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窒素電池、燃料合成装置及び燃料合成方法

阅读:919发布:2024-01-04

专利汇可以提供窒素電池、燃料合成装置及び燃料合成方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】エネルギーデバイスとして利用できる新規な窒素電池を提供する。 【解決手段】本開示の窒素電池は、窒素を正極活物質とする正極と、負極と、シラン化合物を含有しアルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものである。 【選択図】図3,下面是窒素電池、燃料合成装置及び燃料合成方法专利的具体信息内容。

窒素を正極活物質とする正極と、 負極と、 シラン化合物を含有し、アルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、 を備えた窒素電池。前記イオン伝導媒体は、前記シラン化合物としてトリアルキルシラン化合物を含有する、請求項1に記載の窒素電池。前記イオン伝導媒体は、前記シラン化合物を0.5mol/L以上7.5mol/L以下の範囲で含む非電解液である、請求項1又は2に記載の窒素電池。前記正極には、遷移金属のイオンが固定化された電極触媒を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒素電池。前記電極触媒は、遷移金属と有機化合物とを含む金属有機構造体であり、該有機構造体は、式(1)〜(3)のいずれか1以上の構造を含む、請求項4に記載の窒素電池。前記正極は、気体である窒素と前記イオン伝導媒体とが均一になる界面を有する多孔質電極である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒素電池。前記正極は、炭素多孔質電極であり、 前記シラン化合物は、クロロトリメチルシランである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒素電池。請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒素電池であって、 前記正極と前記負極との間に存在し前記アルカリ金属イオンを伝導する固体電解質、を備え、 前記イオン伝導媒体には、前記正極に接触する正極側イオン伝導媒体と、前記負極に接触する負極側イオン伝導媒体とが含まれ、 前記正極側イオン伝導媒体に少なくとも前記シラン化合物が含まれている、窒素電池。前記負極は、リチウムを吸蔵放出する前記負極活物質を有し、 前記イオン伝導媒体は、リチウムイオンを伝導する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒素電池。請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒素電池を用いた燃料合成装置であって、 前記窒素電池の作動後に得られるシリルアミンを水で処理することにより生成するアンモニアを燃料として得る、燃料合成装置。請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒素電池を用いた燃料合成方法であって、 前記窒素電池の作動後に得られるシリルアミンを水で処理することにより生成するアンモニアを燃料として得る、燃料合成方法。

说明书全文

本明細書は、窒素電池、燃料合成装置及び燃料合成方法を開示する。

従来、酸素を正極活物質とする空気電池や、硫黄を正極活物質とする硫黄電池などが検討されてきた。活物質の理論容量密度を電池の放電に相当する還元反応から計算すると、酸素は3350mAh/gであり、硫黄は1671mAh/gである。一方、窒素は、5740mAh/gと非常に大きく、高エネルギー密度化が期待できる。しかしながら、窒素を正極活物質として検討した例は非常に少ない。この理由は、窒素は安定であり、還元反応を起こすことが困難であるためである。例えば、分子に1つの電子を与えたときに放出又は吸収するエネルギー量である電子親和を比較すると、酸素は141kJ/molであり、硫黄は200kJ/molであるのに対し、窒素は−4kJ/molである。このように、電子親和力が負である窒素は、電子を与えたときにエネルギーを吸収しやすく、陰イオンになりにくいといえる。このような窒素電池としては、リチウム金属を負極とし、正極と負極との間に非電解液を有し、正極で窒素の還元反応を行うものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この窒素電池では、窒素を正極活物質として利用し、放電することができるとしている。

Chem2,525−532,April 13,2017.

