Catalyst body

申请号 JP2002037033 申请日 2002-02-14 公开(公告)号 JP2003236381A 公开(公告)日 2003-08-26
申请人 Denso Corp; Nippon Soken Inc; 株式会社デンソー; 株式会社日本自動車部品総合研究所; 发明人 ITO MIHO; HASEGAWA JUN; KONDO TOSHIHARU; NAKANISHI TOMOHIKO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a catalyst body causing little deterioration of the catalyst due to heat and keeping higher catalytic performance for a long time. SOLUTION: The catalyst body is obtained by directly chemically adsorbing the catalyst component such as Pt to Zr, W or the like substituted for the element on a carrier such as Al in cordierite without forming a coating layer. By selecting the combination of the catalyst component and the element in the carrier so as to obtain >5 eV carrier intensity by the simulation using the density functional formalism, coarsening of the catalyst particles can be suppressed and a high-performance catalyst body having excellent thermal durability can be obtained. COPYRIGHT: (C)2003,JPO
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 【請求項1】 担体の表面に触媒成分を直接担持してなる触媒体であって、上記担体内の元素および細孔のうちの少なくとも一方に対して上記触媒成分が直接担持されており、かつ密度汎関数法を用いたシミュレーションによる上記担体内の元素または細孔と上記触媒成分の担持強度が5eVより大きいことを特徴とする触媒体。 【請求項2】 上記担体がセラミック担体である請求項1記載の触媒体。 【請求項3】 密度汎関数法を用いたシミュレーションによる上記担体内の元素または細孔と上記触媒成分の担持強度が15eV以上である請求項1または2記載の触媒体。 【請求項4】 上記担体は、基材構成元素のうち少なくとも1種類またはそれ以上の元素が、上記構成元素以外の元素と置換されており、該置換元素に対して上記触媒成分が直接担持されている請求項1ないし3のいずれか記載の触媒体。 【請求項5】 上記置換元素はその電子軌道にdまたはf軌道を有する少なくとも1種類またはそれ以上の元素である請求項4記載の触媒体。 【請求項6】 上記担体の基材を構成する元素に対して上記触媒成分を直接担持している請求項1ないし3のいずれか記載の触媒体。 【請求項7】 上記細孔が、上記基材を構成する結晶格子中の欠陥、上記基材表面の微細なクラック、および上記基材を構成する元素の欠損のうち、少なくとも1種類からなる請求項1ないし3のいずれか記載の触媒体。 【請求項8】 上記細孔が、上記基材の構成元素のうちの少なくとも1種類またはそれ以上の元素を、上記構成元素以外の元素と置換することにより形成される欠陥であり、該欠陥に対して上記触媒成分が直接担持されている請求項7記載の触媒体。 【請求項9】 上記担体の基材が、コーディエライト、
    ゼオライト、ペロブスカイト、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、スピネル、ムライト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、
    炭化珪素、窒化珪素、シリカ−アルミナまたはそれらの誘導体を主成分として含む請求項1ないし7のいずれか記載の触媒体。 【請求項10】 上記触媒成分がPt、Pd、Rh、A
