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抗IL−4抗体及び二重特異性抗体及びその使用

阅读:1035发布:2020-06-22

专利汇可以提供抗IL−4抗体及び二重特異性抗体及びその使用专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、抗IL−4 抗体 及び二重特異性抗体並びにそれらを使用する方法に関する。【選択図】図1A−B,下面是抗IL−4抗体及び二重特異性抗体及びその使用专利的具体信息内容。

IL−4に特異的に結合する第一のVH/VLユニット及びIL−13に特異的に結合する第二のVH/VLユニットを含む抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体であって、該抗体は、 a)IL−4受容体アルファ(IL−4Rα)へのIL−4の結合を阻害する、 b)インビトロで細胞のIL−4誘発性増殖を阻害する、及び/又は c)インビトロで細胞のIL−13誘発性増殖を阻害する 抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む、請求項1に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む、請求項1又は請求項2に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、(a)配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号1及び3から9から選択されるVH配列を含む、請求項1から5の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号2、10及び11から選択されるVL配列を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第一のVH/VLユニットが、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む、請求項1に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、 a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;又は b)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2 を含む、請求項1から8の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、 a)配列番号21のアミノ酸配列又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;又は b)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3 を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、 a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3 を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、 a)配列番号19のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVH配列; b)配列番号20のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVL配列; c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列; d)配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVH配列; e)配列番号48のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVL配列; f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列 を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、配列番号19、56、又は49のVH配列を含む、請求項1から12の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、配列番号20、57、又は48のVL配列を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第二のVH/VLユニットが、配列番号19又は56のVH配列及び配列番号20又は57のVL配列;又は配列番号49のVH配列及び配列番号48のVL配列を含む、請求項1から14の何れか一項に記載の多重特異性抗体。配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む抗体と、IL−4に対する結合を競合する、請求項1から15の何れか一項に記載の多重特異性抗体。配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む抗体と、又は配列番号49のVH配列及び配列番号48のVL配列を含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する、請求項1から16の何れか一項に記載の多重特異性抗体。配列番号29のアミノ酸77から89の範囲内で、又は配列番号29のアミノ酸82から89の範囲内で、エピトープに結合する、請求項1から17の何れか一項に記載の多重特異性抗体。IL−4に特異的に結合する第一のVH/VLユニット及びIL−13に特異的に結合する第二のVH/VLユニットを含む多重特異性抗体であって、第一のVH/VLユニットが配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含み、第二のVH/VLユニットが配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む、多重特異性抗体。IgG抗体である、請求項1から19の何れか一項に記載の多重特異性抗体。IgG1又はIgG4抗体である、請求項20に記載の多重特異性抗体。IgG4抗体である、請求項21に記載の多重特異性抗体。抗体が、第一の重鎖定常領域及び第二の重鎖定常領域を含み、第一の重鎖定常領域がノブ(knob)変異を含み、第二の重鎖定常領域がホール(hole)変異を含む、請求項1から22の何れか一項に記載の多重特異性抗体。第一の重鎖定常領域が、IL−4に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される、請求項23に記載の多重特異性抗体。第二の重鎖定常領域が、IL−13に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される、請求項23又は請求項24に記載の多重特異性抗体。第一の重鎖定常領域が、IL−13に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される、請求項23に記載の多重特異性抗体。第二の重鎖定常領域が、IL−4に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される、請求項23又は請求項26に記載の多重特異性抗体。IgG1抗体であり、ノブ変異がT366W変異を含む、請求項23から27の何れか一項に記載の多重特異性抗体。IgG1抗体であり、ホール変異が、T366S、L368A、及びY407Vから選択される少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つの変異を含む、請求項23から28の何れか一項に記載の多重特異性抗体。IgG4抗体であり、ノブ変異がT366W変異を含む、請求項23から27の何れか一項に記載の多重特異性抗体。IgG4抗体であり、ホール変異が、T366S、L368A、及びY407V変異から選択される少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つの変異を含む、請求項23から27及び30の何れか一項に記載の多重特異性抗体。配列番号34の配列を含む第一の重鎖定常領域を含む、請求項23に記載の多重特異性抗体。配列番号35の配列を含む第二の重鎖定常領域を含む、請求項23又は請求項32に記載の多重特異性抗体。配列番号36の配列を含む第一の重鎖定常領域を含む、請求項23に記載の多重特異性抗体。配列番号37の配列を含む第二の重鎖定常領域を含む、請求項23又は請求項34に記載の多重特異性抗体。配列番号38の配列を含む第一の重鎖、配列番号39の配列を含む第一の軽鎖、配列番号40の配列を含む第二の重鎖、及び配列番号41の配列を含む第二の軽鎖を含む、IL−4及びIL−13に結合する多重特異性抗体。IL−4に結合する単離された抗体であって、 (a)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;又は (b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;又は (c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は (d)配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVH配列;又は (e)配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも95%配列同一性を有するVL配列 を含む、抗体。配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項37に記載の単離された抗体。配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列を含む、請求項37又は請求項38に記載の単離された抗体。配列番号1及び3から9から選択されるVH配列を含む、請求項37から39の何れか一項に記載の単離された抗体。配列番号2、10及び11から選択されるVL配列を含む、請求項37から40の何れか一項に記載の単離された抗体。配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む、単離された抗体。(a)請求項1から42の何れか一項に記載の抗体; (b)請求項1から34の何れか一項に記載の多重特異性抗体の第一のVH/VLユニット;又は (c)請求項1から34の何れか一項に記載の多重特異性抗体の第二のVH/VLユニット をコードする単離された核酸。請求項43に記載の核酸を含む、宿主細胞。宿主細胞が、大腸菌細胞又はCHO細胞である、請求項44に記載の宿主細胞。請求項44又は請求項45に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体を生成する方法。請求項1から42の何れか一項に記載の抗体及び細胞傷害性薬物を含む、イムノコンジュゲート。請求項1から42の何れか一項に記載の抗体及び許容可能な担体を含む、薬学的製剤。医薬として使用のための、請求項1から42の何れか一項に記載の抗体。好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−4媒介性疾患又は呼吸器疾患の治療における使用のための、請求項1から42の何れか一項に記載の抗体。好酸球性疾患が、喘息、重度の喘息、慢性喘息、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、多形性紅斑、疱性皮膚疾患、乾癬、湿疹、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、慢性好酸球性炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、エピソード血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、蕁麻疹、オンコセルカ皮膚炎、好酸球関連胃腸疾患、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、潰瘍性大腸炎、ウィップル病、鼻マイクロポリープ、鼻ポリープ、アスピリン不耐症、閉塞性睡眠時無呼吸、クローン病、強皮症、心内膜心筋線維症、線維症、炎症性腸疾患、特発性間質性肺炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、杯細胞化生、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、硬化症に続発する肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、ブドウ膜炎、がん、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項50に記載の抗体。IL−13媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項50に記載の抗体。IL−4媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項50に記載の抗体。呼吸器疾患が、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択される、請求項50に記載の抗体。好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−4媒介性疾患又は呼吸器疾患の治療における使用のための医薬の製造における、請求項1から42の何れか一項に記載の抗体の使用。好酸球性疾患が、喘息、重度の喘息、重度の喘息、慢性喘息、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、多形性紅斑、水疱性皮膚疾患、乾癬、湿疹、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、エピソード血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、蕁麻疹、オンコセルカ皮膚炎、好酸球関連胃腸疾患、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、潰瘍性大腸炎、ウィップル病、鼻マイクロポリープ、鼻ポリープ、アスピリン不耐症、閉塞性睡眠時無呼吸、クローン病、強皮症、心内膜心筋線維症、線維症、炎症性腸疾患、特発性間質性肺炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、杯細胞化生、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、硬化症に続発する肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、ブドウ膜炎、がん、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項55の使用。IL−13媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項55の使用。IL−4媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項55の使用。呼吸器疾患が、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択される、請求項55の使用。請求項1から42の何れか一項に記載の抗体の有効量を個体に投与することを含む、好酸球性疾患を有する個体を治療する方法。好酸球性疾患が、喘息、重度の喘息、慢性喘息、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、多形性紅斑、水疱性皮膚疾患、乾癬、湿疹、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、エピソード血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、蕁麻疹、オンコセルカ皮膚炎、好酸球関連胃腸疾患、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、潰瘍性大腸炎、ウィップル病、鼻マイクロポリープ、鼻ポリープ、アスピリン不耐症、閉塞性睡眠時無呼吸、クローン病、強皮症、心内膜心筋線維症、線維症、炎症性腸疾患、特発性間質性肺炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、杯細胞化生、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、硬化症に続発する肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、ブドウ膜炎、がん、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項60に記載の方法。IL−13媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項60に記載の方法。IL−4媒介性疾患が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される、請求項60に記載の方法。呼吸器疾患が、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択される、請求項60に記載の方法。TH2経路阻害剤を個体に投与することを更に含む、請求項60から64の何れか一項に記載の方法。TH2経路阻害剤が、ITK、BTK、IL−9、IL−5、IL−13、IL−4、OX40L、TSLP、IL−25、IL−33、IgE、IL−9受容体、IL−5受容体、IL−4受容体アルファ、IL−13受容体アルファ1、IL−13受容体アルファ2、OX40、TSLP−R、IL−7Rアルファ、IL17RB、ST2、CCR3、CCR4、CRTH2、FcイプシロンRI、FcイプシロンRII/CD23、Flap、Sykキナーゼ、CCR4、TLR9、CCR3、IL5、IL3、及びGM−CSFから選択される少なくとも一の標的を阻害する、請求項65に記載の方法。個体が、中等度から重度の喘息に罹患している、請求項60から66の何れか一項に記載の方法。個体が、特発性肺線維症に罹患している、請求項60から66の何れか一項に記載の方法。

说明书全文

関連出願への相互参照 本出願は、2013年4月5日に出願された仮米国出願61/808748号の優先権の利益を主張し、その出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。

配列表 本出願は、EFS−Web経由で提出された配列表を含み、その全体が参照することにより本明細書に援用される。2014年3月12日に作成された前記ASCIIコピーは2014.MAR.12 P5609R1−WO_SLと命名され、大きさは75442バイトである。

[発明の分野] 本発明は、抗IL−4抗体及び二重特異性抗体並びにそれらを使用する方法に関する。

喘息は世界的に発生率が増加している複雑な病気である。他の発症のなかで、喘息患者の気道内における好酸球性炎症が報告されている。疾患の病態生理は、可変気道閉塞、気道炎症、粘液過分泌、及び上皮下線維症によって特徴付けられる。臨床的には、患者は咳、喘鳴、及び息切れを示し得る。多くの患者が現在利用可能な治療法で十分に治療されているが、幾人かの喘息患者は、今日の治療法の使用にもかかわらず、持続的な疾患を持っている。

多くの研究が、喘息及びアレルギーの病因におけるIL−4、IL−13、及びそれらの受容体に関係している (例えば、Wills-Karp, 2004, Immunol. Rev. 202, 175ー190; Brightling et al., 2010, Clin. Exp. Allergy 40, 42ー49; Finkelman et al., 2010, J Immunol 184, 1663ー1674; Maes et al., 2012, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 47, 261ー270; Steinke and Borish, 2001, Respir. Res. 2, 66ー70)。IL−4は、2つの受容体に結合し、一つは、IL−4Rα及び共通γ鎖(γC)のヘテロダイマーであり、他方はIL−4受容体α(IL−4Rα)及びIL−13受容体アルファ1(IL−13Rα1)のヘテロダイマーである。後者の受容体、IL−4Rα/IL−13Rα1は、IL−13との共有受容体であり、これはまたIL−13受容体アルファ2(IL−13Rα2)からなる一本鎖受容体に一意的に結合する。IL−4、IL−13、及びIL−4Rα遺伝子の多型は、IgEレベル、アトピーの有病率、及び喘息の疾患の重症度などの特徴を含む、喘息及びアレルギーに関連している。更に、IL−4、IL−13、及びそれらの受容体の発現は、喘息及び他のアレルギー疾患において増加している。また、IL−4、IL−13、及びそれらの受容体の中和又は欠乏は、喘息の前臨床モデルにおいて疾患を改善する。

喘息を治療するため、多くの薬物が売りに出されているか又は開発中である。喘息治療のための数多くの標的の一つは、IL−13である。IL−13は、活性化T細胞、NKT細胞、好塩基球、好酸球、及び肥満細胞により産生される多面的TH2サイトカインであり、前臨床モデルにおいて喘息の病因に強く関係している。IL−13、抗IL−13抗体を含むアンタゴニストは、以前に記載されている。例えば、国際特許出願番号2005/062967を参照。かかる抗体は、ヒト治療薬として開発されてきた。最近、幾つかの研究は、喘息の治療におけるIL−13に対するモノクローナル抗体の臨床活性を示している(例えば、Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365, 1088-1098; Gauvreau et al., 2011, Am. J. Respir. Crit. Care Med. 183, 1007-1014; Ingram and Kraft, 2012, J. Allergy Clin. Immunol. 130, 829-42; Webb, 2011, Nat Biotechnol 29, 860-863を参照)。これらのうち、IL−13活性を中和するヒト化IgG4抗体であるレブリキズマブ(lebrikizumab)は、大多数において吸入コルチコステロイド及び長時間作用型β2−アドレナリン受容体アゴニストによる治療にもかかわらず症候性であった喘息患者で機能を改善した(Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365, 1088-1098)。加えて、IL−13及びIL−4に結合する二重特異性抗体が記載されている。例えば、米国特許出公開第2010/0226923号を参照。

しかし、中等度から重度の喘息患者は、代替治療の選択肢をなお必要としている。従って、喘息を治療するためのより良好な治療及び喘息患者を治療する方法を理解するための改良された方法を同定するための必要がある。

特発性肺線維症(IPF)は、肺実質の進行間質性線維症によって特徴づけられる拘束性肺疾患であり、米国では約10万人の患者に影響を及ぼしている(Raghu et al., Am J Respir Crit Care Med 174:810-816 (2006))。IPFに関連したこの間質性線維症は、肺機能の進行性の喪失につながり、ほとんどの患者で呼吸不全に起因する死に至る。診断時からの生存期間の中央値は2−3年である(Raghu et al., Am J Respir Crit Care Med 183:788-824 (2011))。IPFの病因並びに鍵となる分子及び病態生理学的なドライバーは不明である。IPF患者における生存率を延長することが示された唯一の治療法は肺移植である(Thabut et al., Annals of internal medicine 151:767-774 (2009))。しかし、肺移植はかなりの病的状態と関連しており、全てのIPF患者がそれに適した候補ではなく、かつ適切なドナー肺の相対的な不足がある。多数の試みにもかかわらず、現在までの薬物療法は、IPF患者における無作為化プラセボ対照介入試験において、幾つかの介入は、一部の患者における肺機能低下の速度を遅くするように見えるものの、生存期間を延長することが示されていない(Raghu et al., Am J Respir Crit Care Med 183:788-824 (2011); Richeldi et al., The New England J. of Med. 365:1079-1087 (2011))。

IL−4及びIL−13シグナル伝達は、インビトロにおいて数多くの細胞タイプから線維形成反応を誘発することができる。IL−4又はIL−13による線維芽細胞の治療は、コラーゲン産生及び筋線維芽細胞表現型への分化を誘発することが示されている(Borowski et al., J. British Soc. Allergy Clin. Immunol., 38: 619-628 (2008); Hashimoto et al., J. Allergy Clin. Immunol., 107: 1001-1008 (2001); Murray, et al., Int. J. Biochem. Cell Biol., 40: 2174-2182 (2008); Saito et al., Intl. Archives Allergy Immunol., 132: 168-176 (2003))。あるいは、活性化マクロファージはまた、線維芽細胞及び筋線維芽細胞を刺激するTGFβ及びPDGFなどの増殖因子を生産する能に一部が基づいた、線維形成プロセスの主な原因であることが提案されている。IL−4及びIL−13は、代替的に活性化されたマクロファージ表現型の強力な誘発因子であり、これらの細胞におけるその活性を介して、少なくとも部分的に線維形成応答を駆動することができる(Doyle et al., Eur. J. Immunol., 24: 1441-1445 (1994); Song et al., Cell. Immunol., 204: 19-28 (2000); Wynn and Barron, Seminars Liver Dis., 30: 245-257 (2010)。

IL−4及びIL−13はまた、インビボで複数の組織における線維形成応答を駆動することができる。マウスの肺におけるIL−4又はIL−13のトランスジェニック過剰発現は、コラーゲン遺伝子の発現及び重度の上皮下線維症を誘発するのに十分である(Lee et al., J. Exper. Med., 194: 890-821 (2001); Ma et al. J. Clin. Invest., 116: 1274-1283 (2006); Zhu et al., J. Clin. Invest. 103: 779-788 (1999))。更に、多くの研究が、前臨床動物モデルにおける線維症のドライバーとしてIL−4及びIL−13の役割を実証した。IL−13の標的型破壊を有する又はIL−13に特異的な遮断抗体で処置されたマウスは、ブレオマイシン及びFITC誘発性肺線維症モデルにおける細胞外マトリックスの沈着の減少を示している(Belperio et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 27: 419-427 (2002); Kolodsick et al., J. Immunol., 172: 4068-4076 (2004); Liu et al., J. Immunol., 173: 3425-3431 (2004))。同様に、IL−4は、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルにおける線維性応答の維持において重要であることが示されている(Huaux et al., J. Immunol., 170: 2083-2092 (2003))。

複数の研究が、IPF患者においてIL−4及び/又はIL−13の発現及び活性が上昇していると結論付けている。IL−4、IL−13及びIL−4/IL−13受容体サブユニットの発現は、IPF患者からの肺生検試料において、正常対照と比較して、mRNA及びタンパク質レベルの両方で増加していることが見出された(Jakubziak et al., J. Clin. Pathol., 57: 477-486 (2004))。特に、本研究において、IL−4又はIL−13シグナル伝達によって高度に誘発される遺伝子、IL−13Rα2が、免疫組織化学によりIPF生検における線維芽細胞の病巣で発現されることが見出され、これらの細胞における活性なIL−4又はIL−13シグナル伝達を示唆している。IL−4及びIL−13はまた、正常対照と比較して、IPF患者の気管支肺胞洗浄液において上昇することが見出された。注目すべきことに、これらの試料におけるIL−13のレベルは肺機能の鍵となる基準である、FVC及びDLCOの予測されるパーセントと負に相関し(Park et al., J. Korean Med. Sci., 24: 614-620 (2009))、IPF患者におけるIL−13の病原性機能を示唆している。

IPFの患者は、代替治療の選択肢をなお必要としている。従って、IPFを治療するためのより良好な治療及びIPF患者を治療する方法を理解するための改良された方法を同定するための必要がある。

本明細書に引用される全ての参考文献は、特許出願及び刊行物を含み、任意の目的のためにその全体が本明細書において参照により援用される。

要旨 幾つかの実施態様において、多重特異性抗体が提供され、ここで、多重特異性抗体は、IL−4に特異的に結合する第一のVH/VLユニット、及びIL−13に特異的に結合する第二のVH/VLユニットを含む、抗原結合ドメインを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は: a)IL−4受容体アルファ(IL−4Rα)へのIL−4の結合を阻害する、 b)インビトロで細胞のIL−4誘発性増殖を阻害する、及び/又は b)インビトロで細胞のIL−13誘発性増殖を阻害する。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体の第一のVH/VLユニットは、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。一実施態様において、第一のVH/VLユニットは、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。一実施態様において、第一のVH/VLユニットは、配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、第一のVH/VLユニットは、(a)配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列を含む。幾つかの実施態様において、第一のVH/VLユニットは、配列番号1及び3から9から選択されるVH配列を含む。幾つかの実施態様において、第一のVH/VLユニットは、配列番号2、10及び11から選択されるVL配列を含む。幾つかの実施態様において、第一のVH/VLユニットは、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む。

