首页 / 专利库 / 饲料和饲养 / 造粒 / 非水系電池セパレータ用バインダー、非水系電池セパレータ、及び非水系電池

系電池セパレータ用バインダー、非水系電池セパレータ、及び非水系電池

阅读:1055发布:2020-05-16

专利汇可以提供系電池セパレータ用バインダー、非水系電池セパレータ、及び非水系電池专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】基材への密着 力 が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい非 水 系電池セパレータ用バインダー、そのための水性樹脂組成物及びスラリーを提供すること。 【解決手段】樹脂成分(A)を含む非水系電池セパレータ用バインダーで、樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位を含み、エチレン性不飽和単量体(a)は、カルボン酸エステル単量体(a1)と、スチレン(a2)と、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸であるカルボン酸単量体(a3)と、2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物、及びエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤のうち、いずれかまたは両方からなる内部架橋剤(a4)とを含む。 【選択図】なし,下面是系電池セパレータ用バインダー、非水系電池セパレータ、及び非水系電池专利的具体信息内容。

樹脂成分(A)を含む非系電池セパレータ用バインダーであって、 樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位を含み、 エチレン性不飽和単量体(a)は、 下記一般式(1)の構造を有する化合物であるカルボン酸エステル単量体(a1)と、 スチレン(a2)と、 エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸であるカルボン酸単量体(a3)と、 2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物、及びエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤のうち、いずれかまたは両方からなる内部架橋剤(a4)と、 を含み、 樹脂成分(A)は、スチレン(a2)由来の構造単位の含有率が15〜70質量%、カルボン酸単量体(a3)由来の構造単位の含有率が1〜10質量%、内部架橋剤(a4)由来の構造単位の含有率が0.1〜5質量%である非水系電池用セパレータ用バインダー。 (式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、一部または全部の水素原子がカルボキシ基以外の官能基で置換されていても良い炭素数1〜20の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基を表す。)樹脂成分(A)のガラス転移点が44℃以下である請求項1に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位の含有率が85質量%以上である請求項1または2に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。樹脂成分(A)100質量部に対して、界面活性剤(C)を0.3〜3質量部含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和結合と親水性の官能基とを有する反応性界面活性剤(a5)に由来する構造単位を含み、樹脂成分(A)における反応性界面活性剤(a5)を除く全モノマー由来の構造単位(A)−(a5)100質量部に対する、界面活性剤(C)と、樹脂成分(A)中の反応性界面活性剤(a5)由来する構造単位との合計量(C)+(a5)は、0.1〜3.5質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。60℃のプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの質量比が1:1の混合溶媒に対する膨潤率が300%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。前記非水系電池はリチウムイオン二次電池である請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。請求項1〜7のいずれかに1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダーと、水性媒体(B)とを含む水性樹脂組成物。pHが1.5〜10である請求項8に記載の水性樹脂組成物。請求項8または9に記載の水性樹脂組成物(α)と非導電性粒子(β)とを含む非水系電池セパレータ用スラリー。セパレータ基材と、 セパレータ基材表面に耐熱層を有する非水系電池用セパレータであって、 前記耐熱層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダーを含む非水系電池用セパレータ。前記セパレータ基材は、ポリエチレンフィルムである請求項11に記載の非水系電池用セパレータ。前記非水系電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池用セパレータである請求項11または12に記載の非水系電池用セパレータ。請求項11〜13のいずれか1項に記載の非水系電池用セパレータを含む非水系電池。

说明书全文

本発明は、非系電池セパレータ用バインダー、水性樹脂組成物、及びスラリー、非水系電池セパレータ、並びに非水系電池に関するものである。

ノートパソコン、携帯電話、電動工具、電子・通信機器の小型化、軽量化が求められており、要求に応えるものとして、リチウムイオン電池等の非水系二次電池が注目されている。最近では電気自動車、ハイブリッド自動車等においては車内空間を確保及び車両の軽量化をしつつ、高出で航続距離の延長のために、小型、軽量であって、さらに、大出力、大容量の二次電池が強く求められている。

代表的な非水系電池としてリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンが正極と負極との間を移動することにより電池の充放電が行われる二次電池である。リチウムイオン電池は主要な構成として、アルミニウム等の集電体表面にコバルト酸リチウム等の金属酸化物を含む正極活物質層が形成された正極と、銅等の集電体表面に黒鉛等の炭素材料を含む負極活物質層が形成された負極と、正極及び負極の間に設けられるセパレータと、リチウム塩等の電解質をカーボネート等の溶媒に溶解させた電解液と、を含む。正極及び負極は、それぞれの電極活物質とバインダーとを含むスラリーを集電体表面に塗布することなどにより得られる。

セパレータは正極と負極が接触することによる短絡を防ぐために、非水系電池ではセパレータとして樹脂多孔質膜などの基材が広く一般的に使用されている。電池の発熱量が多くなると、セパレータの孔が塞がり、キャリアイオンの移動を防ぎ電池がシャットダウンする。しかし、近年、二次電池の高エネルギー密度化が進んでおり、使用時の電池の発熱量が多くなる傾向にある。そこでセパレータの耐熱性の付与のため、基材の少なくとも一方の面にバインダーと非導電性粒子とを含む耐熱層を形成させることが提案されている。

