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呼吸器系疾患の治療に有用な置換ベンズイミダゾリウム化合物

阅读:363发布:2020-05-08

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式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩。 (式中、 R1及びR2は独立してC1-C6アルキルから選択され、C1-C6アルキルは、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ又はC3-C7シクロアルキルで置換されていてもよく、 Xは、Cl又はBrであり、 Z-は、クロリド、ブロミド、ヨージド、酸化物イオン、硫酸水素イオン、サルフェート、ニトレート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテート、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、マンデレート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートであるか、或は、 式(I)で表される残りの化合物が負に帯電した置換基R3又はR4を少なくとも1つ有する場合は、Z-が存在しない場合もあり、 R3又はR4の1つが、以下から選択される置換基-CH2-C(O)NRaRbから独立して選択され、 は結合の位置を示す) 残りの置換基R3又はR4が、H、F、C1-C6-アルコキシ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ、C1-C6アルキルアミノカルボニル、C1-C6アルキルアミノカルボニルメトキシ、ジ(C1-C6アルキル)アミノカルボニル及びN-モルホリノから選択される。)R1及びR2が、メチル、エチル、n-プロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、シクロプロピルメチル及びシクロヘキシルメチルから独立して選択される、請求項1記載の式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩。Z-がクロリド、ヨージド、ホルメート又はトリフルオロアセテートであるか、或は、式(I)の残りの化合物が負に帯電した置換基R3又はR4を有する場合はZ-が存在しない場合もある、請求項1又は2記載の式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩。残りの置換基R3又はR4が、H、F、エトキシ、n-ペンチルオキシ、ジメチルアミノ、エチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメトキシ、n-ヘキシル(メチル)アミノカルボニル及びN-モルホリノから選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩。請求項1〜4のいずれか1項記載の式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩を含み、医薬的に許容される担体を含んでいてもよい、医薬組成物。呼吸器系疾患又は病訴及び気道のアレルギー性疾患から選択される疾患の治療に使用するための、請求項5記載の医薬組成物。慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌もしくはウイルス感染又は菌類もしくは蠕虫を原因とする気管支炎、アレルギー性気管支炎、中毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎 (COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、小児喘息、気管支拡張症、アレルギー性胞炎、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、嚢胞性線維症もしくは膵線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺気腫、間質性肺疾患、肺胞炎、過敏性気道、鼻ポリープ、肺水腫、多様な原因の肺臓炎、ドライアイから選択される疾患の治療に使用するための、請求項5記載の医薬組成物。更なる有効成分として、ENaC阻害剤、ベータ受容体刺激薬、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、LTD4-拮抗剤、EGFR-抑制剤、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン剤、PAF-拮抗剤、MAP-キナーゼ抑制剤、MPR4-抑制剤、iNOS-抑制剤、SYK-抑制剤、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)矯正薬及びCFTR賦活薬の分類から選択される1種以上の化合物、或はそれらの2つ又は3つの組合せを含む、請求項5〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。

说明书全文

(発明の分野) 本発明は、トポロジカル極性表面積値(TPSA)が少なくとも145であることを特徴とする式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩、式(I)の化合物の医薬としての使用、式(I)の化合物の少なくとも1種を含む医薬組成物、並びに式(I)の化合物の1種以上を含む医薬製剤(medicament combinations)に関するもので、

式中、R1、R2、R3、R4、X及びZ-は、本願明細書に記載の定義の一つを有する。

(発明の背景) WO2011079087には、上皮ナトリウムチャネル(ENaC)阻害活性を示す同様な構造の化合物が開示されている。

本発明の課題は、上皮ナトリウムチャネルの遮断により治療可能な病態生理的過程の治療、とりわけ及び気道の治療に効果的に使用することができる新規な化合物を調製することである。

本発明の新規な化合物は、肺の局部治療において、その効果がより長く続く。更に本発明の新規な化合物は、透過性の低減が肺の局部治療に有利であることを示す。

(発明の詳細な説明) 本発明は、式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩に関するもので、

式中、 R1及びR2は独立してC1-C6アルキルから選択され、C1-C6アルキルは、ヒドロキシ、C1-C4アルコキシ又はC3-C7シクロアルキルで置換されていてもよく、 Xは、Cl又はBrであり、 Z-は、クロリド、ブロミド、ヨージド、酸化物イオン、硫酸水素イオン、サルフェート、ニトレート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテート、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、マンデレート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートであるか、或は、 式(I)で表される残りの化合物が負に帯電した置換基R3又はR4を少なくとも1つ有する場合は、Z-が存在しない場合もあり、 R3又はR4の少なくとも1つは、置換基-C(O)NRaRb、-CH2-C(O)NRaRb又は-O-CH2-C(O)NRaRbから独立して選択され、前記式中、

Raは、水素、メチル、エチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルであり、 Rbは、C1-C2-アルコキシ-C2-C3-アルキル、アミノ-C2-C3-アルキル、4-ピペリジニル、1-アセチル-4-ピペリジニル、ジメチルアミノ-C2-C3-アルキル、(3-ヒドロキシ-1-ピリジニリウム)-C2-C3-アルキル、アセチルアミノ-C2-C3-アルキル、1-(C1-C6アルキル)-4-ピペリジニル、1-(C1-C4アルコキシ-カルボニル)-4-ピペリジニル、C1-C3-アルキルスルホニルアミノ-(C2-C3-アルキル)、3-ヒドロキシ-5-ピリジル、1-(エチルアミノカルボニルメチル)-4-ピペリジニル、3-ベンジルオキシ-5-ピリジル、3-ヒドロキシ-6-メチル-2-ピリジルメチル及び3-ヒドロキシ-2-ピリジルメチル-から選択されるか、或は、 Ra及びRbは、結合している窒素原子と一緒になって、1-(2-ピリジル)-4-ピペラジニル、1-(C1-C4アルコキシカルボニル)-4-ピペラジニル、1-(1-モルホリニル-カルボニル)-4-ピペラジニル、1-(2-ピリジルアセチル)-4-ピペラジニル、1-(3-ヒドロキシ-5-ピリジルカルボニル)-4-ピペラジニル及び1-アセチル-4-ピペラジニルから選択される基を形成するか、 或は、 R3又はR4の少なくとも1つが、ヒドロキシカルボニル、(ヒドロキシカルボニル)メトキシ、N-モルホリニルカルボニル、3,4-ジヒドロキシピロリジン-1-イル、4-ヒドロキシテトラヒドロフル-3-イルオキシ、t-ブトキシカルボニルメトキシ、(3-ヒドロキシ-1-ピリジニリウム)-C2-C3-アルコキシ、(CH3)3N+-(CH2)3-P(O)(O-)-O-(CH2)2-O-、(C1-C5-アルキルカルボニル)((CH3)2P(O)CH2)N-(CH2)2-O-、1-ピペラジニルカルボニル-(CH2)m-、又は、1-メチル-4-ピペラジニル-カルボニル-(CH2)m-から独立して選択され、mは0、1又は2を表すか、或は、 R3又はR4の少なくとも1つが、下記置換基の一つから独立して選択され、

式中、

は結合の位置を示し、 残りの置換基R3又はR4が、更に、H、F、C1-C6-アルコキシ、ジ(C1-C6アルキル)アミノ、C1-C6アルキルアミノカルボニル、C1-C6アルキルアミノカルボニルメトキシ、ジ(C1-C6アルキル)アミノカルボニル及びN-モルホリノから選択されてもよく、 R3又はR4の1つが

である場合は、R1又はR2の少なくとも1つがC3-C7シクロアルキル-C1-C6アルキルであり、 R3又はR4の1つがN-モルホリノカルボニルである場合は、残りの置換基R3又はR4は、H、F又はC1-C6アルキルアミノカルボニルではなく、 R3又はR4の少なくとも1つが、H、ヒドロキシカルボニル、(ヒドロキシカルボニル)メトキシ及びt-ブトキシカルボニルメトキシではないことを前提とする。 本発明の式(I)の化合物は、トポロジカル極性表面積値(TPSA)が少なくとも145であることを特徴とする。本願明細書で使用の「トポロジカル極性表面積」という用語は、Ertl P.et al., J.Med.Chem, 43 (2000), 3714-3717に記載の方法で計算した値を指す。式(I)で表される好適な化合物は、通常TPSA値が145から250の範囲になる。 本発明は更に、医薬として使用するための、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩に関する。

本発明は更に、呼吸器系疾患又病気及び気道のアレルギー疾患から選択される疾患の治療に使用するための、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩に関する。 本発明は更に、慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌もしくはウイルス感染又は菌類もしくは蠕虫を原因とする気管支炎、アレルギー性気管支炎、中毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎 (COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、小児喘息、気管支拡張症、アレルギー性肺胞炎、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、嚢胞性線維症もしくは膵線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺気腫、間質性肺疾患、肺胞炎、過敏性気道、鼻ポリープ、肺水腫、多様な原因の肺臓炎、ドライアイから選択される疾病の治療に使用するための、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩に関する。 本発明は更に、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩の少なくとも1種と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。 本発明は更に、本願明細書に記載の式(I)の化合物又はその互変異性体もしくは医薬的に許容される酸付加塩が1種以上と、更なる有効成分として、ENaC阻害剤、ベータ受容体刺激薬(betamimetics)、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、LTD4-拮抗剤、EGFR-抑制剤、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン剤、PAF-拮抗剤、MAP-キナーゼ抑制剤、MPR4-抑制剤、iNOS-抑制剤、SYK-抑制剤、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)矯正薬及びCFTR賦活薬の分類から選択される1種以上の化合物、或はそれらの2つ又は3つの組合せを含む、医薬製剤に関する。

