SGLT2阻害剤の結晶および非結晶形態

申请号 JP2014537749 申请日 2012-10-30 公开(公告)号 JP2014532639A 公开(公告)日 2014-12-08
申请人 サイノファーム タイワン,リミティド; サイノファーム タイワン,リミティド; 发明人 ポール ヘンシュケ ジュリアン; ポール ヘンシュケ ジュリアン; メン−フェン ホ; メン−フェン ホ; シュ−ピン チェン; シュ−ピン チェン; ユン−ファ チェン; ユン−ファ チェン;
摘要 本発明は、特に、薬学的に許容される形態の新規な材料としてSGLT2阻害剤の非結晶形態および結晶複合体を提供する。SGLT2阻害剤カナグリフロジンの結晶形態を、形態CS1、CS2、CS3、CS4およびCS5と呼ぶ。
权利要求
  • 形態CS1、CS2、CS3、CS4およびCS5からなる群より選択されるカナグリフロジンの結晶複合体形態であって、前記結晶形態は実質的に他の結晶形態を含まないカナグリフロジンの結晶複合体形態。
  • 形態CS1を有する、請求項1に記載の結晶複合体形態。
  • 形態CS2を有する、請求項1に記載の結晶複合体形態。
  • 形態CS3を有する、請求項1に記載の結晶複合体形態。
  • 形態CS4を有する、請求項1に記載の結晶複合体形態。
  • 形態CS5を有する、請求項1に記載の結晶複合体形態。
  • カナグリフロジンの非結晶形態。
  • ダパグリフロジンの非結晶形態。
  • 薬学的に許容される賦形剤および請求項2〜8のいずれか一項に記載の結晶複合体形態または非結晶形態を含む組成物。
  • 薬学的に許容される賦形剤および形態CS1、形態CS2、形態CS3、形態CS4および形態CS5からなる群より選択される形態を有するカナグリフロジンの結晶複合体形態を含む組成物。
  • 前記カナグリフロジンの結晶複合体形態は、形態CS1である、請求項10に記載の組成物。
  • 前記カナグリフロジンの結晶複合体形態は、形態CS2である、請求項10に記載の組成物。
  • 前記カナグリフロジンの結晶複合体形態は、形態CS3である、請求項10に記載の組成物。
  • 前記カナグリフロジンの結晶複合体形態は、形態CS4である、請求項10に記載の組成物。
  • 前記カナグリフロジンの結晶複合体形態は、形態CS5である、請求項10に記載の組成物。
  • L−プロリンおよびカナグリフロジンの水性アルコール溶液から形態CS1を結晶化することを含む、請求項2に記載の形態CS1を調製する方法。
  • 前記アルコールがエタノールである、請求項16に記載の方法。
  • 说明书全文

    関連出願の相互参照 本出願は、2011年10月31日に出願された米国仮特許出願第61/553,776号の優先権の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。

    連邦政府支援の研究開発がなされた発明についての権利に関する声明 該当せず

    コンパクトディスクで提出した添付の「配列表」、表、またはコンピュータプログラムリストへの参照 該当せず

    糖尿病は、高血糖(高血糖症)を特徴とし、世界的に何百万もの人々に影響を与えている深刻な慢性代謝疾患である。 SGLT2は、腎臓におけるグルコースの再吸収に影響するナトリウム依存性グルコース共輸送体タンパク質である。 腎臓のグルコース再吸収の90%がSGLT2により促進されると推定される。 グルコース再吸収は主にSGLT2によって媒介されており、そして高グルコースレベルが糖尿病の疾患要因として同定されているので、SGLT2は、2型糖尿病治療用の薬剤標的となっている。 SGLT2を選択的に阻害すると、腎臓におけるグルコースの再吸収が阻害されることにより、尿(糖尿)としての排泄によるグルコース除去に併せた高血糖症の抑制ができる可能性がある。

    ダパグリフロジン(商品名:Forxiga)は2型糖尿病の治療用に開発されている薬理活性原末(API)でありSGLT2の選択的阻害剤である。 ダパグリフロジンの販売承認が求められている。

    ダパグリフロジンのIUPAC系統名は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールであり、また(1S)−1,5−アンヒドロ−1−C−{4−クロロ−3−[(4−エトキシフェニル)メチル]フェニル}−D−グルシトールとしても知られている。 ダパグリフロジンは、分子式C 2125 ClO 6および分子量408.87の白からオフホワイトの粉末である。 ダパグリフロジンの構造を、化合物Aとして示す。

