Honeycomb structure, manufacturing method and the exhaust gas purifying apparatus of the honeycomb structure

申请号 JP2006519312 申请日 2004-12-24 公开(公告)号 JP4666390B2 公开(公告)日 2011-04-06
申请人 イビデン株式会社; 发明人 豊 吉田;
摘要
权利要求
  • 多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設された 一の多孔質セラミックからなる 柱状のセラミックブロック、又は、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の多孔質セラミック部材が接着剤層を介して結束されてなる柱状のセラミックブロックの外周部にシール材が設けられ てなるハニカム構造体であって、
    前記ハニカム構造体及び前記セラミックブロックの外周面に凹凸が形成され ており、
    前記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc1、
    重心c1を有する、前記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c1との距離をD1、
    重心c1を有する、前記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c1との距離をD2、
    M1=D1−D2と定義した際に、
    0.3mm≦M1であり、かつ、
    前記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc2、
    重心c2を有する、前記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c2との距離をD3、
    重心c2を有する、前記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c2との距離をD4、
    M2=D3−D4と定義した際に、
    0.5mm≦M2≦7.0mmであ り、
    前記重心c1と前記重心c2とが一致しないことを特徴とするハニカム構造体。
  • 前記M1は、3.0mm以下である請求項1に記載のハニカム構造体。
  • 重心c1と重心c2との距離は、0.1〜10.0mmである請求項 1又は2に記載のハニカム構造体。
  • 最小二乗曲線の重心c2を、前記セラミックブロックの長手方向に少なくとも3点求めた際、これらの重心c2が、前記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していない請求項 1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 最小二乗曲線の重心c1を、前記ハニカム構造体の長手方向に少なくとも3点求めた際、重心c1が、前記ハニカム構造体の長手方向に平行な直線上に存在していない請求項 1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 前記セラミックブロックは、複数個の多孔質セラミック部材を結束することによって構成されてなる請求項 1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 前記多孔質セラミック部材は、炭化珪素質セラミックからなる請求項 に記載のハニカム構造体。
  • 触媒が担持されている請求項 1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 前記貫通孔は、いずれか一方の端部で封止されてなる請求項 1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
  • 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が 接着剤層を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成された 、請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法であって、
    前記多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料を含むセラミック成形体を乾燥させることにより得られたセラミック乾燥体の外周加工を行い、その形状が異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製する工程を含むことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  • 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材が 接着剤層を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成された 、請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法であって、
    複数種類の断面形状を有するセラミック成形体を押出成形法により作製する工程を含むことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項 1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体がマット状保持シール材を介して内燃機関の排気通路に接続するケーシング内に設置されたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
  • 前記マット状保持シール材が無膨張セラミック繊維質マットであることを特徴とする請求項 12に記載の排気ガス浄化装置。
  • 说明书全文

    本出願は、2004年4月5日に出願された日本国特許出願2004−111430号を基礎出願として優先権主張する出願である。
    本発明は、ハニカム構造体、ハニカム構造体の製造方法及び排気ガス浄化装置に関する。

    自動車、バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
    この排気ガスを多孔質セラミックに通過させることにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するハニカムフィルタが種々提案されている。

    図9(a)は、このようなハニカムフィルタの一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、(a)に示したハニカムフィルタの断面図である。 また、図10(a)は、図9に示したハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。

    図9(a)に示したように、従来のハニカムフィルタ90は、炭化珪素等からなる多孔質セラミック部材95が、シール材層91を介して複数個結束されてセラミックブロック93を構成し、このセラミックブロック93の周囲にシール材層92が形成されている。

    また、この多孔質セラミック部材95は、図10(a)及び(b)に示したように、長手方向に多数の貫通孔96が並設され、貫通孔96同士を隔てる隔壁98がフィルタとして機能するようになっている。 即ち、多孔質セラミック部材95に形成された貫通孔96は、図10(b)に示したように、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが封止材97により目封じされ、一の貫通孔96に流入した排気ガスは、必ず貫通孔96を隔てる隔壁98を通過した後、他の貫通孔96から流出されるようになっている。

    排気ガス浄化装置では、このような構成のハニカムフィルタ90がマット状保持シール材を介して内燃機関の排気通路に接続されたケーシング内に設置され、内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、このハニカムフィルタ90を通過する際に隔壁98により捕捉され、排気ガスが浄化される。

    しかしながら、上述した構成の排気ガス浄化装置において、マット状保持シール材を介してケーシング内に設置されたハニカムフィルタは、図9(b)に示したように、セラミックブロック93の外周面にシール材層92が形成されており、その長手方向に垂直な断面形状が略真円に近いものであった。 そのため、排気ガス中のパティキュレートの捕集量が多くなることによりハニカムフィルタの排気ガス流入側端面にかかる圧が高くなった場合や、ケーシングが高温に加熱されてハニカムフィルタよりも大きく膨張することにより上記ケーシング内でのマット状保持シール材によるハニカムフィルタの握持力が低下した場合、ケーシング内でハニカムフィルタの位置ズレが発生することがあった。

    このようにケーシング内でハニカムフィルタの位置ズレが発生すると、ハニカムフィルタの長手方向と排気ガスの流通方向とが非平行となってパティキュレートの捕集効率の低下が生じたり、ハニカムフィルタとケーシングとが接触して、ハニカムフィルタにクラックが発生したりすることがあった。 さらに、マット状保持シール材がハニカムフィルタの排気ガス流入側端面に垂れ下がり、ハニカムフィルタの排気ガス流入側端面に露出した貫通孔を塞いでしまい、排気ガスの浄化効率が低下してしまうこともあった。

    そこで、ケーシング内でハニカムフィルタの位置ズレが発生することを防止するために、マット状保持シール材を介してケーシング内にハニカムフィルタを配置する際、該ハニカムフィルタの外周に相当な圧力を加えながら上記ケーシング内に設置する方法も考えられる。 しかしながら、このような方法では、上記マット状保持シール材による圧力により上記ハニカムフィルタにクラックが発生したり、作業が困難となって生産性が低下し、経済的に不利となったりすることがあった。

    これに対して、特許文献1には、断面形状を真円から偏平状態にして、真円度を調整することにより、ハニカム構造体の保持力を向上させるハニカム構造体が開示されている。 また、特許文献2には、外周に凹凸を形成することによって、真円度を調整したハニカム構造体が開示されている。 これらのハニカム構造体では、排気ガス浄化装置としてマット状保持シール材を介してケーシング内に設置する際、上記マット状保持シール材が上記ハニカム構造体の外周部分の凹部分を充填するように食い込むため、上記ハニカム構造体の上記ケーシング内における握持力が向上し、該ケーシング内で上記ハニカム構造体の位置ズレは殆ど発生せず、ハニカム構造体の保持安定性を向上させることができるものであった。

    しかしながら、セラミックブロックにシール材層(コート層)を形成させたハニカム構造体において、単純に外部に凹凸層を形成させたりすることで、外周部を調整して保持力を向上させても、使用時の熱応力等によって、クラックが入ることがわかった。
    これに対して、特許文献3には、貫通孔の斜めの部分の接合層を厚く設定することにより、アイソスタティック強度を上昇させたハニカム構造体が開示されている。
    しかし、特許文献3は、シール材層(コート層)を形成した後のセラミック構造体の外表面に凹凸がない。 ところが凹凸がない場合には、位置に関係なく、シール材の厚みによっては、クラックが生じることがわかった。

    また、従来、複数の多孔質セラミック部材がシール材層を介して結束された構造のハニカム構造体を製造するには、まず、セラミック材料を含む混合組成物を用いて押出成形により柱形状のセラミック成形体を作製し、このセラミック成形体を乾燥、脱脂、焼成することで多孔質セラミック部材製造する。
    そして、上記多孔質セラミック部材をシール材ペーストを介して組み上げて角柱状のセラミック積層体を作製した後、該セラミック積層体の外周を切削する外周加工を施して所定の大きさのセラミックブロックを作製し、必要に応じて該セラミックブロックの外周にシール材ペーストを均一に塗布、乾燥させることでシール材層(コート層)を形成していた。

    しかしながら、このような従来のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックを作製する際、脆性材料であるセラミックに切削加工を施していたため、上記セラミックブロックの外周に欠けが発生しやすいものであった。
    さらに、略円柱形状のセラミックブロックを外周加工により作製していたため、得られるセラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く断面曲線の重心を複数箇所求めると、各断面曲線における重心は、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在するものであった。 そのため、例えば、上記ハニカム構造体の所定の貫通孔に封止材を設けて図9に示したハニカムフィルタ90のような排気ガス浄化用ハニカムフィルタとし、排気ガス浄化装置としてケーシング内にマット状保持シール材等で保持した場合、排気ガス等によりハニカム構造体の一方の端面側から圧力が加えられると、上記ハニカム構造体がズレたり抜け落ちたりすることがあり、上記ハニカム構造体の押し抜き強度は、余り優れたものではなかった。

    特開2003−262118号公報

    特開2001−329836号公報

    特開2003−260322号公報

    本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、機械的強度が大きく、熱応力が発生してもクラックが生じることがなく、その外周面から高い圧力が加えられた場合であっても、容易にクラックが生じたり破壊されたりすることがなく耐久性に優れるとともに、押し抜き強度に優れるハニカム構造体及びその製造方法、並びに、耐久性に優れる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。

