Sulfide method sulfide agent

申请号 JP2013552218 申请日 2012-02-03 公开(公告)号 JP2014510043A 公开(公告)日 2014-04-24
申请人 ヴィロノヴァ・チオネーション・アクチェボラーグ; 发明人 ペッタション,ビルギッタ; ハシンベゴヴィック,ヴェドラン; スヴェンソン,ペル・ホー; ベリマン,ヤン;
摘要 結晶性P
2 S
5 ・2C
5 H
5 Nの硫化剤としての使用による、硫化反応生成物をもたらす反応において、化合物中の>C=O基(I)を>C=S基(II)又は基(II)の互変異性型へ変換するための方法。 結晶性P
2 S
5 ・2C
5 H
5 Nである、硫化剤。
权利要求
  • 結晶性P ・2C Nの硫化剤としての使用による、硫化反応生成物をもたらす反応において、化合物中の>C=O基(I)を>C=S基(II)又は基(II)の互変異性型へ変換するための方法。
  • 硫化剤と化合物を該化合物と該硫化剤の液体溶媒媒体中で互いにそのまま反応させる、請求項1に記載の方法。
  • 液体溶媒媒体が、ピリジン、C1〜C3アルキルニトリル、環式スルホン、及び/又はC1〜C3ジアルキルスルホンを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  • 液体溶媒媒体が、ピリジン、スルホラン、ジメチルスルホン、及び/又はアセトニトリルを含む、請求項1〜3のいずれか1項のいずれか1項に記載の方法。
  • 反応を60℃〜180℃の温度で実施する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  • 反応を115℃〜175℃の温度で実施する、請求項5に記載の方法。
  • 化合物がアミド官能基に存在する基(I)を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  • 化合物がケトン官能基に存在する基(I)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 硫化剤を、変換される基(I)に対して、1〜4モルの基(I)に付き1モルのP ・2C Nのモル比で使用する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  • 硫化反応生成物を反応物より分離することを含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • 反応物へ水を加えて、沈殿析出又は結晶化により、硫化反応生成物を固体材料として分離する、請求項10に記載の方法。
  • 結晶性P ・2C Nである、硫化剤。
  • 说明书全文

    本発明は、硫化法(a thionation process)に関する。 より具体的には、本発明は、化合物中のオキソ基(>C=O)をチオ基(>C=S)又は前記チオ基の互変異性型へ変換するための方法に関する。

    1951年、Klingsberg 1らは、ピリジンに溶かしたP 10の、硫化剤としての使用について記載した。 ピリジンとP 10は、直ちに反応して、両性イオン性の無臭化合物を生成し、その組成物であるP ・2C Nについては、早くも1967〜1968年にドイツの無機化学者2,3によって研究されて、その構造についての証拠が31 P NMRデータによって、並びに関連分子との比較によって得られた。

    Klingsberg らの教示にも拘らず、オキソ基を含有する化合物の硫化の反応において専ら使用されてきた薬剤は、いわゆるローソン試薬(Lawesson's reagent)(IUPAC名:2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジチオン)[以下、本明細書では、LRと言及する]である。 LRは、1968年に、有機化学における諸変換のために導入されて、良好な収率で硫化される(アミド及びケトンのような)かなりの数の反応体とともに使用された。 しかしながら、硫化剤としてのLRは、いくつかの欠点を抱えている。 例えば、その熱安定性は、劣等であり;LRは、110℃を超えると分解し始めるとの報告5,6さえあった。 さらに、LRは、概して溶解性が低く、このためにヘキサメチルホスホラミド(HMPA)の溶媒としての使用がしばしば必要とされてきた。 HMPAは、ヒトに対して発癌性であることが疑われて、その使用は、多くの国で禁止されている。 LRの追加の欠点は、化合物それ自体の強い不快臭と、反応の間に、所望の反応生成物より分離することが難しい(カラムクロマトグラフィーがしばしば必要とされる)、不快に臭い副生成物を形成する傾向があるという事実である。

