C / c composite material for the precursor, and c / c composite material, as well as a method for manufacturing the same

申请号 JP2005015399 申请日 2005-01-24 公开(公告)号 JP4773728B2 公开(公告)日 2011-09-14
申请人 本田技研工業株式会社; 发明人 真人 宮本;
摘要
权利要求
  • 筒状の周壁を備え、高温の流体が流通する中空部を有するC/Cコンポジット材であって、
    前記周壁は、軸方向に延び、端面で開口する空隙を有しており、
    前記空隙は、軸方向において部分的に拡径している
    ことを特徴とするC/Cコンポジット材。
  • 請求項1に記載のC/Cコンポジット材の製造方法であって、
    前記中空部を形成するための中空部用中子に、炭素繊維とマトリックスとを含むプリプレグを、前記空隙を形成するための棒状の空隙用中子を挟みながら巻回し、C/Cコンポジット材用前躯体を構成する第1工程と、
    前記C/Cコンポジット材用前躯体を焼成する第2工程と、
    を有し、
    前記空隙用中子は、軸方向において部分的に大径であり、前記第2工程における焼成温度よりも低い温度で焼失または体積減少することで前記空隙を形成する
    ことを特徴とするC/Cコンポジット材の製造方法。
  • 焼成されることで請求項1に記載のC/Cコンポジット材となるC/Cコンポジット材用前躯体であって、
    前記中空部を形成するための中空部用中子と、
    炭素繊維とマトリックスとを含み、前記中空部用中子に巻回されたプリプレグと、
    径方向において隣り合う前記プリプレグに挟まれると共に、焼成温度よりも低い温度で焼失または体積減少し前記空隙を形成する棒状の空隙用中子と、
    を備え、
    前記空隙用中子は、軸方向において部分的に大径である
    ことを特徴とするC/Cコンポジット材用前躯体。
  • 说明书全文

    本発明は、C/Cコンポジット材用前躯体、及びC/Cコンポジット材、並びにその製造方法に関する。

    炭素繊維と炭素母材とからなる複合材料の一種であるC/Cコンポジット材(カーボン/カーボン複合材、炭素繊維強化炭素複合材料とも称される)は、軽量で比強度、比剛性が高く、2000℃の高温においても高い強度を持つ材料である。 C/Cコンポジット材は、軽量化の要求が高い自動車分野、航空宇宙分野などで広く使用されている。

    このようなC/Cコンポジット材は、例えば、図9に示すように、所定枚数(図9では5枚)のプリプレグ111A、111B、111C、111D、111Eを重ねた積層体を、熱処理して成形し、C/Cコンポジット材用前躯体(CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)成形体)とした後、これを焼成することで製造される(特許文献1参照)。

    その他、例えば、30mm以上の厚いC/Cコンポジット材は、プリプレグを積層して、一旦、厚さ10mm程度のC/Cコンポジット材を複数作製し、この厚さ10mmのC/Cコンポジット材の両面に、フェノール樹脂に黒鉛粉を混入したものを接着接合した後、ホットプレス法により熱硬化させて中間成形体を作製した後、この中間成形体を所定数で重ねたものを焼成することで製造していた(特許文献2参照)。

    特開平2−124765号公報(第3頁左欄上第10行目〜第4頁左上欄第1行目)

    特開2000−264744号公報(段落番号0007、図3)

    しかしながら、特許文献1に記載された方法では、焼成する工程において、プリプレグのマトリックス(合成樹脂、基材)が揮発・分解して発生するガスが、内部に閉じ込められ、この閉じ込められたガスが膨張したり、その近傍の閉じ込められたガスと一体化して、図10に示すように、C/Cコンポジット材101の層方向に割れ目103が発生し、層間割れしてしまう場合があった。 なお、図10に示す符号101A、101B、101C、101D、101Eは、前記5枚のプリプレグ111Aからプリプレグ111Eにそれぞれ対応した、第1層目構造体101Aから第5層目構造体101Eである。
    そこで、焼成温度、焼成時間などの製造条件を適宜制御することで、前記ガスを徐々に発生させて、層間割れを防止する試みもされているが、プリプレグの厚さ、材質、重ねる枚数、発生するガス量などに応じて、前記製造条件をその都度変更しなければならず、非常に手間がかかっていた。

    また、特許文献2に記載された方法においても、一旦、中間成形体を作製した後これを焼成するため、工程が煩雑となり時間がかかっていた。

    そこで、本発明は、C/Cコンポジット材を容易に製造可能とする、C/Cコンポジット材用前躯体、及びC/Cコンポジット材、並びにその製造方法を提供することを課題とする。

