Oxidation coupling method of olefin and aromatic compound using rhodium catalyst and copper (ii) redox reagent

申请号 JP2000088594 申请日 2000-03-24 公开(公告)号 JP2000302700A 公开(公告)日 2000-10-31
申请人 Nippon Mitsubishi Oil Corp; 日石三菱株式会社; 发明人 MATSUMOTO TAKANARI; DOUGLAS J TAUBI; ROY A PERIANA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for coupling in high selectivity by reacting a specific olefin compound with a specific aromatic compound in the presence of rhodium (III) acetylacetonato catalyst, or the like, and simultaneously obtaining a sufficient catalyst turnover frequency. SOLUTION: In coupling an olefin compound having one or more C-C double bonds and one or more hydrogen atoms bonding to one carbon atom of the C-C double bond such as ethylene with an aromatic compound having an atom of an aromatic ring and a hydrogen atom bonding to one or more atoms of the aromatic ring through a covalent bond such as benzene, the olefin compound and the aromatic compound are reacted in a reaction medium free from a carboxylic acid in the presence of Rh (III) acetylacetonato catalyst such as Rh(acac)2Cl(H2O) and a Cu (II) redox reagent such as Cu(CH3COO)2 at 150-225 deg.C to perform the coupling reaction.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、
    及び、その炭素−炭素二重結合の炭素原子の1つに結合する少なくとも1つの水素原子を有するオレフィン化合物、並びに、芳香環原子、及び、その芳香環原子の少なくとも1つに共有結合により結合する水素原子を有する芳香族化合物のカップリング方法であって、カルボン酸を含まない反応媒体中のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤の存在下で、上記オレフィン化合物と上記芳香族化合物とを反応させる工程を含む、カップリング方法。
  • 【請求項2】 ロウジウム(III)アセチルアセトナト触媒がRh(acac) 2 Cl(H 2 O) である、請求項1に記載の方法。
  • 【請求項3】 銅(II)レドックス剤がCu(CH 3 CO
    O) 2である、請求項1又は2に記載の方法。
  • 【請求項4】 オレフィン化合物が、2〜12の炭素原子を有し、又、C 1- 4アルキル、C 3-6シクロアルキル、C 6-12アリール、C 7-16アルカリール、及びC 7-16
    アラルキルからなる群から選択される0〜2の置換基を有し、その各置換基は、置換されていないか、又は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、ケトン基、アミド基、置換アミド基、及びニトロ基からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項5】 オレフィン化合物が、エチレンである、
    請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項6】 芳香族化合物が、6〜12の炭素原子を有し、又、C 1-4アルキル、C 3-6シクロアルキル、C
    6-12アリール、C 7-16アルカリール、及びC 7-16アラルキルからなる群から選択される0〜2の置換基を有し、
    その各置換基は、置換されていないか、又は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、
    ケトン基、アミド基、置換アミド基、及びニトロ基からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項7】 芳香族化合物が、ベンゼンである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項8】 芳香族化合物が、反応性媒体でもある、
    請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項9】 反応が、150℃〜225℃の温度で行われる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、広くは、化学合成の分野に関し、より具体的には、オレフィン化合物と芳香族化合物酸化カップリングして、オレフィン置換された芳香族化合物を製造する分野に関する。 より特定すれば、本発明は、カルボン酸を含まない反応媒体中のロウジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤を用いてオレフィン化合物と芳香族化合物を酸化カップリングする方法に関する。 一態様において、
    本発明は、触媒としてのRh(acac) 2 Cl( H 2 O) 、及び銅(II)レドックス剤としての酢酸銅(II)の存在下で、エチレン(オレフィン化合物)とベンゼン(芳香族化合物)を、(ここでは、ベンゼンは反応物であり、又反応媒体でもある。)酸化カップリングすることにより、スチレンを製造する方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】本発明に係る先行技術を開示した文献として、米国特許第3,848,010号明細書「『芳香族化合物の触媒によるビニル化(Catalytic
    Vinylation of Aromatic Co
    mpounds)』Intille、1974年」、及び、米国特許第3,775,511号明細書「『パラジウムカルボキシレートの存在下におけるオレフィンのアリール化及びオレフィンのカップリング(Olefin
    Arylation and OlefinCoup
    ling in the Presence of P
    alladium Carboxylates』Shu
    e、1973年」が挙げられる。

    【0003】

    【発明が解決しようとする課題】オレフィン化合物と芳香族化合物を酸化カップリングして、オレフィンにより置換された芳香族化合物を生成することは公知であり、
    又、単純化して下記の反応式によって表わすことができる。

    【化1】

    【0004】酸化カップリングのよく知られた例は、エチレンとベンゼンの反応であり、下記のとおりスチレンを生成する。

    【化2】

    【0005】化学量論的かつ触媒量のVIII族金属塩の存在下でオレフィン化合物と芳香族化合物を直接酸化カップリングすることは先行技術に開示されている。 例えば、前記の米国特許第3,848,010号明細書及び米国特許第3,775,511号明細書参照。 この文脈では、VIII族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及びプラチナである。 今まで、最も好ましいVIII族金属は、パラジウム(II)であり、通常、パラジウムカルボキシラートの形態、例えば、パラジウム(II)アセタートとして提供される。

    【0006】オレフィン化合物と芳香族化合物の非触媒直接酸化カップリングにおいて、酸化剤として、化学量論量のVIII族金属が必要である。 反応の間、VIII族金属は、還元されて、カップリング反応に対して非活性となる。 多く場合、酸化剤を添加することによって、その反応は、VIII族金属に関して触媒的に機能させることができる。 その酸化剤は、還元されたVIII族金属を再酸化し、これにより触媒を再活性化する。 このようにして利用される酸化剤の例示としては、ヨウ素、PbO 2 、A
    22 、及びCu(II)塩が含まれる。 銅(II)が使用される場合、その反応は、分子状の酸素を入れることにより銅に関して触媒的に機能させることができる。 その酸素は還元された銅を銅(II)に再酸化する。 しかしながら、その分子状酸素との反応は、通常、例えば、酢酸のごときカルボン酸による活性化を必要とし、カルボン酸は溶剤又は助溶剤として使用することができる。

