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Optical semiconductor device drive circuit and optical transmit/receive module

阅读:519发布:2020-06-21

专利汇可以提供Optical semiconductor device drive circuit and optical transmit/receive module专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an optical semiconductor drive circuit which can operate stably even with a power supply voltage being slightly higher than the forward operating voltage of an optical semiconductor device to drive, and output a switching current and a voltage high enough to drive an optical a semiconductor device, and provide further an optical transmit/receive module.
SOLUTION: An optical semiconductor device drive circuit is equipped with a pre-driver circuit 100 which operates as a limiter-type amplifier, and an output circuit 200 which outputs a drive pulse current to the optical semiconductor device as an external load on the basis of voltage pulses outputted from the pre-driver circuit 100. Either a differential amplification circuit composed of two transistors where a resistor and a variable constant current source which specify an output current value are connected and furthermore an emitter is connected in common at the same connection point, or a circuit operating like a Schmidt circuit is used as the output circuit 200.
COPYRIGHT: (C)2001,JPO,下面是Optical semiconductor device drive circuit and optical transmit/receive module专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】増幅手段と、前記増幅手段の出力電圧の振幅を一定値に制限するリミッタ手段と、を有し、リミツタ型増幅手段として動作することにより入力信号を増幅し整形して差動電圧パルスを生成するプリドライバ回路と、 前記プリドライバ回路から出力される前記差動電圧パルスに基づき、外部負荷としての光半導体素子に駆動パルス電流を出力する出力回路と、 を備えた光半導体素子駆動回路であって、 前記出力回路は、 共通結節点において互いのエミッタが共通接続された第1のトランジスタ及び第2のトランジスタと、前記共通結節点と接地との間に接続された抵抗と、前記共通結節点に接続された可変定電流電源と、を有し、前記プリドライバ回路から出力された前記差動電圧パルスは、前記第1のトランジスタのベースとともに第2のトランジスタのベースにも入力され、前記第2のトランジスタのコレクタ出力電流が、前記駆動パルス電流として出力され、 前記第1のトランジスタのベースに入力された前記電圧パルスの瞬時レベルが低い時には、前記第1のトランジスタは遮断状態で前記第2のトランジスタは飽和動作に近い一定電流オン状態にあり、前記電圧パルスの入力レベルが所定の値以上に上昇した時には、前記第1のトランジスタは飽和動作に近い一定電流オン状態で前記第2
    のトランジスタは遮断状態になり、前記遮断状態と前記一定電流オン状態との中間の過渡状態ではエミッタ帰還が働いて前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは互いにスイッチ反転するものとして構成されたことを特徴とする光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項2】前記プリドライバ回路は、前記増幅手段の出力電圧レベルを調節するレベルシフト手段をさらに有し、 前記出力回路とは別の電源が供給され、しかもその電圧は回路動作条件に依らず常時一定に保たれ、 前記レベルシフト手段は、レベルシフト抵抗と温度依存型定電流発生回路とを有し、前記増幅手段のスイッチ電圧レベルの温度変動を補償するものとして構成されたことを特徴とする請求項1記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項3】前記出力回路の前記可変定電流電源は、負の温度依存性を持つ定電流を発生し、前記第2のトランジスタから出力される電流パルスの振幅は温度が変化しても一定値を保持するように補償されることを特徴とする請求項1または2に記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項4】前記出力回路の前記可変定電流電源は、一定値のバイアス電流成分に加えて、負の温度依存性を持つ補償電流成分を発生し、前記第2のトランジスタから出力される電流パルスの振幅は前記バイアス電流成分によって一定値に制御され、且つ、前記電流パルスの振幅は前記補償電流成分によって温度が変化しても一定値を保持するように補償されることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項5】前記出力回路の前記可変定電流電源は、 前記共通結節点と接地との間に並列接続されたエミッタ接地型のサイズnのトランジスタと、 前記共通結節点に接続されたコレクタと、前記サイズn
    のトランジスタのベース接続されたベースとを有し、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/(n+1)
    の一定電流が流れる、サイズ1の単位トランジスタと、 前記単位トランジスタのエミッタと接地との間の電圧差が常に零となるように前記サイズnのトランジスタのベースと前記単位トランジスタのベースとに帰還信号を供給する誤差増幅・帰還回路網と、 を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項6】前記出力回路の前記可変定電流電源は、第1の電流ミラー回路と第1の基準電流発生源とを有し、 前記第1の電流ミラー回路は、前記共通結節点と接地との間にコレクタが接続されたエミッタ接地型のサイズn
    ×mのトランジスタと、前記サイズn×mのトランジスタと対をなすサイズmのトランジスタと組合せてなり、 前記第1の基準電流発生源は、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/nの一定電流を前記第1の電流ミラー回路に注入するものとして構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項7】前記出力回路は、前記第2のトランジスタの前記コレクタに接続され、前記駆動パルス電流に一定値の直流バイアス電流を付加する作用を有する定電流発生回路をさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項8】増幅手段と、前記増幅手段の出力電圧の振幅を一定値に制限するリミッタ手段と、を有し、リミツタ型増幅手段として動作することにより入力信号を増幅し整形して電圧パルスを生成するプリドライバ回路と、 前記プリドライバ回路から出力される前記電圧パルスに基づき、外部負荷としての光半導体素子に駆動パルス電流を出力する出力回路と、 を備えた光半導体素子駆動回路であって、 前記出力回路は、 共通結節点において互いのエミッタが共通接続された第1のトランジスタ及び第2のトランジスタと、前記共通結節点に接続された可変定電流電源と、を有し、前記プリドライバ回路から出力された前記電圧パルスは、前記第1のトランジスタのベースに入力され、前記第2のトランジスタのコレクタ出力電流が、前記駆動パルス電流として出力され、 前記第1のトランジスタのベースに入力された前記電圧パルスの瞬時レベルが低い時には、前記第1のトランジスタは遮断状態で前記第2のトランジスタは非飽和の線形動作状態にあり、 前記電圧パルスの入力レベルが所定の値以上に上昇した時には、前記第1のトランジスタは非飽和の線形動作状態で前記第2のトランジスタは遮断状態になり、 前記遮断状態と前記飽和状態との中間の過渡状態では正帰還が働いて前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは急激にスイッチ反転するものとして構成されたことを特徴とする光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項9】前記出力回路は、 前記第1のトランジスタのコレクタに接続された第1の抵抗と、 前記第1のトランジスタのコレクタと前記第2のトランジスタのベースとの間に並列に接続された第1の容量及び第2の抵抗と、 前記第2のトランジスタのベースから接地接続された第3の抵抗と、 前記共通結節点に接地接続された第4の抵抗と、 をさらに有することを特徴とする請求項8記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項10】前記可変定電流電源は、 前記駆動パルス電流の振幅を可変する電流発生回路と、 前記第2のトランジスタから出力される電流パルスの振幅が温度の変化に対して常に一定値を保持するように補償するために所定の負の温度依存性を有する電流バイアス電流発生回路と、を有することを特徴とする請求項8
    または9に記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項11】前記出力回路は、前記第2のトランジスタの前記コレクタに接続され、前記駆動パルス電流に一定値の直流バイアス電流を付加する作用を有する定電流発生回路をさらに有することを特徴とする請求項8〜1
    0のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項12】前記出力回路は、前記第4の抵抗と並列に接地接続された第2の容量をさらに有し、前記第2の容量は、前記第4の抵抗とのRC時定数が1ナノ秒以下となる容量値を有することを特徴とする請求項9記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項13】前記プリドライバ回路は、前記増幅手段の出力電圧レベルを調節するレベルシフト手段をさらに有することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項14】前記レベルシフト手段は、レベルシフト抵抗と温度依存型定電流発生回路とを有し、前記増幅手段のスイッチ電圧レベルの温度変動を補償するものとして構成されたことを特徴とする請求項13記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項15】前記出力回路の前記可変定電流電源は、 前記共通結節点と接地との間に並列接続されたエミッタ接地型のサイズnのトランジスタと、 前記共通結節点に接続されたコレクタと、前記サイズn
    のトランジスタのベース接続されたベースとを有し、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/(n+1)
    の一定電流が流れる、サイズ1の単位トランジスタと、 前記単位トランジスタのエミッタと接地との間の電圧差が常に零となるように前記サイズnのトランジスタのベースと前記単位トランジスタのベースとに帰還信号を供給する誤差増幅・帰還回路網と、 を有することを特徴とする請求項8〜14のいずれか1
    つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項16】前記出力回路の前記可変定電流電源は、
    第1の電流ミラー回路と第1の基準電流発生源とを有し、 前記第1の電流ミラー回路は、前記共通結節点と接地との間にコレクタが接続されたエミッタ接地型のサイズn
    ×mのトランジスタと、前記サイズn×mのトランジスタと対をなすサイズmのトランジスタと組合せてなり、 前記第1の基準電流発生源は、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/nの一定電流を前記第1の電流ミラー回路に注入するものとして構成されたことを特徴とする請求項8〜14のいずれか1つに記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項17】前記基準電流発生源は、 電源側に接続された第2の電流ミラー回路と、 前記第2の電流ミラー回路に注入する電流を供給する第2の基準電流発生源と、 出力パルス電流の振幅の変化に対してパルス幅を常時一定に保持する目的の補償バイアス電流を前記第2のトランジスタのベースに注入するために前記第2の電流ミラー回路出力トランジスタに並列に接続された別の定電流出力トランジスタと、 を有することを特徴とする請求項16記載の光半導体素子駆動回路。
  • 【請求項18】請求項1〜17のいずれか1つに記載の光半導体素子騒動回路を有するICと、光半導体素子と、が設けられたサブモジュールと、 前記サブモジュールの前記光半導体素子と光学的に結合するための光コネクタと、 前記サブモジュールの前記光半導体素子または前記IC
    と電気的に結合するためのリードと、 前記サブモジュールと前記光コネクタと前記リードとを収容するパッケージと、 を備えたことを特徴とする光送受信モジュール。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、光半導体素子駆動回路及び光送受信モジュールに関する。 より具体的には、本発明は、光通信や光データリンクに使用される光伝送装置に関連し、中でも光半導体素子の駆動に要する順方向印加電圧と駆動回路の電源電圧との差が小さい場合でも安定した動作が可能な低電圧電源対応の光半導体素子駆動回路及び光送受信モジュールに関する。

    【0002】

    【従来の技術】現在急速な発展を遂げているマルチメディアにおいては、WAN(Wide AreaNetwork)からLA
    N(Local Area Network)に至るまでの種々のネットワーク・バックボーンが使われている。 中でも最大の根幹を支えるものとしては光通信やFDDI(Fiber Distri
    buted Data Interface)が位置付けられており、それには高速・高性能の光伝送装置が不可欠となっている。 特に最近では、高速通信に限定されずにコンピューター関連機器の間を接続する目的でも、信頼性が高く、かつ、
    高スループットの光インターコネクト技術のニーズが高まってきている。

