Cement composition and a method of manufacturing the same

申请号 JP2010050654 申请日 2010-03-08 公开(公告)号 JP4775495B1 公开(公告)日 2011-09-21
申请人 宇部興産株式会社; 发明人 浩 三上; 貴康 伊藤; 仁 殿河内; 則彦 澤邊;
摘要 【課題】セメント組成物の鉱物組成や粉末度を維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性を向上させることが可能なセメント組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のセメント組成物は、Sr含有量が0.037〜0.075質量%である。 本発明のセメント組成物の製造方法は、石灰石、 硅 石、石炭灰、粘土、 高炉 スラグ、建設発生土、下 水 汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源からなる群より選ばれる少なくとも一種の原料を含む混合物を焼成してセメントクリンカーを得る工程(A)と、セメントクリンカーと 石膏 とを混合してセメント組成物を得る工程(B)とを有するセメント組成物の製造方法であって、工程(A)では、セメント組成物中のSr含有量が0.037〜0.075質量%となるように原料原単位を調整して原料を調合する。
【選択図】図1
权利要求
  • Sr含有量が 0.040質量%を超え 0.075質量% 以下であ り、
    S含有量が50〜70質量%、C S含有量が5〜25質量%、C A含有量が6〜15質量%及びC AF含有量が7〜15質量%である 、セメント組成物。
  • MgO含有量が0.7〜1.6質量%であり且つSO 含有量が1.6〜2.4質量%である、請求項 1記載のセメント組成物。
  • 石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源からなる群より選ばれる少なくとも一種の原料を含む混合物を焼成してセメントクリンカーを得る工程(A)と、
    前記セメントクリンカーと石膏とを混合して 、C S含有量が50〜70質量%、C S含有量が5〜25質量%、C A含有量が6〜15質量%及びC AF含有量が7〜15質量%であるセメント組成物を得る工程(B)とを有するセメント組成物の製造方法であって、
    前記工程(A)では、前記セメント組成物中のSr含有量が 0.040質量%を超え 0.075質量% 以下となるように原料原単位を調整して前記原料を調合する、セメント組成物の製造方法。
  • 前記工程(A)では、前記セメントクリンカー1トンあたり前記石灰石700〜1400kg、前記硅石20〜150kg、前記石炭灰0〜300kg、前記粘土0〜100kg、前記高炉スラグ0〜100kg、前記建設発生土10〜150kg、前記下水汚泥0〜100kg、前記ハイドロケーキ0〜100kg、及び、前記鉄源30〜80kgを調合する、請求項 記載のセメント組成物の製造方法。
  • 前記工程(A)では、前記石炭灰に対する前記建設発生土の質量比が0.13〜1.6となるように前記建設発生土と前記石炭灰とを調合する、請求項 又は 記載のセメント組成物の製造方法。
  • 前記工程(A)における前記建設発生土中のSr含有量が0.01〜0.4質量%であり且つ前記石炭灰中のSr含有量が0.02〜0.2質量%である、請求項 の何れか一項記載のセメント組成物の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、セメント組成物及びその製造方法に関する。

    セメント組成物は、セメント組成物に含まれる成分ととが反応して水和物を生成し、強度を発現する。 一般的には、水和物の生成量が多くなるにつれて、モルタル又はコンクリートの強度は上昇する。

    セメントユーザーからは、コンクリートの流動性や凝結時間を損なわずに、強度発現性に優れたコンクリートを得ることが可能なセメント組成物が求められている。

    コンクリートの強度発現性を向上させる方法としては、「粉末度(ブレーン比表面積)を細かくする」、「C S含有量を増加させる」等の手段が用いられている(例えば非特許文献1)。

    (社)セメント協会、4. セメントの種類と用途、セメントの常識、p. 11−17(2004)

    しかしながら、非特許文献1のように「粉末度(ブレーン比表面積)を細かくする」、「C S含有量を増加させる」等のセメント組成物の粉末度や鉱物組成を変える手段によってコンクリートの強度発現性を向上させると、流動性が低下し、さらに、凝結時間が短縮してしまうという事情があった。

    本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、モルタルやコンクリートの適正なフレッシュ性状(流動性、凝結時間)を維持しつつ、セメント組成物の強度発現性を向上させることが可能なセメント組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。

    本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、モルタルやコンクリートのフレッシュ性状を維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性を向上させるためには、セメント組成物中のSr(ストロンチウム)含有量を制御することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。