しかしながら、上述の非特許文献1の窒素電池では、充電電圧が非常に高い上に、放電電圧が1Vと低く、窒素電池としての優位性が乏しいという問題があった。一方、窒素電池では、放電すること自体が難しく、新たな窒素電池の開発が求められていた。

本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、エネルギーデバイスとして利用できる新規な窒素電池を提供することを主目的とする。また、この窒素電池を用いた新たな燃料合成装置及び燃料合成方法を提供することを目的とする。

上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、正極に窒素ガスを存在させ、シラン化合物を含む非水電解液を用いたところ、3Vに近い高電位で簡便に放電反応が進行することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。

即ち、本明細書で開示する窒素電池は、 窒素を正極活物質とする正極と、 負極と、 シラン化合物を含有し、アルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、 を備えたものである。

本明細書で開示する燃料合成装置は、 上述した窒素電池を用いた燃料合成装置であって、 前記窒素電池の作動後に得られるシリルアミンを水で処理することにより生成するアンモニアを燃料として得るものである。

本明細書で開示する燃料合成方法は、 上述した窒素電池を用いた燃料合成方法であって、 前記窒素電池の作動後に得られるシリルアミンを水で処理することにより生成するアンモニアを燃料として得るものである。

本開示では、エネルギーデバイスとして利用できる新規な窒素電池を提供することができる。この窒素電池では、シラン化合物の反応により、窒素が還元されてシリルアミンを生成すると共に、セルとして放電することができる。また、生成したシリルアミンを水で処理することで燃料としてのアンモニアを合成することができる。

ベンゼントリカルボン酸の金属有機構造体の構造を示す説明図。

2,5−ジヒドロキシテレフタル酸の金属有機構造体の構造を示す説明図。

窒素電池20の一例を模式的に示す説明図。

窒素電池20Bの一例を模式的に示す説明図。

実験例6、7の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例1、8の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例2、12の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例3、13の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例2、3、10、11の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例1、9の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例4、14の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例5、15の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

実験例4、5の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフ。

本開示の窒素電池は、窒素を正極活物質とする正極(作用極)と、負極(対極)と、シラン化合物を含有しアルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムなどが挙げられ、イオン伝導媒体では、これらのいずれかのイオンを伝導するものとしてもよい。以下には、説明の便宜により、リチウムイオンをキャリアとする非水電解液リチウム窒素電池について主として説明する。

本開示の窒素電池において、負極は、正極と対向する電極であり、窒素電池に使用可能なものであれば特に限定されないが、アルカリ金属イオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含むものとしてもよい。負極活物質は、リチウムを吸蔵放出可能なものであることが好ましい。リチウムを吸蔵放出可能な負極としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えばアルミニウムやスズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。

本開示の窒素電池において、正極は、気体である窒素を正極活物質とするものである。気体としては、空気としてもよいし窒素ガスとしてもよい。この正極は、導電材を含んでいてもよい。また、正極は、導電材や結着材などを混合した電極合材を集電体にプレス成形して形成されたものとしてもよい。あるいは、正極は、導電材や結着材を溶剤と混合し、集電体に塗布されたものとしてもよい。導電材としては、導電性を有する材料であれば特に限定されない。導電材としては、例えばカーボンが挙げられる。このカーボンとしては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類でもよいし、鱗片状黒鉛のような天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類でもよいし、木炭や石炭などを原料とする活性炭類でもよいし、合成繊維や石油ピッチ系原料などを炭化した炭素繊維類でもよい。また、導電材は、カーボンペーパーとしてもよいし、金属繊維などの導電性繊維類でもよいし、ニッケル、アルミニウムなどの金属粉末類でもよいし、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料でもよい。また、これらを単体で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。この正極は、気体である窒素とイオン伝導媒体とが均一になる界面を有することがより好ましく、多孔質電極であることが好ましい。特に、炭素を含む炭素多孔体電極であることがより好ましい。

結着材は、導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものである。この結着材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いられるものとしてもよい。また、結着材としては、水系バインダであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。結着材の配合量としては、電極合材の全体に対し、3質量部以上15質量部以下であることが好ましい。3質量部以上であれば、正極の強度を保つために十分であり、15質量部以下であれば、後述する電極触媒や導電材の量が少なくなりすぎず、電池反応の進行を阻害しないと考えられるからである。導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、エタノールなどのアルコール、などの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで合材をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。また、混練した電極合材をメッシュ状の集電体に圧着するものとしてもよい。

