マグネシウムアミドの調製および使用

申请号 JP2008550757 申请日 2007-01-18 公开(公告)号 JP5638758B2 公开(公告)日 2014-12-10
申请人 ルートヴィヒ−マクシミリアンズ−ウニヴェルズィテート ミュンヘンLudwig−Maximilians−Universitaet Muenchen; ルートヴィヒ−マクシミリアンズ−ウニヴェルズィテート ミュンヘンLudwig−Maximilians−Universitaet Muenchen; 发明人 クノッヒェル、ポール; クラソフスキー、アルカジー; クラソフスカヤ、ヴァレリア; ジョセフ ローボグナー、クリストフ; ジョセフ ローボグナー、クリストフ; セザル クロソスキ、グリュリアーノ; セザル クロソスキ、グリュリアーノ;
摘要
权利要求
  • 下記一般式の試薬または溶媒付き付加物としての前記試薬であって、
    N−MgX・zLiY (I)
    前記式中、R およびR は、独立して、H、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖、または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたは一般式 (I)中の窒素原子に直接に結合した炭素原子がケイ素原子に置換されたシリル誘導体のうちから選択され、R およびR は、R およびR が直接に結合している窒素原子と協働して単 環を有する環構造を形成 し得るものであり、R およびR の少なくとも一方はH以外であり、
    XおよびYは、独立して、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalO (式中、n=3または4であり、HalはCl、BrおよびIから選択される);NO ;BF ;PF ;H;一般式R CO のカルボキシラート;一般式OR のアルコラート;一般式SR のチオラート;R P(O)O ;またはSCOR ;またはSCSR ;O SR (式中、n=2または3);またはNO (式中、n=2または3);のうちから選択され、前記式中、R は、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、または水素であり、
    z>0である、前記試薬。
  • 請求項1に記載の試薬を溶媒中に有する溶液。
  • 前記溶媒は、環式、直鎖、または分枝鎖の、モノエーテルまたはポリエーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、およびそれらの誘導体であってO、N、SおよびPから選択される1つ以上の付加的なヘテロ原子を含む前記誘導体;環状アミド;1つ以上の水素がハロゲンと置き換えられている環式、直鎖、または分枝鎖のアルカン ;1つ以上の水素がハロゲンと置き換えられている環式、直鎖、または分枝鎖のアルケ ン;尿素誘導体;芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素、または脂肪族炭化水素;ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorus triamide)(HMPA)、CS ;またはそれらの組み合わせのうちから選択される、請求項2に記載の溶液。
  • 前記溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP)、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl 、N,N'−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorus triamide)(HMPA)、CS 、またはそれらの組み合わせのうちから選択される、請求項2に記載の溶液。
  • 求電子試薬との反応における請求項1に記載の試薬の使用。
  • 安定なまたは不安定なカルバニオンを形成し得る任意の基質の脱プロトン化のための請求項1に記載の試薬の使用。
  • 請求項1に記載の試薬の調製方法であって、溶媒中において、第1級アミンまたは第2級アミンを、リチウム塩の存在下でグリニャール試薬と反応させるか、もしくはリチウム塩と錯体を形成したグリニャール試薬と反応させる工程、または溶媒中において、第1級リチウムアミドまたは第2級リチウムアミドをマグネシウム塩と反応させる工程を有する、方法。
  • 下記一般式の試薬の調製方法であって、
    N−MgX・zLiY (I)
    前記式中、R およびR は、独立して、H、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖、または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたは一般式 (I)中の窒素原子に直接に結合した炭素原子がケイ素原子に置換されたケイ素誘導体のうちから選択され、R およびR は、R およびR が直接に結合している窒素原子と協働して単 環を有する環構造を形成 し得るものであり、R およびR の少なくとも一方はH以外であり、
    XおよびYは、独立して、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalO (式中、n=3または4であり、HalはCl、BrおよびIから選択される);NO ;BF ;PF ;H;一般式R CO のカルボキシラート;一般式OR のアルコラート;一般式SR のチオラート;R P(O)O ;またはSCOR ;またはSCSR ;O SR (式中、n=2または3);またはNO (式中、n=2または3);のうちから選択され、
    前記式中、R は、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらの誘導体、または水素であり、
    かつz>0であり、
    溶媒中において、R NHを、LiYの存在下でグリニャール試薬R'MgXと反応させるか、もしくはR'MgX・zLiYと反応させるか、または、溶媒中において、R NLiをMgX と反応させる工程を備え、
    前記式中、R'は、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖、または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらの誘導体のうちから選択される、方法。
  • XおよびYは、独立して、または双方とも、Cl、BrまたはIで ある 、請求項 に記載の方法。
  • XおよびYは、独立して、または双方とも、Clである、請求項8に記載の方法。
  • zは、0.01〜5 範囲に ある 、請求項 8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  • zは、0.5〜2の範囲にある、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  • zは、0.9〜1.2の範囲にある、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  • zは1である、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  • グリニャール試薬R'MgX・zLiYは、iPrMgCl・LiClである、請求項 8乃至14のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記溶媒は、環式、直鎖、または分枝鎖の、モノエーテルまたはポリエーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、およびそれらの誘導体であってO、N、SおよびPから選択される1つ以上の付加的なヘテロ原子を含む前記誘導体;1つ以上の水素がハロゲンと置き換えられている環式、直鎖、または分枝鎖のアルカン ;1つ以上の水素がハロゲンと置き換えられている環式、直鎖、または分枝鎖のアルケ ン;尿素誘導体;芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素、または脂肪族炭化水素;ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorus triamide)(HMPA)、CS ;またはそれらの組み合わせのうちから選択される、請求項8乃至15のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP)、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl 、N,N'−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorus triamide)(HMPA)、CS 、またはそれらの組み合わせのうちから選択される、請求項8乃至15のいずれか1項に記載の方法。
  • 说明书全文

