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光学装置および積層フィルム

阅读:196发布:2020-05-08

专利汇可以提供光学装置および積層フィルム专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且モーションキャプチャー等に利用される人物の動き等の検出を行う光学装置において、背景を観察しつつ人物等の検出を行うことができる光学装置、および、この光学装置に用いられる積層フィルムの提供を課題とする。赤外線 光源 と、赤外線センサーと、反射部材とを有し、光源が照射した赤外線を反射部材で反射して、反射した赤外線を赤外線センサーで検出する光学装置であって、反射部材は、赤外線を反射するコレステリック 液晶 相を固定してなり、かつ、螺旋軸の方向が互いに異なる複数の領域を有する装置、および、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する層と、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列した配列とを有する積層フィルムによって、課題を解決する。,下面是光学装置および積層フィルム专利的具体信息内容。

赤外線を照射する光源と、赤外線を検出する赤外線センサーと、赤外線を選択的に反射する反射部材とを有し、前記光源から照射した赤外線を、前記反射部材で反射して、前記反射部材が反射した赤外線を、前記赤外線センサーで検出する光学装置であって、 前記反射部材は、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、前記コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有することを特徴とする光学装置。前記反射部材は、ドット配列およびコレステリック液晶層の少なくとも一方を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列してなるものであり、 前記コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、 走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、請求項1に記載の光学装置。前記ドット配列および前記コレステリック液晶層を有する、請求項2に記載の光学装置。前記反射部材は、前記コレステリック液晶層を有するものであり、 前記コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明部および暗部の波打ち構造におけるピーク間距離の平均が1〜50μmである、請求項2または3に記載の光学装置。前記反射部材のヘイズが10%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学装置。ドット配列およびコレステリック液晶層を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列したものであり、 前記コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、 走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、積層フィルム。

赤外線を照射する光源と、赤外線を検出する赤外線センサーと、赤外線を選択的に反射する反射部材とを有し、前記光源から照射した赤外線を、前記反射部材で反射して、前記反射部材が反射した赤外線を、前記赤外線センサーで検出する光学装置であって、 前記反射部材は、コレステリック液晶層を有し、 前記コレステリック液晶層は、平面状の形成面に形成された、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有することを特徴とする光学装置。前記反射部材は、さらにドット配列を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを、平面状の形成面に二次元的に配列してなるものである、請求項1に記載の光学装置。前記コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明部および暗部の波打ち構造におけるピーク間距離の平均が1〜50μmである、請求項1または2に記載の光学装置。前記反射部材のヘイズが10%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学装置。ドット配列およびコレステリック液晶層を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを、平面状の形成面に二次元的に配列したものであり、 前記コレステリック液晶層は、平面状の形成面に形成された、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、積層フィルム。赤外線を照射する光源と、赤外線を検出する赤外線センサーと、赤外線を選択的に反射する反射部材とを有し、前記光源から照射した赤外線を、前記反射部材で反射して、前記反射部材が反射した赤外線を、前記赤外線センサーで検出する光学装置であって、 前記反射部材は、コレステリック液晶層を有し、 前記コレステリック液晶層は、平面状の形成面に形成されるコレステリック液晶相を固定してなる層であり、走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有することを特徴とする光学装置。前記反射部材は、さらにドット配列を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを、平面状の形成面に二次元的に配列してなるものである、請求項1に記載の光学装置。前記反射部材は、前記コレステリック液晶層を有するものであり、 前記コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明部および暗部の波打ち構造におけるピーク間距離の平均が1〜50μmである、請求項1または2に記載の光学装置。前記反射部材のヘイズが10%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学装置。ドット配列およびコレステリック液晶層を有し、 前記ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを、平面状の形成面に二次元的に配列したものであり、 前記コレステリック液晶層は、平面状の形成面に形成されるコレステリック液晶相を固定してなる層であり、走査型電子顕微鏡で観察される前記コレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、積層フィルム。

说明书全文

本発明は、モーションキャプチャー等に利用される光学装置、および、この光学装置に利用される積層フィルムに関する。

近年、情報処理装置の分野において、赤外線光源および赤外線カメラ等を用いて、人物の手などの形状と動きとを検出して認識し、認識結果等に応じた画像解析および画像処理等を行う、いわゆる形状認識またはモーションキャプチャーの分野が拡大している。

モーションキャプチャーを行う装置は、人物および物品等が存在する場合に、それぞれの距離も認識する、深度(デプス)センサーの役割も担っている。 例えば、特許文献1には、マイクロレンズを通した赤外線を多数の輝点パターンとして対象物に投影し、対象物によって反射された赤外線を検出して、輝点パターンの形状の変化および明るさの変化等から、対象物の深度を検出して、対象物の深度をマッピングする深度マッピング装置が記載されている。

また、特許文献2には、いわゆるタイムオブフライト方式の光学距離センサーの原理として、点滅した赤外線と距離測定対象物による反射光の位相のズレから、距離測定対象物の距離を算出することが記載されている。 具体的には、特許文献2には、赤外線を発光信号に応じた点滅光として距離測定対象物に照射し、距離測定対象物から反射された赤外線を受光して受光信号を生成し、発光信号と受光信号との波形(例えばパルス波形)の時間差すなわち位相差を求め、この位相差に基づいて、光学距離センサーと距離測定対象物との距離を求めることが記載されている。

米国特許公開2010/0118123号公報

特開2010−169405号公報

ところで、このような深度センサーを含むモーションキャプチャー装置では、例えば、人物の指の動き等を検出して、その動きに応じた画像の表示等を行うことが考えられる。 ここで、従来の装置では、人物の動き等を検出する検出装置は、白色等のスクリーンが必要である。そのため、例えば、透明なテーブルおよびガラス等の上で人物の手の動きを検出する等、背景を活かしつつ人物の動きの検出等を行うことは、困難であった。

本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、モーションキャプチャー等に利用される、人物の手の動き等の検出を行う光学装置において、背景を観察しつつ人物の手の動き等の検出を行うことができる光学装置、および、この光学装置に好適に用いられる積層フィルムを提供することにある。

本発明は、以下の構成により、課題を解決する。 [1] 赤外線を照射する光源と、赤外線を検出する赤外線センサーと、赤外線を選択的に反射する反射部材とを有し、光源から照射した赤外線を、反射部材で反射して、反射部材が反射した赤外線を、赤外線センサーで検出する光学装置であって、 反射部材は、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有することを特徴とする光学装置。 [2] 反射部材は、ドット配列およびコレステリック液晶層の少なくとも一方を有し、ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列してなるものであり、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、走査型電子顕微鏡で観察されるコレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、[1]に記載の光学装置。 [3] ドット配列およびコレステリック液晶層を有する、[2]に記載の光学装置。 [4] 反射部材は、コレステリック液晶層を有するものであり、コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明部および暗部の波打ち構造におけるピーク間距離の平均が1〜50μmである、[2]または[3]に記載の光学装置。 [5] 反射部材のヘイズが10%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学装置。 [6] ドット配列およびコレステリック液晶層を有し、 ドット配列は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列したものであり、 コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層であり、 走査型電子顕微鏡で観察されるコレステリック液晶層の断面図における、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する、積層フィルム。

本発明によれば、モーションキャプチャー等に利用される、人物の動き等の検出を行う光学装置において、背景を観察しつつ人物の手などの検出を行うことができる。

図1は、本発明の光学装置の一例を概念的に示す図である。

図2は、図1に示す光学装置の反射部材の一例を概念的に示す図である。

図3は、図2に示す反射部材の作用を説明するための概念図である。

図4は、図2に示す反射部材の作用を説明するための概念図である。

図5は、図2に示す反射部材の作用を説明するための概念図であり、従来の構成を示す図である。

図6は、図2に示す反射部材の作用を説明するための概念図である。

図7は、図2に示す反射部材の構成を説明するための概念図である。

図8は、本発明の光学装置の作用を説明するための概念図である。

図9は、本発明の光学装置の作用を説明するための概念図である。

図10は、本発明の光学装置の反射部材の別の例を概念的に示す図である。

図11は、本発明の光学装置の反射部材の別の例を概念的に示す図である。

図12は、本発明の光学装置の反射部材の別の例を概念的に示す図である。

図13は、実施例の反射部材を説明するための概念図である。

以下、本発明の光学装置および積層フィルムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。

本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。 本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であるのが好ましく、3°未満であるのがより好ましい。 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。 本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。

本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長領域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長領域または780nmを超える波長領域の光である。 また、これに限定されるものではないが、赤外線とは、非可視光のうち、780nm超2000nm以下の波長領域を示す。

本明細書において、再帰反射は、入射した光が入射方向に反射される反射を意味する。

本明細書において、「ヘイズ」は、日本電色工業社製のヘーズメーターNDH−2000を用いて測定される値を意味する。 理論上は、ヘイズは、以下式で表される値を意味する。 (380〜780nmの自然光の散乱透過率)/(380〜780nmの自然光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100% 散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。直透過率は、積分球ユニットを用いて測定した値に基づく場合、0°での透過率である。つまり、ヘイズが低いということは、全透過光量のうち、直透過光量が多いことを意味する。

本明細書において、選択反射中心波長とは、対象となる物(部材)における透過率の極小値をTmin[%]とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2[%]を示す2つの波長の平均値のことを言う。 半値透過率を求める式: T1/2=100−(100−Tmin)÷2

図1に、本発明の光学装置の一例を概念的に示す。 図1に示す光学装置10は、基台12に装着された光源14と、赤外線カメラ16と、反射部材20とを有する。図示例の光学装置10においては、一例として、反射部材20として、本発明の積層フィルムを用いている。

光学装置10において、基台12は、光源14および赤外線カメラ16を保持する、公知の光学定盤である。 光源14は、赤外LED(Light Emitting Diode)、および、赤外線レーザなどのモーションキャプチャー装置等に用いられる、公知の赤外線の光源である。 赤外線カメラ16も、赤外線を検出するCCD(Charge-Coupled Device)カメラ、および、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)カメラなどのモーションキャプチャー装置等において赤外線の検出に用いられる、公知の赤外線カメラ(二次元的な赤外線センサー)である。 反射部材20は、シート状(板状)の赤外線反射部材であり、コレステリック液晶相を固定してなるドットおよびコレステリック液晶相を固定してなる層によって、赤外線を選択的に反射する。

