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合成繊維フィラメント用処理剤、合成繊維フィラメント及び基布

阅读:114发布:2024-01-20

专利汇可以提供合成繊維フィラメント用処理剤、合成繊維フィラメント及び基布专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是合成繊維フィラメント用処理剤、合成繊維フィラメント及び基布专利的具体信息内容。

ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体との縮合物であるエステル化合物(A1)及びその縮合物の少なくとも1つの酸基を脂肪酸で封鎖したエステル化合物(A2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物(A)と、 下記一般式(1)で表されるエステル化合物(B1)及び下記一般式(2)で表されるエステル化合物(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物(B)とを必須に含有する処理剤であって、 前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の重量比(A/B)が0.01〜0.8であり、 処理剤の不揮発分に占める、前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の合計の重量割合が40重量%以上であり、全芳香族ポリアミド原料繊維用である、合成繊維フィラメント用処理剤。 (式(1)において、R1は炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。A1Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す。mは1〜20の数を示す。) (式(2)において、R3は炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。R4は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。A2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す。nは1〜20の数を示す。)前記R1及び/又はR2が分岐である、請求項1に記載の処理剤。有機スルホン酸塩(C)をさらに含み、処理剤の不揮発分に占める前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の合計の重量割合が40〜95重量%であり、処理剤の不揮発分に占める前記スルホン酸塩(C)の重量割合が0.1〜10重量%である、請求項1又は2に記載の処理剤。全芳香族ポリアミド原料繊維フィラメント糸条に、請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤を付与した、全芳香族ポリアミド繊維フィラメント。全芳香族ポリアミド原料繊維フィラメント糸条に対して、請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤を付与する工程を含む、全芳香族ポリアミド繊維フィラメントの製造方法。請求項4に記載の全芳香族ポリアミド繊維フィラメントを製織した、基布。

说明书全文

合成繊維フィラメント用処理剤、当該処理剤が付与された合成繊維フィラメント及び当該フィラメントを製織した基布に関する。

近年、合成繊維を使用した織物基布は、エアバッグ、テント及びターポリン等に用途が細分化している。また、これらの用途に供される合成繊維の種類も、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維又は全芳香族ポリエステル繊維等、幅広くなってきている。

一般に織物基布は、合成繊維処理剤が付与された合成繊維フィラメントをウォータージェットルーム織機やレピア織機等の公知の織機で製織した後、精練工程を経て得られる。その後、撥性樹脂エマルション等の樹脂でコーティングされ、基布に撥水性や気密性が付与される。

ポリエステルやポリアミド繊維等の一般的な合成繊維は、高密度に製織する場合、繊維間同士の擦過で毛羽が発生し易い。芳香族ポリアミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維等の高強度高弾性合成繊維の場合は、低密度に製織する場合においても、毛羽やフィブリル化が発生し易い。

毛羽やフィブリル化を解決する方法として、特定のエステル化合物を繊維に付与することが開示されている(特許文献1及び特許文献2)。確かに、このエステル化合物は繊維−繊維間摩擦を低減することができ、繊維を柔軟にすることで繊維の毛羽が低減するという優れた性能を有する。そのため、毛羽やフィブリル化を低減する用途で用いられている。

日本国特開昭59−223368号公報

日本国特開平7−173768号公報

しかし、この特許文献1に記載のエステル化合物を含有する繊維処理剤を付与した合成繊維フィラメントを製織して基布を作製した後、精練工程を経て撥水性樹脂エマルション等の樹脂でコーティングした際に、基布に十分な撥水性や気密性が付与できていないことが多く見られた。かかる原因を調査したところ、精練が不十分であるために処理剤が基布に残存し、この残存した処理剤が樹脂の均一なコーティング性を阻害しているために、基布に十分な撥水性や気密性が付与できていないことが判明した。

そこで、本発明の目的は、合成繊維フィラメントの製織工程で毛羽やフィブリル化を低減すると同時に、合成繊維フィラメントを製織した基布の精練性に優れる合成繊維フィラメント用処理剤を提供すること、当該処理剤が付与された合成繊維フィラメント、及び当該合成繊維フィラメントを製織した基布を提供することにある。

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のエステル化合物(A)及び特定のエステル化合物(B)を特定の比率及び特定の合計重量割合で含有する合成繊維フィラメント用処理剤、当該処理剤を付与した合成繊維フィラメント及び当該処理剤を付与した合成繊維フィラメントで製織した基布であれば、毛羽やフィブリル化が少なく、且つ、精練性に優れることを見出した。

