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Stamper for, and manufacturing method for surface plasmon resonance sensor chip

阅读:479发布:2020-07-26

专利汇可以提供Stamper for, and manufacturing method for surface plasmon resonance sensor chip专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a surface plasmon resonance sensor chip which enables analysis with high accuracy and produce various kinds of chip having a high degree of freedom for chip design, and a manufacturing method of a stamper. SOLUTION: In the method of producing the stamper used to produce the surface plasmon resonance sensor chip in which a metallic layer and a diffraction grating are arranged near a sensing surface being in contact with a sample and in which a resonance phenomena caused by both surface plasmon wave induced on the surface of the metallic layer by irradiation with light and evanescent wave generated by the function of the diffraction grating occurs on a resonance region formed on the sensing surface, a photosensitive layer is disposed on a substrate, and a latent image is formed by projecting a focused beam from a beam emitting device onto the photosensitive layer, and then a pattern of the diffraction grating is formed by using a development process, and then a transfer layer is formed on the photosensitive layer, and the stamper is produced for the surface plasmon resonant sensor by separating the transfer layer therefrom. COPYRIGHT: (C)2003,JPO,下面是Stamper for, and manufacturing method for surface plasmon resonance sensor chip专利的具体信息内容。

  • 【特許請求の範囲】 【請求項1】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層と回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域が上記センサ面に形成された表面プラズモン共鳴センサチップを製造するためのスタンパの製造方法であって、 基体上に感光層を設け、集光ビーム照射器から該感光層に集光ビームを照射することにより潜像を形成したのち、現像することによって該感光層上に回折格子パターンを形成した後、該感光層上に転写層を形成し、該転写層を分離してスタンパとすることを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項2】 集光ビーム照射器から該感光層に集光ビームを照射することにより潜像を形成するにあたり、 X−Y移動装置によって、感光層が形成された基体と集光ビーム照射器とをX−Y方向に相対移動させると共に集光ビームを照射することにより該潜像を形成する、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項3】 集光ビーム照射器から該感光層に集光ビームを照射することにより潜像を形成するにあたり、 感光層が形成された基体をその中心回りに回転させ、集光ビーム照射器を該基体の回転径方向に相対移動させると共に集光ビームを照射することにより該潜像を形成する、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項4】 該共鳴領域は該センサ面に離散的に形成された複数の連続領域からなり、該複数の連続領域のうち少なくとも一つの連続領域は他の連続領域とは該回折格子の溝ピッチ、溝形状及び溝方向のうち少なくとも一つの要素が相違している、請求項1乃至3のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項5】 該共鳴領域は該センサ面に連続的に形成された連続領域を有し、該連続領域は該回折格子の溝ピッチに連続的或いは不連続的な分布を有している、請求項1乃至3のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項6】 該センサチップは該共鳴領域外に凹部として形成された鏡面領域を有してなる、請求項1乃至5
    のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の方法により製造したスタンパの表面形状を転写することにより回折格子が形成された基板を作製し、そののち該基板上に該金属層を形成することを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した試料分析のためのセンサチップ(表面プラズモン共鳴センサチップ)とそれに用いるスタンパの製造方法に関し、特に、エバネッセント波を誘起する光学構造として回折格子を備えたセンサチップとそれに用いるスタンパの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野においては、化学種,生化学種又は生物種等の検出種を含む試料流体の定量的及び/又は定性的な分析方法として、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した分析方法が知られている。 表面プラズモン共鳴は、金属層に光が入射した場合に金属表面に誘起される表面プラズモン波が入射光により生成されたエバネッセント波に共鳴して励起される現象である。 表面プラズモン共鳴は入射光の波長及び度に依存しており、表面プラズモン共鳴が励起されたときには、特定の入射角又は特定の波長を有する光成分の光エネルギーが表面プラズモン波へ移行することにより、対応する入射角又は波長を有する反射光が減少するという特徴がある。 【0003】表面プラズモン共鳴を起こすためには、特定の表面プラズモン波を有する金属と、表面プラズモン波と共鳴するエバネッセント波を誘起する光学構造とが必要となる。 エバネッセント波を誘起する光学構造としては現在二つの構造が知られている。 一つはプリズムの全反射を利用した光学構造であり、もう一つは回折格子を利用した光学構造である。 なお、上記の金属にこれらの光学構造を組み合わせた素子は一般に表面プラズモン共鳴センサチップ(以下、単にセンサチップという)と呼ばれている。 【0004】通常、センサチップは基体に金属層を積層した構造を有し、金属層上には、特定の検出種と相互作用して特異的に結合する結合物質(リガンド、分子認識素子)が塗布されて固定化される。 このリガンドが固定化された金属層の表面に試料を接触させることにより、
    リガンドに試料中の検出種が捕捉される。 表面プラズモン共鳴は金属層の表面における媒質の屈折率にも依存しており、媒質の屈折率が変化すれば波長一定の場合には共鳴角が変化し、また、入射角度一定の場合には共鳴波長が変化する。 したがって、反射光の強度に基づき共鳴角或いは共鳴波長を調べることで金属層の表面における媒質の屈折率を分析することができる。 この場合、金属層の表面の媒質の屈折率の変化は、リガンドに捕捉される検出種の物質量、すなわち試料中の検出種の濃度の変化に対応していることから、表面プラズモン共鳴が起きる共鳴角或いは共鳴波長を調べることで、試料中の検出種の濃度等を分析することができる。 【0005】このようなセンサチップのうち、プリズム型のセンサチップは、一般にセンサチップ本体(透明基体上に金属層が積層されたもの)とプリズムとから構成されている。 センサチップは基本的には使い捨てであるが、プリズムは高価であるため、センサチップ本体だけでなくプリズムまでも使い捨てにすると測定コストが非常に高くなってしまう。 このため、この型のセンサチップでは、一般にセンサチップ本体とプリズムが別で、使用時にプリズムをセンサチップ本体に密着させてプリズムに光を入射し、反射光を検出し測定するようになっている。 【0006】このようにセンサチップ本体とプリズムとが別の場合、使用時には、センサチップ本体とプリズムとの密着性を上げるためにマッチングオイルを間に挟んで密着させる場合が多い。 しかし毎回同じ状態に密着させるのは非常に困難で、測定の度に密着度合いのばらつきが大きく、したがって測定値のばらつきが大きいという課題がある。 この対策例として、補正用の標準液を測定することでセンサチップ間の測定値のばらつきを補正する方法が提案されている。 しかしながら、この場合、
    標準液を供給するための新たな送液系が必要になり、また、センサチップ本体も標準液の供給をうけることができるように特別な構造を必要とする。 【0007】一方、回折格子型のセンサチップは、表面に凹凸形状(グレーティング)を有する透明基体上に金属層を積層された構造になっている。 凹凸形状上に金属層が積層されることで金属層の表面にも凹凸形状が現れ、この金属層の表面の凹凸形状が回折格子として機能する。 この型のセンサチップは、プリズム型のように高価なプリズムを使用しないため安価であり、使い捨てが可能である。 また、プリズム型のようにプリズムとセンサチップ本体を密着させる作業が不要のため、密着度合いのばらつきといった不具合もなく測定値の再現性が良いという利点もある。 【0008】また、プリズム型のセンサチップではプリズムを入射光及び反射光の経路とするという構造上、ビームの径やビームを照射できる領域に制約があるが、回折格子型のセンサチップにはこのような制約はなく、大径のビームを使用することができ、また任意の位置にビームを照射することができる。 したがって、回折格子型によればプリズム型に比較して一度に大面積を検査することができ、またセンサチップ上の任意の位置について検査することができるという利点がある。 【0009】今日では、分析処理の高速化のため、一つのセンサチップ上において多数の測定点(スポット)について測定を行う多項目測定が行われ、さらに、全スポットについて同時に測定を行う多点同時測定が要望されているが、このような要望に鑑みても、一度に大面積の検査が可能であり、また、金属表面上の任意の位置について検査が可能な回折格子型のセンサチップに対する期待は今日ますます高まっている。 【0010】回折格子型のSPRセンサチップの作成方法としては、従来より、所望の回折格子(回折格子パターン)と凹凸逆(陰画)のパターンを持ったスタンパを作成し、これを用いて所望の回折格子パターンを表面に有する透明基板を形成し、その上に金属膜を形成してセンサチップを得る方法がある。 そしてスタンパの作製には以下のような方法が用いられてきた。 すなわち、基板上に感光層を設け、波長の等しい2つの平面波(記録光と参照光)を空間で干渉させ、空間的に形成された光強度分布(干渉縞)を感光層に記録することで、所望の回折格子パターンを形成する。 これをもとにニッケルなどからなるスタンパを作製する。 【0011】ところで、感光層表面における干渉縞の周期δは、光源波長λ、屈折角θ 0' 、θ R'によって下記式(1)のように決定される。 【0012】 【数1】