光学装置10においては、光源14から照射された赤外線が、光源14と反射部材20との間に位置する人物の手などの物体、および、反射部材20によって反射される。 人物の手などの物体、および、反射部材20によって反射された赤外線は、赤外線カメラ16に入射して、測定される。 赤外線カメラ16による赤外線の検出結果は、例えば、画像解析装置に出される。画像解析装置は、赤外線カメラ16による画像の撮影結果から、光源14と反射部材20との間に位置する物体の形状を認識する。また、画像解析装置は、2台の赤外線カメラによる視差および赤外線の反射強度によって、基台12から物体までの距離を認識する。基台12から物体までの距離とは、すなわち、基台12からの深さ方向の位置である。 従って、光学装置10を用いることによって、基台12と反射部材20との間に存在する人物の手等の物体の形状および深度方向の位置を検出して、物体の動きを検出できる。なお、深度方向とは、光学装置10における光源14(基台12)と反射部材20との離間方向の、光源14から反射部材20に向かう方向の位置であり、例えば、光源14と物体との距離である。

このような光学装置10において、基台12と反射部材20との間に存在する物体を適正に検出するためには、検出光である赤外線を反射する反射部材20が、再帰反射性と、適度な拡散反射性を有する必要がある。 本発明の光学装置10の反射部材20は、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有することにより、再帰反射性と、適度な拡散反射性とを両立して実現している。 図示例の反射部材20は、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に配列したドット配列と、所定のコレステリック液晶相を固定してなる層であるコレステリック液晶層とを有することによって、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有する。 なお、上記コレステリック液晶層は、走査型電子顕微鏡で観察される上記コレステリック液晶層の断面図において、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造を有する。以下、本明細書においては、「コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が波打ち構造が有する」旨を述べる際には、走査型電子顕微鏡で観察される上記コレステリック液晶層の断面図において上記の明部と暗部が観察されることを意図する。

図2に、反射部材20の一例を概念的に示す。 図示例の反射部材20は、一例として、ドットフィルム24と、液晶層フィルム26とを積層した構成を有する。すなわち、図示例の光学装置10で用いている反射部材20は、前述のように、本発明の積層フィルムである。 ただし、本発明の光学装置における反射部材は、図示例の反射部材20のように、ドットフィルム24と液晶層フィルム26との両方を有するものに限定はされない。すなわち、本発明の光学装置においては、ドットフィルム24のみ、あるいは、液晶層フィルム26のみで、反射部材を構成してもよい。 なお、図示は省略するが、ドットフィルム24と液晶層フィルム26とは、両者の間に設けられた貼合層によって貼り合わされている。貼合層は、接着剤からなる層でも、粘着剤からなる層でも、接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。従って、貼合層は、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープ、および、紫外線硬化型樹脂等の、光学装置等でシート状物の貼り合わせに用いられる公知のものを用いればよい。

ドットフィルム24は、コレステリック液晶相を固定してなるドット30を二次元的に配列したフィルム状物であり、支持体28と、ドット30と、オーバーコート層32とを有する。 一方、液晶層フィルム26は、支持体36と、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層38とを有する。図2に概念的に示すように、コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶相に由来する明部Bおよび暗部Dが、波打ち構造を有する。

[ドットフィルム] ドットフィルム24は、支持体28と、支持体28の一方の表面に二次元的に配列される固定してなるドット30と、ドット30を包埋して支持体28に積層されるオーバーコート層32と、を有する。前述のように、ドット30は、コレステリック液晶相を固定してなるドットである。

<支持体> ドットフィルム24の支持体28は、後述するコレステリック液晶相を固定してなるドット30を支持するものである。

支持体28は、ドット30が反射する光の波長(赤外線)において、光の反射率が低いのが好ましい。また、支持体28は、ドット30が反射する光の波長において光を反射する材料を含んでいないのが好ましい。 支持体28は可視光領域において、透明であるのが好ましい。また、支持体28は、着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないのが好ましい。 なお、本明細書において透明というとき、具体的には波長380〜780nmの非偏光透過率(全光透過率)が50%以上であればよく、70%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。透過率の測定は、例えば、日本電色工業社製のヘーズメーターNDH−2000を用いて行えばよい。

支持体28は、ヘイズが30%以下であるのが好ましく、0.1〜25%であるのがより好ましく、0.1〜10%であるのがさらに好ましい。 支持体28の厚さは、特に制限されないが、5〜1000μmが好ましく、10〜250μmがより好ましく、15〜150μmがさらに好ましい。

支持体28は、Re(λ)およびRth(λ)が低い方が好ましい。 具体的には、支持体28は、Re(550)が0〜20nmであるのが好ましく、0〜10nmであるのがより好ましい。また、支持体28は、Rth(550)が0〜50nmであるのが好ましく、0〜40nmであるのがより好ましい。

支持体28は単層であっても、多層であってもよい。単層である場合の支持体28としては、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリオレフィン等からなる支持体が挙げられる。多層である場合の支持体28の例としては、前述の単層の支持体のいずれかなどを基板として含み、この基板の表面に他の層を設けたものなどが挙げられる。

なお、支持体28の表面、すなわち支持体28と後述するドット30との間には、下地層を設けてもよい。下地層は樹脂層であるのが好ましく、透明樹脂層であるのがより好ましい。下地層の例としては、ドット30を形成する際のドット30の形状を調節するための層、支持体28とドット30との接着特性を改善するための層、ドット30形成の際の重合性液晶化合物の配向を調節するための配向膜などが挙げられる。 また、下地層は、ドット30が反射する光の波長において、光の反射率が低いのが好ましく、ドット30が反射する光の波長において光を反射する材料を含んでいないのが好ましい。また、下地層は透明であるのが好ましい。下地層は、支持体表面に直接塗布された重合性化合物を含む組成物の硬化により得られた樹脂を含む層であることも好ましい。重合性化合物の例としては、(メタ)アクリレートモノマーおよびウレタンモノマー等の非液晶性の化合物が挙げられる。 下地層の厚さは、特に限定されないが、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.05〜20μmであるのがより好ましい。

<ドット> 前述のように、ドット30は、コレステリック液晶相を固定してなるドットである。 本発明において、ドット30は、右円偏光または左円偏光の赤外線を選択的に反射して、それ以外の光を透過するドットである。すなわち、ドット30は、赤外線の領域に選択反射中心波長を有するコレステリック液晶相を固定してなるドットである。 周知のように、コレステリック液晶相は、右円偏光および左円偏光のいずれかを反射する。ドット30は、右円偏光を反射するものでも、左円偏光を反射するものでもよい。または、ドットフィルム24は、右円偏光を反射するドット30と、左円偏光を反射するドット30とが、混在していてもよい。

ドット30は、いずれも、コレステリック液晶相を固定してなるドットである。すなわち、ドット30は、コレステリック構造を有する液晶材料からなるドットである。 ここで、ドット30となるコレステリック液晶相は、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))にて観測されるドット30の断面において、明部Bと暗部Dとの縞模様を与え、ドット30の端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含み、この部位において、支持体28と反対側のドット30の表面から1本目の暗部が成す線の法線とドット30の表面との成す角度は70〜90°の範囲であるのが好ましい(図3参照)。この点については後に詳述する。 コレステリック液晶相の螺旋軸は、明部Bと暗部Dとの縞模様と直交する方向である。後段で詳述するように、ドット30においてはコレステリック液晶相の螺旋軸が支持体28の法線方向に対して所定の角度傾いている位置が複数ある。すなわち、ドット30は、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有する。

ドットフィルム24において、ドット30は、二次元的に配列されていれば、規則的に配列されても、不規則に配列されてもよい。 また、ドットフィルム24におけるドット30の配列密度は、全面的に均一でも、配列密度が異なる領域を有してもよい。

ドットフィルム24におけるドット30の配置密度には特に限定はなく、反射部材に求められる拡散性(視野角)、および、透明性等に応じて適宜設定すればよい。 高い透明性を得られる等の観点と、製造時にドット30の合一または欠損などの欠陥なく製造できる適切な密度等の観点から、支持体28の主面の法線方向から見た際の、支持体28に対するドット30の面積率は、1〜90.6%であるのが好ましく、2〜50%であるのがより好ましく、4〜30%であるのがさらに好ましい。なお、主面とは、シート状物(板状物)の最大面である。 なお、ドット30の面積率は、レーザー顕微鏡、SEM、透過型電子顕微鏡(TEM(Transmission Electron Microscope))などの顕微鏡で得られる画像において、1×1mmの大きさの領域で面積率を測定し、例えば5箇所の平均値をドットの面積率とすればよい。

同様に、高い透明性が得られる点で、隣接するドット30のピッチは、20〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、20〜150μmがさらに好ましい。ドット30のピッチとは、ドット30の中心と中心との距離である。

ドットフィルムにおいて、ドット30の直径および/または形状はすべて同一であってもよく、互いに異なるものが含まれていてもよいが、同一であるのが好ましい。例えば、同一の直径および形状のドット形成を意図して、同条件で形成されたドット30であるのが好ましい。

本明細書において、ドット30について説明されるとき、その説明は、反射部材20を構成するすべてのドット30について適用できるが、本発明においては、説明されるドット30が、本技術分野で許容される誤差またはエラーなどにより同説明に該当しないドットを含むことを許容するものとする。

ドット30は、支持体28の主面の法線方向から見た際に円形であるのが好ましく、例えば、半球状(略半球状)、球欠状(略球欠状)、球台形状、円錐状、および、円錐台状等の形状を有するドットであるのが好ましい。以下の説明では、支持体28の主面の法線方向を『支持体法線方向』とも言う。 円形は正円でなくてもよく、略円形であればよい。ドット30について中心というときは、この円形の中心または重心を意味する。ドット30は、平均的形状が円形であればよく、一部に円形に該当しない形状のドット30が含まれていてもよい。

ドット30は支持体法線方向から見たときの平均直径が10〜200μmであるのが好ましく、20〜120μmであるのがより好ましい。 ドット30の直径は、レーザー顕微鏡、SEMおよびTEM等の顕微鏡で得られる画像において、端部から端部までの直線であって、ドット30の中心を通る直線の長さを測定することにより得ることができる。ドット30の端部とは、ドット30のへりまたは境界部である。なお、ドット30の数、ドット30間距離もレーザー顕微鏡、SEMおよびTEMなどの顕微鏡画像で確認できる。 支持体法線方向から見た際のドット30の形状が円形以外の場合には、このドット30の投影面積と等しい円面積を持つ円の直径(円相当径)をドット30の直径とする。 ドット30の平均直径は、無作為に選択した10個のドット30の直径を上記方法により測定し、それらを算術平均して求める。

