专利汇可以提供Brazing sheet for tube material of heat exchanger, and method for producing heat exchanger using the same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a brazing sheet for a tube material of a heat exchanger obtained by being clad with an Al-Si based brazing filler metal, and where Si in the solidified structural material in the brazing filler metal after brazing heating can be micronized. SOLUTION: A core material is composed of an aluminum alloy comprising, by mass, 0.6 to 2.0% Mn, 0.6 to 1.3% Si, 0.2 to 1.0% Cu, 0.05 to 0.3% Zr and 0.05 to 0.3% Ti, and a sacrificial anode material is composed of an aluminum alloy comprising 1.0 to 6.0% Zn, 0.5 to 2.0% Mn and 0.2 to 1.3% Si. A brazing filler metal on the core material side is composed of an aluminum alloy comprising 6 to 15% Si, either or both of the core material and the brazing filler metal on the core material contain Sr, wherein the content of Sr in the core material is ≤0.6%, and the content of Sr in the brazing filler metal on the core material size is also ≤0.6%. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT,下面是Brazing sheet for tube material of heat exchanger, and method for producing heat exchanger using the same专利的具体信息内容。
本発明は、ラジエータ、ヒータコア、オイルクーラ、インタークーラ、カーエアコンのコンデンサ、エバポレータ等の製造に用いられるアルミニウム合金製の熱交換器のチューブ材用ブレージングシート、並びに該ブレージングシートを用い、フラックスろう付けにより、チューブ材及びフィン材をろう付けして得られる熱交換器及びその製造方法に関する。
アルミニウム合金製の熱交換器は、自動車のラジエータ、ヒータコア、オイルクーラ、インタークーラ、カーエアコンのエバポレータやコンデンサ等の熱交換器として、広く使用されている。 アルミニウム合金製の熱交換器は、Al−Mn合金、Al−Mn−Cu合金等からなるチューブ材と、アルミニウム合金のフィン材を組み付け、塩化物系フラックス又はフッ素系フラックスを用いる不活性ガス雰囲気ろう付け法、あるいは、真空ろう付け法により、製造されている。
該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう材としては、Al−Si系ろう材が使用されることが一般的である。 該ろう材は、該チューブ材側に配置されたり、あるいは、フィン材の片面又は両面に配置されており、該チューブ材及び該フィン材が組み付けられた後、ろう付け加熱されることで、該ろう材が溶融し、各部材が接合される。
通常、ろう付け加熱後に凝固したろう材には、針状Siと共晶α相との共晶組織、及びアルミニウムにSiが固溶した初晶α相が存在する。 針状Siと共晶α相とでは、電位が異なるため、電位的に卑な共晶α相が優位的に腐食して、フィレット(ろう付け部)の早期腐食が発生する。 また、ろう付け加熱後にチューブ材の一般部の表面に薄く残存した凝固ろう材は、結晶粒界を多く溶解した状態になっており、針状のSiの多くは溶融が最も大きい結晶粒界に沿って晶出している。 共晶α相と針状Siとの境界部分ではSiの欠乏層が存在するため、電位的に卑な欠乏層部分が優先的に腐食して、芯材の粒界に沿って板厚深さ方向へ腐食が進行する。 そのため、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートには、該針状Siが、寿命低下の一因となるという問題あった。 また、針状Siと共晶α相とでは強度が異なるため、フィレット接合部の強度がばらついたり、表面が粗くなったりするため、疲労破壊の起点となる。 そのため、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートには、該針状Siが、疲労強度の低下の一因となるという問題があった。
耐食性に優れたブレージングシートとしては、例えば、特開2003−306735号公報(特許文献1)には、質量%で(以下、%は質量%を示す)Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成のAl合金を芯材とし、前記芯材の片面にZn:2.6〜10%、Si:0.25〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜1.5%、Ti:0.01〜0.25%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成の犠牲陽極皮材をクラッドし、前記芯材の他方の片面にAl−Si系またはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドしてなることを特徴とする耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートが開示されている。
また、耐エロージョン特性に優れたブレージングシートとしては、例えば、特開2000−303132号公報(特許文献2)Mn:0.05〜2.0%(wt%、以下同様)を含有するAl合金で形成された芯材の両面あるいは片面にSi:6.0〜13.5%あるいはGe:0.4〜5.5%を含有するAl合金で形成されたろう材が積層されたAl合金ブレージングシートであって、前記芯材はMnのほかさらにCa:0.1〜5.0%、Li:0.1〜10.0%、Sr:0.05〜0.8%、Sc:0.05〜0.8%、Y:0.05〜1.0%、Ti:0.17〜1.0%、Zr:0.3〜1.0%、V:0.2〜1.0%、Nb:0.05〜1.0%、Co:0.1〜0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Ba:0.05〜0.8%、Be:0.05〜0.8%、Ta:0.05〜1.0%の内から1種を含有するAl合金で形成された耐エロージョン特性に優れたAl合金ブレージングシートが開示されている。
また、ろう材の流動性を向上させたブレージングシートとしては、例えば、特開昭51−46548号公報(特許文献3)には、Si:6.8〜10.5%、Mg:10〜30%、Fe:0.2〜1.2%、Mn:0.2〜0.5%、Al及び不純物:残り、からなるアルミニウム合金をろう材とし、Si:0.2〜0.6%、Mg:0.3〜0.65%、Fe:0.2〜0.6%、Mn:0.3〜0.8、Cr:0.6%以下、Ti:0.1%以下、Al及び不純物:残り、からなるアルミニウム合金を芯材としたことを特徴とするブレージング用アルミニウム合金クラッド複合材が開示されている。
ところが、特許文献1〜3では、上記問題点を解決することができなかった。
また、近年、予めろう材の表面にフラックスからなるフラックスプレコート層を形成させたブレージングシート材が、使用されるようになってきた。 このようなフラックスプレコート層が形成されたブレージングシートにも、同様に上記問題点がある。
なお、ろう材の表面にフラックスプレコート層が形成されているブレージングシートを加工してチューブ材を作製し、該チューブ材及びフィン材を組み付けて、ろう付け加熱して、ろう付けする場合、フラックスプレコート層が形成されている面積に対するフッ化物フラックスの塗布量は、一般的に1〜15g/m 2程度程度である。
上記問題について、もし、ろう付け加熱後に凝固したろう材中で、Siを針状にならずに、微細な結晶粒になるようにすることができれば、すなわち、ろう付け加熱後のろう材の凝固組織中のSiを微細化することができれば、ろう付け後の耐食性に優れ且つ強度のばらつきが少ない熱交換器のチューブ材用ブレージングシートが得られる。 従って、本発明の課題は、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートであって、ろう付け加熱後のろう材の凝固組織中のSiを微細化することができる熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供することにある。 また、本発明の課題は、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートからなるチューブ材をろう付けして熱交換器を得る熱交換器の製造方法であって、ろう付け加熱後のろう材の凝固組織中のSiが微細化されている熱交換器の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ブレージングシートを構成する芯材及びろう材の添加元素及びその含有量を特定にすること、該芯材及び該ろう材に含有されるSrとフラックス塗布量との関係を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明(1)は、芯材の一方の面に芯材側ろう材がクラッドされ、且つ、該芯材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であること、
を特徴とする熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(2)は、芯材の一方の面に芯材側ろう材がクラッドされ、且つ、該芯材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材の表面には、フッ化物フラックスからなるフラックスプレコート層が形成されていること、