    前記課題を解決するための手段として、 発明は、 筒状の周壁を備え、高温の流体が流通する中空部を有するC/Cコンポジット材であって、前記周壁は、軸方向に延び、端面で開口する空隙を有しており、前記空隙は、軸方向において部分的に拡径していることを特徴とするC/Cコンポジット材である。

    このようなC/Cコンポジット材によれば、空隙(細孔)であるために、C/Cコンポジット材の強度が大きく低下することもない。
    また、C/Cコンポジット材が、プリプレグを積層した後、熱硬化、焼成してなり、前記空隙(細孔)が、プリプレグの積層端面側(最表面側)から内部に向かうと共に、積層面に沿って広がる場合、この空隙を容易に封止し、空隙部分から劣化を防止することもできる。 さらに、このように封止しても、C/Cコンポジット材の表面(上面、下面)が凸凹になることもない。

    また、このようなC/Cコンポジット材によれば、焼成において、マトリックスが揮発・分解して発生するガスは、前記空隙を経由して外部に排出されており、前記ガスがC/Cコンポジット材内部にほとんど残存せず、層間割れも生じていない。 したがって、このようなC/Cコンポジット材は、高強度であり好適に使用することができる。

    また、本発明は、前記C/Cコンポジット材の製造方法であって、前記中空部を形成するための中空部用中子(巻芯)に、炭素繊維とマトリックスとを含むプリプレグを、前記空隙を形成するための棒状の空隙用中子(中空部形成部材)を挟みながら巻回し、C/Cコンポジット材用前躯体を構成する第1工程と、前記C/Cコンポジット材用前躯体を焼成する第2工程と、を有し、前記空隙用中子は、軸方向において部分的に大径であり、前記第2工程における焼成温度よりも低い温度で焼失または体積減少することで前記空隙を形成することを特徴とするC/Cコンポジット材の製造方法である。

    このようなC/Cコンポジット材の製造方法によれば、C/Cコンポジット材用前躯体を焼成することで、炭素繊維で強化され、かつ、空隙を備えるC/Cコンポジット材を得ることができる。

    なお、前記中空部用中子は、前記焼成温度より低い温度で焼失する材料から形成されることが好ましい。
    このような構成によれば、中空部用中子が焼成温度より低い温度で焼失することにより、C/Cコンポジット材から中空部用中子を取り除かずに、中空部用中子を備えたまま焼成しても、中空部を有するC/Cコンポジット材を得ることができる。

    すなわち、このようなC/Cコンポジット材の製造方法で製造されたC/Cコンポジット材は、炭素繊維で強化されているため、高強度である。 また、このようなC/Cコンポジット材は空隙(細孔)を有することにより、空隙(細孔)内の空気が熱の伝達を遮り、その結果として、C/Cコンポジット材は断熱性を備えることになる。
    したがって、例えば、後記する第1実施形態で説明するように、C/Cコンポジット材が円筒状の場合、その中空部に高温の流体を流通させても、この流体の熱がC/Cコンポジット材の外側に伝達しにくくすることができる。

    また、本発明は、焼成されることで前記C/Cコンポジット材となるC/Cコンポジット材用前躯体であって、前記中空部を形成するための中空部用中子(巻芯)と、炭素繊維とマトリックスとを含み、前記中空部用中子に巻回されたプリプレグと、径方向において隣り合う前記プリプレグに挟まれると共に、焼成温度よりも低い温度で焼失または体積減少し前記空隙を形成する棒状の空隙用中子と、を備え、前記空隙用中子は、軸方向において部分的に大径であることを特徴とするC/Cコンポジット材用前躯体である。

    のようなC/Cコンポジット材用前躯体は、中空部用中子を巻芯として、空隙用中子(細孔形成部材)を挟みながら、プリプレグを巻回した後、熱硬化などして成形することによって、容易に構成することができる。

    このようなC/Cコンポジット材用前躯体によれば、このC/Cコンポジット材用前駆体を焼成することによって、空隙用中子(空隙形成部材、細孔形成部材)が、焼成温度より低い温度で焼失または体積減少し、空隙(細孔)が形成される。 したがって、マトリックスの揮発・分解により発生するガスは、前記空隙を通って、外部に排出される。 よって、焼成中、従来のようにガスが膨張して、または、近傍のガス同士が一体化して層間割れが発生することを防止できる。
    また、空隙用中子(細孔形成部材)を含ませるのみであるため、C/Cコンポジット材が厚くなったり、大きくなったりしても容易に対応可能であり、手間がかかることもない。
    さらに、C/Cコンポジット材用前躯体が焼成されてなるC/Cコンポジット材は、空隙(細孔)を有することになり、その結果として、C/Cコンポジット材が断熱性を備えることができる。 さらにまた、空隙を有する分だけ、C/Cコンポジット材は軽量化される。

