首页 / 专利库 / 资料储存系统 / 非易失性存储器 / 磁阻随机存取存储器 / 磁隧道结 / Ferromagnetic tunnel junction magnetic sensor, its manufacturing method, magnetic head, and magnetic recording/reproducing device

Ferromagnetic tunnel junction magnetic sensor, its manufacturing method, magnetic head, and magnetic recording/reproducing device

阅读:907发布:2021-10-12

专利汇可以提供Ferromagnetic tunnel junction magnetic sensor, its manufacturing method, magnetic head, and magnetic recording/reproducing device专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To improve heat resistance and an MR ratio by forming a tunnel insulation film due to the oxidation of a non-magnetic metal layer and setting the thickness of the non-magnetic metal layer to a specific value or less. SOLUTION: In a ferromagnetic tunnel junction 20, an NiFe layer 21A1 with a thickness of, for example, 17.1 nm, for constituting a lower ferromagnetic layer 21A, a Co layer 21A2 with a thickness of, for example, 3.3 nm, an insulation barrier layer 21C, a Co layer 21B1 with a thickness of, for example, 3.3 nm, for constituting an upper ferromagnetic layer 21B, an NiFe layer 21B2 with a thickness of, for example, 17.1 nm, an FeMn layer 22 with antiferromagnetism, and an NiFe layer 23 a thickness of, for example, 8.6 nm, are successively formed on an Si substrate 20A that is covered with an SiO2 film 20B. In this case, the insulation barrier layer 21C is formed by Al film being formed on the ferromagnetic layer 21A, and its thickness is set to approximately 0.5 nm or more and approximately 1.7 nm or less, thus obtaining a magnetic resistance change rate that is extremely close to a theoretical value between lower and upper ferromagnetic layers.,下面是Ferromagnetic tunnel junction magnetic sensor, its manufacturing method, magnetic head, and magnetic recording/reproducing device专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 第1の強磁性層と、 前記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化膜を含む絶縁障壁層と、 前記絶縁障壁層上に形成された第2の強磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気センサにおいて、 前記絶縁障壁層は金属層を含み、前記トンネル酸化膜は前記金属層表面上に、前記金属層を構成する金属元素の酸化物により形成されており、 前記絶縁障壁層は、約1.7nm以下で、前記トンネル酸化膜を構成する酸化物に換算した場合の厚さが1分子層以上の厚さを有することを特徴とする強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項2】 前記金属元素はAl,Hf,ZrおよびNbより選ばれることを特徴とする請求項1記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項3】 前記トンネル酸化膜は、前記金属層の自然酸化膜であることを特徴とする請求項1または2記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項4】 前記トンネル酸化膜は、前記金属層のプラズマ酸化膜であることを特徴とする請求項1または2
    記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項5】 前記金属層は酸素を、前記第1の強磁性層と接する境界面近傍において、前記金属層内部よりも酸素濃度が増大するようなプロファイルで含むことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項6】 前記金属層を構成する金属元素の酸素に対する結合エネルギは、前記第1および第2の強磁性層を構成する金属元素の酸素に対する結合エネルギよりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1〜5のうち、
    いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項7】 さらに、前記絶縁障壁層と前記第1の強磁性層との間に、トンネル電流を通過させる厚さの拡散防止層を含むことを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項8】 前記拡散防止層は、前記第1の強磁性層表面に形成された酸化膜よりなることを特徴とする請求項7記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項9】 前記絶縁障壁層は、複数の金属層と、対応する複数のトンネル酸化膜を含み、互いに隣接する前記金属層は、異なった金属元素よりなることを特徴とする請求項1〜8のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項10】 前記第1および第2の強磁性層の少なくとも一方は、複数の磁性膜の積層を含み、前記積層中、隣接する磁性膜は組成が異なることを特徴とする請求項1〜9のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項11】 前記第1および第2の強磁性層の一方に隣接して、反強磁性層を含むことを特徴とする請求項1〜10のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項12】 前記反強磁性層は、Pd,Pt,M
    n,IrおよびRhのうち、少なくとも二つの元素を含むことを特徴とする請求項11記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項13】 前記反強磁性層を構成する反強磁性材料は、規則格子相を形成することを特徴とする請求項1
    1または12記載の強磁性トンネル接合磁気センサ。
  • 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか一項記載の磁気センサを含む強磁性トンネル接合磁気ヘッド。
  • 【請求項15】 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を走査する磁気ヘッドとを備えた磁気記録/再生装置において、 前記磁気ヘッドは請求項1〜13のいずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサを含むことを特徴とする磁気記録/再生装置。
  • 【請求項16】 第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化膜を含む絶縁障壁層と、
    前記絶縁障壁層上に形成された第2の強磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法において、 前記第1の強磁性層上に、厚さが約1.7nm以下で、
    酸化物層に換算した場合の厚さが1分子層以上の金属層を堆積する工程と;前記金属層の表面を酸化して、前記金属層上に前記トンネル酸化膜を形成する工程と;前記酸化した金属層の表面に前記第2の強磁性層を形成する工程とを含むことを特徴とする強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項17】 前記金属層の表面を酸化する工程は、
    前記金属層が前記トンネル酸化膜の下に残るように実行され、前記金属層の表面を酸化する工程の後、さらに前記金属層を約200°C〜約300°Cの間の温度範囲において熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項16記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項18】 前記熱処理は約300°Cの温度において実行されることを特徴とする請求項17記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項19】 前記熱処理は、真空中において実行されることを特徴とする請求項17または18記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項20】 前記トンネル酸化膜を形成する工程は、前記金属層の表面を自然酸化する工程を含むことを特徴とする請求項16〜19のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項21】 前記トンネル酸化膜を形成する工程は、前記金属層の表面をプラズマ酸化する工程を含むことを特徴とする請求項16〜19のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項22】 さらに、前記金属層を形成する工程に先立ち、前記第1の強磁性層の表面に酸化膜を、前記酸化膜を通る電子のトンネリングが可能な程度の厚さに形成することを特徴とする請求項16〜21のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 【請求項23】 前記酸化膜はプラズマ酸化により形成されることを特徴とする請求項22記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は一般に磁気ヘッドに関し、特にいわゆる強磁性トンネル接合を利用した高感度磁気ヘッドに関する。 磁気ヘッドはビデオレコーダやテープレコーダ等の映像・音響機器からコンピュータ等の情報処理装置にいたるまで広範囲に使われている。 特に、情報処理装置においては、画像データや音声データの処理に関連して非常に大量の情報信号を記録する必要が生じており、このため記録密度の高い、大容量の高速磁気記憶装置が必要となっている。 かかる高速の大容量磁気記憶装置は所望の高い記録密度で書込みおよび読出しが可能な磁気ヘッドを必要とする。

    【0002】磁気ヘッドで読出しできる情報の記録密度、すなわち分解能は、主に磁気ヘッドのギャップ幅と記録媒体からの距離で決まる。 磁気コアにコイルを巻回したインダクション型の磁気ヘッドでは、ギャップ幅が1μmの場合に約65Mビット/平方インチの記録密度が達成されているが、将来的には20Gビット/平方インチを超える非常に高い記録密度での読み書きが可能な磁気ヘッドが必要になると予測されており、このためには非常に微弱な磁気信号を検出できる、高感度磁気センサが必要になる。 このような非常に微小な磁化スポットを高速で検出するには、従来の電磁変換器の原理にもとづくインダクション型の磁気ヘッドでは十分な分解能や感度、あるいは応答特性を与えることができない。

    【0003】かかる非常に微小な記録ドットを検出できる高感度磁気ヘッドとしては、従来より異方性磁気抵抗(MR)効果を使ったMR磁気センサあるいは巨大磁気抵抗(GMR)効果を使ったGMRセンサを備えた磁気ヘッドが提案されている

    【0004】

    【従来の技術】図20は、典型的な従来の超高分解能磁気記録/再生ヘッド10の断面図を示す。 図20を参照するに、磁気ヘッド10は、Al 23・TiC等のセラミック基板11上に形成され、前記基板11上に形成された下側磁気シールド12と、前記下側磁気シールド上に、非磁性絶縁膜13を介して形成された上側磁気シールド14と、前記上下の磁気シールド12,14により、前記磁気ヘッド10の前端部に形成された読み取りギャップ15中に配設された磁気センサ16とを含み、
    さらに前記上側磁気シールド14上には、非磁性絶縁膜17を介して磁極18が形成されている。 前記磁気シールド14と磁極18との間には、前記磁気ヘッド10の前端部において書込みギャップ19が形成され、また前記絶縁膜12中には書込みコイルパターン17Cが形成されている。

