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膜電極接合体および燃料電池

阅读:938发布:2020-05-08

专利汇可以提供膜電極接合体および燃料電池专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】信頼性を高めた膜電極接合体および 燃料 電池を提供する。 【解決手段】 本開示の膜電極接合体は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、を備え、電極と電解質層とが積層された膜電極接合体であって、電極は、金属が占める体積比率が57%以上である。 【選択図】図1,下面是膜電極接合体および燃料電池专利的具体信息内容。

金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、 プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、 を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、 前記電極は、 前記金属が占める体積比率が57%以上である、膜電極接合体。前記電極は、焼結後の膜電極接合体の長さ方向における大きさをLとし、厚み方向の面内高低差をΔLとして、反り量をΔL/Lと規定した時、反りが低減する方向にΔL/Lが0.5%以上変形する、請求項1に記載の膜電極接合体。前記電極は、前記金属が占める体積比率が69%以上、84%以下である、請求項1に記載の膜電極接合体。前記金属は、Ni、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属から構成される、請求項1に記載の膜電極接合体。前記電極の多孔率が20%以上、50%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。前記第1電解質および前記第2電解質は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0前記第1電解質および前記第2電解質は、BaaZr1−xMxO3で表される、請求項6に記載の膜電極接合体。前記第1電解質および前記第2電解質に含まれるMは、Sc、Lu、Yb、およびTmからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項6に記載の膜電極接合体。前記電極の厚みは、前記電解質層の厚みより大きい、請求項1から8のいずれか1項に記載の膜電極接合体。前記電極と前記電解質層との間において前記電解質層と接するように設けられ、前記電解質層との界面において前記電極よりも高い発電性能を有する機能層をさらに備えた、請求項1から9のいずれか1項に記載の膜電極接合体。金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、 プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、 を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、 前記電極は、 前記金属が占める体積比率が57%以上である、膜電極接合体と、 酸化剤ガスが供給される空気極と、 前記電極に燃料ガスとして素含有ガスを供給する燃料ガス供給経路と、 前記空気極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給経路と、を備え、 前記電解質層は前記電極と一方側の面で接し、前記一方側の面とは反対側となる他方側の面において前記空気極と接しており、前記電極、前記電解質層、および前記空気極の順に積層された、燃料電池。

说明书全文

本開示は、電気化学デバイスの膜電極接合体、およびこの膜電極接合体を備えた燃料電池に関する。

固体酸化物からなる電解質材料を用いた電気化学デバイスの一つとして、例えば、固体酸化物形燃料電池が知られている。固体酸化物形燃料電池の電解質材料には、一般に安定化ジルコニアに代表される酸化物イオン伝導性を有した電解質材料が広く用いられている。酸化物イオン伝導性を有する電解質材料を用いた固体酸化物形燃料電池では、低温になるほどイオン導電率が低下する。このため酸化物イオン伝導性を有する電解質材料を用いた固体酸化物形燃料電池は、700℃以上の動作温度が必要となる。

これに対して、プロトン伝導性を有する電解質材料を用いた固体酸化物形燃料電池は、600℃で作動可能である。このため構成部材の化学安定性および低コスト化の観点から近年ではプロトン伝導性を有する電解質材料を用いた固体酸化物形燃料電池が注目されている。

ところで固体酸化物形燃料電池のセルの形状は、大別して円筒型と平板型が知られている。円筒型では、電流経路が長くなり抵抗損が大きくなるため、より高出を得るために平板型の開発がすすめられている。

しかしながら、平板型では、セルの割れおよびクラックが円筒型よりも発生しやすく、強度の観点から円筒型より劣ることが課題となっている。セルの割れおよびクラックの原因は、主として「平板型のセルの反り」と「電解質と電極との界面に生じる熱応力」とであり、これらの現象を引き起こす主たる要因は電解質と電極との間の線膨張係数の差である。このため、電解質と電極との間の線膨張係数の差を低減させることで割れおよびクラックを抑制する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。

特許文献1では、電極を第1アノード層および第2アノード層の2層構造とし、固体電解質層とこの固体電解質層と接する電極との線膨張係数の差を緩和させて焼結時における平板型のセルの割れを抑制することができる。

国際公開第2017/014069号

しかしながら、従来は、電気化学デバイスの膜電極接合体の耐久性について十分な検討がなされていなかった。

本開示は、一例として、信頼性を高めた膜電極接合体および燃料電池を提供する。

本開示に係る膜電極接合体の一態様は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、前記電極は、前記金属が占める体積比率が57%以上である。

また、本開示に係る燃料電池の一態様は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、前記電極は、前記金属が占める体積比率が57%以上である、膜電極接合体と、酸化剤ガスが供給される空気極と、前記電極に燃料ガスとして素含有ガスを供給する燃料ガス供給経路と、前記空気極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給経路と、を備え、前記電解質層は前記電極と一方側の面で接し、前記一方側の面とは反対側となる他方側の面において前記空気極と接しており、前記電極、前記電解質層、および前記空気極の順に積層されている。

本開示は、以上に説明したように構成され、信頼性を高めることができるという効果を奏する。

実施の形態1に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体の構成を模式的に示す図である。

実施の形態1の変形例1に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体の構成を模式的に示す図である。

実施の形態1の変形例2に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体の構成を模式的に示す図である。

実施の形態2に係る燃料電池の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。

実施の形態2に係る燃料電池が備える、燃料電池単セルの構成の一例を模式的に示す断面図である。

実施例に係る電極材料の機械特性評価測定方法を模式的に示す斜視図である。

実施例に係る電極材料の機械特性評価測定方法を模式的に示す断面図である。

実施例に係る応力−ひずみ曲線の一例を示すグラフである。

実施例および比較例に係る電極材料の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。

(本開示の一形態を得るに至った経緯) 従来、固体酸化物形燃料電池で使用されている電解質層は酸化物イオン伝導性を有するイットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」と称する)であり、使用温度において高強度、高靭性を有することが知られている。このような固体酸化物形燃料電池では、電極(例えば、燃料極)はYSZとNiとからなる複合材料を用いており、それらの体積比率は半々程度となる。

一方で、プロトン伝導性を有する電解質層として、バリウムジルコネイト系酸化物、バリウムセリウム系酸化物、およびランタンガレート系酸化物が用いられるが、これらの強度はYSZに劣る。

本発明者らは、強度面でYSZより劣る電解質材料と金属(例えば、Ni)との複合材料から電極を構成する場合、電極における金属の体積比率を増やすことで引張方向にひずむ特性が発現することを見出した。これにより、作動環境下において、電解質層の線膨張係数と電極の線膨張係数との差から生じる反りおよび熱応力によるクラックの発生を低減させることができる。なお、セルの作動環境には、作動温度までの昇温過程、還元処理過程、集電部材による締結状態等が含まれる。