本願明細書に定義した式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩は、上皮ナトリウムチャネルの遮断により治療可能な病態生理的過程の治療、とりわけ肺及び気道の治療に特に好適である。 従って、本発明は更に、医薬として使用するための本願明細書記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。 本発明は更に、呼吸器系疾患又病気及び気道のアレルギー疾患から選択される疾患の治療に使用するための、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩に関する。 本発明は更に、慢性気管支炎、急性気管支炎、細菌もしくはウイルス感染又は菌類もしくは蠕虫を原因とする気管支炎、アレルギー性気管支炎、中毒性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎 (COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、小児喘息、気管支拡張症、アレルギー性肺胞炎、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、嚢胞性線維症もしくは膵線維症、α1-アンチトリプシン欠乏症、咳、肺気腫、間質性肺疾患、肺胞炎、過敏性気道、鼻ポリープ、肺水腫、多様な原因の肺臓炎、ドライアイから選択される疾病の治療に使用するための、とりわけ、慢性気管支炎、急性気管支炎、気管支炎、慢性閉塞性気管支炎 (COPD)、喘息(内因性又はアレルギー性)、嚢胞性線維症及び小児喘息から選択される疾病、更に好ましくは、慢性気管支炎、COPD及び嚢胞性線維症から選択される疾病の治療に使用するための、本願明細書に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩に関する。

本発明は更に、本願明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を少なくとも1種と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。 本発明は更に、本願明細書に記載の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩が1種以上と、更なる有効成分として、ENaC阻害剤、ベータ受容体刺激薬、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、LTD4-拮抗剤、EGFR-抑制剤、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン剤、PAF-拮抗剤、MAP-キナーゼ抑制剤、MPR4-抑制剤、iNOS-抑制剤、SYK-抑制剤、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)矯正薬及びCFTR賦活薬の分類から選択される1種以上の化合物、或はそれらの2つ又は3つの組合せを含む、医薬製剤に関する。 (用語と定義) 本願明細書において具体的に定義されていない用語については、当該分野の当業者が本開示及び文脈を鑑みて付与するであろう定義を付与することができる。しかしながら、異なる指定がない限り、明細書で使用のごとく、以下の用語は記載の意味を有し、下記の取り決めに添うものである。 下記に定義した基、ラジカル又は部位は、基の前に炭素数が記載されている場合が多い。例えば、C1-6-アルキルは炭素原子を1個から6個有するアルキル基又はラジカルを意味する。

HO、H2N、OS、O2S、NC(シアノ)、HOOC、F3C等の単一の基においては、一般に、基自体の自由原子価によって、当業者は分子へのラジカルの結合ポイントを認識することができる。2つ以上のサブグループを有する組合せの基の場合、末尾の用語がラジカル結合ポイントを指す。例えば、置換基「アリール-C1-3-アルキル」は、アリール基がC1-3-アルキル-基に結合し、アルキル基の方が該置換基が結合する基の核に結合している。 本発明の化合物が化学名と化学式で表され、何らかの不一致がある場合は、化学式が優先するものである。 以下の用語の多くは、化学式の定義又は基の定義に繰り返し用いられるが、それぞれの場合、記載の定義の一つを互いに独立して有する。 特に指定のない場合は、本発明によると、記載の化学式又は化学名は、互変異性体、すべての立体異性体、光学異性体及び幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等)、これらのラセミ化合物、並びに、別個のエナンチオマーを異なる割合で含む混合物、ジアステレオマーの混合物、前記異性体やエナンチオマーが存在する先に記載のいずれかの形態の混合物、並びに、医薬的に許容できる塩をはじめとする塩、及び、遊離化合物の溶媒和物又は化合物の塩の溶媒和物をはじめとする水和物等の溶媒和物を包含するものである。

本願明細書で使用の「置換された」という用語は、指示された原子についている1個以上の水素原子が、記載の基から選択されたものに置き換えられていることを意味するが、指示された原子の正常原子価がそれ以上にならないこと、及び、該置換によって化合物が安定することを前提としている。 本発明の範囲において、「任意に置換されていてもよい」という用語は、上記の基が任意で低分子量の基で置換されていてもよいことを意味する。化学的に意味があると考えられる低分子量の基の例としては、原子数1〜200個の基が挙げられる。このような基は薬理学的に化合物に何ら悪い影響を与えないことが好ましい。このような基としては、例えば、直鎖又は分岐の炭素鎖であって、ヘテロ原子の割り込みがあってもよく、或は、環、ヘテロ原子又は他の一般的な官能基で置換されていてもよい基が挙げられる。 本願明細書で使用の「予防」「予防処置」「予防的治療」という表現はすべて同義と解されるもので、本願明細書記載の病気を発現する危険性を低減することを意味すると解され、とりわけ該病気又は相当する既往歴について危険性が高い患者、例えば、糖尿病又は肥満等の代謝疾患或は本願明細書記載の別の疾病の危険性が高い患者において、危険性を低減することを意味すると解される。従って、本願明細書記載の「疾病の予防」という表現は、疾病の臨床的発症の前に疾病が発現する危険性がある個体の管理及び看護を意味する。予防の目的は、疾病、病気又は障害の発現と戦うことであり、有効な化合物を投与して徴候又は余病の始まりを予防又は遅らせたり、関連した疾患、病気又は障害の発現を予防又は遅らせることを含む。予防治療の成功は、該病気の危険がある患者集団において、何も予防治療をしなかった同等の患者集団と比べ、その病気の罹病率が統計的に低下することで示される。

「処置」「治療」という表現は、前記病気の一種以上が明白な状態又は急性もしくは慢性の状態で既に発現している患者の治療的な処置を意味し、症状及びその重篤度に応じて、特定の適応症の徴候を軽減するための症状に基づく治療、又は、病気を逆行もしくは部分的に逆行させるため、もしくは可能な限り徴候の進行を遅らせるための一時的な治療を含む。本願明細書で使用する「疾病の治療」という表現は、疾患、病気又は障害を発現している患者の管理及び看護を意味する。治療の目的は、疾病、病気又は障害と戦うことである。治療には、有効な化合物を投与して疾病、病気又は障害を除去又は制御し、該疾病、病気又は障害に関連した徴候又は余病を緩和することを含む。 本願明細書で、「医薬的に許容できる」というフレーズは、適切な医学的判断の範囲において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題もしくは余病の合併を起こすことなく、ヒトや動物の組織との接触に使用するのに適し、かつ、かなりのベネフィット/リスク比に相応する化合物、材料、組成物及び/又は製剤を言及する際に用いる。

本願明細書で使用のごとく、「医薬的に許容できる塩」とは、親化合物を酸性又は塩基性塩に改質した、開示化合物の誘導体を指す。医薬的に許容できる塩の例は限定されないが、アミン等の塩基性残基の無機又は有機の酸性塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩等が挙げられる。そのような塩としては、アンモニア、L-アルギニン、ベタイン、ベネタミン(benethamine)、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン(2,2’-イミノビス(エタノール))、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、2-アミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リシン、水酸化マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリス(エタノール))、トロメタミン、水酸化亜鉛、酢酸、2.2-ジクロロ-酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-アセトアミド-安息香酸、(+)-ショウノウ酸、(+)-カンファー-10-スルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、デカン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリシン、グリコール酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、リシン、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ガラクタル酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オクタン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(エンボン酸)、リン酸、プロピオン酸、(-)-L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸からの塩が挙げられる。別の薬学的に許容できる塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属由来のカチオンで生成することができる(Pharmaceutical salts, Berge, S.M. et al., J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19参照)。

本発明の薬学的に許容できる塩は、カチオン系の基を含み、更に任意で付加的な塩基性又は酸性部位を含んでいてもよい親化合物から、従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、このような塩の調製は、水中又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル或はこれらの混合物といった有機希釈剤中で、化合物の他の塩の形態を十分な量の相応しい塩基又は酸と反応させればよい。更に、対イオンはイオン交換クロマトグラフィーで通常交換することができる。 例えば、本発明の化合物の精製又は単離に有用な上記以外の酸による塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)も、本発明の一部である。 用語「C1-n-アルキル」は、nが1〜nの整数で、単独または別のラジカルと一緒になって、1〜n個の炭素原子を有する非環式の分枝状又は線状飽和炭化水素ラジカルを意味する。例えば、C1-5-アルキルという用語は、H3C-、H3C-CH2-、H3C-CH2-CH2-、H3C-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH(CH3)-CH2-、H3C-C(CH3)2-、H3C-CH2-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH(CH3)-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH2-CH2-、H3C-CH2-C(CH3)2-、H3C-C(CH3)2-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH(CH3)-及びH3C-CH2-CH(CH2CH3)-のラジカルを包含する。 用語「C1-n-アルキレン」は、nが2からnまでの整数で、単独または別のラジカルと一緒になって、1〜n個の炭素原子を有する非環式の直鎖又は分枝状の2価のアルキルラジカルを意味する。例えば、C1-4-アルキレンという用語は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-C(CH3)2-、-CH(CH2CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-C(CH3)2-、-C(CH3)2-CH2-、-CH(CH3)-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-CH(CH2CH3)-CH2-、-CH(CH2CH2CH3)-、-CH(CH(CH3))2-及び-C(CH3)(CH2CH3)-を含む。

