首页 / 专利库 / 燃料种类 / 燃料 / 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法

燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法

阅读:144发布:2024-01-10

专利汇可以提供燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】実現できない要求動作点でターボ式コンプレッサを動作させることを抑制する。 【解決手段】 燃料 電池システムは、燃料電池と、燃料電池に 酸化 ガスを供給するターボ式コンプレッサと、燃料電池内における酸化ガスの圧 力 を調節する調圧弁と、ターボ式コンプレッサと調圧弁との動作を制御する制御部とを備え、制御部は、目標流量と目標圧力比とによってターボ式コンプレッサの要求動作点を設定する際に、ターボ式コンプレッサから吐出可能な流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、目標圧力比を目標流量に対応する最小圧力比以上に設定し、ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値が、既設定動作特性における最小圧力比と相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する場合、実際の動作特性における圧力比の最小値を用いて、既設定動作特性における最小圧力比を更新する。 【選択図】図6,下面是燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法专利的具体信息内容。

燃料電池システムであって、 燃料電池と、 前記燃料電池に酸化ガスを供給するターボ式コンプレッサと、 前記燃料電池内における前記酸化ガスの圧を調節する調圧弁と、 少なくとも前記燃料電池への出力要求に応じて、前記ターボ式コンプレッサと前記調圧弁との動作を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、 前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの流量の目標値である目標流量と、前記ターボ式コンプレッサに吸入される前記酸化ガスの圧力に対する前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの圧力の比である圧力比の目標値である目標圧力比と、によって、前記ターボ式コンプレッサの要求動作点を設定し、 前記要求動作点の設定の際に、前記ターボ式コンプレッサから吐出可能な前記酸化ガスの流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、前記目標圧力比を、前記目標流量に対応する前記最小圧力比以上に設定し、 前記ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値が、前記既設定動作特性における前記最小圧力比と相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する場合、前記実際の動作特性における圧力比の最小値を用いて、前記既設定動作特性における前記最小圧力比を更新する、 燃料電池システム。請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、 前記制御部は、更新された前記最小圧力比を用いて、前記要求動作点の前記目標圧力比を再設定する、 燃料電池システム。請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、 前記圧力比を特定するための圧力センサと、前記流量を特定するための流量センサとをさらに備え、 前記制御部は、前記圧力センサの測定結果と前記流量センサの測定結果とを用いて、前記ターボ式コンプレッサの実際の前記圧力比と実際の前記流量とを示す動作点である実動作点を特定し、 前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開であり、かつ、前記要求動作点と前記実動作点とが一致しない、との条件である、 燃料電池システム。請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、 前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開であり、かつ、前記要求動作点と前記実動作点とが予め定められた時間以上一致しない、との条件である、 燃料電池システム。請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、 前記圧力比を特定するための圧力センサと、前記流量を特定するための流量センサとをさらに備え、 前記制御部は、前記圧力センサの測定結果と前記流量センサの測定結果とを用いて、前記ターボ式コンプレッサの実際の前記圧力比と実際の前記流量とを示す動作点である実動作点を特定し、 前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開でなく、かつ、前記実動作点の前記圧力比が前記既設定動作特性における前記最小圧力比と一致する、との条件である、 燃料電池システム。請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、 前記ターボ式コンプレッサから前記燃料電池へと前記酸化ガスを供給する流路である酸化ガス供給流路と、 前記燃料電池から前記酸化ガスを排出する流路である酸化ガス排出流路と、 前記酸化ガス供給流路と前記酸化ガス排出流路とを連通させるバイパス流路と、 前記バイパス流路を開閉するバイパス弁と、 をさらに備え、 前記予め定められた条件は、前記バイパス弁の開度が変更された、との条件である、 燃料電池システム。請求項6に記載の燃料電池システムにおいて、 前記予め定められた条件は、前記バイパス弁が全閉状態から開かれた、との条件である、 燃料電池システム。燃料電池と、前記燃料電池に酸化ガスを供給するターボ式コンプレッサと、前記燃料電池内における前記酸化ガスの圧力を調節する調圧弁と、を有する燃料電池システムの制御方法であって、 前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの流量の目標値である目標流量と、前記ターボ式コンプレッサに吸入される前記酸化ガスの圧力に対する前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの圧力の比である圧力比の目標値である目標圧力比と、によって、前記ターボ式コンプレッサの要求動作点を設定する工程であって、前記ターボ式コンプレッサから吐出可能な前記酸化ガスの流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、前記目標圧力比を、前記目標流量に対応する前記最小圧力比以上に設定する工程と、 前記ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値が、前記既設定動作特性における前記最小圧力比と相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する場合、前記実際の動作特性における圧力比の最小値を用いて、前記既設定動作特性における前記最小圧力比を更新する工程と、 を備える、燃料電池システムの制御方法。

说明书全文

本発明は、燃料電池システムに関する。

従来から、コンプレッサを用いて燃料電池に酸化ガスを供給する燃料電池システムが知られている。燃料電池の出要求等に基づいて、コンプレッサに対して圧力比と流量とを示す要求動作点が設定されることがある。特許文献1に記載の燃料電池システムでは、低流量時に発生するおそれがあるサージングを回避するために、要求動作点がサージ領域内となる場合には、流量を増加させるとともに過剰な酸化ガスをバイパス流路に流している。

特開2009−123550号公報

本願発明者らは、ターボ式コンプレッサを用いた燃料電池システムでは、特許文献1において考慮されていたサージ領域とは別に、コンプレッサの動作点を目標動作点に制御できない運転領域が存在することを見出した。かかる領域は、高流量・低圧力比の運転領域である。ターボ式コンプレッサでは、流量を増やすと下流側の流路での圧損が増加するため、高流量領域では、それ以上、低圧力比にできないという圧力比の最小値(下限値)が存在する。コンプレッサから燃料電池へと酸化ガスを供給する流路または燃料電池から酸化ガスを排出する流路に設けられた弁が全開状態のとき、動作点の流量に対する圧力比の値が最小値(下限値)となる。このため、圧力比が下限値を下回る要求動作点は、弁の開度の変更で実現することができない。また、圧力比を低下させるためにコンプレッサの回転数を下げると、流量も低下してしまうので、要求動作点の流量と圧力比とを同時に満たすことができない。このように、要求動作点の圧力比が、かかる要求動作点の流量に対する圧力比の最小値よりも小さい場合には、コンプレッサが要求動作点を実現できないおそれがあることを、本願発明者らは見出した。

本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。

(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料電池と;前記燃料電池に酸化ガスを供給するターボ式コンプレッサと;前記燃料電池内における前記酸化ガスの圧力を調節する調圧弁と;少なくとも前記燃料電池への出力要求に応じて、前記ターボ式コンプレッサと前記調圧弁との動作を制御する制御部と;を備え;前記制御部は;前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの流量の目標値である目標流量と、前記ターボ式コンプレッサに吸入される前記酸化ガスの圧力に対する前記ターボ式コンプレッサから吐出される前記酸化ガスの圧力の比である圧力比の目標値である目標圧力比と、によって、前記ターボ式コンプレッサの要求動作点を設定し;前記要求動作点の設定の際に、前記ターボ式コンプレッサから吐出可能な前記酸化ガスの流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、前記目標圧力比を、前記目標流量に対応する前記最小圧力比以上に設定し;前記ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値が、前記既設定動作特性における前記最小圧力比と相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する場合、前記実際の動作特性における圧力比の最小値を用いて、前記既設定動作特性における前記最小圧力比を更新する。