集電体としては、窒素の拡散を速やかに行わせるため、網状やメッシュ状など多孔体であることが好ましく、ステンレス鋼やニッケル、アルミニウムなどの多孔体の金属板であってもよい。なお、この集電体は、酸化を抑制するためにその表面に耐酸化性の金属または合金の被膜を被覆したものでもよい。また、InSnO2、SnO2、ZnO、In2O3等の透明導電材又はフッ素ドープ酸化錫(SnO2:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)、錫ドープ酸化インジウム(In2O3:Sn)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)等の不純物がドープされた材料の単層又は積層を、ガラスや高分子上に形成させたものでもよい。その膜厚は、特に限定されるものではないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。なお、ガラスや高分子の表面はフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。

本開示の窒素電池において、正極は、遷移金属のイオンが固定化された電極触媒を有するものとしてもよい。この遷移金属としては、窒素を還元可能なものが好ましく、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Be、Mgのうち1以上が挙げられ、2価の遷移金属がより好ましく、このうちFe、Co、Ni、Ruのうち1以上であることが更に好ましい。この電極触媒は、例えば、遷移金属(Fe、Co、Ni、Ruのうち1以上)と有機化合物とを含む金属有機構造体であり、この有機構造体は、式(1)〜(3)のいずれか1以上の構造を含むものであるものとしてもよい。この電極触媒は、例えば、M2A3(MはFe、Co、Ni、Ruのうち1以上、Aは1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(式1))で示される金属有機構造体としてもよい(参考文献1:Inorg.Chem.,2007,46(19),pp7782-7788、参考文献2:J.Phys.Chem.C2015,119,6556-6567)。また、この電極触媒は、M2B(MはFe、Co、Ni、Ruのうち1以上、Bは2,5−ジヒドロキシテレフタル酸(式3))で示される金属有機構造体としてもよい(参考文献3:J.Am.Chem.Soc.,2011,133,14814-14822)。図1は、ベンゼントリカルボン酸の金属有機構造体の構造を示す説明図である。図2は、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸の金属有機構造体の構造を示す説明図である。これらの電極触媒は、有機化合物と遷移金属とが規則構造を構成し、図1、2に示すような金属有機構造体を形成する。この構造を形成することにより、非水電解液に溶解しにくくなり、電極に固定された触媒として機能する。そして、この金属有機構造体に含まれる遷移金属は、触媒活性サイト面(オープンメタルサイト)を有することから、この触媒活性サイトを利用して、後述するシラン化合物のスキームの触媒効果を発揮するものと推察される。正極に電極触媒を有するものとすると、放電電圧の向上や放電容量の向上が得ることができ、好ましい。

本開示の窒素電池において、正極又は負極と接触するイオン伝導媒体は、アルカリ金属イオンを伝導するものであり、例えば支持電解質を含む非水電解液を用いることができる。支持電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば、リチウム塩を例とすると、LiPF6,LiClO4,LiAsF6,LiBF4,Li(CF3SO3),Li(CF3SO2)2N(LiTFSI),Li(SO2F)2N(LiFSI),LiN(C2F5SO2)2などの公知の支持塩を用いることができる。これらの支持電解質は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。支持電解質の濃度としては、0.1〜3.0M(mol/L)であることが好ましく、0.5〜2.0Mであることがより好ましい。非水電解液には、有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル等が挙げられる。環状カーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等がある。鎖状カーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。環状エステルカーボネートとしては、例えばガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等がある。環状エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等がある。鎖状エーテルとしては、例えばジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等がある。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、非水電解液としては、そのほかにアセトニトリル、プロピルニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル系溶媒やN−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドやN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドなどのイオン液体を含むものが挙げられる。また、イオン伝導媒体は、ゲル電解質や固体電解質としてもよい。