    米国特許第6,774,112 B2号において、天然アミノ酸のD−またはL−鏡像異性体の両者により形成される結晶複合体およびSGLT2阻害剤が開示されている。

    PCT出願WO2008/002824A1号では、(S)−プロピレングリコール(PG)、(R)−PG、EtOH、エチレングリコール(EG)、1:2L−プロリン、1:1L−プロリン、1:1L−プロリン半和物、および1:1L−フェニルアラニンを含むダパグリフロジンの結晶形態が開示されている。

    また、ダパグリフロジンならびに各種アルコールおよびジオールを含む前述の結晶形態のいくつかを調製する方法は、PCT出願WO2008/002824A1号に開示されている。

    カナグリフロジンは、SGLT2の阻害剤であり、2型糖尿病の治療用に開発されているAPIである。

    カナグリフロジンのIUPAC系統名は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−{3−[5−[4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イルメチル]−4−メチル−フェニル}−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオールであり、また(1S)−1,5−アンヒドロ−1−C−[3−[[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニル]メチル]−4−メチルフェニル]−D−グルシトールおよびl−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られている。 カナグリフロジンは、分子式C 2425 FO 5 Sおよび分子量444.52の白からオフホワイトの粉末である。 カナグリフロジンの構造を、化合物Bとして示す。

    US2008/0146515 A1号において、カナグリフロジンの結晶半水和物形態(化合物Cとして示す)が、CuKα線を用いて測定した次の2θ値:4.36±0.2、13.54±0.2、16.00±0.2、19.32±0.2、および20.80±0.2を含む粉末X線回折(XRPD)パターンと共に開示されている。 XRPDパターンを図24に示す。 また、カナグリフロジン半水和物の調製方法はUS2008/0146515 A1号に開示されている。

    US2009/0233874 A1号では、カナグリフロジンの結晶形態が開示されている。 図25は、詳細な説明における結晶形態のXRPDパターンを示し、特徴づけを行ったXRPDパターンピークを以下の表1に示す。

    本発明は、SGLT2阻害剤の新規な結晶複合体および非結晶形態、ならびにこれらの形態の調製方法を提供する。 これらのSGLT2阻害剤の結晶複合体を、形態CS1、CS2、CS3、CS4およびCS5と呼ぶ。

    上記の非結晶形態および結晶複合体は、全て1 H NMR(核磁気共鳴)分光法、 13 C NMR分光法、XRPD(X線粉末回折)分析、FTIR(フーリエ変換赤外線)分光法、TGA分析(熱重量分析)およびDSC(示差走査熱量測定)分析により化学的な特徴づけを行った。

    また、本発明には、結晶複合体形態、非結晶形態、加えて、これらの形態の医薬製剤を調製する方法も含まれる。

    図1は、非結晶ダパグリフロジンのXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図2は、非結晶ダパグリフロジンのXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図3は、非結晶カナグリフロジンのXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図4は、非結晶カナグリフロジンのXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図5は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図6は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図7は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図8は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図9は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図10は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図11は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図12は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図13は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図14は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図15は、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図16は、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のXRPDパターンおよびIRスペクトルを示す。

    図17は、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図18は、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図19は、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のDSCおよびTGAトレース、

    1 H NMRおよび

    13 C NMRスペクトルを示す。

    図20は、100℃におけるカナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)のXRPDパターンを示す。

    図21は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体の様々な温度における一連のXRPDパターンを示す。

    図22は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS4)のXRPDパターンを示す。

    図23は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS4)の

    1 H NMRスペクトルを示す。

    図24は、先に開示されたカナグリフロジンの結晶形態のXRPDパターンを示す。

    図25は、先に開示されたカナグリフロジンの結晶形態のXRPDパターンを示す。

    図26は、カナグリフロジンの非結晶形態の動的蒸気収着(DVS)プロットであり、時間の関数としての質量変化の割合パーセントおよび時間の関数としての相対湿度を示す。

    図27は、カナグリフロジンの非結晶形態の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットであり、目標相対湿度に対する質量変化を示す。

    図28は、カナグリフロジンの結晶複合体、形態CS1の動的蒸気収着(DVS)プロットであり、時間の関数としての質量変化の割合パーセントおよび時間の関数としての相対湿度を示す。