ドット30の高さは、レーザー顕微鏡による焦点位置スキャン、またはSEMおよびTEM等の顕微鏡を用いて得られるドットの断面図から確認することができる。 ドット30の平均最大高さは、1〜40μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましい。

<<ドットの光学的性質>> ドット30は、赤外線を選択的に反射する。 ドット30(後述するコレステリック液晶層38)が選択反射性を示す光の波長は、ドット30を形成するコレステリック液晶相の螺旋ピッチによって調節(選択)できる。 また、ドットフィルム24においてドット30を形成するコレステリック液晶相は、後述するように螺旋軸方向が制御されている。そのため、ドット30に入射した光は、正反射だけでなく、種々の方向に反射される。ドットフィルム24は、このようなドット30を二次元的に配列することで、再帰反射性と、適度な拡散反射性とを得ている。

ドット30は着色していてもよいが、着色していないか、着色が少ないのが好ましい。これにより、反射部材20の透明性を向上できる。この反射部材20は、本発明の積層フィルムである。

<<コレステリック液晶相>> コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。従って、本発明においては、赤外線を反射するように、ドット30(コレステリック液晶層38)を形成するコレステリック液晶相の螺旋ピッチが調節される。 コレステリック液晶相のピッチは、ドットの形成の際、重合性液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。 なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。

コレステリック液晶相はSEMによって観測されるドット30の断面において、明部と暗部との縞模様を与える(図3参照)。この明部と暗部の繰り返しの、明部2つおよび暗部2が、螺旋1ピッチ(螺旋の一巻)に相当する。このことから、ピッチは、SEM断面図から測定することができる。ドット30においては、上記縞模様の各線の法線がコレステリック液晶相の螺旋軸方向となる。

なお、コレステリック液晶相の反射光は円偏光である。すなわち、反射部材20において、ドットフィルム24のドット30は、円偏光を反射する。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相は螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。 コレステリック液晶相の旋回の方向は、ドット30(コレステリック液晶層38)を形成する液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。

また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、ドット30(コレステリック液晶層38)を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。反射波長領域の半値幅は反射部材20の用途に応じて調節され、例えば50〜500nmであればよく、好ましくは100〜300nmであればよい。

コレステリック液晶相を固定してなるドット30は、断面において、明部Bと暗部Dとの縞模様を与える。このようなコレステリック液晶相を固定してなるドット30は、SEMで観察される断面図で確認した際、支持体28と反対側のドット30の表面から1本目の暗部Dが成す線の法線と、支持体28と反対側のドット30の表面とが成す角度が70〜90°の範囲であるのが好ましい。 以下の説明では、『支持体28と反対側のドット30の表面』を、単に『ドット30の表面』とも言う。 図3にドット30の断面の概略図を示す。図3では、暗部Dが成す線を太線で示す。図3に示すように、1本目の暗部Dが成す線Ld1の法線(破線)と、ドット30の表面(その接線)とが成す角度θ1が、70〜90°であるのが好ましい。

ここで、ドット30の表面の位置を、ドット30の中心を通る支持体28表面の垂線(一点鎖線)に対する角度α1で表したとき、角度α1が30°の位置および60°の位置において、ドット30の表面から1本目の暗部Dが成す線Ld1の法線とドット30の表面とが成す角度が70〜90°の範囲であるのが好ましく、ドット30の表面の全ての位置において、ドット30の表面から1本目の暗部Dが成す線Ld1の法線とドット30の表面とが成す角度が70〜90°の範囲であるのがより好ましい。 すなわち、ドット30は、ドット30の表面の一部において上記角度を満たすもの、例えば、ドット30の表面の一部において断続的に上記角度を満たすものでなく、連続的に上記角度を満たすものであるのが好ましい。なお、断面図において、ドット30の表面が曲線であるときは、暗部Dが成す線の法線とドット30の表面とが成す角度は、ドット30の表面の接線と法線とが成す角度を意味する。また、上記角度は鋭角で示されており、法線とドット30の表面とが成す角度を0〜180°の角度で表すときの、70〜110°の範囲を意味する。

ドット30は、断面図において、ドット30の表面から2本目の暗部Dが成す線Ld2の法線とドット30の表面とが成す角度θ2が70〜90°の範囲であるのが好ましく、ドット30の表面から3〜4本目までの暗部Dが成す線が、いずれも、その法線とドット30の表面とが成す角度が70〜90°の範囲であるのがより好ましく、ドット30の表面から5〜12本目以上の暗部Dが成す線が、いずれも、その法線とドット30とが成す角度が70〜90°の範囲であるのがさらに好ましい。

さらに、この暗部Dが成す線の法線と、ドット30の表面とが成す角度は、80〜90°であるのがより好ましく、85〜90°であるのがさらに好ましい。

このようなSEMによるドット30の断面図は、ドット30の表面において、コレステリック液晶相の螺旋軸が、ドット30の表面(表面の接線)と70〜90°の範囲の角度を成すことを示している。 このような構造により、ドット30に入射する光は、支持体28の法線方向に対して角度を有する方向から入射する光を、ドット30の表面において、コレステリック液晶相の螺旋軸方向と平行に近い角度で入射させることができる。そのため、ドット30に入射する光を様々な方向に反射させることができる。

また、ドット30はコレステリック液晶相の螺旋軸を基準として、入射光を正反射させる。そのため、図4に概念的に示すように、支持体28の法線方向から入射する入射光Inに対して、ドット30の中心付近で反射される反射光Irは支持体の法線方向に平行に反射される。一方、ドット30の中心からずれた位置では、反射光Irは支持体28の法線方向とは異なる方向に反射される。なお、ドット30の中心からずれた位置とは、すなわち、コレステリック液晶相の螺旋軸が支持体28の法線方向に対して傾いている位置である。したがって、ドット30は、ドット30に入射する光を様々な方向に反射させることができ、これによりドットフィルム24は、再帰反射性と適度な拡散反射性を得ることができる。また、ドット30を透過する光Ipは、入射光Inと同方向に透過するので、透過光が散乱されることを抑制してヘイズを小さくすることができ、透明性を高くすることができる。 また、ドット30は、支持体28の法線方向から入射する光を、全方位に反射できるのが好ましい。ドット30は、特に、正面輝度(ピーク輝度)の半分の輝度となる角度(半値角)が35°以上にでき、高い反射性を有するのが好ましい。

コレステリック液晶相の螺旋軸が、ドット30の表面と70〜90°の範囲の角度を成すことにより、表面から1本目の暗部Dが成す線の法線方向と支持体28の法線方向との成す角度は、上記高さが連続的に増加するにしたがって連続的に減少していることが好ましい。 なお、断面図は、ドットの端部から中心に向かう方向で最大高さまで連続的に増加する高さを有する部位を含む任意の方向の断面図であり、典型的にはドットの中心を含み支持体に垂直な任意の面の断面図であればよい。

<<ドットの形成方法>> ドット30は、コレステリック液晶相をドット状に固定して得ることができる。 コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。 なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。

コレステリック液晶相を固定してなるドット30の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物(ドットを形成するための塗布液)が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。 ドット30の形成に用いる液晶化合物を含む液晶組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。また、ドット30の形成に用いる液晶組成物は、さらにキラル剤、重合開始剤を含んでいてもよい。

−−重合性液晶化合物−− 重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であるのが好ましい。 コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。

重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。

また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であるのが好ましく、80〜99質量%であるのがより好ましく、85〜90質量%であるのがさらに好ましい。

−−界面活性剤−− ドット30を形成する際に用いる液晶組成物に界面活性剤を加えることにより、ドット30形成時に重合性液晶化合物が空気界面側で平に配向し、螺旋軸方向が上述のように制御されたドット30が得られる。 一般的に、ドットの形成のためには、印刷の際の液滴形状を保つため、表面張力を低下させない必要がある。そのため界面活性剤を加えてもドット30の形成が可能であり、かつ、多方向からの再帰反射性の高いドット30が得られたことは驚くべきことであった。界面活性剤を用いた場合、ドット30の端部で、ドット30の表面と支持体28とが成す角度が40°以上のドットが形成できる。すなわち、ドット30を形成する際に界面活性剤を加えることにより、ドット30と支持体28との接触角を、高い拡散性と、高い透明性とを両立することができる角度範囲に形成することができる。 界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶相とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましく例示される。

界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605号公報の段落[0082]〜[0090]に記載の化合物、特開2012−203237号公報の段落[0031]〜[0034]に記載の化合物、特開2005−99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の段落[0076]〜[0078]および段落[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007−272185号公報の段落[0018]〜[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、などが挙げられる。 なお、界面活性剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 フッ素系界面活性剤として、特開2014−119605号公報の段落[0082]〜[0090]に記載の化合物が好ましい。

液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.02〜1質量%がさらに好ましい。

−−キラル剤(光学活性化合物)−− キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。 キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。 キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。 また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。

キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、および、特開2003−313292号公報に記載の化合物を用いることができる。

液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01〜200モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。

−−重合開始剤−− 液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。 液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがさらに好ましい。

−−架橋剤−− 液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。 架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。

−−その他の添加剤−− ドット30の形成に、後述するインクジェット法を用いる場合には、一般的に求められるインク物性を得るために、液晶組成物には単官能重合性モノマーが含まれていてもよい。単官能重合性モノマーとしては、2−メトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、および、オクチル/デシルアクリレート等が挙げられる。 また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。

液晶組成物は、ドット30を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。 液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。 有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。

ドット30を形成する際には、液晶組成物を支持体28上にドット状に塗布し、その後、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶化合物を硬化してドット30を形成する。 ドット30を形成する際には、支持体28上への液晶組成物の塗布は、好ましくは打滴により行われる。印刷法は特に限定はされず、インクジェット法、グラビア印刷法、および、フレキソ印刷法などを用いることができるが、インクジェット法が好ましい。ドット30のパターン形成も、公知の印刷技術を応用して形成することができる。

支持体28上に塗布された液晶組成物は、必要に応じて乾燥または加熱され、その後、硬化され、ドット30を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の重合性液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。加熱を行う場合、加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。