この形態の燃料電池システムによれば、要求動作点の設定の際に、ターボ式コンプレッサから吐出可能な酸化ガスの流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、目標圧力比を目標流量に対応する最小圧力比以上に設定するので、実現できない要求動作点でターボ式コンプレッサを動作させることを抑制できる。したがって、実現できない要求動作点でターボ式コンプレッサを動作させ続けて燃料電池システムの性能を損なうことを抑制できる。例えば、要求動作点と実際の動作点との偏差に対して、少なくとも比例項および積分項を含むフィードバック制御を行なう場合には、フィードバック積分項の蓄積を抑制できる。このため、要求動作点を変更する際に制御が遅れることを抑制できる。

加えて、ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値が、既設定動作特性における最小圧力比と相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する場合、実際の動作特性における圧力比の最小値を用いて、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、実現できない要求動作点でターボ式コンプレッサを動作させることをさらに抑制できる。このため、例えば、要求動作点と実際の動作点との偏差に対して、少なくとも比例項および積分項を含むフィードバック制御を行なう場合には、フィードバック積分項の蓄積をさらに抑制でき、要求動作点を変更する際に制御が遅れることをさらに抑制できる。また、要求動作点の目標圧力比がターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値に対して過度に大きく設定されることを抑制でき、燃費の悪化を抑制できる。また、予め定められた条件が成立する場合に既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、かかる条件の成否に関わらず既設定動作特性における最小圧力比を更新する構成と比較して、制御部における処理に要する負荷が増加することを抑制できる。

(2)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、更新された前記最小圧力比を用いて、前記要求動作点の前記目標圧力比を再設定してもよい。この形態の燃料電池システムによれば、更新された最小圧力比を用いて要求動作点の目標圧力比を再設定するので、要求動作点の目標圧力比を、実際の動作特性における最小圧力比にでき、実現できない要求動作点でターボ式コンプレッサを動作させることをさらに抑制できる。

(3)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記圧力比を特定するための圧力センサと、前記流量を特定するための流量センサとをさらに備え;前記制御部は、前記圧力センサの測定結果と前記流量センサの測定結果とを用いて、前記ターボ式コンプレッサの実際の前記圧力比と実際の前記流量とを示す動作点である実動作点を特定し;前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開であり、かつ、前記要求動作点と前記実動作点とが一致しない、との条件であってもよい。この形態の燃料電池システムによれば、調圧弁が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが一致しない場合に、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、既設定動作特性における最小圧力比と実際の動作特性における最小圧力比とが相違する可能性が高い適切な場合に既設定動作特性における最小圧力比を更新できる。

(4)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開であり、かつ、前記要求動作点と前記実動作点とが予め定められた時間以上一致しない、との条件であってもよい。この形態の燃料電池システムによれば、調圧弁が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが予め定められた時間以上一致しない場合に、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、ハンチングを抑制できる。

(5)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記圧力比を特定するための圧力センサと、前記流量を特定するための流量センサとをさらに備え;前記制御部は、前記圧力センサの測定結果と前記流量センサの測定結果とを用いて、前記ターボ式コンプレッサの実際の前記圧力比と実際の前記流量とを示す動作点である実動作点を特定し;前記予め定められた条件は、前記調圧弁が全開でなく、かつ、前記実動作点の前記圧力比が前記既設定動作特性における前記最小圧力比と一致する、との条件であってもよい。この形態の燃料電池システムによれば、調圧弁が全開でなく、かつ、実動作点の圧力比が既設定動作特性における最小圧力比と一致する場合に、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、既設定動作特性における最小圧力比と実際の動作特性における最小圧力比とが相違する可能性が高い適切な場合に既設定動作特性における最小圧力比を更新できる。また、要求動作点の目標圧力比がターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値に対して過度に大きく設定されることを抑制でき、燃費の悪化を抑制できる。

(6)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記ターボ式コンプレッサから前記燃料電池へと前記酸化ガスを供給する流路である酸化ガス供給流路と;前記燃料電池から前記酸化ガスを排出する流路である酸化ガス排出流路と;前記酸化ガス供給流路と前記酸化ガス排出流路とを連通させるバイパス流路と;前記バイパス流路を開閉するバイパス弁と;をさらに備え;前記予め定められた条件は、前記バイパス弁の開度が変更された、との条件であってもよい。この形態の燃料電池システムによれば、バイパス弁の開度が変更された場合に、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、既設定動作特性における最小圧力比と実際の動作特性における最小圧力比とが相違する可能性が高い適切な場合に既設定動作特性における最小圧力比を更新できる。また、要求動作点の目標圧力比がターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値に対して過度に大きく設定されることを抑制でき、燃費の悪化を抑制できる。

(7)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記予め定められた条件は、前記バイパス弁が全閉状態から開かれた、との条件であってもよい。この形態の燃料電池システムによれば、バイパス弁が全閉状態から開かれた場合に、既設定動作特性における最小圧力比を更新するので、既設定動作特性における最小圧力比と実際の動作特性における最小圧力比とが相違する可能性が高い適切な場合に既設定動作特性における最小圧力比を更新できる。

本発明は、燃料電池システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池システムの制御方法、燃料電池システムを備える車両等の形態で実現することができる。

燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。

エアコンプレッサの動作特性を説明するための説明図である。

要求動作点設定処理の手順を示すフローチャートである。

ステップS140の結果を説明するための説明図である。

最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。

ストールラインの推定を説明するための説明図である。

第2実施形態における最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。

第2実施形態におけるストールラインの推定を説明するための説明図である。

第3実施形態における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。

第3実施形態における最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。

バイパス弁が開いている場合におけるストールラインを説明するための説明図である。

A.第1実施形態: A−1.燃料電池システムの構成: 図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池システム10の概略構成を示す説明図である。燃料電池システム10は、駆動用電源を供給するためのシステムとして、図示しない燃料電池車両に搭載されている。燃料電池システム10は、燃料電池車両の駆動モータおよびエアコンプレッサ50等の負荷に、電力を供給する。

燃料電池システム10は、燃料電池20と、酸化ガス給排系30と、燃料ガス給排系70と、制御ユニット90とを備える。

燃料電池20は、燃料電池システム10の電力源であり、いわゆる固体高分子型燃料電池により構成されている。燃料電池20は、燃料ガスおよび酸化ガスの供給を受けて発電する。燃料電池20は、固体高分子型燃料電池に代えて、固体酸化物型燃料電池等の他の任意のタイプの燃料電池により構成されてもよい。燃料電池20は、図示しない複数の単セルが積層されたスタック構造を有する。各単セルは、図示しない電解質膜の両面に電極を配置した図示しない膜電極接合体と、膜電極接合体を挟持する図示しない1組のセパレータとを有する。燃料電池20を構成する各単セルには、電解質膜を介して、燃料ガスが供給されるアノード22と、酸化ガスが供給されるカソード24とが形成されている。図1では、1つの単セルのアノード22とカソード24とのみが模式的に表されている。