すなわち、本発明は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体との縮合物であるエステル化合物(A1)及びその縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル化合物(A2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物(A)と、下記一般式(1)で表されるエステル化合物(B1)及び下記一般式(2)で表されるエステル化合物(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物(B)とを必須に含有する処理剤であって、 前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の重量比(A/B)が0.01〜0.8であり、処理剤の不揮発分に占める、前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の合計の重量割合が40重量%以上であり、全芳香族ポリアミド原料繊維用である、合成繊維フィラメント用処理剤。

(式(1)において、R1は炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。R 2は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。A1Oは、炭素 数2〜4のオキシアルキレン基を示す。mは1〜20の数を示す。)

(式(2)において、R3は炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。R 4は炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。A2Oは、炭素 数2〜4のオキシアルキレン基を示す。nは1〜20の数を示す。)

前記R1及び/又はR2が分岐である、と好ましい。

前記(A1O)mに占めるオキシプロピレン基の割合が20〜80モル%であり、前記(A2O)nに占めるオキシプロピレン基の割合が20〜80モル%であることが好ましい。

有機スルホン酸塩(C)をさらに含み、処理剤の不揮発分に占める前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)の合計の重量割合が40〜95重量%であり、処理剤の不揮発分に占めるスルホン酸塩(C)の重量割合が0.1〜10重量%であることが好ましい。

本発明の全芳香族ポリアミド繊維フィラメントは、全芳香族ポリアミド原料繊維フィラメント糸条に対して、前記合成繊維フィラメント用処理剤が付与されたものである。 本発明の全芳香族ポリアミド繊維フィラメントの製造方法は、全芳香族ポリアミド原料繊維フィラメント糸条に対して、上記の処理剤を付与する工程を含むものである。

本発明の基布は、上記の全芳香族ポリアミド繊維フィラメントを製織したものである。

本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、合成繊維フィラメントを製織する工程で毛羽やフィブリル化を低減すると同時に、合成繊維フィラメントを製織した基布の精練性にも優れる。本発明の合成繊維フィラメント又は本発明の製造方法により得られた合成繊維フィラメントによれば、製織時の毛羽やフィブリル化が少なく且つ精練性にも優れる。当該処理剤を付与した合成繊維フィラメントを製織した基布は、毛羽やフィブリル化が少なく精練性にも優れる。

実施例の糸−糸ラビング試験に用いる装置の概略図である。

実施例の撥水性評価の概略図である。

本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、特定のエステル化合物(A)と特定のエステル化合物(B)を特定の比率及び特定の合計重量割合で必須に含有するものである。以下に詳細に説明する。

[エステル化合物(A)] 本発明で用いられるエステル化合物(A)は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(以下、ポリヒドロキシエステルということがある)とジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体との縮合物であるエステル化合物(A1)及びその縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル化合物(A2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物である。エステル化合物(A)は本発明の合成繊維処理剤に必須に含まれる成分であり、集束性を高め、製織工程での毛羽やフィブリル化を低減するという優れた性能を有する。そのため、単独で使用しても毛羽やフィブリル化を低減することができる成分であるが、後述するエステル化合物(B)と併用することで、毛羽やフィブリル化を低減する性能がさらに向上する成分である。 ここで、ジカルボン酸誘導体とは、エステル化反応やエステル交換反応等により水酸基含有化合物とカルボン酸エステルを形成できる誘導体である。つまり、ジカルボン酸のアルキルエステル、酸無水物、アミド等が挙げられる。

エステル化合物(A1)を構成するポリヒドロキシエステルは、構造上、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステルであり、多価アルコールの水酸基のうち、2個以上(好ましくは全部)の水酸基がエステル化されている。したがって、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルは、複数の水酸基を有するエステルである。

ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸は、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基となっている。 ポリヒドロキシエステルとしては、たとえば、炭素数6〜22(好ましくは12〜22)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。ヒドロキシ脂肪酸の炭素数が6未満であると、集束性が低くなり、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。一方、22を超えると、後述するエステル化合物(B)と併用した場合に、精練性が低下する可能性がある。

炭素数6〜22のヒドロキシ脂肪酸としては、たとえば、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等が挙げられ、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸が好ましい。 多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等が挙げられ、グリセリンが好ましい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。

ポリヒドロキシエステルは、たとえば、多価アルコールとヒドロキシ脂肪酸(ヒドロキシモノカルボン酸)を通常の条件でエステル化してエステル化物を得て、次いでこのエステル化物にアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造できる。ポリヒドロキシエステルは、ヒマシ油などの天然から得られる油脂やこれに水素を添加した硬化ヒマシ油を用い、さらにアルキレンオキシドを付加反応させることによっても、好適に製造できる。ポリヒドロキシエステルを製造する場合、多価アルコールの水酸基1モル当量あたりのヒドロキシ脂肪酸のカルボキシル基当量は、0.5〜1の範囲であることが好ましい。