    このようなC/Cコンポジット材用前躯体は、複数のプリプレグを積層し、このプリプレグで細孔形成部材を挟むことで、容易に構成することができる。 すなわち、例えば、厚いC/Cコンポジット材を製造する場合、プリプレグの積層枚数を増加させ、これに対応して、空隙用中子(細孔形成部材)を適宜挟むことで、C/Cコンポジット材用前躯体を容易に構成できる。

    本発明によれば、C/Cコンポジット材を容易に製造可能とする、C/Cコンポジット材用前躯体、及びC/Cコンポジット材、並びにその製造方法を提供することができる。

    以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
    なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略する。

    ≪第1 参考例
    次に、本発明の第1 参考例について、図1から図3を参照して説明する。
    参照する図面において、図1は、第1 参考例に係るC/Cコンポジット材の斜視図である。 図2は、図1に示すC/Cコンポジット材の分解斜視図である。 図3は、第1 参考例に係るC/Cコンポジット材の製造方法において、プリプレグの積層状況を示す斜視図である。
    ここでは分かりやすくするため、5枚のプリプレグを積層、熱硬化、焼成してなるC/Cコンポジット材について説明するが、本発明において積層枚数を限定するものではない。

    ≪C/Cコンポジット材の構成≫
    図1に示すように、第1 参考例に係るC/Cコンポジット材1は板状を呈しており、5枚のプリプレグ11A、11B、11C、11D、11E(図3参照)にそれぞれ対応した、第1層目構造体1A、第2層目構造体1B、第3層目構造体1C、第4層目構造体1D、第5層目構造体1Eとが一体化して構成されている。 そして、C/Cコンポジット材1は、その最表面側である側面1a側から内部に向かい、積層面に沿って広がる複数の空隙5…(細孔)を有している(図2参照)。 つまり、C/Cコンポジット材1は、内部から外部に通じる連続し、側面1a(表面)に開口した空隙5を有している。 なお、側面1aは、積層されたプリプレグ11A〜11Eの積層端面に相当する。
    ただし、空隙5の配置はこれに限定されず、ランダムであってもよい。 また、空隙5が、側面1a側だけでなく、上面側や下面側に開口していてもよい。

    このように、C/Cコンポジット材1は、空隙5を有するために、従来のC/Cコンポジット材に対して僅かながらも軽量化されている。 空隙5は細長いため、C/Cコンポジット材1の使用中に空隙5の部分から層間剥離することはなく、強度が大きく低下することもない。

    また、空隙5は、側面1a側(最表面側)で開口しているため、この空隙5を容易に封止し、空隙5部分からの劣化を防止することもできる。 さらに、このように封止したとしても、C/Cコンポジット材1の上面および下面(表面)が凸凹になることもない。

    さらに、空隙5は、後記するC/Cコンポジット材1の製造方法で説明するように、空隙用中子15(細孔形成部材)により形成されたものである。 さらに説明すると、空隙5は、後記するC/Cコンポジット材前躯体(CFRP成形体)のマトリックスが揮発・分解して発生したガスの排出通路として使用されたものである。 よって、C/Cコンポジット材1には、従来の層間割れは発生しておらず、その内部に前記ガスは残存していない。

    このようなC/Cコンポジット材1は、主として、プリプレグ11A〜11E(図3参照)に含まれる繊維長の長い炭素繊維と、焼成によりプリプレグ11A〜11Eに含まれる熱硬化性樹脂が炭化してなる炭素分とからなる。 すなわち、C/Cコンポジット材1は、軽量であると共に、前記炭素繊維により強化されており、高強度を備えている。
    したがって、C/Cコンポジット材1は、例えば、高強度かつ軽量化の要求が高い自動車分野、航空宇宙分野などで幅広く使用可能である。

    また、C/Cコンポジット材1を、金属基複合部材の強化材(プリフォーム)として使用することもできる。 すなわち、C/Cコンポジット材1の空隙5に、溶融したSi(珪素)などの金属を充填し、金属基複合部材を製造することもできる。 このような金属基複合部材によれば、C/Cコンポジット材1を強化材としているため、非常に軽量であり、また、空隙用中子15によって緻密かつ均一に分布した空隙5に金属が充填されることにより、その強度などは飛躍的に高くなる。

