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燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法

阅读:969发布:2024-01-11

专利汇可以提供燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】 燃料 電池システムにおいて、ターボコンプレッサにサージングが生じることを抑制する。 【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池に空気を供給するための空気供給流路と、空気供給流路に空気を供給するためのターボコンプレッサと、燃料電池に供給される空気の流量および圧 力 を調整するための少なくとも一つの弁と、ターボコンプレッサの目標動作点を設定し、目標動作点となるようにターボコンプレッサの回転数と弁の開度とを制御する制御部とを備える。ターボコンプレッサは、サージング領域よりも高流量側に、同一回転数においてターボコンプレッサの圧力比を予め定めた量、変化させた場合に流量が変化した量が予め定められた値よりも大きい動作点の範囲である第1領域を有し、制御部は、予め定められた条件を満たす場合に、第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に目標動作点を設定する。 【選択図】図3,下面是燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法专利的具体信息内容。

燃料電池システムであって、 燃料電池と、 前記燃料電池に空気を供給するための空気供給流路と、 前記空気供給流路に空気を供給するためのターボコンプレッサと、 前記空気供給流路を介して前記燃料電池に供給される空気の流量および圧を調整するための少なくとも一つの弁と、 前記ターボコンプレッサに吐出させる空気の目標流量および目標圧力比として定まる目標動作点を設定し、前記目標動作点となるように前記ターボコンプレッサの回転数と前記弁の開度とを制御する制御部と、 を備え、 前記ターボコンプレッサは、前記ターボコンプレッサにサージングが生じる動作点の範囲であるサージング領域よりも高流量側に、同一回転数において前記ターボコンプレッサの圧力比を予め定めた量、変化させた場合に流量が変化した量が予め定められた値よりも大きい動作点の範囲である第1領域を有し、 前記制御部は、前記目標動作点を設定する際、予め定められた条件を満たす場合に、前記第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に前記目標動作点を設定する、 燃料電池システム。請求項1に記載の燃料電池システムであって、 前記制御部は、前記予め定められた条件として、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点に移行させるという条件を満たす場合に、前記第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に前記目標動作点を設定する、 燃料電池システム。請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムであって、 前記制御部は、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも高流量側の動作点に移行させる場合は、前記サージング領域との距離が予め定められた距離以内の動作点の範囲である第2領域よりも高流量側の範囲内に前記目標動作点を設定する、 燃料電池システム。請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、 前記制御部は、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量側の動作点へ移行させる場合は、前記ターボコンプレッサが吐出する空気の流量および圧力比として定まる運転動作点と前記サージング領域との距離が近いほど、前記ターボコンプレッサにおける単位時間当たりの前記目標流量の変化量を小さくする、 燃料電池システム。請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、 前記弁として、前記燃料電池内の空気を排出するための空気排出流路に設けられた調圧弁と、前記空気供給流路内の空気を、前記燃料電池を介することなく排出するためのバイパス流路に設けられたバイパス弁とを備え、 前記制御部は、前記燃料電池に供給される空気の流量が前記燃料電池の発電に要求される空気の流量より大きく、かつ、前記燃料電池に供給される空気の圧力が前記燃料電池の発電に要求される空気の圧力よりも大きい場合は、前記バイパス弁の開度を前記目標動作点に応じた開度よりも大きくさせる、 燃料電池システム。請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、 前記弁として、前記燃料電池内の空気を排出するための空気排出流路に設けられた調圧弁と、前記空気供給流路内の空気を、前記燃料電池を介することなく排出するためのバイパス流路に設けられたバイパス弁とを備え、 前記制御部は、前記ターボコンプレッサが吐出する空気の流量および圧力比として定まる運転動作点と前記サージング領域との距離が近いほど、前記調圧弁と前記バイパス弁との少なくとも一方の開度を、前記目標動作点に応じた開度よりも大きくさせる、 燃料電池システム。燃料電池に空気を供給するためのターボコンプレッサと、前記燃料電池に供給される空気の流量および圧力を調整するための少なくとも一つの弁とを備える燃料電池システムの制御方法であって、 前記ターボコンプレッサは、前記ターボコンプレッサにサージングが生じる動作点の範囲であるサージング領域よりも高流量側に、同一回転数において前記ターボコンプレッサの圧力比を予め定めた量、変化させた場合に流量が変化した量が予め定められた値よりも大きい動作点の範囲である第1領域を有し、 予め定められた条件を満たす場合に、前記第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に、前記ターボコンプレッサに吐出させる空気の目標流量および目標圧力比として定まる目標動作点を設定し、 前記目標動作点となるように前記ターボコンプレッサの回転数と、前記弁の開度とを制御する、 燃料電池システムの制御方法。

说明书全文

本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法に関する。

燃料電池システムに関して、例えば、特許文献1には、燃料電池の要求する空気流量及び空気圧とで定められるターボコンプレッサの要求動作点が、サージング領域に含まれる場合は、ターボコンプレッサの目標動作点をサージング領域に含まれない動作点にすることが開示されている。「サージング領域」とは、ターボコンプレッサにサージングが生じる動作点の範囲を意味する。

特開2009−123550号公報

ターボコンプレッサのサージング領域近傍には、ターボコンプレッサの回転数を変化させない状態において、圧の指令値をわずかに変化させただけで、流量が大きく変化する領域が存在する。このような領域では、ターボコンプレッサの実際の動作点を正確に制御することが難しい。そのため、目標動作点をサージング領域外に設定したとしても、ターボコンプレッサの実際の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまう可能性があった。