    すなわち、本発明は、Sr含有量が0.040質量%を超え 0.075質量% 以下であり、C S含有量が50〜70質量%、C S含有量が5〜25質量%、C A含有量が6〜15質量%及びC AF含有量が7〜15質量%であるセメント組成物を提供する 発明のセメント組成物では、MgO含有量が0.7〜1.6質量%であり且つSO 含有量が1.6〜2.4質量%であることが好ましい。

    また、本発明は、石灰石、石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源からなる群より選ばれる少なくとも一種の原料を含む混合物を焼成してセメントクリンカーを得る工程(A)と、セメントクリンカーと石膏とを混合して、C S含有量が50〜70質量%、C S含有量が5〜25質量%、C A含有量が6〜15質量%及びC AF含有量が7〜15質量%であるセメント組成物を得る工程(B)とを有するセメント組成物の製造方法であって、工程(A)では、セメント組成物中のSr含有量が0.040質量%を超え 0.075質量% 以下となるように原料原単位を調整して原料を調合する、セメント組成物の製造方法を提供する。

    工程(A)では、セメントクリンカー1トンあたり石灰石700〜1400kg、硅石20〜150kg、石炭灰0〜300kg、粘土0〜100kg、高炉スラグ0〜100kg、建設発生土10〜150kg、下水汚泥0〜100kg、ハイドロケーキ0〜100kg、及び、鉄源30〜80kgを調合することが好ましい。 この場合、上記記載のC S、C S、C A、C AF、MgO、およびSO 含有量が適正な範囲のセメント組成物を得ることができる。

    工程(A)では、石炭灰に対する建設発生土の質量比が0.13〜1.6となるように建設発生土と石炭灰とを調合することが好ましい。 この場合、セメント組成物のSr含有量を適正範囲に容易に調整することができる。

    工程(A)における建設発生土中のSr含有量が0.01〜0.4質量%であり且つ石炭灰中のSr含有量が0.02〜0.2質量%であることが好ましい。 この場合、石炭灰と建設発生土の混合物のSr含有量を調整することができる。

    本発明によれば、モルタルやコンクリートの適正なフレッシュ性状を維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性(例えば材齢28日の強度発現性)を向上させることが可能なセメント組成物及びその製造方法を提供することができる。

    セメント組成物中のSr含有量とセメント組成物のモルタル圧縮強さの関係を示す図である。

    以下、本発明の好適な実施形態について説明する。

    本実施形態に係るセメント組成物は、Sr含有量が0.037〜0.075質量%であることを特徴とする。

    Srは、セメント組成物に含有される微量成分である。 本発明者らは、セメント組成物中のSr含有量と、セメント組成物の強度発現性とに関係があることを突き止め、Sr含有量が適正範囲になるとモルタル及びコンクリートの強度発現性が向上することを見出した。 本実施形態に係るセメント組成物では、Sr含有量を特定の範囲となるように制御することによって、モルタルやコンクリートの適正なフレッシュ性状を維持しつつ強度発現性を向上させることができる。 セメント組成物中のSr含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電機加熱式原子吸光分析方法によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定することができる。

    セメント組成物中のSr含有量は、0.037〜0.075質量%であり、好ましくは0.040質量%を超え0.075質量%以下であり、より好ましくは0.040質量%を超え0.065質量%以下であり、更に好ましくは0.045〜0.065質量%であり、特に好ましくは0.045〜0.060質量%であり、極めて好ましくは0.050〜0.060質量%である。 セメント組成物中のSr含有量が0.037質量%未満あるいは0.075質量%を超過すると、本実施形態に係るセメント組成物を用いたモルタルやコンクリートの適正な強度発現性が維持できない場合がある。

    本実施形態に係るセメント組成物では、好ましくはC S含有量が50〜70質量%、C S含有量が5〜25質量%、C A含有量が6〜15質量%及びC AF含有量が7〜15質量%であり、より好ましくはC S含有量が52〜65質量%、C S含有量が10〜25質量%、C A含有量が8〜13質量%及びC AF含有量が8〜12質量%であり、更に好ましくはC S含有量が53〜65質量%、C S含有量が11〜20質量%、C A含有量が9〜12質量%及びC AF含有量が8〜11質量%である。 セメント組成物の鉱物組成が上記範囲内であると、モルタル及びコンクリートのフレッシュ性状を維持しつつ、強度発現性を容易に維持することができる。

    ここで、セメント組成物中のC S含有量(エーライト相)、C S含有量(ビーライト相)、C A含有量(アルミネート相)、C AF含有量(フェライト相)は、下記のボーグ式[1]〜[4]により算出する。