    ≪C/Cコンポジット材の製造方法≫
    続いて、C/Cコンポジット材1の製造方法について説明する。
    第1 参考例に係るC/Cコンポジット材1の製造方法は、空隙用中子15を挟みながら、プリプレグを重ね合わせ、積層する第1工程と、積層したプリプレグを熱硬化させてC/Cコンポジット材用前躯体とする第2工程と、このC/Cコンポジット材用前躯体を焼成する第3工程と、を含んでいる。
    以下、各工程について説明する。

    <第1工程:プリプレグの積層>
    図3に示すように、5枚のプリプレグ11A、11B、11C、11D、11Eと、4つの空隙用中子15…、を交互に積層して(重ね合わせて)、プリプレグ積層体を構成する。 つまり、プリプレグの1枚おきに、空隙用中子15を挿入し、挟み込む。

    [プリプレグ]
    プリプレグ11A〜11Eは、炭素繊維束が0°/90°などの配向で織られた織物に、合成樹脂を含浸させたものであり、市販される公知のもの等から適宜選択して使用可能である。 前記織物に含浸する合成樹脂は、一般に、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂であり、具体的には、フェノール樹脂(熱分解温度:約360℃)、不飽和ポリエステル樹脂(同温度:約360℃)、エポキシ樹脂(同温度:約360℃)などである。 なお、前記織物に含浸した合成樹脂は、三次元網目構造を呈しており、マトリックス(基材)と称される。

    [空隙形成部材]
    空隙用中子15は、後記第3工程の焼成によって、それ自体が焼失または体積減少することにより、空隙用中子15が配置された部分が跡(隙間)となり、後記するC/Cコンポジット材用前躯体のマトリックス(硬化後の熱硬化性樹脂)が揮発・分解して発生するガスを、外部に排出する排出通路となる空隙5(細孔)を形成する部材である。

    空隙用中子15の材質は、焼成において、それ自体が焼失または体積減少可能であればよい。 ただし、体積が減少する場合、焼成後に空隙用中子15が残存するため、焼失する材料から形成されることが好ましい。 さらに説明すると、空隙用中子15は、プリプレグ11A〜11Eに含有される熱硬化性樹脂の硬化温度より高い温度で、焼失または体積減少する材料から形成され、熱硬化前に空隙用中子15がなくなることを防止する。

    また、湾曲したC/Cコンポジット材1を製造する場合は、プリプレグ11A〜11Eを所定に湾曲させるため、空隙用中子15も対応して容易に変形可能であるように、空隙用中子15は柔軟性を有することが好ましい。

    空隙用中子15の形状は、空隙5が形成されれば、どのようであってもよいが、ガスの排出効率を考慮するとメッシュ状(網目状)であることが好ましい。 なお、空隙用中子15がメッシュ状である場合、その目開きの程度、厚みなどは、製造後に、空隙用中子15に対応して形成される空隙5によって、C/Cコンポジット材1の機械的強度が低下しないように、適宜設定することが好ましい。

    以上を考慮すると、メッシュ状の空隙用中子15としては、例えば、木綿糸(熱分解温度:200〜300℃)が5mm間隔で配列した木綿メッシュや、ガーゼや、不織布や、綿や、熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルなど)からなる繊維(例えば、ナイロン繊維)などを使用することができる。

    <第2工程:熱硬化、C/Cコンポジット材用前躯体の作製>
    次いで、プリプレグ11A〜11Eおよび空隙用中子15…を交互に積層してなるプリプレグ積層体を、オートクレーブなどにより所定温度で熱処理し、前記熱硬化性樹脂を熱硬化させて、C/Cコンポジット材用前躯体(プリプレグ成形体、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形体)を作製する。 すなわち、この工程により、プリプレグ11A〜11Eに含まれる、未硬化の熱硬化性樹脂からなるマトリックスは、熱硬化して、C/Cコンポジット材用前躯体(CFRP成形体)に係るマトリックスとなる。

    すなわち、C/Cコンポジット材用前躯体は、プリプレグ11A〜11Eに含まれた炭素繊維と、熱硬化後のマトリックスと、プリプレグ11A〜11Eに挟まれた4つの空隙用中子15…とを含んで構成されている。