本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。

(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料電池と;前記燃料電池に空気を供給するための空気供給流路と;前記空気供給流路に空気を供給するためのターボコンプレッサと;前記空気供給流路を介して前記燃料電池に供給される空気の流量および圧力を調整するための少なくとも一つの弁と;前記ターボコンプレッサに吐出させる空気の目標流量および目標圧力比として定まる目標動作点を設定し、前記目標動作点となるように前記ターボコンプレッサの回転数と前記弁の開度とを制御する制御部と;を備える。前記ターボコンプレッサは、前記ターボコンプレッサにサージングが生じる動作点の範囲であるサージング領域よりも高流量側に、同一回転数において前記ターボコンプレッサの圧力比を予め定めた量、変化させた場合に流量が変化した量が予め定められた値よりも大きい動作点の範囲である第1領域を有し;前記制御部は、前記目標動作点を設定する際、予め定められた条件を満たす場合に、前記第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に前記目標動作点を設定する。 この形態の燃料電池システムによれば、第1領域よりも高流量側がターボコンプレッサの目標動作点として設定される。このため、圧力比のわずかな変化によって流量が大きく変化する領域を回避して目標動作点を設定することができ、ターボコンプレッサの動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

(2)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記予め定められた条件として、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点に移行させるという条件を満たす場合に、前記第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に前記目標動作点を設定してもよい。 この形態の燃料電池システムによれば、ターボコンプレッサの圧力比が目標圧力比に対して上振れしやすい低流量かつ低圧力比側へ目標動作点を移行させる際に、第1領域よりも高流量側がターボコンプレッサの目標動作点として設定される。このため、ターボコンプレッサの圧力比が目標圧力比に対して上振れすることによって、ターボコンプレッサの動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

(3)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも高流量側の動作点に移行させる場合は、前記サージング領域との距離が予め定められた距離以内の動作点の範囲である第2領域よりも高流量側の範囲内に前記目標動作点を設定してもよい。 この形態の燃料電池システムによれば、高流量側へ目標動作点を移行させる際は、サージング領域から高流量側に所定の距離が確保された第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点が設定される。このため、サージング領域近傍の動作点にてターボコンプレッサが運転されることを抑制でき、ターボコンプレッサの動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

(4)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量側の動作点へ移行させる場合は、前記ターボコンプレッサが吐出する空気の流量および圧力比として定まる運転動作点と前記サージング領域との距離が近いほど、前記ターボコンプレッサにおける単位時間当たりの前記目標流量の変化量を小さくしてもよい。 この形態の燃料電池システムによれば、ターボコンプレッサの運転動作点とサージング領域との距離が近いほどターボコンプレッサにおける単位時間当たりの目標流量の変化量が小さくされ、ターボコンプレッサの吐出する空気の流量と目標流量との間に誤差が生じることが抑制される。このため、ターボコンプレッサの動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことをより確実に抑制できる。

(5)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記弁として、前記燃料電池内の空気を排出するための空気排出流路に設けられた調圧弁と、前記空気供給流路内の空気を、前記燃料電池を介することなく排出するためのバイパス流路に設けられたバイパス弁とを備え、前記制御部は、前記燃料電池に供給される空気の流量が前記燃料電池の発電に要求される空気の流量より大きく、かつ、前記燃料電池に供給される空気の圧力が前記燃料電池の発電に要求される空気の圧力よりも大きい場合は、前記バイパス弁の開度を前記目標動作点に応じた開度よりも大きくさせてもよい。 この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池に供給される空気の流量が目標流量に対して上振れしており、かつ、燃料電池内の空気の圧力が目標圧力に対して上振れしている場合に、バイパス弁の開度が大きくされる。このため、燃料電池に対して過剰な流量の空気が供給されることを抑制しつつ、ターボコンプレッサの動作点をサージング領域から遠ざけることができる。

(6)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記弁として、前記燃料電池内の空気を排出するための空気排出流路に設けられた調圧弁と、前記空気供給流路内の空気を、前記燃料電池を介することなく排出するためのバイパス流路に設けられたバイパス弁とを備え、前記制御部は、前記ターボコンプレッサが吐出する空気の流量および圧力比として定まる運転動作点と前記サージング領域との距離が近いほど、前記調圧弁と前記バイパス弁との少なくとも一方の開度を、前記目標動作点に応じた開度よりも大きくさせてもよい。 この形態の燃料電池システムによれば、運転動作点とサージング領域との距離が近いほど、バイパス弁と調圧弁とのいずれか一方の開度が大きくされるので、運転動作点がサージング領域に近付くことが抑制される。このため、ターボコンプレッサの動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことをより確実に抑制できる。

本発明は、燃料電池システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池システムの制御方法や、燃料電池車両や、ターボコンプレッサのサージング抑制方法等の形態で実現することができる。

第1実施形態における燃料電池システムの概略構成を示す説明図。

ターボコンプレッサの性能特性を示す説明図。

第1実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャート。

低流量かつ低圧力比側へ移行させる際の目標動作点の軌跡を示す説明図。

高流量側へ移行させる際の目標動作点の軌跡を示す説明図。

第2実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャート。

サージング領域との距離に応じた補正ゲインの量を示す説明図。

補正後の目標動作点の軌跡と運転動作点の軌跡とを示す説明図。

第3実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャート。

第4実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャート。

サージング領域との距離に応じた比例ゲインの量を示す説明図。

A.第1実施形態 図1は、第1実施形態における燃料電池システム10の概略構成を示す説明図である。本実施形態の燃料電池システム10は、例えば、燃料電池車両に搭載され、燃料電池車両の駆動用モータを駆動させるための発電装置として用いられる。燃料電池システム10は、定置型の発電装置として用いてもよい。燃料電池システム10は、燃料電池100と、空気供給流路210と、ターボコンプレッサ213と、大気圧センサ211と、流量センサ212と、圧力センサ214と、空気排出流路220と、調圧弁221と、バイパス流路230と、バイパス弁231と、制御部300とを備えている。