    g、Au、Ceおよびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種、または2種以上の混合体ないし固溶体である請求項1ないし9のいずれか記載の触媒体。 【請求項11】 上記触媒成分が遷移金属元素およびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種、または2種以上の混合体ないし固溶体である請求項1ないし10のいずれか記載の触媒体。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車エンジンの排ガス浄化触媒等に用いられる触媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車エンジンから排出される有害物質を浄化するために、従来より、種々の触媒が提案されている。 排ガス浄化用触媒は、一般に、高耐熱衝撃性のコーディエライトハニカム構造体を担体として用い、その表面にγ−アルミナ等からなるコート層を形成した後、
    Pt等の触媒貴金属を担持している。 コート層を形成するのは、コーディエライトの比表面積が小さく、そのままでは触媒成分を担持できないためで、γ−アルミナ等の高比表面積材料を用いて担体の表面積を増加させることで、必要な量の触媒成分が担持可能となる。 【0003】ところが、コート層の形成は、担体の熱容量増加をまねくため早期活性化に不利であり、開口面積が小さくなって圧損が増加する不具合がある。 しかも、
    γ−アルミナ自身の耐熱性が低いことから、触媒成分が凝集して浄化性能が大きく低下する問題があった。 このため、近年、コート層を形成することなく、必要量の触媒成分を直接担持することが検討されている。 例えば、
    特公平5−50338号公報等には、酸処理や熱処理を行って特定成分を溶出させることによりコーディエライト自体の比表面積を向上させる方法が提案されているが、酸処理や熱処理によりコーディエライトの結晶格子が破壊されて強度が低下する問題があった。 【0004】一方、本発明者等は、先に、比表面積を向上させるためのコート層が不要で、かつ強度を低下させずに、必要量の触媒成分を担持可能なセラミック担体を提案した(特願2000−104994)。 このセラミック担体は、結晶格子中の酸素欠陥や格子欠陥、幅10
    0nm以下の微細なクラックといった、比表面積として測定できない程度の微小な細孔を設けて、触媒を担持させるもので、強度を保持しつつ、触媒成分を直接担持させることが可能である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願2
    000−104994に記載される方法で、基材セラミックの表面に微小な細孔を形成し、触媒成分を直接担持させた触媒体を、熱耐久試験に供したところ(例えば、
    大気雰囲気、1000℃で24時間処理)、触媒粒子径が熱耐久前に比べて大きくなる場合があることが判明した。 これは、基材セラミックの種類や、微小な細孔と触媒成分との組み合わせによって担持強度が異なるからであるが、触媒成分との結合が十分でないと、熱振動等によって触媒成分が移動し、粒成長してしまうために、浄化性能が悪化する懸念があった。 【0006】そこで、本発明は、熱耐久による触媒の劣化が小さく、より高い触媒性能を長期間維持できる触媒体を得ることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の発明は、担体の表面に触媒成分を直接担持してなる触媒体であって、上記触媒成分は上記担体内の元素に対して直接担持されている。 または、上記担体に形成した細孔に対して上記触媒成分を直接担持させることも可能である。
    本発明において、上記触媒成分とこれが担持する上記担体内の元素または細孔は、密度汎関数法を用いたシミュレーションによる担持強度が5eVより大きくなるように、組み合わせが選択されている。 【0008】本発明の触媒体は、上記担体内の元素または細孔に対して、上記触媒成分が、化学吸着により直接担持されており、物理吸着による従来のセラミック体に比べて担持強度が強く、熱劣化しにくい。 このように、
    特に、密度汎関数法を用いたシミュレーションによる担持強度が5eVより大きくなる組み合わせを選択すると、吸着サイトの位置選択性がある化学吸着の領域となり、元素や細孔に対して強く吸着する。 よって、熱振動等で移動して粒子が粗大化するのを抑制することができ、熱耐久性に優れる高性能な触媒体となる。 【0009】請求項2の発明は、上記担体をセラミック担体とする。 セラミック担体は、耐熱性に優れるため、
    自動車用等、高温で使用される触媒用として好適である。 【0010】請求項3の発明は、密度汎関数法を用いたシミュレーションによる上記担体内の元素または細孔と上記触媒成分の担持強度が15eV以上となるように、
    上記担体内の元素または細孔と上記触媒成分を選択する。 これにより、担持強度をさらに強くして、より劣化しにくい触媒体とすることができる。 【0011】請求項4の発明は、上記担体を、基材構成元素のうち少なくとも1種類またはそれ以上の元素が、
    上記構成元素以外の元素と置換した構成とする。 このようにすると、上記触媒成分と化学吸着しやすい元素を、
