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光学測定装置及び光学測定方法

阅读:138发布:2024-02-26

专利汇可以提供光学測定装置及び光学測定方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】効果的にノイズを除去して強度が微小な 信号 を感度よく検出する。【解決手段】光学測定装置は、 光源 と、前記光源からの光をプローブ光と参照光に分割する第1光学素子と、前記プローブ光を試料に導く第1パスと、時間軸上で前記参照光と前記プローブ光間に相対的な遅延を与えるように光路長が調整された前記参照光の第2パスと、前記試料を照射した前記プローブ光と、前記光路長が調整された前記参照光をひとつの共通の検出素子で検出して検出信号を出 力 する検出器と、前記検出信号のうち、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号にそれぞれ逆の符号を適用して平衡化を行い、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号の差分を前記試料の測定結果として出力する平衡器と、を有する。,下面是光学測定装置及び光学測定方法专利的具体信息内容。

光源と、 前記光源からの光をプローブ光と参照光に分割する第1光学素子と、 前記プローブ光を試料に導く第1パスと、 時間軸上で前記参照光と前記プローブ光の間に相対的な遅延を与えるように光路長が調整された前記参照光の第2パスと、 前記試料を照射した前記プローブ光と、前記光路長が調整された前記参照光をひとつの共通の検出素子で検出して検出信号を出する検出器と、 前記検出信号のうち、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号にそれぞれ逆の符号を適用して平衡化を行い、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号の差分を前記試料の測定結果として出力する平衡器と、 を有することを特徴とする光学測定装置。前記平衡器は、 前記検出信号に、前記光源からの光に同期する±1の振幅の方形波を乗算する乗算器、 を有し、前記乗算結果により前記差分を得ることを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。前記平衡器は、 前記方形波にバイアスを印加するバイアス源、 をさらに有し、 前記バイアスにより前記プローブ光と前記参照光の検出強度比を調整することを特徴とする請求項2に記載の光学測定装置。前記平衡器は、 前記光源からの光の波数に同期する正弦波信号の位相を調整する位相シフタと、 前記検出信号に、前記位相が調整された前記正弦波信号を乗算する乗算器と、 を有し、前記乗算結果により前記差分を得ることを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。前記平衡器は、前記乗算器の出力の直流成分を前記位相シフタにフィードバックさせるフィードバック系を有し、前記フィードバックを用いて、前記プローブ光と前記参照光の検出強度比を平衡させることを特徴とする請求項4に記載の光学測定装置。前記検出器と前記平衡器の間に挿入される共振器 をさらに有し、前記検出信号のうち特定の帯域の周波数成分が前記平衡器に入力されることを特徴とする請求項4に記載の光学測定装置。前記プローブ光に同期して刺激を生成する刺激源、 をさらに有し、 前記試料は前記プローブ光に同期して前記刺激を受け、 前記平衡器は前記刺激に誘起された前記試料の状態変化を前記測定結果として出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学測定装置。参照信号を生成する参照信号源と、 前記参照信号の周波数で前記平衡器の出力をロックイン検出するロックイン検出部と、 をさらに有し、 前記刺激の強度は、前記参照信号の周波数で変調されることを特徴とする請求項7に記載の光学測定装置。前記試料と前記検出器の間に配置される分光器、 をさらに有し、 前記光源は白色光源であり、 前記第1光学素子は、前記光源からの光を白色プローブ光と白色参照光に分割し、 前記第2光学素子は、前記白色プローブ光と前記白色参照光を重ね合わせて前記試料に導き、 前記試料を透過した前記白色プローブ光と前記白色参照光は、前記分光器で複数の波長成分に分光され、 前記検出器は、前記分光された波長の各々に対応して配置され、対応する波長成分の前記プローブ光と前記参照光を共通して検出することを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。光源からの光をプローブ光と参照光に分割し、 前記プローブ光で試料を照射し、 時間軸上で前記参照光と前記プローブ光の間に相対的な遅延を与え、 前記試料を照射した前記プローブ光と、前記遅延が与えられた前記参照光とを同一の検出素子で検出し、 前記検出された信号のうち、前記プローブ光に由来する信号と、前記参照光に由来する信号とにそれぞれ逆の符号を適用して平衡化を行うことで、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号の差分を前記試料の測定結果として取得する、 ことを特徴とする光学測定方法。前記平衡化は、直流バイアスが印加された前記光源からの光に同期する±1の振幅の方形波を、前記検出素子で検出された信号に乗算する処理を含むことを特徴とする請求項10に記載の光学測定方法。前記平衡化は、前記検出素子で検出された信号に、前記光源からの光に同期する位相調整後の正弦波を乗算する処理を含むことを特徴とする請求項10に記載の光学測定方法。

说明书全文

本発明は、低ノイズかつ高感度の光学測定装置と光学測定方法に関する。

試料に光ビームを照射して、物質や生体分子の状態を非接触で測定する光学測定が行われている。測定対象によっては、得られる信号強度が非常に小さく、ノイズに埋もれてしまう場合がある。

ノイズに埋もれた微小な信号を検出する手法に、ロックイン検出法と呼ばれる方法がある。この方法では、設定したある周波数(ロックイン周波数)の三関数と信号の積をとり、その周波数の信号を低周波に変換したあと、ローパスフィルタによって信号成分を取り出す。この点で、ロックイン検出は実効的に狭帯域のバンドパスフィルタとして働いている。この方法では、ロックイン周波数と異なる周波数で観測されるノイズを除去し、ロックイン周波数付近にある信号を検出することによって、信号・ノイズ比を向上させる。また、ローパスフィルタの時定数を長くすることにより、帯域幅を狭め、ノイズをより効果的に除去することができる。

ロックイン検出法は、強度の低いプローブ光の検出や、プローブ光に加えられた微小な変調の検出に応用される。この変調はプローブ光源に直接加えられる場合と、試料に印加された刺激に誘起される場合がある。しかしながら、いずれの場合でもロックイン周波数付近で観測されるノイズは原理的に除去できない。また、帯域幅を狭め、積算効果により信号・ノイズ比を向上させるために時定数を長くすると信号の変化に対する応答が遅くなり、高速検出ができないといった問題がある。

ロックイン検出を用いて、プローブ光に含まれる長時間スケールの変動を相殺する方法として、デュアルビーム法が知られている。この方法は、光源からの光を試料の測定に用いるプローブ光と、試料を通らない参照光に分割し、それぞれ異なった周波数で変調する。試料透過後のプローブ光と参照光を重ね合わせて、同一の検出器に入射させる。検出器からの信号を、それぞれの変調周波数によるロックイン検出によってプローブ光と参照光の信号を別々に取得して、その比をとる。デュアルビーム法を用いて、プローブ光と参照光に共通に含まれる長時間スケールの変動による影響や、検出器の長時間スケールの感度の変動に対する影響を除去することができる。しかしながら、プローブ光と参照光を検出する周波数が異なるので、ロックイン周波数と同じ周波数で観測される高速変動のノイズを除去することはできない。また、測定中に試料の透過率が変化すると、その都度補正が必要になる場合がある。従って、この方法は多数の測定点での高速測定が要求され測定時に透過率が変化する対象には不向きである。

プローブ光に含まれる、検出と同じ周波数で観測されるノイズを除去する方法に、バランス検出法がある(たとえば、特許文献1、及び非特許文献1及び2参照)。バランス検出法では、光源からの光をプローブ光と参照光に分割し、プローブ光を試料に入射させたあとでそれぞれの光を2つの検出器によって検出してその差を取る。ノイズがプローブ光と参照光に同相で含まれるので、差を取ることにより同一周波数に観測されるノイズを除去できる。