    オキソ基含有化合物の硫化のための改善された方法、並びにそのような方法における使用のための改善された硫化剤へのニーズが依然としてあると思われる。

    (1) Klingsberg, E.; Papa, DJ Am. Chem. Soc. 1951, 73, 4988-4989. (2) Meisel, M.; Grunze, HZ Anorg. Allg. Chemie, 1967, 360, 277-283. (3) Fluck, E.; Binder, HZ Anorg. Allg. Chemie 1967, 354, 113-129. (4) Brunel, E.; Monzur, J.; Retuert, JJ Chem. Res (M) 1981, 3437-3445. (5) Jesberger, M.; Davis, TP; Berner, L. Synthesis 2003, 1929-1958. (6) a) Ozturk, T.; Erdal, E.; Olcay, M. Chem. Rev. 2007, 107, 5210-5278.b) Ozturk, T.; Erdal, E.; Olcay, M. Chem. Rev. 2010, 110, 3419-3478.

    第一の側面により、結晶性P ・2C Nの硫化剤としての使用による、硫化反応生成物をもたらす反応において、化合物中の>C=O基(I)を>C=S基(II)又は基(II)の互変異性型へ変換するための方法を提供する。

    さらなる側面により、結晶性P ・2C Nである硫化剤を提供する。

    図面1は、P

    ・2C

    Nの(A)分子構造及び(B)結晶構造を示す。

    図面2は、二素モノチオリン酸ピリジニウムの(A)分子構造及び(B)結晶構造を示す。

    本発明者は、P ・2C Nの結晶構造をX線解析によって決定したが、その詳細については、「実験の部」に示す。 この化合物の分子構造のOrtep図を図面1に示す。 これらの分子は、いくつかのファンデルワールス相互作用を介して一緒に連結している。 最も強いファンデルワールス接触(C−H…S)により、これらの分子は、一緒に、c軸に沿った無限鎖の中へ連結される。 充填係数(ファンデルワールス空間に充填された単位格子中のパーセント)は、67.7%であり、効率的な分子フレームワークが固相状態にあることを示している。 この分子パッキングは、芳香族のπスタッキングによって促進される。 2つの隣接する芳香族部分の面間距離は、ほぼ3.5A(オングストローム)である。

    本明細書の上記に述べたように、本発明は、結晶性P ・2C Nからなる硫化剤を提供する。 ごく有利にも、この薬剤は、長い時間帯の間保存可能であって、さらに、慣用の硫化剤に固有の不純物(P 10由来)がピリジン母液より除去されるので、これらの不純物を含まない。

    この改善された純度は、より純粋な硫化生成物とより容易な後処理手順をもたらすだろう。 特別な利点は、この硫化剤がアセトニトリル及びジメチルスルホンのような溶媒へ移動し得るという事実である。

    実際、この両性イオン性の結晶性化合物は、温アセトニトリルに適度に溶けて、温ピリジンによく溶ける。 それは、環式スルホンに、又はジメチルスルホンのようなアルキルスルホンにもよく溶ける。

    本発明の方法の1つの態様において、硫化剤と硫化される化合物は、該化合物と該硫化剤のための液体溶媒媒体中でそのまま反応させる。 換言すると、該硫化剤は、液体溶媒媒体に溶かして使用する。

    本発明の方法の1つの態様では、硫化剤を、硫化される化合物と混合した融解物として使用する。 この態様では、硫化剤をその融解温度(167〜169℃)まで加熱して、硫化される化合物をこの硫化剤と加熱の前、後、又はその間に混合する。

    溶媒媒体は、非プロトン性溶媒より選択されるべきである。 1つの態様において、液体溶媒媒体は、室温で液体(融点:−42℃)であって82℃の沸騰温度を有するアセトニトリルのような、室温で液体であって好適な反応温度(例えば、60〜200℃の温度、例、60〜100℃)まで加熱し得る有機溶媒である。 この場合、結晶性P ・2C Nと硫化される化合物をともにこの有機溶媒に溶かして、これを加熱(例えば、還流まで)してもよい。

    1つの態様では、結晶性P ・2C Nを溶媒媒体と、該溶媒媒体と結晶性P ・2C Nの融点未満の温度で混合して、この混合物を加熱して、該液体溶媒媒体に溶けたP ・2C Nを含有する液体溶液を入手する。