酸化ガス給排系30は、酸化ガスとしての空気を燃料電池20に供給し、排出する。酸化ガス給排系30は、大気圧センサ61と、酸化ガス供給流路32と、エアクリーナ42と、エアフローメータ62と、エアコンプレッサ50と、圧力センサ63と、流量センサ64と、酸化ガス排出流路34と、調圧弁54と、カソード圧力センサ65と、マフラー48と、バイパス流路36と、バイパス弁56とを有する。

酸化ガス供給流路32は、燃料電池20へと供給される空気の流路を構成している。大気圧センサ61は、酸化ガス供給流路32の入口に配置され、大気圧を検出する。エアクリーナ42は、酸化ガス供給流路32に配置され、空気を取り込む際に塵埃を除去する。エアフローメータ62は、エアクリーナ42に取り込まれた空気の流量を検出する。

エアコンプレッサ50は、制御部98からの指令に応じて、空気を圧縮して燃料電池20へと送出する。エアコンプレッサ50は、図示しない回転体が筐体内で回転することで空気を圧縮する、いわゆるターボ式エアコンプレッサとして構成されている。エアコンプレッサ50としては、例えば、インペラが回転して圧縮を行う遠心式のコンプレッサや、動翼(ロータ)が回転して圧縮を行う軸流式のコンプレッサを用いてもよい。インペラ等の回転体は、図示しないモータによって駆動される。したがって、かかるモータへの印加電圧や電流を調整することで、回転体の回転数を制御してエアコンプレッサ50の駆動を制御できる。

圧力センサ63は、エアコンプレッサ50の下流側に配置され、酸化ガス供給流路32におけるエアコンプレッサ50の出口圧力を測定する。流量センサ64は、酸化ガス供給流路32において、バイパス流路36との接続点Aよりも燃料電池20の近くに配置されている。流量センサ64は、燃料電池20に供給される空気の流量を測定する。

酸化ガス排出流路34は、燃料電池20から排出されるカソード排ガスの流路を構成している。調圧弁54は、酸化ガス排出流路34において、バイパス流路36との接続点Bよりも燃料電池20の近くに配置されている。調圧弁54は、制御部98からの指令に応じて開度が変更されることにより、カソード24の圧力を調節する。カソード24の圧力は、調圧弁54の開度が大きいほど低下し、調圧弁54の開度が小さいほど上昇する。カソード圧力センサ65は、酸化ガス排出流路34において、調圧弁54と燃料電池20との間に配置されている。カソード圧力センサ65は、カソード24の圧力を検出する。マフラー48は、酸化ガス排出流路34において、バイパス流路36との接続点Bよりも下流側に配置されている。マフラー48は、カソード排ガスの排気音を低減させる。

バイパス流路36は、酸化ガス供給流路32と酸化ガス排出流路34とを連通する。バイパス流路36は、接続点Aにおいて酸化ガス供給流路32と接続され、接続点Bにおいて酸化ガス排出流路34と接続されている。バイパス弁56は、バイパス流路36に配置され、制御部98からの指示に応じて開度が変更されることにより、バイパス流路36を流れる空気の流量を調節する。したがって、エアコンプレッサ50から吐出された空気は、バイパス弁56の開度に応じて、一部がバイパス流路36に流入して燃料電池20を経由せずに酸化ガス排出流路34から大気へと排出される。バイパス弁56が閉じられている場合には、エアコンプレッサ50から吐出された空気は全て燃料電池20に供給される。バイパス弁56は、通常閉じられており、制御部98からの指令に応じて開かれる。

燃料ガス給排系70は、素タンク71から供給される燃料ガスとしての水素を、燃料電池20に供給し、排出する。燃料ガス給排系70は、水素タンク71と、燃料ガス供給流路72と、タンク圧力センサ73と、主止弁74と、アノード調圧弁75と、インジェクタ76と、アノード圧力センサ77と、燃料ガス排出流路82と、気液分離器83と、循環配管84と、水素ポンプ85と、排気排水弁86とを有する。

水素タンク71は、高圧の水素を貯蔵している。燃料ガス供給流路72は、水素タンク71から燃料電池20へと供給される水素の流路を構成している。タンク圧力センサ73は、水素タンク71の圧力を検出する。主止弁74、アノード調圧弁75、インジェクタ76およびアノード圧力センサ77は、燃料ガス供給流路72において、水素タンク71に近い側からこの順序で配置されている。主止弁74は、制御部98からの指示に応じて、水素タンク71からの水素の供給をオンオフする。アノード調圧弁75は、燃料電池20に供給する水素の圧力を調節する。インジェクタ76は、電磁駆動式の開閉弁により構成され、制御部98によって設定された駆動周期や開弁時間に応じて駆動し、水素を噴射する。アノード圧力センサ77は、燃料ガス供給流路72において循環配管84との接続部位よりも燃料電池20の近くに配置され、アノード22の圧力を検出する。

燃料ガス排出流路82は、燃料電池20から排出されるアノード排ガスの流路を構成している。燃料ガス排出流路82の出口は、酸化ガス排出流路34のうちバイパス流路36との接続点Bよりも下流側と接続されている。気液分離器83は、燃料ガス排出流路82に配置され、燃料電池20から排出された液水混じりのアノード排ガスから液水を分離する。循環配管84は、気液分離器83と、燃料ガス供給流路72のインジェクタ76よりも燃料電池20側とを接続している。水素ポンプ85は、循環配管84に配置され、電気化学反応に用いられなかった水素を含むアノード排ガスを燃料ガス供給流路72に循環させる。排気排水弁86は、燃料ガス排出流路82において気液分離器83の下流側に配置されている。排気排水弁86は、通常閉じられており、制御部98からの指令に応じて開かれる。これにより、気液分離器83によって分離された液水や不純物ガスが、燃料電池システム10の外部へと排出される。

制御ユニット90は、ECU(Electronic Control Unit)で構成され、記憶装置91と、CPU97とを備える。記憶装置91は、ROM92およびRAM95等の記録媒体で構成されている。ROM92には、制御プログラム93、コンプレッサマップ94および偏差閾値テーブル96が格納されている。CPU97は、制御プログラム93を展開して実行することにより、制御部98として機能する。コンプレッサマップ94は、エアコンプレッサ50の動作特性を示すマップとして、予め作成されている。偏差閾値テーブル96は、後述する制御偏差の閾値を示すテーブルとして、予め作成されている。コンプレッサマップ94および偏差閾値テーブル96についての詳細な説明は、後述する。

制御部98は、燃料電池システム10の全体の制御を行なう。制御部98には、大気圧センサ61、エアフローメータ62、圧力センサ63、流量センサ64、カソード圧力センサ65、タンク圧力センサ73およびアノード圧力センサ77等のセンサ類と、調圧弁54、バイパス弁56、主止弁74、アノード調圧弁75、インジェクタ76および排気排水弁86等の各種弁がそれぞれ有する図示しない開度センサとの、燃料電池システム10が有する各種センサに加えて、燃料電池車両の図示しないアクセル開度センサや車速センサ等から検出信号が入力される。また、制御部98は、調圧弁54、バイパス弁56、主止弁74、アノード調圧弁75、インジェクタ76および排気排水弁86等の各種弁と、エアコンプレッサ50および水素ポンプ85等とに駆動信号を出力し、各部の動作を制御する。また、制御部98は、後述する要求動作点設定処理と最小圧力比更新処理とを実行する。