本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;又は(b)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、(a)配列番号21のアミノ酸配列又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;又は(b)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は(b)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、(a)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(b)配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;(c)(a)に記載のVH配列及び(b)に記載のVL配列;(d)配列番号49のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(e)配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;又は(f)(d)に記載のVH配列及び(e)に記載のVL配列を含み得る。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、配列番号19、56、又は49のVH配列を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、配列番号20、57、又は49のVL配列を含む。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体の第二のVH/VLユニットは、配列番号19又は56のVH配列及び配列番号20又は57のVL配列;又は配列番号49のVH配列及び配列番号48のVL配列を含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む抗体と、IL−4に対する結合を競合する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む抗体と、又は配列番号49のVH配列及び配列番号48のVL配列を含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号29のアミノ酸77から89の範囲内で、又は配列番号29のアミノ酸82から89の範囲内で、エピトープに結合する。

幾つかの実施態様において、IL−4に特異的に結合する第一のVH/VLユニット及びIL−13に特異的に結合する第二のVH/VLユニットを含む多重特異性抗体が提供され、ここで、第一のVH/VLユニットは、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含み並びに第二のVH/VLユニットは、配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む。

本発明に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体はIgG抗体であり得る。本発明に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体はIgG1又はIgG4抗体であり得る。本発明に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体はIgG4抗体であり得る。

本発明に記載される実施態様の何れかにおいて、多重特異性抗体は、第一の重鎖定常領域及び第二の重鎖定常領域を含むことができ、ここで、第一の重鎖定常領域はノブ(knob)変異を含み、かつ第二の重鎖定常領域はホール(hole)変異を含む。幾つかの実施態様において、第一の重鎖定常領域は、IL−4に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される。幾つかの実施態様において、第二の重鎖定常領域は、IL−13に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される。幾つかの実施態様において、第一の重鎖定常領域は、IL−13に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される。幾つかの実施態様において、第二の重鎖定常領域は、IL−4に結合するVH/VLユニットの重鎖可変領域部分に融合される。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、T366W変異を含むノブ変異を含むIgG1抗体である。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つの変異を含むホール変異を含むIgG1抗体である。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、T366W変異を含むノブ変異を含むIgG4抗体である。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される少なくとも一つ、少なくとも二つ、又は三つの変異を含むホール変異を含むIgG4抗体である。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号34又は配列番号36の配列を含む第一の重鎖定常領域を含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号35又は配列番号37の配列を含む第二の重鎖定常領域を含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体が提供され、ここで該多重特異性抗体は、配列番号38の配列を含む第一の重鎖、配列番号39の配列を含む第一の軽鎖、配列番号40の配列を含む第二の重鎖、及び配列番号41の配列を含む第二の軽鎖を含む。

幾つかの実施態様において、IL−4に結合する単離された抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;又は(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;又は(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3;又は(d)配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;又は(e)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列、及び配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号1及び3から9から選択されるVH配列を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号2、10及び11から選択されるVL配列を含む。

幾つかの実施態様において、ILー4に結合する単離された抗体が提供され、ここで、該抗体は配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む。

幾つかの実施態様において、本明細書に記載される二重特異性抗体又は単離された抗体の何れかをコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される多重特異性抗体の何れかの第一のVH/VLユニットをコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される多重特異性抗体の何れかの第二のVH/VLユニットをコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、単離された核酸を含む宿主細胞が提供される。幾つかの実施態様において、宿主細胞は、大腸菌細胞又はCHO細胞である。幾つかの実施態様において、宿主細胞を培養することを含む、抗体を生成する方法が提供される。

幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートが提供され、ここでイムノコンジュゲートは、本明細書に記載される多重特異性抗体又は単離された抗体の何れか及び細胞傷害性薬物を含む。

幾つかの実施態様において、本明細書に記載される多重特異性抗体又は単離された抗体の何れか及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的製剤が提供される。

幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、医薬として使用のために提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、 好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−4媒介性疾患又は呼吸器疾患の治療において使用のために提供される。幾つかの実施態様において、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−4媒介性疾患又は呼吸器疾患の治療のための医薬の製造における本明細書に記載される抗体の使用が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗体の有効量を個体に投与することを含む、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、IL−4媒介性疾患又は呼吸器疾患を治療する方法が提供される。幾つかの実施態様において、方法は、TH2経路阻害剤を個体に投与することを更に含む。幾つかの実施態様において、TH2経路阻害剤は、ITK、BTK、IL−9、IL−5、IL−13、IL−4、OX40L、TSLP、IL−25、IL−33、IgE、IL−9受容体、IL−5受容体、IL−4受容体アルファ、IL−13受容体アルファ1、IL−13受容体アルファ2、OX40、TSLP−R、IL−7Rアルファ、IL17RB、ST2、CCR3、CCR4、CRTH2、FcイプシロンRI、FcイプシロンRII/CD23、Flap、Sykキナーゼ;CCR4、TLR9、CCR3、IL5、IL3、及びGM−CSFから選択される少なくとも一の標的を阻害する。幾つかの実施態様において、個体は中等度から重度の喘息に罹患している。幾つかの実施態様において、個体は特発性肺線維症に罹患している。

本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、好酸球性疾患は、喘息、重度の喘息、慢性喘息、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、多形性紅斑、疱性皮膚疾患、乾癬、湿疹、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、エピソード血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、蕁麻疹、オンコセルカ皮膚炎、好酸球関連胃腸疾患、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、潰瘍性大腸炎、ウィップル病、鼻マイクロポリープ、鼻ポリープ、アスピリン不耐症、閉塞性睡眠時無呼吸、クローン病、強皮症、心内膜心筋線維症、線維症、炎症性腸疾患、特発性間質性肺炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、杯細胞化生、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、硬化症に続発する肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、ブドウ膜炎、がん、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択され得る。幾つかの実施態様において、IL−13媒介性疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、IL−4媒介性疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、がん、神経膠芽腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択される。本明細書に記載される実施態様の何れかにおいて、呼吸器疾患は、喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、タバコ誘発性肺気腫、気道炎症、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、及び気管支拡張症から選択され得る。

図1は、実施例2に記載されるように、抗体19C11は、IL−4受容体活性化の強力なアンタゴニストであることを示している。(A)19C11は、固定化されたIL−4RαへのIL−4結合をブロックする。19C11(黒丸)、対照IgG(白正方形)、IgG無し(白三形)。(B)19C11抗体は、TF−1細胞のIL−4誘導性増殖を阻害する。19C11(黒丸)、対照IgG(白正方形)、IgG無し(白三角形).IL−4の添加無し(黒三角形)

図2は、実施例4に記載されるように、大腸菌におけるIgG1アイソタイプとしての抗IL−13ノブ及び抗IL−4ホールの(A)非還元型試料及び(B)還元型試料のウェスタンブロットを示す。断片の命名は、重鎖(H)及び軽鎖(L)であり、レーンのラベルはM(分子量標準)C(対照、抗体を発現しないプラスミド)である。図2はまた、実施例5に記載されるように、抗IL−13.ノブ(C)及び抗IL−4.ホール(D)についての異なるアイソタイプ及び変異を比較するイムノブロットを示す。上のパネルは、非還元条件を示し、構築された半抗体(HL)を表し、一方下のパネルは、還元条件を示しており、重鎖及び軽鎖の同様の量が全ての変異体について合成されていることを実証している。

図3は、実施例6に記載されるように、二重特異性抗体の解析評価を示す。(A)構築された二重特異性抗体のサイズ排除クロマトグラフィー。挿入は高分子量領域上の同じグラフの拡大図を示す。(B)構築された二重特異性抗体の非還元型CE−SDS−PAGEのは、ヒンジジスルフィドの形成及び鎖間ジスルフィドの完全性を確認した。メインピークの面積は、形成された形成鎖間ジスルフィドを有するインタクトな抗体に相当する。幾つかのマイナーなピーク種は、ヘテロダイマーを安定化する完全な鎖間ジスルフィドを欠いているインタクトな抗体の反映している。(C)還元型CE−SDSは、軽鎖及び重鎖の予想される分布の存在を確認し、その材料の純度を示した。インタクトな軽鎖及び重鎖のメインピークは別として、トレースピークのみが検出された。

図4は、実施例6に記載されるように、インタクトな(A)IgG1−、(B)IgG4−及び(C)IgG4

R409Kアイソタイプに基づく二重特異性抗体のESI−TOF質量分析を示す。

図5は、実施例8に記載されるように、抗IL−4/IL−13IgG1アイソタイプ及び抗IL−4/IL−13IgG4アイソタイプ二重特異性抗体による、ヒトIL−4ー(A)、ヒトIL−13−(B)、又はヒトIL−4/IL−13−(C)誘導性増殖の用量依存性阻害を示す。抗IL−4/IL−13IgG1アイソタイプ(黒丸)、抗IL−4/IL−13IgG4アイソタイプ(白三角)、抗体の添加無し(白四角)、サイトカイン及び抗体の添加無し(黒四角)。

図6は、実施例8に記載されるように、抗IL−4/IL−13IgG1アイソタイプ及び抗IL−4/IL−13IgG4アイソタイプ二重特異性抗体による、カニクイザルIL−4ー(A)及びカニクイザルIL−13−(B)誘導性増殖の用量依存性阻害を示す。抗IL−4/IL−13IgG1アイソタイプ(黒丸)、抗IL−4/IL−13IgG4アイソタイプ((A)の黒丸、(B)の白三角)、抗体の添加無し(白四角)、サイトカイン及び抗体の添加無し(黒四角)。

図7は、実施例8に記載されるように、カニクイザルにおける単回の静脈内又は皮下投与の投与後の、血清の抗IL−4/IL−13のIgG4(A)及びIgG1(B)二重特異性抗体の濃度の平均値(±SD)を示す。ELISAの定量の限界(LOQ)は0.078μg/mLであった。LOQを超える全データが使用され、かつLOQ以下の全データは除外された。SDはn≦2の場合には計算されなかった。

図8は、実施例10に記載されるように、アレルゲンに曝露された喘息の反応を模倣するアレルギー性炎症反応を誘発するA.suum抽出物で曝露されたカニクイザルへの静脈内投与後の、抗IL−4/IL−13のIgG4及び抗IL−4/IL−13 IgG1抗体の気管支肺胞洗浄(BAL)液の濃度及び上皮被覆液(ELF)の濃度を示す。抗IL−4/IL−13のELISAの定量の限界(LOQ)は0.078μg/mLであった。LOQを超える全データが使用され、かつLOQ以下の全データは除外された。SDはn≦2の場合には計算されなかった。

図9は、実施例11に記載されるように、(A)アレルギー性気道炎症及び喘息のマウスモデルの治療のための研究デザインを示す。図9は、実施例11に記載されるように、様々な処置後のアレルギー性気道炎症及び喘息のマウスモデル動物における、(B)肺好酸球数、(C)気管支肺胞洗浄液の好酸球数、(D)抗原特異的IgEのレベル、及び(E)血清TARCレベルを示す。各棒グラフにおいて、最初の4つの棒は、左から右に:対照処置、抗IL−4抗体処置、抗IL−13抗体処置、及び抗IL−4/IL−13二重特異性抗体処置である。第五及び第六の棒は、存在する場合に、ナイーブマウスである。

図10は、実施例3に記載されるように、ヒトκ1軽鎖可変領域のコンセンサス配列(配列番号61)、mu19C11抗体軽鎖可変領域(配列番号2)、及び19C11−κ1グラフト軽鎖可変領域(配列番号10)のアミノ酸配列を示す。位置は、Kabatに従って番号付けされ、及び可変軽鎖カッパIコンセンサスフレームワークにmu19C11からグラフトされた超可変領域は四角で囲まれている。

図11は、実施例3に記載されるように、ヒトκ3軽鎖可変領域のコンセンサス配列(配列番号62)、mu19C11抗体軽鎖可変領域(配列番号2)、及び19C11−κ3グラフト軽鎖可変領域(配列番号11)についてのアミノ酸配列を示す。位置は、Kabatに従って番号付けされ、及び可変軽鎖カッパIコンセンサスフレームワークにmu19C11からグラフトされた超可変領域は四角で囲まれている。

図12は、実施例3に記載されるように、ヒトVH1重鎖可変領域コンセンサス配列(配列番号63)、mu19C11抗体重鎖可変領域(配列番号1)、並びに19C11−VH1グラフト(配列番号3)、19C11−VH1.L(配列番号4)、及び19C11−VH1.FFL(配列番号5)重鎖可変領域についてのアミノ酸配列を示す。位置は、Kabatに従って番号付けされ、並びに超可変領域及び可変重鎖サブグループIコンセンサスフレームワークに相当するmu19C11から取られたバーニア位置は四角で囲まれている。

図13は、実施例3に記載されるように、ヒトVH3重鎖可変領域コンセンサス配列(配列番号64)、mu19C11抗体重鎖可変領域(配列番号1)、並びに19C11−VH3グラフト(配列番号6)、19C11−VH3.FLA(配列番号7)、19C11−VH3.LA(配列番号8)及び19C11−VH3.LA.SV(配列番号9)重鎖可変領域についてのアミノ酸配列を示す。位置は、Kabatに従って番号付けされ、並びに超可変領域及び可変重鎖サブグループIコンセンサスフレームワークに相当するmu19C11から取られたバーニア位置は四角で囲まれている。

図14は、実施例3に記載されるように、IL−4に対するヒト化抗体の表面プラズモン共鳴(SPR)親和性測定の表を示す。

図15は、実施例7に記載されるように、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の濃度を増加させることによる、ヒトIL−4Rに対するビオチン化ヒトIL−4結合の阻害のプロットを示す。

図16は、実施例7に記載されるように、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の濃度を増加させることによる、IL−13Rα1に対するビオチン化ヒトIL−13結合の阻害のプロットを示す。

図17は、実施例7に記載されるように、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の濃度を増加させることによる、IL−13Rα2に対するビオチン化ヒトIL−13結合の阻害のプロットを示す。

図18は、実施例7に記載されるように、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の存在下における、IL−13に対するIL−13Rα2の結合についてのSPRセンサーグラムを示す。示されるラインは、12.5nMから200nMの範囲の受容体の2倍の濃度系列を表す。

詳細な説明 別に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994), and March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4th ed., John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、本願において使用される多くの用語に対する一般的な指針を当業者に提供する。

所定の定義 本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、適切な場合はいつでも、単数で使用される用語はまたその逆も複数形を含む。以下に記載される任意の定義が、参照により本明細書に組み込まれた任意の文書と競合する場合では、以下に記載の定義が優先されるものとする。

本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかでない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「タンパク質」又は「抗体」は、複数のタンパク質又は抗体をそれぞれ包含し;「細胞」への参照は細胞の混合物などを含める。

本明細書で使用される用語「生物学的試料」は、限定されないが、血液、血清、血漿、唾液、気管支肺胞洗浄液、組織生検(例えば、肺試料)、及び鼻腔スワブ又は鼻ポリープを含む鼻試料を含む。

FENOアッセイは、FENO(分別呼気一酸化窒素)を測定するアッセイを指す。そのレベルは、例えば、2005年に米国胸部学会(ATS)が発行したガイドラインに従っている、手持ち携帯装置のNIOX MINOTM(Aerocrine,Solna,Sweden)を使用して評価することができる。FENOは他の同様の方法、例えばFeNO又はFENOで留意され得、全てのその類似の異形が同じ意味を持つことが理解されるべきである。

喘息は、可変性と再発性の症状を特徴とする複雑な疾患で、根底にある炎症と関連し得るか又は関連し得ない、可逆性気道閉塞(例えば、気管支拡張による)及び気管支過感受性である。喘息の例としては、アスピリン感受性/悪化喘息、アトピー性喘息、重度の喘息、軽度の喘息、中等度から重度の喘息、コルチコステロイドナイーブ喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療喘息、喫煙による喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息、及び J Allergy Clin Immunol (2010) 126(5):926-938に述べられるような他の喘息を含む。

好酸球性疾患とは、過剰の好酸球数に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的又は全身的な好酸球のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。過剰好酸球数又は活動に関連する疾患としては、限定されないが、喘息(アスピリン感受性喘息、慢性喘息、及び重度の喘息を含む)、アトピー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アレルギー性鼻炎(季節性アレルギー性鼻炎を含む)、非アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、多形性紅斑、水疱性皮膚疾患、乾癬、湿疹、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎プラスアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、エピソード血管浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、蕁麻疹、オンコセルカ皮膚炎、好酸球関連胃腸疾患(EGID)(限定されないが、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、及び好酸球性大腸炎を含む)、潰瘍性大腸炎、ウィップル病、鼻のマイクロポリープ及びポリープ、アスピリン不耐症、閉塞性睡眠時無呼吸、クローン病、強皮症、心内膜心筋線維症、がん(例えば、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫など)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫)、線維症、炎症性腸疾患、特発性間質性肺炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎、杯細胞化生、肺線維症(特発性肺線維症(IPF)及び硬化症に続発する肺線維症を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝線維症、及びブドウ膜炎を含む。好酸球由来の分泌産物はまた、血管新生及び腫瘍における結合組織形成の促進、及び慢性喘息、クローン病、強皮症及び心内膜心筋線維症などの状態で見られる線維化反応に関連している(Munitz A, Levi-Schaffer F. Allergy 2004; 59: 268-75, Adamko et al. Allergy 2005; 60: 13-22, Oldhoff, et al. Allergy 2005; 60: 693-6)。

IL−13媒介性疾患とは、過剰のIL−13レベル又は活性に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的及び/又は全身的なIL−13のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。IL−13媒介性疾患の例は、がん(例えば、非ホジキンリンパ腫、神経膠芽腫)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患(IPFなどの肺線維症を含む)、COPD、及び肝線維症を含む。

IL−4媒介性疾患とは、過剰のIL−4レベル又は活性に関連する疾患であり、その非定型症状は、体内の局所的及び/又は全身的なIL−4のレベル又は活性に起因して現れる場合がある。IL−4媒介性疾患の例は、がん(例えば、非ホジキンリンパ腫、神経膠芽腫)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、線維症、炎症性腸疾患、クローン病、肺の炎症性疾患(IPFなどの肺線維症を含む)、COPD、及び肝線維症を含む。

喘息様症状は、息切れ、咳(痰の産生及び/又は痰の質及び/又は咳周波数の変化)、喘鳴、胸部絞扼感、気管支収縮及び上記の症状の何れか又はこれらの症状の組み合わせに起因する夜間覚醒からなる群から選択される症状が含まれる(Juniper et al (2000) Am. J. Respir. Crit. Care Med., 162(4), 1330ー1334)。

用語「呼吸器疾患」は、限定されないが、喘息(例えば、アレルギー性及び非アレルギー性喘息(例えば、年少の子供たちの中で、例えば呼吸器合胞体ウイルス(RSV)による感染による));気管支炎(例えば、慢性気管支炎);慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、肺気腫(例えば、タバコ誘発性肺気腫);気道炎症、好酸球増加症、線維症、過剰粘液産生、例えば、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎を含む状態が含まれる。気道炎症、過度の気道分泌、及び気道閉塞によって特徴づけることができる疾患の例は、喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、及び嚢胞性線維症が挙げられる。

