Honeycomb structure

申请号 JP2012210840 申请日 2012-09-25 公开(公告)号 JP2014064978A 公开(公告)日 2014-04-17
申请人 Ngk Insulators Ltd; 日本碍子株式会社; Honda Motor Co Ltd; 本田技研工業株式会社; 发明人 YANASE HIDETOSHI; AOYAMA TOMOKATSU; HATAKEYAMA YOSHIAKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a honeycomb structure in which a ring crack hardly occurs.SOLUTION: A honeycomb structure 100 includes: a honeycomb base material 4 having porous partition walls 1 for partitioning/forming a plurality of cells 2 being fluid flowing passages; and a ring-shaped projection part 10 formed to circumferentially surround the outer periphery of the honeycomb base material 4. The ring-shaped projection part 10 is arranged so as to be projected into the outside from the outer periphery of the honeycomb base material 4 and cover a part of the outer periphery of the honeycomb base material 4. The ring-shaped projection part has a tapered shape at each of both ends and 3-20 mm thickness in the cross section perpendicular to the extension direction of the cell 2.
权利要求
  • 流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、
    前記ハニカム基材の外周を全周に亘って取り囲むリング状の凸部であるリング状凸部と、を備え、
    前記リング状凸部は、前記ハニカム基材の外周から外側に突出し、前記ハニカム基材の外周の一部を覆うように配設され、
    前記リング状凸部の両端部の形状がテーパー状であり、
    前記リング状凸部の、前記セルの延びる方向に直交する断面における厚さが、3〜20mmであるハニカム構造体。
  • 前記リング状凸部の、前記セルの延びる方向に直交する断面における厚さが、5〜10mmである請求項1に記載のハニカム構造体。
  • 前記リング状凸部の幅が、前記セルの延びる方向における長さの1〜80%である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  • 前記リング状凸部の表面の一部が、前記セルの延びる方向に平行な平面状である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 前記ハニカム基材が、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミニウムチタネート及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 说明书全文

    本発明は、ハニカム構造体に関する。 更に詳しくは、リングクラックが発生し難いハニカム構造体に関する。

    従来、排出ガスの排気系には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)や触媒体などを備える排ガス浄化装置が搭載されている。 DPFは、を主体とする粒子状物質(PM)を捕集するためのフィルタである。 触媒体は、排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化素(HC)、窒素酸化物(NO )等の有害物質を浄化するものである。 そして、この触媒体を構成する触媒担体やDPFとして、ハニカム構造体が用いられている。

    排ガス浄化装置の故障の原因の一つとして、ハニカム構造体にリング状のクラックが生じることが挙げられる。 ハニカム構造体に生じる、このようなクラックを「リングクラック」と称する。 このリングクラックは、図9に示すように、セル2の延びる方向に対して略直交するように、ハニカム構造体200に形成されるクラック(リングクラック50)である。 そして、リングクラック50は、ハニカム構造体の外周において、外周方向に延びるように形成される。 図9は、従来のハニカム構造体にリングクラックが生じた状態を模式的に示す斜視図である。

    このリングクラックは、ハニカム構造体の全長方向(セルの延びる方向)に引張応が発生することが一般的な要因とされている。 引張応力は、ハニカム構造体を構成するセラミックスの熱膨張率と、このハニカム構造体を収納する金属缶体の熱膨張率との差によって生じる応力である。 この引張応力は、ハニカム構造体が、加熱と冷却とが繰り返される環境下に置かれることによって生じる。 この引張応力は、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さ(全長(A))と、ハニカム構造体のセルの延びる方向に直交する断面における直径(外径(B))の比(A/B)が大きくなるほど大きくなる傾向にある。 そのため、A/Bが大きくなるほど、リングクラックが発生し易くなる。 ここで、全長(A)は、ハニカム構造体の「セルの延びる方向における長さ」である。 また、外径(B)は、ハニカム構造体の「セルの延びる方向に直交する断面」における直径である。

    そこで、リングクラックの発生を抑制する方法として、外径を大きくすることによりA/Bを小さくする方法が知られている。 また、A/Bを所定の範囲とするハニカム構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

    特開平9−299811号公報

    しかしながら、ハニカム構造体は、外径が大きくなるほど製作難易度が上がる。 更に、触媒担体として使用される場合には、外径が大きくなるほど、担持する貴金属量が多くなってしまう。 また、ハニカム構造体の外径が大きくなると、排ガス浄化装置全体が大型化してしまう。 ハニカム構造体が自動車に搭載される場合、搭載スペースは、エンジン直近や車体下面等の限られたスペースであるため、ハニカム構造体の外径を大きくするには限界があった。

    本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。 本発明は、リングクラックが発生し難いハニカム構造体を提供するものである。

    [1] 流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、前記ハニカム基材の外周を全周に亘って取り囲むリング状の凸部であるリング状凸部と、を備え、前記リング状凸部は、前記ハニカム基材の外周から外側に突出し、前記ハニカム基材の外周の一部を覆うように配設され、前記リング状凸部の両端部の形状がテーパー状であり、前記リング状凸部の、前記セルの延びる方向に直交する断面における厚さが、3〜20mmであるハニカム構造体。

    [2] 前記リング状凸部の、前記セルの延びる方向に直交する断面における厚さが、5〜10mmである[1]に記載のハニカム構造体。

    [3] 前記リング状凸部の幅が、前記セルの延びる方向における長さの1〜80%である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。

    [4] 前記リング状凸部の表面の一部が、前記セルの延びる方向に平行な平面状である[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。

    [5] 前記ハニカム基材が、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミニウムチタネート及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種からなるものである[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。

    本発明のハニカム構造体は、上記「リング状凸部」を備えるため、リングクラックが発生し難い。 また、本発明のハニカム構造体は、搬送中などに上記「リング状凸部」が外力を受けたとしても上記「リング状凸部」が欠けなどの欠陥を生じ難いものである。

    本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。

    本発明のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。

    本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。

    本発明のハニカム構造体の他の実施形態を一方の端面側から見た平面図である。

    既存の梱包容器に、従来のハニカム構造体を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。

    既存の梱包容器に、本発明のハニカム構造体の一実施形態を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。