    S含有量(質量%)=4.07×CaO含有量(質量%)−7.60×SiO 含有量(質量%)−6.72×Al 含有量(質量%)−1.43×Fe 含有量(質量%)−2.85×SO 含有量(質量%) ・・・[1]
    S含有量(質量%)=2.87×SiO 含有量(質量%)−0.754×C S含有量(質量%) ・・・[2]
    A含有量(質量%)=2.65×Al 含有量(質量%)−1.69×Fe 含有量(質量%) ・・・[3]
    AF含有量(質量%)=3.04×Fe 含有量(質量%) ・・・[4]

    式中の「CaO含有量」、「SiO 含有量」、「Al 含有量」及び「Fe 含有量」は、それぞれ、セメント組成物におけるCaO、SiO 、Al 及びFe のセメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)である。 これらの含有割合は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」あるいはJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」により測定することができる。

    本実施形態に係るセメント組成物では、MgO含有量が、好ましくは0.7〜1.6質量%、より好ましくは0.7〜1.5質量%、更に好ましくは0.8〜1.5質量%、特に好ましくは0.9〜1.5質量%、極めて好ましくは0.9〜1.45質量%である。 セメント組成物中のMgO含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物の流動性を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性を更に向上させることができる。 セメント組成物中のMgO含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。

    また、本実施形態に係るセメント組成物では、SO 含有量が、好ましくは1.6〜2.5質量%、より好ましくは1.7〜2.5質量%、更に好ましくは1.8〜2.5質量%であり、特に好ましくは1.8〜2.45質量%である。 セメント組成物中のSO 含有量が、上記範囲内であると、セメント組成物の流動性を適度に維持しつつ、モルタルやコンクリートの強度発現性を更に向上させることができる。 セメント組成物中のSO 含有量は、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)であり、この含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定することができる。

    本実施形態に係るセメント組成物の製造方法は、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源からなる群より選ばれる少なくとも一種のSr含有原料を含む混合物を焼成してセメントクリンカーを得る工程(A)と、得られたセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕しセメント組成物を得る工程(B)とを有する。 工程(A)では、セメント組成物中のSr含有量が0.037〜0.075質量%となるように原料原単位を調整してSr含有原料を調合する。 ここで「原料原単位」とは、セメントクリンカーを1トン製造するにあたり使用される各原料の質量(kg/t−クリンカー)をいう。 なお、Srをある程度含有する原料であれば、上記の石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源以外であっても良い。

    工程(A)におけるセメントクリンカーの原料としては、石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源等が挙げられる。 石炭灰は、石炭火発電所等から発生するものであり、シンダアッシュ、フライアッシュ、クリンカアッシュ及びボトムアッシュが挙げられる。 建設発生土は、建設工事の施工に伴い副次的に発生する残土や泥土、廃土等が挙げられる。 下水汚泥としては、汚泥単味のほか、これに石灰石を加えて乾粉化したものや、焼却残渣等が挙げられる。 鉄源としては、銅からみ、高炉ダスト等が挙げられる。

    工程(A)では、セメントクリンカー原料として、ドライベース(水分を含まない状態)で、石灰石700〜1400kg/t−クリンカー、硅石20〜150kg/t−クリンカー、石炭灰0〜300kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、建設発生土10〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー、及び、鉄源30〜80kg/t−クリンカーを調合することが好ましい。 また、工程(A)では、セメントクリンカー原料として、ドライベースで、石灰石800〜1300kg/t−クリンカー、硅石20〜100kg/t−クリンカー、石炭灰10〜250kg/t−クリンカー、粘土0〜80kg/t−クリンカー、高炉スラグ5〜50kg/t−クリンカー、建設発生土20〜150kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜70kg/t−クリンカー、ハイドロケーキを20〜80kg/t−クリンカー及び鉄源30〜60kg/t−クリンカーを調合することがより好ましい。 石炭灰は、ドライベースで20〜250kg/t−クリンカーであることが更に好ましい。

    工程(A)におけるSr含有セメントクリンカー原料の原料原単位を調整して調合する方法として、具体的には、サンプリングしたセメント組成物中のSr含有量に基づいて、セメント組成物の強度発現性との関係を測定し、セメント組成物中のSr含有量が0.037〜0.075質量%となるように、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整し、この原料を焼成して得られたセメントクリンカーを用いる方法が挙げられる。 このような方法によって、Sr含有量が特定の範囲であり、強度発現性(例えば材齢28日の強度発現性)を向上したセメント組成物を製造することができる。