そのような技術として、特許文献1では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物由来の構造単位と、芳香族モノビニル化合物由来の構造単位とを含むランダム共重合体である粒子状重合体、非導電性粒子、及び水と混合して得られた多孔膜用組成物を、有機材料からなる多孔質部材であるセパレータに塗布することが記載されている。

特開2015−185353号公報

本発明は、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい非水系電池セパレータ用バインダー、そのための水性樹脂組成物及びスラリーを提供することを目的とする。また、本発明は、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい耐熱層を有する非水系電池セパレータ、並びに非水系電池を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明は以下の[1]〜[11]の通りである。 [1]樹脂成分(A)を含む非水系電池セパレータ用バインダーであって、樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位を含み、エチレン性不飽和単量体(a)は、下記一般式(1)の構造を有するカルボン酸エステル単量体(a1)と、スチレン(a2)と、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸であるカルボン酸単量体(a3)と、2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物、及びエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤のうち、いずれかまたは両方からなる内部架橋剤(a4)と、を含み、樹脂成分(A)は、スチレン(a2)由来の構造単位の含有率が15〜70質量%、カルボン酸単量体(a3)由来の構造単位の含有率が1〜10質量%、内部架橋剤(a4)由来の構造単位の含有率が0.1〜5質量%である非水系電池用セパレータ用バインダー。

(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、一部または全部の水素原子がカルボキシ基以外の官能基で置換されていても良い炭素数1〜20の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基を表す。) [2]樹脂成分(A)のガラス転移点が44℃以下である[1]に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [3]エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位の含有率が85質量%以上である[1]または[2]に記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [4]樹脂成分(A)100質量部に対して、界面活性剤(C)を0.3〜3質量部含む[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [5]樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和結合と親水性の官能基とを有する反応性界面活性剤(a5)に由来する構造単位を含み、樹脂成分(A)における反応性界面活性剤(a5)を除く全モノマー由来の構造単位(A)−(a5)100質量部に対する、界面活性剤(C)と、樹脂成分(A)中の反応性界面活性剤(a5)由来する構造単位との合計量(C)+(a5)は、0.1〜3.5質量部である[1]〜[5]のいずれかに記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [6]60℃のプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの質量比が1:1の混合溶媒に対する膨潤率が300%以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [7]前記非水系電池はリチウムイオン二次電池である[1]〜[7]のいずれかに記載の非水系電池セパレータ用バインダー。 [8][1]〜[7]のいずれかに1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダーと、水性媒体(B)とを含む水性樹脂組成物。 [9]pHが1.5〜10である[8]に記載の水性樹脂組成物。 [10][8]または[9]に記載の水性樹脂組成物(α)と非導電性粒子(β)とを含む非水系電池セパレータ用スラリー。 [11]セパレータ基材と、セパレータ基材表面に耐熱層を有する非水系電池用セパレータであって、前記耐熱層は、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の非水系電池セパレータ用バインダーを含む非水系電池用セパレータ。 [12]前記セパレータ基材は、ポリエチレンフィルムである[11]に記載の非水系電池用セパレータ。 [13]前記非水系電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池用セパレータである[11]または[12]に記載の非水系電池用セパレータ。 [14][11]〜[13]のいずれか1項に記載の非水系電池用セパレータを含む非水系電池。

本発明によれば、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい非水系電池セパレータ用バインダー、そのための水性樹脂組成物及びスラリーを提供することができる。また、本発明によれば、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい耐熱層を有する非水系電池セパレータ、並びに非水系電池を提供することができる。

本発明の一実施形態にかかる非水系電池としてリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略図である。

以下、本発明の実施形態につき詳細に説明する。

以下の説明において、「エチレン性不飽和結合」とは、芳香環を形成する炭素原子を除く炭素原子間で形成される二重結合を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味する。

以下の説明において、()内の符号のみの記載は、特に断りがなければ、その成分またはその成分に由来する構造単位の質量を示す。例えば、(A)は、樹脂成分(A)の質量を示し、(A)+(B)は、樹脂成分(A)の質量と水性媒質(B)の質量との合計の質量を示す。

<1.非水系電池> 非水系電池としては、リチウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池等が挙げられるが、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。図1は、本実施形態にかかる非水系電池としてリチウムイオン二次電池1の構成の一例を示す概略図である。リチウムイオン二次電池1は、正極11と、負極12と、セパレータ13と、電解液14と、外装体15と、正極リード16と、負極リード17とを備える。なお、図1は、各構成の関係を容易に把握するためのモデルとして概略的に示されたものであり、具体的な電池の形態としては、いわゆる積層体、捲回体等が挙げられ、本発明の効果を奏する限り、その形態は特に限定されない。