    既存の梱包容器に、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。

    本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。

    従来のハニカム構造体にリングクラックが生じた状態を模式的に示す斜視図である。

    以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。 本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。 本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。

    (1)ハニカム構造体:
    本発明のハニカム構造体の一実施形態は、図1、図2に示すハニカム構造体100のように、流体の流路となる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を有するハニカム基材4を備える。 更に、ハニカム構造体100は、ハニカム基材4の外周を全周に亘って取り囲むリング状のリング状凸部10を備える。 リング状凸部10は、ハニカム基材4の外周から外側に突出し、ハニカム基材4の外周の一部を覆うように配設されている。 更にリング状凸部10は、セル2の延びる方向における両端部がテーパー状である。 更に、ハニカム構造体100においては、リング状凸部10の、セル2の延びる方向に直交する断面における厚さ(リング状凸部の厚さ)が、3〜20mmである。 ここで、「テーパー状」は、先端に向かうに従ってリング形状の外径が細くなる形状のことである。 また、「リング状凸部の厚さ」は、「ハニカム構造体の、中心軸に直交する断面における、中心から外周に向かう方向(半径方向)における厚さ」であるということもできる。 また、「リング状凸部の厚さ」は、リング状凸部におけるテーパー部分を除いた部分の、厚さである。 また、ハニカム基材4の外周面に外周コート層が配設されている場合には、「リング状凸部の厚さ」は、図2に示されるように、外周コート層の表面からの厚さである。 図1は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。

    リング状凸部10は、「ハニカム基材4の外周から外側に突出し、ハニカム基材4の外周の一部を覆うように」配設されている。 即ち、ハニカム構造体100の一部の外径が、大きくなっている。 そのため、ハニカム構造体100は、引張応力に対する耐久性が向上されている。 その結果、ハニカム構造体100は、引張応力が生じたとしてもリングクラックが発生し難いものである。

    更に、ハニカム構造体100において、リング状凸部10は、「ハニカム基材4の外周を、全周に亘って取り囲むリング状」である。 そのため、ハニカム構造体100は、引張応力に対する耐久性が向上されている。 その理由は、「ハニカム基材4の外周を、全周に亘って取り囲む」ことによって、引張応力が均等にかかるからである。 従って、ハニカム構造体100は、引張応力が生じたとしてもリングクラックが発生し難いものである。

    リング状凸部10の、セル2の延びる方向に直交する断面における厚さHは、3〜20mmであり、3〜15mmであることが好ましく、5〜10mmであることが特に好ましい。 リング状凸部10の、セル2の延びる方向に直交する断面における厚さHが3mm未満であると、リング状凸部が薄過ぎるため、DPFの捕集機能に影響を及ぼす程度のリングクラックが発生する。 20mm超であると、自動車等における限られた搭載スペースに、ハニカム構造体を搭載できなくなる。

    リング状凸部10は、セル2の延びる方向における両端部がテーパー状である。 そのため、搬送中などにリング状凸部10が外力を受けたとしてもこのリング状凸部10は欠けなどの欠陥を生じ難いものである。

    リング状凸部10の、セルの延びる方向における両端部のテーパーの度は、特に制限はない。 リング状凸部10のテーパーの角度は、10〜80°が好ましく、20〜60°が特に好ましい。 10°より小さいと、自動車等における限られた搭載スペースに、ハニカム構造体100を搭載できなくなるという不具合がある。 80°より大きいと、リング状凸部の端部(最外周部分)が欠けたりすることがある。 「リング状凸部10のテーパーの角度」とは、セル2の延びる方向に平行な断面において、ハニカム構造体100の中心軸に平行な直線Cとリング状凸部のテーパー面11とにより形成される角度のうち、鋭角の角度αのことである(図2参照)。 「テーパー面11」はテーパー状になっているリング状凸部の端面のことである。

    リング状凸部10の幅Lは、ハニカム構造体100のセルの延びる方向の長さの1〜80%であることが好ましく、5〜20%であることが特に好ましい。 リング状凸部10の幅Lが上記範囲であることにより、自動車等における限られた搭載スペースに、ハニカム構造体を良好に搭載することができる。 また、リング状凸部10が、大き過ぎないため、ハニカム構造体を軽量化できる。 リング状凸部10の幅が1%未満であると、リングクラックを良好に防止することができないおそれがある。 80%超であると、ハニカム構造体が大型化して、自動車等における限られた搭載スペースに、ハニカム構造体を搭載できなくなるおそれがある。 「リング状凸部の幅」は、リング状凸部の、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さである。 つまり、「リング状凸部の幅」は、テーパー状の両端部の、両先端間の距離である。

    リング状凸部10は、ハニカム基材4の外周の一部を覆うように配設される限り配設位置は特に制限はない。 即ち、リングクラックの発生を防止できる限り、ハニカム基材4の中央部に配設してもよいし、端部に配設してもよい。 ハニカム基材の中央部は、ハニカム基材の、セルが延びる方向における中央部のことである。 ハニカム基材4の中央部にクラックが発生し易い場合、リング状凸部10は、ハニカム基材4の中央部に配設されることが好ましい。 「リング状凸部10が、ハニカム基材4の中央部に配設される」とは、「リング状凸部10の少なくとも一部が、ハニカム基材4の、セルの延びる方向のおける中央(ハニカム基材4の中央)を覆うように配置される」ことを意味する。 即ち、「リング状凸部10が、ハニカム基材4の中央部に配設される」というときは、以下の2つの場合を含む。 つまり、「リング状凸部10の、セルの延びる方向における中央(リング状凸部10の中央)」が、ハニカム基材4の中央と重なる(中央を覆う)場合、及び、リング状凸部10の中央以外の部分が、ハニカム基材4の中央と重なる(中央を覆う)場合の両方を含む。 尚、ハニカム構造体は、全長(A)と外径(B)の比(A/B)が大きくなるほど、ハニカム基材4の中央にクラック(リングクラック)が発生し易くなる。

