首页 / 国际专利分类库 / 化学;冶金 / C07有机化学 / 有机化学的一般方法;所用的装置 / 不形成或不引入含杂原子官能团的反应,其中包括两个原来不直接相连碳原子之间碳-碳键的形成或两个直接相连碳原子的断开 / アルファ−(1,2)−分岐アルファ−(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物及びアルファ−(1,2)−分岐アルファ−(1,6)オリゴデキストランの製造方法

アルファ−(1,2)−分岐アルファ−(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物及びアルファ−(1,2)−分岐アルファ−(1,6)オリゴデキストランの製造方法

申请号 JP2012509997 申请日 2010-05-07 公开(公告)号 JP6077303B2 公开(公告)日 2017-02-08
申请人 タト エ リル アングルディアント フランス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ; 发明人 ティエリ ナイエ; アレクサンドラ エイネルハント; ミシェル ロペス; スーザン エム.ポッター; マガリ ルモー−シメオン; ピエール フレデリック エマニュエル モンサン;
摘要
权利要求

アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する、対象の健康を改善する組成物であって、当該オリゴデキストランが、平均分子量1kDa〜10kDaの直鎖状の骨格を含み、当該骨格が90%以上のアルファ-(1,6)-Dグルコピラノシド結合を有し、かつ当該オリゴデキストランが、10%〜50%のアルファ-(1,2)-配糖(osidic)側鎖を含み、当該アルファ-(1,2)-配糖(osidic)側鎖が、骨格全体にランダムに分布する、前記組成物。前記オリゴデキストランがプレバイオティク化合物(prebiotic compound)である、請求項1に記載の組成物。前記オリゴデキストランが、10%未満のアルファ-(1,4)-結合を有する、請求項1に記載の組成物。アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを対象に1日あたり0.1g〜40g提供するのに有効な量のアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する、対象の健康を改善する組成物であって、 当該オリゴデキストランが、平均分子量1kDa〜10kDaの直鎖状の骨格を含み、当該骨格が90%以上のアルファ-(1,6)-Dグルコピラノシド結合を有し、かつ当該オリゴデキストランが、10%〜50%のアルファ-(1,2)-配糖(osidic)側鎖を含み、当該アルファ-(1,2)-配糖(osidic)側鎖が、骨格全体にランダムに分布する、前記組成物。前記オリゴデキストランがプレバイオティク化合物である、請求項4に記載の組成物。前記プレバイオティク化合物が、前記対象の腸内生物叢に対して有益な効果を提供する、請求項5に記載の組成物。前記オリゴデキストランが、10%未満のアルファ-(1,4)-結合を有する、請求項4に記載の組成物。前記量が前記対象の健康に有益な効果をもたらすのに効果的であって、当該有益な効果が、腸の健康、体脂肪率の低下、体重増大の抑制、食物摂取の抑制、血糖反応の低下、グルコース耐性の増大、インスリン分泌の増大、GLP1分泌の増大、代謝症候群の予防又は処置、糖尿病の予防又は処置、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。前記量が前記対象の健康に有益な効果をもたらすのに効果的であって、当該有益な効果が、短鎖脂肪酸の生産の増大、消化器中のガス生産の減少、小腸の快適性の改善、消化器の機能不全の予防又は処置、有益な細菌の増殖又は活性化の刺激、病原性細菌の増殖の阻害、腹痛の緩和、炎症性腸疾患の予防又は処置、過敏性腸症候群の予防又は処置、鎮痛効果の提供、内臓痛の軽減、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。前記量が前記対象の健康に有益な効果をもたらすのに効果的であって、当該有益な効果が、コレステロール関連障害の予防又は処置、肥満の予防又は処置、プロピオン酸塩の生産の増大、血中トリグリセリドレベルの低下、脂肪量の低下、低密度リポタンパク質レベルの低下、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。前記組成物が、更に、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、サッカロマイケス(Saccharomyces)、及びこれらの組合せからなる群から選択されるプロバイオティク生物(probiotic organism)を含有する、請求項1に記載の組成物。前記組成物が、更に、難消化性マルトデキストリン、難消化性澱粉、ポリデキストロース、可溶性トウモロコシ(グルコ)繊維、イヌリン、フルクト-オリゴ糖類、繊維デキストリン、プルラン、ヘミセルロース、ガラクト-オリゴ糖類、アラビノキシラン-オリゴ糖類、ラクツロース、タガトース、プレバイオティク化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される食物繊維を更に含有する、請求項1に記載の組成物。前記組成物が食品であって、更に1つ以上の食品成分を含む、請求項1に記載の組成物。前記組成物が医薬組成物であって、更に1つ以上の医薬成分を含む、請求項1に記載の組成物。前記オリゴデキストランが、対象の大腸全体に到達することが出来る、請求項12に記載の組成物。前記化合物の分子量が大きくなるにつれて、及びアルファ-(1-2)分岐のパーセンテージが大きくなるにつれて、対象の体内での難消化性が増大する、請求項4に記載の組成物。前記量が前記対象の健康に有益な効果をもたらすのに効果的であって、当該有益な効果が、対象の体内でのガス生産量及び速度を低下させることにより、鼓脹及び膨満感を低下させることを含む、請求項4に記載の組成物。前記量が前記組成物の投与後24時間以内に前記対象の消化管内部に存在するビフィズス菌を増大させるのに効果的である、請求項4に記載の組成物。前記量が前記組成物の投与後24時間以内に前記対象の消化管内部の酢酸塩に対するプロピオン酸塩の生産の増大を引き起こすのに効果的である、請求項4に記載の組成物。前記量が前記組成物の投与後4週間以内に前記対象の体重増大を阻害するのに効果的である、請求項4に記載の組成物。前記量が前記組成物の投与後4週間以内に前記対象の消化管内部に存在するエンテロコッキ(Enterococci)を減少させるのに効果的である、請求項4に記載の組成物。前記量が前記組成物の投与後4週間以内に前記対象の消化管内部に存在するラクトバチリ(Lactobacilli)を増大させるのに効果的である、請求項4に記載の組成物。

说明书全文

関連する出願の相互参照 本出願は、2009年5月7日にされた米国特許出願第61/176,242号に基づく優先権を主張し、当該基礎出願は、その全部が、あらゆる目的で、本明細書中に参照により援用される。

本発明は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランに関する。具体的には、本発明の態様は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを使用して、対象の消化器及び心臓血管の健康を改善する組成物及び方法に関する。

プレバイオティクス(prebiotics)、例えばオリゴ糖類は、腸内生物叢の微生物により分解される、難消化性食品化合物である。プレバイオティクスの破壊は、宿主の健康に対して、有益な効果をもたらす。これらの有益な健康効果は、宿主に対して健康上の利益をもたらす微生物叢中の少数の微生物の属、種又は株、特に腸内叢のビフィズス菌及び乳酸菌の、増殖及び/又は生物活性の選択的な刺激による。プレバイオティクスは、健康な対象中の便及び粘液中のビフィズス菌を増大させることが示されている。オリゴ糖類は、ソフトドリンク、クッキー、シリアル、キャンディー、及び乳製品(dairy product)等の食品に広く使用されている。抗虫歯剤又は低甘味保湿剤等、オリゴ糖類の他の用途も開発されている。

プレバイオティクスの効果は、第一に、ビフィズス菌の増殖の選択的な刺激(別名ビフィドゲニック(bifidogenic))効果)及び/又は他の有益な腸内細菌の増殖の選択的な刺激による。かかる増殖の刺激は、大腸のpHの低下、短鎖脂肪酸の生産の増大、病原性微生物の増殖及び接着の防止(バリアー効果)、潜在的な癌原性アミノ化化合物の代謝の増大、及びビタミンBの生産を引き起こす。一方で、オリゴ糖類の短所は、炭化素発酵が増大すると、ガスの形成が引き起こされることである。これは、主要な副作用が、鼓脹、不快感及び膨満感であることを意味する。現在、最もよく知られるプレバイオティクスは、食物繊維に分類される炭水化物、すなわち難消化性オリゴ糖類(別名オリゴシド)である。オリゴ糖類は、重合度が低い。オリゴ糖類の形成に用いられる糖類単位は様々である。例えば、六炭糖、例えばグルコース、ガラクトース、及びフルクトース等、並びに五炭糖、例えばキシロース等が挙げられる。オリゴ糖類は、一種類の単糖で構成されてもよく(ホモオリゴシド)、又は複数の単糖の混成であってもよい(ヘテロオリゴシド)。オリゴ糖類は、現在、澱粉若しくはイヌリン糖の天然のポリマーの分解により、大豆等の天然の基質からの直接抽出により、又は化学合成若しくは酵素合成により生産される。

様々な健康問題に対する特定のプレバイオティクスの効果は解明されていない。偏った食生活との関連で、集団の大部分が、血中の脂肪値、具体的には血中コレステロール値の増大を示す。コレステロールのレベルの増大は、心臓血管障害の主要なリスク因子とみなされている。したがって、顕著に増大したコレステロール、具体的にはLDLコレステロールの増大、及び血中脂肪値の増大の治療的処置は、早急に必要とされる。当該問題の解決策として様々なアプローチが提案されている。しかし、コレステロール関連疾患又は問題に対する特定のプレバイオティクオリゴ糖類の効果は、知られていない。集団の大部分に対して顕著な効果を有する問題である内臓痛及び肥満(例えば脂質代謝)に対する、特定のプレバイオティクスの効果も不明である。

本発明は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する、対象の健康を改善するための組成物を提供する。例えば、本発明の一つの態様において、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの平均分子量は、約10キロダルトン(kDa)〜70kDaであって、約10%〜50%のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有する。

また、本願は、対象の健康を改善する方法をも提供し、当該方法は、当該対象の健康に有益な効果を及ぼすのに有効な量の、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物を、当該対象に投与する工程を含む。有益な効果として、例えば、腸の健康、小腸の快適性の改善、脂質含有量の低下、体重への影響、又は、消化器障害、糖尿病、肥満、若しくはコレステロール関連障害の予防若しくは処置等が挙げられる。

また、本発明は、サイズ及び分岐度が調整されたオキシデキストランを製造する方法を提供する。例えば、本発明の一つの態様において、当該方法は、(1)平均分子量が0.5〜100kDaのアルファ-(1,6)オリゴデキストランを調製する工程;当該アルファ-(1,6)オリゴデキストランに10%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を導入することにより、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを取得する工程;及び(3)任意で当該アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを精製する工程を含む。

上記一般的記載及び下記詳細な記載は例示であって、本発明を限定するものではないことを理解されたい。

図1は、4人の健康なドナーから回収された試料を、本発明の様々な態様に係る化合物を添加したpH調整便バッチ培養発酵に供して、0、10、24、36及び48時間時点における、ビフィズス菌、バクテロイド、ラクトバチルス、クロストリジウム、アトポビウム、ユーバクテリウム及びクロストリジウムクラスターIXの平均細菌数((Log

10cells/ml培養液)のレベルを図示している。

図1は、4人の健康なドナーから回収された試料を、本発明の様々な態様に係る化合物を添加したpH調整便バッチ培養発酵に供して、0、10、24、36及び48時間時点における、ビフィズス菌、バクテロイド、ラクトバチルス、クロストリジウム、アトポビウム、ユーバクテリウム及びクロストリジウムクラスターIXの平均細菌数((Log

10cells/ml培養液)のレベルを図示している。

図2は、本発明の様々な態様に係る化合物を添加したpH調整便バッチ培養発酵開始後0、10、24、36及び48時間時点における、短鎖脂肪酸、特に乳酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩の測定(mM)を図示する。

図2は、本発明の様々な態様に係る化合物を添加したpH調整便バッチ培養発酵開始後0、10、24、36及び48時間時点における、短鎖脂肪酸、特に乳酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩の測定(mM)を図示する。

図3は、本発明の様々な態様に係る化合物のpH調製バッチ培養発酵における、酢酸塩とプロピオン酸塩との比率を図示する。

図4A及び4Bは、本発明に係る化合物のインビトロ消化試験の結果を図示する。グラフは、分子量が調整された(1又は40kDa)、及び分岐度が調整された(分岐%:0、16又は32%)、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの消化プロフィールを表している。

図5は、本発明に係る化合物のガス生産実験の結果を表すグラフを図示する。

図6Aは、4週間の投与期間中の、本発明に係る化合物のラットの体重増加に及ぼす影響を図示する。図6Bは、ラットの直腸結腸の膨張の調査の結果に基づく、本発明に係る化合物の鎮痛作用を図示する。