正極11は、正極活物質層111と正極集電体112とを備える。正極活物質層111は正極活物質が含まれる。正極活物質は、放電時にはリチウムイオンが挿入され(Intercalation)、充電時にはリチウムイオンが引き抜かれる(deintercalation)。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム等が挙げられる。正極集電体112は、正極活物質111を保持し、また、充放電に伴って、正極活物質111との電荷の授受を行う。正極集電体112として、代表的なものはアルミニウム箔である。

負極12は、負極活物質層121と負極集電体122とを備える。負極活物質層121は負極活物質が含まれる。負極活物質は、充電時にはリチウムイオンが挿入され(Intercalation)、放電時にはリチウムイオンが引き抜かれる(deintercalation)。負極活物質としては、黒鉛等の炭素材料、Si、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。負極集電体122は、負極活物質121を保持し、また、充放電に伴って、負極活物質111との電荷の授受を行う。負極集電体122として、代表的なものは銅箔である。

セパレータ13は、正極11と負極12との間に設けられる。セパレータ13は、リチウムイオンを透過させ、かつ正極11と負極12との間で電気的に短絡することを防ぐ。セパレータ13の詳細については後述する。

電解液14は、外装体15内に満たされる、リチウムイオンを移動させるための媒体である。電解液14は、電解質が溶媒に溶解した電解質溶液である。電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、脂肪族カルボン酸リチウム等のリチウム塩が一般的に使用される。溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジメチルカーボネート(DMC)が一般的に使用される。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

外装体15は、正極11、負極12、セパレータ13、及び電解液14を収納し、これらを保護し、また、電解液14の漏出を防ぐ。外装体15としては、金属外装体やアルミラミネート外装体などを適宜使用できる。外装体15の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、型、扁平型等、いずれの形状であってもよい。

正極リード線16は、一端は正極集電体112に接続され、多端は外装体15の外部の電気回路に接続される。正極リード線16は、正極集電体112と外部との間で電流を流す。負極リード線17は、一端は負極集電体122に接続され、多端は外装体15の外部の電気回路に接続される。負極リード線17は、負極集電体122と外部との間で電流を流す。

<2.非水系電池セパレータ> <2−1.セパレータの構成> 本実施形態にかかる非水系電池セパレータ13は、セパレータ基材131の正極11側及び負極12側の両面に耐熱層132が形成されている。

セパレータ基材131としては、多孔性の樹脂膜が挙げられ、特に限定されない。多孔性の樹脂としては、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル等が挙げられ、形態としては織物、編物、不織布などが挙げられるが、ポリエチレンフィルムであることが好ましい。また、形状についても、特に限定されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mmのシート状であることが好ましい。

耐熱層132は後述する樹脂成分(A)及び非導電性粒子(β)を含む。樹脂成分(A)は、非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131とを結着させる機能を有するバインダーである。樹脂成分(A)の詳細な構成については後述する。

<2−2.セパレータの製造方法> 本実施形態にかかるセパレータ13は、例えば、セパレータ基材131表面に、樹脂成分(A)及び非導電性粒子(β)を含むセパレータ用スラリーを塗布し、乾燥させ、セパレータ基材131表面に耐熱層132を形成させることにより製造される。セパレータ用スラリーの詳細については後述する。耐熱層132において、非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間を結着させる機能を持つ成分がバインダーであり、本実施形態ではバインダーは樹脂成分(A)を含み、その他に後述する増粘剤(γ)がバインダーとして含まれていてもよい。

セパレータ用スラリーをセパレータ基材131上に塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ドクターブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法、セパレータ用スラリー中にセパレータ基材131を浸漬する浸漬法などを挙げることができる。これらの中でも、セパレータ用スラリーの粘性等の諸物性及び乾燥性に対して好適であり、良好な表面状態の塗布膜を得ることが可能である点で、ドクターブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、または浸漬法を用いることが好ましい。

セパレータ用スラリーは、セパレータ基材131の片面にのみ塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。セパレータ用スラリーをセパレータ基材131の両面に塗布する場合は、片面ずつ逐次塗布してもよいし、両面同時に塗布してもよい。また、セパレータ用スラリーはセパレータ基材131の表面に連続して塗布してもよいし、間欠で塗布してもよい。セパレータ用スラリーの塗布膜の厚さ、塗布範囲の長さや幅は、電池の大きさなどに応じて、適宜、決定できる。

塗布されたセパレータ用スラリーを乾燥する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、乾燥方法として、熱風、真空、(遠)赤外線、及び低温風を単独あるいは組み合わせて用いることができる。塗布膜の乾燥温度は、40〜180℃の範囲であることが好ましく、乾燥時間は、1〜30分であることが好ましい。

耐熱層132が形成されたセパレータ13は、セパレータ13を組み込む電池の形状、サイズに合わせて適宜切断してもよい。耐熱層132の形成されたセパレータ基材131の切断方法は特に限定されないが、例えば、スリット、レーザー、ワイヤーカット、カッター、トムソン等を用いることができる。

