Device for manufacturing ceramic structure and method for manufacturing ceramic structure

申请号 JP2010225796 申请日 2010-10-05 公开(公告)号 JP2011046607A 公开(公告)日 2011-03-10
申请人 Ibiden Co Ltd; イビデン株式会社; 发明人 ONO MASAHARU; TAKAHASHI KOJI; HOSHINO TAKAFUMI; KAWADA HIDEYA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for easily manufacturing a ceramic structure in which a plurality of column-like porous ceramic members are bonded with an adhesive layer in between. SOLUTION: The method for manufacturing a ceramic structure includes: a step of assembling a plurality of column-like porous ceramic members in such a way that a gap is formed between the members; a step of filling a paste adhesive into the gap; and a step of forming an adhesive layer by curing the adhesive. COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • 互いの間に隙間が形成されるように複数の柱状の多孔質セラミック部材を組み上げる工程と、
    前記隙間にペースト状の接着材を充填する工程と前記接着材を硬化させて、接着材層を形成する工程とを備えることを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
  • 前記多孔質セラミック部材は、長さ方向に対してほぼ垂直方向に反っており、
    前記接着材を充填する工程において、前記多孔質セラミック部材の端部に接着材層非形成部が存在するように、前記隙間に接着材を充填する工程を備える請求項1に記載のセラミック構造体の製造方法。
  • セラミック原料から柱状の多孔質セラミック部材を製造する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック構造体の製造方法。
  • 前記隙間には、空隙保持材が介装されている請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  • 前記複数の多孔質セラミック部材を組み上げる工程において、筒状体の内部で前記複数の多孔質セラミック部材を組み上げ、
    前記接着材を充填する工程において、前記接着材を前記筒状体の内部に供給して前記隙間に接着材を充填する請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  • 組み上げられた前記複数の多孔質セラミック部材を筒状体の内部に配置し、
    前記接着材を充填する工程において、前記接着材を前記筒状体の内部に供給して前記隙間に接着材を充填する請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法。
  • 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法で用いられるセラミック構造体の製造装置であって、
    複数の柱状の多孔質セラミック部材が隙間を有するように組み上げられたセラミック部材集合体を収容する筒状体と、
    前記筒状体の外周部に設けられ、前記筒状体の内部にペーストを供給するペースト供給室とからなるセラミック構造体の製造装置。
  • 前記筒状体において、前記ペースト供給室との結合部分に開口が形成されている請求項7に記載のセラミック構造体の製造装置。
  • 前記開口は、溝状に形成されている請求項8に記載のセラミック構造体の製造装置。
  • 前記筒状体の両端部には、通気性の底板が設けられている請求項7〜9のいずれか1項に記載のセラミック構造体の製造装置。
  • 前記底板には、開口が設けられている請求項10に記載のセラミック構造体の製造装置。
  • 说明书全文

    本出願は、2003年11月12日に出願された日本国特許出願2003−382820号を基礎出願として優先権主張する出願である。
    本発明は、セラミック構造体に関する。 さらに、詳しくは、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中のパティキュレート等を除去するフィルタや、触媒担持体などに使用されるセラミック構造体に関する。

    バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートは、環境や人体に害を及ぼす。 従来、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するために、種々のセラミックフィルタが提案されている。

    従来、このようなセラミックフィルタとしての役割を果たすセラミック構造体10は、次のような方法により製造されていた。
    すなわち、最初に、常法に従って、多孔質セラミック部材30を製造する。
    次に、図3に示したように、断面がV字形状に構成された台60の上に、多孔質セラミック部材30を傾斜させた状態で載置し、上側を向いた2つの側面30a、30bに、接着材層14の材料となる接着材ペーストを均一な厚さとなるように塗布する。

    次に、厚紙等からなる間隔保持材を載置し、接着材ペースト層61を形成する。 さらに、この接着材ペースト層61の上に、順次、他の多孔質セラミック部材30を積み上げる。 このように、接着材ペースト層61を介して多孔質セラミック部材30が複数個積層されてなるセラミック部材集合体を組み上げていた。

    そして、接着材ペースト層61を乾燥して接着材層14とした後、上記セラミック部材集合体を円柱等の所定形状に切削してセラミックブロック15を作製する。 最後に、その外周部に外周シール材層13を形成することにより、セラミック構造体10(図1参照)を製造していた(例えば、特許文献1、2、3参照)。

    しかしながら、上述のような方法でセラミック構造体10を製造すると、セラミック部材集合体の組み上げ工程において、多孔質セラミック部材30の側面に塗布した接着材ペーストが多孔質セラミック部材30の端面部分まではみ出すことがあった。

    はみだしたペーストは、貫通孔31が形成されている部分に付着して、貫通孔31を塞いでしまう。 上記接着材ペーストが、貫通孔31を塞いでしまうと、貫通孔31は目詰まりしてしまうため、セラミック構造体10のフィルタとしての機能が低下することになる。

    そこで、接着材ペーストを塗布する前に、セラミック構造体10の端面に予めマスキング材を貼り付けておき、接着材ペースト塗布後に、このマスキング材を剥離する工程が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
    しかしながら、上記方法では、工程が複雑になるという問題があった。

    特開2002−102627号公報

    特開2002−224517号公報

    特開2002−219317号公報

    特開2002−126421号公報

    特開2002−126427号公報

    本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、破壊強度が高い、製造時に多孔質セラミック部材の位置ずれがない等、従来技術よりも有利な効果を有するセラミック構造体、複雑な工程を経ずに、多孔質セラミック部材の位置ずれ防止が可能なセラミック構造体の製造方法及び前記方法に用いられるセラミック構造体の製造装置を提供することを目的とするものである。

    第一の本発明は、反りを有する柱状の多孔質セラミック部材が、接着材層を介して複数個結束されてなり、その端部には接着材層非形成部が存在していることを特徴とするセラミック構造体である。

    第二の本発明は、柱状の多孔質セラミック部材を複数組み上げ、多孔質セラミック部材間にペースト状の接着材を充填、硬化させて、接着材層としたことを特徴とするセラミック構造体である。

    第三の本発明は、複数の柱状の多孔質セラミック部材が隙間を有するように複数組み上げられたセラミック部材集合体を収容するように構成された筒状体と、前記筒状体の外周部に設けられ、筒状体にペーストを供給するペースト供給室とからなるセラミック構造体の製造装置である。

    第四の本発明は、互いの間に空隙が形成されるように複数の柱状の多孔質セラミック部材を組み上げ、多孔質セラミック部材間にペースト状の接着材を充填、硬化させて、接着材層を形成することを特徴とするセラミック構造体の製造方法である。

    第五の本発明は、少なくとも以下の工程1〜4を含むことを特徴とするセラミック構造体の製造方法である。
    工程1:セラミック原料から柱状の多孔質セラミック部材を製造する工程。
    工程2:前記多孔質セラミック部材を、互いに空隙が形成されるように複数個組み上げてセラミック部材集合体を作製する工程。
    工程3:多孔質セラミック部材間の空隙にペーストを充填する工程。
    工程4:前記ペーストを硬化させて、前記多孔質セラミック部材間に接着材層を形成する工程。