    セメント組成物中のSr含有量が0.037質量%未満、または0.075質量%を超過すると、セメント組成物の強度発現性は低下する傾向がある。 セメント組成物中のSr含有量を調整する場合には、他のセメントクリンカー原料と比較してストロンチウム(Sr)を多く含む石灰石、石炭灰、建設発生土、高炉スラグ、ハイドロケーキからなる群より選ばれる少なくとも一種のSr含有セメントクリンカー原料の原料原単位を各原料のSr含有量に基づいて増量又は減量して調整し、Sr含有量が0.037〜0.075質量%であるセメントクリンカーを製造し、このセメントクリンカーを用いてSr含有量が0.037〜0.075質量%であるセメント組成物を製造することができる。

    セメントクリンカー原料の中でも、石灰石、石炭灰及び建設発生土の使用量(原料原単位)が、セメント組成物中のSr含有量に与える影響が大きい。 セメント組成物中のSr含有量を調整するには、石炭灰に対する建設発生土の配合量を質量比で調整することが好ましい。 石炭灰に対する建設発生土の配合量(建設発生土(kg/t−クリンカー)/石炭灰(kg/t−クリンカー))は質量比で、好ましくは0.13〜1.6であり、より好ましくは0.13〜1.5であり、更に好ましくは0.20〜1.5であり、特に好ましくは0.20〜1.4であり、極めて好ましくは0.25〜1.4である。 このように石炭灰に対する建設発生土の質量比を調整することによって、石炭灰と建設発生土の混合物中のSr含有量を0.0580〜0.0980質量%とすることが好ましい。 石炭灰と建設発生土の混合物中のSr含有量は、より好ましくは0.0600〜0.0980質量%であり、更に好ましくは0.0600〜0.0850質量%であり、特に好ましくは0.0650〜0.0850質量%である。 石炭灰と建設発生土の混合物中のSr含有量は、石灰石と建設発生土の混合物の全体質量に対する含有割合(質量%)である。

    Sr含有セメントクリンカー原料として、各原料中のSr含有量が、以下の範囲のものを使用することが好ましい。 なお、各原料中のSr含有量は、各原料全体(100質量%)に対する含有割合(質量%)である。

    石灰石としては、Sr含有量が、好ましくは0.005〜0.070質量%、より好ましくは0.005〜0.060質量%、更に好ましくは0.010〜0.060質量%のものを使用する。

    硅石としては、Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.04質量%、より好ましくは0.001〜0.03質量%、更に好ましくは0.001〜0.025質量%のものを使用する。

    石炭灰としては、Sr含有量が、好ましくは0.02〜0.2質量%、より好ましくは0.02〜0.15質量%、更に好ましくは0.02〜0.13質量%のものを使用する。

    高炉スラグとしては、Sr含有量が、好ましくは0.02〜0.08質量%、より好ましくは0.02〜0.07質量%、更に好ましくは0.02〜0.06質量%のものを使用する。

    粘土としては、Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.003〜0.025質量%、更に好ましくは0.003〜0.02質量%のものを使用する。

    建設発生土としては、Sr含有量が、好ましくは0.01〜0.4質量%、より好ましくは0.01〜0.3質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%のものを使用する。

    下水汚泥としては、Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.07質量%、更に好ましくは0.001〜0.05質量%のものを使用する。

    ハイドロケーキとしては、Sr含有量が、好ましくは0.1〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.7質量%、更に好ましくは0.1〜0.6質量%のものを使用する。

    銅からみとしては、Sr含有量が、好ましくは0.005〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.04質量%、更に好ましくは0.005〜0.03質量%のものを使用する。

    高炉ダストとしては、Sr含有量が、好ましくは0.001〜0.03質量%、より好ましくは0.001〜0.02質量%、更に好ましくは0.001〜0.015質量%のものを使用する。

    セメントクリンカーの製造は、SP方式(多段サイクロン予熱方式)又はNSP方式(仮焼炉を併設した多段サイクロン予熱方式)等の既存のセメント製造設備を用いて製造することができる。

    なお、工業スケールの製造においては、例えば、まず品質管理用のセメント組成物を製造し、そのSr含有量とセメント組成物の強度発現性との相関関係を測定し、Sr含有量が0.037〜0.075質量%となるように、セメントクリンカーの原料原単位及び焼成条件を調整し、強度発現性を向上したセメント組成物を製造することができる。

    次に、NSP方式の既存のセメント製造設備を用いて、本実施形態に係るセメント組成物に用いるセメントクリンカーの製造方法の一実施態様を説明する。 なお、本実施形態に係るセメント組成物の製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではない。

