強度が改善された軽量石膏ボード、及びその製造方法

申请号 JP2016543357 申请日 2014-09-05 公开(公告)号 JP2016532631A 公开(公告)日 2016-10-20
申请人 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se; ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se; 发明人 ゲーリヒ ウーヴェ; ゲーリヒ ウーヴェ; デングラー ヨアヒム; デングラー ヨアヒム; ミヒャエル シナベック; シナベック ミヒャエル; ピヒラー マーティン; ピヒラー マーティン; ゲット トアベン; ゲット トアベン; ロゲス シュテファニー; ロゲス シュテファニー;
摘要 分散剤を添加することにより圧縮強度が改善された、軽量 石膏 ボードの製造方法。分散剤としてのケトン樹脂と、発泡剤とを含有する、石膏系組成物を用いて作製された壁面ボード。
权利要求

泡及びケトン樹脂を含有する、石膏含有スラリーであって、 ここで前記ケトン樹脂は、少なくとも I)ケトン、及び II)ホルムアルデヒド を含有するモノマーベースの縮合生成物であり、 前記縮合生成物はさらに、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基、及びホスホノオキシ基、及び/又はこれらの塩から選択される少なくとも1つの部分(III)を有する、前記石膏含有スラリー。I/II/IIIのモノマー比が、1/2〜3/0.33〜1である、請求項1に記載の石膏含有スラリー。前記ケトン樹脂が、シクロヘキサノン/ホルムアルデヒド/サルファイトの縮合生成物である、請求項1又は2に記載の石膏含有スラリー。前記ケトン樹脂が、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜1質量%、好ましくは0.025〜0.5質量%、最も好ましくは0.05〜0.3質量%の量で存在する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。前記ケトン樹脂が、15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の溶液の形態である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。前記泡が、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルスルフェート、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルエーテルスルフェート、ヒドロトロープ、又はこれらの混合物を含有する界面活性剤水溶液から生じる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。前記石膏がさらに粘土を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。前記石膏がさらに、膨潤性粘土を含有する、請求項7に記載の石膏含有スラリー。請求項1から8までのいずれか1項に記載の、凝結した石膏含有スラリーから構成される、壁面ボード。乾燥質量密度が、0.45〜1.0kg/m3、好ましくは0.50〜0.80kg/m3である、請求項9に記載の石膏壁面ボード。凝結した石膏芯材が、ケトン樹脂を含有する、請求項10に記載の石膏壁面ボード。前記凝結した石膏芯材が前記ケトン樹脂を、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜0.5質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲で含有する、請求項9から11までのいずれか1項に記載の石膏壁面ボード。界面活性剤から泡を作製する工程、 ケトン樹脂を、石膏の質量に対して0.01〜1質量%の範囲で含有する石膏の水性スラリーを作製する工程、 前記泡を、ケトン樹脂を含有する石膏の水性スラリーへと混合する工程、 前記スラリーをカバーシートの間に挟んで、壁面ボードを形成する工程、 前記石膏スラリーが充分に硬化した後、石膏壁面ボードを切断する工程、 前記石膏壁面ボードを乾燥させる工程、 を有する、請求項9から12までのいずれか1項に記載の石膏壁面ボードの製造方法。前記カバーシートが紙である、請求項13に記載の方法。

说明书全文

発泡剤(例えば界面活性剤)と分散剤との組み合わせ、及び石膏ボードを製造するためのその利点を記載する。本発明はさらに、圧縮強度が強化された軽量石膏ボードを作製するための製造方法、また軽量で高強度の石膏ボード自体に関する。さらに、分散剤としてのケトン樹脂を、界面活性剤と組み合わせて作製された、軽量で高強度の石膏ボードを開示する。

背景技術 「石膏」とは、無又は水和状態の硫酸カルシウム化合物の通称として用いられており(例えば結晶状態のこの化合物から成る石膏岩)、また相応する建築材料、硫酸カルシウムの半水和物、二水和物、若しくは硬石膏、また一般的には硫酸カルシウム水和物:CaSO4xH2O(x=0〜2)、又はこれらの混合物である。

特に、以下の非水硬性バインダー、及び建築材料の文脈では、硫酸カルシウムの半水和物、又は硬石膏も、「石膏」という用語に含まれる。硫酸カルシウム二水和物は無機であり、地球の歴史の間に、海が蒸発した時に形成された堆積物中に、天然で大量に産生する。

石膏岩は、採掘又は砕石されて、製造施設に移送される。製造者は砕石された石膏を受け取り、大きなかけらに砕き、それからさらなる加工を行う。砕かれた岩は、それから微細な粉末に粉砕され、約120〜160℃に加熱し、か焼と呼ばれる工程で化学的に結合した水の4分の3を追い出す。200℃をやや超えて石膏をさらに加熱することにより、無水石膏(CaSO4)が生成し、これは水と混合すると、非常にゆっくり凝結する。焼石膏(半水和物又は硬石膏)、CaSO41/2H2O、又はCaSO4は、それから石膏プラスター、パリのプラスター、石膏ボード、及びその他の石膏製品のための基材として用いられる。様々なか焼手順の生成物が、α型、及びβ型半水和物である。β型硫酸カルシウム半水和物は、開放式ユニットにおける迅速な加熱から、水を迅速に蒸発させて得られ、生成する無水生成物には、空洞が形成される。α型半水和物は、閉鎖したオートクレーブで、石膏を脱水することによって得られる。この場合に形成される結晶は濃密であり、このため生成するバインダーは、β型半水和物に比べて、再度水和するためにより少ない水しか必要としない。

さらに硫酸カルシウム二水和物は、様々な工業的プロセス(合成石膏)における生成物又は副生成物としても得られ、それは例えば煙道ガス脱流(FGD)であり、ここでは二酸化硫黄が、石炭火発電所の燃焼排ガスから、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムのスラリーによって除去される。これらのシステムは、石灰岩(炭酸カルシウム)を含有するガス洗浄器にガスを通すことによって二酸化硫黄を捕捉し、ここでは石灰岩が二酸化硫黄を吸収し、また二酸化硫黄と化学的に結合して、純粋な硫酸カルシウム、又は石膏が形成される。