図7は、ラットの腸内微生物叢に対する本発明に係る化合物の効果を図示する。

図8Aは、痩躯ドナー及び肥満ドナーにおける、本発明に係る化合物のガス生産速度に及ぼす影響を図示する。図8Bは、痩躯ドナー及び肥満ドナーにおける、イヌリン(対照として使用)のガス生産速度に及ぼす影響を図示する。

図9Aは、肥満ドナーにおける、本発明に係る化合物の投与後のC. ヒストリチクムのレベルを図示する。図9Bは、肥満ドナーにおける、本発明に係る化合物の投与後のF. プラウスニジイのレベルを図示する。

図10Aは、本発明の純粋α1,6構造の取得を助けるためのグルコースの追加を図示する。

図10Bは、スクロース/グルコースの比率を下げることにより、前記産物の多分散性の調整が可能となることを図示する。

図10Cは、グルコースを添加してスクロース:グルコースの比率を調整することにより、DP及びMWの分散プロフィールの観点から、所望の化合物の合成の調整が可能となることを図示する。

図11は、本発明に係る化合物の投与後の、高脂肪の食事のラットの体重増加に及ぼす影響を図示する。

図12は、本発明に係る化合物の投与後の、ラットのグルコース耐性を図示する。

本発明は、分岐オリゴデキストラン化合物及び当該化合物を含有する組成物を提供する。更に、本発明は、対象の健康、具体的には消化器の健康及び血中コレステロールレベルの調整に有益な効果を及ぼすのに有効な量のオリゴデキストラン化合物を対象に投与する工程を含む、対象の健康を改善する方法に関する。また、本発明は、サイズ及び分岐度が調整されたオリゴデキストランの製造方法を提供する。

「デキストラン」とは、グルコース単位で構成されるポリマーを指し、ポリグルコースとも称され、50%以上の連続的なアルファ1,6グルコシド結合を有する。長年の研究で、様々な構造及び分子量を有するものが知られている。デキストランは、スクロース基質上で増殖する乳酸菌;例えばロイコノストック(Leuconostoc)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ウェイセラ(Weisella)、及びラクトバチルス(Lactobacillus)等により生産される。それらの合成に関与する酵素は、グルカンを生産し、スクロース基質からフルクトースを放出する、グルカンスクラーゼである。本明細書中で使用されるとき、デキストラン、天然デキストラン、及び高分子量デキストランは、類義語である。しばしば、デキストランの平均分子量は、1000kDaを超える。

本明細書中で使用されるとき、「オリゴデキストラン」又は「アルファ-(1,6)オリゴデキストラン」は、オリゴグルコシドの平均分子量(通常3グルコース単位を下回る)と、天然デキストラン(通常1000kDaを超える)の平均分子量との間の平均分子量を有する。

本明細書中で使用されるとき、「アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン」という用語は、アルファ-(1,6)-結合により実質的に連結され、そしてアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有する、アルファ-D-グルコピラノシル単位の実質的に直鎖状の骨格を有するオリゴデキストランを意味する。前記アルファ-(1,6)-結合により実質的に連結される、アルファ-D-グルコピラノシル単位の実質的に直鎖状の骨格は、しばしば、本明細書中で、「骨格」又は「アクセプター」と称される。

本明細書中で使用されるとき、「グルコース」及び「グルコピラノース」という用語は、類義語とみなされ、区別されずに使用される点に留意されたい。同様に、本明細書中で使用されるとき、「グルコシル」および「グルコピラノシル」という用語は、類義語とみなされ、区別されずに使用される。

本明細書中で使用されるとき、「イソマルトオリゴ糖類」という用語は、グルコシド結合により連結したグルコースモノマーで構成される化合物を意味し、当該化合物は、アルファ-アミラーゼ、プルラナーゼ、及びベータアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼが、コーンスターチ又は澱粉誘導体産物と、酵素的に反応することにより、商業的に生産することが出来る。市販の産物は、イソマルトオリゴ糖類(DPが2〜8、例えばイソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、イソマルトヘキサオース、イソマルトヘプタオース、イソマルトオクタオース)、及びグルコース、並びにアルファ1-4及び1-6結合のいずれも含むグルコオリゴ糖類(例えばパノース)の混合物である。

「平均分子量」という用語は、各巨大分子の通常の算術平均(ordinary arithmetic mean)又は平均(average)を意味する。平均分子量は、n個のポリマー分子の分子量を測定して、当該分子量を足し合わせて、これをnで割って導き出される。数平均分子量は、ポリマーの分子量を決定する手段の一つである。ポリマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー、粘度測定、及び束一的な手段、例えば蒸気圧オスモメトリー(vapor pressure osmometry)又はエンドグループ滴定により決定することが出来る。

本明細書中で使用されるとき、「分子量が調整された」という語句は、本発明に従って、オリゴデキストラン化合物の長さ、つまり分子の質量又は分子量を、調整又はコントロールすることが出来ることを示す。「分岐度」(degree of branching)という語句は、分子中に存在するグルコース単位の総数の内、アルファ-(1,2)-位でグルコース単位と結合しているものの数を、パーセンテージで表すことを意味する。故に、分岐度は、骨格中ではなく、分子全体でのアルファ-(1,2)-位で結合するグルコース単位のパーセンテージを意味する。「分岐度が調整された」とは、本発明の方法に従い、グルコース単位の数を、調節又は調整出来ることを意味する。

「本発明に係る化合物」、「分岐オリゴデキストラン」及び「アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン」は、本明細書中で、類義語として使用される。好ましい態様において、そのようなアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランは、実質的にアルファ-(1,6)-結合により連結された、直鎖状の、又は実質的に直鎖状の、アルファ-D-グルコピラノシル単位を含み、かつアルファ-(1,2)-配糖側鎖、好ましくは1個又は2個以上のグルコース単位の鎖を有する、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランである。

好ましい態様において、本発明は、オリゴデキストラン化合物に関し、ここで、アルファ-(1,2)-配糖側鎖が、1個、2個、又は3個のグルコース単位、好ましくは1個のグルコース単位を含む。例えば、単一のグルコース単位が、オリゴデキストランの骨格に結合して、分岐化合物を形成する。本文中、「アルファ-(1,2)-配糖側鎖」という用語は、好ましくは、直鎖状の骨格のグルコース単位に、アルファ-(1,2)-結合により連結した、1つ以上のグルコース単位を意味する。

下記で更に詳述するように、本発明の一つの側面は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する、対象の健康を改善するための組成物の提供である。一つの態様において、前記オリゴデキストランは、プレバイオティク化合物(prebiotic compound)である。本発明に係るオリゴデキストランは、好ましくは、10%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を含み、アルファ-(1,6)-結合により連結した2つ以上のアルファ-D-グルコピラノシル単位を含む、実質的に直鎖状の骨格を含む。前記実質的に直鎖状の骨格は、好ましくは、90%以上のアルファ-(1,6)-D-グルコピラノシド結合を含む。アルファ-(1,6)-結合を含む骨格は、好ましくは、10%〜50%のアルファ-(1,2)-配糖側鎖、及び10%未満のアルファ-(1,4)-結合を含む。好ましくは、分子あたり1つ以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖が存在する。これらの骨格へのアルファ-(1,2)-配糖側鎖の付加は、分岐度に従って、平均分子量を増大させる。

前記アルファ-(1,2)-配糖側鎖は、本発明のオリゴデキストランの骨格全体にランダムに分布し、又は当該骨格の特定の領域、例えば当該骨格の末端等に提供されてもよい。好ましい態様において、前記アルファ-(1,2)-配糖側鎖は、オリゴデキストランの骨格全体にランダムに分布している。

好ましくは、本発明に係る分岐オリゴデキストランの平均分子量は、オリゴグルコシドの平均分子量、一般に1kDa未満から、天然デキストランの平均分子量、一般に1000kDaまでの間の範囲にある。例えば、アルファ-(1,6)-結合を含む骨格は、好ましくは、平均分子量が、0.5kDa〜100kDa、又は1kDa〜70kDa、又は1kDa〜10kDaである。好ましい態様において、骨格の平均分子量は、0.5kDa以上、又は1kDa以上、又は10kDa以上、又は40kDa以上、又は70kDa以上である。本発明に係るアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの平均分子量は、アルファ-(1-2)結合残基の追加により増大する。従って、分子量の変化は、分岐度、及び側鎖中に存在する単位(例えばグルコース単位)の総数と直接関連している。例えば、前記骨格の平均分子量の範囲は約0.5kDa〜約100kDaであって、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの平均分子量の範囲は、約0.60kDa(例えば10%の分岐を有する約0.5kDaの骨格)〜約170kDa(例えば、約40%の分岐を有する約100kDaの骨格)である。アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの他の好ましい例は、実施例の項目に挙げる。

好ましい態様において、本発明に係るアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランは、2つ以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有し、10%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖の分岐度を有し、例えば15%以上、又は20%以上、又は25%以上、又は30%以上、又は35%以上、又は40%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有する。より好ましくは、前記分岐レベルは、約10%〜40%、そして最も好ましくは、約15%、16%、18%、31%、32%、33%又は37%である。

他の好ましい態様において、本発明に係るアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランは、10%未満、好ましくは5%未満のアルファ-(1,4)-結合を有し、そしてより好ましくは、実質的にアルファ-(1,4)-結合を有しない。この態様の利点は、本発明に係る化合物中で容易に加水分解する結合の割合が低下することである。故に、当該化合物は、消化性に乏しく、ほぼ無傷の状態で腸の下方に達することが可能なため、局所的な微生物叢に最大の効果をもたらすことが出来る。

更に他の態様において、前記分岐オリゴデキストランの骨格は、実質的にアルファ-(1,6)-結合により連結した、3つ以上、例えば4つ以上、5つ以上、又は6つ以上のアルファ-D-グルコピラノシル単位を含む。他の態様において、前記骨格は、6〜12個、又は6〜10個のアルファ-D-グルコピラノシル単位を含む。他の態様において、オリゴテキストランの骨格は、100〜1000個のアルファ-D-グルコピラノシル単位を含む。本発明に係るオリゴデキストラン化合物は、実質的にアルファ-(1,6)-結合により連結したアルファ-D-グルコピラノシル単位の直鎖状又は実質的に直鎖状の骨格を含み、アルファ-(1,2)-配糖側鎖を有する。

「実質的にアルファ-(1,6)-結合により連結した」とは、直鎖状の骨格中の殆どのグルコース単位が、互いにアルファ-(1,6)-結合により連結していることを示す。

好ましい態様において、前記化合物の直鎖状の骨格中のグルコース単位の90%以上;92%以上;95%以上;又は97%以上が、当該直鎖状骨格中で、互いに、アルファ-(1,6)-結合により連結している。従って、他の態様において、前記オリゴデキストランは、90%以上;92%以上;95%以上;又は97%以上のアルファ-(1,6)-グルコピラノシド結合を有する直鎖状の骨格を含む。また、本発明は、前記直鎖状の骨格中のグルコース単位の10%未満、又は5%未満がアルファ-(1,4)-結合で互いに連結している、分岐オリゴデキストラン化合物を提供する。

好ましい態様において、前記オリゴデキストラン骨格は、実質的にアルファ-D(l,6)-結合により連結した、2つ以上のアルファ-D-グルコピラノシル単位、好ましくは3〜600個のアルファ-D-グルコピラノシル単位、そしてより好ましくは6〜10個のアルファ-D-グルコピラノシル単位を含む。他の態様において、前記直鎖状骨格は、90%以上のアルファ-(1,6)-グルコピラノシド結合を含む。

他の側面において、本発明は、上記の化合物、好ましくはサイズ及び分岐度が調整された上記の化合物を製造する方法を提供する。発明者らは、目的の分子量及び分岐度を有するアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを合成する方法を見出した。この方法に従い、様々な分子量及び分岐度を有する広範なオリゴデキストランを調製することができる。特に、発明者らは、グルコース単位を含む骨格上に、アルファ-(1,2)-枝を埋め込む手段を樹立した。当該グルコース単位を含む骨格は、好ましくは、直鎖状、又は実質的に直鎖状のオリゴデキストランであって、平均分子量は、0.5〜70kDaである。