    図29は、カナグリフロジン結晶複合体、形態CS1の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットであり、時間の関数としての質量変化の割合パーセントおよび時間の関数としての相対湿度を示す。

    本発明は、医薬製剤に適切なダパグリフロジンおよびカナグリフロジンの非結晶形態、加えて新規材料として新しいカナグリフロジンの結晶複合体を提供する。 これらの結晶複合体および非結晶形態は、本明細書に記載の方法により製造可能で、実質的に他の結晶形態を含まない。 用語「実質的に含まない」とは、他の形態の量が10%以下、好ましくは他の形態の量が8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、またはそれ以下であることを指す。

    一の態様では、本発明は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−[4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル]−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール(ダパグリフロジン)の非結晶形態を提供する。

    別の態様では、本発明は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−{3−[5−[4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イルメチル]−4−メチル−フェニル}−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(カナグリフロジン)の非結晶形態を提供する。

    さらに別の態様では、本発明は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−{3−[5−[4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イルメチル]−4−メチル−フェニル}−6−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−ピラン−3,4,5−トリオール(カナグリフロジン)の結晶複合体を提供する。

    本発明の非結晶形態および結晶複合体は、X線粉末回折(XRPD)分析、赤外線(IR)分光法、示差走査熱量測定(DSC)トレース、熱重量分析(TGA)、および結晶複合体の結晶構造の単位セルにより特徴づけできる。

    いくつかの実施形態では、本発明は、実質的に図1、3、5、10、15、20又は22に従ったXRPDにより特徴づけられるSGLT2阻害剤の非結晶形態および結晶複合体を提供する。

    別の実施形態では、本発明は、ダパグリフロジンの非結晶形態を提供する。 XRPD分析におけるピーク欠如により示されるように当該材料は非結晶であることが確認された。 このことは、この材料が不規則な粒子により構成されることを示したSEM(走査型電子顕微鏡)によっても支持された。 ダパグリフロジンの非結晶形態は、図1に従ったXRPDパターンにより特徴づけられる。

    非結晶で固体のダパグリフロジンは、n−ヘプタン中にその加熱トルエン溶液を添加することにより調製した。 真空下で乾燥させた後、49.5℃〜62.6℃の融点を有する白色の固体として生成物を得た。

    本発明の非結晶ダパグリフロジンのTGA分析では、加熱によりある程度の質量損失がみられた。 DSC分析では、57℃および107℃における2つの吸熱遷移の存在が示され、このことにより脱水および溶媒が蒸発したことが示唆される。

    別の実施形態では、本発明は、カナグリフロジンの非結晶形態を提供する。 カナグリフロジンの非結晶形態は、図3に従ったXRPDパターンにより特徴づけられる。

    非結晶で固体のカナグリフロジンを、n−ヘプタン中にその加熱トルエン溶液を添加することにより調製した。 真空下で乾燥させた後、54.7℃〜72.0℃の融点を有する白色の固体として生成物を得た。 カナグリフロジンの非結晶形態の動的蒸気収着(DVS)分析(図26)より、この形態は吸湿性であることが示唆される。 また、DVS等温線プロット(図27;目標相対湿度に対する質量変化)より、第二吸着/脱着サイクルは第一サイクルとは異なることがわかった。 さらなる実験および観察により、この非結晶形態は吸着/脱着サイクルの間に物理的変化を受け、これにより2つのサイクルの間での吸着/脱着挙動が異なると示唆された。 発生した物理的変化は、非結晶状態から結晶状態への変換または部分的な変換であると決定された。 これは、湿度が70%から90%RHへと増加するに伴うサンプルの全体的な外観が変化したこと、長期間にわたって90%RHに保持すると質量は徐々に減少すると測定されたこと、および(サンプルを90%RHに維持したDVS検査に続いて)偏光フィルタ付顕微鏡下で粒子を検査すると、複屈折が検出されたことによって支持された。

