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熱電変換素子とその製造方法、及び熱電発電モジュールとペルチェ冷却モジュール

阅读:1016发布:2020-05-25

专利汇可以提供熱電変換素子とその製造方法、及び熱電発電モジュールとペルチェ冷却モジュール专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層と電極層とが安定して接合可能で、高温環境下での使用時に熱電変換材料の変質が抑えられ、安定して製造可能な熱電変換素子及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】本発明の熱電変換素子は、下記化学式(1)で表される熱電変換材料で形成される熱電変換材料層と、前記熱電変換材料層と接合され、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuの少なくともいずれかを含む電極材料で形成される電極層と、を有する。 ただし、前記化学式(1)中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni及びZnの少なくともいずれかを含む金属材料を示し、xは、0以上3以下の数値を示す。 【選択図】なし,下面是熱電変換素子とその製造方法、及び熱電発電モジュールとペルチェ冷却モジュール专利的具体信息内容。

下記化学式(1)で表される熱電変換材料で形成される熱電変換材料層と、 前記熱電変換材料層と接合されFe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuの少なくともいずれかを含む電極材料で形成される電極層と、 を有することを特徴とする熱電変換素子。 ただし、前記化学式(1)中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni及びZnの少なくともいずれかを含む金属材料を示し、xは、0以上3以下の数値を示す。電極材料がNi、Pd及びAuの少なくともいずれかを含む請求項1に記載の熱電変換素子。化学式(1)中のMが、少なくともNiを含む金属材料を示す請求項1から2のいずれかに記載の熱電変換素子。化学式(1)中のxが、0.5以上1.5以下の数値を示す請求項1から3のいずれかに記載の熱電変換素子。請求項1から4のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法であって、 熱電変換材料層と電極層とが積層された積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、 前記積層構造体を加熱して前記熱電変換材料層を焼結させるとともに前記熱電変換材料層と電極層とを接合させる加熱工程と、 を含むことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。加熱工程における加熱温度が350℃以上積層構造体の融点以下の温度である請求項5に記載の熱電変換素子の製造方法。加熱工程における加熱を加圧下で実施する請求項5から6のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。加圧する圧が小さくとも10MPaである請求項7に記載の熱電変換素子の製造方法。請求項1から5のいずれかに記載の熱電変換素子を有して構成されることを特徴とする熱電発電モジュール。請求項1から5のいずれかに記載の熱電変換素子を有して構成されることを特徴とするペルチェ冷却モジュール。

说明书全文

本発明は、テトラへドライトを熱電変換材料に用いる熱電変換素子とその製造方法、及び前記熱電変換素子を有する熱電発電モジュールとペルチェ冷却モジュールに関する。

熱電変換とは、固体の熱電変換素子を用いて熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する技術である。 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術は、熱電発電と呼ばれ、熱電効果の1つであるゼーベック効果に基づく。 一方、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換は、ペルチェ効果に由来し、冷却や精密温調に応用されている。ここでは、ペルチェ効果に由来する電気エネルギーから熱エネルギーへの変換をペルチェ冷却と称する。 前記熱電発電による発電装置や前記ペルチェ冷却による温調装置は、機械的な可動部を有さず、静音、無振動、長寿命、小型化しても変換効率が変わらない、という長所を併せ持つ。

前記熱電発電では、前記熱電変換素子の両端間の温度差が電気エネルギーに直接変換される。この発電方法は、化石燃料を用いる発電と比較して環境に優しい発電技術である。また、この熱電発電を利用して、工場や自動車から排出されている膨大な未利用熱エネルギーを回収し、そこから電を生み出すこととすれば、化石燃料の消費量低減、更にはCO2削減と省エネルギー化に大いに貢献できる。

また、前記ペルチェ冷却では、前記熱電変換素子に直流電流を通電した際に前記熱電変換素子の片端が冷却される現象を用いている。このペルチェ冷却は、フロンガスなどの冷媒を必要としない点、及び電流制御に基づく冷却温度を精密に制御できる点を長所としている。

前記熱電発電及び前記ペルチェ冷却の双方に用いられる前記熱電変換素子は、熱電変換材料で形成される熱電変換材料層と電極材料で形成される電極層から形成される。ここで、前記電極材料には、前記熱電変換材料層と、前記電極層の前記熱電変換材料層と接合する面と反対側の面に配される接合電極とを電気的、熱的に接続して、電流や熱を良く伝える一方で、前記熱電変換材料と前記接合電極との反応を抑制する役割や、前記熱電変換材料層と前記接合電極との間の応力を緩和する役割が求められる。