本開示の窒素電池において、イオン伝導媒体は、シラン化合物を含有する。特に、少なくとも正極に接触するイオン伝導媒体には、シラン化合物を含有する。シラン化合物は、例えば、トリアルキルシラン化合物としてもよい。このアルキル基は、例えば、炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基としてもよく、直鎖でもよいし、分岐鎖を有していてもよい。また、シラン化合物は、ハロゲン化合物としてもよく、F、Cl、Br、Iなどを含むものとしてもよい。具体的には、シラン化合物としては、例えば、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリプロピルシランなどが挙げられる。このイオン伝導媒体は、シラン化合物を0.5mol/L以上7.5mol/L以下の範囲で含むことが好ましい。この範囲では、シラン化合物の機能を発揮することができる。このシラン化合物は、イオン伝導媒体に0.8mol/L以上で含まれることがより好ましく、1mol/L以上で含まれることが更に好ましい。また、シラン化合物は、イオン伝導媒体に3mol/L以下で含まれることがより好ましく、2mol/L以下で含まれることが更に好ましい。

イオン伝導媒体にシラン化合物を含有すると、下記スキームにより正極反応及び負極反応が進行するものと推察される(参考文献4:Nature Commun.,3,1254,2012)。ここでは、クロロトリメチルシラン(Me3Si-Cl)をシラン化合物とし、Fe触媒(M=Fe)が存在する場合を一例として説明する。正極に窒素が存在し、その正極にシラン化合物が存在すると、正極、負極では、下記式4、5の反応が進行する。その際、正極反応におけるMe3Si-Clは、式6の二段階の反応で進行するものと推察される(参考文献5:J.Am.Chem.Soc.,2011,133,3498-3506)。正極側にシラン化合物が存在すれば、窒素を正極活物質として利用可能であるが、電極触媒の存在によって、下記スキームのように、より効率的に放電反応を行うことができると推察される。 正極:N2+6e-+6Me3SiCl→2N(SiMe3)3+6Cl- …式4 負極:6M→6M++6e- …式5 Me3SiCl+e-→Me3SiCl-→Me3Si・+Cl- …式6

本開示の窒素電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、窒素電池の使用に耐え得る組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。

本開示の窒素電池は、正極と負極との間に固体電解質を備えるものとしてもよい。こうすれば、正極側と負極側とを分離可能であり、特に正極側でのシラン化合物の濃度を高めることができるため、窒素電池の放電特性をより向上する上では好ましい。より具体的には、窒素電池は、正極と負極との間に存在しアルカリ金属イオンを伝導する固体電解質を備え、イオン伝導媒体には、正極に接触する正極側イオン伝導媒体と、負極に接触する負極側イオン伝導媒体とが含まれ、正極側イオン伝導媒体に少なくともシラン化合物が含まれているものとしてもよい。固体電解質は、キャリアであるアルカリ金属イオンを伝導するものであれば特に限定されない。例えば、リチウムイオンがキャリアである場合は、固体電解質は、ガラスセラミックスLICGC((株)オハラ)などが挙げられる。その他に、特開2009−122991号公報に紹介されている固体電解質、例えば、ガーネット型酸化物Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(Xは1.4≦X<2)、ガーネット型酸化物Li7La3Zr2O12 、ガーネット型酸化物Li7ALa3Nb2O12(A=Ca,Sr,Ba)、ガラスセラミックスLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(LAGP)なども用いることができる。なお、正極側イオン伝導媒体と負極側イオン伝導媒体とは、シラン化合物の有無以外は同様の構成としてもよいし、異なる構成としてもよい。イオン伝導媒体の作製工程を考慮すれば、同様の構成であることが好ましい。なお、負極がリチウム金属である場合などにおいて、固体電解質が負極に対して安定であれば、負極と固体電解質とを直接接合させてもよい。

本開示の窒素電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図3は、本開示の窒素電池20の一例を模式的に示す説明図である。この窒素電池20は、負極21と、窒素を正極活物質とする正極22と、負極21と正極22との間に配設されたセパレータ23とを備えている。窒素電池20は、負極21と正極22との間、及び正極22の上部には、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体24がある。イオン伝導媒体24は、支持電解質及びシラン化合物を含む非水電解液であり、リチウムイオンを伝導する。正極22の上方には、窒素を導入する空間であるガス導入部28が形成されている。また、窒素電池20は、ケーシング29と、押さえ部材31とを備える、ケーシング29は、負極21や正極22を収容する絶縁体の収容容器である。押さえ部材31は、正極22を押さえる部材であり、内部を窒素が流通可能になっている。押さえ部材31には、窒素を充填したガス溜めが接続されるものとしてもよい。この窒素電池20では、窒素を正極活物質として放電することができる。