図2は、エアコンプレッサ50の動作特性を説明するための説明図である。図2において、縦軸はエアコンプレッサ50の圧力比を示し、横軸はエアコンプレッサ50から吐出される空気流量(以下、単に「流量」とも呼ぶ)を示している。エアコンプレッサ50の圧力比とは、エアコンプレッサ50に吸入される空気の圧力に対する、エアコンプレッサ50から吐出される空気の圧力の比を意味する。本実施形態において、エアコンプレッサ50に吸入される空気の圧力は、大気圧センサ61により検出された大気圧に近似する。また、本実施形態において、エアコンプレッサ50から吐出される空気の圧力は、圧力センサ63により検出されたエアコンプレッサ50の出口圧力に相当する。

図2では、バイパス弁56が閉じている状態におけるエアコンプレッサ50の動作特性を示している。ターボ式エアコンプレッサであるエアコンプレッサ50の動作特性とは、エアコンプレッサ50の回転体の回転数(以下、単に「回転数」とも呼ぶ)と調圧弁54の開度とによって定まる、圧力比と流量との関係を意味する。図2では、回転数を一定にして調圧弁54の開度を変化させた場合の動作点を示す複数の黒点を結んだ等回転数ラインL1が示されている。動作点を示す複数の黒点は、図1に示す燃料電池システム10において予め測定されて求められている。図2に示すように、エアコンプレッサ50の圧力比と流量とは、互いに依存する。圧力比は、調圧弁54の開度が大きいほど小さくなり、回転数が大きいほど大きくなる。また、流量は、調圧弁54の開度が大きいほど増加し、回転数が大きいほど増加する。調圧弁54の開度が比較的小さい場合には、流量の変化に対する圧力比の変化が比較的小さい。

図2では、回転数が異なる複数の等回転数ラインL1に加えて、最大回転数ラインL2と、最大圧力比ラインL3と、サージラインL4と、ストールラインL5とが示されている。図2では、等回転数ラインL1をストールラインL5よりも下側に延長した線を、破線で示している。

最大回転数ラインL2は、エアコンプレッサ50の仕様に応じて定められる最大の回転数における等回転数ラインを意味する。最大圧力比ラインL3は、エアコンプレッサ50の仕様に応じて定められる最大の圧力比を意味する。このため、最大圧力比ラインL3は、流量に関わらず一定となる。サージラインL4は、低流量時に発生するおそれがあるサージングを回避するために、予め定められている。サージラインL4よりも左側は、サージ領域とも呼ばれ、サージングが発生するおそれがある領域を意味する。サージングが発生すると、エアコンプレッサ50に極度の衝撃が加わるおそれや、流量の調整が困難となるおそれがある。サージラインL4は、図1に示す燃料電池システム10において予め測定されて求められている。

ストールラインL5は、調圧弁54が全開状態の場合における、動作点を示す複数のプロットを結んで形成されている。ストールラインL5よりも下側は、調圧弁54の開度の上限を超えるため、エアコンプレッサ50が実現することのできない動作領域である。ストールラインL5は、図1に示す燃料電池システム10において予め測定されて求められている。ストールラインL5は、燃料電池20や酸化ガス供給流路32等の各部における空気流量から算出される圧損値に基づいて、予め定められてもよい。すなわち、ストールラインL5は、エアコンプレッサ50の動作特性における、流量に対する圧力比の最小値である最小圧力比を意味する。

図2では、最大回転数ラインL2と、最大圧力比ラインL3と、サージラインL4と、ストールラインL5とで囲まれた領域を、エアコンプレッサ50の動作可能領域Ar1として、ドットのハッチングで示している。図1に示すコンプレッサマップ94には、動作可能領域Ar1内の各点、すなわち圧力比と流量との組み合わせが、エアコンプレッサ50の動作特性として予め定められている。また、コンプレッサマップ94には、等回転数ラインL1、最大回転数ラインL2、最大圧力比ラインL3、サージラインL4およびストールラインL5のそれぞれを表す式が、予め定められている。

本実施形態の燃料電池システム10では、制御部98が、以下に説明する要求動作点設定処理を実行することにより、エアコンプレッサ50に対して指令する動作点である要求動作点を、エアコンプレッサ50の動作可能領域Ar1内に設定する。

本実施形態において、エアコンプレッサ50は、課題を解決するための手段におけるターボ式コンプレッサの下位概念に相当し、圧力センサ63は、課題を解決するための手段における圧力センサの下位概念に相当する。また、コンプレッサマップ94は、課題を解決するための手段における既設定動作特性の下位概念に相当し、ストールラインL5は、課題を解決するための手段における、既設定動作特性における最小圧力比の下位概念に相当する。

A−2.要求動作点設定処理: 図3は、要求動作点設定処理の手順を示すフローチャートである。要求動作点設定処理は、燃料電池車両の図示しないスタータースイッチが押されて燃料電池システム10が起動すると繰り返し実行される。

制御部98は、燃料電池20が要求する空気の流量および圧力比を受信する(ステップS110)。燃料電池20が要求する空気の流量および圧力比とは、アクセル開度センサおよび車速センサ等による検出信号に応じた、燃料電池20の出力要求に基づいて定められる。制御部98は、エアコンプレッサ50から吐出される空気の流量の目標値である目標流量と、エアコンプレッサ50による圧縮の前後の圧力比の目標値である目標圧力比とによって、要求動作点を設定する(ステップS120)。このとき、制御部98は、流量センサ64により測定される流量と、カソード圧力センサ65により測定される圧力から特定される圧力比とに基づいてフィードバック制御を行なって、目標流量および目標圧力比と、実際の流量および圧力比との制御偏差が解消できるように要求動作点を設定する。本実施形態では、フィードバック制御として、PID(Proportional Integral Differential)制御を用いる。PID制御では、動作点の制御偏差に応じた比例項、制御偏差の積分項、制御偏差の微分項を含んだ制御量により制御する。なお、PID制御に代えて、少なくとも比例項および積分項を含むフィードバック制御を用いてもよい。

制御部98は、ステップS120で設定された要求動作点の目標圧力比が、設定された要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比よりも小さいか否かを判定する(ステップS130)。より具体的には、制御部98は、ストールラインL5が予め設定されたコンプレッサマップ94を参照することにより、ステップS120で設定された要求動作点がストールラインL5よりも下側に位置するか否かを判定する。

要求動作点の目標圧力比が、設定された要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比よりも小さくないと判定された場合(ステップS130:NO)、すなわち、要求動作点の目標圧力比が最小圧力比以上であると判定された場合、ステップS110に戻る。したがって、この場合、制御部98は、ステップS120で設定された要求動作点の目標流量および目標圧力比となるように、調圧弁54の開度とエアコンプレッサ50の回転数とを制御する。より具体的には、調圧弁54に対して、かかる要求動作点に対応する開度にさせる指令を出力するとともに、エアコンプレッサ50に対して、かかる要求動作点に対応する回転数で動作させる指令を出力する。これにより、調圧弁54は、指令された開度となり、エアコンプレッサ50は、目標流量および目標圧力比で燃料電池20のカソード24へ空気を供給する。

他方、要求動作点の目標圧力比が、設定された要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比よりも小さいと判定された場合(ステップS130:YES)、制御部98は、ステップS120で設定された要求動作点の目標圧力比を、設定された要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比に増加させる(ステップS140)。ステップS140の後、ステップS110に戻る。