<3.水性樹脂組成物(α)の構成> 本実施形態の水性樹脂組成物(α)は、樹脂成分(A)と水性媒質(B)とを含む。水性樹脂組成物(α)は、水性媒質(B)中に樹脂成分(A)が分散した分散液である。水性樹脂組成物(α)は、必要に応じて、界面活性剤(C)、塩基性物質(D)、及びラジカル重合開始剤(E)の少なくともいずれを添加することが好ましい。水性樹脂組成物(α)中の不揮発分の含有率は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは25〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。不揮発分の含有率は、皿またはプレートなど平板状の容器に、水性樹脂組成物(α)を1g秤量し、105℃で1時間乾燥させた後の残分の質量を測定することで算出される。

水性樹脂組成物(α)の粘度は、5000mPa・s以下であることが好ましく、3000mPa・s以下であることがより好ましく、2000mPa・s以下であることがさらに好ましい。後述するスラリー作製時のセパレータ用バインダーのロス削減、及びスラリーの脱泡工程の短縮が可能となるためである。水性樹脂組成物(α)の粘度は、例えば、ブルックフィールド型粘度計を用いて、液温23℃、回転数60rpm、No.1、No.2またはNo.3ローターにて測定できる。

<3−1.樹脂成分(A)> 樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)に由来する構造単位を含む共重合体である。樹脂成分(A)に含まれるエチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位は85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。エチレン性不飽和単量体(a)は、エチレン性不飽和結合を持つ化合物である。また、樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)と共重合可能なその他の単量体(b)由来の構造単位を含んでもよい。本実施形態の樹脂成分(A)は、例えば、エチレン性不飽和単量体(a)を含むモノマーを後述する界面活性剤(C)の存在下で乳化重合して得られる。

樹脂成分(A)のガラス転移点Tgは44℃以下であることが好ましい。セパレータ13の耐熱層132の割れを抑制できるためである。この観点から、樹脂成分(A)のガラス転移点Tgは40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましい。樹脂成分(A)のガラス転移点Tgは、構造単位の由来成分のエチレン性不飽和単量体Mi(i=1,2,...)の各ホモポリマーのガラス転移点Tgi(i=1,2,...)と、エチレン性不飽和単量体Miの各質量分率Xi(i=1,2,...)とから、下記式(I)により算出される。 1/Tg=Σ(Xi/Tgi) …(I)

樹脂成分(A)は、60℃のプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの質量比が1:1の混合溶媒に対する膨潤率が、300質量%以下であることが好ましく、200質量%以下であることがより好ましい。高温条件下においても優れた充放電サイクル特性が得られるためである。

本実施形態にかかるエチレン性不飽和単量体(a)は、カルボン酸エステル単量体(a1)と、スチレン(a2)と、カルボン酸単量体(a3)と、内部架橋剤(a4) とを含む。すなわち、樹脂成分(A)は、複数の種類の構造単位を有する共重合体である。エチレン性不飽和単量体(a)は、反応性界面活性剤(a5)、及び(a1)〜(a5)のいずれでもない他のエチレン性不飽和単量体(a6)を含んでもよい。

<3−1−1.カルボン酸エステル単量体(a1)> カルボン酸エステル単量体(a1)は、下記一般式(1)の構造を有する化合物である。カルボン酸エステル単量体(a1)は、カルボキシ基を有する化合物、及びシランカップリング剤を含まない。

式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、一部または全部の水素原子がカルボキシ基以外の官能基で置換されていても良い炭素数1〜20の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基を表す。「それぞれ独立に」とは、対象となる要素のうち1つが他の要素に依存しないことを意味し、例えば、R1〜R3はいずれも同じであってもよいし、いずれか1つが異なっていてもよい。

R4を構成する炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等を挙げることができる。炭素数1〜2のアルコキシ基の具体例としてはメトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。炭素数2〜6のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等を挙げることができる。

カルボン酸エステル単量体(a1)としては、R4が極性を有するもの(以下、ここでは「極性カルボン酸エステル単量体(a11)」とする)でもよく、R4が極性を有しないもの(以下、ここでは「他のカルボン酸エステル単量体(a12)」とする)でもよく、これらを組み合わせてもよい。

R4に含まれる極性基の具体例としては、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などを使用することが、樹脂成分(A)の機械的安定性、基材密着力を向上させるためには好ましい。極性カルボン酸エステル単量体(a11)として、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−(メタ)アクロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)ホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。

樹脂成分(A)における極性カルボン酸エステル単量体(a11)に由来する構造単位の含有率は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。セパレータ用バインダーとして良好な機械的安定性が得られるためである。樹脂成分(A)における極性カルボン酸エステル単量体(a11)に由来する構造単位の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間の良好な結着性が得られるためである。

他のカルボン酸エステル単量体(a12)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの中でも、重合の容易さや耐溶出性の観点から、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。

