Honeycomb structural body

申请号 JP2002295857 申请日 2002-10-09 公开(公告)号 JP4532063B2 公开(公告)日 2010-08-25
申请人 日本碍子株式会社; 发明人 周一 市川; 直 桝川;
摘要
权利要求
  • 隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するセル構造体と、前記セル構造体の外周に配設された外壁とを備えたハニカムセグメントの複数個が、これらの前記外壁どうしが、接合材によって接合層が形成されることにより一体化されてなるハニカム構造体であって、
    前記ハニカムセグメントが、炭化珪素(SiC)から構成されてなるか、又は前記炭化珪素(SiC)を骨材として、かつ珪素(Si)を結合材として形成された珪素−炭化珪素系複合材料から構成されてなり、
    前記接合材が、無機粒子と、無機繊維と、コロイド状酸化物とを含んでなり、
    前記接合材が、その粒子径(μm)が前記外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上 (但し、平均表面粗さRaは、ISO4287/1により測定した算術平均粗さをいい、外壁表面の凹凸の平均線からの絶対値偏差の平均値として算出した値を示す。)である無機粒子を、前記接合材の全体に対して30質量%を超えては含まないことを特徴とするハニカム構造体。
  • 前記接合材が、その粒子径(μm)が前記外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上である無機粒子を、前記接合材の全体に対して15質量%を超えては含まない請求項1に記載のハニカム構造体。
  • 前記接合材が、その粒子径(μm)が前記外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上である無機粒子を、前記接合材の全体に対して5質量%を超えては含まない請求項1に記載のハニカム構造体。
  • 前記無機繊維の、径方向の長さの平均値が1〜20μm、軸方向の長さの平均値が10〜100μmである請求項 1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  • 前記接合層の厚みが、0.5〜3mmである請求項1〜 のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  • 前記外壁における前記接合層が形成された部分の面積の、前記外壁の合計面積に対する割合が、70%以上である請求項1〜 のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  • 各々の前記ハニカムセグメントの前記外壁における前記接合層が形成された部分の面積の、各々の前記ハニカムセグメントの前記外壁の合計面積に対する割合が、70%以上である請求項1〜 のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  • 各々の前記ハニカムセグメントの前記外壁における前記接合層が形成された部分の面積の、各々の前記ハニカムセグメントの前記外壁における、他の前記ハニカムセグメントと接合された前記外壁(接合外壁)の面積に対する割合が、70%以上である請求項1〜 のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、内燃機関、ボイラー、化学反応機器、及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体、又は排ガス中の微粒子捕集フィルタ等に好適に用いることができるハニカム構造体に係り、更に詳しくは、それを構成するハニカムセグメントどうしが、接合材により強固に接合されて一体化したハニカム構造体に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    内燃機関、ボイラー、化学反応機器、及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体、又は排ガス中の微粒子、特にディーゼル微粒子の捕集フィルタ(以下、DPFという)等にハニカム構造体が用いられている。
    【0003】
    このような目的で使用されるハニカム構造体は、一般に、図1(a)及び図1(b)に示すように、隔壁24によって区画された流体の流路となる複数のセル23を有し、端面が市松模様状を呈するように、隣接するセル23が互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有する。 このような構造を有するハニカム構造体21において、被処理流体は流入孔側端面25が封止されていないセル23、即ち流出孔側端面26で端部が封止されているセル23に流入し、多孔質の隔壁24を通って隣のセル23、即ち、流入孔側端面25で端部が封止され、流出孔側端面26が封止されていないセル23から排出される。 この際、隔壁24がフィルタとなり、例えば、DPFとして使用した場合には、ディーゼルエンジンから排出されるスート(スス)等が隔壁24に捕捉され隔壁24上に堆積する。
