窒素含有置換基を有するポリマー結合多環式芳香族炭化

申请号 JP2014540394 申请日 2012-10-30 公开(公告)号 JP6093988B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 シクパ ホルディング ソシエテ アノニム; SICPA HOLDING SA; 发明人 パスキエ, セシル; ウィス, パトリック;
摘要
权利要求

一般式(1)のポリマー結合多環式芳香族炭化素化合物であって (P−O)x−Q−(Y)w (1) [式中、Pは、置換されていてもよいフェニル環を含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 Qは、ペリレン、カテリレン、又はテリレン部分を表し、 Yは、(i)ハロゲン及び(ii)3〜8個の環員を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基(ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表す)から選択され、 xは1〜4の整数を表し、 wは1〜4の整数を表す]、 Pが一般式(2)の重合体化合物の残基である、化合物。 [式中、R4基は互いに同じか又は異なり、C1〜C10アルキル及びC1〜C4アルコキシから選択され、 mは1〜30の整数を表し、 nは1〜3の整数を表す]。(x+w)が4以下である、請求項1に記載の化合物。Qが式(A)又は(B)の基本構造を有する、請求項1又は2に記載の化合物: [式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、単位−CO−Z−CO−(式(B)の場合、一方又は両方の単位)は単位−CS−Z−CO−若しくは単位−CS−Z−CS−で置き換えられていてもよく、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位で置き換えられていてもよく、 R及びR’は独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’はまた、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい]。式(I)、(II)、又は(III)の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物: [式(III)の場合、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、一方又は両方の単位−CO−Z−CO−は−CS−Z−CO−、−CS−Z−CS−、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は単位−C(=NR’)−NR−CO−で置き換えられていてもよく、 R及びR’は独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよく、 R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル−COOH、C1〜C4アルキル−SO3H、C1〜C4アルコキシ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、C1〜C4アミノアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、及びSO3Hから選択され、アルキル基は置換されていてもよく、 Yは、(i)ハロゲン、及び(ii)3〜8個の環員を有し、N原子を介して芳香族環に結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し、 Pは、置換されていてもよいフェニル環を含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 wは1〜4の整数である]。Qが、式(C)、(D)又は(E)の基本構造を有する、請求項1又は2に記載の化合物: [式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、単位−CO−Z−CO−(式(C)及び(D)の場合、一方又は両方の単位)は単位−CS−ZCO−若しくは単位−CS−Z−CS−で置き換えられていてもよく、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位で置き換えられていてもよく、 R及びR’は独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’はまた、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい]。式(IV)〜(XII)のうちの1つの化合物である、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の化合物: [式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、式(IV)及び(V)の場合、一方又は両方の単位−CO−Z−CO−は単位−CS−Z−CO−、単位−CS−Z−CS−、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は単位−C(=NR’)−NR−CO−で置き換えられていてもよく、 R及びR’は独立して、1〜20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよく、 R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル−COOH、C1〜C4アルキル−SO3H、C1〜C4アルコキシ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、C1〜C4アミノアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、及びSO3Hから選択され、アルキル基は置換されていてもよく、 Yは、(i)ハロゲン、及び(ii)3〜8個の環員を有し、N原子を介して芳香族環に結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し、 wは1〜4の整数を表す]。少なくとも1つのY基が3〜8個の環員を有するヘテロ脂環式基から選択され、環員は、N、S、及びOから選択される1〜3個のヘテロ原子を含み、ただし、少なくとも1つの環員はNであり、ヘテロ脂環式化合物は、10個までの炭素原子を含むアルキル基及びアルコキシ基から選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を作製する方法であって、非プロトン性極性有機溶媒中で、式Q−(Hal)vの化合物(式中、Halはハロゲンを表し、vは2〜8の整数を表す)を、N含有脂環式化合物及び式P−OHの重合体化合物と連続的に反応させるステップを含む、方法。以下のとおり表される、請求項8に記載の方法: [式中、 ()はCH2を表し、少なくとも1つのCH2基はO、NH、又はSで置き換えることができ、 uは2〜7であり、 vは2〜8の整数である]。極性液体媒体、及び前記媒体に溶解又は分散させた請求項1〜7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマー結合化合物を含む、印刷インキ組成物。式(1)の少なくとも1つのポリマー結合化合物を、組成物の全重量に対して0.01重量%〜40重量%含む、請求項10に記載の印刷インキ組成物。請求項1〜7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマー結合化合物を含むマーキング又はセキュリティフィーチャ。スレッド、ラベル、バーコード、2Dコード、パターン、しるし、及びデータマトリックスの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のマーキング又はセキュリティフィーチャ。請求項12又は13に記載のマーキング又はセキュリティフィーチャを含む物品。コード化又は暗号化された情報をもつことがある又はもつことがない缶、金属、アルミニウム箔、カートリッジ、カプセル、ガラス製物品、セラミック製物品、パッケージング、銀行券、旅券、セキュリティ文書、有価文書、チケット、スレッド、ラベル、カード、商品、及びタバコパッケージングの少なくとも1つである、請求項14に記載の物品。請求項12又は13に記載のマーキング又はセキュリティフィーチャを有する物品を用意するステップ、又は請求項10又は11に記載の印刷インキ組成物を物品に塗布するステップを含む、物品を認証する方法。物品が、コード化又は暗号化された情報をもつことがある又はもつことがない缶、金属、アルミニウム箔、カートリッジ、カプセル、ガラス製物品、セラミック製物品、パッケージング、銀行券、旅券、セキュリティ文書、有価文書、チケット、スレッド、ラベル、カード、商品、及びタバコパッケージングの少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。少なくとも0.1%のポリマー分子に1〜4個の式−Q−(Y)wの残基が結合しており[式中、Qは、ペリレン、カテリレン、又はテリレンの部分を表し、Yは、(i)ハロゲン及び(ii)3〜8個の環員を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し、wは1〜4の整数を表し、ただし、さらにQは同時に4個までのポリマー分子に結合していてもよく]、 一般式(2)の化合物である、ポリマー。 [式中、R4基は互いに同じか又は異なり、C1〜C10アルキル及びC1〜C4アルコキシから選択され、 mは1〜30の整数を表し、 nは1〜3の整数を表す]。

说明书全文

発明の詳細な説明

[発明の背景] [発明の分野] [0001]本発明は、窒素含有ヘテロ脂環式置換基を有するポリマー結合多環式芳香族炭化素、特にポリマー結合ペリレン、テリレン、及びクアテリレン化合物、並びにこれらのポリマー結合多環式芳香族炭化水素を着色剤として含む例えば印刷インキ等の組成物に関する。

[背景情報の考察] [0002]大量生産された製品が個々の物品単位でなくロット単位で取り扱われる場合には、製品の偽造及び市場における横流しが容易になる。このような場合、偽造品又は横流し品は供給連鎖に容易に取り込まれる。製造業者及び小売り業者であれば、自社のオリジナル製品とこのような偽造品又は横流し(並行輸入又は密輸)品とを個々の販売単位のレベルで識別できる立場にあることを望むはずである。

[0003]さらに、通貨、旅券、又は身分証明書等の信頼できる文書は、世界中でますます偽造が増えている。このような状況は、政府及び一般社会にとって非常に重大な問題である。例えば、犯罪組織は、ヒトの往来に偽の旅券又は身分証明書を使用することがある。複写技術がますます複雑になるにつれて、偽の文書と元の文書をはっきり識別することが一層困難になる。したがって、文書のセキュリティは、各国の経済に、また偽造文書が関与する不法な取引の犠牲者にもかなりの影響を与える。