図4は、ステップS140の結果を説明するための説明図である。図4では、図2に対して、ステップS120で設定された要求動作点P1を星印で示し、ステップS140により最小圧力比に増加させた要求動作点P2を大きい丸印で示している。ステップS120で設定された要求動作点P1は、ストールラインL5よりも下側に位置している。したがって、ステップS140において、要求動作点は、ステップS120で設定された要求動作点P1からストールラインL5上の要求動作点P2に変更される。このため、要求動作点が、エアコンプレッサ50の動作可能領域Ar1内に設定される。制御部98は、ステップS140で変更した要求動作点P2の目標流量および目標圧力比となるように、調圧弁54の開度とエアコンプレッサ50の回転数とを制御する。より具体的には、調圧弁54に対して、かかる要求動作点P2に対応する開度、すなわち全開の開度にさせる指令を出力するとともに、エアコンプレッサ50に対して、かかる要求動作点P2に対応する回転数で動作させる指令を出力する。これにより、調圧弁54は全開の開度となり、エアコンプレッサ50は、目標流量および目標圧力比で燃料電池20のカソード24へ空気を供給する。

A−3.最小圧力比更新処理: 図5は、最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。最小圧力比更新処理は、要求動作点設定処理の実行時に、繰り返し実行される。

予め定められたストールラインL5とエアコンプレッサ50の実際のストールライン(以下、「実ストールライン」とも呼ぶ)とは、エアコンプレッサ50等を構成する部品の製造誤差により、ずれることが起こり得る。また、外気温や外気圧等の環境変動、および燃料電池20内の水分量に起因する圧損値の変動等によっても、予め定められたストールラインL5と実ストールラインとがずれることが起こり得る。このため、本実施形態の最小圧力比更新処理では、予め定められたストールラインL5と実ストールラインとが相違することが想定される場合に、ストールラインL5を更新する。

制御部98は、調圧弁54の開度を取得する(ステップS210)。調圧弁54の開度は、調圧弁54が有する図示しない開度センサにより検出される。制御部98は、調圧弁54が全開であるか否かを判定する(ステップS220)。本実施形態では、調圧弁54が全開であるか否かは、調圧弁54の現在の開度が、調圧弁54が全開であることを示す予め定められた閾値開度以上であるか否かにより判定される。したがって、かかる閾値の設定次第では、ステップS220における「全開」とは、調圧弁54が実現可能な最大の開度よりもわずかに小さい開度を意味することもある。

調圧弁54が全開でないと判定された場合(ステップS220:NO)、ステップS210に戻る。他方、調圧弁54が全開であると判定された場合(ステップS220:YES)、制御部98は、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS230)。制御偏差が発生している場合には、エアコンプレッサ50に対して指令された要求動作点と、実動作点とが一致していないこととなる。本実施形態において、圧力比の制御偏差の閾値と、流量の制御偏差の閾値とは、それぞれ制御偏差の上限値として予め定められて、偏差閾値テーブル96としてROM92に格納されている。このため、制御部98は、ステップS230において、偏差閾値テーブル96を参照することにより、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上であるか否かを判定する。

圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上でないと判定された場合(ステップS230:NO)、すなわち、制御偏差が閾値未満である場合、ステップS210に戻る。この場合、制御偏差は、発生していない、または許容範囲内である。

他方、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上であると判定された場合(ステップS230:YES)、制御部98は、要求動作点設定処理で設定または変更された要求動作点と、エアコンプレッサ50の実際の動作点である実動作点とを特定する(ステップS240)。このとき、制御部98は、大気圧センサ61および圧力センサ63の測定結果を用いて現在の実際の圧力比を特定するとともに、流量センサ64の測定結果を用いて現在の実際の流量を特定することによって、実動作点を特定する。

エアコンプレッサ50は、燃料電池システム10の運転中、要求動作点設定処理により設定または変更された要求動作点で動作している。また、調圧弁54が全開である場合とは、要求動作点がストールラインL5上に設定または変更されていることを意味する。したがって、調圧弁54が全開である場合、エアコンプレッサ50の実際の動作点である実動作点は、ストールラインL5上の要求動作点と一致することが期待される。しかしながら、ステップS230において、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上であると判定された場合(ステップS230:YES)、要求動作点と実動作点とが一致していないので、予め定められたストールラインL5が実ストールラインと相違することが想定される。このため、制御部98は、ステップS240の後、ストールラインの推定を実行する(ステップS250)。

図6は、ストールラインの推定を説明するための説明図である。図6は、図4のうちストールラインに関する部分を抜き出して示すとともに、実動作点P3を白抜きの四印で示し、後述する再設定された要求動作点P4を白抜きの丸印で示している。また、図6では、実ストールラインL6を破線で示し、推定された推定ストールラインL7を太い実線で示している。図6に示す例では、白抜きの矢印で示すように、要求動作点が、要求動作点設定処理のステップS120で設定された要求動作点P1から、ステップS140によって、ストールラインL5上の要求動作点P2に変更されている。

図6において、実ストールラインL6は、予め定められたストールラインL5よりも上側に位置している。この場合、エアコンプレッサ50は、実ストールラインL6よりも下側では動作できず、ストールラインL5上の要求動作点P2を実現できない。したがって、実動作点P3が要求動作点P2と一致せず、制御偏差が発生する。

図5に示すステップS250において、制御部98は、ステップS240で特定された実動作点P3に基づいてストールラインを推定する。このとき、制御部98は、ストールラインモデル式を用いて、ストールラインを推定する。ストールラインモデル式は、予め定められているコンプレッサマップ94に含まれており、例えば、下記式(1)によって表される。 P=a×Qb ・・・(1) 上記式(1)において、Pは圧力比を、Qは流量を、aは第1のストールライン係数を、bは第2のストールライン係数を、それぞれ示している。第1のストールライン係数および第2のストールライン係数は、予め定められている。第2のストールライン係数は、1.0以上の任意の固定値である。

制御部98は、ストールラインモデル式に、実動作点P3の圧力比および流量を当てはめることにより、第1のストールライン係数を推定し、ストールラインを推定する。図6では、推定されたストールラインである推定ストールラインL7が示されている。

図5に示すように、制御部98は、最小圧力比を更新する(ステップS260)。より具体的には、予め定められたストールラインL5を、推定ストールラインL7に更新する。すなわち、本実施形態において制御部98は、調圧弁54が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが一致しない場合に、最小圧力比を更新する。ステップS260の後、ステップS210に戻る。

制御部98は、最小圧力比更新処理によって更新された最小圧力比を用いて、要求動作点設定処理を実行する。このため、図6に示す例では、黒塗りの矢印で示すように、要求動作点が、予め定められたストールラインL5上の要求動作点P2から、推定ストールラインL7上の要求動作点P4に再設定されている。制御部98は、最小圧力比更新処理によって最小圧力比が更新された場合に、更新された最小圧力比を用いて要求動作点を直ちに再設定してもよい。

本実施形態において、実ストールラインL6は、課題を解決するための手段における、ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値の下位概念に相当する。また、推定ストールラインL7は、課題を解決するための手段における、更新された最小圧力比の下位概念に相当する。