    ハニカム構造体は、全長(A)と外径(B)の比(A/B)が小さくなるほど、ハニカム基材4の端面にクラック(端面クラック)が発生し易くなる。 特に、排ガスの出口側の端面に、端面クラックが発生し易い。 このように、ハニカム基材4の端面にクラックが発生し易い場合、リング状凸部10は、ハニカム基材4の当該クラックが発し易い端面を有する端部に、配設されることが好ましい。

    リング状凸部10の数は、1つに限らず複数とすることができる。 複数のリング状凸部を配設する場合、リング状凸部は、少なくとも、排ガスの出口側の端部と中央部とに配設されることが好ましい。

    リング状凸部10は、図2に示すように、セル2の延びる方向に平行な複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を有することが好ましい。 リング状凸部10にセル2が形成されると、リングクラックの発生を防止しつつ、ハニカム構造体100を軽量化することができる。 リング状凸部10は、ハニカム基材4と一体的に形成されていることが好ましい。 これにより、リング状凸部10が、強固にハニカム基材4に結合されることになる。 ここで、「リング状凸部10とハニカム基材4とが一体的に形成されている」とは、以下のことを意味する。 即ち、リング状凸部10を構成する隔壁と、ハニカム基材4を構成する隔壁との間に、境界が存在せず、それぞれの隔壁の材質が連続するように、リング状凸部10の隔壁と、ハニカム基材4の隔壁とが接合されている状態を意味する。 このような、「リング状凸部10とハニカム基材4とが一体的に形成された」ハニカム構造体は、「リング状凸部になる部分とハニカム基材になる部分とを含む」一つのハニカム成形体を成形して、乾燥、焼成、加工等を行うことにより得られる。 「リング状凸部10に形成されるセル2」を区画形成する隔壁1には、触媒となる貴金属を担持させる必要がない。 「リング状凸部10に形成されるセル2」には、排ガスが流入し難いためである。 ハニカム構造体100に触媒を担持させる方法としては、ハニカム構造体100の一方の端部を触媒用スラリーに浸漬し、他方の端部を吸引して上記触媒用スラリーを吸い上げる方法が好ましい。 この方法によれば、「リング状凸部10に形成されるセル2」に触媒が担持されていないハニカム構造体を容易に作製することができる。

    ハニカム構造体100は、ハニカム基材4の「リング状凸部10の表面を含む外周面」上に、外周コート材からなる外周コート層7を備えることが好ましい。 外周コート層7を備えることにより、上記触媒用スラリーを吸い上げる際における上記触媒用スラリーの漏れを防止できる。 更に、外周コート層7は、図1及び図2に示すように、「リング状凸部10に形成されるセル2」の開口部を塞ぐように形成されることが好ましい。 外周コート層7が「リング状凸部10に形成されるセル2」の開口部を塞ぐように形成されることにより、「リング状凸部10に形成されるセル2」に流入した排ガスが「リング状凸部10に形成されるセル2」の開口部から排出されることを防止できる。 即ち、ハニカム構造体100から排ガスが漏れることを防止できる。 上述したように、「リング状凸部10に形成されるセル2」を区画形成する隔壁1には触媒を担持させない場合がある。 この場合、上記のように外周コート層7が形成されていないと、十分に浄化されていない排ガスが排出されることになる。 即ち、「リング状凸部10に形成されるセル2」の開口部から排ガスが漏れることに起因して浄化性能が低下するおそれがある。 そこで、外周コート層7を、「リング状凸部10に形成されるセル2」の開口部を塞ぐように形成すると、浄化性能の低下を抑制できる。 外周コート材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の無機原料に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤等の添加材を加えたものに、水を加えて混練したもの、などを挙げることができる。

    外周コート層7の厚さは、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmが特に好ましい。 外周コート層7の厚さを上記範囲とすると、外周コート層の塗布後における乾燥を均一な状態で行うことが可能となるため、乾燥収縮時に外周コート層7にクラックが生じることを防止できる。 外周コート層7の厚さが、1μm未満であると、触媒を担持させる際に上記触媒用スラリーがハニカム基材4から漏れ出るおそれがある。 外周コート層7の厚さが、1000μm超であると、排ガス浄化機能を有さない部分断面比率が大きくなるため、浄化性能が低下することがある。

    本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4の材質は、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミニウムチタネート及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とすることが好ましい。 また、ハニカム基材の材質は、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミニウムチタネート、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種からなることが更に好ましい。 ここで、「主成分」は、全体の中の50質量%を超える成分を意味する。

    本実施形態のハニカム構造体100において、隔壁1の平均細孔径は、5〜100μmが好ましく、8〜50μmが特に好ましい。 平均細孔径が5μmより小さいと、圧力損失が大きくなることがある。 平均細孔径が100μmより大きいと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。 平均細孔径は、水銀ポロシメータによって測定した値である。

    本実施形態のハニカム構造体100において、隔壁1の気孔率は、30〜80%が好ましく、35〜75%が特に好ましい。 気孔率が30%より小さいと、圧力損失が大きくなることがある。 気孔率が80%より大きいと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。 気孔率は、水銀ポロシメータによって測定した値である。

    隔壁1の厚さは、40〜600μmであることが好ましく、150〜400μmであることが特に好ましい。 40μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。 600μmより厚いと、圧力損失が高くなることがある。

    本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4の形状は、特に限定されない。 ハニカム基材4の形状としては、円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の筒形状、等が好ましい。 図1に示すハニカム構造体100においては、ハニカム基材4の形状は円筒形状である。

    本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4のセル形状(セルが延びる方向に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はない。 セル形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。 四角形のなかでは、正方形又は長方形が好ましい。

    本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4のセル密度については、特に制限はない。 ハニカム基材4のセル密度は、15〜200セル/cm であることが好ましく、30〜100セル/cm であることが特に好ましい。 セル密度が、15セル/cm より低いと、排ガスを流通させたときに、短時間で圧力損失が大きくなったり、ハニカム構造体100の強度が低くなったりすることがある。 セル密度が200セル/cm より高いと、圧力損失が大きくなることがある。