増悪(一般に喘息発作又は急性の喘息とも呼ばれる)は、息切れ、咳(痰の産生及び/又は痰の質及び/又は咳頻度の変化)、喘鳴、胸部絞扼感、上記の症状又はこれらの症状の組み合わせの何れかに起因する夜間覚醒の新規又は進行性の増加の症状の発現である。増悪はしばしば呼気の気流(PEF又はFEV1)の低下によって特徴付けられる。しかし、PEFの変動性は、増悪からの回復に至るまで又は又はその最中には増加するかもしれないが、増悪の最中には通常は増加しない。増悪の重症度は、軽度から生命を脅かす範囲に及び、症状及び肺機能の両方に基づいて評価することができる。本明細書に記載されるように重度の喘息増悪は、喘息治療のために以下の入院加療、高コルチコステロイドの使用(例えば、一日のコルチコステロイドの総用量又は500マイクログラム以上のFP又は等価物の一日の総用量を3日間又はそれ以上連続して4倍する)、又は経口/非経口のコルチコステロイドの使用の任意の一又は組み合わせをもたらす増悪を含む。

「TH2経路阻害剤」又は「TH2阻害剤」はTH2経路を阻害する薬剤である。TH2経路阻害剤の例は、ITK,BTK,IL−9(例えば、MEDI−528)、IL−5(例えば、メポリズマブ、CAS番号196078−29−2;レシリズマブ(resilizumab))、IL−13(例えば、IMA−026、IMA−638(アンルキンズマブとも言う、INN No.910649−32−0;QAX−576;IL−4/IL−13トラップ)、トラロキヌマブ(CAT−354,CAS番号1044515−88−9とも言う);AER−001、ABT−308(ヒト化13C5.5抗体とも言う)、IL−4(例えばAER−001、IL−4/IL−13トラップ)、OX40L、TSLP、IL−25、IL−33及びIgE(例えば、XOLAIR、QGE−031;MEDI−4212);及び受容体、例えば:IL−9受容体、IL−5受容体(例えば、MEDI−563(ベンラリズマブ、CAS番号1044511−01−4)、IL−4受容体α(例えば、AMG−317、AIR−645)、IL−13受容体α1(例えばR−1671)及びIL−13受容体α2、OX40、TSLP−R、IL−7Rアルファ(TSLPの共受容体)、IL17RB(IL−25の受容体)、ST2(IL−33の受容体)、CCR3、CCR4、CRTH2(例えばAMG−853、AP768、AP−761、MLN6095、ACT129968)、FcepsilonRI、FcepsilonRII/CD23(IgEの受容体)、Flap(例えば、GSK2190915)、Sykキナーゼ(R−343、PF3526299);CCR4(AMG−761)、TLR9(QAX−935)及びCCR3、IL5、IL3、GM−CSFの多重サイトカイン阻害剤(例えば、TPI ASM8)からなる群から選択される標的の何れか一の活性の阻害剤を含む。上記標的の阻害剤の例は、例えば、国際公開第2008/086395号;国際公開第2006/085938号;米国特許第7615213号;米国特許第7,501,121号;国際公開第2006/085938号;国際公開第2007/080174号;米国特許第7807788号;国際公開第2005007699号;国際公開第2007036745号;国際公開第2009/009775号;国際公開第2007/082068号;国際公開第2010/073119号;国際公開第2007/045477号;国際公開第2008/134724号;米国特許出願公開第2009/0047277号;及び国際公開第2008/127271号)に開示されている。

用語「小分子」は、50ダルトンから2500ダルトンの間の分子量を有する有機分子を指す。

用語「抗体」は最も広範な意味で使用され、具体的には例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体及び抗体の断片を網羅する。そのような抗体は、キメラ、ヒト化、ヒト及び合成である。このような抗体及びそれらの生成方法を以下でより詳細に説明する。

用語「多重特異性抗体」は、最も広い意味で用いられ、ポリエピトープ特異性を有する(すなわち、一の生物学的分子上の二以上の異なるエピトープに特異的に結合することが可能である又は二以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することが可能である)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体など)の抗原結合ドメインは、二つのVH/VL単位を含み、ここで、第一のVH/VLユニットは、第一のエピトープに特異的に結合し、第二のVH/VLユニットは、第二のエピトープに特異的に結合し、各VH/VLユニットは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。かかる多重特異性抗体は、限定されないが、完全長抗体、二以上のVL及びVHドメインを有する抗体、Fab、Fv、dsFv、scFvなどの抗体断片、ダイアボディ、二重特異性抗体及びトリアボディ、共有結合的又は非共有結合的に連結されている抗体断片を含む。重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖の定常領域の少なくとも一部を更に含むVH/VLユニットはまた、「ヘミマー」又は「半抗体」と称され得る。幾つかの実施態様によれば、多重特異性抗体は、各エピトープに、5μMから0.001pM、3μMから0.001pM、1μMから0.001pM、0.5μMから0.001pM、又は0.1μMから0.001pMの親和性で結合するIgG抗体である。幾つかの実施態様において、ヘミマーは、分子内ジスルフィド結合が第二ヘミマーとともに形成されるように重鎖可変領域の十分な部分を含む。幾つかの実施態様において、ヘミマーは、例えば、相補的なホール変異又はノブ変異を含む第2ヘミマー又は半抗体とのヘテロ二量体化を許容するノブ変異又はホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下で更に議論される。

「二重特異性抗体」は、一の生物学的分子上の二つの異なるエピトープに特異的に結合することが可能である又は二つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することが可能である抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体である。二重特異性抗体はまた、本明細書において「二重特異性」を有するとして又は「二重特異的」であるとして言及され得る。

本明細書において言及する「ノブ・イントゥー・ホール(knob−into−hole)」又は「KnH」技術という用語は、インビトロ又はインビボで2つのポリペプチドの相互的な対合を導く技術であって、それらが相互作用する界面において一方のポリペプチドに突起(ノブ)を及び他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することによる技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面又はVH/VL界面において導入されている(例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、米国特許出願公開第2007/0178552号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号及びZhu et al., 1997, Protein Science 6:781-788を参照)。幾つかの実施態様において、KnHsは、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖を一緒に対合させることを駆動する。例えば、Fc領域にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインを更に含むことができ、又は類似したもしくは異なる軽鎖可変領域と対合する異なる重鎖可変ドメインを更に含むことができる。KnH技術を用いて、2つの異なるレセプター細胞外ドメインを互いに対合させること、又は(例えばアフィボディ、ペプチボディ及び他のFc融合体を含む)異なる標的認識配列を含む任意の他のポリペプチド配列を対合させることもできる。

本明細書で使用する用語「ノブ変異」は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面でポリペプチドに突起(ノブ)を導入する変異を指す。幾つかの実施態様において、他のポリペプチドは、ホール変異を有する。

本明細書で使用する用語「ホール変異」は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面でポリペプチドに空洞(ホール)を導入する変異を指す。幾つかの実施態様において、他のポリペプチドは、ノブ変異を有する。

用語「治療薬」は疾患を治療することに用いられる任意の薬剤を指す。治療薬は、例えば、ポリペプチド(例えば、抗体、イムノアドヘシン又はペプチボディ)、標的をコードする核酸分子に結合し得るタンパク質又は核酸分子に結合し得るアプタマー又は小分子(すなわち、siRNAを)などであり得る。

用語「コントローラー」又は「プリベンター(preventor)」は、喘息の炎症を制御するために使用される任意の治療薬を指す。コントローラーの例は、コルチコステロイド、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、ジレウトン、プランルカスト、ザフィルルカストロイコトリエンの合成又は活性を阻害する)、LABA、コルチコステロイド/LABAの組合せ組成物、テオフィリン(アミノフィリンを含む)、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、オマリズマブ、LAMA、MABA(例えば、二官能性ムスカリンアンタゴニスト−ベータ2アゴニスト)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害剤、及び酵素PDE−4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)を含む。「第二コントローラー」は典型的には第一コントローラーとは同一でないコントローラーを指す。

用語「コルチコステロイド節約(corticosteroid sparing)」又は「CS」は、他の治療薬の投与に起因する疾患の治療のためにコルチコステロイドを摂取している患者の疾患を治療するために使用されるコルチコステロイドの頻度及び/又は量の減少、又は消失を意味する。「CS節約剤」は、コルチコステロイドを摂取している患者においてCSを生じることが可能な治療薬を指す。

用語「コルチコステロイド」は、限定されないが、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン(FP)を含む)、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベタメタゾン及びトリアムシノロンを含む。「吸入コルチコステロイド」は、吸入による送達に適しているコルチコステロイドを意味する。典型的は吸入コルチコステロイドは、フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデノシド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、及び現在利用可能又は将来利用可能になる他のコルチコステロイドが挙げられる。吸入することができかつ長時間作用型β2−アゴニストと併用されるコルチコステロイドの例は、限定されないが、ブデソニド/ホルモテロール及びフルチカゾン/サルメテロールが含まれる。

コルチコステロイド/LABA併用薬の例は、フロ酸フルチカゾン/ビランテロールトリフェナターテ(vilanterol trifenatate)及びインダカテロール/モメタゾンを含む。

用語「LABA」は、長時間作用型β−2アゴニストを意味し、そのアゴニストは、例えば、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、アルブテロール、インダカテロール、arformoterol及びクレンブテロールが含まれる。

用語「LAMA」は長時間作用型ムスカリンアンタゴニストを意味し、そのアゴニストはチオトロピウムを含む。

LABA/LAMAの組み合わせの例は、限定されないが、オロダテロールチオトロピウム(Boehringer Ingelheim’s)及びインダカテロールグリコピロニウム(Novartis)を含む。

用語「SABA」は、短時間作用型β−2アゴニストを意味し、限定されないが、サルブタモール、レボサルブタモール、フェノテロール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール及びレプロテロールを含む。

ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(時にはleukastと称する)(LTRA)は、ロイコトリエンを阻害する薬物である。ロイコトリエン阻害剤の例には、モンテルカスト、ジロートン、プランルカスト、及びザフィルルカストが含まれる。

用語「FEV1」は、強制呼気の最初の一秒間に吐き出された空気の体積を指す。それは気道閉塞の尺度である。FEV1の20%減少(PC20)を誘導するために必要とされるメサコリンの刺激的濃度は気道過敏性の尺度である。FEV1は他の同様の方法、例えばFEV1で留意され得、全てのその類似の異形が同じ意味を持つことが理解されるべきである。

用語「FEV1の相対的変化」=(治療の第12週でのFEV1−治療開始前のFEV1)をFEV1で割ったもの。

本明細書で使用する場合、「FVC」は、(FEV1のように1秒間に排出された空気の量とは対照的に)残留体積に対して完全吸気と最大呼息の間の肺の空気の体積の変化を測定する標準試験を指す「努力肺活量」を指す。これは、機能的な肺気量の測定値である。IPF、過敏性肺炎、サルコイドーシス、及び全身性硬化症を含む間質性肺疾患のような拘束性肺疾患の患者において、FVCは、肺実質の瘢痕に起因して典型的には低減される。

用語「軽度の喘息」は、一般的に1週間に2回未満の症状又は増悪、1ヶ月に2回未満の夜行性の症状を経験する患者を指し、増悪の間に無症候性である。軽度の、断続的な喘息は以下により必要に応じてしばしば治療される:吸入気管支拡張薬(短時間作用型吸入β2アゴニスト);既知のトリガーの回避;毎年のインフルエンザワクチン接種;6〜10年毎の肺炎球菌ワクチン接種;及び場合によっては同定されたトリガーへの暴露の前の吸入β2−アゴニスト、クロモリン、又はネドクロミル。患者が短時間作用型β2アゴニストの必要性が増加している(例えば、急性増悪のために1日に短時間作用型β2−アゴニストを3〜4回以上使用する又は症状のため1月に一以上のキャニスターを使用する)場合、患者は治療に漸増が必要であり得る。

用語「中等度喘息」は、一般に、患者は週2回以上増悪を経験しかつその増悪が睡眠や活動に影響を与える;患者は1ヶ月2回以上喘息のため夜間に覚醒する;患者は短時間作用型吸入β2−アゴニストを毎日又は一日おきにを必要とする慢性的な喘息症状を持っている;患者のPEF又はFEV1の治療前ベースラインが60から80%と予測され、及びPEF変動が20から30%である喘息を指す。

用語「重度の喘息」は、一般に、患者がほぼ継続した症状、頻繁な増悪、喘息に起因する頻繁な夜間覚醒を有し、活動が制限され、PEF又はFEV1ベースラインが60%未満と予測され、かつPEF変動が20から30%である喘息を指す。

救助薬の例としては、アルブテロール、ベントリンなどが含まれる。

「耐性」とは、治療薬による治療後にほとんど又は全く有意な改善を示さない疾患を指す。例えば、喘息が制御されないままであるか又はFEV1が改善しないかを確定するために、高用量のICS(例えば、一日のコルチコステロイドの総用量又は500マイクログラム以上のFP(又は等価物)の一日の総用量を3日間又はそれ以上連続して4倍する)、又は全身のコルチコステロイドによる治療を要する喘息はしばしば重度の難治性喘息と考えられる。

本明細書に提供される治療薬は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む、任意の適切な手段により投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。幾つかの実施態様では、治療薬は吸入される。幾つかの実施態様によれば、投与は注射、例えば、静脈内又は皮下注射によって与えられる。幾つかの実施態様によれば、治療薬は、注射器(例えば、充填済又は未充填)又はオートインジェクターを使用して投与される。

疾患の予防又は治療のために、治療薬の適量は、治療する疾患のタイプ、疾患の重症度及び過程、治療薬が予防を目的としてか治療を目的として投与されるのかどうか、以前の治療法、患者の病歴、及び薬剤への反応、及び主治医の判断により決定されるであろう。治療剤は、患者に対して、単回、又は一連の治療に渡って適切に投与される。治療薬組成物は良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。これに関連した考慮因子としては、治療すべき具体的な疾患、治療すべき具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の因子が挙げられる。

「患者の応答」又は「応答」(及びその文法的バリエーション)は、限定しないが、(1)減速及び完全な停止を含む疾患の進行のある程度の阻害;(2)疾患の発現及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの縮小;(4)隣接末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(即ち、減少、減速又は完全停止);(5)疾患拡散の阻害(即ち減少、減速又は完全停止);(6)疾病病変の退縮又はアブレーションを、必ずでは無いが、もたらし得る自己免疫応答の減少;(7)疾患に伴う1以上の症状のある程度の軽減;(8)治療後の無病を提示する期間の増加;及び又は(9)治療後の任意の時点での死亡率の減少を含む、患者に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価することができる。

「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の事例的及び典型的な実施態様を本明細書に記載する。

「親和性成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数の超可変領域(HVR)において一又は複数の改変を持つものである。

用語「抗IL−4抗体」及び「IL−4に結合する抗体」は、抗体が、IL−4を標的とし、診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように、十分な親和性でIL−4に結合することができる抗体を指す。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体の、無関係な、非IL−4タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のIL−4への結合の約10%未満である。ある実施態様において、IL−4へ結合する抗体は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。ある実施態様において、抗IL−4抗体は、異なる種由来のIL−4間で保存されているIL−4のエピトープに結合する。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。

用語「抗IL−13抗体」及び「IL−13に結合する抗体」は、抗体が、IL−13を標的とし、診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように、十分な親和性でIL−13に結合することができる抗体を指す。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体の、無関係な、非IL−13タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、抗体のIL−13への結合の約10%未満である。ある実施態様において、IL−13へ結合する抗体は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。ある実施態様において、抗IL−13抗体は、異なる種由来のIL−13間で保存されているIL−13のエピトープに結合する。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。

本明細書における用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。

「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。

参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を、50%又はそれ以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を、50%又はそれ以上遮断する。典型的な競合アッセイが、本明細書において提供される。

本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施態様において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。幾つかの実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLのヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に、配列が同一である。

用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。

抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)へと更に分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。

本明細書で用いられる「細胞傷害性薬物」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を指す。細胞傷害性薬物は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌植物又は動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む);及び様々な抗腫瘍剤又は抗がん剤を包含する。

「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体Fc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。

薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、例えば、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な用量及び期間で有効な量を指す。

用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。幾つかの実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在しているか、又は存在していない場合がある。本明細書に明記されていない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991。

「フレームワーク」又は「FR」は、高頻度可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRのドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。従って、HVR及びFR配列は一般に、VH(又はVL)の以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。

用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。

用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含める。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、継代の数に関係なく、それに由来する一次形質転換細胞及び子孫が含まれる。子孫は親細胞と核酸含量が完全に同一ではないかもしれないが、突然変異が含まれる場合がある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が本明細書において含まれる。

「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。

「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3にあるサブグループである。幾つかの実施態様において、VLについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループカッパIである。幾つかの実施態様において、VHについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループIIIである。

「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。

本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変(「相補性決定領域」又は「CDR」)であるか、及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成するか、及び/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含む抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、抗体は、6つのHVR:VH(H1、H2、H3)に3つ、及びVL(L1、L2、L3)に3つを含む。本明細書における典型的なHVRは、 (a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)); (b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3)で生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)); (c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)、及び93−101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び (d)HVRアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)、及び94−102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組合せを含む。

幾つかの実施態様において、HVR残基は、図10から13において、又は本明細書の他の箇所で同定されるものを含む。

特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上掲のKabatらに従い、本明細書において番号が付けられる。

「イムノコンジュゲート」は、一以上の異種分子にコンジュゲートした抗体であり、限定されないが、細胞傷害性薬剤を含む。

「個体」又は「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む。ある実施態様において、個体又は被験体はヒトである。

「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。幾つかの実施態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、95%以上又は99%の純度に精製される。抗体純度の評価法の総説としては、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照のこと。

「単離された」核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、しかし、その核酸分子は、染色体外又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色体位置に存在している。

「抗IL−4抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞の一以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。

「抗IL3抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞の一以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。

本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」なる修飾語句は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるべきものではない。例えば、モノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。幾つかの実施態様において、モノクローナル抗体は、多重特異性(例えば二重特異性)抗体である。

「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は薬学的製剤中に存在してもよい。

「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造をとる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から成る、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの何れかに割り当てることができる。

用語「添付文書」は、効能、用法、用量、投与、併用療法、禁忌についての情報、及び/又はそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。用語「添付文書」はまた、意図される用途、試験の原理、試薬の調製及び取り扱い、検体の収集及び調製、アッセイのキャリブレーション及びアッセイ手順、アッセイの感度と特異性などの性能と精度のデータに関する情報を含む、治療用製品のコマーシャルパッケージに慣習的に含まれている説明書を指すためにも使用される。

「参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて得られる。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、ソースコードは米国著作権庁、Washington D.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco,Californiaを通して公的に入手可能であり、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、特にデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。

アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される: 分率X/Yの100倍 ここで、Xは、A及びBのプログラムアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2によって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと一致しない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは一致しないと評価されるであろう。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、直前のパラグラフに記載したように、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。

用語「薬学的製剤」は、その中に有効で含有される活性成分の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被検体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない調製物を指す。

「薬学的に許容可能な担体」は、被験体に非毒性であり、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容可能な担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は保存剤を含む。

