Ceramic honeycomb structure

申请号 JP2006540993 申请日 2005-10-11 公开(公告)号 JP5001009B2 公开(公告)日 2012-08-15
申请人 イビデン株式会社; 发明人 雅文 国枝;
摘要
权利要求
  • ガス流路となる多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並列してなり、かつこれらのセルのうちのいずれか一方の端部が封止された柱状の多孔質セラミック部材の1つ又は複数個を組合わせて結束したものからなるセラミックハニカム構造体において、
    前記セル壁は、横軸を細孔直径(μm)とし縦軸をlog微分細孔容積(cm /g)とした細孔径分布曲線において、細孔径の大きさが1.0〜150μmの範囲にあるものを第1細孔群とし、細孔径の大きさが0.006〜1.0μm未満の範囲にあるものを第2細孔群としたときに、前記第1細孔群の領域に細孔径分布のピークが1つ存在し、前記第2細孔群の領域には 、0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔径分布のピーク が存在する細孔構造を有する焼結体からなることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  • 第2細孔群の領域に現われる細孔直径:0.1〜1.0μmの範囲内の細孔分布は、log微分細孔容積の値が、曲線が連続していることを特徴とする請求の範囲 1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 第2細孔群の領域に現われる細孔直径:0.01〜1.0μmの範囲内の細孔分布は、log微分細孔容積の値が、曲線が連続していることを特徴とする請求の範囲 1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 前記細孔径分布曲線上に現われる各ピーク間にある細孔分布は、log微分細孔容積の値が、連続していることを特徴とする請求の範囲 1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 前記セル壁は、多孔質炭化珪素からなることを特徴とする請求の範囲1〜 のいずれか1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 多孔質セラミック部材の複数個を組み合わせるに際し、該部材どうしの間にシール材層を設けてなることを特徴とする請求の範囲1〜 のいずれか1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 多孔質セラミック部材に触媒を担持させてなることを特徴とする請求の範囲1〜 のいずれか1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 車両の排ガス浄化用フィルタとして用いられることを特徴とする請求の範囲1〜 のいずれか1に記載のセラミックハニカム構造体。
  • 说明书全文