    【0013】すなわち、周期δの回折格子を形成するためには、式(1)を満たす単色光の2つの平面波(記録光と参照光)を、それぞれ角度θ

    0'及びθ

    R'で光を感光層に入射させればよい。 これによって、これら2つの入射光が照射された領域一面には間隔δの干渉縞が形成され、この干渉縞は感光層に記録される。 この感光層としてフォトレジスト層を用いれば、光照射して潜像を形成し、後に現像することによりフォトレジスト表面には、


    干渉縞の光強度分布に依存した溝形状を持つ凹凸が形成される。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】記録光と参照光による干渉縞を利用して凹凸の回折格子パターンを形成する本方法よれば、短時間に比較的容易に希望する周期を満たす回折格子を形成できるが、一方、不利な点も見受けられる。 すなわち、凹部(溝部)のみならず凸部(ランド部)も弱いながらも露光されてしまうので、凸部表面が荒れやすく、測定時の反射光強度が弱くなり検出精度が悪化してしまうこと、光学系を形成する光学レンズ表面に塵などがあった場合にはピンホールができてしまい、


    そこで光の強度分布が変化し一定形状の回折格子が形成されなくなり、反射光中のノイズの原因となってしまうこと、回折格子の間隔は波長や入射角で変化させることができるが、回折格子の形状(凹凸の形状)の調整は困難であること、同一基板上で、回折格子間隔や回折格子の形状(凹凸の形状)を一部のみ異ならせるのが困難であること、などが挙げられる。 【0015】このため、このような点が改善されたセンサチップ用スタンパとセンサチップの製造方法が求められていた。 本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、精度の高い分析ができ、かつチップ設計の自由度が高く様々な種類のチップが作製可能な表面プラズモン共鳴センサチップ及びそのスタンパの製造方法を提供することを目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】即ち本発明の第1の要旨は、試料と接するセンサ面の近傍に金属層と回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴領域が上記センサ面に形成された表面プラズモン共鳴センサチップを製造するためのスタンパの製造方法であって、


    基体上に感光層を設け、集光ビーム照射器から該感光層に集光ビームを照射することにより潜像を形成したのち、現像することによって該感光層上に回折格子パターンを形成した後、該感光層上に転写層を形成し、該転写層を分離してスタンパとすることを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパの製造方法に存する。 【0017】本発明の第2の要旨は、上記方法により製造したスタンパの表面形状を転写することにより回折格子が形成された基板を作製し、そののち該基板上に該金属層を形成することを特徴とする、表面プラズモン共鳴センサチップの製造方法に存する。 【0018】 【発明の実態の形態】本発明においては、表面プラズモン共鳴センサチップ(SPR)用スタンパの作製工程において、表面に感光層を設けた基体上に、光源より導いた1本以上の光ビームを対物レンズによって集光し感光層上を走査させつつ露光し、これを一定間隔(ピッチ)


    ごとに繰り返すことによって、表面プラズモン共鳴を起こすに必要な所望の間隔(ピッチ)の回折格子を形成する。 【0019】これによれば、凸部(ランド部)は露光する必要がないのでチップの表面荒れを防ぐことができ、


    測定時の検出精度の悪化を防ぐことができる。 干渉縞を用いない(露光時に集光される)ため、光学系を形成する光学レンズ表面上の塵などに起因するピンホールの形成も起こらない。 また、集光ビームの露光間隔(ピッチ)を変えることで回折格子の間隔を変化させることも容易であるだけでなく、集光ビームの光量を調整したりビームエキスパンダを調節したりすることにより、回折格子の形状(凹凸の形状)を調整することも容易である。 なお、一般に回折格子の形状は略サイン形状が好ましい。 【0020】更に、同一基板上で、回折格子間隔や回折格子の形状(凹凸の形状)を一部のみ変化させることも容易である。 例えば回折格子間隔や回折格子形状の異なる2種以上の回折格子を形成することが可能である。 まず、本発明のセンサチップ用スタンパ及びセンサチップの製造工程について図面を参照しながら詳細に説明する。 図1は本発明のセンサチップ用スタンパ及びセンサチップの製造工程を説明するための模式図である。 【0021】基体1としては特に限定されるものではなく石英、樹脂、セラミック、金属などでもよいが、通常ガラスが用いられる。 また基体の形状は任意であり、方形でも円形でもよい。 基体上に形成される感光層2としては特に限定されずフォトポリマーなどでもよいが、通常、ポジ型、ネガ型などのフォトレジストが用いられる。 【0022】例えばポジ型のフォトレジスト層2を形成したガラス基体1を露光装置(図示しない)にセットし、光源からのレーザビーム3を対物レンズ4により集光して集光ビーム5とし、所望の回折格子パターンに応じてフォトレジスト層上に照射し、走査して描画することにより潜像6を形成する(図1(a))。 次いでこれをアルカリ現像液を用いて現像することにより感光した部分を除去して回折格子に応じた凹凸パターン7を有する原盤を形成する(図1(b))。 【0023】その後、この原盤表面にスパッタリング等によりニッケル薄膜を形成し、更にニッケルイオンを含む電解液中で湿式メッキを施し、そののちニッケル部分(転写層)を剥離することによって、所望の回折格子(回折格子パターン)と凹凸逆(陰画)のパターン11