本実施形態の燃料電池100は、固体高分子形の燃料電池である。燃料電池100は、複数のセルが積層したスタック構造を有する。各セルは、電解質膜の両面に電極触媒層を有する膜電極接合体と、膜電極接合体を挟持する一対のセパレータとを備えている。各セルは、膜電極接合体のアノード側に燃料ガスである素ガスが供給され、カソード側に酸化ガスである空気が供給されることにより、電気化学反応により起電力を発生する。各セル同士は、直列に接続されている。尚、燃料電池100には、燃料電池100を冷却するための冷媒が循環する冷却水流路が接続されていてもよい。

空気供給流路210は、燃料電池100のカソード側に空気を供給するための流路である。空気供給流路210には、上流側から、大気圧センサ211と、流量センサ212と、ターボコンプレッサ213と、圧力センサ214とが設けられている。

ターボコンプレッサ213は、空気供給流路210における上流側に配置されている。本実施形態のターボコンプレッサ213は、遠心式圧縮機である。ターボコンプレッサ213は、モータによって駆動される。ターボコンプレッサ213は、吸入側から大気中の空気を吸い込んで、ターボコンプレッサ213内に設けられた羽根車の回転によって空気を加圧し、吐出側から空気供給流路210に加圧された空気を供給する。尚、ターボコンプレッサ213として、軸流式圧縮機を用いてもよい。

大気圧センサ211は、空気供給流路210におけるターボコンプレッサ213よりも上流側に設けられている。大気圧センサ211は、大気圧を検知するためのセンサである。大気圧センサ211により取得された大気圧の情報は、制御部300に送信される。大気圧センサ211の取得する大気圧は、ターボコンプレッサ213の吸入側における空気圧に相当する。

流量センサ212は、空気供給流路210におけるターボコンプレッサ213よりも上流側に設けられている。流量センサ212は、空気供給流路210内に流入する空気量を検知するためのセンサである。流量センサ212により取得された空気量の情報は、制御部300に送信される。流量センサ212の取得する空気量は、ターボコンプレッサ213に吸入される空気量に相当する。

圧力センサ214は、空気供給流路210におけるターボコンプレッサ213よりも下流側に設けられている。圧力センサ214は、空気供給流路210内の空気圧を検知するためのセンサである。圧力センサ214により取得された空気圧の情報は、制御部300に送信される。圧力センサ214の取得する空気圧は、ターボコンプレッサ213の吐出側における空気圧に相当する。

空気排出流路220は、燃料電池100のカソード側から空気(カソードオフガス)を排出するための流路である。空気排出流路220には、調圧弁221が設けられている。

調圧弁221は、空気排出流路220の開度を調整することによって、燃料電池100に供給される空気量および空気圧を調整するための弁である。本実施形態では、調圧弁221として、バタフライバルブが用いられており、DCモータにより駆動される電動弁として構成されている。制御部300が、DCモータの駆動を制御することにより、調圧弁221の開度は制御される。

バイパス流路230は、空気供給流路210内の空気を、燃料電池100を介することなく排出するための流路である。本実施形態のバイパス流路230は、ターボコンプレッサ213と燃料電池100との間における空気供給流路210と、調圧弁221よりも下流側における空気排出流路220とを連通しており、空気排出流路220を介して空気を排出する。

バイパス弁231は、バイパス流路230に設けられている。バイパス弁231は、バイパス流路230の開度を調整することによって、燃料電池100に供給される空気量および空気圧を調整するための弁である。本実施形態では、バイパス弁231として、バタフライバルブが用いられており、DCモータにより駆動される電動弁として構成されている。制御部300が、DCモータの駆動を制御することにより、バイパス弁231の開度は制御される。

制御部300は、CPUと、メモリと、各部品が接続されるインターフェース回路とを備えたコンピュータとして構成されている。CPUは、メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、ターボコンプレッサ213に吐出させる空気の目標流量および目標圧力比として定まる目標動作点を設定し、目標動作点となるようにターボコンプレッサ213の回転数と、調圧弁221の開度と、バイパス弁231の開度とを制御する。

図2は、ターボコンプレッサ213の性能特性を示す説明図である。横軸は、ターボコンプレッサ213の吐出空気量を表している。縦軸は、ターボコンプレッサ213の圧力比を表している。「吐出空気量」とは、単位時間にターボコンプレッサ213から吐出される空気量を意味する。「圧力比」とは、ターボコンプレッサ213の吸入側の空気圧(吸入空気圧)に対する吐出側の空気圧(吐出空気圧)の比を意味する。尚、燃料電池システム10が大気圧の下で運転される場合、吸入空気圧は大気圧となるため、圧力比を吐出空気圧としてもよい。図2には、上から順に5つの圧力曲線La、Lb、Lc、Ld、Leを示している。同じ圧力曲線上では、ターボコンプレッサ213が駆動される回転数は同じである。図2の上側に位置する圧力曲線ほど、ターボコンプレッサ213の回転数は大きい。ターボコンプレッサ213の回転数が同一の線として表されるため、圧力曲線のことを「等回転数曲線」とも呼ぶ。また、ターボコンプレッサ213の吐出空気量および圧力比によって定まる、ターボコンプレッサ213の運転状態を表す点を、「動作点」と呼ぶ。

