Honeycomb catalyst body

申请号 JP2010030852 申请日 2010-02-16 公开(公告)号 JP2011167582A 公开(公告)日 2011-09-01
申请人 Ngk Insulators Ltd; 日本碍子株式会社; 发明人 SAITO CHIKA; YAMASHITA MASATAKA; MIYAIRI YUKIO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a honeycomb catalyst body cleaning exhaust gas at high efficiency without increasing the pressure loss thereof. SOLUTION: The honeycomb catalyst body 100 includes: a honeycomb substrate 6 having porous partition walls 5 for separating and forming a plurality of cells 4 each of which is made hollow from an inflow-side end face 2 to an outflow-side end face 3 and functions as a fluid passage; sealed parts 8; and a three-way catalyst. Each of the cells 4 is open on the inflow-side end face 2. The honeycomb substrate 6 has two regions of an inflow-side region 31 and an outflow-side region 32. The inflow-side region 31 is a region from the inflow-side end face 2 to such a position that the distance from the inflow-side end face 2 is 10-90% of the length in the central axis direction of the honeycomb substrate 6. The three-way catalyst of 100-400 g/L deposited amount per unit volume is deposited on the partition walls 5 in the inflow-side region 31 and no three-way catalyst is deposited on the partition walls 5 in the outflow-side region 32. The ratio of the length in the central axis direction of the honeycomb substrate 6 to the diameter of the honeycomb substrate 6 on the inflow-side end face 2 is 1.1-2.0. COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • 流入側端面から流出側端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、
    前記ハニカム基材の前記流出側端面における一部のセルの開口部を目封止するように配設された目封止部と、
    前記ハニカム基材に担持された三元触媒と、を備え、
    前記流入側端面において全部のセルが開口しており、
    前記ハニカム基材は、流体の流入側の領域である流入側領域と流体の流出側の領域である流出側領域との2つの領域からなり、
    前記ハニカム基材の前記流入側領域は、前記流入側端面から、前記流入側端面からの距離が前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までの範囲の領域であって、前記流入側領域内の前記隔壁には、100〜400g/Lの前記三元触媒が担持されており、
    前記ハニカム基材の前記流出側領域内の前記隔壁には、単位体積当りの担持量が、前記流入側領域内の前記隔壁に担持された前記三元触媒の単位体積当りの担持量よりも少なく、かつ、100g/L以下の触媒が担持されるか、または、触媒が担持されず、
    前記ハニカム基材の前記流入側端面の直径に対する前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの比の値が1.1〜2.0であるハニカム触媒体。
  • 前記ハニカム基材は、前記隔壁の厚さが38.0〜245.0μmであり、セル密度が16〜186個/cm であり、前記隔壁の気孔率が35〜70%であり、前記隔壁の平均細孔径が4〜40μmである請求項1に記載のハニカム触媒体。
  • 前記目封止部は、隣接するセルを交互に目封止するように配設されるか、または、前記目封止部は、隣接する複数のセルからなるセル群を単位セル群としたときに、隣接する前記単位セル群を交互に目封止するように配設される請求項1または2に記載のハニカム触媒体。
  • 说明书全文

    本発明は、ハニカム触媒体に関し、更に詳しくは、直噴式ガソリンエンジンから排気される排気ガス中に含有される微粒子を効率良く除去することができ、圧損失の増加が少なく、かつ、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高効率で浄化することができるハニカム触媒体に関する。

    地球環境保護、資源節約の観点から自動車の燃費低減が求められている。 乗用車において主として用いられるガソリンエンジンについては、燃費改善のために燃料直噴化が進められている。

    従来、ガソリンエンジンは、吸気ポート燃料噴射の方式を採用していたため、(粒子状物質:PM)の発生が少なく、ほとんど問題にはならなかった。 しかし、燃料直噴式のガソリンエンジンの場合は、吸気ポート燃料噴射の場合と比較してPMの発生量が多く、発生したPMを大気に放出しないための対策が必要であった。

    一方、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして、ハニカム構造体が用いられている。 粒子状物質捕集フィルタとして用いるハニカム構造体としては、両端面の所定の位置に目封止部を備えた目封止ハニカム構造体が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。 ここで、目封止ハニカム構造体とは、流体(排気ガス、浄化ガス)の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有するハニカム構造部と、このハニカム構造部における、「流体(排気ガス)の入口側の端面における所定のセルの開口部」及び「流体(浄化ガス)の出口側の端面における残余のセルの開口部」に配設された目封止部とを備えるものである。 このような目封止ハニカム構造体によれば、排気ガスの入口側の端面からセル内に排気ガスが流入し、セル内に流入した排気ガスが隔壁を通過し、隔壁を通過した排気ガス(浄化ガス)が排気ガスの出口側の端面から排出される。 そして、排気ガスが隔壁を通過するときに、排気ガス中に含有されるPMが隔壁により捕集され、排気ガスが浄化ガスとなる。

    そこで、上記のようなディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するために使用される目封止ハニカム構造体を、ガソリンエンジンから排出される粒子状物質を除去するために使用する方法が考えられる。

    特開2003−254034号公報

    しかし、従来、ガソリンエンジンから排出される排気ガスを処理するために、三元触媒コンバーター、NO 吸蔵還元触媒等が使用されている。 そのため、更に目封止ハニカム構造体を排気系に搭載すると、排気系の圧力損失が大きくなり、エンジン出力の低下等の問題が生じると考えられる。

    そこで、目封止ハニカム構造体の隔壁に三元触媒を担持させたものを、上記三元触媒コンバーター、NO 吸蔵還元触媒等と置き換えることが考えられる。 しかし、目封止ハニカム構造体は、所定のセルの一方の端部における開口部及び残余のセルの他方の端部における開口部が目封止部によって目封止されており、この目封止部が形成されることに起因して目封止ハニカム構造体の両端部の熱容量が大きくなっている。 そのため、エンジン始動直後の暖気時における上記両端部の温度上昇に時間がかかるという問題がある。 即ち、上記両端部に担持された触媒が活性化するために必要な温度に到達するまでの時間がかかり、浄化効率が十分でないという問題がある。 温度上昇に時間がかかるという問題を解消する方法としては、担持させる触媒の量を増加させることが考えられるが、触媒量を増加させると、触媒貴金属の使用量を増加させることになり、コストの増加や資源の浪費などの問題が生じる。