    第一の本発明によれば、その端部には接着材層非形成部が存在しているので、特にセラミック構造体の破壊強度を高くすることができる。
    第二の本発明によれば、上記多孔質セラミック部材間に位置ずれがないため、セラミック構造体の破壊強度を高くすることができる。
    第三の本発明によれば、複数の柱状の多孔質セラミック部材が隙間を有するように複数組み上げられたセラミック部材集合体の空隙にペーストを充填することができ、充填されたペーストを硬化させて、本発明に係るセラミック構造体を製造することができる。

    第四の本発明によれば、複数の柱状の多孔質セラミック部材が接着材層を介して接着されたセラミック構造体を容易に製造することができる。
    第五の本発明によれば、複雑な工程を経なくても、多孔質セラミック部材間の位置ずれを防止することができる。

    セラミック構造体の一例を模式的に示した斜視図である。

    (a)は、本発明の実施に用いられる多孔質セラミック部材の斜視図であり、(b)は、(a)に示した多孔質セラミック部材のB−B線断面図である。

    従来のセラミックブロックを作製する方法を示した説明図である。

    (a)は、本発明の実施形態であるセラミック構造体の正面図であり、(b)は、その側面図である。

    図4に示したセラミック構造体のV−V線断面図である。

    (a)は、セラミック構造体を構成する多孔質セラミック部材の断面図であり、(b)は、セラミック構造体を構成するセラミックフォームからなる多孔質セラミック部材の断面図である。

    接着材層非形成領域が存在しない場合のクラック発生原理を説明する断面図である。

    (a)は、反りの定義を示す説明図であり、(b)は、測定位置を示す説明図である。

    (a)は、本発明に係るセラミック構造体を示す断面図であり、(b)は、従来技術により製造されたセラミック構造体を示す断面図である。

    図9に示したセラミック構造体のX−X線断面図である。

    本発明に係るセラミック構造体の製造方法を示す工程図である。

    本発明に係るセラミック構造体の製造方法を示す説明図である。

    (a)は、ペースト充填用の筒状冶具の長手方向に垂直な断面を模式的に示した断面図であり、(b)は、ペースト充填用の筒状冶具の長手方向に平行な断面を模式的に示した断面図である。

    押し抜き破壊強度測定に用いるサンプルを模式的に示す斜視図である。

    (a)、(b)は、押しぬき強度試験の方法を模式的に示した概念図である。

    (a)は、参考例に係るセラミック構造体の接着材(シール材)層の写真であり、(b)は、比較例に係るセラミック構造体の接着材(シール材)層の写真である。

    以下、本発明のセラミック構造体について具体例に即して説明する。
    図1は、フィルタとして機能するセラミック構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、図2(a)は、上記セラミック構造体を構成する多孔質セラミック部材の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのB−B線断面図である。

    ハニカムフィルタとしては、図1に示したセラミック構造体10のように、炭化珪素等からなる多孔質セラミック部材30が接着材層14を介して複数個結束されてセラミックブロック15を構成し、このセラミックブロック15の周囲に外周シール材層13が形成されたものが知られている。

    多孔質セラミック部材30は、図2に示したように、長手方向に多数の貫通孔31が並設されており、貫通孔31同士を隔てる隔壁33がフィルタとして機能するようになっている。 即ち、多孔質セラミック部材30に形成された貫通孔31は、図2(b)に示したように、排気ガスの入口側又は出口側の端部のいずれか交互に封止材32により目封じされ、一の貫通孔31に流入した排気ガスは、図2(b)中の矢印Aで示したように、必ず貫通孔31を隔てる隔壁33を通過した後、他の貫通孔31から流出するようになっている。

    排気ガス浄化装置は、このような構成のセラミック構造体10を内燃機関の排気通路に設置したものであり、内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、このセラミック構造体10を通過する際に隔壁33により捕捉され、排気ガスは浄化されることとなる。

    例えば、セラミック構造体10は、次のように製造することができる。
    多孔質セラミック部材30を製造する際には、まず、原料であるセラミック粉末の他、分散媒液やバインダ等を含む混合組成物を調製し、この混合組成物を押出成形等の成形方法で成形することにより、セラミック成形体を作製する。 そして、このセラミック成形体に、乾燥、脱脂及び焼成の各処理を施すことにより、多孔質セラミック部材30を製造する。

    次に、図3に示したように、断面がV字形状に構成された台60の上に、多孔質セラミック部材30を傾斜させた状態で載置し、上側を向いた2つの側面30a、30bに、シール材層14の材料となるシール材ペーストを均一な厚さとなるように塗布するとともに、厚紙等からなる間隔保持材を載置し、シール材ペースト層61を形成した後、このシール材ペースト層61の上に、順次、他の多孔質セラミック部材30を積み上げ、シール材ペースト層61を介して多孔質セラミック部材30が複数個積層されてなるセラミック部材集合体を組み上げる。

    そして、シール材ペースト層61を乾燥させてシール材層14とした後、上記セラミック部材集合体を円柱等の所定形状に切削してセラミックブロック15を作製し、その外周部にシール材層13を形成することにより、ハニカム構造体10を製造する。

    しかしながら、上述のような方法でハニカム構造体10を製造すると、セラミック部材集合体の組み上げ工程において、多孔質セラミック部材30の側面に塗布したシール材ペーストが多孔質セラミック部材30の端面部分まではみ出し、貫通孔31が形成されている部分に付着して、貫通孔31を塞いでしまうことがあった。

    上記シール材ペーストが、貫通孔31を塞いでしまうと、貫通孔31は目詰まりしてしまうため、ハニカム構造体10のフィルタとしての機能が低下してしまうこととなってしまう。

    このような問題に対して、従来は、貫通孔31の目詰まりを防止するために、シール材ペーストを塗布する前に、ハニカム構造体10の端面に予めマスキング材を貼り付けておき、シール材ペースト塗布後に、このマスキング材を剥離する工程を行っていたため、工程数が多くなっていた。
    後述するが、本発明では、上記問題を解決するために、従来とは異なるハニカム構造体の製造方法をとっている。

    本発明のセラミック構造体の具体的実施態様について説明する。
    図4(a)は、第一の本発明のセラミック構造体を模式的に示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
    セラミック構造体10は、反りを有する多孔質セラミック部材30が接着材層140を介して互いに接合されてなり、所定形状(図4では、円柱形状)になるようにその外周SAが加工されている。 外周には、外周シール材層13が形成されている。 外周シール材層13は、セラミック構造体を排気ガス用フィルタに適用した場合に、排気ガスが漏れないようにシールする作用を有する。
    図4は、円柱形状を有するセラミック構造体10を示しているが、セラミック構造体の形状は、特にその形状に制限されるわけではなく、四柱状や楕円柱状等であってもよい。