    【0001】
    関連出願の記載 本出願は、2004年10月12日に出願された日本特許出願2004−298028号を基礎出願として、優先権主張する出願である。
    【技術分野】
    【0002】
    本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中のパティキュレート等を除去するためのフィルタとして、また、排ガス中のNOx等の有害成分を除去するための触媒担体等として、有効に用いられるセラミックハニカム構造体に関するものである。
    【背景技術】
    【0003】
    バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガスは、パティキュレートを含むために環境や人体に害を及ぼすことが指摘されている。 そこで、その排ガスから前記パティキュレートを除去する技術が求められている。 例えば、このような技術の1つとして、排ガスからパティキュレートを捕集し除去するために、ハニカム構造の多孔質セラミック部材(セラミックハニカム構造体)を使った排ガス浄化用セラミックハニカム構造体がある。
    【0004】
    かかるセラミックハニカム構造体の代表的な例は、図1に示すような、柱状の多孔質セラミック部材11の複数個を、シール材層14を介在させて組み合わせてセラミックブロックとし、このセラミックブロックの周囲に排ガス漏洩防止用シール材層16を形成してなるものであり、これはセラミックハニカムフィルタ10として使用されるものである。 このセラミックハニカムフィルタ10は、図示したように、柱状のハニカム構造を有するセラミック部材(ユニット)11を一つの構成単位として、これらの複数個を組み合わせ、束ねてなるものであって、個々の前記セラミック部材11には、排ガス流路となる多数のセル12がセル壁13を介して長手方向に並列配置された構造となっている。 そして、排ガス中のパティキュレートは、前記セル壁13中を通過する(ウオールフロー)ときに、このセル壁13にて除去されるようになっている。
    【0005】
    従来の上記排ガス浄化用ハニカムフィルタは、前記セル壁13における細孔の大きさ(細孔径)や細孔径分布を調整することにより、排ガス浄化特性を向上させることを特徴としている。 例えば、特開平9−313843号公報には、チタン酸アルミニウム製セル壁に生成した細孔径分布を、細孔径が2〜150μmである第1の領域と、細孔径が0.08〜1μmである第2の領域に分け、それぞれの領域にそれぞれ極大値を有する細孔構造のハニカム構造体を提案している。 このような構造体では、マイクロクラックや、ハニカムの構造を調整できることから、該セラミックハニカムフィルタの機械的強度や耐熱衝撃性を向上させることができる。
    【発明の開示】
    【0006】
    しかしながら、上記公報に開示された排ガス浄化用セラミックハニカムフィルタは、触媒反応が不十分であるという問題があった。 即ち、この種のハニカムフィルタは、排ガスに含まれるパティキュレートや排ガスを浄化するときに、二次粒子化したパティキュレートが、前記第2の領域にある細孔径に近い粒径であることから、このパティキュレートが細孔中に細密充填された状態となって圧損が高くなり、再生反応が起りにくくなるのである。
    【0007】
    本発明の目的は、従来技術が抱えているこのような問題に鑑み開発されたものであり、内燃機関等から放出されるパティキュレートの効果的な捕集除去や有害ガスの効果的な浄化が可能なハニカム構造体を提案することにある。
    【0008】
    上記目的の実現に有効な手段として、本発明は、ガス流路となる多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並列してなり、かつこれらのセルのうちのいずれか一方の端部が封止された柱状の多孔質セラミック部材の1つ又は複数個を組合わせて結束したものからなるセラミックハニカム構造体において、前記セル壁は、横軸を細孔直径(μm)とし縦軸をlog微分細孔容積(cm /g)とした細孔径分布曲線において、細孔径の大きさが1.0〜150μmの範囲にあるものを第1細孔群とし、細孔径の大きさが0.006〜1.0μm未満の範囲にあるものを第2細孔群としたときに、前記第1細孔群の領域に細孔径分布のピークが1つ存在し、前記第2細孔群の領域には、0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔径分布のピークが存在する細孔構造を有する焼結体からなることを特徴とするセラミックハニカム構造体である。
    【0009】
    即ち、本発明は、前記多孔質セラミック部材のセルを仕切っている各隔壁、即ちセル壁は、このセル壁の細孔構造が、JIS
    R 1655−2003に準じて銀圧入法で測定した細孔直径の分布をグラフで表わしたとき、前記第2の細孔箇所に細孔径分布のピーク(極大値)が存在するものを用いることが特徴である。
    【0010】
    本発明においては、第 2細孔群の領域に現われる細孔直径:0.1〜1.0μmの範囲内の細孔分布は、log微分細孔容積の値が零より大きい数(正数)で表わされ曲線が連続していること、第2細孔群の領域に現われる細孔直径:0.01〜1.0μmの範囲内の細孔分布は、log微分細孔容積の値が零より大きい数(正数)で表わされ曲線が連続していること、前記細孔径分布曲線上に現われるピーク間にある細孔は、log微分細孔容積の値が連続している(0ではない)こと、前記セル壁が、多孔質炭化珪素からなること、多孔質セラミック部材の複数個を組み合わせるに際し、該部材どうしの間にシール材層を設けてなること、多孔質セラミック部材に触媒を担持させてなることが、上記課題解決のための有効な手段となり得る。
    【0011】
    以上説明したように、本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁が、0.006〜1.0μmである第2細孔群の領域に、 0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔径分布のピーク(極大値)が複数個存在する細孔構造を有するので、排ガス中の有害なパティキュレートの効率的な捕集除去と、NOx等の有害ガス浄化のための触媒反応効率に優れたフィルタを提供することができる。
    【図面の簡単な説明】
    【0012】
    図1(a)は、多孔質セラミック部材(ユニット)、図1(b)は集合型ハニカム構造体の一例を示した斜視図である。
    図2は、多孔質セラミック部材を用いた一体型ハニカム構造体の斜視図である。
    図3(a)は、本発明の参考例のセラミックハニカム構造体に形成された細孔の一例を模式的に示した断面図であり、図3(b)および図3(c)は、従来の細孔の様子を模式的に示した断面図である。
    図4は、本発明の参考例に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図5は、 参考例1に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図6は、実施例に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図7は、実施例に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図8は、 参考に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図9は、比較例1に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    図10は、比較例2に係るセラミックハニカム構造体の細孔径分布曲線を示す図である。
    【発明を実施するための最良の形態】
    【0013】
    発明者らは、排ガス浄化用フィルタとして用いられるセラミックハニカム構造体について、この構造体(焼結体)の細孔構造について検討し、とくに細孔径分布の状態を、造孔材の種類や量を制御して変化させる実験を行った。 その結果、セラミックハニカム構造体の圧損失やパティキュレートの燃焼特性は、気孔率が同程度であっても、細孔径分布の違いによって大きな差がある。
    【0014】