特に断らない限り、本明細書で使用する用語「IL−4」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来の任意の天然型IL−4を指す。その用語は、「完全長」で未処理のIL−4、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のIL−4を含む。その用語はまた、天然に存在するIL−4の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。典型的なヒトIL−4のアミノ酸配列は、配列番号27及び28、及びSwiss−Protアクセッション番号P05112.2に示される。典型的なカニクイザルIL−4のアミノ酸配列は、配列番号33に示される。

特に断らない限り、本明細書で使用する用語「IL−13」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来の任意の天然型IL−13を指す。その用語は、「完全長」で未処理のIL−13、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のIL−13を含む。その用語はまた、天然に存在するIL−13の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。典型的なヒトIL−13のアミノ酸配列は、配列番号29及び30、及びSwiss−Protアクセッション番号P35225.2に示される。典型的なカニクイザルIL−13のアミノ酸配列は、配列番号32に示される。

本明細書で用いられるように、「治療」(及び「治療する(treat)」又は「治療している(treating)」など文法上の変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の過程においての何れかで実行できる。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、疾患の発症を遅延させるか又は疾患の進行を遅くするために使用される。

用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の可変重鎖ドメイン及び軽鎖(それぞれVH及びVL)は、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)を含む各ドメインを持ち、一般的に似たような構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 第6版, W.H. Freeman and Co., 91頁 (2007)を参照)。単一のVH又はVLドメインは、抗原−結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体は、相補的なVL又はVHドメインのそれぞれのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に特異的に結合する抗体からのVH又はVLドメインを用いて単離することができる。例えば、 Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照。

本明細書で使用される、用語「ベクター」は、それがリンクされている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それらが動作可能なように連結されている核酸の発現を導くことができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と言う。

組成物及び方法 ある実施態様において、IL−4に結合する抗体が提供される。ある実施態様において、IL−4及びIL−13に結合する二重特異性抗体が提供される。抗体は、例えば、呼吸器疾患(例えば、喘息及びIPFなど)、IL−4媒介性疾患、及びIL−13媒介性疾患を含む好酸球性疾患の診断又は治療のために有用である。

典型的な抗IL−4抗体 幾つかの実施態様において、IL−4に結合する単離された抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの施態様において、抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。

幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。

上記実施態様の何れかにおいて、抗IL−4抗体はヒト化される。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号3から9の何れか一のFR1、FR2、FR3及びFR4を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号9のFR1、FR2、FR3及びFR4を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号10か11の何れか一のFR1、FR2、FR3,及びFR4を含むVLを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号10のFR1、FR2、FR3,及びFR4を含むVLを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、配列番号1及び3から9の何れか一のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−4抗体はIL−4へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号9において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−4抗体は、配列番号9のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VHは、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体が提供され、ここで該抗体は、配列番号2、10及び11の何れか一のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−4抗体はIL−4へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号10において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。任意で、抗IL−4抗体は、配列番号10のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体が提供され、その抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかにあるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかにあるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号9及び配列番号10のそれぞれVH及びVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。

幾つかの実施態様において、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む抗IL−4抗体と、IL−4への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−4抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号9のVH配列及び配列番号10のVL配列を含む抗IL−4抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。

幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−4抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。

幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−4抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。

典型的な抗IL−13抗体 幾つかの実施態様において、IL−13に結合する単離された抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。

幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号26から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。

上記実施態様の何れかにおいて、抗IL−13抗体はヒト化される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号19のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号20のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVLを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号56のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号57のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVLを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号19のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号19において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号19のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号56のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、VHは、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、配列番号20のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号20において、合計1から10のアミノ酸が、置換され、挿入され、及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号20のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号57のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。幾つかの実施態様において、VLは、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、その抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかにあるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかにあるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号19又は配列番号58のVH配列、及び配列番号20又は配列番号57のVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。

幾つかの実施態様において、配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む抗IL−13抗体と、IL−13への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、Ultsch, M. et al., Structural Basis of Signaling Blockade by Anti-IL-13 Antibody Lebrikizumab, J. Mol. Biol. (2013), dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.024を参照。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号19のVH配列及び配列番号20のVL配列を含む抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。ある実施態様において、ヒト前駆体IL−13(配列番号29)のアミノ酸63から74又はヒトIL−13(配列番号30)の成熟形態のアミノ酸45から56の範囲内にあるエピトープ(それはYCAALESLINVS(配列番号43)である)に結合する抗体が提供される。ある実施態様において、ヒト前駆体IL−13(配列番号29)のアミノ酸68から75又はヒトIL−13(配列番号30)の成熟形態のアミノ酸50から57の範囲内にあるエピトープ(それはESLINVSG(配列番号42)である)に結合する抗体が提供される。

別の典型的な抗IL−13抗体は、11H4及びhu11H4v6を含むそのヒト化バージョンである。Mu11H4は、配列番号45及び44のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖及び軽鎖可変領域を含む。ヒト化hu11H4v6は、配列番号49及び48のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。ヒト化hu11H4v6は、配列番号47及び46のアミノ酸配列をそれぞれ含む、重鎖及び軽鎖を含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む。 幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む抗体が提供される。幾つかの実施態様において、抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。

幾つかの実施態様において、抗体は、(a)(i)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(iii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含むVHドメイン、及び(b)(i)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含むVLドメインを含む。

幾つかの実施態様において、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体が提供される。

上記実施態様の何れかにおいて、抗IL−13抗体はヒト化される。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、アクセプターヒトフレームワーク、例えばヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号49のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVHを含む。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、上記実施態様の何れかにおけるHVRを含み、更に、配列番号48のFR1、FR2、FR3、及び/又はFR4を含むVLを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、配列番号49のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号49において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(即ち、FRで)起きる。任意で、抗IL−13抗体は、配列番号49のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VHは、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、該抗体は、配列番号48のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。ある実施態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して置換(例えば保存的置換)、挿入、又は欠失を含むが、その配列を含む抗IL−13抗体はIL−13へ結合する能力を保持する。ある実施態様において、配列番号48において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域で(即ち、FRで)起きる。任意で、抗IL−13抗体は、配列番号48のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、VLは、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される一、二、又は三つのHVRを含む。

幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体が提供され、その抗体は、上記に与えられた実施態様の何れかにあるVH、及び上記に与えられた実施態様の何れかにあるVLを含む。幾つかの実施態様において、抗体は、配列番号49及び配列番号48のそれぞれVH及びVL配列を含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。

幾つかの実施態様において、配列番号49のVH配列及び配列番号48のVL配列を含む抗IL−13抗体と、IL−13への結合を競合する抗体が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、Ultsch, M. et al., Structural Basis of Signaling Blockade by Anti-IL-13 Antibody Lebrikizumab, J. Mol. Biol. (2013), dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.053を参照。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。例えば、ある実施態様において、配列番号49のVH配列及び配列番号49のVL配列を含む抗IL−13抗体と同一エピトープに結合する抗体が提供される。

幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−13抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。

幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−13抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。

典型的な抗IL−4/IL−13二重特異性抗体 幾つかの実施態様において、IL−4及びIL−13に特異的に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体のような)が提供される。幾つかの実施態様において、抗原結合ドメインは、他の標的に特異的には結合しない。IL−4及びIL−13に結合する多重特異性抗体は、抗IL−4抗体について本明細書に記載される実施態様の何れかに記載される可変領域の第一の組(VH及びVL;VH/VLユニットとも称する)、及び抗IL−13抗体について本明細書に記載される実施態様の何れかに記載される可変領域の第二の組(VH及びVL;VH/VLユニットとも称する)。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−4に対する結合を競合する第一のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号19又は配列番号56のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号20又は配列番号57のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号19又は配列番号56のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号20又は配列番号57のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号20のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号29のアミノ酸82から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号29のアミノ酸77から89からなるIL−13のエピトープに結合する第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH(重鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVL(軽鎖可変ドメイン)を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号48のアミノ酸配列を含むVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号48のアミノ酸配列を含むVLを含む抗体と、IL−13に対する結合を競合する第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号10のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号19又は配列番号56のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号20又は配列番号57のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む第一のVH及び配列番号10のアミノ酸配列を含む第一のVLを含む第一のVH/VLユニットを含み;かつ配列番号49のアミノ酸配列を含む第二のVH及び配列番号48のアミノ酸配列を含む第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有するVLを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号19のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号20のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有するVH及び配列番号48のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有するVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号19のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号20のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第一のVH及び配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有する第一のVLを含む第一のVH/VLユニット;及び配列番号49のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列同一性を有する第二のVH及び配列番号48のアミノ酸配列に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%,又は100%配列同一性を有する第二のVLを含む第二のVH/VLユニットを含む。ある実施態様において、上記配列において、合計1から10のアミノ酸が、置換、挿入及び/又は欠失している。ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、HVR外の(すなわちFR内の)領域で生じる。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(f)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一、二、三、四、五、又は六つのHVRを含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVH HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVH HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVH HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される、少なくとも一つのVL HVR配列、少なくとも二つのVL HVR配列、又は三つ全てのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13又は配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号21又は配列番号60のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4及びIL−13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで抗体は、(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第一のVH/VLユニット;及び(a)配列番号50のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択される三つのVH HVR配列;及び(a)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び(c)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される三つのVL HVR配列を含む第二のVH/VLユニットを含む。

様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含む。様々な実施態様において、多重特異性抗体は、IL−4に結合する第一のVH/VLユニットを含む第一のヘミマーを含み、ここで第一のヘミマーは、重鎖定常領域内にホール変異を含み、第二のヘミマーは、IL−13に結合する第二のVH/VLユニットを含み、第二のヘミマーは、重鎖定常領域内にノブ変異を含む。幾つかの実施態様において、ホール変異を含む重鎖定常領域は、配列番号35(IgG1)又は配列番号37(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、ノブ変異を含む重鎖定常領域は、配列番号34(IgG1)又は配列番号36(IgG4)に示される配列を有する。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号38の配列を有する第一の重鎖及び配列番号39の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号40又は58の配列を有する第二の重鎖及び配列番号41又は59の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体は、配列番号38の配列を有する第一の重鎖及び配列番号39の配列を有する第一の軽鎖を含む第一のヘミマー並びに配列番号40の配列を有する第二の重鎖及び配列番号41の配列を有する第二の軽鎖を含む第二のヘミマーを含む。

幾つかの実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−4/IL−13多重特異性抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。幾つかの実施態様において、抗IL−4/IL−13多重特異性抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。幾つかの実施態様において、抗体は、全長抗体、例えば、本明細書において定義されるインタクトなIgG1又はIgG4抗体、又は他の抗体クラス又はアイソタイプである。

幾つかの実施態様において、以下のセクション1−7で説明されるように、上記実施態様の何れかに記載の抗IL−4/IL−13多重特異性抗体は、単独又は組み合わせで、任意の特徴を組み込むことができる。

1.抗体親和性 ある実施態様において、本明細書において与えられる抗体は、抗原に対する解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)である。

幾つかの実施態様において、Kdは放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。幾つかの実施態様において、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原により実施される。例えば、非標識抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)−標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する(例として、Chen, et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照)。アッセイの条件を決めるために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc #269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した所望のFabと混合する(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致する)。ついで目的のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまでに長時間(例えばおよそ65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。次いで、溶液を除去し、プレートをPBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したときに、150μl/ウエルのシンチラント(MICROSCINT−20TM;Packard)を添加し、プレートを10分間TOPCOUNTのTMガンマカウンター(Packard)でカウントする。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度が、競合的結合アッセイで使用するために選択される。

幾つかの実施態様によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いるアッセイが、〜10反応単位(RU)で固定した抗原CM5チップを用いて25℃で実施される。幾つかの実施態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、Fabの2倍の段階希釈(0.78nMから500nM)を、25℃で、およそ25μl/分の流速で0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model)(BIACORE(登録商標)Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。例えば、 Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999)を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が106M−1s−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCOTM分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)中、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。

2.抗体断片 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は抗体断片である。抗体断片は、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、及び下記の他の断片を含む。所定の抗体断片の総説については、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthuen, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。

ダイアボディーは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照。トリアボディ及びテトラボディもまた Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。

単一ドメイン抗体は、抗体の、重鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片、又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。ある実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6248516号B1を参照)。

抗体断片は様々な技術で作成することができ、限定されないが、本明細書に記載するように、インタクトな抗体の分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌やファージ)による生産を含む。

3.キメラ及びヒト化抗体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。所定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号;及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。

ある実施態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したまま、ヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が、非ヒト抗体から由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、一以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部をも含む。幾つかの実施態様において、ヒト化抗体の幾つかのFR残基は、抗体特異性又は親和性を回復もしくは改善するめに、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。

ヒト化抗体及びそれらの製造方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に総説され、更に、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989);米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び第7087409号;Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(特異性決定領域(SDR)グラフティングを記述); Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991) (「リサーフェシング」を記述); Dall'Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005) (「FRシャッフリング」を記述);及びOsbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) 及びKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000) (FRのシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載されている。

ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993));軽鎖又は重鎖の可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照);及びFRライブラリースクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及びRosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照)を含む。

4.ヒト抗体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で周知の様々な技術を用いて生成することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001) 及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に一般的に記載されている。

ヒト抗体は、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を持つインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することにより調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに組み込まれている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照。また、例えば、XENOMOUSETM技術を記載している、米国特許第6075181号及び6150584号;HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号)を参照。このような動物で生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、更に改変される可能性がある。

ヒト抗体は、ハイブリドーマベース法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987); and Boerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体はまた、Li et al., PNAS USA, 103:3557-3562 (2006)に記載される。更なる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)及びNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006) (ヒト−ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005) 及びVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載される。

ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に説明する。

5.ライブラリー由来抗体 本明細書に記載される抗体は、所望の活性又は活性(複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、様々な方法が、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてのライブラリーをスクリーニングするために、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001)に総説され、更に、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004); 及びLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)に記載されている。

所定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングされ、ファージライブラリーにランダムに再結合され、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片、又はFab断片の何れかとして提示する。免疫された起源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性を伴うことなく免疫原に高親和性抗体を提供する。代わりに、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されるように、ナイーブなレパートリーが、任意の免疫感作無しで、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対して、抗体の単一起源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブなライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されるように、非常に可変なCDR3領域をコードし、インビトロで再構成を達成するために、幹細胞由来の未転位V遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用することにより合成することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを記述する特許公報は、例えば、米国特許第5750373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号及び第2009/0002360を含む。

ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書でヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。

6.多重特異性抗体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある実施態様において、結合特異性の一つはIL−4に対してであり、他は、任意の他の抗原に対してである。ある実施態様において、結合特異性の一つはIL−4に対してであり、他は、IL−13に対してである。ある実施態様において、二重特異性抗体は、IL−4の2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまた細胞に対して細胞傷害性薬物を局在化させるために用いることができる。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片として調製することができる。

多重特異性抗体を作製するための技術は、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)及び「ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)」エンジニアリング(例えば、米国特許第5731168号;米国特許出願公開第2011/0287009号を参照)を含む。多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ2量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4676980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照);2重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照);単一のVH/VLユニットにおいてCLドメイン及びVHドメイン間でフューリンが切断可能な結合(tether)を使用すること(例えば、国際特許出願番号PCT/US2012/059810を参照);二重特異性抗体フラグメントを作製するため、「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及び、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作成することができる。

「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ改変抗体もまた本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1を参照)。

本明細書中の抗体又は断片はまた、IL−4並びにその他の異なる抗原、例えばIL−13(例えば米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含む、「2重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」を含む。

ノブ・イントゥー・ホール 多重特異性抗体を産生する方法としてのノブ・イントゥー・ホールの使用は、例えば、米国特許第5731168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu, Acta Pharmacol. Sin. (2005) 26(6):649-658、及びKontermann (2005) Acta Pharmacol. Sin., 26:1-9に記載される。簡潔な非限定的な議論が本明細書において提供される。

「突起」とは、ヘテロ多量体を安定させ、それによって、例えばホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成を支持するように、第一のポリペプチドの界面から突き出し、従って隣接界面(即ち、第二のポリペプチドの界面)の代償空洞内に配置可能である少なくとも一つのアミノ酸側鎖を指す。突起は、元の界面に存在し得るか又は(例えば界面をコードする核酸を変更することで)合成的に導入することができる。幾つかの実施態様において、第一のポリペプチドの界面をコードする核酸は、突起をコードするために改変される。これを達成するために、第一のポリペプチドの界面において少なくとも一の「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基より大きい側鎖体積を有する少なくとも一つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸に置換される。複数の元の残基及びそれに対応する移入残基が存在し得ることが理解されるであろう。種々のアミノ酸残基の側鎖の体積が、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号の表1に示される。

幾つかの実施態様において、突起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)から選択される天然に生じるアミノ酸残基である。幾つかの実施態様において、移入残基はトリプトファン又はチロシンである。幾つかの実施態様において、突起の形成のための元の残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン又はバリンなど小さな側鎖の体積を有する。

「空洞(cavity)」は、第二のポリペプチドの界面から窪み、従って、第一のポリペプチドの隣接界面上の対応する突起を収容する少なくとも一つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか又は(例えば界面をコードする核酸を変更することで)合成的に導入することができる。幾つかの実施態様において、第二のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするために改変される。これを達成するために、第二のポリペプチドの界面において少なくとも一の「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基より小さい側鎖体積を有する少なくとも一つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAに置換される。複数の元の残基及びそれに対応する移入残基が存在し得ることが理解されるであろう。幾つかの実施態様において、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)及びバリン(V)から選択される天然に生じるアミノ酸残基である。幾つかの実施態様において、移入残基は、セリン、アラニン又はスレオニンである。幾つかの実施態様において、空洞の形成のための元の残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン又はトリプトファンなど大きな側鎖の体積を有する。

突起は、空洞内に「配置することが可能」であり、このことは、第一ポリペプチド及び第二ポリペプチドのそれぞれの界面上の突起と空洞の空間的位置、及びその突起と空洞の大きさが、界面での第一ポリペプチド及び第二ポリペプチドの正常な会合を著しくを乱すことなく、その突起が空洞中に配置され得るようなものであることを意味している。Tyr、Phe及びTrpなどの突起は通常、界面の軸から垂直に延びておらず、好適なコンフォメーションをとっていないので、対応する空洞と突起の位置合わせは、幾つかの例において、X線結晶構造解析又は核磁気共鳴(NMR)により得られたものなど三次元構造に基づく突起/空洞の対のモデリングに依存し得る。このことは、当該技術分野において広く受け入れられている技術を用いて達成することができる。

幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のノブ変異は、T366Wである。幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vから選択される一以上の変異を含む。幾つかの実施態様において、IgG1定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vを含む。配列番号34は、ノブ変異を有する典型的なIgG1定常領域を示し、配列番号35は、ホール変異を有する典型的なIgG1定常領域を示す。

幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のノブ変異は、T366Wである。幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vから選択される一以上の変異を含む。幾つかの実施態様において、IgG4定常領域中のホール変異は、T366S、L368A及びY407Vを含む。配列番号36は、ノブ変異を有する典型的なIgG4定常領域を示し、配列番号37は、ホール変異を有する典型的なIgG4定常領域を示す。

7.抗体変異体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することにより、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終構築物が、所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終構築物に到達させるために作成され得る。

置換、挿入、及び欠失変異体 ある実施態様において、一つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換型変異誘発の対象となる部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換は、表1の「保存的置換」の見出しの下に示されている。より実質的な変更が、表1の「典型的な置換」の見出しの下に与えられ、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その産物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされる。

アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる: (1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; (2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln; (3)酸性:Asp、Glu; (4)塩基性:His、Lys、Arg; (5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro; (6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.