    【0005】図20の磁気ヘッド10において、磁気センサ16としては従来よりスピンバルブGMR磁気センサ等、様々な構成のGMR超高感度磁気センサが提案されている。 スピンバルブGMR磁気センサは、FeM
    n, IrMn, RhMn、さらにはPtMnあるいはP
    dPtMnN等より選ばれる反強磁性層に隣接して形成され磁化方向が前記反強磁性層により固定されたNiF
    eあるいはCo等の強磁性体よりなるピンド層と、前記ピンド層から間に介在するCu等の非磁性層を隔てて形成され、前記ピンド層と交換結合し、また磁化方向が外部磁場により変化するNiFeあるいはCo等の強磁性体よりなるフリー層とを含み、フリー層の磁化方向がピンド層の磁化方向に対してなす度に応じて磁気センサの抵抗が変化する。

    【0006】しかし、このようなGMR磁気センサは、
    特に非磁性層が強磁性層に隣接して形成される構造上の特徴に関連して、加熱処理に対して脆弱である問題点を一般に有する。 一方、図20の磁気ヘッド10を製造する場合、以下に説明するように、250°C〜300°
    Cにおける熱処理が磁気センサに加えられるのは一般に不可避である。

    【0007】図21(A)〜(C)および図22(D)
    〜(E)はかかる図20の磁気ヘッド10の典型的な製造工程を示す。 図21(A)を参照するに、磁気センサ16および上側磁気シールド14を含む磁気構造を形成した後、最上部の上側磁気シールド14上に前記書き込みギャップ19に対応する薄い絶縁膜を形成し、さらに前記絶縁膜上にレジストパターン17Aを形成する。

    【0008】次に、図21(B)の工程で図21(A)
    の構造を250°C〜300°Cの温度で熱処理し、前記レジストパターン17Aの垂直に屹立する前端面をリフローにより鈍らせ、湾曲したスロープ面を形成する。
    さらに図21(C)の工程で前記熱処理されたレジストパターン17A上にコイルパターン17Cが形成され、
    さらに前記コイルパターン17Cを埋めるように別のレジストパターン17Bが形成される。 形成されたレジストパターン17Bは図21(A)の状態におけるレジストパターン17Aと同様に垂直に屹立する前端面を有するが、図21(C)の構造はさらに図22(D)の工程で250°C〜300°Cの温度で熱処理され、レジストパターン17Bの前端面が鈍らされる。 すなわち、図22(D)の熱処理およびリフローの結果、前記レジストパターン17Bの前端面は湾曲したスロープ形状を形成する。

    【0009】さらに、図22(E)の工程において図2
    2(D)の構造上に磁極18が形成され、図1の構造の磁気ヘッド10が形成される。 上記図21(A)〜22
    (E)の工程では、レジスト層17A、17Bのリフローが磁気センサ16が形成された後でなされるため、図21(B)の工程と図22(D)の工程において、前記磁気センサ16は計2回にわたって250°C〜300
    °Cの温度での熱処理を受けることになるが、磁気センサ16がGMR磁気センサの場合、このような熱処理の結果、GMR磁気センサに特徴的な大きな磁気抵抗変化率の大部分は失われてしまう。 また、スピンバルブ磁気センサでは、ピンド層にPtMnあるいはPdPtMn
    N等を使う場合、反強磁性層を結晶化させる必要があるが、このためにも250°C以上の温度での熱処理が不可欠である。

    【0010】一方、磁気ヘッド10等の超高分解能磁気ヘッドの磁気センサとして、一対の強磁性層の間にトンネル絶縁膜を挟持した構成の強磁性トンネル接合磁気センサを使用することが提案されている。 かかる強磁性トンネル接合磁気センサは微弱な磁場変化に対して非常に大きな磁気抵抗変化を示すと考えられ、かかる超高分解能磁気ヘッド10の超高感度磁気センサとして有望である。

    【0011】図23(A),(B)は、かかる強磁性トンネル接合磁気センサ16の原理を説明する図である。
    図23(A),(B)を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ16は、NiFeあるいはCo等よりなる下側強磁性層16Aと上側強磁性層16Bとの間に挟持された厚さが数nm程度の組成がAlO xで表されるトンネル絶縁膜16Cを備え、上向きスピンを有する電子および下向きスピンを有する電子が、前記トンネル絶縁膜16C中を、前記トンネル絶縁膜16Cの主面に略垂直な方向に流れるトンネル電流を形成する。

    【0012】図23(A),(B)中、図4(A)は外部磁場が実質的に存在しない状態を示し、強磁性層16
    A中の磁化方向と強磁性層16B中の磁化方向とが、前記層16A,16B間に作用する交換相互作用により、
    反平行になっている。 これに対し、図23(B)の状態では外部磁場Hにより、強磁性層16Aおよび16B中に磁化方向が平行になっている。

    【0013】このような構成の強磁性トンネル接合磁気センサでは、前記トンネル電流のトンネル確率が上下の強磁性層16A,16Bの磁化状態に依存して変化し、
    その結果磁気センサのトンネル抵抗Rが、外部磁場Hにより、関係式 R=Rs +(1/2)ΔR(1−cosθ) (1) により変化する。 ただし、上式中Rs は磁性層16A,
    16Bの磁化方向が平行である場合のトンネル抵抗を表し、θは磁性層16A中の磁化と磁性層16B中の磁化がなす角度を示す。 またΔRは磁性層16A,16B中の磁化方向が平行である場合と反平行である場合のトンネル抵抗の差を表し、常に正の値を有する。 前記ΔRを使い、トンネル抵抗変化率がΔR/Rs で定義される。

    【0014】式(1)よりわかるように、トンネル抵抗Rは磁性層16A,16Bの磁化方向が平行である場合に最小になり、反平行である場合に最大になる。 かかる磁気抵抗の変化は、前記電子流が上向きスピンを有する電子(アップスピン電子)と下向きスピンを有する電子
    ( ダウンスピン電子)とを含むことに起因する。 一般に非磁性体ではアップスピン電子の数とダウンスピン電子の数は等しく、このため非磁性体は全体としては磁性を示さない。 これに対し、強磁性体内ではアップスピン電子の数とダウンスピン電子の数とが異なり、従って強磁性体は全体として上向きあるいは下向きの磁化を示す。

    【0015】このような強磁性体層16A,16Bの間を電子がトンネルする場合、電子のスピン状態はトンネルの前と後で保存されるが、このことはまた、電子が一方の強磁性体層から他方の強磁性体層にトンネルするには、前記他方の強磁性体層中に、前記当該電子のスピン状態に対応した空きエネルギ準位が存在する必要があることを意味している。 このような空きエネルギ準位が存在しない場合、電子のトンネルは生じない。

    【0016】前記トンネル抵抗の変化率ΔR/Rs (M
    R比)は電子源強磁性層16B中のスピン分極率とトンネル先強磁性層16Aのエネルギ準位における分極率との積として、次式 ΔR/Rs =2P 12 /(1−P 12 ) により表される。 ただし、P 1は強磁性層16B中のスピン分極率を、またP 2は強磁性層16A中の空き準位のスピン分極率を表す。 P 1およびP 2は P 1 ,P 2 =2(N up −N down )/(N up +N down ) で与えられる。 ただしN upはアップスピン電子数ないしアップスピン電子に対する準位数を、またN downはダウンスピン電子数ないしダウンスピン電子に対する準位数を表す。

    【0017】一般にスピン分極率P 1 ,P 2は強磁性材料の種類に依存するが、材料によっては50%近い値が得られる場合もあり、従ってかかる強磁性トンネル接合を使った磁気センサでは、異方性磁気抵抗効果や巨大磁気抵抗効果(いわゆるGMR)を使った磁気センサよりもはるかに大きい、数十%に達する磁気抵抗変化率が期待される。 すなわち、強磁性トンネル接合磁気センサを使った磁気ヘッドは、非常に高分解能な磁気記録再生に有効であると期待されている。 例えば特開平4−103
    014号公報を参照。

    【0018】

    【発明が解決しようとする課題】しかし、強磁性トンネル接合を使った磁気センサで実現されているMR比は、
    現状では予期に反して前記理論値よりもはるかに小さく、室温で20%を超える素子を製作したとの報告は数例しかない。 しかも、これらの成功例においても、MR
    比が経時変化により減少したり、あるいは素子の耐圧が低く、そのため抵抗値の変化を検出するのが困難である等の問題が生じている。 これは、素子製造工程中におけるパーティクル等の混入等により、薄いトンネル絶縁膜と隣接する磁性層との間の界面に欠陥が生じていることによるものと考えられる。