を特徴とする熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(3)は、前記芯材中のSr含有量Cs(質量%)、前記芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、前記芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び前記フラックスプレコート層の前記フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たすことを特徴とする前記本発明(2)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(4)は、前記本発明(1)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートからなるチューブ材の芯材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有し、
ろう付け前の該チューブ材の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、前記本発明(2)又は(3)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートからなるチューブ材及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有することを特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、芯材に、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽極材側ろう材が、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順にクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該犠牲陽極材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であること、
を特徴とする熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(7)は、芯材に、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽極材側ろう材が、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順にクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材の表面には、フッ化物フラックからなる第一フラックスプレコート層が形成されおり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該犠牲陽極材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材の表面には、フッ化物フラックスからなる第二フラックスプレコート層が形成されていること、
を特徴とする熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(8)は、前記芯材中のSr含有量Cs(質量%)、前記芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、前記芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び前記第一フラックスプレコート層の前記フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、
且つ、前記該犠牲陽極材中のSr含有量Gs(質量%)、前記犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量Ry(質量%)、前記犠牲陽極材側ろう材の厚さDy(μm)、及び前記第二フラックスプレコート層の前記フッ化物フラックスの塗布量Fy(g/m 2 )が、下記式(2):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.001×Fy+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする前記本発明(7)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供するものである。
また、本発明(9)は、前記本発明(6)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートからなるチューブ材の芯材側ろう材の表面及び犠牲陽極材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有し、
ろう付け前の該チューブ材の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び該チューブ材の該芯材側ろう材の表面に塗布する該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、
且つ、ろう付け前の該チューブ材の犠牲陽極材中のSr含有量Gs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量Ry(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の犠牲陽極材側ろう材の厚さDy(μm)、及び該チューブ材の犠牲陽極材側ろう材の表面に塗布する該フッ化物フラックスの塗布量Fy(g/m 2 )が、下記式(2):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.001×Fy+0.005 (2)
を満たすこと、
を特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
また、本発明(10)は、前記本発明(7)又は(8)の熱交換器のチューブ材用ブレージングシートからなるチューブ材及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有することを特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートであって、ろう付け加熱後のろう材の凝固組織材中のSiを微細化することができる熱交換器のチューブ材用ブレージングシートを提供することができる。 また、本発明によれば、Al−Si系ろう材がクラッドされたブレージングシートからなるチューブ材をろう付けする熱交換器の製造方法であって、ろう付け加熱後のろう材の凝固組織中のSiが微細な熱交換器の製造方法を提供することができる。 そのため、本発明によれば、ろう付け後の耐食性に優れ且つ強度のばらつきが少ない熱交換器のチューブ材用ブレージングシート及び耐食性に優れ且つ強度のばらつきが少ない熱交換器が得られる。
本発明の第一の形態の熱交換器のチューブ材用ブレージングシート(以下、本発明のブレージングシート(1)とも記載する。)は、芯材の一方の面に芯材側ろう材がクラッドされ、且つ、該芯材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下である、
熱交換器のチューブ材用ブレージングシートである。
本発明のブレージングシート(1)は、芯材の一方の面に芯材側ろう材がクラッドされ、且つ、該芯材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであるので、順に、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材を有する3層材である。
本発明のブレージングシート(1)に係る該芯材は、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金である。
該芯材中のMnの含有量は、好ましくは1.0〜1.7質量%である。 該芯材中のMnは、強度を確保するために添加される元素であり、耐高温座屈性を向上させる元素として機能する。 該芯材中のMnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Mn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性が害され、板材の製造が困難となる。
該芯材中のSiの含有量は、好ましくは0.8〜1.0質量%である。 該芯材中のSiは、強度を向上させる元素として機能する。 該芯材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、耐食性を低くするとともに、芯材の融点を下げ、ろう付け時に局部溶融が生じ易くなる。
該芯材中のCuの含有量は、好ましくは0.3〜0.7質量%である。 該芯材中のCuは、強度を向上させる元素として機能する。 該芯材中のCuの含有量が、上記範囲未満だと、上記Cu元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、ろう付け時に犠牲陽極材層に拡散して犠牲陽極材層の電位を上昇させ、耐食性が低下するとともに、SiとともにAl−Si−Cu系の3元系組成物を形成して芯材の融点が低下する。
該芯材中のZrの含有量は、好ましくは0.1〜0.2質量%である。 該芯材中のZrは、芯材の結晶粒度を粗大化し、溶融ろうの浸透を抑制する元素として機能する。 該芯材中のZrの含有量が、上記範囲未満だと、上記Zr元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えて添加しても、効果が飽和してしまうため、上記範囲を超えて添加する必要がない。
該芯材中のTiの含有量は、好ましくは0.1〜0.2質量%である。 該芯材中のTiは、芯材に添加されると、芯材の板圧方向に濃度の高い領域と低い領域に分かれ、それらの領域が交互に分布する層状となるように存在し、Ti濃度の低い領域は高い領域に比べ優先的に腐食するので、該芯材中のTiは、腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて材料の耐孔食性を向上させる元素として機能する。 該芯材中のTiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Ti元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造が困難となり、加工性が悪くなり健全な材料の製造が困難となる。
本発明のブレージングシート(1)に係る該犠牲陽極は、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金である。
該犠牲陽極材中のZnの含有量は、好ましくは2〜5質量%である。 該犠牲陽極材中のZnは、犠牲陽極効果を高める元素として機能する。 該犠牲陽極材中のZnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Zn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、犠牲陽極材の消耗速度が速くなり、寿命が短くなる。
該犠牲陽極材中のMnの含有量は、好ましくは1.0〜1.7質量%である。 該芯材中のMnは、強度を確保するために添加される元素であり、耐高温座屈性を向上させる元素として機能する。 該犠牲陽極材中のMnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Mn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性が害され、板材の製造が困難となる。