非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを伴うこととなる。

置換変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の超可変領域残基の置換を含む。一般的には、更なる研究のために選択され得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性を減少)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。典型的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて、簡便に生成され得る。簡潔に言えば、一つ以上のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。

改変(例えば、置換)は、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリから構築し選択し直すことによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)の何れかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが作成される。次いで、ライブラリーが、所望の親和性を持つ抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するする別の方法は、幾つかのHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVRを標的としたアプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、又はモデリングを用いて、特異的に同定され得る。特に、CDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的にされる。

ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一以上のHVR内で生じる可能性がある。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的改変(例えば本明細書で与えられる保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上記に与えられた変異体VH又はVL配列の所定の実施態様において、各HVRは不変であるか、又はわずか1個、2個又は3個のアミノ酸置換が含まれているかの何れかである。

突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085により説明されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを判断するために、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換される。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入され得る。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定する。そのような接触残基及び隣接残基が、置換の候補として標的とされるか又は排除され得る。変異体はそれらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。

アミノ酸配列挿入は、一残基から百以上の残基を含有するポリペプチド長にわたるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えばADEPTの場合)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合を含む。

グリコシル化変異体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、一以上のグリコシル化部位が作成又は削除されるようにアミノ酸配列を変えることによって簡便に達成することができる。

抗体がFc領域を含む場合には、それに付着する糖を変えることができる。哺乳動物細胞によって生成された天然型抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合により一般的に付着した分岐鎖、二分岐オリゴ糖を含んでいる。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合した、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、シアル酸、並びにフコースを含み得る。幾つかの実施態様において、本明細書で提供される抗体のオリゴ糖の改変は、一定の改善された特性を有する抗体変異体を作成するために行われ得る。

幾つかの実施態様において、抗体変異体は、Fc領域に(直接又は間接的に)付着されたフコースを欠いた糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体のフコース量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるAsn297に付着している全ての糖構造の合計(例えば、コンプレックス、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対して、Asn297の糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域(Fc領域残基のEU番号付け)でおよそ297の位置に位置するアスパラギン残基を指し、しかし、Asn297もまた位置297の上流又は下流のおよそ±3アミノ酸に、すなわち抗体の軽微な配列変異に起因して、位置294と300の間に配置され得る。このようなフコシル化変異体はADCC機能を改善させた可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(協和発酵工業株式会社)を参照。「フコース非修飾」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;国際公開第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;米国特許出願公開第2002/0164328号;米国特許出願公開第2004/0093621号;米国特許出願公開第2004/0132140号;米国特許出願公開第2004/0110704号;米国特許出願公開第2004/0110282号;米国特許出願公開第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;国際公開第2003/084570号;国際公開第2005/035586号;国際公開第2005/035778号;国際公開第2005/053742号;国際公開第2002/031140号;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。非フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1、Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1、Adamsら、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004); Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)を含む。

抗体変異体は、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を更に備えている。このような抗体変異体はフコシル化を減少させ、及び/又はADCC機能を改善している可能性がある。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairettら);米国特許第6602684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体変異体も提供される。このような抗体変異体はCDC機能を改善させた可能性がある。このような抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。

Fc領域変異体 ある実施態様において、一以上のアミノ酸改変を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入することができ、それによってFc領域変異体を生成する。Fc領域の変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域の配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含んでもよい。

幾つかの実施態様において、重鎖定常領域などの抗体定常領域は、多重特異性抗体の形成を促進する、ノブ変異及び/又はホール変異を含む。非限定的で例示的なノブ変異及びホール変異、及びノブ・イントゥー・ホール技術は、一般に、例えば、米国特許第5731168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu, Acta Pharmacol. Sin. (2005) 26(6):649-658、及びKontermann (2005) Acta Pharmacol. Sin., 26:1-9に記載されている。特定の非限定的で例示的なノブ変異及びホール変異は本明細書において議論される。

ある実施態様において、インビボにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体及びADCCなど)が不要又は有害である適応のための望ましい候補とならしめる、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体変異体が提供される。インビトロ及び/又はインビボでの細胞毒性アッセイを、CDC活性及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認するために行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠くが(それゆえ、おそらくADCC活性を欠く)、FcRn結合能力を保持していることを確認するために行うことができる。ADCCを媒介する初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照)及びHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985); 5,821,337 (Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照)に説明される。あるいは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は更に、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al., PNAS USA 95:652-656 (1998)に開示されるように、インビボで、例えば動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイはまた、抗体が体C1qを結合することができないこと、したがって、CDC活性を欠いていることを確認するために行うことができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996); Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。FcRn結合、及びインビボでのクリアランス/半減期の測定はまた、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova, S.B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照)。

エフェクター機能が減少した抗体は、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327、329の一つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の2以上での置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。

FcRへの改善又は減少させた結合を持つ特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001))。

ある実施態様において、抗体変異体はADCCを改善する一以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334における置換(EUの残基番号付け)を含む。

幾つかの実施態様において、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)に記述されるように、改変された(即ち、改善され又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生じる、Fc領域における改変がなされる。

増加した半減期を持ち、胎仔への母性IgGの移送を担う、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) 及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))が、米国特許出願公開第2005/0014934号(A1)(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する一以上の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域の残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の一以上の置換、例えば、Fc領域の残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7371826号)。

Fc領域の変異体の他の例に関しては、Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照のこと。

幾つかの実施態様において、抗体の定常領域は、本明細書において議論される一以上の変異(例えば、ノブ及び/又はホール変異及び/又は安定性を増大させる変異及び/又はADCCを減少させる変異など)を含む。

システイン操作抗体変異体 ある実施態様において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「thioMAb(複数)」を作成することが望まれ得る。特定の実施態様において、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中で更に記載されるように、イムノコンジュゲートを作成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬剤部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするために使用することができる。ある実施態様において、一以上の以下の残基がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。

抗体誘導体 ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手される追加の非タンパク質部分を含むように更に改変することができる。抗体の誘導体化に適した部分としては、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体又はランダム共重合体の何れか)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物を包含する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドはその水中での安定性のために製造上の利点を有し得る。ポリマーは何れかの分子量のものであってよく、そして分枝鎖又は未分枝鎖であってよい。抗体に結合するポリマーの数は変動してよく、そして、一以上の重合体が結合する場合は、それらは同じか又は異なる分子であることができる。一般的に、誘導体化に使用するポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、向上させるべき抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が限定された条件下で治療に使用されるのか等を含む検討事項に基づいて決定することができる。

幾つかの実施態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱されてもよい抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。幾つかの実施態様において、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005)。放射線は、任意の波長であって良いが、限定されないものの、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近位細胞が死滅される温度に非タンパク質部分を加熱する波長が含まれる。

組換え方法及び組成物 抗体は、例えば米国特許第4,816,567号で説明したように、組換えの方法及び組成物を用いて製造することができる。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−4抗体をコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−13抗体をコードする単離された核酸が提供される。幾つかの実施態様において、本明細書に記載される抗IL−4/IL−13抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。幾つかの実施態様において、そのような核酸を含む一以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。幾つかの実施態様において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施態様において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二ベクターを含む(例えば、それらにより形質転換される)。

幾つかの実施態様において、宿主細胞は、真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。幾つかの実施態様において、抗体を作る方法が提供され、その方法は、上記のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、及び必要に応じて、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。

幾つかの実施態様において、多重特異性抗体を作る方法が提供され、その方法は、抗体の発現に適した条件下で、多重特異性抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、必要に応じて、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から多重特異性抗体を回収することを含む。幾つかの実施態様において、多重特異性抗体を作成する方法が提供され、ここで、方法は、第一のVH/VLユニットの発現に適した条件下で、多重特異性抗体(もしあれば、ときには「ヘミマー」又は「半抗体」と称される定常領域を含む)の第一のVH/VLユニットをコードする核酸を含む第一の宿主細胞を培養すること、及び任意で、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から第一のVH/VLユニットを回収すること、並びに第二のVH/VLユニットの発現に適した条件下で、多重特異性抗体(もしあれば、ときには「ヘミマー」又は「半抗体」と称される定常領域を含む)の第二のVH/VLユニットをコードする核酸を含む第二の宿主細胞を培養すること、及び任意で、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から第二のVH/VLユニットを回収することを含む。幾つかの実施態様において、方法は、単離された第一のVH/VLユニット及び単離された第二のVH/VLユニットから多重特異性抗体を構築することを更に含む。かかるアセンブリーは、幾つかの実施態様において、2つのVH/VLユニット(又はヘミマー)間の分子内ジスルフィドを形成する還元工程を含み得る。多重特異性抗体を生成する非限定的で例示的な方法は、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、米国特許出願公開第2007/0196363号、米国特許出願公開第2007/0178552、米国特許第5731168号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、及びZhu et al., 1997, Protein Science 6:781-788に記述される。非限定的で例示的な方法はまた、以下の実施例に記述される。

抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の組換え生産のために、例えば上述したように、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内での更なるクローニング及び/又は発現のために一以上のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離され、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。

抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適切な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は、細菌で産生することができる。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、第5789199号及び第5840523号を参照。(また、大腸菌における抗体の発現を説明している、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254も参照)。発現の後、抗体は可溶性画分において細菌の細胞ペーストから単離され、更に精製することができる。

原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、そのグリコシル化経路が、「ヒト化」されている菌類や酵母菌株を含む抗体をコードするベクターのための、適切なクローニング宿主又は発現宿主であり、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の生成をもたらす。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)、及びLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照。

グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)から派生している。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定され、これらは特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用することができる。

植物細胞培養もまた宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号及び第6417429号(トランスジェニック植物における抗体産生に関するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。

脊椎動物細胞もまた宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293細胞又は293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2)、マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えばMather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照。

例示的なアッセイ 結合アッセイ及びその他のアッセイ 幾つかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロット法など公知の方法により、その抗原結合活性について試験される。

幾つかの実施態様において、競合アッセイを、IL−4に対する結合について本明細書に記載されるIL−4抗体と競合する抗体を同定するために用いることができる。幾つかの実施態様において、競合アッセイを、IL−4及び/又はIL−13に対する結合について本明細書に記載されるIL−4/IL−13二重特異性抗体と競合する抗体を同定するために用いることができる。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−4結合のために、配列番号9を含むVHアミノ酸配列及び配列番号10を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−13結合のために、配列番号19を含むVHアミノ酸配列及び配列番号20を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。ある実施態様において、このような競合抗体は、IL−13結合のために、配列番号49を含むVHアミノ酸配列及び配列番号48を含むVLアミノ酸配列を含む抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な典型的な方法が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols," in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。

典型的な競合アッセイにおいて、固定化IL−4は、IL−4に結合する第一の標識された抗体(例えば、配列番号9を含むVHアミノ酸配列及び配列番号10を含むVLアミノ酸配列を含む抗体)、及びIL−4への結合について第一の抗体と競合する能力について試験される第二の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化IL−4が、第二の未標識の抗体でなく、第一の標識された抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のIL−4への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体が除去され、固定化IL−4に結合した標識の量が測定される。もし、固定化IL−4に結合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が、IL−4への結合に対して、第一の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照。

更なる例示的な競合アッセイにおいて、固定化IL−13は、IL−13に結合する第一の標識された抗体(配列番号19を含むVHアミノ酸配列及び配列番号20を含むVLアミノ酸配列を含む抗体又は配列番号49を含むVHアミノ酸配列及び配列番号48を含むVLアミノ酸配列を含む抗体)、及びIL−13への結合について第一の抗体と競合する能力について試験される第二の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化IL−13が、第二の未標識の抗体でなく、第一の標識された抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第一の抗体のIL−13への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体が除去され、固定化IL−13に結合した標識の量が測定される。もし、固定化IL−13に結合した標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が、IL−13への結合に対して、第一の抗体と競合していることを示している。

活性のアッセイ 幾つかの実施態様において、生物学的活性を有する抗IL−4抗体及び抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、IL−4受容体へのIL−4結合の阻害、IL−4誘導性STAT6リン酸化の阻害、IL−4誘導性細胞増殖の阻害、IgEへのB細胞のIL−4誘導性スイッチングの阻害、喘息の活動、及びIPFの活動を含み得る。幾つかの実施態様において、生物学的活性は、例えば、IL−13受容体(例えば、IL−4Rα及びIL−13Rα1を含むヘテロ二量体受容体)へのIL−13結合の阻害、IL−13誘導性STAT6リン酸化の阻害、IL−13誘導性細胞増殖の阻害、IgEへのB細胞のIL−13誘導性スイッチングの阻害、IL−13誘導性粘液産生の阻害、喘息の活動、及びIPFの活動を含む。インビボ及び/又はインビトロにおいて、かかる生物学的活性を有する抗体もまた提供される。かかる生物学的活性の試験のための非限定的で例示的なアッセイが本明細書に記載され及び/又は当技術分野において周知である。

イムノコンジュゲート 幾つかの実施態様において、一以上の細胞傷害性薬物にコンジュゲートされた抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を含むイムノコンジュゲートが提供される。かかる非限定的で例示的な細胞傷害性薬物は、化学療法剤又は薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)及び放射性同位体を含む。

幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)であって、そこでは抗体は、限定されないが、メイタンシノイド(例えば、米国特許第5208020号、第5416064号及び欧州特許EP0 425235 B1を参照);モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(例えば、米国特許第5635483号及び5780588号及び7498298号を参照)などのアウリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(例えば、米国特許第5712374号、5714586号、5739116号、5767285号、5770701号、5770710号、5773001号、及び5877296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);及びLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998)を参照);ダウノマイシン又はドキソルビシンなどのアントラサイクリン(例えば、Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006); Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006); Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005); Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000); Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002); King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);及び米国特許第6,630,579号を参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;及びCC1065を含む一つ以上の薬物とコンジュゲートしている。

幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートした、本明細書に記載の抗体を含み、限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria oficinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。

幾つかの実施態様において、イムノコンジュゲートは、放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートした本明細書に記載されるような抗体を含む。様々な放射性同位体が、放射性複合体の生産用に利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体を含む。検出のためにコンジュゲートを使用するとき、それはシンチグラフィー試験のための放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像化(磁気共鳴画像化mriとしても知られている)のためのスピン標識、例えば再び、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでよい。

抗体と細胞傷害性薬物のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン−2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。Vitetta et al., Science 238:1098 (1987)に記載されるように、例えば、リシンイムノトキシンを調製することができる。カーボン−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞中に細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ過敏性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)が使用され得る。

本明細書において、イムノコンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販の(例えばPierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aからの)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、及びスルホ−SMPB、SVSB(スクシンイミジル(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むクロスリンカー試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に意図する。

診断及び検出のための方法及び組成物 ある実施態様において、本明細書で提供される抗IL−4抗体の何れかは、生物学的試料中のIL−4の存在を検出するのに有用である。ある実施態様において、本明細書で提供される抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れかは、生物学的試料中のIL−4及び/又はIL−13の存在を検出するのに有用である。本明細書で使用する「検出」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。ある実施態様において、生物学的試料は、血清、血漿、鼻腔スワブ、気管支肺胞洗浄液及び痰などの細胞又は組織を含む。

幾つかの実施態様において、診断又は検出の方法に使用される抗IL−4抗体が提供される。更なる態様において、生物学的試料中のIL−4の存在を検出する方法が提供される。ある実施態様において、本方法は、抗IL−4抗体のIL−4への結合を許容する条件下で、本明細書に記載のように抗IL−4抗体と生物学的試料を接触させること、及び複合体が抗IL−4抗体とIL−4との間に形成されているかどうかを検出することを含む。かかる方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。幾つかの実施態様において、例えばIL−4が患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗IL−4抗体が、抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体、又は任意の他のTH2経路阻害剤による治療に好適な被験体を選択するために使用される。

幾つかの実施態様において、診断又は検出の方法に使用される抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。更なる態様において、生物学的試料中のIL−4及び/又はIL−13の存在を検出する方法が提供される。ある実施態様において、本方法は、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体のIL−4及び/又はIL−13への結合を許容する条件下で、本明細書に記載される抗IL−4/IL−13二重特異性抗体と生物学的試料を接触させること、及び複合体が抗IL−4/IL−13二重特異性抗体とIL−4及び/又はIL−13との間に形成されているかどうかを検出することを含む。かかる方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。幾つかの実施態様において、例えばIL−4及び/又はIL−13が患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体、又は任意の他のTH2経路阻害剤による治療に好適な被験体を選択するために使用される。

抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を用いて診断することができる例示的な疾患が本明細書に提供される。

ある実施態様において、標識された抗IL−4抗体が提供される。ある実施態様において、標識された抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。標識は、限定されるものではないが、(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識など)直接検出される標識又は部分、並びに、例えば、酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分が含まれる。典型的な標識は、限定されないが、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、3H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、色素前駆体を酸化する過酸化水素を利用する酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼと共役したもの、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルなどが含まれる。

薬学的製剤 本明細書に記載の抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の薬学的処方物は、所望の程度の純度を有するその抗体と任意の薬学的に許容される一以上の担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.: Williams and Wilkins PA, USA (1980))とを、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容される担体は、水溶性の中性アクティブヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)などの介在性薬物分散剤、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rHuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968に開示されている。幾つかの実施態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ又は複数の追加のグルコサミノグリカンと組み合わされる。

典型的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性の抗体製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。

本明細書の製剤はまた、治療を受けている特定の徴候のために必要な一以上の活性成分、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものが含まれる場合がある。例えば、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を有するコントローラー及び/又はTH2経路阻害剤を更に提供することが所望され得る。このような活性成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされ適切に存在する。

活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系に(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロ・エマルジョンで調製されたマイクロカプセルに封入されてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示される。

徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。

インビボ投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通して濾過することにより達成することができる。

治療方法及び組成物 本明細書で提供される抗IL−4抗体の何れかを、治療方法で使用することができる。本明細書で提供される抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れかを、治療方法で使用することができる。

ある実施態様において、医薬として使用のための抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、喘息、IPF、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−4媒介性疾患の治療において使用のための抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、治療の方法において使用のための抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。ある実施態様において、抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の有効量を個体に投与することを含む、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−4媒介性疾患を有する個体を治療する方法において使用のための、抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が提供される。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。

上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、好ましくはヒトである。

幾つかの実施態様において、医薬の製造又は調製における抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の使用が提供される。一実施態様において、医薬は、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−4媒介性疾患の治療用である。更なる実施態様において、医薬は、喘息、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−4媒介性疾患を有する個体に、医薬の有効量を投与することを含む、喘息、IPF、呼吸器疾患、好酸球性疾患、IL−13媒介性疾患、又はIL−4媒介性疾患を治療する方法において使用のためである。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の付加的治療剤の有効量を個体に投与することを更に含む。

幾つかの実施態様において、上記治療法の何れかにおいて使用のための、本明細書に記載される抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れかを含む、薬学的製剤が提供される。幾つかの実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れか、及び薬学的に許容可能な担体を含む。幾つかの実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れかと、少なくとも一の付加的治療剤を、例えば後述するように含む。

本明細書において提供される抗体は、治療において、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本明細書において提供される抗体は少なくとも一の付加的な治療剤と同時投与され得る。ある実施態様において、付加的治療剤は、TH2阻害剤である。ある実施態様において、付加的治療剤は、コルチコステロイド、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、LABA、コルチコステロイド/LABAの組合せ組成物、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、オマリズマブ、LAMA、MABA(例えば、二官能性ムスカリンアンタゴニスト−ベータ2アゴニスト)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)阻害剤、又は酵素PDE−4阻害剤である。