    本発明のハニカム構造体は、多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミックからなる柱状のセラミックブロックの外周部にシール材が設けられるとともに、上記ハニカム構造体及び上記セラミックブロックの外周面に凹凸が形成されたハニカム構造体であって、
    上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc1、
    重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c1との距離をD1、
    重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c1との距離をD2、
    M1=D1−D2と定義した際に、
    0.3mm≦M1であり、かつ、
    上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc2、
    重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c2との距離をD3、
    重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c2との距離をD4、
    M2=D3−D4と定義した際に、
    0.5mm≦M2≦7.0mm
    であることを特徴とする。
    上記ハニカム構造体においては、上記M1は3.0mm以下であることが望ましい。

    上記ハニカム構造体において、重心c1と重心c2とは一致しないことが望ましく、この場合に、重心c1と重心c2との距離は、0.1〜10.0mmであることが望ましい。

    上記ハニカム構造体において、最小二乗曲線の重心c2を、上記セラミックブロックの長手方向に少なくとも3点求めた際、これらの重心c2が、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していないことが望ましく、最小二乗曲線の重心c1を、上記ハニカム構造体の長手方向に少なくとも3点求めた際、重心c1が、上記ハニカム構造体の長手方向に平行な直線上に存在していないことが望ましい。

    上記ハニカム構造体において、上記セラミックブロックは、複数個の多孔質セラミック部材を結束することによって構成されてなることが望ましく、上記多孔質セラミック部材は、炭化珪素質セラミックからなることが望ましい。
    上記ハニカム構造体においては、触媒が担持されていることが望ましく、上記貫通孔は、いずれか一方の端部で封止されてなることが望ましい。

    第一の本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法であって、
    上記多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料を含むセラミック成形体を乾燥させることにより得られたセラミック乾燥体の外周加工を行い、その形状が異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製する工程を含むことを特徴とする。

    第二の本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法であって、
    複数種類の断面形状を有するセラミック成形体を押出成形法により作製する工程を含むことを特徴とする。

    本発明の排気ガス浄化装置は、上記ハニカム構造体がマット状保持シール材を介して内燃機関の排気通路に接続するケーシング内に設置されたことを特徴とする。
    上記排気ガス浄化装置において、上記マット状保持シール材が無膨張セラミック繊維質マットであることが望ましい。

    本発明のハニカム構造体は、熱衝撃に対する強度が高く(耐久性が大きく)、その外周面から高い圧力が加えられた場合であっても、容易にクラックが生じたり破壊されたりすることがなく耐久性に優れたものとなる。
    また、重心c1と重心c2とが一致しないハニカム構造体(以下、重心不一致型ハニカム構造体という)では、押し抜き強度が高く、排気ガス浄化装置として、マット状保持シール材等を介してケーシング内に組み付けられ、長時間触媒コンバータやハニカムフィルタとして使用した場合(熱衝撃を受けた場合)であっても、がたつきが生じることがなく、耐久性に優れたものとなる。

    さらに、最小二乗曲線の重心c2を、上記セラミックブロックの長手方向に少なくとも3点求めた際、これらの重心c2が、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していないハニカム構造体、又は、最小二乗曲線の重心c1を、上記ハニカム構造体の長手方向に少なくとも3点求めた際、重心c1が、上記ハニカム構造体の長手方向に平行な直線上に存在していないハニカム構造体(以下、微小彎曲型ハニカム構造体という)では、押し抜き強度と耐久性とに優れたハニカム構造体となる。

    第一及び第二の本発明のハニカム構造体の製造方法によると、脆性材料であるセラミックに切削加工を施すことがないため、上記セラミックブロックの外周に欠けを発生させることなくハニカム構造体を製造することができる。 また、その外周面に凹凸が形成され、複数の多孔質セラミック部材が接着剤層を介して結束された構造のセラミックブロックを含む本発明のハニカム構造体を製造することができる。

    本発明の排気ガス浄化装置は、本発明のハニカム構造体を用いてなるため、アイソスタティック強度及び押し抜き強度に優れるとともに、長時間使用してもハニカム構造体のがたつきが生じることのない、熱衝撃に対する強度に優れたものとすることができる。

    以下本発明のハニカム構造体、ハニカム構造体の製造方法、及び、排気ガス浄化装置について図面を参照しながら説明する。

    初めに、本発明のハニカム構造体について説明する。
    本発明のハニカム構造体は、多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミックからなる柱状のセラミックブロックの外周部にシール材が設けられるとともに、上記ハニカム構造体及び上記セラミックブロックの外周面に凹凸が形成されたハニカム構造体であって、
    上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc1、
    重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c1との距離をD1、
    重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c1との距離をD2、
    M1=D1−D2と定義した際に、
    0.3mm≦M1であり、かつ、
    上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc2、
    重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c2との距離をD3、
    重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c2との距離をD4、
    M2=D3−D4と定義した際に、
    0.5mm≦M2≦7.0mm
    であることを特徴とする。

    本発明のハニカム構造体は、多数の貫通孔が壁部を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミックからなる柱状のセラミックブロックを含んで構成されているが、上記セラミックブロックは、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の多孔質セラミック部材がシール材層を介して結束されることにより構成されていてもよく(以下、上記構造のセラミックブロックを含むハニカム構造体(ブロック)を集合体型ハニカム構造体(ブロック)ともいう)、全体が一体として焼結形成されたセラミック部材から構成されていてもよい(以下、上記構造のセラミックブロックを含むハニカム構造体(ブロック)を一体型ハニカム構造体(ブロック)ともいう)。

    本発明のハニカム構造体において、セラミックブロックが上記集合体型セラミックブロックである場合、壁部は、多孔質セラミック部材の貫通孔を隔てる隔壁と、多孔質セラミック部材の外壁及び多孔質セラミック部材間のシール材層(好ましくは接着剤としても機能する)とから構成されており、一方、上記セラミックブロックが上記一体型セラミックブロックである場合、一種類の隔壁のみにより構成されている。

    図1は、本発明のハニカム構造体に用いられる集合体型セラミックブロックの一例を模式的に示した斜視図であり、図2(a)〜(c)は、図1に示したセラミックブロックを構成する多孔質セラミック部材の一例を模式的に示した斜視図である。

    図1に示したように、本発明のハニカム構造体10は、その形状が異なる複数の多孔質セラミック部材20、200、210がそれぞれシール材層11を介して結束されて略円柱形状のセラミックブロックを構成しており、図1には示していないが、上記セラミックブロックの外周面には凹凸が形成されている。

    このようなハニカム構造体10を構成する多孔質セラミック部材20は、図2(a)に示したように、その長手方向に多数の貫通孔21が隔壁22を隔てて並設された断面視略正方形の角柱状である。

    また、多孔質セラミック部材200は、図2(b)に示したように、その長手方向に多数の貫通孔201が隔壁202を隔てて並設され、その外周の一部が切除された断面視略扇型の柱状であり、上記外周の切除された部分に貫通孔201の一部が露出している。 即ち、多孔質セラミック部材200の外周面の一部分には、上記露出した貫通孔201により溝状の凹凸が形成されている。

    また、多孔質セラミック部材210は、図2(c)に示したように、その長手方向に多数の貫通孔211が隔壁212を隔てて並設され、その外周の一の角部付近が切除された柱状であり、上記外周の切除された部分に貫通孔211の一部が露出している。 即ち、多孔質セラミック部材210の外周面の一部分には、上記露出した貫通孔211により溝状の凹凸が形成されている。

    上述した構造の多孔質セラミック部材20、200及び210がシール材層11を介して組み合わされることによりハニカム構造体のセラミックブロック10は構成されているが、角柱状のその外周面に凹凸を有しない多孔質セラミック部材20は、上記セラミックブロックの中心付近に位置しており、その外周面に溝状の凹凸を有する多孔質セラミック部材200及び多孔質セラミック部材210は、上記セラミックブロックの外周付近に位置している。
    即ち、ハニカム構造体10において、上記セラミックブロックの外周面に形成された溝状の凹凸は、多孔質セラミック部材200及び多孔質セラミック部材210を構成する貫通孔の一部が削除され、残った部分が外周面に露出したものである。

    図3は、本発明のハニカム構造体に用いられる一体型セラミックブロックの一例を模式的に示した斜視図である。
    このセラミックブロックは、多数の貫通孔31が壁部32を隔てて長手方向に並設された一の多孔質セラミックからなる略円柱状のセラミックブロックを構成しており、該セラミックブロックの外周面には凹凸33が形成されている。

    このような構造のハニカム構造体30において、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸33は、図1及び図2に示したハニカム構造体10の場合と同様に、セラミックブロックを構成する貫通孔31の一部が削除され、残った部分が外周面に露出したものである。

    このように本発明のハニカム構造体は、集合体型ハニカム構造体又は一体型ハニカム構造体のいずれの場合であっても、セラミックブロックの外周面に凹凸が形成されている。
    本発明者らの研究によると、従来は、このようなハニカム構造体には、シール材層を設けることで、全体外周を均一にさせて、円柱の側面には溝上の凹凸をなくして平坦にさせてきたが、ハニカム構造体の熱衝撃試験等を行うと、ハニカム構造体の外周面に凹凸(望ましくは、長手方向全ての断面において効果を及ぼすことができるように溝状の凹凸)を残した場合において、セラミックブロックの凹凸状態のバランスが悪くなると、熱衝撃性が悪化することが判明した。 この理由は明確ではないが、以下の通りであると考えられる。