    【0007】反応速度を改善できる一方で、溶剤又は助溶剤として酢酸のごときカルボン酸を使用する場合、いくつかの欠点がある。 カルボン酸はしばしば、本反応条件下でオレフィン化合物に対して反応性があり、所望しない相当量の副生成物を生成させる。 例えば、ベンゼンとエチレンを酢酸の存在下で反応させると、典型的には、下記の反応により相当量のビニルアセテートを生成させる。

    【化3】

    【0008】パラジウム(II)アセテート触媒を使用して、ベンゼンとエチレンを反応させた場合、しばしばスチレンの2 倍程度のビニルアセテートが生成する。 この欠点は既に認識されていて(例えば、米国特許第3,7
    75,511号明細書、1973年参照)、比較的低い反応温度かつ分子状酸素の存在下で、触媒量のパラジウムカルボキシレート、大過剰量の芳香族化合物の溶液を使用することが解決手段として提案されている(米国特許第3, 775, 511号明細書、例えば第7欄第72
    行〜第8欄第32行参照)。

    【0009】本発明者らは、この問題への全く異なった解決手段を発見した。 本発明者らは、異なった触媒、具体的には、銅(II)レドックス剤と共にロウジウム(II
    I)アセチルアセトナト触媒を、カルボン酸を含まない反応媒体中で使用すると、所望の生成物に対して相当に高い選択性と共に、十分な触媒ターンオーバーフリークエンシーを得ることができることを発見した。

    【0010】

    【課題を解決するための手段】本発明の一態様は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、及び、その炭素−炭素二重結合の炭素原子の1つに結合する少なくとも1つの素を有するオレフィン化合物と、芳香環原子及びその芳香環原子の少なくとも1つに共有結合により結合する1つの水素原子を有する芳香族化合物とのカップリング方法であって、カルボン酸を含まない反応媒体中のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤の存在下で、上記オレフィン化合物と上記芳香族化合物とを反応させる工程を含む、カップリング方法に関する。

    【0011】他の実施形態において、ロウジウム(III)
    アセチルアセトナト触媒はRh(acac) 2 Cl(H 2 O) である。 好ましい実施形態において、銅(II)レドックス剤はCu(CH 3 COO) 2である。

    【0012】本発明の方法の一態様において、オレフィン化合物が、2〜12の炭素原子を有し、又、C 1-4アルキル、C 3-6シクロアルキル、C 6-12アリール、C
    7-16アルカリール、及びC 7-16アラルキルからなる群から選択される0〜2の置換基を有し、その各置換基は、
    置換されていないか、又は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、ケトン基、アミド基、置換アミド基、及びニトロ基からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている。 好ましい一実施形態において、オレフィン化合物は、エチレンである。

    【0013】本発明の他の態様において、芳香族化合物は、6〜12の炭素原子を有し、又、C 1-4アルキル、
    3-6シクロアルキル、C 6-12アリール、C 7-16アルカリール、及びC 7-16アラルキルからなる群から選択される0〜2の置換基を有し、その各置換基は、置換されていないか、又は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、ケトン基、アミド基、置換アミド基、及びニトロ基からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている。 好ましい実施形態において、芳香族化合物は、ベンゼンである。

    【0014】本発明の好ましい態様において、芳香族化合物は、反応性媒体でもありうる。 一実施形態において、反応は、150℃〜225℃範囲内の温度で行われる。

    【0015】本発明の一態様において、改善された選択性をもたらす酸化カップリング法を提供することに関する。 更に本発明の一態様において、従来のものに比肩できるか、又は改善された反応速度及び/又は触媒ターンオーバー頻度をもたらす酸化カップリング法を提供することに関する。 以下で明らかになるように、本発明の一態様における好ましい特徴及び特色は他の発明の実施態様においても適用可能である。

    【0016】

    【発明の実施の形態】本発明は、オレフィン化合物と芳香族化合物のカップリング方法であって、カルボン酸を含まない反応媒体中のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤の存在下で、上記オレフィン化合物と上記芳香族化合物とを反応させる工程を含むカップリング方法に関する。 便宜上、反応は下記によって単純化して表すことができる。

    【化4】

    【0017】[オレフィン化合物]本発明は、オレフィン化合物と芳香族化合物のカップリング方法に関する。
    本明細書において使用される「オレフィン化合物」の用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、但し、その炭素−炭素二重結合の少なくとも1つの炭素原子がそれに結合する少なくとも1つの水素原子を有する有機化合物に対して用いられる。 利用できる限り、炭素−炭素二重結合は、シス又はトランス構造のいずれでもよい。 用語「有機化合物」は、本明細書では、常用の意味で使用され、又、一つ以上の他の原子と組み合わされた(共有結合された)、少なくとも1つの炭素原子を含む化合物に対して用いられる。

    【0018】本発明で使用するのに適したオレフィン化合物は、下式によって表わせる。 Hは、炭素−炭素二重結合の炭素原子の1つに共有結合した水素原子を意味し、1、2及び3で記す結合は、炭素−炭素二重結合の炭素原子を、化合物中の他の原子に結合している。

    【化5】

    【0019】オレフィン化合物は、直鎖、分枝、又は、
    環状部分であっても、それを含むものであってもよい。
    一実施形態において、オレフィン化合物は直鎖状である。 一実施形態において、オレフィン化合物は分枝状である。 一実施形態において、オレフィン化合物は環式である。 一実施形態において、オレフィン化合物は環状基を含む。

    【0020】一実施態様において、オレフィン化合物は2〜20の炭素原子を有する。 一実施形態において、オレフィン化合物は2〜10炭素原子を有する。 好ましい実施形態において、オレフィン化合物は2〜8の炭素原子を有する。 一実施形態において、オレフィン化合物は、より好ましくは2〜6の炭素原子を有し、最も好ましくは、2〜4炭素原子を有する。