    【0019】従来より、図23(A),(B)の構造において強磁性トンネル接合を構成する薄い絶縁膜16C
    は、Al層を下側磁性層16A上にスパッタリング等により5nm(50Å)程度の厚さに堆積し、これを酸化することにより、AlO x層の形で形成されるのが一般的であるが(T. Miyazaki and N. Tezuka, J. Magn.Mat
    er.139, 1995, L231 )、このような構成の強磁性トンネル接合は、前記絶縁膜16Cを担持する非磁性のAl
    層が実質的な厚さを有しているため、得られるMR比が低いという問題点を有している。

    【0020】また、図21(A)〜22(E)の磁気ヘッドの製造工程、特に図21(B)あるいは図22
    (D)の熱処理工程において、前記Al層がその下の前記強磁性層16Aと反応して強磁性層16A中に非磁性の固溶体を形成してしまうおそれがある。 すなわち、従来の強磁性トンネル接合磁気センサは、GMR磁気センサと同様に熱処理に対して脆弱である問題点を有していると考えられる。

    【0021】図24は、厚さが3nmのCo膜上にAl
    膜を10nmの厚さに堆積した構造における磁化M
    sを、熱処理温度を様々に変化させて測定した結果を示す。 図24よりわかるように、熱処理温度が高くなるにつれて磁化M sは減少しており、Al膜中の非磁性Al
    原子がCo膜中に固溶していることを示している。 そこで、図23(A),(B)の強磁性トンネル接合磁気センサ16において、非磁性原子がトンネル絶縁膜16C
    からその下の強磁性層16Aに実質的な量だけ固溶した場合、上側強磁性層16A中の電子は下側強磁性層16
    Bに、磁性層16Bの磁化方向に関係なくトンネルすることが可能になり、MR比は実質的に低下してしまう。

    【0022】かかる強磁性トンネル接合磁気センサの耐熱性を向上させるために、例えば特開平4−10301
    3号公報にはトンネル絶縁膜としてIIIb−Vb族化合物を使うことを開示しているが、上記提案による強磁性トンネル接合磁気センサのMR比は4.2Kで5%程度にしかならない。 そこで、本発明は上記の課題を解決した新規で有用な磁気センサおよびその製造方法を提供することを概括的課題とする。

    【0023】本発明のより具体的な課題は、耐熱性に優れ、安定した高いMR比を有する強磁性トンネル接合磁気センサおよびその製造方法を提供することにある。

    【0024】

    【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を請求項1に記載したように、第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化膜を含む絶縁障壁層と、前記絶縁障壁層上に形成された第2の強磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気センサにおいて、
    前記絶縁障壁層は金属層を含み、前記トンネル酸化膜は前記金属層表面上に、前記金属層を構成する金属元素の酸化物により形成されており、前記絶縁障壁層は、約1.7nm以下で、前記トンネル酸化膜を構成する酸化物に換算した場合の厚さが1分子層以上の厚さを有することを特徴とする強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項2に記載したように、前記金属元素はAl,Hf,ZrおよびNbより選ばれることを特徴とする請求項1記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項3に記載したように、前記トンネル酸化膜は、前記金属層の自然酸化膜であることを特徴とする請求項1または2記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項4に記載したように、前記トンネル酸化膜は、前記金属層のプラズマ酸化膜であることを特徴とする請求項1または2記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項5に記載したように、前記金属層は酸素を、前記第1の強磁性層と接する境界面近傍において、前記金属層内部よりも酸素濃度が増大するようなプロファイルで含むことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項6に記載したように、前記金属層を構成する金属元素の酸素に対する結合エネルギは、前記第1および第2の強磁性層を構成する金属元素の酸素に対する結合エネルギよりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1〜5のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項7に記載したように、さらに、前記拡散障壁層と前記第1の強磁性層との間に、トンネル電流を通過させる厚さの拡散防止層を含むことを特徴とする請求項1〜
    6のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項8に記載したように、前記拡散防止層は、前記第1の強磁性層表面に形成された酸化膜よりなることを特徴とする請求項7記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項9に記載したように、前記絶縁障壁層は、複数の金属層と、対応する複数のトンネル酸化膜を含み、互いに隣接する前記金属層は、異なった金属元素よりなることを特徴とする請求項1〜8のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項10に記載したように、前記第1および第2の強磁性層の少なくとも一方は、複数の磁性膜の積層を含み、前記積層中、隣接する磁性膜は組成が異なることを特徴とする請求項1〜9のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項11に記載したように、前記第1および第2の強磁性層の一方に隣接して、反強磁性層を含むことを特徴とする請求項1〜10のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項12に記載したように、前記反強磁性層は、
    Pd,Pt,Mn,IrおよびRhのうち、少なくとも二つの元素を含むことを特徴とする請求項11記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項13
    に記載したように、前記反強磁性層を構成する反強磁性材料は、規則格子相を形成することを特徴とする請求項11または12記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項14に記載したように、請求項1〜
    13のいずれか一項記載の磁気センサを含む強磁性トンネル接合磁気ヘッドにより、または請求項15に記載したように、磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を走査する磁気ヘッドとを備えた磁気記録/再生装置において、
    前記磁気ヘッドは請求項1〜13のいずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサを含むことを特徴とする磁気記録/再生装置により、または請求項16に記載したように、第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化膜を含む絶縁障壁層と、前記絶縁障壁層上に形成された第2の強磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法において、前記第1の強磁性層上に、厚さが約1.7nm以下で、酸化物層に換算した場合の厚さが1分子層以上の金属層を堆積する工程と;前記金属層の表面を酸化して、前記金属層上に前記トンネル酸化膜を形成する工程と;前記酸化した金属層の表面に前記第2の強磁性層を形成する工程とを含むことを特徴とする強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項17に記載したように、前記金属層の表面を酸化する工程は、前記金属層が前記トンネル酸化膜の下に残るように実行され、前記金属層の表面を酸化する工程の後、さらに前記金属層を約200°C〜約300°Cの間の温度範囲において熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項16記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項18に記載したように、前記熱処理は約300°
    Cの温度において実行されることを特徴とする請求項1
    7記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項19に記載したように、前記熱処理は、真空中において実行されることを特徴とする請求項17または18記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項20に記載したように、
    前記トンネル酸化膜を形成する工程は、前記金属層の表面を自然酸化する工程を含むことを特徴とする請求項1
    6〜19のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項21に記載したように、前記トンネル酸化膜を形成する工程は、
    前記金属層の表面をプラズマ酸化する工程を含むことを特徴とする請求項16〜19のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項22に記載したように、さらに、前記金属層を形成する工程に先立ち、前記第1の強磁性層の表面に酸化膜を、前記酸化膜を通る電子のトンネリングが可能な程度の厚さに形成することを特徴とする請求項16〜
    21のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項23に記載したように、前記酸化膜はプラズマ酸化により形成されることを特徴とする請求項22記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、解決する。 [作用]本発明によれば、絶縁障壁層をAl等の金属層とし、トンネル酸化膜をその表面酸化により形成した構成の強磁性トンネル接合において、前記金属層の厚さを1.7nm以下に設定することにより、第1の強磁性層とトンネル酸化膜との間に介在する非磁性金属層の厚さが非常に薄くなり、第1の強磁性層と第2の強磁性層との間の電子のトンネリングの際に電子のスピン状態が実質的に保存される。 このため、第1の強磁性層と第2の強磁性層との間で理論値に近い、非常に大きな磁気抵抗変化率(MR比)が実現される。 また、前記金属層の厚さを前記金属層の酸化により形成される酸化層の1分子層に対応する厚さよりも大きくすることにより、トンネル接合の短絡を回避することができる。

    【0025】特に、本発明では、かかる強磁性トンネル接合に対して約200°C〜約300°C、より好ましくは約300°Cの温度で熱処理を行うことにより、トンネル接合を安定化することが可能になる。 これは、前記トンネル酸化膜を担持する金属層を、酸素に対する結合エネルギが前記第1の強磁性層の酸素に対する結合エネルギよりも大きいような金属元素により形成した場合、熱処理の結果、前記第1の強磁性層表面の酸素が前記金属層にAlO x等の形で吸収されることにより、接合の特性が向上することによるものと考えられる。