    即ち、ハニカム構造体は中心から外周部に向って、均等に熱の放出が起こるが、表面に凹凸があると、表面の表面積が向上することにより、冷却効果が生まれ、急激な温度衝撃が引きおこりやすくなる。 また、より、微視的にみて、凸部の頂点が凹部の谷部分と比較して熱衝撃を受けやすいと考えられる。
    また、このとき、ハニカム部材とセラミック部材は、材料が異なったり、密度等が異なったりすることによって、全く同じ物性値を示さないために、その部分にも熱の応力が生じると考えられる。
    上述した2つの箇所の凹凸の状況を変更させることによって、それぞれの熱応力による内部の歪みを緩和させることができるのではないかと考えられる。

    以下、本発明のハニカム構造体やセラミックブロックの外周面に形成された凹凸について説明する。
    なお、ハニカム構造体においては、セラミックブロックにシール材(コート)層を形成した後に同様の測定をすればよいので、以下にセラミックブロックの測定に限定して説明をする。 勿論、セラミックブロックの測定は、ハニカム構造体の製造工程中に測定を行えばよいが、製造後であれば、シール材(コート)層を加工、研磨等によって除去した後セラミックブロック部分において同様の測定を行えばよい。

    本発明のハニカム構造体に用いるセラミックブロックにおいて、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸の大きさを求めるには、まず、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面(以下、単にセラミックブロックの断面ともいう)の輪郭上の点を10箇所以上測定することにより得られる上記輪郭上の点の位置データを2次元座標上にプロットする。

    図4(a)は、上記セラミックブロックの断面の輪郭上の点についての位置データを2次元座標軸上にプロットし、描かれる曲線の一例を示した図である。
    図4(a)に示したように、上記輪郭上の点について測定した位置データを2次元座標軸上にプロットすると、上記セラミックブロックの断面と略同形状の屈曲部を有する曲線40が描かれる。
    なお、図4(a)に示した曲線40は、図1に示したハニカム構造体10のセラミックブロックの断面の輪郭上の点についての位置データを2次元座標軸上にプロットした図であり、2次元座標軸は省略している。

    本発明のハニカム構造体において、上記輪郭上の点についての位置データは、10箇所以上測定する。 測定する位置データの数が10箇所未満であると、上記2次元座標軸上に描かれる曲線の形状が、上記セラミックブロックの断面形状と大きく異なることとなり、正確に上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸のばらつきを求めることができなくなる。
    測定する位置データの数は、10箇所以上であれば特に限定されないが、100箇所以上であることが望ましい。 上記2次元座標軸上に描かれる曲線の形状が実際のセラミックブロックの断面形状に近くなるからである。
    また、測定する上記輪郭上の点は、上記輪郭上で等間隔であることが望ましい。 より正確なセラミックブロックの外周面の凹凸のばらつきを測定することができるからである。

    上記輪郭上の点の位置データを2次元座標軸上にプロットする際には、市販されている三次元測定機を用いることができる。
    上記三次元測定機としては特に限定されず、例えば、ミツトヨ社製の「LEGEXシリーズ」、「FALCIO−APEXシリーズ」、「Bright−Apexシリーズ」、「MACHシリーズ」、「CHNシリーズ」、「BH−Vシリーズ」等が挙げられる。

    次に、上記輪郭上の点についての位置データを用いた最小二乗法により最小二乗曲線を上記2次元座標軸上に描き、その重心c2を求める。
    次に、重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線と、重心c2を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線とを求める。
    同心最小外接曲線、同心最大内接曲線は、円に限られず、楕円でもよく、そのほかの曲線であってもよい。 また、同心最小外接曲線と同心最大内接曲線とは、重心c2を共有する相似形となる。
    なお、円であれば、JIS B 0621の真円度を求める方法に準拠すればよい。

    図4(b)は、図4(a)に示した位置データを用いて最小二乗法により描いた最小二乗曲線と、同心最小外接曲線と、同心最大内接曲線と、重心c2との一例を示した図であり、2次元座標軸は省略している。

    図4(b)に示したように、最小二乗曲線41は、図4(a)に示した曲線40よりも滑らかな凹凸を有するものであり、重心c2 (図4(b)中、C)からの距離がより大きい(図4(b)中、A)同心最小外接曲線42と、重心c2からの距離がより小さい(図4(b)中、B)同心最大内接曲線43とから構成されている。
    ここで、同心最小外接曲線42と同心最大内接曲線43とは、上述のように、重心c2からみて同心曲線であり、具体的には、同心最小外接曲線42は、その線上に最小二乗曲線41の凸部分の少なくとも一部が存在し、最小二乗曲線41の他の部分が同心最小外接曲線の内部に存在する重心c2からみて距離が最小の曲線であり、同心最大内接曲線43は、その線上に最小二乗曲線41の凹部の少なくとも一部が存在し、最小二乗曲線41のその他の部分が同心最大内接曲線の外側に存在する重心c2からみて距離が最大の曲線である。

    本発明では、上述した最小二乗曲線の同心最小外接曲線と重心c2との距離D3、及び、
    上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線と重心c2との距離D4を測定するとともに、D3−D4=M2を計算する。
    本発明のハニカム構造体のセラミックブロックでは、M2によって、上述セラミックブロックの外表面に形成された凹凸の大きさを代表することができる。

    また、本発明では、ハニカム構造体についても、全く同様に、上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により最小二乗曲線を求め、その重心をc1とする。 そして、重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最小外接曲線を求め、該同心最小外接曲線と重心c1との距離をD1とする。 また、重心c1を有する、上記最小二乗曲線の同心最大内接曲線を求め、該同心最大内接曲線と重心c1との距離をD2とするとともに、D1−D2=M1を計算する。

    本発明のハニカム構造体においては、M1は0.3mm以上である。
    M1が0.3mm未満であると、上記セラミック構造体の外周面には殆ど凹凸が形成されていないこととなり、係るハニカム構造体は、上述したような、熱応力の問題が生じない。
    M1は、3.0mm以下であることが望ましい。 M1が3.0mmをこえると、上記構造体の外周面に形成された凹凸が大きく、このようなハニカム構造体は、上述したように、上記セラミックブロックの外周面の凸部に熱応力によるクラックや欠けが発生しやすくなってしまう。

    また、本発明のハニカム構造体の用いられるセラミックブロックにおいては、0.5mm≦M2≦7.0mmである。
    M2が0.5mm未満であると、上記セラミックブロックの外周面には殆ど凹凸が形成されていないこととなり、係るセラミックブロックとシール(コート)層との間に、熱応力が生じて、クラックが生じると考えられる。
    一方、M2が7.0mmを超えると、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸が大きく、このようなハニカム構造体は、係るセラミックブロックとシール(コート)層との間に、熱応力が生じて、クラックが生じると考えられる。

    このように、本発明のハニカム構造体は、セラミックブロックの外周面には、所定の大きさの凹凸が形成されている。 上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸は、図1〜3に示したハニカム構造体のように、セラミックブロックを構成する貫通孔の一部が削除され、残った部分が外周面に露出したものであってもよいが、例えば、図5(a)及び(b)に示したハニカム構造体50及びハニカム構造体500のように、セラミックブロックの外周面に、階段状の凹凸が形成されていてもよい。
    なお、図5(a)は、集合体型セラミックブロック50の別の一例を模式的に示した正面図であり、(b)は、一体型セラミックブロック500の別の一例を模式的に示した正面図である。

    図5(a)及び(b)に示したセラミックブロック50、及び、セラミックブロック500は、セラミックブロックの外周面付近に形成された貫通孔を含む全ての貫通孔の断面形状が略正方形であり、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸は、上記セラミックブロックの外周面付近の貫通孔の断面形状に沿って階段状に形成されている。
    このようなセラミックブロック50及び500は、セラミックブロックの外周面に形成された凹凸の形状が異なるほかは、図1に示したハニカム構造体10、及び、図3に示したハニカム構造体30と略同様の構造となっている。

    本発明のハニカム構造体を構成する多孔質セラミックの材料としては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミック、炭化珪素と珪素の複合体等を挙げることができるが、本発明のハニカム構造体が上述した集合体型ハニカム構造体である場合、上記多孔質セラミックの材料としては、耐熱性が大きく、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化珪素質セラミックが望ましい。 なお、炭化珪素質セラミックとは、炭化珪素が60wt%以上のものをいうものとする。
    また、本発明のハニカム構造体が上述した一体型ハニカム構造体である場合、上記多孔質セラミックの材料としては、安価に製造することができるとともに、比較的熱膨張係数が小さく、使用中に酸化されることがないことからコージェライトが望ましい。

    本発明のハニカム構造体を構成するセラミックブロックの気孔率は特に限定されないが、20〜80%程度であることが望ましく、50%以上がより望ましい。 気孔率が20%未満であると、本発明のハニカム構造体を排気ガス浄化用ハニカムフィルタとして使用した場合、すぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が80%を超えると、セラミックブロックの強度が低下して容易に破壊されることがある。
    また、50%以上と高気孔率のハニカム構造体であると、通常、熱衝撃を受けやすいが 、本発明のハニカム構造体は、熱衝撃に強いので、更に顕著な効果が期待できる。
    なお、上記気孔率は、例えば、銀圧入法、アルキメデス法及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等、従来公知の方法により測定することができる。

    また、上記セラミックブロックの平均気孔径は5〜100μmであることが望ましい。 平均気孔径が5μm未満であると、本発明のハニカム構造体を排気ガス浄化用ハニカムフィルタとして使用した場合、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。 一方、平均気孔径が100μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがある。