以上説明した本実施形態の燃料電池システム10によれば、要求動作点設定処理において、設定された要求動作点の目標圧力比が、要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比よりも小さい場合に、要求動作点の目標圧力比を最小圧力比に増加させるので、エアコンプレッサ50が実現できない動作領域内に要求動作点が設定されることを抑制でき、実現できない要求動作点でエアコンプレッサ50を動作させることを抑制できる。したがって、実現できない要求動作点でエアコンプレッサ50を動作させ続けて燃料電池システム10の性能を損なうことを抑制できる。

ここで、要求動作点がストールラインL5よりも下側に設定されたままだと、調圧弁54が全開であるために要求動作点を実現できず、要求動作点と実動作点との差によって制御偏差が発生する。すなわち、実動作点の圧力比が要求動作点の目標圧力比よりも大きいと、圧力比を低下させるために既に全開状態の調圧弁54をさらに開こうとするので、調圧弁54を開く側に制御するフィードバック積分項が蓄積する。

しかしながら、本実施形態の燃料電池システム10によれば、設定された要求動作点の目標圧力比が、要求動作点の目標流量に対応する最小圧力比よりも小さい場合に、要求動作点の目標圧力比を最小圧力比に増加させるので、調圧弁54が全開の開度となることにより要求動作点を実現でき、フィードバック積分項の蓄積を抑制できる。したがって、燃料電池20の出力要求等に基づいて要求動作点をさらに変更する際に、かかるフィードバック積分項の蓄積によって制御が遅れることを抑制できる。

また、調圧弁54を閉じる側に動作させる制御が遅れることを抑制できるので、燃料電池20の要求流量に対して流量が過剰となることと、燃料電池20の要求圧力に対して圧力が不足することとを抑制できる。このため、カソード24の圧力が低下することを抑制できるので、燃料電池20の膜電極接合体の乾燥を抑制でき、燃料電池20の発電性能が低下することを抑制できる。

また、ステップS120で設定された要求動作点に対し、目標流量を変更せずに目標圧力比のみを変更するので、燃料電池20が要求する流量を実現できなくなることを抑制でき、燃料電池20の出力要求を満たせなくなることを抑制できる。また、ステップS120で設定された要求動作点に対し、目標圧力比を最小圧力比(ストールラインL5)に増加させるので、目標圧力比を、最小圧力比(ストールラインL5)を超えて過度に増加させることを抑制でき、燃費の悪化を抑制できる。また、予め定められたコンプレッサマップ94を参照することにより、要求動作点の目標圧力比を最小圧力比に増加させるので、CPU97の処理負荷が増加することを抑制できる。

また、本実施形態の燃料電池システム10によれば、最小圧力比更新処理を実行するので、エアコンプレッサ50の実ストールラインL6が、予め定められたストールラインL5と相違すると判断すべき場合に、ストールラインL5を更新できる。このため、実現できない要求動作点でエアコンプレッサ50を動作させることをさらに抑制できる。したがって、制御偏差が発生することをさらに抑制でき、フィードバック積分項の蓄積をさらに抑制できる。このため、燃料電池20の出力要求等に基づいて要求動作点を変更する際に、かかるフィードバック積分項の蓄積によって制御が遅れることをさらに抑制できる。

また、実ストールラインL6と予め定められたストールラインL5とが相違すると判断すべき場合にのみストールラインL5を更新するので、かかる場合に関わらずストールラインL5を更新する構成と比較して、CPU97の処理負荷が増加することを抑制できる。また、調圧弁54が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが一致しない場合に、ストールラインL5を更新するので、実ストールラインL6と予め定められたストールラインL5とが相違する可能性が高い適切な場合にストールラインL5を更新できる。また、更新された最小圧力比を用いて要求動作点を再設定するので、要求動作点の目標圧力比を実ストールラインL6上に設定でき、フィードバック積分項の蓄積をより抑制できる。

B.第2実施形態: 図7は、第2実施形態における最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の燃料電池システム10は、最小圧力比更新処理において、第1実施形態の燃料電池システム10と異なる。第2実施形態における最小圧力比更新処理は、ステップS220およびステップS230に代えて、ステップS320およびステップS330が実行される点と、ステップS210がステップS320の後に実行される点と、ステップS240が省略される点と、ステップS250の具体的な処理内容とにおいて、第1実施形態の最小圧力比更新処理と異なる。装置構成を含めたその他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。

第2実施形態の最小圧力比更新処理では、まず、制御部98は、ストールラインガードが作動したか否かを判定する(ステップS320)。ストールラインガードとは、要求動作点設定処理のステップS130がYESでステップS140が実行されて、ストールラインL5上に要求動作点が引き上げられることを意味する。ストールラインガードが作動していないと判定された場合(ステップS320:NO)、ステップS320に戻る。

他方、ストールラインガードが作動したと判定された場合(ステップS320:YES)、制御部98は、調圧弁54の開度を取得する(ステップS210)。制御部98は、調圧弁54が非全開であるか否かを判定する(ステップS330)。調圧弁54が非全開であるか否かは、調圧弁54の現在の開度が、調圧弁54が全開であることを示す予め定められた閾値開度未満であるか否かにより判定されてもよい。調圧弁54が非全開でないと判定された場合(ステップS330:NO)、ステップS320に戻る。

他方、調圧弁54が非全開であると判定された場合(ステップS330:YES)、制御部98は、ストールラインを推定する(ステップS250)。

図8は、第2実施形態におけるストールラインの推定を説明するための説明図である。図8において破線で示す実ストールラインL6は、予め定められたストールラインL5よりも下側に位置している。実ストールラインL6とストールラインL5との相違は、エアコンプレッサ50や酸化ガス供給流路32を形成する配管等の、構成部品の製造誤差等に起因して発生する。このような場合、ストールラインガードによって、予め定められたストールラインL5上に増加された要求動作点P2の目標圧力比は、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における最小圧力比(実ストールラインL6)に対して過度に大きい。このため、最小圧力比が更新されない場合、ストールラインガードの作動により、実動作点P3の圧力比は、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における最小圧力比(実ストールラインL6)に対して過度に大きくなってしまう。

図7に示すステップS250において、制御部98は、ステップS210で取得された調圧弁54の開度とストールラインモデル式とを用いて、ストールラインを推定する。ストールラインモデル式は、例えば、上記式(1)によって表される。

制御部98は、上記式(1)においてaで示される第1のストールライン係数を、例えば、下記式(2)を用いて補正する。 a[t+1]=a[t]−k×(θo−θ) ・・・(2) 上記式(2)において、tは演算周期を、kは補正ゲインを、θoは調圧弁54の全開開度を、θは調圧弁54の現在開度を、それぞれ示している。すなわち、上記式(2)における「θo−θ」は、調圧弁54の制御偏差を表している。補正ゲインは、補正の程度を示す係数を意味し、1.0以下の任意の固定値として予め定められている。補正ゲインの数値が大きいほど、補正量が大きくなる。

制御部98は、ストールラインモデル式に、補正された第1のストールライン係数を当てはめることにより、ストールラインを推定する。図8では、推定されたストールラインである推定ストールラインL7を、太い実線で示している。

制御部98は、最小圧力比を更新する(ステップS260)。より具体的には、予め定められたストールラインL5を、推定ストールラインL7に更新する。図8に示す例では、黒塗りの矢印で示すように、要求動作点が、予め定められたストールラインL5上の要求動作点P2から、推定ストールラインL7上の要求動作点P4に再設定されている。