    即ち、発明者らが知見したところによれば、セラミック焼結体からなるセル壁の細孔構造は、横軸を細孔直径(μm)とし、縦軸をlog微分細孔容積(cm /g)とした水銀圧入法で測定した細孔径分布曲線において、第1の細孔群の領域である1.0〜150μmの範囲に細孔径分布のピーク(極大値)が1つ存在する他、第2の細孔群の領域である1μm未満の範囲には、 0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔径分布のピークが存在するものである場合には、パティキュレートの効果的な捕集と排ガスの効果的な浄化という2つの作用を同時に実現できることがわかった。
    【0015】
    図3(a)は、第1の細孔群と複数のピーク(極大値)を有する第2の細孔群とからなる本発明の実施形態に類似する参考例のセル壁における表面構造の代表的模式図である。 この図に示す表面構造は、細孔径の大きさが1.0〜150μmの第1の領域に属するものとして、大孔径D の細孔があり、細孔径が0.006 〜1μmの第2の領域に属するものとして、0.006〜0.05μmの小孔径D の細孔と、0.05〜1.0μmの中孔径D の細孔とが、図示のように立体的(a)もしくは同一平面上に並列して存在するもの(a)'、(a)''である。 なお、本発明は図示例のものだけに限られるものではなく、同じ平面に2種、3種の異なる孔径のものが開口したものであってもよい。
    【0016】
    一方、図3(b)および図3(c)は、従来例のセル壁における表面構造の模式図であり、大孔径の細孔のみが存在する場合、または小孔径の細孔のみが存在する場合を示している。
    【0017】
    これらの図に示すもののうち、図3(a)に示すものは、いわゆる大孔径D 細孔内にさらに、細孔径の異なる複数種の細孔をもつ例である。 この場合において、大孔径D の細孔の役割は、パティキュレートを捕集することにある。 この程度の大きさの細孔(1〜150μm)があると、パティキュレートの粒子(凝集したものは、0.1〜10μm)が、フィルタの壁を透過して、スス洩れすることが少なくなり、かつ、ある程度のパティキュレートの捕集をしても、圧損を低いものとすることができる。
    【0018】
    そして、本発明の特徴は、第1の細孔群に属する細孔(1〜150μm)よりも、さらに細かい0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔を第2の細孔群として設けたところにある。 即ち、第2の細孔群(0.006〜1.0μm)に属する例えば中孔径D 、小孔径D が混在するものでは、上述の大孔径の他に、その大孔径の表面に凹凸を生じさせることによって、セル壁表面の構造が一様ではなくなる。 それ故に排ガスがランダムに流れやすくなり、単一粒子(0.02〜0.7μm)や2次粒子(凝集粒子、擬似粒子等)(0.1〜10μm)が、それぞれ前記細孔D 、D 、D の多層構造の中で不均一に堆積することによって、細孔を急激に閉塞させて圧力損失の増大を招くことが少なくなると考えられる。 しかし、図3(b)、図3(c)では、凝集した孔径の大きい粒子や孔径の小さい細孔のいずれかによって、該細孔が閉塞され、圧力損失の増大を招くという問題がある。
    【0019】
    また、この場合において、触媒反応で考えると、大孔径D (1〜150μm)のところには、主として、上述したようなパティキュレートが捕集されることになり、最も小さい孔径(0.006〜0.02μ m)のところでは、触媒を担持させると、主として触媒の焼結を防止したり、触媒の均一分散担持に好適な範囲とすることができる。 その中間の箇所(0.02〜1.0μ m)に孔があることは、触媒が担持された細かい孔径の箇所(0.006〜0.02μ m)に、パティキュレートが捕集されて閉塞されることなく、排ガスが流れやすくなり、反応が阻害されないと考えられる
    【0020】
    図4は、横軸を細径直径(μm)とし、縦軸をlog微分細孔容積(cm /g)とした水銀圧入法に基づいて測定した、本発明の実施形態に類似する参考例において定義されたセル壁の細孔径分布曲線を示すものである
    【0021】
    即ち、このようなセラミックハニカム構造体によれば、パティキュレートの捕集効率の低下や圧力損失の増加を招くことなく、触媒反応性の高いセラミックハニカム構造体を得ることができる。
    【0022】
    ところで、セル壁に生じる細孔の孔径分布は、上述した範囲の場合、排ガスがセラミック粒子間の隙間を通り抜けるとき、パティキュレートをその隙間部分に捕捉しやすい。 それは、このパティキュレートは、粒子径:20〜700nm程度の炭素微粒子、硫黄系微粒子、高分子量の炭化水素微粒子等によって構成されているからである。 この点、これらのパティキュレートは本来、小さいために凝集しやすく、その凝集によって、0.1〜10μm程度の2次粒子(凝集粒子、擬似粒子)を形造っているものが多い。 従って、これらのパティキュレートは、セル壁表面に細孔を介在して堆積する他、該セル壁の隙間から内部に侵入してその隙間内にも侵入することになる。 即ち、このパティキュレートは、セル壁内細孔中に細密充填された状態で堆積するので、圧損が高くなる。 しかも、再生によって、凝集して反応しにくくなったパティキュレートには、圧損を下げようとしても、細孔中に細密充填さた状態になっているため、再生反応が起こりにくいという問題があった。
    【0023】
    そこで、本発明では、再生時の反応性をよくするために、セラミック焼結体の表面状態(構造)を改善することにした。 その結果、表面状態が本発明のように調整されたセラミックハニカム構造体は、セル壁を通過する排ガスがいろいろな流れとなり、パティキュレートの細孔内への細密充填が起りにくくなる。 しかも、この構造体が排ガス浄化用ハニカムフィルタの場合、該フィルタ(セル壁)中を通過する排ガスがいろいろな流れとなることで、排ガスの流・出入が激しくなって酸素等の供給が行われやすくなり、触媒反応の起こりやすくなる。
    【0024】
    即ち、このセラミック焼結体は、細孔径分布のピークが1つに限られた正規分布を示すようなものではなく、ピークが複数ある。 このように、ピークを複数もつ細孔径分布とは、孔が複数あることを意味している。 とくに、大きい孔の内表面に凹凸があると共に、更にその孔内に細孔が重複して形成されていることを意味している。 例えば、多くのパティキュレートは、一般に、凝集して存在しており、0.1〜10μm程度の2次粒子となっているのが多い。 とくに、本発明では、0.006〜1.0μmの第2細孔群といわれる領域内に、 0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1つ以上のピークをもつ細孔径分布 このような細孔径分布の構造をもつセル壁では、数値が同程度であれば、捕集効率が落ちるようなことはない。
    【0025】
    一方、細孔径の大きい細孔群(1〜150μm)の部分は、セル壁が局所的に薄くなっていることが多いため、圧損が小さく排ガスも流入しやすく、ガスが最初に流入する。 しかしながら、このような大きな細孔には、凝集したパティキュレート、具体的には相対的に小さい凝集体と大きい凝集体とこれらの中間の大きさの凝集体が、混じって入ることになる。 一般に、小さい凝集体の上に大きいものが凝集されていくが、ランダムに捕集されるので、凝集体には隙間が生じるやすくなる。 従って、これらのパティキュレートの凝集体自体も、前記隙間にガスが流れやすくなり、反応性の低下を招くことはないと考えられる。
    【0026】
    図3(a)、(b)に示すように、パティキュレートが凝集しやすい範囲にあっては、細孔径分布のピークが複数個になるような表面状態とするとで、パティキュレートの捕集に効果がある。 とくに、0.05μm以下の領域では、凝集したパティキュレートの粒子径(20〜700nm)それぞれの表面に小さい凝集体(あるいは、パティキュレート粒子)が存在する。 従って、このような細孔では触媒の活性点が増すことに加え、粒子が小さい分、熱容量が小さくなるため、触媒の反応特性が向上すると考えられる。
    なお、この意味において、細孔径分布はパティキュレートの微粒子に近いものを含むことが好ましい。
    【0027】