    別の実施形態では、本発明は、カナグリフロジンおよびL−プロリンの結晶複合体(形態CS1)を提供する。 形態CS1のXRPDパターンにより結晶であることが示され、このことはSEMによっても示唆される。 形態CS1は、XRPD分析によりカナグリフロジンの非結晶形態とは異なることが示された。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1は、図5に従ったXRPDパターンにより特徴づけられる。 いくつかの実施形態では、この化合物の結晶形態は、8.92、9.47、10.29、10.9、11.38、12.63、13.18、14.57、15.4、16.08、17.02、17.69、17.9、18.62、19.06、19.89、20.28、20.83、21.23、21.85、22.56、22.95、23.44、24.11、24.57、25.48、25.91、26.84、27.7、28.1、28.75、29.84、30.41、30.86、31.3、31.63、32.21、33.67、34.47、35.1、35.91および36.37°2θ(±0.1°2θ)のピークから選択される2以上、3以上、4以上、または5以上のピークを含むXRPDパターンにより特徴づけられ、そこで上記XRPDパターンはCuK α1線を用いて作成される。 いくつかの別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、図5に示す20Cps超のピーク(°2θ(±0.1°2θ))を含むXRPDパターンにより特徴づけられる。 別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、実質的に図5に従ったXRPDピークにより特徴づけられる。

    天然アミノ酸L−プロリンの存在下において水性エタノール(EtOH)からカナグリフロジンを結晶化すると、真空下での乾燥後に白色の固体になり約188℃で融解を開始する固形物が得られた。 図8は、形態CS1の1 H NMRスペクトルであり、1:1のモル比でカナグリフロジンおよびL−プロリンを含むことが示される。

    形態CS1をさらにDSC/TGAおよびカールフィッシャー滴定を用いて特徴づけた。 TGA曲線では150℃未満の温度で有意な質量損失を示さなかったので形態CS1は無水性の非溶媒和物質であることが示唆される。 TGA分析の結果は、実験室環境に曝した物質の水分含量が0.5%未満であるというカールフィッシャー滴定分析の結果と一貫していた。 DSC分析により、約180℃〜190℃における吸熱遷移および約189℃におけるピーク最大値が示された。 そして、HSM(ホットステージ顕微鏡)分析により、この熱事象はサンプルの融解に一致することを確認した。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1のDSC/TGAトレースは、図7に従う。

    カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1(図28)の動的蒸気収着(DVS)分析により、この結晶形態は吸湿性でないことが示唆された。 これは非常に吸湿性であることが示されたカナグリフロジンの非結晶形態(図26)と対照的である。 つまり、カナグリフロジンの非結晶形態とは異なり、相対湿度が0%から90%へと増加してもサンプルは有意な吸湿を見せなかった。 加湿の際に見られたわずかな質量増加は、水分が結晶格子中へ取り込まれるのではなくむしろ結晶の表面へ吸着することを表している。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1の2つの吸着/脱着サイクルのDVS等温線プロットの分析(図29;目標相対湿度に対する質量変化)により、吸着/脱着の挙動がサイクル間において完全に一貫することが示された。 つまり、この挙動は可逆的であり、吸着/脱着の間に物理的形態の変化を示すものは見られないということである。 この一貫した吸着/脱着の挙動は、2つのサイクル試験(図27)間で一貫性がないことが判明したカナグリフロジンの非結晶形態のものとは対照的である。 当業者は、カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1は上述の水分吸着/脱着の挙動により、非結晶形態のものに勝る利益があることを認識するであろう。 特に、カナグリフロジンの非結晶形態は湿度変化に伴い(非結晶から結晶への)物理的変化を受けるのに対し、カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1は、水分の存在下または非存在下で安定であり、その完全性を保持している。 このように、異なる湿度の下でもカナグリフロジンの結晶複合体形態CS1は物理的に安定なので、カナグリフロジンの非結晶形態と比較して、製造業者および調合者にとって利益がある。 記載した実施形態において、カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1は本発明の最も好ましいカナグリフロジンの形態である。

    別の実施形態では、本発明は、カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)に関する。 XRPD分析およびSEMによりこれが結晶であることが示された。 形態CS2は、XRPD分析によりカナグリフロジンの非結晶形態および形態CS1と異なることが示された。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS2は、図10に従ったXRPDパターンにより特徴づけられる。 いくつかの実施形態では、この化合物の結晶形態は、8.13、8.4、9.08、9.63、10.95、11.85、12.88、13.33、14.37、16.12、16.86、17.23、18.02、18.29、18.88、19.56、20.35、20.97、21.67、22.22、22.89、24.45、25.14、26.3、26.59、27.06、27.54、28.17、28.58、29.9、30.79、31.69、32.89、33.45、33.7、34.04、35.38、36.47、37.0、37.93、38.43および39.37°2θ(±0.1°2θ)のピークから選択される2以上、3以上、4以上、または5以上のピークを含むXRPDパターンにより特徴づけられ、そこで上記XRPDパターンはCuK α1線を用いて作成される。 いくつかの別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、図10に示す20Cps超のピーク(°2θ(±0.1°2θ))を含むXRPDパターンにより特徴づけられる。 別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、実質的に図10に従ったXRPDピークにより特徴づけられる。