    【0021】オレフィン化合物は、唯一つの炭素−炭素二重結合を有してもよい。 そのような化合物は、便宜上、モノオレフィン化合物と称することができる。 オレフィン化合物は、2 つ以上の炭素−炭素二重結合を有することができる。 そのような化合物は、便宜上、ポリオレフィン化合物と称することができる。

    【0022】オレフィン化合物は、更に1つ以上の炭化水素置換基(即ち、炭素と水素のみからなる置換基)を有していてもよく、それは、直鎖、分枝、脂環式、又は芳香族又は、それらの組合せであり、又、それは完全に飽和していてもよく、部分的に不飽和でもよく、完全に不飽和であってもよい。 炭化水素置換基の例には、しかしそれには限定されないが、アルキル(例えば、C 1-4
    アルキル)、シクロアルキル(例えば、C 3-6シクロアルキル)、アリール(例えば、C 6-12アリール)、アルカリール(例えば、C 7-16アルカリール)、及びアラルキル(例えば、C 7-16アラルキル)が含まれる。

    【0023】アルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、
    及びtert−ブチルが含まれる。

    【0024】シクロアルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及び、シクロヘキシルが含まれる。 アリール置換基の例には、しかしそれには限定されないが、フェニル、及びナフチルが含まれる。

    【0025】アルカリール置換基の例には、しかしそれには限定されないが、2−メチルフェニ−1−イル(即ち、o−トリル)、3−メチルフェニ−1−イル(即ち、m−トリル)、4−メチルフェニ−1−イル(即ち、p−トリル)、2,3−ジメチルフェニ−1−イル(即ち、2,3−キシリル)、3,4−ジメチルフェニ−1−イル(即ち、3,4−キシリル)、及び、2,
    4,6−トリメチルフェニ−1−イル(即ち、メシチル)が含まれる。

    【0026】アラルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、フェニルメチル(即ち、ベンジル)、フニルエチル(即ち、フェネチル)、及び、トリフェニルメチル(即ち、トリチル)が含まれる。 不飽和炭化水素置換基の例には、しかしそれには限定されないが、ビニル(即ち、−CH=CH 2 )及びアリル(即ち、−CH 2 CH=CH 2 )が含まれる。

    【0027】オレフィン化合物、及びそれに付く炭化水素置換基は、更に、1つ以上の非炭化水素置換基を含み、その置換基は、しかしそれには限定されないが、酸素、硫黄、窒素、リン、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む、炭素及び水素以外の原子を少なくとも1つ含む。

    【0028】非炭化水素置換基の例には、しかしそれには限定されないが、ハロゲン基(例えば、−F、−Cl
    、−Br 、−I )、ヒドロキシル基(即ち、−O
    H)、エーテル基(例えば、−OR)、カルボキシル基(即ち、−COOH)、エステル基(即ち、−COO
    R)、アルデヒド基(即ち、−CHO)、ケトン基(例えば、−C( =O) R)、アミド基(即ち、−C( =
    O) NH 2 )、置換アミド基(例えば、−C( =O) N
    2 )、アミノ基(即ち、−NH 2 )、置換アミノ基(例えば、−NHR、−NR 2 )、ニトロ基(即ち、−
    NO 2 )、ニトロソ基(即ち、−NO)、シアノ基(即ち、−CN)、シアナト基(即ち、−OCN)、イソシアナト基(即ち、−NCO)、チオシアナト基(即ち、
    −SCN)、イソチオシアナト基(即ち、−NCS)、
    チオール基(即ち、−SH)、チオエーテル基(例えば、−SR)、スルホナト基(即ち、−SO 3 H)、及びハロゲン化アルキル基(例えば、−CF 3 )が含まれる。

    【0029】好ましくは、オレフィン化合物の非炭化水素置換基は、下記のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対する阻害剤として作用しないか、又は、実質的に作用しないか、あるいは、望ましくない交差反応又は副反応を起こさないか又は実質的に起こさないものである。

    【0030】一実施形態において、オレフィン化合物は、2〜12の炭素原子を有し、又、アルキル(例えば、C 1-4アルキル)、シクロアルキル(例えば、C
    3-6シクロアルキル)、アリール(例えば、C 6-12アリール)、アルカリール(例えば、C 7-16アルカリール)、及びアラルキル(例えば、C 7-16アラルキル)からなる群から選択される0〜2の置換基を有し、その各置換基は、置換されていないか、又は、ヒドロキシル基(即ち、−OH)、カルボキシル基(即ち、−COO
    H)、エステル基(例えば、−COOR)、アルデヒド基(即ち、−CHO)、ケトン基(例えば、−C(=
    O)R)、アミド基(即ち、−C(=O)NH 2 )、置換アミド基(例えば、−C(=O)NR 2 )、及びニトロ基(即ち、−NO 2 )からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている。

    【0031】直鎖モノオレフィン炭化水素であるオレフィン化合物の例には、しかしそれには限定されないが、
    エテン(エチレンとしても知られている)、プロペン(プロピレンとしても知られている)、1−ブテン又は2−ブテン、直鎖ペンテン(例えば、1−ペンテン、2
    −ペンテン)、直鎖ヘキセン(例えば、1−ヘキセン、
    2−ヘキセン、3−ヘキセン)、直鎖ヘプテン(例えば、1−ヘプテン)、直鎖オクテン(例えば、1−オクテン)、直鎖ノネン(例えば、1−ノネン)、直鎖デセン(例えば、1−デセン)、直鎖ドデセン(例えば、1
    −ドデセン)、直鎖エイコセン(例えば、1−エイコセン)が含まれる。