    を持ったニッケル板からなる表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ10を作製する(図1(c))。 スタンパを構成する材料としては、ニッケルのみならず他の金属や合金を用いても良い。 【0024】このスタンパ10を元にして、熱可塑性樹脂の射出成形などによって、所望の回折格子パターン2


    1が形成された表面プラズモン共鳴センサチップ用基板20が得られる(図1(d))。 スタンパ10から基板20を作製する方法としては、従来、紫外線硬化性樹脂を用いた2P法が知られている。 この方式では、透明な支持基盤(ガラスあるいはプラスチック)上に紫外線硬化性樹脂を均一に塗布し、その上にスタンパを圧着し、


    透明支持基盤側から紫外線を照射する。 紫外線硬化性樹脂が硬化した後スタンパを剥離すると、所望の回折格子パターンを持った、紫外線硬化性樹脂層付き基盤が得られる。 【0025】或いは、上記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形することにより、回折格子パターンを表面に有する透明な熱可塑性樹脂基板を形成する方法も提案されている(特願2001−312440号)。 本方法によれば、精度の高い分析ができ、かつ耐環境性や耐衝撃性の高い表面プラズモン共鳴センサチップが作製でき、好ましい。 また低コストで短時間に多数のセンサチップを作製できる利点もある。 【0026】この基板20上に金、銀、白金またはそれらを主成分とする合金などからなる薄い金属層を蒸着やスパッタリングで形成する。 これを検出装置のサイズに合うように例えば25mm×25mm程度に切り出すなどの加工を施して、表面プラズモン共鳴センサチップが得られる。 なお、図1は模式図であり、説明を簡略化するために、凹凸パターンは1本のみ、また凹凸形状(溝形状)も角形として図示してある。 【0027】図2は集光ビームによる回折格子パターン形成を説明する模式図である。 フォトレジスト層2を形成したガラス基体1に、光源からのレーザビーム3を対物レンズ4により集光して集光ビーム5とし、所望の回折格子パターンに応じてフォトレジスト層上に照射し、


    走査して描画することにより潜像6を形成する(図2


    (a))。 【0028】集光ビーム5のエネルギー強度分布を図2


    (b)に示す。 このエネルギー強度分布は、集光ビームの光量を調整したりビームエキスパンダを調節したりすることで変化させることができ、これによって潜像6とそれをもとに形成される回折格子パターンの形状を変えることができる。 また、フォトレジスト層2の膜厚によってもある程度の変更ができる。 【0029】本発明に係る集光ビームの照射方法には、


    いわゆるX−Y移動方式によるものとr−θ移動方式によるものとがあり、それぞれに利点があるので、次にこれらを個別に説明する。 [(A)X−Y移動方式]X−Y移動方式とは、X−Y


    移動装置によって、感光層が形成された基体と集光ビーム照射器とをX−Y方向に相対移動させると共に集光ビームを照射することにより該潜像を形成する方法である。 【0030】表面プラズモン共鳴を起こすための回折格子は、一定の間隔(ピッチ)の複数の凹凸列によって形成されていれば良く、反射光がSPR測定装置の検出器により検出可能であれば、直線状であってもよいし曲線状、円弧状であってもよい。 しかし、直線状の回折格子からの反射光は一方向にのみ反射するのに対し、曲線状、円弧状の回折格子からの反射光は、センサチップの向きによっては、円弧の曲率に応じて反射光が広がってしまうので、受光するにはそれだけ検出器の面積を大きくしたり検出器を移動させつつ検出したりする必要がある。 逆に言えば、円弧状の回折格子のセンサチップを用いた場合、同じ検出器の面積では受光できる光量が減少するためS/Nや検出感度が悪くなる可能性がある。 従って回折格子は直線状であるほうが好ましい。 【0031】また、1枚のセンサチップから多点同時検出を行う場合には、検出器で受光された反射光をチップ上の点に応じて分割して検出し1点1点の信号を得るが、回折格子が曲線状、円弧状であると、チップ上の点と反射光の検出器上での点の位置関係が特定しにくいため多点同時検出が行いにくいので、回折格子は直線状であるほうが好ましい。 【0032】X−Y移動装置により基体と集光ビーム照射器とを相対移動させるつつ集光ビームを照射することで、直線状の回折格子を効率良く作製することができ、


    ひいてはSPR測定時の検出感度も上げることができると考えられる。 X−Y移動方式には、X−Y移動装置により集光ビーム照射器をX−Y移動させる場合、X−Y


    移動装置により基体をX−Y移動させる場合、集光ビーム照射器及び基体をX方向移動装置及びY方向移動装置によりそれぞれ移動させることで相対的にX−Y移動させる場合が考えられるが、いずれの方法も用いることができる。 【0033】以下、本発明の実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ製造方法の露光工程について図面を参照しながら詳細に説明する。 図3はX


    −Y移動装置を用いた実施の形態に係るスタンパの製造方法の露光装置を示す模式図である。 まず、研磨処理された清浄かつ平坦なガラス基体上に、ポジ型フォトレジストを塗布して所望の厚さのフォトレジスト層を形成する。 【0034】図3の通り、ターンテーブル30上にフォトレジスト層2付きのガラス基体1が載置され、このターンテーブル30が定速度にて回転される。 この基体1