    アミノ酸D−プロリンの存在下において水性EtOHから形態CS2を結晶化すると、真空下での乾燥後に白色の固体になる固形物が得られた。 図13は、形態CS2の1 H NMRスペクトルであり、1:1のモル比でカナグリフロジンおよびD−プロリンを含み、約0.4〜0.6モル当量のEtOHを有することが示される。

    形態CS2をさらにDSC/TGAおよびカールフィッシャー滴定を用いて特徴づけた。 TGA分析により、約50℃および90℃で観察される2つの質量損失段階、3.2%および6%の質量損失がそれぞれ示され、これは、約3.5%の水分含量および約3%〜5%のEtOHというカールフィッシャー滴定分析および1 H NMR分光分析により得られた結果に相当する。 従って、共結晶形態CS2は、一水和物でありエタノール溶媒和物である。 DSC分析により、約69℃、98℃および143℃における3つの吸熱遷移が見られた。 HSM分析により、第1の熱事象は脱水であり第二のものはエタノール蒸発であり、それに続いてサンプルの部分融解が起こることが確認された。 完全融解は約145℃で起こった。 また、DSC分析により、形態CS2はD−プロリンともカナグリフロジンとも異なることが示唆された。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS2のDSC/TGAトレースは、図12に従う。

    別の実施形態では、形態CS3と呼ばれるカナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの結晶複合体は、実質的に図15に従ったXRPDパターンにより特徴づけられる。 形態CS3のXRPDパターンによりこれが結晶であることが示され、これは非結晶カナグリフロジンともL−フェニルアラニンとも異なる。 いくつかの実施形態では、この化合物の結晶形態は、7.84、8.52、11.02、11.76、13.64、14.18、14.86、15.21、15.55、15.73、16.55、17.11、17.66、18.81、19.4、19.72、20.77、21.36、21.82、22.19、22.39、22.6、22.8、23.23、23.43、23.67、24.66、25.2、25.83、26.56、26.96、27.72、28.11、28.64、29.03、29.77、30.44、30.7、31.02、31.47、31.88および32.33°2θ(±0.1°2θ)のピークから選択される2以上、3以上、4以上、または5以上のピークを含むXRPDパターンにより特徴づけられ、そこで上記XRPDパターンはCuK α1線を用いて作成される。 いくつかの別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、図15に示す20Cps超のピーク(°2θ(±0.1°2θ))を含むXRPDパターンにより特徴づけられる。 別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、実質的に図15に従ったXRPDピークにより特徴づけられる。

    天然アミノ酸L−フェニルアラニンの存在下において水性EtOHからカナグリフロジンを結晶化すると、真空下での乾燥後に白色の固体(形態CS3)になり約155℃で融解を開始する固形物が得られた。 図18は、形態CS3の1 H NMRスペクトルであり、カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンを1:1のモル比で含むことが示される。

    形態CS3をさらにDSC/TGAおよびカールフィッシャー滴定を用いて特徴づけた。 カールフィッシャー滴定分析により、形態CS3が一水和物であることが示唆される。 DSC分析により、約105℃、153℃および230℃における3つの吸熱遷移が示された。 TGA分析では、約50℃〜90℃での脱水による質量損失が示され、その質量損失は2.8%である。 これは、カールフィッシャー滴定により得られる結果である約3%に相当する。 形態CS3は、非吸湿性であり、実験室の環境条件下では一水和物として安定している。 可逆的な脱水は、サンプルが低湿度環境(例えば、約10%未満のRH)に曝されたときにのみ発生する。 高湿度条件下では、形態は一水和物のままである。 カナグリフロジンの結晶複合体形態CS3のDSC/TGAトレースは、図17従う。 この実施例において、カナグリフロジンの結晶複合体形態CS3は、前述した物理的安定特性のため、本発明のカナグリフロジンの好ましい固体形態である。