    本発明においてはまた、上述した細孔径分布は、複数のピークを有するものであったとしても、0.006〜150μmの範囲が連続した分布、即ち、細孔径分布曲線が途切れることなく連続すること、即ち、log微分細孔容積の値が零でなく正数を示すようにすることが好ましい。 それは、細孔径分布が連続しているものでは、エンジンの運転状況が変更され、パティキュレートの粒度分布が変動したようなときでも、常に上述した効果が得られやすいからである。
    【0028】
    このことは、細孔径にある程度のバラツキを与えることで、細孔分布を意識的に不均一にすることを意味している。 このように、細孔の細孔径にバラツキもたせたとき、常に一定の捕集効率、圧力損失を得ることができると共に、触媒反応性についても向上させることができる。
    【0029】
    なお、本発明のセラミックハニカム構造体は、多数のセル(貫通孔)が壁部を隔てて長手方向に並列配置された柱状の多孔質セラミック部材を含んで構成されている。 このような多孔質セラミック部材は、シール材層を介して複数個組合わせて結束したものにて構成されたもの(以下、これを「集合型ハニカムフィルタ」という)でもよく、また、全体が一体として形成されたセラミック部材からなるもの(以下、これを「一体型ハニカムフィルタ」という)でもよい。
    【0030】
    上記集合体型ハニカムフィルタの場合、壁部は、排ガスの流通するセルを隔てる多孔質セラミック部材からなるセル壁と、多孔質セラミック部材(外壁)どうしの間にあって、これらを接合させるための接着材層として機能しているシール材層とから構成されている。 従って、上記一体型ハニカムフィルタの場合、こうしたシール材層はなく、セル壁のみによって構成されている。
    【0031】
    図1は、ハニカム構造の多孔質セラミック部材(a)と、これらの複数個を組合わせて結束したものからなる集合体型ハニカム構造体(ハニカムフィルタ)(b)の例を示した斜視図であり、図2は、図1に示した多孔質セラミック部材からなる一体型ハニカムフィルタの構成を示した斜視図である。
    【0032】
    図1(b)は、本発明のセラミックハニカム構造体の一例である。 このセラミックハニカム構造体10は、複数個の多孔質セラミック部材11をシール材層14を介して結束することによってセラミックブロックとし、このセラミックブロックの周囲に、排ガスの漏れを防止するためのシール材層16を介在させて形成した集合型ハニカムフィルタの例である。
    【0033】
    前記多孔質セラミック部材11は、長手方向に、排ガスの通路となる多数のセル12が並列配置されたものであって、このセル12の排ガス入口側または出口側の端部のいずれか一方が、封止材(プラグ)15、25により封止されており、これらのセル12どうしを隔てるセル壁13をフィルタとして機能させる構成になっている。
    【0034】
    このような構成の集合型セラミックハニカム構造体10を、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気通路に排ガス浄化用ハニカムフィルタとして設置すると、内燃機関より排出された排ガスのパティキュレートは、このセラミックハニカムフィルタ10を通過する際に、前記セル壁13によって捕捉され、排ガスの浄化が行われる。
    【0035】
    図1に示したセラミックハニカムフィルタ10は、形状は円柱状であるが、円柱状に限定されることはなく、例えば、楕円柱状や柱状等任意の形状のものであってもよい。
    【0036】
    なお、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、多孔質セラミック部材の材料としては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミック等を挙げることができる。 これらのなかでは、耐熱性が大きく、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化珪素が好ましい。 なお、上述したセラミックに金属珪素を配合した珪素含有セラミック、珪素や珪酸塩化合物で結合されたセラミックも用いることができる。 なお、上記炭化珪素セラミックは、炭化珪素を主成分とするもの(60wt%以上)であって、炭化珪素のみで構成されるものだけでなく、炭化珪素を金属や結晶質・非晶質の化合物で結合したものであってもよい。
    【0037】
    かかる多孔質セラミック部材は、気孔率が、20〜80%程度のものであることが好ましく、より好ましくは50〜70%程度のものがよい。 それは、この気孔率が20%未満だと、セラミックハニカムフィルタがすぐに目詰まりを起こすからであり、一方、その気孔率が80%を超えると、多孔質セラミック部材の強度が低下して容易に破壊するおそれがある。 とくに、触媒コート層を担持させたものでは、圧力損失が大きくなるので、50〜70%程度にすることが望ましい。
    【0038】
    なお、この気孔率は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。
    【0039】
    また、多孔質セラミック部材11の平均細孔径は5〜100μm程度のものが望ましい。 平均細孔径が5μm未満だと、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。 一方、平均細孔径が100μmを超えると、パティキュレートが細孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能させることができないことがある。
    【0040】
    このような多孔質セラミック部材11を製造する際に使用するセラミックの粒径としては特に限定はないが、焼成時の収縮が少ないものが望ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と、0.1〜1.0μm程度の平均粒径をもつ粉末5〜65重量部とを配合しものが望ましい。 上記粒径のセラミック粉末をこのような配合割合で混合することで、好ましい多孔質セラミック部材を製造することができるからである。
    【0041】
    本発明のセラミックハニカムフィルタ10,20は、排ガス中のパティキュレートを捕集して除去するためのフィルタとして用いるために、セル12のいずれか一方の端部を封止した構造とする。 その封止材15としては、多孔質セラミック部材11からなるものであることが望ましい。 この封止材15は上記多孔質セラミック部材本体と同じ材料を用いると、両者の接着性が良くなる。 そして、該封止材15の細孔径が多孔質セラミック部材11の本体と同様に調整することで、該多孔質セラミック部材11の熱膨張率と封止材15の熱膨張率との整合を図ることができ、製造時や使用時の熱応力によって封止材15とセル壁13との間に隙間が生じたり、封止材や封止材15に接触する部分のセル壁13にクラックが発生したりすることがなくなる。 なお、この封止材15は、所望のセラミック粉体をスラリー状にしたものを充填することによって形成することができる。 また、予め製作した封止片を装着して封止材15とすることも可能できる。
    【0042】
    本発明のセラミックハニカムフィルタ10、20において、シール材層は、多孔質セラミック部材11相互間の他、セラミックブロックの外周にも設けられる。 そのうち多孔質セラミック部材11の相互間に介在されるシール材層14は、各多孔質セラミック部材11どうしを結束する接着剤としても機能し、一方、セラミックブロックの外周に形成されるシール材層16は、本発明のセラミックハニカムフィルタ10、20を内燃機関の排気通路に設置した際に、セラミックブロックの外周とケーシングとの間から排ガスが漏れ出すことを防止するための封止材として機能する。
    【0043】
    上記シール材層14、16を構成する材料としては、例えば、無機バインダー、有機バインダー、無機繊維および/または無機粒子とからなるもの等を用いることができる。 上述したように、これらのシール材層14、16は、多孔質セラミック部材間の他、セラミックブロックの外周にも形成されているが、これらのシール材層14、16は、同じ材料であってもよく、また異なる材料であってもよい。 さらに、このシール材層14、16が同じ材料からなるものである場合、その材料の配合比は同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