    本願は、マグネシウムアミド、マグネシウムアミドの調製方法、およびこれらのアミドの使用に関する。

    芳香族化合物のメタル化(metalation)は、様々なアリールの位置選択的な官能基化を可能にするので、有機合成で最も有用な変換のうちの1つである。 [1]従来より、そのような脱プロトン化を行なうためには、アルキルリチウム(RLi)またはリチウムアミド(R NLi)のような強塩基が用いられてきた。 しかしながら、これらの反応性の高い塩基は、生じるアリールリチウム化合物の反応性が高すぎるために、多くの場合、望ましくない副反応を呈する。 別の深刻な制限事項としては、室温のTHF溶液中におけるリチウムアミドの安定性が低いことがある。 これにより、これらの試薬をインサイチューで生成することが必要となる。 更に、リチウム塩基による芳香族化合物の脱プロトン化は、多くの場合、非常に低温(−78℃〜−90℃)を必要とする。 これは、これらの反応のスケールアップを複雑にし、THF/ペンタンのような溶媒混合物の使用が必要となることがある。

    化合物1〜3のようなマグネシウムアミド[2]またはアミドジンケート[3] 4(スキーム1参照)を用いた別法が開発されている。 R NMgR'型(2)および(R N)2Mg型(3)のマグネシウムアミドの使用を明らかにしたイートンによって、マグネシウムアミドR NMgCl(1)の低い溶解度は向上可能となった。 しかしながら、高い転化を達成するためには、通常、大過剰のマグネシウムアミド(2〜8当量)を使用する必要があり、これは求電子試薬(15当量までの求電子試薬を用いなければならないことがある)によるさらなるクエンチング反応を複雑にする。 同様に、ジアルキルアミノジンケート4は、後のクエンチング反応において3.5〜4当量の求電子試薬の使用を必要とする。

    したがって、これらの塩基の使用は、いずれもそれらの乏しい溶解度によって制限される。 すなわち、それらの塩基は、所望の転化を行なうために必要とされる塩基の量および求電子試薬の量を考慮すると、あまり効率的ではない。 それらの活性または反応性は非常に低い。

    グリニャール試薬の溶解度を増大させるためのリチウム塩の使用は、特許文献1より公知である。 特許文献1に開示されている一般式R (MgX) LiYのグリニャール試薬の主な機能は脂肪族化合物系または芳香族系のいずれかにおいて、ハロゲン/マグネシウム交換を行なうことである。 グリニャール試薬誘導体は、マグネシウム−炭素結合において、求核炭素原子を提供する。 グリニャール試薬へのリチウム塩の付加により、グリニャール試薬の反応性はマグネシウム化中間物の形成によって増大され得る。 同時に、これらのグリニャール試薬は、マグネシウム化中間物の形成により、より高い反応性および選択性を示す。

    欧州特許出願第1582523号

    本発明の目的は、可溶性が高く、より反応性である安価なマグネシウム塩基を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、高い動的活性および高い選択性を呈するマグネシウム塩基を提供することにある。

    これらの目的は独立請求項の特徴によって達成される。 好ましい実施形態は、従属請求項において述べられる。
    本発明者らは、驚くべきことに、R N−MgX zLiY(I)の型のマグネシウムリチウム混成アミド(mixed magnesium and lithium amides)がアミンR NHをLiYの存在下でグリニャール試薬R'MgXと反応させるか、またはアミンR NHを溶媒中でR'MgX zLiYと反応させることによって調製できることを見出した。

    、R

    およびR'は、独立して、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分岐鎖、または環式の置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらの誘導体、さらにR

    およびR

    のみについては、それらのシリル誘導体のうちから選択される。 R

    およびR

    のうちの一方はHであってもよく、あるいは、R

    およびR

    はともに環構造または高分子構造の一部であり得る。

    XおよびYは、独立して、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalO (式中、n=3または4であり、HalはCl、BrおよびIから選択される);NO ;BF ;PF ;H;一般式R CO のカルボキシラート;一般式OR のアルコラート;一般式SR のチオラート;R P(O)O ;またはSCOR ;O SR (式中、n=2または3);またはNO (式中、n=2または3);およびそれらの誘導体のうちから選択される。 前記式中、R は、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール;直鎖、分枝鎖、または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらの誘導体;またはHである。

    XおよびYは同一であってもよいし、異なっていてもよい。 上記の所与の情況において、z>0である。
    式Iのアミドは、式R NLiのリチウムアミドを、MgX 型またはMgXY型のマグネシウム塩と反応させることによる別法で調製することができる。 この反応は、好ましくは、溶媒中で行なわれる。 式Iの化合物を得るためには、マグネシウム塩とリチウムアミドとをほぼ等モルの比率で反応させる。 したがって、リチウムアミド対マグネシウム塩の比は、通常、1:0.8〜1.2の範囲にあり、好ましくは1:0.9〜1.1の範囲にあり、最も好ましくは1:0.95〜1.05の範囲にある。

    加えて、本発明者らは、下記一般式のマグネシウムビスアミドを調製できることを見出した。

    この式において、R

    、R

    、R

    およびR

    は、独立して、H、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール、直鎖、分枝鎖、または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらのシリル誘導体のうちから選択され、R

    およびR

    、かつ/またはR

    およびR

    は、共に環構造または高分子構造の一部であり得、R

    およびR

    の少なくとも一方、並びにR

    およびR

    の少なくとも一方は、H以外である。

    XおよびYは、独立して、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalO (式中、n=3または4であり、HalはCl、BrおよびIから選択される);NO ;BF ;PF ;H;一般式R CO のカルボキシラート;一般式OR のアルコラート;一般式SR のチオラート;R P(O)O ;またはSCOR ;またはSCSR ;O SR (式中、n=2または3);またはNO (式中、n=2または3);およびそれらの誘導体のうちから選択される。 前記式中、R は、置換もしくは非置換アリールまたは1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換ヘテロアリール;直鎖、分枝鎖または環式の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニルまたはそれらの誘導体、または素である。