    一方、自動車の燃費向上を目的としてエンジンの熱効率を高めることが行われているが、エンジンの熱効率を高めると、エンジンから排出される排気ガスの温度が低くなるため、より一層、温度上昇に時間がかかるという問題がある。

    ガソリンエンジンとディーゼルエンジンとでは、使用燃料が異なるため、上記のように排気ガス中のPMの量が異なる他、排気ガス中のPMの、粒子径、形状、成分も異なる。 そのため、排気ガス中のPMを捕集するためのハニカム構造体の最適な構成(特徴)も、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンとでは異なるのである。

    本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気微粒子を効率良く除去することができ、圧力損失の増加が少なく、かつ、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO をエンジン始動直後から高い効率で浄化することができるハニカム触媒体を提供する。

    本発明によれば、以下に示す、ハニカム触媒体が提供される。

    [1] 流入側端面から流出側端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、前記ハニカム基材の前記流出側端面における一部のセルの開口部を目封止するように配設された目封止部と、前記ハニカム基材に担持された三元触媒と、を備え、前記流入側端面において全部のセルが開口しており、前記ハニカム基材は、流体の流入側の領域である流入側領域と流体の流出側の領域である流出側領域との2つの領域からなり、前記ハニカム基材の前記流入側領域は、前記流入側端面から、前記流入側端面からの距離が前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までの範囲の領域であって、前記流入側領域内の前記隔壁には、100〜400g/Lの前記三元触媒が担持されており、前記ハニカム基材の前記流出側領域内の前記隔壁には、単位体積当りの担持量が、前記流入側領域内の前記隔壁に担持された前記三元触媒の単位体積当りの担持量よりも少なく、かつ、100g/L以下の触媒が担持されるか、または、触媒が担持されず、前記ハニカム基材の前記流入側端面の直径に対する前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの比の値が1.1〜2.0であるハニカム触媒体。

    [2] 前記ハニカム基材は、前記隔壁の厚さが38.0〜245.0μmであり、セル密度が16〜186個/cm であり、前記隔壁の気孔率が35〜70%であり、前記隔壁の平均細孔径が4〜40μmである前記[1]に記載のハニカム触媒体。

    [3] 前記目封止部は、隣接するセルを交互に目封止するように配設されるか、または、前記目封止部は、隣接する複数のセルからなるセル群を単位セル群としたときに、隣接する前記単位セル群を交互に目封止するように配設される前記[1]または[2]に記載のハニカム触媒体。

    本発明のハニカム触媒体によれば、流入側端面から流出側端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム基材と、このハニカム基材の流出側端面における一部のセルの開口部を目封止するように配設された目封止部とを備えるため、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気微粒子を効率良く除去することができる。 また、両端部が開口している(即ち、流入側端面から流出側端面まで貫通する貫通孔である)セルが形成されているため、圧力損失の増加が少ない。 更に、流入側端面において全部のセルが開口しているため、目封止部が配設されている場合(即ち、流入側端面におけるセルの開口部が目封止されている場合)に比べて、流入側端面側の端部における熱容量が低い。 そのため、エンジンから排出される排気ガスが流入側端面に直接当るようにハニカム触媒体を配置すれば、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高い効率で浄化することができる。

    本発明のハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。

    本発明のハニカム触媒体の一実施形態の中心軸に平行な断面を示す模式図である。

    本発明のハニカム触媒体の一実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図である。

    本発明のハニカム触媒体の他の実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図である。

    本発明のハニカム触媒体の他の実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図である。

    本発明のハニカム触媒体の他の実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図である。

    本発明のハニカム触媒体の一実施形態を缶体内に収納して得られる排気ガス浄化装置の中心軸に平行な断面を示す模式図である。

    以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。

    [1]ハニカム触媒体:
    図1は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態の中心軸に平行な断面を示す模式図である。 図2に示すように、本発明のハニカム触媒体100は、流入側端面2から流出側端面3まで貫通し流体の流路となる複数のセル4を区画形成する多孔質の隔壁5を有するハニカム基材6と、このハニカム基材6の流出側端面3における一部のセル4(4a)の開口部を目封止するように配設された目封止部8と、ハニカム基材6に担持された三元触媒と、を備えている。 そして、ハニカム触媒体100は、流入側端面2において全部のセル4が開口している。

    ハニカム基材6は、流体の流入側の領域である流入側領域31と流体の流出側の領域である流出側領域32との2つの領域からなり、ハニカム基材6の流入側領域31は、流入側端面2から、流入側端面2からの距離がハニカム基材6の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までの範囲の領域であって、流入側領域31内の隔壁5には、単位体積当りの担持量が100〜400g/Lの三元触媒が担持されている。 また、ハニカム基材6の流出側領域32内の隔壁5には、単位体積当りの担持量が、流入側領域31内の隔壁5に担持された三元触媒の単位体積当りの担持量よりも少なく、かつ、100g/L以下の触媒が担持されるか、または、触媒が担持されない。 更に、ハニカム基材6の流入側端面2の直径に対するハニカム基材6の中心軸方向の長さの比の値が1.1〜2.0である。

    ハニカム触媒体100は、多孔質の隔壁5を有するハニカム基材6を備えるため、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気微粒子を効率良く除去することができる。 即ち、ハニカム触媒体100には、両端部が開口するセル4(4b)(即ち、流入側端面2から流出側端面3まで貫通する貫通孔)が形成されているため、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の一部が通過する。 しかし、排気ガスに含まれる粒子状物質が完全に除去されなくても、ガソリンエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の量は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の量に比べて、遥かに少ない。 そのため、ハニカム触媒体100を用いれば、除去されずに排出される粒子状物質は極めて少量である。