    【0032】分枝モノオレフィン炭化水素であるオレフィン化合物の例には、しかしそれには限定されないが、
    2−メチルプロペン(イソブテン又はイソブチレンとしても知られている)、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン(トリプテンとしても知られている)、及び2−メチル−2−ブテンが含まれる。

    【0033】環状モノオレフィン炭化水素であるオレフィン化合物の例には、しかしそれには限定されないが、
    シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、1,2−ジメチルシクロヘキセン、及びシクロオクテンが含まれる。

    【0034】ポリオレフィン炭化水素であるオレフィン化合物の例には、しかしそれには限定されないが、1,
    2−ブタジエン(メチルアレンとしても知られている)、1,3−ブタジエン(ビビニルとしても知られている)、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘプタジエン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、及び、
    アリルシクロヘキセンが含まれる。

    【0035】ヘテロ原子を含むオレフィン化合物の例には、しかしそれには限定されないが、ビニルクロリド、
    ビニルフルオリド、ビニリデンクロリイド、アリルブロミド、クロロスチレン、トリクロロエチレン、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、エチルマレアート、p−
    ビニル安息香酸、ビニルアセタート、アリルプロピオナート、プロペニルアセタート、ブテニルカプロアート、
    エチリデンジアセタート、メチルアクリラート、及び、
    メチルメタアクリラートが含まれる。

    【0036】一実施形態において、オレフィン化合物は、エチレン及びプロピレンからなる群から選択される。 最も好ましくは、オレフィン化合物はエチレンである。 一実施形態において、オレフィン化合物はエチレンである。

    【0037】[芳香族化合物]用語「芳香族化合物」
    は、本明細書において、通常の意味で用いられ、一以上の環式芳香族構造、即ち、非局在化されたパイ電子軌道を有する環構造によって特徴付けられる有機化合物に対して用いる。 環式芳香族構造を形成する原子は、便宜的に芳香環原子と同一視される。 芳香族化合物は、ベンゼンにおけるごとく、単一の環式芳香族構造(便宜的に「モノ芳香族化合物」と称する)を有している。

    【0038】選択肢として、芳香族化合物は、二以上の環式芳香族構造(便宜的に「ポリ芳香族化合物」と称する。)を有している。 これらの構造のいくつか又はすべては、その芳香族構造を分離する一以上の非芳香族基によって結合され( 例えば、ベンジルベンゼン、C 65
    −CH 2 −C 65に見られるごとく) 、又は例えば、
    ナフタレンC 108に見られるごとく、それらの芳香族構造が一体となるように、縮合されてもよい(便宜上、
    「縮合ポリ芳香族化合物」と称する)。 芳香族化合物は、炭素及び水素原子のみで構成されてもよく(便宜上、「芳香族炭化水素」と称する)、又は、一以上のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、リン、ハロゲン)を有していてもよい。

    【0039】本発明において使用するのに適した芳香族化合物は、芳香環原子を有し、但し、その芳香環原子の少なくとも1つが、その原子に共有結合する水素原子を有する一以上の環式芳香族構造によって特徴付けられる有機化合物である。 一実施形態において、芳香環原子の少なくとも1つは、炭素原子であり、又、その芳香環炭素原子はそれに共有結合する水素原子を有する。

    【0040】本発明において使用するのに適した芳香族化合物は、式HAr で表わされる。 ここで、Ar は、芳香環原子を有する少なくとも1つの環式芳香族構造を含む化学的部分を示し、又、Hは、その芳香環原子の1つに共有結合する水素原子を表わす。

    【0041】一実施形態において、芳香族化合物は、好ましくは、6〜20の炭素原子を有する。 好ましい一実施形態において、芳香族化合物は、6〜15の炭素原子を有する。 より好ましい一実施形態において、芳香族化合物は、6〜12の炭素原子を有する。 最も好ましくは、芳香族化合物は、6〜8の炭素原子を有する。 一実施形態において、芳香族化合物は、炭素の環原子のみを含む。 一実施形態において、芳香族化合物は、一以上の環へテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄)を含む。

    【0042】芳香族化合物は、直鎖、分枝、脂環式、芳香族、又は、それらの組合せ、及び、完全に飽和であり、部分的に不飽和であり、又は、完全に不飽和である、一以上の炭化水素置換基を更に含んでいてもよい。
    炭化水素置換基の例示には、しかしそれに限定されないが、アルキル(例えば、C 1-4アルキル)、シクロアルキル(例えば、C 3-6シクロアルキル)、アリール(例えば、C 6-12アリール)、アルカリール(例えば、C
    7-16アルカリール)、及びアラルキル(例えば、C 7- 16
    アラルキル)が含まれる。

    【0043】アルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、
    及びtert−ブチルが含まれる。

    【0044】シクロアルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及び、シクロヘキシルが含まれる。 アリール置換基の例には、しかしそれには限定されないが、フェニル、及びナフチルが含まれる。

    【0045】アルカリール置換基の例には、しかしそれには限定されないが、2−メチルフェニ−1−イル(即ち、o−トリル)、3−メチルフェニ−1−イル(即ち、m−トリル)、4−メチルフェニ−1−イル(即ち、p−トリル)、2,3−ジメチルフェニ−1−イル(即ち、2,3−キシリル)、3,4−ジメチルフェニ−1−イル(即ち、3,4−キシリル)、及び、2,
    4,6−トリメチルフェニ−1−イル(即ち、メシチル)が含まれる。

    【0046】アラルキル置換基の例には、しかしそれには限定されないが、フェニルメチル(即ち、ベンジル)、フェニルエチル(即ち、フェネチル)、及び、トリフェニルメチル(即ち、トリチル)が含まれる。 不飽和炭化水素置換基の例には、しかしそれには限定されないが、ビニル(即ち、−CH=CH 2 )及びアリル(即ち、−CH 2 −CH=CH 2 )が含まれる。

    【0047】芳香族化合物、及び炭化水素置換基は、更に、1つ以上の非炭化水素置換基を含み、その置換基は、しかしそれには限定されないが、酸素、硫黄、窒素、リン、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む、炭素及び水素以外の原子を少なくとも1つ含む。