    【0026】図1(A),(B)は、本発明において磁気ヘッドあるいは磁気センサにつかわれる強磁性トンネル接合20を示すそれぞれ平面図および断面図である。
    最初に図1(B)の断面図を参照するに、強磁性トンネル接合20はSiO 2膜20Bで覆われたSi基板20
    A上に形成されており、図23(A),(B)に示した下側強磁性層16Aに対応し、下側強磁性層21Aを構成する厚さが17.1nmのNiFe層21A 1とその上の厚さが3.3nmのCo層21A 2と、図23
    (A),(B)に示した絶縁障壁層16Cに対応する絶縁障壁層21Cと、図23(A),(B)に示した上側強磁性層16Bに対応し、上側強磁性層21Bを構成する厚さが3.3nmのCo層21B 1とその上の厚さが17.1nmのNiFe層21B 2とを含み、さらに前記NiFe層21B 2上に反強磁性を有するFeMn層22が、上側強磁性層21Bの磁化方向をピニングするために形成されている。 さらに、前記FeMn層22上には別のNiFe層23が8.6nmの厚さに形成されている。

    【0027】図1(A)の平面図を参照するに、前記下側強磁性層21Aと前記上側強磁性層21Bとは図1
    (A)の平面図上で交差する導体ストリップを形成しており、交点に対応して前記絶縁障壁層20Cが形成されている。 また、FeMn層22およびその上のNiFe
    層23は上側磁性層21Bと同一形状にパターニングされている。 前記下側強磁性層21Aと上側強磁性層21
    Bとの間には電流源により駆動電流が流され、間に生じる電位差を検出することにより絶縁障壁層21Cのトンネル抵抗が測定される。 前記上側強磁性層21Bの磁化方向は反強磁性層22により固定されているのに対し、
    下側強磁性層21Aの磁化方向は外部磁場により変化するため、絶縁障壁層21Cのトンネル抵抗は外部磁場により変化する。

    【0028】図2は、図1(A),(B)の強磁性トンネル接合構成において前記絶縁障壁層20Cを前記強磁性層20A上に形成したAl膜により形成し、その表面に自然酸化によりトンネル酸化膜を形成した場合の磁気抵抗変化率を、前記Al膜の厚さを様々に変化させながら求めた実験結果を示す。 図2を参照するに、自然酸化させたAl膜21Cは表面にAl 23自然酸化膜をトンネル酸化膜として担持し、このため組成が一般にAl
    xと表されるが、膜21Cの厚さが0.5nmから1.7nmの間では、おおよそ10〜15%の非常に大きい磁気抵抗変化率が得られていることがわかる。 前記Al 23自然酸化膜は、典型的には前記Al膜21C
    の表面を100時間以上自然酸化することで形成される。 Al膜21Cの自然酸化が100時間未満だと、A
    23トンネル酸化膜の形成が不安定になり、接合に短絡が生じやすい。

    【0029】一方、Al膜21Cの厚さが前記1.7n
    mを超えて2.1nmに達すると、磁気抵抗変化率は急激に5%あるいはそれ以下にまで低下してしまう。 これは、非磁性金属であるAl膜の厚さが過大になり、通過する電子のトンネリングが電子のスピン状態如何によらず高い確率で生じるようになるためと考えられる。 一方、前記Al膜21Cの厚さがAl 23膜の厚さに換算して1分子層になる0.5nm(5Å)以下になるとトンネル酸化膜の形成が不安定になり、先に延べたように接合が短絡しやすい問題が生じる。 このことから、図1(A),(B)の強磁性トンネル接合20は、絶縁障壁層21Cの厚さを約0.5nm以上で約1.7nm以下に設定するのが好ましいことが結論される。

    【0030】図2の実験結果は、一方で強磁性トンネル接合20の磁気抵抗変化率が大きくばらついていることを示している。 これに対して、本出願の基礎になる研究において、本発明の発明者は強磁性トンネル接合20を真空雰囲気中、様々な温度で加熱処理し、磁気抵抗変化率を測定した。 図3は、かかる加熱処理した強磁性トンネル接合の磁気抵抗変化率を示す。 熱処理は、各温度のおいて、1×10 -5 Torrの真空中、1時間行った。

    【0031】図3を参照するに、熱処理温度が室温から200°Cの範囲の場合、大部分の試料において5〜1
    0%の磁気抵抗変化率が得られたが、熱処理温度を20
    0°C〜300°Cに設定した場合、一部の試料の磁気抵抗変化率は15〜20%まで増大したのに対し、一部の試料の磁気抵抗変化率は0%近くまで減少する結果が得られた。 さらに、熱処理温度を300°C以上まで上昇させると、すべての試料において磁気抵抗変化率が減少するのがわかる。

    【0032】さらに、図3の実験において200°C〜
    300°Cの温度範囲での熱処理により磁気抵抗変化率が増大した試料について、電流値を5mAとした通電試験を行ったところ、10日間経過しても短絡や磁気抵抗変化率の減少等の不良の発生率が2%程度にしか過ぎないことが確認された。 一方、熱処理前の試料について同様な通電試験を行ったところ、不良の発生率は32%程度に達していることがわかった。 このことから、前記2
    00°C〜300°Cの温度における熱処理で磁気抵抗変化率が低下した試料は、接合形成直後にすでに潜在的欠陥を含んでいたものと考えられる。 このことは、かかる200°C〜300°Cでの熱処理を行うことにより、良品の強磁性トンネル接合磁気センサの磁気抵抗変化率を最大化し、同時に不良品を選別することができることを意味している。

    【0033】図4(A)は、加熱処理を行わない強磁性トンネル接合20に対して外部磁場Hを印加した場合の磁気抵抗変化率および磁気抵抗Rの変化を示す。 図4
    (A)を参照するに、図中に二つの曲線が示されているのは、磁気抵抗Rの変化が、外部磁場Hを−100Oe
    から+100Oeまで変化させた場合と+100Oeからー100Oeまで変化させた場合とで異なる理由による。 図4(A)よりわかるように、加熱処理を行わない強磁性トンネル接合20では、図3の結果に対応して1
    0〜11%程度の磁気抵抗変化率が達成されている。

    【0034】これに対し、図4(B)は強磁性トンネル接合20に300°Cの加熱処理を行った場合の磁気抵抗変化率および磁気抵抗Rの変化を示す。 図4(A)と同様に、図4(B)においても外部磁場を−100Oe
    から+100Oeまで変化させた場合の曲線と外部磁場を+100Oeから−100Oeまで変化させた場合の曲線とが示されている。

    【0035】図4(B)の結果では、300°Cにおける加熱処理の結果、磁気抵抗変化率が図4(A)の10
    〜11%に対して23〜24%と、約2倍にまで増大していることがわかる。 図3あるいは図4(A),(B)
    に見られる強磁性トンネル接合の加熱処理による磁気抵抗変化率の向上は、従来予期されていたものとは逆になっているが、おそらく図5(A),(B)に示すメカニズムによるものと考えられる。

    【0036】図5(A)を参照するに、一般に下側強磁性層21Aの一部をなすCo層21A 2の表面には、スパッタリングの工程、特に磁性層21Aのパターニングに関連してごく薄い非磁性のCo自然酸化膜が形成されるのが不可避であると考えられるが、この上に金属Al
    層21Cを形成し、その表面を自然酸化してAlO x層とした場合、Alと酸素の結合エネルギはCoと酸素の結合エネルギよりも大きいため、強磁性トンネル接合2
    0を200°C〜300°Cの温度で加熱処理した場合、Co層21A 2中のCo自然酸化膜から酸素がAl
    層21Cに移動し、結果的に図5(B)に示すようにC
    o層21A 2中の酸素濃度が減少すると考えられる。 また、前記Al層21C上にはCo層21B 1が形成されるが、同様な酸素結合エネルギの差異により、酸素がA
    lO x層21CからCo層21B 1に移動してその磁気特性を劣化させる問題は生じない。 かかる酸素の移動が生じるには、図5(A)の加熱処理前の段階で、前記C
    o層21A 2に金属Alが接触する必要があり、このため前記AlO x層21Cの下部には金属Alが残留していることが必要である。 一方、図5(B)の加熱処理後の段階では、AlO x層21Cの下部において、Co層21A 2から移動した酸素により酸素濃度が増大する傾向が見られると考えられる。

    【0037】この場合にも、前記AlO x層21C全体の厚さを薄く、例えば先に説明したように1.7nm以下に設定しておくことにより、AlO x層21C全体が酸化され、AlO x層21C中に非磁性Al層が残留することによる強磁性トンネル接合磁気センサの特性の劣化が回避される。 一方、図6に示すように、加熱処理前の段階においてAlO x層21C全体が酸化していた場合には、加熱処理の結果AlO x層21Cから酸素がC
    o層21A 2中に侵入してしまい、Co層21A 2の磁気特性が劣化してしまう。

    【0038】また、加熱処理の温度が高すぎると、Al
    x層21Cから隣接するCo層21A 2あるいは21
    1にAlが拡散してしまい、固溶体形成により磁気特性が劣化する。