    【0004】
    このように使用されるハニカム構造体21は、排気ガスの急激な温度変化や局所的な発熱によってハニカム構造21内の温度分布が不均一となり、ハニカム構造体21にクラックを生ずる等の問題があった。 特に、DPFとして使用する場合には、溜まったカーボン微粒子を燃焼させて除去し再生することが必要であり、この際に局所的な高温化がおこり、再生温度の不均一化による再生効率の低下及び大きな熱応によるクラックが発生し易いという問題があった。
    【0005】
    このため、ハニカム構造体を複数に分割したセグメントを接合材により接合する方法が提案されており、具体的には、多数のハニカム体を不連続な接合材で接合するハニカム構造体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
    【0006】
    また、セラミックス材料よりなるハニカム構造のマトリックスセグメントを押出し成形し、焼成後その外周部を加工して平滑にした後、その接合部に焼成後の鉱物組成がマトリックスセグメントと実質的に同じで、かつ熱膨張率の差が800℃において0.1%以下となるセラミックス接合材を塗布し、焼成する耐熱衝撃性回転蓄熱式が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
    【0007】
    更に、コージェライトのハニカムセグメントを、同じくコージェライトセメントで接合したセラミックスハニカム構造体が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
    【0008】
    このようなハニカムセグメントを一体化してなるフィルタにおいて、ハニカムセグメントどうしの接合強度を確保することは重要な課題である。 接合強度は、ハニカムセグメントの外壁の表面の凹凸に、接合材に含まれる粒子が食い込むことにより生ずる効果(アンカー効果)により発現すると考えられる。 このようなアンカー効果に着目した関連技術として、ハニカムセグメントの外壁の表面粗さRzを規定したハニカムフィルタが開示されている(例えば、特許文献3参照)が、ハニカムセグメントの外壁の表面粗さの絶対値を規定するために、ハニカムの気孔径・気孔率等の物理的特性が制約されたり、気孔径・気孔率等が合致しない場合には、外壁の表面粗さRzを規定の値とするために、噴射加工等の工程が必要になる等、製造工程が多くなる等の問題があった。
    【0009】
    【特許文献1】
    米国特許第4335783号公報【特許文献2】
    特公昭61−51240号公報【非特許文献1】
    SAE論文860008(1986年)
    【特許文献3】
    特開2000−279729号公報【0010】
    【発明が解決しようとする課題】
    本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、それを構成するハニカムセグメントどうしが、接合材により強固に接合されて一体化したハニカム構造体を提供することにある。
    【0011】
    【課題を解決するための手段】
    即ち、本発明によれば、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するセル構造体と、前記セル構造体の外周に配設された外壁とを備えたハニカムセグメントの複数個が、これらの前記外壁どうしが、接合材によって接合層が形成されることにより一体化されてなるハニカム構造体であって、前記接合材が、その粒子径(μm)が前記外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上である無機粒子を、前記接合材の全体に対して30質量%を超えては含まないことを特徴とするハニカム構造体が提供される。
    【0012】
    本発明においては、接合材が、その粒子径(μm)が前記外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上である無機粒子を、前記接合材の全体に対して15質量%を超えては含まないことが好ましく、5質量%を超えては含まないことが更に好ましい。
    【0013】
    本発明においては、接合材が、無機繊維と、コロイド状酸化物とを含んでなることが好ましく、この無機繊維の、径方向の長さの平均値が1〜20μm、軸方向の長さの平均値が10〜100μmであることが好ましい。
    【0014】
    本発明においては、ハニカムセグメントが、炭化珪素(SiC)から構成されてなるか、又は炭化珪素(SiC)を骨材として、かつ珪素(Si)を結合材として形成された珪素−炭化珪素系複合材料から構成されてなることが好ましい。
    【0015】