    上のフォトレジスト層2に対し、レーザ光発生装置(光源)40からのレーザビーム3がビーム安定化装置4


    1、光変調器(パワーコントロール用AOM、音響光学変調素子)42、ビームエキスパンダ43、図示しないNDフィルター、シャッター44、ハーフミラー45、


    落射ミラー46及び対物レンズ4を介して集光ビーム5


    となり照射される。 なお光変調器42としてパワーコントロール用EOM(電気光学変調素子)を用いても良い。 【0035】同時に、フォーカス用レーザ光発生装置5


    0からのレーザビーム51がフォトレジスト層2に照射され、反射光を光受光器52により受光し、この結果をもとに対物レンズ4はターンテーブル30に載置されたフォトレジスト層2に照射スポットの焦点が合うようにフォーカス(焦点)制御される。 ターンテーブル30はX方向に移動可能なX方向スライダ60に載置され、かつ、Y方向に移動可能なY方向スライダ61に載置されており、落射ミラー46及び対物レンズ4に対して基板1をX−Y方向に相対移動させることができる。 X方向スライダ60の移動速度とY方向スライダ61の移動速度は、X−Yスライダ制御装置70により同期制御され、更にコントロール用PC71によって、ビーム安定化装置41、光変調器42の調節と同期するよう制御されている。 【0036】落射ミラー46及び対物レンズ4によって、レーザビーム(集光ビーム)照射器が構成されている。 この落射ミラー46及び対物レンズ4に対して基体1がX−Y方向に移動されると共に、対物レンズ4から出射した集光ビームスポット5が基体1上のフォトレジストに照射され、回折格子の潜像パターンが形成される。 【0037】本露光装置を用いて、直線状の回折格子パターンを形成する方法の一例について説明する。 例えば、まず集光ビーム5をフォトレジスト層2の回折格子を形成すべき開始位置に配し、Y方向スライダ61を固定してX方向スライダ60のみを動かしつつ集光ビーム5でフォトレジスト層2を露光し、回折格子を形成すべき終了位置で露光を停止する。 次にY方向スライダ61


    を回折格子の間隔分(1周期分、1ピッチ分)移動させ、次いでY方向スライダ61を固定してX方向スライダ60のみを先とは逆方向に動かしつつ集光ビーム5でフォトレジスト層2を露光し、回折格子を形成すべき開始位置に戻ったところで停止する。 これを繰り返すことで、所望の周期の直線状回折格子パターンを形成することができる。 【0038】この露光終了後の現像、ポストベークなどの各工程が行われるが、これらの工程は特に限定されるものではなく、従来と同様の方法など各種方法を採用しうる。 上記の露光工程の詳細条件ないし好適条件あるいは採用しうる他の構成について次に説明する。 【0039】上記説明では、エネルギー線としてレーザビームが用いられているが、電子線ビームなど他のエネルギー線であってもよい。 レーザビームとしては、Ar


    レーザ、Krレーザのほか、YAGの1/4波長波など各種のものを用いることができる。 レーザ変調のためにEOMが用いられているが、電子線ビームの場合には電磁気系偏向、変調装置を用いればよい。 【0040】エネルギー線ビームは円形であってもよく、楕円形などであってもよい。 上記実施の形態では、


    1本の集光ビームを照射しているが、2本以上の複数本(n本)の集光ビームを回折格子のピッチ方向に併置させて1群の集光ビームとし、この1群の集光ビームを一体的に移動させて、複数の凹部のパターンを同時に形成してもよい。 電子線など他のエネルギー線の場合も同様である。 このようにすれば、1本の集光ビームにて露光する場合に比べて露光時間をほぼ1/nに短縮することができる。 【0041】集光ビームを2本以上にするには、例えば、光源から発生させたレーザビームをビームスプリッタなどによって2本以上に分割し、これを回折格子のピッチ分離間して照射されるよう対物レンズに入射させればよい。 或いは、2本以上の集光ビームで同時に一枚の基体を露光するのに代えて、2本以上の複数本(n本)


    の集光ビームで夫々別の基体に同時に露光を行ってもよい。 例えば、光源から発生させたレーザビームをビームスプリッタなどによって2本以上に分割し、これをそれぞれ別の集光ビーム照射器(落射ミラー及び対物レンズ)に導き、おのおのが別の基体に照射されるようにすればよい。 このようにしても、実質的に1枚当たりの露光時間を1/nに短縮することができる。 【0042】図4はX−Y移動装置を用いた他の実施の形態に係るスタンパの製造方法の露光装置を示す模式図である。 装置構成は図3の露光装置とほぼ同じであるが、ターンテーブル30はY方向に移動可能なY方向スライダ61に載置されており、落射ミラー46及び対物レンズ4はX方向に移動可能なX方向スライダ62に載置されている点が異なる。 【0043】これにより、基板1に対する落射ミラー4


    6及び対物レンズ4の位置をX−Y方向に相対移動させることができる。 X方向スライダ62の移動速度とY方向スライダ61の移動速度は、X−Yスライダ制御装置70により同期制御され、更にコントロール用PC71


    によって、ビーム安定化装置41、光変調器42の調節と同期するよう制御されている。 【0044】本装置によっても図3の露光装置と同様に、表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ及び表面プラズモン共鳴センサチップを製造することができる。 [(B)r−θ移動方式]r−θ移動方式とは、感光層が形成された基体をその中心回りに回転させ、集光ビーム照射器を基体の回転径方向に相対移動させると共に集光ビームを照射することにより潜像を形成する方法である。 【0045】上記説明のとおり、X−Y移動方式においてはX−Y移動装置により集光ビーム照射器又は露光すべき基体を相対的にX−Y移動させるが、この場合、基体に対して照射器をX方向及びY方向の2方向に相対移動させるため、一般に照射器の位置精度を高く保つのが難しい。 位置精度を高くするためには移動速度を小さくする方法があるが、これではスタンパの製造効率が移動速度低下に比例して低下してしまう。 【0046】これに対してr−θ移動方式はX−Y移動(2次元移動)させる場合に比べて位置決め精度が極めて高い。 一般に回転機構は直線移動機構に比べて制御精度が非常に高いので、照射スポットのθ方向の位置精度は極めて高精度のものとなり、直線移動機構は回転径方向(r方向)の移動のみである。 この移動は1次元移動であるから、X−Y移動(2次元移動)させる場合に比べて位置決め精度が極めて高い。 従って、この原盤を元に製造されるセンサチップ用スタンパ及びセンサチップは、高精度の回折格子パターンを有したものとなる。 【0047】また、照射器のr方向の移動速度やθ方向の回転速度を大きくしても回折格子パターンの精度を十分に高くすることができるので、X−Y移動(2次元移動)方式に比べてセンサチップ用スタンパの製造効率も著しく高いものとなる。 ところで、r−θ移動方式によって回折格子パターンを作製すると、回折格子が円弧状になってしまう虞が大きい。 しかし、センサチップは通常25mm×25mm程度と小さいので、回折格子の曲率を小さくすることでほぼ直線状の回折格子と見なすことができる。 【0048】例えば、直径の大きい感光層付き基体を用い、螺旋状または同心円状に回折格子パターンを形成しこれを元にスタンパ及び基板を作製する。 基板の外周領域ほど回折格子の曲率が小さくなっているので、外周領域からセンサチップを切り出すことで、曲率が小さい回折格子を備えたセンサチップを得ることができる。 以下、本実施の形態に係る表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ製造方法の露光工程について図面を参照しながら詳細に説明する。 図5は本実施の形態に係るスタンパの製造方法の露光装置を示す模式図である。 【0049】装置構成は図3の露光装置とほぼ同じであるが、ターンテーブル30はθ方向に回転可能なスピンドルに搭載され、かつ、r方向スライダに載置されており、基体1の回転径方向に相対移動させることができる。 θ方向スピンドルの回転速度とr方向スライダの回転径方向の移動速度は、スライダ・スピンドル制御装置72により同期制御され、更にコントロール用PC71