ターボコンプレッサ213の吐出空気量を低下させていくと、旋回失速等により空気を圧送できなくなるサージングが発生する。本明細書では、ターボコンプレッサ213にサージングが生じる動作点の範囲を「サージング領域」と呼ぶ。サージング領域に含まれない動作点の範囲の限界を表す線を「サージング限界線」と呼ぶ。サージング限界線は、吐出空気量を圧力曲線に沿って低流量側に減少させていき、サージングが発生しない限界の動作点を求め、これを複数の圧力曲線に対して行い、それぞれの圧力曲線ごとに求められたサージングが発生しない限界の動作点同士を結ぶことによって得られる。

ターボコンプレッサ213は、サージング領域よりも高流量側に「第1領域」を有する。第1領域は、同一回転数においてターボコンプレッサ213の圧力比を予め定めた量、変化させた場合に流量が変化した量が、予め定められた値よりも大きい動作点の範囲である。第1領域よりも高流量側で、第1領域に含まれない動作点の範囲の限界を表す線を「第1境界線」と呼ぶ。サージング領域と第1境界線とに囲まれた範囲が第1領域となる。本実施形態では、圧力比の変化量を1とした場合における流量の変化量の大きさが、1/6×105[NL/min]よりも大きい動作点の範囲を第1領域とする。この値は、予め行われる試験によって定めることができる。例えば、図2に示す動作点Aから、ターボコンプレッサ213を運転する際に駆動軸に作用させる最大の減速トルクによって、ターボコンプレッサ213の回転数を小さくさせ続けた際に、運転動作点がサージング領域に入るか否かを試験する。運転動作点がサージング領域に入る場合は、動作点Aは第1領域内の動作点であるとし、運転動作点がサージング領域に入らない場合は、動作点Aは第1領域外の動作点であるとする。この試験を複数の動作点に対して行うことで、第1領域を定めることができる。

ターボコンプレッサ213は、サージング領域よりも高流量側に「第2領域」を有する。第2領域は、サージング領域との距離が予め定められた距離以内の動作点の範囲である。第2領域よりも高流量側で、第2領域に含まれない動作点の範囲の限界を表す線を「第2境界線」と呼ぶ。サージング領域と第2境界線とに囲まれた範囲が第2領域となる。本実施形態では、「予め定められた距離」は、サージング限界線上における流量の10%に相当する距離とする。つまり、サージング限界線上における流量の10%に相当する距離だけ、サージング限界線を高流量側(図2における右側)に移動させた線が第2境界線となる。この距離は、大気圧センサ211と流量センサ212と圧力センサ214との精度や、調圧弁221とバイパス弁231との応答性等を考慮して設定することが好ましい。

本明細書では、燃料電池100の発電に要求される空気量および空気圧として定まるターボコンプレッサ213の動作点を「要求動作点」と呼ぶ。要求動作点は、燃料電池100の発電に要求される空気量(要求空気量)および空気圧(要求空気圧)に応じて変更される。制御部300は、例えば、ミリ秒オーダー間隔の制御タイミングごとに、要求動作点に応じて、ターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する。燃料電池システム10が燃料電池車両に搭載されている場合、燃料電池車両の運転者がアクセルを緩めると、燃料電池100に要求される発電電力が低下する。燃料電池100に要求される発電電力が低下することによって、要求空気量と要求空気圧とが低下し、要求動作点が変更される。

本明細書では、ターボコンプレッサ213が吐出する空気の流量および圧力比として定まる運転動作点を「運転動作点」と呼ぶ。運転動作点は、目標動作点に基づいてターボコンプレッサ213が実際に運転されている動作点である。本実施形態では、制御部300は、流量センサ212によって取得した空気量と、大気圧センサ211と圧力センサ214とによって取得した空気圧とを用いて、ターボコンプレッサ213の運転動作点を取得する。

図2には、目標動作点に基づいてターボコンプレッサが運転された際における運転動作点の軌跡の一例を表している。図2には、目標動作点の軌跡を破線で表しており、運転動作点の軌跡を実線で表している。第1領域の近傍の動作点である動作点Aにてターボコンプレッサ213が運転されている際に、動作点Aよりも低流量かつ低圧力比側である動作点Bに要求動作点が変更された場合、制御部300は、目標動作点を動作点Aから動作点Bに変更する。変更後の目標動作点に基づいて、制御部300は、ターボコンプレッサ213の回転数と調圧弁221の開度とバイパス弁231の開度とを制御する。この際、ターボコンプレッサ213の駆動や調圧弁221の開閉やバイパス弁231の開閉についての応答遅れに起因して、目標動作点と運転動作点との間にずれが生じる場合がある。特に、第1領域内では、図2に示すように、圧力比が目標に対してわずかに上振れすると、流量が目標に対して大幅に下振れし、運転動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、以下に説明する目標動作点移行処理を実行することにより、運転動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制する。

図3は、第1実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、要求動作点に応じてターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する際、制御部300によって実行される。まず、制御部300は、要求動作点に応じて、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点に移行させるか否かを判定する(ステップS110)。

目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点に移行させる場合(ステップS110:YES)、制御部300は、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS120)。より具体的には、要求動作点が第1領域よりも高流量側の動作点である場合、制御部300は、要求動作点どおりに目標動作点を設定する。要求動作点が第1領域内の動作点である場合、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じである第1境界線上の動作点に目標動作点を設定する。次に、制御部300は、ステップS120にて設定した目標動作点に基づいて、ターボコンプレッサ213の吐出空気量(ACP流量)の指令値を設定し、燃料電池100の発電に要求される空気量および空気圧に基づいて、燃料電池100に供給される空気量(FC流量)の指令値および燃料電池100内の空気圧(FC圧力)の指令値を設定する(ステップS140)。その後、制御部300は、設定した指令値に基づいて、ターボコンプレッサ213を駆動させ、ターボコンプレッサ213の吐出空気量と燃料電池100の発電に要求される空気量との差に相当する流量の空気がバイパス流路230を流れるように、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度とを操作し(ステップS150)、この処理を終了する。尚、ステップS150において、制御部300は、調圧弁221の開度を小さくすることによってバイパス流路230を流れる空気量を増加させてもよいし、バイパス弁231の開度を大きくすることによってバイパス流路230を流れる空気量を増加させてもよい。制御部300は、燃料電池100の発電に要求される空気量および空気圧を確保しつつ、調圧弁221の開度とバイパス弁231の開度とをバランスよく調整することが好ましい。

