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Polyester tensile strength material

阅读:812发布:2020-07-22

专利汇可以提供Polyester tensile strength material专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a polyester tensile strength material having excellent heat stability, suitable for ship materials such as mooring rope, towing rope, etc., fishery materials such as longline, trawling, fixed fishery, etc., ropes of various kinds of fields such as packing materials, etc., and tensile strength materials such as braid, pultrusion rod, sling, fishing line, cord, sacred rope, etc. SOLUTION: This polyester tensile strength material comprises a polyester yarn polymerized by using a catalyst containing aluminum and/or its compound and a phenol-based compound or a phosphorus compound.,下面是Polyester tensile strength material专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】アルミニウム及び/又はその化合物と、フェノール系化合物を含有する触媒を用いて重合されたポリエステル繊維からなることを特徴とするポリエステル抗張力材。
  • 【請求項2】アルミニウム及び/又はその化合物と、リン化合物を含有する触媒を用いて重合されたポリエステル繊維からからなることを特徴とするポリエステル抗張力材。
  • 【請求項3】触媒としてさらにリン化合物を含有する触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルからなる抗張力材。
  • 【請求項4】リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物である請求項2または3に記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項5】リン化合物が、一種または二種以上のホスホン酸系化合物である請求項2〜4のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項6】リン化合物が、芳香環構造を有する化合物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項7】リン化合物が、下記一般式(1)〜(3)
    で表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上である請求項2〜6のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化1】 【化2】 【化3】 (式(1)〜(3)中、R 1 、R 4 、R 5 、R 6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 2 、R 3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  • 【請求項8】式(1)〜(3)中のR 1 、R 4 、R 5 、R 6
    が芳香環構造を有する基である請求項7に記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項9】リン化合物が、フェノール部を同一分子内に有することを特徴とする請求項2〜8に記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項10】フェノール部を同一分子内に有するリン化合物が、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上である請求項9に記載のポリエステル抗張力材。 【化4】 【化5】 【化6】 (式(4)〜(6)中、R 1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 4 ,R 5 ,R 6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 2 ,R 3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造や脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。R 2とR 4の末端どうしは結合していてもよい。)
  • 【請求項11】リン化合物が、リンの金属塩化合物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項12】リンの金属塩化合物の金属部分が、L
    i,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、
    Cu、Znから選択されることを特徴とする請求項11
    に記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項13】リンの金属塩化合物が、下記一般式(7)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項11または12に記載のポリエステル抗張力材。 【化7】 (式(7)中、R 1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
    水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、m
    は0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。 M
    は(l+m)価の金属カチオンを表す。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項14】一般式(7)で表されるリン化合物が下記一般式(8)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項13に記載のポリエステル抗張力材。 【化8】 (式(8)中、R 1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜
    50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。 Mは(l+m)
    価の金属カチオンを表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項15】リン化合物が、下記一般式(9)で表される化合物から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化9】 (式(9)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R 3は、水素、炭素数1
    〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 4は、水素、
    炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。 Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項16】一般式(9)で表されるリン化合物が下記一般式(10)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項15に記載のポリエステル抗張力材。 【化10】 (式(10)中、M n+はn価の金属カチオンを表す。n
    は1,2,3または4を表す。 )
  • 【請求項17】リン化合物のアルミニウム塩を含有してなる触媒を用いて製造されたポリエステル繊維からなる抗張力材。
  • 【請求項18】リン化合物のアルミニウム塩が、下記一般式(11)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項17に記載のポリエステル抗張力材。 【化11】 (式(11)中、R 1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。n
    は1以上の整数を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項19】下記一般式(12)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含有してなる触媒を用いて製造されたポリエステルからなる抗張力材。 【化12】 (式(12)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。
    炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項20】一般式(12)で表されるリン化合物が下記一般式(13)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項19に記載のポリエステル抗張力材。 【化13】 (式(13)中、R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
    50の炭化水素基を表す。 R 4は、水素、炭素数1〜5
    0の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 l
    は1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+m
    は3である。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項21】リン化合物が、P-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項22】リン化合物が、下記一般式(14)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項21に記載のポリエステル抗張力材。 【化14】 (式(14)中、R 1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  • 【請求項23】リン化合物が、下記一般式(15)で表されるリン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化15】 (式(15)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  • 【請求項24】一般式(15)で表されるリン化合物が下記一般式(16)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項23に記載のポリエステル抗張力材。 【化16】 (式(16)中、R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
    50の炭化水素基を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項25】リン化合物が、下記一般式(17)で表されるリン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化17】 (式(17)中、R 1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、
    R 2 ,R 3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜5
    0の炭化水素基を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 )
  • 【請求項26】リン化合物が、下記一般式(18)で表されるリン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化18】 (式(18)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R 3 、R 4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  • 【請求項27】一般式(18)で表されるリン化合物が下記一般式(19)で表される化合物から選択される少なくとも一種である請求項26に記載のポリエステル抗張力材。 【化19】 (式(19)中、R 3 、R 4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  • 【請求項28】リン化合物が下記化学式(20)もしくは(21)であることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。 【化20】 【化21】
  • 【請求項29】アルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物からなる群より選ばれる一種もしくは二種以上の金属及び/または金属化合物を共存することを特徴とする請求項1〜28
    のいずれかに記載の触媒を用いて重合されたポリエステルからなることを特徴とする抗張力材。
  • 【請求項30】重合触媒としてアンチモン化合物をアンチモン原子としてポリエステルに対して50ppm以下の量が添加されてなることを特徴とする請求項1〜29のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 【請求項31】重合触媒としてゲルマニウム化合物をゲルマニウム原子としてポリエステルに対して20ppm以下の量が添加されてなることを特徴とする請求項1〜29
    のいずれかに記載のポリエステル抗張力材。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル重合触媒およびこれを用いて製造されたポリエステル抗張材に関するものであり、さらに詳しくは、ゲルマニウム、
    アンチモン化合物を触媒主成分として用いない新規のポリエステル重合触媒、およびこれを用いて製造されたポリエステル抗張力材に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PE
    T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用、ロープ、抗張力材に使用されている。 代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、
    テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。 従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、三酸化アンチモンが広く用いられている。 三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するという問題点を有している。 このような経緯で、アンチモンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分として含まないポリエステルが望まれている。

    【0003】なおポリエステル中の上記の異物は特に繊維用として用いられる場合、製糸時において次のような問題を起こす。 金属アンチモンの析出は、紡糸時にスピンパック内の圧力上昇をもたらすため、スピンパックの交換周期が短くなり、コストアップの要因となる。 また紡糸口金の汚れを引き起こし、糸斑や糸切れが発生し易くなる。 さらに、該異物が繊維中に混入すると、延伸時の糸切れや強度低下の原因となる。 従って、ポリエステル繊維の製造においては、主に操業性と繊維強度等の糸物性両方の観点から、異物の発生のないポリエステル重合触媒が求められる。 上記の問題を解決する方法として、触媒として三酸化アンチモンを用いて、かつPET
    の黒ずみや異物の発生を抑制する試みが行われている。
    例えば、特許第2666502号においては、重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよびセレンの化合物を用いることで、PET中の黒色異物の生成を抑制している。 また、特開平9−291141号においては、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸化アンチモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制されることを述べている。 ところが、これらの重縮合触媒では、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減するという目的は達成できない。