前記熱電変換材料の性能は、無次元性能指数ZTとして表すことができ、このZTが高いほど性能が優れている。無次元性能指数ZTは、次式、ZT=S2T/ρκで表され、Sは、前記熱電変換材料のゼーベック係数を示し、Tは、絶対温度を示し、ρは、前記熱電変換材料の電気抵抗率を示し、κは、熱電変換材料の熱伝導率を示す。

ここで、高い無次元性能指数を示す高性能熱電変換材料として、化学組成がCu12−xMxSb4S13(ただし、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、及びZnの少なくともいずれかを含む金属材料を示し、xは、0以上3以下の数値を示す)で表される、「テトラヘドライト」と呼ばれる熱電変換材料が提案されている。このテトラヘドライトは、400℃で高い無次元性能指数ZT(0.5〜1.0)を示すことが報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。 また、高温(400℃)の環境で使用できる熱電変換材料として、鉛テルライド(PbTe)が知られている(非特許文献3参照)。 しかしながら、前記鉛テルライドは、毒性を持つ鉛(Pb)と地殻埋蔵量が少ないテルル(Te)から構成される。対して、Cu12−xMxSb4S13で表されるテトラヘドライト系の熱電変換材料は、低毒性であり、かつ地殻埋蔵量が多い銅(Cu)と硫黄(S)から主に構成されるとともに、高い無次元性能指数ZTを有し、軽量(鉛テルライドの密度:8.2gcm−3、テトラヘドライトの密度:5.0gcm−3)であるという特徴を有している。 したがって、前記熱電変換材料としては、前記テトラヘドライトが適している。

前記熱電変換材料層と前記電極層から構成される前記熱電変換素子の性能は、前記熱電変換素子に与えた熱量Qinが、どの程度電力Poutとして取り出されるかを示す変換効率η(=Pout/Qin)で評価される(非特許文献4参照)。 ηを高くするためには、前記熱電変換材料のZTを高くすることと、優れた性能を有する電極層を形成することが必要である。 即ち、前記電極層には、先述の通り、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高く、高温でも化学的に安定であること等が求められる。このような電極層を形成することで、前記熱電発電においては、効率良く熱を前記熱電変換材料に与えられ、得られる起電力を損失が少なく取り出せる。また、前記ペルチェ冷却においては、少ない損失で直流電流を前記熱電変換材料に通電でき、接触させる対象から熱を効率良く奪うことができる。

しかしながら、異なる材料で形成される前記熱電変換材料層と前記電極層とを高温の環境下で使用に耐えるように安定に接合させ、これを保持することは容易ではない。高温の環境下でも前記熱電変換材料と反応することのない前記電極材料で前記電極層を形成する必要がある。 殊に、前記テトラヘドライトは、低毒性かつ地殻埋蔵量が多い元素から構成されるとともに、高い無次元性能指数ZTを示し、軽量化に対応可能である一方で、他の物質と反応性の高い硫黄(S)を主成分とするため、使用時に前記電極層材料と反応して前記熱電変換材料が変質したり、前記電極層と前記熱電変換材料層の界面に高抵抗層が生じたり、製造時に不良が生じる問題がある。

国際公開第2014/008414号公報

K. Suekuni, K. Tsuruta, T. Ariga, and M. Koyano, 「Thermoelectric Properties of Mineral Tetrahedrites Cu10Tr2Sb4S13 with Low Thermal Conductivity」Applied Physics Express, 5号, 051201-1〜3ページ,2012年5月.

Koichiro Suekuni, Kojiro Tsuruta, Masaru Kunii, Hirotaka Nishiate, Eiji Nishibori, Sachiko Maki, Michihiro Ohta, Atsushi Yamamoto, and Mikio Koyano, 「High-performance thermoelectric mineral Cu12-xNixSb4S13 tetrahedrite」, Journal of Applied Physics, 113号, 043712-1〜5ページ, 2013年1月

G. Jeffrey Snyder, Eric S. Toberer, 「Complex thermoelectric materials」, Nature Materials, 7号, 105〜114ページ,2008年

Hsin Wang, Robin McCarty, James R. Salvador, Atsushi Yamamoto, Jan Koenig, 「Determination of Thermoelectric Module Efficiency: A Survey」, Journal of Electronic Materials, 43号, 2274〜2286ページ,2014年6月

本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、前記テトラヘドライトで形成される前記熱電変換材料層と前記電極層とが安定して接合可能で、高温環境下での使用時に前記熱電変換材料の変質が抑えられ、安定して製造可能な熱電変換素子及びその製造方法を提供すること、更に、前記熱電変換素子を用いた熱電発電モジュール及びペルチェ冷却モジュールを提供することを目的とする。