    図5は、図4に示したセラミック構造体10のV−V線断面であり、図6(a)は、上記セラミック構造体を構成する多孔質セラミック部材30の一例を示す断面図であり、(b)は、上記多孔質セラミック部材30の他の一例を示す断面図である。
    多孔質セラミック部材30は、多孔質セラミック部材30の長さ方向(図5に示されるx軸に沿った方向)に対してほぼ垂直な方向に反りを有する。 図5において、多孔質セラミック部材30が、表面STと底面SBで、垂直方向(y軸に沿った方向)に彎曲しており、隣接して配置される多孔質セラミック部材30は、互いに垂直方向に、近寄ったり、離れたりして配置されている。

    ここで、多孔質セラミック部材30の彎曲の方向は、図5に示すようにy軸に沿った方向(垂直方向)に限られず、図8(b)に示すような、x軸に沿った方向も含む。

    多孔質セラミック部材30がこのように反っているので、多孔質セラミック部材30がセラミック構造体10から突出することがない。 接着材層140は多孔質セラミック部材間の空間の全てに充填形成されているのではない。 接着材が形成されていない部分143(以下、「接着材層非形成部」という)が、セラミック構造体10の両端部SI、SOに存在する。 接着材は、各々の多孔質セラミック部材30の接着部145だけに提供される。 接着材層140は長さ方向の多孔質セラミック部材30の端部144を除いて多孔質セラミック部材30を接着する。

    すなわち、セラミック構造体10の一端(端面SI側かSO側)であって、多孔質セラミック部材30の端部144には、接着材層非形成部143が形成されており、この接着材層非形成部143には、接着材層140が形成されていない。

    図6(a)に示すように、多孔質セラミック部材30は、長手方向に多数の貫通孔31が並設されており、貫通孔31同士を隔てる隔壁33がフィルタとして機能するようになっている。 図6(a)に示したように、多孔質セラミック部材30に形成された貫通孔31は、排気ガスの入口側又は出口側の端部(SI又はSO)のいずれか交互に封止材32により封止され、一の貫通孔31に流入した排気ガスは、矢印Aで示したように、必ず貫通孔31を隔てる隔壁33を通過した後、他の貫通孔31から流出するようになっている。
    多孔質セラミック部材30は、長手方向に多数の貫通孔31が並設されたハニカム構造をなしており、貫通孔31同士を隔てる隔壁33がパティキュレートを捕集するフィルタとして機能するようになっている。

    セラミック構造体を排気ガス浄化用セラミックフィルターとして使用する場合、接着材層140は、排気ガスが漏れないようにするためのシール材層として機能する。

    図6(b)には、セラミックフォームと呼ばれる態様の多孔質セラミック部材30が開示されており、この多孔質セラミック部材30では、セラミック内部に大小多数の空隙301を有している。 従って、この多孔質セラミック部材30を排気ガス浄化用フィルタとして用いた場合、この空隙を排気ガスが通過する際に、排気ガス中のパティキュレートが、空隙301の内壁にトラップされる。

    次に、図5の断面図で示される形態からなるセラミック構造体10がなぜ、高い破壊強度を有するかについて説明することとする。 以下に論じるように、図5に示したような構造のセラミック構造体10は、印加される外に対向する改善された剛性を有する。

    図7は、端面SI、SOに、接着材層非形成部が存在しないセラミック構造体の断面である。
    図7に示すように、反っている多孔質セラミック部材30からなるセラミック構造体210の端面SIに対して、これに垂直な方向に押圧の力Pが加わった場合、多孔質セラミック部材30間の界面に、押圧に対する抗力(応力)APが働く。 このため、押圧に対するセラミック構造体10の破壊強度は高くなるはずなのである。

    ところが、反りのある多孔質セラミック部材30を使用したセラミック構造体210の場合、セラミック構造体210の端面SI付近における接着材層の厚さが最小又は最大になってしまう。 したがって、端面SIに対して垂直な押圧の力が加わることによって、接着材層の厚さが小さい場合は、多孔質セラミック部材30間の接着強度が小さくなる。 また接着材層の厚さが大きい場合には、押圧を受ける接着材層の面積が大きくなるため(圧力が同じでも面積が大きくなれば受ける力は大きくなるから)、端面に初期クラックが発生してしまう。 このクラックが進展することによって、押圧に対するセラミック構造体210の破壊強度が急速に低下すると推定される。

    そこで、図5に示したセラミック構造体10では、セラミック構造体10の端面付近における接着材層140をなくすことにより、この端面SIに対して垂直方向に押圧の力が加わった場合に、初期クラックの発生を防止し、破壊強度を向上させたのである。 従って、図5に示すような構造のセラミック構造体10は、印加される外力に対向する大きな剛性を有する。
    多孔質セラミック部材30の反り量は、0.02〜2.0mmが望ましい。 この範囲では、特にセラミック構造体10の押圧に対する破壊強度を向上させることができ、排気ガス浄化用フィルタとして用いた場合に特に有利である。

    さらに、反り量は、0.1〜0.8mmが好ましい。 この範囲では、熱伝導率が高くなるからである。 このセラミック構造体30は、排ガス浄化装置として用いられるのが望ましい。 熱伝導率が高いと、中央部の熱の蓄積を効果的に防止することができる。 排ガス浄化装置として用いられた場合、中央部と周辺部の熱膨張の違いから、中央部分にクラックが生じる場合がある。 しかしながら、この際、反り量を0.1〜0.8mmにすれば、熱伝導率が改善され、クラックを防止することができる。
    さらに、セラミック構造体10の長さ方向の長さ(図6(a)に示される平のLL−LL線方向の長さ)に対し、多孔質セラミック部材30の反りの量は0.006〜1.0%が好ましい。 この範囲であると、排気ガスフィルタとして用いる際に、背圧に対して強くなるからである。

    なお、多孔質セラミック部材30の反り量とは、多孔質セラミック部材30の長手方向の反りの程度を表すものであり、図8(a)に示すように、多孔質セラミック部材30の側面SSのうち、最も反りの大きい方向(矢印S)を上に向け、その中央部C及び両端部Eの高さの差Hを測定することにより求めることができる。

    例えば、四角柱であるセラミック部材においては、4つの各側面において、JIS B 0621−1984の平面度の測定に記載されているものと同様に、両端部を通る平面と、中央部を通る平面を想定し、その高さを求めたものと考えればよい。

    なお、このとき、セラミック部材の断面は、図8(b)に示すように、角部に面取りR等がなされて一定でない場合があるので、本発明では、断面の外周を構成する辺の中点Mを通る線分m−mで反り量を測定することとする。

    図5に示されるセラミック構造体10においては、接着材層非形成部143の長さLM(多孔質セラミック部材30の端面から接着材層140までの長さ)が、セラミック構造体の全長に対して1〜10%であるため、上述したように、接着強度に優れたものとなる。 特に、反り量が0.02〜2.0mmの場合には、接着材層非形成部143の長さLMは、セラミック構造体の全長に対して1〜10%である。

    上記セラミック構造体10を排気ガス浄化用フィルタとして使用した場合には、接着材層非形成部143の長さは、セラミック構造体10の全長に対して2〜5%が最適である。 排気ガス排出時の激しい振動や800〜900℃の排気ガスによる冷熱サイクルという条件にさらされても高い破壊強度が得られるからである。

