Coated ceramic member and its production

申请号 JP2205792 申请日 1992-01-10 公开(公告)号 JPH05186287A 公开(公告)日 1993-07-27
申请人 Sumitomo Electric Ind Ltd; 住友電気工業株式会社; 发明人 YOSHIOKA TAKESHI; KAWAI HIROSHI;
摘要 PURPOSE: To obtain a coated ceramic member having a coated layer of an amorphous carbon film with high hardness and a low coefficient of friction, showing excellent friction resistance and sliding characteristics.
CONSTITUTION: An amorphous silicon middle layer having 50-5,000Å film thickness is formed on the surface of a ceramic base by ion implantation deposition method and the silicon middle layer is coated with an amorphous hard carbon film having 1,000Å to 3μm by PVD method or plasma CVD method to give the objective coated ceramic member.
COPYRIGHT: (C)1993,JPO&Japio
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 セラミック基材と、セラミック基材の表面上に直接設けられた膜厚50〜5000Åの非晶質のシリコン中間層と、シリコン中間層の上に設けられた膜厚1000Å〜3μmの非晶質の硬質炭素膜とからなることを特徴とする被覆セラミック部材。
  • 【請求項2】 セラミック基材の表面上にイオン注入蒸着法により膜厚50〜5000Åの非晶質のシリコン中間層を形成し、次にこのシリコン中間層の上にPVD法又はプラズマCVD法により膜厚1000Å〜3μmの非晶質の硬質炭素膜を形成することを特徴とする被覆セラミック部材の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性及び耐摺動性に優れた被覆セラミック部材、及びその製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】セラミックは、耐摩耗性、耐食性、耐熱性などの点で、金属では到底達成できない優れた特性を有することから、機械部品や高温で使用される部材への実用化研究が精的に進められている。

    【0003】特に最近では、電子機器や機械部品において、無潤滑状態で高速摺動する部分にセラミックを使用する試みがなされている。 しかし、セラミックは極めて硬度が高いので、使用方法を間違えると相手材を傷付けたり摩耗させたりする欠点がある。 又、セラミック自身の摩擦係数(μ)が非常に高いため、摩擦熱が発生して摺動部の温度が上昇し、温度上昇によりセラミック部材の摩擦係数が益々上昇するといった不都合が存在する。

    【0004】この問題を解決するため、セラミックの表面を改質し、セラミックの硬さを損ねることなく摩擦係数を低減させる試みがなされている。 例えば、高硬度で且つ摺動時の摩擦係数が小さいダイヤモンドや硬質炭素膜でセラミック部材の表面を被覆する方法が提案されている。 しかし、ダイヤモンドに関しては、被覆膜の表面粗さが大きいため、一般的には摺動部分への使用は難しいと報告されている。 一方、硬質炭素膜はその特性がダイヤモンドと良く似ていること、並びに表面粗さが極めて小さい膜が比較的簡単に得られること等から、摺動部品への応用はダイヤモンドよりも注目を集めている。

    【0005】硬質炭素膜は、ダイヤモンド状炭素又はアイ・カーボン(i−Carbon)とも呼ばれ、ダイヤモンドに類似の特性を有する非晶質の炭素膜である。 特に硬度が高く(ビッカース硬度で5000〜800
    0)、摺動時の摩擦係数が小さい材料である。 かかる非晶質の硬質炭素膜の成膜方法に関しては種々の報告がなされているが、一般に硬質炭素膜は基材との密着性が悪いため、これを被覆した摺動部品は実用化に至ったものが少ない現状である。

    【0006】そこで、基材との密着性を改善するため、
    例えば特開昭63−9543号公報や特開昭63−95
    55号公報などに開示されるごとく、シリコン、ゲルマニウム、チタン、クロムのような金属中間層を導入する試みがなされている。 しかしながら、このような方法では金属系統の基材に対しては密着強度が幾分向上するもののセラミック系の基材に対しては密着強度の改善向上が不十分であり、又非晶質の硬質炭素膜との密着強度も十分とは言えず、優れた摺動特性の被覆セラミック部材を提供することはできなかった。