    また、両端部が開口している(即ち、流入側端面2から流出側端面3まで貫通する貫通孔である)セル4(4b)が形成されているため、圧力損失の増加が少ない。 更に、流入側端面2において全部のセル4が開口しているため、目封止部が配設されている場合(即ち、流入側端面2におけるセル4の開口部が目封止されている場合)に比べて、流入側端面2側の端部における熱容量が低い。 そのため、排気ガスの熱で流入側端面2側の端部が容易に昇温され、そこに担持される三元触媒がエンジン始動直後からの短時間で活性化する。 従って、ハニカム触媒体100によれば、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高い効率で浄化することができる。

    [1−1]ハニカム基材:
    ハニカム基材6は、流入側端面2から流出側端面3まで貫通し流体の流路となる複数のセル4を区画形成する多孔質の隔壁5を有するハニカム形状のものである。 そして、ハニカム基材6は、流入側端面2において全部のセル4が開口しているものである。 即ち、流入側端面2における全部のセル4の開口部は目封止されていないものである。 そのため、流入側端面2に目封止部を形成したことに起因する熱容量の増加を回避することができる。 即ち、流入側の端部は、排気ガスの熱で容易に昇温され得るため、エンジン始動後の早い段階で、流入側の端部に担持された三元触媒の活性温度まで昇温する。 従って、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高い効率で浄化することができる。

    隔壁5の厚さは、38.0〜245.0μmであることが好ましく、38〜200μmであることが更に好ましく、50〜150μmであることが特に好ましい。 38.0μm未満であると、ハニカム基材6の強度が低下するおそれがある。 一方、245.0μm超であると、排気ガスがセル4内を通過するときの圧力損失が大きくなることがある。 隔壁5の厚さは、中心軸に平行な断面を顕微鏡観察する方法で測定した値である。

    ハニカム基材6(ハニカム触媒体100)のセル密度(即ち、ハニカム基材6の中心軸に直交する断面のセル密度)は、16〜186個/cm であることが好ましく、50〜120個/cm であることが更に好ましく、50〜95個/cm であることが特に好ましい。 上記セル密度が16個/cm 未満であると、ハニカム触媒体100の強度が低下するおそれがある。 一方、186個/cm 超であると、圧力損失が大きくなるおそれがある。

    隔壁5の気孔率は、35〜70%であることが好ましく、38〜45%であることが更に好ましく、38〜43%であることが特に好ましい。 上記気孔率が35%未満であると、圧力損失が増大するおそれがある。 一方、70%超であると、ハニカム触媒体100が脆くなり欠落し易くなることがある。 隔壁5の気孔率は、銀ポロシメータにより測定した値である。

    ハニカム基材6は、流入側端面2の直径D(図3参照)に対する中心軸方向の長さL(図2参照)の比の値(L/D)が1.1〜2.0であり、1.2〜1.8であることが好ましく、1.2〜1.5であることが更に好ましい。 1.1未満であると、隔壁5を通過する排気ガスの流量が減少するため、粒子状物質の捕集効率が低下するという不具合が生じる。 一方、2.0超であると、セル流路圧損が増加するため、システム全体の圧損が過大になりエンジン出力が低下するという不具合が生じる。

    隔壁5の平均細孔径は、4〜40μmであることが好ましく、6〜15μmであることが更に好ましく、8〜14μmであることが特に好ましい。 4μm未満であると、粒子状物質の堆積が少ない場合でも圧力損失が増大するおそれがある。 一方、40μm超であると、ハニカム触媒体100が脆くなり欠落し易くなることがあったり、粒子状物質の捕集性能が低下することがある。 隔壁5の平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。

    上述したように、ハニカム基材6は、流体の流入側の領域である流入側領域31と流体の流出側の領域である流出側領域32との2つの領域からなり、流入側領域31は、流入側端面2から、流入側端面2からの距離がハニカム基材6の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までの範囲の領域である。 即ち、流入側領域31は、流入側端面2からハニカム基材6の中心軸方向(セル4の延びる方向)の所定の位置までの範囲の領域のことであり、この所定の位置は、流入側端面2からの距離がハニカム基材6の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までのことである。 そして、上記所定の位置は、30〜75%の位置までの範囲の領域であることが好ましく、30〜50%の位置までの範囲の領域であることが更に好ましい。 流入側端面2から、流入側端面2からの距離がハニカム基材6の中心軸方向の長さの10%未満の位置までの範囲の領域であると、三元触媒が担持される領域が小さく、排気ガスが十分に浄化されない。 一方、90%超の位置までの範囲の領域であると、圧力損失が過大になる。

    ハニカム基材6のセル4の形状は、特に限定されないが、中心軸に直交する断面において、三形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。 四角形と八角形との組み合わせであることも好ましい態様である。

    また、ハニカム基材6におけるセル水力直径は、全て同一であってもよいし、流入側端面2に開口するセル4と流出側端面3に開口するセル4との水力直径が異なってもよい。 これらのいずれの場合であってもよいが、セル4の水力直径が異なることが好ましい。 具体的には、ガソリンエンジンの排気ガスを浄化する場合、圧力損失を小さくするために、流入側端面2に開口するセル4の水力直径を、流出側端面3に開口するセル4の水力直径より小さくすることが好ましく、流入側端面2に開口するセル4の水力直径が、流出側端面3に開口するセル4の水力直径の20〜45%であることが好ましい。 本明細書において「セル水力直径」は、「4×(断面積)/(周長)」の式で計算される値である。 ここで、「断面積」とは、セルの延びる方向に直交する断面におけるセルの面積のことであり、「周長」とは、セルの延びる方向に直交する断面における「セルの外周の長さ」のことである。

    ハニカム基材6(隔壁5)は、セラミックを主成分とするものである。 隔壁5の材質としては、具体的には、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。 これらの中でも、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたコージェライトが好ましい。 また、「セラミックを主成分とする」というときは、セラミックを全体の90質量%以上含有することをいう。