しかしながら、公知のバランス検出法にはいくつか難点がある。第1に、試料の透過率や検出系の感度が変化すると、その都度、校正が必要になる。第2に、検出器や回路の周波数特性など、2つの検出系の特性が同じである必要がある。第3に、白色光源を用いた分光測定に適用することができない。白色光の強度は、波長毎に異なった揺らぎ方をし、プローブ光と参照光に対する観測中心波長や観測波長幅などの分光条件が異なると、光雑音を打ち消すことができないからである。さらに、プローブ光と参照光に対して完全に同一特性の2台の分光器を用意する必要があるが、これは技術的に困難である。

なお、試料を透過した白色プローブ光をマルチチャネルのロックインアンプで検出してラマンスペクトルを観測することにより、多波長にわたって微小な信号を検出する方法が知られている(たとえば、非特許文献3参照)。

米国特許第5134276号

Alessio Gambetta, Vikas Kumar, Giulia Grancini, Dario Polli, Roberta Ramponi, Giulio Cerullo, Marco Marangoni, Opt. Lett., 35(2) (2010) 226-228

Philip C. D. Hobbs, Appl. Opt., 36(4) (1997) 903-920

N. Ishii, et al, “Optical frequency- and vibrational time-resolved two-dimensional spectroscopy by real-time impulsive resonant coherent Raman scattering in polydiacetylene”, Physical Review, A 70 (2004) 023811.

上述のように、単一の検出器を用いたデュアルビーム法では、参照光とプローブ光でノイズが観察される周波数が異なり、ロックイン周波数近傍で高速に変動するノイズを除去することはできない。また、2つの検出器を用いるバランス検出法では、2つの光路、2つの検出系の間で校正や特性調整が困難である。

そこで、単一の検出器を用いて、低ノイズ、高感度の信号検出が可能な光学測定の手法と構成を提供することを課題とする。

上記課題を解決するために、新しい平衡回路を用いて、観測周波数付近のノイズを効率的に除去し、強度の小さい所望信号を高感度で検出する。

具体的には、本発明の第1の側面による光学測定装置は、 光源と、 前記光源からの光をプローブ光と参照光に分割する第1光学素子と、 前記プローブ光を試料に導く第1パスと、 時間軸上で前記参照光と前記プローブ光の間に相対的な遅延を与えるように光路長が調整された前記参照光の第2パスと、 前記試料を照射した前記プローブ光と、前記光路長が調整された前記参照光をひとつの共通の検出素子で検出して検出信号を出する検出器と、 前記検出信号のうち、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号にそれぞれ逆の符号を適用して平衡化を行い、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号の差分を前記試料の測定結果として出力する平衡器と を有する。

ここで、「平衡化」は、プローブ光に由来する信号の強度と参照光に由来する信号の強度の絶対値を釣り合わせることをいう。

本発明の第2の側面として、光学測定方法を提供する。光学測定方法は、 光源からの光をプローブ光と参照光に分割し、 前記プローブ光で試料を照射し、 時間軸上で前記参照光と前記プローブ光の間に相対的な遅延を与え、 前記試料を照射した前記プローブ光と、前記遅延が与えられた前記参照光とを同一の検出素子で検出し、 前記検出された信号のうち、前記プローブ光に由来する信号と、前記参照光に由来する信号とにそれぞれ逆の符号を適用して平衡化を行うことで、前記プローブ光に由来する信号と前記参照光に由来する信号の差分を前記試料の測定結果として取得する。

一つの検出器と平衡回路により、観測周波数付近のノイズを効率的に除去し、微小な所望信号を感度よく検出することができる。この手法を、白色プローブ光を用いたマルチチャネルロックイン検出と組み合わせることによって、低ノイズかつ高速、高精度のスペクトル検出が可能になる。

第1実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

図1の光学測定装置で用いられる平衡器の構成例を示す図である。

第1実施形態の光学測定方法のフローチャートである。

第2実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

第2実施形態の光学測定方法のフローチャートである。

第3実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

第3実施形態で用いられる白色プローブ光のスペクトルを示す図である。

第4実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

図8の光学測定装置の測定系と制御系の構成例を示す図である。

複数チャンネルの信号の総和による画像を示す図である。

特定の座標における誘導ラマンスペクトルの図である。

実施形態の光学測定による効果を説明する図である。

第5実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

図13の変形例を示す図である。

第6実施形態の光学測定装置の概略構成図である。

図15の光学測定装置の誘導ラマン測定への適用例を示す図である。

強度変調光の4分の1周期遅延させた参照光を用いたノイズキャンセルの効果と、フィードバック制御の効果を示す図である。

実測で用いた試料の模式図である。

実施形態の手法を適用した誘導ラマン測定の効果を示す図である。

実施形態のフィードバック制御の効果を示す図である。

以下で図面を参照して、実施形態の光学測定の手法と構成を説明する。 <第1実施形態> 図1は、第1実施形態の光学測定装置10Aの概略構成図である。光学測定装置10Aは、光源11と、光学素子12および15と、検出器18と、トランスインピーダンスアンプ(TIA)31と、平衡器30を含む。この例では、光源11は単一波長のパルス光を出射するパルス光源であり、光学素子12、15は偏光ビームスプリッタである。

光源11から出射されたパルス光Lは、偏光ビームスプリッタ12によって、プローブパルス光LPと、参照パルス光LRに分割される。偏光ビームスプリッタ12を透過したプローブパルス光LPは、パスP1に沿って試料20を通過し、偏光ビームスプリッタ15に入射する。他方、偏光ビームスプリッタ12で反射された参照パルス光LRは、パスP2に沿って、ミラー13、14で反射され、偏光ビームスプリッタ15に入射する。偏光ビームスプリッタ15で、パスP1を経たプローブパルス光LPと、パスP2を経た参照パルス光LRが空間的に重ねられて検出器18に入射する。

参照パルス光LRのパスP2は、パルス周期の半分程度の遅延が与えられる長さに設定されている。参照パルス光LRは、パルス繰り返しの周期に対して位相が180°遅れて偏光ビームスプリッタ15に入射し、偏光ビームスプリッタ15の出力光において、参照パルス光LRは、時間軸上で、プローブパルス光LPのパルスとパルスの中間の位置に現れる。この例では、光源11のパルス繰り返し周波数は76MHzである。

試料を透過したプローブパルス光LPには、試料の分子振動など、微小な強度の情報Iが含まれる。検出器18で検出されたプローブパルス光LPと参照パルス光LRは、平衡器(バランス回路)30に入力される。平衡器30には、パルス光Lと同期した電気パルスが入力され、ノイズをキャンセルすることに用いられる。平衡器30は、ノイズが相殺された後の情報Iを出力する。

図2は、平衡器30の構成例を示す。平衡器30には、検出器18で検出されTIAで電圧に変換されたパルス信号(プローブパルス信号と参照パルス信号を含む)と、パルス光と同期した電気パルスとが入力される。

平衡器30は、バンドパスフィルタ32、位相調整器33、コンパレータ34、乗算器38と、平均化回路41を有する。平衡器30は、任意でバイアス電源36、コンデンサ35、抵抗器37、アクティブローパスフィルタ42、アクティブハイパスフィルタ43を含んでもよい。

フォトダイオードなどの検出器18から出力される電流は、TIA31により適切なレベルの電圧信号に変換されて、乗算器38に入力される。この電圧信号には、プローブパルス成分と、参照パルス成分が含まれている。一方、パルス光源11からのパルス光と同期した電気パルス信号は、例えば76MHzバンドパスフィルタ32と位相調整器33により、パルス光と同期した76MHzの正弦波に変換される。この正弦波はさらにコンパレータ34によって方形波(矩形波)に変換され、+1と−1の方形波が乗算器38に入力される。