    <第3工程:焼成>
    次いで、このC/Cコンポジット材用前躯体のバリを落とした後、適宜な炉を使用して、所定温度(例えば、2000℃)で所定時間にて焼成し、C/Cコンポジット材用前躯体に係るマトリックス(前記熱硬化した熱硬化性樹脂)を炭化させて、C/Cコンポジット材1を得る。 なお、炉内はアルゴンガスなどによって不活性雰囲気にし、酸化防止することが好ましい。

    この焼成において、空隙用中子15は、焼失または体積減少する。 これにより、空隙用中子15に対応して、前記プリプレグ成形体の側面側(プリプレグの積層端面側)に開口する空隙5が、積層方向に沿って形成される。 言い換えると、空隙用中子15に対応して、内部から外部に通じる連続した空隙5が形成される。
    なお、図2に示すように、空隙5は、空隙用中子15の全体形状に対応して形成されず、空隙用中子15の部分形状に対応して形成されてもよい。

    したがって、焼成において、C/Cコンポジット材用前躯体に係るマトリックス(前記硬化した熱硬化性樹脂)が、揮発・分解することで発生するガスは、空隙5を排出通路として、プリプレグ成形体の外部に排出される。 すなわち、前記発生したガスは、C/Cコンポジット材用前躯体の内部に残存しない。 よって、従来のように、ガスが膨張したり、近傍のガス同士が一体化することはなく、割れ目103(図10参照)が発生することを防止できる。

    焼成後、層間割れのないC/Cコンポジット材1を得ることができる。

    したがって、第1 参考例に係るC/Cコンポジット材1の製造方法によれば、C/Cコンポジット材用前躯体を作製する際に、所定枚数のプリプレグを積層し、空隙用中子15を挟むのみであるから、手間がかかることはない。 また、厚いC/Cコンポジット材1を製造する場合、プリプレグの積層枚数が増加しても容易に対応できる。

    ≪第実施形態≫
    次に、本発明の第実施形態について、図4から図6を参照して説明する。
    参照する図面において、図4は、第実施形態に係るC/Cコンポジット材の斜視図である。 図5(a)は図4に示すコンポジット材のX−X断面図であり、図5(b)は図5(a)のX−X断面を部分的に拡大した図である。 図6は、第実施形態に係るC/Cコンポジット材の製造方法の工程を段階的に示す斜視図であり、(a)は中空部用中子にプリプレグを巻き取り始めた段階、(b)は空隙用中子を挟んだ段階、(c)はプリプレグの巻き取りを進めた段階、(d)は成形後のC/Cコンポジット材用前躯体を示す。

    ≪C/Cコンポジット材の構成≫
    まず、第実施形態に係るC/Cコンポジット材の構成について、図4および図5を主に参照して説明する。
    図4、図5(a)に示すように、第実施形態に係るC/Cコンポジット材21は円筒状(パイプ状)であり、中空部21aを有している。 したがって、C/Cコンポジット材21の中空部21aには、例えば排気ガスなどの流体が流通可能となっている。

    また、C/Cコンポジット材21は、後記するC/Cコンポジット材21の製造方法で説明するように、主として、プリプレグ26(図6参照)に含まれる繊維長の長い炭素繊維と、焼成によりプリプレグ26に含まれる熱硬化性樹脂が炭化してなる炭素分とからなる。 すなわち、C/Cコンポジット材21は、軽量であると共に、前記炭素繊維により強化されており、高強度を備えている。
    したがって、C/Cコンポジット材21は、第1 参考例に係るC/Cコンポジット材と1と同様に、例えば、高強度かつ軽量化の要求が高い自動車分野、航空宇宙分野などで幅広く使用可能である。

    さらに、C/Cコンポジット材21の周壁22は、図5(b)に示すように、C/Cコンポジット材21の軸方向に、多数の空隙22a(細孔)を有している。 複数の空隙22aは、周方向に適宜な間隔で配置されていると共に、径方向に複数段で配置されている(図5(b)では2段)。 そして、空隙22aは、C/Cコンポジット材21の上側端面、下側端面(表面)などに開口している。
    したがって、C/Cコンポジット材21の周壁22は、断熱性を有しており、例えば高温の流体が中空部21aを流通しても、その熱がC/Cコンポジット材21の外側に伝達しにくくなっている。
    ただし、空隙22aの配置はこれに限定されず、ランダムであってもよい。 また、空隙22aは、C/Cコンポジット材21の外周面側や内周面側に開口していてもよい。