一方、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側でない動作点に移行させる場合(ステップS110:NO)、制御部300は、第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS130)。より具体的には、要求動作点が第2領域よりも高流量側の動作点である場合、制御部300は、要求動作点どおりに目標動作点を設定する。要求動作点が第2領域内の動作点である場合、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じである第2境界線上の動作点に目標動作点を設定する。次に、制御部300は、ステップS130にて設定した目標動作点に基づいて、ターボコンプレッサ213の吐出空気量(ACP流量)の指令値を設定し、燃料電池100の発電に要求される空気量および空気圧に基づいて、燃料電池100に供給される空気量(FC流量)の指令値および燃料電池100内の空気圧(FC圧力)の指令値を設定する(ステップS140)。その後、制御部300は、設定した指令値に基づいて、ターボコンプレッサ213を駆動させ、ターボコンプレッサ213の吐出空気量と燃料電池100の発電に要求される空気量との差に相当する流量の空気がバイパス流路230を流れるように、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度とを操作し(ステップS150)、この処理を終了する。

図4は、要求動作点が低流量かつ低圧力比側へ変更された際における目標動作点の軌跡の一例を示す説明図である。図4には、目標動作点移行処理を行った場合の目標動作点の軌跡を破線で表している。また、目標動作点移行処理を行わなかった場合の目標動作点の軌跡を二点鎖線で表している。要求動作点が動作点Aから、動作点Aよりも低流量かつ低圧力比側の動作点Bに変更された場合、動作点Bは第1領域よりも高流量側であるため、制御部300は、目標動作点を動作点Bに設定する。その後、要求動作点が動作点Bから、動作点Bよりも低流量かつ低圧力比側の動作点C1に変更された場合、動作点C1は第1領域内の動作点であるため、制御部300は、目標動作点を第1領域よりも高流量側の動作点C2に設定する。

図5は、要求動作点が高流量側へ変更された際における目標動作点の軌跡の一例を示す説明図である。図5には、目標動作点移行処理を行った場合の目標動作点の軌跡を破線で表している。また、目標動作点移行処理を行わなかった場合の目標動作点の軌跡を二点鎖線で表している。要求動作点が動作点Dから、動作点Dよりも高流量かつ高圧力比側の動作点Eに変更された場合、動作点Eは第2領域よりも高流量側であるため、制御部300は、目標動作点を動作点Eに設定する。その後、要求動作点が動作点Eから、動作点Eよりも高流量かつ高圧力比側の動作点F1に変更された場合、動作点F1は第2領域内の動作点であるため、制御部300は、目標動作点を第2領域よりも高流量側の動作点F2に設定する。

以上で説明した本実施形態の燃料電池システム10によれば、制御部300は、圧力比のわずかな変化によって流量が大きく変化する第1領域よりも高流量側に、ターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する。このため、圧力比のわずかな変化によって流量が大きく変化する第1領域を回避して目標動作点を設定することができ、ターボコンプレッサ213の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

また、本実施形態では、制御部300は、ターボコンプレッサ213の空気比が目標圧力比に対して上振れしやすい低流量かつ低圧力比側へ目標動作点を移行させる際に、第1領域よりも高流量側をターボコンプレッサ213の目標動作点として設定する。このため、圧力比のわずかな変化によって流量が大きく変化する第1領域において、ターボコンプレッサ213の圧力比が目標圧力比に対して上振れすることによって、ターボコンプレッサ213の吐出空気量が目標流量に対して大きく下振れし、ターボコンプレッサ213の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

また、本実施形態では、制御部300は、サージング領域から遠ざかる高流量側へ目標動作点を移行させる際は、サージング領域から高流量側に所定の距離(10%)が確保された第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点が設定される。このため、サージング領域近傍の動作点にてターボコンプレッサ213が運転されることを抑制でき、ターボコンプレッサ213の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことを抑制できる。

B.第2実施形態 第2実施形態では、燃料電池システム10の構成は第1実施形態(図1)と同じである。第2実施形態では、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量側の動作点へ移行させる場合は、運転動作点とサージング領域との距離が近いほど、制御部300が、ターボコンプレッサ213における単位時間当たりの目標流量の変化量を小さくすることが第1実施形態(図3)と異なる。

図6は、第2実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、要求動作点に応じてターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する際、制御部300によって実行される。まず、制御部300は、第1実施形態と同様に、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点へ移行させるか否かを判定する(ステップS210)。目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点へ移行させる場合(ステップS210:YES)、制御部300は、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS220)。一方、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側でない動作点に移行させる場合(ステップS210:NO)、制御部300は、第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定し(ステップS230)、処理をステップS260へ移行させる。

ステップS220の後、制御部300は、運転動作点が第1境界線よりも低流量側であるか否かを判定する(ステップS240)。運転動作点が第1境界線よりも低流量側である場合(ステップS240:YES)、制御部300は、後述するサージング領域との距離に応じた補正ゲイン(図7参照)を目標流量に乗じて、目標動作点を補正する(ステップS250)。一方、運転動作点が第1境界線よりも低流量側でない場合(ステップS240:NO)、制御部300は、処理をステップS260へ移行させる。