    【0004】また、特開平10−36495号公報には、三酸化アンチモン、リン酸およびスルホン酸化合物を使用した透明性に優れたポリエステルの連続製造法が開示されている。 しかしながら、このような方法で得られたポリエステルは熱安定性が悪く、得られた中空成形品のアセトアルデヒド含量が高くなるという問題を有している。 三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物やスズ化合物がすでに提案されているが、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。 このような、チタン化合物を重縮合触媒として用いたときの問題点を克服する試みとして、例えば、特開昭55−1
    16722号では、テトラアルコキシチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同時に用いる方法が提案されている。 また、特開平8−73581号によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチタネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白剤を用いる方法が提案されている。 ところが、これらの技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒として用いたときのP
    ETの着色は低減されるものの、PETの熱分解を効果的に抑制することは達成されていない。 チタン化合物を触媒として用いて重合したポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他の試みとして、例えば、特開平10
    −259296号では、チタン化合物を触媒としてポリエステルを重合した後にリン系化合物を添加する方法が開示されている。 しかし、重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ込むことは技術的に困難であるばかりでなく、コストアップにもつながり実用化されていないのが現状である。

    【0005】アルミニウム化合物は一般に触媒活性に劣ることが知られている。 アルミニウム化合物の中でも、
    アルミニウムのキレート化合物は他のアルミニウム化合物に比べて重縮合触媒として高い触媒活性を有することが報告されているが、上述のアンチモン化合物やチタン化合物と比べると十分な触媒活性を有しているとは言えず、しかもアルミニウム化合物を触媒として用いて長時間を要して重合したポリエステルは熱安定性に劣るという問題点があった。 アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物を添加して十分な触媒活性を有するポリエステル重合触媒とする技術も公知である。 かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、このアルカリ金属化合物を併用した触媒は、実用的な触媒活性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、その結果、得られたポリエステル重合体中のアルカリ金属化合物に起因して、少なくとも以下のいずれかの問題を生じる。

    【0006】1)異物量が多くなり、繊維用途に使用したときには製糸性や糸物性が低下する。 2)ポリエステル重合体の耐加分解性が低下し、また異物発生により透明性が低下する。 3)ポリエステル重合体の色調の不良、即ち重合体が黄色く着色する現象が発生し、繊維用途に使用したときに、得られた繊維の色調が悪化するという問題が発生する。 4)溶融紡糸する際のフィルター圧が異物の目詰まりによって上昇し、生産性が低下する。 アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触媒としては、
    ゲルマニウム化合物がすでに実用化されているが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有しており、触媒主成分として使用することには問題がある。 また、ポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する方法として、
    ポリエステルから触媒を除去する方法も挙げられる。 ポリエステルから触媒を除去する方法としては、例えば特開平10−251394号公報には、酸性物質の存在下にポリエステル樹脂と超臨界流体である抽出剤とを接触させる方法が開示されている。 しかし、このような超臨界流体を用いる方法は技術的に困難である上に製品のコストアップにもつながるので好ましくない。 以上のような経緯で、アンチモンおよびゲルマニウム以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とする重合触媒であり、触媒活性に優れ、かつ溶融成形時に熱劣化をほとんど起こさない(a)熱安定性、(b)熱酸化安定性、(c)耐加水分解性の少なくともいずれかに優れ、しかも異物量が少なくて透明性に優れたポリエステル繊維を提供する重合触媒が望まれている。

    【0007】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンチモン化合物以外の新規なポリエステル重合触媒を用いて製造されたポリエステル重合体を溶融紡糸し得られたポリエステル抗張力材を提供するものである。 また、本発明は、アンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を触媒主成分として含まず、アルミニウムを主たる金属成分とし、触媒活性に優れ、かつ触媒の失活もしくは除去をすることなしに、溶融紡糸時の熱劣化が効果的に抑制されて熱安定性に優れ、異物発生が少なく、さらには色調も優れたポリエステル重合体を用いて溶融紡糸して得られたポリエステル抗張力材を提供する。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】本発明の筆者らは、アルミニウム化合物を触媒として用いて重合したポリエステルの熱安定性を向上する目的で重合時に各種酸化防止剤や安定剤の添加効果を検討したところ、アルミニウム化合物にフェノール系化合物、リン化合物又はフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を組み合わせることによって、ポリエステルの熱安定性が向上するとともに、もともと触媒活性に劣るアルミニウム化合物が重縮合触媒として十分な活性をもつようになることを見いだし本発明に到達した。 本発明の重縮合触媒を用いると、
    アンチモン化合物を用いない品質に優れたポリエステル抗張力材を得ることができる。

    【0009】すなわち、本発明は上記課題の解決法として、アルミニウム化合物と、リン化合物またはフェノール系化合物、特にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物とからなるポリエステル重合触媒を用いて製造されたポリエステル重合体からなるポリエステル抗張力材及びポリエステル抗張力材の製造方法を提供する。

    【0010】

    【発明の実施の形態】本発明は、アンチモン化合物以外の新規の重縮合触媒、およびこれを用いて製造されたポリエステル重合体からなるポリエステル抗張力材を提供するものである。 本発明の重縮合触媒は、アルミニウム化合物と、リン化合物またはフェノール系化合物、特にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物とからなるポリエステル重合触媒である。

    【0011】本発明の重縮合触媒を構成するアルミニウムないしアルミニウム化合物としては、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用できる。

    【0012】アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、
    クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムis
    o-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、
    酸化アルミニウムなどが挙げられる。 これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、
    これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。

    【0013】本発明のアルミニウムないしアルミニウム化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.0
    2モル%である。 使用量が0.001モル%未満であると触媒活性が十分に発揮されない場合があり、使用量が0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題になる場合が発生する。 この様にアルミニウム成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触媒活性を示す点に大きな特徴を有する。 その結果熱安定性や熱酸化安定性が優れ、アルミニウムに起因する異物や着色が低減される。

    【0014】本発明の重縮合触媒を構成するフェノール系化合物としては、フェノール構造を有する化合物であれば特に限定はされないが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-メチルフェノール、2,6-ジイソプロピル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-
    tert-アミル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-オクチル-4-n-プロピルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-
    n-オクチルフェノール、2-イソプロピル-4-メチル-6-te
    rt-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-2-エチル-6-tert
    -オクチルフェノール、2-イソブチル-4-エチル-6-tert-
    ヘキシルフェノール、2-シクロヘキシル-4-n-ブチル-6-
    イソプロピルフェノール、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール−ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオジエチレンビス[3-
    (3,5-ジ-tert-ブチル-4,4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert
    -ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-
    ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,
    3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、
    トリス(4-tert-ブチル−2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビス(n−オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、テトラキス[メチレン(3,5-
    ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]
    メタン、ビス[(3,3-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド)グリコールエステル、N,N'-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2'-オギザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-
    メチル-6-(3-tert-ブチル-5-メチル−2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリメチル
    -2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス[1,1-ジメチル2-{β-(3-t
    ert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2-ビス[4-(2-(3,5-ジ-tert-
    ブチル-4-ヒドロキシシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-
    (3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-
    ブチルフェニル)ブタン、チオジエチレンービス[3-(3,5
    -ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-
    ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール-ビス-[-3-(3'-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)]プロピオネート、1,1,3-トリス[2-メチル-4-[3-(3,
    5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-5-tert-ブチルフェニル]ブタンなどを挙げることができる。 これらは、同時に二種以上を併用することもできる。 これらのうち、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル
    -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チオジエチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。

    【0015】これらのフェノール系化合物をポリエステルの重合時に添加することによってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。

    【0016】本発明のフェノール系化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5×10 -7 〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10 -6 〜0.005モルである。 本発明では、フェノール系化合物にさらにリン化合物をともに用いても良い。

    【0017】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、
    ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、
    ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 これらの中でも、一種または二種以上のホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。

    【0018】本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記式(22)〜(27)で表される構造を有する化合物のことを言う。

    【0019】

    【化22】

    【0020】

    【化23】

    【0021】

    【化24】

    【0022】

    【化25】

    【0023】

    【化26】

    【0024】

    【化27】

    【0025】本発明のホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。 本発明のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
    フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
    フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。 本発明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、
    ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。 ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン化合物としては、下記式(28)〜(33)で表される化合物を用いることが好ましい。