    によって、ビーム安定化装置41、光変調器42の調節と同期するよう制御されている。 【0050】回転径方向の移動には、径方向に所定ピッチにてステップ移動される場合と、径方向に連続的に移動される場合とがあるので、次にこれらを個別に説明する。 (ステップ移動方式)落射ミラー46及び対物レンズ4


    を回転径方向に所定ピッチにて移動させて回折格子を形成する方法について説明する。 【0051】まず、回折格子パターンの最内周側を形成すべく落射ミラー46及び対物レンズ4を基体1の回転中心側に位置させ、停止させておく。 基体は定速にて回転させておく。 基体が1回転する間に所定時間だけレーザビームを照射する。 これにより、基体1のフォトレジスト層2には、最内周側のパターンの潜像6aが形成される。 潜像6aは、回転周方向の等半径位上に延在した円弧状のものとなっている。 【0052】この潜像6aの径方向の幅は、集光ビームのビーム径によって定まり、周方向長さは集光ビームの照射時間及び基板回転速度によって定まる。 スポットの周方向位置は、集光ビームの照射時期によって定まる。


    フォトレジスト付きの基体1が1回転する間に潜像6a


    を形成した後、落射ミラー46及び対物レンズ4を所定ピッチp分だけ径方向(この場合は回転中心に対し放射方向)に移動させる(なお、この移動の間も基体は定速度にて回転している。)。 そして、再び、基体1が1回転する間に所定時間集光ビームを照射し、第2周目の潜像6bを形成する。 この潜像6bは、潜像6aに対し回折格子の1周期分離れるようにする。 【0053】潜像6bを形成した後、落射ミラー46及び対物レンズ4を前記ピッチp分だけ径方向移動させ、


    上記と同様の照射を行って、第3周目の潜像6cを形成する。 以下、同様の手順を繰り返し、最外周の潜像を形成することにより露光工程が終了する。 (連続移動方式)落射ミラー46及び対物レンズ4を回転径方向に連続的に移動させながら、回折格子を形成する方法について説明する。 【0054】まず、落射ミラー46及び対物レンズ4をフォトレジスト付きの基体1の中心側の回折格子パターン形成開始位置に位置させる。 基体1は定速回転させておく。 落射ミラー46及び対物レンズ4を径方向に一定の微小速度にて移動させると共に、基体1が1回転する間に集光ビームを所定の時間だけ照射し、最内周側の潜像6aを形成する。 潜像6aの径方向幅は集光ビームのビーム径によって定まり、周方向長さは照射時間及び基板回転速度によって定まる。 この場合、潜像6aは等半径位の周方向に対し斜交する螺旋方向に延在している。


    この斜交の角度は、基体1の回転速度と、落射ミラー4


    6及び対物レンズ4の径方向移動速度との比によって定まる。 【0055】落射ミラー46及び対物レンズ4の径方向移動速度は、基体が1回転する間に落射ミラー46及び対物レンズ4が前記所定ピッチpだけ移動する速度である。 基体1が1回転して最内周の潜像6aが形成された後、基体1の引き続く1回転の間に第2周面の潜像6b


    を形成する。 潜像6bは潜像6aに対し回折格子の1周期分離れるようにする。 これに引き続く第3回転目の基体1の1回転の間に第3週目の潜像6cが形成され、以下同様にして最外周の潜像が形成され、これにより露光工程が終了する。 【0056】なお、以上の説明では、潜像は内周側から外周側に順に形成されているが、これと逆にしてもよい。 ビームの径方向移動速度は、20μm/sec以下であるならば、著しく高精度にて回折格子パターンを形成することができる。 基体1の回転速度は、周速度として1.25m/sec以上が可能であり、EOM等の制御応答性が確保されるならば11.31m/sec以上が可能である。 これは現状のX−Y移動装置の移動速度(10mm/sec以下)の1000倍以上の高速である。 【0057】本発明に係るSPRチップは、例えば以下のような測定装置によるSPR測定法に用いることができる。 回折格子上の所定の位置にリガンドを均一に付着させる。 必要に応じて、金属層の上に直接、又は付着性、安定性を高めるための中間層を介してチップの表面に検出したい物質と特異的に結合を行う物質(リガンド)を付着させる。 リガンドの付着はスポッターなどを用いて、数十〜数百μm径のスポット状に行われる。 【0058】その状態でのSPR共鳴曲線を測定する。


    入射光の波長を変える方法と、入射光の角度を変える場合があり、本発明の製造方法により作製したセンサチップはいずれの方法にも適用できるが、以下は入射光の角度を変える場合について説明する。 表面プラズモン共鳴(SPR)が起こり、回折格子からの回折光の強度が減少していき、最大に強度が減少した位置の入射光角度を「共鳴角」と呼ぶ。 共鳴角の前後で入射光角度―強度曲線(以下「共鳴曲線」と呼ぶ)を描くと、共鳴角の周辺でピークが生じ、ピークの深さが深く、半値幅が狭いほど良好な検出が行われるとされる。 【0059】まずリガンドのみの状態で共鳴曲線を描き、共鳴角を求める。 次にそこに検出したい物質を含む、バッファー、溶媒などを接触させ、チップ上のリガンドと結合させる。 その後共鳴曲線を取ると、リガンドと検出種が結合したときに、共鳴角がずれるという現象がみられ、ずれの有無によって結合が起こったこと、またずれの量によって結合した検出種の量も知ることができる。 【0060】多点同時測定の場合は、入射光のスポット内に多数の検出スポットを配置させて、回折光をCCD