一方、特許文献1では、焼結時に生じる反りによる平板型のセルの割れ、およびクラックに対する対策として、固体電解質層と第1アノード層との間に、線膨張係数が固体電解質層と第1アノード層との中間となる第2アノード層を設けた構成が提案されている。より具体的には、イオン伝導性を有する金属酸化物M1を含む固体電解質層と、イオン伝導性を有する金属酸化物M2および酸化ニッケルを含む第1アノード層との間に、イオン伝導性を有する金属酸化物M3および酸化ニッケルを含む第2アノード層を備えている。そして、第1アノード層における酸化ニッケルの体積比率Cn1と第2アノード層における酸化ニッケルの体積比率Cn2とはCn1

特許文献1では、上記した構成とすることで、固体電解質層とアノード層との線膨張係数の差を緩和させて焼結時におけるセルの割れおよびクラックを抑制している。

しかしながら、本発明者らは、特許文献1では、セルの焼結時(すなわち、作動前)における反りの緩和および異種材料間の界面での熱応力緩和についてのみ検討しており、実際のセルの作動環境(例えば、還元処理過程)での反り、および熱応力等については十分な検討がなされていないことを見出した。

そこで、本発明者らは、作動環境下における温度条件および還元雰囲気での電極の機械特性を詳細に検討し、平板セル(すなわち、膜電極接合体)のたわみ量を算出することで以下の知見を得た。なお、たわみとは、平板セルの回転方向の変形を指す。具体的には、円板形状をした平板セルにおいて、中心に対して垂直方向に荷重をかけた場合、荷重方向へ平板セルは変形していく。この時、垂直方向の平板セルの変化量をたわみ量とする。

まず、作動環境下における平板セルの割れおよびクラックは、以下の要因により生じるものと考えられる。すなわち、作動環境下における温度条件と平板セルが還元雰囲気に曝されることに起因して電極の反り量が増大する。このように、電極の反り量が増大すると、セルにおける電極と集電材等との接触面積が小さくなり、過剰に応力がかかる部分が生じて、セルの割れおよびクラックが発生すると考えられる。

そこで、本発明者らは、作動環境下における膜電極接合体について鋭意検討した結果、電極(例えば、燃料極)に延性特性を付与させてひずみ量を増加させることで、平板セルの割れおよびクラックの発生を抑制できることを見出した。加えて、電極に延性特性を付与することにより、異種材料間の界面、換言すると電解質層と電極との界面で生じる熱応力の低減も可能となることを見出した。

つまり、作動時の昇温過程において、平板セルの膜電極接合体で生じる反りは、接合される異種材料同士の線膨張係数が異なることに起因する。ここで、線膨張係数とは、JISR1618ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法にて定められている線膨張率(K−1)にあたる。

例えば、電解質層で使用されるYSZ、ランタンガレート系酸化物、バリウムジルコネイト系酸化物、バリウムセリウム系酸化物のセラミック材料の線膨張係数は、8×10−6/℃〜11×10−6/℃と小さい。

一方、電極を構成する複合材料に含まれるNi、Fe、Co、およびPdなどの金属の線膨張係数は、11×10−6/℃〜20×10−6/℃と大きい。また、これらの金属の酸化物も、上記に挙げたセラミック材料より線膨張係数が大きく、10×10−6/℃〜20×10−6/℃程度である。例えば、NiOの線膨張係数は、14×10−6/℃程度である。

したがって、金属および/または金属酸化物との複合材料である電極の線膨張係数が電解質層(例えば、固体電解質膜)の線膨張係数よりも大きくなる。

ここで、金属とセラミックとからなる複合材料は、Ni、Fe、Co、およびPdなどの金属酸化物とセラミックとの混合物を焼結し、その後、金属酸化物の還元処理を行い作製することができる。セルの作製時の焼結における昇温過程では溶媒、バインダー、可塑剤などを気化させるため平板セルの形状は変化せず、焼結温度域においてフラットである。しかしながら、焼結された状態から降温することでより線膨張係数が大きい電極の体積変化が大きくなり、電極が電解質側に向かって湾曲する。つまり、電極を下側とした時に、上側(すなわち、電解質側)に凸型に平板セルが反る。

このような焼結において生じる膜電極接合体の電極の反りに対して、特許文献1では、電極を第1アノード層および第2アノード層の2層構造として、電解質層と電極との線膨張係数の差を緩和させて焼結におけるセルの割れを抑制する構成を提案している。

しかしながら、特許文献1のように構成することで焼結において膜電極接合体の反りを低減させることができたとしても、例えば、還元処理過程では膜電極接合体の反り量が増大する場合がある。すなわち、還元処理過程では、例えば、NiOの還元に伴って、電極のヤング率が低下するとともに、NiOの還元による体積収縮によって、電極の反り量が増大する場合がある。

このため、集電部材と膜電極接合体とを締結させて燃料電池のセルを作製したとき、還元処理過程において膜電極接合体の反りが増大し、集電部材と電極との接触面積が小さくなる。このため、膜電極接合体に過剰な応力のかかる部分が生じ、クラックおよび割れが発生する。

そこで、本発明者らは、膜電極接合体の電極を構成する複合材料において、例えば、Niなどの金属の体積比率を上げることで延性特性を付与させて、作動時に膜電極接合体が平坦になるように制御することで膜電極接合体の割れおよびクラックの発生を抑制できることを見出した。

つまり、作動環境下で膜電極接合体が平坦となるように制御するためには、電極において電解質層と接する側とは反対側の面に生じる引張応力を緩和することが必要である。このとき、電極が硬く、ひずみにくい特性を有していると、電極が平坦に変形するまでに電極において割れが生じる。そこで、本発明者らは、平坦になるまで電極が引張方向にひずむことが可能となる特性を有することで割れを抑制することができると考えた。

しかしながら、電極においてNiなどの金属の体積比率を上げると、電解質層と電極との線膨張係数差が大きくなる。これにより、両者の界面で熱応力が増大し剥離が生じることが懸念される。

一方、本発明者らは、電極における金属の体積比率を上げると、電極に延性特性が付与され、熱応力を低減できることを見出した。これは、延性特性が付与されることにより、より小さい応力で変形できることを意味している。

本開示の第1の態様に係る膜電極接合体は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、前記電極は、前記金属が占める体積比率が57%以上である。

ここで、電極において金属が占める体積比率とは、電極に含まれる細孔等の空隙部分を除く固体部分において金属が占める体積比率である。膜電極接合体の作動環境下において、締結状態により電極に対して、反りが低減する方向に引張応力が作用する。

ここで、第1電解質および第2電解質がプロトン伝導性を有する電解質である場合、電極と電解質層とが積層された膜電極接合体に作動時に応力がかかると形状変化に対応できずに電極に割れが生じ得る。