樹脂成分(A)における他のカルボン酸エステル単量体(a12)に由来する構造単位の含有率は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。得られるセパレータ13の柔軟性や耐熱性が向上するためである。樹脂成分(A)における他のカルボン酸エステル単量体(a12)に由来する構造単位の含有率は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間での結着性を維持するためである。

<3−1−2.スチレン(a2)> 樹脂成分(A)におけるスチレン(a2)に由来する構造単位の含有率は、15質量%以上であり、好ましくは30質量%以上である。非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間の結着力が向上するためである。樹脂成分(A)におけるスチレン(a2)に由来する構造単位の含有率は、70質量%以下であり、好ましくは60質量%以下である。セパレータ用バインダーのガラス転移温度(Tg)の上昇による、スラリーの塗布後の割れを抑制するためである。

<3−1−3.カルボン酸単量体(a3)> カルボン酸単量体(a3)は、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸である。カルボン酸単量体(a3)は、シランカップリング剤を含まない。カルボン酸単量体(a3)は脂肪族であることが好ましい。カルボン酸単量体(a3)としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはこれら不飽和ジカルボン酸のハーフエステル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、イタコン酸が好ましい。カルボン酸単量体(a3)として、これらのカルボン酸を1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

樹脂成分(A)におけるカルボン酸単量体(a3)に由来する構造単位の含有率は、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましい。機械的安定性が良好であり、得られるセパレータ13の耐熱性も保持できるためである。樹脂成分(A)におけるカルボン酸単量体(a3)に由来する構造単位の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。非導電性粒子(β)同士、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との結着性が良好となるためである。

<3−1−4.内部架橋剤(a4)> 内部架橋剤(a4)は、2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物、及びエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤のうち、いずれかまたは両方からなる。2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物としては、ジビニルベンゼン等の2個以上のビニル基を有するビニルベンゼン類単量体、多官能アクリレート等が挙げられる。

多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましく、トリメチロールプロパントリメタクリレートがさらに好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。

樹脂成分(A)における内部架橋剤(a4)に由来する構造単位の含有率は、0.1質量%以上であることが好ましい。電解液に対する耐熱層132の膨潤率を低減させることができるためである。樹脂成分(A)における内部架橋剤に由来する構成の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。樹脂成分(A)の水性媒体(B)に対する重合安定性が向上し、非導電性粒子(β)間、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間の結着力が良好となるためである。

<3−1−5.反応性界面活性剤(a5)> 反応性界面活性剤(a5)は、上記した単量体となる化合物(a1)〜(a4)のいずれにも該当しない化合物で、エチレン性不飽和結合と、親水性の官能基とを有する。反応性界面活性剤(a5)としては、以下の化学式(2)〜(5)で表される化合物等が挙げられる。

式(2)中、Rはアルキル基、nは10〜40の整数である。

式(3)中、lは10〜12の整数、mは10〜40の整数である。

式(4)中、Rはアルキル基、MはNH4またはNaである。

式(5)中、Rはアルキル基、MはNH4またはNaである。

樹脂成分(A)粒子の分散安定性向上の観点から、反応性界面活性剤(a5)由来の構造単位は、樹脂成分(A)に含まれることが好ましい。樹脂成分(A)が反応性界面活性剤(a5)に由来する構造単位を含む場合、後述する界面活性剤(C)の含有量と反応性界面活性剤(a5)に由来する構造単位の含有量との合計量に対する、反応性界面活性剤(a5)に由来する構造単位の含有率、すなわち、(a5)/{(a5)+(C)}は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましく、30〜100質量%であることがさらに好ましい。

<3−1−6.他のエチレン性不飽和単量体(a6)> 他のエチレン性不飽和単量体(a6)は、上記した単量体となる化合物(a1)〜(a5)に該当せず、かつ上記した単量体となる化合物(a1)〜(a5)と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。他のエチレン性不飽和単量体(a6)として、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物等が挙げられる。また、他のエチレン性不飽和単量体(a6)として、エチレン性不飽和結合を有し、かつ、アミド結合、ニトリル基などの極性基を有する化合物を用いることができる。このような化合物として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等も挙げられる。

<3−1−7.その他の単量体(b)> 他の単量体(b)は、エチレン性不飽和単量体(a)以外の化合物である。すなわち、他の単量体は、エチレン性不飽和結合を有さず、かつエチレン性不飽和単量体(a)と共重合可能な化合物である。他の単量体(b)として、例えば、樹脂成分(A)の分子量を調整するためにメルカプタン、チオグリコール酸及びそのエステル、β−メルカプトプロピオン酸 及びそのエステルなどを用いてもよい。なお、他の単量体(b)はここに例示したものに限られない。

<3−2.水性媒質(B)> 水性媒質(B)は、水または親水性の溶媒であり、水であることが好ましい。親水性の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びN‐メチルピロリドン等が挙げられる。水性媒質(B)としては、水に親水性の溶媒を添加したものを用いてもよい。水性樹脂組成物(α)中の水性媒質(B)の含有率は、樹脂成分(A)の重合安定性を損なわない限り特に制限は無く、不揮発分の含有率、及び粘度に応じて調整することが好ましい。