用語「C1-6-アルコキシ」(他の基の一部となるものも含む)は、炭素原子1〜6個の分岐及び分岐していないアルコキシ基を意味する。用語「C1-4-アルコキシ」は、炭素原子1〜4個の分岐及び分岐していないアルコキシ基を意味する。炭素原子1〜4個のアルコキシ基が好ましい。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシが挙げられる。前記の基に対して、略語OMe、OEt、OPr等を任意で使う場合がある。特に記載のない限り、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシの定義には、それぞれの基の存在しうる異性体の形態がすべて含まれる。例えば、プロポキシにはn-プロポキシとiso-プロポキシ、ブトキシにはiso-ブトキシ、sec-ブトキシ及びt-ブトキシ等が含まれる。 用語「C3-n-シクロアルキル」は、nが4〜nまでの整数であり、単独か他のラジカルと一緒になって、炭素原子3〜n個の分岐なしの環状飽和炭化水素ラジカルを示す。例えば、用語C3-7-シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが含まれる。 構造とその名前との間で矛盾がある場合は、いずれも化学式が優先するものである。

(好適な実施形態) 本発明の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、式(I)中、少なくともR3又はR4のいずれか一方が、置換基-C(O)NRaRbから独立して選択され、

から選択され、 式中、 は結合ポイントを示す化合物に関する。 本発明の別の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、式(I)中、少なくともR3又はR4のいずれか一方が、置換基-CH2-C(O)NRaRbから独立して選択され、

から選択され、 式中、

が結合ポイントを示す化合物に関する。 本発明の別の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、式(I)中、少なくともR3又はR4のいずれか一方が、置換基-O-CH2-C(O)NRaRbから独立して選択され、

から選択され、 式中、

が結合ポイントを示す化合物に関する。 本発明の別の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、R3又はR4が、(3-ヒドロキシ-1-ピリジニリウム)エトキシ、2-(N-(ジメチルホスフィノイルメチル)-N-(3-メチルブタノイル)アミノ)エチルオキシ、2-(N-(ジメチルホスフィノイルメチル)-N-(ヘキサノイル)アミノ)エチルオキシ、ピペラジン-1-イルカルボニル及び1-メチルピペラジン-4-イル-カルボニル-(CH2)-から選択される化合物に関する。 本発明の別の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、残りの置換基R3又はR4が、H、F、エトキシ、n-ペンチルオキシ、ジメチルアミノ、エチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメトキシ、n-ヘキシル(メチル)アミノカルボニル及びN-モルホリノから選択される化合物に関する。

本発明の別の特定な実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、R1及びR2がメチル、エチル、n-プロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、シクロプロピルメチル及びシクロヘキシルメチルから独立して選択される化合物に関する。 本発明は、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、Z-がクロリド、ブロミド、ヨージド、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、サルフェート、ニトレート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテート、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、マンデレート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートであるか、或は、 式(I)の残りの化合物が負に帯電した置換基R3又はR4を少なくとも1つ有する場合は、Z-は存在しなくてもよい化合物に関する。Z-が、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネートのように1個より多い負電荷を有するアニオンから選択される場合、Z-は該アニオンの一価に相当する部位を表してもよい。或は、Z-は、それぞれハイドロジェンフマレート(hydrogenfumarate)、ハイドロジェンシトレート(hydrogencitrate)、ジハイドロジェンシトレート(dihydrogencitrate)、ハイドロジェンタルトレート(hydrogentartrate)等のように、部分的にプロトンを付加した形態を表してもよい。更に、この文脈において、用語「負に帯電した置換基R3又はR4」は、中性のpH値においてかなりの割合で脱プロトン化した形態で存在する置換基、即ち、pKa値が9以下の置換基、例えばカルボキシル基又は酸性ヒドロキシル置換基を有する置換基を含むことを意味する。

本発明の特定の実施形態の一つは、本願明細書に定義した式(I)の化合物、又はその互変異性体もしくは医薬的に許容できる酸付加塩であって、Z-がクロリド、ヨージド、ホルメート又はトリフルオロアセテートであるか、或は、式(I)の残りの化合物が負に帯電した置換基R3又はR4を有する場合は、Z-は存在しなくてもよい。 前記で定義した置換基はいずれも前記で定義した他の置換基と組み合わせてもよい。式(I)の化合物又はその医薬的に許容できる塩であって、本願明細書で定義した置換基のうち、少なくとも2個、3個、4個、5個又は6個が、前記定義の特定の定義又は好適な定義の一つを有する化合物がとりわけ好ましい。 調製 一般式(I)の化合物を調製するには、下記の方法が好適である。 本発明の化合物は、当該分野の当業者には公知であり、有機合成の文献に記載がある合成方法を用いて得ることができる。官能基の保護及び脱保護のための一般的な方法については、例えば、Greene, T.W.and Wuts, P.G.M.(eds.): Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、1999、John Wiley and Sons社に記載がある。さらに詳しく本願明細書では説明しているが、とりわけ実験のセクションに記載の調製方法と同様にして化合物を得ることが好ましい。

一般式(I)の化合物は、一般式(II)のアミンと適切な3,5-ジアミノピラジン-2-カルボン酸から標準的なアミド生成工程により、例えば、カップリング試薬HATUを添加して調製することができる。アミン(II)は、一般式(III)のN-保護前駆体から標準的な脱保護工程により調製することができる。(III)における好適な保護基は、例えば、BOC(この場合、RPGが、t-BuOC(O)-を示すPGを有する-NHPGを指す)やフタロイル(この場合、RPGがフタルイミドを示す)が挙げられる。化合物(III)は、アルキル化剤R1-LGを加えて、一般式(IIIa)のベンズイミダゾールのアルキル化により調製することができる。残基LGは、例えばBr又はIになる。 或は、式(I)の化合物は、アルキル化剤R1-LGを使って、一般式(Ia)のベンズイミダゾールをアルキル化することにより調製する。残基LGは、例えばBr又はIになる。一般式(Ia)の化合物は、一般式(IIa)のアミンと適切な3,5-ジアミノピラジン-2-カルボン酸から標準的なアミド生成工程により、例えば、カップリング試薬HATUを添加して調製することができる。アミン(IIa)は、一般式(IIIa)のN-保護前駆体から標準的な脱保護工程により調製することができる。(IIIa)における好適な保護基は、例えば、BOC(この場合、RPGが、t-BuOC(O)-を示すPGを有する-NHPGを指す)やフタロイル(この場合、RPGがフタルイミドを示す)が挙げられる。

ベンズイミダゾール(IIIa)は、フェニレンジアミン(IV)から二段階工程で、即ち、(i)例えばカップリング試薬TBTUを使って、N-保護グリシンでアミド生成する、(ii)例えば氷酢酸中、高温で酸触媒下で閉環することにより調製することができる。 フェニレンジアミンは、標準的なニトロ還元条件(例えば、ラネーニッケルを触媒とした接触水素添加)により、それぞれのニトロアニリン(V)から調製することができる。 化合物(V)は、求核試薬である第一アミンR2-NH2での残基LG(例えばF又はCl)の求核性置換により、誘導体(VI)から調製することができる。或は、化合物(V)は、芳香族アミノ基のアルキル化(アルキル化剤R2-LGを使用) 又は還元性アミノ化(適切なアルデヒドを使用)のいずれかにより、ニトロアニリン(Va)から利用することができる。 化合物(I)、(Ia)、(III)、(IIIa)及び(V)は、当該分野の当業者に公知であり、有機合成の文献に記載された合成方法を用いて、好ましくは、官能基の保護又は脱保護工程、エステル化、アミド生成、水素添加、又は1,3-双極子環付加により修正してもよい。そのため、このような修正の前は、R1、R2、R3及びR4の構造が本願明細書の後述のクレームの範囲を超えることがある。 当業者であれば、これらの一般的な合成スキームの範囲内で、置換基R1及びR2が原則として交換可能であり、アルキル化剤R2-LGを使って、R1にかわってR2を後のアルキル化に導入してもよいことは理解できよう。