配向させた液晶化合物は、必要に応じて、さらに重合される。重合は、熱重合、および、光照射による光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cm2が好ましく、100〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は250〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いのが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。 重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を、IR(赤外線)吸収スペクトルを用いて決定することができる。

<オーバーコート層> ドットフィルム24は、ドット30を包埋して支持体28に積層されるオーバーコート層32を有する。 オーバーコート層32は、支持体28のドット30が形成された面側に設けられていればよく、ドットフィルム24の表面を平坦化しているのが好ましい。

オーバーコート層32は、特に限定されないが、ドット30の屈折率との差が小さいほど好ましく、屈折率の差が0.04以下であるのが好ましい。ドット30の屈折率は1.6程度であるので、屈折率が1.4〜1.8程度の樹脂層であるのが好ましい。 ドット30の屈折率に近い屈折率を有するオーバーコート層32を用いることによって、ドット30に入射する光の法線からの角度(極角)を小さくすることができる。例えば、屈折率が1.6のオーバーコート層32を用い、極角45°で反射部材20に光を入射させたとき、ドット30に実際に入射する極角は27°程度とすることができる。そのため、オーバーコート層32を用いることによって、反射部材20が再帰反射性を示す光の極角を広げることが可能であり、ドット30の表面と支持体28とが成す角度が小さい場合であっても、より広い範囲で、高い再帰反射性が得られる。また、オーバーコート層32は、反射防止層、ハードコート層としての機能を有していてもよい。

オーバーコート層32の例としては、モノマーを含む組成物を、支持体28のドット30が形成された面側に塗布し、その後、塗布膜を硬化して得られる樹脂層などが挙げられる。 オーバーコート層32に利用される樹脂は、特に限定されず、支持体28およびドット30等との密着性などを考慮して選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。耐久性、耐溶剤性等の点からは、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、特に、短時間での硬化が可能である紫外線硬化性樹脂が好ましい。オーバーコート層32の形成に用いることができるモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、および、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。

オーバーコート層32の厚さは、特に限定されず、ドット30の最大高さを考慮して決定すればよく、5〜100μm程度であればよく、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは20〜40μmである。厚さは、ドットが無い部分の支持体のドット形成表面から対向する面にあるオーバーコート層表面までの距離である。

[液晶層フィルム] 図示例の光学装置10において、反射部材20は、このようなドットフィルム24と、液晶層フィルム26とを積層したものである。 液晶層フィルム26は、支持体36に、コレステリック液晶層38を積層したものである。

<支持体> 液晶層フィルム26において、支持体36は、前述のドットフィルム24の支持体28と同様のものである。 支持体36も、ドットフィルム24の支持体28と同様に下地層を有してもよい。

<コレステリック液晶層> コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶相を固定してなる層である。すなわち、コレステリック液晶層38は、コレステリック構造を有する液晶材料からなる層である。 コレステリック液晶層38も、赤外線を選択的に反射して、それ以外の光を透過する。すなわち、コレステリック液晶層38も、赤外線の領域に選択反射中心波長を有するコレステリック液晶相を固定してなる層である。 なお、前述のドット30と、コレステリック液晶層38とは、共に赤外線を選択的に反射するものであれば、選択反射中心波長は一致していなくてもよいが、両者の選択反射中心波長は、一致しているのが好ましい。なお、ドット30と、コレステリック液晶層38との選択反射中心波長は、差が±25nm以内の場合は、両者の選択反射中心波長は一致していると見なす。 また、コレステリック液晶層38は、右円偏光を反射するものでも、左円偏光を反射するものでもよい。あるいは、コレステリック液晶層38は、右円偏光を反射する層と、左円偏光を反射する層とを、積層したものであってもよい。

前述のように、コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶相を固定してなる層である。 従って、コレステリック液晶層38は、SEMにて観測される断面において、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向(図1および図2中上下方向)に、明部Bと暗部Dとを交互に積層した縞模様が観察される。

ここで、反射部材20(本発明の積層フィルム)において、コレステリック液晶層38の断面における明部Bおよび暗部Dは、波打ち構造を有する。 すなわち、反射部材20において、コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶構造を有し、螺旋軸とコレステリック液晶層38の表面とのなす角度が連続的に変化する構造を有する層である。言い換えれば、コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶構造を有し、コレステリック液晶構造はSEMにて観測されるコレステリック液晶層38の断面において明部Bと暗部Dとの縞模様を与え、明部Bがなす線の法線とコレステリック液晶層38の表面とのなす角が周期的に変化し、かつ、暗部Dがなす線の法線とコレステリック液晶層38の表面となす角が周期的に変化する、コレステリック液晶相を固定してなる層である。 コレステリック液晶層38(液晶層フィルム26)は、このような断面における明部と暗部とが波打ち構造を有することにより、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が互いに異なる、複数の領域を有する。

図5に、一般的なコレステリック液晶相を固定してなる層の断面を概念的に示す。 図5に示すように、支持体36上に配置されたコレステリック液晶相を固定してなる層100の断面では、通常、明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶相を固定してなる層100の断面では、明部Bと暗部Dとを交互に積層した層状構造が観察される。 前述のように、2つの明部Bと2つの暗部Dとが、コレステリック液晶相の螺旋1ピッチ分に相当する。 一般的に、明部Bおよび暗部Dの縞模様(層状構造)は、図5に示すように、支持体36の表面すなわち層100の形成面と平行となるように形成される。このような態様の場合、層100は、鏡面反射性を示す。すなわち、コレステリック液晶相を固定してなる層100の法線方向から光が入射される場合、法線方向に光は反射されるが、斜め方向には光は反射されにくく、拡散反射性に劣る(図5中の矢印参照)。

これに対して、図2および図6に断面を概念的に示すコレステリック液晶層38のように、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層38の明部Bおよび暗部Dが波打ち構造(凹凸構造)を有する場合には、波打ち構造を有するコレステリック液晶層38に対して、コレステリック液晶層38の法線方向から光が入射されると、図6に示すように、液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域があるため、入射光の一部が斜め方向に反射される(図6中の矢印参照)。 つまり、コレステリック液晶相を固定してなる層において、明部Bと暗部Dとが波打ち構造を有することにより、再帰反射性を有し、かつ、適度な拡散反射性を有するコレステリック液晶層38が実現できる。

コレステリック液晶層38において、明部Bと暗部Dの波打ち構造は、図2(図6)の横方向のみならず、例えば、図2の紙面に垂直な方向の断面でも、同様の波打ち構造が形成される。すなわち、コレステリック液晶層38の波打ち構造は、コレステリック液晶層38の面方向において二次元的に形成されており、コレステリック液晶層38は、あらゆる方向の断面で、明部と暗部の波打ち構造が認められる。 ただし、本発明は、これに限定はされず、コレステリック液晶層38は、断面において、連続的な波が一方向にのみ進行する波打ち構造を有するものでもよい。しかしながら、再帰反射性および拡散反射性の点では、コレステリック液晶層38は、前述のように、あらゆる方向の断面で明部と暗部の波打ち構造が認められるのが好ましい。

明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38では、図7に概念的に示すように、明部Bおよび暗部Dが成す縞模様における明部Bまたは暗部Dが成す連続線において、支持体36におけるコレステリック液晶層38の形成面36aに対する傾斜角度が0°となる山(頂部)および谷(底部)が、複数、特定される。 ここで、再帰反射性および適度な拡散反射性を得られる等の点で、コレステリック液晶層38は、隣接する山と谷とに挟まれた明部Bまたは暗部Dが成す連続線の形成面36aに対する角度が、5°以上となる領域Mを、複数、有するのが好ましい。

また、同様の理由で、コレステリック液晶層38は、明部Bおよび暗部Dの波打ち構造におけるピーク間距離p(波の周期p)の平均が1〜50μmであるのが好ましい。

ここで、コレステリック液晶層38における、波打ち構造における明部Bまたは暗部Dの連続線の微分線と、コレステリック液晶層38の法線方向とが成す角度を、傾斜角度とする。 コレステリック液晶層38は、2つの表面(主面)から厚さ方向の1μm以内に存在する、明部Bまたは暗部Dの各連続線において、傾斜角度の標準偏差を算出し、大きい方から1つ目の標準偏差をα、大きい方から2つ目の標準偏差をβとした際に、下記の式1および式2を満たすのが好ましい。 α/β≧1.2 ・・・ 式1 α≧2° ・・・ 式2 これにより、再帰反射性および適度な拡散反射性を得られる等の点で好ましい。

<コレステリック液晶層の形成方法> 前述のように、コレステリック液晶層38は、コレステリック液晶相を固定してなる層である。 コレステリック液晶層38を形成する液晶化合物は、前述のドット30を形成する液晶化合物と同じ物、好ましくは重合性液晶化合物と同じ物を用いることができる。 従って、コレステリック液晶層38は、ドット30と同様、対応する波長領域に応じた螺旋ピッチおよび反射する円偏光に応じた螺旋の捩れ方向を有するコレステリック液晶相を固定するように、液晶化合物を含む液晶組成物を調製して、形成すればよい。

一例として、コレステリック液晶層38を形成するための液晶組成物(塗布液)を調製する。 次いで、支持体36の表面に、コレステリック液晶層38を形成する液晶組成物を一様(均一)に塗布して乾燥し、さらに、ドット30の形成と同様に、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶組成物を硬化して、コレステリック液晶層38を形成する。液晶組成物の塗布は、バーコートおよびスピンコートなどの、シート状物に液体を一様に塗布できる公知の方法が全て利用可能である。 ここで、一般的なコレステリック液晶相を固定してなる層は、支持体36すなわち層の形成面にラビング処理等を施して、配向規制力を付与して形成する。 これに対して、明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38は、支持体36(および下地層)に、配向規制力を付与しないか、または、弱い配向規制力を付与した状態とすることで、形成できる。例えば、コレステリック液晶層38の形成面(支持体36または下地層)にラビング処理を実施しない、もしくは弱いラビング処理を行なう程度として、適切な配向規制力を付与することで、上述した好ましい波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を形成できる。