<3−3.界面活性剤(C)> 界面活性剤(C)は、本実施形態において、乳化重合により樹脂成分(A)を製造する際に用いられる。界面活性剤(C)としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。

アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩等が挙げられる。

ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フィニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。

界面活性剤(C)としては、1種類の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。

水性樹脂組成物(α)において、樹脂成分(A)の含有量100質量部に対する、界面活性剤(C)の含有量は0.3質量部以上であることが好ましい。乳化重合により容易に安定的な水性エマルジョンを得ることができるためである。水性樹脂組成物(α)において、樹脂成分(A)の含有量100質量部に対する、界面活性剤(C)の含有量は3質量部以下であることが好ましい。非導電性粒子(β)間、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間で良好な結着力が得られるためである。

界面活性剤(C)と樹脂成分(A)中の反応性界面活性剤(a5)由来する構造単位との合計量(C)+(a5)は、樹脂成分(A)における反応性界面活性剤(a5)を除く全モノマー由来の構造単位(A)−(a5)100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。モノマーの重合時のポリマー転化率を高くすることができるためである。界面活性剤(C)と樹脂成分(A)中の反応性界面活性剤(a5)由来する構造単位との合計量(C)+(a5)は、樹脂成分(A)における反応性界面活性剤(a5)を除く全モノマー由来の構造単位(A)−(a5)100質量部に対して3.5質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。電池の内部抵抗が低くなるためである。

<3−4.塩基性物質(D)> 塩基性物質(D)は、エチレン性不飽和単量体(a)の乳化重合中及び/または乳化重合終了後に加えることで、エチレン性不飽和単量体(a)に含まれる酸を中和し、pHを調整する。これにより、乳化重合中のエチレン性不飽和単量体(a)の分散安定性、及び/または乳化重合終了後のセパレータ用バインダーの機械的安定性、化学的安定性を向上させる。

水性樹脂組成物(α)のpHは、1.5〜10であることが好ましく、より好ましくは5〜9であり、さらに好ましくは6〜9である。水性樹脂組成物の分散安定性が向上し、活物質及び非導電性粒子の沈降を抑制することができるためである。

塩基性物質(D)としては、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。これらの塩基性物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

<3−5.ラジカル重合開始剤(E)> ラジカル重合性開始剤(E)は、エチレン性不飽和単量体(a)の重合に用いられる。すなわち、ラジカル重合性開始剤(E)は後述する水性樹脂組成物(α)の製造工程で用いられる成分であり、エチレン性不飽和単量体(a)の重合後は、除去してもよいが、本発明の目的を達成できる限りで水性樹脂組成物(α)中に残っていてもよい。ラジカル重合開始剤(E)は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。ラジカル重合開始剤(E)として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、などの過硫酸塩、過酸化水素、アゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。中でも、過硫酸塩や有機過酸化物が好ましい。

ラジカル重合開始剤(E)の添加量は、エチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。重合時のポリマー転化率を高くすることができるためである。ラジカル重合開始剤(E)の添加量は、エチレン性不飽和単量体(a)100質量部に対して3.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以下であることがさらに好ましい。樹脂成分(A)の分子量が十分高くなり、電解液に対する膨潤率を下げることができるためである。

また、本実施形態においては、必要に応じて、乳化重合の際にラジカル重合開始剤と、重亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とを併用して、レドックス重合してもよい。

<4.水性樹脂組成物(α)の製造方法> 水性樹脂組成物(α)を製造する方法としては、エチレン性不飽和単量体(a)を含む組成物において、ラジカル重合開始剤(E)を用いてエチレン性不飽和単量体(a)を重合する工程を含む方法が挙げられる。エチレン性不飽和単量体(a)の重合方法としては、水性媒質(B)中での乳化重合が好ましく、例えば、乳化重合に使用する成分を全て一括して仕込んで乳化重合する方法、乳化重合に使用する各成分を連続供給しながら乳化重合する方法等が適用される。乳化重合は、30〜90℃の温度で攪拌しながら行うことが好ましい。

エチレン性不飽和単量体(a)に含まれる各成分(a1)〜(a5)、及び他の単量体(b)の含有率は、樹脂成分(A)に含まれる各構造単位の含有率となるように添加する。また、水性媒質(B)及び界面活性剤(C)の添加量についても、水性樹脂組成物(α)におけるこれらの成分の含有率に基づいて添加量を決定する。