式(I)の化合物は、本願明細書の後述で定義している通り、アニオンZ-を含む塩である。これらのアニオンZ-は、合成又は精製により誘導したり、当該分野の当業者に公知方法で、あるアニオン種から別の好適なアニオン種に変えることもできる。このような方法の例として、例えば、イオン交換樹脂を用いたイオン交換、又は、酸の対イオンを別の酸、通常はそれよりも強い酸を使って塩から置換する方法が挙げられる。例えば、本願明細書の前述で定義したように、Z-がCF3COO-の式(I)の化合物を、水、メタノール又はジエチルエーテル等の好適な溶媒中でHClと処理すると、本願明細書の前述で定義したように、式1の化合物でZ-がCl-となる化合物が得られる。 本願明細書の前述で定義したように、式(I)の化合物の中には、無機又は有機の酸及び塩基によって更に塩に変換することができる基を含む場合があり、医薬的な使用のために特に医薬的に許容できる塩に変換することができる基を含んでいるものがある。この目的のために使用できる酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。対応の方法は当業者には公知である。

更に、1つ以上の立体異性体が存在する場合、一般式(I)の化合物又は一般式(I)の化合物の合成における中間体は、混合物として得た後に立体異性体、例えばエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割してもよい。例えば、シス/トランス混合物は、シス体及びトランス体の異性体に分割、ラセミ化合物はそのエナンチオマー類に分離すればよい。 例えば、シス/トランス混合物はクロマトグラフィーによりシス体及びトランス体の異性体に分割すればよい。一般式(I)の化合物又は一般式(I)の化合物の合成における中間体は、ラセミ体として存在するが、それ自体が公知の方法(Allinger N.L.and Eliel E.L.in "Topics in Stereochemistry", Vol.6, Wiley Interscience, 1971参照)により、光学鏡像異性体に分割することができ、また、少なくとも2つの不斉炭素原子を有する一般式1の化合物又は一般式(I)の化合物の合成における中間体は、物理化学的差異を基に公知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶によりジアステレオマーに分割すればよい。これらの化合物がラセミ体で得られる場合は、引き続き、前記のごとくエナンチオマーに分割すればよい。

ラセミ体は、キラル相のカラムクロマトグラフィー、又は光学活性溶媒からの結晶、又はラセミ化合物と一緒になってエステル又はアミド等の塩又は誘導体を形成する光学活性物質と反応させることによって分割することが好ましい。塩基化合物の場合は、鏡像異性的に純粋な酸によって塩を形成し、酸化合物の場合は、鏡像異性的に純粋な塩基によって塩を形成すればよい。ジアステレオマーの誘導体は、例えば、酸、酸を活性化した誘導体又はアルコール等の鏡像異性的に純粋な補助化合物を使って形成する。こうして得られた塩又は誘導体のジアステレオマー混合物は、異なる物理化学的特性、例えば、溶解度の差等を利用して分離することができ、遊離した鏡像異性体は、好適な化学物質の働きによって純粋なジアステレオマーの塩又は誘導体から分離させることができる。このような目的に一般的に使用される光学的に活性な酸としては、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトロイル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、ショウノウスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD-体及びL-体が挙げられる。補助残基として適用できる光学活性アルコールとしては、例えば、(+)又は(-)メントール、またアミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)又は(-)メチルオキシカルボニルが挙げられる。

本発明の物質は、公知の方法で、例えば減圧下での溶媒からの留去、適切な溶媒から得られた残渣の再結晶、最適な保持体によるカラムクロマトグラフィーなどの通常の精製方法のいずれかに供することで単離、精製を行う。 本発明の化合物は、以下の実施例に記載した方法を用いて有利に得ることができる。また、本目的のために当業者の専門的な知識からの公知方法と実施例記載の方法とを組み合わせてもよい。同様に、以下の実施例には本発明による更なる化合物は明確に記載されていないが、それらも実施例と同様に調製することができる。

(実施例) 以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を説明するものである。 以下に示す更に詳細な実施例は、一例をあげて本発明の本質を説明するものであり、これによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるものである。 化合物の塩の形態が何も特定されていない場合は、該化合物が、その化学構造、合成の条件、ワークアップ及び精製の工程に応じて、遊離塩基又は塩又は双極性イオンとして存在することがある。当業者であれば、該化合物が特定の塩の形態には限定されないことが理解されよう。化合物の塩の形態が特定されている場合、通常、対イオンの化学量論は省略する。多荷電カウンターイオン(multiply charged counterions)の場合、当業者であれば、得られた塩は荷電されていないので、相応の化学量論となることが理解されよう。当業者であれば、本化合物が単塩(mono salt)に限定されることなく、二塩(disalt)、三塩(trisalt)又は他の化合物として存在する可能性があること、即ち、対イオンの化学量論(counterion stoichiometries)を理解できるであろう。更に、当業者であれば、適用した合成の条件、並びにワークアップ及び精製の工程に応じて、該化合物が予想外に異なる対イオンを有する塩として存在する可能性があることも理解されよう。単に収量を求めるために、対イオン及び化合物の特性の評価(即ち、対イオンの化学量論)を行っている(記載の式に示す)。

中間体の合成 中間体A.1: 3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸

A.1

3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸メチル(100g;494mmol)、メタノール(1l)及びNaOH(6mol/水1l;240ml;1.44mol)の混合物を3時間還流させる。混合物を室温に放冷し、塩酸(6mol/水1l;約240mL)を加えて中和させる。水(200ml)を添加する。形成された沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄して60℃で乾燥する。 C5H5ClN4O2ESI 質量スペクトル:m/z = 189 [M+H]+; m/z = 187 [M-H]- 中間体A.2: 3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸

A.2

A.2は、3,5-ジアミノ-6-ブロモピラジン-2-カルボン酸メチル(J.Med.Chem.10 (1967) 66-75に記載のごとく、3,5-ジアミノ-6-クロロピラジン-2-カルボン酸メチルから調製)から、中間体A.1の合成に記載の手順と同様にして調製する。 中間体B.1

B.1

工程1: t-ブタノール(21.0ml;226mmol)と5-メチルイソキサゾール(18.0ml;221mmol)との混合物を氷浴で冷却する。引き続き冷却しながらトリフルオロメタンスルホン酸(20.0ml;221mmol)を滴下する。得られた混合物を冷却せずに1時間撹拌する。 工程2: 中間体A.1(14.0g;74.2mmol)とトリエチルアミン(31.0ml;222mmol)とを含むDMF(1400ml)の溶液又は懸濁液に、工程1で調製した混合物を添加する。得られた混合物を室温で4時間撹拌する。撹拌しながら氷水を加える。形成された沈澱物を吸引濾過し、水で洗浄し65℃で乾燥し、標記化合物(C13H18ClN5O3)を得る。 TLC (シリカ; DCM/MeOH 9:1): Rf = 0.4 ESI 質量スペクトル: m/z = 328 [M+H]+; m/z = 326 [M-H]- 中間体I.1

I.1

3-フルオロ-4-ニトロ-フェノール(25.29g;0.16mol)と、N-(2-ブロモエチル)カルバミン酸(carbaminic acid)(1,1)-ジメチル)エチルエステル(36.08g;0.16mol)及び炭酸カリウム(24.48g;0.18mo)を含有するアセトンとの混合物を8時間還流する。混合物を蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤: DCM/メタノール 100/1)で精製する。 C13H17FN2O5 下記に示すそれぞれのフェノールとハロゲン化アルキルから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは本願明細書記載の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体II.1

II.1

中間体I.1(19.1g;63.6mmol)とエチルアミン(2MのTHF溶液;47.7ml;95.4mmol)と炭酸カリウム(14.0g;102mmol)を含有するTHF(300ml)との混合物を、50℃で2時間、室温で3日間撹拌する。不溶物を濾取して取り除き、母液を蒸発濃縮する。残渣をDCMに投入し、水で洗浄する。有機層を分取して乾燥蒸発させる。 C15H23N3O5ESI 質量スペクトル: m/z = 326 [M+H]+ 下記に示すそれぞれのハロゲン化アリールとアミンから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体III.1

III.1

中間体II.1(13.3g;40.9mmol)を含むメタノール(500ml)を、Parr水素添加装置(室温、水素による圧3bar、触媒:1.30g Pd/C 10%)内で水素添加する。触媒を濾過により取り除き、溶媒を留去して中間体III.1を得る。 下記に示すそれぞれのハロゲン化アリールとアミンから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体IV.1

IV.1

ジアミノ中間体III.2(46.2g;194mmol)とTHF(500ml)とN-フタロイルグリシン(39.8g;194mmol)とTBTU(62.2g;194mmol)とトリエチルアミン(21.9g;194mmol)との混合物を室温で30分撹拌する。混合物を氷水に投入し、氷が融けるまで撹拌する。沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し60℃で乾燥させる。こうして形成された中間体を、酢酸(200ml)とジオキサン(700ml)に投入して、100℃で1時間撹拌する。この混合物を蒸発濃縮し、DCMに投入して、Na2CO3溶液及び水で順次抽出を行う。有機層を分取し、蒸発濃縮して、残渣をACNから再結晶させる。 C22H21N3O5ESI 質量スペクトル: m/z = 408 [M+H]+ HPLC分析:RT=0.82分(HPLC法I) 下記に示すそれぞれのジアミノ化合物から、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体V.1