    上記の式IIにおいて、mは0または1であり、かつz>0である。 m=0については、式IIの化合物は式Iの化合物と同一である。 溶媒付きその付加物も、式IまたはIIの化合物のいずれによっても包含されるべきである。

    一般式IIにおいてm=1であるビスアミドは、式Iのモノアミドから調製することができる。 R N−MgX zLiYをR NLiと反応させると、式IIのビスアミドが形成される。 この反応は、アミンR RNHの存在下での一般に公知のグリニャール試薬R'MgXの反応と、それに続くR NLiとの反応に相当する。 とりわけグリニャール試薬またはモノアミドがリチウム塩と錯体を形成しない場合、リチウムもLiY型のリチウム塩として添加してもよい。 明らかに、試薬はまたR N−MgX zLiY型のものであってもよく、ここでリチウム塩は、既にモノアミドと共に存在する。 このように、2つのアミドが異なるビスアミドが調製され得る。 しかしながら、2つのアミドは同一であってもよい。

    これに代わって、2つのリチウムアミドR NLiおよびR NLiをマグネシウム塩MgX と反応させることによってビスアミドを調製してもよい。 双方のリチウムアミドが同一である場合、すなわち、マグネシウムモノアミドを同じタイプのリチウムアミドと反応させる場合、一般式Mg(NR zLiYのビスアミドが生じるであろう。 マグネシウム塩MgX の高い溶解度のために、この塩は、例えば下記に述べるように、インサイチューで調製され得る。

    本発明のモノアミド及びビスアミドの双方は、増大した溶解度および高い反応性を示す。 ハロゲン/マグネシウム交換を行なうことができるグリニャール試薬とは異なり、本発明のアミドは多数の官能基、とりわけハロゲン置換基を許容する塩基である。 これは、グリニャール試薬におけるような炭素マグネシウム結合と照らして、本願のアミドの中に存在する窒素マグネシウム結合の異なる性質による。 リチウム塩の存在下におけるグリニャール試薬の反応性の増大は、マグネシウム化中間物の形成による。 しかしながら、それとは異なり、本願によるアミドに添加されるリチウム塩は、凝集体の形成を防止する。 凝集体の形成は、マグネシウムアミドに関しての背景技術における周知の問題である。 結果として、これまでに知られているアミドは、あまり反応性が高くないために、大過剰で用いられなければならない。 本発明のアミドは、リチウム塩の存在により、凝集体として存在しないため、該アミドはこれまで知られているアミドよりはるかに反応性が高く、かつより可溶性である。

    本発明においては、多数の一般的な溶媒を用いることができる。 原則として、出発物質として用いられる特定のアミンおよびグリニャール試薬、並びに結果として生じる生成物を溶解することができる任意の溶媒である。 本発明の好ましい実施形態において、溶媒は、環式、直鎖、または分枝鎖の、モノエーテルまたはポリエーテル、チオエーテル、アミン、ホスフィン、およびO、N、SおよびPから選択される1つ以上の付加的なヘテロ原子を含むそれらの誘導体、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、好ましくは、1,4−ジオキサン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド;環状アミド、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);1つ以上の水素がハロゲンと置き換えられている環式、直鎖、または分枝鎖のアルカンおよび/またはアルケン、好ましくはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl ;尿素誘導体、好ましくはN,N'−ジメチルプロピレン尿素(DMPU);芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素、または脂肪族炭化水素、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン;ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorus triamide)(HMPA)、CS ;またはそれらの組み合わせのうちから選択される。

    式Iのアミドを調製するための本発明のプロセスは、アミンR NHを、LiYの存在下でグリニャール試薬R'MgXと反応させるか、または溶媒中においてR'MgX zLiYと反応させることによって行なわれる。 原料は、好ましくは、所望の収量を与えるのに必要な最小限の時間にわたって室温で接触させられる。 温度は0°C〜50℃の間が好ましいが、より高い反応温度またはより低い反応温度も適当である。 式IIのビスアミドの調製は、通常−40℃〜50℃の温度、好ましくは−20℃〜30℃の範囲の温度、最も好ましくは0℃付近において行われる。 しかしながら、当業者は、所定の実験作業によって、式Iまたは式IIのアミドの調製のための適温を選択することができるであろう。

    別の好ましい実施形態において、XおよびYは、独立して、または双方とも、Cl、BrまたはIであり、好ましくはClである。
    さらに別の好ましい実施形態において、式Iの化合物の調製は、iPrMgCl LiCl [5]によって行われる。 iPrMgCl LiClは市販されているので、この実施形態は特に好ましい。

    一般に、任意のリチウム塩の存在下で、Mg/Li混成アミドを調製するためには、任意のグリニャール試薬を用いることができる。 しかしながら、その副生物または副生成物を反応混合物から容易に除去することができるグリニャール試薬を用いることが好ましい。 リチウム塩の存在は、リチウム塩を使用しないホモレプティックな試薬RMgXおよびR Mgと比較して、交換反応を促進する。

    第2態様によれば、本発明は、Mg/Li混成アミドR N−MgX zLiY(I)に関する。 前記式中、R 、R 、X、Yおよびzは上記のように定義される。 これは、m=0である式IIに従うアミドに相当する。 第2態様は、また一般式R N−Mg(NR l−m zLiY(II)の混合Mg/Liビスアミドに関する。 前記式中、R 、R 、R 、R 、X、Y、mおよびzは、上記のように定義される。 これらの式のいずれによっても、その溶媒の付加物も含まれることが理解されるべきである。

