Ceramic honeycomb structure and method of manufacturing the same

申请号 JP2005300227 申请日 2005-10-14 公开(公告)号 JP2006225250A 公开(公告)日 2006-08-31
申请人 Denso Corp; 株式会社デンソー; 发明人 KONDO TAKASHI; TANAKA MASAICHI; ISHIHARA MIKIO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a ceramic honeycomb structure having excellent thermal shock resistance and outer diameter dimensional accuracy and a method of manufacturing the same. SOLUTION: The ceramic honeycomb structure 1 comprises a cordierite ceramic having an outer peripheral skin part 2 provided on the outer periphery in the diameter direction and a cell wall 3 forming a honeycomb like cell 11 inside the outer peripheral skin part 2. The ratio A/B of the degree A of crystal orientation of the cordierite ceramic in the cell wall 3 to the degree B of crystal orientation of the cordierite ceramic in the outer peripheral skin part 2 is 0.80-1.25. In the manufacture of the ceramic honeycomb structure 1, the relation between the temperature T1 at the center part of a base material and the temperature T2 at the outer peripheral edge part of the base material in drying a honeycomb formed body 10 formed by extrusion satisfies T1>T2 in ≥50% of a time required from the starting of temperature rising till the temperature T1 reaches 95°C. COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • 径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを有する、コージェライトセラミックからなるセラミックハニカム構造体であって、
    上記セル壁における上記コージェライトセラミックの結晶配向度Aと、上記外周スキン部における上記コージェライトセラミックの結晶配向度Bとの比A/Bは、0.80〜1.25であり、かつ、上記セラミックハニカム構造体における軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における各外径は、これらのうちの最大値と最小値との差が、上記3箇所における外径の平均値の2.5%以下であることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  • 請求項1において、上記セラミックハニカム構造体は、外径が50〜400mmであることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  • 請求項1又は2において、上記セル壁と上記外周スキン部とは一体成形されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  • 請求項1〜3のいずれか一項において、上記セラミックハニカム構造体は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルターに用いられることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  • 径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを一体成形して、コージェライトセラミックからなるセラミックハニカム構造体を製造する方法であって、
    コージェライトセラミック原料を押し出し成形することにより上記外周スキン部と上記セル壁とからなるハニカム成形体を一体成形した後、
    該ハニカム成形体を乾燥させる際に、該ハニカム成形体の中心軸付近である基材中央部の温度T1と、上記ハニカム成形体の外縁部である基材外縁部の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間の50%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5において、上記温度T1とT2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間の90%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5又は6において、上記ハニカム成形体を乾燥させる際に、40〜80℃の間における、上記基材中央部の昇温速度V1と上記基材外縁部の昇温速度V2とは、V1≧V2を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項7において、上記昇温速度V1とV2とは、V1−V2≧0.25℃/秒を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5〜8のいずれか一項において、上記ハニカム成形体を乾燥させる際に、上記基材中央部の温度T1が95℃に達した時点で、上記基材外縁部の温度T2は60℃以上となっていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5〜9のいずれか一項において、上記ハニカム成形体の乾燥は、マイクロ波又は高周波を用いて行うことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5〜10のいずれか一項において、上記コージェライトセラミック原料は、発泡性有機物を含有しており、該発泡性有機物は、上記ハニカム成形体の乾燥時に容積が膨張することを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5〜11のいずれか一項において、上記基材中央部の温度T1が95℃に達する時間t1と、上記基材外縁部の温度T2が95℃に達する時間t2とは、t2−t1≦5分を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項12において、上記時間t1とt2とは、t2−t1≦2分を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 請求項5〜13のいずれか一項において、上記セラミックハニカム構造体は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルターに用いられることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、コージェライトセラミックからなるセラミックハニカム構造体及びその製造方法に関する。