    カメラで分割して検出することにより、数十〜数百のスポットを同時に検出することが可能である。 チップに求められる性能としては、上記各スポットでの共鳴曲線のピークがシャープで強度が大きいこと、つまり共鳴角のずれに対する感度がよいことに加え、多点に分割したときの、各スポットでの感度のばらつきが小さいことが上げられる。 【0061】このようなチップの特性の評価のためには、上記のようなリガンドを付着させない状態で、共鳴曲線のみを取ることによってある程度の指標とすることができる。 その場合、チップ表面に接する物質の屈折率を揃えるという意味で、一定の温度に保たれた水をチップ表面に接触させながら行うと、良好に評価することが出来る。 【0062】次に、本発明のセンサチップ用スタンパとセンサチップの製造方法により作製できるセンサチップの好ましい態様について説明する。 本製造方法によれば、その回折格子を従来のように一定の均一な溝ピッチで形成するのみならず、光の入射方向から見た実質的な溝ピッチに分布が生じるように形成することができる。


    溝形状、溝方向についても同様である。 従って、溝ピッチ、溝形状及び溝方向が異なる領域が同一のセンサ面上に形成されたセンサチップを作製することができる。 【0063】例えば、共鳴領域がセンサ面に離散的に形成された複数の連続領域からなり、複数の連続領域のうち少なくとも一つの連続領域は他の連続領域とは回折格子の溝ピッチ、溝形状及び溝方向のうち少なくとも一つの要素が相違している表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ及びセンサチップを作製することができる。


    なお、ここでいう連続領域とは、共鳴現象の有無の観点において平面的に連続しているセンサ面上の一連の領域を意味している。 【0064】つまり、センサ面に、回折格子の溝ピッチが異なる複数の共鳴領域を有するセンサチップが作製できる。 このような構成により、特定の方向から見たときの回折格子の実質的な溝ピッチに分布が生じ、各連続領域では実質的な溝ピッチに応じた波数と角振動数との関係を有するエバネッセント波が得られる。 これにより、


    一つの表面プラズモン波に対して角振動数の異なる複数の共鳴ポイントにおいて共鳴現象が生じうることになる。 【0065】図6に、本発明の製造方法により作製されたセンサチップのセンサ面上の共鳴領域の一例を示す。


    図中、濃淡は回折格子の山と谷を表す。 5mm×5mm


    の共鳴領域にゾーン1からゾーン4の連続領域が形成され、各ゾーンには溝ピッチの異なる回折格子を形成している。 この例では、前述の図4に示す装置を用いてゾーン1は399nm、ゾーン2には513nm、ゾーン3


    には611nm、ゾーン4には714nmであった。 【0066】このようなセンサチップは本発明の製造方法により初めて簡便に作製することが可能となった。 従来用いられていた干渉縞による回折格子の作製法では、


    通常、全面に干渉縞が照射されてしまうため他のゾーンに影響を与えず所定ゾーンにのみ回折格子を形成することは困難であった。 予めゾーン2〜ゾーン4を露光されないようマスクしたのちゾーン1を所定ピッチの干渉縞により露光し、次にマスク位置を移動してゾーン1、ゾーン3,4をマスクしたのちゾーン2をピッチを変えた干渉縞により露光する、という工程を繰り返す必要があった。 【0067】これに対して本願発明の製造方法によれば、集光ビーム照射器から集光ビームを照射して回折格子を形成するので、露光範囲を自由に制御でき、特別なマスクを必要とすることなく、各ゾーンに溝ピッチの異なる回折格子を簡便に作製することができる。 また、従来用いられていた干渉縞による回折格子の作製法では、


    回折格子の溝ピッチは干渉縞のピッチにより定まるが、


    一般に干渉縞のピッチを広範囲に変化させたり、高精度に制御したりすることは容易ではない。 これに対して本願発明の製造方法によれば、集光ビームの照射位置を制御することで溝ピッチを自由に変えることができ、広範囲かつ高精度に制御することができる。 【0068】或いは、共鳴領域がセンサ面に連続的に形成された連続領域を有し、連続領域は回折格子の溝ピッチに連続的或いは不連続的な分布を有している表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ及びセンサチップを作製することができる。 なお、ここでいう溝ピッチの連続的な分布とは、全ての隣接する溝間において溝ピッチが滑らかに変化していることを意味し、溝ピッチの不連続的な分布とは、少なくとも一つの隣接する溝間において溝ピッチがステップ状に変化していることを意味している。 【0069】このような構成により、連続領域上の各位置では溝ピッチに応じた波数と角振動数との関係を有するエバネッセント波が得られる。 これにより、一の表面プラズモン波に対して角振動数の異なる複数の共鳴ポイントにおいて共鳴現象が生じうることになる。 従来より、回折格子型のセンサチップを用いて行う分析方法には、入射角度一定で波長を変化させる(或いは多成分の光を照射する)波長変化型と、波長一定で入射角度を変化させる角度変化型の2つの方法がある。 【0070】このうち、波長変化型では、通常、白色光(多成分の光)を入射角度一定で照射し、各波長の反射光の反射率を計測することによって表面プラズモン共鳴による吸収ピークを計測する。 反射率の計測は、通常、


    計測レンジの制約から角振動数が所定範囲であるような特定領域の反射光について行われる。 ところが、表面プラズモン波は、金属層と試料(誘電体)のそれぞれの誘電率(すなわち屈折率)によって波数と振動数との関係が決まるため、試料の屈折率によっては、共鳴ポイントが計測レンジから逸脱してしまう虞がある。 特に、複数のスポットに異なる結合物質を固定化して幅広い誘電率(屈折率)の分布を持つ試料を検出する場合や、分析時に段階的に生成される新たな物質(例えば、酵素反応により生じる沈着色素など)により各スポットにおける誘電率(屈折率)が変化する場合において、これらのスポットを同時に計測を行うときには、共鳴現象が検出できるスポットと検出できないスポットが混在する虞がある。 この場合は、全てのスポットについて共鳴現象を計測するために、入射角度を変更する等の光学系の再調整が必要になってしまう。 【0071】なお、全ての共鳴ポイントが計測レンジに入るように、計測レンジを広げて波長帯を広く取るという考えもあるが、波長帯を広く取りすぎると、広範囲の波長が検出できるものの分解能が下がってしまうという新たな課題が生じてしまう。 一方、角度変化型には2つの形態が知られている。 その第1の形態では、通常、単一波長の光を照射角度を変えながら照射し、各照射角度における反射光を計測することによって、表面プラズモン共鳴による吸収ピークを検出する。 しかしながら、この方法においても、光の照射角度に制限があるため、波長変化型と同様に計測レンジに制約が生じてしまう。 【0072】角度変化型の第2の形態は、光源から単波長の光を所定の広がり角を持って照射し、これをセンサチップの金属層の表面に垂直でない所定の角度で入射させ、その反射光を反射鏡を介して光検出器(フォトダイオードアレイ)で検出するようにしたものである。 この場合は、センサチップでの入射位置に応じて照射光の入射角度が変わるので、結果的に特定角度範囲内で入射角度を連続的に変えながら単波長の光を照射したことになる。 【0073】しかしながら、この方法によっても、上述の波長変化型や角度変化型の第1の形態と同様に計測レンジに関する問題は依然としてあり、また、光学系が複雑で装置自体が大型化してしまうという課題もある。 更に、反射鏡が僅かに変形しただけで光路にずれが生じ、