アルキレンオキシドの付加モル数は、前記ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルの1分子当り、好ましくは50以下、さらに好ましくは5〜30である。付加モル数が50を超えると、後述するエステル化合物(B)と併用した場合に、精練性が低下する可能性がある。アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合は、好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上である。エチレンオキシドの割合が大きくなる程、精練性が向上する傾向が見られる。2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。アルキレンオキシドの付加は公知の方法により行うことができるが、塩基性触媒の存在下にて行うことが一般的である。

本発明で用いられるエステル化合物(A1)は、ポリヒドロキシエステルとジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体との縮合物である。エステル化合物(A1)を製造する場合、ポリヒドロキシエステルの水酸基1モル当量あたりのジカルボン酸のカルボキシル基当量は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.4〜0.8がさらに好ましい。前述の縮合物を得る為には、通常のエステル化反応やエステル交換反応等のエステル化物が得られるような一般的な反応条件で良く、特に限定はない。ジカルボン酸(又はジカルボン酸誘導体)のジカルボン酸部分の炭素数については、2〜10が好ましく、2〜8がさらに好ましい。ジカルボン酸の炭素数が10を超えると、後述するエステル化合物(B)と併用した場合に、精練性が低下する可能性がある。

このような縮合物を与える原料のジカルボン酸としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。また、前述の縮合物の原料となるジカルボン酸の他にジカルボン酸誘導体として、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸エステルも挙げられるが、特にこれらに限定するわけではない。ジカルボン酸(又はジカルボン酸誘導体)と共に、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸等のカルボン酸を20重量%以下(好ましくは10重量%以下)含有してもよい。

本発明で用いられるエステル化合物(A2)は、エステル化合物(A1)において、少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したものである。封鎖する脂肪酸の炭素数は10〜50が好ましく、12〜36がさらに好ましい。また、脂肪酸の炭素数が10未満であると集束性が低下し、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性があり、一方、50を超えると後述するエステル化合物(B)と併用した場合に、精練性が低下する可能性がある。 このように、配合する他の成分や付与する対象となる繊維に合わせてエステル化合物(A1)の集束性と精練性を調整することができ、十分な毛羽やフィブリル化を低減する性能及び精練性を得るようにすることができる。

このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラノリン脂肪酸(ウールグリースを精製したラノリン誘導体である炭素数12〜36の脂肪酸)等が挙げられるが、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン脂肪酸が好ましい。エステル化合物(A1)と脂肪酸とのエステルを製造する場合、エステル化合物(A1)の水酸基1モル当量あたりの脂肪酸のカルボキシル基当量は0〜1の範囲であることが好ましい。エステル化の反応条件については特に限定はない。

[エステル化合物(B)] 本発明で用いられるエステル化合物(B)は、前記一般式(1)で表されるエステル化合物(B1)及び前記一般式(2)で表されるエステル化合物(B2)からなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル化合物である。

エステル化合物(B1)は、前記一般式(1)に示す通り、R2OHで示される一価のアルコールにA1Oで示されるオキシアルキレン基をmモル付加した(ポリ)オキシエチレンアルキルエーテルとR1COOHで示される一価のカルボン酸とをエステル反応させて得られた構造を有するエーテルエステルである。

R1で示されるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は1〜24であり、好ましくは8〜18であり、更に好ましくは10〜16であり、この順でエステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上する。R1COOHで示されるカルボン酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の直鎖の脂肪酸;イソオクタン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、トリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐の脂肪酸等が挙げられ、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソドデカン酸、トリデカン酸が好ましい。

R2OHで示される一価のアルコールは、脂肪族アルコールの場合には、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐であってもよい。又、芳香族アルコールの場合には、アリール基中のアルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。これらの中でも、さらなる精練性向上の点から、R2OHで示される一価のアルコールは、R2が分岐のアルキル基である分岐の脂肪族アルコールであることが好ましい。R2で示されるアルキル基、アルケニル基又はアリール基の炭素数は1〜24であり、好ましくは8〜18であり、更に好ましくは10〜16である。この順で、エステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上する。 R2OHで示されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖の脂肪族アルコール;ターシャリーブチルアルコール、イソオクチルアルコール、イソデカノール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール等の分岐の脂肪族アルコール;フェノール、ベンジルアルコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、イソノニルアルコール等の芳香族アルコール;等が挙げられる。これらの中でも、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソセチルアルコールが好ましい。

R2OHで示される一価のアルコールに付加した(A1O)mで示されるオキシアルキレン基について、付加されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの付加の順序はいずれであってもよく、また付加形態もブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでも良く、特に制限はない。

前記(A1O)mは、炭素数が2〜4であり、オキシプロピレン基を含有することが、エステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上するため、好ましい。また、前記(A1O)mに占めるオキシプロピレン基の割合が20〜80モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。この順で精練性が向上する。mはA1Oの平均付加モル数を表す。mは1〜50であり、精練性が向上するために3〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。mが50を越えると、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。mが1未満であると精練性が発揮されない。