    【0044】
    上記無機バインダーは、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を用いることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機バインダーのなかでは、シリカゾルが望ましい。
    【0045】
    上記有機バインダーは、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を用いることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用したものでもよい。 上記有機バインダーのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
    【0046】
    上記無機繊維としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等からなるセラミックファイバーや、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、ムライト、炭化珪素等からなるウイスカーを挙げることができる。 これは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機繊維の中では、アルミナファイバーが望ましい。
    【0047】
    上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を用いることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化素等からなる無機粉末等を用いることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
    【0048】
    前記シール材層14は、緻密体からなるものであってもよく、その内部への排ガスの流入が可能な多孔質体であってもよい。 しかし、シール材層16は、緻密体からなるものであることが望ましい。 それは、このシール材層16は、セラミックハニカムフィルタ10、20を内燃機関の排気通路に設置した際、セラミックブロックの外周から排ガスが漏れ出すのを防止する目的で用いるものだからである。
    【0049】
    次に、図2は、本発明のセラミックハニカムフィルタの他の一例である一体型ハニカムフィルタの具体例を示した斜視図である。
    この図2に示したように、一体型セラミックハニカムフィルタ20は、多数のセル12がセル壁13を隔てて長手方向に並列配置された柱状で単一の多孔質セラミック部材にて構成されている。 この柱状の多孔質セラミック部材では、前記セル12のうちの排ガス入口側または出口側の端部のいずれか一方が封止材15により封止され、これらのセル12どうしを隔てるセル壁13がフィルタとして機能するようになっているものである。
    【0050】
    この種の一体型ハニカムフィルタ20は、多孔質セラミック部材が押出し成形法などにより一体に製造されたものであって、基本的には、前記集合型ハニカムフィルタ10と同様に構成されている。 従って、フィルタ20内に流入した排ガスは、セル12どうしを隔てるセル壁13を通過した後、排出される。
    【0051】
    前記ユニットの集合体であるセラミックハニカムフィルタ20を構成する多孔質セラミック部材は、例えば、コージェライト、アルミナ、シリカ、ムライト等の酸化物セラミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、および窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミックを用いることができる。 なかでも、コージェライト等の酸化物セラミックは、安価で比較的熱膨張係数が小さく、使用中に酸化されることがないから、好ましい材料の1つである。
    【0052】
    セラミックハニカムフィルタ20の大きさとしては、使用する内燃機関の排気通路の大きさ等を考慮して適宜に決定される。 また、その形状は、柱状であれば、例えば、円柱状、楕円柱状、角柱状等任意の形状にすることができる。 とくに、図2に示した円柱状のものが好適である。
    【0053】
    このような一体型セラミックハニカムフィルタ20において、柱状の多孔質セラミック部材の気孔率は、20〜80%であることが好ましく、より好ましくは50〜70%程度である。 このように限定される理由は、上述したとおりである。
    【0054】
    多孔質セラミックブロックの平均細孔径は5〜100μm程度であることが望ましい。 平均細孔径をこのように限定する理由は、上述したとおりである。
    【0055】
    このようなセラミックハニカムフィルタ10、20における封止材15は、多孔質セラミックからなるものであることが望ましい。 封止材15は、これを多孔質セラミックブロックと同じ多孔質セラミックとすることで、両者の接着強度を高くすることができるとともに、封止材15の気孔率を調整することで、多孔質セラミックブロックの熱膨張率と封止材との熱膨張率との整合を図ることができる。 その結果として、製造時や使用時の熱応力によって封止材15とセル壁13との間に隙間が生じたり、封止材15や封止材15に接触する部分のセル壁13にクラックが発生したりするのを防止することができる。
    【0056】
    封止材12が多孔質セラミックからなる場合、その材料としては、例えば、上述した多孔質セラミックブロックを構成するセラミック材料と同じの材料を用いることができる。 なお、封止材は、セラミック粉体をスラリー状にしたものを充填することによって形成することもできるし、一旦製作した封止片を接合して封止材とすることもできる。
    【0057】
    図1および図2に示した本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、セルの長手方向に垂直な断面(以下、単に断面という)の形状は、多角形であることが望ましい。 例えば、断面を4角形、5角形、台形、8角形等の多角形の他、これらを混在させたものでもよい。
    【0058】
    次に、本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法の一例について説明する。
    本発明のセラミックハニカムフィルタの構造が図2に示す一体型ハニカムフィルタである場合、上述したようにまず、セラミックを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、図2に示したセラミックハニカムフィルタ20と略同形状のセラミック成形体を作製する。
    【0059】
    上記押出成形では、押出成形機の先端部分に設けられ、多数の細孔が形成された金属製のダイスから上記原料ペーストを連続的に押し出し、所定の長さに切断することで、セラミック成形体を作製できる。 とくに、本発明のハニカム構造体を製造するには、まず、上述した1〜150μmに細孔がくるように、原料粒度を調節することが望ましい。
    【0060】
    そして、細孔分布曲線上で、1〜150μmの第1細孔群の領域に1つのピークが来るように、さらに、第2細孔群の領域のうち、0.006〜 0.02μmの範囲と、0.02μm〜 0.05μm未満の範囲と0.05〜1.0μmの範囲のそれぞれの位置で、ピークが表われるようにするために、ハニカム構造体基材の粒子径を変化させたり、その表面に微小粒子をコーティングすべく、微小粒子をゾルゲル法等の溶液調整(PH、温度)、乾燥、仮焼等の条件を変化させ、微小粒子原料粒子径を変化させたり、あるいは、粉砕によって、微小粒子原料粒子径を変化させたものを混合して原料粒子の配合を行う。
    【0060】
    また、本発明の前記細孔は、造孔作用をもつ造孔剤のアスペクト比を調整することによっても作製は可能である。 なお、上記原料ペーストの粘度、各材料の粒径、配合比等を調整することによっても可能である。
    【0061】
    上記原料ペーストは、製造後の多孔質セラミック部材の細孔率が20〜80mass%となるものであればよく、例えば、上述したようなセラミックからなる粉末にバインダー及び分散媒液を加えたものを使用することができる。