    上記担体内に容易に導入することができる。 そして、この置換元素に対して上記触媒成分を直接担持することで、所望の担持強度を有する触媒体が容易に得られる。 【0012】請求項5の発明は、上記置換元素を、その電子軌道にdまたはf軌道を有する少なくとも1種類またはそれ以上の元素とする。 dまたはf軌道を有する元素は、触媒成分のd軌道またはf軌道の電子との授受が生じやすいので、触媒成分と化学吸着させやすく、これを置換元素として選択することで触媒を直接担持させることができる。 【0013】請求項6の発明は、上記担体の基材を構成する元素に対して上記触媒成分を直接担持する。 上記担体の構成元素が触媒成分と結合しやすい元素を含む場合には、置換元素を導入することなく、容易に触媒成分を担持することができる。 【0014】請求項7の発明は、上記細孔を、上記基材を構成する結晶格子中の欠陥、上記基材表面の微細なクラック、および上記基材を構成する元素の欠損のうち、
    少なくとも1種類とする。 具体的には、このようにして形成される細孔を上記担体表面に有することで、これら細孔に対して上記触媒成分を直接担持可能となる。 【0015】請求項8の発明は、上記細孔を、上記基材の構成元素のうちの少なくとも1種類またはそれ以上の元素を、上記構成元素以外の元素と置換することにより形成される結晶格子中の欠陥とする。 上記構成元素を価数の異なる元素と置換すると、結晶格子中に欠陥が生じ、この欠陥に対して上記触媒成分を直接担持することが可能となる。 そして、例えば、格子欠陥は、結晶格子中に形成される物理的な空洞に上記触媒成分を直接担持することが可能で、そのアンカー効果によって、従来のコート層表面への物理吸着に比べて強固な担持強度を実現することができる。 【0016】請求項9の発明は、上記担体の基材を、コーディエライト、ゼオライト、ペロブスカイト、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、スピネル、ムライト、チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、炭化珪素、窒化珪素、シリカ−アルミナまたはそれらの誘導体を主成分として含むものとする。 これらセラミックの構成元素または導入した置換元素と、触媒成分の組み合わせを適宜選択することで、所望の高い担持強度を有する劣化しにくい触媒体が得られる。 【0017】請求項10の発明は、上記触媒成分として、Pt、Pd、Rh、Ag、Au、Ceおよびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種、または2種以上の混合体ないし固溶体を用いる。 または、請求項11の発明のように、上記触媒成分を遷移金属元素およびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種、または2種以上の混合体ないし固溶体とすることもでき、用途等に応じて適宜選択することで、触媒性能を向上できる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。 本発明の触媒体は、担体の表面に触媒成分を直接担持してなり、触媒成分は、担体内の元素および細孔のうちの少なくとも一方に対して直接担持されている。 担体としては、セラミック担体、例えば、理論組成が2MgO・2Al 23・5SiO 2で表されるコーディエライトを主成分とするものが用いられる。
    コーディエライトは、耐熱性が高く、高温条件下で使用される自動車用触媒の担体として好適である。 また、コーディエライト以外のセラミック、例えば、ゼオライト、ペロブスカイト、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、スピネル、ムライト、
    チタン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、炭化珪素、窒化珪素、シリカ−アルミナまたはそれらの誘導体を主成分として含むものを用いることもできる。 【0019】セラミック担体は、これら基材セラミックを所定形状に成形、焼成してなる。 担体形状は、例えば、ガス流れ方向と平行に多数のセルを有するハニカム構造体とすることができる。 セル形状は矩形、多形等、種々の形状がある。 担体形状も、ハニカム構造体に限らず、それ以外の形状、例えば、ペレット状、粉体状、フォーム体状、中空繊維状、繊維状等とすることができる。 【0020】このセラミック担体に担持される触媒成分としては、例えば、Pt、Pd、Rh、Ag、Au、C
    eおよびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種、
    または2種以上の混合体ないし固溶体、さらに、遷移金属元素およびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1
    種、または2種以上の混合体ないし固溶体等が挙げられる。 これら触媒成分は、用途に応じて、さらに、セラミック担体内の元素または欠陥との担持強度が所望の強さとなるように、セラミック担体の基材に応じて選択される。 【0021】本発明の触媒体において、これら触媒成分は、セラミック担体内の元素または細孔に対して直接、