ここで、明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を形成する際には、コレステリック液晶層38を形成する液晶組成物に、界面活性剤等の極角規制力を付与する成分を添加して、支持体36に塗布した液晶組成物の空気界面側に、極角規制力を付与するのが好ましい。界面活性剤等の極角規制力を付与する成分としては、上述の界面活性剤等が使用できる。 すなわち、支持体36が配向規制力を有さない場合、または、支持体36の配向規制力が弱い場合は、液晶組成物を塗布した瞬間には、液晶組成物の支持体36側の界面で液晶分子の極角方向の規制力がないため、液晶組成物内の液晶分子は場所によって不規則(ランダム)に傾いていると考えられる。つまり、液晶組成物内では、場所によって、水平配向に近い状態および垂直配向に近い状態が、不規則に存在すると考えられる。 一方、液晶組成物の空気界面側は、極角規制力を付与する成分によって、液晶分子の極角方向の動きが規制され、水平配向になる。 コレステリック液晶層38の形成では、次いで、加熱等によって、液晶をコレステリック相の状態にする。液晶がコレステリック相の状態なる際には、すなわち、液晶がねじれ始める。この際において、液晶組成物が極角規制力を付与する成分を含有すると、液晶がねじれ始めるのと同時に、支持体36側と空気界面側とで液晶分子の傾きが違う状態が伝播するため、波打ち構造が形成されつつ、ねじれ状態を形成すると考えられる。 すなわち、支持体36が配向規制力を有さず、または、支持体36のが配向規制力が弱く、かつ、液晶組成物が極角規制力を付与する成分を含有することで、液晶組成物における、支持体36側の界面と空気界面側との極角規制力のバランスを適正にして、波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を形成できる。 また、上述の方法に限らず、空気界面側と支持体側との極角規制力のバランスを、適宜、変えることで、同様の波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を形成できると考えられる。例えば、支持体36に適切なラビング処理を施すことにより、支持体36側の極角規制力を強め、液晶組成物への界面活性剤の添加量を調節することで空気界面側の極角規制力を弱める方法でも、同様の波打ち構造と光学性能が得られると考えられる。

コレステリック液晶層38の厚さには、制限はなく、コレステリック液晶層38を形成する液晶化合物の種類、波打ち構造の状態等に応じて、適宜、設定すればよい。コレステリック液晶層38の厚さは、コレステリック液晶層38の再帰反射性および拡散反射性が良好になる等の点で、0.5〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。 コレステリック液晶層38の厚さは、レーザ膜厚顕微鏡(レーザ顕微鏡を用いた膜厚測定)等を用いる、公知の方法で測定すればよい。

前述のように、二次元的に配列されたドット30を有するドットフィルム24、および、明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を有する液晶層フィルム26は、再帰反射性および適度な拡散反射性を有する。すなわち、このようなドットフィルム24および液晶層フィルム26を積層した反射部材20は、良好な再帰反射性および適度な拡散反射性を有する。従って、このような反射部材20を用いる本発明の光学装置10を、例えば、モーションキャプチャー装置等に用いることにより、基台12と反射部材20との間に存在する人物の手などの物の形状および深度、ならびに、物の動きを、好適に検出できる。 また、支持体28および36は、好ましくは透明であり、ドットフィルム24のドット30、および、液晶層フィルム26のコレステリック液晶層38は、共に、赤外線のみを反射し、それ以外の光を透過する。従って、反射部材20は、良好な透明性を有し、本発明の光学装置10を、例えば反射部材20を透明なテーブル等に載置して使用する際にも、テーブルの透明性を活かしつつ、基台12と反射部材20との間に存在する人物の手などの物の形状および深度、ならびに、物の動きを、好適に検出できる。

本発明の光学装置10において、反射部材20(本発明の積層フィルム)は、好ましくは、図8に概念的に示す、以下のような赤外線の反射特性を有する。 光源14が照射した赤外線が、反射部材20の法線N(一点鎖線)に対して30°傾いた方向S(破線、θ=30°)から、反射部材20に入射した場合を想定する。この際において、法線Nと方向Sとを含む平面における、方向Sから反射部材20に向けて5°傾けた方向の反射率をR(5)とし、方向Sから反射部材20に向けて20°傾けた方向の反射率をR(20)とする。 この際において、反射部材20は、以下の式3および式4を満たす、赤外線の反射特性を有するのが好ましい。 R(5)≧1% ・・・式3 R(20)/R(5)≧0.05 ・・・式4 ここで、反射率とは、標準白色板の反射率を100%とした際における相対反射率である。また、反射率の測定波長は、光源14のピーク波長である。

すなわち、反射部材20は、法線Nに対して30°傾いた赤外線の入射方向から5°傾いた方向への反射すなわち再帰反射に対応する反射率であるR(5)が1%以上で、かつ、赤外線の入射方向から20°傾いた方向への反射拡散反射に対応する反射率であるR(20)が、再帰反射の0.05倍以上であるという、再帰反射性と適度な拡散反射性を有するのが好ましい。

また、反射部材20は、より好ましくは、図9に概念的に示す、以下のような赤外線の反射特性を有する。 光源14が照射した赤外線が、反射部材20の法線N(一点鎖線)に対して30°傾いた方向Sd(破線、θd=30°)から、反射部材20に入射した場合を想定する。なお、この方向Sdは、図8に示した方向Sとは異なる方向である。 この際において、法線Nと方向Sdとを含む平面における、方向Sdから反射部材20に向けて5°傾けた方向の反射率をR(−5)とし、方向Sdから反射部材20に向けて20°傾けた方向の反射率をR(−20)とする。 この際において、反射部材20は、以下の式5および式6を満たす、赤外線の反射特性を有するのが、より好ましい。 0.85≦R(5)/R(−5)≧1.15 ・・・式5 R(−20)/R(−5)≧0.05 ・・・式6

すなわち、反射部材20は、法線Nに対して30°傾いた、方向Sとは異なる赤外線の入射方向Sdから5°傾いた方向への反射すなわち再帰反射に対応する反射率であるR(−5)が、方向Sから赤外線が入射した場合と同等で、かつ、赤外線の入射方向から20°傾いた方向への反射拡散反射に対応する反射率であるR(−20)が、再帰反射の0.05倍以上であるという、再帰反射性と適度な拡散反射性を有するのが、より好ましい。

反射部材20のヘイズには、特に制限はないが、反射部材20は、ヘイズが低いのが好ましい。 具体的には、反射部材は、ヘイズが10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのが好ましい。

図1および図2に示す反射部材20は、コレステリック液晶相を固定してなるドット30を二次元的に配列したドットフィルム24と、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相に由来する明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を有する液晶層フィルム26との、両方を有する。 しかしながら、本発明の光学装置において、反射部材は、ドットフィルム24と液晶層フィルム26との、両方を有する構成に限定はされない。すなわち、本発明の光学装置において、反射部材は、ドットフィルム24のみを有する構成でもよく、あるいは、液晶層フィルム26のみを有する構成でもよい。 しかしなら、良好な再帰反射性と、適度な拡散反射性とを得られる等の点で、反射部材は、ドットフィルム24と液晶層フィルム26との、両方を有するのが好ましい。

なお、反射部材が、ドットフィルム24のみを有する構成および液晶層フィルム26のみを有する構成のように、コレステリック液晶相を固定したフィルムを1枚のみ有する場合には、反射部材のヘイズは5%以下であるのが好ましく、2%以下であるのがより好ましい。

また、反射部材が、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相に由来する明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するコレステリック液晶層38を有する液晶層フィルム26のみを有する場合には、図10に概念的に示す反射部材40のように、コレステリック液晶層38Lにおける明部Bおよび暗部Dが波打ち構造が、より大きいのが好ましい。 具体的には、明部Bおよび暗部Dの波打ち構造におけるピーク間距離pが小さく、かつ、振幅sが大きいのが好ましい(図7参照)。

このような大きな波打ち構造を有するコレステリック液晶層38Lを形成する際には、コレステリック液晶層38Lを形成する液晶化合物として、以下の式(I)で表される液晶化合物を用いるのが好ましい。 特に、以下の式(I)で表される液晶化合物を含む、コレステリック液晶層を形成する液晶組成物を支持体36に塗布した後、液晶化合物をコレステリック液晶相とするための加熱処理を行い、その後、キラル剤の螺旋誘起力を上昇させるための冷却処理または加熱処理を行って、コレステリック液晶層38Lを形成するのが好ましい。

以下の式(I)で表される液晶化合物としては、コレステリック液晶層38の拡散反射性がより優れる点で、Aで表される置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、mc>0.1を満たす液晶化合物が好ましく、0.4≦mc≦0.8を満たす液晶化合物であるのがより好ましい。 なお、上記mcは、以下の計算式で表される数である。 mc=(Aで表される置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基の数)÷m

式中、 Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、 Lは、単結合、または、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)2OC(=O)−、−C(=O)O(CH2)2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−C(=O)O−、および、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、 mは3〜12の整数を示し、 Sp1およびSp2は、それぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、 Q1およびQ2は、それぞれ独立に、水素原子、または、以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す;

Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基、または、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。本明細書において、フェニレン基というとき、1,4−フェニレン基であるのが好ましい。 なお、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。 m個のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。

mは3〜12の整数を示し、3〜9の整数であるのが好ましく、3〜7の整数であるのがより好ましく、3〜5の整数であるのがさらに好ましい。

式(I)中の、フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、およびハロゲン原子、ならびに、上記の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基は、置換基を1〜4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。

本明細書において、アルキル基は直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、および、ドデシル基などが挙げられる。アルコキシ基中のアルキル基の説明も、上記アルキル基に関する説明と同じである。また、本明細書において、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上記のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子が挙げられる。

本明細書において、シクロアルキル基の炭素数は、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下が特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、および、シクロオクチル基などが挙げられる。

フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、および、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、または、Q3およびSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp3およびSp4は、それぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。 Q3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。

シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、および、モルホルニル基などが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、2−テトラヒドロフラニル基がより好ましい。

式(I)において、Lは、単結合、または、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)2OC(=O)−、−C(=O)O(CH2)2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示す。Lは、−C(=O)O−または−OC(=O)−であるのが好ましい。m個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。

Sp1およびSp2は、それぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または、−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ−O−、−OC(=O)−、および、−C(=O)O−からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−O−、および、炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1または2以上組み合わせて構成される連結基であるのが好ましく、両末端に−O−がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であるのがより好ましい。

Q1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子、または、以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示す。ただし、Q1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。