[0004]偽造を防止する試みとして、現在マーキングが広範囲にわたって個々の物品の認識、識別、及び認証に使用されている。マーキングは、例えば一次元バーコード、スタック式一次元バーコード、二次元バーコード、三次元バーコード、データマトリックス等のしるしの形で適用することができる。マーキングの適用は、例えば発光染料、顔料、又はコレステリック液晶化合物等1種又は複数の物質を含み、それらが付与する特定の光学諸特性を有する印刷インキを使用する印刷プロセスにより頻繁に実施される。

[0005]例えばマーキング用の印刷インキでの使用に適した化合物の一群は、ペリレン、テリレン又はクアテリレン骨格を有する化合物である。ペリレン、テリレン、及びクアテリレンは蛍光を示し、これらの化合物には印刷インキ等のマーキング用組成物中における顔料として理論上は使用することができる公知の誘導体が多数存在する。しかし、これらの化合物の欠点は、印刷インキにおいて有用であるもの等の液体媒体における溶解性又は分散性がしばしば不満足なほど低いことである。これらの化合物は溶解性/分散性が低いことによって、一般液体組成物用着色剤としての適合性が制限される。したがって、ペリレン、テリレン、及びクアテリレン染料の液体媒体、特に印刷インキに使用するための液体媒体における溶解性及び/又は分散性を高めることができれば有利である。

[発明の概要] [0006]本発明は、一般式(1)のポリマー結合多環式芳香族炭化水素化合物を提供する: (P−O)x−Q−(Y)w (1) [式中、Pは、置換されていてもよいフェニル環を含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 Qは、ペリレン、カテリレン、又はテリレン部分(すなわち、置換基Y及び/又はP−O以外に1個又は複数の置換基を場合によっては含むことがあるペリレン、カテリレン、又はテリレン基本構造)を表し、 Yは、(i)ハロゲン及び(ii)3〜約8個の環員を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し、 xは1〜4の整数を表し、wは1〜4の整数を表す]。

[0007]式(1)の化合物の一態様において、xは1であってもよく、及び/又は(x+w)は約4を超えることはない。

[0008]別の態様において、Qは、式(A)又は(B)の基本構造(すなわち、場合によっては存在する置換基を含まない)を有する部分であってもよい:

[式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、単位−CO−Z−CO−(式(B)の場合、一方又は両方の単位)は単位−CS−Z−CO−若しくは単位−CS−Z−CS−で置き換えられていてもよく、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位で置き換えられていてもよく、式(B)の場合、両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位中のR基は同じでも異なってもよく、 R及びR’は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’はまた、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい]。

[0009]上記の式(A)及び(B)の化合物の一態様において、(唯一の)Z基又はZ基の少なくとも1つはN−Rを表し、Rは、例えば1〜約4個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいベンジル等、例えば1〜約6個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル、7〜約12個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキルアリール又はアリールアルキル、約6〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよいアリール、及び約3〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよいヘテロアリールから選択されてもよい。非限定的な例として、Rは、例えば第二級又は第三級の炭素原子を含む少なくとも2個のアルキル基(その例としてはイソプロピル及びtert−ブチル基が挙げられる)で置換されたフェニル基等、ハロゲン及び1〜約6個の炭素原子を有するアルキルから選択される1〜約3個の基で置換されているフェニルを表すことがある。

[0010]上記の式(A)及び(B)の化合物の別の態様において、Z基は同じでも異なっていてもよく、O又はN−Rを表す(式中Z基がOである化合物、式中両方のZ基がN−Rである化合物(R基は同じか又は異なる)、及び式中一方のZ基がOであり、他方のZ基がN−Rである化合物を含む)。

[0011]例えば、本発明のポリマー結合化合物としては、式(I)、(II)及び(III)の化合物が挙げられる:

[式(III)の場合、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、一方又は両方の単位−CO−Z−CO−は−CS−Z−CO−、−CS−Z−CS−、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は単位−C(=NR’)−NR−CO−で置き換えられていてもよく、さらに、式(III)における両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位におけるR基は同じでも異なってもよく、 R及びR’は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよく、 R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル−COOH、C1〜C4アルキル−SO3H、C1〜C4アルコキシ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、C1〜C4アミノアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、及びSO3Hから選択され、アルキル基は置換されていてもよく、 Yは、(i)ハロゲン及び(ii)3〜約8個の環員を有し、N原子を介して芳香族環に結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し(例えば、少なくとも1つのY基は、3〜約8個の環員を有するヘテロ脂環式基から選択されてもよく、環員は、N、S、及びOから選択される1〜約3個のヘテロ原子(例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子)を含んでもよく、ただし、少なくとも1個の環員はNであり、及び/又はヘテロ脂環式基は、約10個までの炭素原子を含むアルキル基及びアルコキシ基から選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい) Pは、置換されていてもよいフェニル環を含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 wは1〜4の整数である]。

[0012]本発明のポリマー結合化合物のもう1つの態様において、Qは、式(C)、(D)又は(E)の基本構造(すなわち、場合によっては存在する置換基を含まない)を有する部分であってもよい:

[式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、単位−CO−Z−CO−(式(C)及び(D)の場合は一方又は両方の単位)は単位−CS−Z−CO−若しくは単位−CS−Z−CS−で置き換えられていてもよく、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位で置き換えられていてもよく、さらに、式(C)及び(D)の場合、両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位におけるR基は同じでも異なってもよく、 R及びR’は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、またR及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい]。

[0013]本発明のこれらのポリマー結合化合物の一態様において、(唯一の)Z基又はZ基の少なくとも一方(式(C)及び式(D)の場合)はN−Rを表し、Rは、例えば1〜約4個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいベンジル等、例えば1〜約6個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル、7〜約12個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキルアリール又はアリールアルキル、約6〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよいアリール、及び約3〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよいヘテロアリールから選択されてもよい。非限定的な例として、Rは、例えば第二級又は第三級の炭素原子を含む少なくとも2個のアルキル基(その非限定的な例としてはイソプロピル及びtert−ブチル基が挙げられる)で置換されているフェニル基等、ハロゲン及び1〜約6個の炭素原子を有するアルキルから選択される1〜約3個の基で置換されているフェニルを表すことがある。

[0014]例えば、本発明のポリマー結合化合物は式(IV)〜(XII)の化合物を含む:

[式中、Z基は互いに同じか又は異なり、O、S、又はN−Rを表し、ただし、式(IV)及び(V)の場合、一方又は両方の単位−CO−Z−CO−は単位−CS−Z−CO−、単位−CS−Z−CS−、又は[−COOH HOOC−]で置き換えられていてもよく、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は単位−C(=NR’)−NR−CO−で置き換えられていてもよく、さらに、両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位におけるR基は同じでも異なってもよく、 R及びR’は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表し、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよく、 R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル−COOH、C1〜C4アルキル−SO3H、C1〜C4アルコキシ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ、C1〜C4アミノアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、及びSO3Hから選択され、アルキル基は置換されていてもよく、 Yは、(i)ハロゲン及び(ii)3〜約8個の環員を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基から選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表し(例えば、少なくとも1つのY基は、3〜約8個の環員を有するヘテロ脂環式基から選択されてもよく、環員は、N、S、及びOから選択される1〜約3個のヘテロ原子(例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子)を含んでもよく、ただし、少なくとも1個の環員はNであり、及び/又はヘテロ脂環式基は、約10個までの炭素原子を含むアルキル基及びアルコキシ基から選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい) Pは、置換されていてもよいフェニル環を含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 wは1〜4の整数である]。

[0015]さらに別の態様において、式(1)の化合物の少なくとも1つのY基は、3〜約8個の環員を有するヘテロ脂環式基から選択されてもよく、環員は、N、S、及びOから選択される1〜約3個のヘテロ原子(例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子)を含んでもよく、ただし、少なくとも1つの環員はNである。さらに、ヘテロ脂環式基は、約10個までの炭素原子を含むアルキル基及びアルコキシ基から選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。

