には含まれない。 配列番号75:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H1)のアミノ酸配列(図83)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H1のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号76:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H2)の塩基配列(図84)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H2の塩基配列には含まれない。 配列番号77:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H2)のアミノ酸配列(図85)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H2のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号78:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H3)の塩基配列(図86)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H3の塩基配列には含まれない。 配列番号79:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H3)のアミノ酸配列(図87)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H3のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号80:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H4)の塩基配列(図88)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H4の塩基配列には含まれない。 配列番号81:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H4)のアミノ酸配列(図89)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H4のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号82:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H5)の塩基配列(図90)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H5の塩基配列には含まれない。 配列番号83:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H5)のアミノ酸配列(図91)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H5のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号84:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H6)の塩基配列(図92)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H6の塩基配列には含まれない。 配列番号85:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H6)のアミノ酸配列(図93)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H6のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号86:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H7)の塩基配列(図94)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H7の塩基配列には含まれない。 配列番号87:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H7)のアミノ酸配列(図95)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H7のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号88:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H8)の塩基配列(図96)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H8の塩基配列には含まれない。 配列番号89:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H8)のアミノ酸配列(図97)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H8のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号90:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H9)の塩基配列(図98)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H9の塩基配列には含まれない。 配列番号91:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H9)のアミノ酸配列(図99)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H9のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号92:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H10)の塩基配列(図100)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H10の塩基配列には含まれない。 配列番号93:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H10)のアミノ酸配列(図101)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H10のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号94:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H11)の塩基配列(図102)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H11の塩基配列には含まれない。 配列番号95:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H11)のアミノ酸配列(図103)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H11のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号96:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19)の塩基配列(図104)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19の塩基配列には含まれない。 配列番号97:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19)のアミノ酸配列(図105)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H12およびhFR2−14_H19のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号98:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H13)の塩基配列(図106)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H13の塩基配列には含まれない。 配列番号99:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H13)のアミノ酸配列(図107)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H13のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号100:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H14)の塩基配列(図108)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H14の塩基配列には含まれない。 配列番号101:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H14)のアミノ酸配列(図109)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H14のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号102:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H15)の塩基配列(図110)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H15の塩基配列には含まれない。 配列番号103:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H15)のアミノ酸配列(図111)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H15のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号104:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H16)の塩基配列(図112)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H16の塩基配列には含まれない。 配列番号105:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H16)のアミノ酸配列(図113)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H16のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号106:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H17)の塩基配列(図114)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H17の塩基配列には含まれない。 配列番号107:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H17)のアミノ酸配列(図115)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H17のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号108:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H18)の塩基配列(図116)、うちヌクレオチド番号1乃至57はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H18の塩基配列には含まれない。 配列番号109:ヒト化FR2−14重鎖(hFR2−14_H18)のアミノ酸配列(図117)、うちアミノ酸番号1乃至19はシグナル配列であり、通常大部分の成熟hFR2−14_H18のアミノ酸配列には含まれない。 配列番号110:hFR2−14_H2タイプ重鎖用プライマーVH3A−F(図118)。 配列番号111:hFR2−14_H2タイプ重鎖用プライマーVH3A−R(図119)。 配列番号112:D2増幅用プライマーD23fw(図120) 配列番号113:D2増幅用プライマーD23rv(図121)

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