<5.非水系電池セパレータ用スラリー> 次に、本実施形態の非水系電池セパレータ用スラリー(以下、「セパレータ用スラリー」とする場合がある。)について詳述する。

<5−1.セパレータ用スラリーの成分> 本実施形態のセパレータ用スラリーは、水性樹脂組成物(α)と非導電性粒子(β)とを含み、好ましくは増粘剤(γ)を含む。

セパレータ用スラリーに含まれる水性樹脂組成物(α)の量は、後述する不揮発分換算で、非導電性粒子(β)100質量部に対して0.12質量部以上であることが好ましく、0.23質量部以上であることがより好ましく、0.35質量部以上であることがさらに好ましい。セパレータ用スラリーを塗布乾燥後の非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との結着性に優れ、かつ耐久性に優れるセパレータを得ることができるためである。セパレータ用スラリーに含まれる水性樹脂組成物(α)の量は、不揮発分換算で、非導電性粒子(β)100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。リチウムイオン透過性に優れるセパレータを得ることができ、内部抵抗の低い電池を得ることができるためである。。セパレータ用スラリーに含まれるセパレータ用バインダーの量は、セパレータ用スラリー作製の際に添加される水性樹脂組成物(α)の量によって調整される。

非導電性粒子(β)としては、無機粒子、有機粒子を使用することができる。無機粒子としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタン、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ふっ化カルシウム、ふっ化バリウム、ジルコニア、シリカ、ゼオライト、カオリン、ベーマイト、などを挙げることができる。有機粒子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル系、フェノール系などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。

セパレータ用スラリーは増粘剤(γ)を含むことができる。増粘剤(γ)としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、または、これらのアンモニウム及びアルカリ金属塩、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、等が挙げられる。また、増粘剤(γ)も、樹脂成分(A)のように非導電性粒子(β)間、及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との間での結着力の付与に寄与してもよい。

セパレータ用スラリーに含まれる増粘剤(γ)の量は、非導電性粒子(β)100質量部に対して0.15〜10質量部であることが好ましく、0.26〜7.5質量部であることがより好ましく、0.37〜5.0質量部であることがさらに好ましい。増粘剤(γ)により、セパレータ用スラリーのセパレータ基材131への塗工性が良好なものとなるとともに、セパレータ用スラリーの乾燥後、非導電性粒子(β)同士及び非導電性粒子(β)とセパレータ基材131との結着性がより一層優れたものとなるためである。

<5−2.セパレータ用スラリーの不揮発分及び粘度> セパレータ用スラリーの不揮発分は、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。セパレータ用スラリーの粘度は、好ましくは500〜20000 mPa・sであり、より好ましくは1000〜20000mPa・s、さらに好ましくは2000〜20000mPa・sである。セパレータ基材131への塗布性が良好で、セパレータ13の生産性に優れるためである。

セパレータ用スラリーの不揮発分は、分散媒の量により調整する。またセパレータ用スラリーの粘度は、分散媒の量及び/または増粘剤(γ)の量により調整する。セパレータ用スラリーの粘度及び不揮発分の調整に使用される分散媒は、水性樹脂組成物(α)に含まれる水性媒質(B)と同じものであることが好ましいが、異なるものを添加してもよい。

<5−3.セパレータ用スラリーの調製方法> 本実施形態のセパレータ用スラリーを調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、水性樹脂組成物(α)と、非導電性粒子(β)と、必要に応じて含有される増粘剤(γ)と、分散媒とを、攪拌式、回転式、または振とう式などの混合装置を使用して混合する方法が挙げられる。電池の耐久性、サイクル特性の観点から、スラリーのpHは、2〜10であることが好ましく、より好ましくはpH4〜9であり、さらに好ましくはpH6〜9である。

以下、本発明の実施例及び比較例を示して説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。

<1.評価方法> 実施例で得られた水性樹脂組成物(α)及び比較例で得られた水性樹脂組成物(cα)の評価を以下の方法により行った。以下の説明において、実施例で得られた水性樹脂組成物(α)及び比較例で得られた水性樹脂組成物(cα)のそれぞれを言う場合、単に組成物とすることもある。

<1−1.不揮発分> 直径5cmのアルミ皿に組成物を1g秤量し、105℃で1時間乾燥させ、残分を秤量し、以下の式により算出した。 (数1) 不揮発分(%)=100×(乾燥後の組成物の質量)/(乾燥前の組成物の質量)

<1−2.粘度> ブルックフィールド型(B型)回転粘度計を用いて、液温23℃、回転数10rpm、No.2またはNo.3ローターにて組成物の粘度を測定した。

<1−3.pH> pH計(東亜ディーケーケ−、HM−30G)を用いて組成物のpHを測定した。

<1−4.バインダーの基材密着力> セパレータ基材であるポリエチレンフィルムに、組成物を2MILアプリケータで塗布し、60℃、10分加熱乾燥後、ステンレス製の板に両面テープを用いて貼り付け、23℃、50%RH下で24時間放置し、試験体とした。密着力試験は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6)で実施した。2mm間隔で縦・横6本を治具に沿ってカッターで傷を入れ、25個の正方形を作りセロテープ(登録商標)を上から貼った後すぐに剥がし、皮膜層が25個中何個剥がれるかを数え、密着力を評価した。目視で確認し、剥がれが6個以上ある場合を×、5個以下の場合を○と判断した。