バイアス電源36と、コンデンサ35と、抵抗器37は、コンパレータ34で生成された方形波にバイアスを加える場合に用いられる。この場合、コンデンサ35と抵抗器37は、バイアス電源36で生成されたバイアス電圧Bと方形波をデカップリングする。バイアスは、プローブパルス光LPと参照パルス光LRの光学的分割比(強度比)で定まるプローブパルス信号と参照パルス信号の強度が等しくなるように調整するため(平衡化のため)に印加される。図1のように、偏光面が45°傾いたパルス光Lを偏光ビームスプリッタ12に入射する場合は、平偏光成分(プローブパルス光LP)と垂直偏光成分(参照パルス光LR)の強度は等しくなるので、バイアスを印加しなくてもよい。後述の実施例で述べるように、多波長の検出光を用いる場合に、バイアスを印加してプローブ光と参照光の信号強度比調整を行うのが有効である。

乗算器38によって、プローブパルス信号と参照パルス信号に方形波が乗算される。プローブパルス信号は1倍(バイアス電圧を印加する場合は(1+B)倍)、参照パルス信号は−1倍(バイアス電圧を印加する場合は(−1+B)倍)されて乗算器38から出力される。符号が逆になったプローブパルス信号と参照パルス信号は、平均化回路41によって平均化され、互いに相殺される。平均化回路41は、たとえばコンデンサと抵抗器からなる受動ローパスフィルタ41であり、互いに逆符号となったプローブパルス信号と参照パルス信号を時間平均することで、差分を出力する。出力される信号は、ノイズが打ち消された後の試料由来の情報成分Iである。平均化回路41の出力Voutは以下のように表わされる。

Vout=(プローブパルス信号)×1+(参照パルス信号)×(−1) 平均化回路41の出力は、さらにオペアンプを用いたカットオフ周波数10kHzのアクティブローパスフィルタ42と、カットオン周波数400Hzのアクティブハイパスフィルタ43を経て出力される。アクティブフィルタ42及び43の組み合わせは、ゲイン100倍のバンドパスフィルタとして機能する。

図1及び図2に示す光学測定装置10Aは、以下の特徴を有する。 (a)同一の光源11から同一時刻に生成したパルス光を分割してプローブパルス光LPと参照パルス光LRに分割することで、プローブパルス光LPと参照パルス光LRに含まれるノイズの性質が同一になる。 (b)プローブパルス光LPと参照パルス光LRの検出系が同一なので、検出系の周波数特性が同一である。したがって、信号を観測する周波数を含めて、ノイズを打ち消すことができる。 (c)方形波を用いることにより、プローブパルス光LPと参照パルス光LRのタイミングがパルス繰り返しの2分の1周期から多少ずれた場合でも、最大の平衡が得られる。すなわち、打ち消しの程度が光路差に敏感でなく、光学系の調整が容易になる。

図3は、第1実施形態の光学測定方法のフローチャートである。パルス光を照射し(S101)、パルス光をプローブパルス光LPと参照パルス光LRに分割する(S102)。プローブパルス光LPを試料に入射して試料を測定する(S103)。参照パルス光LRにパルス周期の半分程度の遅延を与えて(S104)、プローブパルス光と参照パルス光を空間的に重ねる(S105)。重ねられた光信号を検出して電気信号に変換する(S106)。

他方、パルス光源に同期させた電気信号を生成し(S111)、位相調整して(S112)±1のロジック(例えば±1の方形波関数)に変換する(S113)。検出され電圧変換された電気信号とロジックが乗算される(S115)。乗算結果を時間平均などにより平均化して出力する(S116)。これにより、プローブパルス光と参照パルス光が打ち消され、プローブパルス光に含まれる微小な情報成分(測定結果)を信号雑音比良く抽出することができる。 <第2実施形態> 図4は、第2実施形態の光学測定装置10Bの概略構成図である。光学測定装置10Bは、光源11からの光をプローブパルス光と参照パルス光に分割して参照パルス光に遅延を与える点と、平衡器30に同一の検出器18で検出されたプローブパルス信号と参照パルス信号が入力されるとともに、パルス光と同期する電気パルスが入力される点で、第1実施形態の光学測定装置10Aと同様である。

光学測定装置10Bは、試料20の前段に偏光ビームスプリッタ15が配置され、合波されたプローブパルス光LPと参照パルス光LRを試料20に入射する点と、図示しない刺激部からプローブパルス光LPと同期する刺激Sが試料20に与えられる点で、第1実施形態の光学測定装置10Aと異なる。

試料20に刺激Sを与えることで、試料分子に物理・化学反応あるいは分子振動が生じる。刺激Sはプローブパルス光にだけ同期しているので、刺激Sの影響はプローブパルス光にだけ反映される。平衡回路30で±1のロジックを用いてプローブパルス信号光と参照パルス信号との差分を得ることで、光源からの光のノイズを打ち消し、刺激Sの影響による情報成分だけを抽出することができる。

試料20から検出器18までの光路が、プローブパルス光LPと参照パルス光LRで同一なので、刺激以外の変動要因をほぼ完全に打ち消すことができる。例えば、測定中に試料20の透過率が変化しても影響を受けない。このことは、本発明を測定対象の空間分布を分析するイメージング(画像形成)に適用する場合に特に有効である。通常、試料は光学的に不均一であり、イメージング中に試料の透過率が変化する。試料20から検出器18までのプローブパルス光LPと参照パルス光LRの光路が異なると、測定中にプローブパルス光LPと参照パルス光LRの強度比が変化し、平衡が崩れるおそれがある。これに対し、図4のように同一の光路とすることで、ノイズ成分をバランス良く打ち消して、必要な情報を取り出すことができる。

図5は、第2実施形態の光学測定方法のフローチャートである。パルス光を照射し(S201)、パルス光をプローブパルス光LPと参照パルス光LRに分割する(S202)。参照パルス光LRにパルス周期の半分程度の遅延を与えて(S204)、プローブパルス光LPと参照パルス光LRを空間的に重ねる(S205)。重ねられたパルス光を試料に入射するとともに、プローブパルス光LPと同期した刺激を試料に与える(S206)。プローブパルス光LPと参照パルス光LRの合成パルス光で、刺激の影響下にある試料を測定する(S207)。試料を透過したパルス光を検出して電気信号に変換する(S208)。

他方、パルス光源と同期した電気信号を生成し(S211)、位相調整して(S212)±1のロジック(例えば±1の方形波関数)に変換する(S213)。検出され電圧変換された電気信号とロジックが乗算される(S215)。乗算結果を、時間平均などを用いて平均化して出力する(S216)。 <第3実施形態> 図6は、第3実施形態の光学測定装置50の概略構成図である。第3実施形態では、平衡検出を、多数の信号を並列的にロックイン検出するマルチチャンネルロックイン検出に適用する。

光学測定装置50は、白色光源51、光学素子52および55、分光器58、複数の検出器18−1〜18−n(適宜、「検出器18」と総称する)、各検出器に対応するTIA31−1〜31−n(適宜「TIA31」と総称する)、複数の平衡器30−1〜30−n(適宜、「平衡器30」と総称する)、及び多チャンネルロックインアンプ59を含む。光学素子52は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、偏光ビームスプリッタである。検出器18は、たとえばアバランシェフォトダイオード(APD)である。白色光源51は、たとえばパルス繰り返し周波数が76MHzのパルスレーザとフォトニック結晶ファイバ(PCF)を用いて、連続的な複数の波長を含む白色パルス光を生成する。パルスレーザの中心波長は、たとえば800nmである。