    ≪C/Cコンポジット材の製造方法≫
    続いて、C/Cコンポジット材21の製造方法について、図6を主に参照して説明する。
    実施形態に係るC/Cコンポジット材21の製造方法は、プリプレグ26を巻き取る第1工程と、巻き取ったプリプレグ26を熱硬化させてC/Cコンポジット材用前躯体29(CFRP成形体)とする第2工程と、このC/Cコンポジット材用前躯体29を焼成する第3工程と、を含んでいる。
    以下、各工程について説明する。

    <第1工程:プリプレグの巻き取り>
    図6(a)から図6(c)に示すように、空隙用中子27、27…(細孔形成部材)を挟みながら、巻芯である中空部用中子25にプリプレグ26を巻き取る。 空隙用中子27…の周方向における間隔や、径方向において空隙用中子27…を挟む間隔(例えば、プリプレグ26の1巻き取り毎)や、プリプレグ26の巻き取り数(例えば10回)は、製造(焼成)後のC/Cコンポジット材21に形成する空隙22aの配置や、周壁22の厚さにそれぞれ対応させて、適宜に設定する(図5(a)、(b)参照)。

    [中子]
    中空部用中子25は、製造後のC/Cコンポジット材21に中空部21aを形成するための型であり、中空部21aに対応した円柱体である(例えば、直径50mm、高さ200mm)。
    また、第実施形態における中空部用中子25は、後記する第3工程の焼成の焼成温度より低い温度で焼失する材料から形成されている。 これにより焼成において、中空部用中子25自体が焼失し、中空部21aが形成されるようになっている。 すなわち、中空部用中子25を取り除かず、中空部用中子25を備えたまま焼成可能となっている。 このような中空部用中子25は、例えば、熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルなど)から形成することができる。

    [プリプレグ]
    プリプレグ26は、炭素繊維束に、合成樹脂を含浸させた幅広の帯状物であり、市販される公知のもの等から適宜選択して使用可能である。 すなわち、第実施形態に係るプリプレグ26は、第1 参考例に係るプリプレグ11A〜11Eと同様であるため、ここでの説明は省略する。

    [空隙用中子]
    空隙用中子27は、後記する第3工程の焼成によって、それ自体が焼失または体積減少することにより、空隙用中子27が配置された部分が跡(隙間)となり、C/Cコンポジット材21の周壁22に空隙22aを形成するための部材である(図5(b)参照)。 したがって、空隙用中子27の大きさは、空隙22aに対応して設定される(例えば、直径0.7mm、長さ200mm)。
    また、この空隙用中子27によって形成される空隙22aは、後記する第3工程の焼成において、C/Cコンポジット材用前躯体29のマトリックス(硬化後の熱硬化性樹脂)が揮発・分解して発生するガスを、外部に排出する排出通路としても使用される。

    このような空隙用中子27は、焼成において、それ自体が焼失または体積減少することで、周壁22に空隙22aを形成可能であれば、どのような材料から形成されてもよいが、体積が減少する場合、僅かながらも空隙用中子27が残存する場合もあるため、焼失する材料から形成されることが望ましい。
    また、空隙用中子27は、プリプレグ26に含有される熱硬化性樹脂の硬化温度より高い温度で、焼失または体積減少する材料から形成され、前記熱硬化性樹脂が熱硬化する前に空隙用中子27がなくなることを防止可能となっている。
    さらに、空隙用中子27は、C/Cコンポジット材21に所望形状の空隙22aを形成可能とするため、柔軟性を有することが好ましい。

    さらにまた、空隙用中子27の形状は、空隙22aが形成されれば、どのようであってもよく、第実施形態では、熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステルなど)からなる繊維(例えば、ナイロン繊維)を空隙用中子27とした場合を、図6に描いている。

    <第2工程:熱硬化、C/Cコンポジット材用前躯体の作製>
    次いで、第1工程において作製した、空隙用中子27を挟みながらプリプレグ26を巻き取ってなるプリプレグ巻回体を、オートクレーブなどにより所定温度(例えば150℃)、所定圧(例えば709kPa(7気圧))で熱処理し、プリプレグ26中の熱硬化性樹脂を熱硬化させて、図6(d)に示すC/Cコンポジット材用前躯体29を作製する。 すなわち、この工程により、プリプレグ26に含まれる、未硬化の熱硬化性樹脂からなるマトリックスが、熱硬化してC/Cコンポジット材用前躯体29に係るマトリックスとなる。

    すなわち、C/Cコンポジット材用前躯体29は、プリプレグ26に含まれた炭素繊維と、熱硬化後のマトリックスと、プリプレグ26に挟まれた複数の空隙用中子27…とを含んで構成されている。