合成石膏は、リン酸及びフッ化水素製造法の副生成物であり得る。合成石膏は、石膏ボード製造者へと移送される:か焼合成石膏の製造方法は、最初に粉砕が必要ない点を除いて、採掘した石膏とほぼ同じである。

しかしながら、市販で得られる通常の天然石膏源はしばしば、粘土鉱物とその他の不純物を最大20%、又はそれ以上含有し、これにより硫酸カルシウムレベルが低下する。

粘土とは、多くの微粒子状土状材料の一般的な名称であり、これは湿ると可塑性になり、ほとんどが、無機構造中に捕捉された水を様々な量で含有する層状珪酸塩鉱物から構成される。粘土鉱物の種類は、多くのものが知られている。一般的なものを幾つか挙げると、カオリナイト、イライト、クロライト、バーミキュライト、及びスメクタイト(モンモリロナイトとしても知られる)であり、最後の2つは、吸水性が優れている。

粘土は化学的に、水和したケイ酸アルミニウムであり、通常はアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び/又は鉄を含有する。粘土材料は、相互に接続したケイ酸塩のシートから成り、金属原子、酸素、及びヒドロキシルの第二の層状原子団と組み合わされて、カオリナイトのような二層の鉱物を形成する。後者の層状構造は時折、2つのシリカシートの間に挟まれており、バーミキュライトのような三層鉱物を形成する。粘土鉱物は構造的には、シート状に配置されたカチオンの平面から構成されており、これは四面体又は八面体で配位していてよく(酸素により)、これはまたしばしば、2つの四面体シートと1つの八面体シートから構成される単位を有する場合に2:1と、又は四面体のシートと八面体のシートの単位を交互に有する場合に1:1と記載される層へと配置されている。さらに、2:1の粘土鉱物のうち幾つかは、連続する2:1の単位の間に層間部を有し、この層間部はしばしば、水和された層間カチオンにより占められていてよい。粘土鉱物は層型のものと、層内型のものに分けられ、この分類は、式単位あたりの電荷xに基づく(Guggenheim S.ら、Clays and Clay Minerals, 54 (6), 761〜772, 2006年)。式単位あたりの電荷xは、層あたりの負の正味電荷であり、正の数で表される。小分類によるさらなる区分は、複八面体、又は三八面体特性に基づき、最終的には化学的な組成に基づく化学種によって分けられ、例えば x≒0:ピロフィライト群、 x≒0.2〜0.6:スメクタイト群、例えばモンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、又はヘクトライト、 x≒0.6〜0.9:バーミキュライト群、 x≒1.8〜2:もろい雲母群、例えばクリントナイト、アナンダイト、キノシタライト。

石膏組成物用の慣用の分散剤は通常、良好な減水性を達成するが、その化学構造に応じて、特定の時間にわたって加工性を保持する能力が制限されており、特別な適用のために調整する必要がある。

加工性又は流動性を延長させるという問題は通常、再度の練り返し(すなわち、スラリーにより多くの水を加える、又はさらに多量の減水剤を添加する)によって解決される。より多くの水を添加すると、強度の低い生成物につながり、添加剤の使用増加もまた、製品品質を阻害することがある。分散剤のさらなる量は例えば、硫酸カルシウム二水和物の結晶化を遅らせる。このことは、石膏壁面ボード製造工程に否定的な影響を与える。なぜならば、石膏スラリーの凝結が遅いため、ボード作製機械のラインスピードを遅くしなければならず、経済的な不利益が生じるからである。さらに、より多くの分散剤、特にポリカルボキシレートエーテル(PCE)は、形状、すなわち石膏粒子の形と大きさを変え、ボードの強度が低下する。

様々な種類の有機化合物が、湿った石膏組成物の特定の特性を有利に変えるために使用されてきた。集合的に「超可塑剤」と言われることもある化合物群は、湿ったバインダー組成物、例えば硫酸カルシウム半水和物を流動化、又は可塑化して、より流動性であると同時に、水含分が少ない混合物が得られる。石膏スラリーが分離せず、またプラスターボード製造工程において石膏スラリーの分配が制御できるように、制御された流動性が望ましい。さらに、バインダー/水の比率を低下させることにより、硬化後により高い圧縮強度を発現する硬化組成物につながる。

石膏とともに使用するための超可塑剤の慣用の例は、メラミンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合生成物(MFS)、及びβ型ナフタレンスルホン酸塩・ホルムアルデヒド縮合生成物(BNS)である。BNSの製造と使用はよく知られており、EP 0 214 412 B1、及びDE 2 007 603 C1に開示されている。MFSの製造と使用も、従来技術で公知である。MFS分散剤は例えば、DE 44 1 1 797 A1、DE 195 38 821 A1、及びEP 0 059 353 B1に開示されている。

ポリカルボキシレート分散剤(PCE)は、セメント系バインダーシステムとともに一般に使用され、それよりも頻度は低いが、石膏とも一緒に用いられる。この化合物の群(PCE)は多く、この分散剤群の個々の化合物が、異なる媒体でどのように反応するのかを予測することは困難である。しかしながら、石膏製造において2種のモノマーのポリカルボキシレート分散剤を使用することが、例えば米国特許出願US 2006-0278127に開示されている。

多くのPCEが、石膏系製品において有害な作用(例えば凝結時間の遅延)を有することがあり、このことは、使用する場合には泡の安定化による圧縮強度の損失につながり得る。粘土鉱物のさらなる吸収特性は、PCE系分散剤にとって文字通り魅力的である。PCE系分散剤と、多孔質粘土鉱物との強い相互作用により、分散剤分子の結合と捕捉につながり、これによりスラリー中での分散剤活性が低下する。

分散剤のための結合箇所をマスキングするため、粘土鉱物によって代わりに吸収又は吸着される犠牲物質を設けることが一般的である。US 6 352 952は、水性セメント含有組成物を開示しており、これはスメクタイト型の粘土鉱物の存在下で、エチレンオキシド/プロピレンオキシド含有コームポリマーを可塑剤として含有するものである。さらに、粘土鉱物は膨潤に伴い、流動化剤を捕捉することが記載されている。これにより結局は、セメントバインダー系混合物の加工性悪化につながる。流動化剤の吸収を防止するために、無機カチオン、有機カチオン、有機極性基、又は特定の粘土分散剤を利用することが提案されている。リン酸塩、ポリ(メタ)アクリレート、及びグルコン酸塩が、特に言及されている。とは言えこれらの化合物は、石膏組成物中では利用できない。無機バインダー混合物の凝結時間が著しく遅くなるためである。