    【0039】

    【発明の実施の形態】[第1実施例]図7は、本発明の第1実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ30の構成を示す。 図7を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ30は先に説明した強磁性トンネル接合磁気センサ20と実質的に同一の構成を有し、厚さが約3nm
    のSiO 2膜31Aで覆われたSi基板31と、前記S
    i基板31上に形成され、磁気センサ30の下側強磁性層30Aの一部を構成する厚さが17.1nmのNiF
    e層32Aとその上の厚さが3.3nmの、同じく下側強磁性層30Aの一部を構成するCo層32Bと、前記Co層32B上に形成された絶縁障壁層30Cと、前記絶縁障壁層30C上に形成され、上側強磁性層30Bの一部を構成する厚さが3.3nmのCo層33Aとその上の厚さが17.1nmの、同じく上側強磁性層30B
    の一部を構成するNiFe層33Bとを含み、さらに前記NiFe層33B上には反強磁性を有するFeMn層34が、上側強磁性層30Bの磁化方向をピニングするために形成されている。 さらに、前記FeMn層34上には別のNiFe層35が8.6nmの厚さに形成されている。

    【0040】NiFe強磁性層32AおよびCo強磁性層32Bは前記SiO 2膜31A上にスパッタリングにより形成され、また前記絶縁障壁層30Cは、前記Co
    強磁性層32B上に金属Alをスパッタリングにより堆積し、形成された金属Al層の表面を100時間あるいはそれ以上自然酸化することにより形成される。 さらに、前記絶縁障壁層30C上にCo強磁性層33AおよびNiFe強磁性層33Bを順次スパッタリングにより形成し、その上にFeMn反強磁性層34およびNiF
    e強磁性層35を順次スパッタリングにより形成する。
    スパッタリングの際、適当なマスクを使うことにより、
    磁気センサ30を、例えば図1(A)に示したような、
    任意の平面形状を有するように形成することができる。

    【0041】上側強磁性層30Bおよび下側強磁性層3
    0Aの、絶縁障壁層30Cに接する部分にCo層33A
    あるいは32Bを使うのは、Co層中における電子のスピン分極率がNiFe層中におけるよりも高いためである。 また、前記下側強磁性層30Aを形成する場合、磁性層32Aおよび32Bのスパッタリングは、図7中紙面に垂直方向に作用する外部磁場中において実行される。 一方、前記上側磁性層30Bを形成する場合、磁性層33Aおよび33Bのスパッタリングは、図7中、右から左あるいは左から右に作用する外部磁場を印加した状態で実行される。

    【0042】図7の構造の強磁性トンネル結合磁気センサ30は、先に図4(A)で説明したように、そのままでも10%を超える磁気抵抗変化率を示すが、さらに真空雰囲気中において200°C〜300°Cの温度で熱処理することにより、先に図4(B)で説明したように、20%を超える磁気抵抗変化率を安定して示すようになる。

    【0043】さらに、かかる200°C〜300°Cの温度で熱処理を行う場合には、前記反強磁性層34として、FeMnのかわりにPdPtMn合金を使うことも可能である。 PdPtMn合金は200°C程度の加熱処理では、強磁性層33Aおよび33Bの磁化方向をピニングするに十分な交換結合磁界を発生することはできないが、300°Cの加熱処理を行うと、合金内にCu
    Au−I型の規則格子構造が形成され、これに伴い22
    0Oeに達する交換結合磁界が形成される。 前記規則格子の形成は、X線回折により確認されている。 PdPt
    Mn合金は非常に大きな交換結合磁界を発生できるため、従来よりスピンバルブGMR磁気センサ等において有望なピニング層の材料として認識されていたが、この材料を加熱処理して所望の交換結合磁界を発生させるためには300°C程度の高い温度が必要であり、従来の磁気センサでは使用することができなかった。 これに対し、本発明の強磁性トンネル結合磁気センサでは耐熱性が300°C以上に達しているため、この有望な材料を問題なく使うことが可能になる。

    【0044】図8は、かかるトンネル接合磁気センサ3
    0の磁場検出特性を示す。 図8を参照するに、磁気センサ30は±60Oeの外部磁場強度変化に対応して2m
    Vに達する大きさの出電圧を出力することができることがわかる。 ところで、図7の構造において、前記絶縁障壁層30C中におけるトンネル酸化膜は自然酸化膜に限定されるものではなく、酸素プラズマ中におけるプラズマ酸化法によって形成してもよい。

    【0045】図9は、前記絶縁障壁層30C中において、Al膜表面にAl 23トンネル酸化膜を酸素プラズマ酸化により形成した場合の、絶縁障壁層30Cのトンネル抵抗率を示す。 図9よりわかるように、プラズマ酸化時間を60秒間以内に設定しておけば、実質的なトンネル電流が通過可能なトンネル酸化膜が絶縁障壁層4
    0C中に形成される。 これに対し、プラズマ酸化時間をさらに延長すると、トンネル酸化膜の厚さが増大し、トンネル抵抗が増大してしまう。

    【0046】図10は、前記Al 23トンネル酸化膜をプラズマ酸化により形成した場合のプラズマ酸化時間と得られる磁気抵抗変化率との関係を示す。 図10を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ30の磁気抵抗変化率は、加熱処理を行わない場合にはプラズマ酸化時間が40秒間程度でおおよそ10〜15%、プラズマ酸化時間が120秒間程度でおおよそ1〜7%であるのに対し、300°Cで加熱処理を行った場合、40秒間のプラズマ酸化で20〜25%まで増大することがわかる。 一方、前記300°Cで加熱処理を行った場合、プラズマ酸化時間を40秒以上とすると磁気抵抗変化率は急激に低下し、60秒以上プラズマ酸化を行った場合には磁気抵抗変化率は5%以下にまで低下することがわかる。

    【0047】これは、Al膜のプラズマ酸化を40秒間を超えて長時間行った場合、絶縁障壁層30Cを構成するAl膜の全体が酸化されてしまい、そのため先に図6
    で説明したように300°Cでの熱処理の結果、絶縁障壁層30Cからその下のCo強磁性層32Bに酸素原子が拡散することを示していると考えられる。 一方、プラズマ酸化を40秒間以内にした場合、前記絶縁障壁層3
    0Cの下部には金属Alが残存し、図5(A),(B)
    で説明したメカニズムによる酸素の、強磁性層32B表面から絶縁障壁層30Cへの移動が生じているものと考えられる。 [第2実施例]先に図5(A),(B)で説明したように、下側強磁性層の表面に薄いCo酸化膜が形成されていても、絶縁障壁層の下部に金属Alが残留している場合、加熱処理を行うとCo酸化膜による磁気特性の劣化、より具体的にはトンネリングする電子のスピン分極率の劣化が補償され、磁気センサの特性が向上する。

    【0048】一方、このことはまた、適切な条件であれば、前記下側強磁性層と絶縁障壁層との間に薄い酸化膜を介在させてもよいことを意味している。 このような薄い酸化膜は絶縁障壁層中のAlと下側強磁性層中のCo
    とが相互拡散をするのを抑止する拡散防止層として作用する。 かかる拡散防止層を挿入することにより、強磁性トンネル接合磁気センサの特性を劣化させることなく、
    磁気センサを安定に、高い歩留まりで製造できるようになると考えられる。

    【0049】図11は本発明の第2実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ40の構成を示す。 図11を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ40は、Si
    2膜(図示せず)で覆われたSi基板41と、前記S
    i基板41上に形成され、磁気センサ40の下側強磁性層40Aの一部を構成する厚さが17.1nmのNiF
    e層42Aとその上の厚さが3.3nmの、同じく下側強磁性層40Aの一部を構成するCo層42Bと、前記Co層42B上に形成されたCo酸化膜42Cとを含み、前記Co酸化膜42C上にはさらに強磁性トンネル接合磁気センサ40の絶縁障壁層40Cと、前記絶縁障壁層40C上に形成され、強磁性トンネル接合磁気センサ40の上側強磁性層40Bの一部を構成する厚さが3.3nmのCo層43Aとその上の厚さが17.1n
    mの、同じく上側強磁性層40Bの一部を構成するNi
    Fe層43Bとを含み、さらに前記NiFe層43B上には反強磁性を有するFeMn層44が、上側強磁性層40Bの磁化方向をピニングするために形成されている。 さらに、前記FeMn層44上には別のNiFe層45が8.6nmの厚さに形成されている。