    従来より、内燃機関の排ガス浄化装置における触媒担体やフィルターとして、セラミックハニカム構造体が用いられている。
    該セラミックハニカム構造体は、径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを有する(特許文献1参照)。
    上記セラミックハニカム構造体は、セラミック原料を押し出し成形し、乾燥し、その後、焼成することにより得ることができる。 しかし、上記セル壁と上記外周スキン部とを同時に押し出し成形すると、セラミックハニカム構造体の外径の寸法精度を高くすることが困難となるおそれがある。

    そこで、従来は、ハニカム状に形成されたセル壁を押出成形した後、このハニカム成形体の外周を削って外径寸法精度を上げ、その後、外周にセラミック原料を塗布することにより、外周スキン部を形成するという方法が採られていた(特許文献2参照)。
    そのため、塗布により形成される上記外周スキン部は、セラミックの結晶配向度が低くなり、外周スキン部の熱膨張率が内側のセル壁よりも高くなる。 そのために、耐熱衝撃性が低下し、割れが生じやすくなるおそれがある。 即ち、使用時に高温の排ガスが通過する際において、急激な温度変化が生じて割れやクラックが発生するおそれがある。
    また、上記のごとく、ハニカム成形体の外周を削る工程と、外周にセラミック原料を塗布する工程とを行う必要があるため、生産性が低下し、コストが高くなるという問題がある。

    特開2002−283331号公報

    特許第2613729号公報

    本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体及びその製造方法を提供しようとするものである。

    第1の発明は、径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを有する、コージェライトセラミックからなるセラミックハニカム構造体であって、
    上記セル壁における上記コージェライトセラミックの結晶配向度Aと、上記外周スキン部における上記コージェライトセラミックの結晶配向度Bとの比A/Bは、0.80〜1.25であり、かつ、上記セラミックハニカム構造体における軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における各外径は、これらのうちの最大値と最小値との差が、上記3箇所における外径の平均値の2.5%以下であることを特徴とするセラミックハニカム構造体にある(請求項1)。

    次に、本発明の作用効果につき説明する。
    上記セル壁と上記外周スキン部とにおけるコージェライトセラミックの結晶配向度の比A/Bが0.80〜1.25であるため、セル壁と外周スキン部との熱膨張率の差を小さくすることができる。 そのため、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。 即ち、セラミックハニカム構造体の使用時等において、急激な温度変化が生じた場合にも、クラックの発生を抑制することができる。

    また、上記セラミックハニカム構造体の上記3箇所における各外径は、これらのうちの最大値と最小値との差が、上記3箇所における外径の平均値の2.5%以下である。 そのため、外径寸法精度の高いセラミックハニカム構造体を得ることができる。

    以上のごとく、本発明によれば、耐熱衝撃性、外径寸法精度に優れたセラミックハニカム構造体を提供することができる。

    第2の発明は、径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを一体成形して、コージェライトセラミックからなるセラミックハニカム構造体を製造する方法であって、
    コージェライトセラミック原料を押し出し成形することにより上記外周スキン部と上記セル壁とからなるハニカム成形体を一体成形した後、
    該ハニカム成形体を乾燥させる際に、該ハニカム成形体の中心軸付近である基材中央部の温度T1と、上記ハニカム成形体の外縁部である基材外縁部の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間の50%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法にある(請求項5)。

    次に、本発明の作用効果につき説明する。
    上記セラミックハニカム構造体の製造方法においては、上記外周スキン部と上記セル壁とを一体成形する。 そのため、外周スキン部とセル壁とにおけるコージェライトセラミックの結晶配向度を共に高くすることができると共に、互いに近似させることができる。 そのため、セル壁と外周スキン部との熱膨張率の差を小さくすることができ、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。

    また、外周スキン部とセル壁とを一体成形することにより、従来のように、ハニカム成形体の外周を削る工程と、外周にセラミック原料を塗布する工程とを行う必要がないため、生産性を向上させ、コストを低減することができる。

    また、ハニカム成形体を乾燥させる際に、上記基材中央部の温度T1と、上記基材外縁部の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間の50%以上の時間において、T1>T2の関係を満たす。 そのため、ハニカム成形体の内部から乾燥が始まり、徐々に外側に向かって乾燥が進むこととなり、乾燥工程におけるハニカム成形体の変形を抑制することができる。