US 7,261 ,772は、水の他に、石膏、粘土、ポリオキシアルキレンコームポリマー、及び必須成分としてアミン化合物を含有する石膏組成物を開示している。アミン化合物は、分散剤の流動化活性を保持するために必要であるが、アミン含有組成物には、石膏組成物を一度加熱すると、揮発性アミンにより強い不快な匂いが生じるという欠点があり、この加熱は通常、石膏壁面ボードの製造工程において水を追い出すために行われる。

WO 2012/076365は、硫酸カルシウム系の粘土含有無機バインダー系における添加剤として、カチオンコポリマーを用いることを開示している。カチオンコポリマーは、マスキング成分として利用され、バインダー混合物において粘土鉱物による分散剤の吸収を防止する。このコポリマーは理想的には、慣用の分散剤に加えて適用する必要があり、このため過剰設計されたバインダー組成物につながる。さらに、粘土含分はモニタリングする必要があり、様々な粘土含分について、マスキング成分の量を適切に調整する必要がある。バインダー混合物の流動性は、添加したコポリマーの量が少なすぎる場合、否定的な影響を受ける。これにより、壁面ボードの製造工程におけるさらなる工程につながり、バインダースラリーの製造においてコポリマーをさらに使用する必要とともに、最終的な壁面ボード製品のコストを不可避的に増大させるため、経済的に魅力が無い。

WO 2012/049077は、分散剤としてリン酸塩系重縮合物を含有する水性石膏スラリーを、さらなる重縮合物(好ましくはエチレンオキシド側鎖を有するPCE)との組み合わせで、開示している。ここでも、加工可能な石膏スラリーを得るためには、多数の添加剤が必要となる。この技術はPCEに比べて、やや粘土に影響を受けづらいが、粘土を多く含有するスラリーでは適用できない。

WO 2009/068899、及びWO 2010/133886は、通常は建築用石膏ボードを製造するための石膏調製物を開示しており、ここで石膏スラリーは膨潤性粘土、流動化剤としてのコームコポリマー、及び粘土鉱物に対して優先的な親和性を有する、塩基性の水に可溶なポリマーを含有する。ここでも、加工可能な石膏スラリーを得るためには、多数の添加剤が必要となる。WO 2012/076365と同様に、粘土の量が変わることによって、予測出来ない、また好ましくない流動性につながることがある。

分散剤は、懸濁液の流動性を向上させるために、無機バインダー系に添加する。しかしながら、膨潤性粘土を含有する石膏スラリーについては、少ない添加量で粘稠作用を出さずに、水の量を減少させることができない。BNSの芳香族構造、又はPCEのポリエチレングリコール鎖により、粘土層内において大きなアグロメレートが形成される。

焼石膏を水と混合すると、二水和物が再形成され、材料の同時硬化とともに、短時間で再結晶する。

よって硫酸カルシウム半水和物は、モルタル、スクリード、キャスト成形品、及び特に石膏ボード及び壁面ボード(シートロック、又はドライウォールとも言われる)を製造するために使用される重要な建築材料である。技術的な要求により、硫酸カルシウムバインダーについてかなり多様な特性が必要とされる。特に加工時間と硬化が始まる時間については、バインダーは数分にわたって、様々に調整可能でなければならない。これらの要求を満たすためには、石膏材料の品質と純度が重要である。凝結制御添加剤、又は強力分散剤(robust dispersant)の使用が、必須である。純粋できれいな石膏、例えば合成石膏は、常にすぐに利用可能なわけではなく、多くの場合に製造者は、最終的な製品の品質に影響を与える不純物を含有する、天然の石膏供給源に頼らなければならない。重要な不純物は粘土であり、粘土による汚染の度合いに応じて、建築材料の製造は、より低い製品品質につながるか、及び/又は添加剤の要求増大により、製造コストが上昇する。

石膏ボードとは、パネル製品の部類の一般的な名称であり、主に石膏から構成される不燃性の芯材、及び表面と裏面にある紙、及び任意で端部に沿った紙から成る。石膏ボードは、複数の建築材料の1つを記述する包括的な用語であり、これはまたドライウォール、壁面ボード、プラスターボード、シートロック、又はドライロックとも呼ばれる。全ての石膏ボードは石膏芯材を有するが、これらは様々な異なる材料に面していてよく、それには例えば紙、繊維、グラスファイバーマット、及びその他の材料が含まれるが、これらに限られない。

石膏ボードを製造するために、焼石膏を水及び添加剤と混合し、ボード作成機でシート(例えば紙)の連続層の間に供給されるスラリーが形成される。ここで使用する石膏スラリーという用語は、一定量の水含分を有するペースト、モルタル、又はグラウトを言い、これらは通常、様々な状態の石膏、微細な骨材、又は充填材(典型的には砂、若しくは石灰岩)を含有し、場合によっては、セメント、潜在性セメント、ポゾランから選択される凝結材料、遅延剤、促進剤、発泡剤、又は消泡剤、無収縮材、加工性助剤、顔料、安定剤、疎水化剤、レオロジー変性材などから選択される、水性石膏スラリーへのその他の調製物添加剤を含有する。ボードがコンベアのラインを下っていくにつれて、硫酸カルシウムは再結晶、又は再水和し、か焼の間に除去された水と化学的に結合して、本来の岩石状態に戻る。シート紙は、芯材に化学的、及び機械的に結合される。それからボードを長さに対して切断し、乾燥機を通じて運び、あらゆる湿分を除去する。このような石膏ボードは建築産業で大規模に使用され、特に内装の壁、天井、及び屋根で用いられる。