    【0003】この要求に応えるべく、ファイバーチャンネルやIEEE1394が規格化され、光ファイバーを使ったデータリンクが立上がり始めている。 コンピューターにおいてもダウンサイジングが急速に進んできて、
    EWS(Engineering Work Station)からPC(Preson
    al Computer)が標準的に使われるようになってきており、インターコネクトに要求される仕様としては、スループットの高速性能に加えて実用的な視点での適応性が重視されている。 即ち、システムに組込む実装性の観点からは、冷却が不要な低消費電と、コンピューター内部で使用されるICと同じインターフェースで、できれば同じ電源電圧で動作可能なものなどの要求があり、一方、コスト・パフォーマンスの観点からは、低コストの光送受信モジュールの要求が強い。

    【0004】特に、最近規格が固まったIEEE139
    4では、使用する光ファイバーの低コスト化と光リンクモジュールそのものの低コスト化の狙いから、プラスチックファイバーが採用され、ファイバーの低損失波長域である赤色の波長領域の光源との組合わせが急成長すると考えられている。 赤色の波長領域の具体的な光源としては、650nm程度以下の波長域で発振する光半導体レーザ(LD)が使われる。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者の検討の結果、赤色のLDの採用に際しては、1.3μmよりも長波長帯域のLDが使われてきた従来の光通信における光送受信モジュールとは異なった新たな問題が生じることが分かった。 以下、この問題について説明する。

    【0006】すなわち、赤外の波長帯のLDを使用する光通信装置の場合には、光子のエネルギーが1eV以下であるため、LD駆動回路を動作させるのに必要な電圧は1.2Vから高くても1.5Vで十分であった。 しかし、光子のエネルギーは波長に反比例して大きくなるため光半導体のバンドギャップ・エネルギーも光子エネルギーに比例して大きくなり、赤色領域の光を出力する光半導体素子の駆動に要するダイオード順方向電圧も大きくなる。 因みに650nm以下の波長で発振するLDの場合には、LD騒動回路に必要な電圧は最低2V以上となる。 内部抵抗が高かったり大きな駆動電流が必要で電圧損失が大きくなる場合も考慮すると、最大では2.5
    V程度に達することを覚悟する必要が生じる。

    【0007】一方、最近多くの信号処理やメモリーIC
    を動作させるための電源電圧は、5Vから3.3Vに移行しつつあり、近い将来3.3V以下が標準となる可能性が高い。 また、信号処理ICの消費電力低下と高速化を狙った微細プロセスが次々と開発され、IC内部の動作電圧が2V台以下に移行する動きも急である。 とは言っても、種々の電圧レベルの信号を混在させてシステム全体を組むことは複雑な上に不経済であるので、これらの不都合を回避するためIC 内部動作電圧が低い場合でも、入出力インターフェースは3.3V系の論理レベルに合わせて整合を採る傾向が一般的になりつつある。

    【0008】従って、LD駆動回路としては、少なくとも3.3Vの単一電源電圧で確実に動作可能なIC化可能なものを実現することが重要となってきた。 言い換えれば、3.3Vの電源電圧で、最大2.5Vの順方向駆動電圧を必要とするLDを駆動できる能力を持つ回路方式を実現することが不可欠である。 当然、電源変動を考慮する必要があるが、条件がゆるく最低限満たすべき電源電圧変動を5%以内と制限された場合でも、電源電圧とLDの順方向動作電圧との差は、0.635Vとなる。 もし通常通りに10%の変動を認め、かつ、IC内部の配線抵抗による降下電圧を47mVと仮定した場合には、電圧差は0.4Vとなってしまう。

    【0009】図27は、従来のLD駆動回路の構成例を表す概略回路図である。 従来のLD騒動回路では、5V
    以上の電源電圧で動作するものとして設計されてきたためにLDの順方向降下電圧に比べて十分に大きな出力電圧が確保でき、LDの駆動電流を制御するのに必要な電圧を余裕をもってスイッチング・トランジスタに振り分けることは容易であった。 このため、図27に見られるように、高速動作を確保すると同時に比較的大きな駆動電流を精度良く制御して出力できるよう、高精度定電流発生回路に差動スイッチ回路を縦横みで設置した構造が最終段回路として広く採用されてきた。

    【0010】図27に示したLD駆動回路の全体構成の概略を具体的に説明すると、入力部にはリミッタ増幅手段とエミッタ・フォロワ回路から構成される波形整形と出力段の大電流スイッチ回路を駆動する目的のプリドライバ回路を設け、さらに出力段では、定電流発生源からの出力電流を論理入力の高低に応じて電流スイッチする差動トランジスタを設け、最終的な出力トランジスタのコレクタにLDに直流バイアスを印加する定電流源を接続した構成となっている。 この回路構成の出力段を正常に動作させるためには、出力トランジスタ差動スイッチ回路の動作に必要なバイアス電圧に加えて、そのエミッタに接続される電流発生回路を動作させるのに必要な電圧を合わせた電圧が最低限必要である。

    【0011】図28は、典型的なnpnトランジスタの電圧電流特性を表すグラフ図である。 本発明者の検討の結果、図28に示したような特性を有するnpnトランジスタを使って図27のベース接地型の定電流発生回路を設計した時には、動作バイアスを注意深くぎりぎりまで小さく設定する工夫を施した場合でも、基準抵抗と定電流出力用制御トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧を合計した必要電圧は、最低限0.5V以上であることがわかった。 もし、3.3V系のICを同じ構成で設計しようとすると、上記電圧差の0.635Vを想定した場合でもその上に積み上げるとスイッチ・トランジスタに懸けることのできる電圧は0.1V程度となって、
    スイッチ・トランジスタを線形領域で動作させることは不可能となってしまう。

    【0012】これを解決する手段として、正の入力電源電圧をIC内部で変換して負の電圧を発生させる電源回路を設け、不足した電圧分を負の電源で補うことも考えられる。 しかしこの場合には、一般に光半導体素子を駆動する電流は数10mA以上と比較的大きいため負の内部電圧発生回路にはこれ以上の電流容量が求められ、外部に容量を付加する必要が生じたり、あるいはインダクターが必要となって、ワン・チップICとしてLD駆動回路を実現することが難しくなる。 さらに、回路を動作させる実効電源電圧が増大したことに伴う消費電力増大に加えて、負の電圧を発生させる電圧変換回路の損失もあるため、IC全体として消費電力が増大する問題が生じる。

    【0013】以上詳述したように、駆動する光半導体素子の順方向動作電圧が駆動回路に供給される電源電圧とはぼ同じである場合、従来の駆動回路の構造と方法では、トランジスタのバイアス電圧不足で動作が困難になるという問題があった。

    【0014】また、それを解決しようとすると消費電力が大きくなったり、外部に容量やインダクターを設置する必要が生じてワンチップICの実現が不可能になるなど、種々の不具合が生じて実用上大きな問題があった。

    【0015】本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものである。 すなわち、その目的は、駆動される光半導体素子の順方向動作電圧より僅かに高い電源電圧の供給でも安定に動作し、光半導体素子を駆動するのに十分なスイッチ電流と電圧を出力することができ、かつ、その出力電流は所望の精度と値に可変設定できる能力と、ワンチップIC化が容易なコンパクト性を実現できる光半導体駆動回路及び低電源電圧動作する光コネクタ結合型プラスチック光送受信モジュールを提供することにある。

    【0016】

    【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の光半導体駆動回路は、増幅手段と、前記増幅手段の出力電圧の振幅を一定値に制限するリミッタ手段と、を有し、リミツタ型増幅手段として動作することにより入力信号を増幅し整形して差動電圧パルスを生成するプリドライバ回路と、前記プリドライバ回路から出力される前記差動電圧パルスに基づき、外部負荷としての光半導体素子に駆動パルス電流を出力する出力回路と、を備えた光半導体素子騒動回路であって、前記出力回路は、共通結節点において互いのエミッタが共通接続された第1のトランジスタ及び第2のトランジスタと、前記共通結節点と接地間に接続された抵抗と、前記共通結節点に接続された可変定電流電源と、を有し、前記プリドライバ回路から出力された前記差動電圧パルスは、前記第1のトランジスタのベース及び第2のトランジスタのベースとに入力され、前記第2のトランジスタのコレクタ出力電流が、
    前記駆動パルス電流として出力され、前記第1のトランジスタのベースに入力された前記電圧パルスの瞬時レベルがローレベルの時には、前記第1のトランジスタは遮断状態で前記第2のトランジスタは飽和動作に近い一定電流オン状態にあり、前記電圧パルスの入力レベルが所定のハイレベルに上昇した時には、前記第1のトランジスタは飽和動作に近い一定電流オン状態で前記第2のトランジスタは遮断状態になり、前記遮断状態と前記一定電流オン状態との中間の過渡状態ではエミッタ帰還が働いて前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは互いにスイッチ反転するものとして構成されたことを特徴とする。

    【0017】上記構成により、駆動に必要な光半導体素子の順方向動作電圧より僅かに高い電源電圧を供給するだけでも動作可能で、しかも、光半導体素子に出力される電流は所望の値に可変設定できるワンチップIC化が容易なコンパクトな光半導体駆動回路が実現できる。

    【0018】また、ここで、前記プリドライバ回路は、
    前記増幅手段の出力電圧レベルを調節するレベルシフト手段をさらに有し、 前記出力回路とは別の電源が供給され、しかもその電圧は回路動作条件に依らず常時一定に保たれ、前記レベルシフト手段は、レベルシフト抵抗と温度依存型定電流発生回路とを有し、前記増幅手段のスイッチ電圧レベルの温度変動を補償するものとして構成されたことを特徴とする。

    【0019】上記構成により、光半導体素子に出力される電流パルス波形は、パルス幅と過渡応答が一定に保たれるほか、振幅はLDの温度変化に対する光出力劣化を補償するような特性を得られるようになる。

    【0020】また、前記出力回路の前記可変定電流電源は、負の温度依存性を持つ定電流を発生し、前記第2のトランジスタから出力される電流パルスの振幅は温度が変化しても一定値を保持するように補償されることを特徴とする。

    【0021】上記構成により、パルス電流振幅をIC動作条件に依存せず一定に保つことができる。

    【0022】または、前記出力回路の前記可変定電流電源は、一定値のバイアス電流成分に加えて、負の温度依存性を持つ補償電流成分を発生し、前記第2のトランジスタから出力される電流パルスの振幅は前記バイアス電流成分によって一定値に制御され、且つ、前記電流パルスの振幅は前記補償電流成分によって温度が変化しても一定値を保持するように補償されることを特徴とする。

    【0023】上記構成により、パルス電流振幅をIC動作条件に依存せず一定に保つたまま、所望の精度と値に設定できる能力を持たせることが出来る。

    【0024】または、前記出力回路の前記可変定電流電源は、前記共通結節点と接地との間に並列接続されたエミッタ接地型のサイズnのトランジスタと、前記共通結節点に接続されたコレクタと、前記サイズnのトランジスタのベース接続されたベースとを有し、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/(n+1)の一定電流が流れる、サイズ1の単位トランジスタと、前記単位トランジスタのエミッタと接地との間の電圧差が常に零となるように前記サイズnのトランジスタのベースと前記単位トランジスタのベースとに帰還信号を供給する誤差増幅・帰還回路網と、を有することを特徴とする。

    【0025】上記構成により、小容量の負電源を使える場合には、基準電流精度が高くなることに加えて、負荷変動による電流増幅率の変化や電源電圧の変動の影響が少ない高精度の電流調節機能が実現できる。