    次に、本発明のセラミック構造体及びセラミック構造体の製造方法について具体例に即して説明する。
    本発明のセラミック構造体の具体的実施態様を図9(a)に示す。 また、比較のため、図3に示す方法を用いた場合に得られるセラミック構造体10を図9(b)に示す。

    図9(a)に示すセラミック構造体10では、多孔質セラミック部材30を組み上げた後、多孔質セラミック部材30間の空隙にペーストを充填して製造されるため、多孔質セラミック部材30が均一な厚さの接着材層14を介して接合され、互いに位置ずれがない。 これに対して、図9(b)では、多孔質セラミック部材30の位置ずれが見られ、接着材層14の厚さにもばらつきが見られる。

    多孔質セラミック部材30の位置ずれがないため、接合領域を充分に確保することができることとなり、接合強度を向上させることができる。 図9(b)に示したハニカム構造体では、多孔質セラミック部材301と多孔質セラミック部材302の接合領域は、互いに位置ずれしているため、Lで示される範囲にしかないが、図9(a)に示すセラミック構造体10では、多孔質セラミック部材30が整列しているため、充分な接合領域を確保することができ、押圧に対する破壊強度を向上させることができる。

    図10は、図9(a)に示したセラミック構造体10のX−X線断面図である。
    多孔質セラミック部材30が、均一な厚さの接着材層140を介して接合している。 また、端面SIとSOには、接着材層非形成領域143が設けられている。 接着材層非形成領域143が設けられているため、端面が接着材で塞がれることがない。

    また、多孔質セラミック部材30については、前述した図6(a)に示されるようなハニカム構造体でもよく、図6(b)に示されるような、セラミックフォームでもよい。 多孔質セラミック部材30として、図10のような反りのないものに代えて、反りを有するものを使用してもよい。

    反り量としては、先に説明したように、0.02〜2.0mmが望ましい。 また、接着材層非形成領域143の長さLM(多孔質セラミック部材30の端面から接着材層140までの長さ)は、先に説明したように、セラミック構造体10の全長に対して1〜10%とすることが有利である。

    セラミック構造体10を排気ガス浄化用セラミックフィルターとして使用する場合、接着材層140は、排気ガスが漏れないようにするためのシール材として機能するため、接着材層140はシール材層として機能する。

    次に、セラミック構造体の製造方法について説明する。
    本発明のセラミック構造体10の製造方法の具体例として工程図を図11に記載し、また、この工程図を図解したものを図12の(a)〜(f)に示す。
    最初に多孔質セラミック部材30を製造し(工程A)、次に、空隙保持材142を介して、複数の多孔質セラミック部材30を組み上げてセラミック部材集合体16とする(工程B)。 もし、多孔質セラミック部材30として反りを有するものを使用したい場合は、後述する反り形成工程を加える(工程A′)。

    一方、接着材層140となる接着材ペースト1400を調製しておく(工程B′)。 次に多孔質セラミック部材30の隙間141に調製された接着材ペースト1400を充填する(工程C)。
    次にこの接着材ペースト1400を乾燥させて接着材層140とし、多孔質セラミック部材30を互いに接合する(工程D)。 さらにセラミック部材集合体の外周部を所定形状(例えば、図12では、円柱形状)になるように切削加工する(工程E)。 加工された外周部分SAにペーストを塗布して、外周シール層13を形成する(工程F)。

    図11の工程図及び図12の工程図で示される製造方法では、あらかじめ、空隙保持材142を介して、複数の多孔質セラミック部材30を組み上げてしまうため、多孔質セラミック部材30の位置ずれを防止することができ、高い組立精度でセラミック構造体10を製造することができる。 さらに、空隙保持材142により形成した空隙に、接着材ペースト1400を充填させる方法を用いているため、接着材層14をむらなく形成することが可能であり、先に説明したように、押圧に対する破壊強度の高いセラミック構造体10を製造することができる。

    本発明のセラミック構造体を、上記製造方法により製造する場合は、充填させる接着材ペースト1400の量を調整することにより、接着材ペースト1400の未充填部分の領域LM(図5、図10)を調整することができる。 したがって、接着材非形成領域143が必要な図5に記載したセラミック構造体10を製造する場合は、特に有利である。

    次に、上記セラミック構造体の製造方法に関し、工程毎にさらに詳しく説明する。
    (A:多孔質セラミック部材の製造)
    セラミック成形体は、セラミック粉末、樹脂、バインダー、分散媒液等を混合して混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形を行い、得られた成形体を乾燥させて分散媒液等を蒸発させることにより作製する。 なお、上記セラミック成形体は、主にセラミック粉末とバインダー、必要に応じて樹脂とからなるものであるが、少量の分散媒液を含んでいてもよい。

    上記多孔質セラミック部材の原料セラミックとしては特に限定されず、上述した通りであるが、これらのなかでは、耐熱性、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化珪素が望ましい。 上記セラミック粉末の粒径としては特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが望ましく、例えば、0.3〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが望ましい

    上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。 上記バインダーの配合量は、例えば上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。

    上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。 上記分散媒液は、上記混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合されて、セラミックペーストが調製される。

    セラミックペーストを所定の装置で、押し出し成型する。 上記セラミック成形体は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された構造を有するものである。
    上記セラミック成形体の形状としては特に限定されず、例えば、図2に示した多孔質セラミック部材30とほぼ同形状であってもよいし、楕円柱状や三角柱状等であってもよい。 上記セラミック成形体では、封止材32に相当する部分は空洞となっている。

    次に、上記セラミック成形体の貫通孔を封止材ペーストにより封止パターン状に封止する貫通孔の封止工程を行う。 この貫通孔の封止工程では、セラミック成形体の端面に、封止パターン状に開孔が形成されたマスクを当接し、封止材ペーストを上記マスクの開孔から貫通孔に注入することにより、封止材ペーストで所定の貫通孔を封止する。

    上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、上記セラミック成形体の製造の際に使用した混合組成物と同様のもの、上記混合組成物にさらに分散媒液を添加したもの等が望ましい。

    次に、上記セラミック成形体中のバインダー、樹脂成分等を熱分解する脱脂工程を行う。 この脱脂工程では、例えば、上記セラミック成形体を脱脂用治具上に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、400〜650℃に加熱する。 これにより、バインダー等の樹脂成分が揮散するとともに、分解され、消失し、上記セラミック成形体中には、ほぼセラミック粉末のみが残留することとなる。

    次に、脱脂したセラミック成形体を、焼成用治具上に載置して焼成する焼成工程を行う。 この焼成工程では、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、脱脂したセラミック成形体を2000〜2200℃で加熱し、セラミック粉末を焼結させることにより図2(a)に示されるような、多数の貫通孔31が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の多孔質セラミック部材30を製造する。

    脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、焼成用治具上に上記セラミック成形体を載せ、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが望ましい。 脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え時等において、セラミック成形体が傷つくことを防止することができるからである。