上記のこうした併用療法は、併用投与(二以上の治療剤が、同一又は別々の製剤に含まれている)、及び、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の投与が、付加的治療剤又は薬剤の投与の前、同時、及び/又はその後に起きうる分離投与を包含する。幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の投与、及び付加的治療剤の投与は、互いに、約1カ月以内、又は約1、2若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に生じる。

幾つかの実施態様において、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、神経膠芽腫又は非ホジキンリンパ腫などのがんを治療することにおいて使用される。幾つかの実施態様において、本明細書において提供される抗体はまた放射線治療と併用して用いることができる。

抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体(及び任意の付加的な治療剤)は、任意の適切な手段によって投与することができ、経口、肺内、及び鼻腔内、及び局所治療が所望される場合、病巣内投与が含まれる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存し、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一又は複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書で考えられている。

抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。これに関連した考慮因子としては、治療すべき具体的な疾患、治療すべき具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師にとって既知の他の因子が挙げられる。抗体は、必要ではないが任意で、問題となる疾患の予防又は治療のために、現在使用中の一又は複数の薬剤ともに処方される。そのような他の薬剤の有効量は製剤中に存在する抗体の量、疾患又は治療の種類及び上記した他の要因に依存する。これらは一般的には本明細書に記載されるのと同じ用量及び投与経路において、又は、本明細書に記載された用量の1%から99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の用量及び任意の経路により使用される。

疾患の予防又は治療のためには、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の適切な用量(単独で使用されるか、又は、一以上の更なる治療的薬剤との組み合わされる場合)は、治療すべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体を予防又は治療目的のいずれにおいて投与するか、以前の治療、患者の臨床的履歴及び抗体に対する応答性、及び担当医の判断に依存する。抗体は一時的又は一連の治療にわたって患者に適切に投与される。当業者は、疾患の種類及び重症度に応じて、抗体の適切な用量を決定することができる。抗IL−13抗体についての非限定的で例示的な用量は、例えば、PCT公開番号WO2012/083132に記載される。抗体の投与のための一般的な指針は、例えば、Bai et al., Clinical Pharmacokinetics, 51: 119-135 (2012) 及びDeng et al., Expert Opin. Drug Metab. Toxicol. 8(2):141-160 (2012)に見つけることができる。抗体療法の進行は、一般的な技術及びアッセイにより容易にモニターされ得る。

上記の製剤又は治療方法の何れかが、抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の代わりか又はそれに加えて、イムノコンジュゲートを用いて行うことができることが理解される。

製造品 幾つかの実施態様において、上述した疾患の治療、予防、及び/又は診断に有用な物質を含む製造品が提供される。製造品は、容器と容器上ないしは容器に付随するラベル又は添付文書を含んでなる。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等を含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な物質から形成されうる。容器は、疾患の治療、予防、及び/又は診断に有効である、それ自体か、又はその他の組成物と併用される化合物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針による穴あきストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性薬剤は、抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が選択した症状の治療のために使用されることを示している。更に、製造品は、(a)組成物が抗IL−4抗体及び/又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を包含する組成物を含む第一の容器;及び(b)組成物が更なる細胞障害性又はその他の治療的薬剤を包含する組成物を含む第ニの容器を含み得る。幾つかの実施態様において、製造品は、組成物が、特定の病状を治療するのに使用可能であることを示した添付文書を更に含んでいてよい。別法として、又は加えて、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液を含む第二(又は第三)の容器を更に含んでもよい。更に、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。

上記の製造品の何れかは、抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の代わりか又はそれに加えて、本発明のイムノコンジュゲートを含み得ることが理解される。

以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上記に与えられる一般的な説明を前提として、様々な他の実施態様が実施され得ることが理解される。

実施例1−特定の方法及び試薬 表面プラズモン共鳴(SPR)のBIAcore親和性測定 抗IL−4、抗IL−13及び抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の結合反応速度は、ビアコア3000装置(GE Healthcare)による表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて測定された。抗ヒトFc(GE Healthcare)が、製造業者が提供したプロトコルを使用して、アミンベースカップリングを用いてCM5センサーチップ上に固定化された。抗体は、1200共鳴単位(RU)のレベルで捕獲された。

二重特異性結合が、ヒトIL−4、cyno IL−4,ヒトIL−13、ヒトIL−13 R130Q(配列番号31)、及びcyno IL−13に対して、0、3.13、6.25、12.50、25.0、及び50.0nMの濃度で測定された。サイトカインの結合に対するセンサーグラムが、10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、及び0.005%のTween20のランニング緩衝液を用いて、25℃の温度で、30ml/分の流速で2分間の注入時間を用いて記録された。注入後、抗体からのサイトカインの解離は、ランニング緩衝液中で1000秒間監視された。表面は、3M塩化マグネシウムの60μlの注入による結合サイクルの間で再生された。ランニング緩衝液のみを含んだブランクを差し引いた後、抗IL−13/抗IL−4二重特異性抗体へのサイトカインの結合について観察されたセンサーグラムは、製造業者により供給された反応速度及び結合定数を計算するソフトウェアを用いて、1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析された。

表面プラズモン共鳴(SPR)のBIAcore結合競合アッセイ ビアコア3000機器(GE Healthcare)による表面プラズモン共鳴(SPR)測定を使用して、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体によるヒトIL−13へのヒトIL−13Rα2結合の阻害が試験された。ヒトIL−13が、アミンベースカップリングのための製造業者のプロトコルを使用して、CM5センサーチップ上に固定化された。IL−13は、フローセル4(FC4)に985共鳴単位(RU)のレベルで固定化され、未反応の部位はその後、1MのエタノールアミンHClを使用してブロックされた。FC3は、測定の基準細胞として使用され、それは活性化とその後のエタノールアミンによるブロッキングにより調製された。IL−13Rα2(当該技術分野で標準的な方法に従って作製され精製されたヒスチジンタグ付き組換えヒトIL−13Rα2)の結合についてのセンサグラムが、10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、及び0.005%のTween20のランニング緩衝液を用いて、25℃の温度で、30ml/分の流速で2分間の注入時間を用いて記録された。IL−13へのIL−13Rα2の結合についての結合定数を決定するために、12.5から200nMまで濃度を可変したIL−13Rα2の一連の溶液のセンサグラムが記録された。注入後、サイトカインからの受容体の解離は、ランニング緩衝液中で600秒間監視された。表面は、10mMのグリシンHClの60μlの注入による結合サイクルの間で再生された。

抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の存在下におけるIL−13Rα2のIL−13への結合を評価するために、競合抗体の存在下におけるサイトカインに対する受容体の結合を評価するための追加のステップとして、250nMの抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の60μlの注入が添加された。ランニング緩衝液のみを含んだブランクを差し引いた後、競合抗体の非存在下及び存在下における受容体のサイトカインへの結合について観察されたセンサーグラムは、製造業者により供給された反応速度及び結合定数を計算するソフトウェアを用いて、1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析された。

ELISA結合競合アッセイ 抗体が、IL−4がIL−4受容体(IL−4R)への結合を阻害するかどうかを決定するために、ELISAアッセイを用いた。96ウェルプレートにおいて、抗体の150μg/mL(1000nM)溶液が、アッセイ緩衝液(0.05%のTween20及び0.5%ウシ血清アルブミン[BSA]を含む、リン酸緩衝生理食塩水[PBS]、pH7.5)中で3倍に連続希釈され、0.0009、0.003、0.008、0.02、0.07、0.21、0.62、1.9、5.6、16.7、50.0、及び150μg/mL(それぞれ、0.0056、0.017、0.05、0.15、0.46、1.37、4.12、12.3、37、111、333、及び1000nM)の範囲を提供した。各希釈液の量は、35μLであった。各ウェルに、ビオチン化IL4の11.6ng/mL(780pM)溶液の35μLが添加された。その混合液を室温で40分間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルの内容物は、PBS中の可溶性IL−4Rタンパク質(R&D Systems,Cat.No.230−4R/CF)の2.0μg/mL溶液の50μLにより一晩コーティングされ、1%BSAを含有するPBSでブロックされた96ウェルのNunc Maxisorpプレート(Roskilde,Denmark)に移された。40分間のインキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液(0.05%のTween20を含有する1×PBS)で5回洗浄した。次いで、各ウェルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン溶液(Caltag Laboratories,Invitrogen;Carlsbad,CA)50μLを受け取り、40分間インキュベートされた。洗浄緩衝液で5回洗浄した後、テトラメチルベンジジン(TMB)基質(KPL;Gaithersburg,MD)50μLが各ウェルに添加された。数分後、塩酸の1N溶液の50μLが添加され反応を停止させた。プレートを、スペクトラマックス340プレートリーダー(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)を用いて450nMで読み取った。各試料について、450nMでの光学密度(OD)読み取りが、濃度に対してプロットされた。曲線は、カレイダグラフ(Synergy Software;Reading,PA)にプロットされ、4パラメーターフィットを使用してフィットされ又は点の間をプロットした。

抗体が、IL−13Rα1受容体へのIL−13結合を阻害するかどうかを決定するために、ELISAアッセイは、ビオチン化IL−13 R130Q(配列番号31)がビオチン化IL−4の代わりに使用され、かつ可溶性IL−13Rα1−Fcタンパク質(R&D Systems,Cat.No.146−IR−100)が可溶性IL−4R−Fcの代わりに使用される点を除いて、上述のように実質的に実施された。

抗体が、IL−13Rα2受容体へのIL−13結合を阻害するかどうかを決定するために、ELISAアッセイは、ビオチン化IL−13がビオチン化IL−4の代わりに使用され、かつ可溶性IL−13Rα2−Fcタンパク質(R&D Systems,Cat.No.146−IR−100)が可溶性IL−4R−Fcの代わりに使用される点を除いて、上述のように実質的に実施された。

プラスミドの構築及び抗体の発現 抗体は、以前に記述された発現ベクターにクローニングされた(Simmons et al., 2002, J Immunol Methods 263, 133-147)。重鎖及び軽鎖の一又は両方の翻訳開始強度を有するSTIIシグナル配列は、成熟した抗体をコードする配列の前に置かれた。タンパク質発現のため、適切なW3110誘導体中での一晩の培養物(Reilly and Yansura, 2010, Antibody Engineering (Berlin, Heidelberg: Springer Berlin Heidelberg))は、LB(100μg/mlのカルベニシリン)中で30℃で増殖され、CRAP培地(100μg/mlのカルベニシリン)中に1:100希釈され、30℃で24時間増殖された。より大規模な調製のために、例えば、以前に記述されるように(Simmons et al., 2002, J Immunol Methods 263, 133-147)、培養物は10Lの発酵槽中で増殖された。

非還元条件下でのSDS−PAGE分析のために一晩の培養物200μlを回収し、NR−溶解緩衝液(88μlのPopCulture試薬(Novagen)、10μlの100mMのヨードアセトアミド、2μlのlysonase試薬(EMD Biosciences))100μlに再懸濁させた。室温で10分間インキュベートした後、試料は9300 RCFで2分間回転せられ、50μlの上清を新しいチューブに移し、2×SDSサンプル緩衝液(Invitrogen)の同容量と混合された。NuPAGE4−12%ビス−トリス/MESゲル(Invitrogen)上に10μlの試料をロードする前に、試料は、95℃で5分間加熱され、16000rcfで1分間回転された。ゲルはニトロセルロース膜上にiBlot(Invitrogen)によって転送され、IRDye800CWがコンジュゲートした抗ヒトIgG F(c)抗体(Rockland)を用いてイムノブロットされ、LICORオデッセイイメージャーを用いて画像化された。

還元細胞試料の全てについて、細胞ペレットは、R−溶解緩衝液(10μlの1M DTT、88μlのPopCulture試薬(Novagen)、2μlのlysonase)に再懸濁され、試料が2×SDS試料緩衝液と混合される前に、室温で10分間インキュベートされた。ウェスタンブロットは、IRDye800CWがコンジュゲートした抗ヒト抗体(Rockland)が免疫検出のために使用されることを除いて、前述されるような画像である。

精製及び二重特異性抗体の構築 大腸菌全細胞ブロスをGEA(Bedford,NH,U.S.A)からのNiro−Soaviホモジナイザーを用いてホモジナイズした。得られたホモジネートは、次いでポリエチレンイミン凝集剤を添加することによって0.4%の最終濃度に抽出され、精製水で希釈され、室温で16時間混合された。抽出物は遠心分離によって除去され、0.2μmの滅菌フィルターを用いた濾過後15℃に冷却し、予め平衡化した(25mMのトリス、25mMのNaCl、5mMのEDTA、pH7.1)プロテインAカラムにロードされた。カラムを平衡緩衝液及び0.4Mのリン酸カリウム(pH7.0)で洗浄し、最後に100mMの酢酸(pH2.9)で溶出した。プロテインAプールを、その後、構築反応において混合した。

別々の半抗体プロテインAプールは、0.2Mのアルギニンで調整され、1.5M Tris塩基を用いてpH8.0にpHを調整し、混合され、L−還元型グルタチオン(GSH)が、二重特異性抗体に対して200×モル過剰で追加され、48時間20℃でインキュベートされた。インキュベーションの後、構築された二重特異性(bispecific)は、陰イオン交換クロマトグラフィー工程及び陽イオン交換クロマトグラフィー工程によって精製された。陽イオン交換溶出液は濃縮され、緩衝液は、最終製剤緩衝液に交換された。

インタクトな還元型質量分析による抗体の分析的特性評価 二重特異性の還元型及びインタクトな質量は、ナノチップLCシステムと連結したAgilent6210 ESI−TOF質量分析計を用いたLC/MS分析によって得られた。二重特異性試料は、事前のTCEP還元の有り無し両方で、注射あたり約5ngの抗体で、直接オンラインMS分析のためにRPHPLCにより脱塩された。還元型及び非還元型試料について得られたスペクトルは、多価タンパク質イオンの分布を示し、スペクトルは、MassHunterワークステーションソフトウェア/定性分析B.03.01(Agilent Technologies Inc.2009)を使用して、ゼロ電荷状態にデコンボリューションされた。

分析的サイズ排除クロマトグラフィー サイズ変異体は、TosoHaas TSK G3000SWXLカラム(7.8×300mm)を用いて分離され、0.2Mのリン酸カリウム及び0.25Mの塩化カリウム液(pH6.2)からなる移動相を用いてアイソクラチックに溶出された。分離は、0.5mL/分の流速で室温で実施された。カラム溶出液は280nmでモニターされた。高分子量種(HMWS)、メインピーク、及び低分子量種(LMWS)のピーク面積の相対的割合は、ダイオネックス社のChromeleonソフトウェアv6.80のSR11をを用いて行った。

キャピラリー電気泳動ードデシル硫酸ナトリウム分析(CE−SDS) 二重特異性試料は、最初にクエン酸−リン酸緩衝液pH6.6で希釈され、SDS及びN−エチルマレイミドで3分間70℃で処理された。冷却後、は、過剰のシアン化カリウムの存在下で、3ー(2ーフルオイル)キノリンー2ーカルボキシアルデヒド)(FQ)により10分間50℃で標識された。標識化反応は、緩衝液交換によりクエンチされ、その後、1%SDSで処理された。非還元型試料は、70℃で5分間加熱された。還元型試料は、70℃で10分間、50mMのジチオスレイトール(DTT)で処理された。

非還元型及び還元型試料は両方とも、直径50μmのコーティングされていない溶融シリカキャピラリーを用いるBeckman PA800 CEシステムを使用してCESDSにより分析された。試料は動電学的に注入され(5kVで40秒)、分離は、35分間、極性を逆転させて15kVの定電圧で行われた。キャピラリー温度は40℃に維持された。標識された成分の移動は、LIF検出によりモニターされた励起は488nmであり、発光は600nmでモニターされた。

細胞培養(TF−1細胞) ヒトTF−1(赤白血病細胞、R&D Systems,Minneapolis,MN)が、5%CO2を含む37℃での加湿インキュベーター中で、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)(Catalog No.SH30071.03,HyClone Laboratories,Inc.,Logan,UT);及び1Xペニシリン:ストレプトマイシン:グルタミン(Catalog No.10378−016,Gibco Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)及び2ng/mLのrhGM−CSF(Catalog No.215−GM,R&D Systems,Minneapolis,MN)を含有する、RPMI 1640(Genentech Media Preparation Facility,South San Francisco,CA)を含有する増殖培地中で培養された。アッセイ培地は、2ng/mlのrhGM−CSFを含まない増殖培地である。サイトカインが、以下の最終濃度で、指定される通りに、アッセイ培地に添加された:0.2ng/mlのヒトIL−4(Catalog No.204−IL,R&D Systems,Minneapolis,MN)、10ng/mlのヒトIL−13(Genentech,So.San Francisco,CA)、10ng/mlのヒトIL−13 R130Q(Genentech,So.San Francisco,CA)、2ng/mlのカニクイザルIL−4(Genentech,So.San Francisco,CA)、及び20ng/mlのカニクイザルIL−13(Genentech,So.San Francisco,CA)。

実施例2−IL−4に結合する抗体の生成 選択的に、ヒトインターロイキン−4(IL−4)に結合する抗体のパネルが市販のヒトIL−4(R&D Systems,Minneapolis,MN)を使用して生成された。5匹のBALB/cマウスの各後肢足蹠に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でモノホスホリル脂質A及びトレハロースジコリノミコレート(MPLTM+TDM)ベースのアジュバント(Corixa,Hamilton,MT)の全25μlに再懸濁された0.5μgのIL−4が、3から4日間隔で注射された。血清試料は、7回の追加免疫後に採取され、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって力価が測定され、IL−4に対する陽性免疫応答を有するマウスを同定した。動物は、PBS中にアジュバントを使用して、足蹠(25μl/足蹠で0.5μg)、腹腔内(100μlで2μg)、及び静脈内(50μlで1μg)の経路を介して、二回以上追加免疫された。最後の追加免疫後三日で、ELISAで陽性の血清力価を示した動物は屠殺され、電気融合(Cyto Pulse Sciences,Inc.,Glen Burnie,MD)を使用して、脾細胞の単一細胞懸濁液をマウス骨髄腫細胞株P3X63Ag.U.1(American Type Culture Collection,Manassas,VA)と融合させた。融合したハイブリドーマ細胞は、ClonaCell(登録商標)ハイブリドーマ選択キット(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC,Canada)からのMedium D中でヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)選択を使用して、融合していない脾臓、膝窩リンパ節又は骨髄腫細胞から選択された。ハイブリドーマ細胞は、ClonaCell(登録商標)ハイブリドーマ選択キットからのMedium E中で培養され、細胞培養上清を、さらなる特徴付け及びスクリーニングのために使用した。生成された1921のハイブリドーマ細胞株をスクリーニングするために、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)が一般的に前述のように実施された(Baker,K.N.,et al., Trends Biotechnol. 20, 149-156 (2002))。