    【0026】

    【化28】

    【0027】

    【化29】

    【0028】

    【化30】

    【0029】

    【化31】

    【0030】

    【化32】

    【0031】

    【化33】

    【0032】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0033】また、本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、下記一般式(34)〜(36)で表される化合物を用いると特に触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0034】

    【化34】

    【0035】

    【化35】

    【0036】

    【化36】

    【0037】(式(34)〜(36)中、R 1 、R 4 、R
    5 、R 6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 2 、R 3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0038】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、上記式(34)〜(36)中、R 1 、R 4 、R
    5 、R 6が芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。

    【0039】本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、
    フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
    フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
    フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、
    トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
    これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。

    【0040】本発明のリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して
    5×10 -7 〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10 -6
    〜0.005モルである。

    【0041】本発明の重縮合触媒を構成するフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。 また、本発明の重縮合触媒を構成するフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記一般式(37)〜(39)で表される化合物を用いると特に触媒活性が向上するため好ましい。

    【0042】

    【化37】

    【0043】

    【化38】

    【0044】

    【化39】

    【0045】(式(37)〜(39)中、R 1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 4 ,R 5 ,R 6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R 2 ,R 3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。R 2とR 4の末端どうしは結合していてもよい。)

    【0046】本発明のフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p
    −ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p
    −ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記式(40)〜(43)
    で表される化合物などが挙げられる。 これらのうちで、
    下記式(42)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。

    【0047】

    【化40】

    【0048】

    【化41】

    【0049】

    【化42】

    【0050】

    【化43】

    上記の式(42)にて示される化合物としては、SANKO-


    220(三光株式会社製)があり、使用可能である。

    【0051】これらのフェノール部を同一分子内に有するリン化合物をポリエステルの重合時に添加することによってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。

    【0052】本発明のフェノール部を同一分子内に有するリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5×10 -7 〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10 -6 〜0.005モルである。 本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物を用いることが好ましい。 本発明の重合触媒を構成する好ましいリン化合物であるリンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。

    【0053】また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、
    Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。

    【0054】本発明の重合触媒を構成するリンの金属塩化合物としては、下記一般式(44)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0055】

    【化44】

    【0056】(式(44)中、R 1は水素、炭素数1〜
    50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜5
    0の炭化水素基を表す。 R 3は、水素、炭素数1〜50
    の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。 Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 ) 上記のR 1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、
    2−ビフェニルなどが挙げられる。 上記のR 2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ter
    t−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH 2 CH 2
    OHで表される基などが挙げられる。 R 3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。

    【0057】上記一般式(44)で表される化合物の中でも、下記一般式(45)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。

    【0058】

    【化45】

    【0059】(式(45)中、R 1は水素、炭素数1〜
    50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。 Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 ) 上記のR 1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、
    2−ビフェニルなどが挙げられる。 R 3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。 上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0060】上記式(45)の中でも、Mが、Li,N
    a、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、
    Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。

    【0061】本発明のリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、
    ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、
    ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。 これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、
    マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。

    【0062】本発明の重合触媒を構成する別の好ましいリン化合物であるリンの金属塩化合物は、下記一般式(46)で表される化合物から選択される少なくとも一種からなるものである。

    【0063】

    【化46】

    【0064】((式(46)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R
    3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 4-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。 l
    は1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+m
    は4以下である。 Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。 n
    は1以上の整数を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0065】これらの中でも、下記一般式(47)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。

    【0066】

    【化47】

    【0067】(式(47)中、M n+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)

    【0068】上記式(46)または(47)の中でも、
    Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、M
    n、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 これらのうち、L
    i、Na、Mgがとくに好ましい。

    【0069】本発明の特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−t
    ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert
    −ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−
    ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−
    ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
    −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
    −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。 これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。

    【0070】本発明の別の実施形態は、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とするポリエステル重合触媒である。 リン化合物のアルミニウム塩に他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。 本発明の重合触媒を構成する好ましい成分であるリン化合物のアルミニウム塩とは、アルミニウム部を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。 リン化合物のアルミニウム塩としては、モノアルミニウム塩、ジアルミニウム塩、トリアルミニウム塩などが含まれる。

    【0071】上記したリン化合物のアルミニウム塩の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0072】本発明の重合触媒を構成するリン化合物のアルミニウム塩としては、下記一般式(48)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0073】

    【化48】

    【0074】((式(48)中、R 1は水素、炭素数1
    〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
    50の炭化水素基を表す。 R 3は、水素、炭素数1〜5
    0の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 l
    は1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+m
    は3である。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0075】上記のR 1としては、例えば、フェニル、
    1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。 上記のR
    2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
    −CH 2 CH 2 OHで表される基などが挙げられる。 上記のR 3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。

    【0076】本発明のリン化合物のアルミニウム塩としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアルミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9
    −アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのアルミニウム塩などが挙げられる。 これらの中で、(1−
    ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、
    ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩がとくに好ましい。

    【0077】本発明の別の実施形態は、下記一般式(4
    9)で表されるリン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種からなるポリエステル重合触媒である。 リン化合物のアルミニウム塩に、他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。 本発明の重合触媒を構成する別の好ましいリン化合物のアルミニウム塩とは、下記一般式(49)で表される化合物から選択される少なくとも一種からなるもののことを言う。

    【0078】

    【化49】

    【0079】((式(49)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R
    3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは
    0または1以上の整数を表し、l+mは3である。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0080】これらの中でも、下記一般式(50)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。

    【0081】

    【化50】

    【0082】(式(50)中、R 3は、水素、炭素数1
    〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 R 4は、水素、
    炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0083】上記のR 3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH 2 CH 2 OHで表される基などが挙げられる。 上記のR 4-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。

    【0084】本発明のリン化合物のアルミニウム塩としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−
    ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム塩、3,
    5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミニウム塩などが挙げられる。 これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩がとくに好ましい。

    【0085】本発明では、リン化合物としてP-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好ましい。 本発明の重合触媒を構成する好ましいリン化合物であるP-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、
    分子内にP-OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。 これらのリン化合物の中でも、
    P-OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0086】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0087】本発明の重合触媒を構成するP-OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式(51)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0088】

    【化51】

    (式(51)中、R

    1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R

    2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)上記のR

    1


    としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。 上記のR

    2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH

    2 CH

    2 OHで表される基などが挙げられる。

    【0089】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。

    【0090】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、
    (2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。 これらの中で、(1
    −ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。

    【0091】また本発明で用いられる好ましいリン化合物としては、P-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物が挙げられる。 本発明の重合触媒を構成する好ましいリン化合物であるP-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物とは、下記一般式(52)で表される化合物から選択される少なくとも一種の化合物のことを言う。

    【化52】

    【0092】((式(52)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R
    3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0093】これらの中でも、下記一般式(53)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。

    【0094】

    【化53】

    【0095】(式(53)中、R 3は、水素、炭素数1
    〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。 炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0096】上記のR 3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH 2 CH 2 OHで表される基などが挙げられる。

    【0097】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
    ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−ter
    t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。 これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。

    【0098】好ましいリン化合物としては、化学式(5
    4)であらわされるリン化合物が挙げられる。

    【化54】

    (式(54)中、R

    1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、


    R

    2 ,R

    3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜5


    0の炭化水素基を表す。 炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。 ) また、更に好ましくは、化学式(54)中のR

    1 ,R

    2 ,R

    3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。

    【0099】本発明に使用するリン化合物の具体例を以下に示す。

    【化55】

    【0100】

    【化56】

    【0101】

    【化57】

    【0102】

    【化58】

    【0103】

    【化59】

    【0104】

    【化60】

    【0105】また、本発明に用いるリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。

    【0106】本発明の重縮合触媒使用する事が望ましい別のリン化合物は、下記一般式(61)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。

    【0107】

    【化61】

    【0108】(上記式(61)中、R 1 、R 2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。
    3 、R 4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
    50の炭化水素基を表す。 nは1以上の整数を表す。 炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。 )