[0016]例えば、式(1)の化合物の少なくとも1つのY基は、置換されていてもよいアザシクロオクタン、置換されていてもよいアゼパン、置換されていてもよいピペリジン、置換されていてもよいピペラジン、置換されていてもよいピロリジン、置換されていてもよいアゼチジン、置換されていてもよいアジリジン、置換されていてもよいモルホリン、置換されていてもよいオキサゾリジン、置換されていてもよいピラゾリジン、置換されていてもよいイソピラゾリジン、置換されていてもよいイソオキサゾリジン、及び置換されていてもよいチアゾリジンから選択されるヘテロ環式化合物の残基(すなわち、N原子に結合している水素原子を含まない)であってもよい。環の任意選択の置換基は、C1〜C4アルコキシ及びC1〜C6アルキル基から独立して選択できることが好ましい。式(1)の化合物が異なる2つ以上のヘテロ脂環式基Yを含んでもよいことは当然である。

[0017]上記の一般式(1)のポリマー結合化合物の別の態様において、Pは、一般式(2)の化合物の残基(すなわち、1つのフェノール性ヒドロキシ基の水素原子を含まない)であってもよい:

[式中、R4基は互いに同じか又は異なり、C1〜C10アルキル及びC1〜C4アルコキシから選択され、mは1〜約30の整数を表し、nは1〜約3の整数を表す]。例えば、mは1〜10の整数を表すことがあり、及び/又はnは1若しくは2であってもよく、及び/又はR4基は独立して、例えばイソプロピル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−ノニル、分枝状ノニル等のC1〜C10アルキルから選択されることがある。

[0018]本発明は、上記の一般式(1)のポリマー結合化合物を作製する方法も提供する。本方法は、非プロトン性極性有機溶媒中で式Q−(Hal)vの化合物(式中、Halはハロゲンを表し、vは2〜8の整数を表す)をN含有脂環式化合物及び式P−OHの重合体化合物と連続的に反応させるステップを含む。

[0019]本方法の一態様において、少なくともN含有脂環式化合物が関与する反応(さらに通常は重合体化合物を含む反応が関与する反応)を無機塩基及び/又は非求核性有機強塩基の存在下で実施してもよい。

[0020]本方法番号(2)の別の態様において、式P−OHの重合体化合物100g当たり式Q−(Hal)vの化合物約0.5〜約10gを使用してもよい。本方法番号(1)の別の態様において、式P−OHの重合体化合物100g当たり(G1)と呼ばれる式の化合物約0.5〜約10gを使用してもよい。

[0021]もう1つの態様において、極性溶媒は重合体化合物が可溶である少なくとも1つの溶媒を含んでもよく、及び/又はN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの少なくとも1つであってもよい。

[0022]本発明は印刷インキ組成物も提供する。組成物は、極性液体媒体、及び媒体に溶解又は分散させた上記の式(1)の少なくとも1つのポリマー結合化合物(その様々な態様を含む)を含む。

[0023]一態様において、本組成物は、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜約40重量%、例えば約0.05重量%〜約10重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%の式(1)のポリマー結合化合物を含んでもよい。

[0024]別の態様において、本組成物は、少なくとも1つの導電性付与物質(例えば、塩等)をさらに含んでもよい。

[0025]本発明は、上記の本発明の印刷インキ組成物で作製され、及び/又は上記の式(1)のポリマー結合化合物(その様々な態を含む)を含むマーキング又はセキュリティフィーチャ(security feature)をさらに提供する。

[0026]一態様において、マーキング又はセキュリティフィーチャは、データ情報を裏付けるスレッド、ラベル、バーコード、2Dコード、パターン、しるし、データマトリックス、デジタルスタンプ、及び(可視又は不可視)ドットの集団のうちの少なくとも1つを含んでもよい。

[0027]本発明は、上記のマーキング又はセキュリティフィーチャを含む物品も提供する。例えば、マーキング又はセキュリティフィーチャは、物品の層として存在してもよい。

[0028]一態様において、物品は、例えばコード化又は暗号化された情報をもつ又はもたない、納税ラベル等のラベル、パッケージング、缶、金属、アルミニウム箔、カートリッジ、例えば薬剤、栄養補助食品、食糧又は飲料(例えば、コーヒー、茶、乳、チョコレート等)が入っている密閉カートリッジ(例えば、カプセル)、ガラス製物品、セラミック製物品、銀行券、切手、セキュリティ文書、身分証明書、旅券、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、例えば交通機関のチケット又はイベントのチケット等のチケット、クーポン券、有価文書、インキ転移フィルム、反射フィルム、スレッド、商品、及びタバコパッケージングの少なくとも1つであってもよい。

[0029]本発明は物品を認証する方法も提供する。本方法は、上記のマーキング又はセキュリティフィーチャ(その様々な態様を含む)を有する物品を用意するステップ及び/又は上記の印刷インキ組成物(その様々な態様を含む)を物品に塗布するステップを含む。

[0030]本方法の一態様において、物品は、コード化又は暗号化された情報をもつ又はもたない、納税ラベル、パッケージング、缶、金属、アルミニウム箔、カートリッジ、例えば薬剤、栄養補助食品、食糧又は飲料(例えば、コーヒー、茶、乳、チョコレート等)が入っている密閉カートリッジ(例えば、カプセル)、ガラス製物品、セラミック製物品、銀行券、切手、セキュリティ文書、身分証明書、旅券、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、例えば交通機関のチケット又はイベントのチケット等のチケット、クーポン券、有価文書、インキ転移フィルム、反射フィルム、スレッド、商品、及びタバコパッケージングの少なくとも1つであってもよい。

[0031]本発明は、少なくとも約0.1%のポリマー分子が1〜4個の式−Q−(Y)wの残基(例えば、1、2、又は3個の残基)に結合しているポリマーも提供する: [式中、 Qは、ペリレン、カテリレン又はテリレン部分を表し、 Yは、(i)ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、及びI)及び(ii)少なくとも1つがNである3〜約8個の環員を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基(ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表す)から選択され、 wは1〜4の整数を表し;ただし、さらにQは同時に4個までのポリマー分子(例えば、1、2、3、又は4個の異なるポリマー分子)に結合していてもよい]。

[0032]本ポリマーの一態様において、本ポリマーは一般式(2)の化合物であってもよい:

[式中、R4基は互いに同じか又は異なり、C1〜C10アルキル及びC1〜C4アルコキシから選択され、mは1〜約30の整数を表し、nは1〜約3の整数を表す]。

[0033]もう1つの態様において、本ポリマーは、上記の方法(その様々な態様を含む)で得ることが可能であってもよい。

[本発明の詳細な説明] [0034]本明細書で示される詳細は、一例であり、本発明の実施形態を例示的に考察するためにすぎず、本発明の原則及び概念的態様の最も有用で容易に理解される説明であると思われるものを提供するために記載される。この点に関しては、本発明の構造細部を、本発明を基本的に理解するのに必要な説明より詳細に示すものではなく、説明によって、本発明のいくつかの形態が実際上どのように具体化されるかを当業者に明らかにする。

[0035]本明細書に記載のR基、R’基、R”基、R1基、R2基、R3基、及びR4基の意味について、以下のことは本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体にわたって適用される(本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体にわたって、指示された炭素原子数は常にそれぞれの非置換基を指すことが理解される)。