    【0048】非炭化水素置換基の例には、しかしそれには限定されないが、ハロゲン基(例えば、−F、−Cl
    、−Br 、−I )、ヒドロキシル基(即ち、−O
    H)、エーテル基(例えば、−OR)、カルボキシル基(即ち、−COOH)、エステル基(即ち、−COO
    R)、アルデヒド基(即ち、−CHO)、ケトン基(例えば、−C( =O) R)、アミド基(即ち、−C( =
    O) NH 2 )、置換アミド基(例えば、−C( =O) N
    2 )、アミノ基(即ち、−NH 2 )、置換アミノ基(例えば、−NHR、−NR 2 )、ニトロ基(即ち、−
    NO 2 )、ニトロソ基(即ち、−NO)、シアノ基(即ち、−CN)、シアナト基(即ち、−OCN)、イソシアナト基(即ち、−NCO)、チオシアナト基(即ち、
    −SCN)、イソチオシアナト基(即ち、−NCS)、
    チオール基(即ち、−SH)、チオエーテル基(例えば、−SR)、スルホナト基(即ち、−SO 3 H)、及びハロゲン化アルキル基(例えば、−CF 3 )が含まれる。

    【0049】好ましくは、芳香族化合物の非炭化水素置換基は、下記のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対する阻害剤として作用しないか、又は、実質的に作用しないか、あるいは、望ましくない交差反応又は副反応を起こさないか又は実質的に起こさないものである。

    【0050】一実施形態において、芳香族化合物は、下記に検討されるごとく、反応温度で液体である。 一実施形態において、芳香族化合物は、液体、又は、約200
    ℃以下の温度で、より好ましくは、約175℃以下で、
    更に好ましくは、150℃以下で、溶融する固体である。 このように、一実施形態において、芳香族化合物それ自体は、反応媒体として使用できる。

    【0051】一実施形態において、芳香族化合物は、6
    〜12の炭素原子を有し、又、アルキル(例えば、C
    1-4アルキル)、シクロアルキル(例えば、C 3-6シクロアルキル)、アリール(例えば、C 6-12アリール)、
    アルカリール(例えば、C 7-16アルカリール)、及びアラルキル(例えば、C 7-16アラルキル)からなる群から選択される0〜2の置換基を有し、その各置換基は、置換されていないか、又は、ヒドロキシル基(即ち、−O
    H)、カルボキシル基(即ち、−COOH)、エステル基(例えば、−COOR)、アルデヒド基(即ち、−C
    HO)、ケトン基(例えば、−C(=O)R)、アミド基(即ち、−C(=O)NH 2 )、置換アミド基(例えば、−C(=O)NR 2 )、及びニトロ基(即ち、−N
    2 )からなる群から選択される1 以上の置換基により、更に置換されている。

    【0052】モノ芳香族炭化水素である芳香族化合物の実施例には、しかしそれに限定されないが、ベンゼン、
    メチルベンゼン(即ち、トルエン)、1,2−ジメチルベンゼン(即ち、0−キシレン)、1,3−ジメチルベンゼン(即ち、m−キシレン)、1,4−ジメチルベンゼン(即ち、p−キシレン)、1,3,5−トリメチルベンゼン(即ち、メシチレン)、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン(即ち、クメン)、1−イソプロピル−4−メチル−ベンゼン(即ち、p−クメン)、n−ブチルベンゼン、2−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、ネオペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1−シクロヘキシル−4−メチルベンゼン、シクロオクチルベンゼン、スチレン、メチルビニルベンゼン、
    及び、ジビニルベンゼンが含まれる。

    【0053】ポリ芳香族炭化水素である芳香族化合物の例示には、しかしながらそれに限定されないが、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フェナントラセン、トリフェニレン、ピレン、2,2−ジメチルビフェニル、ジフェニルメタン、1,2−ジフェニルエタン、及び、1,8−ジフェニルオクタンが含まれる。

    【0054】へテロ原子を含む(環原子であれ、置換基又は置換基の一部としてであれ)、芳香族化合物の例示には、しかしながらそれに限定されないが、メトキシベンゼン(即ち、アニソール)、エトキシベンゼン、ニトロベンゼン、メチルベンゾアート、エチルベンゾアート、イソブチルベンゾアート、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルフェニルエーテル、ベンゾニトリル、フェニルアセタート、フェニルヘキサノアート、トリルアセタート、フェノール、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、クロロベンゼン、2−クロロキシレン、ブロモベンゼン、トリクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、及び、1,2−ジブロモナフタレンが含まれる。

    【0055】一実施形態において、芳香族化合物は、ベンゼン、メチルベンゼン(即ち、トルエン)、1,2−
    ジメチルベンゼン(即ち、o−キシレン)、1,3−ジメチルベンゼン(即ち、m−キシレン)、1,4−ジメチルベンゼン(即ち、p−キシレン)、メチルエチルベンゼン、メチルビニルベンゼン、スチレン、及びジビニルベンゼンが含まれる。 一実施形態において、芳香族化合物は、最も好ましくは、ベンゼンである。

    【0056】[ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒]本発明のカップリング反応は、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒の存在下で行われる。 本明細書において使用される「ロジウム(III)アセチルアセトナト」
    の用語は、+3酸化状態の少なくとも1つのロジウム原子、及び少なくとも1つのアセチルアセトナト基を含む化合物を意味する。 一実施形態において、ロジウム(II
    I)アセチルアセトナト触媒は、1つのロジウム原子を有している。

    【0057】用語「アセチルアセトナト基」(しばしば、頭文字で構成した「acac」によって表現される)
    は、本明細書において、通常の意味において使用され、
    アセチルアセトンのエノール互変異性体の脱プロトン化により得られるアニオンを指している。