    本発明においては、接合層の厚みが、0.5〜3mmであることが好ましく、また、外壁における接合層が形成された部分の面積の、外壁の合計面積に対する割合が、70%以上であることが好ましい。
    【0016】
    本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、各々のハニカムセグメントの前記外壁の合計面積に対する割合が、70%以上であることが好ましい。
    【0017】
    一方、本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、各々のハニカムセグメントの外壁における、他のハニカムセグメントと接合された外壁(接合外壁)の面積に対する割合が、70%以上であることが好ましい。
    【0018】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
    【0019】
    既に述べたように、ハニカムセグメントどうしの接合強度は、ハニカムセグメントの外壁の表面の凹凸に、接合材に含まれる粒子が食い込むことにより生ずるアンカー効果により発現すると考えられる。 ここで、ハニカムセグメントどうしを接合するための一般的な接合材には、熱膨張率や熱伝導率等の特性を制御することで熱衝撃等に起因するクラック発生の防止等の観点から、セラミックス又は金属粉等の無機粒子が含まれるが、この無機粒子の粒子径と、ハニカムセグメントの外壁の表面粗さとの関係が、ハニカムセグメントどうしの接合強度に大きく影響を及ぼすと考えられる。 即ち、外壁の凹凸度合いに比して、無機粒子の粒子径が大きいとアンカー効果の発現が阻害されて接合強度が低下すると考えられる。
    【0020】
    本発明は、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するセル構造体と、セル構造体の外周に配設された外壁とを備えたハニカムセグメントの複数個が、これらの外壁どうしが、接合材によって接合層が形成されることにより一体化されてなるハニカム構造体であり、接合材が、その粒子径(μm)が外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍以上である無機粒子(以下、「大径無機粒子」という)を、接合材の全体に対して30質量%を超えては含まないことを特徴とするものである。 以下、その詳細について説明する。
    【0021】
    本発明のハニカム構造体は、これを構成するハニカムセグメントどうしを接合する接合材が、大径無機粒子を、接合材の全体に対して30質量%を超えては含まないものである。 即ち、外壁の平均表面粗さRa(凹凸度合い)との関係でアンカー効果の発現を阻害する要因となる、その粒子径が大きい無機粒子の接合材における含有割合を所定の数値範囲内に規定している。 従って、本発明のハニカム構造体は、ハニカムセグメントの気孔径・気孔率等の物理的特性によらず、高い接合強度が発揮されてなるものであり、例えば、その設置状況等により発生する熱応力にも耐え得るという効果を奏する。
    【0022】
    また、外壁の表面粗さに対応した接合材を調製して使用することができるため、外壁の表面粗さを規定の値とするために、噴射加工等の特別の工程は不要である。 従って、製造工程が複雑化することがなく、極めて簡便に製造することができる。 なお、本発明にいう「平均表面粗さRa(μm)」とは、ISO4287/1により測定した算術平均粗さをいい、外壁表面の凹凸の平均線からの絶対値偏差の平均値として算出した値(μm)をいう。
    【0023】
    大径無機粒子を、接合材の全体に対して30質量%を超えて含む場合には、ハニカムセグメントどうしの接合強度が著しく低下してしまい、例えば、ハニカム構造体をキャニングする場合等、実使用時に破損等の不具合を生ずる場合があるために好ましくない。 また、本発明では、大径無機粒子が接合材に一切含まれていない場合もあり得るが、熱衝撃等に起因するクラック発生の防止等の観点から、極微量(0.1質量%程度)含まれていてもよい。 なお、より高い接合強度を発揮するという観点からは、大径無機粒子を、接合材の全体に対して15質量%を超えては含まないことが好ましく、5質量%を超えては含まないことが更に好ましい。
    【0024】
    なお、本発明においては、接合材に、前述の大径無機粒子以外の無機粒子、即ち、その粒子径(μm)が外壁の平均表面粗さRa(μm)の1.1倍未満である無機粒子が含まれていてもよい。 この無機粒子及び前述の大径無機粒子の種類としては、例えば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミニウムチタネート、チタニア及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるセラミックス、Fe−Cr−Al系金属、ニッケル系金属又は金属珪素(Si)と炭化珪素(SiC)等を好適に用いることができる。
    【0025】