あるいは、窒素電池は、負極21と正極22とを固体電解質で分割した構造を有しているものとしてもよい。図4は、窒素電池20Bの一例を模式的に示す説明図である。この窒素電池20Bは、上述した窒素電池20において、負極21とセパレータ23との間にリチウムイオンを伝導する負極側イオン伝導媒体26があり、正極22とセパレータ23との間にリチウムイオンを伝導する固体電解質層25が配設されている。正極22の上方(固体電解質層25が存在する面の反対面側)には、リチウムイオンを伝導する正極側イオン伝導媒体27がある。正極側イオン伝導媒体27は、正極22に接触し、支持電解質及びシラン化合物を含む非水電解液である。正極側イオン伝導媒体27は、多孔質の正極22を介して固体電解質層25に接触するものとしてもよい。負極側イオン伝導媒体26は、支持電解質を含みシラン化合物を含まない非水電解液であり、リチウムイオンを伝導する。この窒素電池20Bでは、正極側のイオン伝導媒体にシラン化合物を存在することができるため、より窒素の反応を向上することができる。

本開示の燃料合成装置は、上述した窒素電池を用いるものである。なお、本開示の燃料合成方法も同様である。この燃料合成装置は、窒素電池の作動後に得られるシリルアミンを水で処理することにより生成するアンモニアを燃料として得るものである。アンモニアは、通常、高温高圧で合成することが一般的であるが、本開示では、窒素電池を常温常圧で放電させることにより、アンモニアを得ることができる。この燃料合成装置は、例えば、放電後の窒素電池から、放電生成物であるシリルアミンを含むイオン伝導媒体を取り出して収容する収容部と、収容部に水を導入する導入部と、収容部から水を取り出す取出部とを備えるものとしてもよい。例えば、放電生成物のシリルアミンに水を加えると、加水分解しアンモニアが水に抽出された状態で得られる。

以上詳述した本開示の窒素電池では、エネルギーデバイスとして利用できる新規な窒素電池を提供することができる。この窒素電池では、シラン化合物の反応により、窒素が還元されてシリルアミンを生成すると共にセルとして放電することができる。また、生成したシリルアミンを水と反応することで燃料としてのアンモニアを合成することができる。

なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。

例えば、上述した実施形態では、固体電解質により正極と負極とを分離した窒素電池20を例示したが、特にこれに限定されず。固体電解質を備えないものとしてもよい。この窒素電池では、構成を簡略化することができる。なお、シラン化合物を正極側に存在させる観点からは、固体電解質により正極と負極とを分離した方が好ましい。

以下には、本開示の窒素電池を具体的に作製した例を実験例として示す。なお、実験例1〜5、9が本開示の実施例に該当し、実験例6〜8、10〜15が比較例に該当する。

[実験例1] カーボンペーパー(東レ製、TGP−H−060)を3.14cm2となるように切り取ったものを作用極(正極)とし、直径10mm、厚さ500μmのリチウム金属箔(本城金属社製)を対極(負極)として用いた。これらを用いて図4に示した窒素電池(電気化学評価セル)20Bを作製した。まず、SUS製のケーシング29に負極21を設置し、正極22との間にはリチウム伝導性の固体電解質25(OHARA製)を設置した。負極21と固体電解質25との間には、負極側イオン伝導媒体26(電解液A)を5mL注入した。電解液Aには、1Mのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を支持電解質とし、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)を溶媒として含む非水電解液を用いた。また、電解液Aに、更に添加剤としてのクロロトリメチルシラン(TMSCl)を1.0Mとなるように加えたものを正極側イオン伝導媒体27(電解液B)とした。固体電解質25と正極22の間に電解液Bを200μL注入した。正極22上からガスが流通可能な押さえ部材31で押し付けることにより、セルを固定した。正極22の上部には、窒素を導入可能な空間であるガス導入部28が形成されている。このようにして、正極側の非水電解液に添加剤であるTMSClを含む実験例1のリチウム窒素電池を得た。なお、図示しないが、ケーシング29は正極22と接触する上部と負極21と接触する下部とに分離可能であり、上部と下部との間に絶縁樹脂が介在している。これより、正極22と負極21とは電気的に絶縁されている。