    【0062】
    上記バインダーとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。 このバインダーの配合量は、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が望ましい。
    【0063】
    上記分散媒液としては、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等を用いることができる。 この分散媒液は、原料ペーストの粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
    【0064】
    これらセラミック粉末、バインダー及び分散媒液は、アトライター等で混合し、ニーダー等で充分に混練した後、押出成形して上記セラミック成形体を作製する。
    【0065】
    上記原料ペーストには、必要に応じて成形助剤を添加してもよい。 その成形助剤としては、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。
    【0066】
    さらに、上記原料ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。 上記バルーンとしては、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)及びムライトバルーン等を用いることができる。 これらのなかでは、フライアッシュバルーンが望ましい。
    【0067】
    次に、上記セラミック成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機及び凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定の貫通孔に封止材となる封止材ペーストを充填し、上記貫通孔に目封じする封止処理を施す。
    【0068】
    上記封止材ペーストとしては、封止材の細孔率が20〜80%となるものであれば、例えば、上記原料ペーストと同様のものを用いることができる。 この封止材ペーストは、上記原料ペーストで用いたセラミック粉末に、潤滑剤、溶剤、分散剤およびバインダーを添加したものであることが好ましい。 それは、上記封口処理の途中で封止材ペースト中のセラミック粒子が沈降することを防止するためである。
    【0069】
    次に、上記封止材ペーストが充填されたセラミック乾燥体に、所定の条件で脱脂、焼成を行うことにより、多孔質セラミックからなり、その全体が一の焼結体から構成されたフィルタを製造することができる。
    【0070】
    また、本発明のセラミックハニカムフィルタの構造が、図1に示したような、多孔質セラミック部材がシール材層を介して複数個結束されて構成された集合体型フィルタである場合、まず、上述したセラミックを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、図2に示した多孔質セラミック部材のような形状の生成形体を作製する。
    【0071】
    なお、上記原料ペーストは、上述した集合体型ハニカムフィルタにおいて説明した原料ペーストと同様のものを用いることができる。
    【0072】
    次に、上記生成形体を、マイクロ波乾燥機等を用いて乾燥させて乾燥体とした後、該乾燥体に設けた貫通孔に封止材となる封止材ペーストを注入し、上記貫通孔を目封じする封口処理を施す。 なお、上記封止材ペーストは、上述した一体型フィルタにおいて説明した封止材ペーストと同様のものを用いることができ、上記封口処理は、封止材ペーストを充填する対象が異なるほかは、上述した一体型フィルタの場合と同様の方法を採用することができる。
    【0073】
    次に、上記封口処理を経た乾燥体に所定の条件で脱脂、焼成を行うことにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材を製造することができる。 このときも、上述した一体型フィルタの場合と同様の方法を採用することができる。
    【0074】
    次に、シール材層14となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布して、順次他の多孔質セラミック部材11を積層する工程を繰り返し、所定の大きさの角柱状の多孔質セラミック部材11の積層体を作製する。 なお、上記シール材ペーストを構成する材料としては、上述した本発明のフィルタにおいて説明した通りであるのでここではその説明を省略する。
    【0075】
    次に、この多孔質セラミック部材11の積層体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層14とし、その後、例えば、ダイヤモンドカッター等を用いて、その外周部を図1に示したような形状に切削することで、セラミックブロックを作製する。
    【0076】
    そして、得られたセラミックブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層14を形成することにより、多孔質セラミック部材11が、複数個結束さた集合型セラミックフィルタを製造することができる。
    【0077】
    このようにして製造したセラミックフィルタはいずれも柱状であり、その構造は、図1(b)や図2に示したとおりである。 そして、フィルタのセル壁に多量のパティキュレートが堆積し、圧力損失が高くなると、フィルタの再生処理が行われる。
    【0078】
    この再生処理は、ポストインジェクション方式を用いて排ガス温度をあげ、加熱されたガスをフィルタの貫通孔の内部へ流入させることで、フィルタを加熱し、壁部(セル壁)に堆積したパティキュレートを燃焼除去させてもよく、勿論、ヒータや、別の酸化触媒の酸化熱等の加熱手段を用いてもよい。
    【0079】
    本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁表面もしくはその内部の各セラミック粒子の表面に、触媒を担持させることで、例えば、セラミックハニカムフィルタとした場合、排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタとして機能するだけでなく、排ガス中に含まれるCO、HCおよびNOx等の有害ガス成分を除去して浄化するための触媒担体としても機能するものになる。
    【0080】
    上記触媒としては、排ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化することができる触媒であればよく、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を用いることができる。 また、その貴金属に加えて、アルカリ金属(元素周期表1族)、アルカリ土類金属(元素周期表2族)、希土類元素(元素周期表3族)、遷移金属元素等を添加したものであってもよい。
    【0081】
    本発明にかかるセラミックハニカムフィルタにおいては、上述したように、細孔径分布のピークが、細粒側(0.006〜1.0μm)において0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1つ設けることが重要である。 この場合において、例えば、該セラミックハニカムフィルタの前記セル壁表面に、酸化物からなるアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ等からなる酸化物系サポート材を形成したものでは、このサポート材の粒子径を調整することによっても、前記細孔径分布のピークを制御することができる。 なお、該触媒は、前記サポート材の各粒子表面に担持させたものが好ましい。
    【0082】
    本発明においては、前記触媒及び前記サポート材としての好ましい実施形態は、前記触媒として白金を用い、サポート材としてアルミナの粒子を用いたものが好適である。 以下、触媒とサポート材からなる触媒コート層を形成する方法を説明する。
    【0083】