前記課題を解決するため、本発明者は、前記テトラヘドライトで形成される前記熱電変換材料層と前記電極層とが安定して接合可能で、高温環境下での使用時に前記熱電変換材料の変質が抑えられ、前記熱電変換材料層を有する前記熱電変換素子として安定して製造可能な前記電極材料について鋭意検討を行った。 その結果、前記テトラヘドライトには、未だ知られていない特性が多く残されており、好適な電極材料の選定が難航したが、試行錯誤の結果、幾つかの電極材料で前記電極層を形成すると、前記課題を解決できることの知見を得た。

本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、 <1> 下記化学式(1)で表される熱電変換材料で形成される熱電変換材料層と、前記熱電変換材料層と接合されFe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuの少なくともいずれかを含む電極材料で形成される電極層と、を有することを特徴とする熱電変換素子。

ただし、前記化学式(1)中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni及びZnの少なくともいずれかを含む金属材料を示し、xは、0以上3以下の数値を示す。 <2> 電極材料がNi、Pd及びAuの少なくともいずれかを含む前記<1>に記載の熱電変換素子。 <3> 化学式(1)中のMが、少なくともNiを含む金属材料を示す前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱電変換素子。 <4> 化学式(1)中のxが、0.5以上1.5以下の数値を示す前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱電変換素子。 <5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法であって、熱電変換材料層と電極層とが積層された積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、前記積層構造体を加熱して前記熱電変換材料層を焼結させるとともに前記熱電変換材料層と電極層とを接合させる加熱工程と、を含むことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。 <6> 加熱工程における加熱温度が350℃以上積層構造体の融点以下の温度である前記<5>に記載の熱電変換素子の製造方法。 <7> 加熱工程における加熱を加圧下で実施する前記<5>から<6>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。 <8> 加圧する圧力が小さくとも10MPaである前記<7>に記載の熱電変換素子の製造方法。 <9> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の熱電変換素子を有して構成されることを特徴とする熱電発電モジュール。 <10> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の熱電変換素子を有して構成されることを特徴とするペルチェ冷却モジュール。

本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、前記テトラヘドライトで形成される前記熱電変換材料層と前記電極層とが安定して接合可能で、高温環境下での使用時に前記熱電変換材料の変質が抑えられ、安定して製造可能な熱電変換素子及びその製造方法を提供すること、更に、前記熱電変換素子を用いた熱電発電モジュール及びペルチェ冷却モジュールを提供することができる。

熱電変換素子の構成を説明するための説明図である。

熱電変換モジュールの構成を説明するための説明図である。

積層構造体の焼結収縮曲線の1例を示す図である。

(熱電変換素子) 本発明の熱電変換素子は、熱電変換材料層と、電極層とを有する。

<熱電変換材料層> 前記熱電変換材料層は、下記化学式(1)で表される熱電変換材料で形成される層である。

ただし、前記化学式(1)中、Mは、Mn、Fe、Co、Ni及びZnの少なくともいずれかを含む金属材料を示し、xは、0以上3以下の数値を示す。

前記化学式(1)で表される熱電変換材料で形成される前記熱電変換材料は、天然から得られるテトラヘドライト鉱と同じ結晶構造を有しており、テトラヘドライトと呼ばれ、低毒性かつ地殻埋蔵量が多い硫黄(S)と銅(Cu)を主な組成として構成されるとともに、高い無次元性能指数ZTを有し、更に、軽量であるとの特徴を有する。無次元性能指数ZTに関し、本発明者らは、前記テトラヘドライトが室温〜400℃の広い温度範囲において高い無次元性能指数ZTを示すことを確認している。

前記化学式(1)中のMとしては、優れた無次元性能指数ZTを達成する観点から、少なくともNiを含むことが好ましい。 また、Mとしては、Niと類似の電子配置を有し、化学的・物理的な性質が似ている周期律表の3d遷移元素の中でも同様の効果を提供可能なMn、Fe、Co及びZnを使用できる。 また、Mとしては、前記テトラヘドライトの特徴を損なわない限り、Mn、Fe、Co、Ni及びZn以外の金属材料を含むこととしてもよいが、Mn、Fe、Co、Ni及びZnの少なくともいずれかの金属材料から選択されることが好ましい。

前記化学式(1)中のxとしては、数値範囲内でI−43mの空間群を持つ結晶構造と類似の電気的な特性を奏する0以上3以下の数値であり、より高い無次元性能指数ZTを達成する観点から、0.5以上1.5以下の数値であることが好ましい。

前記熱電変換材料層の形成材料としての前記テトラヘドライトとしては、特に制限はなく、公知の製造方法、例えば、特許文献1、非特許文献1,2等に記載の製造方法により製造することができる。

<電極層> 前記電極層は、前記熱電変換材料層と接合されFe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuの少なくともいずれかを含む電極材料で形成される層である。