    【0058】

    【化6】

    【0059】アセチルアセトナトは、典型的には各カルボニル基の酸素原子を介して結合する、二座のアニオン性配位子として作用する。

    【0060】数多くのロジウム(III)化合物が、商業上入手可能であり、ロジウム(III)クロリド(即ち、Rh
    Cl 3 )、ロジウム(III)クロリドハイドラート(即ち、
    RhCl 3 (H 2 O) 3 )、ロジウム(III)ブロミドハイドラート(即ち、Rh Br 3 (H 2 O) 3 )、及びロジウム(III)ヨージドハイドラート(即ち、Rh I 3 (H 2
    O) 3 )が含まれる。 水性溶液中で、これらのトリハライドは、典型的に溶媒和した6配位種、例えば、Rh C
    l 3 ( H 2 O) 3 、Rh Br 3 ( H 2 O) 3 、及び、Rh I 3 (H
    2 O) 3を形成する。 これらの種と、例えば、ナトリウムアセチルアセトナト(即ち、Na(acac) )との更なる反応は、典型的には、1〜3のacac基を有し、かつ、本発明においてロジウム(III)アセチルアセトナト触媒として有用な、ロジウム(III)アセチルアセトナト種を生成する。

    【0061】一実施形態において、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒は、1つのacac基を有する。 その種の例として、しかしながらそれに限定されないが、Rh
    (acac) Cl 3 ( H 2 O) 、Rh(acac) Cl 2 ( H 2 O) 2
    Rh(acac) Cl(H 2 O) 3 、Rh(acac) Br 3 ( H 2 O) 、
    Rh(acac) Br 2 ( H 2 O) 2 、Rh(acac) Br(H 2 O) 3
    Rh(acac) I 3 (H 2 O) 、Rh(acac) I 2 (H 2 O) 2 、及びRh(acac) I( H 2 O) 3が含まれる。

    【0062】一実施形態において、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒は、2つのacac基を有する。 その種の例として、しかしながらそれに限定されないが、Rh
    (acac) 2 Cl(H 2 O) 、Rh(acac) 2 Cl 2 、Rh(acac) 2 Br
    (H 2 O) 、Rh(acac) 2 Br 2 、Rh(acac) 2 I( H 2 O)
    、Rh(acac) 22 、及び、Rh(acac) 2 ( H 2 O) 2が含まれる。 一実施形態において、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒は、少なくとも1つのハロゲン原子(即ち、Cl 、Br 、I)を有する。 一実施形態において、
    ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒は、Rh(acac) 2
    Cl(H 2 O) である。

    【0063】[銅(II)レドックス剤]酸化カップリング反応中、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒のロジウム(III)は、典型的には、ロジウム( I) 状態に還元される。 ロジウムに関して反応を触媒的にするために、
    ロジウム( I) をロジウム(III) に酸化して戻して、触媒を再生する必要がある。 本発明において、この酸化は、銅(II)レドックス剤を使用して達成される。 本明細書において使用される用語「銅(II)レドックス剤」は、
    +2酸化状態の少なくとも1つの銅原子を含む化合物を示す。 一実施形態において、銅(II)レドックス剤は1つの銅原子を有する。

    【0064】一実施形態において、銅(II)レドックス剤は、銅(II)塩である。 一実施形態において、銅(II)レドックス剤は、銅(II)無機塩、即ち、1又は複数のアニオンが無機種である塩である。 一実施形態において、銅(I
    I)レドックス剤が銅(II)クロリド( 即ち、Cu Cl 2 ) である。 好ましい実施形態において、銅(II)レドックス剤は、銅(II)有機塩、即ち、1又は複数のアニオンが有機種である塩である。 一実施形態において、銅(II)レドックス剤が、最も好ましくは、酢酸銅(II)(即ち、Cu(C
    3 COO) 2 ) である。

    【0065】[反応媒体]本発明のカップリング反応は、カルボン酸成分を含まない反応媒体中で行われる。
    用語「 反応媒体」 は、本明細書中で通常の意味で使用され、オレフィン化合物と芳香族化合物がその中で反応して所望の製品を生成する液媒体として用いられる。

    【0066】用語「 カルボン酸」 は、本明細書中で通常の意味で使用され、式RC( =O)OHで表わされる化合物である。 先行技術において、酸化カップリング反応媒体の成分として使用されるカルボン酸の例として、酢酸(即ち、CH 3 C( =O)OH)、プロピオン酸( 即ち、CH 3 CH 2 C( =O) OH) 、及び、酪酸( 即ち、CH 3 CH 2 CH 2 C( =O) OH) がある。

    【0067】反応は、純粋な反応物を使用し、又は、反応物の溶液又は分散液を使用して行われる。 多くの可能な反応物、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノール、及びその他のものは、反応温度で液体であり、又、反応物及び反応混合物の溶媒として作用することができる。 例えば、本発明の最も好ましい態様による、ベンゼンとエチレンの反応において、
    化学量論的に大過剰量存在するベンゼンは、反応物及び反応媒体としても作用する。

    【0068】オレフィン化合物と有機化合物の純粋の混合物が、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒を溶解しないか、又は、実質的に溶解しないなら、触媒を溶解するために、溶媒(又は助溶媒)を加えることが望ましく、及び/又は、必要となる。

    【0069】可能の反応物のいくつか、例えば、高度に置換された化合物及び縮合した芳香族化合物は、反応温度で固体であり、典型的には、反応に1又は複数の溶媒を必要とする。

    【0070】好ましい溶媒は、( a) カルボン酸以外の溶媒、(b)反応を阻害しない、又は実質的に阻害しない溶媒、(c)反応物又は生成物と反応しない、又は実質的に反応しない溶媒、及び(d)ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤が溶解する、又は、実質的に溶解する溶媒である。

    【0071】オレフィン化合物と芳香族化合物の選択に従って、好適な溶媒には、しかしそれに限定されないが、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、スルホン(例えば、メチルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン)、スルホキシド(例えば、ニメチルスルホキシド、エチルプロピルスルホキシド)、アミド(例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトアミド)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル)、炭化水素(例えば、シクロヘキサン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン)、及び芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)が含まれる。