    【0026】または、前記出力回路の前記可変定電流電源は、第1の電流ミラー回路と第1の基準電流発生源とを有し、前記第1の電流ミラー回路は、前記共通結節点と接地との間にコレクタが接続されたエミッタ接地型のサイズn×mのトランジスタと、前記サイズn×mのトランジスタと対をなすサイズmのトランジスタと組合せてなり、前記第1の基準電流発生源は、前記共通結節点にバイアスされる電流値の1/nの一定電流を前記第1
    の電流ミラー回路に注入するものとして構成されたことを特徴とする。

    【0027】上記構成により、電流容量を確保しつつ、
    所定の増幅率を有する電流ミラー増幅を実現することができる。

    【0028】または、前記出力回路は、前記第2のトランジスタの前記コレクタに接続され、前記駆動パルス電流に一定値の直流バイアス電流を付加する作用を有する定電流発生回路をさらに有することを特徴とする。

    【0029】上記構成により、コンパクトな回路構成で、精密に制御されたLD直流バイアス用温度依存型定電流発生回路を付加でき、LDの良好な高周波動作を確保できる。

    【0030】また、本発明の別の光半導体素子駆動回路は、以下に列挙するようにシュミット回路に類似した構成を有する点にひとつの特徴を有する。

    【0031】すなわち、本発明の光半導体素子駆動回路は、増幅手段と、前記増幅手段の出力電圧の振幅を一定値に制限するリミツタ手段と、を有し、リミツタ型増幅手段として動作することにより入力信号を増幅し整形して矩形状電圧パルスを生成するプリドライバ回路と、前記プリドライバ回路から出力される前記電圧パルスに基づき、外部負荷としての光半導体素子に駆動パルス電流を出力する出力回路と、を備えた光半導体素子駆動回路であって、前記出力回路は、共通結節点において互いのエミッタが共通接続された第1のトランジスタ及び第2
    のトランジスタと、前記共通結節点に接続された可変定電流電源と、を有し、前記プリドライバ回路から出力された前記電圧パルスは、前記第1のトランジスタのベースに入力され、前記第2のトランジスタのコレクタ出力電流が、前記駆動パルス電流として出力されるものとして構成されたことを特徴とする。

    【0032】前記電流出力回路においては、一つはスイッチ・トランジスタのコレクタ・エミッタ間が飽和動作領域までスイッチする方式であり、もう一つはコレクタ・
    エミッタ間電圧が非飽和動作領域内でスイッチ動作する方式である。 非飽和方式においては、前記プリドライバ回路および抵抗値を適宜最適化した抵抗網回路と併せてベース入力パルスのハイレベルを制御する機能を持たせ、パルス振幅とそのレベルを制御してスイッチ出力電流を制御する非飽和電流スイッチ動作によって、その発生するパルス振幅の電流値を一定に規定する機能を兼ね備えた動作をする回路方式である。 即ち、通常ベース接地型トランジスタ増幅手段によってベースバイアス電圧とエミッタ負荷抵抗で規定される定電流がコレクタから出力されるものが基本的な定電流発生回路であるが、ベース電圧を定常的に固定する代りにベースを矩形パルスで駆動することによって、パルス・ハイ状態の時に一定の電流出力、パルス・ロー状態の時に出力電流零の動作を達成している。

    【0033】または、本発明の光半導体素子駆動回路は、増幅手段と、前記増幅手段の出力電圧の振幅を一定値に制限するリミツタ手段と、を有し、リミツタ型増幅手段として動作することにより入力信号を増幅し整形して電圧パルスを生成するプリドライバ回路と、前記プリドライバ回路から出力される前記電圧パルスに基づき、
    外部負荷としての光半導体素子に駆動パルス電流を出力する出力回路と、を備えた光半導体素子駆動回路であって、前記出力回路は、共通結節点において互いのエミッタが共通接続された第1のトランジスタ及び第2のトランジスタと、前記共通結節点に接続された可変定電流電源と、を有し、前記プリドライバ回路から出力された前記電圧パルスは、前記第1のトランジスタのベースに入力され、前記第2のトランジスタのコレクタ出力電流が、前記駆動パルス電流として出力され、前記第1のトランジスタのベースに入力された前記電圧パルスの瞬時レベルが低い時には、前記第1のトランジスタは遮断状態で前記第2のトランジスタは飽和状態、または、一定電流オン状態にあり、前記電圧パルスの入力レベルが所定の値以上に上昇した時には、前記第1のトランジスタは飽和状態で前記第2のトランジスタは遮断状態になり、前記遮断状態と前記飽和状態、または、一定電流オン状態との中間の過渡状態では正帰還が働いて前記第1
    のトランジスタと前記第2のトランジスタは急激にスイッチ反転するものとして構成されたことを特徴とする。

    【0034】つまり、最初、入力信号はプリドライバ回路に入力され、増幅・整形して出力回路段を駆動するのに最適な振幅を持つパルス信号に変換する。 プリドライバ回路は基本的に差動増幅型のリミッタ増幅手段であり、振幅がはぼ一定の値をもち、波形の立上りと立下りが高速化された出力パルスを得る。 しかも、出力パルスのハイ・レベル電圧は、最終段出力回路のパルス電流出力の振幅ピーク値を規定する。

    【0035】リミッタ増幅回路内部にはレベルシフト抵抗を内蔵させ、出力パルス電圧の直流レベルとしては、
    ハイ・レベルを一定値に保たせるか、レベルシフト抵抗に発生する電圧に多少正の温度係数を持たせてハイ・レベルが温度と共に降下する特性を持たせて、出力段スイッチ回路トランジスタの入力弁別レベルの温度変動を少なくさせる。

    【0036】整形・増幅された電圧パルス信号は、回路の基本構造がシュミット回路に類似したエミッタ結合パルス増幅手段構成の出力回路に入力され、出力側トランジスタに外部負荷として接続したLDにON/OFF変調したパルス電流を供給するように変換する。 飽和型スイッチ回路方式の場合には、出力回路トランジスタのコレクタ・エミッタ間は飽和動作まで入るように動作させるが、非飽和スイッチ方式の場合には、電流スイッチ出力回路における第1および第2のトランジスタは、電流が遮断しているオフ状態と、コレクタ・エミッタ間電圧は飽和電圧までは下がらずに、トランジスタの能動動作が可能な一定の電圧を保持したまま一定値の電流が流れているオン状態の、2状態間を遷移する。 具体的には、
    出力回路では第1のトランジスタのベースにプリドライバ出力パルス信号電圧が入力され、そのコレクタには抵抗を負荷として接続する。 コレクタと負荷抵抗の接続点には第2と第3の抵抗を直列に接続して接地に落とし、
    第2と第3の抵抗の結節点に第2のトランジスタのベースが接続される。 ベースに効率的に高周波信号成分を伝えて出力スイッチ波形の過渡応答を高速化するため、第2の抵抗に並列して容量を設置する。

    【0037】第1と第2のトランジスタのエミッタは互いに共通接続し、さらに第4の抵抗を介して接地に接続する。 従って、第4の抵抗によるインピーダンスで電流帰還が懸かる一種のパルス増幅器である。 共通エミッタの結節点には、さらに定電流源を接続し、その発生する電流値を適宜調節して、第2のトランジスタのコレクタ端子を出力として外部負荷として接続されるLDに所望の値の電流が流れるように制御する。

    【0038】飽和型スイッチ回路方式の場合には、第2
    と第3の抵抗の値は、基本的に第2のトランジスタが飽和動作を起こすのに十分な程度にベース・バイアス電流が流れるように値を決める。 もし共通エミッタに接続される定電流源が無い時には、LDに流れる電流値は、コレクタ・エミッタ問飽和電圧は0.1V以下ではぼ無視できるため、外部供給電源電圧とLDの電気的特性としてのダイオード順方向整合電圧と内部動作抵抗、第4の抵抗の値で決まる。 非飽和型スイッチ動作回路においては、 第2と第3の抵抗の分割電圧で決まる第2のトランジスタのエミッタ電圧を第4の抵抗値で割った電流と第4の抵抗に並列に接続した定電流源出力電流値とを合計した電流がLDに出力印加される出力電流となる。

    【0039】特に、出力負荷電流を変える時には第2のトランジスタの平均ベース注入電流が変って出力電流パルス幅も変動するが、第2のトランジスタのベース駆動バイアス電圧を最適化することによって出力パルス幅の変動を最小に抑えることができる。 これを実現する手段としては、共通エミッタに接続する上記定電流源に比例する一定割合値の電流バイアスを第2と第3の抵抗の結節点であるベース接続点に注入する方法が有効である。

    【0040】飽和型スイッチ出力回路の場合には、出力回路における第2のトランジスタのコレクタ負荷が純抵抗である場合にはシュミット回路そのものであるが、純抵抗とは異なりLDなのでインピーダンスが動作環境条件により大きく変り、このままでの電源変動や温度変動によってLDに注入される電流が大きく変化する。 共通エミッタに接続される定電流源には、LDに注入するO
    N/OFF電流パルス振幅値を調節すると同時に、電源電圧や温度変動などの動作環境変化に対応して適宜出力電流値を調整させて常にLDに所望の注入電流設定値を保つような特性を実現する役目を担わせる。 結果的に、
    出力回路の動作は実質的にシュミット回路と等価な振舞いを示し、入力電圧に対するハイとロウの弁別レベルは一定の履歴を持ち、かつ、出力端には急峻な過渡応答特性を示す矩形パルスが得られる。 勿論、これら特性パラメーターの具体的数値は、実際の設計に依存して決定できる。 定電流源は基本的に出力インピーダンスは非常に大きい値をもつのに対し、共通エミッタに接続される第4の抵抗値は小さな値であるので、共通エミッタと接地間のインピーダンスは電流源の動作電流には影響されない。

    【0041】上記パラグラフに記載した内容は、そのまま非飽和型スイッチ回路にはそのまま適用されるものでは無いが、非飽和型スイッチ回路の場合でも、スイッチの過渡応答動作時には電流正帰還が懸かり高速に論理反転が起こることに加えて、入力遷移レベルに関してヒステリシスを示してシュミット回路と類似の動作をすること、および、エミッタの電流帰還特性に関しては定電流源負荷の変動が高周波動作特性に影響しないことは、同様である。 また、下記の通りエミッタ抵抗に並列に容量が付加された時には、過渡応答に対するピーキングとして作用すること、その最適なエンハンス容量値としては、浮遊容量と定電流回路のコレクタ出力容量の分を恣意的に接続する容量値から差し引いた値として設定すれば良い。

    【0042】基本的に出力段回路では出力トランジスタの動作は飽和型スイッチ出力回路方式では線形能動領域に留まることなくON/OFFの飽和領域に限定され、
    一方、非飽和型スイッチ方式の場合は、ON状態はコレクタ・エミッタ電圧が飽和領域には入らない一定の電流が導通している状態をとるため、外部負荷のLDには、
    ON/OFF変調されたパルス電流しか流れない。 一方、LDの高周波特性を確保するためには閾値付近まで直流バイアス電流を常時懸けることを必要とする。 このような要求には、直流電流バイアスを外部から供給する方法もある。 しかし、高周波的に高いインピーダンスで供給する必要があるためにバイアスT(ティー)などの高価で大きな部品が不可避であり、低コストでコンパクトな光送信器は実現できない。 これを解決する方法としては、内部に定電流源を具備させて出力トランジスタのコレクタ端子に直接接続する方法が効果的である。