従って、本発明の他の側面は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを調製する方法を提供し、当該方法は、適切な分子量のオリゴ糖類、好ましくはオリゴデキストランを提供する工程、及び当該オリゴデキストランにアルファ-(1,2)-配糖側鎖を導入する工程を含む。任意で、前記方法は、望ましくない副産物、例えばフルクトース、グルコース、ロイクロース、コジビオース及び/又は残留スクロース等の、前記製造方法の過程で得られた副産物を除去する精製工程を含む。

好ましい態様において、サイズ及び分岐度が調整されたオリゴデキストランを製造する前記方法は、(1)平均分子量0.5〜100kDaのアルファ-(1,6)オリゴデキストランを提供する工程;(2)工程(1)で取得したアルファ-(1,6)オリゴデキストランに、10%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を導入する工程;及び(3)任意で、当該アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを精製して、当該方法の過程で生じた望ましくない副産物を除去する工程を含む。

好ましい態様において、工程(1)は、(1a)グルコースを含む出発材料を、酵素的トランスグルコシル化反応に付して、イソマルトオリゴ糖類(IMOS)を取得する小工程、及び(1b)当該IMOSを、スクロースの存在下でグルカンスクラーゼと反応させることにより、アルファ-(1,6)オリゴデキストランを取得する小工程を含む。一つの態様において、(1a)及び(1b)は、単一の工程で実施される。前記グルコースを含む出発材料は、例えば、デキストラン、澱粉、グルコース蜜、デキストロース、又はマルトース蜜であってもよい。

一般に、IMOSは、マルトース蜜を基質として、これをトランスグルコシル化することにより酵素的に生産される。当該マルトース蜜は、触媒として、アルファ-アミラーゼ、プルラナーゼ、ベータ-アミラーゼ及び/又はアルファ-グルコシダーゼを使用して生産することが出来る。従って、本発明において、トランスグルコシル化によりしゅとくされたIMOSは、精製プロセスを経ずに直接使用することが出来る。一方、他のアルファ-(1,6)オリゴデキストランは、典型的には、スクロース基質由来の高分子量デキストランの部分的な加水分解及び分画により製造される。分岐の前に、これらの産物は、残留フルクトースを排除するために、精製しなければならない。工程(1)において提供されたオリゴデキストランは、好ましくは、直鎖状、又は実質的に直鎖状の骨格を有する。より好ましくは、前記オリゴデキストランは、90%以上のアルファ-(1,6)-D-グルコピラノシド結合、より好ましくは92%、95%、又は97%以上のアルファ-(1,6)-D-グルコピラノシド結合を含むグリコシド骨格を有する。

他の態様において、工程(1)で提供されるオリゴデキストランの分子量は0.5〜100kDa;例えば1〜70kDa、又は1〜40kDaである。更に他の態様において、工程(1)で提供されるオリゴデキストランの平均分子量は、0.5〜10kDaである。尚も他の態様において、工程(1)で提供されるオリゴデキストランの平均分子量は、0.5kDa以上、又は1kDa以上、又は70kDa以上である。工程(2)で提供されるオリゴデキストランの平均分子量は、アルファ-(1-2)結合残基の付加のため、増大する。故に、分子量の変化は、分岐度、及び側鎖中に存在する単位(例えばグルコース単位)の総数に直接関連している。例えば、工程(1)において生産される骨格の平均分子量の範囲は、約0.5kDa〜約100kDaであって、アルファ1,2アルファ1,6オリゴデキストランの平均分子量の範囲は、約0.60kDa〜約170kDaである。

工程(1)で提供されるオリゴデキストランは、様々な出発材料から調製することができる。一つの態様において、工程(1)で提供されるオリゴデキストランは、デキストランから取得することが出来る。使用されるデキストランは、任意の適切なデキストラン;天然、合成又は部分的に加水分解されたものであってもよい。一例において、高分子量の天然デキストラン、即ち105kDa超の分子量のデキストランを、選択された分子量のオリゴデキストランを提供するのに使用することが出来る。高分子量デキストランは、例えばロイコノストック属(Leuconostoc spp.)等の微生物から取得することが出来る。このプロセスは、当該技術分野で周知である。要するに、高分子量の天然デキストランを加水分解して、様々な分子量のオリゴデキストランを提供する技術である。加水分解された組成物は分画されて、様々な分子量のオリゴデキストランフラクションが提供され、これらのフラクションは、精製される。このプロセスにより得られたオリゴデキストランは公知であって、市販されている。

尚も他の態様において、澱粉が、オリゴデキストランの出発材料として使用されてもよい。澱粉は廉価かつありふれた出発材料である。潜在的には、100%が、マルトース蜜等の加水分解産物に転換され得る。尚も他の態様において、マルトース蜜が、オリゴデキストラン調製のための出発材料として使用されてもよい。

他の態様において、工程(2)で使用するために工程(1)で提供されるアルファ-(1,6)オリゴデキストランは、グルカンスクラーゼを提供出来る微生物により生産されてもよい。スクロース基質に対するグルカンスクラーゼの作用は、典型的には105kDa超の分子量を有するポリマーを提供する。

尚も他の態様において、工程(2)で使用するために工程(1)で提供されるアルファ-(1,6)オリゴデキストランは、所望の分子量のオリゴデキストランを直接提供する合成プロセスにより取得できる。例えば、改変デキストランスクラーゼを生産出来るロイコノストック属(Leuconostoc spp.)等の改変微生物を用いて実行可能である。適切なデキストランスクラーゼとして、WO2007/091178(本明細書中に参照により援用される)に記載のように取得されるデキストランスクラーゼDSR-Sの変異体が挙げられる。これらのグルカンスクラーゼの突然変異体は、一工程でスクロースからサイズが調整されたデキストランを合成する。

上記方法を参照して、グルコースを含む出発材料が、上記方法の小工程(1a)において使用されてもよく、当該材料は、澱粉又は他の材料、例えばデキストラン若しくはマルトース蜜等を含んでもよい。好ましい態様において、澱粉は、上記方法の小工程(1a)において、出発材料として使用される。最大で100%が、マルトースやマルトース蜜等の加水分解産物に変換されてもよい。トランスグルコシダーゼにより触媒されるトランスグルコシル化反応は、マルトースをイソマルトオリゴ糖類(IMOS)に変換し、主に、重合度(DP)は2〜5であって、例えばイソマルトース、パントース、イソパントース及びイソマルトトリオース等である。

上記方法において、IMOSは、スクロース及びグルカンスクラーゼと共に、アクセプターとして使用出来る。これは、IMOSの延長を引き起こす。IMOSの骨格は、グルコース単位により延長され、オリゴデキストランが形成される。この工程において使用されるグルカンスクラーゼは、好ましくは、アルファ-(1,6)結合の形成を触媒する。本発明に係る小工程(1b)で使用出来るグルカンスクラーゼは当該技術分野で公知であるから、本明細書中で詳細を開示しない。適切な例として、例えば、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)B512F、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)B1299、及び/又はロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)B742由来のグルカンスクラーゼが挙げられる。

本発明に係る方法の具体的な態様において、マルトース蜜が出発材料として使用される場合、好ましくは、当該材料は、本明細書中に記載されるように、小工程(1a)及び(1b)に付される。

他の態様において、工程(1)は、スクロースをグルカンスクラーゼと反応させることにより、アルファ-(1,6)オリゴデキストランを取得する工程を含む。好ましい態様において、工程(1)は、グルコースの存在下でスクロースをグルカンスクラーゼと反応させることにより、アルファ-(1,6)オリゴデキストランを取得する工程を含む。発明者らは、これが、分子量が調整された、即ち特定のMW値に集中する所望の骨格を直接合成することを可能とすることを見出した。発明者らは、サイズが調整された骨格を、反応媒体中で、スクロースに大量のグルコースを添加することにより生産出来ることを見出した。従って、スクロースはドナーであって、グルコースはアクセプターとして振る舞う(この反応を「アクセプターによる合成」と称する)。グルコースアクセプターの追加は、構造中のα-1,6結合の量を増大させて、より純粋なIMOS型の産物をもたらす。即ち、グルコースの追加は、純粋なα-1,6構造の取得を補助する(図10A参照)。

他の好ましい態様において、工程(1)は、更に、スクロース:グルコースの比率を調整することにより、アルファ-(1,6)オリゴデキストランのDPプロフィールを調整する小工程を含む。ドナー/アクセプターの比率を低下させると、生産物の多分散性をコントロールすることが可能となり;例えば、ドナー:アクセプターの比率が10である場合、重合度は大幅に高く、この比率を6に、そして更に2に下げると、高重合度の化合物の合成は制限される(図10B参照)。グルコースを添加してドナー:アクセプターの比率を調整することで、DP及びMWの分布プロフィールの側面において望ましい化合物の合成をコントロールすることが可能となる。(図10C参照)。

工程(2)において、追加されたグルコース単位は、オリゴ糖類又はオリゴデキストラン骨格と結合する。それらはアルファ-(1,2)-位で骨格のグルコース単位と結合して、アルファ-(1,2)-枝を形成する。得られる化合物は、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランである。枝は、典型的には、骨格中にランダムに分布する。

好ましい態様において、本発明の方法は、15%、20%、25%、30%、35%又は40%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖が、オリゴデキストラン骨格に導入され、又は埋め込まれる。この工程は、消化性や発酵性をコントロールした化合物を取得する調整プロセスを有利に実現する。

好ましい態様において、工程(2)は、スクロースの存在下、適切なグルカンスクラーゼを用いて、アルファ-(1,6)オリゴデキストラン上に、アルファ-(1,2)-配糖側鎖、好ましくは1つ以上のグルコピラノシル(グルコース)単位を導入することにより、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを取得する工程を含む。この態様において、工程(2)は、スクロースの存在下、グルカンスクラーゼ(好ましくはトランスグルコシダーゼGBD-CD2)と、アルファ-(1,6)オリゴデキストランを反応させる工程を含む。

本発明の工程(2)において使用出来るグルカンスクラーゼは当該技術分野で公知であるから、本明細書中で詳細を記載しない。一例として、てきせつなグルカンスクラーゼとして、天然のL. メセンテロイデス(L. mesenteroides)NRRL B-1299株により生産されたデキストランスクラーゼDSR-Eが挙げられる。他の例として、工程(2)で使用される適切なグルカンスクラーゼは、WO 02/074943、FR2822162及びFR 2822163に記載されており、これらの文献は本明細書中に参照により援用される。DSR-E及び/又はGBD-CD2が、グルカンスクラーゼとして好ましい。一般に、B-1299株により生産されるグルカンスクラーゼ、又はGBD-CD2が、アルファ1,2結合を形成出来る。

発明者らは、1つ又は反復してアルファ-(1,6)-グルコース部分を有する構造において、グルカンスクラーゼの親和性がマルトースよりも高いことを見出した。従って、マルトースに代えてIMOSを使用する工程(2)の反応は、時間及び収量において改善されている。

他の態様において、本発明は、工程(2)において用いられるアクセプター/スクロースの比率、特にIMOSとスクロースの比率を調整することにより、前記化合物の分岐度を、好ましくは分岐度を10%〜40%にコントロール出来る方法を提供する。従って、他の態様において、本発明は、工程(2)において用いられるIMOSとスクロースの比率が調整される方法に関する。

一例として、本発明のアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン化合物の合成は、トランスグルコシダーゼGBD-CD2を用いて実施される。この酵素を使用することにより、アルファ-(1,2)-分岐の量をコントロール出来る。GBD-CD2は、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B-1299により天然に生産されるグルカンスクラーゼDSR-Eを改変したアルファ-(1,2)トランスグルコシダーゼである。この酵素は、スクロースから、アルファ-1,6デキストラン鎖に、グリコシル部分のアルファ-(1,2)-トランスグルコシル化を触媒する。加水分解及びトランスグルコシル化は、スクロース及びアクセプターのオリゴデキストランの存在下、前記プロセスの早期の工程で起こる場合もあり、ここで、工程(1)で得られたオリゴデキストランは、選択された分子量であってもよい。発明者らは、合成されたアルファ-(1,2)枝の量、又は分岐度が、工程(2)で用いられたスクロースとアルファ-(1,6)オリゴデキストランの比率に依存していることを見出した。分子量及び分岐度をコントロールしたアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランは、工程(2)で使用されたスクロースとオリゴデキストランの比率を調整することにより取得出来る。一例において、分岐度は、13〜40%であってもよい。下記実施例で示すように、好ましい態様において、スクロース:アルファ-(1,6)オリゴデキストランのモル比は、約0.10〜5.00で、アルファ-(1,2)結合のパーセンテージ(即ち分岐度)は、約10%〜50%で;より好ましくは、スクロース:アルファ-(1,6)オリゴデキストランの比率は、約0.90〜1.00で、アルファ-(1,2)結合のパーセンテージ(即ち分岐度)は、約30%〜40%である。