    硫化される化合物は、反応混合物の他の成分と、この方法のどの時点でも(例、融解及び/又は溶解の前又は後に)混合してよい。
    例えば、ジメチルスルホンの融解温度は、107〜109℃である。 融解したジメチルスルホンをこの反応の液体溶媒媒体として使用する場合、結晶性P ・2C Nと固体ジメチルスルホンを例えば室温で混合して、少なくとも約109℃の温度まで加熱してよく、この時点で、P ・2C Nの液体ジメチルスルホン溶液が得られる。 この反応媒体において、オキソ基含有化合物の硫化を実施してよい。

    ・2C Nの有利な特徴は、その熱安定性であって、それにより硫化反応を100℃より十分高い温度、例えば、100〜200℃、又は115〜180℃の温度、又は150〜175℃の温度、特に165〜175℃の温度で実施することが可能になるが、より低い温度(例、60〜100℃)も使用してよい。 いくつかの態様では、この反応を液体溶媒媒体の沸騰温度で実施する。

    現時点では、P ・2C Nそれ自体が液体溶媒媒体中での溶解の後で化合物を硫化するのか、又はこの反応がある他の中間的な反応分子種への解離を介して進行するのかは明らかでない。 しかしながら、本発明の目的にとって、この反応の正確な機序は本質的ではなくて、溶解したP ・2C Nが溶解した化合物とそのまま反応すると示すことで、所望の硫化生成物をもたらすどの可能な中間体によっても進行する反応が含まれることが企図される。

    水又は低級アルコール(例、メタノール又はエタノール)のようなプロトン性溶媒の存在下で、P ・2C Nは、広汎な分解を速やかに受ける。 例えば、P ・2C Nのアセトニトリル温溶液/懸濁液へ水を加えると、ピリジンとホスホロチオン酸の塩、即ち、式:

    の二水素モノチオリン酸ピリジニウムの澄明な溶液を速やかに生じる。
    この塩は、直ちに水に溶けて、その速やかな生成と高い溶解性は、有利にも、本発明の硫化反応生成物(例、チオアミド)の後処理の間に利用することができる。 このように、本発明の典型的な反応では、4当量のアミドを乾燥アセトニトリル中1.1当量の結晶性P ・2C Nとともに加熱して、後処理に関しては、あらゆる残留硫化剤を水の添加によって直ちに除去する。

    ・2C Nはまた、アルコール類で処理されるときに分解する;例えば、P ・2C Nをエタノールで処理すると、式:

    のO,O−ジエチルジチオホスホン酸ピリジニウムが得られる。
    このように、本発明の1つの利点は、水又は低級アルコール(例、エタノール)のようなプロトン性溶媒での処理によって、所望の硫化生成物があらゆる残存硫化剤P ・2C Nより容易に分離されることである。

    故に、本発明の1つの態様において、硫化反応生成物を得るために、化合物をP ・2C Nと接触させることによって該化合物中の>C=O基(I)を>C=S基(II)又は基(II)の互変異性型へ変換するための方法を提供し;該方法は、前記化合物と結晶性P ・2C Nを該化合物と結晶性P ・2C Nの液体溶媒媒体中で混合して該化合物及びP ・2C Nの液体溶液を入手すること、及びP ・2C Nと該化合物をその溶液中で互いにそのまま反応させることに続けて、この溶液へプロトン性溶媒を加えることを含んでなる。

    該溶液へのプロトン性溶媒の添加の後で、残存するP ・2C Nの分解より生じる塩は、例えば、水性溶液又は水での抽出によって、硫化化合物より容易に分離される。 いくつかの態様では、水のようなプロトン性溶媒の添加が硫化反応生成物の沈殿をもたらして、次いでこれを、例えば簡単な濾過によって、水相より分離することができる。 反応生成物のさらなる精製を、例えば、再結晶によって実施してもよい。

    >C=S基(II)へ変換される>C=O基(I)は、例えば、ケトン又はアミド官能基に存在し得て、1個又は数個の官能基を含んでなる化合物中に存在し得て、その場合は、本明細書の下記の「実施例」に示すように、選択的な硫化が達成可能であり得る。

    1つの態様において、基(I)は、例えば、化合物:

    [式中、Rは、例えば、C1〜C12ヒドロカービルより選択され得て、R'とR”は、HとC1〜C12ヒドロカービルより独立して選択され得る、又は式中、RとR'及び/又はR'とR”は、それらが付くアミド炭素及び/又は窒素と一緒に、互いに組合って、単環又は多環系の環(例、1個又は数個の追加へテロ原子、例えば、O、N、及びSより選択される1個又は数個のヘテロ原子を含有してもよい単環又は多環系の5〜20員環であって、該環は、飽和又は不飽和であっても、芳香族又は非芳香族であってもよい)を形成してよい]中のアミド官能基:−C(O)−N<に存在する。

    1つの態様において、該化合物は、ペプチド、オリゴペプチド、又はポリペプチド、例えば、その骨格に1〜10個の基(I)又は1〜5個のオキソ基(I)を含んでなるペプチドである。

    1つの態様において、基(I)は、化合物:

    [式中、RとR'は、例えば、HとC1〜C12ヒドロカービルより独立して選択され得る、又はケトン炭素と一緒に、互いに組合って、単環又は多環系の環(例、1個又は数個のへテロ原子、例えば、O、N、及びSより選択される1個又は数個のヘテロ原子を含有してもよい単環又は多環系の5〜20員環であって、該環は、飽和又は不飽和であっても、芳香族又は非芳香族であってもよい)を形成してよい]中にあるようなケトン官能基に存在する。

    基:R、R'、及びR”は、独立して、1以上の置換基、例えば、1以上のさらなるオキソ基又は1以上の他の官能基によって置換されていてもよい。
    基(I)がケトン官能基に存在する場合、好ましくは、その化合物中に少なくとも1つの電子供与基が存在して、基(I)の電子密度の増加をもたらすはずである。 そのような電子供与基(EDG)は、例えば、孤立電子対を有する基であり得て、EDGとケト基の間に位置する1個又は数個の二重結合を介した前記電子対の脱局在化によってケト基の電子密度を高めることが可能である。 ケト基の電子密度は、誘起効果によって高められる場合もある。

    本発明の硫化反応の生成物は、>C=S基(II)又はその互変異性体、例えば、>C=C(SH)−基を含んでなる硫化化合物である。
    結晶性P ・2C Nは、好ましくは、変換される基(I)に対して、1〜4モルの基(I)に付き1モルのP ・2C N、例えば、2〜4モルの基(I)に付き1モルのP ・2C N、特に3〜4モルの基(I)に付き1モルのP ・2C Nのモル比で混合される。 故に、化合物が基(II)へ変換される基(I)を1より多く含有する場合、P ・2C N対化合物のモル比は、それに応じてより高くなろう。 例えば、化合物が2個の基(II)へ変換される2個の基(I)を含有する場合、結晶性P ・2C Nは、好ましくは、硫化される化合物に関して、0.5〜2モルの化合物に付き1モルのP ・2C N、例えば、1〜2モルの化合物に付き1モルのP ・2C N、又は1.5〜2モルの化合物に付き1モルのP ・2C Nのモル比で混合される。

    一般に、例えば、ケトン官能基及びアミド官能基より選択されるn個の官能基、例えば、n個のアミド官能基を含有する化合物では、P ・2C Nと該化合物の間のモル比は、n/4〜n、又はn/4〜n/2、例えば、n/4〜n/3であり得る。

    硫化剤としてのP ・2C Nの有利な特徴は、その選択性である。 従って、例えば、カルボン酸エステル官能基は、一般的には、P ・2C Nと反応せず、故に、本発明はまた、カルボン酸エステル官能基も含んでなる化合物中の例えばアミド又はケト官能基を選択的に硫化する方法を提供する。

    本発明について、以下の非制限的な実施例においてさらに記載する。

    実施例1
    結晶性P ・2C
    乾燥ピリジン(560mL)へ80℃で撹拌装置を使用して、十硫化四リン(P 10 ,44.5g,0.1モル)を少量ずつ加えた。 還流(1時間)の時間の後で、澄明な黄色の溶液を得て、この溶液をそのまま冷やすと、淡黄色の結晶が沈積した。 2時間後、この結晶を採取し、乾燥アセトニトリルで洗浄して、最後に乾燥器(濃硫酸入りのビーカーを含有する)へ移して、過剰なピリジンを除去した。 収量:62.3g(84%),融点:167〜169℃,IR ν max :3088, 3040, 1608, 1451, 1197, 1044, 723, 668 cm −1 ;図面1を参照のこと。