上記構成によると、電極は、金属が占める体積比率を57%以上であるため、電極に対して割れが生じないように引張方向に歪むことができる。このため、作動時において電解質層と電極との線膨張係数差から生じる反りによって発生する局所的な応力、ならびに異種材料間の界面での熱応力による、割れおよびクラックの発生を低減することができる。

したがって、本開示の第1の態様に係る膜電極接合体は、信頼性を高めることができるという効果を奏する。

なお、前記金属が占める体積比率は57%以上、100%未満が好ましい。

金属材料の体積比率57%以上である電極(例えば、燃料極)は延性特性を有するため、作動環境下においてセルが平坦になるまでの形状変化が可能となり、割れ抑制に繋がる。

一方で、例えば、上記した膜電極接合体を燃料電池に用いた場合、以下の問題が生じる。すなわち、電極における金属材料の体積比率が増加すると、起動停止サイクル時に金属材料の再酸化由来の割れおよび連続発電時に金属材料の粒成長による空隙率低下が生じ得る。したがって、わずかでも電解質材料が含まれることが好ましい。100%未満とは、例えば、99%以下、もしくは95%以下のことである。これらの値をとることで劣化抑制の効果が見込める。

本開示の第2の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1の態様において、前記電極は、焼結後の膜電極接合体の長さ方向における大きさをLとし、厚み方向の面内高低差をΔLとして、反り量をΔL/Lと規定した時、反りが低減する方向にΔL/Lが0.5%以上変形するように構成されてもよい。

ここで、反り量とは、反りにより電極が厚み方向に湾曲する変位量であり、反りが低減する方向とは電極の湾曲する向きと反対となる向きである。膜電極接合体の作動環境下において、締結状態により電極に対して、反りが低減する方向に引張応力が作用する。

ここで、第1電解質および第2電解質がプロトン伝導性を有する電解質である場合、電極と電解質層とが積層された膜電極接合体に作動時に応力がかかると形状変化に対応できずに電極に割れが生じ得る。

上記構成によると、反りが低減する方向にΔL/Lが0.5%以上変形するため、電極に対して割れが生じないように引張方向に歪むことができる。このため、作動時において電解質層と電極との線膨張係数差から生じる反りによって発生する局所的な応力、ならびに異種材料間の界面での熱応力による、割れおよびクラックの発生を低減することができる。

したがって、本開示の第2の態様に係る膜電極接合体は、信頼性を高めることができるという効果を奏する。

本開示の第3の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1または第2の態様において、前記電極は、前記金属が占める体積比率が69%以上、84%以下であってもよい。

上記構成によると、前記電極は、前記金属が占める体積比率が69%以上、84%以下であるため、信頼性を高めることができるという効果を奏する。

本開示の第4の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1から第3の態様のいずれか1つの態様において、前記金属は、Ni、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属から構成されてもよい。

上記構成によると金属はNi、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属から構成される。ここで、Ni、Co、Fe、およびPdそれぞれの融点は近く、1450℃〜1550℃付近となるため、Ni、Co、Fe、およびPdそれぞれは融点以下の作動温度600℃〜700℃において類似する延性挙動を示す。

したがって、金属を上記した金属の群より選ばれる少なくとも1種の金属とすることで、割れを抑制できる。

本開示の第5の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1から第4のいずれか1つの態様において、前記電極の多孔率が20%以上、50%以下であってもよい。

上記構成によると、この電極が燃料極側の電極として用いられた場合、水素含有ガスの拡散経路を確保することができ、反応を促進させることができる。また、膜電極接合体の機械特性面においてもヤング率を低減させることができ、より変形しやすくなる。なお、多孔率とは、電極内に占める空隙の体積比率を示す。多孔率はアルキメデス法、または、断面SEM像による空隙部分の面積比率より導出可能である。

本開示の第6の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1から第5の態様のいずれか1つの態様において、前記第1電解質および前記第2電解質は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0

本開示の第7の態様に係る膜電極接合体は、上記した第6の態様において、前記第1電解質および前記第2電解質は、BaaZr1−xMxO3で表されてもよい。

本開示の第8の態様に係る膜電極接合体は、上記した第6または第7の態様において、前記第1電解質および前記第2電解質に含まれるMは、Sc、Lu、Yb、およびTmからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってもよい。

ここで、電極が、第1電解質として、BaaZr1−xMxO3およびNiを含む場合、一般的には両者が化学反応することでBaNiM2O5が生成される。さらに、生成されたBaNiM2O5は、例えば、燃料極に供給される水素含有ガス中に含まれるCO2と反応して分解され、耐久性が低下する。

しかしながら、電極に含まれている第1電解質を、組成式がBaaZr1−x1Mx1O3で表され、Mが、イオン半径が0.072nmより大きく0.088nm未満となる3価の元素であるSc、Lu、Ybから選ばれる1種類以上の元素(0

1<1)となる第1の化合物、および組成式がBaZr

1−x2Tm

x2O

3(0

2<0.3)となる第2の化合物の少なくともいずれか一方の化合物とした場合、電極の耐久性を向上させることができる。

これは、第1電解質を、第1の化合物および第2の化合物の少なくともいずれか一方の化合物とした場合、電極に含まれる第1電解質とNiとの反応を抑制させることができ、CO2と反応して分解されるBaNiM2O5および/またはBaNiTm2O5が生成されることを防ぐことができるためであると考えられる。

また、このCO2に対する耐久性の問題は、電解質層に含まれる第2電解質と、電極に含まれているNiとが化学反応することでも同様に生じる。しかしながら、第2電解質を上記した第1の化合物および第2の化合物の少なくともいずれか一方の化合物とすることで、CO2と反応して分解されるBaNiM2O5および/またはBaNiTm2O5が生成されることを防ぐことができる。

したがって、上記構成によると、第1電解質および第2電解質に含まれるMは、Sc、Lu、Yb、およびTmからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とすることができるため、第1電解質および第2電解質の反応性を抑制でき、優れたCO2耐久性を得ることができる。

本開示の第9の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1から第8の態様のいずれか1つの態様において、前記電極の厚みは、前記電解質層の厚みより大きい構成であってもよい。

ここで、膜電極接合体の機械特性は、より厚みが大きい層の特性が支配的に影響する。

上記の構成によると、電極の厚みの方が電解質層の厚みより大きくなるため、膜電極接合体において電極の延性効果の影響が大きくなり膜電極接合体の割れを抑制することができる。

本開示の第10の態様に係る膜電極接合体は、上記した第1から第9の態様のいずれか1つの態様において、前記電極と前記電解質層との間において前記電解質層と接するように設けられ、前記電解質層との界面において前記電極よりも高い発電性能を有する機能層をさらに備えた構成としてもよい。