工程(1)において、所望の分子量のオリゴデキストランを直接合成出来る酵素を使用し、続いて工程(2)において、直鎖状の骨格上に所望の量のアルファ-(1,2)枝を導入出来る酵素を使用することは、有利である。なぜなら、具体的な要望に応じて、例えば特定の性能又は使用を狙って、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン化合物のライブラリーを構築し得るからである。

一例において、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランは、工WO2007/091178(本明細書中に参照により援用される)に記載のデキストランスクラーゼDSR-Sの変異体を使用する工程(1)、続いてWO 02/074943 (本明細書中に参照により援用される)に記載の酵素GBD-CD2を使用する工程(2)を含むプロセスにより取得される。

任意で、本発明に係る方法は、更に、望まれない副産物を除去するための精製工程を含む。当該任意的な精製工程は、濾過によるアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの精製を含んでもよく、ここで、濾過されたオリゴデキストランの平均分子量は、約0.5〜100kDaである。反応媒体からのフルクトースの除去は、当該技術分野の現状の技術に基づいて実施出来る。例えば、70kDaを中心とする化合物を単離するのに超遠心を使用出来、任意の種類のレジンを用いてのクロマトグラフィーによる分離は、0.5及び/又は1及び/又10kDaのアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを単離するのに使用出来る。イオン交換樹脂を使用してもよく、例えばカルシウム及び/又はカリウムが交換可能な対イオンであるカチオン性樹脂等が挙げられる。

他の側面において、本発明は、本明細書中に記載の分岐オリゴデキストラン化合物を含有する組成物を提供する。上記の方法を用いて、アルファ-(1,2)-結合の量及び分岐オリゴデキストランの分子量の両方をコントロールできる。これは、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランのテイラーメイド製造において有利である。本明細書中に記載のプロセスを利用して、多くの種類のアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン化合物が合成出来、このことは新規組成物の創作に繋がる。下記でより詳細に示すように、本発明の他の側面は、対象の健康に有益な効果を及ぼすのに有効な量の、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物を、当該対象に投与する工程を含む、対象の健康を改善する方法を提供する。一つの態様において、前記オリゴデキストランは、対象の腸内微生物叢に有益な効果をもたらすプレバイオティック化合物である。本発明のオリゴデキストランの有益な効果は、例えば腸の健康、鎮痛作用(例えば小腸の快適性の改善)、脂質含有量(例えば脂肪量)の低下、体重への影響(例えば体重の増大)、又は、消化器障害、糖尿病、若しくはそれらの兆候の予防若しくは処置等が挙げられる。そのような有益な効果の例として、短鎖脂肪酸の生産の増大、消化器中のガス生産の減少、ビフィズス菌等の有益な腸内細菌の増殖若しくは活性の刺激、腹痛の緩和、及びそれらの組合せが挙げられる。本発明のオリゴデキストランの他の有益な効果として、例えば、コレステロール関連障害、又はその兆候の予防又は処置が挙げられる。そのような有益な効果の例として、プロピオン酸塩の生産の増大、血中トリグリセリドレベルの低下、低密度リポタンパク質レベルの低下、及びこれらの組合せが挙げられる。

本発明の一つの側面において、前記組成物は、更に、プロバイオティク生物(probiotic organism)、例えばラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エスケリキア(Escherichia)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、サッカロマイケス(Saccharomyces)、及びそれらの組合せを含む。本発明の他の側面において、前記組成物は、更に、食物繊維、例えば難消化性マルトデキストリン、繊維デキストリン、ポリデキストロース、イヌリン、IMOS、直鎖及び分岐デキストラン、プララン、ヘミセルロース、並びにそれらの組合せを含む。

本明細書中で定義する分岐オリゴデキストラン化合物は、適切な組成物に製剤化されてもよい。文中で「組成物」という用語は、例えば、栄養又は食品組成物、例えば食品生産物、食品添加物、又は機能性食品等を含んでもよい。また、医薬的に使用される組成物を含む場合もある。本明細書中で使用されるとき、「食品」という用語は、ヒトの食用と共に、動物の食用の食品を包含することを意図する。「機能性食品」は、栄養分供給の通常の栄養機能を超えて、健康増進及び/又は疾患予防及び/又は疾患軽減能を有すると主張される、生の、又は加工した食品を意味する。機能性食品として、例えば、健康増進添加物により栄養を強化した加工食品が挙げられる。機能性食品の例として、ビタミンにより強化した食品、又は生菌により発酵させた食品が挙げられる。

本発明に係る組成物は、更に、水若しくは他の水溶液、脂肪、糖、澱粉、結合剤、増粘剤、着色料、香料、着臭剤、酸味剤(乳酸又はリンゴ酸等)、安定化剤、高強度甘味料、又はミネラルオイル等の、栄養組成物中の含有物として当該技術分野で公知の他の材料を含有してもよい。適切な食品生産物の例として、パン、朝食シリアル、ビスケット、ケーキ、クッキー、クラッカー、ヨーグルト、ケフィア、味噌、納豆、テンペ、キムチ、ザウアークラウト、水、ミルク、果物ジュース、野菜ジュース、炭酸清涼飲料、無炭酸清涼飲料、コーヒー、茶、ビール、ワイン、酒、アルコール飲料、軽食、スープ、氷菓、揚げ物、ピザ、パスタ製品、ジャガイモ製品、米製品、トウモロコシ製品、麦製品、乳製品(dairy product)、ハードキャンディー、栄養バー、シリアル、パン生地(dough)、加工肉及びチーズ、ヨーグルト、アイスクリーム菓子、ミルクベース飲料、サラダドレッシング、ソース、トッピング、デザート、製菓製品、シリアルベース軽食バー、惣菜(prepared dish)等が挙げられる。

本発明に係る組成物は、必要に応じて、他の食物繊維を含有する場合もある。例えば、組成物は、不溶性及び水溶性の繊維等の、他の多糖類を含有してもよい。「食物繊維」は、一般に、消化器系を通して食物を移動させ、水を吸収し、そして便通を良くする、植物食品の実質的に難消化性の成分を意味し、合成により製造された繊維、及び植物若しくは天然の供給源に由来するものが含まれる。

幾つかの定義によると、「食物繊維」は、10個以上のモノマー単位を有する糖質ポリマー(場合によっては3〜9個のモノマー単位を有する糖質)であって、ヒトの小腸中の内在酵素により加水分解されず、以下のカテゴリー:(1)食用として食品中に天然に存在する可食糖質ポリマー、又は物理的、酵素的若しくは化学的手段により生の食物材料から取得され、かつ一般的に受け入れられる化学的証拠により、健康上の利益が実証されている糖質ポリマー、及び/又は(2)一般的に受け入れられる化学的証拠により、健康上の利益が実証されている合成糖質ポリマーに属するものを指す。

食物繊維は、セルロース、又は他の多くの植物成分、例えばデキストリン、イヌリン、リグニン、キチン、ペクチン、ベータ-グルカン、フルクトオリゴ糖類、難消化性澱粉、可溶性トウモロコシ(グルコ)繊維、ポリデキストロース、並びにゴム、例えばグアー、イナゴマメ、キサンタン又はプルランゴム等の非澱粉多糖類で構成されてもよい。幾つかの食物繊維は、コレステロール及びグルコースレベルに対して有益な効果を有することが知られている。可溶性及び不溶性繊維の適切な供給源は、市販されている。

適切な繊維の一例は、イヌリン又はその加水分解産物である。イヌリンは、天然の抽出物の形態で提供され、ヒトの食用に適している。適切なイヌリン抽出物は、商標「Raftiline」が使用され、Orafti NV, Belgiumから入手し得るものであってもよい。例えば、イヌリンは、約90〜94重量%のイヌリン、約4重量%以下のグルコース及びフルクトース、並びに約4〜9重量%のスクロースを含有する白色の微粉であるRaftiline(商標)STの形態で提供されてもよい。イヌリンの平均重合度は、約10〜約12である。イヌリンの加水分解産物は、1-ケトース(GF2)、ニストース(GF3)、及び1F-フルクトフラノシルニストース(GF4)を含むフルクトースオリゴマーの形態のフルクトオリゴ糖類であって、ここで、フルクトシル単位(F)は、スクロース(GF)と、それぞれベータ-(2,1)結合により連結する。前記フルクトオリゴ糖類は例えば、商標「Raftilose」が使用され、Orafti NV, Belgiumから入手し得るものであってもよい。好ましい態様において、イヌリン抽出物は、Sensus社から取得される。好ましいSensus社の製品として、Frutafit(登録商標)HD及びFrutafit(登録商標)TEX!が挙げられる。Frutafit(登録商標)HDは短鎖イヌリン(約8〜13モノマー単位)であって、Frutafit(登録商標)TEX!は長鎖イヌリン(22モノマー超)である。本明細書中の実施例及び図において、それらはイヌリン(即ち短鎖)又はイヌリンTEX(即ち長鎖)と記載する。

好ましい態様において、本発明に係る組成物において、繊維材料が2つ以上であってもよい。より好ましい態様において、第一の繊維材料が本発明のアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)デキストランで、第二の繊維材料が、難消化性マルトデキストリン、ポリデキストロース、可溶性トウモロコシ(グルコ)繊維、繊維デキストリン、プルラン、難消化性澱粉、イヌリン、フルクトオリゴ糖類、ガラクト-オリゴ糖類、ヘミセルロース及びフルクトースオリゴマー蜜又はラクツロース又は他のいずれかのプレバイオティク化合物(例えばラクツロース及びタガトース等のプレバイオティク二糖類を含む)からなる群から選択される、オリゴ又は多糖類である。ある繊維材料とアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを組み合わせると、対象の消化器のより広範な部分にプレバイオティク化合物が行き渡るため、小腸の最初の部分だけでなく、大腸全体において、プレバイオティクが発酵する。当該異なる化合物の比率を変化させることにより、大腸の近位から、中間、遠位にまで、発酵部位を広げることが、潜在的に可能である。従って、有益な効果は、大腸全体に渡る対象の腸内微生物叢の生態に及ぶ。可溶性及び不溶性の繊維が使用される場合、可溶性繊維と不溶性繊維の重量比は、好ましくは、約1:4から約4:1;より好ましくは約1:1〜約2:1である。

前記栄養組成物が食品生産物又は栄養製剤の形態である場合、当該栄養組成物は、タンパク質材料、脂質材料及び/又は糖質材料を含有してもよい。これらの材料は、必要に応じて選択され、当該技術分野で周知のものであってもよい。本発明に係る組成物は、代替として、ビタミン及びミネラルのプロフィール、又は高強度/効力の甘味料を含有してもよい。例えば、充分なビタミン及びミネラルは、ビタミン及びミネラルの、前記栄養組成物1000カロリーあたりの推奨許容量の約25%〜250%を摂取できるように提供されてもよい。本明細書中に定義される化合物及び組成物は、プレバイオティクスとして、又は、後述のように、プロバイオティクスと組み合わせて使用されるときは「シンバイオティクス」として使用出来る。「プレバイオティクス」は、消化管内部、特に大腸内部の1つ又は限定的な数の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することにより、対象に有益な効果を及ぼして、宿主の健康を改善する、食品成分を意味する。プレバイオティクスの例として、フルクトオリゴ糖類、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性澱粉、可溶性トウモロコシ(グルコ)繊維、グルコオリゴ糖類、及びガラクトオリゴ糖類、アラビノキシランオリゴ糖類、及びラクツロースが挙げられる。