    形態CS3を、さらに100℃でのXRPD分析によっても特徴づけたところ、脱水後に結晶性が観察された。 いくつかの実施形態では、100℃での脱水後のカナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの複合体の結晶形態は、7.41、8.53、10.98、11.72、14.09、14.87、15.26、15.60、15.97、16.55、17.09、17.56、17.89、18.73、18.85、19.31、20.69、21.22、22.15、22.44、23.49、24.12、24.45、25.00、25.78、26.10、26.91、27.56、28.22、28.88、29.26、29.44、29.99、31.00、31.38、32.06,32.52、33.27、33.48、33.95、35.11および35.67°2θ(±0.1°2θ)のピークから選択される2以上、3以上、4以上、または5以上のピークを含むXRPDパターンにより特徴づけられ、そこで、上記XRPDパターンはCuK α1線を用いて得られる。 いくつかの別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、図20に示す20Cps超のピーク(°2θ(±0.1°2θ))を含む100℃でのXRPDパターンにより特徴づけられる。 別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、実質的に図20に従った100℃でのXRPDピークにより特徴づけられる。

    XRPD分析の結果により、形態CS3について100℃で取得したXRPDパターン(図20)は、基本的に25℃で取得したXRPDパターン(図15)と同じであることが示された。 よって、25℃および100℃で取得したXRPDパターンにより、形態CS3は、周囲条件下(例えば、分析化学研究室中)では一水和物であるものの、約10%RH未満などの低湿度および周囲温度超の温度では無水物として存在し得ると結論付けるのが合理的である。

    本発明者らは、予想外に、1:1カナグリフロジンD−プロリン複合体形態CS2、および他の1:1カナグリフロジンD−プロリン複合体を10℃2の加熱速度で25℃から135℃へ加熱すると、この形態は、XRPD分析で示唆されるように、新たな形態に変化するということを発見した。 さらに、様々な温度におけるHSM実験および一連のXRPD分析の結果により、カナグリフロジンD−プロリン複合体には、融解又は一部融解現象が発生し、続いて高温で再結晶化し新たな形態を生成するという事象が起こることが示された。 この融解および再結晶化という事象は110℃超で発生し、130℃〜135℃で完了した。 135℃に達した時点で新たな高度結晶形態が生成され、これは室温まで冷却しても同じXRPDパターンを保持していた。 従って、新たな結晶形態は、カナグリフロジンD−プロリン複合体を125℃超で加熱すると調製可能である。 この新たな形態を形態CS4と呼ぶ。 変換処理の過程(形態CS2から形態CS4)で収集したXRPDデータを図21に示す。

    いくつかの実施形態では、カナグリフロジンD−プロリン複合体形態CS4を、さらに135℃でのXRPD分析によって特徴づけた。 図22により、135℃で得られたカナグリフロジンD−プロリン複合体のXRPDパターンは、実質的に形態CS2のXRPDパターン(図10)とは異なることが示された。

    いくつかの実施形態では、結晶形態CS4は、6.74、9.03、10.11、12.13、12.50、13.50、14.64、15.61、16.69、17.48、17.80、18.21、18.44、19.05、19.54、20.46、20.98、21.23、21.53、22.29、22.91、23.70、24.03、24.54、24.85、25.65、26.14、27.17、27.53、28.40、29.02、29.68、31.13、31.64、31.79、32.30、32.67、33.45、34.60、35.48、36.34および37.46°2θ(±0.1°2θ)のピークから選択される2以上、3以上、4以上、または5以上のピークを含むXRPDパターンにより特徴づけられ、そこで上記XRPDパターンはCuK α1線を用いて作成される。 いくつかの別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、図22に示す20Cps超のピーク(°2θ(±0.1°2θ))を含むXRPDパターンにより特徴づけられる。 別の実施形態では、この化合物の結晶形態は、実質的に図22に従ったXRPDピークの全部または一部により特徴づけられる。

    周囲温度で処理した形態CS4をDSC/TGAを用いてさらに特徴づけた。 DSC分析により、約143℃にピーク最大値を有する吸熱遷移が示された。 TGA分析により、有意な質量損失はないことが示された。 よって、形態CS4は周囲条件下で非吸湿性かつ無水性な材料である。

    形態CS4の1 H NMR分光分析により、1:1のモル比でカナグリフロジンおよびD−プロリンを含むことが示される。 図23は、形態CS4の1 H NMR分光分析であり、形態CS4が1:1のモル比でカナグリフロジンおよびD−プロリンを含むことが示される。