重要なのは、石膏スラブの製造における凝結促進と、容易な取り扱いのために、マトリックス材料(特に石膏ボード)を削減して、重量を低減させることである。現在、世界的には1年あたり80億m2以上の石膏ボードが製造されている。石膏ボードの製造は、以前より知られている。それは例えば、米国特許第4,009,062号に記載されている。硫酸カルシウム半水和物と、使用された水とから構成される凝結可能な石膏スラリーは通常、高速のフローミキサーで前述のように製造され、厚紙シートに連続的に適用され、第二の厚紙シートによって覆われる。2枚の厚紙シートは、表面シートと、裏面シートと呼ばれる。それからボードのラインは、いわゆる凝結ベルトに沿って移動し、凝結可能な硫酸カルシウム相の、硫酸カルシウム二水和物への完全な移行は、凝結ベルトの最後で起こらなければならない。硬化の後、このシートはボードに細分化され、ボード内になお存在する水は、加熱された多段階乾燥機で除去される。

増加する要求を満たし、かつ製造コストを最小化するために、製造工程を改善させるための努力が、継続的になされている。石膏スラブを作製するための近年のプラントは、作製速度が、1分あたり最大180メーターである。プラント性能を最大に活用可能にするためには、高効率の添加剤を使用する以外にない。硫酸カルシウム半水和物の凝結時間は、石膏プラスターボードが切断可能になるまでの時間、ひいてはコンベアベルトの長さとスピード、最終的には製造速度を決める。さらに水和は、ボードが乾燥機で高温にさらされる前に完了していなければならない。さもなくば、バインダーの潜在的な強度は不充分にしか利用されず、湿分が入り込むことによる事後的な水和の結果として、体積膨張の危険性が生じる。

軽量壁面ボードを製造するためには、慣用の事前に作製された泡が、石膏ボードの製造工程において石膏スラリーに添加され、これによって石膏の量が減少し、材料コストが実質的に削減される(WO 2012/122102、US 2006/0162839)。発泡ボードのさらなる利点は、このようなボードの取り扱い性が改善することである。すぐに市販で手に入る公知の発泡剤は、単独で、又は他の発泡剤との組み合わせで利用できる。しかしながら発泡剤は、密に詰まって流れに抵抗する小さなあぶくが形成されると、流動性を低下させることがある。

天然石膏供給源における粘土不純物の程度に応じて、慣用の分散剤の幾つかは、活性を低下させ、石膏スラリーの流動性が阻害され、これによって連続的な壁面ボードの製造が遅くなる。粘土(例えばスメクタイト及びバーミキュライト、又は一般的には大量の水を吸収可能なあらゆるベントナイト)を含有する石膏スラリーの場合、スラリーに加工性をもたらすために必要な水は水性混合物から除去され、スラリーの塗布性が低下する。さらに、添加された分散剤のかなりの量が、粘土鉱物によって吸収、又はこれに吸着することが観察できる。その結果、分散剤はもはや、水性石膏混合物に流動化効果をもたらすことができなくなり、水性石膏混合物にもたらされる活性は少なくなる。従って、適切な加工性を獲得、又は保持するためには、より多くの水をスラリーに添加する必要があり、結局、最終的な乾燥工程におけるエネルギー消費が高くなる。

重量、ひいては石膏の量を削減すること、また通常の製造条件下(すなわち、大量の流動化剤を添加する必要がないか、又は適切な石膏スラリー流動性を保持するため、また充分な壁面ボードの強度を得るために、水の量を増やす必要が無い)での石膏ボード製造における、粘土含有石膏供給源の利用可能性には、かなりの経済的な関心が持たれている。

非環式脂肪族、芳香脂肪族、及び/又は芳香族部分を有する対照性、又は非対照性ケトンを、亜硫酸ナトリウムの存在下でアルデヒドにより縮合して、ケトン樹脂を得ることは、DE 3 144 673 A1から公知である。アルカリ触媒として、また酸基を導入する化合物としての亜硫酸ナトリウムを用いることにより、水溶性縮合生成物が形成され、これは例えば、無機バインダー、好ましくは水硬性バインダーへの添加剤として適している。ここで開示されたケトン樹脂縮合生成物は、熱安定性が高く、高温条件下における分散剤として有用であり、これは鉱油を産生するための深い井戸の掘削に見られる。しかしながらこのような縮合生成物の欠点は、BNS又はMFSと比べて、分散剤の活性が低いことに加えて、ケトン樹脂は、建築産業のための化学製品(例えばモルタル、若しくはコンクリート)に対する添加剤として使用すると、硬化した生成物の表面を著しく赤くしてしまうことである。

DE- 2 341 923 A1は既に、シクロアルカノンとホルムアルデヒドとの水溶性縮合生成物を開示しており、酸基を導入する化合物(CFS)としては、亜硫酸ナトリウムが用いられている。開示された化合物は、保たれた水/バインダー比率を有するモルタル用流動化剤として利用され、ここで生じるバインダー混合物は、多孔性が低く、密度が高いと記載されている:高い強度を達成する典型的な特性は例えば、スクリード及び/又はグラウトにとって有利である。これは多分、マトリックス中の毛細管細孔の減少によるものであり、このことは、無機バインダーの水必要量を低減可能であり、同時に流動性を保つ全ての分散剤に当てはまる。

L. Lei、及びJ. Planck著のCement and Concrete research, 42, 1 18-123, 2012からは、高分子量の重縮合物(Mw>220,000g/mol)としてのシクロヘキサノン樹脂が、水硬性セメントモルタルにおいてBNSに似た挙動を示し、粘土の存在下で安定的な性能をもたらすことが知られている。

WO 2012/076365は、硫酸カルシウム系の建築材料混合物用のコポリマーと分散剤を開示している。このコポリマーは分散剤とともに使用され、分散剤の水を低減させることができる。粘土成分は、カチオンコポリマーによってマスキングされるため、建築材料混合物は粘土不含材料の特性を有する。さらに、粘土含分はモニタリングする必要があり、粘土含分を変えるために、マスキング成分の量を適切に調整しなければならない。バインダー混合物の流動性は、添加したコポリマーの量が少なすぎる場合、否定的な影響を受ける。これにより、壁面ボードの製造工程におけるさらなる工程につながり、バインダースラリーの製造においてコポリマーをさらに使用する必要とともに、最終的な壁面ボード製品のコストを不可避的に増大させる。