    本発明の第3態様は、溶媒中のアミド(I)または(II)の溶液に関する。 溶媒はアミドを溶解することができる任意の適当な溶媒であってよい。 とりわけ好ましい溶媒は、アミドの調製のために上記に列記した溶媒である。

    第1態様に関連して上記に記載した態様および特徴のすべては、本発明の第2態様および第3態様に当てはまるものとする。
    第4態様において、本発明はMg/Li混成アミド(I)および(II)の使用に関する。 本発明のアミドは、酸性プロトンを除去するために用いることができる。 次に、脱プロトン化された種は、続いて求電子試薬によってクエンチされ得る。 原則として、例えば、以下の参考文献中において引用されているすべての種類の求電子試薬を用いることが可能であるが、それらに限定されるものではない。

    a)Handbook of Grignard reagents;ガリー エス. シルバーマンおよびフィリップ イー. ラキタ編、(Chemical industries; v. 64)
    b)Grignard reagents New Developments;ハーマン ジー. リッチー ジュニア編、2000年、ジョンワイリーアンドサンズリミテッド c)Methoden der Organischen Chemie, Houben-Weyl, Band XIII/2a, Metallorganische Verbindungen Be, Mg, Ca, Sr, Ba, Zn, Cd、1973年 d)The chemistry of the metal-carbon bond、第4巻、フランク アール. ハートレー編、1987年、ジョンワイリーアンドサンズ 本発明の最終態様は、一般式IまたはIIの試薬によって脱プロトン化された基質との求電子試薬の反応の生成物に関する。

    式Iのモノアミドに関係するすべての態様において、zは、0.01〜5の範囲にあり、より好ましくは0.5〜2であり、さらにより好ましくは0.9〜1.2であり、最も好ましくは約1である。 本発明の中で最も好ましい式Iに従った実施形態において、zは、アミドと比較して、等モルの比率で用いられる。

    式IIのビスアミドに関連して、m=1である場合、zは好ましくは0.01〜5の範囲にあり、より好ましくは0.5〜2.5の範囲にあり、さらにより好ましくは1.8〜2.2の範囲にあり、最も好ましくは約2である。

    本発明について特定の例に基づいて下記に説明する。 特に、グリニャール試薬としてi−PrMgClが用いられる。 しかしながら、本発明がそのような例に限定されないことが理解されるべきである。

    別段に定義されていない限り、本願において用いられる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する業における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。 本願において言及されるすべての刊行物および他の参考文献は、参照によって余すところなく援用される。

    用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、本願では、直鎖、環式もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換C 〜C 20化合物を指す。 これらの化合物の好ましい範囲は、アルケニルについては、C 〜C 10好ましくはC 〜C (低級アルキル)であり、アルキニルについては、C 〜C 10好ましくはC 〜C である。 用語「シクロアルキル」は、一般に、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換C 〜C 20シクロアルカンを指す。 ここで、好ましい範囲はC 〜C 15であり、より好ましくはC 〜C である。

    残基R 、R 、R および/またはR のいずれかが置換基によって置換される場合には、前記置換基は当業者によって任意の既知の置換基から選択され得る。 当業者はその知識によって可能な置換基を選択し、分子内に存在する他の置換基に干渉せず、かつ可能な反応、特に本願内に記載される反応に干渉したり、同反応を妨げたりしない置換基を選択することができるであろう。 可能な置換基としては、
    ・ハロゲン、好ましくは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素;
    ・脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素芳香族炭化水素、特にアルカン、アルキレン、アリーレン、アルキリデン(alkylidenes)、アリーリデン(arylidenes)、ヘテロアリーレン(heteroarylenes)およびヘテロアリーリデン(heteroarylidenes);
    ・その塩を含むカルボン酸(carbonxylic acids);
    ・カルボン酸ハロゲン化物;
    ・脂肪族カルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルまたは複素芳香族カルボン酸エステル;
    ・アルデヒド;
    ・脂肪族ケトン、脂環式ケトン、芳香族ケトンまたは複素芳香族ケトン;
    ・ヒドロキシル基を含むアルコールおよびアルコラート;
    ・フェノールおよびフェノラート;
    ・脂肪族エーテル、脂環式エーテル、芳香族エーテルまたは複素芳香族エーテル;
    ・脂肪族過酸化物、脂環式過酸化物、芳香族過酸化物、複素芳香族過酸化物;
    ・ヒドロペルオキシド;
    ・脂肪族アミドもしくはアミジン、脂環式アミドもしくはアミジン、芳香族アミドもしくはアミジン、または複素芳香族アミドもしくはアミジン;
    ・ニトリル;
    ・脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素芳香族アミン;
    ・脂肪族イミン、脂環式イミン、芳香族イミン、複素芳香族イミン;
    ・チオール基を含む脂肪族スルフィド、脂環式スルフィド、芳香族スルフィド、複素芳香族スルフィド;
    ・その塩を含むスルホン酸;
    ・チオールおよびチオラート;
    ・その塩を含むホスホン酸;
    ・その塩を含むホスフィン酸;
    ・その塩を含む亜リン酸;
    ・その塩を含む亜ホスフィン酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

    置換基は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を介して、残基R 、R 、R および/またはR に結合されていてもよい。 例えばヘテロアリーレンまたは複素芳香族のようなヘテロ原子を含む任意の構造におけるヘテロ原子は、好ましくは、N、O、SおよびPであり得る。