(放電試験) このようにして得られた電気化学評価セルを、アスカ電子製の充放電装置(型名5V/100MA)にセットし、20℃の温度環境下において、正極と負極との間で0.063mA(20μA/cm2)の電流を流して放電電位が1.3Vとなるまで放電した。実験例1〜6、9〜11は、正極のガス導入部に窒素を導入し、実験例7、8、12〜15は、ガス導入部にArを導入し、放電を行った。

[実験例2] カーボンブラック(ライオン製ケッチェンブラック)と、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを質量比で90:10で混合し、シート状に成形し、2.54cm2の面積に打ち抜いた円板状の正極を用い、負極の面積を正極と合わせた以外は、実験例1と同様の構成の電気化学評価セルを実験例2とした。放電試験は、20℃の温度条件下において、0.063mAの電流を流して放電電位が2.0Vとなるまで行った。

[実験例3] 電極触媒としての1,3,5−ベンゼントリカルボン酸鉄(Fe2(BTD)2;アルドリッチ製BasoliteF300)と、上記カーボンブラックと、PTFEとを質量比で10:81:9で混合し、シート状に成形し、2.54cm2の面積に打ち抜いた円板状の正極を用いた以外は、実験例2と同様の構成の電気化学評価セルを実験例3とした。実験例3は、実験例2と同じ放電試験を行った。

[実験例4] 支持電解質であるLiTFSIを0.5Mとなるように添加して作製した非水電解液を用いた以外は、実験例3と同様の構成の電気化学評価セルを実験例4とした。実験例4は、実験例3と同じ放電試験を行った。

[実験例5] 添加剤であるTMSClを2.0Mとなるように添加して作製した非水電解液を用いた以外は、実験例4と同様の構成の電気化学評価セルを実験例5とした。実験例5は、実験例3と同じ放電試験を行った。

[実験例6] 正極側の非水電解液に添加剤であるTMSClを加えない非水電解液を用いた以外は、実験例1と同様の構成の電気化学評価セルを実験例6とした。実験例6は、実験例1と同じ放電試験を行った。

[実験例7、8] 正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例6と同様の構成の電気化学評価セルを実験例7とした。正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例1と同様の構成の電気化学評価セルを実験例8とした。実験例7、8は、実験例1と同様の放電試験を行った。

[実験例9] 正極側の非水電解液に触媒としてのジクロロペンタジエニル鉄(フェロセン,東京化成製)を0.02Mとなるように添加した以外は、実験例1と同様の構成の電気化学評価セルを実験例9とした。

[実験例10〜15] 正極側の非水電解液にTMSClを含まないものとした以外は、実験例2と同様の構成の電気化学評価セルを実験例10とした。正極側の非水電解液にTMSClを含まないものとした以外は、実験例3と同様の構成の電気化学評価セルを実験例11とした。正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例2と同様の構成の電気化学評価セルを実験例12とした。正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例3と同様の構成の電気化学評価セルを実験例13とした。正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例4と同様の構成の電気化学評価セルを実験例14とした。正極側に導入するガスをArとした以外は、実験例5と同様の構成の電気化学評価セルを実験例15とした。