ここで発電に関わる反応は主として電解質層との界面近傍で生じる。

上記構成によると、電解質層と接する位置であって、電解質層と電極との間に機能層が設けられる。このため、電解質層と電極との間に機能層を設けない構成と、電解質層と電極との間に機能層を設けた構成とを比較すると前者よりも後者の方が、発電性能が高くなる。

なお、機能層は、下記の(i)および(ii)からなる群より選択される少なくとも1つを満たす、金属とプロトン伝導性を有する電解質との複合材料からなる電極層であってもよい。(i)上記した電極よりも、金属とプロトン伝導性を有する電解質とのうちの電解質の体積比率が大きい電極層である。(ii)上記した電極よりも、空隙率が大きい電極層である。

また、機能層の厚みは、例えば、5μm以上、50μm以下の範囲の値とすることができる。

本開示の第11の態様に係る燃料電池は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料から構成される電極と、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成される電解質層と、を備え、前記電極と前記電解質層とが積層された膜電極接合体であって、前記電極は、前記金属が占める体積比率が57%以上である、膜電極接合体と、酸化剤ガスが供給される空気極と、前記電極に燃料ガスとして水素含有ガスを供給する燃料ガス供給経路と、前記空気極に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給経路と、を備え、前記電解質層は前記電極と一方側の面で接し、前記一方側の面とは反対側となる他方側の面において前記空気極と接しており、前記電極、前記電解質層、および前記空気極の順に積層されている。

上記構成によると、電極は、金属が占める体積比率を57%以上であるため、電極に対して割れが生じないように引張方向に歪む特性を付与させることができる。このため、作動時において電解質層と電極との線膨張係数差から生じる反りによって発生する局所的な応力、ならびに異種材料界面での熱応力による、割れおよびクラックの発生を低減することができる。

したがって、本開示の第11の態様に係る燃料電池は、作動環境下における信頼性を向上させることができるという効果を奏する。

以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。

(実施の形態1) 本開示の実施の形態1に係る膜電極接合体10について、図1を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体10の構成を模式的に示す図である。

膜電極接合体10は、例えば、燃料電池等の電気化学デバイスを構成するために用いられる部材である。膜電極接合体10は、図1に示すように、第1の電極11(電極)と、第1の固体電解質膜12(電解質層)とを備え、第1の電極11と第1の固体電解質膜12が接した構造となっている。換言すると、膜電極接合体10は、第1の固体電解質膜12の一方の側面側で第1の電極11と接しており、両者を積層させた構造となっている。

第1の電極11は、金属と、プロトン伝導性を有する第1電解質とを含む複合材料である。第1の電極11は金属が占める体積比率が57%以上であり、好ましくは体積比率が95%以下となる。さらに第1の電極11は、焼結後の膜電極接合体10の長さ方向における大きさをLとし、厚み方向の面内高低差をΔLとして、反り量をΔL/Lと規定した時、反りが低減する方向にΔL/Lが0.5%以上変形する。

ここで、第1の電極11において金属が占める体積比率とは、第1の電極11に含まれる細孔等の空隙部分を除く固体部分において金属が占める体積比率である。また、反り量とは、反りにより第1の電極が厚み方向に湾曲する変位量であり、反りが低減する方向とは第1の電極の湾曲する向きと反対となる向きである。

第1の電極11に含まれる金属は、Ni、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属から構成することができる。また、第1電解質は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0

なお、第1電解質に含まれるMは、Sc、Lu、Yb、およびTmからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってもよい。

ここで、第1の電極11に含まれる金属は、Ni、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属である。ここで、Ni、Co、Fe、およびPdそれぞれの融点は近く、1450℃〜1550℃付近となるため、Ni、Co、Fe、およびPdそれぞれは融点以下の作動温度600℃〜700℃において類似する延性挙動を示すことができる。

また、第1の電極11が、第1電解質として、BaaZr1−xMxO3およびNiを含む場合、両者が化学反応をすることでBaNiM2O5が生成される。さらに、生成されたBaNiM2O5は、例えば、第1の電極11が燃料極として用いられている場合、燃料極に供給される水素含有ガス中に含まれるCO2と反応して分解され、耐久性が低下する場合がある。

そこで、第1の電極11では、第1電解質を、組成式がBaaZr1−x1Mx1O3で表され、Mが、イオン半径が0.072nmより大きく0.088nm未満となる3価の元素であるSc、Lu、Ybから選ばれる1種類以上の元素(0

1<1)となる第1の化合物、および組成式がBaZr

1−x2Tm

x2O

3(0

2<0.3)となる第2の化合物の少なくともいずれか一方の化合物としてもよい。このようにMについて元素を限定した場合、第1の電極11のCO

2耐久性を向上させることができる。

これは、第1電解質を、第1の化合物および第2の化合物の少なくともいずれか一方の化合物とした場合、第1の電極11に含まれる第1電解質(すなわち、第1の化合物および/または第2の化合物)とNiとの反応を抑制させることができ、CO2と反応して分解されるBaNiM2O5および/またはBaNiTm2O5が生成されることを防ぐことができるためであると考えられる。

また、詳細は後述するが第1の電極11は、金属が占める体積比率を57%以上であり、かつ反りが低減する方向にΔL/Lが0.5%以上変形するため、第1の電極に対して割れが生じないように、反りが低減する引張方向に歪むことができる。

このため、作動時において第1の固体電解質膜12と第1の電極11との線膨張係数差から生じる反りによって発生する局所的な応力、ならびに異種材料間の界面での熱応力による、割れおよびクラックの発生を低減することができる。

さらにまた、第1の電極11は、多孔率が20%以上、50%以下の多孔体である。このため、第1の電極11が燃料電池の燃料極側の電極として用いられた場合、水素含有ガスの拡散経路を確保することができ、反応を促進させることができる。また、膜電極接合体10の機械特性面においてもヤング率を低減させることができ、より変形しやすくなる。

第1の固体電解質膜12は、プロトン伝導性を有する第2電解質から構成されている。第2電解質は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0

なお、第1電解質の組成式と第2電解質の組成式とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。

ここで、第1の電極11の厚みは第1の固体電解質膜12の厚みよりも大きくなる関係となる。例えば、第1の固体電解質膜12の厚みを、5μm以上、50μm以下の範囲の値とし、第1の電極11の厚みを、150μm以上、3mm以下の範囲の値としてもよい。

ここで、膜電極接合体20の機械特性は、より厚みが大きい層の特性が支配的に影響する。上記したように、第1の電極11の厚みの方が第1の固体電解質膜12の厚みより大きくなるため、膜電極接合体20において第1の電極の延性効果の影響が大きくなり膜電極接合体20の割れを抑制することができる。また、オーミック抵抗の低減を図るために、第1の固体電解質膜12はできるだけ薄膜化してもよい。