    まず、溶液作成方法としては、サポート材(アルミナ粒子)を粉砕機等で微細に粉砕し、得られたサポート材粉末を溶剤と攪拌して混合することにより、まず、スラリー溶液を調製する。 具体的には、まず、γ−アルミナ等の酸化物粉末をゾルゲル法等によって調製する。 このとき、PHや、温度、乾燥条件等を制御することによって、多種多様の粒度を持つ粉末を予め作成することもできる。 なお、前記アルミナ粉末は、触媒のコート層として用いるため、できるだけ比表面積の大きい粉末を用いることが好ましく、250m /g以上の高い比表面積値を有する粒子を用いる。 とくに、γ−アルミナは比表面積が大きいので好ましい。
    【0084】
    次に、上記酸化物(アルミナ)の粉末に、水和アルミナ、アルミナゾル、シリカゾルのような、無機質のバインダを加えたり、純水、水、アルコール、ジオール、多価アルコール、エチレングリコール、エチレンオキシド、トリエタノールアミン、キシレンなどの溶媒を、5〜20wt%程度加えて500nm以下程度になるまで、粉砕し、攪拌する。 このように細かく粉砕すると、セル壁の表層にコートされた従来技術のウオッシュコートによる場合とは異なり、セラミック部材のセル壁を構成する各粒子の表面にアルミナ膜を均一に形成することができる。 このとき、粉砕の時間等を変えて、複数種の粒子径のアルミナを作成しておく。
    【0085】
    次に、上記酸化物粉末入り溶液を、γ−アルミナ等のセラミックハニカムフィルタに含浸させる。 これを、110〜200℃で2時間程度の加熱を行って乾燥させた後、本焼成を行なう。 好ましい本焼成の温度は500〜1000℃で、1〜20時間の処理を行う。 この温度範囲にする理由は、500℃より低いと酸化物粉末の固化定着の強度が低いからであり、一方、1000℃よりも高いと、結晶が進行しすぎて、比表面積が低下する傾向にあるからである。 また、これらの工程前後の重量を測定することで、担持量を計算することができる。
    【0086】
    なお、酸化物(アルミナ)含浸を行う前に、セラミック部材のセル壁において、各々の粒子表面に、濡れ性を向上させる処理を行ってもよい。 例えば、HF溶液によって、セル壁本体を構成している炭化珪素粒子の表面を改質すると、触媒溶液との濡れ性が改善されることになり、触媒担持後の表面粗さが高いものとなる。
    【0087】
    次に、フィルタの表面に白金の担持を行う。 この担持処理は、白金が入った溶液をセラミック部材の吸水分のみ、ピペットで滴下したのち、110℃で2時間乾燥し、窒素雰囲気で、500〜1000℃で乾燥して、金属化を図る処理がある。
    【実施例】
    【0088】
    以下に、実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
    (実施例1)
    この実施例は、細孔径、細孔径分布を変化させた炭化珪素からなるセラミック部材を作製し、その表面に白金含有アルミナの触媒コート層を形成した時の作用効果を確認するために行なったものである。 実施例1 ,2 、比較例1,2 、参考例1,2の製法を、まとめて、表1に示す。 なお、セラミック部材の製法は次の形式による。
    【0089】
    まず、原料として、平均粒子径10μmの炭化珪素粗粉末(これを、「粉体A」とする)70重量%と、平均粒子径0.3μmの炭化珪素微粉末(これを、「粉体B」とする)30重量%とを混合した。 そして、平均粒子径10μmのアクリル粒子(密度1.1g/cm3)(これを、「粉体C」とする)を、粉体A・Bとの炭化珪素混合粉末に対して、3vol%となるように混合した。
    【0090】
    そして、このようにして調整された炭化珪素混合原料粉末100重量部に対して、成形助剤としてのメチルセルロース10重量部を加えて混合した。 さらに、そのメチルセルロース含有混合粉末に、有機溶媒および水からなる分散溶媒18重量部を加えて混練した。 最後に、全ての材料を混合したものを目的のハニカム形状となるような金型を用い押出し成形し、多数の貫通孔(セル)を有するハニカム成形体を作製し、前記貫通孔(セル)のいずれか一方の端部を市松模様状に封止した生成型体を得た。
    【0091】
    次に、その生成型体を150℃で乾燥し、500℃で脱脂した後、不活性雰囲気下で、2200℃で焼成することによって、大きさが、34.3mm×34.3mm×150mm、300セル/in の炭化珪素質焼結体からなるセラミック部材のサンプル(No.1〜6)を得た。
    これらのサンプル(No.1〜6)を、次に、0.1%のHF溶液に、1分間浸漬した。
    【0092】
    次に、上記サンプルについて、本発明に適合するように、複数の細孔径分布を付与すべく、表1に記載した粒径のアルミナを用いて、60g/Lのアルミナコート、2g/LのPtの担持を行った。 特に、アルミナの粒子径は、ゾルゲル法の濃度、PH、界面活性材等を変更し、粒子径を変更させて、できるだけ粒子径そろえることにした。
    【0093】
    これらのサンプルそれぞれについて、水銀圧入法(JISR1655:2003に準じる)によって細孔直径を測定した。
    【0094】
    具体的には、ハニカム構造のセラミック部材を、0.8cm程度の立方体に切断し、イオン交換水で超音波洗浄し、十分乾燥した。 そのサンプルを、島津製作所製、マイクロメリティックス自動ポロシメータオートポアIII9405を用いて測定した。 その時、測定範囲は、0.006〜500μmとし、このとき、100μm〜500μmは、0.1psiaの圧力毎測定し、0.006μm〜100μmは、0.25psiaの圧力毎に測定した。
    【0095】
    その結果、細孔径分布には、幾つかの極値がうまれた。 その数値も表1に示す。 具体的な測定データを図5〜図10に示す。
    【0096】
    次に、上記各サンプルについて、0.05nmの粒子を含ませたガスを用いて、断面流速5m/sで流し、そのろ過効率から、捕集効率を測定した。 その結果も、表1に記載する。
    【0097】
    この結果からわかるように、0.05nmのような細かい粒子は、0.05μm程度の細孔径がある実施例の方が明らかに捕集効率が高かった。
    【0098】
    次に、それぞれのサンプルを16本ずつ用意し、各同等な水準のサンプルどうしをシール材ペーストを用いて結束させた後、ダイヤモンドカッターにより切断して円柱状のセラミックブロックとし、さらに、シール材ペーストをセラミックブロックの外周部に塗布することによって、シール材層を形成させて集合型ハニカムフィルタを製造した。 具体的なシール材ペーストは以下のものを用いた。
    【0099】
    即ち、まず、繊維長0.2mmのアルミナファイバー30wt%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21wt%、シリカゾル16wt%、カルボキシメチルセルロース5.6wt%、水27.4wt%を含む耐熱性のシール材ペーストを、セラミック部材(ユニット)間に介在させて組み合わせ、外周部分をダイヤモンドカッターで円柱状に切断した。 そして、直径144mm、長さ150mmの円柱形状のセラミックブロックを作製した。 このとき、上記セラミック部材(サンプル)を結束するシール材層の厚さは1.0mmとなるようにした。
    【0100】
    次に、まず、繊維長0.1mmでショット含有率3%のアルミナシリケートファイバー23.3wt%、平均粒径0.3μmの炭化珪素粒子30.2wt%、シリカゾル(固形分30重量%)7wt%、カルボキシメチルセルロース0.5wt%、水39wt%を含む耐熱性のシール材ペーストを用いて、このシール材層の厚さが1.0mmとなるようにして、前記セラミックブロックの外周部に塗布し、120℃で乾燥して円柱形状の排ガス浄化用フィルタを作製した。
    【0101】
    この排ガス浄化用フィルタを用いて、6g/L捕集後の再生実験を行なった。 その結果、表1に記載のように、本発明に適合する(No. 2および3)第 2の細孔群領域の0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1のピークをもつものの方が、0.05 m粒子の捕集効率および再生率が高くなった。 なお 、細孔径分布が全孔径範囲に亘って連続している方(No.4)が、不連続のもの(No.1)よりも、良い結果を示した。
    【0102】
    【表1】