    化学吸着により担持されている。 セラミック担体内の元素は、担体基材の構成元素であっても、基材構成元素と置換されることにより基材内に導入される置換元素であってもよい。 例えば、セラミック担体が、構成元素として、W、Ti、Co、Mo等を含む場合には、これら元素に触媒成分を直接担持可能である。 このようなセラミック担体としては、酸化タングステン(WO 3 )、チタニア(TiO 2 )等が挙げられる。 さらに、これら担体構成元素以外のより化学吸着しやすい元素と置換することも可能で、該置換元素に触媒成分を担持させることにより、より強い担持強度で直接担持することが可能となる。 一方、Al、Si、Mg等を含む場合、例えば、コーディエライトは、そのままでは、触媒成分と化学吸着しないので、基材構成元素のうち少なくとも1種類またはそれ以上の元素を、構成元素以外の元素と置換するのがよく、該置換元素に対して触媒成分を直接担持することが可能となる。 これにより、γ−アルミナ等の高比表面積のコート層を形成することなく、触媒成分を担持し、熱容量、圧損の低減効果を得ることができる。 【0022】基材セラミックの構成元素と置換される元素、例えば、コーディエライトであれば、酸素を除く構成元素であるSi、Al、Mgと置換される元素は、これら構成元素よりも担持される触媒成分との担持強度が大きく、触媒成分を化学吸着により担持可能な元素とする。 具体的には、これら構成元素と異なる元素で、その電子軌道にdまたはf軌道を有する元素が挙げられ、好ましくはdまたはf軌道に空軌道を有するか、または酸化状態を2つ以上持つ元素が用いられる。 dまたはf軌道に空軌道を有する元素は、担持される触媒成分もdまたはf軌道を持っており、エネルギー準位が近くて電子の授与が行われやすいため、触媒成分と結合しやすい。
    また、酸化状態を2つ持つ元素も、価数変化が比較的生じやすいので、電子の授与が行われやすく、同様の作用が期待できる。 【0023】dまたはf軌道に空軌道を有する元素の具体例には、W、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
    i、Zr、Mo、Ru、Rh、Ce、Ir、Pt等が挙げられ、これら元素のうちの少なくとも1種類またはそれ以上を用いることができる。 これら元素のうち、W、
    Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Mo、Ru、R
    h、Ce、Ir、Ptは、酸化状態を2つ以上持つ元素である。 【0024】置換元素の量は、総置換量が、置換される構成元素の原子数の0.01%以上50%以下、好ましくは5〜20%の範囲となるようにするのがよい。 なお、置換元素が、セラミックの構成元素と価数の異なる元素である場合には、価数の差に応じて格子欠陥または酸素欠陥が同時に生じ、本発明では、これら欠陥によって形成される細孔にも触媒成分を担持させることができる。 あるいは、置換元素を複数使用し、置換元素の酸化数の和と、置換される構成元素の酸化数の和と等しくなるようにすれば、全体として価数の変化がないので、欠陥は生成しない。 一般に、元素に対する担持の方が、細孔に対する担持よりも担持強度が大きいので、このようにすると、触媒成分を置換元素との化学吸着によってのみ担持させることができ、劣化に対しより強くなる。 【0025】セラミック表面に形成される細孔のうち、
    結晶格子の欠陥には、酸素欠陥と格子欠陥(金属空格子点と格子歪)がある。 酸素欠陥は、セラミック結晶格子を構成するための酸素が不足することにより生ずる欠陥で、酸素が抜けたことにより形成される細孔に触媒成分を担持できる。 格子欠陥は、セラミック結晶格子を構成するために必要な量以上の酸素を取り込むことにより生じる格子欠陥で、結晶格子の歪みや金属空格子点によって形成される細孔に触媒成分を担持することが可能となる。 【0026】触媒成分を直接担持可能な細孔としては、
    セラミック結晶格子中の欠陥(格子欠陥または酸素欠陥)の他、セラミック表面の微細なクラック、セラミックを構成する元素の欠損が挙げられ、これらのうち少なくとも1種類、または複数種類を組み合わせて用いることもできる。 担持される触媒成分イオンの直径は、通常、0.1nm程度であるので、これら細孔は、直径あるいは幅が、0.1nm以上であれば、触媒成分イオンを担持可能であり、セラミックの強度を確保するには、
    細孔の直径あるいは幅が触媒成分イオンの直径の100
    0倍(100nm)以下で、できるだけ小さい方が好ましい。 好ましくは、1〜1000倍(0.1〜100n