発明の概要 本発明の課題は、慣用の可塑剤、例えばBNS、MFS、又はPCEが限定的な活性を有する粘土含有石膏から作製される、軽量で高強度のプラスターボードを製造するための改善された方法をもたらすことである。

この課題は、軽量で、粘土を含有する石膏壁面ボードの安定性を改善させるための分散剤として、ケトン樹脂を利用することにより解決される。

意外なことにこれらの化合物は、界面活性剤と組み合わせた場合に、石膏スラリーにおいて顕著な粘土許容性を有する。本発明による縮合物を含有する、粘土不純物を有する石膏スラリーにより、必要な添加剤の量を低減すると同時に、質の低い石膏原材料によって壁面ボードが製造でき、より軽量で安価な建築材料が得られ、それでもなお市販の壁面ボード製造において使用するための安定性と品質が得られる。本発明の1つの態様は、水和して軽量で高強度の建築用化合物を形成するスラリーを作製するために水とともに用いるための混合物であり、この混合物は、石膏と、石膏の質量に対して約0.01質量%〜1.0質量%のケトン樹脂を含有し、スラリーを硬化して、1平方メートル当たり1000kg以下の乾燥密度にするための泡を充分な量で有する。

よって本発明の1つの態様は、泡、及び分散剤としてのケトン樹脂を含有する、石膏含有スラリーである。

本発明はさらに、石膏含有スラリーに関し、ここでケトン樹脂は、モノマーベースの縮合生成物であり、このモノマーは少なくとも I)ケトン、 II)ホルムアルデヒド、 を含有し、この縮合生成物はさらに、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基、及びホスホノオキシ基、及び/又はこれらの塩から選択される少なくとも1つの部分(III)を有し、ここでアルキルは、分枝鎖状、又は非分枝鎖状のC1〜C10アルキルから選択されていてよい。

本発明の好ましい態様は、前記ケトン樹脂が、モノマーとしてのシクロヘキサノン、若しくはアセトン、及び/若しくはこれらの混合物、ホルムアルデヒド、及び亜硫酸塩から、好ましくはシクロヘキサノン、ホルムアルデヒド、及び亜硫酸塩(CFS)から合成された前述の石膏含有スラリーである。I/II/IIIのモノマー比は通常、1/2〜3/0.33〜1である。

本発明のさらなる態様は、泡と、分散剤としてのケトン樹脂とを含有する石膏含有スラリーであり、ここで特にケトン樹脂分散剤はCFS系であり、かつケトン樹脂分散剤の分子量が10000〜40000g/mol、特に15000〜25000g/molである。

本発明はさらに、ケトン樹脂分散剤が、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜1質量%、好ましくは0.025〜0.5質量%、最も好ましくは0.05〜0.3質量%の量で存在する、前述の石膏含有スラリーに関する。

本発明の好ましい態様では、ケトン樹脂分散剤が、15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の水溶液形態である、先に記載のいずれかの石膏含有スラリーである。

本発明は特に、石膏がさらに粘土を含有する、上記石膏含有スラリーに関する。粘土含分は通常、石膏の質量に対して0.0001質量%〜10質量%の範囲である。

本発明のさらなる態様は、粘土が膨潤性粘土(これにはベントナイトといった粘土が含まれるが、これに限られない)である、上記石膏含有スラリーに関する。

事前に作製した泡は慣用的に、生じる石膏ボードの重量を低減させるために、石膏スラリー混合物に添加される。この泡は、発泡剤、例えばセッケン若しくは界面活性剤と、空気、及び水の混合物から、適切な泡発生装置で生じる。事前に作製した泡は、石膏スラリーと混合し、石膏ボードにする。

本発明の別の態様は、界面活性剤がさらに、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルスルフェート、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルエーテルスルフェート、ヒドロトロープ、又はこれらの混合物を含有する、上記石膏含有スラリーである。ヒドロトロープとは、水溶液中で疎水性化合物を可溶化する化合物であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またエチレングリコールのモノアルキルエーテル、及びアルキルポリグリコシド、及びこれらの混合物から選択することができる。

本発明のさらなる態様は、泡が界面活性剤から発生され、通常は石膏の質量に対して界面活性剤が約0.03〜0.01質量部の範囲の量で使用される、上記石膏含有スラリーである。上記本発明の界面活性剤は通常、泡発生器に水溶液の形で添加し、水溶液における界面活性剤組成物の濃度は、好ましくは0.01〜5質量%、好ましくは0.25〜2%である。

本発明のさらなる対象は、凝結した上記石膏スラリーから構成される壁面ボードである。本発明の対象は好ましくは、軽量で高強度の石膏壁面ボードであって、乾燥質量密度が0.45〜1.0kg/dm3、好ましくは0.50〜0.80kg/dm3のものである。

本発明の好ましい対象は、石膏芯材がケトン樹脂を含有し、石膏が粘土含分により特徴付けられる、軽量で高強度の上記石膏壁面ボードである。

軽量で高強度の上記石膏壁面ボードでは、凝結した石膏芯材が、分散剤としての原料スラリー中で使用されるケトン樹脂を、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜0.5質量%の範囲、好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲で含有する。

本発明はさらに、上記石膏スラリーを含有し、石膏が粘土を含有し、分散剤がケトン樹脂から選択されている、軽量で高強度の石膏壁面ボードの製造方法をもたらす。

本発明によりもたらされる方法は、軽量で高強度の石膏壁面ボードを作製するために利用され、この方法は、界面活性剤から泡を作製する工程、別途、水性の分散液/懸濁液、又はケトン樹脂を石膏の質量に対して0.01〜1質量%の範囲で含有する石膏のスラリーを作製する工程、さらに泡を、水性分散液/懸濁液へ、又はケトン樹脂を含有する石膏のスラリーへと混合する工程を有する。石膏はさらに、粘土を最大10質量%の様々な量で含有する。生成する水性分散液/懸濁液、又は石膏のスラリーは、カバーシートの間に挟まれて、壁面ボードを形成し、石膏スラリーが充分に硬化、乾燥した後、所望の大きさに切断される。カバーシートは好ましくは、紙、又は強化紙である。本発明の別の態様は、粘土不純物に拘わらず、少ない添加量で、好ましくはバインダーに対して0.01質量%〜0.5質量%の添加量で、粘土不純物を0.01〜10質量%含有する、石膏バインダースラリーにおいて減水性を強力に示すCFS系分散剤組成物である。