図7は、サージング領域との距離に応じた補正ゲインの量の一例を示す説明図である。横軸は、運転動作点とサージング領域との距離を表している。尚、本実施形態では、運転動作点とサージング領域との距離として、運転動作点での空気量と、運転動作点と同一圧力比のサージング限界線上の動作点での空気量との差を用いている。縦軸は、補正ゲインの量を表している。サージング限界線上における補正ゲインは0である。第1境界線上における補正ゲインは1である。補正ゲインは、サージング限界線上から第1境界線上に向かって線形に増加し、第1境界線よりも高流量側では補正ゲインは1である。つまり、運転動作点とサージング領域との距離が近いほど、ターボコンプレッサ213における単位時間当たりの目標流量の変化量は小さくされる。

図6に戻り、制御部300は、ステップS250もしくはステップS230にて設定した目標動作点に基づいて、ターボコンプレッサ213の吐出空気量(ACP流量)の指令値を設定し、燃料電池100の発電に要求される空気量および空気圧に基づいて、燃料電池100に供給される空気量(FC流量)の指令値および燃料電池100内の空気圧(FC圧力)の指令値を設定する(ステップS260)。制御部300は、設定した指令値に基づいて、ターボコンプレッサ213を駆動させ、ターボコンプレッサ213の吐出空気量と燃料電池100の発電に要求される空気量との差に相当する流量の空気がバイパス流路230を流れるように、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度とを操作し(ステップS270)、この処理を終了する。

図8は、動作点を低流量かつ低圧力比側の動作点へと移行させた場合における、補正後の目標動作点の軌跡の一例と運転動作点の軌跡の一例とを示す説明図である。図8には、目標動作点の軌跡を破線で表しており、運転動作点の軌跡を実線で表している。また、補正を行わなかった場合の目標動作点の軌跡を二点鎖線で表している。

ターボコンプレッサ213が動作点Pにて運転されている際に、要求動作点が動作点Pから動作点Q1に変更される。この際、現状の制御タイミングにおける運転動作点である動作点Pが、第1境界線よりも高流量側の範囲に含まれているため、制御部300は、目標動作点についての補正を行わずに動作点Q1を目標動作点に設定し、目標動作点である動作点Q1に基づいてターボコンプレッサ213を制御する。

次の制御タイミングにおいて、要求動作点が動作点Q1から動作点R1に変更される。この際、現状の制御タイミングにおける運転動作点である動作点Q2が、第1境界線よりも低流量側の範囲に含まれているため、制御部300は、目標流量に補正ゲインを乗じることによって目標動作点を動作点R1から動作点R3に補正する。そのため、目標動作点が補正されない場合(目標動作点が動作点R1とされる場合)に比べて、目標流量の変化量は小さくされる。

さらに次の制御タイミングにおいて、要求動作点が動作点R1から動作点Sに変更される。この際、現状の制御タイミングにおける運転動作点である動作点R2は、第1境界線よりも高流量側の範囲内に戻っているため、制御部300は、目標動作点についての補正を行わずに動作点Sを目標動作点に設定する。

以上で説明した本実施形態の燃料電池システム10では、運転動作点が第1境界線よりも低流量側の範囲に入った場合、運転動作点とサージング領域との距離が近いほどターボコンプレッサ213における単位時間当たりの目標流量の変化量が小さくされ、ターボコンプレッサ213の吐出空気量と目標流量との間に誤差が生じることが抑制される。このため、ターボコンプレッサ213の動作点が第1領域内に入ったとしても、サージング領域に入る前に第1領域よりも高流量側に戻すことができ、ターボコンプレッサ213の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことをより確実に抑制できる。

尚、本実施形態では、運転動作点が第1境界線よりも低流量側である場合に、目標流量を補正しているが、運転動作点が第2境界線よりも低流量側である場合に、目標流量を補正してもよいし、運転動作点とサージング領域との距離が予め定められた所定の距離以下になった場合に、目標流量を補正してもよい。

C.第3実施形態 第3実施形態では、燃料電池システム10の構成は第1実施形態(図1)と同じである。第3実施形態では、制御部300は、燃料電池100に供給される空気量が燃料電池100の発電に要求される空気量より大きく、かつ、燃料電池100に供給される空気圧が燃料電池100の発電に要求される空気圧よりも大きい場合は、バイパス弁231の開度を目標動作点に応じた開度よりも大きくさせることが第1実施形態(図3)と異なる。

図9は、第3実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、要求動作点に応じてターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する際、制御部300によって実行される。まず、制御部300は、第1実施形態(図3)と同様に、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点に移行させるか否かを判定する(ステップS310)。目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点に移行させる場合(ステップS310:YES)、制御部300は、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS320)。一方、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側でない動作点に移行させる場合(ステップS310:NO)、制御部300は、第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS330)。ステップS320もしくはステップS330の処理が行われた後、制御部300は、設定した目標動作点に基づいてターボコンプレッサ213の吐出空気量(ACP流量)と、燃料電池100に供給される空気量(FC流量)と、燃料電池100内の空気圧(FC圧力)との指令値を設定する(ステップS340)。

次に、制御部300は、燃料電池100に供給されている空気量と、燃料電池100内の空気圧とを取得し、燃料電池100に供給されている空気量が燃料電池100の発電に要求される空気量より大きく、かつ、燃料電池100に供給されている空気圧が燃料電池100の発電に要求される空気圧よりも大きいか否かを判定する(ステップS350)。本実施形態では、燃料電池100に供給されている空気圧は、圧力センサ214により取得した空気圧を用いる。また、燃料電池100に供給されている空気量は、空気供給流路210と空気排出流路220とバイパス流路230との流路抵抗を予め行われる試験等によって取得しておき、流量センサ212によって取得した空気量と各流路の流路抵抗とを用いて、計算によって推定する。