Fe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuは、前記テトラヘドライトの融点より十分に高い融点(700℃以上)を有し、後述する実施例での実施結果から前記テトラヘドライトに対して化学的に安定であることが確認されている。また、これらの電極材料は、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高いため、前記電極層を形成する材料として好適な材料である。 前記電極材料としては、前記テトラヘドライトに対して化学的に安定であれば、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAu以外の元素を少量含むこととしてもよいが、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt及びAuの少なくともいずれかの元素を主成分とするか、又は、これら元素の少なくともいずれから選択されることが好ましい。中でも、前記電極形成材料としては、より低い電気抵抗を得る観点から、Ni、Pd及びAuの少なくともいずれかの元素を主成分とするか、又は、これら元素の少なくともいずれから選択されることがより好ましい。

また、前記電極材料としては、特に制限はなく、公知の製造方法で製造されたものや市販品を用いることができ、前記電極層の形成に際し、粉末状、箔状、板状等の状態に加工されたものを用いることができる。

前記熱電変換素子の一実施形態を図1に示す。図1は、熱電変換素子の構成を説明するための説明図である。なお、図1に示す熱電変換素子10は、一般的な熱電変換素子の素子構成と同様のものである。 熱電変換素子10は、熱電変換材料層1が2つの電極層2a,2bで挟持された構成とされる。 電極層2a,2bは、熱電変換材料層1と、後述する接合電極とを電気的、熱的に接続して、電流や熱を良く伝える一方で、熱電変換材料層1と前記接合電極との反応を抑制する役割、及び熱電変換材料層1と前記接合電極と間の応力を緩和する役割を有する。

次に、前記熱電変換素子を用いて構成した熱電変換モジュールの一実施形態を図2に示す。図2は、熱電変換モジュールの構成を説明するための説明図である。なお、図2に示す熱電変換モジュール100は、一般的な熱電変換モジュールのモジュール構成と同様のものである。 熱電変換モジュール100は、熱電変換素子20と熱電変換素子30の2つの熱電変換素子と、上部にこれら2つの熱電変換素子間を架け渡すように配される1つの上部電極13と、熱電変換素子20及び熱電変換素子30の下部にそれぞれ配される下部電極14,14’とで構成され、図2に示すように全体がπ型の形状とされる。上部電極13及び下部電極14,14’は、前述の接合電極に相当する。 また、熱電変換素子20は、熱電変換素子10と同様、熱電変換材料層11が2つの電極層12a,12bで挟持された構成とされ、熱電変換素子30も熱電変換材料層11’が2つの電極層12a’,12b’で挟持された構成とされる。

熱電変換モジュール100においては、熱電変換素子20がP型熱電変換素子であるとともに熱電変換素子30がN型熱電変換素子であり、上部電極13側を高温にし、下部電極14,14’側を低温にすると、下部電極14−14’間に電位差を生じさせる熱電発電モジュールとして利用することができる。 また、熱電変換モジュール100においては、熱電変換素子20がP型熱電変換素子であるとともに熱電変換素子30がN型熱電変換素子であり、下部電極14’にプラス、下部電極14にマイナスの電圧を印加して、下部電極14’からモジュール中に電流を導入し、下部電極14から電流を送出させるように電圧を印加すると、上部電極13側では熱の吸収現象が発生し、下部電極14、14’側で放熱現象が発生して、上部電極13に接する対象の温度を低下させるペルチェ冷却モジュールとして利用することができる 。 なお、熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールなどの呼称は、種々の場面で異なる呼称が採用されることがあるが、本明細書では、熱電変換材料層を形成する材料を熱電変換材料と呼称し、熱電変換材料層と電極層とを有するものを熱電変換素子と呼称し、熱電変換素子と接合電極とを有して構成されるものを熱電変換モジュールと呼称し、熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールの順でより高次化された概念とする。

(熱電変換素子の製造方法) 本発明の熱電変換素子の製造方法は、本発明の前記熱電変換素子を製造する方法であり、積層構造体形成工程と、加熱工程とを含む。

<積層構造体形成工程> 前記積層構造体形成工程は、前記熱電変換材料層と前記電極層とが積層された積層構造体を形成する工程である。 前記積層構造体形成工程の実施方法としては、特に制限はなく、例えば、ペレット状に固めた前記熱電変換材料の上下両側に粉末状、箔状、板状等の前記電極材料を配する方法が挙げられる。 なお、前記積層構造体形成工程の実施に際し、事前に前記熱電変換材料を適当な加熱温度でアニール処理を行ってもよい。

前記加熱工程は、前記積層構造体を加熱して前記熱電変換材料層を焼結させるとともに前記熱電変換材料層と前記電極層とを接合させる工程である。

前記加熱工程は、前記電極層と接合された状態で焼結される前記熱電変換材料層の密度を向上させる役割を有する。前記熱電変換材料層(前記テトラヘドライト)の密度を向上させると、低い電気抵抗率が得られ、電気の良伝導体とすることができる。なお、低い電気抵抗率が得られる密度としては、前記テトラヘドライトの理論密度に対して90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が特に好ましい。