本発明は、以下の例示的な項目の非限定的なリストを参照して、部分的に特徴付けることができる: 1.泡及びケトン樹脂を含有する、石膏含有スラリーであって、 ここで前記ケトン樹脂は、少なくとも I)ケトン、好ましくはシクロヘキサノン、又はアセトン、又はこれらの混合物、及び II)ホルムアルデヒド を含有するモノマーベースの縮合生成物であり、 前記縮合生成物はさらに、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホ基、スルファミド基、スルホキシ基、スルホアルキルオキシ基、スルフィノアルキルオキシ基、及びホスホノオキシ基、及び/又はこれらの塩から選択される少なくとも1つの部分(III)を有する、前記石膏含有スラリー。 2.I/II/IIIのモノマー比が、1/2〜3/0.33〜1である、前記項目1に記載の石膏含有スラリー。 3.前記ケトン樹脂が、シクロヘキサノン/ホルムアルデヒド/サルファイトの縮合生成物である、前記項目1又は2に記載の石膏含有スラリー。 4.前記ケトン樹脂が、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜1質量%、好ましくは0.025〜0.5質量%、最も好ましくは0.05〜0.3質量%の量で存在する、前記項目1から3までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 5.前記ケトン樹脂分散剤が、15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%の水溶液の形態である、前記項目1から4までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 6.前記ケトン樹脂が、15〜60%、好ましくは25〜50%の水溶液の形態である、前記項目1から3までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 7.前記泡が、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルスルフェート、直鎖状若しくは分枝鎖状の脂肪アルキルエーテルスルフェート、ヒドロトロープ、又はこれらの混合物を含有する界面活性剤水溶液から生じるものである、前記項目1から6までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 8.前記石膏がさらに、粘土、好ましくは膨潤性粘土を含有し、該膨潤性粘土にはモンモリロナイト粘土、例えばベントナイトが含まれるが、ただしこれに制限されない、前記項目1から7までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 9.前記ケトン樹脂が、様々な大きさであり、好ましくは分子量(Mw)が10000〜50000g/mol、さらに好ましくは前記ケトン樹脂が、表1のNo.7、又はNo.8のポリマーである、前記項目1から8までのいずれか1項に記載の石膏含有スラリー。 10.前記項目1から9までのいずれか1項に記載の凝結した石膏スラリーから構成される壁面ボード。 11.乾燥質量密度が0.45〜1.0kg/m3、好ましくは0.50〜0.80kg/m3である、前記項目10に記載の軽量で高強度の石膏壁面ボード。 12.凝結した石膏芯材が、ケトン樹脂を含有する、前記項目11に記載の軽量で高強度の石膏壁面ボード。 13.凝結した石膏芯材が、石膏の質量に対して、固体縮合生成物の0.01〜0.5質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲でケトン樹脂を含有する、前記項目10から12のいずれか1項に記載の軽量で高強度の石膏壁面ボード。 14.分散剤としての、前記項目10から13のいずれか1項に記載の軽量で高強度の石膏壁面ボードの製造方法。 15.前記項目10から14のいずれか1項に記載の軽量で高強度の石膏壁面ボードの製造方法であって、 界面活性剤から泡を作製する工程、 ケトン樹脂を0.01〜1質量%の範囲で含有する石膏の水性スラリーを作製する工程、 前記泡を、ケトン樹脂を含有する石膏の水性スラリーへと混合する工程、 前記スラリーをカバーシートの間に挟んで、壁面ボードを形成する工程、 前記石膏スラリーが充分に硬化した後、石膏壁面ボードを切断する工程、 前記石膏壁面ボードを乾燥させる工程。 16.前記カバーシートが紙である、前記項目15に記載の方法。

混合物2.1及び2.2から得られる細孔構造の顕微鏡写真を示す。

混合物3.1、3.2、3.3、3.4、及び3.5から得られる細孔構造の顕微鏡写真を示す。

様々な分散剤について、粘土含有天然化粧しっくいに関する様々な添加量における、水/化粧しっくいの比率を示す。

分散剤としてBNSを有する壁面ボード試料5.1、及び分散剤としてNo.7のケトン樹脂を有する5.2を示す。

表1は、合成ケトン樹脂をまとめたものである。

表2は、例1の流動性、及び凝結時間の結果である。

表3は、例1の乾燥密度、曲げ強度、及び圧縮強度である。

表4は、例3の3.1、3.2、3.3、3.4、及び3.5の混合物の処方である。

表5は、例6の本発明によるケトン樹脂の粘土強さ(robustness)を示す。

実施例 ケトン樹脂 A)反応混合物に水を40g導入した。30%のホルムアルデヒド溶液の所望量を、亜硫酸ナトリウム、又は代替的なピロ亜硫酸ナトリウムの必要な当量と混合した。pHは、50%の水酸化ナトリウム溶液でpH=13.5に調整した。室温に冷却した後、表1に記載したシクロヘキサノンの量を、溶液に添加した。この粘稠な混合物を、還流で3時間加熱した。室温に冷却した後、ギ酸を使用して、pHを10に調整した。分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)と粘度計により分析した。GPCは水中で測定し、ポリエチレングリコールで較正した。残留ホルムアルデヒド含分は、10ppm未満であった。

B)反応混合物に水を40g導入した。30%のホルムアルデヒド溶液の所望量を、亜硫酸ナトリウム、又は代替的なピロ亜硫酸ナトリウムの必要な当量、及び表1に記載したシクロヘキサノン量と混合した。pHは、50%の水酸化ナトリウム溶液でpH=13.5に調整した。この粘稠な混合物を、還流で3時間加熱した。室温に冷却した後、ギ酸を使用して、pHを10に調整した。分子量はGPCと粘度計により分析した。残留ホルムアルデヒド含分は、10ppm未満であった。