さらにまた、電気化学デバイスを、例えば、固体酸化物形燃料電池とする場合、第1の固体電解質膜12において、第1の電極11が設けられている一方側の面に水素含有ガスを、第1の電極11が設けられていない他方側の面に酸化剤ガスをそれぞれ供給して発電を行う構成となる。そのため、電気化学デバイスが固体酸化物形燃料電池である場合、第1の固体電解質膜12は、ガスタイトである必要がある。

また、他の構成部材の許容応力が例えば、100MPa以下と設定されている場合、線膨張係数の差により生じる熱応力が100MPa以上になる燃料極であると、構成部材に同等程度の反力がかかる可能性がある。したがって、第1の電極11において金属が占める体積比率を69%以上としてもよい。第1の電極11において金属が占める体積比率は、57%以上となる範囲において第1の電極11の必要とされる強度等の諸条件に応じて適宜設定されることが好ましい。

(実施の形態1の変形例1) 次に本開示の実施の形態1の変形例に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体20について、図2を参照して説明する。図2は、実施の形態1の変形例1に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体20の構成を模式的に示す図である。

実施の形態1の変形例1に係る膜電極接合体20は、図2に示すように、第1の電極11と、第2の電極13(すなわち、機能層)と、第1の固体電解質膜12とを備え、第2の電極13は、その一方側の面で第1の電極11と接し、この一方側の面とは反対側となる他方側の面において第1の固体電解質膜12と接する構成となっている。そして第1の電極11、第2の電極13、第1の固体電解質膜12の順に積層されている。

すなわち、実施の形態1の変形例1に係る膜電極接合体20は、実施の形態1に係る膜電極接合体10と比較して、第1の電極11と第1の固体電解質膜12との間に第1の固体電解質膜12と接するように第2の電極13をさらに備えている点で相違する。

したがって、実施の形態1の変形例1に係る膜電極接合体20が備える第1の電極11および第1の固体電解質膜12は、実施の形態1に係る膜電極接合体10が備える第1の電極11および第1の固体電解質膜12と同様であるため、これらの部材について詳細な説明は省略する。

第2の電極13は、金属と、プロトン伝導性を有する第3電解質とを含む複合材料である。第3電解質は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0

また、第3電解質に含まれるMは、Sc、Lu、Yb、およびTmからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってもよい。

第2の電極13に含まれる金属は、電子伝導性を有する金属であって、例えばNi、Co、Fe、およびPdからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属から構成される。

第2の電極13は、第1の固体電解質膜12との界面において第1の電極11よりも高い発電性能を有する機能層とすることができる。すなわち、第2の電極13は、第1の電極11よりも、三相界面を増加させる電極層、および/または空隙率を向上させた電極層とすることができる。なお、第1の固体電解質膜12の厚みが5μm以上、50μm以下の範囲の値となるとき、第1の電極11および第2の電極13を合せた厚みは、150μm以上、3mm以下の範囲の値とすることができる。このとき、第2の電極13の厚みは、例えば、5μm以上、50μm以下の範囲の値としてもよい。

このように、第2の電極13として、第1の電極11よりも三相界面を増加させることができる電極層、および/または空隙率を向上させた電極層を選択して、第1の電極11と組み合わせることができる。そして、膜電極接合体20の電極を第1の電極11と、この第1の電極11よりも発電性能が高い第2の電極13とを組み合わせて構成する場合、第1の電極11を単独で用いた構成と比較して、両者が同じ膜厚であるならば、前者のほうが後者よりも発電性能を高くすることが出来る。なお、割れが生じないように、電極に対して、反りが低減する引張方向に歪む特性を付与させるようにするため、第2の電極13は、第1の電極11よりも薄膜化された構造としてもよい。

また、電気化学デバイスを、例えば、固体酸化物形燃料電池とする場合、第1の電極11と、第2の電極13と、第1の固体電解質膜12とから構成される膜電極接合体20において、第1の電極11および第2の電極13からなる電極側に水素含有ガスを、第1の固体電解質膜12の第2の電極13と接する側とは反対側に酸化剤ガスをそれぞれ供給して発電を行うことができる。

(実施の形態1の変形例2) 次に本開示の実施の形態1の変形例2に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体30について、図3を参照して説明する。図3は、実施の形態1の変形例2に係る電気化学デバイスが備える膜電極接合体30の構成を模式的に示す図である。

実施の形態1の変形例2に係る膜電極接合体30は、図3に示すように、第1の電極11と、第1の固体電解質膜12と、第2の固体電解質膜14とを備え、第2の固体電解質膜14は、その一方側の面で第1の電極11と接し、この一方側の面とは反対側となる他方側の面において第1の固体電解質膜12と接する構成となっている。そして、第1の電極11、第2の固体電解質膜14、第1の固体電解質膜12の順に積層されている。

すなわち、実施の形態1の変形例2に係る膜電極接合体30は、実施の形態1に係る膜電極接合体10と比較して、第1の電極11と第1の固体電解質膜12との間に第1の電極11と接するように第2の固体電解質膜14をさらに備えている点で相違する。

したがって、実施の形態1の変形例2に係る膜電極接合体30が備える第1の電極11および第1の固体電解質膜12は、実施の形態1に係る膜電極接合体10が備える第1の電極11および第1の固体電解質膜12と同様であるため、これらの部材について詳細な説明は省略する。

第2の固体電解質膜14は、BaaZr1−xMxO3、BaaCe1−xMxO3、 およびBaaZr1−x−yCexMyO3(MはLa、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Y、Sc、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、In、Luからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、0

第2の固体電解質膜14は、第1の固体電解質膜12とは異なる電解質材料から構成することができる。例えば、第2の固体電解質膜14を、第1の固体電解質膜12よりもプロトン伝導率が高いプロトン伝導体の電解質材料から構成してもよい。

例えば、膜電極接合体30の電解質層を第1の固体電解質膜12と、この第1の固体電解質膜12よりもプロトン伝導率が高い第2の固体電解質膜14とを組み合わせた構成とする場合、第1の固体電解質膜12を単独で用いた構成と比較して、両者が同じ膜厚であるならば、前者のほうが後者よりもプロトン伝導率を高くすることが出来る。また、より良好なプロトン導電率を達成するために、プロトン導電率が低い第1の固体電解質膜12をできるだけ薄膜化させてもよい。また、ガスタイト性が維持できない程度まで第1の固体電解質膜12を薄膜化した場合であっても、第2の固体電解質膜14でガスタイト性を補填することができる。