    また、本発明においては、接合材が、無機繊維と、コロイド状酸化物とを含んでなることが好ましい。 無機繊維としては、アルミノシリケート、炭化珪素等のセラミックファイバー、銅、鉄等のメタルファイバー等を好適に用いることができる。 更に、無機繊維の形状としては、無機繊維の径方向の長さ(繊維径)の平均値が1〜20μmであるとともに、軸方向の長さ(繊維長)の平均値が10〜100μmであるものを好適に用いることができる。 また、無機繊維の繊維径の平均値は、3〜15μmであることが更に好ましく、5〜10μmであることが特に好ましい。 無機繊維の繊維長の平均値は、10〜80μmであることが更に好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
    【0026】
    無機繊維の繊維径が1μm未満であると、乾燥時における接合材の収縮が大きく、クラックが発生する場合が想定され、繊維径が20μm超であると、接合材を均一の厚さに塗布することが困難であるために好ましくない。 無機繊維の繊維長が10μm未満であると、乾燥時における接合材の収縮が大きくクラックが発生する場合が想定され、繊維長が100μm超であると、塗布可能な接合材のペーストを調製するために大量のを必要とするが、ペーストに含まれる水の量が多くなると、乾燥時における接合材の収縮が大きくなり、クラックが発生し易くなるために好ましくない。
    【0027】
    また、前述のコロイド状酸化物としては、例えば、シリカゾル又はアルミナゾル等を好適例として挙げることができる。 コロイド状酸化物は、接合材に適度な接着力を付与するために好適であり、また、乾燥・脱水することによって無機繊維及び無機粒子と結合し、乾燥した接合材を、耐熱性等に優れた強固なものとすることができる。 特に、これらのコロイド状酸化物は、150℃以上で乾燥することによって不可逆的な結合をすることから、乾燥した接合材を化学耐久性に優れたものとすることができる。 なお、接合材の熱膨張率は、熱衝撃などでクラックが生ずるのを防ぐため、比較的低いことが好ましい。 具体的に、接合材の熱膨張率は、1×10 -6 〜8×10 -6 /℃の範囲であることが好ましく、1.5×10 -6 〜7×10 -6 /℃の範囲であることが更に好ましく、2×10 -6 〜6×10 -6 /℃の範囲であることが特に好ましい。
    【0028】
    また、ハニカムセグメントを構成する材質としては、酸化物又は非酸化物の各種セラミックス等が考えられ、特に、本発明においては、ハニカムセグメントが、炭化珪素(SiC)から構成されてなるか、又は炭化珪素(SiC)を骨材として、かつ珪素(Si)を結合材として形成された珪素−炭化珪素系複合材料から構成されてなることが好ましい。
    【0029】
    本発明においては、接合材により形成される、ハニカムセグメントの外壁どうしを接合するための接合層の厚みが、0.5〜3mmであることが好ましく、0.5〜2.5mmであることが更に好ましく、0.5〜2.0mmであることが特に好ましい。 0.5mm未満であると、ハニカム構造体の実使用時に、基材であるハニカムセグメントの熱応力を接合層に逃がす効果が低下するため、基材にクラックが発生する場合がある。 一方、3mm超であると、フィルタの有効面積が80%以下となるため好ましくないとともに、DPFとして使用する際には、スート(スス)の再生時にハニカム構造体内の温度が不均一になり、再生効率の低下及び大きな熱応力によるクラックが発生し易いため好ましくない。
    【0030】
    また、外壁における接合層が形成された部分の面積の、外壁の合計面積に対する割合が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。 70%未満であると、振動に対する耐久性が低下してしまい、ハニカム構造体が破壊する恐れがあるほか、DPFとして使用する際にスート(スス)の漏れが生ずる場合も想定されるために好ましくない。 なお、本発明においては、外壁における接合層が形成された部分の面積の、外壁の合計面積に対する割合(%)の上限値については特に限定されないが、100%であることが最も好ましい。
    【0031】
    また、本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、各々のハニカムセグメントの外壁の合計面積に対する割合が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。 70%未満であると、振動に対する耐久性が低下してしまい、ハニカム構造体が破壊する恐れがあるほか、DPFとして使用する際にスート(スス)の漏れが生ずる場合も想定されるために好ましくない。 なお、本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、各々のハニカムセグメントの外壁の合計面積に対する割合(%)の上限値については特に限定されないが、100%であることが最も好ましい。