    【0109】上記一般式(61)の中でも、下記一般式(62)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が高く好ましい。

    【0110】

    【化62】

    【0111】(上記式(62)中、R 3 、R 4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)

    【0112】上記のR 3 、R 4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH 2 CH 2
    OHで表される基などが挙げられる。

    【0113】本発明の特定のリン化合物としては、3,5
    −ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−ter
    t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。 これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
    ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。

    【0114】本発明の重縮合触媒使用する事が望ましい別のリン化合物は、化学式(63)、(化64)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。

    【化63】

    【0115】

    【化64】

    【0116】本発明のリン化合物を併用することにより、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られる。

    【0117】本発明のリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、
    0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。 リン化合物の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合があり、0.1モル%を超えて添加すると逆にポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向は、アルミニウムの使用量等により変化する。

    【0118】リン化合物を使用せず、アルミニウム化合物を主たる触媒成分とする技術であって、アルミニウム化合物の使用量を低減し、さらにコバルト化合物を添加してアルミニウム化合物を主触媒とした場合の熱安定性の低下による着色を防止する技術があるが、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度に添加するとやはり熱安定性が低下する。 従って、この技術では両者を両立することは困難である。

    【0119】本発明によれば、上述の特定の化学構造を有するリン化合物の使用により、熱安定性の低下、異物発生等の問題を起こさず、しかも金属含有成分のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を有する重合触媒が得られ、この重合触媒を使用することによりポリエステル繊維の溶融成形時の熱安定性が改善される。 本発明のリン化合物に代えてリン酸やトリメチルリン酸等のリン酸エステルを添加しても添加効果が見られず、実用的でない。 また、本発明のリン化合物を本発明の添加量の範囲で従来のアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物等の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合反応を促進する効果は認められない。

    【0120】上述の触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含有していないものであることが好ましい。 また一方で、本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて少量のアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1種を第2金属含有成分として共存させることが好ましい態様である。 かかる第2金属含有成分を触媒系に共存させることは、ジエチレングリコールの生成を抑制する効果に加えて触媒活性を高め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。

    【0121】アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性を有する触媒とする技術は公知である。 かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、アルカリ金属化合物を使用したときはそれに起因する異物量が多くなり、繊維の製糸性や糸物性が低下する。 またアルカリ土類金属化合物を併用した場合には、実用的な活性を得ようとすると得られたポリエステルの熱安定性、熱酸化安定性が低下し、加熱による着色が大きく、異物の発生量も多くなる。 アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物を添加する場合、その使用量M(モル%)は、
    ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、1×10 -6以上0.1モル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×10 -6 〜0.05
    モル%であり、さらに好ましくは1×10 -5 〜0.03
    モル%であり、特に好ましくは、1×10 -5 〜0.01
    モル%である。 アルカリ金属、アルカリ土類金属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、着色等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。 また、耐加水分解性の低下等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。 アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物の使用量Mが0.1モル%以上になると熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、耐加水分解性の低下等が製品加工上問題となる場合が発生する。 Mが1×10 -6モル%未満では、添加してもその効果が明確ではない。

    【0122】本発明においてアルミニウムもしくはその化合物に加えて使用することが好ましい第2金属含有成分を構成するアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,
    Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。 アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。 アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n
    −プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、t
    ert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、
    水酸化物などが挙げられる。 これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解しにくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなければならず重合工程上問題となる場合が有る。 さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなるとともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向があり、耐加水分解性も低下する傾向がある。 従って、本発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物として好適なものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、
    臭化水素酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物である。 これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ましい。

    【0123】本発明に使用するポリエステルは熱安定性パラメータ(TS)が下記式(1)を満たすことが好ましい。 (1)TS<0.30 ただし、TSは固有粘度([IV]i )が約0.65
    dl/gのPET1gをガラス試験管に入れ130℃で12時間真空乾燥した後、非流通窒素雰囲気下で300
    ℃にて2時間溶融状態に維持した後の固有粘度([I
    V]f )から、次式により計算される数値である。 非流通窒素雰囲気とは、流通しない窒素雰囲気を意味し、
    例えば、レジンチップを入れたガラス試験管を真空ラインに接続し、減圧と窒素封入を5回以上繰り返した後に100Torrとなるように窒素を封入して封管した状態である。 TS=0.245{[IV]f -1.47 −[IV]i
    -1.47 } TSは、0.25以下であることがより好ましく、0.
    20以下であることが特に好ましい。 また、本発明に使用するポリエステルは、熱酸化安定性パラメータ(TO
    S)が下記式(2)を満たすことが好ましい。 (2)TOS<0.10 上記式中、TOSは溶融重合したIVが約0.65d0
    ℃で12時間真空乾燥したもの0.3gをガラス試験管に入れ70℃で12時間l/gのPETレジンチップを冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末として13真空乾燥した後、シリカゲルで乾燥した空気下で230℃、1
    5分間加熱した後のIVから、下記計算式を用いて求められる。 TOS=0.245{[IV]f1 1.47 −[IV]i
    -1.47 } [IV]i および[IV]f1はそれぞれ加熱試験前と加熱試験後のIV(dl/g)を指す。 シリカゲルで乾燥した空気下で加熱する方法としては、例えば、シリカゲルを入れた乾燥管をガラス試験管上部に接続し、乾燥した空気下で加熱する方法が例示できる。 TOSは、
    より好ましくは0.09以下、さらに好ましくは0.0
    8以下である。 また、本発明に使用するポリエステルは、耐加水分解性パラメータ(HS)が下記式(3)を満たすことをが好ましい。 (3)HS<0.10 (HSは溶融重合して得られる固有粘度が約0.65d
    l/g(試験前:[IV]i )のPETのチップを冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末として130℃で1
    2時間真空乾燥した後、その1gを純水100mlと共にビーカーに入れ、密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に6時間撹拌した後の固有粘度([IV]f
    2)から、次式により計算される数値である。 HS=0.245{[IV]f2 -1.47 −[IV]i
    -1.47 }) HSの測定に使用するビーカーは、酸やアルカリの溶出のないものを使用する。 具体的にはステンレスビーカー、石英ビーカーの使用が好ましい。 HSは0.09以下であることがより好ましく、0.085以下であることが特に好ましい。 また、本発明に使用するポリエステルは、ポリエステルの溶液ヘーズ値(Haze)が下記式(4)を満たすことが好ましい。 (4)Haze<3.0(%) 上記式中、Hazeは溶融重合した固有粘度が約0.6
    5dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)レジンチップをp−クロロフェノール/1,1,2,2−
    テトラクロロエタンの3/1混合溶媒(重量比)に溶解して8g/100mlの溶液とし、ヘーズメータを用いて測定した値を示す。 Hazeの測定は、セル長1cm
    のセルを使用し、上記溶液を充填して測定した。 Haz
    eは、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.0以下である。 本発明において、TS、TOS、H
    S,Hazeを測定するために使用するPETレジンチップは、溶融重合後、溶融状態からの急冷によって作製されたものを使用する。 これらの測定に用いるレジンチップの形状としては、例えば、長さ約3mm、直径約2
    mmのシリンダー形状のレジンチップを使用する。 またカラー測定を行なう場合は、レジンチップは、溶融重合工程を経た後、溶融状態からの急冷によって作製された実質的に非晶のものを使用する。 実質的に非晶のレジンチップを得る方法としては、例えば、溶融重合後反応系からポリマーを取り出す際に、反応系の吐出口からポリマーを吐出させた直後に冷水にて急冷し、その後十分な時間冷水中で保持した後チップ状にカットして得る方法などが例示できる。 このようにして得られたレジンチップは外観上、結晶化による白化は認められず透明なものが得られる。 このようにして得られたレジンチップは、
    約一昼夜室温にて濾紙等の上で風乾した後、カラー測定に使用される。 上述の操作の後も、レジンチップは外観上,結晶化による白化は認められず透明なままである。
    なお、カラー測定用のレジンチップには二酸化チタン等の外観に影響を及ぼす添加剤は一切使用しない。 カラー測定用に用いるレジンチップの形状としては、例えば、
    長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを使用する。 本発明のポリエステル抗張力材には、さらに、コバルト化合物をコバルト原子としてポリエステルに対して10ppm未満の量で添加する事が好ましい態様である。