[0036]「置換されていてもよい脂肪族」又は「置換されていてもよいアルキル」基は、1〜約12個の炭素原子、例えば1〜約8個の炭素原子、1〜約6個の炭素原子、又は1〜約4個の炭素原子を有することが好ましい直鎖状及び分枝状のアルキル基を包含する。直鎖状及び分枝状のアルキル基は限定されるものではないが、具体例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、直鎖状又は分枝状ペンチル(例えば、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、及び2,2−ジメチルプロピル)、直鎖状又は分枝状ヘキシル(例えば、2−エチルブチル、3−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチル)、直鎖状又は分枝状ヘプチル、直鎖状又は分枝状オクチル(例えば、2−エチルヘキシル)、及び直鎖状又は分枝状ノニルが挙げられる。アルキル基は1個又は複数(例えば、1、2、3、4個等)の置換基で置換されていてもよい。これらの置換基は限定されるものではないが、例えばOH、例えばF、Cl、Br、及びI等のハロゲン(例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、及び2,2,2−トリフルオロエチルなど)、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシ等の1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばアセトキシやプロピオニルオキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアシルオキシ、例えば(置換されていてもよい)フェノキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアリールオキシ、例えばベンゾイルオキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアロイルオキシ、−COOH(その部分又は完全塩化形を含む)、例えばメトキシカルボニルやエトキシカルボニル等、アルキル基中に1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、−SO3H、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、及びジプロピルアミノ等、アルキル基が1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ及びジアルキルアミノ等が挙げられる。アルキル基は、さらに後述する1個又は複数の置換されていてもよいシクロアルキル基(3〜約8個の環炭素原子を有することが好ましい)で置換されていてもよい。アルキル基の好ましい置換基としては、F、Cl、Br、OH、メトキシ、エトキシ、−COOH、−SO3H、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、及びジエチルアミノが挙げられる。1個を超える置換基が存在する場合、置換基は同じでも異なってもよい。また、アルキル基のC原子の1個又は複数(例えば、1個又は2個)を、例えばO、S、及びNR’’’(R’’’は例えばH又は1〜約4個の炭素原子を有するアルキルを表す)等のヘテロ原子で置き換えてもよい。さらに、アルキル基は、1個若しくは複数のカルボニル基(C=O)が組み込まれていてもよく、及び/又は1個若しくは複数の炭素−炭素二重結合及び/又は三重結合(例えば、ビニル、アリル、及びプロパルギルにおけるもの等)を含んでもよい。

[0037]「置換されていてもよい脂環式」又は「置換されていてもよいシクロアルキル」基は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル等、約3〜約12個の環炭素原子を含むことが好ましく、約5〜約8個の環炭素原子を含むことがより好ましい。シクロアルキル基は1個又は複数(例えば、1、2、3、4個等)の置換基で置換されていてもよい。これらの置換基は限定されるものではないが、例えばOH、例えばF、Cl、Br、及びI等のハロゲン、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシ等の1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばアセトキシやプロピオニルオキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアシルオキシ、例えば(置換されていてもよい)フェノキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアリールオキシ、例えばベンゾイルオキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアロイルオキシ、−COOH(その部分又は完全塩化形を含む)、例えばメトキシカルボニルやエトキシカルボニル等、アルキル基中に1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、−SO3H、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、及びジプロピルアミノ等、アルキル基が1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ及びジアルキルアミノ等が挙げられる。シクロアルキル基は、上記の1個又は複数の置換されていてもよいアルキル基(1〜約4個の炭素原子を有することが好ましい)で置換されていてもよい。アルキル基の好ましい置換基としては、F、Cl、Br、OH、メトキシ、エトキシ、−COOH、−SO3H、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、及びジエチルアミノが挙げられる。1個を超える置換基が存在する場合、置換基は同じでも異なってもよい。さらに、シクロアルキル基は、1個若しくは複数のカルボニル基(C=O)が組み込まれていてもよく、及び/又は1個若しくは複数の炭素−炭素二重結合(例えば、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルにおけるもの等)を含んでもよい。

[0038]「置換されていてもよいアリール(芳香族)」基及び「置換されていてもよいヘテロアリール(ヘテロ芳香族)」基は、約5〜約15個の環員、例えば約6〜約10個の環員を含むことが好ましい縮合していてもよいアリール及びヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリール基は、通常、O、S、及びNから選択される1〜約3個の環員を含み、部分又は完全水素化されていてもよい。これらのアリール及びヘテロアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、2−又は3−フリル、2−又は3−チエニル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−、4−又は5−イミダゾリル、1−、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−オキサゾリル、3−、4−又は5−イソオキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−イソチアゾリル、2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−、5−又は6−ピリミジニル、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−又は−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−又は−5−イル、1−又は5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−又は−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−又は−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−又は−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−又は−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−又は−5−イル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル、インダゾリル、4−又は5−イソインドリル、1−、2−、4−又は5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−又は7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3、4−、5−、6−、7−又は8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−又は8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−又は8−キナゾリニル、5−又は6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−又は8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾ−ジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−又は−5−イル又は2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−又は−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−又は−5−フリル、テトラヒドロ−2−又は−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−又は−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、4−又は−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−ピロリル、1−、2−又は3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−又は−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−又は−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−又は−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−又は−6−ピリジル、1−、2−、3−又は4−ピペリジニル、2−、3−又は4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−又は−4−ピラニル、1,4−ジオキサネイル、1,3−ジオキサン−2−、−4−又は−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−又は−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−又は−5−ピリミジニル、1−、2−又は3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−又は−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−又は−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−又は8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−又は−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−又は−7−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルが挙げられる。アリール及びヘテロアリール基は、例えばF、Cl、Br、及びI等のハロゲン、OH、−COOH(その部分又は完全塩化形を含む)、−SO3H、ニトロ、シアノ、例えばメトキシやエトキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばアセトキシやプロピオニルオキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアシルオキシ、例えばフェノキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアリールオキシ、例えばベンゾイルオキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアロイルオキシ、アミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、及びジプロピルアミノ等、アルキル基が1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ及びジアルキルアミノ、例えばアセチルアミノやプロピオニルアミノ等の1〜約8個の炭素原子を有するアシルアミノ、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアミノカルボニル、及び例えばメトキシカルボニルやエトキシカルボニル等、アルキル基中に1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、アセチルやプロピオニル等の2〜約8個の炭素原子を有する置換されていてもよいアシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、及びアルキルスルホニルアミノから選択されることが好ましい1個又は複数(例えば、1、2、3、4個等)の置換基で置換されていてもよい。1個を超える置換基が存在する場合、置換基は同じでも異なってもよい。また、アリール及びヘテロアリール基は、アリール基及び/又はアルキルアリール基で置換されていてもよい。置換アリール基は限定されるものではないが、具体例としてクロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、ブロモフェニル、フェノキシフェニル、ヒドロキシフェニル、ジヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、アミノフェニル、ジメチルアミノフェニル及びビフェニリルが挙げられる。

[0039]「置換されていてもよいアルキルアリール」基及び「置換されていてもよいアルキルヘテロアリール」基は、上記の少なくとも1つの置換されていてもよいアルキル基(1〜約6個、例えば1〜約4個の炭素原子を含むことが好ましい)で(さらに)置換されている上記の置換されていてもよいアリール基及び置換されていてもよいヘテロアリール基を意味する。置換されていてもよいアルキルアリール基及び置換されていてもよいアルキルヘテロアリール基の具体例としては、トリル、キシリル、メシチル、エチルフェニル、クミル、トリフルオルメチルフェニル、ヒドロキシトリル、クロロトリル、メチルピリジル、メチルフリル、メチルチエニル、ジイソプロピルフェニル、ジ(tert−ブチル)フェニル、及びメチルナフチルが挙げられる。

[0040]「置換されていてもよいアリールアルキル」基及び「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル」基は、さらに上記の少なくとも1つの置換されていてもよいアリール基及び/又は置換されていてもよいヘテロアリール基で(さらに)置換されている上記の置換されていてもよいアルキル基(1〜約6個、例えば1〜約4個の炭素原子を含むことが好ましい)を意味する。置換されていてもよいアリールアルキル基及び置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基の具体例としては、ベンジル、メチルベンジル、クロロベンジル、ジクロルベンジル、ヒドロキシベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、ピリジルメチル、チエニルメチル、フリルメチル、及びナフチルメチルが挙げられる。