    このようなセラミックブロックを製造する際に使用するセラミックの粒径としては特に限定されないが、後の焼成工程で収縮が少ないものが望ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と、0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが望ましい。 上記粒径のセラミック粉末を上記配合で混合することで、多孔質セラミックからなるセラミックブロックを製造することができるからである。

    また、本発明のハニカム構造体が図1に示した集合体型ハニカム構造体である場合、複数の多孔質セラミック部材は、接着剤として機能するシール材層を介して結束されているが、該シール材(接着剤)層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、無機バインダー、有機バインダー、無機繊維及び/又は無機粒子からなるもの等を挙げることができる。
    なお、上述した通り、本発明のハニカム構造体のセラミックブロックの外周面のシール材層(コート層)を構成する材料は、上記シール材(接着剤)層と同じ材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。 さらに、上記シール材(接着剤)層とシール材層(コート層)とが同じ材料からなるものである場合、その材料の配合比は同じものであってもよく、異なるものであってもよい。

    上記無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機バインダーのなかでは、シリカゾルが望ましい。

    上記有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記有機バインダーのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。

    上記無機繊維としては、例えば、シリカーアルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバー、シリカーアルミナファイバーが望ましい。 上記無機繊維の繊維長の下限値は、5μmが望ましい。 また、上記無機繊維の繊維長の上限値は、100mmが望ましく、100μmがより望ましい。 5μm未満であると、シール材層の弾性を向上させることができない場合があり、一方、100mmを超えると、無機繊維が毛玉のような形成をとりやすくなるため、無機粒子との分散が悪くなることがある。 また、100μmを超えると、シール材層の厚さを薄くすることが困難になる場合がある。

    上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化素等からなる無機粉末又はウィスカー等を挙げることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。

    本発明のハニカム構造体において、セラミックブロックに形成された貫通孔のうち、所定の貫通孔が封止材により封止され、一方、上記セラミックブロックの他方の端部で、上記一方の端部で封止されていない貫通孔が封止材により封止されると、本発明のハニカム構造体は、排気ガス浄化用ハニカムフィルタとして機能する。

    即ち、本発明のハニカム構造体に係るハニカムフィルタの一の貫通孔から流入した排気ガスは、該貫通孔を隔てる壁部を通って他の貫通孔から外部へ排出される。 その際、排気ガスに含まれるパティキュレートは、上記壁部において補足され、排気ガスが浄化される。

    本発明のハニカム構造体に係るハニカムフィルタにおいて、本発明のハニカム構造体が上述した集合体型ハニカム構造体である場合、多孔質セラミック部材の貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能する。 即ち、本発明のハニカム構造体における壁部の一部が粒子捕集用フィルタとして機能する。 一方、本発明のハニカム構造体が上述した一体型ハニカム構造体である場合、該ハニカム構造体における壁部の全部が粒子捕集用フィルタとして機能する。
    なお、上記排気ガス浄化用ハニカムフィルタとして機能する本発明のハニカム構造体は、従来公知の排気ガス浄化用ハニカムフィルタと同様に機能するものであり、その詳しい説明は省略することとする。

    本発明のハニカム構造体に係るハニカムフィルタにおいて、上記封止材を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した本発明のハニカム構造体を構成する多孔質セラミックと同様の材料が挙げられる。

    また、本発明のハニカム構造体の気孔中には、排気ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化することができる触媒が担持されていてもよい。
    このような触媒が担持されていることで、本発明のハニカム構造体は、排気ガスに含有される上記CO、HC及びNOx等を浄化するための触媒コンバータとして機能する。

    上記触媒としては特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を挙げることができる。 この貴金属からなる触媒は、所謂、三元触媒であり、このような三元触媒が担持された本発明のハニカム構造体は、従来公知の触媒コンバータと同様に機能するものである。 従って、ここでは、本発明のハニカム構造体が触媒コンバータとしても機能する場合の詳しい説明を省略する。
    但し、本発明のハニカム構造体に担持させることができる触媒は、上記貴金属に限定されることはなく、排気ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化することができる触媒であれば、任意のものを担持させることができる。

    さらに、本発明のハニカム構造体は、上述した封止材が所定の貫通孔を封止するとともに、その気孔中に上記触媒が担持されていてもよい。 この場合、本発明のハニカム構造体は、上述した排気ガス浄化用ハニカムフィルタとして機能するとともに、排気ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化する触媒コンバータとして機能する。

    以上、説明したように、本発明のハニカム構造体は、セラミックブロックの外周面に所定の大きさに制御された凹凸が形成されているため、熱衝撃に強いものになる。 その外周面から高い圧力が加えられた場合であっても、容易にクラックが生じたり破壊されたりすることがなく耐久性に優れたものとなる。
    このような本発明のハニカム構造体は、排気ガス浄化用ハニカムフィルタや触媒コンバータ等に好適に用いることができる。

    本発明のハニカム構造体では、重心c1と重心c2とは一致しないものであることが望ましい。 上述したように、このハニカム構造体を、重心不一致型ハニカム構造体ということとする。
    この重心不一致型ハニカム構造体では、微小彎曲型ハニカム構造体、すなわち、セラミックブロックの最小二乗曲線の重心c2を、上記セラミックブロックの長手方向に少なくとも3点求めた際、これらの重心c2が、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していないか、又は、ハニカム構造体の最小二乗曲線の重心c1を、上記ハニカム構造体の長手方向に少なくとも3点求めた際、重心c1が、上記ハニカム構造体の長手方向に平行な直線上に存在していないハニカム構造体を製造しやすくなる。

    また、この重心不一致型ハニカム構造体が排ガス浄化装置として用いられる場合においては、保持耐久性が増す。 このメカニズムは定かではないが、重心不一致型ハニカム構造体ではフィルタの中央部分から、周辺部分に熱伝達が起こる場合において、部分的に熱伝達が良い場所と悪くなる箇所が生じる。 そのため、熱伝達が高い箇所の保持マットは、熱によって疲労、腐食、結晶化等が起こって、保持力が悪くなるが、 熱伝達が低い箇所の保持マットは相対的に保持力が保たれる。 そのため、熱疲労を受けた箇所に圧縮力がかかって、押しぬき荷重の減少が防止されると考えられる。

    なお、 重心 c1 と重心 c2 の距離は、0.1〜10.0mmが好ましい。 0.1mm未満では、同心状となっているので、押し抜き強度は大きくならない。 一方、 重心 c1 と重心 c2 の距離が10.0mmを超えると、温度分布が逆向きになってしまうので、保持力が逆転してしまう。

    図6(a)は、微小彎曲型ハニカム構造体に用いられるセラミックブロックの一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、(a)に示したハニカム構造体のA、B及びCにおけるセラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く断面曲線を模式的に示した斜視図である。

    図6(a)に示したように、微小彎曲型ハニカム構造体60は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材65がシール剤(接着剤)層61を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されている。 即ち、微小彎曲型ハニカム構造体60は、図1に示したハニカム構造体10と略同様の構造であり、集合体型ハニカム構造体である。

    微小彎曲型ハニカム構造体において、セラミックブロックの外周面には、凹凸が形成されている。
    上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸は、本発明のハニカム構造体において、図2(a)〜(c)や図5(a)、(b)を用いて説明したように、上記セラミックブロックを構成する貫通孔の一部が削除され、残った部分が外周面に露出しものであってもよく、階段状に形成されていてもよい。
    また、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸の大きさは、本発明のハニカム構造体と同様となるように制御されていることが望ましい。 ハニカム構造体のアイソスタティック強度が優れたものとなるからである。

    微小彎曲型ハニカム構造体では、上述したように、セラミックブロックの最小二乗曲線(以下、断面曲線ともいう)の重心c2を、上記セラミックブロックの長手方向に少なくとも3点求めた際、これらの重心c2が、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していないハニカム構造体や、ハニカム構造体の最小二乗曲線の重心c1を、上記ハニカム構造体の長手方向に少なくとも3点求めた際、重心c1が、上記ハニカム構造体の長手方向に平行な直線上に存在していないハニカム構造体である。

    即ち、図6(b)に示したように、ハニカム構造体60のセラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭を構成する点に基づき、最小二乗法により求めた最小二乗曲線A、B及びCの重心c2−1 (図6(b)中、G1) 、c2−2 (図6(b)中、G2)及びc2−3 (図6(b)中、G3)は、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線L上に存在していない。

    本発明者らの研究によると、ハニカム構造体の押し抜き強度は、ハニカム構造体のセラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く断面曲線の重心の位置に大きく関係しており、上記ハニカム構造体の押し抜き強度は、上記セラミックブロックにおける一の断面曲線の重心c2と他の断面曲線の重心c2とが、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線に対して所定の範囲内でばらついているときに優れたものとなることが判明した。
    ここで、「ハニカム構造体の押し抜き強度」とは、所定の部材でセラミックブロックの外周面全体が握持されることにより保持固定された状態のハニカム構造体が、その一方の端面側から加えられる圧力等の外力に対して、ズレを発生させることなく抗することのできる限界の強度のことをいう。
    この理由は、明確ではないが、以下の通りであると考えられる。