該犠牲陽極材中のSiの含有量は、好ましくは0.3〜1.0質量%である。 該犠牲陽極材中のSiは、犠牲陽極材層の強度を向上させる元素として機能する。 該犠牲陽極材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、耐食性を低くするとともに、犠牲陽極材の融点を下げ、ろう付け時に局部溶融が生じ易くなる。
本発明のブレージングシート(1)に係る該芯材側ろう材は、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金である。 該芯材側ろう材中のSiの含有量は、好ましくは7〜12質量%である。 該芯材ろう材中のSiは、ろう材の融点を下げるために添加される元素であり、溶融ろうの流動性を高める元素として機能する。 該芯材側ろう材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、融点が急激に高くなり、ブレージングシートの製造時の加工性が低下する。
本発明のブレージングシート(1)では、該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方が、Srを含有する。 つまり、該芯材のみがSrを含有する場合、該芯材側ろう材のみがSrを含有する場合、該芯材及び該芯材側ろう材の両方がSrを含有する場合がある。 そして、該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり且つ該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下である。 芯材中のSrは、ろうの溶融時に芯材からろう材中に拡散し、そして、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、芯材中のSrは、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該芯材がSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化することができるため、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 また、該芯材側ろう材中のSrは、鋳造凝固時にろう材中のSiの凝固粒子を微細化、すなわち、ろう付け前のろう材のSi粒子を微細化させ、且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該芯材側ろう材中のSrは、ろう付け前のろう材中のSiの凝固粒子を微細化し且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該芯材側ろう材がSrを含有することにより、圧延後の製造性を向上させ、且つ熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 一方、該芯材中のSrの含有量、あるいは、該芯材側ろう材中のSr含有量が、0.6質量%を超えると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、本発明のブレージングシート(1)では、該芯材のみがSrを含有する場合、該芯材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該芯材側ろう材のみがSrを含有する場合、該ろう材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該芯材及び該芯材側ろう材の両方がSrを含有する場合、該芯材中のSrの含有量が0.6質量%以下であり且つ該芯材側ろう材中のSrの含有量が0.6質量%以下である。
更に、本発明のブレージングシート(1)では、上記Srの添加効果が得易い点で、該芯材が0.005〜0.6質量%のSrを含有し且つ該芯材側ろう材が0.005〜0.6質量%のSrを含有することが好ましく、該芯材が0.005〜0.4質量%のSrを含有し且つ該芯材側ろう材が0.005〜0.4質量%のSrを含有することが特に好ましい。 つまり、本発明のブレージングシート(1)では、該芯材と該芯材側ろう材との両方が上記範囲のSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させる効果が高くなる。
該芯材側ろう材は、Mnを含有することにより、ろう付け前のろう材の凝固組織中のSiを微細化させてろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該芯材側ろう材中のMnは、ろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させるために添加される元素である。 また、該芯材側ろう材中のMn含有量が多過ぎると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、該芯材側ろう材が、0.05〜1.4質量%のMnを含有することが、上記Mn添加効果が得られる点で好ましい。
また、Fe含有量が0.1質量%以下のアルミニウム地金は高価なため、通常、芯材、芯材側ろう材及び犠牲陽極材には、Fe含有量が0.4質量%以下の地金が使われる。 そして、芯材、芯材側ろう材又は犠牲陽極材が、0.4質量%以下のFeを含有することにより、若干強度が向上する。 一方、芯材、芯材側ろう材又は犠牲陽極材のFe含有量が0.4質量%を超えると、自己耐食性が低くなる。 従って、通常、Fe含有量が0.1〜0.4質量%の地金が使用される。
また、該芯材、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材は、上記添加元素の他に以下の添加元素を含有することができる。
該芯材は、ブレージングシートの強度を向上させるために、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のMg、0.3質量%以下のV、0.3質量%以下のMo、又は0.3質量%以下のNiを含有することができる。 また、該芯材は、ブレージングシートの熱伝導度をほとんど下げることなく電位を卑にし、犠牲陽極効果を確保するために、3.0質量%以下のZn、0.3質量%以下のIn、0.3質量%以下のSn、又は0.3質量%以下のGaを含有することができる。 また、該芯材は、ろう付け後の結晶粒径を粗大化させるために、0.3質量%以下のCrを含有することができる。 また、該芯材は、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、0.1質量%以下のCa、又は0.1質量%以下のNaを含有することができる。 また、該芯材は、酸化防止のために、0.4質量%以下のBを含有することができる。
該芯材側ろう材は、0.3質量%以下のCr、0.3質量%以下のCu、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、又は0.1質量%以下のCaを含有することができる。 また、該芯材側ろう材は、鋳造組織の微細化のために、0.3質量%以下のTi、又は0.1質量%以下のBを含有することができる。 また、該芯材側ろう材は、犠牲陽極効果を確保するために、3.0質量%以下のZn、0.1質量%以下のIn、0.1質量%以下のSn、又は0.1質量%以下のGaを含有することができる。 また、該芯材側ろう材は、表面酸化皮膜の成長を抑制するために、0.1質量%以下のBeを含有することができる。 また、該芯材側ろう材は、ろう材の流動性を向上させるために、0.1質量%以下のBiを含有することができる。
該犠牲陽極材は、ブレージングシートの熱伝導度をほとんど低下させることなく電位を卑にし、犠牲陽極効果を確保するために、0.3質量%以下のIn、0.3質量%以下のSn、又は0.3質量%以下のGaを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、強度向上のために、1.0質量%以下のCu、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のMg、0.3質量%以下のV、0.3質量%以下のMo、又は0.3質量%以下のNiを含有することができる。 また、該犠牲陽極層は、ろう付け後の結晶粒径を粗大化させるために、0.3質量%以下のZr、又は0.3質量%以下のCrを含有することができる。 また、該犠牲陽極層は、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、0.1質量%以下のCa、又は0.1質量%以下のNaを含有することができる。 また、該犠牲陽極層は、鋳造組織の微細化のために、0.3質量%以下のTiを含有することができる。 また、該犠牲陽極層は、酸化防止のために、0.1質量%以下のBを含有することができる。 また、該犠牲陽極層は、該犠牲陽極層に流動して接合する部分のろう材の凝固組織中のSiを微細化させるために、0.6質量%以下のSrを含有することができる。
そして、該芯材、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材は、いずれも、上記添加元素、不可避的不純物及びアルミニウムからなるアルミニウム合金である。
本発明のブレージングシート(1)は、該芯材の一方の面に該芯材側ろう材をクラッドし、且つ、該芯材の他方の面に該犠牲陽極材をクラッドすることにより得られる。 該芯材に該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材をクラッドする方法としては、該芯材、該芯材側ろう材又は該犠牲陽極材中の各元素の組成と同じ組成を有する芯材用の合金鋳塊、芯材側ろう材用の合金鋳塊及び犠牲陽極材用の合金鋳塊を鋳造し、次いで、該芯材用の合金鋳塊については常法に従って均質化処理を行い、該芯材側ろう材用の合金鋳塊及び該犠牲陽極材用の合金鋳塊については熱間圧延を行い、次いで、均質化処理後の該芯材用の合金鋳塊と該芯材側ろう材用の合金鋳塊の熱間圧延物及び該犠牲陽極材用の合金鋳塊の熱間圧延物を合わせて、熱間圧延→焼鈍→冷間圧延を順に行い、又は熱間圧延→冷間圧延→焼鈍を順に行い、次いで、仕上げ冷間圧延をする方法が挙げられる。
本発明のブレージングシート(1)の板厚は、特に制限されないが、通常0.2〜0.3mmである。
本発明の第二の形態の熱交換器のチューブ材用ブレージングシート(以下、本発明のブレージングシート(2)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(1)の該芯材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスからなるフラックスプレコート層が形成されている。
すなわち、本発明のブレージングシート(2)は、芯材の一方の面に芯材側ろう材がクラッドされ、且つ、該芯材の他方の面に犠牲陽極材がクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材の表面には、フッ化物フラックからなるフラックスプレコート層が形成されている、