    セメントクリンカーの各原料の混合方法は、特に限定されないが、例えば原料粉砕ミル等で粉砕混合し、更にはブレンディングサイロで混合することが好ましい。

    粉砕混合されたセメントクリンカー原料は、さらに既存の設備であるサスペンションプレヒータ及びロータリーキルンを用いて焼成することができる。 セメントクリンカーの焼成温度、焼成時間等の焼成条件を調整することによっても、Sr含有量が0.037〜0.075質量%に調整したセメント組成物を製造するためのセメントクリンカーを得ることができる。

    セメントクリンカーの焼成温度は、特に限定されないが、NSP方式のセメント製造設備を用いた場合には、ロータリーキルンの出口付近におけるセメントクリンカーの温度が、好ましくは800〜1700℃、より好ましくは900〜1600℃、更に好ましくは1000〜1500℃である。 焼成時間は、20分間〜2時間、より好ましくは30分間〜2時間、更に好ましくは45分〜1.5時間である。

    焼成後、得られたセメントクリンカーは、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーによって、例えば100〜200℃程度まで冷却されることが好ましい。 冷却速度は、好ましくは10〜60℃/分であり、より好ましくは15〜45℃/分であり、更に好ましくは15〜30℃/分である。 冷却速度が10〜60℃/分の範囲であると、優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となるセメント組成物を得ることができる。

    工程(B)において、セメント組成物は、Sr含有量が0.037〜0.075質量%であるセメントクリンカーと石膏とを混合して粉砕することによって製造することができる。 石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。

    工程(B)において、Sr含有量が0.037〜0.075質量%であるセメントクリンカーに対して、セメント組成物中のSO 含有量が1.6〜2.4質量%、好ましくは1.7〜2.1質量%となるように石膏を配合して粉砕することが好ましい。 粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。 なお、セメントクリンカーと石膏とを含有するセメント組成物では、セメントクリンカーの含有量がセメント組成物の全体質量に対して95〜97質量%であり且つ石膏の含有量が3〜5質量%であることが好ましい。

    工程(B)において、セメント組成物は、さらに混合材を含有してもよい。 混合材としては、JIS R 5211「高炉セメント」で規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」で規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」で規定されるフライアッシュ、石灰石微粉末を利用することができる。 混合材の合計含有割合(質量%)は、セメント組成物の全体質量に対して5質量%以下であることが好ましい。

    本実施形態に係るセメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2800〜4000cm /gである。 ブレーン比表面積が上記範囲内であると、更に優れた強度発現性を有するモルタルやコンクリートの製造が可能となる。 セメント組成物のブレーン比表面積は、より好ましくは3000〜3800cm /gであり、更に好ましくは3000〜3500cm /gである。

    以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。

    以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

    参考例1、実施例 〜7、比較例1〜3)
    [セメントクリンカーの原料]
    Sr含有セメントクリンカーのSr含有量を調整するために、原料として使用する石灰石、硅石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥、ハイドロケーキ及び鉄源(銅からみ、高炉ダスト)のSr含有量を予め測定し、これらの原料原単位を調整してSr含有セメントクリンカーのSr含有量を調整した。 また、セメント組成物中のSO 含有量を調整するために、二水石膏を使用した。 表1に、 参考例、実施例及び比較例に使用した石灰石、硅石、石炭灰、高炉スラグの化学成分の数値を示す。 また、表1に示した原料以外の原料中のSr含有量を以下に記載する。 なお、以下に示す化学成分及び原料原単位は、ドライベース(水分を含まない状態)の原料原単位である。
    ・粘土(Sr含有量=0.0138質量%)
    ・建設発生土(Sr含有量=0.0272質量%)
    ・下水汚泥(Sr含有量=0.002質量%)
    ・ハイドロケーキ(Sr含有量=0.474質量%)
    ・銅からみ(Sr含有量=0.0165質量%)
    ・高炉ダスト(Sr含有量=0.0064質量%)

    各原料の化学分析(ig.loss〜SO )は、JIS M 8853:1998「セラミックス用アルミノけい酸塩質原料の化学分析方法」に準じて行った。 また、各原料中のSr含有量は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。

    Sr含有セメントクリンカー原料として使用した各原料の原単位は、石灰石、石炭灰及び建設発生土を除き、硅石20〜150kg/t−クリンカー、粘土0〜100kg/t−クリンカー、高炉スラグ0〜100kg/t−クリンカー、下水汚泥0〜100kg/t−クリンカー、ハイドロケーキ0〜100kg/t−クリンカー及び鉄源30〜80kg/t−クリンカーであった。