    ところで、先に述べたように、多孔質セラミック部材30としてセラミックフォームを採用してもよい。 セラミックフォームは次のように製造する。
    まず、セラミックペーストをウレタンフォームなどに含浸させる。 次にこれを2000〜2200℃で焼成し、ウレタンを分解除去し、セラミック粉末を焼結させる。 この工程により図6(b)に示されるような、セラミックフォームが得られる。

    (A′:反り形成工程)
    セラミック焼成体に反りを形成させる場合には、脱脂工程〜焼成工程において、脱脂用治具、焼成用冶具として反った板を使用し、この板上にセラミック成形体を載せる方法を採用することができる。 また、上記方法では、板の反り量を調整することにより、反りの大きさを調整することが可能になる。 また、多孔質セラミック部材30の反りは、成形体の段階で、物理的に曲げることにより形成することが可能である。

    (B:空隙保持材を介して多孔質セラミック部材を組み上げる工程)
    図12(b)に示すように、多孔質セラミック部材30を製造した後、本発明のセラミック構造体の製造方法では、上記多孔質セラミック部材が空隙保持材を介して複数個組み上げられてなるセラミック部材集合体16を組み上げる。

    空隙保持材142は、各多孔質セラミック部材30間に空隙を形成させるために用いられるものであり、空隙保持材142の厚さを調整することにより、各多孔質セラミック部材30間の接着材層14の厚さを調整することができる。

    空隙保持材142の材質としては特に限定されず、例えば、紙、無機物質、セラミック、有機繊維、樹脂等を挙げることができるが、セラミック構造体10の使用時に加わる熱により分解、除去されないものが望ましい。 分解、除去される際に発生するガスにより、接着材層14が腐食されることを防止するためである。 ただし、加熱により、分解、除去されるものであっても、腐食性のガスが発生しないものであれば使用することができる。 空隙保持材142の具体例としては、例えば、ボール紙、黒鉛、炭化珪素等を挙げることができる。 また、接着材層14と同じ材質のものを、予め厚さを調整し固形化させておくことで、空隙保持材とすることもできる。

    また、空隙保持材142は、粘着機能又は接着機能を有するものであってもよく、上述したような材質からなる基材の両面に粘着性又は接着性を有する物質の層が形成されたものであってもよい。 粘着機能又は接着機能を有する空隙保持材142を用いれば、筒状治具の外側で組み上げを終了したセラミック部材集合体を固定のための治具等を特に用いず、筒状治具の内部に組み入れることができ、組入工程が容易となり、各多孔質セラミック部材30の位置ずれをより防止することができる。

    空隙保持材142の形状としては、多孔質セラミック部材30を保持することができる形状であれば特に限定されず、円柱状、角柱状等を挙げることができる。
    空隙保持材142の大きさとしては特に限定されず、例えば、空隙保持材142が円柱状である場合、その厚さは0.5〜3.0mmであることが望ましい。 セラミックの熱伝導率を低下させない範囲だからである。 空隙保持材142の厚さは、2.0mm以下がより望ましい。

    また、空隙保持材142が円柱状である場合、直径は3.0〜10.0mmであることが望ましい。 多孔質セラミック部材30同士の接合強度を充分に確保できるからである。
    空隙保持材142を配置する多孔質セラミック部材30上の位置としては特に限定されないが、多孔質セラミック部材30の側面の四隅近傍に配置することが望ましい。 多孔質セラミック部材30を平行に結束させることができるからである。

    また、反りを有する多孔質セラミック部材30や、曲面からなる側面を有する多孔質セラミック部材30を結束させる際には、各位置毎に空隙保持材142の厚さを変更することにより、多孔質セラミック部材30を平行に結束させることができる。
    上記組入工程では、上述のような空隙保持材142を多孔質セラミック部材30間に配置して多孔質セラミック部材30を結束させることにより、空隙保持材142を介して多孔質セラミック部材30を複数個組み上げてなるセラミック部材集合体16を作製する。

    (B′:ペースト調製工程)
    上記充填工程で用いる接着材ペースト1400としては特に限定されないが、耐熱性に優れ、比較的熱伝導率が高く、接着機能を有するものが望ましく、例えば、無機バインダー、有機バインダー、無機繊維及び/又は無機粒子等からなるものが好適に使用される。
    上記無機バインダーとしては特に限定されず、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 これらのなかでは、シリカゾルが望ましい。

    上記有機バインダーとしては特に限定されないが、例えば、親水性有機高分子が望ましく、なかでも多糖類が望ましい。 具体的には、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。 これらのなかでは、カルボキシメチルセルロースが特に望ましい。 圧入時の接着材ペースト1400の流動性を高め、常温領域で優れた接着性を示すからである。

    上記無機繊維としては特に限定されず、例えば、シリカ−アルミナセラミックファイバー、ムライトファイバー、アルミナファイバー及びシリカファイバー等を挙げることができる。 このような無機繊維は、無機バインダーや有機バインダー等と絡み合うことで、接着材ペースト1400の接着強度を向上させることができる。

    上記無機粒子としては特に限定されないが、例えば、炭化物及び/又は窒化物からなるものが望ましく、例えば、炭化珪素、窒化珪素、窒化素等を挙げることができる。 これらの炭化物や窒化物は、熱伝導率が非常に大きく、接着材層14の熱伝導率の向上に大きく寄与することができる。
    また、接着材ペースト1400中には、無機バインダー、有機バインダー、無機繊維及び無機粒子のほかに、少量の水分や溶剤等を含んでいてもよいが、このような水分や溶剤等は、例えば、後述の接着材ペースト硬化工程等における加熱等により殆ど飛散することとなる。

    接着材ペースト1400の粘度としては特に限定されないが、望ましい下限は、40Pa・sであり、望ましい上限は50Pa・sである。 50Pa・sを超えると、セラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間の空隙141に均一に接着材ペースト1400を充填することができないことがある。 40Pa・s未満であると、圧入させた接着材ペースト1400がセラミック部材集合体16の端面から漏れだし、上記端面に付着してしまうことがある。

    (C:ペースト充填工程)
    図12(c)に示すように、接着材ペースト1400を、セラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間の空隙に充填する。 充填は、後述するペースト充填用の筒状冶具の中にセラミック部材集合体16を格納して行ってもよく、また、筒状冶具の中で多孔質セラミック部材30を組み上げてもよい。 筒状治具を使用する場合は、圧入させる接着材ペースト1400の量を調整することにより、接着材ペースト1400の未充填部分143の端面からの長さLM(図5及び図10参照)を容易に調整することができるため有利である。 後述するペースト充填用の筒状冶具を用いる場合、セラミック構造体の端面部分に接着材ペーストが付着してしまうことを、マスキング材を使用することなく防止することができ、工程数を減少させることができるため、有利である。

    (D:ペースト乾燥・硬化工程)
    図12(d)に示すように、多孔質セラミック部材30間の空隙141に充填された接着材ペースト1400を硬化させて、多孔質セラミック部材30間に接着材層140を形成する。
    この工程では、接着材ペースト1400が充填されたセラミック部材集合体16を、例えば、50〜150℃、1時間の条件で加熱することにより、接着材ペースト1400を乾燥、硬化させて接着材層140とする。