熱交換器のチューブ材用ブレージングシートである。
つまり、本発明のブレージングシート(2)は、本発明のブレージングシート(1)が、更に、該フラックスプレコート層を有するブレージングシートである。 よって、本発明のブレージングシート(2)では、該フラックスプレコート層が形成されているブレージングシートは、本発明のブレージングシート(1)と同様である。
本発明のブレージングシート(2)に係る該フラックスプレコート層は、該フッ化物フラックスにより形成されている。 該フッ化物フラックスは、フッ化物のフラックスであり、アルミニウム合金製熱交換器の製造において、チューブ材とフィン材とを、フラックスを用いてろう付けするために通常用いられるフラックスであれば、特に制限されず、例えば、KAlF 4 、K 3 AlF 6 、K 2 AlF 5 、K 2 AlF 5・H 2 O、KZnF 3 、K 2 SiF 6が挙げられる。 これらは、1種単独であっても2種以上の混合であってもよい。
該フラックスプレコート層を、該芯材側ろう材の表面に形成させる方法としては、例えば、該フッ化物フラックスをアクリル樹脂などのバインダーと混合し、溶媒に溶解又は分散させ、ロールコート法やスプレー法あるいは浸漬法により、本発明のブレージングシート(1)の該芯材側ろう材の表面に、塗布して、乾燥することより、該芯材側ろう材の表面に該フラックスプレコート層を形成させる方法が挙げられる。
本発明のブレージングシート(2)では、該芯材中のSr含有量Cs(質量%)、該芯材側ろう材中のSrの含有量Rx(質量%)及び該芯材側ろう材の厚さDx(μm)と、該フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )とが、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、好ましくは、下記式(1a):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.002×Fx+0.005 (1a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(1b):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.005×Fx+0.005 (1b)
を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化できる。
なお、上記式(1)、(1a)及び(1b)中、Fxは、該フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、該芯材側ろう材の表面で層形成している該フッ化物フラックス自体の総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布されている面積(m 2 )で除した値である。 本発明のブレージングシート(2)では、上記式(1)、(1a)又は(1b)を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができるので、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
本発明のブレージングシート(1)及び(2)は、チューブ材の形状に加工されて、熱交換器のチューブ材として用いられる。 例えば、本発明のブレージングシート(1)又は(2)が、偏平管状に加工され、ろう材によりろう付け接合されて冷媒の流路が形成されることにより、ろう付けチューブが製造される。
熱交換器を、チューブ材及びフィン材を組み付けて、ろう付けして製造する場合、チューブ材側にフラックスが塗布される場合もある。 本発明の第一の形態の熱交換器の製造方法(以下、本発明の熱交換器の製造方法(1)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(1)からなるチューブ材(1)の芯材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材(1)及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材(1)及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有し、
ろう付け前の該チューブ材(1)の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材(1)の芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、ろう付け前の該チューブ材(1)の芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たす、
熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法(1)は、該ろう付け工程(1)を有する。 該ろう付け工程(1)は、本発明のブレージングシート(1)を、所定の熱交換器のチューブ材の形状に加工して得られた該チューブ材(1)に、該フッ化物フラックスを塗布し、次いで、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(1)及び該フィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材(1)及び該フィン材をろう付けする工程である。
本発明の熱交換器(1)の製造方法に係る該ろう付け工程(1)では、ろう付け前の該チューブ材(1)の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材(1)の芯材側ろう材中のSrの含有量Rx(質量%)及びろう付け前の該チューブ材(1)の芯材側ろう材の厚さDx(μm)と、該チューブ材(1)の該芯材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )とが、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、好ましくは、下記式(1a):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.002×Fx+0.005 (1a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(1b):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.005×Fx+0.005 (1b)
を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化できるので、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
なお、上記式(1)、(1a)及び(1b)中、Fxは、該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、ろう付け前の該チューブ材(1)の該芯材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布される面積(m 2 )で除した値である。 また、該フッ化物フラックスは溶媒に溶解又は分散されているが、上記(1)、(1a)及び(1b)において、該フッ化物フラックスの塗布量は、塗布後の塗膜中の該溶媒に溶解又は分散されている該フッ化物フラックス自体の質量を指す。
本発明の熱交換器(1)の製造方法に係る該チューブ材(1)は、本発明のブレージングシート(1)であり、本発明のブレージングシート(1)が、熱交換器中のチューブ材の形状に加工されたものである。
該ろう付け工程(1)では、先ず、該チューブ材(1)の芯材側ろう材の表面に該フッ化物フラックスを塗布する。
該ろう付け工程(1)に係る該フッ化物フラックスは、本発明のブレージングシート(2)に係る該フッ化物フラックスと同様である。
該ろう付け工程(1)では、次いで、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(1)及び該フィン材を組み付ける。
本発明の熱交換器(1)の製造方法に係る該フィン材は、通常、アルミニウム合金製熱交換器の製造に用いられるものであれば、特に制限されず、また、ろう材がクラッドされたフィン材であっても、ろう材がクラッドされていないフィン材であってもよい。
そして、該ろう付け工程(1)では、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(1)及び該フィン材を組み付けた後、更に、その他熱交換器に必要な部材、例えば、ヘッダ等を組み合わせ、次いで、加熱する。
該ろう付け工程(1)でろう付けする際のろう付け条件としては、ろう付け温度は、590〜610℃、好ましくは595〜600℃、ろう付け時間は、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、ろう付け雰囲気は、窒素で空気を置換することによって酸素濃度が100ppm以下、露点−40℃以下となった雰囲気が好ましい。
そして、該ろう付け工程(1)を行うことにより、該チューブ材(1)及び該フィン材を、ろう付けし、これらの接合体を得る。
本発明の第二の形態の熱交換器の製造方法(以下、本発明の熱交換器の製造方法(2)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(2)からなるチューブ材(2)及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材(2)及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有する熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法(2)に係る該チューブ材(2)は、本発明のブレージングシート(2)であり、本発明のブレージングシート(2)が、熱交換器中のチューブ材の形状に加工されたものである。
該ろう付け工程(2)では、該チューブ材(2)及び該フィン材を組み付ける。
本発明の熱交換器(2)に係る該フィン材は、本発明の熱交換器(1)に係る該フィン材と同様である。
そして、該ろう付け工程(2)では、該チューブ材(2)及び該フィン材を組み付けた後、更に、その他熱交換器に必要な部材、例えば、ヘッダ等を組み合わせ、次いで、加熱する。
該ろう付け工程(2)でろう付けする際のろう付け条件としては、ろう付け温度は、590〜610℃、好ましくは595〜600℃、ろう付け時間は、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、ろう付け雰囲気は、窒素で空気を置換することによって酸素濃度が100ppm以下、露点−40℃以下となった雰囲気が好ましい。
そして、該ろう付け工程(2)を行うことにより、該チューブ材(2)と該フィン材とを、ろう付けし、これらの接合体を得る。