図7に、白色光源51から出射される白色パルス光のスペクトルを示す。白色パルス光は、575nmから780nmに強度を有する。

図6に戻って、白色パルス光は、偏光ビームスプリッタ52でプローブパルス光LPと、参照パルス光LRに分割される。偏光ビームスプリッタ52を透過した光成分は、プローブパルス光LPとして、偏光ビームスプリッタ55に入射する。偏光ビームスプリッタ52で反射された光成分は、参照パルス光LRとして、ミラー53、54を介して偏光ビームスプリッタ55に入射する。参照パルス光LRの光路長は、白色光源51のパルス繰り返し周期に対して半周期(位相180°)遅れる長さに設定されている。

偏光ビームスプリッタ55で合波されたプローブパルス光LPと参照パルス光LRは、ダイクロイックミラーDM上で、800nmポンプパルス光LSと重ねられる。ポンプパルス光LSは、たとえば白色光源51で用いられているパルスレーザの出射光から分岐され図示しないチョッパーで強度変調されている。ポンプパルス光LSはプローブパルス光LPに同期するが、参照パルス光LRとは位相が180°ずれている。

プローブパルス光LP、参照パルス光LR、及びポンプパルス光LSは、試料20に入射する。ポンプパルス光LSの照射により、波長に応じた分子振動が生じ、散乱が生じる。散乱の影響で、ポンプパルス光LSに同期するプローブパルス光LPの強度が変調される。他方、ポンプパルス光LSとタイミングの異なる参照パルス光LRは、影響を受けない。試料20を透過した光のうち、ポンプパルス光LSはショートパスフィルタSPFによって除去され、参照パルス光LRと強度変調を受けたプローパルス光LPが、レンズ57と光ファイバ61を介して分光器58に導かれる。

分光器58は、プローブパルス光LPと参照パルス光LRをそれぞれ分光する。分光された各波長の光は、検出器18−1〜18−nで検出される。検出結果は、対応する平衡器30−1〜30−nに入力される。

平衡器30−1〜30−nのそれぞれは図2に示す構成を有し、TIA31の電圧信号と、白色パルス光に同期した電気パルスとを入力とする。各平衡器30で±1のロジックによりプローブパルス光LPと参照パルス光LRが打ち消され、散乱により強度変調を受けた部分だけが試料情報として抽出される。各平衡器30の出力は、多チャンネルロックインアンプ59によってポンプパルス光の変調周波数でロックイン検出される。

白色プローブ光と、平衡検出及び多チャンネルロックイン検出を用いることにより、通常の1チャンネルロックイン検出でスペクトルを得る方法と比べて、計測速度が格段に速くなる。多チャンネルロックインアンプ59を、たとえば128チャンネルロックインアンプとすると、通常の1チャンネルのロックイン検出と比較して128倍の速度で計測が可能になる。白色光は通常はノイズが大きいが、平衡器30−1〜30−nを用いることで、各波長でノイズをキャンセルして微小な情報を高感度かつ高速に検出することができる。

第1実施形態及び第2実施形態と同様に、同一の光源から同一時刻に生成したパルス光を分割してプローブパルス光と参照パルス光とすることで、プローブパルス光と参照パルス光に含まれるノイズが同一となり、平衡検出の効果が最大になる。また、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、プローブパルス光と参照パルス光を重ねた後の光路を同一にすることで、単一の分光器58で各波長に分光することができる。

さらに、各平衡器30で±1のロジック(符号反転の方形波)をバイアス印加により調整することができるので(図2参照)、白色光による試料測定に特に有効である。バイアスレベルをBとすると、波長ごとに各平衡器30で得られる信号出力Voutは、以下のように表わされる。

Vout=(プローブパルス信号)×(1+B)+(参照パルス信号)×(−1+B) 白色光を分光して観測する場合、最大の平衡を得るためには、全ての波長でプローブパルス光と参照パルス光の強度が同一となる光学的分割が必要であるが、一つの偏光ビームスプリッタ52でこれを実現するのは困難である。第3実施形態では、白色光に含まれる波長によって光学的分割比が異なる場合でも、後段の平衡器30で適切なバイアスを印加してプローブパルス光と参照パルス光の信号強度を均等に補正できるので、全ての波長で最大の平衡を得ることができる。 <第4実施形態> 図8及び図9は、第4実施形態の光学測定装置100の概略構成図である。第4実施形態では、第3実施形態の平衡検出とマルチチャンネルロックイン検出を誘導ラマン顕微鏡に適用する。

分子振動情報を反映するラマン散乱スペクトルや強度を観測する方法として、誘導ラマン散乱法がある。誘導ラマン散乱法では、波長の異なる少なくとも2波長のパルスレーザ光を同期させて試料に照射する。波長の差が分子振動のエネルギーに相当したとき、波長が短い光の強度が減少し、波長が長い光の強度が増大する。波長が短い光の強度の減少を誘導ラマン損失、波長が長い光の強度の増加を誘導ラマン利得という。分子振動は物質により異なるので、誘導ラマン散乱法を用いて定性分析が可能である。さらに、誘導ラマン損失や誘導ラマン利得の強度は分子の濃度に比例するので、定量分析も可能である。これらの光を顕微鏡に導入して試料又は入射光を掃引し、試料の各点における誘導ラマン散乱強度を取得することで、誘導ラマン散乱強度や誘導ラマンスペクトルの空間分布を得ることができる。これを誘導ラマンイメージングと呼ぶ。

第3実施形態のように、波長ごとに検出されるプローブパルス光をマルチチャンネルロックイン検出することにより、各波長での誘導ラマン散乱強度を取得しつつ、試料を入射光に対して相対的に掃引して、誘導ラマン散乱スペクトルによる画像を得る。

図8において、光学測定装置100は、白色光源110と、偏光ビームスプリッタ119及び122と、試料20を光パルスに対して相対的に駆動するステージ127と、試料20からの光を測定する測定系150を含む。

白色光源110は、パルスレーザ光源101とフォトニック結晶ファイバ(PCF)116を含む。パルスレーザ光源101は、たとえばチタンサファイアパルスレーザで構成される。チタンサファイアパルスレーザは、チタンサファイアを利得媒質とした受動モードロック動作によって、中心波長800nm、パルス幅2.5ps、パルス繰り返し周波数76MHz、平均出力450mWでパルス光を出力するとともに、パルス光と同期したパルス電気信号を出力する。

パルスレーザ光源101の出力光は、アイソレータ103を介してビームスプリッタ104に導かれる。アイソレータ103は、後段の光学素子からパルスレーザ光源101への戻り光を遮断し、パルスレーザ光源101の動作を安定させる。

ビームスプリッタ(BS)104は、パルスレーザ光源101から出力されるパルス光を分割し、40%を反射し、60%を透過させる。BS104を透過したパルス光は、焦点距離60mmの凹レンズ112と焦点距離120mmの凸レンズ113を経て、半波長板114に導かれる。レンズ112及び113は、対物レンズ115の瞳面を満たすようにビーム径を調整する。半波長板114を光軸回りに回転することにより、偏光面を調整する。

偏光面を調整されたパルス光は、40倍、開口数0.65の顕微鏡用の対物レンズ115に入射する。対物レンズ115によって集光されたパルス光は、30cmの長さを有する偏波保持型のPCF116に導入される。PCF116はシリカで作製され、断面は、規則正しく配置された空隙がコアをとり囲む構造となっている。空隙がある領域は実質的にコアよりも屈折率が小さく、クラッドとして機能する。このようなファイバでは、コアとクラッドの屈折率の差が大きく、入射光は狭い空間領域に閉じ込められ、入射光のエネルギー密度が大きくなり、大きな非線形光学効果が得られる。この大きな非線形効果により、入射光の波長は、パルスレーザ101のパワーで広い範囲の波長に強度を有する白色光に変換される。PCF116の偏波保持機能により、入射光の偏光面の方向が適切ならば、直線偏光が出力される。