エステル化合物(B2)は、上記一般式(2)に示す通り、R3OHで示される一価のアルコールにA2Oで示されるオキシアルキレン基をnモル付加して得られた(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルを、さらに酸化して得られた(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル酢酸と、R4OHで示される一価のアルコールとを、エステル反応させて得られた構造を有するエーテルエステルである。

R3OHで示される一価のアルコールは、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐であってもよい。R4で示されるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は1〜24であり、好ましくは8〜18であり、更に好ましくは10〜16である。この順で、エステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上する。R3OHで示されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールが好ましい。

R3OHで示される一価のアルコールにA2Oで示されるオキシアルキレン基をnモル付加して得られた(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルについて、付加されるエチレンオキサイド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの付加の順序はいずれであってもよく、また付加形態もブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでも良く、特に制限はない。

前記(A2O)nは、炭素数が2〜4であり、オキシプロピレン基を含有することが、エステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上するため、好ましい。また、前記(A2O)nに占めるオキシプロピレン基の割合が20〜80モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。この順で精練性が向上する。nはA2Oの平均付加モル数を表す。nは1〜50であり、精練性が向上するために3〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。nが50を越えると、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。nが1未満であると精練性が発揮されない。

(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル酢酸は、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルを酸化して得られるが、その方法は特に限定されたものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、特開昭62−198641号公報に挙げられている。

R4OHで示される一価のアルコールは、脂肪族アルコールの場合には、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分岐であってもよい。又、芳香族アルコールの場合には、アリール基中のアルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。R4で示されるアルキル基、アルケニル基又はアリール基の炭素数は1〜24であり、好ましくは8〜18であり、更に好ましくは10〜16である。この順で、エステル化合物(A)と併用した場合に精練性が向上する。R4OHで示されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール等が挙げられ、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールが好ましい。

[有機スルホン酸塩(C)] 本発明で用いられる有機スルホン酸塩(C)は、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用することにより、毛羽やフィブリル化を低減する性能及び精練性がさらに向上し、製織時における制電性が向上する成分である。有機スルホン酸塩(C)の具体例としては、オクチルスルホン酸塩、デシルスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩等の炭素数8〜18のアルキルスルホン酸エステル塩、オクチルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等の炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸エステル塩等が挙げられる。

なかでも炭素数12〜18のアルキルスルホン酸エステル塩、炭素数8〜12のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸エステル塩が好ましい。なお、有機スルホン酸塩(C)は1種又は2種以上を使用してもよい。有機スルホン酸の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、中でも製織時の制電性が良好であるために、ナトリウム塩が好ましい。

[その他の成分] 本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、多価アルコールと脂肪族1価カルボン酸とのエステルのポリオキシアルキレン付加物(D)(以下、POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)ということがある)、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(E)及びポリオキシアルキレン芳香族アルコールエーテル(F)からなる群より選ばれた少なくとも1種以上を含むことが、処理剤としての乳化性が向上することで精練性がさらに向上するので好ましい。

POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)とは、多価アルコールと脂肪族1価カルボン酸とのエステルであって分子内に1以上の水酸基を有しているエステルに、プロピレンオキシドやエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物である。脂肪族1価カルボン酸と多価アルコールのエステルであって分子内に1以上の水酸基を有しているエステルとは、多価アルコールの水酸基及び脂肪族1価カルボン酸が水酸基を含む場合にはその水酸基からなる群より選ばれた1以上の水酸基を含有しているエステルをいう。 POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)は、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用(場合によっては有機スルホン酸塩(C)とも併用)することで、処理剤としての乳化性が向上することで精練性がさらに向上するので好ましい。

POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)に用いられる多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ショ糖等が挙げられる。これらの中でも、処理剤としての乳化性が向上するという観点から、多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンが好ましく、グリセリン、ソルビタンがさらに好ましい。

POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)に用いられる脂肪族1価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リシノール酸、リノレン酸、リシネライジン酸、ヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、ヒドロキシリグノセリン酸等が挙げられる。処理剤としての乳化性が向上するという観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸が好ましく、オレイン酸、リノレン酸、リシノール酸がさらに好ましい。

POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)のポリオキシアルキレンの付加モル数としては、処理剤としての乳化性が向上するという観点から、1〜50が好ましく、5〜35がより好ましく、10〜30がさらに好ましく、15〜25が特に好ましい。POA多価アルコール脂肪酸エステル(D)の分子量は、1000〜3000が好ましく、1200〜2800がより好ましく、1500〜2500がさらに好ましい。

ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(E)とは、脂肪族一価アルコールに対し、プロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加したものである。ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(E)は、処理剤としての乳化性が向上することで精練性がさらに向上するので好ましい。必須成分のエステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用(場合によってはアルキルスルホン酸塩(C)とも併用)することで、処理剤としての乳化性を向上させる観点から、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(E)に用いられる脂肪族一価アルコールは炭素数が11〜18であることが好ましい。ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテルとしては、例えば、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。これらの中でも、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数としては、2〜50モルが好ましく、4〜40モルがより好ましく、6〜30モルがさらに好ましい。

ポリオキシアルキレン芳香族アルコールエーテル(F)とは、芳香族一価アルコールに対し、プロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加したものである。ポリオキシアルキレン芳香族アルコールエーテル(F)は、処理剤としての乳化性が向上することで精練性がさらに向上するので好ましい。必須成分のエステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用(場合によってはアルキルスルホン酸塩(C)とも併用)することで、処理剤としての乳化性を向上させる観点から、芳香族一価アルコールは炭素数が6〜18であることが好ましく、8〜16がより好ましく、9〜15がさらに好ましい。ポリオキシアルキレン芳香族アルコールエーテルとしては、例えば、フェノール、ベンジルアルコール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール等が挙げられる。アルキレンオキシドの付加モル数としては、2〜50モルが好ましく、4〜40モルがより好ましく、6〜30モルがさらに好ましい。

[合成繊維フィラメント用処理剤] 本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の重量比(A/B)が0.01〜3.0の範囲内で、且つ処理剤の不揮発分に占めるエステル化合物(A)とエステル化合物(B)の合計重量が40重量%以上という条件下で併用することにより、毛羽やフィブリル化を低減する性能及び精練性に優れる。処理剤の不揮発分に占めるエステル化合物(A)とエステル化合物(B)の合計重量が40重量%未満では、精練性が不足する。重量比(A/B)は、低くなるほど精練性が良好になるため、0.01〜1.0が好ましい。また、毛羽やフィブリル化を低減する性能及び精練性を同時にさらに満足させるには、0.03〜0.8がより好ましく、0.1〜0.5がさらに好ましい。0.01未満であると毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下し、3.0を越えると精練性が不足する。エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の処理剤の不揮発分に占める合計の重量割合は、増加するに従い集束性が強くなるためか、45〜95重量%が好ましく、50〜90重量%がより好ましく、55〜85重量%がさらに好ましい。 なお、本発明における不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。

本発明の処理剤が、有機スルホン酸塩(C)を含有するとき、処理剤の不揮発分に占める重量割合は0.1〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましく、1.5〜5重量%がさらに好ましい。0.1重量%未満では、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、毛羽やフィブリル化を低減する性能の向上が得られない可能性があり、10重量%を越えるとエステル化合物(A)及びエステル化合物(B)による毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。

本発明の処理剤が、多価アルコールと脂肪族1価カルボン酸とのエステルのポリオキシアルキレン付加物(D)を含有するとき、処理剤の不揮発分に占める重量割合は1〜30重量%がよく、3〜28重量%がより好ましく、5〜25重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、乳化性の向上が得られない可能性があり、30重量%を越えると、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、精練性が低下する可能性がある。

本発明の処理剤が、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(E)を含有するとき、処理剤の不揮発分に占める重量割合は1〜30重量%がよく、3〜28重量%がより好ましく、5〜25重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、乳化性の向上が得られない可能性があり、30重量%を越えると、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。

本発明の処理剤が、ポリオキシアルキレン芳香族アルコールエーテル(F)を含有するとき、処理剤の不揮発分に占める重量割合は1〜30重量%がよく、3〜28重量%がより好ましく、5〜25重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、乳化性の向上が得られない可能性があり、30重量%を越えると、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。

また、本発明の処理剤は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記の成分以外の成分として、酸化防止剤、PH調整剤、帯電防止剤、粘度安定剤及び極圧剤等の調整剤を含有してもよい。処理剤の不揮発分に占めるこれらの調整剤の重量割合は、10重量%以下が好ましい。10重量%を越えると、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)と併用しても、毛羽やフィブリル化を低減する性能が低下する可能性がある。

本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、不揮発分のみからなる前述の成分で構成されていてもよく、水を含有していてもよく、前述の不揮発分を低粘度鉱物油で希釈したものでも、水中に不揮発分を乳化した水系エマルジョンであってもよい。100℃以上の雰囲気下における給油を考慮すると、本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、非水系であることが好ましい。つまり、不揮発分のみから構成されているもの、又は不揮発分を低粘度鉱物油で希釈したものであることが好ましい。

本発明の合成繊維フィラメント用処理剤の製造方法については、特に限定なく、公知の方法を採用することができる。処理剤は、通常、構成する前記の各成分を任意の順番で添加混合することによって製造される。