    即ち、所定の部材でハニカム構造体の外周面全体が握持されることにより保持固定された状態のハニカム構造体は、その一方の端面に圧力等の外力が加えられると、その内部に上記外力に起因した応力が上記セラミックブロックの一方の端面から他方の端面に向けて発生する。
    このとき、上記セラミックブロックにおける一の断面曲線の重心と他の断面曲線の重心とが上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していると、上記セラミックブロックに生じた応力が、上記セラミックブロックの一方の端面から他方の端面に向けて真っ直ぐに伝わるため、ハニカム構造体と該ハニカム構造体を握持する部材との間に働く力が大きくなり、その結果、ハニカム構造体の押し抜き強度が低くなると考えられる。

    一方、上記セラミックブロックにおける一の断面曲線の重心c2と他の断面曲線の重心c2とが上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在していないと、上記セラミックブロックに生じた応力は、セラミックブロックの一方の端面から他方の端面に向けて伝わる際に分散され、ハニカム構造体と該ハニカム構造体を握持する部材との間に働く力が小さくなり、その結果、ハニカム構造体の押し抜き強度が高くなると考えられる。

    微小彎曲型ハニカム構造体の押し抜き強度を上述したように高いものとするためには、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面曲線の重心のばらつきを所定の範囲に制御する必要がある。
    以下、上記断面曲線の重心のばらつきについて、図6(a)及び(b)に示したハニカム構造体60等を用いて詳述する。

    即ち、微小彎曲型ハニカム構造体におけるセラミックブロックの長手方向に垂直な断面曲線の重心c2のばらつきを求めるには、まず、微小彎曲型ハニカム構造体60の断面曲線Aにおける重心c2−1の位置データと、断面曲線Bにおける重心c2−2の位置データと、断面曲線Cにおける重心c2−3の位置データとをそれぞれ求め、これらの重心c2−1、c2−2及びc2−3の位置データから求められる図示しない最小二乗直線を描く。

    上記断面曲線の重心c2の位置データを求める方法としては特に限定されず、例えば、上述した三次元測定機により測定することができる。
    また、求める断面曲線の重心c2の位置データの数としては、3箇所以上であれば特に限定されない。 測定する断面曲線の重心c2のデータが3箇所以下であると、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面曲線の相似の中心を示す最小二乗直線を描くことができないからである。
    なお、測定する断面曲線の相似の中心の位置データは、3箇所以上であれば特に限定されないが、5箇所以上であることが望ましく、上記セラミックブロックの長手方向に等間隔に求めることが望ましい。 より正確なセラミックブロックの長手方向に垂直な断面曲線の重心のばらつきを求めることができるからである。

    次に、断面曲線Aにおける重心c2−1と上記最小二乗直線との距離r 、断面曲線Bにおける重心c2−2と上記最小二乗直線との距離r 、及び、断面曲線Cにおける重心c2−3と上記最小二乗直線との距離r をそれぞれ求める。 これらr 〜r は、各重心c2−1〜c2−3から上記最小二乗直線へ引いた垂線の長さにより決定される。

    次に、断面曲線Aにおける重心c2−1から断面曲線Aの最外点までの距離D3−1、断面曲線Bにおける重心c2−2から断面曲線Bの最外点までの距離D3−2、及び、断面曲線Cにおける重心c2−3から断面曲線Cの最外点までの距離D3−3をそれぞれ求める。

    第二の本発明のハニカム構造体では、それぞれの重心と上記断面曲線の最外点との距離に対する、上記重心の位置データに基づいて最小二乗法により描いた最小二乗直線と上記重心との距離の比が0.1〜3%にあることが望ましい。

    即ち、ハニカム構造体60において、D3−1に対するr 、D3−2に対するr 及びD3−3に対するr が、それぞれ0.1〜3%にあることが望ましい。 0.1%未満であると、セラミックブロックに長手方向に垂直な断面曲線の重心に殆どばらつきがないこととなり、ハニカム構造体の押し抜き強度が低くなることがあり、一方、3%を超えると、セラミックブロックの面厚の不均等が大きくなり、例えば、第二の本発明のハニカム構造体を排気ガス浄化装置として用いるためにマット状保持シール材を介してケーシング内に設置すると、使用するに従ってがたつきが生じてしまい、返って押し抜き強度が低くなり、耐久性に劣ることがある。 さらに、ケーシング内に設置すること自体が困難となる。

    上記微小彎曲型ハニカム構造体のその他の構成や該ハニカム構造体を構成する材料等は、上述した本発明のハニカム構造体において、集合体型ハニカム構造体として説明したものと同様のものが挙げられるため、ここではその詳しい説明を省略する。
    なお、重心不一致型ハニカム構造体や微小彎曲型ハニカム構造体も上述した本発明のハニカム構造体と同様に、排気ガス浄化用ハニカムフィルタや触媒コンバータとして機能するようにしてもよい。

    以上、説明したように、微小彎曲型ハニカム構造体は、セラミックブロックの外周面に凹凸が形成され、該セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く断面曲線の重心と、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く他の断面曲線の重心とが、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在せず、そのばらつきも所定の範囲に制御されているため、押し抜き強度とともに耐久性に優れたものとなる。
    従って、例えば、微小彎曲型ハニカム構造体を排気ガス浄化装置として、マット状保持シール材等を介してケーシング内に設置し、ハニカム構造体の一方の端面側から排気ガス等による圧力が加えられた場合であっても、上記ハニカム構造体が上記ケーシング内でズレてしまうことは殆どない。
    このような微小彎曲型ハニカム構造体も排気ガス浄化用ハニカムフィルタや触媒コンバータとして好適に用いることができる。

    次に、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
    第一の本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法であって、上記多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料を含むセラミック成形体を乾燥させることにより得られたセラミック乾燥体の外周加工を行い、その形状が異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製する工程を含むことを特徴とする。

    第一の本発明のハニカムフィルタの製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法である。 即ち、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体の構造は、上述した集合体型ハニカム構造体である。

    第一の本発明のハニカム構造体の製造方法では、まず、上記多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料を含む混合組成物を調製し、該混合組成物を用いて押出成形を行うことにより角柱形状のセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程を行う。

    上記混合組成物としては特に限定されないが、製造後のハニカム構造体の気孔率が20〜80%程度となるものが好ましく、例えば、セラミック粉末とバインダーと分散媒液とを混合したものが挙げられる。

    上記セラミック粉末としては特に限定されず、例えば、コージェライト、アルミナ、シリカ、ムライト等の酸化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、及び、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化珪素と珪素の複合体等の粉末を挙げることができるが、これらのなかでは、耐熱性が大きく、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化ケイ素が好ましい。

    上記セラミック粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。

    上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
    上記バインダーの配合量は特に限定されないが、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が好ましい。

    上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。 上記分散媒液は、上記混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。

    また、上記セラミック粉末、バインダー及び分散媒液とともに、分散剤が含まれていてもよい。 上記分散剤としては特に限定されず、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル・ジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等が挙げられる。 また、この分散剤は、セラミック粉末100重量部に対して0.1〜5重量部添加されることが好ましい。

    これらセラミック粉末、バインダー及び分散媒液等は、アトライター等で混合し、ニーダー等で充分に混練することで上記混合組成物を調製することができる。

    上記混合組成物を用いて押出成形を行うことにより角柱形状で複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状成形体を作製し、この成形体を所定の長さに切断することにより図2(a)に示した多孔質セラミック部材20と略同形状の角柱形状のセラミック成形体を作製する。

    第一の本発明のハニカム構造体の製造方法では、次に、上記セラミック成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機及び凍結乾燥機等を用いて乾燥させてセラミック乾燥体とする。
    次に、上記セラミック乾燥体の外周加工を行い、その形状が異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製する外周加工工程を行う。 具体的には、図2(b)及び(c)に示した多孔質セラミック部材200及び210と略同形状の貫通孔となる部分の一部が削除され、残った部分が外周面に露出することにより凹凸が形成されたセラミック乾燥体を作製する。
    後述する焼成工程を経てその形状の異なる複数種類の多孔質セラミック部材を製造し、続くブロック作製工程において、これら形状の異なる複数種類の多孔質セラミック部材を組み合わせて接着し、その外周面に凹凸を有する略円柱形状のセラミックブロックを作製するためである。

    上記セラミック乾燥体の外周加工方法において、その形状が異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製する方法としては特に限定されず、例えば、特開2000−001718号公報に開示された、一端部に砥石が形成され、その内径がセラミックブロックの外径と略同じ大きさに調整された円筒形状の切削部材を、円筒の中心を回転軸として回転させながら角柱形状のセラミック乾燥体の一方の端面側からその外周の一部を切削するように長手方向に移動させる方法や、特開2000−001719号公報に開示された、円板形状の台金部の外周部を含む部分に砥石が配設された切削部材を、台金部の中心を回転軸として回転させながら角柱形状のセラミック乾燥体の外周に接触させ、該切削部材をセラミック乾燥体の長手方向に移動させることで外周の一部を切削する方法等が挙げられる。

    上記外周加工工程において、上記セラミック乾燥体の外周面の一部に形成する凹凸の大きさは、目的とするハニカム構造体の大きさにより適宜決定されるが、後述するセラミックブロック作製工程を経て作製されるセラミックブロックの外周面に形成される凹凸の大きさが、上述した第一の本発明のハニカム構造体におけるセラミックブロックの外周面に形成された凹凸の大きさと同じとなるように調整することが望ましい。 第一の本発明のハニカム構造体の製造方法により、熱衝撃に対する強度(耐久性)に優れる第一の本発明のハニカム構造体を製造することができるからである。
    なお、後述するコート層形成工程を行う場合、セラミックブロック作製工程にて作製されるセラミックブロックの外周面に形成される凹凸の大きさが、第一の本発明のハニカム構造体におけるセラミックブロックの外周面に形成された凹凸よりも大きくなるような凹凸を上記セラミック乾燥体の外周面に形成しておき、続く上記コート層形成工程で上記セラミックブロックの外周面に形成されるコート層により、上記外周面に形成された凹凸の大きさを調整してもよい。