    本発明のハニカム構造体は、一方の端面における所定のセル(第1のセル)の開口部及び他方の端面における残余のセル(第2のセル)の開口部に配設された目封止部を備えていてもよい。 上記第1のセルと上記第2のセルとは、交互に並んでいることが好ましい。 そして、それによって、ハニカム構造体の両端面に、目封止部と「セルの開口部」とにより、市松模様が形成されていることが好ましい。 目封止部の材質は、ハニカム基材(隔壁)の材質として好ましいとされた材質であることが好ましい。 目封止部の材質とハニカム基材の材質とは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。

    本発明のハニカム構造体の他の実施形態は、図3に示すハニカム構造体101のように、上記本発明のハニカム構造体の一実施形態において、リング状凸部10の表面の一部が、セル2の延びる方向に平行な平面状になったものである。 即ち、リング状凸部10には、セル2の延びる方向に平行な平面状である平面部15が形成されている。 表面の一部が平面状であるリング状凸部10を備えることにより、リング状凸部10の厚さHが一部薄くなる(平面部15の部分の厚さが薄い)。 そのため、ハニカム構造体の移送時に用いる梱包容器として小さなものを用いることができる。 図3は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。

    本実施形態のハニカム構造体101においては、リング状凸部は、平面部15が形成された部分以外は、周方向において均一な形状であることが好ましい。 「周方向において均一な形状」とは、周方向に直交する断面の形状が、どの部分でも同じ形状であることを意味する。 尚、本実施形態のハニカム構造体101は、リング状凸部における、平面部15が形成された部分以外の部分が、周方向において均一な形状でなくてもよい。 また、上記本発明のハニカム構造体の一実施形態(リング状凸部に平面部が形成されていないハニカム構造体100)においては、リング状凸部が、全周に亘って周方向に均一な形状であることが好ましい。 尚、上記本発明のハニカム構造体の一実施形態(ハニカム構造体100)においては、リング状凸部が、全周に亘って周方向に均一な形状になっていなくてもよい。

    具体的には、従来、ハニカム構造体の移送などの際には、図5に示すような直方体の梱包容器20等に、複数のハニカム構造体200が収納されて移送されている。 梱包容器内には、できるだけ多くのハニカム構造体が収納されるように、ハニカム構造体が並べられる。 つまり、梱包容器は、通常、移送効率を向上させるため、「梱包容器とハニカム構造体の外周との最短距離、及び、ハニカム構造体同士の間の距離」が、なるべく小さくなるように設計されている。 一方で、「ハニカム構造体と梱包容器とが、運搬中に接触して、ハニカム構造体が破損する」という状況を回避する必要がある。 そのため、通常、梱包容器は、「梱包容器とハニカム構造体の外周との最短距離が1〜50mmとなり、ハニカム構造体同士の間の距離が1〜50mmとなる」ように設計されている。 このような条件を満たす梱包容器を「既存の梱包容器」と称することにする。 梱包容器が上記のように設計されているため、図1に示すハニカム構造体100のように「リング状凸部10が配設されたハニカム構造体」は、図6に示すように、既存の梱包容器に収納されないおそれがある。 尚、図1に示すハニカム構造体100は、リング状凸部10に、平面部が形成されていないものである。

    一方、図3に示すハニカム構造体101のように「リング状凸部10の表面の一部が、セル2の延びる方向に平行な平面状である」ハニカム構造体は、リング状凸部10の厚さが平面部において薄くなっている。 そのため、図7に示すように、ハニカム構造体101は、既存の梱包容器20に収納され得る。 従って、既存の梱包容器20を使用することができる。 図5は、既存の梱包容器に、従来のハニカム構造体を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。 図5において、ハニカム構造体200の隔壁は、省略されている。 図6は、既存の梱包容器に、本発明のハニカム構造体の一実施形態を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。 図6において、ハニカム構造体100の隔壁は、省略されている。 図7は、既存の梱包容器に、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を複数個収納した状態を模式的に示す平面図である。 図7において、ハニカム構造体101の隔壁は、省略されている。

    リング状凸部10には、互いに平行な1対の平面部15が形成されることが好ましい。 更に、リング状凸部10には、図4に示すように、互いに平行な1対の平面部15が、2組形成されており、一方の1対の平面部15が他方の1対の平面部15に直交するように形成されることが好ましい。 このように平面部が形成されることにより、リング状凸部10に薄い部分(平面部)が形成されることになるため、平面部が形成されない場合に比べて、収納スペースを小さくすることが可能になる。 そのため、ハニカム構造体101は、自動車等のように搭載スペースが小さい場所であっても、良好に搭載することができる。 図4は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を一方の端面側から見た平面図である。

    平面部(表面)とハニカム基材の外周(リング状凸部10に覆われている部分)との距離(最短距離)T(図4参照)は、1〜15mmであることが好ましく、2.5〜10mmであることが特に好ましい。 平面部とハニカム基材の外周との距離Tを上記範囲とすることにより、リングクラックの発生を防止することができる。 更に、自動車等のように搭載スペースが小さい場所であっても、ハニカム構造体を良好に搭載することができる。 平面部(表面)とハニカム基材の外周との距離Tは、リング状凸部の、平面部における最も薄い部分の厚さということができる。 尚、ハニカム構造体が外周コート層を備える場合、距離Tは、平面部(表面)とハニカム基材の外周との距離(最短距離)から、外周コート層を差し引いた値である。

    本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態は、上記本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体101)において、リング状凸部10が、ハニカム基材4の端部(一方の端部)に配設されているものである。 図8に示すハニカム構造体102は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態である。 このように、リング状凸部10がハニカム構造体102の一方の端部に配設されることにより、端面クラックの発生を防止することができる。 ハニカム構造体をDPFとして使用した場合には、排ガス出口側端面に端面クラックが発生することがある。 この端面クラックは、以下のように発生する。 自動車等のエンジンの排ガスに含まれる煤などは、ハニカム構造体の出口側端部に多く堆積する。 そこで、煤などを燃焼させてハニカム構造体を再生した際には、煤などを燃焼したことに起因してハニカム構造体の出口側端部がその他の部分よりも高温になる。 そのため、ハニカム構造体の端部に応力が生じる。 その結果、ハニカム構造体の出口側端面にクラック(端面クラック)が発生する。 図8は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。