V.1

工程1:中間体III.1(12.00g;40.63mmol)とグリシン誘導体(9H-フルオレン-9 -イルメトキシカルボニルアミノ)-酢酸(12.08g;40.63mmol)とカップリング試薬HATU(16.99g;44.69mmol)とDIPEA(13.91mL;81.25mmol)を含むDMF(50ml)との混合物を室温で1時間撹拌する。混合物を蒸発濃縮する。 工程2:残渣を氷酢酸(50mL)に投入し60℃で3時間撹拌する。溶媒を留去する。残渣をDCMに投入し、水及びNaHCO3(飽和水溶液)で洗浄する。有機層を分取し、乾燥、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/メタノール(40/1))で精製する。 C32H36N4O5ESI 質量スペクトル: m/z = 557 [M+H]+ HPLC分析:RT=0.63分(HPLC G) 下記に示すそれぞれのジアミノ化合物から、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体VI.1

VI.1

中間体V.1(9.60g;17.3mmol)とヨウ化エチル(20.7ml;259mmol)を含むTHF(90ml)との混合物を120℃で2時間撹拌する(マイクロ波加熱)。混合物を蒸発濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/メタノール 30/1)で精製する。残渣をジエチルエーテル中で撹拌し、濾過を行い乾燥する。 C34H41N4O5 x IESI質量スペクトル: m/z = 585 [M+] 下記に示すそれぞれのベンズイミダゾールから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体VII.1

VII.1

中間体VI.1(8.20g;11.51mmol)とピペリジン(11.4ml;115mmol)を含むTHF(90ml)との混合物を室温で2日間撹拌する。沈殿物を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し乾燥する。 C19H31N4O3 x IESI質量スペクトル: m/z = 363 [M+] 下記に示すそれぞれのアミンを使って、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体VIII.1

VIII.1

3,5-ジアミノ-6-クロロ-ピラジン-2-カルボン酸(中間体A.1:1.04g;5.51mmol)とアミン中間体VII.1(2.70g;5.51mmol)とカップリング試薬HATU(2.25g;5.92mmol)とヒューニッヒ塩基(1.89ml;11.0mmol)を含むDMF(30ml)との混合物を室温で一晩撹拌する。混合物を蒸発濃縮し、DCMに投入し、水で洗浄する。有機層を分取し、乾燥して(Na2SO4)再度蒸発濃縮した。粗生成物は更に精製せずに次の工程に供する。 C24H34ClN8O4 x IESI質量スペクトル: m/z = 533 [M+H]+ HPLC分析:RT=0.85分(HPLC法B) 下記に示すそれぞれの酸とアミンを使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

a) 精製はRP-HPLC (モディファイア:TFA)

中間体IX.1

IX.1

中間体VIII.1(1.20g;1.82mmol)とTFA(20%でDCMに含有;20ml)との混合物を室温で1時間撹拌する。混合物をRP-HPLC(カラム:SunFire C18;水-ACN;モディファイア:TFA)で精製する。生成物をHCl/MeOHに投入し、溶媒を留去して標記化合物を得る。 C19H26ClN8O2 x ClESI質量スペクトル: m/z = 433 [M]+ HPLC分析:RT=0.51分 (HPLC法B) 中間体X.1

X.1

中間体VI.2(21.3g;37.8mmol)を含むACN(250ml)とエタノール(250ml)との溶液に、ヒドラジン水和物(9.18ml;189mmol)を3回にわけて18時間にわたって添加する。その間、混合物は65℃で撹拌する。不溶物を濾過で取り除き、濾液を蒸発濃縮する。塩酸(4mol/l;100ml)中で、残渣を80℃で2時間撹拌する。混合物を室温まで放冷し、不溶物を濾過で取り除き、濾液を凍結乾燥させる。 C14H20N3O3 x Cl x HClESI質量スペクトル: m/z = 278 [M]+ 中間体XI.1

XI.1

中間体X.1(14.3g;40.8mmol)と塩酸(1.3mol/lでMeOHに含有;50 ml;62.5mmol)との混合物を30分還流して、熱時濾過後、蒸発乾固する。 C15H22N3O3 x Cl x HClESI質量スペクトル: m/z = 292 [M]+ 下記に示すそれぞれのカルボン酸を使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XII.1

XII.1

HPLC分析により出発物資が完全になくなるまで、塩酸(1mol/l;10.0ml;10.0mmol)中、エステル中間体VIII.2(540mg;0.938mmol)の混合物を50℃で撹拌する。混合物を凍結乾燥する。 C19H22ClN7O4x HClESI質量スペクトル: m/z = 448 [M]+ HPLC分析:RT=0.36分 (HPLC法G) 下記に示すそれぞれのエステルを使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XIII.1

XIII.1

2,4-ジフルオロ-5-ニトロ安息香酸(20.0g;98.4mmol)を含むDCM(150ml)とDMF(40ml)に、塩化オキサリル(9.17ml;108mmol)含有DCM(10ml)溶液を滴下する。混合物を2時間撹拌し、蒸発乾固する。DCM(150ml)及びトリエチルアミン(30.2ml;217mmol)中に、前記残渣を投入する。氷浴で冷却しながら、アミンN-BOC-ピペラジン(18.3g;98.5mmol)を何度かに分けて添加する。混合物を更に15分間撹拌し、水で抽出する。有機層を乾燥(MgSO4)、濾過、蒸発乾固する。 C16H19F2N3O5ESI質量スペクトル: m/z = 272 [M+H-BOC]+ 下記に示すそれぞれのアミンを使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XIV.1

XIV.1

ハロゲン化アリール中間体II.3(11.4g;28.6mmol)とTHF(150ml)との混合物に、ナトリウムエトキシド(2.34g;34.4mmol)を添加する。混合物を室温で一晩撹拌した後、Na2CO3溶液とEEとを添加する。有機層を分取し、乾燥(MgSO4)、蒸発濃縮する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 0->6%の後、CH/EE 0->50%)で精製する。 C20H30N4O6ESI質量スペクトル: m/z = 423 [M+H]+ 下記に示すそれぞれの反応体を使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XV.1

XV.1

フタルイミド中間体VI.3(6.34g;8.84mmol)とヒドラジン水和物(2.15ml;44.2mmol)とACN(20ml)との混合物を60℃で一晩撹拌する。混合物を室温まで冷却し、不溶物を吸引濾過し、濾液を蒸発濃縮する。残渣をRP-HPLC (モディファイア:TFA)で精製する。 C24H38N5O4 x TFAESI質量スペクトル: m/z = 460 [M]+ 下記に示すそれぞれのフタルイミドを使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XVI.1

XVI.1

N-ベンジルエタノールアミン(13.6g;90.0mmol)とクロロメチル-ジメチル-ホスフィンオキシド(12.0g;94.5mmol)と炭酸カリウム(12.4g;90.0mmol)とヨウ化ナトリウム(13.5g;90.0mmol)とACN(150ml)との混合物を80℃で3日間撹拌する。室温まで冷却後、不溶物を濾過で取り除き、濾液を蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/(MeOH/アンモニア水 (9:1) 0->15%)で精製する。 C12H20NO2PESI質量スペクトル: m/z = 242 [M+H]+ 中間体XVII.1

XVII.1

3-フルオロ-4-ニトロフェノール(10.3g;65.6mmol)と中間体XVI.1(17.5g;72.4mmol)とトリフェニルホスフィン(18.9g;72.1mmol)とDCM(200ml)との混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(16.6g;82.0mmol)を滴下する。混合物を一晩撹拌し、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/(MeOH/アンモニア水 9:1) 0->12%で精製する。 C18H22FN2O4PESI質量スペクトル: m/z = 381 [M+H]+ 中間体XVIII.1

XVIII.1

中間体III.7(1.70g;3.23mmol)と3-メチル酪酸塩化物(437μl;3.55mmol)とトリエチルアミン(675μl;4.84mmol)とDCM(20ml)との混合物を室温で2時間撹拌する。混合物を水で抽出する。有機層を分取し蒸発濃縮する。 C31H39N4O7PESI質量スペクトル: m/z = 611 [M+H]+ 下記に示すそれぞれの酸塩化物を使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XIX.1

XIX.1

中間体V.2(12.0g;25.0mmol)とジエチルエーテル(100ml)とEtOH(30ml)との混合物に、HCl水溶液(4mol/l;62.4ml;150mmol)を添加する。混合物を室温で6時間撹拌した後、形成された沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し乾燥させる。 C17H24N4O3ESI質量スペクトル: m/z = 333 [M+H]+ 下記に示すそれぞれのBOC誘導体を使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XX.1

XX.1

エステル中間体VIII.3(1.00g;1.89mmol)を含むEtOH(10ml)混合物に、KOH(623mg;9.44mmol)を含む水(10ml)を添加する。混合物を45℃で一晩撹拌する。塩酸水溶液(4mol/l)を加えてpHを約5に調整した後、EtOHを留去する。冷却により形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄して乾燥させる(50℃)。 C20H23ClN8O4ESI質量スペクトル: m/z = 476 [M+H]+ 下記に示すそれぞれのエステルを使用して、以下の化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩もしくはビス-TFA塩、双極性イオン、他の塩が生成されることがある。