    【0007】

    【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の事情に鑑み、被覆層として高硬度で摩擦係数の小さい非晶質の硬質炭素膜を使用し、この被覆層とセラミック基材との中間層の材質並びに成膜方法を最適化することにより、耐摩耗性や摺動特性に優れた被覆セラミック部材及びその製造方法を提供することを目的とする。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の被覆セラミック部材においては、セラミック基材と、セラミック基材の表面上に直接設けられた膜厚50〜5000Åの非晶質のシリコン中間層と、シリコン中間層の上に設けられた1000Å〜3μmの非晶質の硬質炭素膜とからなることを特徴とする。

    【0009】又、本発明の被覆セラミック部材の製造方法は、セラミック基材の表面上にイオン注入蒸着法により膜厚50〜5000Åの非晶質のシリコン中間層を形成し、次にこのシリコン中間層の上にPVD法又はプラズマCVD法により1000Å〜3μmの非晶質の硬質炭素膜を形成することを特徴とする。

    【0010】

    【作用】従来からシリコンの中間層に関する提案はあるが、その結晶構造については全く報告されておらず、一般的な成膜方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法等のPVD法で形成したシリコン膜の結晶構造は結晶質となるので、従来も結晶質のシリコン中間層を使用していた。 本発明者らの研究によれば、結晶質のシリコン中間層とその上層に設けた非晶質の硬質炭素膜とでは格子定数などのミスマッチが大きく、そのため両者の間の密着性の向上に限界が存在することが判明した。

    【0011】そこで本発明においては、セラミック基材と非晶質硬質炭素膜との中間層として非晶質のシリコンを採用し、結晶構造をマッチングさせることにより両者間の密着性を向上させることが出来た。 又、非晶質のシリコン中間層は、イオン注入蒸着法により成膜するため、セラミック基材との間でも密着性が極めて強い。

    【0012】イオン注入蒸着法とは、中間層の材料であるシリコンを電子ビーム等により加熱蒸気化しておき、
    イオン源で発生させたアルゴン等のイオンビームと共にセラミック基材表面に加速して衝突させ、基材への注入と同時に表面を被覆する方法である。 この方法は、イオン源の特性上、イオンの照射面積を大きくすることが難しく量産性は低いが、セラミック基材に対しても極めて密着性の良い非晶質シリコン中間層を形成できる大きな利点がある。

    【0013】非晶質のシリコン中間層の膜厚を50〜5
    000Åの範囲とする理由は、膜厚が50Å未満ではセラミック基材の表面全部を完全に被覆することが困難であり、5000Åを越えると厚膜になり過ぎて、被覆されたセラミック基材の表面硬度が低下するからである。

    【0014】一方、最外層となる非晶質の硬質炭素膜の形成には、通常の蒸着法やイオンプレーティング法等のPVD法か、プラズマの励起に高周波やマイクロ波等を利用した各種のプラズマCVD法を使用する。 非晶質の硬質炭素膜は熱安定性に乏しく400℃以上では結晶構造が変化しやすいため、成膜温度が高い熱フィラメントCVD法等の方法は不適当であり、低温での成膜が可能なプラズマCVD法又はPVD法を採用する必要がある。 尚、つきまわり性の高いプラズマCVD法は複雑形状の基材表面への成膜に適しており、PVD法はつきまわり性はやや悪いものの、平面状の基材表面にはプラズマCVD法よりも生産性良く成膜できるので、セラミック基材の形状に応じて使い分けることが好ましい。

    【0015】非晶質の硬質炭素膜の膜厚を1000Å
    (0.1μm)〜3μm(30000Å)の範囲とする理由は、1000Å未満では膜厚が薄すぎて被覆による耐摩耗性及び耐摺動特性の向上効果が顕著に現れず、3
    μmを越えると膜の内部応力が大きくなり、使用条件によっては膜剥離が発生するからである。 又、生産性の上からも、不必要に厚膜化することは好ましくない。

    【0016】

    【実施例1】イオン注入蒸着法により、蒸発させた金属シリコンをアルゴンのイオンビームと共に加速電圧20
    eVにて、下記表1に示す種々の膜厚の非晶質シリコン中間層をアルミナ基材表面に成膜した。 次に、13.5
    6MHzの高周波プラズマCVD法により、メタンガスを原料ガスとして成膜温度250℃にて、上記非晶質シリコン中間層の上に表1に示す種々の膜厚の非晶質硬質炭素膜を形成した。