    m)とする。 細孔の深さは、触媒成分イオンを保持するために、その直径の1/2倍(0.05nm)以上とすることが好ましい。 この大きさで、従来と同等な量の触媒成分(1.5g/L)を担持可能とするには、細孔の数が、1×10 11個/L以上、好ましくは1×10 16個/L以上、より好ましくは1×10 17個/L以上であるとよい。 【0027】具体的には、コーディエライトハニカム構造体が、酸素欠陥あるいは格子欠陥の少なくとも1種類を単位結晶格子に1個以上有するコーディエライト結晶を4×10 -6 %以上、好ましくは、4×10 -5 %以上含有する、あるいは、酸素欠陥あるいは格子欠陥の少なくとも1種類をコーディエライトの単位結晶格子当たり4
    ×10 -8個以上、好ましくは、4×10 -7個以上含有すると、セラミック担体の細孔の数が上記所定数以上となる。 【0028】結晶格子に欠陥を形成する方法は、特願2
    000−104994に記載した通りである。 例えば、
    酸素欠陥は、Si源、Al源、Mg源を含むコーディエライト化原料を成形、脱脂、焼成する過程において、酸素以外の構成元素の少なくとも1種類につき、その一部を該元素より価数の小さな元素で置換する方法により形成できる。 コーディエライトの場合、構成元素は、Si
    (4+)、Al(3+)、Mg(2+)と正の電荷を有するので、これらを価数の小さな元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が不足し、結晶格子としての電気的中性を維持するため、
    負の電荷を有するO(2−)を放出し、酸素欠陥が形成される。 【0029】また、格子欠陥については、酸素以外のセラミック構成元素の一部を該元素より価数の大きな元素で置換することにより形成できる。 コーディエライトの構成元素であるSi、Al、Mgの少なくとも一部を、
    その元素より価数の大きい元素で置換すると、置換した元素との価数の差と置換量に相当する正の電荷が過剰となり、結晶格子としての電気的中性を維持するため、負の電荷を有するO(2−)を必要量取り込む。 取り込まれた酸素が障害となって、コーディエライト結晶格子が整然と並ぶことができなくなり、格子歪が形成される。
    この場合の焼成雰囲気は、大気雰囲気として、酸素が十分に供給されるようにする。 あるいは、電気的中性を維持するために、Si、Al、Mgの一部を放出し、空孔が形成される。 なお、これら欠陥の大きさは数オングストーム以下と考えられるため、窒素分子を用いたBET
    法のような通常の比表面積の測定方法では、比表面積として測定できない。 【0030】酸素欠陥および格子欠陥の数は、コーディエライト中に含まれる酸素量と相関があり、上記した必要量の触媒成分の担持を可能とするには、酸素量が47
    重量%未満(酸素欠陥)または48重量%より多く(格子欠陥)なるようにするのがよい。 酸素欠陥の形成により、酸素量が47重量%未満になると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は17.2より少なくなり、コーディエライトの結晶軸のb o軸の格子定数は16.99より小さくなる。 また、格子欠陥の形成により、酸素量が48重量%より多くなると、コーディエライト単位結晶格子中に含まれる酸素数は17.6より多くなり、コーディエライトの結晶軸のb o軸の格子定数は16.99より大きくまたは小さくなる。 【0031】ここで、本発明では、触媒成分とこれが担持される元素または細孔の組み合わせを、密度汎関数法を用いたシミュレーションに基づいて選択する。 密度汎関数法を用いたシミュレーションにより触媒成分と元素または細孔の担持強度を算出し、その値が5eVより大きくなる組み合わせから、触媒成分と、これが担持される担体内元素(構成元素または置換元素)または細孔(欠陥等)の組み合わせを選択すると、高温使用時の触媒成分の粗大化を抑制できる。 これは、密度汎関数法を用いたシミュレーション値が5eVより大きいと、触媒成分が元素または細孔に選択的に強い強度で吸着(化学吸着)するために、熱などによる移動、粗大化が発生しにくくなると考えられる。 シミュレーション値が5eV
    以下であると、吸着サイトの位置選択性のない物理吸着の領域となるために、担持強度が弱くなる。 好ましくは、シミュレーション値が15eV以上であるとよく、
    より担持強度が強くなって粗大化を抑制する効果が高まり、劣化を防止できる。 【0032】密度汎関数法は、多電子間の相関効果を取り入れたハミルトニアンを導入して、結晶の電子状態を予測する方法である。 その原理は、系の基底状態の全エネルギーを電子密度の汎関数で表すことができるという数学的定理に基づいており、結晶の電子状態を計算する手法として信頼性が高い。 従来の触媒体は、比表面積の大きいアルミナ等のコート層の表面に触媒成分が物理吸着によって担持される構造であるため、コート層を構成するAl等との担持強度はごく弱く、触媒成分は容易に移動する。 また、本発明の触媒体と同様に、触媒成分が担体内の元素に対して担持される構造であっても、担持強度が十分でない場合には、粗大化は免れない。 ところが、触媒成分と元素または細孔の担持強度を実際に測定することは、極めて難しく、所望の担持強度が得られる組み合わせを予測するための手法が必要となる。 密度汎関数法は、酸化物等からなる担体表面と触媒成分との界面における電子状態を予測するのに適しており、実際に、シミュレーション値を基に選択した触媒成分と元素の組み合わせを有する触媒体は、触媒粒子の粗大化が生じず、高温耐久後も高い浄化性能を示すことが確認されている。 【0033】本発明の触媒体の製造方法を以下に示す。