    【0050】本実施例においても先の実施例と同様に、
    磁性層42Aおよび42B、あるいは磁性層43A,4
    3B、さらに44〜45はスパッタリングにより形成される。 一方、絶縁障壁層40Cは、Al膜をスパッタリングにより1.3nmの厚さに形成し、さらにその表面を自然酸化あるいは酸素プラズマ酸化することにより実行される。 また、前記Co酸化膜42Cも、Co層42
    Bの表面を自然酸化、熱酸化あるいはプラズマ酸化することにより形成される。 例えばCo酸化膜42Cを自然酸化により形成する場合、Co層42Bの表面を酸素雰囲気に約1時間暴露する。 このようにして形成されるC
    o酸化膜42Cは必ずしもストイキオメトリックな組成CoOを有するものには限定されず、一般にCoO xで表される組成のものも含む。

    【0051】先の実施例と同様、上側強磁性層40Bおよび下側強磁性層40Aの、絶縁障壁層40Cに接する部分にCo層43Aあるいは42Bを使うのは、Co層中における電子のスピン分極率がNiFe層中におけるよりも高いためである。 また、前記下側強磁性層40A
    を形成する場合、磁性層42Aおよび42Bのスパッタリングは、図11中紙面に垂直方向に作用する外部磁場中において実行される。 一方、前記上側磁性層40Bを形成する場合、磁性層43Aおよび43Bのスパッタリングは、図11中、右から左あるいは左から右に作用する外部磁場を印加した状態で実行される。

    【0052】Co酸化膜42Cを形成することにより、
    Co層42Bとその上の絶縁障壁層40C中の金属Al
    膜との間の、Al原子およびCo原子の相互拡散反応、
    およびこれに伴う固溶体形成反応が効果的に抑止され、
    特に磁気センサ40の製造工程が加熱処理を含む場合に、磁気センサ40を安定に、高い歩留まりで製造することが可能になる。

    【0053】図12は、表面を自然酸化したCo層上にAl層を形成した構造を、50°C〜350°Cの範囲の温度で加熱処理した場合のCo層の磁化Msの変化を示す。 図12を参照するに、この温度範囲の熱処理では、Co層の磁化Msは実質的に変化しておらず、図2
    4のCo層とAl層とが直接に接している場合に生じていたような、Co原子とAl原子の相互拡散は、Co層上に自然酸化膜を形成するだけで、簡単に回避することができることを示している。

    【0054】図11の構造の強磁性トンネル接合磁気センサ40では強磁性層42Bと強磁性層43Aとの間にCoO酸化膜42Cが余計に追加されているため、電子のスピン分極率が低下し、その結果磁気センサの磁気抵抗変化率が低下してしまうことが懸念される。 しかし、
    かかるスピン分極率の低下は、前記絶縁障壁層40Cを構成するAl層の厚さを1.7nm以下、例えば1.3
    nm程度まで減少させることにより最小化することが可能である。

    【0055】さらに、先に図5(A),(B)あるいは図10で説明した熱処理に伴う酸素原子のAl層への移動に伴い、図11の構造において前記CoO酸化膜42
    は厚さが減少し、また場合によっては消滅する可能性がある。 この場合には、図10で説明した加熱に伴う抵抗変化率の減少でなく増大が、図11の強磁性トンネル接合磁気センサ40においても生じる。 実際、先に説明した図3の関係は、スパッタの際のマスク交換に伴い、図1(B)のCo層21A 2が大気に暴露され、表面に図11の膜42Cに対応するCoO自然酸化膜が形成された構造についてのものである。

    【0056】このように、図11の強磁性結合磁気センサ40は、Co層42B上にCoO膜42Cを形成し、
    さらに200°C〜300°Cの温度で熱処理を行うことにより、絶縁障壁層40C中のAlとCo層42B中のCoとの相互拡散を抑止でき、しかも磁気抵抗変化率を最大にすることが可能である。 [第3実施例]図13は、本発明の第3実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ50の構成を示す。 ただし、図13中先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。

    【0057】図13を参照するに、本実施例では、図1
    1の絶縁障壁層40Cを多数の絶縁障壁層40C a 〜4
    0C cに置き換える。 絶縁障壁層40C a 〜40C cの各々はAl膜を堆積し酸化することにより形成されたA
    lO x膜よりなり、各々の厚さを0.4nm以下に設定する。 本実施例では、前記複数の絶縁障壁層40C a
    40C cを形成することにより、絶縁障壁層40Cの内部まで、確実にAlO xを形成することができ、絶縁障壁層40Cの内部に未反応の金属Al層が残留することによる電子のスピン分極の劣化の問題を最小化することができる。

    【0058】また、前記複数の絶縁障壁層40C a 〜4
    0C cは同一の組成を有する必要はなく、例えば層40
    aおよび40C cをAlO xにより形成し、層40C
    bをNbO xで形成するようにしてもよい。 また、前記複数の絶縁障壁層40C a 〜40C cの数は3層に限定されるものではなく、2層あるいは4層以上であってもよい。 [第4実施例]ところで、図11の強磁性トンネル接合磁気センサ40では、先にも説明したように200°C
    〜300°Cの温度で加熱処理を行うのが好ましいが、
    このような加熱処理を行った場合、一般に図14(A)
    に示す絶縁障壁膜40Cを挟む一対の強磁性層42,4
    3に粒成長が生じ、図14(B)に示すように粗粒化した構造に変化する。 このように粗粒化した構造では、強磁性層42中の粗大化した結晶粒と強磁性層43中の粗大化した結晶粒とが接触してしまい、トンネル接合が短絡してしまう問題が生じる。 実際、これが図3に示す加熱処理を行った場合に生じる素子不良の原因の一つと考えられる。

    【0059】これに対し、図15は、上記の問題点を解決した、本発明の第4実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ60の構成を示す。 ただし、図15中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。 図15を参照するに、本実施例では図11の構造の強磁性層42Aおよび43Bを、NiFe層の代わりに、厚さが約2nmのNiFe層と厚さが同じく約2n
    mのFe層とを交互に、図示の例では5回積層した層構造42A'あるいは43B'に置き換える。

    【0060】このような層構造では、図16(A),
    (B)に示すように熱処理の前後で粒成長が抑制され、
    図14(B)に示すような粗大化した結晶粒によるトンネル接合の短絡の問題が回避される。 ただし、図16
    (A),(B)中、図16(A)は加熱処理前の状態を、また図16(B)が加熱処理後の状態を示す。 かかる層構造の結果、図15の強磁性トンネル接合磁気センサ60では、図3に示す200〜300°Cでの加熱処理の際の歩留まりが大きく向上する。 [第5実施例]図17は、本発明の第5実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ70の構成を示す。 ただし、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。

    【0061】図17を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ70は図15の強磁性トンネル接合磁気センサ60と類似した構成を有するが、NiFe/Ni積層構造を有する強磁性層43B'のかわりに、厚さが約1.5nmのCo層と厚さが約1.0nmのCu層とを交互に積層したCo/Cu積層構造を有する強磁性層4
    3B”を使う。

    【0062】強磁性層43B”では、強磁性のCo層と非磁性のCu層との間に反強磁性的な交換相互作用が生じる。前記強磁性層43B”は反強磁性FeMn層44
    に接して形成されているため、層43B”中の磁化方向は前記反強磁性FeMn層44により固定され、一方層43B”はCo強磁性層43Aの磁化方向を固定する。
    また、前記層43B”をCo層とCu層の積層構造にすることにより、図16(A),(B)で説明した強磁性層中における粒成長が抑止され、熱処理を行ってもトンネル接合の短絡が生じることがない。 [第6実施例]図18(A),(B)は、本発明の第6
    実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ80のそれぞれ平面図および正面図を示す。

    【0063】図18(A),(B)を参照するに、強磁性トンネル接合磁気センサ80はAl 23・TiC基板81上に形成され、図20の磁気ヘッド10の磁気シールド層12に対応するNiFeあるいはFeN等よりなる下側磁気シールド層82と、前記下側磁気シールド層82上に形成され、図20の磁気ヘッド10の非磁性膜13に対応するAl 23ギャップ層83と、前記A
    23ギャップ層83上に形成された、幅WLが例えば0.8μmの下側強磁性層84を含む。 前記下側強磁性層84は図7の強磁性層30Aあるいは図11の強磁性層40Aに対応し、前記下側強磁性層84の両側には、反強磁性CoCrPt層85A,85Bが、電気的に接して形成されている。 前記反強磁性層85A,85
    Bは着磁されており、前記下側強磁性層84の磁区構造を単磁区化する。

    【0064】さらに、前記反強磁性層85A,85B上にはさらにTa,Ti,CuあるいはW等よりなる電極パターン86A,86Bがそれぞれ形成され、さらに前記電極パターン86A,86Bおよび前記下側強磁性層84を覆うように、先の実施例の絶縁障壁層30Cあるいは40Cに対応する絶縁障壁層87が形成される。 さらに、前記絶縁障壁層87上には、先の実施例の上側強磁性層30Bあるいは40Bに対応した上側強磁性層8
    8が、典型的には0.5μmの幅WHで形成され、さらに前記上側強磁性層88上にはTa,Ti,CuあるいはWよりなる上側電極89が形成される。