    【0124】コバルト化合物はそれ自体ある程度の重合活性を有していることは知られているが、前述のように十分な触媒効果を発揮する程度に添加すると得られるポリエステル抗張力材の明るさの低下や熱安定性の低下が起こる。 本発明によれば得られるポリエステル抗張力材は、色調並びに熱安定性が良好であるが、コバルト化合物を上記のような少量で添加による触媒効果が明確でないような添加量にて添加することにより、得られるポリエステル抗張力材の明るさの低下を起こすことなく着色をさらに効果的に消去できる。 なお本発明におけるコバルト化合物は、着色の消去が目的であり、添加時期は重合のどの段階であってもよく、重合反応終了後であってもかまわない。

    【0125】コバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には例えば、酢酸コバルト、硝酸コバルト、
    塩化コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルトおよびそれらの水和物等が挙げられる。 その中でも特に酢酸コバルト四水塩が好ましい。

    【0126】コバルト化合物の添加量は、最終的に得られるポリマーに対してアルミニウム原子とコバルト原子の合計が50ppm以下かつ、コバルト原子は10pp
    m未満となることが好ましい。 より好ましくはアルミニウム原子とコバルト原子の合計が40ppm以下かつ、
    コバルト原子は8ppm以下、さらに好ましくはアルミニウム原子とコバルト原子の合計が25ppm以下かつ、コバルト原子は5ppm以下である。 ポリエステルの熱安定性の点から、アルミニウム原子とコバルト原子の合計が50ppmより少ないこと、コバルト原子が1
    0ppm以下であることが好ましい。 また、十分な触媒活性を有するためには、アルミニウム原子とコバルト原子の合計量が0.01ppmより多いことが好ましい。

    【0127】本発明におけるポリエステル抗張力材の製造に用いられるポリエステル重合体は、触媒として本発明のポリエステル重合触媒を用いる点以外は従来公知の工程を備えた方法で行うことができる。 例えば、PET
    を製造する場合は、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化後、重縮合する方法、もしくは、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を行った後、重縮合する方法のいずれの方法でも行うことができる。 また、重合の装置は、回分式であっても、連続式であってもよい。

    【0128】本発明の触媒は、重合反応のみならずエステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有する。 例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコールとのエステル交換反応による重合は、通常チタン化合物や亜鉛化合物などのエステル交換触媒の存在下で行われるが、これらの触媒に代えて、もしくはこれらの触媒に共存させて本発明の触媒を用いることもできる。 また、本発明の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶液重合においても触媒活性を有しており、いずれの方法によっても係留ロープ、曳航ロープなどの船舶資材、延縄、底曳、定置漁業などの漁業資材、その他梱包資材など各種分野のロープ、組みひも、プルトルージョンロッド、スリング、釣り糸、コード、注連縄などの抗張力材として適用可能なポリエステル抗張力材の製造に適したポリエステル重合体を製造することが可能である。 また本発明のポリエステル抗張力材は常法の溶融紡糸法により製造することが可能であり、紡糸・延伸を2ステップで行う方法及び1ステップで行う方法が採用できる。 さらに、捲縮付与、熱セットやカット工程を備えたステープルの製造方法など公知の繊維製造方法がすべて適用できるものである。

    【0129】本発明の重合触媒は、重合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。 例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階あるいは重縮合反応の開始直前あるいは重縮合反応途中の任意の段階で反応系への添加することが出きる。 特に、アルミニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に添加することが好ましい。

    【0130】本発明の重縮合触媒の添加方法は、粉末状もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。 また、アルミニウム金属もしくはその化合物と他の成分、好ましくは本発明のフェノール系化合物もしくはリン化合物とを予め混合したものを添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。 また、アルミニウム金属もしくはその化合物と他の成分、好ましくはフェノール系化合物もしくはリン化合物とを同じ添加時期に重合系に添加しても良いし、それぞれを異なる添加時期に添加してもよい。

    【0131】本発明の重合触媒は、アンチモン化合物、
    チタン化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物等の他の重合触媒を、これらの成分の添加が前述の様なポリエステルの特性、加工性、色調等製品に問題が生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有利であり、好ましい。

    【0132】ただし、アンチモン化合物としては重合して得られるポリエステルに対してアンチモン原子として
    50ppm以下の量で添加可能である。 より好ましくは30ppm
    以下の量で添加することである。 アンチモンの添加量を
    50ppmより多くすると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。

    【0133】チタン化合物としては重合して得られるポリマーに対して10ppm以下の範囲で添加する事が可能である。 より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは2ppm
    以下の量で添加することである。 チタンの添加量を10pp
    mより多くすると得られるレジンの熱安定性が著しく低下する。

    【0134】ゲルマニウム化合物としては重合して得られるポリエステル中にゲルマニウム原子として20ppm以下の量で添加することが可能である。 より好ましくは10
    ppm以下の量で添加することである。 ゲルマニウムの添加量を20ppmより多くするとコスト的に不利となるため好ましくない。

    【0135】本発明の重合触媒を用いてポリエステルを重合する際には、アンチモン化合物、チタン化合物マニウム化合物、スズ化合物を1種又は2種以上使用できる。

    【0136】本発明で用いられるアンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物およびスズ化合物は特に限定はない。

    【0137】具体的には、アンチモン化合物としては、
    三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが挙げられ、これらのうち三酸化アンチモンが好ましい。

    【0138】また、チタン化合物としてはテトラ−n−
    プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、
    テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、蓚酸チタン等が挙げられ、これらのうちテトラ−n
    −ブトキシチタネートが好ましい。

    【0139】そしてゲルマニウム化合物としては二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、これらのうち二酸化ゲルマニウムが好ましい。

    【0140】また、スズ化合物としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズアデテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイドの使用が好ましい。

    【0141】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状エステルから成るものをいう。

    【0142】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
    コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、
    1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4'ービフェニルジカルボン酸、4、4'ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4'ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p'ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。

    【0143】これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。

    【0144】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3'、4'ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。

    【0145】グリコールとしてはエチレングリコール、
    1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,
    2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,
    4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4, 4'ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p
    −ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。

    【0146】これらのグリコールのうちエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。

    【0147】これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
    トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。

    【0148】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。

    【0149】環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。

    【0150】多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。

    【0151】本発明で用いられるポリエステルは主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。

    【0152】主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは
    90モル%以上含有するポリエステルである。

    【0153】主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは
    80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。 ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良い。

    【0154】本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、
    またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。

    【0155】本発明で用いられるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
    3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4
    ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、
    1、12ードデカンジオール等があげられる。 これらは同時に2種以上を使用しても良い。

    【0156】本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらのうちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が特に好ましい。

    【0157】また、本発明のポリエステルには公知のリン化合物を共重合成分として含むことができる。 リン系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例えば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、
    (2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、9,
    10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボキシプロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどが挙げられる。 これらのリン系化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエステルの難燃性等を向上させることが可能である。

    【0158】本発明のポリエステルの構成成分として、
    ポリエステルを繊維として使用した場合の染色性改善のために、スルホン酸アルカリ金属塩基を有するポリカルボン酸を共重合成分とすることは好ましい態様である。

    【0159】共重合モノマーとして用いる金属スルホネート基含有化合物としては、特に限定されるものではないが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、またはそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙げられる。 本発明では特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の使用が好ましい。

