Hardened material of porous cement, its production and building plate material

申请号 JP14200394 申请日 1994-06-23 公开(公告)号 JPH0812459A 公开(公告)日 1996-01-16
申请人 Nippon Shokubai Co Ltd; 株式会社日本触媒; 发明人 SHIOJI NAOTAKE; OKAMURA KAZUHIRO; SHIMOMURA TADAO;
摘要 PURPOSE:To obtain a hardened material of porous cement not causing cracks even in use at a place exposed to water, hardly growing molds. CONSTITUTION:This hardened material 1 of porous cement is equipped with a main material 3 of a porous cement having a great number of voids 2 and a water-absorbing resin decomposition product 4 contained in the voids 2. The hardened material 1 of porous cement is manufactured by a production method comprising a process for preparing a cement paste containing cement, a hydrous gel of a water absorbing resin and water into which the cement and the hydrous gel are dispersed, a process for curing the cement paste and a process for decomposing the water-absorbing resin during and/or after the curing of the cement paste.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】多数の空洞を有する多孔質セメント本体と、 前記空洞内に含まれ前記空洞よりも小さい吸水性樹脂分解物と、を備えた多孔質セメント硬化体。
  • 【請求項2】前記分解物が、分解剤の存在下または不在下で吸水性樹脂を加熱することで得られた分解物である、請求項1に記載の多孔質セメント硬化体。
  • 【請求項3】セメントと、吸水性樹脂の含水ゲルと、前記セメントおよび前記含水ゲルが分散された水とを含む混合物を準備する準備工程と、 前記混合物を養生する養生工程と、 前記混合物の養生中および/または養生後に前記吸水性樹脂を分解する分解工程と、を含む、多孔質セメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項4】前記分解工程が、前記混合物の硬化体を加熱する工程を含む、請求項3に記載の製造方法。
  • 【請求項5】前記混合物が、酸化性物質と還元性物質とアルカリ性物質とからなる群から選ばれる分解剤をも含む、請求項3または4に記載の製造方法。
  • 【請求項6】前記酸化性物質が、過酸化水素と過硫酸塩と過塩素酸塩とからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項5に記載の製造方法。
  • 【請求項7】前記還元性物質が、アスコルビン酸とアスコルビン酸塩とイソアスコルビン酸とイソアスコルビン酸塩と亜硫酸水素塩とからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5に記載の製造方法。
  • 【請求項8】前記アルカリ性物質が水酸化物である、請求項5に記載の製造方法。
  • 【請求項9】前記吸水性樹脂が、5μm〜1mmの数平均粒子径と5〜60g/gのセメント水吸水倍率とを有する粒子である、請求項3から8までのいずれかに記載の製造方法。
  • 【請求項10】前記セメントの量に対して、前記吸水性樹脂の量が0.1〜5重量%である、請求項3から9までのいずれかに記載の製造方法。
  • 【請求項11】請求項1または2に記載の多孔質セメント硬化体で構成された板状物からなる建築用板材。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、多孔質セメント硬化体、その製造方法および建築用板材に関する。

    【0002】

    【従来の技術】多孔質セメント硬化体は、軽量であるため、内装材、外壁材、断熱材、遮音材等の建築用構成材として広く使用されている。 多孔質セメント硬化体としては、従来、気泡コンクリート、オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート(ALC)等が提案されている。 これらのセメント硬化体は、化学反応により発生したガス、界面活性剤により生成した気泡、または、減圧下で生じた蒸気に由来する空洞を有する。 これらの空洞を作るためには、セメントと水とを含むセメントペーストを養生するための温度・湿度、セメントペーストに添加する混和材料、セメントペーストの施工方法などの種々の条件を厳しく管理する必要がある。 上記種々の条件を常に一定に保つことは難しいため、強度および品質にばらつきの少ない多孔質セメント硬化体を得ることが困難である。