また、電気化学デバイスを、例えば、固体酸化物形燃料電池とする場合、第1の電極11と、第1の固体電解質膜12と、第2の固体電解質膜14とから構成される膜電極接合体30において、第1の電極11側に水素含有ガスを、第1の固体電解質膜12側に酸化剤ガスをそれぞれ供給して発電を行うことができる。

なお、実施の形態1に係る膜電極接合体10の構成において、変形例1に係る膜電極接合体20と変形例2に係る膜電極接合体30とを組み合わせて、電極を第1の電極11と第2の電極13とから構成し、電解質層を第1の固体電解質膜12と第2の固体電解質膜14とから構成した4層構造としてもよい。

(実施の形態2) 次に本開示の実施の形態2として、実施の形態1およびその変形例1、2の膜電極接合体10、20、30のいずれか1つを用いた電気化学デバイスの一例として、燃料電池について図4を参照して説明する。図4は、実施の形態2に係る燃料電池100の要部構成の一例を模式的に示すブロック図である。

なお、実施の形態2では、説明の便宜上、電気化学デバイスとして膜電極接合体10を備えた燃料電池100を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、燃料電池100は、膜電極接合体10に代えて、膜電極接合体20を備えてもよいし、膜電極接合体30を備えてもよい。

図4に示すように燃料電池100は、第1の固体電解質膜12と、酸化剤ガスが供給される空気極15と、燃料ガスとして水素含有ガスが供給される第1の電極11(すなわち、燃料極)と、を有した、平板型の燃料電池単セル40を備えている。さらに燃料電池100は、第1の電極11に燃料ガスを供給する経路である燃料ガス供給経路21と、空気極15に酸化剤ガスを供給する経路である酸化剤ガス供給経路22とを備える。

図4に示すように第1の固体電解質膜12は、第1の電極11と一方側の面で接し、この一方側の面とは反対側となる他方側の面において空気極15と接しており、第1の電極11、第1の固体電解質膜12、空気極15の順に積層されている。

また、燃料電池100では複数の燃料電池単セル40を積層してスタック50を形成している。

(燃料電池単セルの構成) ここで、上記した燃料電池単セル40の詳細な構成について図5を参照して説明する。図5は、実施の形態2に係る燃料電池100が備える、燃料電池単セル40の構成の一例を模式的に示す断面図である。

図5に示すように燃料電池単セル40は、第1の電極11および第1の固体電解質膜12を有する膜電極接合体10と、空気極15と、燃料極集電材16aと、空気極集電材16bと、セパレータ18と、第1の固体電解質膜12とセパレータ18とを接合するシール部17と、インターコネクタ19と、絶縁層33と、を備える。そして、空気極15は、膜電極接合体10の第1の固体電解質膜12と接するように配置されている。

第1の電極11には燃料ガス供給経路21を通じて水素含有ガスが供給され、空気極15には酸化剤ガス供給経路22を通じて酸化剤ガスが供給され、発電が行われる。

燃料電池単セル40は、図5に示すように、空気極15に供給される酸化剤ガスと第1の電極11に供給される燃料ガスとを分離するためにセパレータ18が設けられている。

空気極15は、ランタンストロンチウムコバルト複合酸化物、ランタンストロンチウムコバルト鉄複合酸化物、ランタンストロンチウム鉄複合酸化物、およびランタンニッケル鉄複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である酸化物イオン・電子混合伝導体材料を用いて構成する。空気極15が、例えば、固体酸化物形燃料電池のカソード電極として用いられる場合、気相中の酸素を電気化学的に還元する反応が生じる。このため、空気極15は、酸素の拡散経路を確保し、反応を促進するために、多孔体であってもよい。

燃料極集電材16aおよび空気極集電材16bは、燃料電池単セル40から電流を外部に取り出すための部材であり、例えば、フェライト系合金により構成される。このフェライト系合金は、Cr飛散防止のため、(Mn,Co)3O4のスピネル系酸化物を表面にコートして使用してもよい。燃料極集電材16aおよび空気極集電材16bは、接触抵抗を低減させるため電極(すなわち、第1の電極11および空気極15)に対して所定の荷重をかけて、押し当てるよう配置されている。なお、平板型の燃料電池単セル40において過剰に荷重がかかることを防ぐために、燃料極集電材16aおよび空気極集電材16bは、ポーラスメッシュのような、やわらかい材質を用いてもよい。さらには、燃料極集電材16aおよび空気極集電材16bは、例えば、伸縮可能なバネ式の機構により第1の電極11および空気極15に対して押し付ける構成であってもよい。燃料極集電材16aおよび空気極集電材16bがこのように構成された場合、集電性能を担保しつつ、平板型の燃料電池単セル40へ与える局所荷重を低減させることができる。

セパレータ18は、第1の電極11(すなわち、燃料極)に供給される燃料ガスと、空気極15に供給される酸化剤ガスとの混合を防止するための仕切り板である。セパレータ18は、内部リーク防止のために、表層にAl2O3皮膜が形成される金属組成物から形成することができる。この金属組成物としては、例えば、Alを含有したフェライト系ステンレスが挙げられる。セパレータ18は、例えば、枠形状に形成することができ、その内周部分は、図5に示すように第1の固体電解質膜12の周縁部であって、空気極15が配置される側の面と対向するように配置される。そして、セパレータ18は、対向するこの第1の固体電解質膜12の周縁部にシール部17を介して接合される。

燃料電池単セル40では、このセパレータ18によって、空気極15に面し、酸化剤ガス供給経路22と連通しており酸化剤ガスが流通する領域である酸化剤ガス流通領域32と、第1の電極11(すなわち、燃料極)に面し、燃料ガス供給経路21と連通しており燃料ガスが流通する領域である燃料ガス流通領域31とに区画することができる。このように、燃料電池単セル40では、セパレータ18を備えるため、一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークを防ぐことができる。

インターコネクタ19は、積層される燃料電池単セル40間の電気的導通を確保するとともに、燃料電池単セル40間での反応ガスの混合を防止する。隣接する燃料電池単セル40同士の間には1つのインターコネクタ19が配置されており、隣接する燃料電池単セル40同士によって1つのインターコネクタ19が共用される構成となっている。インターコネクタ19は、導電性部材とすることができ、例えば、フェライト系ステンレスにより形成することができる。

インターコネクタ19とセパレータ18との間には、電気絶縁をする絶縁層33が配置されている。絶縁層33は、例えば、マイカとすることができる。

(実施例) <評価用膜電極接合体の製造> 以下、本開示の実施例における評価用膜電極接合体の製造方法について説明する。なお、NiとBZYbの体積比率が46:54となる電極材料を比較例とする。また、NiとBZYbの体積比率が57:43となる電極材料を実施例A、69:31となる電極材料を実施例B、および84:16となる電極材料を実施例Cとして製造し、それぞれの機械特性を評価した。