    (2)ハニカム構造体の製造方法:
    本発明のハニカム構造体は、以下の方法で製造することができる。 即ち、本発明のハニカム構造体は、ハニカム焼成体を作製するハニカム焼成体作製工程と、このハニカム焼成体の外周部を切削してリング状凸部を形成する切削工程とを有する方法により製造できる。 更に、外周コート層を備える場合には、ハニカム焼成体の外周部を切削した後、外周コート層形成工程を有することが好ましい。 「ハニカム焼成体」は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミック原料が焼成されて形成された多孔質の隔壁を備えるハニカム焼成体である。

    このような方法によれば、本発明のハニカム構造体を容易に作製することができる。

    「リング状凸部の表面の一部が、セルの延びる方向に平行な平面状である」(リング状凸部に平面部が形成された)場合、本発明のハニカム構造体は、以下の方法で製造することができる。 つまり、まず、「リング状凸部に平面部が形成されていない」ハニカム構造体を作製する。 その後、このハニカム構造体のリング状凸部の一部を、平面部が形成されるように切削することにより、図3に示すような、リング状凸部に平面部が形成されたハニカム構造体を製造することができる。 また、「リング状凸部の表面の一部が、セルの延びる方向に平行な平面状である」場合、本発明のハニカム構造体は、以下の方法で製造することもできる。 即ち、上記ハニカム焼成体作製工程と、上記切削工程と、を有し、上記ハニカム焼成体作製工程において、多角柱状のハニカム焼成体を作製する。 更に、切削工程において、ハニカム焼成体の側面の一部が残り、残った側面の一部がリング状凸部の平面部となるようにハニカム焼成体を切削する。 このようにすることにより、切削工程の後に、平面部を形成する操作を改めて行う必要がなくなり、製造プロセスを合理化することができる。

    以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について、工程毎に説明する。

    (2−1)ハニカム焼成体作製工程;
    ハニカム焼成体作製工程は、セラミック原料が焼成されて形成された多孔質の隔壁を備えたハニカム焼成体を作製する工程である。 ハニカム焼成体を作製する方法は、特に限定されない。 以下、ハニカム焼成体作製工程を、段階的に工程に分けて説明する。

    (2−1−1)成形工程;
    まず、成形工程において、セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁(未焼成)を備えるハニカム成形体を形成することが好ましい。 ハニカム成形体は、ハニカム構造の成形体である。

    セラミック成形原料に含有されるセラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、チタン酸アルミニウム、からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。 尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料である。 そして、コージェライト化原料は、焼成されてコージェライトになるものである。

    また、セラミック成形原料は、上記セラミック原料に、分散媒、有機バインダ、無機バインダ、造孔材、界面活性剤等を混合して調製することが好ましい。 各原料の組成比は、特に限定されず、作製しようとするハニカム構造体の構造、材質等に合わせた組成比とすることが好ましい。

    セラミック成形原料を成形する際には、まずセラミック成形原料を混練して坏土とし、得られた坏土をハニカム形状に成形することが好ましい。 セラミック成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。 坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法としては特に制限はなく、押出成形、射出成形等の公知の成形方法を用いることができる。 例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。 口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。

    ハニカム成形体の形状としては、円柱状、楕円状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角柱状、等を挙げることができる。 「平面部が形成されたリング状凸部」を備えるハニカム構造体を製造する場合、多角柱状のハニカム成形体とすることが好ましい。 多角柱の側面の一部を残すことにより、この残った側面の一部をリング状凸部の平面部とすることができるためである。 即ち、平面部を形成する操作を省略することができるためである。 ハニカム成形体としては、四角柱状が更に好ましい。

    また、上記成形後に、得られたハニカム成形体を乾燥してもよい。 乾燥方法は、特に限定されるものではない。 例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。 これらの、なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。

    (2−1−2)焼成工程;
    次に、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する。

    ハニカム成形体を焼成(本焼成)する前に、ハニカム成形体を仮焼することが好ましい。 仮焼は、脱脂のために行うものである。 ハニカム成形体を仮焼する方法は、特に限定されるものではなく、有機物(有機バインダ、界面活性剤、造孔材等)を除去することができればよい。 一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度である。 そのため、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、3〜100時間程度加熱することが好ましい。

    ハニカム成形体の焼成(本焼成)は、仮焼したハニカム成形体を構成する成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するために行われる。 焼成条件(温度、時間、雰囲気等)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。 例えば、コージェライト原料を使用している場合には、焼成温度は、1410〜1440℃が好ましい。 また、焼成時間は、最高温度でのキープ時間として、4〜8時間が好ましい。 仮焼、本焼成を行う装置としては、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。

    (2−2)切削工程;
    切削工程は、ハニカム焼成体の外周部を切削する工程である。 ハニカム焼成体を切削する方法は特に限定されない。 ハニカム焼成体の外周部を切削する方法としては、従来公知の方法を適宜採用できるが、ハニカム焼成体を回転させながら、ダイヤモンドをまぶした砥石を、押し当てる手法が好ましい。 切削工程において「切削される、ハニカム焼成体の外周部」の厚さは、切削後に形成されるリング状凸部の厚さと同じになる。

    上述したように、リング状凸部に「セルの延びる方向に平行な平面部」が形成されたハニカム構造体を作製する場合には、ハニカム焼成体を、以下のように切削することが好ましい。 即ち、多角柱状のハニカム焼成体の側面の一部が残り、残った側面の一部がリング状凸部の平面部となるようにハニカム焼成体を切削することが好ましい。 このようにすることにより、切削の後に、改めて平面部を形成する操作を行う必要がなくなる。

    尚、切削は、ハニカム成形体の焼成前後のいずれでもよいが、焼成後に行うことが好ましい。 焼成後に切削することにより、焼成によってハニカム焼成体が変形した場合でも、ハニカム焼成体の形状を切削によって整えることが可能となる。

    (2−3)目封止工程;
    目封止部を備えるハニカム構造体を作製する場合には、切削工程の後に、下記目封止工程を行うことが好ましい。 この目封止工程において、ハニカム焼成体の、一方の端面における「所定のセル」の開口部及び他方の端面における「残余のセル」の開口部に、目封止部を配設する。 以下に具体的に説明する。