    (E:外周加工工程)
    図12(e)に示すように、セラミック構造体10の製造方法では、例えば、上記接着材ペースト硬化工程の後、ダイヤモンドカッター等を用いて、その外周部を円柱形状等の所望の形状に切削加工してセラミックブロック15を作製する。

    (F:外周シール材層の形成工程)
    図12(f)に示すように、外周部SAにシール材層13を形成することで、セラミック構造体10の製造工程を終了する。
    シール材層13を形成する方法としては特に限定されず、例えば、回転手段を備えた支持部材を使用し、セラミックブロック15をその回転軸方向に軸支、回転させ、回転させているセラミックブロック15の外周部にシール材層13となるシール材ペーストの塊を付着させ、付着させたシール材ペーストを板状部材等によりセラミックブロック15の外周面全体に引き延ばしてシール材ペースト層とした後、120℃以上の温度で乾燥させて水分を蒸発させる方法等を挙げることができる。
    なお、上記シール材層13の原料となるシール材ペーストとしては特に限定されず、例えば、接着材層140の原料となる接着材ペースト1400と同様の組成からなるペースト等を挙げることができる。

    次に、本発明に係るセラミック構造体の製造装置についてその具体例を図13に示す。
    図13(a)は、セラミック構造体の製造装置及びその内周部に設置されたセラミック部材集合体16の長手方向に垂直な断面の一例を模式的に示した断面図であり、(b)は、セラミック構造体の製造装置及びその内周部に設置されたセラミック部材集合体16の長手方向に平行な断面の一例を模式的に示した断面図である。

    セラミック構造体の製造装置50は、内部にセラミック部材集合体を格納する内部空間502をもった筒状体501を具備する。 この筒状体501の外側側面にペースト供給室52が取り付けられている。 筒状体501には、この供給室52と内部空間を連通する開口51が形成されており、この開口51(以下の説明では、より具体的に供給孔もしくは供給溝と表記する)を経由してペースト1400が供給される。 供給室52には、ペースト1400を押し出すための押し出し機構503が取り付けられている。 セラミック構造体の製造装置50には、開閉式の底板53がその両端部に取り付けられていている。 底板53を閉じてセラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間に形成された空隙141を封止すれば、接着材ペースト1400がセラミック集合体の端面に付着することをより防止することができる。

    ただし、接着材ペースト充填工程において、セラミック構造体の製造装置50内に接着材ペースト1400を圧入する際には、セラミック構造体の製造装置50内の気体をこの製造装置50の両端面を通じて排出することとなるため、底板53は、通気性の材質からなるもの、又は、通気孔を有する気密性の材質からなるものである必要がある。

    本発明においては、多孔質セラミック部材30を用いるので、底板53が通気孔を有する気密性の材質からなるものを用いることが望ましい。 この場合、セラミック構造体の製造装置50内の気体は、矢印Cのように、多孔質セラミック部材30の隔壁を通過し、さらに、多孔質セラミック部材30から底板53の通気孔を通過して外部に排出されることとなる。

    図13において、底板53として通気孔を有する材料を採用した場合、圧入された接着材ペースト1400の流れを実線の矢印A、Bで示し、セラミック構造体の製造装置50内から外部に排出される気体の流れを破線の矢印Cで示した。
    この筒状治具を用いて接着材層を形成するため、セラミック構造体の端面部分に接着材ペースト1400が付着してしまうことを、マスキング材を使用することなく防止することができ、工程数を減少させることができる。

    セラミック構造体の製造装置50としては、その室内が供給孔(又は供給溝)51を通じて内周部と連通したペースト供給室52を外周部に備えた筒状体であって、内周部にセラミック部材集合体16を設置するか、後述するように、内周部でセラミック部材集合体16を組み上げることが可能なものであれば特に限定されず、例えば、分解可能な組立型の治具であってもよいし、一体型の治具であってもよく、また、内周部が所定の大きさ及び/又は形状の治具であってもよいし、内周部の大きさ及び/又は形状が変更可能で、内周面を狭めていくことによりセラミック部材集合体16を締め付けることが可能な治具であってもよい。 また、セラミック構造体の製造装置50は、ペースト供給室52が取り外し可能な組立型の治具であってもよい。

    セラミック構造体の製造装置50が分解可能な組立型の治具である場合や、内周部の大きさ及び/又は形状が変更可能な治具である場合には、多孔質セラミック部材30を複数個組み上げてセラミック部材集合体16を作製する工程をセラミック構造体の製造装置50の内周部で行うことが可能である。 もちろん、セラミック部材集合体16を作製した後に、セラミック構造体の製造装置50の内周部にこれを設置してもよい。

    ペースト供給室52は、セラミック構造体の製造装置50の外周部に設けられ、その室内に接着材ペースト1400を投入し、これを加圧することが可能な容器であれば特に限定されない。
    また、供給孔51の形状、大きさ及び数は特に限定されないが、セラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間に形成された空隙141と対応する位置に設ける必要があり、空隙141を接着材ペースト1400により漏れなく充填できるように一定間隔で設けられることが望ましい。 なお、供給孔は、ペーストを均一に充填できるように、供給溝にすることがより望ましい。

    なお、セラミック構造体の製造装置50内に接着材ペースト1400を圧入する際の圧力は、圧入する接着材ペースト1400の量、粘度、供給孔の大きさ、位置及び数等に応じて適宜調整され、必要に応じて、セラミック構造体の製造装置50の両端面からの吸引を併用してもよい。

    このセラミック構造体の製造装置50を用いることで、セラミック部材集合体16の端部には接着材ペースト1400の未充填部分143を残しておくことが可能になる。 また、接着材ペースト1400を空隙141の全てに充填しようとすると、圧入させた接着材ペースト1400がセラミック部材集合体16の端面から漏れだし、上記端面に付着してしまうため、本発明のように、未充填部分143を設けておくことが有利である。

    このセラミック構造体の製造装置50は、次のように使用される。 図13に示すように、セラミック部材集合体16を組み上げた後、これをセラミック構造体の製造装置50の中に格納する。 次に、ペースト1400を注入する。 あるいは、セラミック構造体の製造装置50の中でセラミック部材集合体16を組み上げ、次にペースト1400を注入する。 いずれの方法も使用することができる。

    以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
    以下の実施例では、セラミック構造体を排気ガス浄化用セラミックフィルターとして使用する。 接着材層140は、排気ガスが漏れないようにするためのシール材層として機能するため、この実施例においては、シール材ペースト1400は、接着材ペースト1400と、シール材層140は接着材層140とそれぞれ同義である。

    (実施例1)
    (1)平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.7μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物を調製した。 この混合組成物を押出成形機に充填し、押出速度2cm/分にてハニカム形状のセラミック成形体を作製した。 このセラミック成形体は、図3に示した多孔質セラミック部材30とほぼ同様の形状であり、その大きさは33mm×33mm×254mmで、貫通孔の数が31個/cm で、隔壁の厚さが0.35mmであった。