    【0003】他方、吸水性樹脂の含水ゲルに由来する空洞を有する多孔質セメント硬化体が、特開昭62−13
    2747号公報および特開昭63−210078号公報で提案されている。 これらの多孔質セメント硬化体は、
    セメント、水、骨材および吸水性樹脂の混合物を養生して乾燥することにより作られる。 この混合物では、吸水性樹脂が吸水し膨潤した含水ゲルとなっている。 該混合物の硬化により、含水ゲルを含むセメント本体が生成する。 生成したセメント本体を乾燥することにより、含水ゲルが脱水して収縮し、空洞(気泡)を形成し、多孔質セメント硬化体が得られる。 このため、気泡を生成させたり、気泡を安定に保持したりするための混和材料が不要であり、養生のための温度・湿度、硬化時間を厳密に管理する必要もなくなる。 吸水性樹脂の含水ゲルにより空洞を作った多孔質セメント硬化体は、強度が高く、品質の安定したものである。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】多孔質セメント硬化体は、水に触れると水が浸透しやすいため、表面塗装によって水の接触を防いでいる。 しかし、外壁材などの建築用構成材として使用された場合、塗膜のピンホール・ひび割れを通じて雨水等の水が硬化体内部まで浸透してくる。

    【0005】吸水性樹脂の含水ゲルに由来する空洞を有する従来の多孔質セメント硬化体では、空洞中に吸水性樹脂が含まれている。 このため、そのようなセメント硬化体を水にさらされるところで使用すると、浸透した水によって空洞中の吸水性樹脂が再び吸水して膨潤し、その結果、硬化体に亀裂が生じたりカビが発生したりする問題点がある。

    【0006】本発明の目的は、強度が高く、品質の安定した多孔質セメント硬化体を水にさらされるところで使用しても亀裂が起こりにくく、カビが発生しにくくすることである。 本発明の別の目的は、そのような多孔質セメント硬化体を強度と品質とがばらつかないように作ることができる製造方法を提供することである。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】本発明の多孔質セメント硬化体は、多数の空洞を有する多孔質セメント本体と、
    空洞内に含まれ空洞よりも小さい吸水性樹脂分解物とを備えている。 吸水性樹脂分解物は、たとえば、分解剤の存在下または不在下で吸水性樹脂を加熱することで得られた分解物である。

    【0008】吸水性樹脂分解物は、吸水しないかまたは吸水しても膨潤しないものであり、たとえば、水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーを構成していたモノマーなどの有機物および/または炭素などであり、固体でもよく、タール状などの液体でもよい。 多孔質セメント本体は、軽量にしたり、コストを低減したり、断熱性を高めたり、または、遮音性を高めたりするために、木片;木粉;発泡ポリスチレンなどの非吸水性ポリマーなどを含むことができる。

    【0009】本発明の多孔質セメント硬化体は、適宜の形状に成形された製品でもよく、または、施工現場で打込み・締固め・養生されたものでもよい。 適宜の形状に成形された製品は、たとえば、外壁材、内装材、断熱材、遮音材などの建築用板材である。 本発明の建築用板材は、本発明の多孔質セメント硬化体で構成された板状物からなっている。

    【0010】本発明の多孔質セメント硬化体の製造方法は、(a)セメントと、吸水性樹脂の含水ゲルと、セメントおよび含水ゲルが分散された水とを含む混合物(以下、「セメントペースト」と言う)を準備する工程と、
    (b)セメントペーストを養生する工程と、(c)セメントペーストの養生中および/または養生後に吸水性樹脂を分解する工程とを含む。

    【0011】吸水性樹脂を分解する工程(c)は、たとえば、セメントペーストの硬化体を加熱する工程を含む。 本発明に使用されるセメントペーストは、酸化性物質と還元性物質とアルカリ性物質とからなる群から選ばれる分解剤を含みうる。 酸化性物質、還元性物質およびアルカリ性物質は、吸水性樹脂の分解を促進する働きを持っている。 分解剤として2以上の化合物を使用する場合には、2以上の酸化性物質の併用、2以上の還元性物質の併用、2以上のアルカリ性物質の併用、酸化性物質と還元性物質との併用、酸化性物質とアルカリ性物質との併用、還元性物質とアルカリ性物質との併用、酸化性物質と還元性物質とアルカリ性物質との併用という組み合わせが考えられるが、分解剤の働きを弱めるおそれが少ないという点からは、2以上の酸化性物質の併用、2
    以上の還元性物質の併用、2以上のアルカリ性物質の併用、酸化性物質とアルカリ性物質との併用、または、還元性物質とアルカリ性物質との併用が好ましい。 吸水性樹脂を全体的に分解するためには、酸化性物質、還元性物質およびアルカリ性物質は、含水ゲルに吸収されていることが好ましい。