    基材セラミックの構成元素の一部を触媒成分との担持強度が強い元素で置換させたセラミック担体を用いる場合には、予め、置換される構成元素の原料の一部を置換量に応じて減じておいたセラミック原料を使用する。 このセラミック原料に、置換元素の原料を所定量添加し、、
    通常の方法で、混練した後、例えば、ハニカム状に成形し、乾燥させた後、焼成して、元素置換されたセラミック担体とする。 この時、置換元素が、セラミックの構成元素と価数の異なる元素であれば、価数の差に応じて格子欠陥または酸素欠陥が同時に形成される。 あるいは、
    予め、置換される構成元素の原料の一部を置換量に応じて減じておいたセラミック原料を、通常の方法で、混練、成形、乾燥させた後、成形体を置換元素を含む溶液に浸漬してもよい。 これを溶液から取り出し、乾燥させた後、同様にして焼成することによっても、元素置換されたセラミック担体が得られる。 後者の方法を用いると、成形体表面に置換元素を多く存在させることができ、その結果、焼成時に表面で元素置換が起きて、固溶体が生じやすくなる。 また、表面のみ元素置換されるので、基材セラミックの特性への影響が小さくできる。 【0034】セラミック担体の基材構成元素が、触媒成分を直接担持可能な場合には、通常の方法で、セラミック原料を混練、成形、乾燥させた後、焼成してセラミック担体とする。 ハニカム構造体の場合、セル壁の厚さは、通常、150μm以下とし、壁厚が薄いほど熱容量が小さくなるため、好ましい。 【0035】その後、得られたセラミック担体に、P
    t、Rh、Pd等の触媒成分を直接担持させることにより、本発明のセラミック触媒体とする。 触媒成分の担持は、触媒成分を含む溶液にセラミック体を浸漬させた後、焼き付けする通常の方法で行うことができる。 触媒成分を複数担持させる場合には、各触媒成分を含む溶液に浸漬し、焼き付けることを繰り返し行う。 あるいは、
    複数の触媒成分を含む溶液に浸漬、焼き付けて、同時に担持させてもよい。 触媒粒子は平均粒径が100μm以下、好ましくは50μm以下であるのがよく、微粒化するほど、担体表面に高分散させることができるので、触媒重量あたりの浄化性能が向上する。 【0036】このようにして得られるセラミック触媒体は、触媒成分がコート層を介さずに担体内の元素に対して直接しかも所定以上の担持強度で吸着しているので、
    吸着が強固で、触媒成分が移動しにくい。 従って、高温で長期に渡り使用されても、触媒粒子が凝集して粗大化するのを防止し、熱劣化しにくい高性能な触媒体とすることができる。 【0037】 【実施例】(実施例1)コーディエライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナ、酸化アルミニウムを使用し、コーディエライト構成元素であるAl原料を20%減らしたものに、Alの10%に相当する置換元素の酸化物WO 3 、およびAlの10%に相当する置換元素の酸化物TiO 2を添加して、コーディエライトの理論組成点付近となるように調合した。 この原料に、バインダ、潤滑剤および保湿剤、水分を適量添加し、混練して粘土化させたものを、セル壁厚100μm、セル密度400cpsi、直径50mmのハニカム形状に成形し、乾燥させた。 これを大気雰囲気、1390℃で2時間焼成して、置換元素としてWおよびTiを導入したセラミック担体を得た。 ここでは、コーディエライトに格子欠陥ができないように、置換元素として2種の元素(WおよびTi)を用いている。 【0038】次に、上記のようにして得られたセラミック体に、触媒成分としてPtを担持させるため、塩化白金酸0.035mol/Lを溶解させたエタノール溶液を用意した。 この溶液にセラミック体を5分間浸漬し、
    余剰な溶液を取り除いた後、乾燥させた。 これを、大気雰囲気にて、600℃で焼き付けることでPtを金属化させて、置換元素(担体内元素)であるWおよびTiに触媒元素であるPtが直接担持したセラミック触媒体を得た。 【0039】得られたセラミック触媒体の浄化性能を評価するために、C 36を含むモデルガスを導入して、
    36の50%浄化温度(初期のT50、単位:℃)
    を測定した。 評価条件は、下記の通りとした。 さらに、
    大気雰囲気で1000℃、24時間放置する熱耐久試験を施して、熱耐久後の50%浄化温度(放置後のT5
    0、単位:℃)を測定し、それぞれ表1に結果を示した。 モデルガス C 36 :500ppm O 2 :2.5% N 2 :バランスSV=10000 【0040】 【表1】