    【0160】金属スルホネート基含有化合物の共重合量はポリエステルを構成する酸性分に対して、0.3〜10.0
    モル%が好ましく、より好ましくは0.80〜5.0モル%である。 共重合量が少なすぎると塩基性染料可染性に劣り、多すぎると繊維とした場合、製糸性に劣るだけでなく、増粘現象により繊維として十分な強度が得られなくなる。 また、金属スルホネート含有化合物を2.0モル%
    以上共重合すると、得られた改質ポリエステル繊維に常圧可染性を付与することも可能である。 また適切な易染化モノマーを選択することで金属スルホネート基含有化合物の使用量を適宜減少させることは可能である。 易染化モノマーとしては特に限定はしないが、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールに代表される長鎖グリコール化合物やアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。

    【0161】本発明の方法に従ってポリエステル重合をした後に、このポリエステルから触媒を除去するか、またはリン系化合物などの添加によって触媒を失活させることによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高めることができる。

    【0162】本発明のポリエステル中には、有機系、無機系、および有機金属系のトナー、並びに蛍光増白剤などを含むことができ、これらを1種もしくは2種以上含有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。 また他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、
    顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されてもよい。 酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。

    【0163】

    【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではない。 なお、各実施例および比較例において用いた評価方法を以下に説明する。

    【0164】(1)固有粘度(IV) ポリエステルを、パラクロロフェノール / 1,1,2,2-テトラクロロエタンの 3/ 1(重量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃で測定した。

    【0165】(2)酸価 ポリエステル0.1gをベンジルアルコール10mlに加熱溶解した後、0.1NのNaOHのメタノール/ベンジルアルコール=1/9の溶液を使用して滴定して求めた。 (3)ジエチレングリコール含量(DEG) ポリエステル0.1gをメタノール2ml中で250℃
    で加熱分解した後、ガスクロマトグラフィーにより定量して求めた。

    【0166】(4)示差走査熱量分析(DSC) TAインスツルメンツ社製DSC2920を用いて測定した。 ポリエステル10.0mgをアルミパンに入れ、50℃
    /分の昇温速度で280℃まで加熱し、280℃に達してから1分間保持した後即座に、液体窒素中でクエンチした。 その後、室温から20℃/分の昇温速度で300
    ℃まで昇温し、昇温時結晶化温度Tc1ならびに融点T
    mを求めた。 300℃に達してから2分間保持した後に、10℃/分で降温し、降温時結晶化温度Tc2を求めた。 Tc1,Tm、Tc2はそれぞれのピークの極大部分の温度とした。

    【0167】(5)色相 溶融重合で所定の攪拌トルクに到達した時点でオートクレーブに窒素を導入し常圧に戻し重縮合反応を停止した。 その後、微加圧下ポリマーを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後約20秒間冷水中で保持した後カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを得た。 このようにして得られたレジンチップを、約一昼夜室温にて濾紙の上で風乾した後、カラー測定に使用した。 カラー測定は、溶融重合して得られたIVが約0.65dl/gのPETレジンチップを用い、色差計(東京電色(株)製MODEL TC-150
    0MC-88)を使用して、ハンターのL値、a値、b値として測定した。

    【0168】(6)熱安定性パラメータ(TS) 溶融重合したIVが約0.65dl/g(溶融試験前;
    [IV] i )のPETレジンチップ1gを内径約14m
    mのガラス試験管に入れ130℃で12時間真空乾燥した後、真空ラインにセットし減圧と窒素封入を5回以上繰り返した後100mmHgの窒素を封入して封管し、
    300℃の塩バスに浸漬して2時間溶融状態に維持した後、サンプルを取り出して冷凍粉砕して真空乾燥し、I
    V(溶融試験後;IV] f2 )を測定し、下記計算式を用いて求めた。 式は、既報(上山ら:日本ゴム協会誌嬉6
    3巻第8号497頁1990年)から引用した。 TS=0.245{[IV] f2 -1.47 −[IV] i
    -1.47

    【0169】(7)熱酸化安定性パラメータ(TOS) 溶融重合したIVが約0.65dl/gのPETレジンチップを冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にしそれを130℃で12時間真空乾燥したもの300mgを内径約8mm、長さ約140mmのガラス試験管に入れ7
    0℃で12時間真空乾燥した後、シリカゲルを入れた乾燥管を試験管上部につけて乾燥した空気下で、230℃
    の塩バスに浸漬して15分間加熱した後のIVを測定し、上記したTSと同じ下記計算式を用いて求めた。 ただし、[IV] iおよび[IV] f1はそれぞれ加熱試験前と加熱試験後のIV(dl/g)を指す。 冷凍粉砕は、フリーザーミル(米国スペックス社製6750型)
    を用いて行った。 専用セルに約2gのレジンチップと専用のインパクターを入れた後、セルを装置にセットし液体窒素を装置に充填して約10分間保持し、その後、R
    ATE10(インパクターが1秒間に約20回前後する)で5分間粉砕を行った。 TOS=0.245{[IV] f1 -1.47 −[IV] i
    -1.47

    【0170】(8)耐加水分解性パラメータ(HS) 溶融重合して得られた固有粘度が約0.65dl/g
    (試験前;[IV] i )のPETレジンチップを上記7)と同様に冷凍粉砕して20メッシュ以下の粉末にしそれを130℃で12時間真空乾燥した。 加水分解試験はミニカラー装置((株)テクサム技研製TypeMC12.EL
    B)を用いて行った。 上記粉末1gを純水100mlと共に専用ステンレスビーカーに入れてさらに専用の攪拌翼を入れ、密閉系にして、ミニカラー装置にセットし1
    30℃に加熱、加圧した条件下に6時間攪拌した。 試験後のPETをグラスフィルターで濾取し、真空乾燥した後IVを測定し([IV] f2 )、以下の式により耐加水分解性パラメータ(HS)を求めた。 HS=0.245{[IV] f2 -1.47 −[IV] i
    -1.47 } (9)溶液ヘーズ値(Haze) 溶融重合したIVが約0.65dl/gのPETレジンチップをp−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの3/1混合溶媒(重量比)に溶解して8g/100mlの溶液とし、日本電色工業株式会社濁度計NDH2000を用いて室温で測定した。 測定方法はJIS規格JIS−K7105に依り、セル長1cm
    のセルを用いて、溶液の拡散透過光(DF)と全光線透過光(TT)を測定し、計算式 Haze(%)=(DF/TT)×100 よりHaze(%)を求めた。

    【0171】(10) 1 H-NMR測定 化合物をCDCl 3またはDMSOに溶解させ、室温下でVarian
    GEMINI-200を使って測定した。

    【0172】(11)融点測定 化合物をカバーガラス上にのせ、Yanaco MICRO MELTING
    POINT APPARATUSを使って1℃/minの昇温速度で測定した。

    【0173】(12)元素分析 リンの分析は、PETレジンチップを湿式分解後、モリブデンブルー比色法により行った。 その他の金属は、灰化/酸溶解後、高周波プラズマ発光分析および原子吸光分析により行った。 (13)強伸度 JIS−L1017の定義により、20℃、65%RH
    の温湿度管理された部屋で24時間放置後、引張試験機により、破断強度、破断伸度、初期弾性率を得た。