C)反応混合物に水を40g導入した。pHは亜硫酸ナトリウム0.43当量を添加し、アセトン1当量を滴加することにより、10に調整した。この混合物を、完全に撹拌した。この手順の間、温度は30〜32℃に上昇した。溶液をさらに56℃に加熱した。ホルムアルデヒド2.5当量をゆっくりと滴加し、温度は70℃を超えないようにした。完全に添加後、温度は90℃に上昇し、この混合物をさらに3〜5時間、所望の分子量に達するまで加熱した。分子量はGPCと粘度計により分析した。残留ホルムアルデヒド含分は、10ppm未満であった。

石膏スラリー 例1 脂肪アルキルスルフェートベースの泡を、以下のようにして製造した: デシル硫酸ナトリウムを0.3%含有する界面活性剤溶液を、供給容器に満たし、泡発生器につないだ。ステータ・ロータシステムを用いることにより、また圧縮空気を添加することにより、界面活性剤溶液を泡にした。調整した泡の密度は、75g/Lであった。

初期凝結の評価: 初期凝結は、いわゆるナイフカット法により測定した(DIN EN 13279-2と同様)。

流動性の評価: 流動性は、60秒の時間後に測定した。液体に粉末成分を添加した後、化粧しっくいを15秒間、浸漬させなければならなかった。それからスラリーを30秒間、Hobart社製のミキサで混合した。合計で45秒後、シリンダに化粧しっくいスラリーを上端部まで満たし、60秒後に持ち上げた。最後に2つの垂直軸で、ハサミ尺によりパティの直径を測定した。

比較試験1.1: 化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500gと、促進剤(凝結時間を約2:20 分に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.41gとの混合物を、水365.05gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルスルフェートベースの泡を25.03g、乾燥密度が665±5kg/m3の石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。流動性は、18.5±0.3cmであった。

比較試験1.2: 分散剤のMelflux(登録商標)PCE 1493L(BASF社製、40%の活性とは、化粧しっくいに対して0.2%の活性(PCE)を表す)2.5g、化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.48gを、水376.15gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルスルフェートベースの泡を27.43g、ここでも乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.5±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

比較試験1.3: 分散剤のMelcret(登録商標)600L(BASF社製、35%の活性とは、化粧しっくいに対して0.2%の活性(BNS)を表す)2.857g、化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.46gを、水351.13gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルスルフェートベースの泡を29.60g、ここでも乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.5±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

試験1.4: 本発明によるNo.8の分散剤(29.5%活性:化粧しっくいに対して0.2%の活性を表す)3.390g、化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.46gを、水327.83gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、乾燥密度が75g/Lの脂肪アルキルスルフェートベースの泡を23.85g、ここでも乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.5±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

全ての比較試験(1.1、1.2、及び1.3)において、また試験1.4でも、流動性と凝結を、混合から60秒後に測定した(表1)。さらに、試験体(4×4×16cm3のプリズム)をDIN 196-1に従って、強度発現試験の調査のために作製した。曲げ強度(表2参照)、及び圧縮強度(表2参照)を測定する前に、以下のようにして質量が一定になるまで、全ての試料を乾燥させた。石膏スラリーが凝結した後、全ての試験体を20℃、相対湿度65%で一日貯蔵した。その後、全ての試料を型から引き剥がし、それから40℃で、質量が一定になるまで乾燥させた。秤量と体積(256cm3)により、密度(δT)を算出した。

同一に調整した密度、流動性、及び凝結時間で、本発明によるケトン樹脂分散剤を添加することにより、より高い強度値が達成可能であることが、例1により分かる。化粧しっくいの0.2%活性という分散剤添加量では、分散剤無しで、又はBNS若しくはPCEにより調製された参照用混合物に対して、曲げ強度、また圧縮強度を5〜10%改善させることができた。

例2 本発明による分散剤No.8、及び異なる発泡助剤を有する細孔構造の調整 混合物2.1 凝集性泡用の発泡剤(BASF社)であるVinapor(登録商標)GYP 3110を0.3%含有する界面活性剤溶液を、供給容器に満たし、泡発生器につないだ。ステータ・ロータシステムを用いることにより、また圧縮空気を添加することにより、界面活性剤溶液を泡にした。調整した泡の密度は、75g/Lであった。

本発明によるNo.78の分散剤(29.5%活性:化粧しっくいに対して0.2%の活性を表す)3.390g、化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.46gを、水337.37gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lのアルキルスルフェートベースの泡を19.53g、乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.5±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。凝結後に、泡試験体を破壊して、細孔構造を評価した。

混合物2.2 安定的な泡用の発泡剤(BASF社)であるVinapor(登録商標)GYP 2610を0.3%含有する界面活性剤溶液を、供給容器に満たし、泡発生器につないだ。ステータ・ロータシステムを用いることにより、また圧縮空気を添加することにより、界面活性剤溶液を泡にした。調整した泡の密度は、75g/Lであった。

混合物2.1と同じ手順を、本発明によるNo.8の分散剤(29.5%活性:化粧しっくいに対して0.2%の活性を表す)3.390g、化粧しっくい(天然供給源からのβ型半水和物)500g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.57gにより繰り返した。全ての成分を、水352.37gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡を19.53g、ここでも乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.5±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。凝結後に、発泡した試験体を破壊して、細孔構造を評価した。

発泡剤の種類に拘わらず、同じ密度、流動性、及び凝結時間が、本発明による分散剤により調整可能であることが、例2により分かる。

例3 本発明による分散剤No.8による細孔構造の強さ(Robustness)を、BNSと比較 例1及び2と同様に5つの異なる混合物を、乾燥密度665±5kg/m3、流動性18.5±0.3cm、及び初期凝結2:00 分:秒から2:20 分:秒で調整した。凝結後に、発泡した試験体を破壊して、細孔構造を評価した。界面活性剤溶液(0.3%のVinapor(登録商標)GYP 3110)を、ステータ・ロータシステムで作製し、これは75g/Lに調整された泡密度を有していた。

BNS(3.2)を0.1%使用することにより、分散剤を有さない参照用の混合物(3.1)に比べて、細孔はやや微細になることが、図2により分かる。BNS0.3%をスラリー(3.3)に添加することにより、小さな粗い細孔につながる。本発明による分散剤No.8を0.1%(3.4)、又は0.3%(3.5)添加することにより、参照系と同様の細孔となる。これは、発泡助剤に対する強さが高いことを示している。