    二水素モノチオリン酸ピリジニウム 結晶性P ・2C N(3.80g,10ミリモル)を、水(1.0mL)を含有するアセトニトリル(35mL)において還流温度で加熱した。 この澄明な溶液(3分以内に入手される)を濃縮して、生成物(3.15g,79%)をそのまま結晶させた。 この結晶は、X線結晶解析に適していた。 融点:110〜120℃,H Sの発生を伴って分解する; 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 7.51 (m, 2H, 3-H), 7.95 (dd, 1H, 4-H), 8.63 (d, 2H, 2-H), 9.7 (br s, 3H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 124.7 (d), 138.5 (d), 147.8 (d);図面2を参照のこと。

    O,O−ジエチルジチオホスホン酸ピリジニウム 結晶性P ・2C N(1.0g)をエタノール(5mL)中の還流で5分間加熱し、澄明な溶液を蒸発させて、すぐに固化するオイル(100%)を得た。

    IR ν max :2976, 2891, 1630, 1600, 1526, 1479, 1383, 1020, 920, 748, 681 cm -1 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 3.79 (m, 4H), 8.09 (m, 2H), 8.62 (m, 1H), 8.97 (m, 2H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 16.1 (q, 3 J CP = 8.8 Hz), 59.8 (t, 2 J CP = 7.1 Hz), 127.2 (d), 142.5 (d), 146.0 (d)。

    実施例2
    (S)−11−チオキソ−2,3,11,11a−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5−(10H)−オン(表1,項目17)
    2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアゼピン−5,11(10H,11aH)−ジオン(4.0g,20ミリモル)のMeCN(200mL)溶液へ結晶性P ・2C N(2.3g,6ミリモル)を加えて、60℃まで3時間加熱すると、この時間の間に黄色の沈殿を生じた。 この反応混合物をそのまま室温で一晩静置させて、完全に沈殿させた。 生成物を真空濾過して少量の冷MeCNで洗浄して、表題化合物(3.9g,85%)を薄黄色の固形物として得た。 融点:268〜270℃;[α] 23 +971°(c0.16,MeOH);Ir υ max :3170, 2979, 1616, 1602, 1477, 1374, 1271, 1141, 831, 813, 752 cm -1
    1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 1.89-1.94 (m, 1H), 1.99-2.16 (m, 2H), 2.84-2.94 (m, 1H), 3.40-3.50 (m, 1H), 3.53-3.60 (m, 1H), 4.27 (d, J = 6.11 Hz, 1H), 7.22-7.27 (m, 1H), 7.30-7.37 (m, 1H), 7.55-7.60 (m, 1H), 7.80-7.85 (m, 1H), 12.46 (br s, 1H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 22.7(t), 29.0 (t), 46.8 (t), 59.8 (d), 121.8 (d), 125.7 (d), 127.8 (s), 130.2 (d), 132.2 (d), 136.5 (s), 164.2 (s), 201.9 (s)。

    実施例3
    グリシンからの2,5−ピペラジンジチオン(表2,項目1)
    グリシン(1.50g,20ミリモル)、結晶性P ・2C N(9.12g,28ミリモル)、及びジメチルスルホン(8.0g)を165〜170℃で1時間加熱して、すぐに(冷却後)この反応混合物を沸騰水で30分間処理した。 得られた褐色がかった固形物をエタノール/DMFより再結晶させた。 1.85g(63%),融点:284℃; 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 4.19 (s), 10.7 (s); 13 CNMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 54.4 (q), 191.9 (s)。

    実施例4
    2,5−ピペラジンジオンからの2,5−ピペラジンジチオン(表2,項目2)
    2,5−ピペラジンジオン(2.28g,20ミリモル)と結晶性P ・2C N(2.28g,8ミリモル)をアセトニトリル(50mL)中の還流で2時間加熱してから、この混合物を濃縮して、水を加えた。 1時間の撹拌時間の後で、生成した固形物(2.63g,90%)を採取した。 融点及びNMRのデータは、グリシンからの2,5−ピペラジンジチオン(表2,項目1)について上記に報告したデータと同一である。