    【0174】(実施例1) (リン化合物の合成例) 下記式(65)で表されるリン化合物(リン化合物A)
    の合成

    【0175】

    【化65】

    【0176】Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hyd
    roxybenzylphosphonate)の合成 50%水酸化ナトリウム水溶液6.5g(84mmol)とメタノール6.1mlの混合溶液中にdiethyl(3,5-di-tert-butyl-4-h
    ydroxybenzyl)phosphonate 5g(14mmol)のメタノール溶液6.1mlを加え、窒素雰囲気下24時間加熱還流を行った。 反応後、反応混合物を冷却しながら濃塩酸7.33g(7
    0mmol)を加え、析出物をろ取、イソプロパノールで洗浄後、ろ液を減圧留去した。 得られた残渣を熱イソプロパノールに溶解させ、不溶分をろ取し、イソプロパノールを減圧留去後、残渣を熱ヘプタンで洗浄、乾燥してSo
    dium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylpho
    sphonate) を3.4g(69%)得た。 形状:白色粉体 融点:294-302℃(分解) 1 H-NMR(DMSO,δ): 1.078(3H, t, J=7Hz), 1.354 (18H,
    s), 2.711(2H, d), 3.724(2H, m, J=7Hz), 6.626(1H,
    s), 6.9665(2H, s) 元素分析(カッコ内は理論値):Na 6.36%(6.56%), P
    9.18%(8.84%)

    【0177】O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyben
    zylphosphonic acid(リン化合物A)の合成 室温で攪拌下のSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-
    hydroxybenzylphosphonate) 1g(2.8mmol)の水溶液20m
    lに濃塩酸1.5gを加えて1時間攪拌した。 反応混合物に水
    150mlを加え、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥してOe
    thyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylphosphonic a
    cidを826mg(88%)得た。 形状:板状結晶 融点:126-127℃ 1 H-NMR(CDCl 3 ,δ):1.207(3H, t, J=7Hz), 1.436(18H,
    s), 3.013(2H, d), 3.888(2H, m, J=7Hz.), 7.088(2H,
    s), 7.679-8.275(1H, br)

    【0178】(ポリエステル重合例)撹拌機付きの熱媒循環式2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3mol%加え、0.25Mpaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。 このBHET混合物に対して、アルミニウムトリスアセチルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.015mol%加え、上述のリン化合物Aの10g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してリン化合物Aとして0.04mol%添加し、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間攪拌した。 次いで50分間を要して275℃
    まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさらに275℃、0.1Torrで重縮合反応を行った。 ポリエチレンテレフタレートのIVが0.65dlg -1に到達するまでに要した重合時間は103分であった。 また、上記の重縮合にて得られたIVが0.65dlg -1のポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。 得られたP
    ETレジンチップの酸化は2eq/tonであり、DE
    Gは2.0mol%であった。 また、Tmは257.5
    ℃であり、Tc1は164.1であり、Tc2は18
    5.4℃であった。 また、L値は68.3、a値は−
    1.1、b値は1.9、TSは0.16、TOSは0.
    01以下、HSは0.04であった。

    【0179】前記溶融重合を、紡糸評価の為に必要な量のレジンが得られるまで繰り返し、230℃、0.01
    mmHgの真空下で固相重合を実施し、固有粘度1.0のポリエステルチップを得た。 得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融押出機に供給し、孔径0.5mmΦのオリフィスを190個有する紡糸口金から310℃で吐出させ、常法に従って冷却、オイリング後、500m/
    分で引き取り、引き続き巻取ることなく、5.7倍に延伸して1100デシテックス、190フィラメント、強度7.9cN/dtexのポリエステル延伸糸を得た。 紡糸および延伸での操業性は非常に良好であった。 次にこのポリエステル延伸糸を9本合糸し、Z撚りをかけコードを作成し、さらにこの下撚コード3本を合糸し、S撚りをかけロープ状物となし、乾熱ヒーターにて180℃、3
    分の定長熱セットを行い、直径2mm、強力1000N
    のロープを製造した。 得られた糸の力学特性は抗張力材に使用するには何ら問題のないものであった。

    【0180】(実施例2) (リン化合物の合成例) 下記式(66)で表されるリン化合物のマグネシウム塩(リン化合物B)の合成

    【0181】

    【化66】

    【0182】1.Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-h
    ydroxybenzylphosphonate)の合成 50%水酸化ナトリウム水溶液6.5g(84mmol)とメタノール6.1mlの混合溶液中にdiethyl(3,5-di-tert-butyl-4-h
    ydroxybenzyl)phosphonate 5g(14mmol)のメタノール溶液6.1mlを加え、窒素雰囲気下24時間加熱還流を行った。 反応後、反応混合物を冷却しながら濃塩酸7.33g(7
    0mmol)を加え、析出物をろ取、イソプロパノールで洗浄後、ろ液を減圧留去した。 得られた残渣を熱イソプロパノールに溶解させ、不溶分をろ取し、イソプロパノールを減圧留去後、残渣を熱ヘプタンで洗浄、乾燥してSo
    dium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylpho
    sphonate) を3.4g(69%)得た。 形状:白色粉体 融点:294-302℃(分解) 1 H-NMR(DMSO,δ): 1.078(3H, t, J=7Hz), 1.354 (18H,
    s), 2.711(2H, d), 3.724(2H, m, J=7Hz), 6.626(1H,
    s), 6.9665(2H, s) 元素分析(カッコ内は理論値):Na 6.36%(6.56%), P
    9.18%(8.84%)

    【0183】2.Magnesium bis(O-ethyl 3,5-di-tert-bu
    tyl-4-hydroxybenzylphosphonate)(リン化合物B)の合成 室温で攪拌下のSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-
    hydroxybenzylphosphonate) 500mg(1.4mmol)の水溶液
    4mlに硝酸マグネシウム6水和物 192mg(0.75mmol)の水溶液1mlを滴下した。 1時間攪拌後、析出物をろ取、水洗、乾燥してMagnesium bis(O-ethyl 3,5-di-tert-buty
    l-4-hydroxybenzylphosphonate) を359mg(74%)得た。 形状:白色粉体 融点:>300℃ 1 H-NMR(DMSO,δ):1.0820(6H, t, J=7Hz), 1.3558(36H,
    s), 2.8338(4H, d), 3.8102(4H, m, J=7Hz), 6.6328(2
    H, s), 6.9917(4H, s)

    【0184】(ポリエステル重合例)撹拌機付きの熱媒循環式2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3mol%加え、0.25Mpaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。 このBHET混合物に対して、アルミニウムアセチルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.01
    5mol%加え、上述のリン化合物Bを酸成分に対して0.02m
    ol%添加し、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間攪拌した。 次いで50分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさらに275℃、0.1T
    orrで重縮合反応を行った。 PETのIVが0.65になるのに要した時間は39分であった。 また、上記の重縮合にて得られたIVが0.65dlg -1のポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。 このPETレジンチップを用いて諸物性を測定した。 得られたPETレジンチップの酸化は2eq/tonであった。 また、Tm
    は256.5℃であり、Tc1は165.6℃であり、
    Tc2は185.1℃であった。 また、L値は66.
    6、a値は−2.1、b値は4.5、TSは0.19、
    TOSは0.01以下、HSは0.06であった。

    【0185】前記溶融重合を、紡糸評価の為に必要な量のレジンが得られるまで繰り返し、230℃、0.01
    mmHgの真空下で固相重合を実施し、固有粘度1.0のポリエステルチップを得た。 得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融押出機に供給し、孔径0.5mmΦのオリフィスを190個有する紡糸口金から310℃で吐出させ、常法に従って冷却、オイリング後、500m/
    分で引き取り、引き続き巻取ることなく、5.7倍に延伸して1100デシテックス、190フィラメント、強度7.9cN/dtexのポリエステル延伸糸を得た。 紡糸および延伸での操業性は非常に良好であった。 次にこのポリエステル延伸糸を9本合糸し、Z撚りをかけコードを作成し、さらにこの下撚コード3本を合糸し、S撚りをかけロープ状物となし、乾熱ヒーターにて180℃、3
    分の定長熱セットを行い、直径2mm、強力1000N
    のロープを製造した。 得られた糸の力学特性は抗張力材に使用するには何ら問題のないものであった。

    【0186】(実施例3) (リン化合物のアルミニウム塩の合成例) O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylphosphon
    ateのアルミニウム塩(アルミ塩A)の合成