    まず、ハニカム焼成体(ハニカム基材)の一方の端面のセル開口部に目封止材料を充填する。 一方の端面のセル開口部に目封止材料を充填する方法としては、マスキング工程と圧入工程とを有する方法が好ましい。 マスキング工程は、ハニカム焼成体の一方の端面にシートを貼り付け、シートにおける、「目封止部を形成しようとするセル」と重なる位置に孔を開ける工程である。 圧入工程は、「ハニカム焼成体の、シートが貼り付けられた側の端部」を目封止材料が貯留された容器内に圧入して、目封止材料をハニカム焼成体のセル内に圧入する工程である。 目封止材料をハニカム焼成体のセル内に圧入する際には、目封止材料は、シートに形成された孔を通過し、シートに形成された孔と連通するセルのみに充填される。

    目封止材料は、上記セラミック成形原料の構成要素として挙げた原料を適宜混合して作製することができる。 目封止材料に含有されるセラミック原料としては、隔壁の原料として用いるセラミック原料と同じであることが好ましい。

    次に、ハニカム焼成体に充填された目封止材料を乾燥させることが好ましい。

    ハニカム焼成体の一方の端面において、目封止部が形成されたセルと目封止部が形成されていないセルとが交互に並ぶことが好ましい。 この場合、目封止部が形成された一方の端面において、目封止部と「セルの開口部」とにより市松模様が形成されることになる。

    次に、ハニカム焼成体の、他方の端面における「残余のセル」の開口部に、一方の端面の場合と同様にして、目封止部を配設することが好ましい。 尚、目封止材料の乾燥は、ハニカム焼成体の両端面において、目封止材料を充填した後に、行ってもよい。 また、ハニカム成形体に目封止材料を充填した後に焼成工程を行ってもよい。

    (2−4)外周コート層形成工程;
    切削されたハニカム焼成体の外周に、外周コート材を塗布して外周コート層を形成することが好ましい。 外周コート層を形成することにより、リング状凸部が欠けてしまうことを防止できる。 外周コート材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の無機原料に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤等の添加材を加えたものに水を加えて混練したものなどを挙げることができる。 外周コート材を塗布する方法は、「切削されたハニカム焼成体」をろくろ上で回転させながらゴムへらなどでコーティングする方法等を挙げることができる。

    以下、本発明を、実施例により更に具体的に説明する。 本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。

    (実施例1)
    セラミック原料として、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを混合したものを用いた。 そして、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材を添加すると共に、水を添加して成形原料を作製した。 そして、成形原料を真空土練機により混練し、坏土を作製した。 バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であった。 造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であった。 水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。 炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。 また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。 炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。

    得られた坏土を押出成形機を用いて成形し、円柱状のハニカム成形体を得た。 得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥した。

    乾燥後のハニカム成形体を脱脂し、焼成して円柱状のハニカム焼成体を得た。 脱脂の条件は、550℃で3時間とした。 焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。

    次に、得られた円柱状のハニカム焼成体の外周部を、「セルの延びる方向における中央部分に、リング状に凸部が残る」ように切削した。 その後、切削されたハニカム焼成体の外周に、外周コートを塗布して外周コート層を形成した。 このようにして図1に示すようなハニカム構造体を得た。 ハニカム焼成体の外周部を切削する方法としては、ハニカム焼成体を回転させながら、ダイヤモンドをまぶした砥石を、セルの延びる方向に対して22°の角度でハニカム焼成体の外周部に押しあてる方法とした。 このようにして、両端部(セルの延びる方向における両端部)がテーパー状であるリング状凸部を有するハニカム構造体を得た。 このハニカム構造体におけるリング状凸部のテーパーの角度は、両端部ともに22°であった。 尚、このハニカム構造体は平面部が形成されていない。

    得られたハニカム構造体の底面は、直径14.4cmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは、20.3cmであった。 また、隔壁の厚さは305μmであり、セル密度は46.5セル/cm であった。 リング状凸部の厚さ(凸部厚さ)(H)は10mmであり、リング状凸部の幅(凸部幅)(L)は2.0cmであった。 リング状凸部は、ハニカム構造体の一方の端部から、この一方の端部に近い側のリング状凸部の端部までの距離が6.4cmの位置に配置された。 リング状凸部の厚さ(H)は、リング状凸部の、セルの延びる方向に直交する断面における厚さHのことである。 リング状凸部の幅(L)は、リング状凸部の、ハニカム構造体のセルの延びる方向の長さのことである。 「平面部深さ(D)」は、リング状凸部の厚さ(H)と「平面部(表面)とハニカム基材の外周との距離」Tとの差である(図4参照)。

    得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で、「リングクラック」、「凸部強度」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表1に示す。

    表1、2において、「凸部取り付け位置」の欄は、リング状凸部を配設した位置を示す。 「中央」は、ハニカム構造体のセルの延びる方向の中央部にリング状凸部を配設したことを示す。 「端部」は、ハニカム構造体のセルの延びる方向における端部にリング状凸部を配設したことを示す。 「凸部角度(°)」は、リング状凸部の両端部のテーパーの角度を示す。

    (リングクラック)
    まず、バーナー試験機にハニカム構造体を取り付ける。 次に、このバーナー試験機によって下記操作を行う。 即ち、「ハニカム構造体に、800℃の高温ガスを10分間流した後、150℃の冷却ガスを10分間流す」という操作を、昇温冷却操作の1サイクルとする。 当該昇温冷却操作を100サイクル行う。 その後、ハニカム構造体に形成されるリングクラックの有無を目視で確認し、以下の基準で評価する。 ハニカム構造体に、DPFとしての機能を低下させる程度のリングクラックが発生した場合は「C」とする。 ハニカム構造体にリングクラックは発生するが、DPFとしての機能を低下させない程度のものである場合は「B」とする。 ハニカム構造体にリングクラックが無い場合は「A」とする。 「A」及び「B」を合格とし、「C」を不合格とする。 尚、「DPFとしての機能」については、処理(DPFによる排ガス処理)後のガス中のPM個数が、PM個数規制値(欧州規制「EURO6」)である6.0×10 −11個/km以下であれば、DPFとしての機能を低下させない程度であるとする。 また、処理後のガス中のPM個数が、PM個数規制値である6.0×10 −11個/kmを超えれば、DPFとしての機能を低下させる程度であるとする。