    【0103】


    (実施例2)


    この実施例は、細孔径、細孔径分布、表面粗さを変化させたシリコンー炭化珪素複合体からなるセラミック部材を作製し、その表面に白金含有アルミナの触媒コート層を形成した時の作用効果を確認するために行ったものである。 実施例

    3、4 、比較例3,4

    、参考例3,4の製法を、まとめて、表2に示す。 なお、セラミック部材の製法は次の形式による。


    【0104】


    まず、原料として、平均粒子径30μmの金属シリコン粉末(これを、「粉体A」とする)70重量%と、平均粒子径1μmの炭化珪素粉末(これを、「粉体B」とする)30重量%とを混合した。 そして、平均粒子径10μmのアクリル粒子(密度1.1g/cm

    )(これを、「粉体C」とする)を、前記粉体A・Bの混合原料粉末に対して、3vol%となるように混合した。


    【0105】


    そして、アクリル粒子含有混合原料粉末100重量部に対して、成形助剤としてメチルセルロース10重量部を加えて混合した。 さらに、有機溶媒および水からなる分散溶媒18重量部を加えて全ての原料を混練した。 最後に、これらの混合混練物を、目的のハニカム形状となるような金型を用いて押出し成形し、多数の貫通孔(セル)を有するハニカム成形体とし、前記貫通孔(セル)のいずれか一方の端部を市松模様に封止した生成型体を得た。


    【0106】


    ついで、その生成型体を150℃で乾燥し、500℃で脱脂した後、不活性雰囲気下で、1500℃で焼成することによって、大きさが、34.3mm×34.3mm×150mm、300セル/in

    のシリコン炭化珪素複合体セラミック部材のサンプル(No.7〜12)を得た。


    これらのサンプル(No.7〜12)を、次に、0.1%のHF溶液に、1分間浸漬した。


    【0107】


    次に、本発明のように複数の細孔径分布を持つように、上述した実施例1と同様に、表2に記載した粒径のアルミナを用いて、60g/Lのアルミナコート、2g/LのPtの担持を行った。


    【0108】


    これらのサンプルそれぞれについて、水銀圧入法(JISR1655:2003に準じる)によって細孔直径を測定した。 その結果、細孔径分布には、複数の極値が生まれた。 その数値も表2に示す。


    【0109】


    次に、上記サンプルについて、0.05nmの粒子を含有するガスを、断面流速5m/sの条件で流し、そのろ過効率から、捕集効率を測定した。 その結果も、表2に記載する。


    【0110】


    これらの結果から、実施例

    3,4の方が、0.05nmのような細かい粒子を含有するガスは

    、比較例3、4に比べて明らかに捕集効率が高かった。


    【0111】


    次に、それぞれのサンプル(No.7〜12)を実施例1のように結束して、6g/L捕集後の再生実験を行なった。 その結果、表2に示すように、

    0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1のピークがあるほうが、再生率が高く

    ることがわかった。


    【0112】


    【表2】


    【0113】


    (実施例3)


    この実施例は、細孔径、細孔径分布、表面粗さを変化させたコージェライトからなるセラミック部材(サンプルNo.13〜18)を作製し、その表面に白金含有アルミナからなる触媒コート層を形成した時の作用効果を確認するために行なったものである。 実施例

    5〜6 、比較例5〜6

    および参考例5〜6のセラミック部材の製法を、まとめて、表3に示す。 なお、セラミック部材の製法は次の形式による。


    【0114】


    まず、原料として、タルク(平均粒径10μm)45wt%、カオリン(平均粒径10μm)15wt%、アルミナ(平均粒径10μm)23wt%、シリカ(平均粒径10μm)17wt%を混合した。 これをコージェライト原料粉末と名づける。 そして、目的の細孔径分布のセラミック部材を作製するために、様々な形状のアクリル粒子(密度1.1g/cm

    )(これを、「粉体C」とする)を上述のコージェライト原料粉末との体積割合で混合した。 そして、コージェライト原料粉末との重量割合で成形助剤としてのメチルセルロースを入れて混合した。 次に、有機溶媒及び水からなる分散溶媒を加えて全ての原料を混練した。 最後に、目的のハニカム形状となるような金型をもちいて押出し成形し、多数の貫通孔(セル)を有するハニカム成形体とし、前記貫通孔(セル)のいずれか一方の端部を市松模様状に封止した生成型体を得た。


    【0115】


    次に、その生成型体を150℃で乾燥し、500℃で脱脂した後、不活性雰囲気下で、800℃、6時間、焼成することによって、大きさが、直径144mm×150mm、300セル/in

    のコージェライトセラミック部材のサンプルを得た。


    【0116】


    次に、本発明で示したように、

    0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1の細孔径分布のピークをもつように、実施例1と同様に、表3に記載した粒径のアルミナを用いて、60g/Lのアルミナコート、2g/LのPtの担持を行った。


    【0117】


    これらのサンプルそれぞれについて、水銀圧入法(JISR1655:2003に準じる)によって細孔直径を測定した。


    その結果、細孔径分布には、幾つかの極値がうまれた。 その数値も表3に示す。


    【0118】


    次に、上記サンプルについて、0.05nmの粒子含有するガスを、断面流速5m/sで条件流し、そのろ過効率から、捕集効率を測定した。 その結果を、表3に記載する。


    【0119】


    表3に示すように、0.05nmのような細かい粒子は、0.05μm程度の細孔径がある実施例(No.

    5,6 )の方が捕集効率が明らかに高くなった。


    【0120】


    次に、それぞれのサンプルを、6g/L捕集後の再生実験を行なった。 表3に示すように、その結果、

    0.006〜0.02μmの範囲、0.02〜0.05μmの範囲および0.05〜1.0μmの範囲にそれぞれ少なくとも1のピークがあるほうが(実施例No.

    5,6 )、再生率が高いことがわかった。


    【0121】


    【表3】


    【産業上の利用可能性】


    【0122】


    本発明のセラミックハニカム構造体は、内燃機関用排ガスフィルタ、特にディーゼルエンジンから排出される排ガス中のパティキュレート等を除去するためのフィルタや、排ガス中のNOxなどの有害成分を除去するための触媒担体等の分野において、好適に用いられる。

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