まず、電極層となるグリーンシート材を準備する。このグリーンシート材は、NiO粉末(住友金属鉱山製)と、電解質層を構成するプロトン電解質粉末と、この電解質粉末のバインダーとなる第一の樹脂と、この第一の樹脂を柔軟化する第一の可塑剤と、第一の樹脂を溶解する溶剤とを混ぜてシート状に形成するものである。

ここで、電解質層を構成するプロトン伝導体材料は、Ba(NO3)2(関東化学製)およびZrO(NO3)2・2H2O(関東化学製)の粉末に加えて、Yb(NO3)3・xH2O(高純度化学製)の粉末をそれぞれ加えて出発原料として、クエン酸錯体法により作製した。所定の配分に秤量した各粉末を蒸留水に溶解させ攪拌した。そして、金属カチオンに対し1.5等量のクエン酸一水和物(関東化学製)および1.5等量のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(関東化学製)を加えた。その後、90℃で攪拌した。

次に、アンモニア水(28%)(関東化学製)を用いてpHを7に調整した。pH調整後、ホットスターラーを用いて、95℃〜240℃で溶媒を除去し、得られた固形物を乳鉢粉砕した後、約400℃で脱脂した。

脱脂後、得られた粉末を円柱状にプレス成型して900℃で10時間仮焼した。仮焼後、粗粉砕した粉末を、プラスチック容器にジルコニア製ボールとともに入れ、エタノールを加えて4日間以上ボールミルにより粉砕を行った。ボールミルによる粉砕後、ランプ乾燥によって溶媒を除去した。

得られた電解質材料粉末(BaZr0.8Yb0.2O3、以下、「BZYb」と称する)とNiO粉末(住友金属鉱山製)とを、重量比で、NiO:BZYb=60:40、70:30、80:20、90:10となるように秤量した。グリーンシートの作製のため、電解質粉末、NiO粉末、樹脂としてポリビニルブチラール、可塑剤としてブチルベンジルフタレート、溶剤として酢酸ブチル、1−ブタノールを混ぜた。得られたグリーンシートを80℃、13MPaでホットプレスにより積層した後、ホットプレス50MPaにより積層体を得た。得られた積層体を1400℃で2時間焼成して膜電極接合体を作製した。

なお、実施例A〜Cおよび比較例に対する機械特性評価は4点曲げ強度評価によって行った。4点曲げ強度評価を行うにあたり、JIS R 1601(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)に従い、試料寸法を長さ26mm、幅6mm、厚み2mmとし、表面粗さ0.20μmRa、試験片の面取り0.1mm〜0.3mmとなるように加工した。その後、還元処理を行い、機械特性評価用試料を得た。

<燃料極の応力−ひずみ曲線測定> 次に、実施例A〜Cおよび比較例に対する応力−ひずみ曲線の測定を以下のように実施した。すなわち、インストロン社万能試験機モデル5965型を用いて、高温、且つ水素ガス雰囲気となる作動温度および作動雰囲気下にて測定を行った。

具体的には、温度600℃および還元雰囲気1%H2−99%Ar条件において、電極を構成するNiとBZYbとの体積比別に、電極材料の応力−ひずみ曲線の測定を行った。すなわち、図6、7に示すように、JIS R 1601ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法に則した測定方法を行った。図6は実施例に係る電極材料の機械特性評価測定方法を模式的に示す斜視図である。図7は実施例に係る電極材料の機械特性評価測定方法を模式的に示す断面図である。

なお、金属または樹脂材料の曲げ強度評価では3点曲げが広く用いられている。一方、セラミックのような脆性体が含まれる系では、より測定のばらつきが少ない4点曲げを採用している。本開示の実施例に関しても4点曲げにて応力−ひずみ曲線を得た。

機械特性評価測定は、Ni体積比率の変化と電極材料のひずみ量の変化との関係性について確認し、電極材料を平坦化するために必要となるNi体積比率を求めるために行った。

ここで電極材料の延性について説明する。延性とは、弾性限界を超えた応力を受けても破壊されずに引き伸ばされる性質のことをいう。弾性限界とは、電極材料に荷重をかけ変形させた後、荷重を取り除いた場合でも、元の形に戻る応力の限界点を指す。具体的には、図8に示すように、弾性限界は、応力とひずみとの比例関係を示す最大の応力値(すなわち、比例限界点)を少し超えて非線形変化するところに存在し、この点を境に弾性領域と延性領域とに区別される。図8は、実施例に係る応力−ひずみ曲線の一例を示すグラフである。図8のグラフでは、縦軸に電極材料に加えられた荷重Pに応じた応力σ[MPa]を、横軸に電極材料のひずみε[%]をそれぞれ示している。

本実施例では、材料の引き伸ばされる度合いを、便宜上、弾性限界に近い値となり特定がより容易な比例限界点から破断する点までをひずみ量として規定する。

以上の条件にしたがって、異なるNi体積比率となる電極材料それぞれの応力−ひずみ曲線を求めた結果、図9に示す結果が得られた。図9は、実施例および比較例に係る電極材料の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。図9では、Ni体積比率が異なる電極材料の、還元雰囲気での応力−ひずみ曲線をそれぞれ示す。図9では縦軸に応力σ[MPa]、横軸にひずみε[%]を示している。

図9に示すように、比例限界点(図9における星印)は、Ni体積比率が46%の場合、ひずみ0.18%となる位置に存在し、Ni体積比率が57%、69%、3%の場合は、いずれもほぼ0.13%となる位置に存在した。また、Ni体積比率が46%、57%、69%、83%と増加するに伴い、比例限界点から破断ひずみまでのひずみ量は、0.05%、0.16%、0.27%、0.36%と増加する傾向にあることが分かった。つまりNi体積比率を増やすことで延性特性がより顕著に現れることが分かった。

ここで割れの一要因である熱応力について考察する。まず、上記した実施例A〜C,および比較例の4種類の組成となる電極材料を用いた平板セルを想定した。この時、金属体積比率が増えると線膨張係数は増加するため、電解質層(例えば、第1の固体電解質膜12)と電極(例えば、第1の電極11)との界面で生じるひずみ、熱応力も増加して割れが生じやすくなると考えられる。なお、界面ひずみは、(線膨張係数の差)×(温度)により計算することができる。

以下の表1に示すように、Ni体積比率が46%、57%、69%、84%となる電極材料の線膨張係数と、電解質層の線膨張係数との差がそれぞれ3.3×10−6/℃、4.0×10−6/℃、4.6×10−6/℃、5.4×10−6/℃となった。ここで、作動温度を600℃とすると、それぞれの界面ひずみは、0.2%、0.24%、0.28%、0.32%と算出された。