我々は、表面プラズモン共鳴(SPR)分析によって決定される場合、≦10pMの親和性でヒトIL−4に結合するクローン19C11を同定した。19C11がIL−4RαへのヒトIL−4の結合をブロックするかどうかを決定するために、ビオチン化IL−4(0.17nM)が、クローン19C11又は対照抗体由来のIgG(1000、200、40、8、1.6、及び0.32nM、濃度)の段階希釈された上清50μlと前もって混合された。室温で30分間のインキュベーションの後、混合物は、固定化可溶性ヒトIL−4Rα(R&D Systems,Minneapolis,MN)を含むNunc Maxisorpプレートに移された。固定化のために、可溶性ヒトIL−4Rαは、一晩4℃で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2μg/mlのIL−4Rαによりプレートをコーティングすることにより固定化された。プレートを、抗体/IL−4を添加する前にPBSで希釈したウシ血清アルブミン(Sigma,St.Louis,MO)の0.5%溶液の200μLでブロックした。抗体/IL−4混合物を添加した後、プレートを室温で60分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを0.05%ポリソルベート20(Sigma)を含有するPBSで3回洗浄した。ストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)が、アッセイ緩衝液で1:5000に希釈され、100μLが各ウェルに添加された。室温で30分間のインキュベーション後、上述のようにプレートを洗浄した。TMB基質100μLが添加され、プレートを5から15分間インキュベートした。反応を1Nリン酸の添加によって停止させた。ELISAプレートを、スペクトラマックス340プレートリーダー(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)を用いてOD450で読み取った。曲線は、カレイダグラフのグラフソフトウェア(Synergy Software,Reading,Pa)を使用してプロットされた。

19C11は、TF−1細胞のIL−4誘導性増殖をブロックするか否かを決定するために、精製された19C11又は無関係な対照抗体の連続希釈を、IL−4及びTF−1細胞とともにインキュベートした。48時間のインキュベーション後、各試料は、3H−チミジンを投与され、4時間のインキュベーション後、3H−チミジンの取り込みが測定された。

19C11は、ビオチン化IL−4のIL−4Rαへの結合をブロックし(図1A)、IL−4Rαとの結合に関与する領域と重複するIL−4上のエピトープを示唆している。また、19C11は、TF−1細胞のIL−4誘導性増殖を阻害した(図1B)。TF−1細胞のIL−4誘導性増殖をブロックするためのIC50は0.014μg/mlであると決定され、IC90は0.07μg/mlであると決定された(データ非表示)。19C11は、その後、選択点変異を有するヒトVκ−1/VHIIIアクセプターフレームワークに超可変領域を移植することによってヒト化された。19C11の結合親和性は、エピトープ、及び細胞活性は、ヒト化プロセス中において保存された(データ非表示)。

実施例3−19C11のヒト化 mu19C11からの超可変領域(HVR)は、ヒトVLカッパI(huKI)、VLカッパIII(huKIII)、VHサブグループI(huVH1)及びVHサブグループIII(huVHIII)コンセンサスアクセプターフレームワークに移植され、CDR移植片(19C11−κ1グラフト、19C11−κ3グラフト、19C11−VH1グラフト、19C11−VH3グラフト)を生成した(図13から10を参照)。VLドメインでは、以下の領域が移植された:位置24−34(HVRL1、配列番号15)、50−56(HVRL2、配列番号16)及び89−97(HVRL3、配列番号17)。VLドメインでは、位置26−35b(HVRH1、配列番号12)、49−65(HVRH2、配列番号13)及び95−102(HVRH3、配列番号14)が移植された。

19C11−移植片は、各超可変領域に別々のオリゴヌクレオチドを用いたIgG発現構築物として、クンケル突然変異誘発によって生成された。正確なクローンはDNA配列決定により同定された。19C11−移植片の親和性と機能性を潜在的に高めるために、特定のマウスバーニアフレームワーク位置が、VHドメインの移植片に復元された(図12及び13参照)。具体的には、19C11−VH1移植片の位置67、69及び71、19C11−VH3移植片の位置69、71及び78が多様化され、19C11−VH1.L、19C11−VH1.FFL、19C11−VH3.LA、及び19C11−VH3.FLAを生成した。更に、変異のD62S及びF63Vが19C11−VH3.LAのCDR−H2に導入され、19C11−VH3.LA.SVを生成した(図13参照)。

スクリーニング目的のために、IgG変異体は、最初に6ウェルプレートにおいて293細胞において産生された。VL及びVHをコードするベクター(各2μg)が、FuGeneシステムを用いて293細胞にトランスフェクトされた。FuGeneの6μlが、FBSを含有しないDMEM培地100μlと混合され、5分間室温でインキュベートされた。各鎖(2μg)がこの混合物に添加され、20分間室温でインキュベートされ、次いで5%CO2中で37℃で一晩のトランスフェクションのために6ウェルプレートに移された。翌日、トランスフェクション混合物を含有する培地は除去され、例えば、DMEMをFBSを含有する2mlの細胞培養培地で置換された。細胞を更に5日間インキュベートした後、培地を5分間の1000rpmで回収し、0.22μmの低タンパク質結合フィルターを使用して滅菌濾過した。試料が4℃で保存される。

親和性測定は、BIAcoreTM−A100を用いた表面プラズモン共鳴によって実施された。抗ヒトFcγ抗体(約〜7000RU)が、CM5センサーチップ上で、10mM酢酸ナトリウムpHを4.8中で固定された。293細胞で発現されるヒト化19C11 IgG変異体は、抗ヒトFcγ抗体によって捕獲された。組換えIL−4は30μL/分の流速で注入された。各注入の後、チップは3MのMgCL2を使用して再生された。結合応答は、ヒト化19C11変異体IgGのフローセルから対照フローセルを減算することにより補正した。konとkoffの同時フィッティングの1:1Languirモデルが動力学的解析に用いられた。

ヒト化軽鎖(19C11−κ1移植片、19C11−κ3移植片)の各々をヒト化重鎖(19C11−VH1移植片、19C11−VH1.L、19C11−VH1.FFL、19C11−VH3移植片、19C11−VH3.LA、及び19C11−VH3.FLA)の各々と組み合わせて、12の異なるヒト化19C11変異体が作製された。マウス可変領域がヒトIgGの定常領域と組み合わされたキメラ19C11と一緒に、12のヒト化19C11変異体が、SPRによりIL−4の親和性について試験された(図14)。19C11−VH1移植片/κ1移植片、19C11−VH3移植片/κ1移植片、19C11−VH3.FLA/κ1移植片、及び19C11−VH3移植片/κ3移植片を除いて、変異体の大部分は、ILー4対して10pM未満の親和性を保持していた。19C11−VH1.FFL/κ3移植片及び19C11−VH3.FLA/κ3移植片は、IL−4に対して11pMの親和性を有していた。

19C11−VH3.LA.SV/κ1移植片が、更なる試験のために選択された。ヒト化抗体19C11−VH3.LA.SV/κ1移植片(以下の実施例では抗IL−4として参照される)についての重鎖及び軽鎖可変領域配列は、配列番号9及び10にそれぞれ示される。抗体19C11−VH3.LA.SV/κ1移植片についての重鎖可変領域(HVR)は、配列番号12から14に示され、軽鎖HVRは配列番号15から17に示される。

実施例4−IL−4/IL−13のIgG1二重特異性抗体の生成 我々は以前、大腸菌内で、2つの異なる軽鎖を有するヒトIgG1の二重特異性抗体を生成する技術を確立した(Yu et al., 2011, Sci Transl Med 3, 84ra44)。この方法は、免疫グロブリン重鎖のヘテロ二量体化を促進するためにknobs−into−holes技術(Ridgway et al., 1996, Protein Eng. 9, 617-621; Atwell et al., 1997, J Mol Biol 270, 26-35)を利用する。軽鎖誤対合の無い2つの異なる軽鎖の使用を可能にするために、我々は別々の大腸菌細胞内においてヘミマーとして各アームを培養した。我々は、ヒトIgG1のホールとして抗IL−4アームの及びヒトIgG1のノブとして抗IL−13アームの発現を可能にするベクター中に抗IL−4及び抗IL−13親抗体をサブクローニングすることによって、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体を生成するこのアプローチを適用した。IgG1のノブ定常領域の配列は配列番号34に示され、及びIgG1のホール定常領域の配列は配列番号35に示される。

我々は、以前に作製され、特徴づけられているレブリキズマブ(lebrikizumab)を抗二重特異性抗体の抗IL−13のFabのもとにした。例えば、PCT公開番号WO2005/062967 A2を参照。レブリキズマブは、10pMの検出限界未満であるビアコア由来のKdで可溶性ヒトIL−13に結合する。IL−13へのレブリキズマブの結合は、IL−13Rα1へのサイトカインの結合を阻害しないが、ヘテロ二量体シグナル伝達コンピテントIL−4Rα/IL−13Rα1複合体のその後の形成をブロックする(Ultsch, M. et al., 2013, J. Mol. Biol., dx.doi.org/10.1016/j.jmb.2013.01.024; Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365, 1088-1098)。

抗体発現のために、大腸菌株64B4を用いた。一晩培養物はLB(100μg/mlのカルベニシリン)中で30℃で増殖せられ、5mlのCRAP培地(100μg/mlのカルベニシリン)に1:100に希釈され(Simmons et al., 2002, J. Immunol. Methods, 263: 133-147)、30℃で24時間増殖された。発現後、可溶性画分はSDS−PAGEに供され、その後半抗体種の形成を分析するために抗Fc免疫染色が行われた。ノブ及びホールの変異は両方とも主たる半抗体種をもたらす。10Lの発酵槽へのスケールアップのために、初期スターター培養液(500ml)を固定相に増殖させ、10Lの発酵に植菌するために使用された(Simmons et al., 2002, J. Immunol. Methods, 263: 133-147)。

大腸菌における抗IL−13のIgG1ノブヘミマーの初期発現は、予想よりも少なかった。Fab配列のランダム突然変異誘発及び/又は疎水性表面残基を置換すると、改善されたFabの安定性及びフォールディングにつながる可能性があることが以前に示されている(Forsberg et al., 1997, J. Biol. Chem., 272: 12430-12436; Demarest et al., 2006, Protein Eng. Des. Sel., 19: 325-336; Kugler et al., 2009, Protein Eng. Des. Sel., 22: 135-147)。

変異体は、大腸菌細胞中で発現され、非還元全細胞抽出物が非還元SDS−PAGEにより分析され、その後抗Fcイムノブロットが行われた。ヘミマーバンドはオデッセイ(登録商標)(LICOR Biosciences)を用いて定量され、レブリキズマブに正規化された。

重鎖及び軽鎖のいくつかの改変がヘミマー収率及び/又はフォールディングを改善することが見出された。改変の一つ、軽鎖のM4Lが選択された。更に、Q1E改変が重鎖に導入された。二つの改変が、単一のヘミマーで組み合わされ、得られたヘミマーは、野生型ヘミマーに対して改善された収率及びフォールディングを有することが見出された。レブリキズマブのQ1E重鎖可変領域の配列は配列番号19に示され、及びレブリキズマブのM4L軽鎖可変領域の配列は配列番号20に示される。これらの可変領域は、抗IL−4/IL−13 IgG1二重特異性抗体を構築するために使用された。

インタクトな二重特異性抗体は、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、及び国際特許出願番号PCT/US2012/059810に以前に記載された方法を用いる酸化還元化学によって単離された半抗体から構築された。

実施例5−IL−4/IL−13のIgG4二重特異性抗体の生成 ヒトIgG1アイソタイプの抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の生成を確立した後、我々は、二重特異性プラットフォームをヒトIgG4アイソタイプに変えた。中等度から重度の制御されない喘息の治療において臨床的利益を示した抗IL−13抗体であるレブリキズマブのアイソタイプを一致させるために、我々は、ヒトIgG4抗体として、抗IL−4/Il−13二重特異性抗体を作製することを望んだ(Corren et al., 2011, N. Engl. J. Med. 365, 1088-1098)。

IgG1とは対照的に、IgG4の重鎖−軽鎖間ジスルフィドは、非連続的なジスルフィドにより形成される。この非連続的なジスルフィド結合パターンは、大腸菌タンパク質について通常観察されない(Berkmen, 2005, J. Biol. Chem. 280, 11387-11394)。更に、IgG4のヒンジ領域は、S228残基により不安定化され、IgG4のCH3二量体のインターフェイスは不安定なR409残基を含む(Dall'Acqua et al., 1998, Biochemistry 37, 9266-9273)(EU番号付けの慣習)。我々は、IgG4のFc領域の配列の影響、鎖間ジスルフィドパターン及び大腸菌における半抗体の機能発現におけるCH3 R409並びにそれに続く二重特異性分子への構築を分析するためにいくつかの構築物を設計した。各ケースにおいて、構築後のFabアーム交換を少なくするために、ヒンジ領域に安定化S228P変異を導入した(Stubenrauch et al., 2010, Drug Metab. Dispos. 38, 84-91)。我々は、半抗体の機能発現におけるIgG4のFc領域の影響を評価するために、対応するノブ/ホール変異(ノブ:T366W;ホール:T366S、L368A、Y407V)を有するIgG4のFc領域をIgG1のFabへ移植した。抗IL−4及び抗IL−13の両方の抗体について、これは、IgG1アイソタイプとしてジスルフィド結合物質の同様な量を得ており(図2C及び2D)、Fc領域におけるアイソタイプの違いは、大腸菌で機能的な半抗体の発現に影響を与えないことを示している。我々は、次に、重鎖の定常領域全体をIgG4サブクラスに変換した。これは機能的に発現される半抗体の減少をもたらしたが、大腸菌は、原則的に、連続しないシステインから抗体の定常領域での分子内ジスルフィドを形成することができることを実証した。

位置409は、CH3の安定性にとって重要であり得(Dall'Acqua et al., 1998, Biochemistry 37, 9266-9273)、及び下流の構築プロセスに対するR409の影響はこの段階では不明であったため、我々はまた、IgG1アイソタイプで見いだされたCH3インターフェイスを再作成するために、R409K変異を有するコンストラクトを設計した。両方の抗体において、これは、IgG4アイソタイプの機能発現のわずかな低下を部分的にレスキューした(図2C及び2D)。

実施例6−IL−4/IL−13のIgG4二重特異性抗体の構築及び精製 異なる二重特異性抗体コンストラクトの構築を比較するために、我々は、IgG1、IgG4及びIgG4R409Kとして半抗体を発現する培養液を増殖させた。プロテインAクロマトグラフィーによる半抗体の精製後、ヘミマー対は混合され、二重特異性抗体が、ヘテロ二量体化ノブ/ホール対の酸化還元化学工程により形成された。過剰な半抗体は、アニオン及びカチオン交換クロマトグラフィー工程により除去された。最終クロマトグラフィー工程の後、材料は、アルギニンコハク酸、pH5.5、0.02%のポリソルベート20中に45g/lで調整された。構築された抗体は、半抗体種から安定なインタクトな抗体へ変化したことを確認するために、我々は、サイズ排除クロマトグラフィーによってそれらを特徴づけた。全ての3つのコンストラクトは、インタクトな150kDaの抗体に対応する保持時間で溶出した(図3A)。更に、凝集された種の有意な量は検出されず(IgG1/IgG4/IgG4R409Kにおいて0.6/0.4/0.4%)低分子量種の微量のみが検出され(IgG1/IgG4/IgG4R409Kにおいて0.2/0/4.4%)、両方のアイソタイプは、低凝集傾向の抗体を構築するために使用することができることを示唆している。

二重特異性構築の間の工程の一つは、ヒンジジスルフィドの形成である。サイズ排除クロマトグラフィーは、鎖間ジスルフィドの酸化状態を分離できないため、我々は、抗体にキャピラリー電気泳動−ドデシル硫酸ナトリウム分析(CE−SDS)を施し、3つ全てのフォーマットが同様の効率でヒンジジスルフィドを形成していることを見いだした。IgG1、IgG4及びIgG4R409Kに対して、材料のうち89.3%、91.4%、及び86.7%が、それぞれ完全酸化型コンフォーメーションで観察された(図3B)。我々は、次に、試料を還元し、重鎖に対する軽鎖のそれぞれの比率を決定するために、CE−SDSによってそれらを再分析した(図3C)。3つ全てのフォーマットは、軽鎖(IgG1/IgG4/IgG4R409Kに対して31.3/31.4/30.9%)及び重鎖(gG1/IgG4/IgG4R409Kに対して65.8/64.9/65.4%)の類似し予想された分布を有しており、天然の抗体のコンフォーメーションの存在を更に確認した。

ヘテロ二量体種が構築工程中に生成されたことを確認するために、我々は、質量分析によって、最終的な二重特異性分子を分析した。インタクトな還元型質量が、表2、図4及び表3に要約される。3つ全ての二重特異性抗体において、実験質量は理論質量に密接に一致しており、我々は、ホモ二量体種に対応するいかなる質量をも検出することができなかった。逆相HPLCアッセイは、抗体は二重特異性であり、ホモ二量体抗体の証拠は無いことが確認された(データ非表示)。

我々は、R409及びR409K IgG4の二重特異性ノブ−イントゥーホール抗体の構築内の任意の有意差を検出することができなかったので、全ての更なる研究は、野生型(R409)IgG4二重特異性抗体フォーマットを利用した。

実施例7−IL−4/IL−13二重特異性抗体の生化学的特徴付け 我々は、次に、IgG1及びIgG4二重特異性抗体を、IL−4及びIL−13に対するそれらの結合親和性並びにIL−4及びIL−13のそれらの受容体への結合をブロックするそれらの能力が同等であるかどうかを評価するために、特徴付けた。IL−4及びIL−13に対するIgG1及びIgG4二重特異性抗体の親和性が、実施例1に記載されるようにビアコアによって測定され、親抗体のものに匹敵し(表4)かつ同様であることが見出され、リガンドを結合する能力は、二重特異性フォーマット又はアイソタイプによって影響されないことを示している。

抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、ヒトIL−13、ヒトIL−13 R130Q(配列番号31)、及びカニクイザルIL−13に高親和性で結合する。解離定数0.056、0.142、及び0.048(nM)が、それらのサイトカインについて、それぞれ計算された。速度定数が表4に提供される。更なるSPR実験は、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、ヒトIL−4及びカニクイザルIL−4に高親和性で結合することを示した。解離定数0.046及び0.076が、それらのサイトカインについて、それぞれ計算された。速度定数が表4に提供される。

二重特異性分子が、その受容体へのサイトカインの結合をブロックすることができることを確実にするために、実施例1に記載されるELISA競合結合アッセイが実質的に使用された。抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、ビオチン化ヒトIL−4(5.8ng/mL)のヒトIL4Rへの直接結合を阻害した(図15参照)。IL4Rに対する結合するビオチン化IL4の減少は、二重特異性抗体の0.035から25μg/mL(0.23から167nM)で観察された。

対照的に、抗IL−4/Il−13二重特異性抗体は、ビオチン化ヒトIL−13(0.625ng/mL)のヒトIL−13Rα1への直接結合を阻害しなかった(図16参照)。試験した濃度での二重特異性抗体の添加によって、IL−13Rα1へのビオチン化ヒトIL−13の結合の低下は観察されなかった。

抗IL−4/Il−13二重特異性抗体は、ビオチン化ヒトIL−13(0.056ng/mL)のヒトIL−13Rα1への直接結合を実質的に阻害しなかった(図17参照)。IL−13Rα2へのビオチン化IL−13の結合の部分的な減少が観察された。