    【0017】得られた各試料を用いて、アルミナボールとの摺動試験をボールオンディスク法により、摺動速度20m/min、押し付け荷重50g、摺動時間最大5
    00時間の条件にて実施し、各試料の摺動特性を調査した結果を表1に示した。 又、結晶質のシリコン中間層を用いた以外は上記と同様に構成した比較例の試料についても、同様に試験して結果を表1に併せて示した。

    【0018】

    【表1】 Si中間層 硬質C膜摺 動 試 験 結 果 試料 膜厚(Å) 膜厚(μm) 摩擦係数 摺動時間(hr) 1* 30 0.05 0.4 22 2* 50 0.05 0.02 250 3 50 0.1 0.01 >500 4 100 0.2 <0.01 >500 5 300 0.3 <0.01 >500 6 500 0.1 <0.01 >500 7 500 0.5 <0.01 >500 8 500 1.0 <0.01 >500 9 500 2.0 <0.01 >500 10 500 3.0 <0.01 >500 11* 500 3.5 <0.01 125 12 2000 1.0 <0.01 >500 13 2500 2.0 <0.01 >500 14 4000 1.5 <0.01 >500 15 4500 3.0 <0.01 >500 16 5000 3.0 <0.01 >500 17* 5000 3.5 <0.01 210 18* 5500 3.0 <0.01 240 19* 3000 2.0 <0.01 120 20* 4000 1.5 <0.01 140 (注)*を付した試料は比較例であり、その内の試料1
    9及び20はSi中間層が結晶質の比較例である。

    【0019】

    【実施例2】アルミナ基材表面に形成するシリコン中間層を、実施例1と同様にイオン注入蒸着法を用いて非晶質に形成したほか、従来と同様にイオンプレーティング法又はスパッタリング法を用いて結晶質に形成した。
    又、最外層の非晶質硬質炭素膜はプラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法のいずれかの方法により通常の条件で形成した。

    【0020】得られた表2に示す各試料について、シリコン中間層の結晶構造が非晶質硬質炭素膜の密着性に及ぼす影響をスクラッチテスターを用いて、アコーステイックエミッション法にて調査し、臨界荷重(N)を密着力として表2に示した。

    【0021】

    【表2】 シ リ コ ン 中 間 層 非晶質硬質炭素膜密 着 力試料 膜厚(Å) 結晶構造 成膜法 膜厚(Å) 成膜法 臨界荷重(N) 21* 30 非晶質 IVD 0.05 IP 10 22* 30 非晶質 IVD 0.1 IP 15 23 50 非晶質 IVD 0.1 IP 36 24* 50 結晶質 IP 0.1 IP 16 25 100 非晶質 IVD 0.3 PCVD 42 26 200 非晶質 IVD 1.0 PCVD 45 27 300 非晶質 IVD 0.5 SP 48 28 500 非晶質 IVD 1.5 SP 44 29 500 非晶質 IVD 1.0 SP 45 30* 1000 結晶質 SP 2.0 PCVD 18 31 1000 非晶質 IVD 2.0 PCVD 48 32 3000 非晶質 IVD 3.0 PCVD 51 33 4000 非晶質 IVD 2.5 PCVD 47 34 4500 非晶質 IVD 3.0 PCVD 53 35* 4500 非晶質 IVD 3.5 PCVD 26 36* 5500 非晶質 IVD 3.0 PCVD 28 37* 5500 非晶質 IVD 4.0 PCVD 19 38* 5000 非晶質 IVD 5.0 PCVD 8 (注)*を付した試料は比較例である。 IVD:イオン注入蒸着法 IP:イオンプレーティング法 SP:スパッタリング法 PCVD:プラズマCVD法

    【0022】

    【発明の効果】本発明によれば、セラミック基材の被覆層として高硬度で摩擦係数の小さい非晶質の硬質炭素膜を使用しており、この被覆層とセラミック基材との中間層として非晶質のシリコンを最適な膜厚若しくは成膜方法により形成してあるので、電子機器や機械部品の無潤滑状態で高速摺動する部分として好適な、耐摩耗性や摺動特性に優れた被覆セラミック部材を提供することが出来る。

    QQ群二维码
    意见反馈