    【0072】好ましい実施形態において、反応は、溶媒なしで、純粋に行われる。 一実施態様において、反応は、より好ましくは、溶媒なしで、反応物としても又溶媒(反応媒体)としても作用する化学量論的に過剰量の芳香族化合物と共に、純粋に実施される。

    【0073】[反応条件]本発明は、カルボン酸成分を含まない反応媒体中のロジウム(III)アセチルアセトナト触媒及び銅(II)レドックス剤の存在下で、オレフィン化合物と芳香族化合物とを反応させる工程を含む、オレフィン化合物と芳香族化合物のカップリング方法に関する。

    【0074】反応は、選択されたオレフィン化合物と芳香族化合物に適した装置を使用して行われる。 例えば、
    芳香族化合物が反応温度で液体で、オレフィン化合物が反応温度で気体の場合、ベンゼン/エチレンがそれに当たるが、圧反応容器が最も適している。 芳香族化合物及びオレフィン化合物の双方が反応温度で液体の場合、
    加熱される反応容器、又は還流装置が最も適している。

    【0075】芳香族化合物、オレフィン化合物、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒、及び銅(II)レドックス剤の詳細な配合量は、反応パラメーター、例えば、
    触媒ターンオーバーフリークエンシー、選択性、及び収量を最適化するために、当該技術分野の通常の知識を有する者によって直ちに調整可能である。

    【0076】オレフィン化合物に対する芳香族化合物のモル比は、広い範囲で変わる。 オレフィン化合物に対する芳香族化合物の適したモル比は、0.1:1〜100
    0:1である。 芳香族化合物は、しばしば、反応剤であり、反応媒体であり得るから、オレフィン化合物に対する芳香族化合物のモル比を1:1以上(即ち、化学量論的に過剰の芳香族化合物)として使用することが通常望ましい。 オレフィン化合物に対する芳香族化合物のモル比約10:1〜100:1を使用することが、典型的には好ましい。 その範囲では、芳香族化合物の相対量が、
    製品の回収の邪魔とならない程度の量となり、又、オレフィン−オレフィンカップリングは問題とならないレベルとなる。

    【0077】ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対するオレフィン化合物のモル比は、広い範囲で変わる。 通常は、1:1より大きなモル比が触媒効果を有利にするために採用される。 ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対するオレフィン化合物のモル比を低くすると、オレフィン−オレフィンカップリングがより問題となってくる。 ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対するオレフィン化合物のモル比を非常に高くすると、反応は、実際上遅くなりすぎる。 一実施形態において、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒に対するオレフィン化合物のモル比は、約10:1〜約100:1
    である。

    【0078】好ましい実施形態において、芳香族化合物は、反応物としても、反応媒体としても作用し、又、それ故、オレフィン化合物に関して化学量論的に大過剰量存在する。

    【0079】オレフィン化合物が反応温度で気体である場合、それを起泡させることにより反応混合物を通して導入できるが、加圧状態で、典型的には、0.1MPa
    (約1気圧)〜3MPa (約30気圧)の一部加圧状態で、加圧容器に装填することもできる。

    【0080】反応温度は、熱オイルバス、熱水浴、熱板、及び加熱テープを含む、しかしながらそれに限定されないが、適正な装置を使用することによって調整できる。 反応温度は、典型的には約30℃〜約300℃である。 より好ましい実施形態において、反応温度は、約1
    50℃〜約250℃である。 一実施形態において、更に好ましくは、反応温度は、約150℃〜約225℃であり、最も好ましくは、反応温度は、約175℃〜約22
    5℃である。

    【0081】反応は、出発物質のオレフィン化合物を完全に転化させるのに十分な時間行われる。 しかしながら、反応が進み、生成物が増加するに連れて、望ましくない副反応、例えば、ポリアリーレーションが問題となる。 それ故、所望の生成物の収量を最適化するするために、出発物質のオレフィン化合物の転化を完全に終わらない時点で反応を中断することも望ましい。 最適化時間は、反応物の性状、及び選択された操作条件、例えば、
    温度、反応物のモル比、等による。 最適化反応時間の選択は、当該技術分野の専門的知識を有する者のなし得る技術的事項の範囲にある。

    【0082】反応系から定期的に採取したアリコートを検査する方法の一つとして、蒸気相クロマトグラフィー又は他の適正な技法がある。 生成混合物の性状は時間と共に変化するので、その性状を観察することにより、所望の製品の最適化が起こる時間(未反応の出発物質及び望ましくない副生成物との関連において)を決定できる。 反応時間は、典型的には、約1分〜24時間である。 一実施形態において、反応時間は約10分〜約6時間である。 一実施形態において、反応時間は約10分〜
    約2時間である。

    【0083】反応を分子状酸素の存在下で行うことも望ましい。 その酸素は、起泡させることにより反応混合物を通して導入し、又は、圧力下、典型的には、0.1M
    Pa(約1気圧)〜3MPa (約30気圧)の一部加圧状態で装填することができる。

    【0084】

    【実施例】本発明を以下の実施例により説明するが、本発明の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。

    【0085】[実施例1] [ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒の調製]Rh
    Cl 3 ( H 2 O) 3 (810mg、3.112mmol)を40mlの蒸留水と共にNa(acac) (760mg、6.
    231mmol)に添加し、その混合物を窒素雰囲気下で3時間還流した。 得られた溶液を蒸発により乾燥させて、赤レンガ色の固体を得た。 赤色固体をエタノール及びクロロホルムの50/50(体積比)の混合溶液中に溶解して、ろ過することで、白色固体を除去した(Na
    Cl)。 溶液は乾固し、初期溶剤としてクロロホルムを使用し、SiO 2を充填剤としたクロマトグラフィーによって分離を行った。 赤色バンドを溶離するようにエタノール量を徐々に増加して、5フラクションを収集した。 それぞれのフラクションを乾固させた。 テストの結果、第2〜第5バンドは、ベンゼン及びエチレンからスチレンを製造するためのほぼ同一の活性を有することが明らかになった。 1 H及び13 CNMRスペクトル及び元素分析によりRh(acac) 2 Cl(H 2 O) であることを確認した。