中間体XXI.1

XXI.1

カルボン酸中間体XX.1(150mg;0.368mmol)と2-エトキシエチルアミン(46μl;0.442mmol)とDMF(3.00ml)との混合物に、TBTU(148mg;0.461mmol)及びヒューニッヒ塩基(128μl;0.737mmol)とを添加する。混合物を室温で一晩撹拌した後、水(15ml)を添加する。4℃に放置して形成された沈殿物を濾過し、少量の水とジエチルエーテルで洗浄して乾燥させる(50℃)。 C24H32ClN9O4ESI質量スペクトル: m/z = 546 [M]+ HPLC分析:RT=0.84分(HPLC法F) 下記に示すそれぞれのカルボン酸とアミンから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体XXII.1

XXII.1

中間体IV.6(3.00g;6.92mmol)と3-クロロプロピルホスホン酸(1.10g;6.92mmol)とジシクロヘキシルカルボジイミド(2.86g;13.8mmol)とDMAP(85mg;0.692mmol)を含むTHF(50ml)との混合物を50℃で一晩撹拌する。水を加えて、混合物を更に20分間攪拌する。沈殿物を濾過し、MeOH(70ml)で還流し、室温まで冷却して濾過する。集めた濾液を蒸発濃縮して標記化合物を得る。 C28H33ClN3O6PESI質量スペクトル: m/z = 574 [M+H]+ 中間体XXIII.1

XXIII.1

中間体XXII.1(4.20g;7.32mmol)とリチウム臭化物(3.18g;36.6mmol)とトリメチルアミン(4.2Mでエタノールに含有、10.0ml;42.0mmol)とメタノール(20ml)との混合物を60℃で一晩撹拌する。水(20ml)を添加して、不溶物を濾過で取り除き、濾液を蒸発濃縮する。残渣をRP-HPLC(Sunfire;水/ACN、モディファイア;TFA)で精製して、標記化合物を得る。 C31H43N4O7PESI質量スペクトル: m/z = 597 [M+H]+ 中間体XXIV.1

XXIV.1

中間体XIX.2(1.50g;4.63mmol)と中間体B.1(1.44g;4.40mmol)とTHF(40ml)との混合物に、ヒューニッヒ塩基(2.80ml;16.2mmol)を添加する。混合物を50℃で一晩撹拌した後、室温に冷却する。不溶物を吸引濾過し、濾液を蒸発濃縮する。残渣を水(30ml)に投入する。形成された固形物を濾取し、水とジエチルエーテルで洗浄し乾燥させる。 C17H17ClFN7O3ESI質量スペクトル: m/z = 422 [M+H]+ HPLC分析:RT=0.88分(HPLC法F) 中間体XXV.1

XXV.1

中間体III.13(17.2g;56.5mmol)を含むジオキサン(250ml)及びTHF(250ml)の溶液に、9-フルオレニルメチルクロロホルメート(15.3g;59.3mmol)と炭酸カリウム(8.59g;62.1mmol)とを50℃で添加する。混合物を3時間撹拌した後、蒸発濃縮する。残渣をDCM(1l)に投入し、水で3回抽出する。有機層を乾燥(MgSO4)、蒸発濃縮する。残渣をジエチルエーテルと一緒にすり砕く(triturated)。吸引濾過の後、乾燥(60℃)させる。生成物は更に精製せずに次の工程に供する。 中間体XXVI.1

XXVI.1

中間体XII.5(1.00g;2.25mmol)と1,1’-カルボニルジイミダゾール(475mg;2.93mmol)とTHF(10ml)との混合物を50℃で30分間撹拌する。6-メチル-2-メチルアミノメチル-ピリジン-3-オールジヒドロクロリド(609mg;2.70mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌して蒸発濃縮する。生成物をRP-HPLC(モディファイア:TFA)で精製する。 C30H32N5O5 x TFAESI質量スペクトル: m/z = 542 [M]+ HPLC分析:RT=0.37分(HPLC法G) 中間体XXVII.1

XXVII.1

中間体II.15(11.4g;33.3mmol)とイミダゾール(4.99g;73.3mmol)とDMF(70ml)との氷冷混合物に、t-ブチルジメチルクロロシラン(5.52g;36.6mmol)を含むDCM(30ml)を滴下する。混合物を室温で一晩撹拌した後、蒸発濃縮する。残渣をDCMに投入し、水で抽出する。有機層を分取し、乾燥(MgSO4)、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 0->10%)で精製する。 C22H38FN3O4Si x TFAESI質量スペクトル: m/z = 456 [M+H]+ 中間体XXVIII.1

XXVIII.1

2-クロロ-4-フルオロ-5-ニトロ-ベンゾイルクロリド溶液(100g;420mmol、それぞれの酸をDCM/cat.DMF中で塩化チオニルと反応させて調製)に、最初に1-BOC-4-アミノピペリジン(96.6g;483mmol)、次にトリエチルアミン(130ml)を添加する。混合物を室温で1時間撹拌した後、水で抽出する。有機層を分取し、乾燥(Na2SO4)、蒸発濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EE 30->50%)で精製する。 C17H21ClFN3O5TLC: Rf = 0.6 (シリカ;ヘキサン/EE 1:1) 中間体XXIX.1

XXIX.1

化合物を、Stempel, Buzzi; Journal of the American Chemical Society 71 (1949) p.2968ffに記載の手順に従って調製する。 下記に示すそれぞれのピリジンとアミンから、以下の中間体が適宜調製される。適用条件によっては、遊離塩基、TFA塩又は他の塩が合成により生成されることがあるが、これらは後述の実施例の化合物の合成に一様に適用することができる。

中間体XXX.1

XXX.1

3-ヒドロキシ-ピリジン(500mg;5.26mmol)とN-(3-(トシルオキシ)プロピル)カルバミン酸t-ブチル(1.73g;5.26mmol)とTHF(10ml)との混合物を65℃で一晩撹拌する。混合物を蒸発乾固し、HCl(4mol/lでジオキサンに含有;10.0ml;40.0mmol)、ACN(15ml)及びEE(15ml)の中に投入する。混合物を一晩撹拌し、沈殿物を濾取し、EEで洗浄して50℃で乾燥させる。 C8H13N2O x HCl x ClESI質量スペクトル: m/z = 153 [M+H]+ 7.2 実施例の合成 実施例1.01

1.01

中間体A.1(41.0mg;0.220mmol)とTBTU(71.0mg;0.220mmol)とトリエチルアミン(93.0μl;0.660mmol)とDMF(3.0ml)との混合物に、アミン中間体XV.15(150mg;0.222mmol)を添加する。混合物を室温で一晩攪拌した後、蒸発濃縮し、粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:TFA)で精製する。 C27H33ClN9O5 x C2F3O2ESI質量スペクトル: m/z = 598 [M]+ HPLC分析:RT=0.39分(HPLC法E) 中間体A.1と下記に示すそれぞれのアミン中間体とから、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例2.01

2.01

実施例1.01に記載の手順に従って、中間体XV.11及び中間体A.2から化合物を調製する。 C27H33BrN9O4 x C2F3O2ESI質量スペクトル: m/z = 626 [M]+ HPLC分析:RT=0.35分(HPLC法G) 実施例3.01

3.01

アミン1-(2-ピリジニル)-ピペラジン(27.0mg;0.168mmol)を、酸中間体XII.4(120mg;0.1698mmol)とTBTU(54.0mg;0.168mmol)とトリエチルアミン(94.0μl;0.673mmol)とDMF(4.0ml)との混合物に添加する。混合物を室温で一晩攪拌した後、蒸発濃縮する。粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:TFA)で精製する。 C29H36ClN10O3 x C2F3O2 x C2HF3O2ESI質量スペクトル: m/z = 607 [M]+ HPLC分析:RT=0.70分(HPLC法L) 下記に示すそれぞれのアミンと酸から、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例4.01

4.01

アミン中間体IX.1(60.0mg;0.119mmol)を、酸の3-ジメチルアミノ-プロピオン酸(13.9mg;0.119mmol)とHATU(45.1mg;0.119mmol)とヒューニッヒ塩基(40.6μl;0.237mmol)とDMF(3.0ml)との混合物に添加する。混合物を室温で一晩攪拌した後、蒸発濃縮する。粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:TFA)で精製する。 C24H35ClN9O3 x Cl x HClESI質量スペクトル: m/z = 532 [M]+ HPLC分析:RT=0.68分(HPLC法B) 下記に示すそれぞれのアミンと酸から、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、塩化物塩、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例5.01

5.01

ベンズイミダゾール中間体XXI.1(80.0mg;0.122mmol)とヨードエタン(190mg;1.22mmol)とACN(3.0ml)との混合物を、110℃で1時間加熱する(密閉容器:マイクロ波照射)。混合物を蒸発乾固し、粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:TFA)で精製して、HCl水溶液(2mol/l)に投入して蒸発濃縮する。 C26H37ClN9O4 x ClESI質量スペクトル: m/z = 574 [M]+ HPLC分析:RT=3.55分(HPLC法C) 下記に示すそれぞれのベンズイミダゾールから、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例6.01