    <第3工程:焼成>
    次いで、このC/Cコンポジット材用前躯体29のバリを落とした後、適宜な炉を使用して、所定温度(例えば、2000℃)で所定時間にて焼成し、C/Cコンポジット材用前躯体に係るマトリックス(前記熱硬化した熱硬化性樹脂)を炭化させて、C/Cコンポジット材21を得る。 なお、炉内はアルゴンガスなどによって不活性雰囲気とし、酸化を防止する。

    この焼成において、空隙用中子27は、焼失または体積減少する。 これにより、空隙用中子27の配置に対応して、C/Cコンポジット材用前躯体29の上端面側および/または下端面側(プリプレグの積層端面側)、つまり表面に開口する空隙22aが形成される(図5(b)参照)。 言い換えると、空隙用中子27に対応して、内部から外部に通じる連続した空隙22aが形成される。
    なお、空隙用中子27の形状の全部に対応せず、部分的に対応して空隙22aが形成されてもよい。

    また、この焼成において、このように形成される空隙22aを通って、C/Cコンポジット材用前躯体29に係るマトリックス(前記硬化した熱硬化性樹脂)が、揮発・分解することで発生するガスは、外部に排出される。 すなわち、前記発生したガスが、C/Cコンポジット材用前躯体29の内部に残存しにくくなっている。

    また、この焼成において、中空部用中子25は焼失し、中空部21aとなる。
    このようにして、中空部21aを有するC/Cコンポジット材21を得ることができる。

    このように、第実施形態に係るC/Cコンポジット材21の製造方法によれば、空隙用中子27を挟みながらプリプレグ26を中空部用中子25に巻き取った後、熱硬化させて、C/Cコンポジット材用前躯体29を容易に作製し、このC/Cコンポジット材用前躯体29を焼成することで、容易に炭素繊維で強化され、かつ、空隙22aを有することで断熱性を備えるC/Cコンポジット材21を得ることができる。
    また、例えば、周壁22に形成する空隙22aの数を増加させ、断熱性を高める場合、プリプレグ26で挟む空隙用中子27の数などを適宜変化させることで容易に対応できる。
    その他、肉厚のC/Cコンポジット材21を製造する場合、プリプレグ26の巻き取り数を増加させることで容易に対応できる。

    以上、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような変更をすることができる。

    前記した第1 参考例では、プリプレグ11A〜11Eを積層する工程において、空隙用中子15をプリプレグの1枚毎に交互に挟むとしたが(図3参照)、空隙用中子15を挟むピッチ(間隔)はこれに限定されない。 例えば、多数枚のプリプレグを積層して、厚いC/Cコンポジット材を製造する場合、図7に示すように、プリプレグの5枚おきで、空隙用中子15を挟んでもよい。 なお、空隙用中子15を挟む込むピッチは、プリプレグの厚さ、プリプレグのマトリックスの種類(つまり、プリプレグに含まれる合成樹脂の種類)、ガスの発生量などに基づいて、適宜設定することが好ましい。

    前記した第1 参考例では、メッシュ状の空隙用中子15について説明したが、これに限定されず、その他に例えば、焼成により、焼失または体積減少する棒状の空隙形成部材を所定間隔で配列してもよい。

    前記した第1 参考例では、わかりやすく説明するため、板状のC/Cコンポジット材1を製造する場合について説明したが、C/Cコンポジット材1は板状に限らず、例えば、湾曲していてもよい。 この場合は、前記湾曲に応じて、プリプレグ11A〜11Eおよび空隙用中子15…を湾曲させて、プリプレグ積層体を構成した後、熱硬化、焼成する。 すなわち、C/Cコンポジット材用前躯体は、製造するC/Cコンポジット材1の形状に対応して、湾曲していてもよい。

    前記した第1 参考例では、空隙用中子15…を挟みながら、複数のプリプレグ11A〜11Eで積層した後、熱処理して成形することでC/Cコンポジット材用前躯体を作製したが、炭素繊維、マトリックスおよび空隙用中子15を含めば、C/Cコンポジット材用前躯体の形態はこれに限定されず、自由に変更できる。
    例えば、(1)炭素繊維からなるプリフォームに、未硬化の液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、さらに空隙用中子15を含ませた液状のものをC/Cコンポジット材用前躯体としてもよい。 (2)また、炭素繊維と、未硬化の液状の熱硬化性樹脂(バインダ)と、空隙用中子15とを混合し、所定に成形したものをC/Cコンポジット材用前躯体としてもよい。 すなわち、C/Cコンポジット材用前躯体のマトリックスは、前記した第1 参考例のように、硬化後の熱硬化性樹脂に限らず、その他、未硬化の液状の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂などから形成されてもよい。
    また、空隙用中子15は、前記した第1 参考例のように網目状に限らず、例えば、前記(2)炭素繊維および未硬化の液状の熱硬化性樹脂と混合する場合には、長繊維状であってもよいし、その他に空隙用中子15を予めプリプレグ11A〜11Eを構成する炭素繊維に編み込んでもよい。