    以上のごとく、本発明によれば、耐熱衝撃性、外径寸法精度、生産性に優れた低コストのセラミックハニカム構造体の製造方法を提供することができる。

    上記第1の発明において、上記セル壁及び上記外周スキン部におけるコージェライトセラミックの結晶配向度は、例えば75%以上であることが好ましい。 この場合には、セル壁及び外周スキン部の安定的な低熱膨張を実現することができ、耐熱衝撃性を確保することができる。

    また、例えば、上記セル壁の厚みを0.1〜0.4mm、上記外周スキン部の厚みを0.3〜0.9mmとすることができる。
    また、上記セラミックハニカム構造体は、例えば、自動車用排ガス浄化フィルターとして用いることができる。 即ち、例えば、ディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルター(DPF)、或いはガソリンエンジン用排ガス浄化フィルターとして用いることができる。

    また、上記結晶配向度の比A/Bが0.80未満の場合には、セル壁の熱膨張率が外周スキン部の熱膨張率に対して大きくなりすぎて、耐熱衝撃性が低下するおそれがある。 一方、上記結晶配向度の比A/Bが1.25を超える場合には、外周スキン部の熱膨張率がセル壁の熱膨張率に対して大きくなりすぎて、耐熱衝撃性が低下するおそれがある。

    また、上記3箇所における各外径の最大値と最小値との差が、上記平均値の2.5%を超える場合には、充分な外径寸法精度が得られずに、セラミックハニカム構造体を金属ケース等に円滑に収納することが困難となるおそれがある。

    また、上記セラミックハニカム構造体は、外径が50〜400mmであることが好ましい(請求項2)。
    この場合には、優れた耐熱衝撃性を有すると共に、外径寸法精度を確保することができる、製造容易なセラミックハニカム構造体を得ることができる。
    上記外径が50mm未満の場合には、圧損失が大きくなりすぎて実用性に欠けるおそれがある。 一方、上記外径が400mmを超える場合には、外周スキン部とセル壁との間の熱膨張量の差が大きくなりやすく、耐熱衝撃性を充分に確保することが困難となると共に、外径寸法精度を充分に確保することが困難となるおそれがある。 また、製造時における取扱いが困難となるおそれがある。

    また、上記セル壁と上記外周スキン部とは一体成形されていることが好ましい(請求項3)。
    この場合には、上記セル壁におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Aと上記外周スキン部におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Bとを近似させることが容易となる。 即ち、その比A/Bを0.80〜1.25とすることが容易となる。

    また、上記セラミックハニカム構造体は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルターに用いられるものとすることができる(請求項4)。
    この場合には、本発明の作用効果、即ち耐熱衝撃効果を一層発揮することができる。

    即ち、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)は、その機能を確保するために、セル壁の厚みを比較的大きくする必要があると共に、外径寸法も比較的大きくする必要がある。 そのため、大きな熱応力が働きやすくなるが、本発明のセラミックハニカム構造体は、上記のごとく、セル壁と外周スキン部とにおける結晶配向度の比A/Bを0.80〜1.25としていることにより、耐熱衝撃性を確保することができる。
    このように、本発明は、特にDPFにおいて大きな作用効果を得ることができる。

    次に、上記第2の発明(請求項5)において、昇温開始から温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間のうち、T1>T2を満たす時間が50%未満の場合には、乾燥時におけるハニカム成形体の変形を防止することが困難となるおそれがある。
    上記温度T1とT2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間の90%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすことが好ましい(請求項6)。
    この場合には、乾燥工程における変形を一層抑制することができ、外径寸法精度が一層高いセラミックハニカム構造体を製造することができる。

    また、上記ハニカム成形体を乾燥させる際に、40〜80℃の間における、上記基材中央部の昇温速度V1と上記基材外縁部の昇温速度V2とは、V1≧V2を満たすことが好ましい(請求項7)。
    この場合にも、乾燥工程における変形を一層抑制することができ、外径寸法精度が一層高いセラミックハニカム構造体を製造することができる。
    V1<V2の場合には、外径寸法精度を充分に確保することが困難となるおそれがある。