    (凸部強度)
    まず、先端に直径11mmの鉄球(重さ5.4g)を備えた紐(長さ75cm)を有する振り子を用意する。 次に、この振り子を、鉄球の最下点で(即ち、振り子が振られていない状態で)鉄球がハニカム構造体のリング状凸部の端部(最外周部分)に当たるように配置する。 次に、振り子の鉄球を振り上げて鉄球をリング状凸部の端部に衝突させる。 その後、リング状凸部の端部を目視にて観察する。 そして、以下の基準で評価する。 上記紐の長さの80%の高さに鉄球を振り上げて、上記鉄球をリング状凸部の端部に衝突さたときに、リング状凸部の端部に欠けなどの欠陥が生じた場合は「C」とする。 上記紐の長さの100%の高さに鉄球を振り上げて、上記鉄球をリンク状凸部の端部に衝突さたときに、リング状凸部の端部に欠けなどの欠陥が生じた場合は「B」とし、このときに欠陥が生じなかった場合は「A」とする。 「A」評価及び「B」評価を合格とし、「C」評価を不合格とする。

    (搭載性)
    平面部が形成されていないリング状凸部を有するハニカム構造体(実施例1〜14、比較例1〜4)、及びリング状凸部が形成されていないハニカム構造体(比較例11)についての搭載性は、リング状凸部の厚さ(H)及び幅(L)によって評価する。 リング状凸部の厚さ(H)についての評価を「「径方向」の評価」と称することがある。 また、リング状凸部の幅(L)についての評価を「「全長方向」の評価」と称することがある。 リング状凸部の厚さ(H)についての評価は、以下の通りである。 リング状凸部の厚さが、10mm以下の場合を「A」とし、10mm超、15mm以下の場合を「B」とし、15mm超の場合を「C」とする。 リング状凸部の幅(L)についての評価は、以下の通りである。 リング状凸部の幅が、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さの80%を超える場合を「B」とし、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さの80%以下の場合を「A」とする。 「B」の場合、ハニカム構造体の搭載性に影響がある。 「A」の場合、ハニカム構造体の搭載性に影響を与えない。

    更に、搭載性については、リング状凸部の厚さ(H)及び幅(L)の両方を考慮した総合評価を行う。 「径方向の評価」及び「全長方向の評価」の両方が「A」の場合、総合評価が「A」であるとする。 「径方向の評価」及び「全長方向の評価」の少なくとも一方が「B」の場合、総合評価が「B」であるとする。 「径方向の評価」が「C」の場合、総合評価が「C」であるとする。 搭載性の総合評価は、「A」評価が最も好ましく、「B」評価が次に好ましい。 そして、「C」評価がこれらA、B、C評価の中では最も劣る評価である。 尚、比較例11のハニカム構造体は、リング状凸部の厚さが「0mm」のハニカム構造体であるとする。 結果を表1に示す。

    平面部が形成されたリング状凸部を有するハニカム構造体については以下のように評価を行う(平面部の効果)。 まず、平面部が形成されたハニカム構造体(以下、「ハニカム構造体X」と記す場合がある)の中心軸に直交する断面における形状が上記ハニカム構造体Xと相似形であって上記ハニカム構造体Xとの間隔が一律5mmの外筒を想定する。 次に、この外筒の中心軸に直交する断面において、外筒の中心を通り外筒の外周部の2点を結ぶ線分a、当該線分aと直交する線分b、及び上記線分aに対して45°傾いた線分cを描く。 線分b及び線分cは、いずれも、外筒の中心を通り外筒の外周部の2点を結ぶ線分である。 線分a、線分はb、外筒に形成された平面と直交するものとする。 次に、線分a、線分b、及び線分cの合計を算出する。 次に、上記ハニカム構造体Xにおいてリング状凸部を有さないハニカム構造体(以下、「ハニカム構造体Y」と記す場合がある)を想定する。 次に、上記ハニカム構造体Xの場合と同様に、ハニカム構造体Yと相似形であって上記ハニカム構造体Yとの間隔が一律5mmの外筒を想定する。 次に、上記ハニカム構造体Xの場合と同様にして、線分a、線分b、及び線分cを描く。 次に、線分a、線分b、及び線分cの合計を算出する。 その後、以下の基準で評価を行う。 ハニカム構造体Yの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」に対する、ハニカム構造体Xの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」の割合が104%以下の場合は「A」とする。 ハニカム構造体Yの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」に対する、ハニカム構造体Xの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」の割合が106%以下の場合は「B」とする。 ハニカム構造体Yの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」に対する、ハニカム構造体Xの場合に算出される「線分a、線分b、及び線分cの合計」の割合が106%より大きい場合は「C」とする。 尚、平面部が形成されたリング状凸部を有するハニカム構造体についての上記評価は、「径方向の評価」に該当する。 そして、平面部が形成されたリング状凸部を有するハニカム構造体についても、上記平面部が形成されていないリング状凸部を有するハニカム構造体の場合と同様にして、「全長方向の評価」と「総合評価」を行う。 結果を表2に示す。

    (梱包性)
    ハニカム構造体のリング状凸部の平面部の深さについての評価は、以下のようにして行った。 「セラミック基材と同じ大きさのハニカム構造体」を梱包する際の梱包容器を「既存の梱包容器」とする。 「既存の梱包容器」には、図5に示すように、6個のハニカム構造体が収納されるとする。 また、「既存の梱包容器」を、「既存の梱包容器」の底面の面積より410%大きな面積のパレットに載置するものとする。 この「既存の梱包容器」に、6個のハニカム構造体を収納できれば「A」評価とする。 また、6個のハニカム構造体を収容するためには「既存の梱包容器」より大きい梱包容器を必要とするが、当該大きい梱包容器を上記パレットに載置することは可能な場合には「B」評価とする。 また、「既存の梱包容器」より大きい梱包容器に収容する必要がある場合には「C」評価とする。