    【0187】1.Sodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-h
    ydroxybenzylphosphonate)の合成 50%水酸化ナトリウム水溶液6.5g(84mmol)とメタノール6.1mlの混合溶液中にdiethyl(3,5-di-tert-butyl-4-h
    ydroxybenzyl)phosphonate 5g(14mmol)のメタノール溶液6.1mlを加え、窒素雰囲気下24時間加熱還流を行った。 反応後、反応混合物を冷却しながら濃塩酸7.33g(7
    0mmol)を加え、析出物をろ取、イソプロパノールで洗浄後、ろ液を減圧留去した。 得られた残渣を熱イソプロパノールに溶解させ、不溶分をろ取し、イソプロパノールを減圧留去後、残渣を熱ヘプタンで洗浄、乾燥してSo
    dium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzylpho
    sphonate) を3.4g(69%)得た。 形状:白色粉体 融点:294-302℃(分解) 1 H-NMR(DMSO,δ): 1.078(3H, t, J=7Hz), 1.354 (18H,
    s), 2.711(2H, d), 3.724(2H, m, J=7Hz), 6.626(1H,
    s), 6.9665(2H, s) 元素分析(カッコ内は理論値):Na 6.36%(6.56%), P
    9.18%(8.84%)

    【0188】2.O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy
    benzylphosphonateのアルミニウム塩(アルミ塩A)の合成 室温で攪拌下のSodium(O-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-
    hydroxybenzylphosphonate) 1g(2.8mmol)の水溶液7.5
    mlに硝酸アルミニウム9水和物 364mg(0.97mmol)の水溶液5mlを滴下した。 3時間攪拌後、析出物をろ取、水洗、乾燥してO-ethyl 3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybe
    nzylphosphonateのアルミニウム塩を860mg得た。 形状:白色粉体 融点:183-192℃

    【0189】(ポリエステル重合例)撹拌機付きの熱媒循環式2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3mol%加え、0.25Mpaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。 このBHET混合物に対して、上述のアルミ塩Aをポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.
    02mol%添加し、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間攪拌した。 次いで50分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさらに275℃、
    0.1Torrで重縮合反応を行った。 ポリエチレンテレフタレートのIVが0.65dlg -1に到達するまでに要した重合時間(AP)は98分であった。 また、上記の重縮合にて得られたIVが0.65dlg -1のポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。 このPETレジンチップを用いて諸物性を測定したところ、酸価は1eq/ton以下、DS
    Cによる融点は257.1℃、Tc1は160.7℃、Tc2
    は185.1℃であった。 また、L値は64.3、a値は−1.4、b値は2.3、TSは0.14、TOSは0.01、HSは0.03であった。

    【0190】前記溶融重合を、紡糸評価の為に必要な量のレジンが得られるまで繰り返し、230℃、0.01
    mmHgの真空下で固相重合を実施し、固有粘度1.0のポリエステルチップを得た。 得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融押出機に供給し、孔径0.5mmΦのオリフィスを190個有する紡糸口金から310℃で吐出させ、常法に従って冷却、オイリング後、500m/
    分で引き取り、引き続き巻取ることなく、5.7倍に延伸して1100デシテックス、190フィラメント、強度7.9cN/dtexのポリエステル延伸糸を得た。 紡糸および延伸での操業性は非常に良好であった。 次にこのポリエステル延伸糸を9本合糸し、Z撚りをかけコードを作成し、さらにこの下撚コード3本を合糸し、S撚りをかけロープ状物となし、乾熱ヒーターにて180℃、3
    分の定長熱セットを行い、直径2mm、強力1000N
    のロープを製造した。 得られた糸の力学特性は抗張力材に使用するには何ら問題のないものであった。

    【0191】(実施例4)高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従って製造したビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びオリゴマーの混合物に対し、重縮合触媒として塩化アルミニウムの13g/
    lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.015mol%とIrganox 1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)の10g/lエチレングリコール溶液を酸成分に対してIrganox 1425として0.0
    2mol%を加えて、窒素雰囲気下、常圧にて245℃
    で10分間撹拌した。 次いで50分間を要して275℃
    まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3P
    a(0.1Torr)としてさらに275℃、13.3
    Paで重縮合反応を行った。

    【0192】上記の重縮合にて得られたIVが0.65
    dl/gのポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。 重縮合反応に要した時間(AP)は75分であった。 重縮合後のPETの固有粘度は0.65dl/
    g、酸価は1.4eq/ton、DEGは2.1mol%であった。 また、Tmは257.4℃であり、Tc1は15
    5.6℃であり、Tc2は181.5℃であった。 色相はL値68.47、a値―2.73、b値5.32であった。

    【0193】また上記のPETレジンチップの熱安定性パラメータ(TS)は0.17、耐加水分解性パラメータ(HS)は0.05、熱酸化パラメータ(TOS)は0.01未満であった。 また、ヘーズは0.1%であった。

    【0194】前記溶融重合を、紡糸評価の為に必要な量のレジンが得られるまで繰り返し、230℃、0.01
    mmHgの真空下で固相重合を実施し、固有粘度1.0のポリエステルチップを得た。 得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融押出機に供給し、孔径0.5mmΦのオリフィスを190個有する紡糸口金から310℃で吐出させ、常法に従って冷却、オイリング後、500m/
    分で引き取り、引き続き巻取ることなく、5.7倍に延伸して1100デシテックス、190フィラメント、強度7.9cN/dtexのポリエステル延伸糸を得た。 紡糸および延伸での操業性は非常に良好であった。 次にこのポリエステル延伸糸を9本合糸し、Z撚りをかけコードを作成し、さらにこの下撚コード3本を合糸し、S撚りをかけロープ状物となし、乾熱ヒーターにて180℃、3
    分の定長熱セットを行い、直径2mm、強力1000N
    のロープを製造した。 得られた糸の力学特性は抗張力材に使用するには何ら問題のないものであった。

    【0195】(比較例1)触媒として、三酸化アンチモンを、添加量がPET中の酸成分に対してアンチモン原子として0.05mol%になるように使用した以外は実施例4と同様の操作を行った。 ポリエチレンテレフタレートのIVが0.65dlg -1に到達するまでに要した重合時間(AP)は65分であった。 また、上記の重縮合にて得られたIVが0.65dlg -1のポリエチレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。 このPETレジンチップを用いて諸物性を測定した。 得られたPETレジンチップの酸化は4.4eq/tonであり、DEGは2.2mo
    l%であった。 また、Tmは256.5℃であり、Tc
    1は130.7℃であり、Tc2は209.3℃であった。 また、L値は55.03、a値は−0.29、b値は1.06、TSは0.22、TOSは0.01以下、
    HSは0.05であった。 また、ヘーズは0.4%であった。 得られたポリエステルを実施例4と同様に固相重合したのちに溶融紡糸しした際の糸切れおよび延伸時の糸切れ率は各実施例のものに比べて劣るものであった。
    また、実施例4と同様に合糸、撚糸し製造されたロープは各実施例の物と比べて力学物性、熱安定性に劣る物であった。

    【0196】

    【発明の効果】本発明によれば、係留ロープ、曳航ロープなどの船舶資材、延縄、底曳、定置漁業などの漁業資材、その他梱包資材など各種分野のロープ、組みひも、
    プルトルージョンロッド、スリング、釣り糸、コード、
    注連縄などの抗張力材として適用可能な熱安定性に優れたポリエステル抗張力材を提供することを可能とした。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B153 AA02 BB01 CC21 FF08 FF18 FF26 FF44 4J029 AA01 AA03 AE02 BA03 CB06A CC05A CC06A HA01 HB01 JA061 JA091 JA121 JB131 JB171 JB191 JB193 JC451 JC461 JC471 JC551 JC561 JC571 JC751 JF021 JF031 JF041 JF121 JF131 JF151 JF161 JF181 JF361 JF471 JF551 JF561 KB05 4L035 BB31 EE01 FF01 GG02

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