本発明の熱交換器の製造方法(2)では、該チューブ材(2)の該芯材側ろう材の表面に、前記式(1)、(1a)又は(1b)を満たす該フッ化物フラックスの該フラックスプレコート層が形成されているので、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化できる、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
本発明の第三の形態の熱交換器のチューブ材用ブレージングシート(以下、本発明のブレージングシート(3)とも記載する。)は、芯材に、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽極材側ろう材が、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順にクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該犠牲陽極材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下である、
熱交換器のチューブ材用ブレージングシートである。
本発明のブレージングシート(3)は、芯材に、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽極材側ろう材が、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順にクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであるので、順に、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材を有する4層材である。
本発明のブレージングシート(3)に係る該芯材は、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金である。
該芯材中のMnの含有量は、好ましくは1.0〜1.7質量%である。 該芯材中のMnは、強度を確保するために添加される元素であり、耐高温座屈性を向上させる元素として機能する。 該芯材中のMnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Mn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性が害され、板材の製造が困難となる。
該芯材中のSiの含有量は、好ましくは0.8〜1.0質量%である。 該芯材中のSiは、強度を向上させる元素として機能する。 該芯材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、耐食性を低くするとともに、芯材の融点を下げ、ろう付け時に局部溶融が生じ易くなる。
該芯材中のCuの含有量は、好ましくは0.3〜0.7質量%である。 該芯材中のCuは、強度を向上させる元素として機能する。 該芯材中のCuの含有量が、上記範囲未満だと、上記Cu元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、ろう付け時に犠牲陽極材層に拡散して犠牲陽極材層の電位を上昇させ、耐食性が低下するとともに、SiとともにAl−Si−Cu系の3元系組成物を形成して、芯材の融点が低下する。
該芯材中のZrの含有量は、好ましくは0.1〜0.2質量%である。 該芯材中のZrは、芯材の結晶粒度を粗大化し、溶融ろうの浸透を抑制する元素として機能する。 該芯材中のZrの含有量が、上記範囲未満だと、上記Zr元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えて添加しても、効果が飽和してしまうため、上記範囲を超えて添加する必要がない。
該芯材中のTiの含有量は、好ましくは0.1〜0.2質量%である。 該芯材中のTiは、芯材に添加されると、芯材の板圧方向に濃度の高い領域と低い領域に分かれ、それらの領域が交互に分布する層状となるように存在し、Ti濃度の低い領域は高い領域に比べ優先的に腐食するので、芯材中のTiは、腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて材料の耐孔食性を向上させる元素として機能する。 該芯材中のTiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Ti元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造が困難となり、加工性が悪くなり健全な材料の製造が困難となる。
本発明のブレージングシート(3)に係る該芯材側ろう材は、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金である。 該芯材側ろう材中のSiの含有量は、好ましくは7〜12質量%である。 該芯材ろう材中のSiは、ろう材の融点を下げるために添加される元素であり、溶融ろうの流動性を高める元素として機能する。 該芯材側ろう材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、融点が急激に高くなり、ブレージングシートの製造時の加工性が低下する。
本発明のブレージングシート(3)では、該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方が、Srを含有する。 つまり、該芯材のみがSrを含有する場合、該芯材側ろう材のみがSrを含有する場合、該芯材及び該芯材側ろう材の両方がSrを含有する場合がある。 そして、該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり且つ該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下である。 芯材中のSrは、ろうの溶融時に芯材からろう材中に拡散し、そして、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、芯材中のSrは、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該芯材がSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化することができるため、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 また、該芯材側ろう材中のSrは、鋳造凝固時にろう材中のSiの凝固粒子を微細化、すなわち、ろう付け前のろう材のSi粒子を微細化させ、且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該芯材側ろう材中のSrは、ろう付け前のろう材中のSiの凝固粒子を微細化し且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該芯材側ろう材がSrを含有することにより、圧延後の製造性を向上させ、且つ熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 一方、該芯材中のSrの含有量、あるいは、該芯材側ろう材中のSr含有量が、0.6質量%を超えると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、本発明のブレージングシート(3)では、該芯材のみがSrを含有する場合、該芯材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該芯材側ろう材のみがSrを含有する場合、該ろう材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該芯材及び該芯材側ろう材の両方がSrを含有する場合、該芯材中のSrの含有量が0.6質量%以下であり且つ該芯材側ろう材中のSrの含有量が0.6質量%以下である。
更に、本発明のブレージングシート(3)では、上記Srの添加効果が得易い点で、該芯材が0.005〜0.6質量%のSrを含有し且つ該芯材側ろう材が0.005〜0.6質量%のSrを含有することが好ましく、該芯材が0.005〜0.4質量%のSrを含有し且つ該芯材側ろう材が0.005〜0.4質量%のSrを含有することが特に好ましい。 つまり、本発明のブレージングシート(3)では、該芯材と該芯材側ろう材との両方が上記範囲のSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させる効果が高くなる。
該芯材側ろう材は、Mnを含有することにより、ろう付け前のろう材の凝固組織中のSiを微細化させてろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該芯材側ろう材中のMnは、ろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させるために添加される元素である。 また、該ろう材中のMn含有量が多過ぎると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、該ろう材が、0.05〜1.4質量%のMnを含有することが、上記Mn添加効果が得られる点で好ましい。
本発明のブレージングシート(3)に係る該犠牲陽極材は、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金である。
該犠牲陽極材中のZnの含有量は、好ましくは2〜5質量%である。 該犠牲陽極材中のZnは、犠牲陽極効果を高める元素として機能する。 該犠牲陽極材中のZnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Zn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、犠牲陽極材の消耗速度が速くなり、寿命が短くなる。
該犠牲陽極材中のMnの含有量は、好ましくは1.0〜1.7質量%である。 該芯材中のMnは、強度を確保するために添加される元素であり、耐高温座屈性を向上させる元素として機能する。 該犠牲陽極材中のMnの含有量が、上記範囲未満だと、上記Mn元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性が害され、板材の製造が困難となる。
該犠牲陽極材中のSiの含有量は、好ましくは0.3〜1.0質量%である。 該犠牲陽極材中のSiは、犠牲陽極材層の強度を向上させる元素として機能する。 該犠牲陽極材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加による強度向上効果が小さく、また、上記範囲を超えると、耐食性を低くするとともに、犠牲陽極材の融点を下げ、ろう付け時に局部溶融が生じ易くなる。
本発明のブレージングシート(3)に係る該犠牲陽極材側ろう材は、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金である。 該犠牲陽極材側ろう材中のSiの含有量は、好ましくは7〜12質量%である。 該犠牲陽極材側ろう材中のSiは、ろう材の融点を下げるために添加される元素であり、溶融ろうの流動性を高める元素として機能する。 該犠牲陽極材側ろう材中のSiの含有量が、上記範囲未満だと、上記Si元素の添加効果が小さく、また、上記範囲を超えると、融点が急激に高くなり、ブレージングシートの製造時の加工性が低下する。