    測定精度に影響を与えてしまうという課題もある。 本発明の製造方法により得られる上記センサチップによれば、このような誘電率分布や屈折率分布が広範囲な場合でも、限られた計測レンジにおいて光学系の再調整を行うことなく試料の分析を行えるようにした、表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置を提供することができる。 【0074】或いはまた、簡単な光学系により単波長の光による試料の分析が可能な表面プラズモン共鳴センサチップ、並びにそれを用いた試料の分析方法及び分析装置を提供することができる。 図7は、本発明の製造方法により作製された他のセンサチップにおいて、回折格子の溝ピッチによる共鳴角の変化を測定した結果を示すグラフである。 前述の図4に示す装置を用いて、同一のセンサチップ上に溝ピッチが0.836μm、0.846


    μm、0.856μm、0.870μm、0.876μ


    m、0.886μmの6種類の回折格子を形成した。 その共鳴角を同一条件で測定した結果、約18.4゜〜約22.2゜の広範囲の共鳴角が得られた。 例えばこのチップを用いて分析を行った場合、検出器が限られた計測レンジしか持たなくても、これら回折格子のいずれかの共鳴角がそのレンジに入り、試料の測定が可能である確率がそれだけ高いと考えられる。 【0075】このように本発明によれば、光の照射方向に対する回折格子の実質的な溝ピッチに分布が存在することにより、回折により生じるエバネッセント波の波数と角振動数との関係にも実質的な溝ピッチに応じた分布が生じ、これにより一の表面プラズモン波に対して角振動数の異なる複数の共鳴ポイントにおいて共鳴現象が生じうるので、誘電率分布や屈折率分布が広範囲な場合でも、光学系の再調整を行うことなく試料の分析を行うことができる。 【0076】或いはまた、溝方向の異なる複数の回折格子を形成することもできる。 例えば、分析装置側に、9


    0゜異なる向きに2つの検出器を配しておき、センサチップ上に90゜異なる向きに2種類の回折格子を作製しておくことで、両検出器で同時に検出を行うことができる。 このとき、2種類の回折格子は別個の連続領域としてもよいし、1つの連続領域内に重複して形成してもよい。 本願発明の製造方法によれば、集光ビーム照射器から集光ビームを照射して回折格子を形成するので、露光方向も自由に制御でき、溝方向の異なる回折格子を簡便に作製することができる。 【0077】更に、溝形状の異なる複数の回折格子を形成することもできる。 本発明者らの検討によれば、理由は明確ではないが、回折格子の溝形状によって表面プラズモン共鳴曲線の半値幅が変化する場合があることが分かった。 従って、複数の異なる溝形状の回折格子を配しておくことで、半値幅が狭い共鳴曲線が得られる確率が高まり、優れた信号を得ることができ、検出感度も高めることができる。 本願発明の製造方法によれば、集光ビーム照射器から集光ビームを照射して回折格子を形成するので、露光パワーを変えることにより溝形状の異なる回折格子を簡便に作製することができる。 【0078】本製造方法によればまた、センサチップは共鳴領域外に凹部として形成された鏡面領域を有してなるセンサチップを得ることができる。 すなわち、鏡面領域が、共鳴領域の回折格子の谷と同じかまたはそれより低い高さの面として形成されている。 通常、分析を行う際には入射光を一旦鏡面領域に照射し検出し、これを各種補正を行うための標準の信号として用いている。 従来、鏡面領域は、精密に研磨されたガラス板上に形成されたポジ型のフォトレジスト層に回折格子の潜像を露光により作製する際に、特に露光を行わずに残しておき、


    後に現像することによって形成されていた。 このような作製法では鏡面領域は凸部として形成される。 【0079】しかしながら、フォトレジストは現像時に現像液による表面荒れを起こすことが避けられず、鏡面領域とは言え微細な凹凸が存在していたため、そこから得られる標準信号の精度がそれだけ低下してしまうという問題があった。 そこで、本製造方法においては、好ましくはガラス板上に形成されたポジ型のフォトレジスト層に回折格子の潜像を露光により作製する際に、鏡面領域となる領域を全面露光し、現像してフォトレジストを完全に除去してガラス面を露出させる。 このような作製法では鏡面領域は凹部として形成されるが、その表面はフォトレジスト面ではなく精密に研磨されたガラス面となるので、非常に平滑である。 従って本方法により得られた鏡面領域からの信号は精度が高く、標準信号として優れている。 【0080】 【実施例】本発明を実施例に従い詳細に説明する。 ただし、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。 (実施例) [センサチップの作製]清浄なガラスからなる基体上にポジ型フォトレジストを厚さ約50nm塗布したのち1


    80℃で加熱硬化したのち紫外線を照射して下地層とした後、同じポジ型フォトレジスト層を厚さ約40nmに塗布し、プリベーキングしたのち図4に示すレーザ露光装置のターンテーブルにセットした。 He−Cdレーザ(波長442nm、最大出55.0mW)をNA=


    0.93の対物レンズで集光して上記ポジ型フォトレジスト層に照射し、アルカリ現像及びポストベーキングを行った。 【0081】次いで、現像後のポジ型フォトレジスト層に出力200W、波長172nmのエキシマランプ(ウシオ電機製)で紫外線照射を80秒間行った。 これにより、15mm×25mmの範囲にわたり、ピッチ0.8


    μm、長さ25mm、深さ40nmのほぼサイン波形状に近い溝が平行に形成された回折格子パターンを有する原盤を得た。 【0082】この原盤表面にスパッタリング等によりニッケル薄膜を約300nm形成し、更にニッケルイオンを含む電解液中で湿式メッキを施し、そののちニッケル部分(転写層)を剥離し、リムーブ処理して、所望の回折格子パターンと凹凸逆(陰画)のパターンを持った表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパを作製した。