例4 従来技術と比較した、本発明による分散剤No.8の添加の効率性 例1、2、及び3と同様に5つの異なる混合物を、乾燥密度665±5kg/m3、流動性18.5±0.3cm、及び初期凝結2:00 分:秒から2:20 分:秒で調整した。界面活性剤溶液(0.3%のVinapor(登録商標)GYP 3110、BASF社製、全ての系に対してこれを使用した)を、再度ステータ・ロータシステムで作製し、これは75g/Lに調整された泡密度を有していた。β−ナフタレンスルホネート、BNS(Melcret(登録商標)600 L;BASF社製)、ポリカルボン酸エーテル(Melflux(登録商標)PCE 541 L;BASF社製)、及び本発明による分散剤No.8について、添加曲線を作製した。その結果が、下記の図に示してある。

図3により、少ない供給量でのBNS及びPCE分散剤についての粘稠効果が分かる。BNS及びPCE0.1%では、同じ凝結時間における流動性及び密度を達成するために、分散剤を用いない参照用混合物(水と化粧しっくいの比率は、0.82)より多くの水(水と化粧しっくいの比率は、0.855〜0.90)を使用する必要がある。BNS0.16%、及びPCE0.18%より多い添加量では、これらの分散剤を添加することにより、水の必要量を減少させることができる。本発明による分散剤No.8を使用することにより、当初からなんら粘稠を起こさずに、水と化粧しっくいの比率を低下させることができる。

例5 石膏プラスターボード 小さなプラスターボード試料を作製するために、2つの異なる混合物を作製した。1つは試料5.1(Melcret(登録商標)600 L;BASF社製)であり、もう1つは、試料5.2(本発明による分散剤7)である。

試料5.1のために、分散剤のMelcret(登録商標)600L(BASF社製、35%の活性とは、化粧しっくいに対して0.2%の活性(BNS)を表す)3.43g、化粧しっくい(FGDからのβ型半水和物)600g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.40gを、水418.26gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡(Vinapor(登録商標)GYP2610;BASF社製)を29.51g、乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.0±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

試料5.2のために、本発明によるNo.7の分散剤(22.1%の活性とは、化粧しっくいに対して0.2%の活性(BNS)を表す)5.43g、化粧しっくい(FGDからのβ型半水和物)600g、及び促進剤(凝結時間を約2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.15gを、水416.26gに散在させた。それから、粉末を15秒間、液体に浸漬させなければならなかった。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡(Vinapor(登録商標)GYP2610;BASF社製)を29.51g、乾燥密度が665±5kg/m3であり、流動性が18.0±0.3cmである石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

両方の試料混合物をそれぞれ、既に底部に紙を有する型に注いだ。化粧しっくいスラリーを平衡にした後、上側の紙を化粧しっくい表面に置いて、ボードと同じような構造(底部に紙、発泡した化粧しっくい、及び上側の紙)を得た。ボード試料の一部が、図4に示されている。

例6: 粘土強さ 本発明による分散剤の粘土強さは、2種類のバインダー調製物により表した:化粧しっくいAは、FGDからの純粋な粘土不含のβ型半水和物、及そして粘土を含有する化粧しっくいBである。化粧しっくいBは、粘土不含のFGD化粧しっくいに、1質量%の化粧しっくいを1%のベントナイトで置き換えた粘土を負荷することによって得られた。

比較試験6.1 参照用として、化粧しっくいA600gと、促進剤(凝結時間を2:00から2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.16gとの混合物を、水453.57gに散在させ、粉末を液体に15秒間浸漬させた。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡(Vinapor(登録商標)GYP2610;BASF社製)を20.43g、乾燥密度が680±5kg/m3である石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

比較試験6.2: 化粧しっくいAに代えて、化粧しっくいBにより、比較試験6.1と同じ手順を繰り返した。測定された凝結時間、及び相応する流動性が、表5に示されている。

比較試験6.3: 分散剤のMelflux(登録商標)PCE 1493 L(BASF社製、40%活性とは、化粧しっくいに対して0.05%活性ということである)0.750g、化粧しっくいA600g、及び促進剤(凝結時間を2:00から2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.20gを、水423.12gに散在させ、粉末を液体に15秒間浸漬させた。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡(Vinapor(登録商標)GYP2610;BASF社製)を20.43g、乾燥密度が680±5kg/m3である石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

比較試験6.4: 本発明による分散剤No.8(29.5%活性とは、化粧しっくいに対して0.10%活性ということである)2.034g、化粧しっくいA600g、及び促進剤(凝結時間を2:00から2:20 分:秒に調整するための、ボールミルで微粉砕した無水物)0.20gを、水422.13gに散在させ、粉末を液体に15秒間浸漬させた。その後、スラリーをHobart社製のミキサによりレベルII(285rpm)で30秒間、混合した。その間、密度が75g/Lの脂肪アルキルエーテルスルフェートベースの泡(Vinapor(登録商標)GYP2610;BASF社製)を20.43g、乾燥密度が680±5kg/m3である石膏スラリーを調整するため、スラリーに添加した。

比較試験6.5 化粧しっくいAに代えて、化粧しっくいBにより、比較試験6.3と同じ手順を繰り返した。

試験6.6 化粧しっくいAに代えて、化粧しっくいBにより、比較試験6.4と同じ手順を繰り返した。

本発明による分散剤の粘土強さは、表5にまとめてある。化粧しっくいA及びB(比較試験6.1及び6.2)は、分散剤を使用しない場合と同じ流動性、及び凝結特性を有する。粘土不含条件では、慣用の分散剤PCE、及び本発明による分散剤No.8を、同じ水・化粧しっくいの比率に調整することができ、これにより同じ流動性、及び初期凝結時間が得られる(比較試験6.3、及び6.4)。

これとは逆に、粘土の存在下、すなわち化粧しっくいBを使用する場合、状況は異なる。PCE分散剤で調製した比較試験6.5では、4cm超というスランプにより著しい粘稠効果が観察される。その一方で、本発明による分散剤No.8は、粘土の存在下で、流動性、及び初期凝結時間を保つことができる(試験6.6)。

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