本発明のブレージングシート(3)では、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材のいずれか一方又は両方が、Srを含有する。 つまり、該犠牲陽極材のみがSrを含有する場合、該犠牲陽極材側ろう材のみがSrを含有する場合、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材の両方がSrを含有する場合がある。 そして、該犠牲陽極材中のSr含有量が0.6質量%以下であり且つ該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下である。 犠牲陽極材中のSrは、ろうの溶融時に犠牲陽極材からろう材中に拡散し、そして、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、犠牲陽極材中のSrは、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該犠牲陽極材がSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化することができるため、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 また、該犠牲陽極材側ろう材中のSrは、鋳造凝固時にろう材中のSiの凝固粒子を微細化、すなわち、ろう付け前のろう材のSi粒子を微細化させ、且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該犠牲陽極材側ろう材中のSrは、ろう付け前のろう材中のSiの凝固粒子を微細化し且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化するために添加される元素であり、該犠牲陽極材側ろう材がSrを含有することにより、圧延後の製造性を向上させ、且つ熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。 一方、該犠牲陽極材中のSrの含有量、あるいは、該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が、0.6質量%を超えると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、本発明のブレージングシート(3)では、該犠牲陽極材のみがSrを含有する場合、該犠牲陽極材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該犠牲陽極材側ろう材のみがSrを含有する場合、該犠牲陽極側ろう材中のSrの含有量は0.6質量%以下であり、また、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材の両方がSrを含有する場合、該犠牲陽極材中のSrの含有量が0.6質量%以下であり且つ該犠牲陽極材側ろう材中のSrの含有量が0.6質量%以下である。
更に、本発明のブレージングシート(3)では、上記Srの添加効果が得易い点で、該犠牲陽極材が0.005〜0.6質量%のSrを含有し且つ該犠牲陽極材側ろう材が0.005〜0.6質量%のSrを含有することが好ましく、該犠牲陽極材が0.005〜0.4質量%のSrを含有し且つ該犠牲陽極材側ろう材が0.005〜0.4質量%のSrを含有することが特に好ましい。 つまり、本発明のブレージングシート(3)では、該犠牲陽極材と該犠牲陽極材側ろう材との両方が上記範囲のSrを含有することにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させる効果が高くなる。
該犠牲陽極材側ろう材は、Mnを含有することにより、ろう付け前のろう材の凝固組織中のSiを微細化させてろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができる。 つまり、該犠牲陽極材側ろう材中のMnは、ろうの流動性を向上させ且つろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させるために添加される元素である。 また、該犠牲陽極材側ろう材中のMn含有量が多過ぎると、鋳造時に巨大な晶出物が生成し圧延割れを生じる。 そのため、該犠牲陽極材側ろう材が、0.05〜1.4質量%のMnを含有することが、上記Mn添加効果が得られる点で好ましい。
また、Fe含有量が0.1質量%以下のアルミニウム地金は高価なため、通常、芯材、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽陽極材側ろう材には、Fe含有量が0.4質量%以下の地金が使用される。 そして、芯材、芯材側ろう材、犠牲陽極材又は犠牲陽極材側ろう材が、0.4質量%以下のFeを含有することにより、若干強度が向上する。 一方、芯材、芯材側ろう材、犠牲陽極材又は犠牲陽極材側ろう材のFe含有量が0.4質量%を超えると、自己耐食性が低くなる。 従って、通常、Fe含有量が0.1〜0.4質量%の地金が使用される。
また、該芯材、該芯材側ろう材、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材は、上記添加元素の他に以下の添加元素を含有することができる。
該芯材は、ブレージングシートの強度を向上させるために、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のMg、0.3質量%以下のV、0.3質量%以下のMo、又は0.3質量%以下のNiを含有することができる。 また、該芯材は、ブレージングシートの熱伝導度をほとんど下げることなく電位を卑にし、犠牲陽極効果を確保するために、3.0質量%以下のZn、0.3質量%以下のIn、0.3質量%以下のSn、又は0.3質量%以下のGaを含有することができる。 また、該芯材は、ろう付け後の結晶粒径を粗大化させるために、0.3質量%以下のCrを含有することができる。 また、該芯材は、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、0.1質量%以下のCa、又は0.1質量%以下のNaを含有することができる。 また、該芯材は、酸化防止のために、0.4質量%以下のBを含有することができる。
該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材側ろう材は、0.3質量%以下のCr、0.3質量%以下のCu、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、又は0.1質量%以下のCaを含有することができる。 また、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材側ろう材は、鋳造組織の微細化のために、0.3質量%以下のTi、又は0.1質量%以下のBを含有することができる。 また、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材側ろう材は、犠牲陽極効果を確保するために、3.0質量%以下のZn、0.1質量%以下のIn、0.1質量%以下のSn、又は0.1質量%以下のGaを含有することができる。 また、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材側ろう材は、表面酸化皮膜の成長を抑制するために、0.1質量%以下のBeを含有することができる。 また、該芯材側ろう材及び該犠牲陽極材側ろう材は、ろう材の流動性を向上させるために、0.1質量%以下のBiを含有することができる。
該犠牲陽極材は、ブレージングシートの熱伝導度をほとんど低下させることなく電位を卑にし、犠牲陽極効果を確保するために、0.3質量%以下のIn、0.3質量%以下のSn、又は0.3質量%以下のGaを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、強度向上のために、1.0質量%以下のCu、1.0質量%以下のFe、1.0質量%以下のMg、0.3質量%以下のV、0.3質量%以下のMo、又は0.3質量%以下のNiを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、ろう付け後の結晶粒径を粗大化させるために、0.3質量%以下のZr、又は0.3質量%以下のCrを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、0.1質量%以下のPb、0.1質量%以下のLi、0.1質量%以下のCa、又は0.1質量%以下のNaを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、鋳造組織の微細化のために、0.3質量%以下のTiを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、酸化防止のために、0.1質量%以下のBを含有することができる。 また、該犠牲陽極材は、該犠牲陽極材に流動して接合する部分のろう材の凝固組織中のSiを微細化させるために、0.6質量%以下のSrを含有することができる。
そして、該芯材、該芯材側ろう材、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材は、いずれも、上記添加元素、不可避的不純物及びアルミニウムからなるアルミニウム合金である。
本発明のブレージングシート(3)は、該芯材に、該芯材側ろう材、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材を、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順となるようにクラッドすることにより得られる。 該芯材に、該該芯材側ろう材、該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材をクラッドする方法としては、該芯材、該芯材側ろう材、該犠牲陽極材又は該犠牲陽極材側ろう材中の各元素の組成と同じ組成を有する芯材用の合金鋳塊、芯材側ろう材用の合金鋳塊、犠牲陽極材用の合金鋳塊及び犠牲陽極材側ろう材用の合金鋳塊を鋳造し、次いで、該芯材用の合金鋳塊については常法に従って均質化処理を行い、該芯材側ろう材用の合金鋳塊、該犠牲陽極材用の合金鋳塊及び該犠牲陽極材側ろう材用の合金鋳塊については熱間圧延を行い、次いで、均質化処理後の該芯材用の合金鋳塊と該芯材側ろう材用の合金鋳塊の熱間圧延物、該犠牲陽極材の合金鋳塊の熱間圧延物及び該犠牲陽極材側ろう材用の合金鋳塊の熱間圧延物を合わせて、熱間圧延→焼鈍→冷間圧延を順に行い、又は熱間圧延→冷間圧延→焼鈍を順に行い、次いで、仕上げ冷間圧延をする方法が挙げられる。
本発明のブレージングシート(3)の板厚は、特に制限されないが、通常0.2〜0.3mmである。