    ハニカム基材6(ハニカム触媒体100)の外形としては、図1に示すような円筒形に限定されず、例えば、楕円筒形、四角筒形等の底面多角形の筒形状、底面不定形の筒形状等を挙げることができる。 また、ハニカム基材6(ハニカム触媒体100)の大きさは、その中心軸方向の長さL(図2参照)が75〜200mmであることが好ましい。 また、例えば、ハニカム基材6の外形が円筒形の場合、その底面の直径D(図3参照)は、80〜150mmであることが好ましい。 ハニカム基材6の形状が円筒形以外の形状である場合、その底面の面積が、上記円筒形の場合の底面の面積と同じ範囲であることが好ましい。

    [1−2]目封止部:
    ハニカム触媒体100が備える目封止部8の材質(セラミック原料)は、ハニカム基材6における隔壁5の材質と同じ材質とすることが好ましい。 これにより、焼成時に、目封止部8が隔壁5と強固に結合するようになる。

    目封止部8は、流出側端面3における一部のセル4の開口部を目封止するように配設されており、目封止部8が配設されることによって、目封止されたセル4a内に流入した排気ガスが、隔壁5を通過して目封止されないセル4bに流れ込むため、隔壁5の細孔を通過できない排気ガス中の粒子状物質を捕集することができる。 そして、目封止部8は、隣接するセル4を交互に封止するように配設されることが好ましい。 隣接するセル4を交互に封止するように目封止部8が配設されることによって、排気ガス中の粒子状物質を効果的に捕集することができる。 ここで、セル4の形状が多角形である場合、「隣接する」とは、多角形の各辺が隣接することを意味する。

    例えば、図3は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図であり、目封止部8が、隣接するセル4を交互に目封止するように配設されている例である。 具体的には、目封止部8が形成された所定のセル(一部のセル)4(4a)と、両端部が開口された残余のセル4(4b)とが交互に配置され、市松模様をなしている例である。

    また、目封止部8は、隣接する複数のセル4からなるセル群を単位セル群としたときに、隣接する単位セル群を交互に封止するように配設されることも好ましい。 ここで、上記単位セル群が集合してハニカム基材6が形成されているとしたときに、各単位セル群を構成するセル4の数は一定のセル数でなくてもよい。 そして、最外周に位置するセル4は、外周部に沿った形状となっている。

    別言すると、複数のセル4の開口部が縦横に配列されたハニカム触媒体100の流出側端面3において、隣接する複数のセル4からなるセル群を単位セル群とし、複数の上記単位セル群が隣接するように配置されることによって上記複数のセル4が構成されているという見方をしたときに、隣接する単位セル群毎に交互に目封止するように目封止部8が配設されることを意味する。

    更に別言すると、複数のセル4の開口部が縦横に配列されたハニカム触媒体100の流出側端面3において、この流出側端面3を、隣接する複数のセル4からなるセル群が構成単位(単位セル群)となるように区分けしたときに、隣り合う単位セル群を交互に目封止するように目封止部8が配設されることを意味する。

    目封止部8が上記のように配設されると、隣接するセル4を交互に目封止するように目封止部8を配設した場合(図3参照)に比べて、隔壁5を通過する排気ガスの流量が多くなるため、排気ガス中の粒子状物質を効果的に捕捉することができる。 ここで、単位セル群34の形状が多角形である場合、「隣接する」とは、多角形の各辺が隣接することを意味する。

    図4〜図6は、本発明のハニカム触媒体の他の実施形態の流出側端面を模式的に示す平面図であり、隣接する複数のセルからなるセル群を単位セル群としたときに、目封止部が、隣接する単位セル群を交互に目封止するように配設されている例である。 なお、図4〜図6中、共通の構成要素には同一の符号を付してある。

    具体的には、図4は、隣接する縦横2つずつの複数のセル4(合計4つのセル4)からなるセル群を単位セル群34としたときに、ハニカム触媒体40の流出側端面3において、隣接する単位セル群34毎に交互に目封止部8が配設されて市松模様をなしている例である。 即ち、交互に隣接する所定の単位セル群34aと残余の単位セル群34bのうち、所定の単位セル群34aに目封止部8が配設されている例である。

    図5は、片側目封止ハニカム構造体50の流出側端面3において、両端部に位置するセル4が最外周に位置して1列に並ぶように隣接するセル4からなるセル群を単位セル群34とし、これらの単位セル群34が平行かつ隣接して形成されているとしたときに、隣接する単位セル群34毎に交互に目封止部8が配設されて縞模様をなしている例である。 即ち、交互に隣接する所定の単位セル群34aと残余の単位セル群34bのうち、所定の単位セル群34aに目封止部8が配設されている例である。

    図6は、片側目封止ハニカム構造体60の流出側端面3において、両端部に位置するセル4が最外周に位置して1列に並ぶように隣接するセル4からなるセル群を隣接させて並べた2列のセル群を単位セル群34とし、これらの単位セル群34が平行かつ隣接して形成されているとしたときに、隣接する単位セル群34毎に交互に目封止部8が配設されて縞模様をなしている例である。 即ち、交互に隣接する所定の単位セル群34aと残余の単位セル群34bのうち、所定の単位セル群34aに目封止部8が配設されている例である。

    目封止部8の深さは、1〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることが更に好ましい。 1mmより浅いと、目封止部8の強度が低下するおそれがある。 一方、5mmより深いと、隔壁5の、PMを捕集する面積が小さくなるおそれがある。 ここで、目封止部8の深さとは、目封止部8の、セル4の延びる方向における長さを意味する。

    また、ハニカム触媒体100は、その最外周に位置する外周壁を有していてもよい。 なお、外周壁は、成形時にハニカム基材6と一体的に形成させる成形一体層であることが好ましいが、成形後に、ハニカム基材6の外周を研削して所定形状とし、セラミックセメント等で形成されるセメントコート層であることも好ましい態様である。 成形一体層の場合、その材質(セラミック原料)は、ハニカム触媒体100の材質と同じであることが好ましい。 また、外周壁がセメントコート層の場合、セメントコート層の材質(セラミック原料)としては、共素地にガラス等のフラックス成分を加えた材料等を挙げることができる。 また、外周壁の厚さは、0.5〜1.5mmが好ましい。