    発明者らは、さらに、形態CS4を加熱すると、153℃にDSCピーク最大融点を有する別の形態CS5に変換できることを発見した。

    表2は、それぞれ、本発明の結晶複合体形態CS1〜CS4のXRPDピークを示す。

    記載した実施形態のうち、カナグリフロジンの結晶複合体形態CS1および形態CS3が本発明のカナグリフロジンのより好ましい固体形態であり、結晶複合体形態CS1が本発明のカナグリフロジンの最も好ましい固体形態である。

    以下の実施例は、本発明を更に説明するために提供するもので本発明を限定するものではない。

    実施例1:非結晶ダパグリフロジンの調製

    ダパグリフロジン(1.7g、4.2mmol)を、10mLのトルエンに加熱しながら溶解した。 得られた溶液を40mLのn−ヘプタンに加えた。 この混合物を濾過し、得られた固形物を真空オーブン中で乾燥させたところ、白色固形物として1.6gの非結晶ダパグリフロジンを得た。 この非結晶生成物のXRPDパターンおよびIRスペクトルを図1および2に示す。

    実施例2:非結晶カナグリフロジンの調製

    カナグリフロジン(0.3g、0.67mmol)を、3mLのトルエンに加熱しながら溶解した。 得られた溶液を30mLのn−ヘプタンに加えた。 この混合物を濾過し、得られた固形物を真空オーブン中で乾燥させたところ、白色固形物として0.2gの非結晶カナグリフロジンを得た。 この非結晶生成物のXRPDパターンおよびIRスペクトルを図3および4に示す。

    実施例3:カナグリフロジンおよびL−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS1)の調製

    カナグリフロジン(0.3g、0.67mmol)、L−プロリン(0.17g、1.5mmol)、および5mLの95%EtOH水溶液を、加熱して溶解した。 この溶液を室温までゆっくりと冷却した。 この混合物を濾過し、得られた固形物を真空オーブン中で乾燥させたところ、0.3gの白色固形物を得た。 結晶複合体のXRPDパターン、IRスペクトル、DSC、およびTGAトレース、並びに1 H NMRおよび13 C NMRスペクトルを図5、6、7、8および9に示す。

    実施例4:カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体のEtOH溶媒和物(形態CS2)の調製

    カナグリフロジン(0.3g、0.67mmol)およびD−プロリン(0.09g、0.8mmol)を、5mLの95%EtOH水溶液に加熱しながら溶解した。 この溶液を室温までゆっくりと冷却し、そしてこの混合物を濾過し得られた固形物を真空オーブン中で乾燥させたところ、白色固形物として0.32gの結晶複合体を得た。 結晶複合体のXRPDパターン、IRスペクトル、DSC、およびTGAトレース、並びに1 H NMRおよび13 C NMRスペクトルを、図10、11、12、13および14に示す。

    実施例5:カナグリフロジンおよびL−フェニルアラニンの1:1結晶複合体(形態CS3)の調製

    カナグリフロジン(0.4g、0.9mmol)およびL−フェニルアラニン(0.33g、2mmol)を3.2mLの完全EtOHおよび3.2mLのH 2 Oとの混合物中で加熱しながら溶解した。 この溶液を室温までゆっくりと冷却し、得られた混合物を濾過した。 得られた固形物を真空オーブン中で乾燥させたところ、白色固形物として0.52gの複合体を得た。 結晶複合体のXRPDパターン、IRスペクトル、DSC、およびTGAトレース、並びに1 H NMRおよび13 C NMRスペクトルを、図15、16、17、18および19に示す。

    実施例6:カナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体(形態CS4)の調製 0.2gの1:1カナグリフロジンD−プロリン複合体を10℃/分の加熱速度で25℃から135℃に加熱して、その後室温までゆっくりと冷却した。 この加熱工程中の様々な温度におけるXRPDパターンを図21に見ることができる。 得られた結晶形態の1 H NMR分光分析(図23参照)により、これがカナグリフロジンおよびD−プロリンの1:1結晶複合体であることがわかった。

    前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例により幾分詳細に記載されているが、当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で可能なことを理解するであろう。 加えて、本明細書に示す参考文献は、各参考文献を個別に参照により援用するのと同程度にその全体を参照により援用する。 本出願および本明細書に示す参考文献との間に競合が存在する場合には、本出願が優勢であるものとする。

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