    次に、上記形状の異なる複数種類のセラミック乾燥体を150〜700℃程度に加熱して、上記セラミック乾燥体に含まれるバインダーを除去し、セラミック脱脂体とする脱脂処理を施す。
    上記セラミック乾燥体の脱脂工程は、通常、セラミック乾燥体を脱脂用治具に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、300〜650℃に加熱することにより行う。 これにより、上記バインダー等の大部分が揮散するとともに、分解、消失する。

    そして、上記セラミック脱脂体を窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃程度に加熱することで焼成し、セラミック粉末を焼結させて多孔質セラミック部材を製造する焼成工程を行う。

    なお、脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、焼成用治具上に上記セラミック乾燥体を載せ、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが好ましい。 脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え等において、セラミック乾燥体が傷つくのを防止することができるからである。

    上記多孔質セラミック部材は、平均粒径の下限が2μm、上限が150μmのセラミック結晶からなるものであることが望ましく、下限が10μm、上限が70μm のセラミック結晶からなるものであることがより望ましい。 上記セラミック結晶の平均粒径が2μm未満であると、多孔質セラミック部材の内部に存在する気孔の気孔径が小さくなりすぎ、直ぐに目詰まりを起こすため、フィルタとして機能することが困難となる。 一方、上記セラミック結晶の平均粒径が150μmを超えると、その内部に存在する気孔の気孔径が大きくなりすぎ、多孔質セラミック部材の強度が低下してしまうおそれがある。 また、所定の割合の開放気孔を有し、平均粒径が150μmを超えるようなセラミック結晶を有する多孔質セラミック部材を製造すること自体が余り容易でない。
    また、このような多孔質セラミック部材の平均気孔径は1〜40μmであることが望ましい。

    次に、上記製造したその形状の異なる複数種類の多孔質セラミック部材をシール材(接着剤)ペーストを介して組み合わせ、略円柱形状のセラミックブロックを作製するセラミックブロック作製工程を行う。

    このセラミックブロック作製工程においては、例えば、刷毛、スキージ、ロール等を用いて、多孔質セラミック部材の2つの側面の略全面にシール材(接着剤)ペースト塗布し、所定の厚さのシール材(接着剤)ペースト層を形成する。
    そして、このシール材(接着剤)ペースト層を形成してから、他の多孔質セラミック部材を接着する工程を繰り返して行い、所定の大きさで図1に示したハニカム構造体10 ような円柱状のセラミック積層体を作製する。

    ここで、上記シール材(接着剤)ペースト層を介して接着される多孔質セラミック部材の数は、目的とするセラミックブロックの形状、大きさ等を考慮して適宜決定される。
    なお、上記セラミック積層体の外周付近には、図2(b)及び(c)に示した形状の多孔質セラミック部材を用い、上記セラミック積層体の外周付近以外の部分には、図2(a)に示した形状の多孔質セラミック部材を用いることが望ましい。 円柱形状のセラミックブロックを作製するためである。 このようなセラミック積層体は、その外周面に貫通孔の一部が切除され、残った部分が露出することにより凹凸が形成されている。

    次に、このようにして作製したセラミック積層体を、例えば、50〜150℃、1時間の条件で加熱してシール材(接着剤)ペースト層を乾燥、硬化させ、シール材(接着剤)を形成し、多孔質セラミック部材がシール材(接着剤)層を介して複数個結束されたセラミックブロックを作製し、集合体型ハニカム構造体を製造する。

    上記シール材(接着剤)ペーストを構成する材料としては、第一の本発明のハニカム構造体において説明したシール材(接着剤)層を構成する材料と同様の材料が挙げられる。
    また、上記シール材(接着剤)ペーストにより形成されたシール材(接着剤)層中には、さらに少量の水分や溶剤等を含んでいてもよいが、このような水分や溶剤等は、通常、シール材(接着剤)ペーストを塗布した後の加熱等により殆ど飛散する。

    第一の本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックを作製した後、該セラミックブロックの外周面にシール材(コート)層を形成するシール材(コート)層形成工程を行ってもよい。 また、シール材(コート)層を形成した後、外周部分の加工を行うことにより、ハニカム構造体の外周面に形成された凹凸の大きさを制御する。

    上記シール材(コート)層を構成する材料としては特に限定されるものではないが、無機繊維、無機バインダー等の耐熱性の材料を含むものが好ましい。 上記シール材(コート)層は、上述したシール材(接着剤)層と同じ材料により構成されていてもよい。

    上記シール材(コート)層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、回転手段を備えた支持部材を使用し、上記セラミックブロックをその回転軸方向に軸支、回転させ、上記シール材(コート)層となるシール材(コート)ペーストの塊を、回転しているセラミックブロックの外周部に付着させる。 そして、板状部材等を用いてシール材(コート材)ペーストを引き延ばし、シール材(コート材)ペースト層を形成し、この後、例えば、120℃以上の温度で乾燥させることにより、水分を蒸発させることで、セラミックブロックの外周部にシール材(コート)層を形成する方法を挙げることができる。

    以上説明したように、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法よると、脆性材料であるセラミックに切削加工を施すことがないため、上記セラミックブロックの外周に欠けを発生させることなく、その外周面に凹凸が形成され、複数の多孔質セラミック部材がシール材(接着剤)層を介して結束された構造のセラミックブロックを含むハニカム構造体を製造することができる。
    また、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、外周加工工程においてセラミック乾燥体の外周面の一部に形成する凹凸の大きさを調整したり、シール材(コート)層形成工程においてセラミックブロックの外周面形成するシール材(コート)層の厚さを調整したりすることにより、セラミックブロックの外周面に形成された凹凸の大きさが所定の範囲に制御された第一の本発明のハニカム構造体を製造することができる。

    さらに、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記外周加工工程にて予めその形状の異なる複数種類のセラミック乾燥体を作製しており、このようなセラミック乾燥体を用いて脱脂工程及び焼成工程を行うと、製造される多孔質セラミック部材には、多少の反りが発生する。 そのため、上記多孔質セラミック部材の反りの向きや大きさをシール材(接着剤)層の厚さ等により制御しながら製造されるハニカム構造体は、セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が形成する断面曲線の重心と、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が形成する他の断面曲線の重心とが、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在しないこととなる。 即ち、第一の本発明のハニカム構造体の製造方法によると、重心不一致型ハニカム構造体を製造することができる。

    次に、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
    第二の本発明のハニカム構造体の製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層(接着材層)を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法であって、複数種類の断面形状を有するセラミック成形体を押出成形法により作製する工程を含むことを特徴とする。

    第二の本発明のハニカムフィルタの製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された多孔質セラミック部材がシール材層(接着材層)を介して複数個結束された柱状のセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体の製造方法である。 即ち、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体の構造は、本発明のハニカム構造体の製造方法と同様に集合体型ハニカム構造体である。

    第二の本発明のハニカム構造体の製造方法では、まず、上記多孔質セラミック部材を構成するセラミック材料を含む混合組成物を調製し、該混合組成物を用いて複数種類の断面形状を有するセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程を行う。
    即ち、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記混合組成物を押出成形することにより、角柱形状のセラミック成形体、及び、その外周面の一部に凹凸が形成されたセラミック成形体を作製する。

    ここで、上記その外周面の一部に凹凸が形成されたセラミック成形体の上記凹凸は、例えば、図2(a)〜(c)に示した多孔質セラミック部材20、200、210のように、貫通孔の一部が切除され、残った部分が外周面に露出したものであってもよいが、例えば、図5(a)に示したハニカム構造体50の外周付近を構成する多孔質セラミック部材のように階段状に形成されたものであってもよい。

    上記セラミック成形体の外周面の一部に形成される凹凸の大きさは、目的とするハニカム構造体の大きさにより適宜決定されるが、本発明のハニカム構造体の製造方法において、セラミック乾燥体の外周面の一部に形成した凹凸と同じ大きさに制御することが望ましい。 第二の本発明のハニカム構造体の製造方法により、アイソスタティック強度に優れる本発明のハニカム構造体を製造することができるからである。

    その後、作製した上記複数種類の断面形状を有するセラミック成形体を用いて、本発明のハニカム構造体の製造方法と同様の乾燥工程、脱脂工程、焼成工程及びセラミックブロック作製工程を行い、必要に応じてシール材(コート)層形成工程を行うことにより、セラミックブロックの外周面に凹凸が形成されたハニカム構造体を製造することができる。

    以上説明したように、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法よると、脆性材料であるセラミックに切削加工を施すことがないため、上記セラミックブロックの外周に欠けを発生させることなく、その外周面に凹凸が形成され、複数の多孔質セラミック部材がシール材層(接着剤層)を介して結束された構造のセラミックブロックを含むハニカム構造体を製造することができる。
    また、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、セラミック成形体作製工程においてセラミック成形体の外周面の一部に形成する凹凸の大きさを調整したり、シール材(コート)層形成工程においてセラミックブロックの外周面形成するシール材(コート)層の厚さを調整したりすることにより、セラミックブロックの外周面に形成された凹凸の大きさが所定の範囲に制御された本発明のハニカム構造体を製造することができる。