    【0012】酸化性物質は、たとえば過酸化物である。
    過酸化物は、過酸化水素と過硫酸塩と過塩素酸塩とからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。 還元性物質は、アスコルビン酸とアスコルビン酸塩とイソアスコルビン酸とイソアスコルビン酸塩と亜硫酸水素塩とからなる群から選ばれる少なくとも1
    つであることが好ましい。

    【0013】アルカリ性物質は、たとえば、水酸化物である。 本発明でセメントペーストに使用される吸水性樹脂は、セメント/水系での膨潤率、セメント硬化体の内部に存在させる空洞体積(気泡体積)、セメント硬化体の強度によって適宜の粒子径を有する粒子であればよいが、たとえば5μm〜1mmの数平均粒子径と5〜60
    g/gのセメント水吸水倍率とを有する粒子、好ましくは10〜500μmの数平均粒子径と10〜50g/g
    のセメント水吸水倍率とを有する粒子である。 数平均粒子径が前記範囲を上回ると空洞径が大きくなりすぎて多孔質セメント硬化体の強度が低下するおそれがあり、下回るとセメントペーストへの均一な分散配合が困難となるおそれがある。 セメント水吸水倍率が前記範囲を上回ると空洞径が大きくなりすぎて多孔質セメント硬化体の強度が低下するおそれがあり、下回ると多量の吸水性樹脂を添加する必要が生じてくる。

    【0014】本発明でセメントペーストに使用される吸水性樹脂の量は、吸水性樹脂のセメント/水系での膨潤率、セメント硬化体の内部に存在させる空洞体積(気泡体積)、空洞径(気泡径)、セメント硬化体の強度によって適宜調節すればよいが、セメント硬化体の強度と気泡体積とのバランスを考慮すると、セメントに対して、
    たとえば0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。 前記範囲を上回ると空洞数が多くなりすぎて多孔質セメント硬化体の強度が低下するおそれがあり、
    下回ると所望の比重の硬化体が得られないおそれがある。

    【0015】本発明でセメントペーストに使用される水の量は、セメントに対して、たとえば20〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。 前記範囲を上回ると硬化体の強度が低下するおそれがあり、下回るとセメントペーストの軟化が不充分となってセメントペーストが取り扱いにくくなるおそれがある。 本発明の多孔質セメント硬化体およびその製造方法に使用されるセメントは、水と反応して硬化する鉱物質の粉末であれば特に制限はなく、たとえば、ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、マグネシアセメント、ローマンセメント、アルミナセメント、高硫酸塩スラグセメント、混合ポルトランドセメント、石灰混合セメントからなる群から選ばれる少なくとも1つである。

    【0016】本発明に使用される吸水性樹脂としては、
    セメントから溶出した金属イオン(たとえば、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、鉄イオン)を含む水を吸収することができるのであれば特に制限がなく、たとえば、デンプン−アクリロニトリル重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体の中和物、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体のケン化物、架橋ポリビニルアルコール変性物、ポリアクリル酸塩架橋体、架橋アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、および、スルホン酸基含有重合性不飽和単量体の架橋重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つが用いられる。 好ましい吸水性樹脂は、加熱により分解しやすいという理由から、ビニルアルコール−アクリル酸ナトリウム架橋共重合体、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム架橋共重合体、イソブチレン−マレイン酸ナトリウム架橋共重合体およびスルホエチルメタクリレート(ナトリウム塩)
    −メタクリル酸ナトリウム架橋共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つである。