(結果と考察) 図5〜13は、実験例1〜15の放電時の電圧と電池容量の変化を表すグラフである。表1に、実験例1〜15の作用極(正極)の構成、セルに導入したガス成分、正極側の非水電解液に添加した添加剤、金属触媒、電解質の濃度、放電終了電位における放電容量をまとめて示した。図5に示すように、Li非水電解液のみの実験例6、7では、放電開始電圧が1Vであり、非特許文献1で示されたものと同様の結果が得られた。一方、正極側の非水電解液にシラン化合物を添加した実験例1では、図6に示すように、放電電圧が1.5Vを超えた高い電圧で放電することができることがわかった。また、実験例1では、導入ガスをArとした実験例8に比して高い放電容量を示したため、以下の式に示す、クロロトリメチルシラン(TMSCl)の放電反応(還元反応)によるラジカル体(Me3Si・)の生成と、その後の窒素の放電反応が進行したものと推察された。 Me3SiCl+e-→Me3SiCl-→Me3Si・+Cl- N2+6e-+6Me3SiCl→2N(SiMe3)3+6Cl-

また、図7に示すように、作用極を多孔質な炭素電極とした実験例2では、2.5V近傍の放電容量が、Arを導入した実験例12に比して増加した。更に、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTD)と2価の鉄イオンとから合成される、金属有機構造体(Fe2(BTD)2)を電極触媒として炭素多孔質電極内部に混合し窒素雰囲気下で放電させた実験例3では、図8に示すように、Ar雰囲気下(実験例13)に比して放電電圧の上昇と放電容量の向上が顕著に認められた。また、図9に示すように、炭素多孔質電極に電極触媒を含まず且つ正極側の非水電解液にシラン化合物を含まない実験例10では、放電容量が極めて低く、更に、電極触媒を含み且つシラン化合物を含まない実験例11においても放電容量が極めて低かった。この結果より、2.5Vでの放電容量の発現は、シラン化合物(TMSCl)に由来することが明らかとなった。更にまた、図10に示すように、正極側の非水電解液にフェロセンを触媒として添加した実験例9では、実験例1に比して放電容量が向上しなかった。即ち、フェロセンを用いた参考文献4(Nature Commun.,3,1254,2012)の構成をそのまま用いても、窒素電池の構成としては十分ではなかった。これらの結果より、鉄イオンのような遷移金属を含む触媒は、溶液中に溶存しても機能しにくく、電極上に金属有機構造体として固定したものの方が放電性能をより向上することができることが明らかとなった。

また、図11に示すように、支持電解質であるリチウム塩の濃度を下げ窒素雰囲気下で放電させた実験例4においても、Ar雰囲気下で放電させた実験例14に比して放電容量が大きく、窒素が正極活物質となっているものと推察された。更に、図12に示すように、TMSClの濃度を高め窒素雰囲気下で放電させた実験例5においても、Ar雰囲気下で放電させた実験例14に比して放電容量が大きく、窒素が正極活物質となっているものと推察された。更にまた、図13に示すように、TMSClの濃度を高めた実験例5は、実験例4に比して放電容量が大きくなっていることから、TMSClが上記反応式のように放電に関与していることが明らかとなった。

以上説明した実験例の結果より、シラン化合物(特にトリアルキルシラン化合物)を非水電解液に含有させることにより、窒素を活物質とする窒素電池を構成することができることがわかった。また、正極には、遷移金属(例えば、Fe、Co、Ni、Ruのうち1以上)のイオンが固定化された電極触媒、特に金属有機構造体を有するものとすると、より高い放電容量を示し、好ましいことがわかった。更に、正極は、気体である窒素と非水電解液とが均一になる界面を有する多孔質電極であることがより好ましいことがわかった。更にまた、非水電解液は、シラン化合物を0.5mol/L以上7.5mol/L以下の範囲で含むことが好ましく、支持電解質であるリチウム塩(LiTFSIなど)を0.5mol/L以上2mol/L以下の範囲で含むことが好ましいことが示唆された。そして、放電生成物として得られるシリルアミンを水で処理することにより、アンモニアを抽出することができるものと推察された。アンモニアは、水素を含むため、水素源(燃料)として利用することができる。この窒素電池では、常温常圧下で放電させることによって、温和な条件化でアンモニアを合成することができ、アンモニアの合成装置としても機能するものと推察された。

20,20B 窒素電池、21 負極、22 正極、23 セパレータ、24 イオン伝導媒体、25 固体電解質層、26 負極側イオン伝導媒体、27 正極側イオン伝導媒体、28 ガス導入部、29 ケーシング、31 押さえ部材。

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