    なお、第実施形態についても同様であり、C/Cコンポジット材用前躯体29の形態はこれに限定されず、自由に変更できる。 すなわち、例えば、(1)炭素繊維からなるプリフォームに、未硬化の液状の熱硬化性樹脂を含浸し、さらに空隙用中子27を含ませたものをC/Cコンポジット材用前躯体29としてもよい。 (2)また、炭素繊維と、未硬化の液状の熱硬化性樹脂と、空隙用中子27とを混合し、所定に成形したものをC/Cコンポジット材用前躯体29としてもよい。 つまり、C/Cコンポジット材用前躯体29のマトリックスは、前記した第実施形態のように、熱硬化後の熱硬化性樹脂に限らずその他、未硬化の液状の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂などから形成されてもよい。

    前記した第実施形態に係るC/Cコンポジット材21の製造方法では、熱硬化樹脂製の中空部用中子25を使用し、中空部用中子25自体を第3工程の焼成により焼失させることで、C/Cコンポジット材21の中空部21aを形成する場合について説明したが、焼成する前に中空部用中子25をC/Cコンポジット材用前躯体29から取り除く構成としてもよい。 この場合、中空部用中子25は、焼成により焼失しにくい、つまり、ガス化しにくい材料(例えばステンレスなどの金属)から形成されてもよい。

    前記した第実施形態では、繊維状(棒状)の空隙用中子27を挟みながら、プリプレグ26を巻き取るとしたが、空隙用中子27の形状は繊維状に限らず、例えば、メッシュ状(網目状)であってもよい。 空隙用中子27がメッシュ状である場合、その目開きの程度、厚みなどは、製造後に、空隙用中子27に対応して形成される空隙22aによって、C/Cコンポジット材21の周壁22が径方向に分離しないように、適宜設定することが好ましい。

    その他、前記した第実施形態に係る空隙用中子27に代えて、図8(a)に示すように、部分的に大径の空隙用中子27Aを使用してもよい。 このような空隙用中子27Aを使用すれば、図8(b)に示すように、周壁22Aに、部分的に拡径された空隙22Aaを形成することができる。 これにより、周壁22A内に含有される空気量が増加し、その結果として、周壁22Aの断熱性を高めることができる。 また、空隙22Aaは、複数の大径の球状空間(セル)と、この球状空間を連通させる細い連通路とを備えて構成される。 すなわち、前記大径の球状空間は、略独立した空間(気泡)のようになり、これにより周壁22Aの断熱性は高くなる。

    第1

    参考例に係るC/Cコンポジット材の斜視図である。

    図1に示すC/Cコンポジット材の分解斜視図である。

    第1

    参考例に係るC/Cコンポジット材の製造方法において、プリプレグの積層段階を示す斜視図である。

    実施形態に係るC/Cコンポジット材の斜視図である。

    (a)は図4に示すC/Cコンポジット材のX−X断面図であり、(b)は(a)を部分的に拡大した断面図である。

    実施形態に係るC/Cコンポジット材の製造工程を段階的に示す斜視図である。

    第1

    参考例に係るC/Cコンポジット材の製造方法の変形例において、プリプレグの積層状況を示す斜視図である。

    (a)は、第

    実施形態に係るC/Cコンポジット材の製造方

    法に係る空隙用中子の側面図であり、(b)は(a)に示す空隙用中子を使用した場合のC/Cコンポジット材の拡大側断面図である。

    従来のC/Cコンポジット材の製造方法における、プリプレグの積層状況を示す斜視図である。

    従来のC/Cコンポジット材の断面図である。

    符号の説明

    1、21 C/Cコンポジット材 1a 側面 5、22a、22Aa 空隙 11A、11B、11C、11D、11E、26 プリプレグ 15、27、27A 空隙用中子(細孔径性部材)
    21a 中空部 22、22A 周壁 25 中空部用中子 29 C/Cコンポジット材用前躯体

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