    【0032】
    また、本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、各々のハニカムセグメントの外壁における、他のハニカムセグメントと接合された外壁(接合外壁)の面積に対する割合が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。 70%未満であると、振動に対する耐久性が低下してしまい、ハニカム構造体が破壊する恐れがあるほか、DPFとして使用する際にスート(スス)の漏れが生ずる場合も想定されるために好ましくない。 なお、本発明においては、各々のハニカムセグメントの外壁における接合層が形成された部分の面積の、接合外壁の面積に対する割合の上限値については特に限定されないが、100%であることが最も好ましい。
    【0033】
    ハニカムセグメントの熱伝導率に特に制限はないが、熱伝導率が高すぎると、ハニカム構造体の放熱が大きすぎて、例えばDPFとして用いる場合において、その再生時に十分に温度が上昇せず再生効率が低下するため好ましくない。 また、熱伝導率が低すぎると放熱が少なすぎるために温度上昇が大きすぎて好ましくない。 従って、40℃における熱伝導率は、10〜60W/mKであることが好ましく、15〜55W/mKであることが更に好ましく、20〜50W/mKであることが特に好ましい。
    【0034】
    本発明においては、ハニカム構造体のセル密度(単位断面積当たりのセルの数)に特に制限はないが、セル密度が小さすぎると、フィルタとしての強度及び有効GSA(幾何学的表面積)が不足し、セル密度が大きすぎると、被処理流体が流れる場合の圧力損失が大きくなる。 セル密度は、6〜2000セル/平方インチ(0.9〜311セル/cm 2 )が好ましく、50〜1000セル/平方インチ(7.8〜155セル/cm 2 )が更に好ましく、100〜400セル/平方インチ(15.5〜62.0セル/cm 2 )が特に好ましい。 また、セルの断面形状に特に制限はないが、製作上の観点から、三形、四角形、六角形及びコルゲート形状のうちのいずれかであることが好ましい。
    【0035】
    更に、本発明のハニカム構造体の断面形状について特に制限はなく、例えば、円形状の他、楕円形状、レーストラック形状、長円形状、三角、略三角、四角、略四角形状等の多角形状や異形形状とすることができる。 また、ハニカムセグメントの端面の形状についても、特に制限はなく、正方形の他、楕円形状、レーストラック形状、長円形状、三角、略三角、四角、略四角形状等の多角形状や異形形状とすることができる。
    【0036】
    本発明のハニカム構造体を、特にDPFとして用いる場合には、所定のセルの開口部が一の端面において封止され、残余のセルの開口部が他の端面において封止されていることが好ましい。 特に、端面が市松模様状を呈するように、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止されていることが好ましい。 このようにセルを封止することにより、例えば、一の端面から流入した被処理流体は隔壁を通って、他の端面から流出し、被処理流体が隔壁を通る際に隔壁がフィルタの役目をはたし、目的物を除去することができる。
    【0037】
    目封じ材の材料としては、酸化物又は非酸化物の各種セラミックス等が考えられるが、強度、耐熱性等の観点から、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素、炭化珪素−コージェライト系複合材料、珪素−炭化珪素系複合材料、窒化珪素、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、Fe−Cr−Al系金属及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を好適に用いることができる。
    【0038】
    本発明のハニカム構造体を、触媒担体として内燃機関等の熱機関若しくはボイラー等の燃焼装置の排気ガスの浄化、又は液体燃料若しくは気体燃料の改質に用いようとする場合には、触媒、具体的には触媒能を有する金属を担持させることが好ましい。 触媒能を有する金属の代表的なものとしては、Pt、Pd、Rh等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種をハニカム構造体に担持させることが好ましい。
    【0039】
    次に、本発明のハニカム構造体の好適な製造方法の一例について説明する。 まず、坏土化工程により成形原料を坏土化する。 坏土化工程においては、例えば、炭化珪素粒子や、珪素−炭化珪素系複合材料を形成するための炭化珪素粉及び金属珪素粉等に、バインダー、例えばメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルメチルセルロースを添加し、更に界面活性剤及び水を添加し、これを混練して坏土を形成する。