    【0043】また、第4の抵抗に並列して容量を抱き合わせて設置して1ns以下の時定数を持たせ、出力回路の増幅特性に高周波ピーキングを懸けることによって、
    矩形パルス出力波形の過渡応答時間を短くすることと最高動作周波数の増大を実現することができる。

    【0044】単純にエミッタ・フォロワ出力のプリドライバ回路を最終段出力回路に接続した場合には、温度上昇に伴ってベース・エミッタ間電圧が低下して弁別レベルが変動してLDに負荷される電流パルス幅が変わって伝送波形のデユーティ比が変る特性が生じる。 実質的に弁別レベルが変らないようにするため、出力回路トランジスタを含めて、プリドライバ回路のエミッタ・フォロワに使われている縦横みで使用されるトランジスタ数の合計の半分を数に相当する等価的ダイオード数分の温度変動を丁度補償する逆の電圧変化をプリドライバ回路のレベルシフト抵抗に発生させればよい。 電圧降下に正の温度係数を持たせるためには、正の温度係数を持つ定電流源を差動リミッタ増幅器の2つのコレクタ負荷抵抗とレベルシフト抵抗の共通結節点にさらに接続し、電流の変化率とレベルシフト抵抗の値との積が、ダイオード1
    個当たり約1.2mV/℃の等価的ダイオード数倍と一致させればよい。 非飽和型スイッチ出力回路方式の場合も原理的には同様の動作であるが、パルス幅デューティ比変動抑制と同時に出力の電流振幅の変動も抑える必要がある。 最終的には、LD出力電流そのものを制御する必要があるが、調整パラメターとしてエミッタ電流、分割抵抗比、それに懸ける温度依存型バイアス値などがあり、どの組み合わせで実現するかによって、何通りかの組み合わせ回路方式が考えられる。

    【0045】使用可能なプロセスに依存する問題ではあるが、一般的にpnpトランジスタの帯域幅は、npn
    トランジスタに比べて一桁以上小さい。 出力回路の共通エミッタに接続する定電流源として周波数帯域特性の関係でpnpトランジスタを採用できない場合には、定電流回路の設置が難しくなる。 これを解決する方法として、共通エミッタと接地間にnpnトランジスタのコレクタとエミッタを接続し、ベースは誤差増幅器の帰還電圧を入力し制御する方式が有効である。 即ち、電流源を構成するトランジスタは想定される最大発生電流量に応じたサイズが必要であり、基本トランジスタのn倍のものを置く。 同時にコレクタとベースを共通に接続した基本サイズのトランジスタをもう1個置き、エミッタは負の基準電源に基準抵抗を介して接続する。 基準電圧と基準抵抗値を適宜選択し、電流源として設定したい電流値の1/(n+1)の電流が流れるようにする。

    【0046】設定電流に一定の特性を持たせたい時には、基準電圧を同じ比率で変化する特性を持つように設計する。 この構成で、エミッタと基準抵抗の結節点と接地間の電圧差が常に零となるように誤差電圧を増幅してベース電圧に帰還して制御する。 基本トランジスタの電圧電流特性が飽和特性に達するコレクタ・エミッタ間電圧が第4の抵抗の端子間電圧より大きくなるように最大コレクタ電流となるように選んでやれば、(n+1)個の基本トランジスタが並列動作している時でも動作インピーダンスは第4の抵抗の値より数10倍以上の大きな値とすることは可能であり、実質的には定電流源を接続した時と同様の特性が保持される。

    【0047】厳密には負電源を使った上記定電流発生回路方式とは異なるが、定電流回路の動作原理的には極類似した回路方式としての電流ミラー回路を採用した負電源を使わない定電流回路も適用可能である。 しかし、これら二方式の差異については、注意を要する。 前者は、
    一般に遮断周波数が低いpnpトランジスタを使わないので、帰還回路が広帯域化可能であること、負電圧そのものを必要とするデメリットはあるが、逆に負電圧を使うことによる基準電流の高精度化が可能であること、一般的なトランジスタの特性として負荷変動(特に出力電流変動)による電流増幅率の変化が小さい、電源電圧の変動の影響が少ないなどの特徴を持つ。 一方、後者は単一電源で動作可能であり、かつ、ワンチップICが可能なことが大きな特徴である。

    【0048】前記LD駆動回路を使用すれば、LDの順方向印加電圧と駆動回路の電源電圧との差が小さい場合でも動作可能な低電圧電源対応の送信モジュールを実現することができる。 LD駆動回路が組込まれたICと、
    LD素子、さらにモジュールを動作させるのに付随する容量と抵抗などを基板上一括実装したサブモジュールを内蔵し、外部から光結合するための光コネクタの電気的に結合するためのリードを具備した一括モールドでプラスチック・パッケージに成形する。 この結果、電源電圧は他の信号処理ICに供給するものと共用した単一の電源で動作し、しかも、通常の放熱設計で使用可能な低消費電力でコンパクトな送信モジュールが実現できた。 サブモジュールの上に同時に光受信器を実装することによって、同様な特徴を保持した光送受信機が実現できる。

    【0049】

    【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

    【0050】まず、図1〜図8に関して説明する各実施形態においては、出力回路200に2つのトランジスタQ5、Q6からなる差動増幅回路が設けられている。 この差動増幅回路は、電流スイッチ機能と定電流発生機能とを併せ持つことがひとつの特徴である。 これらの各実施形態は、上述した本発明の目的を十分に達成でき、さらにそれに加えて、回路内部のバイアス電圧調節をそれ程微細に設定しなくても出力パルス幅の歪みが小さく、
    また、バースト入力に対して出力振幅が定常値に落ち着くまでの振幅の過渡応答変化が無視できるレベルにあるという利点も併せて有する。

    【0051】次に、図9〜図25に関して説明する各実施形態においては、出力回路200がシュミット回路に類似した基本構成を有する点にひとつの特徴を有する。
    これらの各実施形態も、上述した本発明の目的を十分に達成できる。 さらに、出力パルスの立ち上がり時間と立ち下がり時間とを互いに相補的に調節できる特徴がある。

    【0052】図9〜図25に例示した各実施形態の出力回路トランジスタは、ほぼ完全な飽和スイッチ動作をさせることが可能であり、または、それらのスイッチ動作を積極的に非飽和動作領域まで拡張することも可能である。

    【0053】トランジスタを飽和動作させると、トランジスタの飽和の深さに応じて出力パルス幅が入力パルス幅よりも広がり、また、負荷LDの動作インピーダンスの値が出力電流値に直接影響する。 これに対して、スイッチ動作を非飽和動作領域にシフトさせると、出力パルス電流特性の制御性をさらに大きく改善できる。

    【0054】一方、図26に関して説明する実施形態においては、図1〜図25に例示した各実施形態の駆動回路のいずれかを搭載した光送受信モジュールが提供される。

    【0055】以下、図1から順に本発明の実施の形態について説明する。

    【0056】図1は、本発明の実施の形態にかかわる光半導体素子騒動回路の概略構成を表す回路図である。 同図の駆動回路は、差動入力信号を入力してLDを駆動する電流パルスを出力する回路であり、プリドライバ回路100と出力回路200とを有する。

    【0057】差動入力信号であるINPUTとINPU
    T/は、プリドライバ回路100のトランジスタQlとQ2のベースにそれぞれ入力される。 Vbbを基準電圧入力としたトランジスタQ7と抵抗R4からなる定電流回路のコレクタ電流出力は、差動増幅トランジスタQl
    とQ2の共通エミッタに接続される。 QlとQ2の各々のコレクタには値が同一の負荷抵抗RlとR2が接続され、共通結線された後レベルシフト抵抗R3を経由して電源Vccに接続される。 差動トランジスタ増幅器に入力された時、ハイレベルの信号が入力したトランジスタは動作領域にあるとき、ローレベルの信号が入力したもう一方のトランジスタがカットオフに入る程度以上の一定の振幅を持つ矩形パルス波形に整形されたQ1、Q2
    の出力は、トランジスタQ3、Q4、Q8、Q9、抵抗R5、R6から構成されるエミッタフォロワ回路で電力増幅され、出力回路200のトランジスタに信号として入力される。 このプリドライバ回路100は、動作的にはリミッタ増幅器と等価であり、その基本構成は図11
    に表した従来回路のプリドライバ回路と概略同一である。 通常レベルシフト抵抗R1で発生させる電圧は、次段の出力回路内部動作バイアス点を最適な値に調節させるためにある電圧範囲に入るように設定すれば良いが、
    ここでは、以下に記すような特殊な機能を達成するために、その目的に要求される特性を持たすことが不可欠である。

    【0058】プリドライバ回路100で整形・増幅された差動矩形パルス信号は、出力回路200に入力され、
    最終的にはLDをパルス電流駆動するためのON/OF
    F変調された電流出力として出力される。 出力回路20
    0は、基本回路構成としては差動増幅器となっている。
    具体的には、トランジスタQ5とQ6のベースに入力された差動信号により、ハイレベル側のトランジスタは、
    共通エミッタに接続された抵抗Reに流れる電流Ieと定電流源I1に流れる電流の合計の電流をコレクタから吸い込み、ローレベル側のトランジスタのコレクタ電流は零となるよう動作する。

    【0059】トランジスタQ5とQ6のエミッタは共通に接続され、さらに抵抗Reを介して接地に接続されているため、Reに流れる電流は、ベース入力パルスのハイレベルVhからベース・エミッタ間電圧Vbeを差引いた値をReで割った値(Vh−Vbe)/Reとなる。 エミッタ電圧(Vh−Vbe)を一定値に保つようにした時には、動作条件に依らずLDへのパルス電流出力振幅は一定となり、パルス電流に対して定電流回路として作用する。

    【0060】このように、Q5とQ6で構成される差動増幅回路は、電流スイッチ機能と定電流発生機能とを併せ持つ回路となっていることが大きな特徴である。 しかもQ5とQ6の共通エミッタの接続点には、定電流源が同時に接続されているため、この定電流源を流れる電流値I1を調節することにより、トランジスタQ6のコレクタ端子を出力として、外部負荷として接続されるLD
    に所望の値の電流振幅が出力されるように制御することができる。 従って、定電流出力の電流値を決めるのはトランジスタQ5とQ6のベースに入力するパルス・ピーク値、すなわちプリドライバ回路出力の論理ハイ・レベルであり、その電圧を一定規則値に保つことが求められる。 一定値に保つことを実現するには、プリドライバ回路を動作させる電源電圧Vcsを安定化すると同時に、
    バイアス電圧Vbb、抵抗R4とトランジスタQ7で構成される定電流発生回路の出力電流に一定の正の温度係数を持たせ、加えてレベルシフト抵抗R1の値を最適化して、R1の両端に発生する電圧には約1.2mV/℃
    の正の温度係数を持たせてQ3とQ4のベース・エミッタ間電圧の温度依存性に相当する約−1.2mV/℃の負の温度係数を相殺させれば良い。 これが、プリドライバ回路に要求される特殊な性能であり、従来の回路とは異なる点である。 厳密な定電流出力を得るためには、第一近似ではこの2倍の温度係数が必要となる。 実際にはトランジスタの電流増幅率も変化するので2倍よりは小さく、もし、プリドライバの設定をこのまま使った時にはLDの光変換効率低下を表す特性温度に近い電流変化率を示すので、LDのフィードフォワード光出力安定化に使える。 また、温度変化による電流増幅率変化に対応してパルス特性も変化するが、この変動を最小に抑えるためには、前記プリドライバ回路の設定が最適であることが判った。 従って、厳密な定電流出力を得る手段は、
    併置した定電流源I1を制御する方が優れている。