本発明の第四の形態の熱交換器のチューブ材用ブレージングシート(以下、本発明のブレージングシート(4)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(3)の該芯材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスからなる第一フラックスプレコート層が形成されており、且つ、該犠牲陽極材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスからなる第二フラックスプレコート層が形成されていている。
すなわち、本発明のブレージングシート(3)は、芯材に、芯材側ろう材、犠牲陽極材及び犠牲陽極材側ろう材が、該芯材側ろう材、該芯材、該犠牲陽極材、該犠牲陽極材側ろう材の順にクラッドされた熱交換器のチューブ材用ブレージングシートであって、
該芯材が、Mnを0.6〜2.0質量%含有し、Siを0.6〜1.3質量%含有し、Cuを0.2〜1.0質量%含有し、Zrを0.05〜0.3質量%含有し、Tiを0.05〜0.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該芯材及び該芯材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該芯材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該芯材側ろう材の表面には、フッ化物フラックからなる第一フラックスプレコート層が形成されおり、
該犠牲陽極材が、Znを1.0〜6.0質量%含有し、Mnを0.5〜2.0質量%含有し、Siを0.2〜1.3質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材側ろう材が、Siを6〜15質量%含有するアルミニウム合金であり、
該犠牲陽極材及び該犠牲陽極材側ろう材のいずれか一方又は両方がSrを含有し、
該犠牲陽極材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材中のSr含有量が0.6質量%以下であり、
該犠牲陽極材側ろう材の表面には、フッ化物フラックスからなる第二フラックスプレコート層が形成されている、
熱交換器のチューブ材用ブレージングシートである。
つまり、本発明のブレージングシート(4)は、本発明のブレージングシート(3)が、更に、該第一フラックスプレコート層及び該第二フラックスプレコート層を有するブレージングシートである。 よって、本発明のブレージングシート(4)では、該フラックスプレコート層が形成されているブレージングシートは、本発明のブレージングシート(3)と同様である。
本発明のブレージングシート(4)に係る該第一フラックスプレコート層及び該第二フラックスプレコート層は、該フッ化物フラックスにより形成されている。 該フッ化物フラックスは、フッ化物のフラックスであり、アルミニウム合金製熱交換器の製造において、チューブ材とフィン材とを、フラックスを用いてろう付けするために通常用いられるフラックスであれば、特に制限されず、例えば、KAlF 4 、K 3 AlF 6 、K 2 AlF 5 、K 2 AlF 5・H 2 O、KZnF 3 、K 2 SiF 6が挙げられる。 これらは、1種単独であっても2種以上の混合であってもよい。
該第一フラックスプレコート層を、該芯材側ろう材の表面に形成させる方法としては、例えば、該フッ化物フラックスをアクリル樹脂などのバインダーと混合し、溶媒に溶解又は分散させ、ロールコート法やスプレー法あるいは浸漬法により、本発明のブレージングシート(3)の該芯材側ろう材の表面に、塗布して、乾燥することより、該芯材側ろう材の表面に該第一フラックスプレコート層を形成させる方法が挙げられる。 該第二フラックスプレコート層を、該犠牲陽極材側ろう材の表面に形成させる方法も同様である。
本発明のブレージングシート(4)では、該芯材中のSr含有量Cs(質量%)、該芯材側ろう材中のSrの含有量Rx(質量%)及び該芯材側ろう材の厚さDx(μm)と、該第一フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )とが、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、好ましくは、下記式(1a):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.002×Fx+0.005 (1a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(1b):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.005×Fx+0.005 (1b)
を満たし、
且つ、該犠牲陽極材中のSr含有量Gs(質量%)、該犠牲陽極材側ろう材中のSrの含有量Ry(質量%)及び該犠牲陽極材側ろう材の厚さDy(μm)と、該第二フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量Fy(g/m 2 )とが、下記式(2):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.001×Fy+0.005 (2)
を満たし、好ましくは、下記式(2a):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.002×Fy+0.005 (2a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(2b):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.005×Fy+0.005 (2b)
を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化できる。
なお、上記式(1)、(1a)及び(1b)中、Fxは、該第一フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、該芯材側ろう材の表面で層形成している該フッ化物フラックス自体の総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布されている面積(m 2 )で除した値である。 また、上記式(2)、(2a)及び(2b)中、Fyは、該第二フラックスプレコート層を形成している該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、該犠牲陽極材側ろう材の表面で層形成している該フッ化物フラックス自体の総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布されている面積(m 2 )で除した値である。 本発明のブレージングシート(4)では、上記式(1)、(1a)又は(1b)を満たし、且つ、上記式(2)、(2a)又は(2b)を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化させることができるので、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
本発明のブレージングシート(3)及び(4)は、チューブ材の形状に加工されて、熱交換器のチューブ材として用いられる。 例えば、本発明のブレージングシート(3)又は(4)は、ろう付けのための端部を残して、半楕円管状に成形される。 そして、加工されたブレージングシート2枚を用い、該端部の該芯材側ろう材を対向させて合わせ、ろう付けして、ろう付けチューブを製造する。
本発明の第三の形態の熱交換器の製造方法(以下、本発明の熱交換器の製造方法(3)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(3)からなるチューブ材(3)の芯材側ろう材の表面及び犠牲陽極材側ろう材の表面に、フッ化物フラックスを塗布し、該チューブ材(3)及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有し、
ろう付け前の該チューブ材の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材中のSr含有量Rx(質量%)、ろう付け前の該チューブ材の芯材側ろう材の厚さDx(μm)、及び該チューブ材の芯材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )が、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、
且つ、該犠牲陽極材中のSr含有量Gs(質量%)、該犠牲陽極材側ろう材中のSrの含有量Ry(質量%)及び該犠牲陽極材側ろう材の厚さDy(μm)と、該チューブ材の該犠牲陽極材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの塗布量Fy(g/m 2 )とが、下記式(2):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.001×Fy+0.005 (2)
を満たし、好ましくは、下記式(2a):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.002×Fy+0.005 (2a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(2b):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.005×Fy+0.005 (2b)
を満たす熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法(3)は、該ろう付け工程(3)を有する。 該ろう付け工程(3)は、本発明のブレージングシート(3)を、所定の熱交換器のチューブ材の形状に加工して得られた該チューブ材(3)に、該フッ化物フラックスを塗布し、次いで、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(3)及び該フィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材(3)及び該フィン材をろう付けする工程である。
本発明の熱交換器の製造方法(3)に係る該ろう付け工程(3)では、ろう付け前の該チューブ材(3)の芯材中のSr含有量Cs(質量%)、ろう付け前の該チューブ材(3)の芯材側ろう材中のSrの含有量Rx(質量%)及びろう付け前の該チューブ材(3)の芯材側ろう材の厚さDx(μm)と、ろう付け前の該チューブ材(3)の該芯材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの塗布量Fx(g/m 2 )とが、下記式(1):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.001×Fx+0.005 (1)