    【0017】本発明の多孔質セメント硬化体において、
    空洞は、互いに独立した独立気泡でもよく、互いに繋がった連続気泡でもよい。 吸水性樹脂に由来する空洞は、
    吸水性樹脂の含水ゲルを含んだセメントペーストが硬化している間におよび/または硬化した後に、含水ゲルが脱水して収縮するかまたは分解して脱水することにより生じる。 従来の多孔質セメント硬化体では収縮した吸水性樹脂が空洞中に残っている。 これに対し、本発明の多孔質セメント硬化体では吸水性樹脂が空洞中に残っておらず、通常、その分解物となって残っている。 本発明の多孔質セメント硬化体は、分解物による悪影響が全くないかあるいは極めて少ないものである。 しかし、その悪影響が生じるおそれがある場合には、吸水性樹脂を分解して水溶性ポリマーまたは水溶性ポリマーを構成していたモノマーに変え、これらの分解生成物を水洗などにより除去するのが好ましい。

    【0018】セメントペーストを硬化する前または硬化した後に板状に成形すると、板状の多孔質セメント硬化体が生成する。 この板状の多孔質セメント硬化体は、軽量の建築用板材として有用であり、適宜の寸法を持つように成形されていると、容易に施工することができる。
    本発明の多孔質セメント硬化体は、たとえば、本発明の製造方法によって作られるが、他の製造方法によって作られてもよい。

    【0019】本発明の製造方法によれば、まず、セメントペーストを準備する。 セメントペーストを準備する方法としては、従来公知の方法が使用できる。 たとえば、
    セメントと吸水性樹脂の粉体混合物に水を添加して混合する方法、セメントと水の混合物に吸水性樹脂粉末あるいは吸水性樹脂の含水ゲルを添加して混合する方法、セメントに吸水性樹脂の含水ゲルを添加して混合する方法などによりセメントペーストを準備することができる。
    セメントペーストでは、吸水性樹脂は吸水し膨潤して含水ゲルとなっている。 使用されるセメント・水・吸水性樹脂の量は、たとえば、上記範囲内に設定される。 必要に応じて、骨材および/または混和材料などがセメントペーストに含まれてもよい。 すなわち、本発明に用いられるセメントペーストは、セメントモルタル(モルタル)であってもよい。 セメントペーストは、さらにまた、多孔質セメント硬化体を軽量にしたり、コストを低減したり、断熱性を高めたり、または、遮音性を高めたりするために、木片;木粉;発泡ポリスチレンなどの非吸水性ポリマーなどを含むことができる。

    【0020】準備されたセメントペーストを適宜の形に成形したり、あるいは、施工部に打込み・締固めしたりしてから養生させる。 養生によりセメントペーストが硬化する。 セメントペーストの養生は、たとえば、常温〜
    300℃で1時間〜7日間、水中、湿度100%または100%に近い空気中、または、高温水蒸気中などに静置することにより行われる。 この養生条件は、化学反応、界面活性剤または減圧を利用して空洞を作るときの条件ほど厳密に管理する必要はない。 本発明の製造方法によれば、養生温度、養生時間および養生湿度の少なくとも1つが変わっても、高強度で品質にばらつきの少ない多孔質セメント硬化体を容易に生成することができる。

    【0021】本発明では、セメントペーストの養生中および/または養生後に吸水性樹脂を分解する。 吸水性樹脂を分解する方法としては、特に制限がなく種々の方法が使用できる。 吸水性樹脂を分解する方法としては、たとえば、(1)200℃以上の温度で加熱処理する、
    (2)吸水性樹脂の分解剤を吸水性樹脂と接触させ、必要に応じて加熱処理する、(3)X線、γ線等の電磁波を照射する、(4)マイクロ波を照射する、等の方法が挙げられ、適宜選択すればよい。 これら4つの方法の中でも、(2)の方法が安価且つ工業的に容易にできるため好ましい。

    【0022】上記方法(1)では、吸水性樹脂の含水ゲルを含み、分解剤を含まないセメントペーストの養生中および/または養生後に、200℃以上の温度で0.1
    〜20時間、好ましくは250℃以上の温度で0.5〜
    10時間加熱する。 この加熱により、含水ゲルが乾燥して収縮し、吸水性樹脂が分解する。 上記方法(2)では、吸水性樹脂の含水ゲルと分解剤とを含むセメントペーストの養生中および/または養生後に、50〜200
    ℃の温度で0.1〜20時間、好ましくは100〜18
    0℃の温度で0.5〜10時間保持する。 これにより、
    吸水性樹脂が分解し、硬化体が乾燥する。