PCF116で生成された白色光は、40倍、開口数0.65の顕微鏡用対物レンズ117によってコリメートされる。このとき、白色光の偏光面の方向はPCF116を回転させることで調整される。コリメートされた白色パルス光Lが、白色光源110の出力となる。

白色パルス光Lは、偏光ビームスプリッタ(PBS)119によりプローブパルス光LPと参照パルス光LRに分割される。参照パルス光LRは、パルスレーザ光源101のパルス繰り返し周期に対して半周期遅れる分の、すなわち位相が180°遅れる分の長い光路を経て、PBS122に入射し、プローブパルス光LPと空間的に重ねられる。PBS119、122は、共に水平偏光を透過させ、垂直偏光を反射する。PBS119に偏光面が45°傾いた偏光を入射すると, 透過した水平偏光と反射された垂直偏光の強度がほぼ等しくなる。PBS122においては、水平偏光であるプローブパルス光LPが透過し、垂直偏光である参照パルス光LRが反射されることで、プローブパルス光LPと参照パルス光LRが高いスループットで重ねられる。

プローブパルス光LPと参照パルス光LRは、ショートパス干渉フィルタ111を透過する。ショートパス干渉フィルタ111によって白色光の780nm以上の波長成分は遮断され、変調されたポンプパルス光LSと同軸上に重ねられる。

BS104で反射された40%のパルス光は、光チョッパー105によって強度が変調(オン・オフ)され、ポンプパルス光LSとして用いられる。ポンプパルス光LSは、焦点距離170mmの凸レンズ107と焦点距離150mmの凹レンズ108を通る。レンズ107及び108は、ポンプパルス光LSのビーム径を白色パルス光Lのビーム径と同一にする。

ポンプパルス光LSはディレイステージ109に導かれる。ディレイステージ109は図示しないマイクロメータによって平行に滑動する2枚のミラーM1、M2を有し、ポンプパルス光LSの光路長を調整してプローブパルス光LPと同期させる。ポンプパルス光LSのパワーは、減光フィルタ106によって調整される。ポンプパルス光LSのパワーが大きいほど信号雑音比は大きくなるが、大きなパワーは試料20の破壊を招く。そこで、 減光フィルタ106を用いて、ポンプパルス光LSのパワーを、信号雑音比を大きく保ちつつ試料20を破壊しないレベルに調整する。

ポンプパルス光LSは、ショートパス干渉フィルタ111上で、プローブパルス光LP及び参照パルス光LRと重ねられる。ショートパス干渉フィルタ111は、800nmの光に対してはミラーとして機能する。ポンプパルス光LSとプローブパルス光LPはタイミングが一致しており、誘導ラマン信号がプローブパルス光LPの強度変調として得られる。他方、参照パルス光LRは、ポンプパルス光LSとタイミングがずれているので相互作用しない。

重ね合わされたプローブパルス光LPと、参照パルス光LR、及びポンプパルス光LSは、焦点距離100mmの凹レンズ123と焦点距離200mmの凸レンズ124を透過する。レンズ123、124は、合成光のビーム径を後段の対物レンズ126の瞳面を満たすように拡大する。

合成光は、反射率8%、透過率92%のビームスプリッタ125を透過した後、対物レンズ126に入射する。対物レンズ126によって集光されたビームは、ステージ127に固定された試料20を照射する。ステージ127は、たとえばピエゾ駆動されるステージであり、測定中に試料20を入射光に対して掃引する。

ビームスプリッタ125で反射されたビームは、減光フィルタ129を透過したあと、結像レンズ130によってCCDカメラ131上に結像される。CCDカメラ131で、試料20上でのポンプパルス光LSと、プローブパルス光LP及び参照パルス光LRの重なりを確認する。減光フィルタ129はCCDカメラ131に結像された像の強度を調整する。

試料20を透過した光は、コンデンサレンズ132によってコリメートされる。コリメートされた光はショートパスフィルタ133に導かれ、コリメート光に含まれる光のうちポンプパルス光LSが遮断される。ポンプパルス光LSが除去されたコリメート光は、焦点距離100mmの凸レンズ134で集光され、マルチモード光ファイバ135を介して測定系150に入力される。

図9は、測定系150を中心として、光学測定装置100のユニット間の接続関係を示す。図示の便宜上、図8のレンズ134までの光学系を誘導ラマン顕微鏡160とする。誘導ラマン顕微鏡160で得られた光信号(プローブパルス光LPと参照パルス光LRを含む)は、マルチモード光ファイバ135によって分光器136に導入される。分光器136では、マルチモード光ファイバ135からの光がコリメート鏡(不図示)によって平行に回折格子(不図示)に照射され、回折格子によって分光された光が、カメラ鏡(不図示)によってバンドルファイバ137の端面上に結像される。分光器136の焦点距離は300mm、回折格子刻線密度は1200g/mmである。

バンドルファイバ137は、縦16本、横128本の光ファイバが束ねられたものであり、分光された光ビームを128に分割する。バンドルファイバ137の縦16本ごとに1本の光ファイバ138に束ねられる。

128の波長に対応する128本の光ファイバ138は(図示の便宜上、1本のみを示す)、それぞれ150Vにバイアス電圧がかけられたアバランシェフォトダイオード(APD)139−1〜139−n(この例では、n=128)に接続される。APD139はアバランシェ降伏によってそれ自身で微弱な検出信号を増幅する機能(作用)を有する。

各APD139で検出されTIA141で電圧に変換されたプローブパルス信号と参照パルス信号は、対応する平衡器140に入力される。各平衡器140は、図2の平衡器30と同様の構成を有する。平衡器140により、プローブパルス信号と参照パルス信号に、バイアス調整された方形波が乗算され、プローブパルス信号と参照パルス信号の符号が互いに逆符号となる。逆符号のプローブパルス信号と参照パルス信号はローパスフィルタ(図2参照)で足し合わされ、差分が得られる。各平衡器140から出力される信号は、プローブパルス光LPと参照パルス光LSが互いに打ち消され、誘導ラマン散乱による影響を表わす情報だけを乗せている。プローブパルス信号と参照パルス信号を逆符号にするタイミングは、パルスレーザ光源101から供給されるパルスレーザ光と同期した電気パルス信号によって制御される。

平衡器140−1〜140−nの各々から出力された信号は、多チャンネルロックインアンプ142の入力に接続される。多チャンネルロックインアンプ142は、たとえば32チャンネルのロックインアンプを4つ連結して128チャンネルとしたものである。

光学測定装置100は、制御系としてチョッパー制御器144と、ピエゾステージ制御器148と、コンピュータ146を有する。チョッパー制御器144から多チャンネルロックインアンプ142にロックイン検出のための参照信号が供給される。チョッパー制御器144は、光チョッパー105(図8参照)への電源供給を制御する。また、光チョッパー105の回転数の信号を受けて、回転数をフィードバック制御する。

コンピュータ146は多チャンネルロックインアンプ142を制御し、多チャンネルロックインアンプ142からのデータを収集するとともに、ピエゾステージ制御器148に制御信号を出力する。

ピエゾステージ制御器148はコンピュータ146からの制御信号を受けて、ピエゾステージ127のアクチエータ(不図示)を制御する。多チャンネルロックインアンプ142からの出力信号をコンピュータ146で収集しつつ、試料20をピエゾステージ127によって掃引し、各測定点における誘導ラマンスペクトルを取得する。多チャンネルロックインアンプ142とピエゾステージ127は、コンピュータ146にインストールされたソフトウエアによって制御される。

図10は、光学測定装置100で得られる誘導ラマン損失画像である。図10(A)は第40から第50チャンネルの信号の総和により得られた画像、図10(B)は、第55から第65チャンネルの信号の総和により得られた画像である。