重合性基としては、アクリロイル基(式(Q−1))またはメタクリロイル基(式(Q−2))が好ましい。

上記液晶化合物の具体例としては、以下の式(I−11)で表される液晶化合物、式(I−21)で表される液晶化合物、式(I−31)で表される液晶化合物が挙げられる。

式(I−11)で表される液晶化合物

式中、R11は水素原子、炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、−Z12−Sp12−Q12を示し、 L11は単結合、−C(=O)O−、または、−O(C=O)−を示し、 L12は−C(=O)O−、−OC(=O)−、または、−CONR2−を示し、 R2は、水素原子、または、炭素数1から3のアルキル基を示し、 Z11およびZ12はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−NH−、−N(CH3)−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、または、−C(=O)NR12−を示し、 R12は水素原子または−Sp12−Q12を示し、 Sp11およびSp12はそれぞれ独立に、単結合、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、または、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において、いずれか1つ以上の−CH2−を−O−、−S−、−NH−、−N(Q11)−、または、−C(=O)−に置き換えて得られる連結基を示し、 Q11は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、 Q12は水素原子または式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、 l11は0〜2の整数を示し、 m11は1または2の整数を示し、 n11は1〜3の整数を示し、 複数のR11、複数のL11、複数のL12、複数のl11、複数のZ11、複数のSp11、および、複数のQ11はそれぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。 また、式(I−11)で表される液晶化合物は、R11として、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z12−Sp12−Q12を少なくとも1つ含む。 また、式(I−11)で表される液晶化合物は、Z11が−C(=O)O−または−C(=O)NR12−、および、Q11が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z11−Sp11−Q11であるのが好ましい。また、式(I−11)で表される液晶化合物は、R11として、Z12が−C(=O)O−または−C(=O)NR12−、および、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z12−Sp12−Q12であるのが好ましい。

式(I−11)で表される液晶化合物に含まれる1,4−シクロヘキシレン基はいずれもトランス−1,4−シクロヘキレン基である。 式(I−11)で表される液晶化合物の好適態様としては、L11が単結合、l11が1(ジシクロヘキシル基)、かつ、Q11が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。 式(I−11)で表される液晶化合物の他の好適態様としては、m11が2、l11が0、かつ、2つのR11がいずれも−Z12−Sp12−Q12を表し、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。

式(I−21)で表される液晶化合物

式中、Z21およびZ22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、 上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、−CO−X21−Sp23−Q23、アルキル基、およびアルコキシ基からなる群から選択される1から4個の置換基であり、 m21は1または2の整数を示し、n21は0または1の整数を示し、 m21が2を示すときn21は0を示し、 m21が2を示すとき2つのZ21は同一であっても異なっていてもよく、 Z21およびZ22の少なくともいずれか一つは置換基を有していてもよいフェニレン基であり、 L21、L22、L23およびL24はそれぞれ独立に、単結合、または、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)2OC(=O)−、−C(=O)O(CH2)2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、 X21は−O−、−S−、もしくは−N(Sp25−Q25)−を示すか、または、Q23およびSp23と共に環構造を形成する窒素原子を示し、 r21は1から4の整数を示し、 Sp21、Sp22、Sp23、およびSp25はそれぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、 Q21およびQ22はそれぞれ独立に、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、 Q23は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基、または、X21がQ23およびSp23と共に環構造を形成する窒素原子である場合において単結合を示し、 Q25は、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Sp25が単結合のとき、Q25は水素原子ではない。

式(I−21)で表される液晶化合物は、1,4−フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基が交互に存在する構造であることも好ましく、例えば、m21が2であり、n21が0であり、かつ、Z21がQ21側からそれぞれ置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基であるか、または、m21が1であり、n21が1であり、Z21が置換基を有していてもよいアリーレン基であり、かつ、Z22が置換基を有していてもよいアリーレン基である構造が好ましい。

式(I−31)で表される液晶化合物;

式中、R31およびR32はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、および、−C(=O)−X31−Sp33−Q33からなる群から選択される基であり、 n31およびn32はそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、 X31は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp34−Q34)−を示すか、または、Q33およびSp33と共に環構造を形成している窒素原子を示し、 Z31は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、 Z32は、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、または、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、 上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、および、−C(=O)−X31−Sp33−Q33からなる群から選択される1から4個の置換基であり、 m31は1または2の整数を示し、m32は0〜2の整数を示し、 m31およびm32が2を示すとき2つのZ31、Z32は同一であっても異なっていてもよく、 L31およびL32はそれぞれ独立に、単結合、または、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)2OC(=O)−、−C(=O)O(CH2)2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、 Sp31、Sp32、Sp33およびSp34はそれぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、 Q31およびQ32はそれぞれ独立に、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、 Q33およびQ34はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Q33はX31およびSp33と共に環構造を形成している場合において、単結合を示してもよく、Sp34が単結合のとき、Q34は水素原子ではない。 式(I−31)で表される液晶化合物として、特に好ましい化合物としては、Z32がフェニレン基である化合物およびm32が0である化合物が挙げられる。

式(I)で表される化合物は、以下の式(II)で表される部分構造を有することも好ましい。

式(II)において、黒丸は、式(I)の他の部分との結合位置を示す。式(II)で表される部分構造は式(I)中の下記式(III)で表される部分構造の一部として含まれていればよい。

式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、および、−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される基からなる群から選択される基である。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、または、Q3およびSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。X3は単結合または−O−であることが好ましい。R1およびR2は、−C(=O)−X3−Sp3−Q3であることが好ましい。また、R1およびR2は、互いに同一であることが好ましい。R1およびR2のそれぞれのフェニレン基への結合位置は特に制限されない。

Sp3およびSp4はそれぞれ独立に、単結合、または、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp3およびSp4としては、それぞれ独立に、炭素数1から10の直鎖または分岐のアルキレン基が好ましく、炭素数1から5の直鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数1から3の直鎖のアルキレン基がさらに好ましい。 Q3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−もしくは−C(=O)O−で置換された基、または、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。

式(I)で表される化合物は、例えば、以下の式(II−2)で表される構造を有することも好ましい。

式中、A1およびA2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキレン基を示し、上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、および、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される1から4個の置換基であり、 L1、L2およびL3は単結合、または、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)2OC(=O)−、−C(=O)O(CH2)2−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、 n1およびn2はそれぞれ独立に、0から9の整数を示し、かつn1+n2は9以下である。 Q1、Q2、Sp1、および、Sp2の定義は、上記式(I)中の各基の定義と同義である。X3、Sp3、Q3、R1、および、R2の定義は、上記式(II)中の各基の定義と同義である。

なお、液晶化合物は2種以上併用して用いてもよい。

本発明に用いる液晶化合物としては、特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(IV)で表される化合物、特に、式(IV)で表される1つの(メタ)アクリレート基を有する重合性液晶化合物も、好適に利用される。

式(IV)

式(IV)中、A1は、炭素数2〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つのCH2または隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されていてもよい; Z1は、−C(=O)−、−O−C(=O)−または単結合を表し; Z2は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し; R1は、水素原子またはメチル基を表し; R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していても良いフェニル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、N−アセチルアミド基、アクリロイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基またはマレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1〜4であるN−アルキルオキシカルバモイル基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基または以下の式(IV−2)で表される構造を表し; L1、L2、L3およびL4は各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L1、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。

−Z5−T−Sp−P 式(IV−2) 式(IV−2)中、Pはアクリル基、メタクリル基または水素原子を表し、Z5は単結合、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR1−(R1は水素原子またはメチル基を表す)、−NR1C(=O)−、−C(=O)S−、または、−SC(=O)−を表し、Tは1,4−フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族基を表し、該脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−または−OCOO−で置換されていてもよい。)を表す。

上記式(IV)で表される化合物は、以下の式(V)で表される化合物であることが好ましい。 式(V)

式(V)中、n1は3〜6の整数を表し; R11は水素原子またはメチル基を表し; Z12は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し; R12は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または以下の式(IV−3)で表される構造を表す。 −Z51−T−Sp−P 式(IV−3) 式(IV−3)中、Pはアクリル基またはメタクリル基を表し; Z51は、−C(=O)O−、または、−OC(=O)−を表し;Tは1,4−フェニレンを表し; Spは置換基を有していてもよい炭素数2〜6の2価の脂肪族基を表す。この脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、−O−、−OC(=O)−、−C(=O)O−または−OC(=O)O−で置換されていてもよい。

上記n1は3〜6の整数を表し、3または4であることが好ましい。 上記Z12は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し、−C(=O)−を表すことが好ましい。 上記R12は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または上記式(IV−3)で表される基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、または上記式(IV−3)で表される基を表すことがより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、または上記式(IV−3)で表される構造を表すことがさらに好ましい。

本発明に用いる液晶化合物としては、同じく特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(VI)で表される化合物、特に、以下の式(VI)で表される(メタ)アクリレート基を有さない液晶化合物も好適に利用される。

式(VI)

式(VI)中、Z3は、−C(=O)−または−CH=CH−C(=O)−を表し; Z4は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し; R3およびR4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していても良い芳香環、シクロヘキシル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、アクリロイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、マレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1〜4であるN−アルキルオキシカルバモイル基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基または以下の式(VI−2)で表される構造を表し; L5、L6、L7およびL8は各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L5、L6、L7およびL8のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。

−Z5−T−Sp−P 式(VI−2) 式(VI−2)中、Pはアクリル基、メタクリル基または水素原子を表し、Z5は−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR1−(R1は水素原子またはメチル基を表す)、−NR1C(=O)−、−C(=O)S−、または−SC(=O)−を表し、Tは1,4−フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族基を表す。ただし、この脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−または−OC(=O)O−で置換されていてもよい。

上記式(VI)で表される化合物は、以下の式(VII)で表される化合物であることが好ましい。 式(VII)

式(VII)中、Z13は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し; Z14は、−C(=O)−または−CH=CH−C(=O)−を表し; R13およびR14は各々独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、または上記式(IV−3)で表される構造を表す。

上記Z13は、−C(=O)−または−C(=O)−CH=CH−を表し、−C(=O)−を表すことが好ましい。 R13およびR14は各々独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基または上記式(IV−3)で表される構造を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、もしくは上記式(IV−3)で表される構造を表すことが好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基または上記式(IV−3)で表される構造を表すことがさらに好ましい。

本発明に用いる液晶化合物としては、同じく、特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(VIII)で表される化合物、特に、以下の式(VIII)で表される2つの(メタ)アクリレート基を有する重合性液晶化合物も好適に利用される。

式(VIII)

式(VIII)中、A2およびA3は各々独立して、炭素数2〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つのCH2または隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されていてもよい; Z5は、−C(=O)−、−OC(=O)−または単結合を表し; Z6は、−C(=O)−、−C(=O)O−または単結合を表し; R5およびR6は各々独立して、水素原子またはメチル基を表し; L9、L10、L11およびL12は各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L9、L10、L11およびL12のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。