    [1−3]三元触媒:
    三元触媒とは、主に炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO )を浄化する触媒のことをいう。 例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を含む触媒を挙げることができる。 この三元触媒により、炭化水素は水と二酸化炭素に、一酸化炭素は二酸化炭素に、窒素酸化物は窒素に、それぞれ酸化または還元によって浄化される。

    流入側領域31内の隔壁5に担持される三元触媒の単位体積当りの担持量は、100〜400g/Lであることが必要であり、120〜300g/Lであることが好ましく、120〜250g/Lであることが更に好ましい。 上記担持量が100g/L未満であると、排気ガスを十分に浄化することが困難になるおそれがある。 一方、400g/L超であると、圧力損失が過大になるとともに、流入側領域31の熱容量が増加してしまい、触媒活性温度に到達するまでの時間がかかり過ぎるため、排気ガスの浄化効率が悪くなるおそれがある。

    [1−4]触媒:
    上述したように、ハニカム基材6の流出側領域32内の隔壁5には、単位体積当りの担持量が、流入側領域31内の隔壁5に担持された三元触媒の単位体積当りの担持量よりも少なく、かつ、100g/L以下の触媒が担持されるか、または、触媒が担持されないことが必要である。

    上記触媒としては、三元触媒、酸化触媒、NO 選択還元用SCR触媒、NO 吸蔵触媒などを挙げることができる。 酸化触媒には、貴金属が含有され、この貴金属としては、Pt、Rh、及びPdからなる群より選択される1種以上が好ましい。 貴金属の合計量は、片側目封止ハニカム構造体100の単位体積(1cm )当り、0.17〜7.07gであることが好ましい。

    三元触媒は、上述したハニカム触媒体100が備える三元触媒と同様のものを用いることができる。

    NO 選択還元用SCR触媒としては、金属置換ゼオライト、バナジウム、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものを挙げることができる。 また、NO 吸蔵触媒としては、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属等を挙げることができる。 アルカリ金属としては、K、Na、Li等を挙げることができる。 アルカリ土類金属としては、Caなどを挙げることができる。 K、Na、Li、及びCaの合計量は、片側目封止ハニカム構造体100の単位体積(1cm )当り、5g以上であることが好ましい。

    また、ハニカム基材6の流出側領域32内の隔壁5に触媒が担持される場合、触媒の単位体積当りの担持量は、100g/L以下であることが必要であり、10〜100g/Lであることが好ましく、30〜100g/Lであることが更に好ましい。 上記担持量が100g/L超であると、隔壁5の細孔が触媒により閉塞しやすくなり、隔壁5を通過する排気ガスの流量が減少して粒子状物質の捕集効率が悪化するとともに圧損が増加するという不具合が生じる。

    [1−5]ハニカム触媒体の製造方法:
    本発明のハニカム触媒体の一実施形態は、例えば、以下のようにして作製することができる。 まず、成形原料を混練して坏土とする。 次に、得られた坏土をハニカム形状に押出成形して複数のセルが形成されたハニカム成形体を得る。 次に、得られたハニカム成形体の一方の端面における一部のセルの開口部を目封止した後、焼成することによって、一方の端面における一部のセルの開口部が目封止されて目封止部が配設された片側目封止ハニカム焼成体を得る。 次に、得られた片側目封止ハニカム焼成体の上記一方の端面から所定の位置までの範囲の領域(流入側領域)内に触媒スラリーを流入させ、流入側領域内の隔壁に三元触媒を塗工することによってハニカム触媒体を作製することができる。

    成形原料は、セラミック原料に分散媒及び添加剤を加えたものであることが好ましく、添加剤としては、有機バインダ、造孔材、界面活性剤等を挙げることができる。 分散媒としては、水等を挙げることができる。

    セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。 これらの中でも、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたコージェライト化原料が好ましい。 セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して70〜90質量%であることが好ましい。

    有機バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。 これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。 バインダの含有量は、成形原料全体に対して1〜10質量%であることが好ましい。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

    造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。 造孔材の含有量は、成形原料全体に対して0〜20質量%であることが好ましい。 そして、造孔材の粒子径と量を適宜コントロールすることにより、隔壁の細孔径と気孔率がコントロール可能である。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

    界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。

    分散媒の含有量は、成形原料全体に対して25〜35質量%であることが好ましい。

    使用するセラミック原料(骨材粒子)の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材の粒子径及び配合量を調整することにより、所望の気孔率、平均細孔径の多孔質基材を得ることができる。

    成形原料を混練して坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。 押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことができる。 口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。

    セルの開口部を目封止する方法としては、セルの開口部に目封止材を充填する方法を挙げることができる。 目封止材を充填する方法としては、具体的には、ハニカム成形体の一方の端面にセルの開口部を塞ぐようにマスクを施す。 その後、このマスクの、一部のセルの開口部に対応する部分に貫通孔をレーザーなどによって形成する。 一方、セラミック原料、水またはアルコール、及び有機バインダを含むスラリー状の目封止材を、貯留容器に貯留しておく。 セラミック原料としては、ハニカム成形体の原料として用いられるセラミック原料と同じであることが好ましい。 セラミック原料は、目封止材全体の70〜90質量%であることが好ましい。 また、水又はアルコールは、目封止材全体の10〜30質量%であることが好ましく、有機バインダは、目封止材全体の0.1〜2.0質量%であることが好ましい。 有機バインダとしては、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。

    そして、上記マスクを施した方の端部を、貯留容器中に浸漬して、貫通孔が形成されることによってマスクが施されていないセルの開口部に目封止材を充填して目封止部を形成する。 目封止材の粘度は、600〜1200Pa・sであることが好ましい。 なお、目封止材の粘度は、温度30℃において回転式粘度計で30rpmの回転数で測定した値である。 ここで、貫通孔の形成パターンは、特に制限はないが、作製される片側目封止ハニカム焼成体の流出側端面において、目封止された所定のセルと目封止されない残余のセルとが交互に配置されるようパターンであることが好ましい。