    【0065】さらに、前記上側強磁性層88および電極89を覆うように、前記絶縁障壁層87上にAl 23
    層90を堆積し、その上に図20の上側磁気シールドに対応するNiFeよりなる磁気シールド91を形成する。 図18(A)に示すように、磁気センサ80は磁気ヘッド中に組み込まれて磁気ディスク等の磁気記録媒体100を走査し、磁化スポットの形で記録されている信号をピックアップする。 かかる再生動作の際には、前記電極86Aと上側電極89との間に一定の電流を流し、
    両電極間に生じる電圧を検出する。 あるいは前記別の下側電極86Bと上側電極89との間の電圧を検出してもよい。

    【0066】磁気センサ80では、図18(B)中線A
    −A'に沿った断面が、先に説明した第1〜第5実施例のいずれに対応するものであってもよい。 [第7実施例]図19(A)は本発明の第7実施例による磁気装置の内部構成を示す平面図であり、図中破線の左側は上部カバーを取り除いた状態を、また右側は多段構成の磁気ディスク組立体110の一部を構成する磁気ディスク111およびこれに協働するアーム組立体11
    2の構成を示す。

    【0067】図19(A)を参照するに、各々の磁気ディスク111は、図示していないモータにより駆動されるハブ111a上に固定されており、アーム組立体11
    2は枢回軸112a上に枢支されたアーム112bおよびアーム112bの自由端上に設けられた磁気ヘッド1
    12cを含む。 さらに、アーム112b上の前記磁気ヘッド112cを担持する自由端と反対側の自由端にはボイスコイルモータ113の一部を形成するコイル112
    dが、アーム112bの走査面に平行に巻回されている。 また、コイル112dの上下にはボイスコイルモータ113の他の部分を構成する磁石113a,113b
    が形成され、コイル112dを励起することによりアーム112を枢回軸112aの回りで自在に枢回させることが可能である。 ボイスコイルモータ113は、アーム112bに担持された磁気ヘッド112cが磁気ディスク111上のシリンダないしトラック111bに追従するようにサーボ制御される。

    【0068】図19(B)は図19(A)の磁気ディスク装置の内部構造を示す斜視図である。 図19(B)を参照するに、磁気ディスク組立体100は回転ハブ11
    1aに共通に保持された複数の磁気ディスク111 1
    111 2・・・を含み、これに対応してアーム組立体1
    12も複数のアームの集合より構成されていることがわかる。 各々のアーム112bは枢回軸112aの回りで枢回自在に保持された共通の回動部材112e上に保持されており、部材112eの回動に伴って一斉に枢回する。 勿論、部材112eの回動はボイスコイルモータ1
    13の励起に対応して生じる。 また、磁気ディスク装置全体は気密封止された筐体100A中に収められている。

    【0069】本発明では前記磁気ヘッド112c中の読み取りヘッドとして、先に説明した第1〜第6実施例のいずれかの強磁性トンネル接合磁気センサを使うことにより、非常に高密度の磁気記録再生が可能になる。 以上の各実施例において、前記絶縁障壁層を形成する金属はAlに限定されるものではなく、例えばNb,HfあるいはZrを使うことも可能である。

    【0070】以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨内において様々な変形・変更が可能である。

    【0071】

    【発明の効果】請求項1〜23記載の本発明の特徴によれば、強磁性トンネル接合を使った磁気センサあるいは磁気ヘッドにおいて、トンネル絶縁膜を非磁性金属層の酸化により形成し、その際前記非磁性金属層の厚さを約1.7nm以下に減少させることにより、前記トンネル接合を通過する電子流におけるスピン分極率の劣化が抑制され、高い磁気抵抗変化率が得られる。 特に、前記非磁性金属層として、その下の強磁性層の酸素に対する結合エネルギよりも大きい結合エネルギを酸素に対して有するような金属元素を選択することにより、強磁性トンネル接合を200°C〜300°Cの範囲の温度で熱処理した場合、前記非磁性金属層が前記下側の強磁性層から酸素を吸収するため、スピン分極率の劣化がさらに改善され、得られる磁気抵抗変化率がさらに増大する。 また、本発明による強磁性トンネル接合磁気センサは耐熱性を有し、このためレジスト層のリフロー工程を含む磁気ヘッドの製造工程においても特性が劣化することがない。 さらに、耐熱性が優れているため、本発明の強磁性トンネル接合磁気センサあるいは磁気ヘッドでは、トンネル絶縁膜上の上側強磁性層の磁化方向を固定するのに、高温熱処理を必要とする反強磁性体を使っても問題が生じない。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】(A),(B)は本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その1)である。

    【図2】本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その2)である。

    【図3】本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その3)である。

    【図4】(A),(B)は本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その4)である。

    【図5】(A),(B)は本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その5)である。

    【図6】本発明の強磁性トンネル接合磁気センサの原理を説明する図(その6)である。

    【図7】本発明の第1実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図8】図7の強磁性トンネル接合磁気センサの動作特性を示す図である。

    【図9】図7の強磁性トンネル接合磁気センサにおいて、トンネル酸化膜をプラズマ酸化により形成した場合のトンネル抵抗率を示す図である。

    【図10】図9のトンネル酸化膜を含む強磁性トンネル接合において加熱処理を行った場合の抵抗変化率を示す図である。

    【図11】本発明の第2実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図12】図11の強磁性トンネル接合磁気センサにおける拡散障壁層の効果を示す図である。

    【図13】本発明の第3実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図14】(A),(B)は、強磁性トンネル接合磁気センサにおいて加熱処理を行った場合の粒成長、およびそれに伴う問題点を説明する図である。

    【図15】本発明の第4実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図16】(A),(B)は、図15の強磁性トンネル接合磁気センサにおいて得られる、粒成長の抑制効果を説明する図である。

    【図17】本発明の第5実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図18】(A),(B)は、本発明の第5実施例による強磁性トンネル接合磁気センサの構成を示す図である。

    【図19】(A),(B)は、本発明の強磁性トンネル接合磁気センサを使った磁気ヘッドを有する磁気記録/
    再生装置の構成を示す。

    【図20】従来の磁気ヘッドの構造を示す図である。

    【図21】(A)〜(C)は、図20の磁気ヘッドの製造工程を説明する図(その1)である。

    【図22】(D)〜(E)は、図20の磁気ヘッドの製造工程を説明する図(その2)である。

    【図23】(A),(B)は従来の強磁性トンネル接合の原理を説明する図である。

    【図24】従来の強磁性トンネル接合磁気センサにおいて生じていた、金属元素の相互拡散の問題を説明する図である。

    【符号の説明】

    10,103 磁気ヘッド 11,81 基板 12,82 下側磁気シールド 13,83,90 絶縁層 14,91 上側磁気シールド 15 読み取りギャップ 16 磁気センサ 16A,21A,30A,40A,84 下側強磁性層 16B,21B. 30B,40B,88 上側強磁性層 16C,21C,30C,40C,40C a ,40
    b ,40C c ,87 絶縁障壁層 17,17A,17B レジスト層 17C コイルパターン 18 磁極 19 書き込みギャップ、絶縁膜 20,30,40,50,60,70,80 強磁性トンネル接合磁気センサ 20A,31,41 基板 20B,31A 酸化膜 21A 1 ,32A,42A NiFe層 21A 2 ,32B,42B Co層 21B 1 ,33A,43A Co層 21B 2 ,33B,43B NiFe層 22,44 反強磁性層 23,45 NiFe層 42A',43B' NiFe/Fe層 43B” Co/Cu層 85A,85B CoCrPt層 86A,86B 下側電極 89 上側電極 101 磁気ディスク 102 駆動軸 104 スイングアーム 105 ボイスコイルモータ