[合成繊維フィラメント及びその製造方法] 本発明の合成繊維フィラメントは、原料合成繊維フィラメントに対して、本発明の合成繊維フィラメント用処理剤が付与されたものである。また、本発明の合成繊維フィラメントの製造方法は、原料合成繊維フィラメントに対して、本発明の合成繊維フィラメント用処理剤を付与する工程を含むものである。以下、本発明の合成繊維フィラメント及びその製造方法について、詳細に説明する。

合成繊維処理剤の付与量は、原料合成繊維フィラメントに対して、0.3〜2重量%が好ましく、0.4〜1.5重量%がより好ましく、0.5〜1.0重量%がさらに好ましい。 原料合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維フィラメント用処理剤を付与する場所としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。通常、合成繊維フィラメントの紡糸工程、延伸工程、巻き取り工程前又は巻き返し時に付与されるが、延伸工程通過性の制限を受けることがない巻取り工程前又は巻き返し時に付与することが好ましい。 原料合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維フィラメント用処理剤を付与する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。処理剤、加温した処理剤、不揮発分を低粘度鉱物油で希釈した処理剤、又は水中に不揮発分を乳化した水系エマルジョン処理剤を、ジェットノズル給油装置、ローラー給油装置、ガイド給油装置又はディップ−ニップ給油装置を用いて付与する方法等が挙げられる。

本発明の合成繊維フィラメント処理剤を付与する原料合成繊維フィラメントとしては、ポリエステル繊維、ナイロン6,6繊維、ナイロン6繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、全芳香族コポリアミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリベンザゾール繊維などが挙げられる。これらの中でも、伸度が低いために毛羽が発生し易く、処理剤による毛羽低減効果が大きい理由から、18cN/dtex以上の原料合成繊維フィラメントに処理剤を付与することが好ましい。原料合成繊維フィラメントの強度としては、18.2〜35cN/dtexがさらに好ましく、18.5〜30cN/dtexがさらに好ましい。

具体的な好ましい原料合成繊維としては、処理剤による毛羽およびフィブリル化低減効果が大きい理由から、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維及び全芳香族コポリアミド繊維が好ましく、これらの中でも、全芳香族ポリアミド繊維は、特に処理剤による毛羽およびフィブリル化低減効果が大きいため、さらに好ましい。なお、合成繊維の強度(cN/dtex)はJIS−L−1013に準じて測定した。(つかみ間隔:20cm、引張速度:1分当たりつかみ間隔の100%)

上記の原料合成繊維フィラメント自体は公知なものである。原料合成繊維を製造する方法(紡糸する方法)としては、特に限定はなく、公知の技術・手法を採用できる。例えば、液晶紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、半乾半湿式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸等の方法を挙げることができる。通常、ポリエステル原料繊維、ナイロン6,6原料繊維及びナイロン6原料繊維は溶融紡糸で得られ、全芳香族ポリエステル原料合成繊維、全芳香族ポリアミド原料繊維及びポリベンザゾール原料繊維は液晶紡糸によって得られ、全芳香族コポリアミド原料繊維は半乾半湿式紡糸によって得られる。

本発明で用いられる全芳香族ポリエステル原料繊維は、通常置換されていてもよい二価の芳香族基を少なくとも一個有する繊維であって、エステル結合を少なくとも一個有する繊維であればどのようなものでもよく、本発明において特に限定されない。全芳香族ポリエステル繊維は、全芳香族ポリエステル繊維と称される公知の繊維であってよく、例えば、パラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリマー、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステル、又は、パラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステル繊維等が挙げられる。このような全芳香族ポリエステル繊維を、公知の方法又はそれに準ずる方法で製造したものを用いてもよい。

本発明で用いられる全芳香族ポリアミド繊維とは、芳香族ジカルボン酸/芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸等の全芳香族ポリアミドからなる繊維で、例えばポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラアミノベンズアミド、ポリパラアミノベンズヒドラジドテレフタレート、ポリテレフタル酸ヒドラジド、ポリメタフェニレンイソフタラミド等が挙げられる。このような全芳香族ポリアミド繊維を、公知の方法又はそれに準ずる方法で製造したものを用いてもよい。 ポリベンザゾール繊維(PBZ)はポリベンズオキサゾール(PBO)若しくはポリベンズチアゾール(PBT)又はそれらのランダム若しくはブロック共重合体からなる繊維をいう。

[基布] 本発明の基布は、本発明の合成繊維フィラメント用処理剤が付与された合成繊維フィラメントを製織したものである。製織方法としては、特に限定はなく、公知の工程・方法を採用できる。例えば、ウォータージェットルームによる製織、レピア織機、エアジェットルーム、スルーザー織機による製織等が挙げられる。