    S,S'−1,4−ジアセチル−2,5−ビス−アセチルチオロ−1,4−ジヒドロピラジン(35)
    上記の2,5−ピペラジンジチオン(1.46g,10ミリモル)を無水酢酸(20mL)中の還流温度で2時間加熱して、すぐにこの反応混合物を濃縮して、ジイソプロピルエーテルで処理した。 2.06g(93%),融点:190〜192℃; 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 2.17 (s, 6H), 2.45 (s, 6H), 6.99 (s, 2H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 22.2 (q), 29.4 (q), 117.0 (s), 131.6 (d), 166.3 (s), 193.7 (s); 元素分析 C 12 H 14 N 2 O 4 S 2の計算値:C, 45.75; H, 4.48; N, 8.88. 実測値:C, 45.90; H, 4.32; N, 8.71。

    四硫化物(25)の還元開裂 3,3'−ジインドリル−2,2'−テトラスルフィド(25)(3.58g,10ミリモル)をTHF(50mL)に溶かして、THF(75mL)中のNaBH (1.50g,40ミリモル)の混合物へ加えた。 H Sを含有するガスの発生が続いて、この反応混合物を一面のアルゴン下に40〜45℃で3時間撹拌した。 ジアニオン(26)を含有する、この空気に敏感な溶液は、保存せずに、下記に記載の操作によって直ちに変換した。

    2,2'−ビス(メチルチオ)−1H,1'H−3,3'−ビインドール 四硫化物(25)(5ミリモル)の還元開裂によって入手した溶液へMeOH(15mL)に溶かした硫酸ジメチル(1.51g,12ミリモル)を25℃で滴下した。 一定時間(1時間)の撹拌の後で、この溶液を蒸発させて、水で処理した。 この粗製の固形物をMeOH−水より結晶させて、黄色の固形物(0.45g,57%)を得た。 融点:184〜186℃; 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 2.44 (s, 6H), 6.95-6.99 (m, 2H), 7.10-7.22 (m, 4H), 7.36-7.45 (m, 2H), 11.55 (s, 2H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 18.0 (q), 110.8 (s), 110.9 (d), 119.0 (d), 119.2 (d), 121.5 (d), 128.0 (s), 129.1 (s), 137.0 (s)。

    シクロジスルフィド(23)の合成 四硫化物(25)の還元開裂によって入手した溶液を、水(50mL)の添加の後で、空気と接触させて24時間撹拌した。 生成した黄色の固形物を採取して、アセトニトリル−DMF(4:1)より結晶させて、依然としてDMFを含有する2.20g(77%)の固形物を得て、減圧下での乾燥によってDMFを除去した。 融点:>227〜228℃。

    1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 7.04-7.08 (m, 1H), 7.28-7.31 (m, 2H), 7.33-7.51 (m, 1H), 12.16 (s, 1H): 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 136.3 (s), 127.0 (s), 124.9 (s), 124.6 (d), 120.3 (d), 120.2 (d), 119.3 (s), 112.2 (d)。

    実施例5
    オキシインドールの160℃での硫化によるシクロジスルフィド(23)(表3,項目13)
    オキシインドール(1.33g,10ミリモル)と結晶性P ・2C N(1.52g,4ミリモル)をジメチルスルホン(4.0g)とともに温めてから、160℃で5分間加熱した。 この融解物をそのまま冷やしてから、水とともに加熱した。 生成した固形物をアセトニトリル−DMF(4:1)より結晶させて、1.37g(92%)を得た。 融点:>227〜228℃。 この物質は、四硫化物(25)の還元開裂より得られるものと同一であった。

    3,3'−ビチオ−オキシインドール(27)
    四硫化物(25)の還元開裂より入手した溶液をAcOHで酸性化すると、表題化合物(2.52g,85%)の黄色の沈殿としての速やかな生成を生じた。 これをアセトニトリルより再結晶させた。 融点:180℃(分解)。 この分子は、空気酸化に対して敏感である。