    【0041】また、得られたセラミック触媒体についてCO化学吸着量測定を行い、耐久試験前後の触媒粒径(平均)を測定して、結果を表1に併記した。 また、T


    EM(透過型電子顕微鏡)のWDX分析により、置換元素(担体内元素)であるWおよびTiに触媒元素であるPtが直接担持されていることを確認した。 なお、表1


    には、密度汎関数法によるシミュレーションを行って、


    コーディエライト構成元素であるAlの一部と置換したWおよびTiとPtの担持強度を予測したシミュレーション値を併せて示した。 密度汎関数法によるシミュレーションを行った際の解析ソフト・ハードの計算条件を以下に示す。 プリ/ポスト :Cerius2 ver4.2(Ac


    celrys社) ソルバ :CASTEP,Crystal Buil


    der,(Accelrys社) W/S :(SGI社) Octane2 CPU時間 :約70,000s 温度 :絶対零度近似 :GGA近似【0042】図1は、密度汎関数法による担持強度シミュレーションで用いたモデル図の一例である。 米国アクセルリス(Accelrys)社の商用シミュレーションソフト(Crystal Builder)を用いて、コーディエライト結晶を作成し、同社のソフト(C


    ASTEP)を用いて、絶対零度(0K)における結晶の安定化構造を求めた。 計算には、GGA近似を使用した。 その後、同社のソフト(Sureface Bui


    lderおよびCrystal Builder)を用いて、最も多く存在すると考えられる(100)面を最表面として結晶をカットし、その上部に真空部分を設けたモデルを作成した。 この真空部分に触媒成分(ここでは、Pt)をおき、コーディエライト界面にある遷移金属元素(例えば、W)にPtを近づけていった場合のエネルギー変化を計算し、担持強度を予測した。 担持強度の算出方法は、コーディエライト界面とPtが全く相互作用しない時のエネルギーと、Ptがコーディエライト界面に吸着した場合のエネルギーとの差を求めており、


    エネルギー差が大きいほど、吸着によって安定する、つまり、担持強度が大きいといえる。 【0043】(実施例2〜9)コーディエライト構成元素であるAlと置換される元素をWおよびCoとし、その酸化物WO

    3 、CoOをコーディエライト化原料に添加した以外は、実施例1と同様にしてセラミック触媒体を作製した(実施例2)。 同様に、置換される元素をW、TiまたはZrとし、その酸化物WO

    3 、TiO

    2


    またはZrO

    2をコーディエライト化原料に添加してセラミック触媒体を作製した(実施例3〜55)。 実施例3は、置換元素を1種(W)としているために、同時に格子欠陥が発生し、置換元素(W)と格子欠陥に触媒元素(Pt)が担持する。 実施例4、5は、格子欠陥が生じない(生じにくい)置換元素を選択してある。 【0044】また、実施例6〜9として、表1のように、担体基材をアルミナ、酸化タングステンまたはチタニアに変更し、触媒元素(Pt)が担持される担体内元素をWまたはTiとしたセラミック触媒体を作製した。


    ここで、実施例6、9におけるWは、上記各実施例と同様に置換元素として導入されるものである。 実施例7、


    8では元素置換せず、担体構成元素であるW、Tiに触媒元素が直接担持される。 【0045】これら実施例2〜9のセラミック触媒体につき、それぞれ実施例1と同様にして、浄化性能、触媒粒径を測定した結果を、密度汎関数法による担体内元素または格子欠陥とPtの担持強度のシミュレーション値とともに、表1に示した。 【0046】(比較例1〜4)一方、比較のため、担体基材をアルミナとし置換元素を導入しないセラミック担体を用い、実施例1と同様の方法で触媒元素としてのP


    tを担持させたセラミック触媒体を作製した(比較例1)。 実施例1と同様にして、浄化性能、触媒粒径を測定した結果を、基材構成成分(担体内元素)であるAl


    とPtの担持強度の、密度汎関数法によるシミュレーション値とともに、表1に示した。 また、担体基材をマグネシア、シリカ、コーディエライトとしたセラミック担体についても、同様の方法で触媒元素としてのPtを担持させてセラミック触媒体を作製した(比較例2〜