    【0023】上記方法(2)を工業的に容易に実行可能にするためには、分解剤は、含水ゲルに吸収されていることが好ましい。 分解剤としては、酸化性物質、還元性物質、多価金属塩、アルカリ性物質、酸性物質等を挙げることができるが、空洞内部に吸水性樹脂が全く存在しなくするためには、酸化性物質と還元性物質とアルカリ性物質とから選ばれるものが特に好ましい。 これらの分解剤を使用した場合、養生中および/または養生後の加熱条件が無添加のときに比べて低くできるという利点がある。

    【0024】本発明で用いられる酸化性物質としては、
    吸水性樹脂を酸化できるものであれば特に制限がなく、
    たとえば、無機過酸化物、有機過酸化物、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸等が挙げられる。 無機過酸化物としては、たとえば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過マンガン酸塩;過塩素酸塩;オゾン等を挙げることができる。 また、有機過酸化物としては、たとえば、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等を挙げることができる。 酸化性物質としては、吸水性樹脂を分解する効果が高いという点で過酸化水素および過硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つが特に好ましい。

    【0025】本発明で用いられる還元性物質としては特に制限がなく、たとえば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸亜鉛、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素アンモニウム等の亜硫酸水素塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸アンモニウム等のピロ亜硫酸塩;亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、亜二チオン酸カルシウム、亜二チオン酸アンモニウム、亜二チオン酸亜鉛等の亜二チオン酸塩;三チオン酸ナトリウム、三チオン酸カリウム等の三チオン酸塩;四チオン酸ナトリウム、四チオン酸カリウム等の四チオン酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸亜鉛等の亜硝酸塩;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸類;没食子酸、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル等の没食子酸類等が挙げられる。
    中でも、吸水性樹脂を分解あるいは変質する効果が高いという点で、アスコルビン酸とアスコルビン酸塩ととイソアスコルビン酸とイソアスコルビン酸塩と亜硫酸水素塩とからなる群から選ばれる少なくとも1つが特に好ましい。

    【0026】本発明で用いられるアルカリ性物質としては特に制限がなく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;ジメチルアミン、モノメチルアミン等の有機アミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アンモニア等が挙げられる。

    【0027】分解剤の添加量は吸水性樹脂を分解するのに十分な量であれば特に制限はないが、セメントに対して、10ppm〜5%の重量比が好ましく、特に100
    ppm〜2%の重量比が好ましい。 5重量%より多い添加量の場合、セメントの硬化反応、強度等に悪影響がでる場合がある。 分解剤の存在下で、養生中および/または養生後に加熱処理することによって吸水性樹脂を分解する場合、50℃以上で加熱するのが好ましいが、さらに速く分解あるいは変質させるためには100℃以上が好ましい。 前記範囲の温度は、たとえば、0.1〜10
    時間、好ましくは0.5〜5時間維持される。

    【0028】エステル基やアミド基を有する吸水性樹脂を分解するためには、分解剤としてアルカリ性物質を使用すると効率良く分解できる場合がある。 吸水性樹脂の含水ゲルに分解剤を含有させる方法としては、特に制限がなく広い範囲の方法が使用できる。 たとえば、(A)
    セメント、水、吸水性樹脂および必要に応じて使用される骨材を混合する時に水に予め分解剤を溶解しておく方法、(B)セメント、吸水性樹脂および必要に応じて使用される骨材に分解剤を粉体ブレンドした後、水を添加し混合する方法、(C)分解剤を溶解した水を吸水性樹脂に吸水させてセメントおよび必要に応じて使用される骨材と混合する方法、等が挙げられる。

    【0029】多孔質セメント本体の空洞中に含まれている吸水性樹脂分解物を除去するために、分解工程中におよび/または分解工程後に多孔質セメント本体を水洗することができる。 分解工程中に水洗する場合には、上記分解に適した温度の熱水および/または水蒸気が使用される。 吸水性樹脂が分解された多孔質セメント硬化体は、必要に応じて、成形、表面塗装などが施されて、たとえば、外壁材、内装材、断熱材、遮音材などの建築用構成材として使用される。