<1−5.バインダーの膨潤率> 得られた組成物を23℃、50%RH下で7日間乾燥させた後、60℃で、12h真空乾燥し、乾燥皮膜を作製した。乾燥皮膜をプロピレンカーボネート/ジエチルカーボネート(質量比で1:1)電解液溶媒に60℃で、12日浸漬させ、溶媒から皮膜を取り出し、溶媒から取り出した直後の皮膜の質量を測定した。ここで測定された質量をM1とする。次に、溶媒から取り出された皮膜を60℃で、12h真空乾燥させ、乾燥後の皮膜の質量を測定した。ここで測定された皮膜の質量をM2とする。電解液溶媒に対するバインダーの膨潤率を以下の式により求めた。 (数2) 膨潤率(質量%)=(M1−M2)/M2×100

<2.実施例> <2−1.実施例1> アクリル酸2−エチルヘキシル(a1−1)220質量部と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(a1−3)10質量部と、スチレン(a2)250質量部と、アクリル酸(a3−1)(80質量%)15質量部(溶媒を除く量12質量部)と、ジビニルベンゼン(a4−1)1.5質量部と、エレミノールJS−20(a5−1)10質量部と、イオン交換水(B−1)395質量部と、ハイテノール08E(C−1)(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、第一工業製薬株式会社製)2質量部とからなるモノマー乳化物を作製した。

過硫酸カリウム(E−1)2質量部をイオン交換水(B−1)50質量部に溶解したものを開始剤水溶液として作製した。

冷却管、温度計、攪拌機、滴下ロートを有するセパラブルフラスコに、イオン交換水(B−1)160質量部及びエレミノールJS−20(a5−1)(三洋化成工業株式会社製、式(4)の構造式からなる化合物、40質量%)2質量部を仕込み、80℃に昇温した。次に、このセパラブルフラスコ中に、モノマー乳化物と開始剤水溶液とを同時に、3時間かけて、セパラブルフラスコ内の反応液を80℃に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を攪拌しながら、80℃で2時間保持した。その後、反応液を冷却し、アンモニア水(25質量%)(D−1)4.5質量部を添加して水性樹脂組成物(α−1)を得た。得られた水性樹脂組成物(α−1)の不揮発分は45.5質量%、粘度は3000mPa・s、pHは6.5であった。

<2−2.実施例2〜7及び比較例1〜4> 表1の配合に変更した以外は、実施例1と同様にして水性樹脂組成物(α−2)〜(α−7)及び水性樹脂組成物(cα−1)〜(cα−4)を得た。

<3.実施例及び比較例の評価結果> 表2から、実施例1〜7にかかる水性樹脂組成物(α)を用いて作製したバインダー層は、いずれもセパレータ基材に対する密着性が良好であり、電解液溶媒に対する膨潤率が低かった。

一方、樹脂成分(A)中のスチレン(a2)由来の構造単位の含有率が低い比較例1にかかる組成物を用いて作製したバインダー層は、セパレータ基材への密着力が不十分であった。逆に、樹脂成分(A)中のスチレン(a2)由来の構造単位の含有率が高い比較例2にかかる組成物を用いて作製したバインダー層は、セパレータ基材への密着力が不十分であるだけでなく、電解液溶媒に対する膨潤率も高かった。

また、樹脂成分(A)にカルボン酸単量体(a3)由来の構造単位を含まない比較例3にかかる組成物を用いて作製したバインダー層は、セパレータ基材への密着力が不十分であった。樹脂成分(A)に内部架橋剤(a4)由来の構造単位を含まない比較例4にかかる組成物を用いて作製したバインダー層は、セパレータ基材への密着力が不十分であるだけでなく、電解液溶媒に対する膨潤率も高かった。

以上のことから、樹脂成分(A)を含む非水系電池セパレータ用バインダーであって、樹脂成分(A)は、エチレン性不飽和単量体(a)由来の構造単位を含み、エチレン性不飽和単量体(a)は、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸のエステルであるカルボン酸エステル単量体(a1)と、スチレン(a2)と、エチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸であるカルボン酸単量体(a3)と、2個以上のエチレン性不飽和結合を含む化合物、及び/または少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤からなる内部架橋剤(a4)と、を含み、樹脂成分(A)は、スチレン(a2)由来の構造単位の含有率が15〜70質量%、カルボン酸単量体(a3)由来の構造単位の含有率が1〜10質量%、内部架橋剤(a4)由来の構造単位の含有率が0.1〜5質量%である非水系電池用セパレータ用バインダーによれば、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい非水系電池セパレータ用バインダー、そのための水性樹脂組成物及びスラリーが得られることがわかる。

また、上記バインダーによれば、基材への密着力が良好かつ電解液に対して膨潤しにくい耐熱層を有する非水系電池セパレータ、並びに非水系電池が得られることがわかる。

1:リチウムイオン二次電池 11:正極 111:正極活物質層 112:正極集電体 12:負極 121:負極活物質層 122:負極集電体 13:セパレータ 131:セパレータ基材 132:耐熱層 14:電解液 15:外装体 16:正極リード 17:負極リード

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