    およびR 、またはR およびR が環状構造の一部であり得る場合、R およびR は共に、またはR およびR は共に、二価の飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、それらはアミドの窒素原子に関して、環式第二級アミドを形成することを理解すべきである。 そのような環状アミドの一例は、TMPHのアミドである。 さらに、残基R およびR 、および/またはR およびR は高分子構造の一部であってもよい。 アミドの窒素原子は、本発明によるアミドの形成のために2つ以上の窒素原子をさらに含み得るポリマー骨格に接続される。

    本願において用いられる用語「アリール」は、置換もしくは非置換C 〜C 24アリールを指す。 「ヘテロアリール」とは、B、O、N、S、Se、Pのような1つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換C 〜C 24アリールを意味する。 双方のための好ましい範囲は、C 〜C 15であり、より好ましくはC 〜C 10であり、ヘテロ原子を有するか、またはヘテロ原子を有さないアリールおよび縮合アリールを含む。 好ましい環の大きさは、5個または6個の環原子を含む。

    混成マグネシウムリチウムアミドR NMgCl LiCl(R およびR =i−Pr、またはR N=2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)は、i−PrMgCl LiCl [4,5]を、ジイソプロピルアミンまたは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)と、それぞれTHF中で反応(−20℃〜80℃、0.1〜48時間)させることによって、調製することができる。 結果として生じたLi/Mg試薬5a(R およびR =i−Pr)および5b(R N=2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)は、THF中における優れた溶解度(それぞれ0.6Mおよび1.2M)、並びに様々な芳香族化合物および複素環のマグネゼーション(magnesation) に対して改善された動的酸性度および位置選択性を有することが分かった。

    アミド(I)の活性は、イソキノリンのマグネシウム化(magnesiation)に基づいて示すことができる。 ジイソプロピルアミド塩化マグネシウム−塩化リチウム5aは、2当量の該塩基を用いることにより、25°Cで、12時間の反応時間後、マグネシウム化されたイソキノリン6を生じる。 ヨードリシス(iodolysis)の後、ヨードイソキノリン7aが88%の収量で単離される(スキーム2)。 より活性であるものは、より立体的に障害されて、より凝集していない2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ塩化マグネシウム−塩化リチウム試薬5bである。 前記試薬は25°Cで2h以内に完全なマグネシウム化を引き起こす。 顕著なことに、この塩基によれば、完全なメタル化を達成するために1.1当量しか必要とない。 結果として生じるグリニャール試薬6は、ヨードリシスの後、96%の収量でヨードイソキノリン7aを提供する(スキーム2および表1)。


    試薬のマグネゼーションの後、その試薬をトランスメタル化に供することができる。 例えばCuCN 2LiCl(20mol%)とのトランスメタル化の後、塩化ベンゾイル(1.2当量)の添加は、86%の収率でケトン7bを与える(表1の記載2)。

    マグネシウムアミドが過剰に存在することは、多くの場合、パラジウムに触媒されるクロスカップリングの実施を妨げる。 本発明者らは、試薬6のような、試薬5b(1.1当量)による脱プロトン化によって生成されたグリニャール試薬は、対応する亜鉛誘導体(ZnCl (1.1当量)、0℃、5分)に容易にトランスメタル化され、Pd(dba) (5mol%)(dba=ジベンジリデンアセトン)、P(2−Fur) (7mol%)(Fur=フリル)を用いたエチル4−ヨードベンゾアート(1.2当量;50℃、12h)との根岸−クロスカップリング反応を受けると、82%の収率でアリール化キノリン(7c)を生じることを見出した。 この挙動は一般的であり、3−ブロモキノリンは、試薬5b(1.1当量、−30℃、0.5h)によってメタル化されて、2−マグネシウム化キノリン8(2-magnesiated quinoline)(表1の記載4および記載5)を生じる。 したがって、I およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)による試薬8のクエンチングは、96〜93%の収率で2種類のキノリン9aおよびキノリン9bを提供する。

    2,6−ジクロロピリジンのi−Pr NMgCl LiCl 5aおよびリチウムジイソプロピルアミド(LDA) [8j]による脱プロトン化は、3−マグネシウム化2,6−ジクロロピリジンおよび4−マグネシウム化2,6−ジクロロピリジンの1:1混合物を与えるが、TMPMgClLiCl 5bの使用は4−マグネシウム化ピリジン10のみを与える。 代表的な求電子試薬(I 、DMFおよびPhCHO)との反応は、予期した生成物11a〜11cを84〜93%の収率で提供する(表1の記載6〜8)。 興味深いことには、3,5−ジブロモピリジンの位置選択的なメタル化が観察される場合(TMPMgCl LiCl 5b 1.1当量、−20℃、0.5h)、3,5−ジブロモピリジンのLDAによるメタル化は、第4位[6b]において選択的に進行し、DMFとの反応後、95%の収率でピリジルアルデヒド13を生じる(表1の記載9)。

    チアゾール、チオフェン、フラン、ベンゾチオフェンまたはベンゾチアゾールのような、より多くの酸性プロトンを有する複素環のマグネシウム化[7]は、0℃〜25°Cで円滑に進行し、有機マグネシウム誘導体14a〜14cおよび16a〜16bを生じる。 標準的な求電子試薬による捕捉の後、予期した生成物15a〜15cおよび17a〜17bが81〜98%の収率で得られる(表1の記載10〜14)。

    ピリミジン誘導体のメタル化は、これらの複素環の性質のために、有機金属反応剤を添加するには挑戦的な難題である。 [8]本発明者らは、−55℃において試薬5b(1.05当量)のTHF溶液にピリミジン誘導体18〜20を約5分間にわたって逆添加することにより、83〜90%の収率で対応するマグネシウム化誘導体21〜23が与えられ、ヨードリシス実験によって示されるように、ヨウ素化ピリミジン24〜26を生じることを見出した(スキーム3)。