前記役割のため、前記加熱工程における加熱温度としては、350℃以上、前記積層構造体の融点以下の温度であることが好ましい。 図3に前記積層構造体の焼結収縮曲線の1例を示す。この焼結収縮曲線は、前記熱電変換材料層と前記電極層とを積層させた状態で加熱し、前記積層構造体の長さが加熱温度によってどの程度収縮するかの測定結果を示したものである。 該図3に示すように、前記熱電変換材料層を構成する前記テトラヘドライトは、前記電極層を配した状態で350℃から収縮が始まり、粉末等の状態から焼結体に変わり始め緻密化(密度の向上)が進む。 したがって、前記加熱温度の下限としては、特に制限はないが、前記役割のため、350℃以上が好ましい。なお、前記加熱温度の上限としては、前記電極材料及び前記テトラヘドライトの融点よりも低い700℃以下である。

焼結体の製造方法として、外部からの圧力をかけずに焼成する常圧焼結法が広く知られており、一般に良く使用されている(下記参考文献1参照)。 この方法では、温度上昇(加熱)を駆動力(ドライビング・フォース)として、材料を焼結させるとともに異種材料を接合させる工程である。加熱が焼結と接合を促進させるもっとも重要な駆動力である。 加圧焼結法は、炭素化タングステンなどの難焼結体に対しては特に効果を有するが、テトラヘドライトは難焼結体ではないため、加圧焼結法は必須ではなく、前記焼結体と同様に常圧焼結法も適用可能である。前記加圧焼結法では、加熱とともに加圧が駆動力となり、焼結と接合を促進させる。駆動力が加熱だけでは足りない時に、加圧を行う。 即ち、前記テトラヘドライトは、外部からの圧力をかけないで、350℃以上、融点以下の温度を駆動力として焼結と前記電極層を接合させることが可能である。 参考文献1;(社)日本セラミクス協会編,「セラミック工学ハンドブック」基礎第2編6.「焼成と焼結」、pp202−226(2014)

ただし、焼結時の加圧は、前記熱電変換材料層の密度を向上させる役割を有し、前記熱電変換材料層を形成するうえで有利となる。即ち、前記熱電変換材料層(前記テトラヘドライト)の密度を向上させると、低い電気抵抗率が得られ、電気の良伝導体とすることができる。 したがって、空隙が少なく高密度な前記熱電変換材料の焼結を実現するとともに、前記熱電変換材料層と前記電極層とを強固に接合させる観点から、前記加熱としては、加圧環境下で実施することが好ましく、10MPa以上の圧力をかけて実施することがより好ましい。なお、前記加圧加熱工程における圧力としては大きい程、前記テトラヘドライト焼結体の密度の向上が期待でき、更に、前記熱電変換材料層と前記電極層との接合が強固となることから、印加圧力の上限としては、特に制限はなく、例えば、一般的な加圧加熱装置の加圧限界である500MPa程度、コストなどを考慮すると200MPa程度である。 前記加熱温度及び前記圧力の数値範囲で、前記テトラヘドライトを焼結させると、前記テトラヘドライトの理論密度に対して95%以上、更には98%以上の密度を得ることができる。

なお、前記加熱工程の実施方法としては、特に制限はなく、例えば、公知の加熱装置や加圧加熱装置中に前記積層構造体を配して、これを加熱や加圧加熱する方法が挙げられる。

(熱電発電モジュール) 本発明の熱電発電モジュールは、本発明の前記熱電変換素子を有する。 前記熱電発電モジュールの前記熱電変換素子以外のモジュール構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の熱電発電モジュールの構成から適宜選択することができる。 即ち、前記熱電変換素子は、前述の熱電変換モジュールの例(図2参照)に示すようにモジュール化することができ、公知の熱電発電モジュールの熱電変換素子を本発明の前記熱電変換素子に置き換えることで、目的に応じた前記熱電発電モジュールを構成することができる。

(ペルチェ冷却モジュール) 本発明のペルチェ冷却モジュールは、本発明の前記熱電変換素子を有する。 前記ペルチェ冷却モジュールの前記熱電変換素子以外のモジュール構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のペルチェ冷却モジュールの構成から適宜選択することができる。 即ち、前記熱電変換素子は、前述の熱電変換モジュールの例(図2参照)に示すようにモジュール化することができ、公知のペルチェ冷却モジュールの熱電変換素子を本発明の前記熱電変換素子に置き換えることで、目的に応じた前記ペルチェ冷却モジュールを構成することができる。