SPRは、実施例1に記載のように、IL−13へのIL−13Rα2の結合を観察するために使用された。センサグラム(Sensogram)は、固定化されたIL−13に対するIL−13Rα2の一連の濃度の注入に対して集められた。センサグラムに基づいて、0.365nM(kon=24.27×104±0.49Ms−1、koff=0.891x10−4±0.026s−1)の結合定数(Kd)が観察された。抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、別のSPR実験で高親和性(Kd=56pM)でIL−13に結合することが以前に示された(表4参照)。IL−13へのIL−13Rα2の結合の阻害を試験するために、IL−13Rα2の注入前に、250nMの抗IL−4/IL−13二重特異性抗体が、固定化されたIL−13に対して注入された。二重特異性抗体の結合は固定化されたIL−13とのIL−13Rα2の結合を阻止しなかった(図18を参照)。二重特異性抗体:IL−13複合体へのIL−13Rα2の結合のKdは、1.09nMであった(kon=10.06x104±0.56Ms−1、koff=1.10x10−4±0.12s−1)。固定化IL−13の二重特異性抗体による前飽和は、IL−13へのIL−13Rαの結合を控えめに破壊するだけであり、二重特異性抗体は、IL−13Rα2へのIL−13の結合を有意には阻害しないことを示している。

従って、親抗IL−4及び抗IL−13抗体と同様に、二重特異性抗体は、IL−4RαへのIL−4の結合を完全に阻害し、IL−13Rα1又はIL−13Rα2に対するIL−13の結合を実質的には阻害しなかった。これらの知見は、各IL−13及びIL−4アームについての結合エピトープ及び一価親和性が二重特異性抗体に保存されていることを示唆している。

実施例8−細胞アッセイにおけるIL−4及びIL−13活性の中和 抗IL−4/IL−13 IgG1及び抗IL−4/IL−13 IgG4二重特異性抗体の両方の活性が、ヒトIL−4及びIL−13がTF−1細胞の増殖を誘導するインビトロ細胞アッセイで評価された。ヒトIL−4及びヒトIL−13単独及び組み合わせによって誘導されるTF−1細胞の増殖をブロックする各二重特異性抗体の能力が、以下に記載するように評価された。

抗体は、96ウェル組織培養プレート(Catalog No.353072,Falcon BD,Franklin Lakes,Nj)において、サイトカインを含有するアッセイ培地50μl中で3.3倍に連続希釈された。プレートは37℃で30分間インキュベートされた。TF−1細胞はアッセイ培地で2回洗浄され、2.5×105細胞/mlの最終容量で再懸濁された。50μlの細胞が、100μlの総容積の各ウェルに添加された。プレートを、ウェルあたり1μCiの3Hチミジンを添加する前に、37℃で、5%のCO2を含む加湿インキュベーター中で4日間インキュベートした。更なる4時間のインキュベーションの後、増殖を、液体シンチレーションカウンターを用いて、細胞に関連する3Hチミジン取り込みによって測定した。重複試料からの結果が平均値として表される。グラフは、カレイダグラフを使用して作り出された(Synergy Software,Reading,PA)。

抗IL−4/IL−13 IgG1及び抗IL−4/IL−13のIgG4二重特異性抗体の両方とも、TF−1細胞のヒトIL−4及びIL−13誘導性増殖を用量依存的に阻害し、二つの異なる二重特異性抗体の間で、インビトロ中和のためのIC50に有意な差は見られなかった(図5及び表5)。

同様の分析が、抗IL−4/IL−13 IgG1及び抗IL−4/IL−13 IgG4二重特異性抗体が、TF−1細胞において用量依存的にカニクイザルIL−4及びIL−13誘導性増殖を阻害するかを決定するために行われた(図6)。

実施例9−カニクイザルにおける薬物動態学的研究 我々は、IgG4及びIgG1抗IL−4/Il−13二重特異性抗体のインビボ薬物動態を、カニクイザルに単一の静脈内(IV)又は皮下(SC)投与後に評価した。カニクイザルにおける薬物動態(PK)の研究は、施設内動物管理使用委員会(IACUC)によって承認された。抗IL−4/IL−13のIgG4によるPK研究は、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(CRL)前臨床サービス(Reno,NV)で行われた。CRLストックからの合計15匹のメスのカニクイザル(2.2−2.6kg)は、無作為に5群(n=3/群)に割り付けられた。グループ1の動物は、対照ビヒクルの静脈内(IV)及び皮下(SC)用量を与えられた。群2、3、及び4の動物は、抗IL−4/IL−13IgG4の単一IVボーラス用量を、それぞれ10、30及び100mg/kgで与えられた。群5の動物は、抗IL−4/IL−13IgG4のSC用量を10mg/kgで与えられた。

抗IL−4/IL−13IgG1によるPK試験は、Shin Nippon Biomedical Laboratories(SNBL)USA(Everett,Wa)で行われた。SNBLストックからの合計12匹のメスのカニクイザル(2.4−3.1kg)は、無作為に4群(n=3/群)に割り付けられた。グループ1の動物は、対照ビヒクルのIV用量を与えられた。群2、3、及び4の動物は、抗IL−4/IL−13IgG1の単一IVボーラス用量を、それぞれ10、30及び60mg/kgで与えられた。

両方の研究に対して、血清試料は、投与後4−5週間までの様々な時点で採取され、抗IL−4/IL−13のIgG4又は抗IL−4/IL−13 IgG1の濃度は、0.078μg/mLの定量限界を用いたELISAにより評価され、抗治療抗体(ATA)はブリッジングELISAにより評価された。PKデータの計算のために、研究1日目を、用量投与の開始を示すために、PK0日目に変換した。生存中の投薬日後の全ての時点は、研究日マイナス1として計算された。各動物の血清濃度データはWinNonlin(登録商標)、バージョン5.2.1を用いて2コンパートメント分析を用いて分析した(Pharsight;Mountain View,CA))。

抗IL−4/IL−13IgG4及び抗IL−4/IL−13 IgG1二重特異性抗体の血清濃度−時間プロファイルは、試験された用量範囲にわたって線形薬物動態により二相性の配置を示した(図7A及び7B)。両方の抗体の中心コンパートメントの初期体積は、制限された分布を示す血清量に類似していた。カニクイザルにおけるヒトIgG4及びIgG1抗体について予想されるように、両方の抗体は、比較的遅いクリアランス(CL)と長い末端半減期を有していた(抗IL−4/IL−13 IgG4に対して平均CL=5.79から6.70mL/日/kg、及び抗IL−4/IL−13 IgG1に対して3.59から4.09mL/日/kg)。10mg/kgの用量群について計算されるエリアアンダーカーブ(AUC)に基づいて、抗IL−4/IL−13のIgG4抗体のSCの生物学的利用能は95.1%であった。抗治療抗体(ATA)の存在は、100mg/kgのIV用量群内の全3匹の動物を含み、抗IL−4/IL−13IgG4を投与した動物の50%で検出され、14日目後の抗IL−4/IL−13 IgG4の消失の増加と関連するように見えた。PKに影響を及ぼさないように見えた抗IL−4/IL−13のIgG1処置動物において、ATAの低い発生率が検出された。抗IL−4/IL−13IgG4及び抗IL−4/IL−13IgG1二重特異性抗体の両方の全体的な薬物動態は、カニクイザルにおける他のヒト化IgG1及びIgG4モノクローナル抗体のものと類似で同等であった。

実施例10−カニクイザル喘息モデルにおける肺分配 我々は、喘息のカニクイザルモデルにおけるIgG4対IgG1抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の肺分配の潜在的な違いを評価した。この喘息モデルでは、ブタ回虫(A.suum)に自然に感作したカニクイザルは、アレルゲンに暴露された喘息患者のそれを模倣するアレルギー性炎症反応を誘発するA.suum抽出物のエアロゾル曝露を受けた。

カニクイザルにおける肺分配の研究は、IACUCによって承認された。抗IL−4/IL−13IgG4及び抗IL−4/IL−13IgG1を比較する本研究は、CRL、前臨床サービス(Reno,NV)で行われた。本研究は、二つの異なるセッションからなった。最初のセッションでは、CRLストックからカニクイザル(3−10kg)は、各動物における適切な気道応答を誘発するA.suum曝露の適合性を判断するために、ブタ回虫(A.suum)によるベースラインエアロゾル曝露を受けた。動物は、曝露期間を通じて苦痛の徴候をモニターされ、このセッション中に抗体を与えられなかった。4週間後、2番目のセッションが開始され、合計7匹のオスカニクイザルは、無作為に2つの群に割り当てられた(IgG4の群でn=3;IgG1の群でn=4)。これらのサルは、その後、研究1日目と研究8日目に、IV急速投与量を介して、抗IL−4/IL−13IgG4又は抗IL−4/IL−13IgG1の何れかの10mg/kgを受けた。その後、動物は、研究9日目にA.suumによるエアゾール吸入を介して曝露された。投与後最大23日間までの様々な時点で、気管支肺胞洗浄(BAL)液及び血清試料が採取され、抗IL−4/IL−13IgG4又は抗IL−4/IL−13IgG1濃度について、0.078/mlの定量限界を用いたELISAにより分析された。データの計算のために、研究1日目を、用量投与の開始を示すために、PK0日目に変換した。生存中の投薬日後の全ての時点は、研究日マイナス1として計算された。尿素及びアルブミンは、上皮被覆液(epithelial lining fluid)(ELF)の濃度を推定し、炎症誘発性血管漏出を補正するために、それぞれ、BAL及び血清中で測定された。回虫特異的IgEはまた、ELISAにより血清中で測定された。Rennard et al., 1986, J. Appl. Physiol., 60(2): 532-538によって記載されるように、希釈因子はBAL及び血清尿素濃度データを用いて推定された。

我々は、研究日1及び8における10mg/kgのIV投与後及び研究日9日目のA.suum抽出物による肺曝露の後に、抗IL−4/IL−13IgG4及び抗IL−4/3 IgG1抗体の上皮被覆液(ELF)濃度に対して血清濃度を比較した。ELF中のIgG濃度値は、例えば、Rennard et al., 1986, J. Appl. Physiol., 60(2): 532-538に記載されるように、BAL液採取手順に固有の希釈に関してBAL液のIgG濃度のデータを補正することにより導き出した。抗IL−4/IL−13のIgG4及び抗IL−4/IL−13IgG1二重特異性抗体の血清から肺への分配は、研究の全期間にわたって同等であった(図8)。アレルゲン曝露の前に、両方の抗体のELF濃度は、IgGの血清濃度の約1%−4%であり、全身の抗体のごく一部がELFに達したことを示している。研究9日目におけるA.suumによる吸入曝露は、両抗体の肺分配の増加を生じるように見えた。しかし、ELF中のアルブミン濃度に対してIgG濃度を正規化し、血清IgG濃度に対してこれらの値を比較すると、そのデータは、呼吸器曝露後のELFのIgG濃度の増加は、曝露により誘導された非特異的な高分子血管漏出に起因することを示唆した。

実施例11−マウスアレルギー性気道炎症及び喘息モデルにおける抗IL−4、抗IL−13、及び抗IL−4/IL−13抗体の有効性 8匹のBALB/cマウス(Charles River Laboratories)がこの研究で使用された。0日目に、全てのマウスは、100μlの無菌PBS中の2mgのミョウバン中50μgトリニトロフェニル−オボアルブミン(TNP−OVA)により腹腔内(IP)で免疫化された。免疫後35日目に開始して、全てのマウスは、7日間連続で毎日、ネブライザーを介して30分間、PBS中の1%TNP−OVAにより、エアロゾル曝露された。37日目に開始し、図9Aに示すように、マウスは7日間の各エアロゾル曝露の4時間前に腹腔内に(IP)投与されるモノクローナル抗体(mAb)により毎日処置された。

42日目には、全てのマウスは、(研究の間に達成されたTNP−OVA特異的IgE、IgG1、及び抗体血清濃度を測定するため)、最終的に200μlの血清のために、麻酔下で後眼窩から血液を採取された。マウスは、ELISAによるTNP−OVA特異的免疫グロブリン及び血清TARC(胸腺及び活性化制御ケモカイン)測定のための血清試料を得るために、イソフルラン麻酔下で後眼窩採血された。気管支肺胞洗浄液の試料は、白血球百分率数(differential counts)のために収集された。肺を冷PBSで灌流し、その後、FACSによって分析した。肺は粉々に切り刻まれ、その後、金属マッシュによりすりつぶされ、単一細胞懸濁液を得て、次にバイアル0.7μmのナイロンフィルターを通して濾過された。肺試料は5ml中に再懸濁される。細胞懸濁液の一定容量が、FITC標識された蛍光ビーズの一定濃度まで添加され、細胞数を得るために試料あたり5000ビーズイベントを収集する、フローサイトメーターで分析された。肺の定量的及び表現型分析のために、試料あたり300万肺細胞は、表面白血球マーカーに対する蛍光色素標識モノクローナル抗体で染色された(CD44−FTC、CD4−APC、CCR3−Pe及びCD4−APC,又はCD11c−FITC、CD11b−PE及びGr−1−APC;BD Biosciences,San Jose,CA)。試料は、BD FACSCalibur(BD,San Jose,CA)に流され、Flowjoソフトウェア(Ashland,OR)で分析された。

その実験の結果は図9Bから9Eに示される。抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、抗IL−4抗体よりも大きな程度に肺の好酸球を抑制し(p=0.0381)、かつ抗IL−13抗体よりも大きな程度に肺の好酸球を抑制するように見えたが、その差は統計的な有意性には達しなかった(p=0.1803)(図9B)。同様に、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の投与は、抗IL−4抗体(p=0.0031)又は抗IL−13抗体(p=0.0135)の何れかよりも大きい程度に気管支肺胞洗浄液中の好酸球を抑制した(図9C)。抗IL−4抗体又は抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の何れかの投与は、対照処置と比較して、TNP−OVA特異的IgEを減少させるように見えたが、その結果は統計的有意性には達しなかった(図9D)。最後に、抗IL−4/IL−13二重特異性抗体の投与は、抗IL−4抗体又は抗IL−13抗体の何れかよりも大きい程度に血清TARCレベルを抑制した(それぞれ、p<0.0001及びp=0.0323)(図9C)。

議論 本明細書において、我々は、サイトカインIL−4及びIL−13に対するヒトIgG1及びヒトIgG4二重特異性抗体を作製するために、以前に開発されたノブ・イントゥー・ホール二重特異性抗体のプラットフォームを適用した。IL−4及びIL−13の重複かつユニークな生物学並びに中等度から重度の喘息患者の治療における抗IL−13抗体の活性を前提として、IL−4及びIL−13を標的とする二重特異性抗体は、喘息の治療のために抗IL−13よりも改善された治療法であり得る。上記実施例11に提示されたデータは、この仮説を支持している。我々の抗IL−4/IL−13二重特異性抗体は、中等度から重度の制御されない喘息における第II相試験で臨床的有効性を示した抗IL−13抗体レブリキズマブの拡張である。レブリキズマブは、ヒトIgG4抗体であるので、我々は、我々の抗IL−4/IL−13二重特異性抗体のアイソタイプをレブリキズマブのそれに一致させるために、ヒトIgG4によるノブイントゥーホール二重特異性抗体プラットフォームを使用した。

ヒトIgG1及びIgG4アイソタイプの主な違いの一つは、二量体の安定性に影響を与えるCH3ダイマーインターフェイスである。違いは、位置409によって駆動される。我々の結果は、半抗体としての発現並びに二重特異性抗体への構築の両方の観点から、ノブ・イントゥー・ホール変異は、IgG4のCH3ドメイン内のArg409と適合することを示している。我々は、2つの異なるアイソタイプ間の構築効率又は最終抗体物質の品質における有意差を検出することはできなかった。

様々なアイソタイプのヒト抗体の発現は、哺乳動物細胞において十分に確立されているが、大腸菌内で異なるヒト抗体アイソタイプを発現する試みは少なく、従って、大腸菌内でのヒトIgG4アイソタイプの完全長又は半抗体の発現は、十分には文書化されていない。ここでは、我々は、これらの抗IL−4/IL−13二重特異性抗体について、ヒトIgG4ヘミマー(hemimer)を大腸菌細胞において大量に首尾良く発現させることができ、かつヒトIgG1二重特異性抗体と同じくらい容易に二重特異性抗体へと構築されることができることを実証する。

ノブ・イントゥー・ホール技術の特徴の一つは、最終的な二重特異的分子内における一価親抗体の生物物理学的特性の保持である。IgG1及びIgG4の二重特異性抗体の両方は、親Fabの標的エピトープ及びインビトロ細胞アッセイにおいて高い効力につながる、IL−4又はIL−13標的サイトカインに対する高親和性を含む結合特性を保持していた。

カニクイザルにおける薬物動態学的研究は、IgG1及びIgG4の両方の二重特異性抗体において遅いクリアランス及び終末相半減期を示した。また、IgG1及びIgG4二重特異性抗体の両方が、肺中の病原性IL−4及びIL−13の完全な中和を可能にすることができるレベルで血清から肺に同程度に分配され、これは喘息の治療のために重要である。カニクイザルにおいて、IgG4の二重特異性は、IgG1の二重特異性に比べて、ATAの高い割合を有するように見えるが、我々の研究で使用された動物の数の少なさ、並びにカニクイザル対ヒトでのヒト化抗体の免疫原性との間の明確な関係の欠如を考慮すると、我々は、ヒトにおける我々の抗IL−4/IL−13IgG4及びIgG1二重特異性抗体の相対的な免疫原性についての結論を出すことはできない。しかしながら、抗体FabのCDR領域は別として、我々の二重特異性抗体は、ヒトにおいて最小限の免疫原性を示すべきである完全ヒトIgG1及びIgG4の配列からなることは留意されるべきである。したがって、我々が作製した二重特異性抗体は、喘息並びにIPF及び他の呼吸器疾患のための臨床開発に対する良好な候補である。更に、本明細書に提示されるインビボデータに基づいて、例えば、喘息、IPF及び他の呼吸器疾患のようなヒトの疾患を治療する方法が当然従う。

異なるヒトアイソタイプの抗体は、血清補体タンパク質及び免疫エフェクター細胞上のFcγ受容体への結合の違いに起因する、非常に異なるインビボ及びインビトロの特性を有することができる(Nirula, A. et al., 2011, Curr Opin Rheumatol 23, 119-124)。具体的には、ヒトIgG1アイソタイプの抗体は、効果的に補体系を活性化し、Fcγ受容体に係合して抗体依存性細胞障害(ADCC)をトリガーするが、一方、ヒトIgG4アイソタイプの抗体は、補体系を活性化せず、減少したADCCを有する。重要なことには、抗体のエフェクター機能のこれらの特性は、哺乳動物細胞における発現の間に生成される抗体のグリコシル化を必要とする。大腸菌などの細菌細胞中で産生された抗体は、アイソタイプに関係なく、抗体のグリコシル化の欠如に起因し、抗体のエフェクター機能を欠いている(Jung, S.T. et al., 2011, Curr. Opin. Biotechnol. 22, 858-867; Simmons, L.C., et al., 2002, J Immunol Methods 263, 133-147)。この研究で産生される二重特異性抗体は、大腸菌で産生され、したがって、グリコシル化及びFcエフェクター機能を欠いたが、本明細書に記載される二重特異性抗体はまた、哺乳動物細胞において産生され得る。このアプローチは、完全にグリコシル化された二重特異性抗IL−4/ヒトIgG1IL−13及びIgG4抗体アイソタイプを含むように、これらの抗体のためのノブ・イントゥー・ホール二重特異性抗体のプラットフォームを有効に拡張し得、ひいては異なるエフェクター機能を有する治療用二重特異性抗体の広範囲を提供し得る。

前述の発明は、理解を明確にする目的のために、例示と実施例によりある程度詳細に記載してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に援用される。

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