レピア織機、エアジェットルーム、スルーザー織機によって製織する基布の製造方法では、通常合成繊維フィラメントを製織した後、紡糸油剤や製織油剤等を取り除くために精練工程が必要となる。精練工程としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、20〜90℃の精練剤を含む湯浴に含浸させ、さらに20〜90℃の湯浴に含浸させた後にマングルで搾り、その後に80〜150℃で乾燥させることにより実施される。ウォータージェットルームによって製織する基布の製造方法では、製織時に水圧により処理剤の大部分が除去されるので、精練工程は省かれる。

その後、基布に撥水性、親水性又は気密性等の性能を付与するために、それぞれの目的に応じた樹脂エマルションを付与する。樹脂エマルションとしては、フッ素樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、撥水性ポリウレタン樹脂エマルション、親水性ポリウレタン樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルションが挙げられる。これらの樹脂を基布に付与する方法は、特に限定はなく、公知の工程・方法を採用できる。例えば、ナイフコート方式や浸漬法などが挙げられる。付与する形態は、樹脂を溶解させた各種溶剤や樹脂を乳化させた水系エマルション等の状態で付与すると、均一付着性が向上するために好ましい。

本発明の基布は、本発明の合成繊維フィラメント用処理剤が付与された合成繊維フィラメントを製織しているため、毛羽やフィブリル化が少ないために高品位であり、表面の凹凸に斑がないために、前記樹脂のコーティングが均一に行なわれる。又、本発明の基布は精練性が良好であるために、残存した処理剤よる樹脂の均一なコーティング性が阻害されず、前記樹脂のコーティングが均一に行なわれる。そのため、本発明の基布にフッ素樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション又は撥水性ポリウレタン樹脂をコーティングして得られた基布は、撥水性や機密性が優れる。

以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定され るものではない。なお、以下の実施例における「%」は、いずれも「重量%」を意味する。

(実施例1〜53、比較例1〜18) 下記(A1−1〜G−12)の各成分を用い、表1〜8に記載の比率で混合を行い、撹拌して、各実施例・比較例の合成繊維フィラメント用処理剤の不揮発分を調製した。これらの処理剤不揮発分と炭素数12のパラフィンオイルを1:1の重量比で混合して合成繊維フィラメント用処理剤を調製した。 下記において、POEはポリエチレンオキシドを表し、POPはポリプロピレンオキシドを表すものとする。 A1−1 POE(30)硬化ヒマシ油−マレエート A1−2 POE(20)ヒマシ油−アジペート A2−1 POE(20)硬化ヒマシ油のマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル A2−2 POP(8)/POE(12)硬化ヒマシ油のマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル A2−3 POP(4)/POE(26)ヒマシ油のマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりラウリン酸1モル当量で封鎖したエステル A2−4 POE(20)硬化ヒマシ油のアジピン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル B1−1 POP(3)/POE(7)ラウリルエーテルラウレート B1−2 POP(3)/POE(2)セチルエーテルパルミテート B1−3 POP(16)/POE(4)デシルエーテルデカノエート B1−4 POE(10)ラウリルエーテルラウレート B1−5 POP(12)ラウリルエーテルラウレート B1−6 POP(32)/POE(8)デシルエーテルデカノエート B1−7 POP(3)/POE(7)ノニルフェニルエーテルラウレート B1−8 POP(3)/POE(7)イソドデシルエーテルラウレート B1−9 POP(3)/POE(7)1−ドデシルエーテルイソドデカノエート B1−10 POP(3)/POE(7)イソドデシルエーテルイソドデカノエート B2−1 POP(3)/POE(7)ラウリルエーテル酢酸ラウレート B2−2 POP(7)/POE(3)ミリスチルエーテル酢酸ラウレート C−1 アルカンスルホネートNa塩(C13〜16) C−2 ドデシルベンゼンスルホン酸Na塩 D−1 POE(20)硬化ヒマシ油エーテル D−2 POE(20)ソルビタンモノオレエート E−1 POP(15)/POE(12)ステアリルエーテル E−2 POE(10)オレイルアルコール E−3 POP(5)/POE(3)C12、13アルコール F−1 POE(10)ノニルフェニルエーテル G−1 オレイルホスフェートK塩 G−2 POE(3)ラウリルアルコールホスフェートK塩 G−3 POE(3)ラウリルアルコールスルホネートNa塩 G−4 ジイソステアリルアジペート G−5 イソペンタコシルオレエート G−6 オレイルオレエート G−7 POP(10)/POE(50)ミリスチルエーテルラウレート G−8 ジPOE(3)イソステアリルアルコールチオジプロピオン酸エステル G−9 ジPOE(2)オクチルアルコールアジペート G−10 ラウリルラウレート G−11 ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)] G−12 POE(15)オレイルアミノエーテル