なお、表1は、実施例の膜電極接合体における界面で生じる熱応力の値を示す表である。より具体的には、表1では、Ni体積比率が46%、57%、69%、84%となる電極材料について、電解質層との線膨張係数の差と、界面ひずみ(%)および熱応力(MPa)との対応関係を示す。

図9、表1に示すように、比較例、実施例A、実施例B、実施例Cの順に線膨張係数差が大きくなるにも関わらず、応力−ひずみ曲線から分かる熱応力は、それぞれ、150MPa、105MPa、75MPa、52MPaと延性特性の効果によって低減されることが分かった。

<たわみ量の計算> 次に、平板セルの反りにより発生する局所応力の影響を調べるために、Ni体積比率が上記した4種類の組成比となる電極材料を使用した平板セルについて、変形可能なたわみ量の算出を行った。具体的には、塑性変形を解析に取り入れるため有限要素モデルの多直線近似等方硬化則を用いてたわみ量の算出を行った。

4点曲げ測定から得られた応力−ひずみ曲線の延性挙動を多直線で近似し、円板状の平板セルに強制変位をかけたとき、そのたわみ量と応力とを計算した。円板状の平板セルの形状は、直径20mmφ、厚み500μmとした。解析で使用した一般式を以下に示す。

数1から数3において、σは平板セルの中心部の最大応力、wは平板セルの最大たわみ、Pは平板セルに加える荷重、tは平板セルの円板厚み、Rは平板セルの円板半径、νはポアソン比、Eは縦弾性係数である。

ここで平板セルに対して強制的に荷重Pをかけた時のたわみ量を算出し、応力−ひずみ曲線から、上記した各々の組成比の破断ひずみ点が分かっているので、ここから変形可能なたわみ量を見積もることができる。その結果、比較例、実施例A、実施例B、および実施例Cそれぞれのたわみ量は具体的には表2に示す値となった。

表2は、実施例における実際の平板セルの反り比率(%)と、計算より得られる最大たわみ比率(%)の値を示す表である。表2では、Ni体積比率が46%、57%、69%、84%となる電極材料を備えた平板セル(比較例の平板セル、および実施例A〜Cの平板セル)について、平板セルの反り比率(%)と、最大たわみ比率(%)と、平坦化の可否との対応関係を示す。

なお、平板セルの反り比率とは、平板セルの長さ方向の大きさ(すなわち、直径)をL、平板セルの厚み方向の面内高低差(すなわち、平板セルの反り量)をΔLとしたとき、ΔL/L値として規定でき、平板セルの反りが低減する方向に変形する割合を示す。表2に示すように、金属体積比率が増加するにしたがって平板セルの反り比率も増加していることが分かった。これは電極に含まれる金属が多いほど、電極と電解質層との線膨張係数の差が広がるためである。

また、表2には計算から求まった最大たわみ比率値を記載している。最大たわみ比率とは、平板セルの長さ方向の大きさに対する最大たわみ量を示す。平板セルの反り比率に対して最大たわみ比率が上回るとき、高温、還元雰囲気、締結状態といった作動環境下で、平板セルは、平坦となる変形が可能となる。例えば、Ni体積比率が46%の比較例の平板セルの場合、平板セルの反り比率が0.47%であるのに対し、最大たわみ比率が0.42%である。このような機械特性を有する平板セルを用いた場合、平板セルの反りが0.42%まで変形した時に、電極材料の下部において引張応力が破断応力に達するため、これ以上、電極材料を平坦に変形することができず割れてしまう。このため、電極材料においてNi体積比率が46%となる比較例の平板セルでは作動環境下において割れることが想定される。

一方で、表2に示されるように、Ni体積比率が57%以上であり、かつ平板セルの反り比率が0.5%以上となる条件を満たす実施例A〜Cの平板セルでは、平板セルの反り比率よりも、破壊に至るまでの最大たわみ比率の方が大きくなっている。

このため、実施例A〜Cの平板セルが備える電極材料は、平坦化可能な延性を有するものと考えられる。このため、実施例A〜Cの平板セルが備える電極材料を、例えば、燃料電池の燃料極として用いることで、燃料電池の作動環境下において平板セルに割れが生じることを抑制できる。

<割れ評価> 次に、実施例の平板セルについて作動環境下における割れ評価を実施した。このとき平板セルの形状は、アノード支持体により支持された燃料極の厚みが500μm、電解質層の厚みが10μm、大きさ(すなわち、直径)がφ20mmとなる円板であり、平板セルの反り比率が表2に示す値となる平板セルについて評価した。

具体的には、燃料極としてNi体積比率46%となる電極材料を有した比較例に係る平板セルと、Ni体積比率57%となる電極材料を有した実施例Aに係る平板セルと、Ni体積比率69%となる電極材料を有した実施例Bに係る平板セルを用意した。そして、比較例の平板セルと実施例Aと実施例Bの平板セルとについて、600℃の温度で、かつ還元処理中の際の起電力をそれぞれ測定した。ここで平板セルが割れる場合、測定された起電力の値が急激に降下する。そこで、比較例、実施例A、および実施例Bの平板セルについて、それぞれ起電力を測定することにより、平板セルの割れの発生比率(すなわち、不良率)を求めた。

表3は、比較例および実施例の平板セルの不良率の値を示す表である。比較例(電極におけるNi体積比率46%)の平板セルの場合、85%の不良率(17/20個)であった。これに対して、実施例A(電極におけるNi体積比率57%)の平板セルの場合、0%(0/2個)の不良率、実施例B(電極におけるNi体積比率69%)の平板セルの場合、7%(1/14個)の不良率となり、不良率の発生に対して大きな改善が見られた。

以上より、Niの体積比率を大きくすることで得られる電極の延性効果により大幅に平板セルの割れを抑制することができることを確認した。

なお、実施例では、電極に含まれる金属としてNiを例に挙げて説明した。しかしながら、Ni、Co、Fe、およびPdそれぞれの融点は近くなる。このため、Niの代わりにCo、Fe、およびPdのいずれか1つを少なくとも体積比率で57%以上含む電極の場合であっても、Niを含む電極と同様な上記した機械特性評価が得られ、割れおよびクラックの発生を低減することができる。

本開示にかかる膜電極接合体は、燃料電池、ガスセンサ、水素ポンプ、または水電解装置などの電気化学デバイスの膜電極接合体として用いることができる。

10 膜電極接合体 11 第1の電極 12 第1の固体電解質膜 13 第2の電極 14 第2の固体電解質膜 15 空気極 16a 燃料極集電材 16b 空気極集電材 17 シール部 18 セパレータ 19 インターコネクタ 20 膜電極接合体 21 燃料ガス供給経路 22 酸化剤ガス供給経路 30 膜電極接合体 31 燃料ガス流通領域 32 酸化剤ガス流通領域 33 絶縁層 40 燃料電池単セル 50 スタック 100 燃料電池

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