他の態様において、本発明に係る組成物は、更に、プロバイオティク生物を含む。「プロバイオティク生物」(probiotic organism)とは、消化管内部で、それらの機能により対象に有益な効果を提供する、生きている微生物の食品添加物を意味する。効果的であるために、プロバイオティク生物は消化条件下で生存が可能で、かつ、対象に害を成すこと無く、少なくとも一時的に、消化管にコロニーを形成することが出来なければならない。微生物の中で、特定の株のみ、これらの特徴を有する。好ましくは、プロバイオティク生物は、ラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium spp.)、バチルス属(Bacillus spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、エスケリキア属(Escherichia spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)、及びサッカロマイケス属(Saccharomyces spp.)からなる群から選択される。特定の微生物として、限定されないが、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ケレウス(Bacillus cereus)、ビフィドバクテリウム・ビフィクム(Bifidobacterium bificum)、ビフィドバクテリウム・ブレウェ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)、エンテロコッカス・ファエキウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ファエキウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ストレプトコッカス・ファエキウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・ジアケティラクトゥス(Streptococcus diacetilactus)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus)、サッカロマイケス・ボウラルディイ(Saccharomyces boulardii.)、トルロプシア(Torulopsia)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、及び他のストレプトマイケス(Streptomyces)が挙げられ、それらの栄養胞子、非栄養胞子(バチルス)、及び合成誘導体を含む。本発明においてより好ましいプロバイオティク生物として、限定されないが、以下の3つの細菌属:ラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)及びサッカロマイケス(Saccharomyces)のメンバーが挙げられる。好ましい態様において、前記プロバイオティク生物は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)である。

前記プロバイオティク生物は、内部で当該プロバイオティクスが生存可能な水又は他の液体若しくは半固体媒体中の培養物として、前記組成物中に包含される。他の技術において、前記プロバイオティク生物を含む凍結乾燥粉末が、混合又はブレンドにより、粒子状材料、又は液体若しくは半固体材料中に包含されてもよい。

好ましい態様において、前記組成物は、10gあたり細胞1000個以上、好ましくは10gあたり細胞10000個以上、より好ましくは10gあたり細胞100000個以上、最も好ましくは10gあたり細胞10000000個以上を含む。プロバイオティク生物の細胞数についての記載は、いずれも生細胞を意図しているものと理解されたい。組成物において、2つ以上のプロバイオティク生物が使用されてもよい。

本発明に係るオリゴデキストラン及びそれらを含有する組成物の発酵性は緩慢である。そのため、ガスの生産量が少なく、漸進的であり、ゆえに、それに関連する症状を低減する。イヌリンは迅速かつ高度のガス生産を助長するが、本発明のオリゴデキストランのガス放出は、イヌリンの場合よりも漸進的で低度である。例えば、実施例10並びに実施例8A及び8Bを参照されたい。鼓張及び膨満感等の消化器の不快感のピークは早期に生じるが、ガス生産が漸進的かつ低度であれば、身体はより容易に対応することができる。

インビトロ消化データに基づき(例えば実施例4、図4A及び4B並びに実施例12参照)、本発明に係るオリゴデキストランは、アルファ1,2分岐により、少なくとも部分的には不消化性である。分岐のレベルが高くなるにつれて、化合物の難消化性が良好になり、そして分子が大きくなるにつれて、消化性は低下すると考えられている。分岐はヒト酵素による消化を阻害し、分子が大きい程、大腸中での発酵速度(即ち細菌による消化速度)は低下する。難消化性は、繊維の重要な特徴の一つである。本発明に係るオリゴデキストランは、この特徴に基づいて、繊維として分類することが出来る。

本発明に係る化合物を使用することにより、短鎖脂肪酸、特にプロピオン酸塩が生産されるようになる。プロピオン酸塩は、コレステロールを低下させることが知られている。そのため、本発明に係る化合物は、コレステロール値の増大のリスクを下げる可能性がある。100kD以下のオリゴデキストランの緩慢な発酵性が、短鎖脂肪酸、特にプロピオン酸塩の生産を刺激することは、発酵の研究において、予期しないことであった。プロピオン酸塩の生産又はプロピオン酸塩と酢酸塩の比率の増大が処置を必要とする哺乳類中のコレステロールレベルを調整するのに有益であることから、本発明は、心臓血管障害のリスクの予防及び/又は処置のために、栄養学者及び消費者に特に注目される。故に、本発明の他の側面は、 対象の健康を改善する方法を提供し、当該方法は、例えばコレステロール関連疾患の処置等のために、当該対象の健康に有益な効果を及ぼすのに有効な量の、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物を、当該対象に投与する工程を含む。加えて、一般に、短鎖脂肪酸は腸内のpHを低下させ、それによりカルシウムの吸収を補助することが知られている。故に、本発明に係る化合物は、ミネラルの吸収にも影響を及ぼす。これは、それらの化合物が、骨の健康を改善し、又は腸内のSCFAを増大させることにより、pHを低下させて、骨粗鬆症を予防若しくは処置する可能性があることを意味する。

「対象」は、一般にヒトであるが、当業者により認識されるように、対象は、ヒトを除く動物であってもよい。故に、他の対象として、哺乳類、例えばげっ歯類(マウス、ラット、ハムスター及びモルモット等)、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、及び霊長類(サル、チンパンジー、オランウータン、及びゴリラ等)が挙げられる。

本明細書中で使用されるとき、「コレステロール関連疾患」という用語は、限定されないが、血漿中のコレステロール、特に非高密度脂質(non-HDL)コレステロールのレベルの増大に関与する状態、例えばLDLコレステロールのレベルの増大、及びHDL/LDL比率の増大、高コレステロール血症、及び高トリグリセリド血症等が挙げられる。高コレステロール血症の患者において、LDLコレステロールの低下は、治療の主要な標的である。高トリグリセリド血症の患者において、血清中の高濃度のトリグリセリドの低下は、治療の主要な標的である。特に、本明細書中で定義するコレステロール関連疾患の処置は、血中コレステロールレベル、血中トリグリセリドレベル、血中リポタンパク質レベル、血中グルコース、及びインスリン感受性を、本発明に係るアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)デキストラン、又は本発明に係るアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)デキストランを含有する組成物を投与することによりコントロールすることを含む。

本明細書中で定義する化合物又は組成物の「有効な量」とは、必要な用量及び期間において、血中コレステロールの低下や消化管の障害の予防又は処置等の、所望の治療的結果を達成するのに有効な量を指す。例えば、対象に投与される組成物の量は、対象の状態、対象の体重、対象の年齢、及び組成物が唯一の栄養源であるか否かにより様々である。有効な量は、医療従事者、又は栄養士により、容易に設定され得る。一般に、1日あたり最大で40gの食物繊維(不溶性及び可溶性);例えば1日あたり約25g〜約35gの食物繊維が対象に提供されるのに、充分な量の組成物が投与される。対象が摂取するアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)デキストランの量は、好ましくは、1日あたり約0.1g〜約15g、又は最大で1日あたり約40gである。本明細書中で定義される化合物又は組成物は、例えば2〜5回、一日掛けて、若しくは即座に、複数の投与で与えられてもよく、又は単発の投与で与えられてもよい。本明細書中に定義される化合物又は組成物は、所望の期間にわたり持続的に給餌されてもよい。特定の態様において、前記所望の期間は、1週間以上、又は2週間以上、又は3週間以上、又は1ヶ月以上〜6ヶ月以上である。

好ましい態様において、本発明は、処置を必要とする対象に、本明細書中で定義される化合物若しくは組成物を投与することにより、処置を必要とする対象中の血中トリグリセリドレベルを低下させる方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明は、処置を必要とする対象に、本明細書中で定義される化合物若しくは組成物を投与することにより、処置を必要とする対象中の低密度リポタンパク質レベルを低下させる方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明は、処置を必要とする対象に、本明細書中で定義される化合物若しくは組成物を投与することにより、処置を必要とする対象中の高密度トリグリセリドレベルを低下させる方法を提供する。

他の態様において、本発明は、15%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有するオリゴデキストランを提供する。これらのアルファ-(1-2)分岐の存在が、このオリゴデキストランに特異的な特徴をもたらす;ヒトの消化系は、この種類の結合を加水分解するのに必要な酵素的手段を通常有しない。これらの枝の存在は、オリゴデキストランに部分的又は完全な難消化性をもたらすことにより、グルコースが事実上身体に吸収されず、又はその吸収が遅延するため、血糖反応が低く抑えられる。従って、本発明は、血糖反応が低くなる食品及び飲料組成物の製造に用いられる、本明細書中で定義されるオリゴデキストランを提供する。例えば、これらの化合物は、迅速に消化される他の糖類又は糖質に代えて使用されることにより、食品の血糖負荷を低下させ、カロリーを減少させ、及び/又は食品のエネルギー密度を低下させる。また、この種類の結合を有するオリゴデキストランの安定性により、それらは容易に大腸に到達し、大腸の微生物叢に特異的な基質として扱われる。従って、これらのオリゴデキストランは、プレバイオティクスとしての特性を有する。

更なる態様において、本発明に係る化合物は、腸の健康状態の処置及び/又は改善に使用される。前記分岐オリゴデキストランは、腸内微生物叢により大腸中で発酵し、また、インビトロ大腸モデルによると、イヌリンを超える難消化性の改善を示し、即ち、分岐オリゴデキストランの発酵は、イヌリンの場合よりもガス生産が低いため、ガス形成により生じる、鼓脹及び膨満感等の不快感が軽い。ゆえに、本発明は、処置を必要とする対象に、本明細書中で定義される化合物若しくは組成物を投与することにより、対象の消化管内部でのガス形成を緩和して、鼓脹及び膨満感による腸の不快感又は腸の疼痛を低下させる方法を提供する。更なる態様において、本発明に係る組成物は、ガス生産を低下させることにより、対象に対して食物の発酵に対する耐性を提供し、かつ、難消化性が改善するように、イヌリン、又はFOS、GOS、若しくはラクツロース等の繊維と組み合わせられてもよい。

更なる態様において、本発明に係る化合物は、例えば一定期間中の体重増大の減少等により(例えば、下記実施例9を参照されたい。本発明に係る化合物で処理したラットは、投与4週間後に、対照と比較して体重の増大が少ないことが示された。)、体重増大に影響を及ぼすのに効果的な量を投与されてもよい。これは、本発明に係る化合物が、体重増大に影響を及ぼすこと、及び肥満の予防若しくは治療に、又は体重管理の補助に利用可能であることを証明する。加えて、イヌリン等の幾つかの繊維は、GLP1を誘導できることが一般に知られているため、本発明に係る化合物は、食物の摂取にも影響を及ぼして、体重増大を低下させる可能性もある(GLP1は、膵臓からのインスリン分泌の増大等、多くの生理的機能が知られている。)。他の態様において、本発明の化合物は、対象の脂質量を低下させる(対象の脂肪量を低下させることにより)のに有効な量で投与される(例えば下記実施例11参照)。

更なる態様において、本発明に係る化合物は、以下の効果:(1)抗細菌効果(有益な細菌を刺激することにより、オリゴデキストランは、サルモネラ(Salmonella)等の病原性細菌の増殖に対抗するのを補助し得る);(2)GLP1や他の栄養制御及びインスリン分泌に関与する腸のホルモンの放出に影響を及ぼすことによる、食物摂取及びインスリン感受性に対する効果(故に代謝症候群、糖尿病、及び/又は肥満のリスクを予防又は低下させる);(3)妊娠期及び/又は授乳期の、オリゴデキストランの投与による発生プログラミング(developmental programming)に対する効果(GLP1及び/又は腸の微生物叢に影響を及ぼす(代謝産物)ことにより、胎児及び/又は乳児のその後のインスリン耐性/肥満の予防に繋がる);(4)SCFA生産(発酵)に起因するpH低下によるカルシウム吸収;(5)少なくとも部分的に炎症に起因する疾患に対する効果(プロバイオティクスは、自閉症、アルツハイマー症、アレルギー、関節リウマチ、又はその他の免疫障害に影響を及ぼすことが示されているため、本発明に係る化合物も、局所(腸)及び全身の炎症を低減する有益な細菌に叢をシフトさせることにより対抗が可能な、少なくとも部分的に炎症に起因する疾患に影響を及ぼし得る);(6)炎症性腸疾患及び/又は過敏性腸症候群を予防又は処置する効果(本発明に掛かる化合物の投与は、クローン病の動物モデルにおいて炎症反応を改善することが示されている);のいずれかを有するのに有効な量で、対照に投与されてもよい。

本発明は、下記実施例を参照して、更に説明される。

実施例1 表1は、平均分子量が1〜70kDaで、15%以上のアルファ-(1,2)-配糖側鎖を有する、本発明に係るアルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)化合物の態様を示す。

表1に列挙される化合物は、本明細書中に記載される、本発明に係る方法を実施することにより取得出来る。

下記実施例で使用される場合、DEX 1000-15は、表1中の化合物1を指し;F2又はDEX 1000-30は、表1中の化合物2を指し;そしてF3又はDEX 7000-30は、表1中の化合物8を指す。