[0041]「置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環」は、すでに存在する1個又は2個のN原子以外に、O、N、及びSから選択される1個又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい飽和、部分不飽和、又は芳香族のN−ヘテロ環式環を意味する。環は、通常5個又は6個の環員を有する。また、環は追加のヘテロ原子を含まないことが多い。さらに、環には1個若しくは2個の芳香族環及び/若しくはヘテロ芳香族環(例えば、ベンゼン環)が縮合していてもよく、及び/又はF、Cl、Br、及びI、OH、−COOH(その部分又は完全塩化形を含む)、−SO3H、シアノ、ニトロ、例えばメトキシやエトキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばアセトキシやプロピオニルオキシ等の1〜約4個の炭素原子を有するアシルオキシ、例えばフェノキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアリールオキシ、例えばベンゾイルオキシ等の約6〜約10個の炭素原子を有するアロイルオキシ、アミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、及びジプロピルアミノ等、アルキル基が1〜約6個の炭素原子、例えば1〜約4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ及びジアルキルアミノ、例えばアセチルアミノやプロピオニルアミノ等の1〜約8個の炭素原子を有するアシルアミノ、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアミノカルボニル、及び例えばメトキシカルボニルやエトキシカルボニル等、アルキル基中に1〜約4個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、アセチルやプロピオニル等の2〜約8個の炭素原子を有する置換されていてもよいアシル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、及びアルキルスルホニルアミノ、例えばメチル、エチル、ヒドロキシメチル、及びヒドロキシエチル等の1〜約6個の炭素原子を有する置換されていてもよいアルキル、例えばフェニル、トリル、キシリル、ヒドロキシフェニル、ピリジニル、及びピロリル等の置換されていてもよい(ヘテロ)アリール、並びに例えばベンジル等の置換されていてもよいアルキルアリールから選択されることが好ましい1個若しくは複数(例えば、1、2、3、4個等)の置換基で置換されていてもよい。1個を超える置換基が存在する場合、置換基は同じでも異なってもよい。非置換のN含有5員〜7員環は限定されるものではないが、例えばピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、チエニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、オキサゾリル及びオキサゾリジニルが挙げられる。

[0042]上記のように、本発明の化合物は一般式(1)を含む: (P−O)x−Q−(Y)w (1) [式中、Pは、置換されていてもよいフェニル環をそれぞれが含む少なくとも3個の繰返し単位を有する重合体部分を表し、 Qは、ペリレン、クアテリレン、又はテリレン部分を表し、Yは、 (i)ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI、好ましくはCl及び/又はBr)と、 (ii)少なくとも1つがNである3〜約8個の環員(例えば、3、4、5、6、7、又は8個の環員)を有し、N原子を介してQに結合している置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基とから選択され、ただし、少なくとも1つのYは(ii)を表す、 xは1〜4の整数(例えば、1、2、3又は4)を表し、 wは1〜4の整数(例えば、1、2、3又は4)を表す]。

[0043]1個を超えるハロゲンが存在する場合(すなわち、wが少なくとも3である場合)、ハロゲン原子は同じでも異なってもよく、同じであることが好ましい。さらに、3〜約8個の環員を有する置換されていてもよいN−ヘテロ脂環式基が1個を超えて存在する場合、N−ヘテロ脂環式基も同様に同じでも異なってもよい(同じであることが好ましい)。さらに、xは1又は2であることが多く、1であることがより好ましく、(x+w)の和は6を超えないことが多く、例えば5を超えない、又は4を超えない。

[0044](P−O)−基はペリレン、カテリレン又はテリレン部分に直接結合しているが、ペリレン、カテリレン又はテリレン骨格の一部ではないがペリレン、カテリレン又はテリレン骨格の置換基(の一部分)である芳香族基(特にフェニル基)にも結合してもよいことも理解するべきである。この点に関しては、上記の式(II)、(VIII)、(X)、及び(XII)を参照することができる。式(II)、(VIII)、(X)、及び(XII)の化合物の場合、(P−O)−基は(式(A)から(E)におけるZの意味の1つである)−CO−NR−CO−基(式中、Rは置換されていてもよいフェニル基を表す)の置換されていてもよいフェニル環に結合している。−CO−NR−CO−基は−C(=NR’)−NR−CO−基で置き換えられていることも可能であり、(P−O)−は芳香族基R及び/又はR’に結合していてもよい。

[0045]式(1)の化合物の少なくとも1つのY基は、3〜約8個の環員(例えば、3、4、5、6、7、又は8個の環員)を有するN−ヘテロ脂環式基から選択することができ、3〜約8個の環員は、N、S、及びOから選択される1〜約3個のヘテロ原子(例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子)を含んでもよく、ただし、少なくとも1つの環員がNである。環員の少なくとも1つ(少なくとも2つが好ましい)が炭素原子である。非限定的な例として、ヘテロ脂環式基Yは5、6、又は7個の環員(好ましくは5環員又は6環員)を有し、1個又は2個のヘテロ原子を含んでもよく、そのヘテロ原子の少なくとも1つはN原子である。2個のヘテロ原子が存在する場合、2番目のヘテロ原子はN、S、又はOであってもよい。3個のヘテロ原子が存在する場合、2番目又は3番目のヘテロ原子は同じでも異なってもよく、N、O、及びSから選択されてもよい。例えば、3個のヘテロ原子環員を含むヘテロ脂環式基Yは、3個のN原子、又は2個のN原子及び1個のO原子若しくは1個のS原子を含んでもよい。

[0046]ヘテロ脂環式基Yは、約10個までの炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)を含むアルキル基及びアルコキシ基から選択される1個又は複数の置換基(例えば、1、2、3、又は4個の置換基;3個以下又は2個以下の置換基が好ましい)でさらに置換されていてもよい。対応する置換基は限定されるものではないが、例えばエチル、メチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec.−ブチル、及びtert.−ブチル、並びに対応するアルコキシ基等が挙げられる。

[0047]例えば、式(1)の化合物の少なくとも1つのY基は、置換されていてもよいアザシクロオクタン、置換されていてもよいアゼパン、置換されていてもよいピペリジン、置換されていてもよいピペラジン、置換されていてもよいピロリジン、置換されていてもよいアゼチジン、置換されていてもよいアジリジン、置換されていてもよいモルホリン、置換されていてもよいオキサゾリジン、置換されていてもよいピラゾリジン、置換されていてもよいイソピラゾリジン、置換されていてもよいイソオキサゾリジン、及び置換されていてもよいチアゾリジンから選択される化合物の残基である(すなわち、窒素原子に結合しているH原子を含まない)基であってもよい。ヘテロ環式環の任意選択の置換基(例えば、1、2、3、又は4個の置換基)は同じでも異なってもよく、C1〜C4アルコキシ基及びC1〜C6アルキル基から選択できることが好ましい。対応する置換基は限定されるものではないが、具体例として3,5−ジメチル−1−ピペリジニルが挙げられる。

[0048]一般式(1)のポリマー結合化合物における重合体部分Pは主鎖に炭素原子しか含まない(すなわち、O、N、又はS等のヘテロ原子を含まない)ことが好ましい。また、重合体部分は主鎖に少なくとも3個の芳香族環(例えば、フェニル環)を含むことが好ましい。少なくとも3個の芳香族環(同じでも異なってもよく、同じであることが好ましい)は、直接又は1個若しくは複数の原子(炭素原子が好ましい)を経て互いに連結していてもよい。少なくとも3個の芳香族環の少なくとも一部(全部が好ましい)は、極性置換基(複数可)を含まない重合体部分に比べて極性媒体(例えば、アルコール等)中における重合体部分の溶解性を高める1個又は複数(例えば、1、2、又は3個)の極性(ヘテロ原子含有)置換基を有することができる。1個を超える置換基が存在する場合、置換基は同じでも異なってもよい。1個又は複数の追加の(非極性)置換基も同様に芳香族環に存在してもよいことは当然である。非限定的な例として、重合体部分は、例えばノボラック樹脂等のフェノール樹脂、特に少なくとも約3個のヒドロキシ基及び/又は少なくとも約300、例えば少なくとも約350、また約3,000以下、例えば約1,500以下の(重量)平均分子量を有するフェノール樹脂に由来するものでもよい。例えば、Pは一般式(2)の化合物に由来するものでもよい(一般式(2)の化合物の残基であってもよい):