(実施例1−1) <熱電変換素子の作製> 先ず、原料であるCu(0.6324g)、Ni(0.053g)、Sb(0.4408g)、S(0.3774g)を石英管の中に真空封入し、700℃で溶融させて、組成がCu11Ni1Sb4S13の多結晶試料を1.5g得た。なお、得られた前記多結晶試料の組成分析は、粉末X線回折により行った。 次いで、この多結晶試料を粉末化したものをペレット状に成形し、500℃でアニール処理を行うことにより、不純物相である第二相のCu3SbS4を除去し、前記組成のテトラへドライトを得た。 次いで、グラファイト製の内径10mmの円柱状の型の中にて、得られたテトラヘドライトの粉末を、前記テトラへドライトの融点より十分に高い融点(700℃以上)を有し、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高いAu粉末で両側から挟むように積層して、不活性ガス中、530℃加熱、70MPa圧力印加、1時間保持の条件下で焼結操作を行った。 以上により、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がAu電極層で挟持された構造の実施例1−1に係る熱電変換素子を製造できた。 以上のようにして得られた熱電変換素子は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値の10mΩに対して、Au粉末を用いて作った熱電変換素子の抵抗値は、10mΩと抵抗の増加がなく、良好な接合が得られた。 なお、この熱電変換素子中の前記テトラヘドライトの密度を、乾式自動密度計(マイクロメリティクス社、アキュピックII 1340)を用いて測定したところ、4.96g・cm−3であった。これは、前記テトラヘドライトの理論密度5.0g・cm−3の99%に当たる。

<熱電変換特性の評価> 次に、熱交換効率の測定装置(アドバンス理工社製、mini−PEM)を用い、所定の温度範囲(室温である約25℃〜約150℃)において、実施例1−1に係る熱電変換素子の変換効率を測定した。測定では、真空中で熱電変換素子の両端に温度差を与えて、前記熱電変換素子の両端の温度、前記熱電変換素子中を移動する熱流量、及び前記熱電変換素子に流れる電流、電圧を精密に測定した。 前記測定装置において、実施例1−1に係る熱電変換素子に発生する起電力Pout、実施例1−1に係る熱電変換素子の低温側の端部(低温側電極層)から流出する熱量Qoutを精密に測定して、ヒーターから実施例1−1に係る熱電変換素子の一端(高温側電極層)に流入する熱量Qin(=Pout+Qout)を求めた。変換効率ηは、η=Pout/Qinから求めた。 なお、熱量Qoutの測定には、前記低温側電極層を冷却する冷却の温度上昇分を高精度に測定し、冷却水の流量と熱容量の積から前記低温側電極層に流入する熱量を算出する方法を用いた。 電極層の原料としてAu粉末を用いて作成した熱電変換素子の測定結果を、下記表1−1−1〜1−1−3に示す。なお、下記表1−1−1は、真空中で、実施例1−1に係る熱電変換素子の一端(高温側電極層)の温度が49℃、熱電変換素子のもう一方の端部(低温側電極層)の温度が22℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、下記表1−1−2は、高温側電極層の温度が97℃、低温側電極層の温度が24℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、下記表1−1−3は、高温側電極層の温度が147.0℃、低温側電極層の温度が25℃の測定条件で測定を行った場合の測定結果を示す。 測定結果を得る際、実施例1−1に係る熱電変換素子の両端の電極層における温度をそれぞれの電極層の表面に接触させた熱電対によって測定した。

以上の通り、実施例1−1に係る熱電変換素子は、熱電変換材料層と電極層とが安定して接合可能で安定して製造可能であるとともに、所定の温度範囲(室温である約25℃〜約150℃)において、高い熱電変換特性を有し、軽量、かつ高温の環境で安定して使用可能な熱電変換素子となり得ることが分かる。

(実施例1−2) Au粉末に代えてAu箔を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がAu電極層で挟持された構造の実施例1−2に係る熱電変換素子を製造することができた。 以上のようにして得られた熱電変換素子は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値の10mΩに対して、Au箔を用いて作った熱電変換素子の抵抗値は、10mΩと抵抗の増加がなく、良好な接合が得られた。 電極層の原料としてAu箔を用いて作成した熱電変換素子の各種測定結果を、下記表1−2−1〜1−2−2に示す。なお、下記表1−2−1は、真空中で、実施例1−1に係る熱電変換素子の一端(高温側電極層)の温度が100℃、熱電変換素子のもう一方の端部(低温側電極層)の温度が23℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、下記表1−2−2は、高温側電極層の温度が199℃、低温側電極層の温度が23℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示す。 測定結果を得る際、実施例1−2に係る熱電変換素子の両端の電極層における温度をそれぞれの電極層の表面に接触させた熱電対によって測定した。