以上説明した第2実施形態の燃料電池システム10によれば、第1実施形態の燃料電池システム10と同様な効果を奏する。加えて、要求動作点の目標圧力比が、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における最小圧力比(実ストールラインL6)に対して過度に大きく設定されることを抑制できるので、燃費の悪化を抑制できる。また、ストールラインガードが作動した時にのみストールラインL5を更新するので、CPU97の処理負荷が増加することを抑制できる。また、部品の製造誤差等を想定して複数のストールラインL5を予め定めて記憶させておくことを省略できるので、ROM92の容量を削減できる。

C.第3実施形態: 図9は、第3実施形態における燃料電池システム10aの概略構成を示す説明図である。図10は、第3実施形態における最小圧力比更新処理の手順を示すフローチャートである。第3実施形態の燃料電池システム10aは、圧損モデルマップ99がさらに記憶されている点と、最小圧力比更新処理の手順とにおいて、第2実施形態の燃料電池システム10と異なる。第3実施形態における最小圧力比更新処理は、ステップS210、ステップS330、ステップS250およびステップS260に代えて、ステップS420、ステップS430、ステップS440およびステップS450が実行される点において、第2実施形態の最小圧力比更新処理と異なる。燃料電池システム10aのその他の構成は第2実施形態の燃料電池システム10と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。

図9に示すように、第3実施形態の燃料電池システム10aの制御ユニット90aにおいて、記憶装置91aのROM92aには、偏差閾値テーブル96に代えて、予め作成された圧損モデルマップ99が格納されている。圧損モデルマップ99には、図9においてそれぞれ破線で示す燃料電池側経路R1とバイパス側経路R2とにおけるそれぞれの圧損値と、図9において一点鎖線で示す排気管側経路R3における圧損値とが、予め実験により求められて定められている。各経路R1、R2、R3における圧損値は、その時の流量に応じてそれぞれ変動する。燃料電池側経路R1とは、エアコンプレッサ50の出口から、接続点A、燃料電池20および調圧弁54を経由した接続点Bまでの経路を意味している。バイパス側経路R2とは、エアコンプレッサ50の出口から、接続点A、バイパス流路36およびバイパス弁56を経由した接続点Bまでの経路を意味している。排気管側経路R3とは、酸化ガス排出流路34において接続点Bよりも下流側の経路を意味している。

図10に示すように、第3実施形態の最小圧力比更新処理において、制御部98は、ストールラインガードが作動したか否かを判定する(ステップS320)。ストールラインガードが作動していないと判定された場合(ステップS320:NO)、ステップS320に戻る。

他方、ストールラインガードが作動したと判定された場合(ステップS320:YES)、制御部98は、バイパス弁56の開度を取得する(ステップS420)。バイパス弁56の開度は、バイパス弁56が有する図示しない開度センサにより検出される。制御部98は、バイパス弁56が開いているか否かを判定する(ステップS430)。バイパス弁56が開いていない、すなわちバイパス弁56が閉じていると判定された場合(ステップS430:NO)、ステップS320に戻る。

他方、バイパス弁56が開いていると判定された場合(ステップS430:YES)、制御部98は、燃料電池側経路R1およびバイパス側経路R2の、それぞれの最小圧損値を推定する(ステップS440)。

図11は、バイパス弁56が開いている場合におけるストールラインを説明するための説明図である。バイパス弁56が開いている場合、エアコンプレッサ50から送出される空気は、燃料電池側経路R1だけでなく、バイパス側経路R2にも流れることとなる。このため、図11において破線で示す実ストールラインL6は、予め定められたストールラインL5よりも下側に位置することとなる。したがって、ストールラインガードによって、予め定められたストールラインL5上に増加された要求動作点P2の目標圧力比は、バイパス弁56が開いている場合、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における最小圧力比に対して過度に大きい。このため、最小圧力比が更新されない場合、ストールラインガードの作動により、実動作点P3の圧力比は、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における最小圧力比に対して過度に大きくなってしまう。

バイパス弁56は、通常閉じられており、制御部98からの指令に応じて開かれる。バイパス弁56は、例えば、サージングを回避するために、エアコンプレッサ50の要求動作点の目標流量を増加させる場合に開かれる。この場合、バイパス弁56を開くことにより、燃料電池20への流量を変えずに、エアコンプレッサ50の要求動作点の目標流量を増加させることができる。また、バイパス弁56は、燃料電池システム10が備える図示しない二次電池の満充電時に、回生電力を補機駆動によって消費させるために、補機の1つであるエアコンプレッサ50の回転数を上昇させる場合に開かれる。また、バイパス弁56は、水素の希釈を目的として開かれる。水素の希釈は、燃料電池システム10aの停止時にアノード22に残留する水素がクロスリークによりカソード24に移動したために、燃料電池システム10aの起動直後にカソード24の水素濃度が比較的高い状態である場合や、排気排水弁86が開かれた場合等に実行される。

本実施形態では、ステップS440において、要求動作点の目標流量と圧損モデルマップ99とを用いて、最小圧損値をそれぞれ推定する。燃料電池側経路R1の最小圧損値は、調圧弁54が全開である場合に要求動作点の目標流量の空気を流した時の燃料電池側経路R1に発生する圧損値に相当し、バイパス側経路R2の最小圧損値は、バイパス弁56が全開である場合に要求動作点の目標流量の空気を流した時のバイパス側経路R2に発生する圧損値に相当する。

制御部98は、燃料電池側経路R1の最小圧損値とバイパス側経路R2の最小圧損値とのうち、大きい方の値に基づいて、最小圧力比を更新する(ステップS450)。より具体的には、燃料電池側経路R1の最小圧損値とバイパス側経路R2の最小圧損値とのうち大きい方の値に、要求動作点の目標流量を流した時に排気管側経路R3に発生する圧損値を加えて最小圧損値の合計値を算出し、算出された合計値を圧力比に換算して最小圧力比とする。圧力比への換算は、例えば、かかる合計値に大気圧を加えた値を、大気圧で除することにより求めることができる。図11では、ステップS450によって更新された最小圧力比を示す最小圧力比ラインL8を、太い実線で示している。最小圧力比ラインL8は、エアコンプレッサ50の動作点の流量に関わらず一定となる。図11に示す例では、黒塗りの矢印で示すように、要求動作点が、予め定められたストールラインL5上の要求動作点P2から、最小圧力比ラインL8上の要求動作点P4に再設定されている。最小圧力比ラインL8上の要求動作点P4は、実ストールラインL6上に位置することとなる。

本実施形態において、最小圧力比ラインL8は、課題を解決するための手段における、ターボ式コンプレッサの実際の動作特性における圧力比の最小値の下位概念と、更新された最小圧力比の下位概念とに相当する。

以上説明した第3実施形態の燃料電池システム10aによれば、第2実施形態の燃料電池システム10と同様な効果を奏する。加えて、バイパス弁56が全閉状態から開かれた場合に最小圧力比を更新するので、ストールラインL5と実ストールラインL6とが異なる状況を適切に判断できる。また、バイパス弁56が全閉状態から開かれた場合にのみ最小圧力比を更新するので、CPU97の処理負荷が増加することを抑制できる。