[式中、R4基は互いに同じか又は異なり、C1〜C10アルキル及びC1〜C4アルコキシから選択され、mは1〜約30、例えば1〜25、1〜15、1〜10、1〜5、1〜3、5〜15、5〜10、10〜20、又は20〜30の整数を表し、nは1〜3の整数(例えば、1、2、又は3)を表す]。例えば、mは1〜10の整数を表すことがあり、及び/又はnは1若しくは2であってもよく、及び/又はR4基は独立して、例えばイソプロピル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−ノニル、分枝状ノニル等のC1〜C10アルキルから選択されることがある。さらに、R4基はOH基に対してメタ位又はパラ位に存在してもよい。例えば、R4基がフェニル環に2個存在する(同じか又は異なり、同じR4基であることが好ましい)場合、例えばOH基に対してメタ位/パラ位又はメタ位/メタ位等フェニル環の利用可能な位置のいずれに存在してもよい。

[0049]一般式(2)の化合物は異なるm値を有する化合物の混合物として存在することが多いことを当業者は理解する。この場合、一般式(2)におけるmの平均値は、少なくとも約1、例えば少なくとも約2、例えば少なくとも約3、又は少なくとも約4であることが多く、また約30以下、例えば約20以下、約15以下、又は約10以下でもあることが多い。

[0050]また上記のように、Qは、式(A)又は(B)の基本構造を有する部分でもよい。

[0051]上記の式(A)及び(B)において、Z基はO、S、又はN−Rを表すことがある。さらに、1つ又は複数の単位−CO−Z−CO−は独立して、単位−CS−Z−CO−若しくは単位−CS−Z−CS−、又は対応するジカルボン酸で置き換えられていてもよい。さらに、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位で置き換えられていてもよい。式(B)の場合、2つの単位−CO−Z−CO−は同じでも異なってもよい。これらの2つの単位−CO−Z−CO−が異なる場合、一方の単位は例えば−CO−O−CO−であってもよく、他方の単位は−CO−NR−CO−であってもよく、又は一方が−CO−NR−CO−であってもよく、他方が−C(=NR’)−NR−CO−であってもよく、又は−CS−O−CS−であってもよい。さらに、式(B)における両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位におけるR基の意味は同じでも異なってもよい。

[0052]上記の式中R基及びR’基は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表す。さらに、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい。

[0053]さらに上記のように、Qは、式(C)、(D)又は(E)の基本構造を有する部分でもよい。

[0054]上記の式(C)、(D)及び(E)において、Z基はO、S、又はN−Rを表すことがある。さらに、1つ又は複数の単位−CO−Z−CO−は独立して、単位−CS−Z−CO−若しくは単位−CS−Z−CS−、又は対応するジカルボン酸で置き換えられていてもよい。さらに、Z=N−Rの場合、単位−CO−Z−CO−は式−C(=NR’)−NR−CO−の単位でさらに置き換えられていてもよい。式(C)及び式(D)の場合、2つの単位−CO−Z−CO−は同じでも異なってもよい。これらの2つの単位−CO−Z−CO−が異なる場合、一方の単位は例えば−CO−O−CO−であってもよく、他方の単位は−CO−NR−CO−であってもよく、又は一方が−CO−NR−CO−であってもよく、他方が−C(=NR’)−NR−COであってもよく、又は−CS−O−CSであってもよい。さらに、式(C)及び(D)における両方の単位−CO−Z−CO−は−CO−NR−CO−であってもよく、これらの2個の単位におけるR基の意味は同じでも異なってもよい。

[0055]上記式のR及びR’基は独立して、1〜約20個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基を表す。さらに、R及びR’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、置換及び/又は縮合されていてもよい5〜7員環を形成してもよい。

[0056]一般式(1)の化合物は、例えば非プロトン性極性有機溶媒中で式Q−(Hal)vの化合物(式中、Halはハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI)を表し、vは2〜8の整数(例えば、2、3、4、又は5)を表す)をN含有脂環式化合物及び式P−OHの重合体化合物と連続的に反応させるステップを含む方法により、作製してもよい。通常は、少なくともN含有脂環式化合物が関与する反応(さらに通常は重合体化合物を含む反応が関与する反応)を無機塩基及び/又は非求核性有機強塩基の存在下で実施してもよい。極性溶媒は通常重合体化合物が可溶である少なくとも1つの溶媒を含んでもよく、及び/又はN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの少なくとも1つである。

[0057]対応する方法は、例えば以下の反応スキーム(1)及び(2)で表すことができる: (1)

(2)

[式中、P及びQは上記に定義したとおりであり、 Halはハロゲンを表し、 ()はCH2を表し、少なくとも1つのCH2基はO、NH、又はSで置き換えることができ、 uは2〜7であり、 vは2〜8の整数であり、 符号「Δ」は熱をかけること(加熱)を表す]。 Fは、上記に定義した中心核Qを有するハロゲン化化合物である。G1及びG2は方法(1)又は(2)を実行したときの反応の中間体である。

[0058]上記の方法の1つを選択する場合、より高い溶解性を示す中間体を(第1のステップ後に)生じる方法を使用することが通常好ましい。

[0059]求核置換反応を触媒するのに適した無機及び有機塩基の例は当業者に公知である。好適な無機塩基の例はK2CO3である。反応温度は、使用される溶媒の沸点にも応じて約50℃〜約140℃に及ぶことが多い。さらに、例えばポリエチレングリコール又はその誘導体等の消泡剤を使用することが望ましい場合が多い。反応生成物(例えば、式(1)のポリマー結合化合物)は、通常得られた反応混合物から単離し、例えば濾過、遠心、抽出、クロマトグラフ法等の従来手段で場合によっては精製することができる。

[0060]式Q−(Hal)vの化合物(複数可)(又は同様の化合物)と式P−OHの重合体化合物(複数可)(又は同様の重合体化合物)の重量比は、例えば式Q−(Hal)vの化合物(複数可)の分子量(複数可)、単一のポリマー分子に結合することができる式Q−(Hal)vの化合物(複数可)の平均数又は式Q−(Hal)vの単一の化合物(又は同様の化合物)に結合することができるポリマー分子の平均数等のいくつかの要因によって決まる。特に、本発明のポリマー結合化合物において、単一のポリマー分子Pは、1個又は複数の単位Q(例えば、平均1、2、3、4個の単位Q)が結合していてもよい。逆に、1個又は複数のポリマー分子(例えば、平均1、2、3、4個、又はそれを超えるポリマー分子)が単一の単位Qに結合していてもよい。上記の反応スキームで表される反応における出発材料及び中間体として、個々の化合物だけでなく、異なるv値(さらには異なるu値)を有する化合物の混合物も使用することが可能であることも理解するべきである。例えば、式Q−(Hal)vの出発材料は2つの化合物の混合物であってもよく(位置異性体を考慮に入れない)、式中vは5又は6を表す。同様に、反応条件に応じて(F)とも呼ばれる式Q−(Hal)vの単一の化合物を出発材料として使用する場合でさえ、第1の反応後に得られる中間体G1又はG2は単一の化合物、又は例えば1、2、若しくは3個のハロゲン原子がP−O−基若しくはN−ヘテロ脂環式環で置き換えられている、例えば3つの化合物の混合物(位置異性体を考慮に入れない)等化合物の混合物であってもよい。