以上の通り、実施例1−2に係る熱電変換素子は、熱電変換材料層と電極層とが安定して接合可能で安定して製造可能であるとともに、所定の温度範囲(室温である約25℃〜約200℃)において、高い熱電変換特性を有し、軽量、かつ高温の環境で安定して使用可能な熱電変換素子となり得ることが分かる。

(実施例2−1) Au粉末に代えてNi粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がNi電極層で挟持された構造の実施例2−1に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値の約1mΩに対して、7mΩとやや増加したが、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例2−2) Au粉末に代えてNi箔を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がNi電極層で挟持された構造の実施例2−2に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値の約1mΩに対して、7mΩとやや増加したが、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例3) Au粉末に代えてFe粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がFe電極層で挟持された構造の実施例3に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値に対して、やや増加したが、10倍未満であり、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例4) Au粉末に代えてPt粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がPt電極層で挟持された構造の実施例4に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値に対して、やや増加したが、10倍未満であり、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例5) Au粉末に代えてNb粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がNb電極層で挟持された構造の実施例5に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値に対して、やや増加したが、10倍未満であり、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例6−1) Au粉末に代えてPd粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がPd電極層で挟持された構造の実施例6−1に係る熱電変換素子を製造することができた。 なお、得られた素子の抵抗は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値に対して、やや増加したが、10倍未満であり、顕著な増加は見られず、高抵抗層の形成はない。

(実施例6−2) Au粉末に代えてPd箔を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がPd電極層で挟持された構造の実施例6−2に係る熱電変換素子を製造することができた。 得られた熱電変換素子は、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値の約10mΩに対して、21mΩと大きな抵抗の増加がなく、良好な接合が得られた。 実施例6−2に係る熱電変換素子の変換効率を、実施例1−1の場合と同じ方法で測定した。 各測定結果を下記表2−1,2−2に示す。なお、下記表2−1は、真空中で、実施例6−2に係る熱電変換素子の一端(高温側電極層)の温度が100℃、熱電変換素子のもう一方の端部(低温側電極層)の温度が22℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、下記表2−2は、高温側電極層の温度が199℃、低温側電極層の温度が23℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示す。

以上の通り、実施例6−2に係る熱電変換素子は、熱電変換材料層と電極層とが安定して接合可能で、安定して製造可能であるとともに、所定の温度範囲(室温である約25℃〜約200℃)において、高い熱電変換特性を有し、軽量、かつ高温の環境で安定して使用可能な熱電変換素子となり得ることが分かる。

(比較例1−1,1−2) 電極層として液体金属In−Gaを使う技術が提案され、Zn4Sb3系、CoSb3系、Bi2Te3系熱電変換材料層と接合させて良好な結果が得られている(下記参考文献2,3参照)。 参考文献2;高澤 弘幸、山本 淳、李 哲虎、太田 敏隆,「液体金属接合によるモジュール性能の向上」、熱電変換シンポジウム2001論文集、pp44−45(2001) 参考文献3;山本 淳、高澤 弘幸、李 哲虎、太田 敏隆,「変換効率10%を目指したセグメント型熱電素子の開発」、2001年度傾斜機能材料論文集、pp44−45(2001),pp1−6(2001)

実施例1−1において、Au粉末を用いることなく、テトラヘドライト粉末のみを焼結させ、得られたテトラヘドライト焼結体の両端に液体金属In−Gaを塗布したこと以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1に係る熱電変換素子を製造した。

また、比較例1−1において、液体金属In−Gaに代えて液体金属In−Ga−Biを用いたこと以外は比較例1−1と同様にして、比較例1−2に係る熱電変換素子を製造した。

比較例1−1,1−2に係る各熱電変換素子においては、In−Ga電極層、In−Ga−Bi電極層が、約100℃以上の使用温度で前記テトラヘドライト焼結体との間に反応が生じ、前記テトラヘドライト焼結体の一部が変質し、両者の接合界面に高抵抗層が形成された。 以上から、液体金属In−Ga,In−Ga−Biは、テトラヘドライト系熱電変換素子に使用できないという結論に至った。

(比較例2) Au粉末に代えてAg粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がAg電極層で挟持された構造の比較例2に係る熱電変換素子の製造を試みた。 しかしながら、焼結操作中にテトラへドライト粉末とAg粉末とが反応してできた生成物が溶け、その後、溶けた物質が焼結用の型から溢れ出てしまい、比較例2に係る熱電変換素子を製造することができなかった。

電極層には、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高く、高温でも化学的に安定であることが求められる。電気抵抗率が低いと、テトラヘドライトから効率良く電力を取り出すことができ、熱伝導率が高いと、テトラヘドライトに効率良く熱を伝えることができ、高温でも化学的に安定していることで、高温でも安定的にテトラヘドライトを熱電変換材料として使用できる。 そこで、実施例1−1〜6−2では、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高い金属の中で、融点の高い、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt、Auを電極材料として選択している。比較例2で用いたAgは、これらと同様に、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高い金属の中で、融点の高い電極材料である(融点につき下記表3参照)。したがって、Agは、テトラヘドライト系熱電変換素子に適用することができると考えられた。