    4)。 同様にして、浄化性能、触媒粒径を測定した結果を、基材構成成分(担体内元素)であるMgまたはSi


    とPtの担持強度の、密度汎関数法によるシミュレーション値とともに、表1に示した。 【0047】表1に明らかなように、密度汎関数法によるシミュレーション値が5eV以下である比較例1〜4


    では、熱耐久試験による粒子の粗大化が著しいことが分かった。 これは、シミュレーション値が5eV以下であるような組み合わせでは、単に物理吸着で担持されているためと推察され、吸着サイトの位置選択性がないので、どのような部位にも吸着できるが、その強度としては弱く、触媒粒子が熱振動等で容易に移動、凝集してしまう。 これに対し、シミュレーション値が5eVより大きい実施例1〜9では、熱耐久試験後の粒子径の変化は小さく、担持が強固であることが分かる。 これより、シミュレーション値が5eVより大きい場合には、化学吸着の領域となり、吸着サイトの位置選択性があり、触媒元素が置換元素等に選択的に強い強度で吸着するために、熱等による移動、粗大化が発生しにくくなるといえる。 【0048】さらに、浄化性能も、初期の50%浄化温度(T50)は実施例と比較例で大きな差がないが、放置後の50%浄化温度(T50)は、実施例が195〜


    220℃の範囲であるのに対し、比較例では235〜4


    00℃と性能が悪化している。 以上より、密度汎関数法によるシミュレーション値と、触媒粒径、浄化性能に明らかな相関が見られ、シミュレーション値が5eVより大きい組み合わせを選択することで、担持強度を大きくし、熱耐久による触媒成分の粒成長を抑制できることが確認された。 また、シミュレーション値が大きいほど、


    粗大化の抑制や浄化性能の向上効果が大きくなっており、具体的には、シミュレーション値が15eV以上であるとより好ましい。 このように、化学吸着による担持であっても、担持強度によって粗大化の抑制効果が異なるが、本発明のシミュレーション値を基に、より強い担持強度を持つ組み合わせを見出し、高温耐久性を効果的に向上させることができる。 【0049】図2は、担体基材をコーディエライトとし、導入する置換元素としての遷移金属種を種々変更した場合の触媒元素(Pt)との担持強度(密度汎関数法によるシミュレーション値)を、従来のコート層を構成するγ−アルミナとPtの担持強度と比較して示したものである。 図のように、いずれのコーディエライト置換元素においても、γ−アルミナよりも強い担持強度でP


    tを吸着していることが分かり、特に、Ti、W、M


    n、Ca、Mo、Zr等を選択すると、その効果が著しい。 このように、担持強度の大きさには、元素種による違いが現れており、この違いは、置換元素のd軌道の空軌道の状態や、酸化状態などによって異なると考えられる。 【0050】また、図2では、置換元素種が1種(+格子欠陥)の場合について図示したが、置換元素種は1種に限らず、2種以上でもよい(上述した実施例1では2


    種置換を、実施例2〜4では1種置換を示している)。


    図2の中で単独の置換元素として最も担持強度が強かったW元素について、吸着した際の電子密度状態図を図3


    に示す。 Ptの外殻軌道と、コーディエライト内の置換元素であるWの外殻軌道が重なり合っていることが確認でき、W元素にPtが化学的に吸着しているといえる。 【0051】このように、本発明では、実際の触媒体における触媒成分の担持強度を高い精度で予測できる密度汎関数法を用い、そのシミュレーション値に基づいて最適な組み合わせを選択することにより、所望の担持強度を有する高性能な触媒体を容易に実現できる。

    【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の触媒体の構造を示す図である。 【図2】担体基材に導入された置換元素としての遷移金属種と触媒元素との担持強度の関係を、担体基材をγアルミナとした場合と比較して示す図である。 【図3】触媒成分(Pt)が担体基材内の置換元素(W)に化学吸着した際の電子密度状態図である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/28 B01J 23/64 103A 301 B01D 53/36 C (72)発明者 長谷川 順 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内(72)発明者 近藤 寿治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内(72)発明者 中西 友彦 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内Fターム(参考) 3G091 AB01 BA01 GA16 GB05W GB06W GB07W GB10W GB17X 4D048 AA18 BA07X BA08X BA10X BA27X BA30X BA37X BB02 4G069 AA03 AA08 AA12 BA13B BC50B BC51B BC60B BC67B BC75B CA03 CA07 CA15 EA19 EC22Y EC27 ED06

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