    そして、焼成温度は、ハニカム成形体の材質よって適宜決定することができる。 例えば、ハニカム成形体の材質がコージェライトの場合、焼成温度は、1380〜1450℃が好ましく、1400〜1440℃が更に好ましい。 また、焼成時間は、3〜10時間程度とすることが好ましい。

    なお、ハニカム成形体を焼成する前に乾燥させてもよい。 乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。 また、乾燥条件としては、乾燥温度30〜150℃、乾燥時間1分〜2時間とすることが好ましい。

    なお、ハニカム成形体に目封止部を形成する前に、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を得て、得られたハニカム焼成体の一方の端面における一部のセルの開口部に目封止部を形成した後、更に焼成することによって片側目封止ハニカム焼成体を得ることもできる。

    触媒スラリーを塗工する(三元触媒を担持させる)方法は、特に限定されず、公知の方法で塗工することができる。 例えば、まず、三元触媒を含有する触媒スラリーを調製する。 その後、調製した触媒スラリーを、ディッピングや吸引により、片側目封止ハニカム焼成体の一方の端面から所定の位置までの範囲の領域(流入側領域)内のセルに流入させる。 この触媒スラリーは、流入側領域内の隔壁の表面全体に塗工することが好ましい。 そして、触媒スラリーをセル内に流入させた後に、余剰スラリーを圧縮空気で吹き飛ばす。 その後、触媒スラリーを乾燥、焼付けすることにより、流入側領域内の隔壁に三元触媒が担持されたハニカム触媒体を得ることができる。 なお、乾燥条件は、80〜150℃、1〜6時間とすることが好ましい。 また、焼付け条件は450〜700℃、0.5〜6時間とすることが好ましい。 なお、触媒スラリーに含有される触媒以外の成分としては、アルミナ等が挙げられる。 流入側領域は、片側目封止ハニカム焼成体(ハニカム基材)の流入側端面から、流入側端面からの距離が片側目封止ハニカム焼成体(ハニカム基材)の中心軸方向の長さの10〜90%の位置までの範囲の領域である。

    [2]排気ガス浄化装置:
    本発明のハニカム触媒体は、缶体に収納して排気ガス浄化装置とすることができる。 図7は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態を缶体内に収納して得られる排気ガス浄化装置の中心軸に平行な断面を示す模式図であり、排気ガス浄化装置1は、排気ガスG が流入する流入口22及び浄化された排気ガスG が流出する流出口23を有する缶体30と、この缶体30内に、流入側端面2が缶体30の流入口22側を向くように収納される本実施形態のハニカム触媒体100と、を備えている。 また、ハニカム触媒体100には、クッション材40が巻きつけられている。

    このような排気ガス浄化装置1は、エンジンから排出される排気ガスがハニカム触媒体100の流入側端面2が缶体30の流入口22側を向くように収納されているため、流体(排気ガス)の流入側の端部が、排気ガスの熱で容易に昇温され、上記流入側の端部に担持された三元触媒がエンジン始動直後からの短時間で活性化する。 従って、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高い効率で浄化することができる。 また、ハニカム触媒体100が、多孔質の隔壁5を有するハニカム基材6を備えるため、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気微粒子を効率良く除去することができる。 即ち、ハニカム触媒体100には、両端部が開口するセル4(4b)(即ち、流入側端面2から流出側端面3まで貫通する貫通孔)が形成されているため、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の一部が通過する。 しかし、排気ガスに含まれる粒子状物質が完全に除去されなくても、ガソリンエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の量は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる粒子状物質の量に比べて、遥かに少ない。 そのため、ハニカム触媒体100を用いれば、除去されずに排出される粒子状物質は極めて少量である。 更に、ハニカム触媒体100には、両端部が開口している(即ち、流入側端面2から流出側端面3まで貫通する貫通孔である)セル4(4b)が形成されているため、圧力損失の増加が少ない。

    缶体30は、特に限定されるものではなく、自動車排気ガス等の排気ガス浄化用のセラミックハニカムフィルタを収納するために通常用いられるものを用いることができる。 缶体30の材質としては、ステンレス鋼等の金属を挙げることができる。 缶体30の大きさは、ハニカム触媒体100にクッション材40を巻きつけた状態で圧入できる大きさであることが好ましい。

    缶体30は、従来公知のものを用いることができるが、例えば、フェライト系ステンレスからなる板材料を、プレス加工、溶接することによって作製することができる。 この缶体30の流入口22の直径は、具体的には、30〜80mmであることが好ましく、流出口23の直径は、具体的には、30〜80mmであることが好ましい。

    また、図7に示す排気ガス浄化装置1は、ハニカム触媒体100が、その外周をクッション材40で覆われた状態(即ち、クッション材40が巻きつけられた状態)で、缶体30内に収納されている。 そして、このクッション材40により、ハニカム触媒体100が破損することを防止している。 そして、ハニカム触媒体100は、クッション材40を介して外側から圧力がかかった状態で缶体30内に収納されていることが好ましい。 このような状態で収納されると、ハニカム触媒体100が缶体30内で移動することを防止することができ、缶体30内で安定させることができる。 クッション材40としては、セラミック繊維製マット等を用いることができる。

    [2−1]排気ガス浄化装置の製造方法:
    次に、上記排気ガス浄化装置1は、例えば、排気ガスG が流入する流入口22及び浄化された排気ガスG が流出する流出口23を有する缶体30を用意し、この缶体30内に、流入側端面2が缶体30の流入口22側を向くように本実施形態のハニカム触媒体100を収納することによって製造することができる。

    上記製造方法において、ハニカム触媒体100の外周をそれぞれクッション材40で覆った後、クッション材40で覆われた状態のハニカム触媒体100を、クッション材40を介して外側から圧力がかかった状態で缶体30内に収納することが好ましい。