    混成マグネシウムリチウムアミド5bはまた、多官能性芳香族系の位置選択的なメタル化によく適している。 したがって、2−フェニルピリジン27を55°CのTHF中で試薬5b(2.0当量)と24時間にわたって反応させることによってグリニャール試薬28が与えられる。 これは、フェニル環が、ピリジン環と比較して、優先的にメタル化される稀な事例を示す。 ヨードリシスの後、オルト−ヨウ素化生成物29が80%の収率で得られる。 興味深いことに、ブロモジエステル30のような多官能性芳香族化合物のメタル化もTHF(30℃、0.5h)中において化学量論量だけの塩基5b(1.1の当量)を用いて行うことができ、アリールマグネシウム種31を位置選択的に生じる。 アリールマグネシウム種31は、ヨードリシスの後、88%の収率で多官能性芳香族誘導体32を与える。

    TMPMgCl LiClの溶液は、その優れた溶解度により、THF中で容易に調製することができ、その溶液は25°Cで6か月間以上安定している。 TMPMgCl LiClの使用は、様々な芳香族化合物および複素芳香族化合物の位置選択的な官能基化を可能にする。 それは、Br/Mg交換反応によって、または先に報告されているメタル化手順によっては容易に得ることができない新規なマグネシウム種を入手可能にする。

    残基R およびR は有機化合物に限定されない。 R およびR はまた、トリメチルシリルのようなシリル化化合物であってもよい。 ビス(トリメチルシリル)アミド33の調製は、室温で、ビス(トリメチルシリル)アミンをi−PrMgCl LiClと反応させることにより行うことができる(スキーム5を参照)。 この塩基は、例えばスキーム5から分かるように、シクロヘキサノンのようなケトンを脱プロトンするために有効に用いることができる。

    グリニャール試薬はまた、ポリマー塩基を調製するために用いることができる。 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)は周知の塩基である。 TMPHは、対応するMg/Li混成アミドTMPMgCl LiCl 5bを調製するために用いることができる。 このモノマー塩基は、非常に反応的であるが、非常に高価でもある。 TMPHに対応するポリマー塩基はチマソーブ(chimassorb)994である。 その構造をスキーム6に示す。

    チマソーブ994は、室温でチマソーブ994をi−PrMgCl LiClと反応させることにより、対応するMg/Li混成アミドを調製するために用いることができる(スキーム5を参照)。 この塩基34は、脱プロトン化前後において、THF中で安定しており、かつ可溶性である。 塩基34は、ポリマー塩基であるので、反応の完了後、容易に除去することができる。 チマソーブ994は、TMPよりはるかに安価であるので、対応する塩基は低コストで調製することができる。 ポリマー塩基34は、モノマーのTMPMgCl LiClよりわずかに低い活性を呈するが、イソキノリンのような酸性プロトンによる化合物の脱プロトンにおいて非常に有効である。 対応する例をスキーム7に示す。 前記ポリマー塩基は様々な基質を脱プロトンするために用いることができる。 例えば、イソキノリンは塩基34と室温で反応し、ヨウ素によるクエンチングの後、1−ヨードイソキノリン7aを生じる。

    上記の例は、一般型R

    NMgX zLiYの新規な混成Mg/Li塩基は、マグネシウムアミドのオリゴマー凝集体を破壊するリチウム塩の存在により、高い動的活性を有することを示している。

    対称ビスアミド試薬の一例は、(TMP) Mg・2LiCl 40aである。 前記試薬は、THF中において、インサイチューで生成したMgCl をリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジド(TMPLi)と、0℃で30分間にわたって反応させることにより調製される(スキーム8を参照)。

    加えて、他の対称ビスアミドは、試薬40aの調製に関するのと同一の方法を用いて、高収率で調製することができる。 以下に示すすべての例(40b〜40c)は、40aの調製に類似して、>95%の収率で調製した(スキーム9)。 これはまた、シリル置換アミンを含有するビスアミドを含む。

    芳香族基質における比較のメタル化実験を、1.1当量の(TMP)

    Mg・2LiCl(40a)および1.1当量のMPMgCl・LiCl(5b)の双方によって、同一の条件下において行なった。 ビスアミド試薬(TMP)

    Mg・2LiClは、TMPMgCl・LiClより非常に優れた反応性を示す。 また、(TMP)

    Mg・2LiClは非常に弱い酸性基質を脱プロトンすることさえも可能であった。 スキーム10は、同一条件下における、4つの異なる芳香族物質(41〜44)の(TMP)

    Mg・2LiCl(40a)およびTMPMgCl・LiCl(5b)との反応の例に関する概要を示す。 2種類のアミド40aおよびアミド5bの各々の生成物について、それぞれの収率を示す。 この実験は、モノアミドに照らして対等なビスアミドの優れた反応性を明白に示している。 反応はすべて25°Cの室温(rt)で行なわれる。

    加えて、(TMP)

    Mg・2LiClから誘導されて生じたグリニャール中間物は、良好な安定性および様々な基質に対する耐性を示す。 更に、それらは、様々な求電子試薬(eletrophiles)と反応して、対応する官能化誘導体を良好な収率で与える。 下記の表2に例を示す。 また、2つの異なるアミド官能基、すなわち異なるR

    NおよびR

    Nを有する混合マグネシウム塩基は、2つの同一のアミド官能基を有する対応する対称試薬に対して、改善された特性を有することも分かった。 非対称試薬40e〜40iは、それぞれTMPMgCl・LiCl、i−Pr

    NMgCl・LiClおよび(2−エチル−ヘキシル)

    NMgCl・LiCl

    [9] 、並びにそれぞれ1H−ベンゾトリアゾール(Bt)、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール(DMBt)、およびカルバゾール(CBZ)の対応するリチウム種から調製される(スキーム11)。