    さらに、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミック成形体作製工程にて予めその形状の異なる複数種類のセラミック成形体を作製しており、このようなセラミック成形体を用いて乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程を行うと、製造される多孔質セラミック部材には反りが発生する。 そのため、上記多孔質セラミック部材の反りの向きや大きさをシール材(接着剤)層の厚さ等により制御しながら製造されるハニカム構造体は、セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が形成する断面曲線の重心と、上記セラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が形成する他の断面曲線の重心とが、上記セラミックブロックの長手方向に平行な直線上に存在しないこととなる。 即ち、第二の本発明のハニカム構造体の製造方法によると、微小彎曲型ハニカム構造体を好適に製造することができる。

    次に、本発明の排気ガス浄化装置について説明する。
    本発明の排気ガス浄化装置は、本発明のハニカム構造体がマット状保持シール材を介して内燃機関の排気通路に接続するケーシング内に設置された排気ガス浄化装置であって、上記マット状保持シール材は、上記ハニカム構造体のセラミックブロックの外周面の凹部を充填した状態で組み付けられていることを特徴とする。

    図7は、本発明の排気ガス浄化装置の一例を模式的に示した断面図であり、図8(a)は、図7に示した排気ガス浄化装置におけるマット状保持シール材を巻き付けたハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、その部分拡大断面図である。

    図7に示したように、本発明の排気ガス浄化装置70は、主に、ハニカム構造体80、ハニカム構造体80の外方を覆うケーシング71、及び、ハニカム構造体80とケーシング71との間に配置されたマット状保持シール材72から構成されており、ケーシング71の排気ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管74が接続されており、ケーシング71の他端部には、外部に連結された排出管75が接続されている。 なお、図7中、矢印は排気ガスの流れを示している。
    なお、本発明の排気ガス浄化装置70において、ハニカム構造体80は、図1、図3及び図5に示したような本発明のハニカム構造体であってもよく、図6に示したような第二の本発明のハニカム構造体であってもよい。

    また、本発明の排気ガス浄化装置70において、ハニカム構造体80が排気ガス中のパティキュレートを壁部にて捕集し、浄化する所謂ハニカムフィルタとして機能する場合、ハニカム構造体80を構成するセラミックブロックの一方の端部で該セラミックブロックに形成された貫通孔のうち、所定の貫通孔が封止材により封止され、一方、上記セラミックブロックの他方の端部で、上記一方の端部で上記封止材により封止されていない貫通孔が封止材により封止されている。
    即ち、この場合、排気ガス浄化装置70では、エンジン等の内燃機関から排出された排気ガスは、導入管74を通ってケーシング71内に導入され、ハニカム構造体80(ハニカムフィルタ)の貫通孔から壁部(隔壁)を通過してこの壁部(隔壁)でパティキュレートが捕集されて浄化された後、排出管75を通って外部へ排出されることとなる。

    一方、本発明の排気ガス浄化装置70において、ハニカム構造体80の壁部に排気ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化する所謂触媒コンバータとして機能する場合、ハニカム構造体80の壁部の表面や気孔中には、上記排気ガス中のCO、HC及びNOx等を浄化することができる触媒、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属等が担持されている。
    即ち、この場合、排気ガス浄化装置70では、エンジン等の内燃機関から排出された排気ガスは、導入管74を通ってケーシング71内に導入され、ハニカム構造体80(触媒コンバータ)の貫通孔を通る際、上記排気ガス中のCO、HC及びNOx等が触媒と接触し、浄化された後、排出管75を通って外部へ排出されることとなる。

    本発明の排気ガス浄化装置70において、ハニカム構造体80(セラミックブロック)は、図8(b)に示したように、その外周面に形成された凹凸部にシール材(コート材)701が形成され、その外周面にも凹凸が設けられ、マット上保持シール材72を介してケーシング71内に組み付けられている。
    ハニカム構造体80がマット状保持シール材72により上記のように保持されることで、ハニカム構造体80とマット状保持シール材72との間には、所謂アンカー効果が得られ、使用中にハニカム構造体とマット状保持シール材との間に位置ズレが発生しにくくなり、本発明の排気ガス浄化装置の耐久性を向上させることができるとともに、排気ガスがハニカム構造体80の外周部分から排気ガスが漏出することを防止することもできる。
    特に、本発明の排気ガス浄化装置におけるハニカム構造体が重心不一致型ハニカム構造体や微小彎曲型ハニカム構造体である場合、上述したように、重心不一致型ハニカム構造体や微小彎曲型ハニカム構造体は、その押し抜き強度が非常に優れたものであるため、導入管からケーシング内に流入した排気ガスによりハニカム構造体の一方の端面に大きな圧力が加わった場合であっても、該ハニカム構造体は、排気ガスの流通方向にズレることはなく、本発明の排気ガス浄化装置は、非常に耐久性に優れたものとなる。

    なお、図8(b)において、ハニカム構造体80のセラミックブロックの外周面に形成された凹凸は、図5(a)に示したハニカム構造体50のように階段状であるが、上記セラミックブロックの外周面に形成された凹凸は、勿論図2又は図3に示したように、セラミックブロックを構成する貫通孔の一部が削除され、残った部分が外周面に露出したものであってもよい。

    マット状保持シール材72は、ハニカム構造体80をケーシング71内で保持、固定するとともに、使用中のハニカム構造体80を保温する断熱材として機能する。
    このようなマット状保持シール材72を構成する材料としては特に限定されず、例えば、結晶質アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、ムライト、シリカ繊維等の無機繊維や、これらの無機繊維を一種以上含む繊維等が挙げられる。 また、バーミキュライトを実質上含まない無膨張性マット、バーミキュライトを少量含む低膨張性マットが挙げられるが、実質上バーミキュライトを含まない無膨張性マットが好ましい。

    また、マット状保持シール材72には、アルミナ及び/又はシリカが含有されていることが望ましい。 マット状保持シール材72の耐熱性及び耐久性が優れたものとなるからである。 特に、マット状保持シール材72は、50重量%以上のアルミナが含有されていることが望ましい。 900〜950℃程度の高温下であっても、弾性力が高くなり、ハニカム構造体80を保持する力が高まるからである。

    また、マット状保持シール材72には、ニードルパンチ処理が施されていることが望ましい。 保持シール材72を構成する繊維同士が絡み合い、弾性力が高くなり、ハニカム構造体80を保持する力が向上するからである。

    このような材料からなるマット状保持シール材72は、図8(a)に示したように、ハニカム構造体80の外周面の略全体を覆うように巻き付けられていることが望ましい。 ハニカム構造体80を均一に握持することができ、ハニカム構造体80の保持安定性に優れるからである。
    また、本発明のマット状保持シール材は、無膨張マットからなるものであってもよい。

    以上、説明したように、本発明の排気ガス浄化装置は、本発明のハニカム構造体のセラミックブロックの外周面の凹部にマット状保持シール材が充填した状態でケーシング内に組み付けられているため、上記セラミックブロックとマット状保持シール材との間には、所謂アンカー効果が生じ、上記ハニカム構造体の保持安定性が優れたものとなる。
    従って、本発明の排気ガス浄化装置は、使用中にケーシング内に流入してくる排気ガスの圧力やハニカム構造体の温度上昇等によりマット状保持シール材によるハニカム構造体の握持力が低下したり、ハニカム構造体の位置ズレが生じたりすることがなく、耐久性に優れたものとなる。

    以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。

    (実施例1)
    平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.28μmのα型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合組成物を調製した。
    この混合組成物を押出成形機に充填し、押出速度2cm/minにてハニカム形状の炭化珪素からなる図2(a)に示した多孔質セラミック部材20とほぼ同様の角柱形状のセラミック成形体を作製した。 このセラミック成形体の大きさは35mm×35mm×300mmで、貫通孔の数が31/cm で、隔壁の厚さが0.35mmであった。

    これらのセラミック成形体をマイクロ波や熱風による乾燥機を用いて乾燥させ、炭化珪素からなるセラミック乾燥体とした後、円板形状の台金部の外周部を含む部分に砥石が配設された切削部材を用いてその外周の一部を切削する外周加工を行い、図2(b)及び図2(c)に示したような角柱の一部が切除され、その部分に貫通孔の一部が露出したセラミック乾燥体を作製した。

    これらのセラミック乾燥体を450℃で脱脂し、さらに、2200℃で加熱焼成することで炭化珪素からなり、その形状が異なる複数種類の多孔質セラミック部材を製造した。
    このとき、製造する多孔質セラミック部材に反りが発生することのないように、セラミック乾燥体の外周部分をセラミック乾燥体の外形と略同形状の保持部を有する固定治具で保持固定し、ゆっくりと昇温した。

    次に、繊維長0.2mmのアルミナファイバー30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材(接着剤)ペーストを用いて上記複数種類の多孔質セラミック部材を多数結束させ、その後上記シール材(接着剤)ペーストを乾燥させることにより、円柱形状のセラミックブロックを作製した。
    このようにして製造したセラミックブロックについて、三次元測定機(ミツトヨ社製、BH−V507)を用いて、上記実施の形態において本発明のハニカム構造体で説明した方法により、M2を求めたところ、0.0mmであった。
    そこで、セラミックブロックの外周面に研作加工を加えてM2=0.5mmとした。