試料20として、ポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)を重量比1:1でトルエンに溶解し、溶液をスライドガラスに滴下、乾燥させて作製した膜を用いた。ロックイン検出の時定数は1000ms、ピクセルサイズは0.5×0.5μm、画像のサイズは20×20μmである。濃淡が薄いほど信号強度が大きく、濃いほど信号強度が小さいことを意味する。

図10(A)の第40から第50チャンネルの信号は、主にPSの寄与を示す。図10(B)の第55から第65チャンネルの信号は、主にPMMAの寄与を示す。図10(A)と図10(B)の画像は、一度のイメージングで得られた同一のデータから作成されている。図10(A)と図10(B)で異なるコントラストを示しており、膜内の位置によってPSとPMMAの濃度比が異なることが分析可能である。

図11は、異なるピクセル位置での誘導ラマンスペクトルを示す図である。図8及び図9に示す光学測定装置100を用いることで、ポンプパルス光とプローブパルス光のいずれの波長も掃引することなく、各測定点での誘導ラマン損失スペクトルの取得が可能である。

図11中の実線は(X,Y)=(9,6)ピクセル(図10(A)及び図10(B)で白の三角印で示す位置)でのスペクトル、破線は(X,Y)=(27,33)ピクセル(図10(A)及び図10(B)で黒の三角印で示す位置)におけるスペクトルである。いずれのスペクトルも、PSのスペクトルとPMMAのスペクトルが重なったスペクトルとなっているが、PS由来のラマンバンドとPMMA由来のラマンバンドの強度比が異なっている。実線ではPS由来のラマンバンドの強度比が大きく、破線ではPMMA由来のラマンバンド強度比が大きい。このように、試料に白色パルス光を照射することで、一度に異なる物質の状態を測定することができる。

図12は、本発明の効果を示す図である。第1〜第4実施形態を通して、同一の光源からの光をプローブパルス光と参照パルス光に分割し、参照パルス光に光源のパルス繰り返し周期の半分の遅延を与え、試料を透過したプローブパルス光と遅延が与えられた参照パルス光を同時検出し、平衡器30で±1のロジックとの乗算でプローブ光か参照光の信号の符号を反転し、バイアスによって平衡処理を行うことによって、効果的にノイズを低減し、所望の信号を高感度に得ることができる。

図12では、平衡器30をロックインアンプに接続し、プローブパルス光のみを直接チョップして得た信号強度(左側のカラム)と、プローブパルス光と参照パルス光を同時にチョップして得た信号強度(右側のカラム)を示す。プローブパルス光のみの場合の強度が7.31×10-1Vであるのに対し、参照パルス光とプローブパルス光を同時に入射した場合は3.01×10-3Vとなった。平衡後の信号強度はプローブパルス光のみの場合と比べて1/243に低減している。これは、プローブパルス光に含まれるノイズも1/243として検出されることを意味する。第2実施形態のように試料に刺激Sを与える場合や、第3及び第4実施形態のようにポンプパルス光を用いる場合は、刺激やポンプパルス光はプローブパルス光のみに同期しているので、刺激あるいは誘導ラマン効果による強度変調は、プローブパルス光のみに生じ、参照パルス光には生じない。平衡器30によりプローブパルス光と参照パルス光の差分をとることで、刺激Sの影響や誘導ラマン信号だけを高感度で検出することができる。 <第5実施形態> 第1実施形態から第4実施形態では、光源からのパルス光をプローブ光と参照光に分割し、参照光にパルス繰り返しの半周期の遅延を与えた後、共通の光検出素子で光信号を検出し、検出信号に±1の方形波を乗算してノイズの相殺を行った。

第5実施形態では、ノイズキャンセルのための平衡処理に正弦波を用いる。同じ光源から同時刻に放射された光の強度変調光をプローブ光と参照光に分割し、プローブ光と参照光に強度変調周期の1/4程度に相当する時間差をつけた後、共通の光検出素子で検出する。検出された信号に対して、光源からの光に同期し、かつ位相調整がなされた同期信号を乗算する。同期信号の位相を調整することでプローブ光の検出信号と参照光の検出信号の差を最小にして(平衡化して)光雑音を打ち消し、所望の信号成分だけを取り出す。

図13は、第5実施形態の光学測定装置200の概略図である。光源201からの光に対して、同期信号源207によって駆動される強度変調器202により周期的な強度変調が与えられる。強度変調を与えられた光はビームスプリッタ203によって試料計測に用いられるプローブ光LPと参照光LRに分割される。参照光LRは、ビームスプリッタ203後の付加的な光路によって強度変調の4分の1周期に相当する分の遅延が与えられる。参照光LRに与えられる遅延は、参照光LRとプローブ光LPが区別されればよいので、厳密に強度変調の4分の1周期でなくても、その近傍であればよい。プローブ光LPと参照光LRはビームスプリッタ206を用いて重ねられ、試料210に入射される。

試料210透過後のプローブ光LPと参照光LRは共通の光検出素子211によって電気信号に変換され、プリアンプ212によって適当な大きさに増幅される。便宜上、プローブ光LPの検出信号をA cos(wt)とすると、参照光LRの検出信号はB sin(wt)となる。ここでAはプローブ光LPの強度に比例する量、Bは参照光LRの強度に比例する量、wは同期信号の角周波数である。光雑音はAとBの揺らぎで表されるが、プローブ光LPと参照光LRは同時刻の光を分割したものなので、互いに比例して揺らぐ。あるいは、AとBの比は光学素子の特性で定まり、一定である。光検出素子211で検出される電気信号は、 A cos(wt) + B sin(wt) と表わされる。この検出信号は増幅後に平衡器230に入力される。平衡器230は、乗算器231と、位相シフタ232と、ローパスフィルタ233を有する。プリアンプ212の出力は乗算器231の入力に接続される。一方、同期信号源207から出力される同期信号は、位相シフタ232によって位相が調整され、乗算器231に入力されて検出された信号と乗算される。便宜上、乗算器231に入力される同期信号を C cos(wt + f) と表す。ここでfは同期信号の位相であり、位相シフタ232によって調整される。従って、乗算器231からの出力は、 (1/2)AC{cos(2wt + f) + cos f} + (1/2)BC{sin(2wt + f) &#8211; sin f} となる。この信号はローパスフィルタ233に入力され、低周波成分だけが出力される。その結果、平衡器230の出力信号は、A cos f &#8211; B sin fに比例する。つまり、位相fを適切に選択すると、プローブ光LPの検出信号と参照光LRの検出信号の差が出力されることが分かる。

ここで、cos f : sin f = B: Aとなるようにfを調整すると、平衡器230の出力が零になる。そのようなfはtan-1(A/B) + 2np (nは整数)である。すなわち、光学素子の特性などでAとBの比が等しくないときも、fを調整することによって平衡器230の出力を零にし、平衡化ができる。この調整によりAとBの比がばらつくときでも、光雑音を打ち消すことができる。

一方、同期信号源207によって駆動される刺激源208によって、試料210に周期的な刺激が与えられる。刺激の位相は、プローブ光LPのみに刺激に誘起される強度変調がかかるように、プローブ光LPと同位相に制御される。刺激による効果はプローブ光LPの強度Aのみに変調を与えるので、ローパスフィルタ233からは、光雑音が打ち消された刺激に誘起された信号のみが出力される。

このように、検出信号に直流成分が含まれていなくても、プローブ光と参照光の検出信号の強度比の補正を実現することができる。光源201との同期信号の位相を調整して光検出信号に乗算することで、プローブ光LPと参照光LRの光雑音を打ち消して、所望の刺激信号だけを取り出すことができる。 <変形例> 図14は、第5実施形態の変形例である光学測定装置300の概略構成図である。図14では、図13の構成に加えて、光検出素子211の直前に分光器311を挿入し、光検出素子211の直後に光源の強度変調に共鳴する共振器312を挿入する。それ以外の構成要素の構成、配置、機能は、図13と同じである。