    スタンパは直径130mm、厚さ約290μmの円盤状で中心に直径35.4mmの穴をもち、ニッケルからなる。 【0083】このスタンパを用い、ポリカーボネート樹脂で射出成形を行った。 成形金型は直径130mm、厚さ1.2mmの円盤が成形できる成形金型を用いた。 射出成形条件は、固定側金型温度127〜128℃、可動側金型(スタンパ取り付け)温度125℃、樹脂温度3


    60〜370℃であった。 圧縮圧力は最大で140kg


    f/cm

    2 、保圧時間1秒、冷却時間10秒、射出速度105mm/secとした。 【0084】この成形により、直径130mm、厚さ1.2mmの透明基板上に、上記の回折格子パターンを持つポリカーボネート製の円盤が得られた。 次に、円盤の回折格子パターンを持つ側に金のスパッタリングを行い、膜厚80nmの金からなる膜を形成した。 そして基板から、回折格子を含む25mm×25mmの部分を切り出し、センサーチップとした。 【0085】[共鳴曲線の測定]表面プラズモン共鳴測定装置(HTS社製)に、チップの測定領域の周囲にシリコン製のガスケットを介して上記チップを取り付けた。 チップ表面に、30℃の水が均一に接している状態で、波長876nmのレーザ光を直径約10mmのスポット状に照射する。 レーザ光の入射角の角度を共鳴角付近で走査しつつ回折光の強度を測定することによって、


    共鳴曲線を得た。 【0086】共鳴曲線は図8に示すようなガウシアン分布に似た曲線となる。 図において(最大)信号振幅をA


    とし、振幅Aが得られる角度を共鳴角θmax(de


    g)とし、信号値がA/eとなる領域の幅を半値幅σ


    (deg)とする。 一般に、半値幅σが小さく、振幅A


    が大きいほど角度分解能が高いので好ましいとされる。


    実際の共鳴曲線は必ずしもガウシアン分布とならないため、ガウシアン関数によってカーブフィッティングを行い、ガウシアン曲線に近似して、上記振幅A、共鳴角θ


    max(deg)、半値幅σ(deg)を得る。 【0087】本測定においては、チップ上のレーザ光の中心に近い部分を100個のセルに分割し、この100


    セルについて同時に測定を行い、それぞれの共鳴曲線を得た。 100セルからは、ほぼ同一な共鳴角を持ち、いずれもシャープな(半値幅の狭い)良好な共鳴曲線が得られた。 これら100セル分の共鳴曲線を評価した結果を図9〜図11に示す。 図9は信号振幅(SPRシグナル)、図10は共鳴角、図11は半値幅である。 この結果、信号振幅は1850〜2350、共鳴角は20.7


    5〜20.88(deg)、半値幅は0.38〜0.5


    5(deg)の範囲に収まっており、いずれも良好な分布を示した。 【0088】本センサチップは、ポリカーボネート樹脂基板上に金からなる膜を直接形成して用いたが、測定中に金の剥離などもなく、また、3回繰り返し測定に用いても共鳴曲線の変化も殆ど見られなかった。 即ち、本実施例では、高精度での分析が可能な表面プラズモン共鳴センサチップが得られている。 【0089】 【発明の効果】本発明によれば、精度の高い分析ができ、かつチップ設計の自由度が高く様々な種類のチップが作製可能な表面プラズモン共鳴センサチップ及びそのスタンパの製造方法を提供することができる。 本製造方法を用いて得られたセンサチップは、チップの表面荒れが小さく、測定時の検出精度が悪化することがなく、またピンホールなどの欠陥の発生も抑えられるので、精度の高い分析が可能となる。 【0090】そして、回折格子の間隔や回折格子の形状(凹凸の形状)を全体的に又は部分的に調整することも容易であるので、チップ設計の自由度が高く、様々な種類のチップが作製可能である。

    【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のセンサチップ用スタンパ及びセンサチップの製造工程を説明するための模式図である。 【図2】 集光ビームによる回折格子パターン形成を説明する模式図である。 【図3】 本発明の実施の形態に係るセンサチップ用スタンパの製造方法に用いられる装置の概略図である。 【図4】 本発明の他の実施の形態に係るセンサチップ用スタンパの製造方法に用いられる装置の概略図である。 【図5】 本発明の他の実施の形態に係るセンサチップ用スタンパの製造方法に用いられる装置の概略図である。 【図6】 本発明の製造方法により作製されたセンサチップのセンサ面上の共鳴領域の一例を示す模式図である。 【図7】 本発明の製造方法により作製された他のセンサチップにおいて、回折格子の溝ピッチによる共鳴角の変化を測定した結果を示すグラフである。 【図8】 本発明の実施例のセンサチップから得られた100セル分の表面プラズモン共鳴曲線の信号振幅である。 【図9】 本発明の実施例のセンサチップから得られた100セル分の表面プラズモン共鳴曲線の共鳴角である。 【図10】 本発明の実施例のセンサチップから得られた100セル分の表面プラズモン共鳴曲線の半値幅である。 【図11】 表面プラズモン共鳴装置により測定される共鳴曲線の模式図である。 【符号の説明】 1 ガラス基体2 フォトレジスト層3 レーザビーム4 対物レンズ5 集光ビーム6 潜像7 回折格子の凹凸パターン10 表面プラズモン共鳴センサチップ用スタンパ11 回折格子(回折格子パターン)と凹凸逆(陰画)
    のパターン20 表面プラズモン共鳴センサチップ用基板21 回折格子の凹凸パターン30 ターンテーブル40 レーザ光発生装置(光源) 41 ビーム安定化装置42 光変調器(パワーコントロール用AOM、音響光学変調素子) 43 ビームエキスパンダ44 シャッター45 ハーフミラー46 落射ミラー50 フォーカス用レーザ光発生装置51 フォーカス用レーザビーム52 光受光器60、62 X方向スライダ61 Y方向スライダ63 θ方向スピンドル64 r方向スライダ70 X−Yスライダ制御装置71 コントロール用PC 72 スライダ・スピンドル制御装置

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G059 AA01 EE02 GG01 GG06 HH01 HH06 JJ05 JJ11 JJ12 JJ13 JJ18 JJ20 JJ22 JJ23 JJ25 KK01 KK04 2H049 AA03 AA13 AA33 AA37 AA40 AA43 AA44 AA45 AA46 AA55 AA66

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