    セメント組成物中のSr含有量に影響を与えるセメントクリンカー原料である、石灰石、石炭灰及び建設発生土の原単位と、これら各原料からセメントクリンカー1t当たりに持ち込まれるSr含有量(セメントクリンカー1tを形成するための原料の全体質量に対する含有割合(質量%))と、石灰石と石炭灰と建設発生土の混合原料からセメントクリンカー1t当たりに持ち込まれるSr含有量(セメントクリンカー1tを形成するための原料の全体質量に対する含有割合(質量%))とを表2に示した。 また、表2には、石炭灰に対する建設発生土の質量比(建設発生土(kg/t−クリンカー)/石炭灰(kg/t−クリンカー))と、石炭灰と建設発生土の混合物中のSr含有量(石炭灰と建設発生土の混合物の全体質量に対する含有割合(質量%))を記載した。 Sr含有量は、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。

    [セメントクリンカーの製造]
    上記セメントクリンカー原料を調合し、調合した原料をNSPキルンで最高温度1200〜1500℃で焼成し、セメントクリンカーを製造した。 NSPキルン出口付近におけるセメントクリンカーの温度は1000〜1500℃であった。 このセメントクリンカーを、ロータリーキルンの下流側に設けられたクリンカークーラーで、1000〜1400℃から100〜200℃まで、10〜60℃/分の冷却速度で冷却した。

    [セメント組成物の調製]
    得られたセメントクリンカーに二水石膏をセメント組成物中のSO 含有量が2質量%となるように配合し、さらに混合材(石灰石、高炉スラグ)をセメント組成物の全体質量に対して内割りで石灰石を4質量%、高炉スラグを1質量%添加し、実機ミルでブレーン比表面積が3200〜3400cm /gとなるように粉砕し、セメント組成物を得た。

    [セメント組成物の化学成分]
    得られたセメント組成物中のSiO 、Al 、Fe 、CaO、MgO及びSO について、セメント組成物の全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。 これらの含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定した。 また、セメント組成物中のSr含有量を、セメント協会標準試験方法JCAS I−52 2000「ICP発光分光分析及び電気加熱式原子吸光分析によるセメント中の微量成分の定量方法」に準じて測定した。 化学成分の分析結果を表3に示す。

    [セメント組成物の鉱物組成及び物性]
    <セメント組成物の鉱物組成>
    得られたセメント組成物の鉱物組成(C S含有量、C S含有量、C A含有量及びC AF含有量)を、上述したボーグ式[1]〜[4]に基づいて測定した。 結果を表4に示す。
    <セメント組成物の粉末特性>
    セメントの粉末特性(ブレーン比表面積及び45μm残分)について、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。 結果を表4に示す。
    <モルタル圧縮強さ>
    モルタル圧縮強さは、得られたセメント組成物を用いて、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて、材齢28日において測定した。 結果を表4に示す。

    表2に示すように、 参考例1及び実施例 〜7は、石炭灰に対する建設発生土の質量比(建設発生土/石炭灰)を0.13〜1.6の範囲内にすることで、石炭灰と建設発生土の混合物中のSr含有量を0.0580〜0.0980質量%とした。 このように建設発生土/石炭灰の質量比を調整して製造したセメントクリンカーを用いると、セメント組成物中のSr含有量を0.0377〜0.0706質量%とすることができ(表3参照)、強度発現性も良好であった(表4参照)。 一方、表2に示すように、比較例1〜3は、建設発生土/石炭灰の質量比が0.13〜1.6の範囲外であるセメントクリンカーを使用すると、強度発現性が低下する傾向を示した(表4参照)。

    セメント組成物中のSr含有量とモルタル圧縮強さとの関係を図1に示す。 表3、4及び図1に示す結果から、セメント組成物中のSr含有量とセメント組成物のモルタル圧縮強さは関係があることが分かった。 この結果に基づき、セメント組成物中のSr含有量が0.037〜0.075質量%に制御することによって、モルタル圧縮強さはJIS規格を十分満足し、特に良好な強度発現性が得られることが確認できた。

    以上に示す結果から、本発明では、セメント組成物中のSr含有量が0.037〜0.075質量%とすることによって、モルタルやコンクリートのフレッシュ性状を維持しつつ、強度発現性を向上させることが可能なセメント組成物及びその製造方法を提供することができる。

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