実施例2 表2は、本発明に係るアルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランを含有する組成物の態様を示す。

実施例3 この実施例は、発酵の試験における本発明に係るアルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン化合物の使用を示す。下記実験により実証されるように、本発明に係る化合物は、消化管中の短鎖脂肪酸の生産を誘導した。

公知の代謝性及び消化器系の疾患(例えば糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、消化性潰瘍及び癌等)に罹患していない、4人の痩せた健康な男性のボランティア(30〜36歳)から、便の試料を取得した。これらの試料を現場で回収し(collected on site)、嫌気性キャビネット(10% H2、10% CO2、80% N2)中で維持し、回収後15分以内に使用した。嫌気性PBS[0.1 mol/lリン酸緩衝溶液(pH7.4)]で試料を1/10 w/vに希釈し、これをストマッカー(stomacher)中で、2分間、通常の速度でホモジナイズした。表1に記載の化合物を試験基質として、評価を行った。

無菌的に攪拌したバッチ培養発酵系(動作体積100ml)を10個準備し、そして45mlの基礎培地(ペプトン水2g/l、酵母抽出物2g/l、NaClO.1g/l、K2HPO4 0.04g/l、KH2PO4 0.04g/l、MgSO4.7H2O O.O1g/l、CaCl2.6H2O 0.01、NaHCO3 2g/l、Tween 80 2ml、ヘミン0.05g/l、ビタミンK110μl、システイン.HCl0.5g/l、バイル塩0.5g/l、pH7.0)で無菌的に満たし、酸素を含まない窒素ガスに一昼夜曝露した。前記便スラリーを加える直前に、前記糖質(1/10 w/v)を当該発酵容器に入れた。温度を37℃に維持し、Electrolab社製pHコントローラーを使用して、pHを6.7〜6.9に調整した。各容器に、5mlの新鮮な便スラリー(1/10 w/v)を播種した。バッチ培養物を48時間培養し、0、5、1、024、36及び48時間の時点で、各容器から、5mlの、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)及び短鎖脂肪酸(SCFA)分析用の試料を取得した。

蛍光色素Cy3で標識した、16S rRNA分子の特定の領域を標的とする合成オリゴヌクレオチドプローブを利用して、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium genus)(Bifl64)、バクテロイド/プレウォテラ(Bacteroides/ Prevotella)(Bac303)、ラクトバチルス/エンテロコッカス(Lactobacillus/ Enterococcus)(Labl58)、及びC. ペルフリゲンス(perfrigens)、ヒストリチクム(histolyticum)サブグループ(Chisl50)を計数した。ヒト便中の細菌の集団の構成は、分類群に特異的な16S rRNA標的化オリゴヌクレオチドプローブを用いて、蛍光インサイチューハイブリダイゼーションにより測定される。標識細胞は、蛍光顕微鏡を使用して可視化された。

各サンプリング時間に各容器から取得した325μlの試料を、1275μlの4%(w/v)のパラホルムアルデヒド中で4時間(4℃)固定した。固定した細胞を15,000xgで5分間遠心分離し、1mlの濾過滅菌PBSで2回洗浄した。洗浄した細胞を、150μl濾過PBS中で再懸濁し、更なる処理の前に、150μlエタノール(99%)中、-20℃で、1時間以上保存した。上記試料10μlを、視野内に20〜100個の蛍光細胞がはいるように、適切な体積のPBSで希釈し、当該溶液20μlを、6ウェルテフロン/ポリLリシンコートスライド(Tekdon Inc., Myakka City, USA)の各ウェルに加えた。これらの試料を乾燥チャンバー(46℃)中で15分間乾燥させた。それらに一連の濃度のアルコール(50、80及び96%(v/v)エタノール)をそれぞれ3分間ずつ使用して脱水した。スライドを乾燥オーブンに戻して2分間置き、ハイブリダイゼーション混合物を添加する前に、過剰のエタノールを蒸発させた。

50μlのハイブリダイゼーション混合物(プローブ5μl及びハイブリダイゼーション緩衝剤45μl)を各ウェルに加え、マイクロアレイハイブリダイゼーションインキュベーター中で4時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーションの後、スライドを50mlの洗浄緩衝剤中で15分間洗浄し、それらを数秒間冷水中に浸漬し、そして圧縮空気を当てて乾燥させた。5μlのProLong Gold抗退色試薬を各ウェルに加え、各スライド上にカバーガラスを置いた(20mmカバーガラス)。計数の前に、スライドを室温、暗黒中で一昼夜置いた。スライドをFluor 100レンズを搭載したNikon Eclipse 400 (Nikon, Surrey, UK)蛍光顕微鏡下で検鏡した。各ウェルにおいて、15箇所の視野で計数を行った。

細菌数の計測は、FISHを使用して実施された。この報告で計数された群は、主要な4つの数値的及び機能的に顕著なヒト便中の細菌群である。更に、FISH解析のための48時間の発酵期間中に回収された試料の内、0、10、24及び36時間の試料のみ計数を行った。試料回収のタイミング及び計数される試料の選択と共に、発酵の期間が、約9時間の発酵でガス生産が開始され、36時間以内の発酵で殆ど完了する(本明細書中で結果を開示しない)ことを示す、pHを調整しないバッチ培養試験におけるガス生産の速度を調査する予備実験に基づき、決定される。結果は、図1及び図2に、グラフ的に表現されている。

図1において計数及び描写された細菌群から、特に、1kDaの分岐オリゴデキストランは、選択的な発酵及びビフィドゲニシティ(bifidogenicity)に基づいて、良好なプレバイオティクス能力を示す基質であると結論付けることが出来る。それらは、バッチ培養発酵後24時間持続するビフィズス菌の顕著な増大を呈し、また、陽性対照(イヌリンTEX)と同等の良好なビフィドゲニック効果をもたらした。図2に描写されるように、アルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)デキストランの発酵は、酢酸塩との比較において、及び絶対的に、プロピオン酸塩の生産の増大をもたらした。

前記化合物の酢酸塩とプロピオン酸塩の比率を、下記に示す(表3参照)。

また、図3は、pH調整バッチ培養発酵における酢酸塩とプロピオン酸塩の比率(mM)も示す。

実施例4 この実施例は、本発明に係るアルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの、消化性の試験における使用を示す。消化性試験を実施するのに使用される方法は、Kendall et al., 2008 {Effect of Novel Maize-based Dietary Fibers on Postprandial Glycemia and Insulinemia, Kendall et al., Journal of the American College of Nutrition, Vol. 27, No.6, 711-718, 2008.)に記載されている。分子量(1又は40kDa)及び分岐度(分岐%:0、16又は32%)が調整されたアルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの、消化性プロフィールを決定した。

図4A及び4Bに描写されるように、本発明に係る化合物は、従来の化合物と比較して、消化性が低下している。消化性の低下は、繊維の含有量の増大及び/又はプレバイオティクスの含有量の増大をもたらすため、有利である。更なる利益は、用量の減少である。前記消化に対する耐性は、分岐の長さ及びレベルに依存する。例えば、40kDaの分子は1kDaの分子より消化性が低く、高度に分岐している分子は、分岐していない分子よりも消化され難い。このインビトロ消化データに基づいて、分岐のレベルが高くなる程、化合物の消化に対する耐性が良好となり、そして、化合物が大きい程、消化性は低下すると考えられるため、本発明に係るオリゴデキストランは、アルファ1,2分岐を有することにより、少なくとも部分的には難消化性であると結論付けられる。

実施例5 この実施例は、本発明に係る化合物を与えたヒト対象の、イヌリン等の他の対照を与えた場合と比較しての、便試料のガス生産のインビトロ試験に関する。他の言及が無い限り、使用した全ての試薬は、Sigma laboratories (Gillingham, Dorset, UK)社から購入したものであった。13.5mlの予還元(pre-reduced)基礎培地を、滅菌ガラスチューブ(18 x 150 mm, Bellco, Vineland, New Jersey, USA)に入れ、嫌気性キャビネット(10 % H2, 10 % CO2及び80 % N2)に、一昼夜置いた。前記便接種材料(1/10 w/v)を加える前に、前記験基質(1/10 w/v)をチューブに加えた。そして、当該チューブを、ガス不透過性ブチルゴム隔膜(Supelco, Gillingham, Dorset, UK)及びアルミニウムクリンプ(Supelco, Gillingham, Dorset, UK)で密封した。チューブを定常的に攪拌しながら37℃でインキュベーションした。

各チューブのブチルゴム隔膜に変換器に取り付けた滅菌針を挿入することにより、発酵開始後36時間まで、3時間ごとに、各基質における上部空間の圧力(Headspace pressure)を読み取った。各測定の後、各チューブの上部空間は、大気と平衡化させられた。ガス生産試験は、各基質について4回繰り返して行われた。ガス体積(ml)の定量は、空気圧(PSI)の校正曲線を使用して、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6及び7mlのシリンジでチューブの内側に空気を送り込むことにより、実行された。

得られたデータ及び対応するグラフを、図5及び表4に表す。本発明に係る分岐オリゴデキストランは、陽性対照のイヌリンよりも誘導されるガスの生産が少なく、これは、それらがイヌリンよりも難消化性であることを示した。従って、これらの化合物の使用は、ヒトの食物の繊維強化において、特に腸内のガス生産が気になる対象において、例えば便秘、過敏性腸症候群又はクローン病(結腸の慢性の炎症)に罹患した対象において、有利である。また、当該化合物は、ペット及び関連する他の動物にも有益であってもよい。

加えて、下記表5Aは、36時間のpH不調整バッチ培養発酵のガス生産の速度をml/hで表したものを示す(n=4)。

実施例6 この実施例は、本発明に係る、分子量及び分岐度が調整された、様々な分岐オリゴデキストラン化合物の合成を示す。幾つかのアクセプター反応は、アクセプターとして様々なMWを有する直鎖状オリゴデキストランを用いて実施された。

滅菌した反応容器中の蒸留水に、スクロース、オリゴデキストラン、及び酵素GBD-CD2を溶解し、攪拌した。pHを5.4に調整し、温度を30℃に制御した。当該反応混合物を24時間攪拌し、その後この容器を60℃に加熱した。当該アクセプター反応産物をカットオフ0.8μmのセルロース膜で濾過した。高温の1kDa及び6kDaの分岐試料を、移動層が水のイオン交換樹脂(Amberlite 1320K+)クロマトグラフィーカラムに適用して、フルクトースを除去した。40kDa及び70kDaの試料は、カットオフ10kDaのFiltron膜での透析濾過により精製された。前記試料を凍結し、公知の方法を使用して、凍結乾燥機中で凍結乾燥した。一定量のトランスグルコシダーゼGBD-CD2の存在下、様々なドナー/アクセプター比、即ちスクロース/直鎖状オリゴデキストラン比で反応を行った。当該様々なドナー/アクセプター比は、表5Bに記載されている。得られた化合物は、上記表1に列挙されている。

実施例7 平均分子量70kDaであって、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B-512Fから取得した、様々な量のアルファ-1,6オリゴデキストランを、12時間、スクロース(292mM)及びGBD-CD2 (1 U/ml)と共に、30℃で、3.4mMの塩化カルシウムを添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝剤中でインキュベーションした。使用したアルファ-1,6デキストランは、62、309、463、1235及び2470mMであった。

10kDa、40kDa、70kDa、及び2000kDaのオリゴデキストランは、300mMの濃度で、上記70kDaのオリゴデキストランについて記載したのと同様に使用した。スクロースの消耗及びグルコース/フルクトースの生産は、HPLCにより測定した。取得した分岐オリゴデキストランは、1容の95%エタノールを用いて沈殿され、遠心分離により回収され、そして1容の超純水を用いて、3回洗浄された。この手順は、1回繰り返された。その後、得られた産物を凍結乾燥した。NMRスペクトルを記録して、アルファ-(1-2)分岐度を計算した。純粋なアルファ-(1-2)分岐アルファ1,6オリゴデキストランのアノマープロトンからのシグナルにおいて、シグナル/ノイズ比率がより大きいため、1H-NMRは、13C-NMRよりも好ましい。

生産された様々なオリゴデキストランのアルファ-(1-2)分岐のパーセンテージは、ピーク領域の積分による、対応するアノマー炭素又はプロトンの相対強度から計算され、以下の式により求められる: アルファ-(1-2)分岐%=(100x(Ib+Ic)/2)/(Ia+Ib+Ic)