    そして、上記セラミックブロックの外周面に上記シール材(接着剤)ペーストと同様の組成であって、該セラミックブロックの外周面に形成された凹凸に沿った形状のシール材(コート)層を形成することで、多数の炭化珪素からなる多孔質セラミック部材がシール材(接着剤)層を介して結束され、その外周面に凹凸が形成されたセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体を製造した。

    このようにして製造したハニカム構造体について、同様に三次元測定機を用いて、上記セラミックブロックと同様の方法で、M1を求めたところ、凹凸がなく、0.0mmであった。
    そのあとで、ハニカム構造体に凹凸を設けるようにシール材(コート)層に加工を加え、M1=0.3mmとした。

    (実施例2〜11、参考例1〜4及び比較例1〜12)
    実施例1と同様に、得られたセラミックブロックやハニカム構造体の加工を行い、表面の凹凸を調整することで、それぞれ、表1に記載のM1、M2の値を持つハニカム構造体(セラミックブロック)を作製した。
    なお、実施例10〜11では、シール材(接着剤)ペーストとして、繊維長20μmのアルミナファイバー30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材(接着剤)ペーストを用いたほかは、実施例1と同様にしてセラミックブロックを作製して加工を行い、ハニカム構造体を製造して加工を行った。 また、比較例1では、得られたセラミックブロック、ハニカム構造体の加工を行わなかったほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。

    [評価試験1−熱衝撃試験]
    実施例1〜11、参考例1〜4及び比較例1〜12に係るハニカム構造体を電気炉にいれて、20℃/分で目標温度に昇温させて、600℃又は800℃で1時間保持させた後に、常温に空冷した。 その時のクラックの有無を目視で確かめた。 その結果を表1に示す。

    [評価試験2−押し抜き強度の測定]
    実施例1〜11、参考例1〜4及び比較例1〜12に係るハニカム構造体の周囲に、厚さ7mmの無膨張性アルミナファイバマット(三菱化学製 マフテック)を巻き、金属製の円筒ケースにはめ込んだ後に、インストロンで押しぬき荷重をかけ、抜けが発生する強度を測定した。 その結果を表1に示す。

    表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜11に係るハニカム構造体の押しぬき荷重はいずれも10kgを超える大きなものであり、実施例1〜11に係るハニカム構造体は、熱衝撃を加えた時でも、ハニカム構造体の外周面付近にクラック等は一切発生していなかった。
    一方、比較例1〜12のハニカム構造体では、押し抜き荷重が低いものもあり、押し抜き荷重が高いものであっても、熱衝撃が弱いものであった。

    (実施例12)
    次に、セラミックブロックの重心c2とハニカム構造体の重心c1との位置をずらたハニカム構造体を製造した。
    具体的には、実施例1と同様にして、M2=0.5mmであるハニカム構造体を製造し、その後、シール材(コート)層の厚みバランスを変更させることによってM2=0.5mmのハニカム構造体を作製した。

    (実施例13〜19及び参考例5〜6)
    実施例12の場合と同様にシール材(コート)材の厚みを変更させることによって、表2に記載のM1、M2、 重心 c1 と重心 c2 との距離の各値を有するセラミックブロック、ハニカム構造体を製造した。 なお、実施例18〜19では、実施例10〜11と同様のシール材(接着剤)ペーストを用い、表2に記載のM1、M2、 重心 c1 と重心 c2 との距離の各値を有するセラミックブロック、ハニカム構造体を製造した。

    実施例12〜19及び参考例5〜6に係るハニカム構造体を、実施例1〜11等の場合と同様に、アルミナマットで巻き金属ケースに入れた後、押しぬき荷重を加えた。
    また、得られたハニカム構造体を電気炉で600℃、30時間、熱処理した上で、同様に押しぬき荷重を測定した。 なお、表2に示す熱処理後強度減少率とは、熱処理前の押し抜き荷重に対する熱処理後の押し抜き荷重の割合を百分率で示したものである。 また、図11は、実施例12〜19の結果を示したグラフである。

    表2及び図11に示すように、実施例12〜19では、70%以上の強度減少率、すなわち熱処理後も70%以上の押し抜き強度を有していたが、参考例5、6では、強度減少率は60%をきるものであった。
    なお、実施例1〜19、参考例1〜6及び比較例1〜12に係るハニカム構造体を製造する際、セラミックブロックの外周面に欠けやクラック等が発生することはなかった。

    (実施例20)
    平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.28μmのα型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合組成物を調製した。
    この混合組成物を押出成形機に充填し、押出速度2cm/minにてハニカム形状の炭化珪素からなる複数種類のセラミック成形体を作製した。 このセラミック成形体の1つは、図2(a)に示した多孔質セラミック部材20とほぼ同様の角柱であり、その大きさは35mm×35mm×300mmで、貫通孔の数が31/cm で、隔壁の厚さが0.35mmであった。
    また、上記混合組成物を用いて図2(b)及び図2(c)に示したような角柱の一部が切除され、その部分に貫通孔が露出した多孔質セラミック部材200、210と略同形状のセラミック成形体も作製した。

    これらのセラミック成形体をマイクロ波や熱風による乾燥機を用いて乾燥させ、炭化珪素からなるセラミック乾燥体とし、このセラミック乾燥体に、上記混合組成物と同成分の充填材ペーストを用いて、上記セラミック乾燥体の貫通孔の所定箇所に充填材を端面から10mmの深さにまで充填した後、450℃で脱脂し、さらに、2200℃で加熱焼成することで炭化珪素からなり、その形状が異なる複数種類の多孔質セラミック部材を製造した。

    上記セラミック乾燥体から多孔質セラミック部材を製造する工程では、セラミック成形体特に反りが残った状態で固定治具に保持固定することで 、得られた多孔質セラミック部材反りを生じさせた。

    次に、繊維長0.2mmのアルミナファイバー30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材(接着剤)ペーストを用いて上記複数種類の多孔質セラミック部材を多数結束させ、その後上記シール材(接着剤)ペーストを乾燥させることにより、円柱形状のセラミックブロックを作製した。

    そして、上記セラミックブロックの外周面に上記シール材(接着剤)ペーストと同様の組成であって、該セラミックブロックの外周面に形成された凹凸に沿った形状のシール材(コート)層を形成することで、多数の炭化珪素からなる多孔質セラミック部材がシール材(接着剤)層を介して結束され、その外周面に凹凸が形成されたセラミックブロックを含んで構成されたハニカム構造体を製造した。

    (実施例21〜27及び参考例7〜8)
    実施例20の場合と同様に多孔質セラミック部材に反りを生じさせることによって、最小二乗直線からのずれが表3に記載の値となっているハニカム構造体を製造した。 なお、実施例26〜27では、シール材(接着剤)ペーストとして、繊維長20μmのアルミナファイバー30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材(接着剤)ペーストを用いたほかは、実施例20と同様にして最小二乗直線からのずれが表3に記載の値となっているハニカム構造体を製造した。

    このようにして製造した実施例20〜27及び参考例7、8に係るハニカム構造体について、三次元測定機(ミツトヨ社製、BH−V507)を用いて、上記実施の形態において第二の本発明のハニカム構造体で説明した方法により、セラミックブロックの長手方向に垂直な断面曲線における重心と該断面曲線の最外点との距離に対する、上記重心と最小二乗曲線との距離の比を上記セラミックブロックの長手方向に平行で等間隔に5箇所について求めたところ、0.1mmであった。

    実施例20〜27及び参考例7〜8に係るハニカム構造体を同様に、アルミナマットで巻き金属ケースに入れた後、押しぬき荷重を加えた。
    そして、それを電気炉で600℃、30時間、熱処理した上で、同様に押しぬき荷重を測定した。 図12は、実施例16〜21の結果を示したグラフである。

    表3及び図12に示すように、実施例20〜27では、69%以上の強度減少率であったが、参考例7〜8では、強度減少率は60%をきるものであった。

    本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図である。

    (a)〜(c)は、本発明のハニカム構造体を構成する多孔質セラミック部材の一例を模式的に示した斜視図である。

    本発明のハニカム構造体の別の一例を模式的に示した斜視図である。

    (a)は、上記セラミックブロックの断面の輪郭上の点についての位置データを2次元座標軸上にプロットし、描かれる曲線の一例を示した図であり、(b)は、(a)に示した位置データを用いて最小二乗法により描いた最小二乗曲線と、該最小二乗曲線について、JIS B 06210に準拠して真円度を求める際の最小領域を生成する二つの円との一例を示した図である。

    (a)は、本発明のハニカム構造体における集合体型ハニカム構造体の別の一例を模式的に示した正面図であり、(b)は、一体型ハニカム構造体の別の一例を模式的に示した正面図である。

    (a)は、本発明のハニカム構造体の他の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、(a)に示したハニカム構造体のA、B及びCにおけるセラミックブロックの長手方向に垂直な断面の輪郭が描く断面曲線を模式的に示した斜視図である。

    本発明の排気ガス浄化装置の一例を模式的に示した断面図である。

    (a)は、図7に示した排気ガス浄化装置におけるマット状保持シール材を巻き付けたハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、その部分拡大断面図である。

    従来のハニカムフィルタの一例を模式的に示した斜視図である。

    (a)は、従来のハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。

    実施例10〜15の結果を示したグラフである。

    実施例16〜21の結果を示したグラフである。

    符号の説明

    10、30、50、60、500 セラミック構造体11、61 シール材(接着剤)層20、200、210、65 多孔質セラミック部材21、31、201、211 貫通孔22、32、202、212 壁部

    QQ群二维码
    意见反馈