    以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    (実施例1)
    まず、コージェライト化原料として、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用し、コージェライト化原料100質量部に、造孔材を13質量部、分散媒を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。 分散媒として水を使用し、造孔材としては平均粒子径1〜10μmのコークスを使用し、有機バインダとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。

    次に、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が四角形で、全体形状が円柱形(円筒形)のハニカム成形体を得た。 そして、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。 次に、ハニカム成形体の一方の端面のセル開口部に所定の部分が開口したマスクを施し、このマスクを施した側の端部を、コージェライト化原料を含有する目封止スラリーに浸漬して一部のセルに目封止部を形成した。 その後、目封止部を形成したハニカム成形体を熱風乾燥機で乾燥し、更に、1410〜1440℃で、5時間、焼成することによって、流入側端部おける全部のセルの開口部には目封止部が形成されず、流出側端部における一部のセルの開口部に目封止部が形成された片側目封止ハニカム焼成体を得た。

    次に、平均粒子径が100μmであるγAl と平均粒子径が100μmであるCeO との混合物粒子(比表面積50m /g)をボールミルにて湿式解砕し、細孔を有する平均粒子径5μmの解砕粒子を得た。 得られた解砕粒子を、Pt及びRhを含む溶液に浸漬して解砕粒子の細孔内にPt及びRhを担持させた。 そして、Pt及びRhを担持させた解砕粒子に、酢酸及び水を加えてコート用スラリーを得た。 得られたコート用スラリーに、作製した片側目封止ハニカム焼成体の流入側端部側を浸漬させた。 具体的には、片側目封止ハニカム焼成体の流入側端面から、流入側端面からの距離が片側目封止ハニカム焼成体の長手方向の長さの85%の位置までの範囲の領域をコート用スラリーに浸漬させた。 このようにして、所定の領域(流入側領域)内の隔壁に三元触媒をコートして触媒層を形成した。 その後、乾燥させ、600℃で3時間焼成して、ハニカム触媒体を得た。

    得られたハニカム触媒体は、直径が110mmであり、中心軸方向の長さが165mmであり、ハニカム基材における流入側端面の直径Dに対する中心軸方向の長さLの比の値(L/D)が1.5であり、セル密度が31個/cm であり、リブ厚(隔壁の厚さ)が0.25mmであり、隔壁の気孔率が75%であり、隔壁の平均細孔径が40μmであり、ハニカム触媒体の流出側端面において、所定のセルと残余のセルとが交互に配置されて市松模様をなして上記所定のセルに目封止部が配設されており(「目封止部の配設形状」が「交互」であり)、流入側領域は、流入側端面から、流入側端面からの距離がハニカム触媒体の中心軸方向の長さの85%までの位置の範囲の領域であり、流入側領域における触媒担持量が300g/Lであり、流入側領域における貴金属量が2g/Lであり、流出側領域における触媒担持量が10g/Lであり、流入側領域における貴金属量が0.3g/Lであった。

    なお、ハニカム触媒体に担持させた酸化物(γAl とCeO )の単位体積当たりの担持量は100〜400g/Lであり、Ptのハニカム触媒体の単位体積当たりの担持量は1〜2.5g/Lであり、Rhのハニカム触媒体の単位体積当たりの担持量は0.2〜1g/Lであった。 また、触媒層の平均細孔径は、解砕粒子の平均粒子径と同じ5μmであった。

    表1中、「長さ」は、ハニカム触媒体の中心軸方向の長さを示し、「L/D」は、ハニカム基材における流入側端面の直径Dに対する中心軸方向の長さLの比の値を示し、「リブ厚」は、ハニカム基材の隔壁の厚さを示し、「細孔径」は、平均細孔径を示す。 「目封止部の配設形状」は、ハニカム触媒体の流出側端面において目封止部によって形成される模様(形状)を示し、「交互」は、流出側端面において所定のセルと残余のセルとが交互に配置されて市松模様(図3参照)をなして上記所定のセルの開口部に目封止部が配設されていることを示す。

    次に、流入口及び流出口を有する金属製(具体的には、フェライト系ステンレス製)の缶体内に、流入側端面が缶体の流入口側を向くように得られたハニカム触媒体を収納した。 収納に際しては、セラミックス繊維を主成分とするマットでハニカム触媒体の外周をそれぞれ覆い、その状態で缶体内に圧入して固定した。 このようにして、排気ガス浄化装置を作製した。

    作製した排気ガス浄化装置について、以下の方法で「浄化率」、「PM個数エミッション」、「圧力損失」、及び「総合判断」を評価した。 結果を表2に示す。 隔壁の気孔率及び隔壁の平均細孔径は、水銀ポロシメータによって測定した。 また、「隔壁の厚さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。

    [浄化率の測定方法]
    得られた排気ガス浄化装置を、排気量2.0リットルの直噴式ガソリンエンジンを搭載した乗用車の排気系に装着する。 その後、シャシダイナモによる車両試験として、欧州規制運転モードの運転条件にて運転した際における排気ガス中の、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物のエミッションを測定してエミッション値を得る。 得られたエミッション値を、欧州EURO5規制値と比較して、全ての成分(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物)のエミッションが規制値を下回った場合を合格「A」とし、規制値を下回らなかった場合を不合格「B」とする。 なお、本評価を、表2中、「浄化率(CO,HC,NO )」と示す。

    [炭化水素の排出量の測定方法]
    欧州規制に準拠した測定方法で、バッグエミッション測定を行い、炭化水素(HC)の排出量を測定する。 炭化水素の排出量が0.1g/km未満の場合は、排出量が規制を満たすため、合格「A」とし、0.1g/km以上の場合は、排出量が規制を満たさない(即ち、排出量の規制値に対して排出量が過大である)ため、不合格「B」とする。 なお、本評価を、表2中、「HC排出量(g/km)」と示す。