    【0030】

    【作用】本発明の多孔質セメント硬化体では、多数の空洞を有する多孔質セメント本体と、空洞内に含まれ空洞よりも小さい吸水性樹脂分解物とを備えているので、硬化体に水が浸透して空洞に入ったときに吸水性樹脂の膨潤が起こらない。 このため、本発明の多孔質セメント硬化体は、水が浸透したときに亀裂が起こりにくくなる。

    【0031】本発明の多孔質セメント硬化体の製造方法では、(a)セメントと、吸水性樹脂の含水ゲルと、セメントおよび含水ゲルが分散された水とを含むセメントペーストを準備する工程と、(b)セメントペーストを養生する工程と、(c)セメントペーストの養生中および/または養生後に吸水性樹脂を分解する工程とを含むので、吸水性樹脂が吸水し膨潤した含水ゲルを含んだセメント本体が形成され、セメント本体に含まれている含水ゲルを構成する吸水性樹脂が分解され、セメント本体中に多数の空洞が形成され、しかも、吸水能を失った吸水性樹脂分解物が生成する。

    【0032】

    【実施例】図1は、本発明の建築用板材の1実施例を示す斜視図である。 この建築用板材は、本発明の多孔質セメント硬化体1で構成された板状物である。 図2に示す
    II−II断面にみるように、この多孔質セメント硬化体1
    は、多数の空洞2を有する多孔質セメント本体3と、空洞内に含まれた吸水性樹脂分解物4とを備えている。 空洞2は、セメント本体3の、吸水性樹脂が吸水し膨潤した含水ゲル(図示されず)との界面で囲まれている。 このため、気泡を生成させたり、気泡を安定に保持したりするための混和材料が不要であり、養生のための温度・
    湿度、硬化時間を厳密に管理する必要もなく、多孔質セメント硬化体が形成される。 この多孔質セメント硬化体は、強度が高く、品質の安定したものである。

    【0033】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定されない。 なお、実施例および比較例において、「部」
    および「%」は、それぞれ、「重量部」および「重量%」を示す。 セメント水吸水倍率の測定方法は、次のとおりである。 普通ポルトランドセメント2000部にイオン交換水1000部を入れ、ホモディスパー(特殊機化工業社製、フィードバック付)で3000rpm ×5分間攪拌した後、吸引濾過してセメント水を得た。 吸水性樹脂粉末約0.3gを精秤して(精秤値=A(g))ティーバッグ型の袋に入れ、上記セメント水に3時間浸漬した後、袋全体の重量B(g)を測定した。 他方、同じティーバッグ型の袋に吸水性樹脂粉末を入れずにセメント水に3時間浸漬した後、袋全体の重量C(g)を測定した。 これらの測定結果から次式に従って吸水倍率を算出した。 吸水倍率=(B−C)/A (実施例1)容量600mlのプラスティック製容器に水道水100部および分解剤として過硫酸ナトリウム1部を採り、過硫酸ナトリウムを水道水に溶解した。 この過硫酸ナトリウム水溶液を攪拌下、数平均粒子径が10μ
    mの吸水性樹脂{スルホエチルメタクリレート(ナトリウム塩)/メタクリル酸ナトリウム=70/30(モル比)架橋重合体、セメント水吸水倍率21g/g}1部を添加して含水ゲルを得た。 この含水ゲルを含む水10
    2部を容量600mlのプラスティック製容器に仕込んだ普通ポルトランドセメント100部に添加し、十分に混練してセメントペーストを得た。

    【0034】このようにして得たセメントペーストを所定の型枠に移し、温度・湿度管理をしていない室内での3日間の放置により養生して5cm×10cm×1.5cmのセメント硬化体を得た。 次に、この硬化体を型枠より取り出して、熱風循環乾燥機(タバイ社製、パーフェクトオーブンPH−100型)で150℃、5時間保持することにより乾燥させ、表面に亀裂のない多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体を水中に1か月間浸漬した後、その表面状態を肉眼で観察したが、亀裂は全く認められなかった。 水中に1か月間浸漬した多孔質セメント硬化体をハンマーで2つに割り、破断面の状態を肉眼で観察した結果、セメント硬化体の空洞中にはタール状物質が存在したが吸水性樹脂の含水ゲルは全く存在していなかった。