次に、予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1670デシテックス、1000フィラメント(1670dtex/1000f、強度が21cN/dtex)の原料芳香族ポリアミドフィラメント繊維を用い、糸条に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.9重量%及び1.5重量%になるように、前記処理剤を付与した処理剤付与糸を作製し、下記の各評価に供した。但し、実施例7、8、20、23、24、28、34及び35は、それぞれ、参考例7、8、20、23、24、28、34及び35とする。

[毛羽評価] 製織工程における毛羽やフィブリル化を低減する性能の代用評価を、処理剤付与糸を糸−糸ラビング試験で測定することにより実施した。 糸−糸ラビング試験(F/Fラビング) 装置の概略を図1に示したYSS式糸摩擦抱合試験機にて、交叉θ=60°、撚り角1080°、荷重300gの測定条件下に、ストローク60mm、1往復を1サイクル(1回)として、100サイクル/分の速さで糸条同士を糸が切断するまで擦り合わせて、切断するまでの回数(=以後耐久回数という)を測定し、以下の基準で評価した。耐久回数が多いほど、毛羽やフィブリル化を低減する性能が良好であると判断した。 毛羽評価の判断の指標(耐久回数(回)) ◎:1000回超 ○:601〜1000回 △:201〜600回 ×:200回以下

[精練性評価] 基布の精練性の代用評価を、処理剤付与糸を精練した後の残留油分量を測定する方法で実施した。残留油分量が少ない程、精練性が良好と判断した。 <残留油分量> 処理剤付与糸を糸速度(10m/min.)で、60℃の下記精練液へ10秒間通し、連続して60℃の温水へ10秒間通し、連続して105℃の乾燥機中に通し、精練糸を得た。得られた精練糸300gを秤取し、105℃の熱風乾燥機内に90分放置した後の重量(S)を電子天秤で測定し、大型ソックスレー抽出器に入れた。次にシクロヘキサン約2リットルを加えて、約4時間加熱環流した後、シクロヘキサンを回収し、抽出分の絶乾重量(M)を測定し、次式から残留油分量を求めた。 残留油分量(重量%)=M÷(S−M)×100 精練液:マーポンNP−10(松本油脂製薬(株))0.5g/L 精練性の判断の指標(残留油分量(重量%)、表中の残留油分量(%)は、重量%を示す。) ◎(非常に良好):0.1%未満 ○(良好) :0.1%以上0.2%未満 △(不良) :0.2%以上0.5%未満 ×(非常に不良):0.5%以上

[撥水性評価] 樹脂の、基布に対する均一なコーティング性の代用評価を、精練後の糸に撥水剤を処理し、撥水処理糸を得て、撥水処理糸の撥水性評価をする方法で実施した。 前記精練糸に、ジェットノズル給油法により、撥水処理剤(松本油脂製薬(株)製 Mガード PF−10)を糸条に対する撥水処理剤が不揮発分として0.3重量%となるように付与した後、105℃で2時間乾燥させ、撥水処理糸を得た。この撥水処理糸を図2に示す吸い上げ評価に供し、撥水処理糸が20℃の水に浸漬してから24時間で水が吸い上がる高さ(以後、吸上げ長という)(mm)を測定した。吸上げ長が短い程、撥水性が良好である、つまり、樹脂の基布に対する均一なコーティング性が良好であると判断した。 撥水性の判断の指標(吸上げ長(mm)) ◎(非常に良好):20mm未満 ○(良好) :20mm以上30mm未満 △(不良) :30mm以上50mm未満 ×(非常に不良):50mm以上

表1〜8から分かるように、精練性評価結果と撥水性評価結果が相関している。又、実施例1〜53の合成繊維フィラメント処理剤を付与した合成繊維フィラメントは、毛羽評価、精練性評価及び撥水性評価が良好である。従って、毛羽やフィブリル化低減性能及び精練性の両立が達成できた。 一方、比較例1〜18では、処理剤の不揮発分中のエステル化合物(A)及びエステル化合物(B)の合計の重量割合が40%未満である場合、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の重量比(A/B)が0.01〜3.0の範囲にない場合及びエステル化合物(B)の分子内に(ポリ)オキシアルキレン基がない場合は、実施例と比べて毛羽やフィブリル化低減性能及び精練性のいずれかが劣っている。

本発明の合成繊維フィラメント用処理剤は、毛羽やフィブリル化低減性能及び精練性に優れることにより、樹脂加工性に優れており、ナイロン、ポリエステル、芳香族ポリアミド繊維等の産業用合成繊維に適用される。

1 処理剤付与糸 2 荷重 3 撥水処理糸 4 ビーカー 5 荷重 6 水

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