上記式(VIII)で表される化合物は、下記式(IX)で表される化合物であることが好ましい。 式(IX)

式(IX)中、n2およびn3は各々独立して、3〜6の整数を表し; R15およびR16は各々独立して、水素原子またはメチル基を表す。

式(IX)中、n2およびn3は各々独立して、3〜6の整数を表し、上記n2およびn3が4であることが好ましい。 式(IX)中、R15およびR16は各々独立して、水素原子またはメチル基を表し、上記R15およびR16が水素原子を表すことが好ましい。

これらの液晶化合物は、公知の方法により製造することが可能である。

前述のように、明部Bおよび暗部Dが大きな波打ち構造を有するコレステリック液晶層38Lを有する液晶層フィルムのみを有する反射部材40を作製する場合には、前述の式(I)で表される液晶化合物を含む、コレステリック液晶層を形成する液晶組成物を支持体36に塗布した後、液晶化合物をコレステリック液晶相とするための加熱処理を行い、その後、キラル剤の螺旋誘起力を上昇させるための冷却処理または加熱処理を行って、コレステリック液晶層38Lを形成するのが好ましい。

具体的には、先の例と同様に支持体36にコレステリック液晶層38Lを形成する液晶組成物を支持体36に塗布した後、支持体36上に塗布した液晶組成物を加熱して、組成物中の液晶化合物を配向させてコレステリック液晶相の状態とする。 液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性の面から10〜250℃が好ましく、10〜150℃がより好ましい。 加熱条件としては、40〜100℃、好ましくは60〜100℃で、0.5〜5分間、好ましくは0.5〜2分間にわたって、組成物を加熱するのが好ましい。

液晶組成物を加熱して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態にしたら、液晶組成物に含まれるキラル剤の螺旋誘起力を向上するように、組成物を冷却または加熱して、コレステリック液晶層38Lを形成する。つまり、支持体36上に形成された液晶組成物に含まれるキラル剤の螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)が上昇するように、塗布層に冷却処理または加熱処理を施す。 塗布層の冷却処理および加熱処理を施すことにより、キラル剤の螺旋誘起力が上昇して、液晶化合物の捩れが増して、結果として、コレステリック液晶相の配向(螺旋軸の傾き)が変化する。これにより、支持体36(コレステリック液晶層38Lの形成面)に平行な明部Bおよび暗部Dが変化して、大きな波打ち構造(凹凸構造)の明部Bおよび暗部Dを有するコレステリック液晶層38L(コレステリック液晶相状態の組成物の層)が形成される。

液晶組成物を冷却する際には、コレステリック液晶層38Lの拡散反射性がより優れる点で、組成物の温度が30℃以上下がるように、組成物を冷却することが好ましい。なかでも、上記効果がより優れる点で、40℃以上下がるように組成物を冷却することが好ましく、50℃以上下がるように組成物を冷却することがより好ましい。上記冷却処理の低減温度幅の上限値は特に制限されないが、通常、70℃程度である。 なお、上記冷却処理は、言い換えると、冷却前のコレステリック液晶相の状態の組成物の温度をT℃とする場合、T−30℃以下となるように、組成物を冷却することを意図する。 上記冷却の方法は特に制限されず、組成物が配置された基板を所定の温度の雰囲気中に静置する方法が挙げられる。

冷却処理における冷却速度には制限は無いが、コレステリック液晶相の明部Bおよび暗部Dの波打ち構造、あるいはさらに、後述する反射層の表面の凹凸を、好適に形成するためには、冷却速度を、ある程度の速さにするのが好ましい。 具体的には、冷却処理における冷却速度は、その最大値が毎秒1℃以上であるのが好ましく、毎秒2℃以上であるのがより好ましい。

液晶化合物が重合性基を有する場合、冷却処理または加熱処理を施した後、支持体36上の液晶組成物に硬化処理を施し、コレステリック液晶相を固定してもよい。この硬化処理は、冷却処理または加熱処理と同時に行ってもよく、あるいは、冷却処理または加熱処理を施した後に行ってもよい。 硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理および熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。紫外線照射には、紫外線ランプなどの光源が利用される。

図10に示す反射部材40のように、支持体36とコレステリック液晶層38Lとからなる液晶層フィルムのみを有する構成に対応する、大きな波打ち構造を有するコレステリック液晶層38Lは、前述のように、明部Bおよび暗部Dの波打ち構造におけるピーク間距離pが小さく、かつ、振幅sが大きいのが好ましい。 具体的には、大きな波打ち構造を有するコレステリック液晶層38Lでは、明部Bおよび暗部Dの波打ち構造におけるピーク間距離pは0.5〜30μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、明部Bおよび暗部Dの波打ち構造における振幅sは、0.05〜30μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましい。 大きな波打ち構造を有するコレステリック液晶層38Lが、このような波打ち構造を有することにより、より良好な、再帰反射性と、適度な拡散反射性を有する反射部材40を得ることができる。

本発明の光学装置に用いられる反射部材は、赤外線を選択的に反射するコレステリック液晶相を固定してなるものであり、かつ、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有する。 以上の例では、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に有することにより、および/または、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相に由来する明部Bと暗部Dとが波打ち構造を有するコレステリック液晶層を有することにより、反射部材が、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が互いに異なる、複数の領域を有している。 しかしながら、本発明は、これに限定はされず、反射部材は、コレステリック液晶相を固定してなり、かつ、コレステリック液晶相の螺旋軸の方向が異なる、複数の領域を有する、各種の構成が利用可能である。

一例として、図11に概念的に示す反射部材50のように、支持体28の表面に透明な半球状等の凸部52を形成し、この凸部52を覆うように、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層54を形成し、さらに、コレステリック液晶層54を覆ってオーバーコート層32を形成した構成が例示される。

この反射部材50において、凸部52は、例えば、透明な樹脂材料を含む液体の組成物を用いて、ドット30と同様にインクジェット方等で形成し、必要に応じて紫外線照射糖によって硬化して形成すればよい。あるいは、支持体として、ガラスブラストマットシートおよびマイクロレンズアレイシート等の凸部52が形成されている物を用いてもよい。 コレステリック液晶層54は、前述のような液晶化合物を含有する液晶組成物を調製し、凸部52を覆うように液晶組成物を塗布して、液晶化合物をコレステリック液晶相の状態に配向した後、液晶組成物を硬化して、形成すればよい。 凸部52の形状としては、半球状(略半球状)以外にも、球欠状(略球欠状)等、前述のドット30で例示した各種の形状が利用可能である。

また、図12に概念的に示す反射部材56のように、コレステリック液晶層58に含まれる、コレステリック液晶相の螺旋構造の螺旋軸の方向が不規則な状態である構成も利用可能である。 このような、コレステリック液晶相の螺旋構造の螺旋軸の方向が不規則なコレステリック液晶層58は、前述のような液晶組成物を、配向規制力を有さない支持体28に塗布して、同様にコレステリック液晶層58を形成する方法、コレステリック液晶相を固定してなる微粒子を分散させる方法等で、形成できる。

さらに、前述のドットフィルム24、コレステリック液晶層38およびコレステリック液晶層38Lの1以上と、コレステリック液晶層54および/またはコレステリック液晶層58とを、併用してもよい。

以上、本発明の光学装置および積層フィルムについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。

以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。

[反射フィルム01] <下地層塗布液の調製> 下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、下地層塗布液01を調製した。 (下地層塗布液01) KAYARAD PET30(日本化薬社製) 100質量部 IRGACURE 907(チバガイギー社製) 3質量部 カヤキュアーDETX(日本化薬社製) 1質量部 メチルエチルケトン 120質量部

<下地層付き支持体01の作製> 支持体として、厚さ80μmのTACフィルム(富士フイルム社製、TD80UL)を用意した。 この支持体の表面に、下地層塗布液01を、#3.6のバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒乾燥し、25℃の環境下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射して、下地層付き支持体01を作製した。

<コレステリック液晶層用塗布液IRm1の調製> 下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、コレステリック液晶層用塗布液IRm1を調製した。 (コレステリック液晶層用塗布液IRm1) 下記の棒状液晶化合物の混合物A 100質量部 IRGACURE 907(BASF社製) 3質量部 カヤキュアーDETX(日本化薬社製) 1質量部 下記のキラル剤A 3.31質量部 下記の界面活性剤F1 0.08質量部 メチルエチルケトン 250質量部

棒状液晶化合物の混合物A

キラル剤A

界面活性剤F1

コレステリック液晶層用塗布液IRm1は、選択反射中心波長900nmの光を反射するコレステリック液晶相を形成する材料である。また、コレステリック液晶層用塗布液IRm1は、右円偏光を反射するコレステリック液晶相を形成する材料である。

<コレステリック液晶層の形成(反射部材01の作製)> 下地層付き支持体01の下地層に、コレステリック液晶層用塗布液IRm1を#12のバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒乾燥し、25℃の環境下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射した。 これにより、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する反射部材01を作製した。

反射部材01をウルトラミクロトームによって断面切削し、適切な前処理を行い、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、SU8030型)を用いて断面を観察した。 その結果、反射部材01のコレステリック液晶層は、図2および図6に概念的に示すように、明部および暗部による縞模様が確認され、かつ、明部または暗部が成す連続線において、形成面に対する傾斜角度が0°となる山および谷が、多数、確認される、波打ち構造を有することが確認された。また、図7に概念的に示す、明部および暗部の波打ち構造におけるピーク間距離pの平均値は12μm、振幅sの平均値は1.2μmであった。 また、反射部材01のコレステリック液晶層は、隣接する山と谷とに挟まれた明部または暗部が成す連続線の形成面に対する角度は、殆どの領域で5°以上であった。

[反射フィルム02] <下地層塗布液02の調製> 下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、下地層塗布液02を調製した。 (下地層塗布液02) ビスコート#160(大阪有機化学社製) 100質量部 下記の界面活性剤A 0.6質量部 IRGACURE 907 (BASF社製) 3質量部 メチルエチルケトン 900質量部

<下地層付き支持体02の作製> 支持体として、厚さ80μmのTACフィルム(富士フイルム社製、TD80UL)を用意した。 この支持体の表面に、下地層塗布液02を、#2.6のバーコーターで塗布した。次いで、膜面温度が50℃になるように加熱して、60秒間乾燥した。その後、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射して、下地層付き支持体02を作製した。