    [PM個数エミッションの測定方法]
    排気量2.0リットルの直噴式ガソリンエンジンを搭載した乗用車の排気系に、得られた排気ガス浄化装置を装着する。 その後、シャシダイナモによる車両試験として、欧州規制運転モードの運転条件にて運転した際における排気ガス中のPMの排出個数を、欧州EURO6規制案に沿った方法で測定する。 なお、上記PMの排出個数が6×10 11個/km以下の場合は、欧州EURO6規制案の条件を満たしている。 なお、本評価を、表2中、「PM排出(個/km)」と示す。 そして、規制値を満たしている場合(PMの排出個数が6×10 11個/km以下の場合)を合格「A」とし、規制値を満たしていない場合(PMの排出個数が6×10 11個/km超である場合)を不合格「B」とする。

    [圧力損失の測定方法]
    排気量2.0リットルの直噴式ガソリンエンジンの台上試験において、まず、排気系に、セル密度93セル/cm ,隔壁の厚さ(リブ厚)0.076mm,直径105.7mm,中心軸方向の長さ114mmのフロースルー型のハニカム構造体を装着する。 そのときのエンジンフルロード運転時の圧力損失を測定し、これを基準値とする。 一方、得られた排気ガス浄化装置を排気系に装着した後、上記同様のエンジンフルロード条件における圧力損失を測定する。 その後、上記基準値に対して、圧力損失の増加量が10kPa未満である場合を合格「A」とし、圧力損失の増加量が10kPa以上である場合を不合格「B」とした。 なお、本評価を、表2中、「圧損」と示す。

    [総合判断の評価方法]
    上記[浄化率]、[炭化水素の排出量]、[PM個数エミッション]、及び[圧力損失]の各評価のうち、全ての評価が合格「A」であるときには合格「A」とし、1つでも不合格「B」の評価があるとき、不合格「B」とする。 但し、「A」とするには、[炭化水素の排出量]については、炭化水素の排出量が0.1g/km未満であることが必要であり、[PM個数エミッション]については、PMの排出個数が6×10 11個/km以下の場合であって、かつ、圧損の評価が「A」であることが必要である。 また、[炭化水素の排出量]について、炭化水素の排出量が0.1g/km以上である場合、[PM個数エミッション]について、PMの排出個数が6×10 11個/km超の場合、または、圧損の評価が「B」である場合には、本評価においては「B」とする。

    (実施例2〜12、比較例1〜8)
    表1に示す、直径、長さ、L/D、セル密度、リブ厚、気孔率、細孔径、目封止部の配設形状、長さ比率、流入側領域における触媒担持量、流入側領域における貴金属量、流出側領域における触媒担持量、及び流入側領域における貴金属量としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12、比較例1〜8の各ハニカム触媒体を作製した。 その後、作製した各ハニカム触媒体を缶体内に収納して排気ガス浄化装置を作製し、実施例1の場合と同様に、上記方法で「浄化率」、[炭化水素の排出量]、「PM個数エミッション」、「圧力損失」、及び「総合判断」を評価した。 結果を表2に示す。

    表2中、「4セル毎交互」は、隣接する縦横2つずつのセル(合計4つのセル)からなるセル群を単位セル群(図4中、符号「34」参照)としたときに、所定の単位セル群と残余の単位セル群とが交互に配置されて市松模様をなしているとしたときに、隣接する単位セル群毎に交互に目封止部が配設されていること(図4参照)を示し、「1列おき」は、両端部に位置するセルが最外周に位置して1列に並ぶように隣接するセルからなるセル群を単位セル群(図5中、符号「34」参照)とし、これらの単位セル群が平行かつ隣接して形成されているとしたときに、隣接する単位セル群毎に交互に目封止部が配設されていること(図5参照)を示す。 「長さ比率(%)」は、流入側領域における所定の位置を示し、例えば、長さ比率が85%である場合、流入側領域は、流入側端面から、流入側端面からの距離がハニカム触媒体の中心軸方向の長さの85%までの位置の範囲の領域であることを意味する。

    表2から明らかなように、実施例1〜12のハニカム触媒体は、比較例1〜8のハニカム触媒体に比べて、直噴式ガソリンエンジンから排出される排気微粒子を効率良く除去することができ、圧力損失の増加が少なく、かつ、排気ガスに含まれるCO,HC,及びNO を、エンジン始動直後から高効率で浄化することができることが確認できた。

    比較例1及び2では、長さ比率が10%未満であるため、十分な浄化率が得られていない。 比較例3では、流入側領域に担持させた三元触媒の担持量が100g/L未満であるため、十分な浄化率が得られていない。 比較例4では、流入側領域に担持させた三元触媒の担持量が400g/L超であるため、圧力損失が増大している。 比較例5では、流出側領域における触媒の担持量が100g/L超であるため、圧力損失が増大しており、また、細孔が閉塞して隔壁透過ガス量が減少してPM捕集効率が低下するため、PM個数エミッションの測定におけるPMの排出個数が増大している。 比較例6では、長さ比率が90%超であるため、圧力損失が増大しており、また、隔壁を通過するガス量が減少するため、PM個数エミッションの測定におけるPMの排出個数が増大している。 比較例7では、ハニカム基材の前記流入側端面の直径に対する前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの比の値(L/D)が2.0超であるため、圧力損失が増大している。 比較例8では、ハニカム基材の前記流入側端面の直径に対する前記ハニカム基材の中心軸方向の長さの比の値(L/D)が1.1未満であるため、十分な浄化率が得られず、また、隔壁通過ガス量の全ガス量に対する比率が減少するため、PM個数エミッションの測定におけるPMの排出個数が増大している。

    本発明のハニカム触媒体は、直噴ガソリンエンジンから排出される排気ガスの浄化に好適に用いることができる。

    1:排気ガス浄化装置、2:流入側端面、3:流出側端面、4:セル、4a:一部のセル(所定のセル)、4b:残余のセル、5:隔壁、6:ハニカム基材、8:目封止部、40,50,60,100:ハニカム触媒体、22:流入口、23:流出口、30:缶体、31:流入側領域、32:流出側領域、34:単位セル群、34a:所定の単位セル群、34b:残余の単位セル群、40:クッション材、G :排気ガス、G :浄化された排気ガス。

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