    【0061】なお、LDの順方向降下電圧が2.5Vあったとして、仮にQ6がオンと成っている時にコレクタ・エミッタ間電圧を0.35V確保したとして、電源電圧が3VとしてもReの端子間には0.15Vが残るので上記動作は十分可能である。

    【0062】図2は、回路内部に定電流源I2を具備させ、出力トランジスタのコレクタ端子に直接接続した光半導体素子騒動回路の概略構成を表す回路図である。

    【0063】図1に関して前記した通り、出力回路20
    0における出力トランジスタの動作は線形領域に留まることは無く、ON/OFFの飽和領域に限定した。 従って、コレクタ出力端子からLD負荷に対して出力される電流は、ON/OFFの矩形パルス電流であり、特別に直流バイアス成分は含まれていない。 しかし、LDのように閾値に近い直流バイアス電流を常に懸けることにより、始めて高周波変調特性を確保できる光素子の場合には、直流バイアス供給回路の設置が不可欠となる。 簡便に外部から直流バイアス電流を供給する方式も原理的には考えられる。 しかし、LDに注入される直流バイアス電流端子には同時にパルス電流信号も入力されるため、
    高周波的に高いインピーダンスでLDと結合する必要がある。 これを実現する手段として、通常バイアスT(ティー)が使われるが、高価な上にサイズ的に大きな付加部品となる。

    【0064】図2は、このような付加部品の使用を避けるための実施の形態にかかわる光半導体素子騒動回路の概略構成を表す回路図である。 すなわち、同図に例示したように、回路内部に定電流源I2を具備させ、出力トランジスタのコレクタ端子に直接接続する方法が効果的である。

    【0065】次に、冒頭に説明した図1の駆動回路のいくつかの具体例について説明する。

    【0066】図3は、具体的な定電流源を電源Vcc側から接続した回路の一例を表す概略回路図である。 すなわち、LDの両端に定電流源出力トランジスタQ100
    を接続し、前記したような要求を満たす特性を持つI1
    を発生するように、トランジスタQ100のベースには、制御された電圧Vicを入力する。 定電流源の出力インピーダンスは一般に数100kΩと大きいのに対し、共通エミッタに接続されるReの抵抗値は大きくても数100Ω、通常は数10Ω以下の小さな値であるので、共通エミッタと接地との間の抵抗値は電流源の動作電流の設定値に影響されず、実質的に共通エミッタと接地間に抵抗Reが接続された差動増幅器として動作する。 この回路例では、LDへの最大出力電流は(Vh−
    Vbe)/Reに制限され、それより小さな出力電流をLDに出力するように制御可能である。

    【0067】図4は、ミラー回路を使った定電流源を接続し、図3をさらに具体化した回路の一例を表す概略回路図である。

    【0068】すなわち、Vccに接続された定電流源I
    10からトランジスタQ11に入力され、電流をミラー反転してQ10のコレクタから電流出力したものである。 Q10のトランジスタ・サイズをQ11のものより大きく選べば、サイズ比分だけ電流は増幅されて大きな電流を出力することが出来る。 Q10の出力インピーダンスは抵抗Reに比べて十分小さければ良く、しかもQ
    10のコレクタ電圧はQ5とQ6の共通エミッタ電圧であるのでほぼ一定値を示し、Q10の動作領域が多少飽和動作領域に入り懸かったとしても差し支えない。 実際にコレクタ・エミッタ間電圧が0.2V程度に下がった場合でも問題無く動作可能であった。 また、図3に例示した回路の場合は、定電流を増やせばLD出力電流を減らす方向に働いたのとは対称的に、本実施形態では出力電流を増大することが出来る。 その最大値は、出力トランジスタQ6の高周波特性が保持できる電流容量とLD
    のダイオード順方向降下電圧で制限される。 電流ミラー回路の増幅率の出力電流値依存性やトランジスタ特性依存性を小さくするため、例えば図4に示したようにQ1
    2とR7による増幅回路を接続して、電流伝達特性の直線性を改善した回路を使用しても、本発明の主旨を逸脱するものではないことは明らかである。

    【0069】図5は、図4を更に変形して更に一段の電流ミラー回路を設け、制御電圧Vacと抵抗R9とQ1
    6で構成される定電流発生回路からの出力電流Iacを基準電流とした回路例である。 Iacは2段のミラー回路を経由するので、適宜増幅した後出力トランジスタQ
    6のエミッタに定電流を注入出来る。 そのためIacの値は小さくても良いため、定電流発生部はコンパクトで自己発熱の影響が小さい回路として実現できる。 また、
    制御電圧Vacの温度依存性をQ16のベース・エミッタ間電圧の温度依存性に併せておくことによって、Ia
    cに関しては温度に依存しない一定電流を発生することも出来る。 また、図1に関して前述したように、Vac
    の制御特性を変えてIacに負の温度係数を持たせてR
    eに流れる電流の変化を相殺するようにしても良い。 接地に接続したR9の値を変えた場合には、それに逆比例した電流Iacが得られるため、パルス電流振幅の調整はチップ内部に設ける場合でも、外部に設ける場合でも容易に対応可能である。

    【0070】図6は、回路に小容量の負電源が使える場合の構成を例示したものである。 すなわち、図に示したように、共通エミッタと接地との間にnpnトランジスタQ50のコレクタとエミッタを接続し、ベースは誤差増幅器Aの帰還電圧Vtcを入力し制御する方式が有効である。 ここで、電流源を構成するトランジスタQ50
    には想定される最大発生電流量に応じたサイズが必要であり、基本トランジスタのn倍のものを置く。 同時にコレクタとベースを共通に接続した基本サイズのトランジスタQ51をもう1個置き、エミッタは負の基準電源−
    Vr efに基準抵抗R50を介して接続する。 基準電圧Vrefと基準抵抗R50の値を適宜選択し、電流源として設定したい電流値I1の1/(n+1)の電流が流れるようにする。 設定電流I1に一定の特性を持たせたい時には、−Vrefの値を同じ比率で変化するように設計する。

    【0071】この回路構成で、Q51のエミッタと基準抵抗R50の結節点と接地間の電圧差が常に零となるように誤差電圧を増幅器Aで増幅した電圧Vtcをベースに帰還して制御する。 これにより、Q50とQ51のコレクタに流れ込む合計の電流は常にI1となる。 nの値を適宜大きく選び、基本トランジスタの電圧電流特性が飽和特性に達するコレクタ・エミッタ間電圧(図28
    で、初期立上りがなだらかな右上がりに転じる肩の付近の電圧)が抵抗Reの両端子間電圧より大きくなるように最大コレクタ電流を適当に小さくすることができる。
    この時、(n+1)個の基本トランジスタが並列動作している動作インピーダンスは、最悪でも抵抗Reの値より数10倍以上の大きな値とすることが可能であり、実質的には定電流源を接続した時と同様の特性が保持される。

    【0072】この実施形態では、負の基準電圧が使えるので基準電流精度が高くなることに加えて、負荷変動による電流増幅率の変化が小さい、電源電圧の変動の影響が無いなどの特徴を持つ。 この回路では、パルス電流調整用の定電流回路に適用する場合を例示したが、直流バイアス電流用の定電流回路としても適用できることは明らかである。

    【0073】図7は、図5に示した実施形態を更に拡張し、全動作条件範囲に亙って一定パルス振幅と過渡応答波形が得られる回路例を表す。 制御電圧Vacを使ったR13とQ24からなる定電流回路の出力電流と、制御電圧Vctを使ったR11とQ20からなる定電流回路の電流電流の差をQ18のコレクタ電流として注入し、
    Q17で増幅した出力電流Ictは、図1に示したように定電流I1に負の温度係数を持たせてReに流れる電流の変化を相殺する基準電流である。 これと、動作条件に依存せず一定の出力を保つIacを合成し、最終的な電流I1をQ10のコレクタから出力する回路構成になっている。 この実施形態では、最終的に唯一R9の値を調整すれば、出力トランジスタQ6のパルス振幅が一義的に規定され出力され、動作条件に依らず一定に保持される。 同時に、パルス波形の幅や、立上り・立下り時間などの過渡応答特性も一定に保たれる特徴を持つ。

    【0074】図8は、図2の具体的な回路例を示したもので、前記図7を更に拡張した回路となっている。 図7
    で既に記載した内容は省略し、直流バイアス回路を中心に説明する。 基本的にはLDの閾値温度特性を補償する手段として、本発明者が特願平10−42109号において提案した温度依存型定電流発生回路に示した制御電圧Vdcを使用し、R20とQ31から構成される温度依存型定電流発生回路によって温度変化に対して指数関数的に値を変える電流Idcを発生している。 これを2
    段のミラー反転電流増幅器で増幅し、所望の値の直流バイアスI2としてQ25コレクタから出力している。 ここでは、直流バイアス電流の制御範囲が大きいため増幅器の電源としてVcsより大きなVccを使っているほか、Q27とQ30による伝達特性変化の抑圧に加えて、ミラー・トランジスタの各々のエミッタにトランジスタサイズに逆比例する値を持つ電流帰還抵抗R14、
    R15,R17,R18を設けて、トランジスタの特性変化とバラツキ、電源電圧の変動の影響を軽減している。

    【0075】後に図18に関して詳述する具体例の場合と同様に、電流ミラーを用いた回路方式においては、ミラー・トランジスタのサイズに応じて電流増幅率が決定される。 例えば、ミラー・トランジスタの一方のサイズを1(基本サイズ)、他方のサイズをnとした場合には、サイズ1のトランジスタに電流を入力し、電流をミラー反転してサイズnのトランジスタのコレクタから電流出力すれば、サイズ比n分だけ電流が増幅される。 入力する電流値がサイズ1の基本トランジスタの電流容量よりも大きい場合には、その電流に見合うサイズ、例えば、m倍のサイズとすれば良い。 すなわち、ミラー・トランジスタの一方のサイズをm、他方のサイズを(m×
    n)とすれば同等の電流容量を増大しつつ同等の増幅率を確保することができる。

    【0076】Vdc発生法の回路の詳細に付いては、前記特願平10−42109号明細書に開示されているのでここでは省略するが、定電流出力トランジスタQ31
    のエミッタに接続される抵抗R20の値は、ミラー電流増幅回路の内部電圧が動作上不都合を生じない程度に小さく選ぶことが重要である。 図8に例示したような回路によれば、LD閾値の温度特性を極めて正確に補償することができる。 従って、このような温度依存型定電圧発生回路を形成したICチップをLDとともに熱伝導性の良いキャリアにマウントして、同一の温度となるようにすれば、極めて正確に温度補償を行うことができる。