    (実施例2〜14、比較例1〜4)
    表1に示すように条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。 得られたハニカム構造体について、上記方法で、「リングクラック」、「凸部強度」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表1に示す。

    (実施例15)
    実施例1と同様にして坏土を得た。 得られた坏土を押出成形機を用いて成形し、四角柱状のハニカム成形体を得た。 得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥した。

    乾燥後のハニカム成形体を脱脂し、焼成して四角柱状のハニカム焼成体を得た。 脱脂の条件は、550℃で3時間とした。 焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。

    得られた四角柱状のハニカム焼成体の外周部を、「リング状の凸部が形成されるとともに、ハニカム焼成体の各側面の一部がリング状の凸部上に形成された平面部分として残るように」、切削した。 リング状の凸部は、ハニカム焼成体の「セルの延びる方向における中央部」に形成されるようにした。 その後、切削されたハニカム焼成体の外周に、外周コート材を塗布して外周コート層を形成した。 このようにして図3に示すようなハニカム構造体を得た。 ハニカム焼成体の外周部を切削する方法としては、ハニカム焼成体を回転させながら、ダイヤモンドをまぶした砥石を、セルの延びる方向に対して45°の角度でハニカム焼成体の外周部に押しあてる方法とした。 このようにして、「4つの平面部が形成されるとともに、両端部がテーパー状である」リング状凸部、を有するハニカム構造体を得た。 このハニカム構造体におけるリング状凸部のテーパーの角度は、両端部ともに45°であった。 本実施例のハニカム構造体のリング状凸部には、図4に示すように互いに平行な1対の平面部が、2組(合計4つの平面部が)形成されていた。

    得られたハニカム構造体の底面は直径14.4cmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは20.3cmであった。 また、隔壁の厚さは305μmであり、セル密度は46.5セル/cm であった。 リング状凸部の厚さ(H)は20mmであり、リング状凸部の幅(L)は5.0cmであった。 平面部深さ(D)(4箇所)は10mmであった。 リング状凸部は、「ハニカム構造体の一方の端部から、この一方の端部に近い側のリング状凸部の端部までの距離」が6.4cmの位置に、配置された。

    得られたハニカム構造体について、上記方法で、「リングクラック」、「凸部強度」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表2に示す。

    (実施例16〜18)
    表2に示すように条件を変更した以外は、実施例15と同様にしてハニカム構造体を作製した。 得られたハニカム構造体について、上記方法で、「リングクラック」、「凸部強度」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表2に示す。

    (比較例5)
    実施例1と同様にして円柱状のハニカム焼成体を得た。 得られた円柱状のハニカム焼成体の外周部を実施例1と同様にして切削して、実施例1と同様の「切削されたハニカム焼成体」を得た。 得られた「切削されたハニカム焼成体」のリング状凸部を、セルの延びる方向に平行な平面が4つ形成されるように、切断して、平面部を形成した。 リング状凸部を切断して平面部を形成する際には、「ハニカム焼成体の外周面と平面部(表面)との距離」が0mmになるようにした。 その後、ハニカム焼成体の外周に、外周コート材を塗布して外周コート層を形成した。 このようにして、「ハニカム基材の外周から外側に突出し、ハニカム基材の外周の一部を覆うように配設される凸部」を備えるハニカム構造体を得た。 「セルの延びる方向に平行な4つの平面」は、以下のように形成した。 まず、リング状凸部の一部をカッターで切断して1つの平面を形成した後、「切削されたハニカム焼成体」のみを90°回転させる。 その後、同様のカッターでリング状凸部の一部を更に切断して次の平面を形成する。 この操作を繰り返すことにより、セルの延びる方向に平行な4つの平面を形成した。 得られたハニカム構造体は、ハニカム基材の外周の全周に亘って取り囲むのではなく、外周を断続的に取り囲む「断続的に形成された擬似リング状凸部」を備えるものであった。 ここで、「擬似リング状」とは、「リング状」に似ているが「リング状ではない」形状を意味し、リング形状の一部が途切れて、断続的に形成された形状を意味する。

    (比較例6〜10)
    表2に示すように条件を変更した以外は、比較例5と同様にしてハニカム構造体を得た。 得られたハニカム構造体について、上記方法で、「リングクラック」、「凸部強度」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表2に示す。

    (比較例11)
    実施例1と同様にして円柱状のハニカム焼成体を得た。 その後、ハニカム焼成体の外周に、外周コート材を塗布して外周コート層を形成した。 このようにして「リング状凸部が形成されていない」円柱状のハニカム構造体を得た。 得られたハニカム構造体について、上記方法で、「リングクラック」、「搭載性」、及び「梱包性」の各評価を行った。 結果を表1に示す。

    表1、2より、実施例1〜18のハニカム構造体は、比較例1〜11のハニカム構造体に比べて、リングクラックが発生し難いことがわかる。 また、実施例1〜18のハニカム構造体は、比較例3のハニカム構造体に比べて、搬送中などに「リング状凸部」が外力を受けても「リング状凸部」に欠けなどの欠陥が生じ難いことがわかる。 比較例1のハニカム構造体は、リング状凸部の両端部の形状がテーパー状でないものである。

    比較例5〜9では、凸部厚さ(H)と平面部深さ(D)とが同じ長さである。 即ち、比較例5〜9のハニカム構造体の擬似リング状凸部は、ハニカム構造体の外周の全周に亘って形成されていない。 つまり、擬似リング状凸部は、ハニカム構造体の外周一周の中で、一部形成されていない部分がある。 そのため、リングクラックの評価が「C」であった。 比較例11のハニカム構造体は、リング状凸部が配設されていないため、リングクラックの評価が「C」であった。

    本発明のハニカム構造体は、ディーゼルエンジン、直噴ガソリンエンジン等の内燃機関や各種の燃焼装置等から排出されるガスを、浄化するためのフィルタとして好適に利用することができる。

    1:隔壁、2:セル、4:ハニカム基材、7:外周コート層、10:リング状凸部、11:テーパー面、15:平面部、20:梱包容器、50:リングクラック、100,101,102,200:ハニカム構造体。

    QQ群二维码
    意见反馈