    【0040】
    次に、この坏土を成形工程において押出成形することにより、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム形状の成形体を成形する。 押出成形にはプランジャ型の押出機や二軸スクリュー型の連続押出機などを用いることができる。 二軸スクリュー型の連続押出機を用いると、坏土化工程と成形工程を連続的に行うことができる。
    【0041】
    次に、得られた成形体を、例えばマイクロ波、誘電及び/又は熱風等で乾燥後、焼成して焼成体(ハニカムセグメント)を得る。 焼成温度及び雰囲気は、用いる原料によって適宜変更することができ、当業者であれば、用いる原料に最適の焼成温度及び雰囲気を選択することができる。 例えば、炭化珪素粉及び金属珪素粉を原料とした場合には、大気又はN 2雰囲気中で加熱脱脂した後、Ar雰囲気中で1400〜1800℃程度で焼成を行うことができる。 焼成には、通常、単窯又はトンネル等の連続炉を用い、ここで脱脂・焼成を同時に行うことができる。
    【0042】
    このハニカムセグメントどうしを、前述の接合材を用いて接合することにより、本発明のハニカム構造体(接合体)を得ることができる。 また、ハニカム構造体をフィルタ、特に、DPF等に用いる場合には、端面が市松模様状を呈するように、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で目封じすることが好ましい。 目封じは、目封じをしないセルをマスキングし、スラリー状の目封じ材をセル開口部に塗布し、乾燥後焼成等することにより行うことができる。
    【0043】
    なお、ハニカムセグメントを貼り合わせて形成されたハニカム構造体(接合体)の外周の少なくとも一部を、必要に応じて除去してもよい。 具体的には、例えば最外周から2セル分以上のセルを除去することが好ましく、2〜4セル分のセルを除去することが更に好ましい。 ここで、セルを除去するとは、そのセルを形成する隔壁の少なくとも一部を除去して、隔壁により四方が完全に囲繞されていない状態とすることを意味する。 除去は、例えば接合体を外周から研削することにより行うことができる。
    【0044】
    前述の接合体の外周の少なくとも一部を除去した場合には、その部分にコーティング材を塗布して、ハニカム構造体の外周壁を形成する。 コーティング材は、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、セラミックス繊維、及びセラミックス粒子の中の少なくとも1種を含むものであることが好ましい。 セラミックス粒子としては、例えば、炭化珪素等を挙げることができる。
    【0045】
    コーティング材には、セラミックス粒子に加えて、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナを含むことが好ましく、更にセラミックス繊維を含むことが更に好ましく、更に無機バインダーを含むことが特に好ましく、更に有機バインダーを含むことが最もより好ましい。 これらの原料に、水などの液体成分を加えてスラリー状とし、これをコーティング材として塗布することが好ましい。 また、コーティング材を塗布した後、加熱等して乾燥すれば、本発明のハニカム構造体を得ることができる。
    【0046】
    【実施例】
    以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
    (ハニカムセグメントの製造)
    原料として、表1に示す平均粒径を有する炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末を、80:20(質量比)で混合し、これに、造孔材としてポリメタクリル酸メチル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロポキシルメチルセルロースを加え、更に、界面活性剤と水を添加して、可塑性の坏土を作製した。 この坏土を押出成形し、マイクロ波及び熱風で乾燥することにより、隔壁の厚さが380μm、セル密度が約31.0セル/cm 2 (200セル/平方インチ)、その断面が、一辺35mmの正方形、長さが152mmである成形体を得た。 この成形体の端面が市松模様状を呈するように、隣接するセル開口端面が互いに反対側となる一方の端部で成形体と同じ材料で目封じし、乾燥した後、大気雰囲気中約400℃で脱脂した。 次いで、Ar不活性雰囲気中、約1450℃で焼成して、珪素−炭化珪素系複合材料からなる、3種類のハニカムセグメント(ハニカムセグメントA〜C)を得た。 また、各ハニカムセグメントの外壁の表面粗さRa(μm)を測定した。 結果を表1に示す。 なお、表面粗さRa(μm)は、ISO4287/1により測定した算術平均粗さを意味し、表面の凹凸の平均線からの絶対値偏差の平均値として算出した値である。
    【0047】
    【表1】