D.他の実施形態: (1)上記実施形態の要求動作点設定処理では、予め定められたコンプレッサマップ94を参照することにより、要求動作点を変更していたが、本発明はこれに限定されるものではない。コンプレッサマップ94の参照に代えて、燃料電池システム10、10aの運転中における各種センサの検出信号に基づいて、ストールラインL5を算出して特定してもよい。例えば、調圧弁54が全開のタイミングにおける圧力センサ63および流量センサ64の検出信号に基づいて、1つまたは複数の動作点を特定し、各動作点の流量と圧力比とをモデル式に当てはめることにより、ストールラインL5を特定してもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。加えて、記憶装置91のROM92の容量を削減できる。また、エアコンプレッサ50等を構成する部品の製造誤差、外気温、外気圧および燃料電池20内の水分量に起因する圧損値の変動等に応じてストールラインL5を特定できるので、ストールラインL5の誤差を抑制できる。また、例えば、予め作成されたルックアップテーブル等を用いることにより、当初からストールラインL5上に要求動作点を設定してもよく、最小圧力比以上に要求動作点を設定してもよい。すなわち一般には、要求動作点の設定の際に、エアコンプレッサ50から吐出可能な空気の流量に対して実現可能な圧力比の最小値である最小圧力比が予め設定された既設定動作特性を用いて、目標圧力比を目標流量に対応する最小圧力比以上に設定してもよい。また、例えば、制御部98は、燃料電池20の出力要求に加えて、低温時や水素希釈時に要求されるエアコンプレッサ50の回転数に応じてエアコンプレッサ50と調圧弁54との動作を制御してもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(2)上記実施形態のコンプレッサマップ94の縦軸は、エアコンプレッサ50の圧力比であったが、圧力比に代えて、エアコンプレッサ50から吐出される空気の圧力であってもよく、圧損値であってもよい。かかる構成では、エアコンプレッサ50から吐出される空気の圧力または圧損値に基づいてエアコンプレッサ50の圧力比を算出し、かかる圧力比の目標値である目標圧力比と目標流量とを示す要求動作点を設定してもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(3)上記実施形態の最小圧力比更新処理は、あくまで一例であり、種々変更可能である。第1実施形態では、実ストールラインL6がストールラインL5よりも上側に位置する場合に、第2実施形態では、実ストールラインL6がストールラインL5よりも下側に位置する場合に、第3実施形態では、バイパス弁56が開かれている場合に、それぞれ最小圧力比を更新していたが、これらの場合に限らず、既設定動作特性における最小圧力比(ストールラインL5)と、エアコンプレッサ50の実際の動作特性における圧力比の最小値(実ストールラインL6)と、が相違すると判断すべき予め定められた条件が成立する任意の場合に、最小圧力比を更新してもよい。また、各実施形態の最小圧力比更新処理を並列に実行してもよく、ストールラインL5と実ストールラインL6とが相違すると判断すべき予め定められた複数の条件のうちの少なくとも1つが成立する場合に、最小圧力比を更新してもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(4)上記実施形態において、制御部98は、最小圧力比更新処理によって最小圧力比が更新された場合に、更新された最小圧力比を用いて要求動作点を直ちに再設定していたが、次の要求動作点設定処理から、更新された最小圧力比を用いるようにしてもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(5)第1実施形態の最小圧力比更新処理では、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が閾値以上である場合に、ストールラインを推定して最小圧力比を更新していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、圧力比または流量のうちの少なくとも一方の制御偏差が、予め定められた閾値時間以上発生している場合に、ストールラインを推定して最小圧力比を更新してもよい。かかる構成によれば、ハンチングを抑制できる。すなわち一般には、調圧弁54が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが一致しない場合に、最小圧力比を更新してもよく、また、調圧弁54が全開であり、かつ、要求動作点と実動作点とが予め定められた時間以上一致しない場合に、最小圧力比を更新してもよい。かかる構成によっても、第1実施形態と同様な効果を奏する。

(6)第2実施形態の最小圧力比更新処理では、ストールラインガード作動時に調圧弁54が全開でない場合に、ストールラインを推定して最小圧力比を更新していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ストールラインガード作動時に限らず、要求動作点の圧力比が予め定められたストールラインL5と一致する場合に、ストールラインを推定して最小圧力比を更新してもよい。換言すると、調圧弁54が全開でなく、かつ、要求動作点設定処理のステップS120において要求動作点が予め定められたストールラインL5上に設定された場合に、ストールラインを推定して最小圧力比を更新してもよい。すなわち一般には、調圧弁54が全開でなく、かつ、実動作点の圧力比が既設定動作特性における最小圧力比(ストールラインL5)と一致する場合に、最小圧力比を更新してもよい。かかる構成によっても、第2実施形態と同様な効果を奏する。

(7)第3実施形態の最小圧力比更新処理では、ストールラインガード作動時にバイパス弁56が開いている場合に、最小圧力比を更新していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ストールラインガード作動時に限らず、バイパス弁56が全閉状態から開かれた場合に、最小圧力比を更新してもよい。また、例えば、第3実施形態の最小圧力比更新処理によって最小圧力比が更新された後に、さらにバイパス弁56の開度が変更された場合に、最小圧力比更新処理によって最小圧力比をさらに更新してもよい。すなわち一般には、バイパス弁56の開度が変更された場合に、最小圧力比を更新してもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(8)上記実施形態の燃料電池システム10、10aの構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、燃料電池システム10、10aにおいて、調圧弁54は、酸化ガス排出流路34に配置されていたが、酸化ガス排出流路34に代えて、酸化ガス供給流路32に配置されていてもよい。また、例えば、燃料電池システム10、10aは、燃料電池20の温度を所定範囲に保つために、燃料電池20を冷却する冷媒循環系をさらに備えていてもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

(9)上記実施形態において、燃料電池システム10、10aは、燃料電池車両に搭載されて用いられていたが、車両に代えて船舶やロボット等の他の任意の移動体に搭載されてもよく、定置型燃料電池として用いられてもよい。かかる構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。

本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

10、10a…燃料電池システム 20…燃料電池 22…アノード 24…カソード 30…酸化ガス給排系 32…酸化ガス供給流路 34…酸化ガス排出流路 36…バイパス流路 42…エアクリーナ 48…マフラー 50…エアコンプレッサ 54…調圧弁 56…バイパス弁 61…大気圧センサ 62…エアフローメータ 63…圧力センサ 64…流量センサ 65…カソード圧力センサ 70…燃料ガス給排系 71…水素タンク 72…燃料ガス供給流路 73…タンク圧力センサ 74…主止弁 75…アノード調圧弁 76…インジェクタ 77…アノード圧力センサ 82…燃料ガス排出流路 83…気液分離器 84…循環配管 85…水素ポンプ 86…排気排水弁 90、90a…制御ユニット 91、91a…記憶装置 92、92a…ROM 93…制御プログラム 94…コンプレッサマップ 95…RAM 96…偏差閾値テーブル 97…CPU 98…制御部 99…圧損モデルマップ A、B…接続点 Ar1…動作可能領域 L1…等回転数ライン L2…最大回転数ライン L3…最大圧力比ライン L4…サージライン L5…ストールライン L6…実ストールライン L7…推定ストールライン L8…最小圧力比ライン P1…要求動作点 P2…要求動作点 P3…実動作点 P4…要求動作点 R1…燃料電池側経路 R2…バイパス側経路 R3…排気管側経路

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