6.01

中間体VIII.3(120mg;0.173mmol)とHCl水溶液(4mol/l;4.33ml;17.3mmol)との混合物を、80℃で2時間加熱する(密閉容器;マイクロ波加熱)。混合物を蒸発濃縮し、粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:蟻酸)で精製する。 C22H28ClN4O4 x CHO2ESI質量スペクトル: m/z = 503 [M]+ HPLC分析:RT=2.97分(HPLC法C) 下記に示すそれぞれのBOC誘導体から、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例7.01

7.01

TFA(1ml)とDCM(20ml)との混合物中、実施例1.11の化合物(750mg;1.07mmol)を70℃で5時間撹拌する。混合物を蒸発濃縮し、残渣をMeOH(2ml)に投入する。析出物を濾取し、HCl(4mol/lでジオキサンに含有) と一緒にすり砕き、蒸発乾固する。 C22H28ClN8O5 x Cl x HClESI質量スペクトル: m/z = 519 [M]+ HPLC分析:RT=0.72分(HPLC法B) 下記に示すそれぞれのエステルから、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例8.01

8.01

実施例1.02の化合物(220mg;0.285mmol)とHCl(4mol/lでジオキサンに含有;1.0ml)とACN(4.0ml)との混合物を室温で2時間撹拌する。メチルt-ブチルエーテル(10ml)を添加し、混合物を30分間撹拌する。沈殿物を濾取し、乾燥する(50℃)。 C25H36ClN10O3 x Cl x HClESI 質量スペクトル: m/z = 559 [M]+ HPLC分析:RT=0.64分(HPLC法B) 下記に示すそれぞれのBOC誘導体から、以下の実施例化合物が適宜調製される。適用条件によっては、TFA塩、双極性イオン又は他の塩が合成により生成されることがある。

実施例9.01

9.01

実施例7.02の化合物(1.30g;2.01mmol)とジ-t-ブチル-ジカーボネート(449mg;2.06mmol)とトリエチルアミン(840μl;6.03mmol)とEE(20ml)とメタノール(20ml)との混合物を室温で3時間撹拌する。混合物を蒸発濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 25->50%)で精製する。 C30H41ClN9O7 x ClESI 質量スペクトル: m/z = 674 [M]+ HPLC分析:RT=0.86分(HPLC法B) 実施例10.01

10.01

実施例6.06の化合物(90.0mg;0.136mmol)と1-ヨードヘキサン(34.5mg;0.163mmol)と炭酸カリウム(20.6mg;0.149mmol)とACN(10ml)とDMF(1ml)との混合物を50℃で一晩攪拌する。混合物を蒸発濃縮し、粗生成物をRP-HPLC(モディファイア:蟻酸)で精製する。 C29H42ClFN9O2 x CH2O2 x CHO2ESI 質量スペクトル: m/z = 602 [M]+ HPLC分析:RT=3.33分(HPLC法C) (分析方法と分取クロマトグラフィー) 原則として、調製した化合物について1H-NMRと質量スペクトルを求めた。記載の質量ピーク(例えば、(M+H)+、(M+HCOO)-)は、モノアイソトピック分子量を指す。既製のシリカゲル60TLCプレートF254 (メルク社(ダルムシュタット)製、品番1.05714)を用いて、展開槽を飽和(chamber saturation)させない状態で、或は、既製の酸化アルミニウム60F254TLCプレート(メルク社(ダルムシュタット)製、品番1.05713)を用いて、展開槽を飽和させない状態で、TLCからのRf値を求めた。溶離剤に記載の比率は、当該溶媒の体積単位を示す。NH3の体積単位は、NH3の濃縮水溶液を指す。シリカゲルクロマトグラフィー精製では、ミリポア(Millipore)社のシリカゲル(MATREXTM商標、35-70my)を用いる。

分取薄層クロマトグラフィー(TLC): メルク社製分取TLCプレート(PLCシリカゲル60 F254+366、2mm)を用いる。バンドを有する生成物を剥ぎ取り、シリカ粉に載った生成物をDCM、メタノール又はこれらの混合物(生成物の溶解度による)で抽出する。シリカは濾過で取り除き、濾液を蒸発乾固して精製した化合物を得る。 分取HPLC: 固定相(特に記載のない限り):XBridge C18;10μm又はSunFire C18;10μm (いずれもウォーターズ社(www.waters.com)製) 分析HPLC/MS法 記載のHPLC保持時間は、下記のパラメータのもとで測定したものである。

HPLC法A

HPLC法B

HPLC法C カラム:Atlantis dC18 5μm 4.6x50mm、温度35℃ 移動相:A = H2O 90% + 10% CH3CN + CF3COOH 0.05% B = CH3CN 90% + 10% H2O 時間(分) %A %B 流速(ml/分) 0.00 100 0 1.3 0.70 100 0 1.3 4.5 0 100 1.3 5.80 0 100 1.3 6.00 100 0 1.3

HPLC法E

HPLC法F カラム:BEH C18 1.7μm 2.1x50mm、温度35℃ 移動相:A = H2O 90% + CH3CN 10% + NH4COOH 5 mM B = CH3CN 90% + H2O 10% 時間(分) %A %B 流量(mL/分) 0.00 100 0 0.70 1.20 0 100 0.70 1.45 0 100 0.70 1.55 100 0 0.70 1.75 100 0 0.70

HPLC法G

HPLC法H

HPLC法I

HPLC法L

本願明細書では前記及び後記において以下の略称を使用している。

(薬理学的試験方法) 前記に示した実施例化合物のIC50値は、ウッシングチャンバーアッセイで求めた。 ウッシングチャンバー:マウスの腎臓細胞M-1を、5%のFCSと5μMのデキサメタゾンとを含むDMEMで10〜12日間、ポリエステル製のトランスウェルフィルターで培養した。フィルターは、ウッシングチャンバー装置に装着されたテフロン(登録商標)被覆ウェルプレートに挿入した。測定に先立ち、M-1細胞の培地をCaco-2輸送緩衝液(Invitrogen社製、ドイツ)で交換する。測定中は、ウッシングチャンバーの温度を37℃に保った。短絡電流(I_sc)は、データ取得及び分析についてのソフトウェアパッケージLab Viewを使って、電圧クランプモードで測定した。経上皮電気抵抗(TEER)を、5秒ごとに±5mVして電圧を印加することにより求めた。最終濃度の3μMで、或は、濃度を上昇させながら(1-3-10μM)、頂端膜側溶液(apical solution)に化合物を投与した。各実験の最後に、頂端膜側コンパートメント(apical compartment)に3μMのアミロライドを添加して、アミロライド感受性I_SCを測定した。アミロライドの影響による阻害をパーセントでIC50として結果を表す。 上記の実施例化合物で、ウッシングチャンバーアッセイにより下記のIC50値を得た。

CALU-3細胞における透過性: 透過性のあるフィルター支持体上に生成したコンフルエントな極性(polarized)CALU-3細胞の単分子層全体で、透過性の測定を行い、肺上皮組織を化合物が通過する可能性についてのデータを提供する。CALU-3細胞単分子層全体での化合物の見掛透過係数(Papp)の測定(pH7.4、37℃)は、頂端膜側から基底膜側(aprical-to-basal:AB)及び基底膜側から頂端膜側(basal-to-apical:BA)輸送方向で行う。AB透過係数(Papp、AB)は、肺内腔から血液への薬物の吸収を表し、BA透過係数(Papp、BA)は、主に受動透過性を介した血液から肺内腔への薬物伝達を表す。これは、Calu-3細胞が、肺上皮細胞同様に、P-gpのような排出トランスポーターを発現しない一方で、供給トランスポーターの発現があるからである。

CALU-3細胞(面積1cm2あたり細胞数1-2x105)を、フィルターインサート(Costarトランスウェルポリカーボネートフィルター、ポアサイズ0.4μm )に接種し、目の詰んだ単分子層が形成されるまで培養する(10〜12日間、DMEM)。対象の化合物を適切な溶媒(DMSO、10mM原液)に溶解する。原液はHTP-4緩衝液 (128.13mM NaCl、5.36mM KCl、1mM MgSO4、1.8mM CaCl2、4.17mM NaHCO3、1.19mM Na2HPO4 x 7H2O、0.41mM NaH2PO4xH2O、15mM HEPES、20mMグルコース、0.25% BSA、pH7.4)で希釈して輸送液(化合物:10μM、最終DMSO <= 0.5 %)を調製する。輸送液(TL)を供与側の頂端膜側又は基底膜側に付与し、A-B又はB-A透過性をそれぞれ測定する(3回のフィルター反復実験)。供与側と同じ緩衝液が受容側にも含有されている。30分の馴化後、供与側からは開始時t0=0分及び実験終了時tn=90分のタイミングで試料を回収し、受容側のチャンバーからも0、30、60及び90分のタイミングで試料を回収する。取り除いた分はHTP-4緩衝液で補充する(replenwash)。試料中の化合物濃度をHPLC-MS/MS又はシンチレーション計数機で求める。透過係数(Papp)及び排出率は以下の式にしたがって算出する。Papp [cm/s] =(受容側濃度 [nM] * 受容側体積[mL]/時間 [秒])*(1/フィルター面積)*(1/供与側濃度 [nM]) 上記の実施例化合物で、CALU-3細胞アッセイにより下記の透過性を得た。