    【0077】以上、図1〜図8を参照しつつ、出力回路200に2つのトランジスタQ5、Q6からなる差動増幅回路が設けられた駆動回路について説明した。

    【0078】次に、図9〜図25を参照しつつ、出力回路200がシュミット回路に類似した駆動回路について説明する。 これらの駆動回路においては、出力回路トランジスタを、ほぼ完全な飽和スイッチ動作させることも可能である。 しかし、そのスイッチ動作を非飽和領域にまで積極的に拡張することにより、飽和動作の際に生じうる出力パルス幅の拡がりや負荷LDの動作インピーダンスの影響を抑制して、出力パルスの立ち上がり・立ち下がり時間を相補的に調節することが可能となるという特徴を維持しつつ、立ち上がり・立ち下がり時間が小さく、高速で動作可能な光半導体駆動回路を提供することができる。

    【0079】図9は、本発明の実施の形態にかかる光半導体素子駆動回路の概略構成を表す回路図である。 同図の駆動回路は、差動入力信号を入力してLDを駆動する電流パルスを出力する回路であり、プリドライバ回路1
    00と出力回路200とを有する。

    【0080】差動入力信号であるINPUTとINPU
    T/は、プリドライバ回路100のトランジスタQ10
    1とQ102のベースにそれぞれ入力される。 Vbbを基準電圧入力としたトランジスタQ103と抵抗R10
    4からなる定電流回路のコレクタ電流出力は、差動増幅トランジスタQ101とQ102の共通エミッタに接続される。 Q101とQ102の各々のコレクタには値が同一の負荷抵抗R101とR102が接続され、共通結線された後レベルシフト抵抗R103を経由して電源V
    ccに接続される。 一定の振幅を持つ矩形状パルス波形に整形されたQ102の出力は、トランジスタQ10
    4、Q105、抵抗R105から構成されるエミッタフォロワ回路で電力増幅され、出力回路200のトランジスタに信号として入力される。 このプリドライバ回路1
    00は、動作的にはリミッタ増幅器と等価であり、その基本構成は図27に表した従来回路のプリドライバ回路と概略同一とすることができる。

    【0081】もし、入力信号が差動信号ではなく単相信号の場合には、INPUT/入力端子の直流電圧にはI
    NPUT入力端子への入力パルス信号の振幅の中点に対応する電圧に一致するものを入力し、単相入力パルス信号をINPUT側に入力すればよい。 光出力に逆相信号を得たい時には、INPUTとINPUT/とを逆に接続すればよい。

    【0082】最終段出力回路に必要とする信号は基本的には差動信号ではなく、単相信号だけであるので、プリドライバ回路は差動信号を発生する必要は必ずしも無い。 従って、出来るだけ大きな信号利得が得られるようにR101を零とすることも可能である。 ただし、単純にR101を零にすると、リミッタ増幅器としての機能は失い、出力パルスの振幅が変動する問題が生ずる場合もありうる。 このような問題が生じた場合に確実に解決するためには、Q102コレクタの負荷として、ダイオードのようにある一定の電圧以上ではインピーダンスが急激に減少し、増幅が飽和して振幅出力が制限される特性を持っ素子または回路網を接続すればよい。 図10
    は、トランジスタQ2の負荷としてダイオードD10
    1、D102を用いた変形例を表す概略回路図である。

    【0083】再び図9に戻って説明すると、プリドライバ回路100で整形・増幅されたパルスは、出力回路2
    00に入力され、最終的にはLDをパルス電流駆動するためのON/OFF変調された電流出力として出力される。 出力回路200は、シュミット回路に類似した基本構成を有する。 具体的には、コレクタ負荷として抵抗R
    lが接続されたトランジスタQ106のベースにプリドライバ回路からの出力パルス信号電圧が入力される。 Q
    106のコレクタと負荷抵抗Rlとの接続点には、抵抗Rfと抵抗Rbが直列に接続されて接地に落とされ、トランジスタQ107のベースに信号を入力するために、
    抵抗RfとRbとの結節点にQ107のベースが接続されている。 また、ベースに高周波信号成分をバイパスして効率的にQ107のベースに伝えるために、抵抗Rf
    に並列して容量Cfが設置されている。

    【0084】トランジスタQ106とQ107のエミッタは共通接続され、抵抗Reを介して接地に接続されている。 このためQ106とQ107で構成される回路は、電流帰還が懸かった一種のパルス増幅器として作用する。 また、Q106とQ107の共通エミッタの接続点には、定電流源が接続されている。 この定電流源を流れる電流値Icdを調節することにより、トランジスタQ107のコレクタ端子を出力として外部負荷として接続されるLDに所望の値の電流が出力されるように制御することができる。 出力トランジスタのコレクタ・エミッタ電圧が飽和領域まで入るように回路を動作させる方式の場合には、抵抗RfとRbの値は、基本的にトランジスタQ107が飽和動作に入る程度の電流バイアスが懸かるように設定する。 もし共通エミッタに接続される定電流源が無い時には、Q107のコレクタ・エミッタ間飽和電圧は0.1V以下であるので、LDに流れる電流値Idは、外部から供給される電源電圧VccとLD
    の電気的な素子特性としてのダイオードの順方向整合電圧と内部動作抵抗、抵抗Reの値でほぼ決定される。

    【0085】ここで、Q107のコレクタ負荷が純抵抗である場合には出力回路はシュミット回路と一致するが、実際には負荷がLDなので、負荷インピーダンスは動作環境条件により大きく変り、このままでは電源変動や温度変動によってLDに出力される注入電流が大きく変化する。 このため、共通エミッタに並列に接続される定電流源は、LDに負荷する定常電流値を調節すると同時に、電源電圧や温度変動などの動作環境変化対応して適宜出力電流値を変化させ、常にLDに注入される電流値を所望の設定値に保持する役目を持たせる。

    【0086】一方、出力トランジスタのコレクタ・エミッタ電圧が飽和領域近くまで下がるが基本的には非飽和線形領域の範囲を保ったままで回路を動作させる方式の場合には、抵抗RfとRbの値は、トランジスタQ10
    7が非飽和動作領域で出力電流を所望の値に規定するような特定のベース電圧バイアスが懸かるように設定する。 もし共通エミッタに接続される定電流源が無い時には、LDに流れる電流値Idは、Q107のベース電圧ハイ時の電圧Vhから、ベース・エミッタ電圧Vbeを差引いた電圧を抵抗Reで割った値(Vh−Vbe)/
    Reで表される電流値として決定される。 この場合にも出力回路はシュミット回路と類似した動作を示す。

    【0087】ただし、飽和型の場合とは異なって、動作環境条件による負荷としてのLDのインピーダンス変化は出力電流をそれ程支配しないが、トランジスタQ10
    7のベース入力電圧Vhやベース・エミッタ間電圧Vb
    eは依然として電源変動や温度変動によって変化するので、LDに出力される注入電流Idは変化する。 このため、共通エミッタに並列に接続される定電流源は、LD
    に負荷する定常電流値を調節すると同時に、電源電圧や温度変動などの動作環境変化対応して適宜出力電流値を変化させ、常にLDに注入される電流値を所望の設定値に保持する役目を持たせる。

    【0088】図11は、具体的な定電流源を接続した回路の一例を表す概略回路図である。 すなわち、LDの両端に定電流源出力トランジスタQ110を接続し、前記したような要求を満たす特性を持つIcdを発生するように、トランジスタQ110のベースには、制御された電圧Vicを入力する。 このようにすれば、出力回路2
    00は、動作上は実質的にシュミット回路と等価な振舞いを示す。 すなわち、入力電圧に対するハイとロウの弁別レベルには一定の履歴が生じ、かつ、出力には急峻は過渡応答特性を示す矩形パルスが得られる。 勿論、これらの特性パラメーターの具体的数値は、実際の設計とプロセスやLDに依存するが、本発明者の検討によれば、
    履歴として設定できる値は10mV〜100mVであり、立上り/立下り時間としては200ps以下を実現することが可能であった。 定電流源は基本的に出力インピーダンスが数100kΩと大きいのに対し、共通エミッタに接続されるReの抵抗値は大きくても数100
    Ω、通常は100Ω以下の小さな値であるので、共通エミッタと接地との間の抵抗値は電流源の動作電流の設定値に影響されずに、何時もReと同じ値として認識されて回路は動作する。

    【0089】一方、飽和型出力回路方式の場合に問題となるLDの動作インピーダンス変化、または、非飽和型出力回路方式の場合のQ107エミッタ電圧(Vh−V
    be)の変化、に伴う出力電流の温度特性を補償する手段として、本発明者が特願平10−42109号において提案した温度依存型定電流発生回路を用いても良い。

    【0090】図12は、この温度依存型定電流発生回路を備えた本発明の駆動回路の一例を表す概略回路図である。 同図に示した回路においては、LDの両端に温度依存型定電流発生回路TCが接続されている。

    【0091】図13は、温度依存型定電流発生回路TC
    の具体例を表す概略回路図である。 すなわち、同図に示した回路例においては、基準電圧発生回路110と安定化電圧発生回路120とバッファ増幅回路170が設けられている。 これらの詳細な説明は、上述した特願平1
    0−42109号明細書に開示されているのでここでは省略するが、定電流出力トランジスタQ135のエミッタに接続される抵抗R140の値は、端子間電圧が動作に不都合を生じない程度に小さく選ぶことが重要である。 図13に例示したような回路によれば、LDの温度特性を極めて正確に補償することができる。 従って、このような温度依存型定電圧発生回路を形成したICチップをLDとともに熱伝導性の良いキャリアにマウントして、同一の温度となるようにすれば、極めて正確に温度補償を行うことができる。 つまり、温度が変動してLD
    の特性が変化しても、本発明の駆動回路の出力回路20
    0は、実質的にシュミット回路と等価な動作をすることができる。

    【0092】さて、基本的には、出力回路200では出力トランジスタの動作は飽和領域、または、飽和領域に近い非飽和の線形動作領域で動作しているものの、何れの動作方式であっても、コレクタ出力端子からはLD負荷に対してON/OFFの電流しか供給されない。 従って、LDのように閾値に近い直流バイアス電流を懸けることによって初めて高周波変調を確保できる光素子の場合には、直流バイアス供給回路の設置が不可欠となる。
    しかし、LDに注入される直流バイアス電流端子には同時にパルス電流信号も入力されるため、直流的には低インピーダンスで、高周波的には高いインピーダンスでL
    Dと結合する必要がある。 これを実現する手段として、
    通常バイアスT(ティー)が使われるが、高価な上にサイズ的に大きな付加部品が必要となる。

    【0093】図14は、このような付加部品の使用を避けるための変形例を表す概略回路図である。 すなわち、
    同図に例示したように、回路内部に定電流源IDCを具備させ、出力トランジスタのコレクタ端子に直接接続する方法が効果的である。 これに対する具体的な回路例は、後記の図25で説明する。

    【0094】図15は、周波数特性をさらに改善するための変型例を表す概略回路図である。 すなわち、同図に示したように、抵抗Reに並列して容量Ceを抱き合わせて設置し、その時のRC時定数すなわちRe×Ceが1ns(ナノ秒)以下となる適当な値の高周波ピーキングを出力増幅器に懸けることによって、矩形パルス出力波形の過渡応答特性を改善し、最高動作周波数を増大することができる。 この容量の最適値としては、矩形出力パルスのオーバーシュートが出ないか、あっても10%
    以下に留まる程度の特性となる時のCeの値である。 本変形例により、高周波動作領域特性に15%以上の改善が得られた。