    1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 4.66 (s, 2H), 6.85-6.91 (m, 4H), 6.96-6.98 (m, 2H), 7.07-7.13 (m, 2H), 13.06 (s, 2H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 60.8 (d), 110.4 (d), 123.0 (d), 123.4 (d), 128.6 (d), 130.2 (s), 144.2 (s), 204.3 (s)。 元素分析 C 16 H 12 N 2 S 2の計算値:C, 64.60, H, 4.08, N, 9.43. 実測値:C, 64.26, H, 3.99, N, 9.31。

    実施例6
    5−メルカプト−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチル(34b)
    ジエステル(33a,2.13g,10ミリモル)と結晶性P ・2C N(1.14g,4ミリモル)をアセトニトリル(50mL)中の還流温度で1時間加熱した。 25mLへ濃縮後、水を加えて、生成した固形物を採取して、2−プロパノールより結晶させた(1.85g,81%)。 融点:185〜187℃;IR υ max :3273, 2954, 1742, 1724, 1707, 1681, 1562, 1440, 1341, 1269, 1200, 1173, 1117, 1080, 1003, 782 cm -1 ; 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 2.43 (s, 3H, CH 3 ), 3.17 (s, 1H, SH), 3.49 (s, 3H, OCH 3 ), 3.64 (s, 3H, OCH 3 ), 11.90 (s, 1H, NH); 13 CNMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 13.4 (q), 30.6 (d), 50.4 (q), 51.4 (q), 111.2 (s), 117.1 (s), 126.9 (s), 139.9 (s), 164.4 (s), 171.1 (s)。 元素分析 C 10 H 13 NO 4 S の計算値:C, 49.37, H, 5.38, N 5.75. 実測値 C, 49.25, H, 5.46, N, 5.61。

    実施例7
    3−(1H−インドール−3−イル)−3,3'−ビインドリン−2−チオン(表3,項目9)
    3−(1H−インドール−3−イル)−3,3'−ビインドリン−2−オン(728mg,2ミリモル)、結晶性P ・2C N(228mg,0.6ミリモル)、及びジメチルスルホン(3.05g)を20分間加熱(165〜170℃)した。 この融解物をそのまま冷やしてから、水中で10分間加熱した。 生成した固形物(766mg,94%)を採取した。 融点:>260℃。 1 H NMR (300 MHz, DMSO-d 6 ) δ 7.09-7.15 (m, 2H), 7.18-7.20 (m, 5H), 7.24-7.30 (m, 7H), 13.00 (s, 1H); 13 C NMR (75.5 MHz, DMSO-d 6 ) δ 72.7 (s), 111.2 (d), 124.4 (d), 126.5 (d), 127.5 (d), 128.6 (s), 128.7 (s), 129.0 (d), 129.1 (d), 129.1 (d), 139.2 (s), 143.0 (s), 143.5 (s), 145.3 (s, 2C), 208.4 (s)。 元素分析 C 24 H 17 N 3 S の計算値:C, 75.96, H, 4.51, N, 11.07. 実測値:C, 76.10, H, 4.46, N, 11.00。

    温アセトニトリルに溶かした結晶性P ・2C Nを使用する、本発明によるいくつかの硫化反応の結果を表1に収載する。 例示の反応において、結晶性P ・2C Nの硫化される化合物に対する比は、1.1:4であった。 いくつかの事例では、LRとの直接比較を行った。 例えば、ε−カプロラクタムとP ・2C Nでは、対応するチオアミドが5分以内に得られたが、LRは、もっと速やかに硫化する。 実際、ε−カプロラクタムの添加によって、LRの温アセトニトリル懸濁液を滴定することができる。 本発明の硫化剤のLRに優る利点は、主に、本発明の硫化剤が製造するのにより容易で、無臭(十分に純粋であるとき)であること、そして硫化生成物が高純度であることである。 本明細書に記載の実施例では、一級アミドからのニトリルの生成は、決して問題にならなかった。 硫化剤のLRを使用するときは、この種の副反応が問題になる場合がある7,8 。 例示ケトンのP ・2C Nでの硫化も良好に進んだ(表2,項目3及び4)。 ケト誘導体の(20a)及び(21a)は、本発明の硫化剤を温ピリジン中で、又は融解物として使用するとき、又はなお良好には、ジメチルスルホンと一緒に加熱して使用するとき、それぞれ(20b)と(21b)へ変換することができた(表1,項目20と表3,項目3)。