    【0035】(実施例2〜7)分解剤として表2に示した化合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 これらのセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。 (実施例8)熱風循環乾燥機の温度を80℃に変えたこと以外は実施例1と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。

    【0036】(実施例9)熱風循環乾燥機の温度を80
    ℃に変えたこと以外は実施例4と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。 (実施例10)分解剤を添加せず、かつ熱風循環乾燥機の温度を230℃に変えたこと以外は実施例1と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。

    【0037】(実施例11〜13)表1に示した吸水性樹脂を用いたこと以外は実施例4と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 これらのセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。 (実施例14)分解剤の添加量を表2に示したとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。

    【0038】(実施例15)分解剤の添加量を表2に示したとおりとしたこと以外は実施例4と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。 (実施例16)吸水性樹脂として数平均粒子径が500
    μmのスルホエチルメタクリレート(ナトリウム塩)/
    メタクリル酸ナトリウム=70/30(モル比)架橋重合体(セメント水吸水倍率21g/g)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。

    【0039】(実施例17)容量600mlのプラスティック製容器に、普通ポルトランドセメント100部と、
    水道水100部と、L−アスコルビン酸1.0部と、実施例1で用いたのと同じ吸水性樹脂0.1部とを別々に添加し混合してセメントペーストを得た。 このセメントペーストを実施例1と同様に処理して多孔質セメント硬化体を得た。 このセメント硬化体の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示した。

    【0040】(比較例)熱風循環乾燥機の温度を100
    ℃としたこと以外は実施例10と同様にして比較用多孔質セメント硬化体を得た。 この比較用多孔質セメント硬化体を水中に1か月間浸漬した後の表面状態を観察した結果、多数の亀裂が確認され、また、破断面の状態を実施例1と同様に観察したところ、空洞であった窪みに含水ゲルが入っていた。

    【0041】なお、表1において、スルホエチルメタクリレート・Naとは、スルホエチルメタクリレート(ナトリウム塩)である。

    【0042】

    【表1】

    【0043】

    【表2】

    【0044】表1にみるように、実施例の多孔質セメント硬化体は吸水性樹脂分解物を有しているので、水中に浸漬した後に含水ゲルを含んでおらず、亀裂が発生していないか、または、少し発生しているだけであった。 比較例の多孔質セメント硬化体は吸水性樹脂を含んでいるので、水中に浸漬した後に含水ゲルを含んでおり、亀裂が多数発生していた。

    【0045】分解剤を使用せずに200℃以上の温度で吸水性樹脂を分解したときと、分解剤を使用して100
    ℃よりも低い温度で吸水性樹脂を分解したときとでは同等以上の結果が得られたことから、分解剤を使用する方が吸水性樹脂の分解をより低い温度で行うのに有用であることがわかる。

    【0046】

    【発明の効果】本発明の多孔質セメント硬化体は、多数の空洞を有する多孔質セメント本体と、空洞内に含まれた吸水性樹脂分解物とを有するので、外壁など水にさらされるところで使用されても亀裂を起こしにくく、カビを発生しにくいし、しかも、高強度で安定した品質を有する。

    【0047】本発明の多孔質セメント硬化体は、亀裂が起こりにくく、カビが発生しにくくて軽量の建築用構成材とすることができる。 本発明の多孔質セメント硬化体の製造方法は、(a)セメントと、吸水性樹脂の含水ゲルと、セメントおよび含水ゲルが分散された水とを含むセメントペーストを準備する工程と、(b)セメントペーストを養生する工程と、(c)セメントペーストの養生中および/または養生後に吸水性樹脂を分解する工程とを含むので、そのような多孔質セメント硬化体を強度と品質とがばらつかないように作ることが容易にできる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の建築用板材の1実施例を示す斜視図である。

    【図2】II−II断面図である。

    【符号の説明】

    1 多孔質セメント硬化体 2 空洞 3 多孔質セメント本体 4 吸水性樹脂分解物

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