    ─────────────────────────────────────────────────────

    【手続補正書】

    【提出日】平成10年10月16日

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】特許請求の範囲

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【特許請求の範囲】

    【手続補正2】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0024

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0024】

    【課題を解決するための手段】 本発明は、上記の課題
    を、請求項1に記載したように、第1の強磁性層と、前
    記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化膜を含む
    絶縁障壁層と、前記絶縁障壁層上に形成された第2の強
    磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気センサにおい
    て、前記絶縁障壁層は金属層を含み、前記トンネル酸化
    膜は前記金属層表面上に、前記金属層を構成する金属元
    素の酸化物により形成されており、さらに、前記絶縁障
    壁層と前記第1の強磁性層との間に、トンネル電流を通
    過させる厚さの拡散防止層を含むことを特徴とする強磁
    性トンネル接合磁気センサにより、または請求項2に記
    載したように、前記金属元素はAl,Hf,Zrおよび
    Nbより選ばれることを特徴とする請求項1記載の強磁
    性トンネル接合磁気センサにより、または請求項3に記
    載したように、前記トンネル酸化膜は、前記金属層の自
    然酸化膜であることを特徴とする請求項1または2記載
    の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項
    4に記載したように、前記トンネル酸化膜は、前記金属
    層のプラズマ酸化膜であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、ま
    たは請求項5に記載したように、前記金属層は酸素を、
    前記第1の強磁性層と接する境界面近傍において、前記
    金属層内部よりも酸素濃度が増大するようなプロファイ
    ルで含むことを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれ
    か一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、ま
    たは請求項6に記載したように、前記金属層を構成する
    金属元素の酸素に対する結合エネルギは、前記第1およ
    び第2の強磁性層を構成する金属元素の酸素に対する結
    合エネルギよりも実質的に大きいことを特徴とする請求
    項1〜5のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接
    合磁気センサにより、または請求項7に記載したよう
    に、前記拡散防止層は、前記第1の強磁性層表面に形成
    された酸化膜よりなることを特徴とする請求項1記載の
    強磁性トンネル接合磁気センサにより、または請求項8
    に記載したように、前記絶縁障壁層は、複数の金属層
    と、対応する複数のトンネル酸化膜を含み、互いに隣接
    する前記金属層は、異なった金属元素よりなることを特
    徴とする請求項1〜7のうち、いずれか一項記載の強磁
    性トンネル接合磁気センサにより、または請求項9に記
    載したように、前記第1および第2の強磁性層の少なく
    とも一方は、複数の磁性膜の積層を含み、前記積層中、
    隣接する磁性膜は組成が異なることを特徴とする請求項
    1〜8のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合
    磁気センサにより、または請求項10に記載したよう
    に、前記第1および第2の強磁性層の一方に隣接して、
    反強磁性層を含むことを特徴とする請求項1〜9のう
    ち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサ
    により、または請求項11に記載したように、前記反強
    磁性層は、Pd,Pt,Mn,IrおよびRhのうち、
    少なくとも二つの元素を含むことを特徴とする請求項1
    0記載の強磁性トンネル接合磁気センサにより、または
    請求項12に記載したように、前記反強磁性層を構成す
    る反強磁性材料は、CuAu−I型の規則格子相を形成
    することを特徴とする請求項10または11記載の強磁
    性トンネル接合磁気センサにより、または請求項13に
    記載したように、請求項1〜12のいずれか一項記載の
    磁気センサを含む強磁性トンネル接合磁気ヘッドによ
    り、または請求項14に記載したように、磁気記録媒体
    と、前記磁気記録媒体を走査する磁気ヘッドとを備えた
    磁気記録/再生装置において、前記磁気ヘッドは請求項
    1〜12のいずれか一項記載の強磁性トンネル接合磁気
    センサを含むことを特徴とする磁気記録/再生装置によ
    り、または請求項15に記載したように、第1の強磁性
    層と、前記第1の強磁性層上に形成され、トンネル酸化
    膜を含む絶縁障壁層と、前記絶縁障壁層上に形成された
    第2の強磁性層とを備えた強磁性トンネル接合磁気セン
    サの製造方法において、前記第1の強磁性層を形成する
    工程と;前記第1の強磁性層上に拡散防止層を形成する
    工程と;前記拡散防止層上に金属層を堆積する工程と;
    前記金属層の表面を酸化して、前記金属層上に前記トン
    ネル酸化膜を形成する工程と;前記酸化した金属層の表
    面に前記第2の強磁性層を形成する工程とを含むことを
    特徴とする強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法に
    より、または請求項16に記載したように、前記金属層
    の表面を酸化する工程は、前記金属層が前記トンネル酸
    化膜の下に残るように実行され、前記金属層の表面を酸
    化する工程の後、さらに前記金属層を200°C〜30
    0°Cの間の温度範囲において熱処理する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項15記載の強磁性トンネル接合磁
    気センサの製造方法により、または請求項17に記載し
    たように、前記熱処理は約300°Cの温度において実
    行されることを特徴とする請求項16記載の強磁性トン
    ネル接合磁気センサの製造方法により、または請求項1
    8に記載したように、前記熱処理は、真空中において実
    行されることを特徴とする請求項16または17記載の
    強磁性トンネル接合磁気センサの製造方法により、また
    は請求項19に記載したように、前記トンネル酸化膜を
    形成する工程は、前記金属層の表面を自然酸化する工程
    を含むことを特徴とする請求項15〜18のうち、いず
    れか一項記載の強磁性トンネル接合磁気センサの製造方
    法により、または請求項20に記載したように、前記ト
    ンネル酸化膜を形成する工程は、前記金属層の表面をプ
    ラズマ酸化する工程を含むことを特徴とする請求項15
    〜18のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接合
    磁気センサの製造方法により、または請求項21に記載
    したように、前記拡散防止層を形成する工程は、前記金
    属層を形成する工程に先立ち、前記第1の強磁性層の表
    面に酸化膜を、前記酸化膜を通る電子のトンネリングが
    可能な程度の厚さに形成することを特徴とする請求項1
    5〜20のうち、いずれか一項記載の強磁性トンネル接
    合磁気センサの製造方法により、または請求項22に記
    載したように、前記酸化膜はプラズマ酸化により形成さ
    れることを特徴とする請求項21記載の強磁性トンネル
    接合磁気センサの製造方法により、解決する。

    【手続補正3】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0029

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0029】一方、Al膜21Cの厚さが前記1.7n
    mを超えて2.1nmに達すると、磁気抵抗変化率は急激に5%あるいはそれ以下にまで低下してしまう。 これは、非磁性金属であるAl膜の厚さが過大になり、通過する電子のトンネリングが電子のスピン状態如何によらず高い確率で生じるようになるためと考えられる。 一方、前記Al膜21Cの厚さがAl 23膜の厚さに換算して1分子層になる0.5nm(5Å)以下になるとトンネル酸化膜の形成が不安定になり、先に述べたように接合が短絡しやすい問題が生じる。 このことから、図1(A),(B)の強磁性トンネル接合20は、絶縁障壁層21Cの厚さを約0.5nm以上で約1.7nm以下に設定するのが好ましいことが結論される。

    【手続補正4】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0030

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0030】図2の実験結果は、一方で強磁性トンネル接合20の磁気抵抗変化率が大きくばらついていることを示している。 これに対して、本出願の基礎になる研究において、本発明の発明者は強磁性トンネル接合20を真空雰囲気中、様々な温度で加熱処理し、磁気抵抗変化率を測定した。 図3は、かかる加熱処理した強磁性トンネル接合の磁気抵抗変化率を示す。 熱処理は、各温度
    おいて、1×10 -5 Torrの真空中、1時間行った。

    【手続補正5】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0043

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0043】さらに、かかる200°C〜300°Cの温度で熱処理を行う場合には、前記反強磁性層34として、FeMnのかわりにPdPtMn合金を使うことも可能である。 PdPtMn合金は200°C程度の加熱処理では、強磁性層33Aおよび33Bの磁化方向をピニングするに十分な交換結合磁界を発生することはできないが、300°Cの加熱処理を行うと、合金内にCu
    Au−I型の規則格子構造が形成され、これに伴い22
    0Oeに達する交換結合磁界が形成される。 前記規則格子の形成は、X線回折により確認されている。 PdPt
    Mn合金は非常に大きな交換結合磁界を発生できるため、従来よりスピンバルブGMR磁気センサ等において有望なピニング層の材料として認識されていたが、この材料を加熱処理して所望の交換結合磁界を発生させるためには300°C程度の高い温度が必要であり、従来の磁気センサでは使用することができなかった。 これに対し、本発明の強磁性トンネル接合磁気センサでは耐熱性が300°C以上に達しているため、この有望な材料を問題なく使うことが可能になる。

    【手続補正6】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0056

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0056】このように、図11の強磁性トンネル接合
    磁気センサ40は、Co層42B上にCoO膜42Cを形成し、さらに200°C〜300°Cの温度で熱処理を行うことにより、絶縁障壁層40C中のAlとCo層42B中のCoとの相互拡散を抑止でき、しかも磁気抵抗変化率を最大にすることが可能である。 [第3実施例]図13は、本発明の第3実施例による強磁性トンネル接合磁気センサ50の構成を示す。 ただし、図13中先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。

    高效检索全球专利

    专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

    我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

    申请试用

    分析报告

    专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

    申请试用

    QQ群二维码
    意见反馈