(適応症) 見出したとおり、式(I)の化合物は、広範囲に亘る治療分野で使用できることを特徴とする。とりわけ、本発明の式(I)の化合物は、ENaC阻害剤としての医薬的な有効性により、有利に適合する用途を言及する必要がある。例として、呼吸器系疾患又は病訴、又は、気道のアレルギー性疾患が挙げられる。 特に言及すべきは、粘液の増産や炎症を伴う気道及び肺の疾患及び/又は気道の閉塞性疾患の予防と治療である。例えば、急性、アレルギー性又は慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎 (COPD)、咳、肺気腫、アレルギー性もしくは非アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎、慢性鼻炎又は副鼻腔炎、喘息、肺胞炎、農夫病(Farmer's disease)、過敏性気道、感染性の気管支炎又は肺炎、小児喘息、気管支拡張症、肺繊維症、成人性呼吸障害症候群(ARDS)、気管支浮腫及び肺浮腫、有毒ガスの吸引吸入等といった様々な原因による気管支炎、肺炎又は間質肺炎、心不全、放射線治療、化学療法、嚢胞性線維症又は膵線維症を原因とする気管支炎、肺炎又は間質肺炎、或はα1-アンチトリプシン欠損症である。

特に好ましくは、本発明は、肺を含んだ上気道及び下気道の炎症性又は閉塞性疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎及び喘息などの治療用医薬組成物を調製するための、式(I)の化合物の使用に関する。 COPD、慢性気管支炎、慢性副鼻腔炎、喘息、嚢胞性線維症といった炎症性及び閉塞性疾患の治療に、とりわけ、COPD、慢性気管支炎、喘息、嚢胞性線維症の治療に式(I)の化合物を使用することが特に好ましい。 実際の医薬的有効量又は治療用投薬量については、当然のことながら、患者の年齢や体重、投与経路、病気の重篤度等の当該分野の当該者には公知の要因によって変わる。いずれにしても、患者の個々の状況を基に、医薬的有効量が送達できる投与量と方法で、該医薬組成物は投与する。

(組成物) 式(I)の化合物は単独で使用してもよいし、又は、本発明の式(I)で表される他の有効成分と一緒に使用してもよい。所望であれば、式(I)の化合物は他の薬理的に有効な物質と一緒に使用することもできる。 そこで、本発明は更に、式(I)の化合物又はその塩が1種以上と、更なる有効成分として、ENaC阻害剤、ベータ受容体刺激薬、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、LTD4-拮抗剤、EGFR-抑制剤、ドーパミン作動薬、H1抗ヒスタミン剤、PAF-拮抗剤、MAP-キナーゼ抑制剤、MPR4-抑制剤、iNOS-抑制剤、SYK-抑制剤、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)矯正薬及びCFTR賦活薬の分類から選択される1種以上の化合物、或はそれらの2つ又は3つの組合せを含む、医薬製剤に関する。 (製剤) 投与に適した形態は、例えば、吸入用粉末又はエアロゾルである。いずれの場合も医薬的に有効な化合物の含有量は、全組成物の0.2〜50質量%、好ましくは0.5〜25質量%の範囲、即ち、本願明細書で後述する投与範囲を達成するのに十分な量がよい。

吸入投与の場合、有効成分組成物は、粉末、水溶液もしくは水性-エタノール性溶液として、又は噴射剤ガス製剤を使って投与するとよい。 そこで、好ましくは、医薬製剤が、前述の好適な実施形態による式(I)の化合物を1つ以上含むことを特徴とする。 また、式(I)の化合物を吸入により投与する場合、とりわけ、一日1回又は2回投与する場合が好ましい。この目的のためには、式(I)の化合物は吸入に適した形態で利用できるようにしなければならない。吸入可能な製剤として、吸入用粉末、噴射剤含有定量エアロゾル、又は噴射剤を含まない吸入用溶液が挙げられるが、これらは、任意であるが従来からの医薬的に許容できる賦形剤と共に使用されるとよい。 本発明の範囲において、噴射剤を含有しない吸入性溶液という用語には、濃縮物又は直ぐに使用できる無菌吸入溶液が含まれる。明細書の次のパートで、本発明で使用できる製剤をより詳細に説明する。

吸入用粉末 式(I)の有効成分が医薬的に許容できる賦形剤と共に存在する場合、以下の医薬的に許容できる賦形剤を使用して本発明の吸入用粉末を調製することができる。単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール類(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)或はこれら賦形剤相互の混合物。好ましくは、単糖類又は二糖類が使用され、ラクトース又はグルコースの使用が好ましく、限定はされないが、その水和物の形が特に好ましい。本発明の目的のためには、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、ラクトース一水和物が最も好適である。すり潰して微粉状にして、最後に成分を一緒に混合することによる本発明の吸入用粉末の調製方法は、従来技術より公知である。

噴射剤含有吸入用エアロゾル 本発明により使用できる噴射剤含有吸入用エアロゾルは、噴射剤ガス中に式(I)の化合物を溶解又は分散状態で含むことができる。本発明の吸入用エアロゾルを調製するために使用できる噴射剤ガスは、従来技術から公知である。適当な噴射剤ガスは、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタン等の炭化水素化合物、及び、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンの好ましくはフッ素化誘導体等のハロ炭化水素化合物から選択される。上記噴射剤ガスは、単独で又はその混合物として使用できる。特に好ましい噴射剤ガスは、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選択されるフッ素化アルカン誘導体である。本発明の使用の範囲で使われる噴射剤駆動型吸入エアロゾルには、補助溶剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤等の他の成分も含有させることができる。これらの成分はすべて当分野において公知である。

噴射剤を含まない吸入用溶液 本発明の式(I)の化合物は、噴射剤を含まない吸入用溶液又は吸入用懸濁液の調製に好ましく使用される。この目的のために使用される溶媒としては、水性溶媒又はアルコール系溶媒、好ましくはエタノール性溶媒が挙げられる。溶媒は、水を単独で使用してもよいし、水とエタノールとの混合物でもよい。該溶液又は懸濁液は、適切な酸を用いてpH2〜7、好ましくは2〜5に調整される。pH値は無機又は有機の酸から選択される酸を用いて調整すればよい。とりわけ好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。推奨される無機酸は塩酸及び硫酸である。また、有効成分の1つと一緒になって酸付加塩をすでに形成している酸の使用も可能である。有機酸の中では、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望であれば上記の酸の混合物を用いることもでき、特に、酸性化特性に加えて、例えば香料、酸化防止剤又は錯化剤としての他の特性を有する酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸等の場合は、混合して用いるとよい。本発明では、塩酸を用いてpH値を調整することが特に好ましい。

本発明の目的のために使用される噴射剤無しの吸入溶液には、補助溶剤及び/又は他の賦形剤を添加することができる。好ましい補助溶剤は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含むもので、例えばアルコール類、特にイソプロピルアルコール、グリコール類、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール類及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル類である。本文脈における賦形剤及び添加剤という用語は、それ自体は活性物質ではないが、薬理的に好適な溶媒中で活性物質と共に処方して、該活性物質を含む製剤の定性的特性を改善することができる、薬理的に許容される任意の物質を意味する。これらの物質は薬理的作用を有していないことが好ましいが、所望の療法との関連において容易に認識できるような薬理作用は持たないか、少なくとも望ましくない薬理作用を有していない。賦形剤及び添加剤としては、例えば大豆レシチン、オレイン酸、ポリソルベートなどのソルビタンエステル類、ポリビニルピロリドン等の界面活性剤、他の安定剤、錯化剤、最終的な医薬製剤の品質保持期間を保証又は延長する酸化防止剤及び/又は保存剤、香味付与剤、ビタミン類及び/又は当分野において公知の他の添加剤が挙げられる。また、該添加剤には、等張剤として例えば塩化ナトリウムなどの薬理的に許容できる塩も含まれる。好ましい賦形剤としては、例えばpHの調節に使用されていないのであればアスコルビン酸、更にはビタミンA、ビタミンE、トコフェロールや同様なビタミン類及び人体で産生するプロビタミン類等の酸化防止剤が挙げられる。保存剤は、使用することによって病原体による汚染から該製剤を保護することができる。適当な保存剤は当分野において公知のものであり、特に当分野において公知の濃度の、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンズアルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。

上記の治療薬の形態として、例えば、呼吸器系疾患、COPD又は喘息なる語が記載された説明書と、本発明の化合物及び医薬組成物を作るための前記更なる有効成分から選択されるパートナーの1種以上を含む、呼吸器系疾患治療用の直ぐに使用できる医薬パックを提供する。

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