    【0086】[実施例2] [ベンゼン及びエチレンからのスチレンの製造]

    【化7】

    Rh(acac)

    2 Cl(H

    2 O) (2mg、5.6×10

    -6 mo


    l)とテフロンで被覆した磁気攪拌子を入れたガラス容器に導入した。 又、酢酸銅(II)(400mg、2.2×


    10

    -3 mol)をベンゼン2mlと共に添加した。 そのガラス容器を、オートクレーブに導入し、窒素によってパージした後、2.1MPa(300psig) になるようにエチレンを充填した。 混合物を攪拌しながら200℃で1時間加熱し、その後反応器を冷却して、脱圧した。 溶液は、もともと青色スラリーであったが、反応と共に緑茶色になった。 溶液を遠心分離して、ガスクロマトグラフィーにより分析した。 溶液は、スチレン(114m


    M、2.2×10

    -4 mol)及び少量(6mM)のビニルアセタートを含んでいた。

    【0087】[実施例3] [ベンゼン及びエチレンからのスチレンの製造](比較例)

    【化8】

    Rh(acac)

    2 Cl(H

    2 O) (2.2mg、6.2×10

    -6


    mol)とテフロンで被覆した磁気攪拌子を入れたガラス容器に導入した。 又、酢酸銅(II)(20mg、1.1


    ×10

    -4 mol)を10重量%濃度の酢酸を含むベンゼン酢酸溶液2mlと共に添加した。 そのガラス容器をオートクレーブに導入し、窒素によってパージした後、


    0.5MPa(80psig) になるように酸素を充填し、その後、2.1MPa(300psig) になるようにエチレンを充填した。 混合物を攪拌して1時間200℃に加熱し、その後、反応器を冷却して、脱圧した。 溶液は、もともと青色スラリーであったが、反応後も青色のままであった。 溶液を遠心分離して、ガスクロマトグラフィーにより分析した。 溶液は、(117mM、スチレン2.


    3×10

    -4 mol及びビニルアセタート12mM)を含んでいた。

    【0088】[実施例4] [ロジウム(III)アセチルアセトナト、ロジウム(II
    I)、及びパラジウム(III)を使用したベンゼン及びエチレンからのスチレンの製造]125cm 3のステンレス製オートクレーブ容器中で合成を行った。 挿入板を設けて、6つまでの隔離した合成が同一条件( 温度、時間、圧力) で実施できるようにした。 典型的な合成は、
    触媒{Rh(acac) 2 Cl(H 2 O) 、Rh Cl 3 ( H 2 O) 3
    Pd(CH 3 COO) 2 }2〜3mg、及びCu(CH 3 CO
    O) 2 400mgを、テフロンで被覆した攪拌子を備えた5mlのガラス容器に添加することにより行った。 ベンゼン、又は、ベンゼン酢酸の混合溶液{90/10(体積比) 又は50/50(体積比)]2mlを、更に、ガラス容器に加えた。

    【0089】それぞれ微小な穴を有するテフロンキャップでガラス容器の栓をした。 ガラス容器は、オートクレーブに導入し、密封し、脱気し、又、2.1MPa(30
    0psig) のエチレンで加圧した。 酢酸を含む溶媒における反応では、酢酸銅(II)の量は20〜30mgに減少させ、全圧力2.1MPa(300psig)のエチレン及び酸素75/25( 分圧比) の混合系で反応を行なった。
    反応容器は、磁気攪拌器により攪拌しつつ、オイルバスにより加熱した。 反応温度は、150℃〜200℃の範囲であり、反応時間は、20〜60分の範囲で実施した。 反応後、反応器を冷却し、徐々に脱圧した。 内部標準( クロロベンゼン) を各ガラス容器に添加して、それぞれを、スチレン、ビニルアセタート、ジビニルベンゼン、及び、スチルベンに関してガスクロマトグラフィーにより、分析した。 本明細書においてmM(ミリモラー)は反応溶液中の生成物のモル濃度である。 又、触媒のターンオーバーフリークエンシー(TOF)は以下のように定義する。 TOF=(生成物のモル数÷触媒のモル数)÷反応時間(秒)

    【0090】

    【表1】

    【0091】

    【発明の効果】前記のデータから理解できるように、酢酸の非存在下でロジウム(III)アセチルアセトナト触媒を使用すると、従来技術の酢酸パラジウム(II)触媒に対して得られる触媒のターンオーバーフリークエンシー(
    1.6×10 -2 ) と匹敵し得る触媒のターンオーバーフリークエンシー( 5.6×10 -3及び1.0×10 -2 )
    を得た。 又、酢酸の非存在下でロジウム(III)アセチルアセトナト触媒を使用すると、単なるロジウム(III)触媒{Rh Cl 3 ( H 2 O) 3 }に対して得られる触媒のターンオーバーフリークエンシーより約10〜20倍程度大きい触媒のターンオーバーフリークエンシー( 5.6×
    10 -3及び1.0×10 -2 ) を得た。

    【0092】更に重要なことには、従来の先行技術の酢酸パラジウム(II)触媒が、ビニルアセタートに対してスチレンを、約0.5の比で製造できるのに比較して、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒は、ビニルアセタートに対してスチレンを、約8〜約20の比で製造できた。

    【0093】非常に改善された選択性と共に、実用性のある触媒ターンオーバーフリークエンシーを有することは、ロジウム(III)アセチルアセトナト触媒が、従来の先行技術のパラジウム触媒に対して実質的な革新を提供できることを示している。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロイ エイ. ペリアナ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94024, ロスアルトス,アウトルック ドライブ 513

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