    【0095】ReとCeに並列接続される定電流回路に出力容量を持つ場合には、上記のように決定された最適容量値から定電流回路出力容量分を差引いた値をCeの値とすれば良い。 これ以降に示す全ての実施形態の回路図中には、ここで示したCeを明示的に記載していないが、全ての回路にCeを付加した回路についても本発明の主旨を逸脱しないことは明白である。

    【0096】さて、単純にエミッタ・フォロワ出力のプリドライバ回路を出力回路に接続した場合には、温度上昇に伴ってベース・エミッタ間電圧が低下して弁別レベルが変動し、原理的にはLDに負荷される電流パルス幅が変わって伝送波形のデユーティ比が変る特性を持つ。
    特にこのような温度依存性が顧著に現れるのは、プリドライバ回路の出力の立上り、立下り時間が大きい場合である。 この現象を抑えるためには、出力回路200の入力部での弁別レベル変動が無いようにすればよい。

    【0097】図16は、実際に弁別レベル変動を抑える回路を実装した例を表す概略回路図である。 トランジスタQ106のスイッチ動作が起こるレベルの変動を抑えるためには、出力回路トランジスタを含めて、プリドライバ回路のエミッタ・フォロワに使われている縦積みで使用されるトランジスタ数の合計の半分の数に相当する等価的ダイオードの数、例えば図16の場合には、2/
    2=1個のダイオードの温度変動を補償できるような電圧変化をプリドライバ回路のレベルシフト抵抗R103
    に発生させればよい。 即ち、R103に発生させる電圧変化にはダイオード1個に相当する約1.2mV/℃の正の温度係数を持たせれば良い。 これには抵抗R10
    1、R102、R103の共通結節点に、正の温度係数を持つ温度依存型の定電流吸込み電源を接地に向けて接続し、定電流源は、単位温度当たりの電流の変化△Iがレベルシフト抵抗R103の値との積△I×R103=
    1.2mV/℃なるように設計すればよい。 図16に表した例においては、定電流吸込み電源をトランジスタQ
    111とベース電源Vtcと抵抗R111によって構成している。 飽和型出力回路と非飽和型の出力回路とでは、詳細の内部回路に動作に対する影響は異なっているため細部の特性まで含めた各々の最適値は多少異なるが、以上のように決めた値が出力パルス幅変動を抑制する総合的な作用としての第一近似の最適値であり、実際の回路設計では、使用するトランジスタとその素子パラメターを使って厳密な最適値を求めて決定する。

    【0098】さて、一般的にpnpトランジスタの帯域幅は、使用可能なプロセスに依存する問題ではあるが、
    npnトランジスタに比べて一桁以上小さい。 出力回路200の共通エミッタに接続する定電流源として周波数帯域特性の関係でpnpトランジスタを採用できない場合には、図9の抵抗Reの両端に懸かる電圧は約0.5
    V以下であるので、定電流回路の設置が難しくなる。

    【0099】図17は、この問題を解決する変型例を表す概略回路図である。 すなわち、同図に示したように、
    共通エミッタと接地との間にnpnトランジスタQ11
    2のコレクタとエミッタを接続し、ベースは誤差増幅器Aの帰還電圧Vt cを入力し制御する方式が有効である。 ここで、電流源を構成するトランジスタQ112は想定される最大発生電流量に応じたサイズが必要であり、基本トランジスタのn倍のものを置く。 同時にコレクタとベースを共通に接続した基本サイズのトランジスタQ113をもう1個置き、エミッタは負の基準電源V
    r efに基準抵抗Rrefを介して接続する。 基準電圧Vrefと基準抵抗Rrefの値を適宜選択し、電流源として設定したい電流値Icdの1/(n+1)の電流が流れるようにする。 設定電流Icdに一定の特性を持たせたい時には、基準電圧Vrefの値を同じ比率で変化する特性を持つように設計する。

    【0100】この回路構成で、Q113のエミッタと基準抵抗Rrefの結節点と接地間の電圧差が常に零となるように誤差電圧を増幅器Aで増幅した電圧Vtcをベースに帰還して制御する。 これにより、Q112とQ1
    13のコレクタに流れ込む合計の電流は常にIcdとなる。 nの値を適宜大きく選び、基本トランジスタの電圧電流特性が飽和特性に達するコレクタ・エミッタ間電圧(図28で、初期立上りがなだらかな右上がりに転じる肩の付近の電圧)が抵抗Reの両端子間電圧より大きくなるように最大コレクタ電流を適当に小さくすることができる。 この時、(n+1)個の基本トランジスタが並列動作している動作インピーダンスは、最悪でも抵抗R
    eの値より数10倍以上の大きな値とすることが可能であり、実質的には定電流源を接続した時と同様の特性が保持される。

    【0101】負の電源を使用しないで同様の特性が得られるものとして、Vcc側から電流を排出する定電流源を基準電流として、電流ミラーを用いる回路方式によっても実現できる。 図18は基本回路構成を表す概略図である。 すなわち、Vccに接続された定電流源I110
    からトランジスタQ113にIcd/nの電流が入力され、電流をミラー反転してQ112のコレクタから電流出力したものである。 図の例ではQ112のトランジスタ・サイズをnとしてQ113のサイズは1であるので、サイズ比n分だけ電流は増幅され電流Icdが出力される。 勿論、I110から発生する電流値がサイズ1
    の基本トラジスターで扱うには電流容量が大きすぎる場合には、その容量に見合う大きさ、例えばm倍にすれば良い時には、Q112とQ113を各々m倍しても等価である。 Q112の出力インピーダンスは抵抗Reに比べて十分小さく、しかもQ112のコレクタ電圧はQ1
    05とQ106の共通エミッタ電圧であるのでほぼ一定値を示し、Q112の動作領域が多少飽和動作領域に入り懸かったとしてもトランジスタの電流増幅率がそれ程下がらなければ定電流源としては差し支えない。 実際にコレクタ・エミッタ間電圧が0.2V近くまで下がった場合でも、問題無く動作可能であった。 また、図11の実施形態の場合は、定電流を増やせばLD出力電流を減らす方向に働いたのとは対称的に、この実施形態では出力電流を増大することが出来る。 その最大値は、出力トランジスタQ107の高周波特性が保持できる電流容量とLDのダイオード順方向降下電圧で制限される。 電流ミラー回路の増幅率の出力電流値依存性やトランジスタ特性依存性を小さくして電流伝達特性の直線性を改善するためには、図18の回路に、更にトランジスタQ11
    4と抵抗R107で構成される増幅回路を接続した図1
    9に示される回路に変更すると良い。

    【0102】図20は、図19の実施形態を更に具体化した概略回路図である。 Vcc側から吐き出す定電流源としてはVccに直接電流源を接続する代りに、更に一段の電流ミラー回路を設け、制御電圧Vacと抵抗R1
    09とQ118で構成される定電流発生回路からの出力電流Iacを基準電流とした回路例である。 これによって、Iacは2段のミラー回路を通過するので、ミラー回路のトランジスタ・サイズ比を1以上に設定することにより適宜増幅した後出力トランジスタQ107のエミッタに定電流を注入出来るようになる。 結果的に最初に発生するIacの電流値は小さくても良いため、定電流発生部はコンパクトで自己発熱の影響が小さい回路として実現できる。 また、制御電圧Vacの温度依存性をQ
    118のベース・エミッタ間電圧の温度依存性に併せておくことによって、Iacに関しては温度に依存しない一定電流を発生することも出来る。 また、図12の実施形態に示したと同様に、Vacの制御特性を変えてIa
    cに負の温度係数を持たせてReに流れる電流の変化を相殺するようにしても良い。 接地に接続したR109の値を変えた場合には、それに逆比例した電流Iacが得られるため、パルス電流振幅の調整はチップ内部に設ける場合でも、外部に設ける場合でも容易に対応可能である。

    【0103】図20に示した実施形態を更に拡張して、
    出力パルス電流振幅を変化した時でも一定のパルス振幅と過渡応答波形が得られる回路例を図21に示す。 基本的には出力トランジスタQ107を流れるパルス電流の増大に応じて、ベースに注入する平均バイアス電流が変化する分を分割抵抗RfとRbとの結節点、即ちQ10
    7のベースに電流補償する方式である。 図22に示した波形は、ベースに電流を補償しない図20の回路によりLD負荷に出力された電流パルス波形である。 電流パルスの振幅を大きくするにつれて僅かながらパルス幅が狭まり、同じに立上り特性が悪くなっているのが見られる。 これに対し、ベースに電流補償回路を具備した図2
    1の回路によりLD負荷に出力された電流パルス波形は、図23で示される。 実際の設計においては、電流ミラー回路の増幅率を適宜選ぶことによって最適なバイアスを注入した結果であるが、元々100ps以上あったパルス幅の変化を数10ps以下に小さくすることは容易であった。 また、パルス立上り波形も僅かながら改善されていることが判る。

    【0104】図21に示した実施回路例を更に拡張し、
    全動作条件範囲に亙って一定のパルス振幅と過渡応答波形が得られる回路例を図24に示す。 制御電圧Vacを使ったR117とQ126からなる定電流回路の出力電流と、制御電圧Vctを使ったR113とQ122からなる定電流回路で発生する電流との差電流をQ120のコレクタ電流として注入し、トランジスタQ119と組合せて増幅反転している。 Q119で増幅した出力電流Ictは、図9に示した定電流Icdに負の温度係数を持たせてReに流れる電流の変化を相殺する基準電流である。 これと、動作条件に依存せず一定の電流出力を保つIacを合成し、最終的な電流IcdをQ112のコレクタから出力する回路構成になっている。 したがってこの実施形態では、最終的に唯一R109の値を調整すれば、出力トランジスタQ107のパルス振幅が一義的に規定され出力され、しかもその振幅は動作条件に依らず一定に保持されるようになる。 実際の設計例では、I
    Cの動作温度100℃の変化に対して出力振幅が35%
    以上あった変化を数%以下に減少することは容易であった。 さらにここでは、IacおよびVccの変化に対して電流ミラー回路の安定性と応答性を向上するため、Q
    119,Q120,Q123とQ124による伝達特性変化の抑圧を主目的として、ミラー・トランジスタの各々のエミッタにトランジスタサイズに逆比例する値を持つ電流帰還抵抗R110、R111,R114,R11
    5を設けた。 これら帰還抵抗の設置は、トランジスタの特性変化とバラツキ、電源電圧変動の影響の軽減する効果が大きい。 この結果、パルス波形の幅や、立上り・立下り時間などの過渡応答特性を一定に保ちながら、出力振幅を広範囲で可変できる回路が実現できた。

    【0105】前記の通り、飽和型、非飽和型を問わず、
    出力回路200からLD負荷に出力される電流は、ON
    /OFFの矩形パルス電流であるために直流バイアス成分は含まれていない。 しかし、高周波変調特性を確保するためにLD閾値に近い直流バイアス電流を常に懸けることが必要な光素子の場合には、概略図14に示した原理の回路方式を採用することによって、バイアスTのような付加部品の使用を避けることができる。 図25は、
    図14の具体的な回路例を示したもので、前記図22を更に拡張した全機能を搭載した駆動回路全体の概略回路である。 既に図24に記載した内容は省略し、図25右側端部の直流バイアス回路を中心に説明する。 基本的にはLDの閾値温度特性を補償する手段として、上述した特願平10−42109号において提案した温度依存型定電流発生回路に示した制御電圧Vdcを使用し、R1
    20とQ133から構成される温度依存型定電流発生回路によって温度変化に対して指数関数的に値を変える電流Idcを発生している。 これを2段のミラー反転電流増幅器で増幅し、所望の値の直流バイアスIDCとしてQ127コレクタから出力している。