図13と関連して述べたように、図13の構成は検出信号に直流成分が含まれていなくてもプローブ光と参照光の検出信号の強度比を一定にすることができる。この特徴があることで、共振器312を用いることができる(共振器からの信号には直流成分が含まれない)。

共振器312は熱雑音を生じさせる負荷抵抗を含まないので、熱雑音(電気的雑音)を排除し、光検出信号の特定の周波数成分だけを取り出して平衡器230に供給する。外来雑音など測定に関係しない周波数の混入を防止し、かつ、信号雑音比を改善することができる。

図14でも、プローブ光LPと参照光LRが重ねられた後は共通の光路を通り、単一の光検出器211で検出されるので、分光器が共通となり分光測定への適用が容易である。

図14の構成は、共振器を用いて電気的な雑音を低減しつつ、プローブ光LPと参照光LRの強度比の揺らぎによる光雑音を相殺するので、信号雑音比を最大限に向上することができる。 <第6実施形態> 図15は、第6実施形態の光学測定装置400の概略図である。図15でも、光検出素子211の直前に分光器311を配置し、直後に共振器312を配置する。

第6実施形態では、プローブ光LPだけが試料210に導かれ、参照光LRは試料210を迂回する。試料210を透過しない参照光LRと、試料210を透過したプローブ光LPが空間的に重ねられて単一の光検出素子211で検出され、検出信号が平衡器430に入力される。また、試料にポンプ光(刺激)を照射し、ポンプ光の強度を参照信号の周波数で変調し、平衡器430の出力を参照信号の周波数でロックイン検出する。

第6実施形態の特徴として、乗算器231の出力に含まれる直流成分に基づいて、位相シフタ232をフィードバック制御する。このフィードバック制御により、試料スキャン等よる試料の状態変化によってプローブ光と参照光の検出強度比が変わっても、不必要な状態変化を排除して、刺激に誘起された強度比変化だけを取り出すことができる。

位相のフィードバック制御について、より具体的に説明する。平衡器430は、乗算器231、第1のローパスフィルタ433、第2のローパスフィルタ434、積分器435、及び位相シフタ232を有する。第2のローパスフィルタ434により、乗算器231の出力信号から直流成分が取り出され、その積分信号によって位相シフタ232が駆動される。

参照信号源451の出力は強度変調器452とロックイン検出器450に入力される。刺激源208からの刺激信号はプローブ光LPに同期し、強度変調器452によって強度変調を受けた後、試料210に入射される。

参照信号の周波数は、イメージングなどによる試料210の状態変化の周波数より十分に大きく設定される。第1のローパスフィルタ233の遮断周波数は、参照信号の周波数より大きく設定される。積分器435の遮断周波数は参照信号の周波数よりは小さく、試料210の状態変化の周波数よりは大きく設定される。つまり、各々の周波数の大小関係は、 (光源の強度変調周波数)>(第1のローパスフィルタ433の遮断周波数) >(参照信号の周波数)>(積分器435の遮断周波数)>(試料の状態変化周波数) となる。

第1のローパスフィルタ433の遮断周波数は参照信号(つまり刺激信号)の周波数よりも大きく、かつ試料210の状態変化の周波数よりも大きいので、試料210の刺激に誘起される状態変化の情報を含んだ信号が第1のローパスフィルタ433を通過して、平衡器430の出力として得られる。この出力を参照信号の周波数でロックイン検出することにより、刺激に誘起された信号が得られる。

積分器435の遮断周波数は、参照信号の周波数よりも小さいので、積分器435からの出力には、刺激に誘起された信号はほとんど含まれない。しかし、試料210の状態変化の周波数よりは大きいので、試料の状態変化の情報は含まれる。つまり、積分器435からの信号は、刺激に誘起されたプローブ光LPの強度Aの変化を含まないが、試料210の状態変化やその他外乱によって変化するAとB(参照光LRの強度)の差の情報が含まれる。積分器435の出力信号に基づき、位相シフタ232はAとBの差が零になるようにフィードバック制御される。

外乱や試料の状態変化などでAとBの比が変化しても、状態変化による刺激の信号変化までは打ち消さないゆっくりとしたフィードバック制御により、プローブ光LPと参照光LRの検出信号強度比を一定にすることができる。その結果、光雑音を打ち消しながら、刺激に誘起された信号に基づいた試料の状態変化の観測が可能になる。

第5実施形態(図13及び図14)では、試料210の状態変化によるAとBの比の変化を防ぐためにプローブ光LPと参照光LRの双方を試料210に照射していたが、第6実施形態(図16)では、試料210の状態変化によるAとBの比の変化をフィードバック制御により補正するので、参照光LRを試料210に照射する必要がない。

参照光LRを試料210に照射する必要がないので、参照光LRによる試料210の損傷を防止できる。従って、光源201の強度をより強くすることができる。また、試料210の照射による光学的損失を減らすことができる。これにより、検出信号強度を大きくして、熱雑音や外来雑音、光電流の散弾雑音に対する信号雑音比を向上することが可能になる。 <発展例> 図16は、第6実施形態の構成を誘導ラマン測定に適用した例を示す。

図16では、光源501としてパルスレーザを用いる。この例ではパルス繰り返し周波数は76.3 MHzで、4分の1周期に相当する光路長は約1mとなる。パルス光はビームスプリッタ505で分割され、一方の光成分はポンプ光LSと呼ばれる刺激源として用いられる。ポンプ(パルス)光LSは、チョッパー552によって強度が変調され、試料210に照射される。ポンプ光LSは適当な光路によって、プローブ光(パルス光)LPと同時に試料210に照射されるように調整される。

もう一方のパルス光成分は、フォトニック結晶ファイバ(PCF)502に入射される。PCF502によって、単色のパルスレーザは白色パルス光に変換される。この白色パルス光は偏光子503を経た後、偏光ビームスプリッタ504によって、プローブ光LPと参照光LRに分割される。

偏光子503は、白色光の偏光方向を固定・調整するために挿入されている。一般に、ビームスプリッタ504の分割比は入射光の偏光方向によって変化するため、偏光方向がパルス毎に揺らぐと、パルス毎にAとBの比が揺らぎ、光雑音を打ち消すことができなくなる。従って、パルス毎の分割比のばらつきを抑えるため、ビームスプリッタ504の直前の偏光子503によって偏光方向を固定する。偏光ビームスプリッタ504は水平方向の偏光を透過し、垂直方向の偏光を反射する。例えば、偏光子503の偏光方向を45°とすると、プローブ光LPと参照光LRの分割比は1:1になる。プローブ光LPは試料210に入射され、ポンプ光LSとプローブ光LPの誘導ラマン効果によって、分子振動の情報が強度変調として載せられる。参照光LRは付加的な光路によってパルス繰り返しの4分の1周期に相当する遅延が与えられた後、偏光ビームスプリッタ507上でプローブ光LPと空間的に重ねられる。白色光の分割と重ね合わせに偏光ビームスプリッタ504、507を用いる場合、プローブ光LPは水平偏光なので偏光ビームスプリッタ504,507を高い透過率で透過する。参照光LRは垂直偏光なので、高い反射率で反射される。したがって、通常のビームスプリッタよりも光学的な損失が小さく抑えられる。

プローブ光LPと参照光LRは共通の分光器311によって分光され、適当な波長が共通の光検出素子211に導入される。図16では図示の便宜上、単一の光検出素子211だけが描かれているが、複数の光検出素子211を波長毎に用意すると(図9参照)、同時多波長計測によるスペクトルを得ることができる。