<コレステリックドット用塗布液IRm2の調製> コレステリック液晶層用塗布液IRm1の、キラル剤Aを3.44質量部にした以外は、コレステリック液晶層用塗布液IRm1と同様にして、コレステリックドット用塗布液IRm2を調製した。 コレステリックドット用塗布液IRm2は、選択反射中心波長850nmの光を反射するコレステリック液晶相を形成する材料である。また、コレステリックドット用塗布液IRm2は、右円偏光を反射するコレステリック液晶相を形成する材料である。

<ドットの形成> 調製したコレステリックドット用塗布液IRm2を、インクジェットプリンター(FUJIFILM Dimatix社製、DMP−2831)によって、下地層付き支持体02の下地層に、ドット中心間距離(ピッチ)50μmで200×150mmの領域全面に打滴した。 次いで、60℃で、30秒以上乾燥した後に、紫外線照射装置により、室温で500mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて、下地層付き支持体02の表面に、コレステリック液晶相を固定してなるドットを二次元的に形成した。

作製したドットのうち、無作為に10個を選択して、ドットの形状をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)にて観察した。その結果、ドットは平均直径30μm、平均最大高さ6μm、ドット端部のドット表面と下地層表面とが両者の接触部でなす角度(接触角)は平均40°であり、ドット端部から中心に向かう方向で、連続的に高さが増加していた。 支持体28の中央に位置する1つの右円偏光反射ドット34Rについて、ドット中心を含む面で、支持体28に垂直に切削し、断面をSEMで観察した。その結果、ドット内部に図3および図4に示すような明部と暗部の縞模様が確認された。 さらに、断面図から、図3に示すように、ドットの中心を通る支持体28の表面の垂線(一点鎖線)に対する角度α1が30°の位置および60°の位置において、ドットの暗部が成す線の法線方向と、ドットの表面とが成す角度θ1およびθ2を測定した。測定は、図13に概念的に示すように、ドットの最も外側の暗部が成す線(図3における1本目の暗部が成す線Ld1(ドット端部))、ドットの最も内側の暗部が成す線(ドット中央)、および、ドット端部とドット中央との中間の暗部が成す線(ドット端部と中央の間)の、3本の暗部が成す線に対して行った。 その結果、ドット端部、ドット端部と中央の間、ドット中央の順に、90°、89°および90°であった。すなわち、このドットは、ドットの暗部が成す線の法線方向と、ドットの表面とが成す角度が、ドットの表面近傍でも、ドットの中央(最内部)でも、ドットの中間部でも、ほぼ同じであった。

<オーバーコート層用塗布液1の調製> 下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、オーバーコート用塗布液を調製した。 (オーバーコート用塗布液1) メチルエチルケトン 103.6質量部 KAYARAD DPCA−30(日本化薬社製) 30質量部 EA−200(大阪ガスケミカル社製) 25重量部 下記の化合物L 45質量部 前述の界面活性剤A 0.6質量部 IRGACURE 127(BASF社製) 3質量部

化合物L

<オーバーコート層1の形成> 調製したオーバーコート用塗布液1を、ドットを形成した下地層付き支持体02の上に、#12のバーコーターを用いて塗布した。 その後、塗膜面温度が50℃になるように塗膜を加熱し、60秒間乾燥した後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射し、架橋反応を進行させ、オーバーコート層1を作製した。

<オーバーコート層用塗布液2の調製> 下記に示す成分を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、オーバーコート用塗布液2を調製した。 (オーバーコート用塗布液2) メチルエチルケトン 103.6質量部 KAYARAD DPHA(日本化薬社製) 30質量部 前述の界面活性剤A 0.6質量部 IRGACURE 127 (BASF社製) 3質量部

<オーバーコート層2の形成(反射部材02の作製)> オーバーコート用塗布液2を、オーバーコート層1上に、#2のバーコーターを用いて塗布した。 その後、膜面温度が50℃になるように加熱し、60秒間乾燥した後に、酸素濃度100ppm以下の窒素パージ、60℃下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射し、架橋反応を進行させ、オーバーコート層2を形成し、反射部材02を得た。

[反射部材03] 反射部材02の支持体側に、粘着剤(総研化学社製、SK粘着剤)を介して、反射部材01のコレステリック液晶層側を貼合して積層した。 これを反射部材03とした。

[反射部材04] <配向膜付きTACフィルム01の作製> TACフィルム(富士フイルム社製、TD80UL)の表面に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。その後、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。 形成された膜表面に、ラビングロールで搬送方向に平行な方向に1000回転/分で回転させてラビング処理を行い、配向膜付きTACフィルム01を作製した。 (配向膜塗布液) 下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部 水 370質量部 メタノール 120質量部 グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部

<反射部材04の作製> 作製した配向膜付きTACフィルム01上に、コレステリック液晶層用塗布液IRm1を#12のバーコーターで塗布した。その後、95℃で60秒乾燥し、25℃の環境下で、紫外線照射装置により、500mJ/cm2の紫外線を照射した。 これにより、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する反射部材04を作製した。 反射部材01と同様に、反射部材04の断面を観察した。その結果、反射部材04のコレステリック液晶層は、断面に、図5に概念的に示すような、配向膜付きTACフィルム01の表面と平行で、かつ、起伏の無い平らな明部および暗部による縞模様が確認された(水平構造)。

[評価] 作製した反射部材01(実施例1)、反射部材02(実施例2)、および、反射部材03(実施例3)、反射部材としての白紙のコピー用紙(比較例2)、ならびに、作製した反射部材04(比較例3)を、粘着剤(総研化学社製、SK粘着剤)を用いてガラス板(コーニング社製、イーグルガラス)に貼着した。また、このガラス板を比較例1として用いた。 光源および赤外線カメラは、モーションキャプチャー装置(Kinectv1 Microsoft社製)の物を用いた。 ガラス貼合した各反射部材、および、ガラス板を、モーションキャプチャー装置から80cm離し、かつ、モーションキャプチャー装置の中心から30cm横にずらした場所に配置することを100回繰り返し、検出される回数を数えた。その結果、 比較例1:ガラスのみ 0回 実施例1:反射部材01(波打ち構造) 35回 実施例2:反射部材02(ドット) 15回 実施例3:反射部材03(01と02の積層体) 76回 比較例2:白紙のコピー用紙 100回 比較例3:反射部材04(水平構造) 0回 であった。 また、モーションキャプチャー装置と各反射部材との距離を40cmおよび100cmにして、同様の検出を行っても、序列は変わらなかった。これにより、透明な反射部材でも赤外線による測距装置が使用可能なことを確認した。

後述するが、本発明で用いる反射部材は、ガラスと比べて遜色の無い透明性を有する。 本発明の光学装置および通常のモーションキャプチャー装置は、光源から赤外光を照射して、再帰反射光および拡散反射光を赤外線カメラで検出することで、光源と反射部材との間に物が有ることを認識し、左右の検出場所の差(視差)によって距離を測定する。 ここで、反射部材として、ガラスのように正反射しかしないものを用いた場合には、赤外線カメラの方向に赤外光が反射されない。そのため、比較例1すなわちガラス板、および、比較例3すなわち断面における明部と暗部が水平構造である反射部材04は、上記の試験において、100回の測定のうち、1回も検出はされていない。すなわち、反射部材として、ガラスのように正反射しかしないものを反射部材として用いた場合には、反射部材の逆側を視認できる透明性は確保できるが、反射部材による再帰反射および拡散反射が無いために、光源と反射部材との間に存在する物の検出はできない。

これに対し、本発明で用いる反射部材は、ガラスと比べて遜色の無い透明性を有すると共に、上記の試験において何回も検出されている。 この結果は、本発明で用いる反射部材が、再帰反射性と拡散反射性を有していることを示しており、すなわち、この反射部材を用いる本発明の光学装置が、光源から赤外光を照射して、その再帰反射光および拡散反射光を赤外線カメラで検出することで、反射部材の逆側を視認できる透明性は確保しつつ、光源と反射部材との間に存在する物を検出できることを示している。 また、上記の試験による検出回数が多い反射部材ほど、良好な再帰反射性と拡散反射性を有している。従って、上記の試験による検出回数が多い反射部材を用いることで、光源と反射部材との間に存在する物の検出精度が高くなる。

以上のことを確認するために、実施例1〜3および比較例1〜3の反射部材を、モーションキャプチャー装置から80cmの位置に固定し、反射部材の上部10cmの位置に、手を100回出し入れした場合に、手が検出される回数を数えた。その結果、 比較例1:ガラスのみ 0回 実施例1:反射部材01(波打ち構造) 32回 実施例2:反射部材02(ドット) 18回 実施例3:反射部材03(01と02の積層体) 78回 比較例2:白紙のコピー用紙 100回 比較例3:反射部材04(水平構造) 0回 であった。以上の結果より、本発明によれば、以下に示すように反射部材の逆側を視認できる透明性を確保しつつ、光源と反射部材との間に存在する物を検出できることが確認された。

さらに、比較例で用いたガラスおよび反射部材、ならびに、実施例で用いた反射部材について、ヘイズおよび全光透過率を測定し、実施例で用いた反射部材が、ガラスと比べ遜色ない透明性であることを確認した。 測定には、日本電色工業社製のヘーズメーターNDH−2000を用いた。結果は、以下のとおりである。 比較例1:ガラスのみ、ヘイズ0.2%、全光透過率92% 実施例1:反射部材01(波打ち構造)、ヘイズ1.8%、全光透過率90% 実施例2:反射部材02(ドット)、ヘイズ2.4%、全光透過率90% 実施例3:反射部材03(01と02の積層体)、ヘイズ4.0%、全光透過率88% 比較例2:白紙のコピー用紙、ヘイズ99.9%、全光透過率0.2% 比較例3:反射部材04(水平構造)、ヘイズ0.5%、全光透過率91% 以上の結果より、本発明の効果は明らかである。

モーションキャプチャー装置として、好適に利用可能である。

10 光学装置 12 基台 14 光源 16 赤外線カメラ 20,40,50,56 反射部材 24 ドットフィルム 26 液晶層フィルム 28,36 支持体 30 ドット 32 オーバーコート層 36a 形成面 38,38L,54,58 コレステリック液晶層 54 ドット 100 層 B 明部 D 暗部 N 法線 S 方向

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