    3,3−ジメチルオキシインドール(項目7,表1)の硫化が優れた収率をもたらしたのに対し、親化合物のオキシインドール(項目6,表1)では、受け入れ難いほどに低い収率(約10%)をもたらした。 ここでは、低溶解度の錯体の生成が問題の原因であるらしい。 3,3−ジインドリルインドリン−2−チオンの合成も失敗したが、ジメチルスルホンを溶媒とすれば奏功し得た(表3を参照のこと)。 3−ヒドロキシ−2−ピリドンの硫化は、問題を併発せずに良好に進行して、3−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリジンチオンの興味深い薬剤群をもたらした[この数種の金属錯体(例、Zn 2+ )については、糖尿病に対して有望であることが報告されている]。

    出発材料中に1個より多いカルボニル基が存在する場合では、選択性を達成することができる。 従って、一硫化(monothionated)分子(表1,項目12、16、及び17)を良好な収率で入手することができた。 過剰の硫化剤を温ピリジン中で用いると、完全に硫化された生成物を得ることができるのに対し、ピペリジン−2,6−ジオンの温アセトニトリル中での硫化は、一硫化生成物をもたらした。

    表1. 温MeCN中での本発明の硫化剤でのアミドの硫化

    Gly−Gly並びにピペラジン−2,5−ジオンの硫化は、いずれも、予測される二硫化生成物の良好な収率をもたらした(表2,項目1及び2)。 かなり不溶性の生成物をさらに特性決定するために、これを温無水酢酸中でアセチル化して、良好なNMRスペクトルが直ちに得られる四アセチル化生成物(35)を得た。

    表2. 温ピリジン中での本発明の硫化剤での硫化

    例えばジメチルスルホン(融点:107〜109℃,沸点:238℃)に溶かしたP ・2C Nでは、きわめて高い温度(165〜175℃)での硫化を実施することができた。 本発明のいくつかの例示反応の結果を表3に収載する。 1つの事例(表3,項目6)において、生成物は、きわめて不溶性の二硫化物(22)へ変換された。 例えば、Stoyanov と Hino et al 10では、同様の観察事実が報告された。 後者の研究者は、いくつかの3位置換インドール−2−チオンが対応する二硫化物へ直ちに酸化され得ることを見出した。 この反応をアルゴン下で行うことによって、酸化生成物の生成を回避することができた。

    これまでに、ベンズアルデヒドは何度も硫化されたことがあって11−16 、その生成物は、不安定な主要生成物(30)の三量体(29)として常に単離されて、その三量体(29)は、まさに、ベンズアルデヒドを本発明の硫化剤とジメチルスルホン中で反応させたときの生成物であった。

    一般的には、チオン(32)(表1,項目17)を選択的にもたらす、コウジ酸(kojic acid)のモノ酢酸エステル(31)の硫化(表3,項目10)によって例示され得るように、エステルカルボニル基は、P ・2C Nによっては攻撃されない。 ジエステル(33)の硫化は、別の実施例、即ち、ピロール−2−チオール誘導体(34b)を提供した。

    この出発材料は、完全に(NMRの証拠)互変異性体(33a)として存在したが、生成物は、完全に、チオール互変異性体(34b)として存在した。 しかし、より重要にも、2つのエステル官能基は、元のままであった。

    低い溶解度と高い融点のために、2,5−ピペラジンジチオン(表3,項目12)は、特性決定することが困難であったので、容易に可溶性の四酢酸エステル(35)を製造した。

    表3. ジメチルスルホン中の本発明の硫化剤での硫化(165〜175℃)

    上記の一般的な記載と例示の実施例からのさらなる教示に照らせば、当業者には、(例えば、硫化される化合物に存在し得る官能基を考慮して)好適な反応条件を選択するための定型的な実験を必要ならば使用して、本発明を特許請求項の全範囲内で実施することが十分に可能であろう。 例えば、この反応は、通常の周囲の雰囲気下で実施しても、例えば、アルゴン又は窒素の不活性な雰囲気下で実施してもよい。 最適化又は変更し得る他の変数は、例えば、溶媒媒体、反応温度、及び反応時間であって、そのようなすべての変更態様及び変形態様が本発明の範囲内にあると考慮される。

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