図17は、図16の系で測定されたプローブ光LPの光雑音打消し効果とフィードバックの効果(平衡器430のフィードバック制御)を示すものである。横軸は、プローブ光LPの強度Aと参照光LRの強度Bの差をAで規格化したものであり、光学的なバランスのずれを表す。縦軸は、光をチョップすることなく得られた信号をAで規格化したものであり、変調度換算の雑音を表す。雑音がなければ、信号が無く変調がかかっていない場合の信号強度は零になる。チョップされていない、或いは刺激に誘起された変調などがかけられていないにもかかわらず信号が観測されるのは、光雑音が原因である。

星印はノイズキャンセルなしにプローブ光のみを検出した測定結果を示す。四角印は、平衡器430でノイズキャンセルを行うが、フィードバック制御を行わない場合の測定結果を示す。丸印は、平衡器430でノイズキャンセルとフィードバック制御を行った時の測定結果を示す。

データ取得の際のパラメータとして、参照信号の周波数は4.5 kHz、第1のローパスフィルタ433の遮断周波数は10 kHz、積分器435と第2のローパスフィルタ435の遮断周波数は1 kHzとした。試料210は挿入せず、プローブ光LPと参照光LRの強度比を偏光子503の角度により調節した。フィードバック機能を無効にした状態で参照光LRを遮断し、プローブ光LPを直接チョップすると、プローブ光LPの強度Aが得られる。プローブ光LPを遮断し、参照光LRを直接チョップすると、参照光LRの強度Bが得られる。

図中の星印は、試料210を通さずに、参照光を遮断して得られた信号であり、プローブ光LPの光雑音を示す。変調度換算で約1.5×10-4 (Hz)-1/2の光雑音が観測されている。四角印の測定点では、フィードバック機能を無効にしているが、横軸の値がゼロ、すなわちA=Bとなるように偏光子503を調節することで、6.4×10-6 (Hz)-1/2まで雑音が打ち消されることが分かる。雑音の下限は、回路中の抵抗の熱雑音や能動素子による雑音、光電流の散弾雑音で定まる。これら雑音による信号対雑音比は、光源201の入射光強度を大きくすることで向上する。

偏光子503を調節してAとBの比を崩していくと、AがBよりも大きい場合、BがAよりも大きい場合のいずれにおいても、光雑音を十分に打ち消すことができず、光雑音が観測される。

丸印の測定点では、フィードバック機能が用いられ、プローブ光と参照光の強度比が崩れた場合でも、光雑音が十分に打ち消されている。フィードバック機能を無効にすると強度比が崩れるにつれて光雑音が大きくなるが(四角印)、フィードバック機能を有効にすることで、AとBの強度比が崩れても、その強度比の変化が補償され、光雑音が最大限打ち消される。

図18〜図20は、第5実施形態と第6実施形態の光学測定を多波長同時計測誘導ラマン顕微鏡に適用したときの測定結果を示す。図18(a)は用いた試料600の上面図、図18(b)は側面図である。直径4μmのポリスチレン(PS)球602を、ポリビニルアルコール(PVA)膜601中に埋めた試料600を作製する。

図19(a)の実線は、ポリスチレン(PS)の自発ラマンスペクトル、破線はPVAの自発ラマンスペクトルを示す。PSは、3054 cm-1にピークのあるラマンバンドを有し、PVAは2914 cm-1にピークがあるラマンバンドを有する。ポンプ光とプローブ光の波数差を3050 cm-1付近に設定すると、主にPS由来の信号が得られ、波数差を2915 cm-1付近に設定すると、主にPVA由来の信号が得られる。

図19(b)と図19(c)は、ノイズキャンセル有り、かつフィードバック無しのときのイメージング結果をそれぞれ示す。測定開始時にプローブ光の強度Aと参照光の強度BをA = Bに設定し、試料600を掃引することで画像を得る。黒色ほど信号強度が小さく、白色ほど信号強度が大きい。図19(b)では、3050 cm-1のラマンバンドに共鳴するプローブ光の波長で得られた画像であり、PS球602が存在するところに強い信号が円板状に得られている。図19(c)は、2915 cm-1のラマンバンドに共鳴するプローブ光の波長で得られた画像であり、PS球602が存在しない部分の信号強度がほぼ一様に強い。PS球602が存在するところではPVA601が排除されているので、信号強度が円板状に減少している。

図19(d)は比較として、実施形態のノイズキャンセルが実施されていないときのイメージング結果を示す。3050 cm-1のラマンバンドに共鳴する波長において、参照光をブロックしているので、プローブ光の光雑音が打ち消されていない。この場合、プローブ光の光雑音に信号が埋もれてPS球602の像が得られない。また、図には示さないが、2915 cm-1のラマンバンドに共鳴する波長においても同様である。実施形態では、参照光を用いた平衡処理を行うことにより、分光器を通しながら同時多波長で光雑音打消しが達成されることが分かる。

図19(e)と図19(f)はそれぞれ、ノイズキャンセルに加えて、フィードバック制御を行ったときのイメージング結果を示す。図19(e)は3050 cm-1のラマンバンドに共鳴するプローブ光の波長で得られた画像、図19(f)は2915 cm-1のラマンバンドに共鳴するプローブ光の波長で得られた画像である。それぞれ、図19(b)と図19(c)と同様のコントラストが得られている。フィードバック制御を行うことにより、光学的なバランスが自動的に調整されて、光雑音が打ち消されていることが分かる。さらに、刺激に誘起された信号はフィードバックによって打ち消されないようにフィードバックの応答を適切に設定することで、ポンプ光による刺激が観測されるという原理が実証されている。

図20(a)と図20(b)は、それぞれ図19(b)と図19(e)のX = 4.25 mmにおける断面図である。この図は、測定中のプローブ光の強度Aと参照光の強度Bの比の崩れがフィードバック制御により自動補正される効果を示している。図20(a)はフィードバックを適用しない場合で、ポリスチレン(PS)球602が存在する領域で誘導ラマン散乱に由来して信号強度が大きくなっている。しかし、PS球602の形状が球状であるにもかかわらず、信号強度が場所によって大きく揺らいでいる。これは測定の開始時に光学的調整によって設定されたA=Bの条件が、PS球602を透過することで乱されたために、プローブ光の光雑音が十分に打ち消されなくなったためである。

これに対し、図20(b)は、フィードバックを適用した場合で、PS球602が存在する領域で誘導ラマン散乱に由来して信号強度が大きい。しかも、図20(a)で見られるような、PS球602の存在領域における信号強度の大きな揺らぎは観測されない。これは、図20(b)ではPS球602を透過することによるA=Bの条件の乱れがフィードバックによって自動的に補正されて、プローブ光の光雑音が最大限に打ち消されているためである。測定中のA=B(あるいは強度比)の崩れが、第6実施形態のフィードバック制御による位相調整の方法で自動的に補正されるという原理が実証されている。

本出願は、2013年6月27日に出願された日本国特許出願第2013−135412号に基づきその優先権を主張するものであり、同日本国特許出願の全内容を参照することにより本願に援用する。

10A、10B、100、200、300、400、500 光学測定装置 11、201 光源 18、18−1〜18−n、211 検出器 12、15、52、55、119、122,504,507 偏光ビームスプリッタ(光学素子) 20、210 試料 30、230、430 平衡器 34 コンパレータ(方形波生成器) 38,231 乗算器 51、110 白色光源 58、311 分光器 59 多チャンネルロックインアンプ 127 ステージ 150 測定系 202、252 強度変調器 232 位相シフタ 435 積分器 450 ロックイン検出器 451 参照信号減 501 パルス光源 LP プローブパルス光 LR 参照パルス光 LS 刺激またはポンプパルス光

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