燃料電池100に供給されている空気量が燃料電池100の発電に要求される空気量より大きく、かつ、燃料電池100に供給されている空気圧が燃料電池100の発電に要求される空気圧よりも大きい場合(ステップS350:YES)、制御部300は、バイパス弁231の開度を目標動作点に応じた開度よりも大きくする(ステップS360)。より具体的には、ターボコンプレッサ213の吐出空気量と燃料電池100の発電に要求される空気量との差に相当する流量の空気がバイパス流路230を流れるように、制御部300は、バイパス弁231の開度の指令値についての補正を行う。この際に制御部300によって補正される指令値は、バイパス弁231の開度の指令値ではなく、バイパス弁231を駆動させるトルクの指令値や、バイパス弁231を駆動させるモータの電流の指令値であってもよい。一方、燃料電池100に供給されている空気量が燃料電池100の発電に要求される空気量より小さい、または、燃料電池100に供給されている空気圧が燃料電池100の発電に要求される空気圧よりも小さい場合(ステップS350:NO)、制御部300は、バイパス弁231の開度の指令値についての補正を行わず、処理をステップS370に移行させる。

その後、制御部300は、設定した指令値に基づいて、ターボコンプレッサ213の駆動と、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度とを操作し(ステップS370)、この処理を終了する。

以上で説明した本実施形態の燃料電池システム10では、燃料電池100に供給される空気量が目標流量に対して上振れしており、かつ、燃料電池100内の空気圧が目標圧力に対して上振れしている場合、上振れ分の流量の空気が燃料電池100を介さずにバイパス流路230から排出されるように、バイパス弁231の開度が大きくされる。このため、燃料電池100に対して過剰な流量の空気が供給されることを抑制しつつ、ターボコンプレッサ213の動作点をサージング領域から遠ざけることができる。

尚、本実施形態は、第1実施形態との組み合わせによるものとして説明したが、第2実施形態との組み合わせであってもよい。この場合、制御部300は、図6のステップS260の後に、図9のステップS350からステップS370の処理を行う。

D.第4実施形態 第4実施形態では、燃料電池システム10の構成は第1実施形態(図1)と同じである。第4実施形態では、制御部300は、ターボコンプレッサ213の運転動作点とサージング領域との距離が近いほど、調圧弁221とバイパス弁231との少なくとも一方の開度を、目標動作点に応じた開度よりも大きくさせることが第1実施形態(図3)と異なる。

図10は、第4実施形態における目標動作点移行処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、要求動作点に応じてターボコンプレッサ213の目標動作点を設定する際、制御部300によって実行される。まず、制御部300は、第1実施形態(図3)と同様に、制御部300は、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側の動作点へ移行させるか否かを判定する(ステップS410)。目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点へ移行させる場合(ステップS410:YES)、制御部300は、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS420)。一方、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側でない動作点へ移行させる場合(ステップS410:NO)、制御部300は、第2領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定する(ステップS430)。ステップS420もしくはステップS430の処理が行われた後、制御部300は、設定した目標動作点に基づいてターボコンプレッサ213の吐出空気量(ACP流量)と、燃料電池100に供給される空気量(FC流量)と、燃料電池100内の空気圧(FC圧力)との指令値を設定する(ステップS440)。

次に、制御部300は、運転動作点を取得し、運転動作点が第2境界線よりも低流量側であるか否かを判定する(ステップS450)。運転動作点が第2境界線よりも低流量側である場合(ステップS450:YES)、制御部300は、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度を大きくさせる(ステップS460)。より具体的には、制御部300は、後述するサージング領域との距離に応じた可変後の比例ゲイン(図11参照)を乗じることによって、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度の指令値についての補正を行う。この際に制御部300によって補正される指令値は、バイパス弁231の開度の指令値ではなく、バイパス弁231を駆動させるトルクの指令値や、バイパス弁231を駆動させるモータの電流の指令値であってもよい。一方、運転動作点が第2境界線よりも低流量側でない場合(ステップS450:NO)、制御部300は、調圧弁221とバイパス弁231との開度の指令値についての補正を行わずに、処理をステップS470へと移行させる。

図11は、サージング領域との距離に応じた比例ゲインの量を示す説明図である。横軸は、サージング領域からの距離を表している。尚、本実施形態では、運転動作点とサージング領域との距離として、運転動作点での空気量と、運転動作点と同一圧力比のサージング限界線上の動作点での空気量との差を用いている。縦軸は、比例ゲインの量を表している。サージング限界線上では、比例ゲインの量は補正を行わない場合に用いられる通常ゲインよりも大きい量の比例ゲインである可変後の比例ゲインとする。サージング限界線上から第2境界線上に向かうにつれて、比例ゲインの量は線形に減少し、第2境界線上では比例ゲインの量は通常ゲインと同じになる。調圧弁221の開度の指令値に対して可変後の比例ゲインを乗じて開度を大きくさせた場合、燃料電池100内の空気圧は低下し、ターボコンプレッサ213の圧力比は低下する。また、ターボコンプレッサ213の吐出空気量は増加し、燃料電池100に供給される空気量は増加する。一方、バイパス弁231の開度の指令値に対して可変後の比例ゲインを乗じて開度を大きくさせた場合、ターボコンプレッサ213の圧力比は低下する。また、ターボコンプレッサ213の吐出空気量は増加するが、燃料電池100に供給される空気量は減少する。したがって、調圧弁221の開度とバイパス弁231の開度とをバランスよく調整することが好ましい。