    (2)乾燥機を用いて、このセラミック成形体を乾燥させた後、上記混合組成物と同成分の充填剤ペーストをセラミック成形体の貫通孔の所定箇所に充填した。 その後、450℃で脱脂し、さらに、2200℃で焼成することにより多孔質セラミック部材30を製造した。 なお、このとき使用した炭素製の脱脂焼成治具を予め反り量0.02mmと設定することにより、多孔質セラミック部材30の反り量を0.02mmとした。

    (3)次に、無機バインダーとしてシリカゾル(ゾル中のSiO2の含有量:30重量%)18重量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース4重量%、無機繊維としてシリカ−アルミナセラミックファイバー(ショット含有率3%、繊維長0.1〜100mm)36重量%、無機粒子として炭化珪素粒子24重量%、及び、水18重量%を混合、混練してシール材ペースト1400を調製した。 このシール材ペースト1400の粘度は、室温で45Pa・sであった。

    (4)次に、多孔質セラミック部材30の側面の四隅近くに1個ずつ合計4個、直径5mm×厚さ1mmの両面に粘着材が塗布されたボール紙からなる空隙保持材142を載置、固定した。 具体的には、空隙保持材142の外周部分と、上記側面の隅を形成する2つの辺との最短距離がそれぞれ6.5mmとなるような位置に空隙保持材142を載置、固定した。 そして、空隙保持材142を介して、縦4個×横4個の多孔質セラミック部材30を結束することにより、セラミック部材集合体16を組み上げた。

    (5)次に、ペースト供給室52を外周部に備え、内周部の大きさが縦135mm×横135mm×長さ254mmであるセラミック構造体の製造装置50内にセラミック部材集合体16を設置した。 セラミック構造体の製造装置50は、セラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間の空隙141と対応する位置に、加圧室52の室内とセラミック構造体の製造装置50内とを連通する幅5mmの供給溝を3箇所有するものであった。
    また、セラミック構造体の製造装置50の両端部には、端面に当接させることが可能な開閉式の底板53がそれぞれ取り付けられており、この底板53を閉じてセラミック部材集合体16の両端面に当接させることにより、多孔質セラミック部材30間の空隙141を封止した。

    (6)次に、シール材ペースト1400をセラミック構造体の製造装置50のペースト供給室52内に投入し、圧力0.2MPaで加圧してセラミック構造体の製造装置50の内周部に圧入し、多孔質セラミック部材間の空隙にシール材ペースト1400を充填した。 なお、シール材ペースト1400圧入後のセラミック部材集合体16の両端部において、シール材ペースト1400の未充填部の端面からの長さが1.5mm(セラミック部材集合体16の全長に対して1%)となるように、圧入させるシール材ペースト1400の量を調整した。 次いで、シール材ペースト1400が多孔質セラミック部材30間に充填されたセラミック部材集合体16を100℃、1時間で乾燥し、シール材ペースト1400を硬化させることにより、1mmの厚さのシール材層14を形成し、セラミック部材集合体とした。

    (7)次に、上記セラミック部材集合体を、ダイヤモンドカッターを用いて直径135mmの円柱状15に切削し、その外周部にシール材ペースト1400を塗布し、乾燥させることにより、シール材層14と同じ組成からなるシール材層13を外周部に形成し、多孔質炭化珪素からなるセラミック(ハニカム)構造体10の製造を終了した。

    (実施例2〜9、参考例1〜6)
    表1に示したように、多孔質セラミック部材30の反り量を変更したこと、シール材ペースト1400圧入後のセラミック部材集合体16の両端部における、シール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さを変更したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質炭化珪素からなるセラミック構造体10を製造した。
    なお、多孔質セラミック部材30の反り量は、脱脂焼成治具の反り量を変更することにより調整した。 また、シール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さは、圧入させるシール材ペースト1400の量により調整した。

    (実施例10〜12、参考例7〜8)
    表1に示したように、多孔質セラミック部材30の反り量を変更したこと、シール材ペースト1400圧入後のセラミック部材集合体16の両端部におけるシール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さを変更したこと、及び、ボール紙からなる空隙保持材の厚さを2.0mmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質炭化珪素からなるセラミック構造体10を製造した。
    なお、多孔質セラミック部材30の反り量は、脱脂焼成治具の反り量を変更することにより調整した。 また、シール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さは、圧入させるシール材ペースト1400の量により調整した。

    (実施例13〜15、参考例9〜10)
    (4)、(5)の工程において、セラミック構造体の製造装置50の内部でセラミック部材集合体16を組み上げ、この底板53を閉じてセラミック部材集合体16の両端面に当接させることにより、多孔質セラミック部材30間の空隙141を封止し、(6)の工程を行った以外は、実施例1と同様にしてセラミック構造体10を製造した。
    ただし、(2)の工程では、炭素製の脱脂焼成治具を予め反り量0mmと設定することにより、多孔質セラミック部材30の反り量を0mmとし、シール材ペースト1400圧入後のセラミック部材集合体16の両端部における、シール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さを表1に示したように変更した。
    なお、シール材ペースト1400の未充填部分の端面からの長さは、圧入させるシール材ペースト1400の量により調整した。

    (実施例16〜18、参考例11〜12)
    (1)平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.7μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水100重量部を配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物を調製した。 この混合組成物を、その大きさは33mm×33mm×150mmのウレタンフォームに含浸させた。

    (2)乾燥機を用いて、このウレタンフォームを乾燥させた後、450℃で脱脂し、さらに、2200℃で焼成することにより、ウレタンフォームを熱分解して除去し、セラミックフォームからなる多孔質セラミック部材30を製造した。 なお、このとき使用した炭素製の脱脂焼成治具を予め反り量2mmと設定することにより、多孔質セラミック部材30の反り量を2mmとした。

    (3)次に、無機バインダーとしてシリカゾル(ゾル中のSiO の含有量:30重量%)18重量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース4重量%、無機繊維としてシリカ−アルミナセラミックファイバー(ショット含有率3%、繊維長0.1〜100mm)36重量%、無機粒子として炭化珪素粒子24重量%、及び、水18重量%を混合、混練してシール材ペースト1400を調製した。 このシール材ペースト1400の粘度は、30〜50Pa・sであった。

    (4)次に、多孔質セラミック部材30の側面の四隅近くに1個ずつ合計4個、直径5mm×厚さ1mmの両面に粘着材が塗布されたボール紙からなる空隙保持材142を載置、固定した。 具体的には、空隙保持材142の外周部分と、上記側面の隅を形成する2つの辺との最短距離がそれぞれ6.5mmとなるような位置に空隙保持材142を載置、固定した。 そして、空隙保持材142を介して、縦4個×横4個の多孔質セラミック部材30を結束することにより、セラミック部材集合体16を組み上げた。