    とりわけ、特別な指向性メタル化基(directing metalation groups:DMG)を用いる場合、塩基40eは、TMPMgCl・LiCl(5b)および(TMP)

    Mg・2LiCl(40a)よりはるかに高い反応性を提供する。 TMPMgCl・LiClは、0℃において90分で、試薬44の完全なメタル化を提供し、試薬40aは60分で完全なメタル化を提供する。 これとは対照的に、40eの使用は、0℃においてわずか10分のみで完全なメタル化を提供する。 更に、1.5当量のTMPMgCl・LiClとは対照的に、塩基40eは1.3当量しか用いられない。 さらに、45aの収率は、TMPMgCl LiClの使用と比較して、より高い(スキーム12)。

    (TMP)Mg(Bt)・2LiClから誘導された調整中間体(regulating intermediates)は、良好な安定性および様々な基質に対する耐性を示す。 それらは、ヨウ素のような求電子試薬によってトラップされて、対応する官能化誘導体を良好な収率で提供することができる。 表3に例を示す。

    上記の例から分かり得るように、新規な混成Mg/Li塩基は、有機化合物を脱プロトン化するのに非常に有効である。 脱プロトン化は、様々な溶媒中において行うことができ、好ましくは−90℃〜100℃の温度で実施することができる。 さらに、効率的な脱プロトン化反応のため、本発明のアミドは、脱プロトン化されるべきプロトン当たり、好ましくは0.9〜5当量、より好ましくは1〜2当量、最も好ましくは1.1〜1.5当量の使用しか必要としない。

    この新規な種類の塩基は、非常に可溶性であり、かつその副生成物が後続の反応を妨げない。 該塩基によれば、多数の新規な生成物を得ることができ、あるいは、既知の反応通路がより効率的になるであろう。 当業者は、新規なMg/Li塩基の利点を容易に認識し、この塩基を様々な化学反応に用いることができるであろう。

    下記において、本発明を例示するために実施例を挙げる。 しかしながら、これらの実施例は例示のためだけに挙げられ、以下において特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲を制限するものではない。

    実験項:
    試薬TMPMgCl LiCl(5b)の調製:
    磁気撹拌機およびセプタムを装備した、アルゴン通気済みの乾燥した(argon flushed)250mlフラスコに、新たに滴定したi−PrMgCl LiCl(100ml、THF中1.2M、120mmol)を充填した。 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)(19.8g、126mmol、1.05当量)を室温で滴下して添加した。 室温で気体の評価(gas evaluation)が完了するまで(約24時間)反応混合物を撹拌した。

    1−ヨードイソキノリン(7a)の調製:
    磁気撹拌機およびセプタムを装備した、アルゴン通気済みの乾燥した10mlフラスコに、TMPMgCl LiCl(5ml、THF中1.2M、6.0mmol)を充填した。 THF(5ml)中に入れたイソキノリン(703mg、5.45mmol)を室温で滴下して添加した。 添加中に、反応混合物は赤色になり、メタル化は2時間後に完了した(I のTHF中溶液でクエンチした反応部分標本のGC分析によって確認。転化率は98%以上であった)。 I のTHF中溶液(6ml、THF中1M、6.0mmol)を、−20℃でゆっくりと添加した。 反応混合物を飽和NH Cl水溶液(10mL)で反応停止させた。 水相をエーテル(4×10ml)で抽出し、Na SO で乾燥させて、真空下で濃縮した。 粗製残留物をフィルタカラムクロマトグラフィー(CH Cl /ペンタン)によって精製すると、わずかに黄色の結晶として、1−ヨードイソキノリン(7a;1.33mg、96%)を生じた(mp=74〜76°C)。

    下記の表1に列記した生成物は、1−ヨードイソキノリン(7a)の調製に従って生成することができる。

    (TMP)

    Mg・2LiCl(40a)の調製 削り状マグネシウム(Magnesium turnings)(15mmol)をアルゴン通気済みのシュレンクフラスコに入れて、THF(30ml)を添加した。 1,2−ジクロロエタン(16mmol)を滴下して添加し、すべてのマグネシウムが消費されるまで約2時間、反応を撹拌した。 別のアルゴン通気済みのシュレンクフラスコに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMPH)(30mmol)およびTHF(20ml)を入れた。 この溶液を−40℃に冷却して、n−BuLi(30mmol)を滴下して添加した。 添加の後、反応混合物を0℃に暖め、同温で30分間にわたって撹拌した。 次に、前記MgCl

    溶液をTMPLi溶液にカニューレを介して移して、その反応混合物を0℃で30分間にわたって撹拌し、次いで室温に暖め、さらに1時間にわたって撹拌した。 次に溶媒を真空中で除去した後、塩が完全溶解するまで攪拌しながら、THFを添加した。 指示薬として4−(フェニルアゾ)−ジフェニルアミンを用いて、生成したばかりの(TMP)

    Mg・2LiCl溶液を使用前に0°Cにおいて安息香酸に対して滴定した。 THF中の平均濃度は0.6mol/lであった。

    (PIR) Mg・2LiCl(40b)の調製 THF中において、ピロリジン(PIR)(30mmol)、n−BuLi(30mmol)、削り状マグネシウム(15mmol)および1,2−ジクロロエタン(16mmol)から試薬40aの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.65mol/lであることが判明した。

    (i−Pr)2NMg・2LiCl(40c)の調製 THF中において、ジイソプロピルアミン(30mmol)、n−BuLi(30mmol)、削り状マグネシウム(15mmol)および1,2−ジクロロエタン(16mmol)から試薬40aの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.84mol/1であることが判明した。