    【0048】


    (接合材の調製)


    接合材に配合する無機粒子として、表2に示す、2種類の炭化珪素(SiC)粉末(炭化珪素粉末a、b)を用意した。 なお、表2中、「10%径(μm)」、「50%径(μm)」、「90%径(μm)」とは、炭化珪素(SiC)粉末の粒度分布において、粒の細かい方から順に、その個数が10、50、90%の頻度にあたる粒径(μm)を意味する。


    【0049】


    表2に示す炭化珪素(SiC)粉末、繊維径の平均値が7μm、かつ繊維長の平均値が20μmのアルミノシリケート繊維、シリカゲル(40質量%水溶液)及び粘土を、表3に示す組成で混合するとともに水を加え、ミキサーを用いて30分間混練して、7種類の接合材(接合材▲1▼〜▲7▼)を調製した。 なお、表3に、その粒子径(μm)が前記ハニカムセグメントの外壁の平均表面粗さRa(μm)(表1)の1.1倍以上である無機粒子の含有割合(質量%)を示す。


    【0050】


    【表2】


    【0051】


    【表3】


    【0052】


    (ハニカム構造体の製造)


    ハニカムセグメントA〜Cを、接合材により形成される接合層の厚みが1mmとなるように、各々複数個ずつ接合した後、200℃、5時間乾燥して、ハニカム構造体を得た(実施例1〜15、比較例1〜6)。 なお、各々のハニカムセグメントの接合層が形成された部分の面積は、各々のハニカムセグメントの外壁の合計面積の90%とした。 ハニカムセグメントA〜Cと、接合材▲1▼〜▲7▼との組み合わせ、及び大径無機粒子の含有割合(質量%)を表4に示す。


    【0053】


    (接合強度の測定)


    実施例1〜15、比較例1〜6の各ハニカム構造体から、所定の強度試験用サンプルを切り出し、JIS R1601に従って3点曲げ接合強度の測定を行った。 結果を表4に示す。


    【0054】


    【表4】


    【0055】


    (評価)


    表4に示す結果から明らかなように、その粒子径がハニカムセグメント外壁の平均表面粗さRaの1.1倍以上である無機粒子(大径無機粒子)の含有割合が、接合材の全体に対して30質量%を超えると、30質量%を超えない場合に比してその接合強度が明らかに低下することが判明した。 更に、大径無機粒子の含有割合が少ないほど、接合強度は高い値を示すことが明らかである。 以上の結果から、本発明の優れた効果を確認することができた。


    【0056】


    【発明の効果】


    以上説明したように、本発明のハニカム構造体は、これを構成するハニカムセグメントの外壁どうしを接合する接合材が、その粒子径(μm)が外壁の平均表面粗さRa(μm)との関係で所定の大きさ以上である無機粒子を、接合材の全体に対して所定割合を超えては含まないものであるため、ハニカムセグメントどうしが、これらの気孔径・気孔率等の物理的特性によらず、接合材により強固に接合されて一体化している。 また、外壁の表面粗さ調整のための特別の作業が不要であり、極めて簡便に製造し得るものである。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】 ハニカム構造体を示す説明図であって、図1(a)は、ハニカム構造体の斜視図、図1(b)は、ハニカム構造体の端面の一部拡大平面図である。


    【符号の説明】


    21…ハニカム構造体、23…セル、24…隔壁、25…流入孔側端面、26…流出孔側端面。

    QQ群二维码
    意见反馈