[0061]さらに、式Q−(Hal)vの化合物(複数可)(又は同様の化合物)に対して相対的に化学量論的に大過剰のポリマー(複数可)を使用することが可能で(好ましい場合も)ある。こうして、ポリマー分子のごく一部分(例えば、約0.1%以下、約0.5%以下、約1%以下、又は約2%以下、約4%以下、約6%以下、約8%以下、約10%以下)は少なくとも1個の単位Qが結合しているポリマーが得られ、それによって本発明のドープポリマーが得られる。ドープポリマーを、本発明のポリマー結合化合物が例えば印刷インキ組成物の成分として等使用できるのと同じ目的で使用することができる。

[0062]式Q−(Hal)v又はG1の1つの化合物(又は同様の化合物)を1つを超える(又は1種類を超える)ポリマーと反応させることは当然可能である。非限定的な例として、式Q−(Hal)v又はG1の化合物(又は同様の化合物)を上記の式(2)のポリマーの混合物と反応させてもよい。逆に、式Q−(Hal)v又はG1の異なる2つ以上の化合物(例えば、異なるv値及び/又はHalの異なる意味を有する2つ以上の化合物)を単一の(種類の)ポリマーと反応(結合)させてもよい。最後に、式Q−(Hal)v又はG1の異なる2つ以上の化合物(又は同様の化合物)を異なる(種類の)2つ以上のポリマーと反応させてもよいが、通常生成物混合物を制御することが困難になる。

[0063]本発明による印刷インキ組成物は、液体媒体(極性が好ましい)、及び媒体に溶解又は分散させた上記の一般式(1)の1つ又は複数の(種類の)ポリマー結合化合物(例えば、一般式(1)の異なる2つ、又は3つのポリマー結合化合物の混合物)を含む。一般式(1)のポリマー結合化合物の媒体中の濃度は、例えばQ含有化合物が結合するポリマー(複数可)、所望の呈色強度、液体媒体、組成物の残りの(任意選択の)成分、印刷インキ組成物の所期の目的、及び印刷インキ組成物を塗布する基材等のいくつかの要因によって決まる依存する。一般式(1)の1つ又は複数のポリマー結合化合物(複数可)の印刷インキ組成物中の(全)濃度は、多くの場合組成物の全重量に対して少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.02重量%、又は少なくとも0.05重量%であり、通常は約40重量%以下、例えば約20重量%以下、約10重量%以下、又は約5重量%以下である。

[0064]印刷インキ組成物の所期の目的は、一般式(1)のポリマー結合化合物並びに組成物の適切で望ましい任意選択の成分の種類及び濃度範囲を決定するいくつかの要因のうちの1つである。異なる種類の印刷プロセスが多数存在する。印刷プロセスは限定されるものではないが、例えばインクジェット印刷(熱、圧電、連続等)、フレキソ印刷、凹版印刷(例えば、グラビア印刷)、スクリーン印刷、活版印刷、オフセット印刷、パッド印刷、凸版印刷、平版印刷、及び輪転式グラビア印刷等が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明による印刷インキ組成物は(少なくとも)インクジェット印刷に適している。コンディショニングライン及び印刷機で番号印字、コード化、及びマーキング用途によく使用される工業用インクジェットプリンタは、特に好適である。好ましいインクジェットプリンタとしては、シングルノズル連続式インクジェットプリンタ(別名ラスター又はマルチレベルデフレクテッドプリンタ)及びドロップオンデマンドインクジェットプリンタ、特にバブルジェットプリンタが挙げられる。したがって、印刷インキ組成物の以下の考察は、主にインクジェット印刷用組成物に関する。しかし、本発明はインクジェット印刷用の印刷インキ組成物に限定されるのではなく、本発明のポリマー結合化合物を使用できるすべての印刷インキ組成物を包含することに留意されたい。したがって、以下の考慮事項及び記載は、必要な修正を加えて、本発明の教示に従うポリマー結合化合物が有用であるすべての印刷インキ組成物に適用される。

[0065]一般印刷インキは、着色剤、及び樹脂系結合剤を溶媒に溶かした溶液を含む液体ビヒクルを含む。結合剤及び溶媒の特定の選択は、例えばポリマー結合化合物(複数可)、存在することになる残りの成分、及び印刷される基材の特性等のいくつかの要因によって決まる。インクジェット印刷用のインキ組成物に使用するのに適した結合剤は限定されるものではないが、例えばニトロセルロース、アクリラート樹脂、及びポリエステル樹脂等の樹脂を含むインクジェット印刷インキに通常使用されている結合剤(例えば、Evonik製のダイナポル(DYNAPOL)(登録商標)L1203、L205、L206、L208、L210、L411、L651、L658、L850、L912、L952、LH530、LH538、LH727、LH744、LH773、LH775、LH818、LH820、LH822、LH912、LH952、LH530、LH538、LH727、LH744、LH773、LH775、LH818、LH820、LH822、LH823、LH826、LH828、LH830、LH831、LH832、LH833、LH838、LH898、LH908、LS436、LS615、P1500、S1218、S1227、S1247、S1249、S1252、S1272、S1401、S1402、S1426、S1450、S1510、S1606、S1611、S243、S320、S341、S361、S394、及びS EP1408等)等が挙げられる。当業者に公知の他の好適な樹脂を同様に使用してもよいことは当然である。1つ又は複数の結合剤の印刷インキ組成物中の典型的な(全)濃度は、組成物の全重量に対して約0.5%〜約10重量%である。この点に関しては、インクジェット印刷インキに典型的な粘度値は25℃において約4〜約30mPa.sの範囲であることをさらに考慮に入れるべきである。

[0066]さらに、1個又は複数の単位Qが結合しているポリマー(及び上記の本発明のドープポリマーの場合は、Q含有分子には結合していないが、Q含有単位が結合しているポリマーとは混合して存在するポリマー)も組成物用の結合剤として作用できることが理解するべきである。いずれにしても、インキ組成物の(主)結合剤は、Q含有単位が結合しているポリマーと相溶性がなければならず、例えば、後に組み合わせたとき何らかの不溶性物質の形成等を生じてはならない。

[0067]インクジェット印刷インキに適した溶媒は当業者に公知である。溶媒は限定されるものではないが、例えばメチルエチルケトン(MEK)、アセトン、酢酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、トルエン、及びこれらの2つ以上の混合物等の低粘度、若干極性及び非プロトン性の有機溶媒等が挙げられる。

[0068]特に本発明の印刷インキ組成物を連続式インクジェット印刷で塗布する場合、組成物は通常少なくとも1つの導電性付与剤(例えば、塩)も含む。導電性付与剤は組成物に対する溶解性が無視できないほどである。好適な導電性付与剤は限定されるものではないが、例えばテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、硝酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム及びヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム)、チオシアン酸カリウム等のアルカリ金属チオシアン酸塩、KPF6等のアルカリ性カリウム塩、及び過塩素酸リチウム等のアルカリ金属過塩素酸塩等の塩が挙げられる。導電性付与剤は、必要とされる又は望ましい導電性を供給する十分なほどの濃度で存在する。異なる2つ以上の導電性付与剤(塩)の混合物を使用できることは当然である。1つ又は複数の導電性付与剤は、多くの場合、組成物の全重量に対して約0.1重量%〜2重量%の全濃度で存在する。