    (HMDS)2Mg・2LiCl(40d)の調製 THF中において、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(30mmol)、H−BuLi(30mmol)、削り状マグネシウム(15mmol)および1,2−ジクロロエタン(16mmol)から試薬40aの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.86mol/Lであることが判明した。

    (TMP) Mg・2LiClによる官能化アレーンのマグネシウム化:
    ジ−tert−ブチル4−ヨードベンゼン−l,3−ジオアート(51a)の調製 磁気撹拌子およびセプタムを装備した、窒素通気済みの乾燥した10mlシュレンクフラスコにジ−tert−ブチルイソフタラート(278mg、1mmol)の乾燥THF(1ml)中溶液を充填した。 0℃に冷却した後、調製したばかりの(TMP) Mg・2LiCl溶液(THF中0.6mol/l、1.83ml、1.1mmol)を滴下して添加し、その反応混合物を同温で撹拌した。 メタレーションの完了(2時間)は、I の乾燥エーテル中溶液でクエンチした反応部分標本のGC分析によって確認した。 次に、乾燥THF(2ml)中に溶解したヨウ素(508mg、2mmol)を0℃において添加し、結果として生じた混合物を室温に暖めた。 1時間にわたって撹拌した後、反応混合物を飽和Na 水溶液で反応停止させ、エーテル(3×20ml)によって抽出し、Na SO 上で乾燥させた。 濾過後、溶媒を真空中で除去した。 フラッシュクロマトグラフィー(n‐ペンタン/ジエチルエーテル、10:1)による精製により、黄色の油として化合物51a(380mg、94%)が与えられた。

    下記の表2に列記した生成物は、表中に示したような対応する温度および反応時間を用いて、ジ−tert−ブチル4−ヨードベンゼン−1,3−ジオアート(51a)の調製に従って生成することができる。

    [a] CuCN−2LiClとのトランスメタレーションを行なった。

    [b] ZnCl

    とのトランスメタレーションの後に、パラジウムによって触媒されたクロスカップリングによって得られた。

    (TMP)Mg(Bt)・2LiCl(40e)の調製:
    ベンゾトリアゾール(Bt)(1.19g、10.0mmol)をフレームドライしたアルゴン通気済みの50mlシュレンクチューブに入れた。 前記シュレンクチューブには磁気撹拌子およびセプタムを装備した。 THF(10ml)を添加した。 その溶液を−40℃に冷却した。 次に、n−BuLi(3.62ml、ヘキサン中2.76M、10.0mmol)を滴下して添加した。 直ちに白色沈殿物が形成した。 添加終了後、結果として生じた懸濁液を、−40℃で30分間にわたって撹拌した。 次に、溶媒を真空中で除去し、TMPMgCl・LiCl(8.93ml、THF中1.12M、10.0mmol)を添加した。 白色固体が完全に溶解した後、THFを真空中で除去した。 結果として生じた褐色を帯びたゲルに、その塩が完全に溶解するまで撹拌しながら、THFを添加した。 指示薬として4−(フェニルアゾ)−ジフェニルアミンを用いて、生成したばかりの(TMP)Mg(Bt)・2LiCl溶液を安息香酸に対して室温で滴定した。 THF中の平均濃度は、0.35mol/lであることが分かった。

    (TMP)Mg(DMBt)・2LiCl(40f)の調製:
    THF中において、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール(10mmol)、n−BuLi(10mmol)およびTMPMgCl・LiCl(10mmol)から試薬40eの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.33mol/lであることが判明した。

    (TMP)Mg(CBZ)・2LiCl(40g)の調製:
    THF中において、9H−カルバゾール(10mmol)、n−BuLi(10mmol)、およびTMPMgCl・LiCl(10mmol)から試薬40eの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.33mol/lであることが判明した。

    (i−Pr N)Mg(Bt)・2LiCl(40h)の調製:
    THF中において、ベンゾトリアゾール(10mmol)、n−BuLi(10mmol)および(i−Pr N)MgCl・LiCl(10mmol)から試薬40eの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.24mol/lであることが判明した。

    (2−エチル−ヘキシル) NMg(Bt)・2LiCl(40i)の調製:
    THF中において、ベンゾトリアゾール(10mmol)、n−BuLi(10mmol)および(2−エチル−ヘキシル) NMgCl・LiCl(10mmol)から試薬40eの通りに調製した。 THF中の平均濃度は、0.23mol/lであることが判明した。

    (TMP)Mg(Bt)−2LiClによる官能化アレーンのマグネシウム化:
    エチル3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨードベンゾアートの調製 磁気撹拌子およびセプタムを装備した、窒素通気済みの乾燥した25mlシュレンクフラスコに、乾燥THF(3ml)中に入れたエチル3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}ベンゾアート44(300mg、1.00mmol)を充填した。 0℃に冷却した後に、調製したばかりの(TMP)Mg(Bt)・2LiCl溶液(4.33ml、THF中0.3M、1.3mmol)を滴下して添加し、その反応混合物を同一の温度で撹拌した。 メタレーションの完了(10分)は、I の乾燥THF中溶液でクエンチした反応部分標本のGC分析によって確認した。 次に、乾燥THF(2ml)中に溶解したヨウ素(508mg、2.0mmol)を0℃で添加し、結果として生じた混合物を室温に暖めた。 1時間にわたって撹拌した後、反応混合物を飽和Na 水溶液で反応停止させ、エーテル(3×20ml)で抽出して、Na SO 上で乾燥させた。 濾過後、溶媒を真空中で除去した。 溶離液として酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、エチル3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨードベンゾアート44a(332mg、78%)が黄色の油として与えられた。

    下記の表3に列記した生成物は、表に示したような対応する温度および反応時間を用いて、エチル3−{[ビス(ジメチルアミノ)ホスホリル]オキシ}−2−ヨードベンゾアート44aの調製に従って生成することができる。

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