    (5)次に、ペースト供給室52を外周部に備え、内周部の大きさが縦135mm×横135mm×長さ150mmであるセラミック構造体の製造装置50内にセラミック部材集合体16を設置した。 セラミック構造体の製造装置50は、セラミック部材集合体16を構成する多孔質セラミック部材30間の空隙141と対応する位置に供給室52の室内とセラミック構造体の製造装置50内とを連通する幅5mmの供給溝を3箇所有するものであった。

    (6)次に、シール材ペースト1400をセラミック構造体の製造装置50の加圧室52内に投入し、圧力0.2MPaで加圧してセラミック構造体の製造装置50の内周部に圧入し、多孔質セラミック部材間の空隙にシール材ペースト1400を充填した。 なお、シール材ペースト1400圧入後のセラミック部材集合体16の両端部において、シール材ペースト1400の未充填部の端面からの長さが15mm(セラミック部材集合体16の全長に対して10%)となるように、圧入させるシール材ペースト1400の量を調整した。 次いで、シール材ペースト1400が多孔質セラミック部材30間に充填されたセラミック部材集合体16を、100℃、1時間で乾燥し、シール材ペースト1400を硬化させることにより、1mmの厚さのシール材層14を形成し、セラミック部材集合体とした。

    (7)次に、上記セラミック部材集合体を、ダイヤモンドカッターを用いて直径135mmの円柱状15に切削し、その外周部にシール材ペースト1400を塗布し、乾燥させることにより、シール材層14と同じ組成からなるシール材層13を外周部に形成し、多孔質炭化珪素からなるセラミック構造体10を製造した。
    実施例16〜18及び参考例11〜12では、押しぬき強度(押圧に対する破壊強度)は、表1に示すように、768〜1265kgであった。

    (比較例1〜5)
    (1)、(2)の工程については、実施例と同様にして多孔質セラミック部材を製造した。
    (3)次に、無機バインダーとしてシリカゾル(ゾル中のSiO の含有量:30重量%)15重量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース5.6重量%、無機繊維としてシリカ−アルミナセラミックファイバー(ショット含有率3%、繊維長0.1〜100mm)30重量%、無機粒子として炭化珪素粒子21重量%、及び、水28.4重量%を混合、混練してシール材ペースト1400を調製した。 このシール材ペースト1400の粘度は、室温で45Pa・sであった。

    (4)次に、セラミック構造体10の端面に予めマスキング材を貼り付けた。 そして、図5に示したように、断面がV字形状に構成された台60の上に、多孔質セラミック部材30を傾斜させた状態で載置し、上側を向いた2つの側面30a、30bに、シール材層14の材料となるシール材ペースト1400を均一な厚さとなるように塗布するとともに、厚紙等からなる間隔保持材を載置し、シール材ペースト層61を形成した。 その後、このシール材ペースト層61の上に、順次他の多孔質セラミック部材30を積み上げ、100℃で1時間乾燥し、シール材ペースト1400を硬化させることによりシール材層を形成し、多孔質セラミック部材30が複数個積層されてなるセラミック部材集合体とした。 なお、マスキング材は、シール材ペースト塗布後に剥離した。
    (5)次に、実施例の(7)と同様にしてセラミック構造体を製造した。

    実施例、参考例及び比較例に係るセラミック構造体について、以下に示す方法で評価試験を行った。 その結果を表1に示した。

    (1)温度サイクル試験後の押し抜き破壊強度の測定実施例及び参考例に係るセラミック構造体を厚さ7mmのアルミナファイバー(三菱化学社製 マフテック)からなる断熱材マットで丸く包み、金属製の網とバンドでしめて断熱材マットが開かないように固定した(図14参照)。
    そのセラミック構造体を電気炉にて昇温速度10℃/分で600℃に昇温させて、その温度に30分保持した後、室温(20℃)に急冷する温度サイクル試験を行った後、押し抜き破壊強度試験を行い、押し抜き強度(押圧に対する破壊強度)を測定した。 その結果を表1に示す。

    なお、本明細書における押し抜き破壊強度試験とは、図15(a)、(b)に示すように、その接着材の強度を確かめるために、接着剤を介して接合されたセラミック構造体10を台45の上に載置した後、その中央の多孔質セラミック部材に直径30mmのアルミ製の治具40で押し抜き荷重(加圧速度1mm/min)をかけて、押圧に対する破壊強度(押し抜き強度)を測定するものである。 なお、強度の測定には、インストロン万能試験機(5582型)を用いた。

    (2)シール材の観察参考例9及び比較例1に係るセラミック構造体10を切断し、その表面を観察した。 その結果を図16(a)、(b)に示す。

    (3)セラミック構造体の目視観察実施例13〜15、参考例9〜10、及び、比較例1〜5に係るセラミック構造体を端面から目視観察し、多孔質セラミック部材にズレが発生しているか否かを判断した。 その結果を表1に示す。

    図16(a)は、参考例9に係るセラミック(ハニカム)構造体の接着材層(シール材層)の断面であり、(b)は、比較例1に係るセラミック(ハニカム)構造体のシール材層の断面である。
    図16に示した図より明らかなように、先に説明したセラミック構造体の製造方法により得られたセラミック構造体の接着材層(シール材層)は、比較的均一な層が形成されており、均一な形の気泡を有しているが、従来の製造方法により得られたセラミック(ハニカム)構造体の接着材層 (シール材層)は、不均一であり、気泡も連続気泡となっており、気泡が形成されている部分と形成されていない部分とに大きく分かれている。

    図9(a)、(b)は、セラミック(ハニカム)構造体を構成する各多孔質セラミック部材の配置の一例を示す側面図であるが、実施例13〜15、及び、参考例9〜10に係るセラミック(ハニカム)構造体では、図9(a)に示したように、各多孔質セラミック部材にズレは発生しておらず、設定どおりに整然と配置されているが、比較例1〜5に係るセラミック(ハニカム)構造体は、図9(b)に示したように、各多孔質セラミック部材の配置に設定からのズレが生じている。

    以上の結果から、比較例1〜5に係るセラミック構造体(ハニカム)に比べて、実施例2〜15及び参考例1〜10に係るセラミック(ハニカム)構造体の方が、均一な密度でシール材が充填されており、多孔質セラミック部材がずれにくく、強度の高いセラミック(ハニカム)構造体を製作することができることがわかった。
    加えて、多孔質セラミック部材に反りが生じている場合においては、セラミック(ハニカム)構造体の端部にシール材層非形成部が存在し、その部分の端面から接着材(シール材)層までの長さが、セラミック(ハニカム)構造体の長手方向の長さに対して1〜10%である方が、上記多孔質セラミック部材がずれにくいものとなり、セラミック(ハニカム)構造体の強度が高いことがわかった。

    10 セラミック構造体13、14、140 接着材層(シール材層)
    15 セラミックブロック16 セラミック部材集合体30 多孔質セラミック部材31 貫通孔32 封止材33 隔壁50 セラミック構造体の製造装置51 供給孔52 ペースト供給室53 底板60 台61 接着材ペースト層1400 接着材ペースト(シール材ペースト)
    141 空隙142 空隙保持材143 接着材層非形成領域

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