図10に戻り、制御部300は、設定した指令値に基づいて、ターボコンプレッサ213の駆動と、調圧弁221とバイパス弁231との少なくともいずれか一方の開度とを操作し(ステップS470)、この処理を終了する。

以上で説明した本実施形態の燃料電池システム10では、運転動作点とサージング領域との距離が近いほど、バイパス弁231と調圧弁221とのいずれか一方の開度が大きくされることによって、ターボコンプレッサ213の吐出空気量が増加させられるとともに、ターボコンプレッサ213の圧力比が低下させられ、運転動作点がサージング領域に近付くことが抑制される。このため、ターボコンプレッサ213の動作点が意図せずにサージング領域に入ってしまうことをより確実に抑制できる。

尚、本実施形態は、第1実施形態との組み合わせによるものとして説明したが、第2実施形態との組み合わせであってもよい。この場合、制御部300は、図6のステップS260の後に、図10のステップS450からステップS470の処理を行う。

本実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、さらに、第3実施形態を組み合わせてもよい。この場合、制御部300は、図6のステップS260の後に、図9のステップS350からステップS360の処理を行い、その後、図10のステップS450からステップS470の処理を行う。

E.他の実施形態1 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、制御部300は、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点に移行させるという所定の条件を満たす場合(図3、ステップS110:YES)、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定している。これに対して、制御部300は、常に、すなわち目標動作点を従前の目標動作点から移行させるという条件を満たす場合に、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定してもよい。

F.他の実施形態2 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、制御部300は、第1領域よりも高流量側の範囲内に目標動作点を設定している(ステップS120)。つまり、制御部300は、第1領域の全部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に目標動作点を設定している。これに対して、制御部300は、第1領域の少なくとも一部の領域よりも高流量側の動作点の範囲内に目標動作点を設定してもよい。例えば、制御部300は、第1境界線を所定の量、低流量側にオフセットした線よりも高流量側の動作点の範囲内に目標動作点を設定してもよいし、第1境界線とサージング領域との距離が遠くなる所定の圧力比よりも高圧力比側においては、第1境界線近傍の第1領域内に目標動作点を設定してもよい。つまり、目標動作点として制御部300が設定することができる動作点の範囲には、第1領域が含まれないことが好ましいが、第1領域の一部が含まれていてもよい。

G.他の実施形態3 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側である動作点に移行させる場合(図3、ステップS110:YES)、かつ、要求動作点が第1領域内の動作点である場合、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じである第1境界線上の動作点に目標動作点を設定している。これに対して、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じで、吐出空気量が第1境界線上の吐出空気量よりも大きい動作点に目標動作点を設定してもよい。また、目標動作点を従前の目標動作点よりも低流量かつ低圧力比側でない動作点に移行させる場合(図3、ステップS110:NO)、かつ、要求動作点が第2領域内の動作点である場合、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じである第2境界線上の動作点に目標動作点を設定している。これに対して、制御部300は、圧力比が要求動作点における圧力比と同じで、吐出空気量が第2境界線上の吐出空気量よりも大きい動作点に目標動作点を設定してもよい。

H.他の実施形態4 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、制御部300は、運転動作点とサージング領域との距離として、運転動作点での空気量と、運転動作点と同一圧力比のサージング限界線上の動作点での空気量との差を用いている。これに対して、制御部300は、運転動作点とサージング領域との距離として、運転動作点と同一空気量のサージング限界線上の動作点での圧力比と、運転動作点での圧力比との差を用いてもよいし、運転動作点と、運転動作点に最も近いサージング限界線上の動作点との距離を用いてもよいし、等回転数線上の距離を用いてもよい。また、現状の制御タイミングにおいてセンサによって取得した実測値を用いて運転動作点を取得しなくてもよく、前回の制御タイミングにおいて制御部300が設定した目標動作点を用いて推定してもよい。

I.他の実施形態5 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、バイパス流路230は、ターボコンプレッサ213と燃料電池100との間における空気供給流路210と、調圧弁221よりも下流側における空気排出流路220とを連通している。これに対して、バイパス流路230は、空気排出流路220を介さずに、大気と連通していてもよい。

J.他の実施形態6 上述した各実施形態において、燃料電池システム10は、大気圧センサ211を備えていなくてもよい。この場合、制御部300は、圧力比を算出する際における吸入空気圧として、大気圧センサ211によって取得した大気圧でなく、固定値(例えば、標準気圧)を用いる。

K.他の実施形態7 上述した各実施形態における燃料電池システム10では、流量センサ212は、空気供給流路210におけるターボコンプレッサ213よりも上流側に設けられており、燃料電池100に供給されている空気量は、流量センサ212によって取得した空気量と各流路の流路抵抗とを用いて、計算によって推定している。これに対して、流量センサ212は、空気供給流路210におけるターボコンプレッサ213よりも下流側であってバイパス流路230との接続部よりも上流側に設けられていてもよい。また、空気供給流路210におけるバイパス流路230との接続部と燃料電池100との間に、第2の流量センサを設け、第2の流量センサによって取得した空気量を、燃料電池100に供給されている空気量として用いてもよい。バイパス流路230に、第2の流量センサを設け、流量センサ212によって取得した空気量と、第2の流量センサによって取得した空気量との差によって、燃料電池100に供給されている空気量を取得してもよい。

本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

10…燃料電池システム 100…燃料電池 210…空気供給流路 211…大気圧センサ 212…流量センサ 213…ターボコンプレッサ 214…圧力センサ 220…空気排出流路 221…調圧弁 230…バイパス流路 231…バイパス弁 300…制御部

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