式中、Ia、Ib、Icは、アノマー共鳴(anomeric resonance)の強度である。Aは、主要な直鎖の「遊離炭素2」アルファ-1,6結合D-Glcピラノシル残基からのアノマー共鳴である。Bは、分岐グリコシル単位とのアルファ-(1,2)結合に組み込まれる炭素2を有する、主要な直鎖のアルファ-1,6結合D-Glcピラノシル残基からのアノマー共鳴である。Cは、アルファ-(1,2)-結合D-Glcピラノシル(即ち分岐点)からのアノマー共鳴である。

初期の[スクロース]/[オリゴデキストラン]のモル比は、デキストラン中のアルファ-(1-2)分岐のパーセンテージの調整を可能とした。初期の比率が高い場合、アルファ-(1,2)結合の形成は減少し、多くのグルコシル部分はフルクトースに転移してロイクロースを生じ、又は媒体中に放出されてグルコースを生じる(加水分解)。

アルファ-(1,2)結合の最高値(40%)は、初期の[スクロース]/[オリゴデキストラン]の比率が4.74である場合に生産された分岐オリゴデキストランにおいて観察された。初期の[スクロース]/[オリゴデキストラン]の比率が0.63となる点が、アルファ-(1,2)結合の高いパーセンテージと低い副産物の収量との間の最良の妥協点である。この比率を使用して、69%のスクロースのグルコシル部分をアルファ1,6オリゴデキストランに転移させて、35%のアルファ-(1,2)結合度をもたらした。

アルファ-(1,2)結合の程度は、アクセプター反応に使用される初期の[スクロース]/[オリゴデキストラン]のモル比を選択することにより調整することが出来る。当該比率を約0.92〜4.74で振ることにより、分岐度が10〜40%の範囲のアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランが取得された。

表6は、292mMのスクロース、及び濃度が62〜2470mMで、様々な分子量のデキストラン(オリゴデキストランの濃度は、グルコシル単位当量として表現される)の存在下での、アルファ-(1-2)分岐アルファ-1,6-オリゴデキストランの、1H-NMR及び13C-NMRにより決定された、アルファ-(1,2)-結合のパーセンテージを示す。

実施例8 10、40、70又は2000kDaオリゴデキストランの存在下でのアクセプター反応は、初期の[スクロース]/[オリゴデキストラン]比率が0.95の条件で実施された。全ての産物は、13C-NMRによる決定において、37〜39%の類似のアルファ-(1,2)結合を示した。驚くべきことに、トランスグルコシダーゼの効果は、工程(1)で得たオリゴデキストランであるアクセプターの分子サイズに拘らず、同一であった。工程(1)において取得され、工程(2)においてアクセプターとして使用される、アルファ-1,6-オリゴデキストランの分子量は、形成されたアルファ-(1,2)-結合の量に対して、何ら影響をもたらさなかった。GBD-CD2のアルファ-(1,2)-トランスグルコシダーゼ活性は、少なくとも重合度(DP)の範囲が60〜12500グルコシル(glc)単位のアルファ1,6オリゴデキストランにおいて、工程(1)の産物の重合度から独立していた。

実施例9 アルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの鎮痛性能及び体重管理の効果を、健康なラットで試験した。この試験の目的は、健康なラットに、3週間、2つの濃度(食物中1%及び5%)で投与されたアルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランが、小腸の快適性を増大させるか、及び体重の増大に影響をもたらすか否かを評価することである。特に、大腸の感度は、直腸結腸膨張試験により評価され、そして、動物は、実験期間を通じて計量された。

体重150g付近の雄のSprague-Dawleyラット(Charles River, I'Arbresle, France)を、この試験に使用した。実験前1週間、ラットを実験室の条件で維持した。ケージ1個あたり5頭を飼育し、水及び餌を不断で与えた。動物の痛覚は、大腸内に挿入された風船を膨らませることによる直腸結腸膨張(CRD)の間の行動的応答(behavorial response)の誘導に必要な大腸内圧を測定することにより評価された。この応答は、重度の収縮に対応する、動物の身体の後部の上昇、及び顕著な腹部の収縮を特徴とする。要約すると、ラットを揮発性麻酔(2%イソフルラン)で麻酔し、風船を、侵襲を最小限とするように、腸腸内、肛門から7cmの位置に挿入し、カテーテルを尾の付け根にテープで固定した。5分後、ラットを40x40cm Plexiglas箱の中に置き、カテーテルを、電子式バロスタット装置に接続した(Distender Series IIR(商標), G& J Electronics)。痛覚行動が確認されるまで、又はカットオフ圧力が80mmHgに達するまで、圧力を持続的に増大させた。

80頭のラットを以下のように試験した: 10頭 対照 10頭 +モルヒネ(単発皮下注射(1mg/kg)、CRDアッセイ前30分) 10頭 +F1 1% (DEX1000-15) 10頭 +F1 5% (DEX1000-15) 10頭 +F2 1% (DEX1000-30) 10頭 +F2 5% (DEX1000-30) 10頭 +F3 1% (DEX7000-30) 10頭 +F3 5% (DEX7000-30)

本明細書中で使用されるとき、F1又はDEX 1000-15は、表1の化合物1を意味する。F2又はDEX 1000-30は、表1の化合物2を意味する。F3又はDEX 7000-30は、表1の化合物8を意味する。1%又は5%は、下記のように、食物のパーセンテージを意味する。

ラットに1日1回強制経口給餌により投与される本発明に係る各アルファ-(1-2)分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストラン量は、理論上の食物消費(theoretic diet consumption)(ラットの食物摂取において、10g/体重100g)を考慮して決定された。各繊維は、飲用水1ml中に再懸濁された。

5%は、0.75g繊維/ラット/日に相当する。1%は、0.15g繊維/ラット/日に相当する。

各ラットの体重は、繊維の投与後3週間の間、週1回測定された(図6A)。投与の前後3週間のラットの便微生物叢の変化を、細菌増殖用の選択培地を使用する、公知の細菌分析方法を用いて判定した。

図6Aは、繊維の投与後4週間の間のラットの体重増大の評価を図示する。1%及び5%のF1、5%のF2、及び1%のF3で処理したラットは、対照(水)と比較して、4週間後の体重の増大に顕著な差異が認められる。本発明に係るオリゴデキストランで処理したラットの、投与4週間後の体重の増大は、対照と比較して小さかった。これは、一定時間中の体重増大を低下等させることにより、体重増大に影響を及ぼして、体重の管理を助けるのに有効な量が、対象に投与され得ることを示唆する。

図6Bは、ラットにおける腸膨張の試験の結果に関する、アルファ-(1,2)-分岐アルファ-(1,6)オリゴデキストランの鎮痛作用を図示する。1%及び5%のF2(DEX 1000-30)、並びに1%のF(DEX 7000-30)3は、健康なラットにおいて、鎮痛作用を有し、かつ腸の快適性を改善する。故に、本発明に係る化合物は、鎮痛効果の提供及び/又は腸の快適性の改善に効果的な量で、対象に投与され得る。

加えて、ラットの腸内微生物叢に対するF1、F2及びF3の効果が、処理後4週間以降に評価された。その結果を、図7に示す。試験された産物は、対照と比較してラクトバチリ(Lactobacilli)の数を増大させ、これは、当該産物がプレバイオティク効果を有することを示す。用量5%のDEX1000-30が、最も効果的な産物であった。病原性細菌に関しては、5%のDEX 1000-30及び5%のDEX7000-30が、投与の4週間後の晩中のエンテロコッキ(Enterococci)の数を、対照と比較して減少させた。故に、本発明に係る化合物は、大腸又は小腸中の病原性細菌の減少に効果的な量で、対象に投与され得る。

総括すると、体重増大のデータ、直腸結腸膨張のデータ、及び試験動物の便中の微生物叢の研究で得られたデータに基づき、5%で使用されるDEX1000-30(上記表1の化合物2)が、最も効果的な産物であった。

実施例10 実施例3において、本発明に係るオリゴヌクレオチドの効率は、4人の健康なドナーから得た便スラリーを使用して、pH及び温度が調整されたバッチ培養実験において評価された。この実施例は、前記試験の次の工程を提供し、当該工程は、インビトロでの前記試験基質の選択の効果の評価に関するものであって、前記健康な痩躯ドナーについての実験と、4人の健康な肥満ドナーが使用された点を除いて同一の条件で行われた。本実施例の目的は、肥満ドナーと痩躯ドナーにおける、細菌集団の構成やそれらの集団の代謝活性、並びに選択された基質に対する応答の存在し得る差異を同定することであった。

痩躯ドナーから得たバッチ培養の結果から、36時間の発酵の間に殆どの発酵が完了すること、及び36時間の時点で、肥満ドナーにおける実験を終了出来ることが示唆された。この群の発酵の特徴が不明であったので、この培養は、48時間続けられた。

便試料は、公知の代謝性及び消化器系の疾患(糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、IBS、胃潰瘍及び癌等)に罹患していない、4人の肥満体の健康な男性のボランティア(44.5±5.74歳;BMI37.7±3;胴囲125.9±9.86)から得た。試料を現場で回収し、嫌気性キャビネット(10% H2、10% CO2、80% N2)中で維持し、そして回収後15分以内に使用した。嫌気性PBS(0.1mol/lリン酸緩衝溶液(pH7.4))で1/10w/vの希釈物を調製し、これらの試料を、ストマッカー中、通常の速度で2分間ホモジナイズした。

下記の高純度プレバイオティクスが評価された: デキストラン1kDa、デキストラン1kDa+16%α-1,2、デキストラン1kDa+32%α-1,2、デキストラン6kDa、デキストラン6kDa+33%α-1,2、デキストラン70kDa+15%α-1,2、デキストラン70kDa、デキストラン70kDa+37%、α-1,2、及びイヌリンTEX(97%)

滅菌攪拌バッチ培養発酵系(ワーキング体積100ml)を立ち上げ、無菌的に、45mlの基礎培地(ペプトン水2g/l、酵母抽出物2g/l、NaCl O.lg/l、K2HPO4 0.04g/l、KH2PO4 0.04g/l、MgSO4.7H2O O.O1g/l、CaCl2.6H2O 0.01、NaHCO3 2g/l、Tween 80 2ml、ヘミン 0.05g/l、ビタミンK11Oμl、システイン. HCl 0.5g/l、バイル塩0.5g/l、pH7.0)で満たし、酸素を含まない窒素大気中に一昼夜曝露した。便スラリーを添加する直前に、発酵容器に、前記糖質(1/10w/v)を添加した。温度を37℃に維持し、Electrolab社製pHコントローラーを用いてpHを6.7〜6.9に維持した。各容器に、5mlの新鮮な便スラリー(1/10w/v)を接種した。これらのバッチ培養物を48時間インキュベーションし、FISH及びSCFA解析用に、各容器の試料を、0、10、24、36及び48時間で5mlずつ回収した。

オリゴヌクレオチドプローブ 16S rRNA分子の特定の領域を標的とし、蛍光色素Cy3で標識した、合成オリゴヌクレオチドプローブを、便中の細菌の計数に利用した。アクチノバクテリア門に属する大半の細菌を計数するために、Bifl64(ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属)及びAto291(アトポビウム(Atopobium)属)プローブを使用した。

複数のプローブを使用して、主要なフィルミクテス(Firmicutes)門(ラクトバチルス(Lactobacillus)/エンテロコッカス(Enterococcus)(Labl58)、C. ペルフリンゲンス(C. perfringens)、ヒストリチクム(histolyticum)亜群(Chisl50)、クロストリジウム(Clostridium)クラスターIX(Prop853)、ルミノコッカス(Ruminococcus)群(Rbro730/Rfla729)、ファエカリバクテリウム・プラウスニジイ(Faecalibacterium prausnizii)群(Fpra655)、及びE. ラクタレ(E. rectale)/C. コッコイデス(C. coccoides)群(Erec482)等)を計数した。

最後に、殆どのバクテロイデス(Bacteroides)を計数するために、バクテロイデス(Bacteroides)/プレウォテラ(Prevotella)にBac303、及びサイトファガ-フラウォバクター-バクテロイデス門にCFB719を使用した。

蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH) 各サンプリング時間で各容器から取得した試料325μlを、1275μlの4%(w/v)パラホルムアルデヒド中で4時間(4℃)固定した。洗浄した細胞を150μlの濾過PBS中に再懸濁し、更なる処理の前に、150μlのエタノール(99%)中、-20℃で、1時間以上再懸濁した。

視野に20〜100個の細胞が入るように、上記試料10μlを適切なPBSで希釈して、これらの溶液20μlを、6ウェルのテフロン/ポリ-L-リシンコートスライド(Tekdon Inc., Myakka City, USA)の各ウェルに加えた。試料を、15分間乾燥チャンバー中で乾燥させた(46℃)。それらを一連のアルコール(50、80及び96%(v/v)エタノール)を用いて脱水した。スライドを2分間乾燥オーブン中に戻して過剰なエタノールを蒸発させ、その後、ハイブリダイゼーション混合物を添加した。

各ウェルに50μlのハイブリダイゼーション混合物(プローブ5μl及びハイブリダイゼーション緩衝剤45μl)を加えて、マイクロアレイハイブリダイゼーションインキュベーター(Grant-Boekel, Cambridge, UK)中で4時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後、スライドを50mlの洗浄緩衝剤で15分間洗浄した。それらを冷水に数秒間漬け、圧縮空気で乾燥させた。各ウェルに5μlのProLong Gold抗退色剤(Invitrogen Ltd., Paisley, UK)を加え、各スライドにカバーガラスを被せた(20mm coverslips, thickness No1, VWR, Lutterworth, UK)。スライドを一昼夜、室温の暗所に置いた後、計数を行った。スライドを、Fluor 100レンズを使用する落射蛍光顕微鏡Nikon Eclipse 400 (Nikon, Surrey, UK)下で試験した。各ウェルにおいて、15箇所の異なる視野で計数を行った。

短鎖脂肪酸の解析は、ポンプ(L-7100)、RI検出器(L-7490)及びオートサンプラー(L-7200)を備えたイオン排除高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(LaChrom Merck Hitachi, Poole, Dorset UK)を使用して実施された。Jones Chromatography Ltd. for Windows 2.0ソフトウェアを使用して、データを回収した。使用されたカラムは、イオン排除Rezex ROA-Organic Acid H+ (8%), 300 x 7.80 mm (Phenomenex, Cheshire, UK)であった。ガードカラムは、SecurityGuard(商標) Carbo-H+ 4 x 3.0 mmカートリッジ(Phenomenex, Cheshire, UK)であった。使用された溶出剤は、硫酸の0.0025mM HPLCグレード水溶液であった。

各発酵時間の試料(1ml)を、13000xgで10分間遠心分離した。上澄を、0.22μmフィルターユニット(Millipore, Cork, Ireland)を通して濾過した。20μlの濾液をHPLCに注入し、クロマトグラフィーを、カラム温度84.2℃、流速0.5ml/minで行った。試料の処理時間は、35分であった。試料の定量は、12.5、25、50、75、及び100mMの、乳酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩に標準的な校正曲線を使用して実施された。

48時間の試料の計数にCFB719、Fpra655及びRfla730/Rint729が使用されなかったことを除いて、全てのプローブが、0、10、24、36及び48時間の細菌の計数に用いられた。

ガス生産の速度は、図8Aに見られるように、ガス発生の速度のパターンと同様、痩躯ドナーと肥満ドナーとの間でかなり類似している。図8Aは、本発明に係るオリゴデキストランの代表的なデータを提供するものであって、図8Bのイヌリンにおけるデータと比較される。発生時間に拘らず、痩躯ドナー群中で特定の基質において観察された最大のガス生産速度を、肥満ドナー群の対応する最大の速度と比較した。ガス生産の総量は、痩躯ドナーと肥満ドナーとの間で差異が無かった。しかしながら、試験したデキストランが、痩躯ドナー及び肥満ドナーのいずれの場合も、イヌリンと比較して、ガス生産を低減させ、またガス生産を遅延させることは、明白である。故に、本発明に係る化合物は、ガス生産の低下及び/又はガス生産の遅延に効果的な量で、対象に投与され得る。

低分子量のデキストラン(1kDa)が、最良のビフィドゲニック効果を示した。肥満体のドナーにおいて、70kDaのデキストランを用いた場合も、ベースライン濃度と比較して、顕著な増大が認められた。

非常に興味深いことに、肥満体のドナーにおいて、前記デキストランを用いた場合、潜在的な病原体C. ヒストリチクム(C. histolyticum)のレベルの顕著な減少が認められた(図9A)が、傾向は、痩躯ドナーにおいて認められた。同様に、ルミノコッカス(Ruminococcus)群のF. プラウスニジイ(F. prausnizii)は、肥満体のドナー(図9B)及び痩躯ドナーにおいて、全ての試験基質を用いた場合に、ベースライン濃度と比較して、顕著に減少した。故に、本発明に係る化合物は、小腸又は大腸中の幾つかの病原性大腸菌の減少に効果的な量で、対象に投与され得る。

SCFA生産は、殆どの場合、2つのドナー群の間で類似していた。発明者らは、痩躯ドナーにおいて、デキストラン発酵が、直鎖型の非分岐1kDaデキストランを除き、顕著に高いプロピオン酸塩レベルの発生を引き起こすことを見出した。肥満ドナーにおいて、1kDaのものを除いて全てのデキストランで同様であった。しかしながら、1kDaデキストランの場合も、バッチ培養発酵の間、酢酸塩のレベルが低下するため、なおもプロピオン酸塩が優勢であった。

総括すると、肥満体のドナーにおいて最も優良な基質は、ビフィドゲニシティーと選択性を併せ持ち、かつC. ヒストリチクム(C. histolyticum)レベルに負の効果をもたらす、1kDaのデキストランであった。分岐した1kDaデキストランは、バッチ培養発酵の過程での酢酸塩とプロピオン酸塩との比率においてプロピオン酸塩が優勢である(コレステロール低下効果を誘導し得るので肥満体の対象にとって特に重要であり得る)点で、優れている可能性がある。

実施例11 カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)インビボモデルを使用して、本発明に係るオリゴヌクレオチドの、脂質含量に及ぼす影響が評価された。評価された基質は、TLD-1000(非分岐1kDaデキストラン)及びTLD-1030(1kDaデキストラン+32% α-1,2)であった。TLD-1000は、5つの異なる濃度で評価された(1%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、0.025%、及び0.01% w/v)。陰性対照(DMSO)及び陽性対照(オルリスタット)も、評価された。各基質は、基質及び濃度あたり、120匹の線虫を用いて、4回アッセイされた。

TLD-1000基質の場合、濃度0.25%及び0.1%において、脂質含量の実質的な減少が引き起こされるが、最適な濃度は、30%の減少を達成した、0.1%であった。試験された最高の濃度(1%及び0.5%)、並びに最低の濃度(0.05%)において、前記低下は10%付近であった。TLD-1030基質の場合、試験した大半の濃度で、脂質含量の実質的な減少が認められた。低濃度(0.05%)において、最大で40%の脂質含量の低下が認められ、陽性対照のオルリスタットによる低下率を上回っていた。これらの脂質含量の減少から、本発明に係る化合物が、対象の脂質含量の低下、即ち対象の脂肪量の減少に効果的な量で、対象に投与され得ることが示される。

総括すると、各基質において、最適な用量は異なっていた。最適な用量は、TLD-1000及びTLD-1030では、それぞれ0.1%及び0.05%であった。最適濃度での脂質含量の低下は、全ての基質中、TLD-1030がより優れている。

実施例12 TLD1000(直鎖1kDaオリゴデキストラン)、TLD1030(1kDa32%分岐オリゴデキストラン)、及びTLD7030(70kDa37%分岐オリゴデキストラン)のカロリー値を、雄鶏(rooster)モデルにおいて決定した。

本発明に係る3つの化合物の窒素バランス0に補正されたTMEエネルギー(TME)は、ケージ中の、虫垂切除された(cecectomized)、又は公知の単冠白色レグホンの雄鶏を用いて決定された。雄鶏を24時間絶食させ、5羽の雄鶏を試験飼料成分30gの餌を経管給餌した。雄鶏を個別のケージ中に置き、各ケージ下にトレイを置き、24時間、全ての排泄物を回収した。排泄物を凍結乾燥し、定量し、そして挽き潰し、総エネルギー及び窒素量を分析した。内部補正(endogenous correction)のために、絶食させた雄鶏のエネルギー排出を使用して、TMEnを計算した。当該結果を統計的に解析し、下記表7にまとめた。

TLD1000の総代謝エネルギー(TME)は、3.650kcal/gであって、これは、TLD1000が、殆ど完全に消化されたことを意味する。TLD1030のTMEは、TLD1000のTMEに及ばず、そしてTLD7030のTMEは、TLD1030のTMEにも及ばなかった。これは、これらの生産物が、一般に、小腸内で消化されないことを意味し、また、オリゴデキストランの間で、大腸内部での発酵速度に差異があることも意味する。TMEの値によると、TLD7030は殆ど分解されず、発酵もされない。これらのデータが示す最も重要な事項は、直鎖オリゴデキストラン(TLD1000)は消化可能であって、分岐オリゴデキストラン(TLD1030及びTLD7030)はそうではないことである。従って、分岐は、ヒト酵素による消化を防ぎ、そして、分子が長い程、大腸中の発酵速度(即ち細菌による分解速度)は低下する。本発明に係るオリゴデキストランは、この特性に基づく繊維として分類され得る。

実施例13 この試験は、12週間の処理後のマウスにおける、高脂肪給餌で誘導した肥満モデル中の代謝マーカーに対する、本発明に係る化合物の効果を特定することを目的とする。下記データは、体重、体重増加、空腹時血糖、及び処理の6週間後のOGTT(経口グルコース耐性試験)アッセイの結果に対する、前記化合物の効果を示す。本明細書中に記載されるとき、TLD1030は、上記表1に示すように、1kDa+32%分岐オリゴデキストランを指し;TLD1015は、1kDa+16%分岐オリゴデキストランを指し;TLD7030は、70kDa+37%分岐オリゴデキストランを指す。

Charles Riverから購入した雄のC57BL/6Jマウスを、2週間の順化期間中、標準的な飼料及び水を不断給餌して維持した。D12540B飼料を与えて11日間順化した後、マウスを、体重で無作為化し、8頭のマウス群4つに分けた。続いて、マウスに高脂肪食(D12492)のみ、又は試験される産物1%を含む高脂肪食を与えた。動物の体重を、週2回、個別に測定した。体重の増大は、本試験0日目の時点での合計体重から、最終的に得られた体重(1週間中の2回目の測定)を引くことにより計算された。

6週間目に、グルコース耐性試験が実施された。このアプローチは、高脂肪食によるインスリン耐性に対する様々な化合物の効果を強調する助けとなった。マウスを試験前18時間絶食させた。試験当日(午前9時)、マウスを定量し、そしてグルコースを経口(per os)投与した(2g/kg-10ml/kg 10%グルコース溶液として)。尾静脈を切って血液滴をとり、グルコメーターを使用して、時間TO/ T+15/ +30/ +60/ T+90/ T +120/ 180分の血中グルコースを測定した。体重、空腹時血糖、及びOGTTのデータの群間での差を、Sigma Plot 11.0 (2008) Systat Software, Inc.により、Studentのt検定を使用して計算した。

処理6週間後、DIO(食物誘導肥満)対照と比較して、TLD1030を投与したマウスは、図11に示されるように、顕著な体重増大の低下(-9.86%)を示した。図11は、体重増大(第1日のグラム及び%)及び空腹時血糖(mg/dl)の平均値(+/-SEM)を図示する(* p < 0.05 ; ** p: <0.01 ; ***p: <0.001 (t-検定対DIO対照))。空腹時血糖のパラメーターにおいて、TLD1015において、顕著な低下(-19.5%)が認められた。OGTTデータは、前記3つの産物が、血糖AUCを顕著に低下させ得ることを示した(図12及び表8)。

これらの結果は、本発明に係る化合物が、対象のグルコース耐性の増大、インスリン分泌の増大、及び高脂肪、又は典型的には西洋式の食生活による対照の体重の増加の抑制に効果的な量で、対象に投与され得ることを示唆する。

本発明は、上記幾つかの態様を参照して、図示及び記載されているが、上記で示されている詳細な事項に限定されることを意図するものではない。本願請求項の範囲内で、および本願発明から解離することなく、詳細な事項について、様々な改変がなされてもよい。

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