[0069]本発明による印刷インキ組成物は、例えば殺真菌剤、殺生物剤、界面活性剤、金属イオン遮閉剤、pH調整剤等、1つ又は複数の慣例の添加剤をこれらの添加剤に慣例の量でさらに含んでもよい。さらに、印刷インキ組成物は、1つ又は複数の追加の着色剤及び/又は特定の光学特性を付与する成分(すなわち、本発明のポリマー結合化合物と異なる成分)を含んでもよい。これらの追加の成分は、例えば通常の顔料及び染料、発光(例えば、蛍光)顔料及び染料、並びにコレステリック及び/又はネマチック液晶から選択してもよい。発光顔料の例としては、少なくとも1つの発光性遷移金属又は希土類金属カチオンでドープ処理された、無発光性カチオンのスルフィド、オキシスルフィド、ホスファート、バナダート(vanadate)、ざくろ石、尖晶石等いくつかのクラスの無機化合物が挙げられる。セキュリティを強化するために、インキ組成物は、電磁スペクトルの可視若しくは不可視領域において吸収する1つ若しくは複数の顔料及び/又は染料をさらに含んでもよく、及び/又は1つ若しくは複数の発光性顔料及び/若しくは染料をさらに含んでもよい。電磁スペクトルの可視又は不可視領域において吸収する好適な顔料及び/又は染料は限定されるものではないが、例えばフタロシアニン誘導体が挙げられる。好適な発光性顔料及び/又は染料は限定されるものではないが、例えばランタン化物/ランタニド誘導体が挙げられる。顔料(複数可)及び/又は染料(複数可)の存在によって、マーキングの偽造に対するセキュリティが向上及び強化される。

[0070]本発明によるマーキング及び/又はセキュリティフィーチャを設ける基材又は物品は特に制限されることなく、様々な種類のものとすることができる。基材又は物品は、例えば(例えば、飲料又は食糧等様々な品目を保持する缶等の容器の形態の)金属、光ファイバー、織物、コーティング及びその等価物、プラスチック材料、セラミック材料、(例えば、飲料又は食糧等様々な品目を保持するビン等のカプセル又は容器の形態の)ガラス、ボール紙、パッケージング、紙、及びポリマー材料のうちの1つ又は複数から(本質的に)なる或いは1つ又は複数を含んでもよい。これらの基材材料は専ら例示する目的で記載するものであって、本発明の範囲を制限するものではないことが指摘される。

[0071]基材はさらに、例えば発光性無機化合物、発光性有機化合物、IR吸収材、磁性材料、法医学的マーカー、及びそれらの組合せから選択される物質を含む少なくとも1つのマーキング又はセキュリティ要素をすでにもっていてもよい。マーキング又はセキュリティ要素は基材表面にしるし又はデータマトリックスの形で存在することができ、或いは基材自体に組み込む(包埋する)こともできる。マーキングは、品目又は物品又は商品又はセキュリティ文書又は保護及び/又は認証されるよう意図されていることが上述されているものにランダムに分布されている又は分布されていない、ドットの集団又は肉眼で見える及び/又は見えない特定パターンの形で存在することもできる。

[0072]以下の実施例で、本発明によるポリマー結合ペリレン染料を作製する一般手順を説明する。

[0073]実施例1 A/ヘテロシクロアルキル誘導体による置換: 式(F)によるトリブロモ−ペリレン(式中、Qは、式(A)による基本骨格を有する)1当量の10%NMP溶液に、不活性ガス雰囲気中K2CO32.2当量及びモルホリン2.2当量を添加した。反応混合物を120℃で6時間加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣をCH2Cl2で溶解した。有機相を1N HCl、K2CO3、及び飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4で脱水した。次いで、減圧下で蒸発乾固して、粗生成物を収率70%で得た。粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、式(G1)によるブロモ−ジモルホリノ−ペリレン(式中、Qは、式(A)による基本骨格を有する)を収率40%で得た。 B/ポリマーへのグラフト: 不活性ガス雰囲気中、K2CO3 1.2gをフェノールホルムアルデヒド樹脂10gとPEG 500 0.68gとのNMP(65ml)溶液に添加した。得られた混合物を120℃で約1時間加熱した。次いで、式(G1)によるブロモ−ジモルホリノ−ペリレン0.2gを混合物に添加し、その後120℃で加熱を約2〜約5時間続けた。反応が完了した後、NMPの約半分の量を留去した。反応混合物を室温まで放冷し、その後濃HCl 2mlを加えておいた氷水33gに注ぎ込んだ。得られた沈殿物を濾取し、水で3回洗浄し、次いで乾燥した。こうして、式(1)によるポリマー結合ジモルホリノ−ペリレンを含む粗粉末約10gが得られた。

[0074]実施例2 A/ヘテロシクロアルキル誘導体による置換: 式(F)による多塩素化ペリレン(式中、Qは、式(A)による基本骨格を有し、ペリレン部分1個当たりの平均CL置換基数は5である)の3,5−ジメチルピペリジン(10ml)溶液を120℃で6時間加熱した。溶媒を減圧留去し、粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、式(G1)によるポリクロロ−ジ(3,5−ジメチルピペリジノ)−ペリレンの混合物(式中、Qは、式(A)による基本骨格を有する)を収率32%で得た。 B/ポリマーへのグラフト: 不活性ガス雰囲気中、K2CO3 1.4gをフェノールホルムアルデヒド樹脂10gとPEG 500 0.68gとのNMP(65ml)溶液に添加した。得られた混合物を120℃で約1時間加熱した。次いで、式(G1)によるポリクロロ−ジ(3,5−ジメチルピペリジノ)−ペリレン0.15gを混合物に添加し、その後120℃で加熱を約2〜約5時間続けた。反応が完了した後、NMPの約半分の量を留去した。反応混合物を室温まで放冷し、その後濃HCl 2mlを加えておいた氷水33gに注ぎ込んだ。得られた沈殿物を濾取し、水で3回洗浄し、次いで乾燥した。こうして、式(1)によるポリマー結合ポリクロロ−ジ(3,5−ジメチルピペリジノ)−ペリレンを含む粗粉末約10gが得られた。

[0075]実施例3 A/ヘテロシクロアルキル誘導体による置換: 式(F)によるテトラクロロ−ペリレン(式中、Qは、式(B)による基本骨格を有する)0.3gのモルホリン(8ml)溶液を120℃で12時間加熱した。溶媒を減圧留去し、粗生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィーで精製して、式(G1)によるモルホリノ−トリクロロ−ペリレン(式中、Qは、式(B)による基本骨格を有する)を収率25%で得た。 B/ポリマーへのグラフト: 不活性ガス雰囲気中、K2CO3 1.4gをフェノールホルムアルデヒド樹脂10gとPEG 500 0.68gとのNMP(65ml)溶液に添加した。得られた混合物を120℃で約1時間加熱した。次いで、式(G1)によるモルホリノ−トリクロロ−ペリレン(式中、Qは、式(B)による基本骨格を有する)0.25gを混合物に添加し、その後120℃で加熱を約2〜約5時間続けた。反応が完了した後、NMPの約半分の量を留去した。反応混合物を室温まで放冷し、その後濃HCl 2mlを加えておいた氷水33gに注ぎ込んだ。得られた沈殿物を濾取し、水で3回洗浄し、次いで乾燥した。こうして、式(1)によるポリマー結合モルホリノ−ジクロロ−ペリレン(式中、Qは、式(B)による基本骨格を有する)を含む粗粉末約10gが得られた。

[0076]本発明によるインキは、本発明による式(1)の少なくとも1つのポリマー結合化合物を含む。使用することができる本発明によるインキの例は以下の配合組成を有してもよく、インクジェットプリンタで使用するのに適している。

[0077]前述の実施例は説明のために記載されているにすぎず、決して本発明を限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。例示的実施形態を引用しながら、本発明を説明してきたが、本明細書で使用された用語は、説明及び例証の用語であって、限定の用語ではないことが理解されよう。本明細書に記載及び補正のように、本発明の態様において本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更を行ってもよい。特定の手段、材料、及び実施形態を引用しながら、本発明を本明細書に説明してきたが、本発明は本明細書に開示される特定のものに限定されるものではなく、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲内であるような機能的に等価なすべての構造、方法、及び使用等に広がる。

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