    【0106】LD閾値の温度変化をトラッキングしてL
    Dの擬似零バイアス駆動を実現するのに最適な制御電圧Vdc発生法の回路の詳細に付いては、前記特願平10
    −42109号明細書に開示されているのでここでは省略するが、定電流出力トランジスタQ133のエミッタに接続される抵抗R120の値は、ミラー電流増幅回路の内部電圧が動作上不都合を生じない程度に小さく選ぶことが重要である。 図25に例示したような回路によれば、LD閾値の温度特性を極めて正確に補償することができる。 従って、このような温度依存型定電圧発生回路を形成したICチップをLDとともに熱伝導性の良いキャリアにマウントして、同一の温度となるようにすれば、極めて正確な閾値電流の温度補償を行うことができる。

    【0107】以上、本発明の光半導体素子駆動回路について具体例を参照しつつ説明した。 次に、本発明の光送受信モジュールについて説明する。 図26は、本発明の光送受信モジュールの概略構成を例示する要部透視斜視図である。 図1〜図25に関して前述した駆動回路のいずれかを用いることにより、LDの順方向印加電圧と駆動回路の電源電圧との差が小さい場合でも動作可能な低電圧電源対応の送受信モジュールを実現できる。 すなわち、同図に表したモジュールは、本発明のLD駆動回路が組込まれたIClと、LD素子2、モジュールを動作させるのに付随する容量9と抵抗10とを有する。 これらの部品は、プリント配線基板4、またはSiマイクロマシン加工チップに絶縁膜を介して配線パターンを形成した基板上に一括実装され、サブモジュールとなっている。

    【0108】このサブモジュール上のLDと、プラスチック・ファイバーなどの光導波路とを光結合させるため、モジュールには一括整形された光コネクタ5が設けられている。 また、モジュールの一端には、外部と電気的に結合するためのリード6が設けられ、プラスチック・パッケージ7により一括モールドされた構造となっていることを特徴としている。 図26では、リードがモジュールの一側端にだけ設けてあるが、リードを設ける簡所は適宜選択でき、例えばパッケージ他方の側端にも設置しても構わない。 また、モジュールをプリント基板に実装する際の機械的強度を確保する目的のリードを付随させても良い。 また、送信モジュールと並列して受信モジュールを実装して一体成形したトランシーバー・モジュールとした構造としても、本発明の趣旨を逸脱するものではない。 図26では、そのような光送受信モジュールの例として光検出器3と受信IC8を内蔵するものを例示した。 本発明によれば、単一の電源で動作し、しかも電源電圧は他の信号処理ICに供給するものと同一で構わず、通常の放熱設計で使用可能な低消費電力でコンパクトな光コネクタ結合型プラスチック送信モジュールを光送受信モジュールが実現できた。

    【0109】本発明は、基本的には光半導体駆動回路に適用する場合に極めて有効であるが、必ずしも出力の負荷が光半導体素子に限定されるものでは無い。 Siダイオードを内部負荷とすることにより、振幅一定のパルス発生器や、入力制御信号に応じた可変電流で駆動することによって入力信号のログ特性に比例した電圧振幅を持つパルス発生器を実現することができる。

    【0110】以上、本発明の光素子駆動回路について、
    Siバイポーラ・トランジスタを用いた具体例を説明した。 しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。 例えば、具体的な回路を構成するのに採用したトランジスタ素子の特性に応じて回路を修正が必要となるのは言うまでもないが、Siバイポーラ・トランジスタに限らず、Si MOSFET(Metal Oxide-Semic
    onductor Field Effect Transistor)やCMOS(Comp
    limentary MOS)、SiGe HBT(Hetero-Bipo1ar T
    ransistor)、GaAs MESFET(MEtal Scottoky
    FET)、GaAsまたはInPを基板とするHEMT
    (High Electron Mobility Transistor)やHBTなど、他のトランジスタ素子を適用した場合でも、本発明の趣旨を逸脱することなく原理的に同様の動作をする光半導体素子駆動回路が実現することは言うまでもない。

    【0111】また、光半導体素子としては、赤色LDを例として説明を行ったが、これも赤色LDに限定されるものでは無い。 赤色のLEDを使う場合は勿論、電源電圧をさらに下げて赤外波長帯の光半導体レーザを使う場合、また、電源電圧を多少上げて青色のLDやLED使った場合でも、本発明の趣旨を逸脱することなく適用できることは言うまでもない。

    【0112】

    【発明の効果】本発明は、以上説明した形態で実施され以下に説明する効果を奏する。

    【0113】まず、本発明によれば、図1に代表されるように、出力回路にエミッタが共通接続された2つのトランジスタで構成される差動増幅回路を設けることにより、駆動に必要な光半導体素子の順方向動作電圧より僅かに高い電源電圧を供給するだけでも動作可能で、しかも、光半導体素子に出力される電流は所望の値に可変設定できるワンチップIC化が容易なコンパクトな光半導体駆動回路が実現できる。

    【0114】さらに、本発明によれば、プリドライバ回路の増幅手段の出力電圧レベルを調節するレベルシフト手段を設けることにより、光半導体素子に出力される電流パルス波形は、パルス幅と過渡応答が一定に保たれるほか、振幅はLDの光出力劣化を補償するような特性を得られる。

    【0115】また、本発明によれば、出力回路の可変定電流電源に負の温度依存性を有する定電流を発生させることにより、パルス電流振幅をIC動作条件に依存せず一定に保つことができる。

    【0116】さらに、本発明によれば、出力回路の可変定電流電源に一定値のバイアス電流と負の温度依存性を有する定電流とを発生させることにより、パルス電流振幅をIC動作条件に依存せず一定に保つたまま、所望の精度と値に設定できる能力を持たせることができる。

    【0117】また、本発明によれば、小容量の負電源を使える場合には、基準電流精度が高くなることに加えて、負荷変動による電流増幅率の変化や電源電圧の変動の影響が少ない高精度の電流調節機能が実現できる。

    【0118】また、本発明によれば、コンパクトな回路構成で、精密に制御されたLD直流バイアス用温度依存型定電流発生回路を付加でき、LDの良好な高周波動作を確保できる。

    【0119】一方、本発明によれば、出力回路にシュミット回路に類似した駆動回路を設けることによっても、
    駆動される光半導体素子の順方向動作電圧より僅かに高い電源電圧を供給するだけでも安定な動作が可能で、しかも光半導体素子に出力される電流は所望の精度と値に可変設定できる能力を持つワンチップIC化が容易なコンパクトな光半導体駆動回路が実現できる。

    【0120】この駆動回路においては、出力回路トランジスタを、ほぼ完全な飽和スイッチ動作させることも可能である。 しかし、そのスイッチ動作を非飽和領域にまで積極的に拡張することにより、飽和動作の際に生じうる出力パルス幅の拡がりや負荷LDの動作インピーダンスの影響を抑制して、出力パルスの立ち上がり・立ち下がり時間を相補的に調節することが可能となるという特徴を維持しつつ、立ち上がり・立ち下がり時間が小さく、高速で動作可能な光半導体駆動回路を提供することができる。

    【0121】さらに、上述したいずれかの駆動回路を採用することにより、電源電圧は他の信号処理ICと共用した単一の電源で動作し、しかも、通常の放熱設計で使用可能な低消費電力でコンパクトな光コネクタ結合型プラスチック光送受信モジュールを低コストで提供することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の基本回路構成を表す概略回路図である。

    【図2】本発明の直流バイアスを付加した基本回路構成を表す概略回路図である。

    【図3】電源側に標準的な定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図4】ミラー回路により、接地側に定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図5】2段ミラー回路により、接地側に定電流発生回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図6】負電源を使用したnpnトランジスタによる電流発生器を実装した概略回路図である。

    【図7】温度補償用と振幅調整用の定電流発生回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図8】温度補償用と振幅調整用の定電流発生回路に加え、直流バイアス回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図9】本発明の基本回路構成を表す概略回路図である。

    【図10】ブリドライバ負荷を変形した概略回路図である。

    【図11】標準的な定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図12】温度依存型定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図13】温度依存型定電流発生回路の具体例を表す概略回路図である。

    【図14】LD用直流バイアス定電流発生回路を内蔵した概略回路図である。

    【図15】過渡応答を改善する高周波ピーキングを懸けた概略回路図である。

    【図16】出力パルスの時間マージン変動を抑える槻略回路図である。

    【図17】npnトランジスタによる電流発生器を実装した概略回路図である。

    【図18】電流ミラー回路により、接地側に定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図19】増幅回路を具備した電流ミラー回路により、
    接地側に定電流発生回路を具備した概略回路図である。

    【図20】2段ミラー回路により、接地側に定電流発生回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図21】2段ミラー回路の初段に併置した定電流源によるバイアス補償回路付加した、接地側に定電流発生回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図22】定電流発生回路の具体例の図21において、
    バイアス補償回路を具備しなかった時のLDパルス負荷電流出力波形である。

    【図23】定電流発生回路の具体例の図21において、
    バイアス補償回路を具備した時のLDパルス負荷電流出力波形である。

    【図24】温度補償用と振幅調整用の定電流発生回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図25】温度補償用と振幅調整用の定電流発生回路に加え、LD用直流バイアス回路を具備した具体例を表す概略回路図である。

    【図26】光コネクタ結合型プラスチック光送受信モジュールの要部斜視透視図である。

    【図27】従来の光半導体駆動回路の概略回路図である。

    【図28】典型的なnpnトランジスタの電圧電流特性図である。

    【符号の説明】

    A 誤差増幅器 Cf 高周波バイパス容量(第1の容量) Ce 高周波ピーキング容量(第2の容量) D1,D2 ダイオード Gnd 接地 INPUT 正相入力信号 INPUT/ 逆相入力信号 I1 定電流 I2 DCバイアス電流 Ie エミッタ電流 LD 半導体レーザ OUTPUT 出力端子 Q1〜Q133 トランジスタ R1〜R120 抵抗 Rl 負荷抵抗(第1の抵抗) Rf 信号分割抵抗(第2の抵抗) Rb 信号分割抵抗(第3の抵抗) Re 電流帰還抵抗(第4の抵抗)、エミッタ抵抗 Vac パルス振幅制御電圧 Vbb バイアス電圧 Vbe ベース・エミッタ間電圧 Vcc IC電源電圧 Vce コレクタ・エミッタ間電圧 Vcs 第2の安定化電源電圧 Vct 温度補償制御電圧 Vdc 直流バイアス電流源制御電圧 Vee 接地 Vh 論理ハイレベル・ベース入力電圧 Vic 制御電圧 Vref 基準電圧 Vtc レベルシフト制御用定電流源制御電圧 1 光半導体駆動回路IC 2 光半導体素子 3 光検出器 4 プリント基板、またはSiマイクロマシン加工基板 5 光コネクタ 6 リード端子 7 プラスチック・モールド・パッケージ 8 受信回路IC 9 容量 10 抵抗 100 プリドライバ回路 200 出力回路

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