を満たし、好ましくは、下記式(1a):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.002×Fx+0.005 (1a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(1b):
Cs+0.025×Rx×Dx≧0.005×Fx+0.005 (1b)
を満たし、
且つ、該犠牲陽極材中のSr含有量Gs(質量%)、該犠牲陽極材側ろう材中のSrの含有量Ry(質量%)及び該犠牲陽極材側ろう材の厚さDy(μm)と、ろう付け前の該チューブ材の犠牲陽極材側ろう材の表面に塗布される該該フッ化物フラックスの塗布量Fy(g/m 2 )とが、下記式(2):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.001×Fy+0.005 (2)
を満たし、好ましくは、下記式(2a):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.002×Fy+0.005 (2a)
を満たし、特に好ましくは、下記式(2b):
Gs+0.025×Ry×Dy≧0.005×Fy+0.005 (2b)
を満たすことにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化できるので、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
なお、上記式(1)、(1a)及び(1b)中、Fxは、該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、ろう付け前の該チューブ材(1)の該芯材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布される面積(m 2 )で除した値である。 また、上記式(2)、(2a)及び(2b)中、Fyは、該フッ化物フラックスの塗布量(g/m 2 )を示し、ろう付け前の該チューブ材の犠牲陽極材側ろう材の表面に塗布される該フッ化物フラックスの総質量(g)を、該フッ化物フラックスが塗布される面積(m 2 )で除した値である。 また、該フッ化物フラックスは溶媒に溶解又は分散されているが、上記(1)、(1a)及び(1b)並びに上記(2)、(2a)及び(2b)において、該フッ化物フラックスの塗布量は、塗布後の塗膜中の該溶媒に溶解又は分散されている該フッ化物フラックス自体の質量を指す。
本発明の熱交換器の製造方法(3)に係る該チューブ材(3)は、本発明のブレージングシート(3)であり、本発明のブレージングシート(3)が、熱交換器中のチューブ材の形状に加工されたものである。
該ろう付け工程(3)では、先ず、該チューブ材(3)の芯材側ろう材の表面に該フッ化物フラックスを塗布する。
該ろう付け工程(3)に係る該フッ化物フラックスは、本発明のブレージングシート(3)に係る該フッ化物フラックスと同様である。
該ろう付け工程(3)では、次いで、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(3)及び該フィン材を組み付ける。
本発明の熱交換器の製造方法(3)に係る該フィン材は、通常、アルミニウム合金製熱交換器の製造に用いられるものであれば、特に制限されず、また、ろう材がクラッドされたフィン材であっても、ろう材がクラッドされていないフィン材であってもよい。
そして、該ろう付け工程(3)では、該フッ化物フラックスが塗布された該チューブ材(3)及び該フィン材を組み付けた後、更に、その他熱交換器に必要な部材、例えば、ヘッダ等を組み合わせ、次いで、加熱する。
該ろう付け工程(3)でろう付けする際のろう付け条件としては、ろう付け温度は、590〜610℃、好ましくは595〜600℃、ろう付け時間は、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、ろう付け雰囲気は、窒素で空気を置換することによって酸素濃度が100ppm以下、露点−40℃以下となった雰囲気が好ましい。
そして、該ろう付け工程(3)を行うことにより、該チューブ材(3)及び該フィン材を、ろう付けし、これらの接合体を得る。
本発明の第四の形態の熱交換器の製造方法(以下、本発明の熱交換器の製造方法(4)とも記載する。)は、本発明のブレージングシート(4)からなるチューブ材(4)及びフィン材を組み付け、加熱し、該チューブ材(4)及び該フィン材をろう付けするろう付け工程を有する熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法(4)に係る該チューブ材(4)は、本発明のブレージングシート(4)であり、本発明のブレージングシート(4)が、熱交換器中のチューブ材の形状に加工されたものである。
該ろう付け工程(4)では、該チューブ材(4)及び該フィン材を組み付ける。
本発明の熱交換器の製造方法(4)に係る該フィン材は、本発明の熱交換器(3)に係る該フィン材と同様である。
そして、該ろう付け工程(4)では、該チューブ材(4)及び該フィン材を組み付けた後、更に、その他熱交換器に必要な部材、例えば、ヘッダ等を組み合わせ、次いで、加熱する。
該ろう付け工程(4)でろう付けする際のろう付け条件としては、ろう付け温度は、590〜610℃、好ましくは595〜600℃、ろう付け時間は、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、ろう付け雰囲気は、窒素で空気を置換することによって酸素濃度が100ppm以下、露点−40℃以下となった雰囲気が好ましい。
そして、該ろう付け工程(4)を行うことにより、該チューブ材(4)と該フィン材とを、ろう付けし、これらの接合体を得る。
本発明の熱交換器の製造方法(4)では、該チューブ材(4)のろう材の表面に、前記式(1)、(1a)又は(1b)を満たし、且つ、前記式(2)、(2a)又は(2b)を満たす該フッ化物フラックスの該フラックスプレコート層が形成されているので、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiを微細化でき、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、(i)芯材又はろう材に添加したSrによるろう付け後のろう材の凝固組織中のSiの微細化効果が、Srとフッ化物フラックスとの反応によって阻害されること、すなわち、Srに対してフッ化物フラックスの塗布量が多過ぎると、SrによるSiの微細化効果が低減することが解った。 加えて、(ii)ろう材中のSrは、ろうが溶融した後は容易にフッ化物フラックスと反応すること、(iii)ろうが溶融する際に、芯材中のSrは表面に向かって拡散し、そして、ろう材に拡散するので、芯材中のSrも、ろう材の凝固組織中のSiの微細化効果に有効であること、(iv)芯材中のSrは、ろう付け時に芯材が溶融しないため、フッ化物フラックスと反応するのは、芯材の表面に拡散したSrに限られること等を見出した。 そして、これらの知見を基に、更に検討を重ね、ろう付け前の該芯材中のSr含有量(Cs)、ろう付け前の該芯材側ろう材中のSr含有量(Rx)、ろう付け前の該芯材側ろう材の厚さ(Dx)及び該フッ化物フラックスの塗布量(Fx)との関係を上記式(1)、(1a)又は(1b)に示す範囲とすることにより、ろう付け後のろう材の凝固組織中のSiの微細化効果が得られ、熱交換器の耐食性を向上させ、強度のばらつきを少なくすることができることを見出した。
また、本発明者らは、該犠牲陽極材と該犠牲陽極材側ろう材と該フッ化物フラックスとの関係が、上記した該芯材と該芯材側ろう材と該フッ化物フラックスとの関係と同様になることも見出した。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。 これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例及び比較例)
(熱交換器用ブレージングシート材の製造)
連続鋳造によって表1〜3に示す組成の芯材用アルミニウム合金鋳塊、芯材側ろう材用アルミニウム合金鋳塊、犠牲陽極用アルミニウム合金鋳塊及び犠牲陽極側ろう材用アルミニウム合金鋳塊を鋳造し、常法に従って均質化処理した。 該芯材側ろう材用アルミニウム合金鋳塊、該犠牲陽極用アルミニウム合金鋳塊及び該犠牲陽極材側ろう材用アルミニウム合金鋳塊については、更に、熱間圧延した。 次いで、該芯材用アルミニウム合金鋳塊、該芯材側ろう材用アルミニウム合金鋳塊、犠牲陽極用アルミニウム合金鋳塊及び該犠牲陽極材側ろう材用アルミニウム合金鋳塊を、表4及び7に示す組み合わせで、重ね合わせた後、熱間クラッド圧延、次いで、冷間圧延を行い、最終焼鈍を経て、厚さ0.20mmのブレージングシート(H14材調質)を製造した。
次いで、表4及び7に示す塗布量のフッ化物フラックス(ノコロックフラックス)を、ブレージングシートのろう材側に塗布した後、窒素ガス雰囲気中で600℃(到達温度)に加熱して、ろう付け加熱を行った。
<ろう付け加熱後のろう材の凝固組織の評価>
ろう付け加熱後のろう材の断面を、光学顕微鏡で観察し、ろう材の凝固組織が、図1〜図3のSiの大きさが異なる3段階の写真のうちのどのレベルに相当するかを判断した。 図1では、ろう材の凝固組織中のSiは微細な粒状である。 図2では、ろう材の凝固組織中のSiは図1に比べ粒径が大きいものの粒状である。 図3では、ろう材の凝固組織中のSiは針状である。 そして、図1のろう材の凝固組織レベルの場合を良(◎)、図2のろう材の凝固組織レベルの場合を可(○)、図3のろう材の凝固組織レベルの場合を不可(×)とした。
<サグ試験(耐高温座屈性)>
軽金属溶接構造協会規格のLWS T8801に準拠して、サグ特性により高温座屈性を評価した。 試験では、幅22mm、長さ60mmで突き出した試験片をろう付け加熱した後の、垂下長さが、20mm以内の場合を耐高温座屈性が良(○)、20mmを超える場合を耐高温座屈性が不良(×)とした。
<ろうの流動性試験>
軽金属溶接構造協会規格のLWS T8801に準拠して、ろうの流動性を評価した。 試験では、垂直板に25mm×60mmのJIS3003を用い、水平版に25mm×60mmの表4及び表7に示すブレージングシートを用いて、逆T字試験片を作成し、ろう付け加熱を行った。 ろう付け前の材料を樹脂に埋め込み、断面ミクロ組織を観察し、ろう付け前のろう材の面積し、また、別の試料でろう付けした後の材料を同様に樹脂に埋め込み、断面ミクロ組織を観察し、ろう付け後のフィレットの面積を測定した。 ろうが流れた割合が、10%以上の場合をろうの流動性が良(○)、10%未満の場合をろうの流動性が不良(×)とした。
<犠牲陽極材面側の耐食性試験>
ASTMのSWAAT試験に準拠して犠牲陽極材面側の耐特性を評価した。 平板の犠牲陽極材のみを評価面として残し、それ以外の部分をマスキングしてSWAAT試験機に挿入した。 SWAAT40日にて、貫通していないものを良(○)とし、貫通しているものを(×)とした。
比較例73及び75では、ろうが少な過ぎて流動しなかった。
比較例74及び76では、ろうが多過ぎてフィンが溶解した。
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