※出典:金属データブック 改訂4版 日本金属学会編 丸善(株) 2004年

ところが、比較例2における説明の通り、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt、Auは、電極層として機能したが、Agは溶けて電極層として機能しなかった。 Agが電極層として機能しなかった理由としては、Agがテトラヘドライトの構成元素の中で最も反応性が高い硫黄(S)と反応したのではないかと推測できる。 しかし、一般的に知られている、各種金属(Fe、Ni、Nb、Pd、Ag、Pt、Au)の硫化物における標準生成自由エネルギー変化を見てみると、各種金属の硫化物の標準生成自由エネルギー変化が負である(下記表4参照、Nb、Auについては、データがないが、硫化物の標準生成自由エネルギー変化が負であると想定される)。 標準生成自由エネルギー変化が負の場合は、硫化物を生成する方向で反応が進み、正の場合では、反応が逆に進み、硫化物が生成されない。なお、下記表4中の数値は、反応の度合いを示す。 したがって、Fe、Ni、Nb、Pd、Ag、Pt、Auは、むしろ、テトラヘドライト中の硫黄(S)と反応することが考えられたが、Fe、Ni、Nb、Pd、Pt、Auを電極材料としてを用いると、実施例1−1〜6−2における説明の通り、電極層として機能させることができることが確認された。一方、表中の金属のうち、Agのみ電極層として機能させることができない結果となった。

※※出典:化学便覧 基礎編改訂5版、日本化学会編、丸善(株)、2004年

以上のFe、Ni、Nb、Pd、Pt、Auは電極層として機能し、Agは熱電変換物質との反応物を生成し、これが溶けて電極層として機能しないという実験結果は、一般に知られているデータ(融点、標準生成自由エネルギー変化など)からは類推できない事項を示している。2013年に発見された新しいテトラへドライト(特許文献1、非特許文献1,2)には、未だ知られていない熱力学的特性などが存在しており、その未知の特性が実験結果に影響を及ぼしているものと推察される。

(比較例3) Au粉末に代えてSb粉末を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、前記テトラヘドライトで形成される熱電変換材料層がSb電極層で挟持された構造の比較例3に係る熱電変換素子の製造を試みた。 しかしながら、比較例2と同様に、焼結操作中にテトラへドライト粉末とSb粉末とが反応してできた生成物が溶け、その後、溶けた物質が焼結用の型から溢れ出てしまい、比較例3に係る熱電変換素子を製造することができなかった。

実施例2−1及び実施例2−2で用いた電極材料であるNiは、実施例で用いたテトラへドライトの構成元素であり、テトラへドライトと親和性が高く、テトラヘドライトの変質を生じさせる可能性が低いと考えられる。 しかしながら、比較例3において、同じくテトラへドライトの構成元素であるSbを電極材料として用いると、反応が生じて電極層として機能しない結果が得られた。 下記表5に示すように、Sbの融点は、焼結温度530℃よりは高いが、先の説明の通り、Sb粉末が低温で溶け出す結果となった。 この結果には、比較例2における説明と同様、テトラヘドライトの未知の特性が影響を及ぼしているものと推察される。

※※※出典:金属データブック 改訂4版 日本金属学会編 丸善(株) 2004年

(比較例4) 簡便な電極層の形成方法として、一般に広く電気機器で利用されている銀(Ag)ペーストを利用する方法がある。 実施例1−1において、Au粉末を用いることなく、テトラヘドライト粉末のみを焼結させ、得られたテトラヘドライト焼結体の両端に銀ペーストを塗布、乾燥させたこと以外は、実施例1−1と同様にして、比較例4に係る熱電変換素子を製造した。

比較例4に係る熱電変換素子の抵抗を測定したところ、テトラヘドライト単体の電気抵抗率から予測される抵抗値(20mΩ)よりも10倍も大きな抵抗値(200mΩ)が確認され、銀ペーストを電極材料とすると低抵抗の電極層が得られないことが確認された。 この結果の原因としては、比較例2(Ag粉末)と同様に、Agがテトラヘドライトと反応したことが考えられ、一般に広く利用されている電極材料においても、新たな熱電変換材料であるテトラヘドライトの未知の特性により、テトラヘドライト系熱電変換素子に適用することができないことが分かる。

1,11,11’ 熱電変換材料層 2a,2b,12a,12b,12a’,12b’ 電極層 10,20,30 熱電変換素子 13 上部接合電極 14,14’ 下部接合電極 100 熱電変換モジュール

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