    また、上記昇温速度V1とV2とは、V1−V2≧0.25℃/秒を満たすことが好ましい(請求項8)。
    この場合には、乾燥工程における変形をより一層抑制することができ、外径寸法精度が一層高いセラミックハニカム構造体を製造することができる。

    また、上記ハニカム成形体を乾燥させる際に、上記基材中央部の温度T1が95℃に達した時点で、上記基材外縁部の温度T2は60℃以上となっていることが好ましい(請求項9)。
    この場合には、ハニカム成形体の乾燥工程において、中央部付近と外周部付近との乾燥速度の差が生じやすくなることがなく、ハニカム成形体の変形を防止することができる。
    上記温度T1が95℃に達した時点で、上記温度T2が60℃未満となる場合には、ハニカム成形体の中央部付近と外周部付近との乾燥速度に差が生じすぎることとなり、ハニカム成形体における変形を防止することが困難となるおそれがある。

    また、上記ハニカム成形体の乾燥は、マイクロ波又は高周波を用いて行うことが好ましい(請求項10)。
    この場合には、ハニカム成形体の基材中央部の温度T1を基材外周部の温度T2より高くした状態で乾燥させることが容易となる。

    また、上記コージェライトセラミック原料は、発泡性有機物を含有しており、該発泡性有機物は、上記ハニカム成形体の乾燥時に容積が膨張することが好ましい(請求項11)。
    この場合には、セル壁に充分大きな気孔を容易に設けることができる。
    例えば、DPFにおいては、セル壁に気孔を設ける必要があるが、その気孔は、予めコージェライトセラミック原料に、有機物を含有させ、セラミック成形体を焼成する際にこの有機物を消失させることにより形成する。

    ところが、上記有機物が消失した後、セラミック成形体の焼成時の収縮によって、気孔の大きさが小さくなる。 そこで、上記のごとく、発泡性有機物をコージェライトセラミック原料に含有させておく。 これにより、乾燥工程において、発泡性有機物の体積が膨張し、その状態で焼成が行われるため、焼成時の収縮によって気孔の大きさが小さくなっても、充分にその大きさを確保することができる。

    また、上記基材中央部の温度T1が95℃に達する時間t1と、上記基材外縁部の温度T2が95℃に達する時間t2とは、t2−t1≦5分を満たすことが好ましい(請求項12)。
    この場合には、ハニカム成形体の乾燥工程において、ハニカム成形体の変形を防止することができる。

    t2−t1>5分となる場合、即ち基材外縁部の温度T2よりも基材中央部の温度T1の方が5分以上速く95℃に達する場合には、ハニカム成形体の中央部付近と外周部付近との乾燥速度に差が生じすぎることとなり、ハニカム成形体における変形を防止することが困難となるおそれがある。

    また、上記時間t1とt2とは、t2−t1≦2分を満たすことが好ましい(請求項13)。
    この場合には、ハニカム成形体の乾燥工程において、ハニカム成形体の変形をより確実に防止することができる。

    また、上記セラミックハニカム構造体は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルターに用いられることが好ましい(請求項14)。
    この場合には、本発明の作用効果を一層発揮することができる。 即ち、耐熱衝撃性、外径寸法精度、生産性の一層の向上、及び一層の低コスト化を図ることができる。

    即ち、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)は、上述のごとくセル壁の厚みや外径寸法を比較的大きくする必要があるため、大きな熱応力が働きやすくなる。 ところが、本発明の製造方法は、上記のごとく、セル壁と外周スキン部とを一体成形するため、セル壁と外周スキン部との結晶配向度を共に高くすると共に互いに近似させて、熱膨張率の差を小さくすることができる。 そのため、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。

    また、上記のごとく、セル壁が厚く、外径寸法も大きいため、乾燥時にハニカム成形体に与える乾燥エネルギーを大きくする必要がある。 そのため、上述した本発明の温度制御を行わないと、ハニカム成形体の変形が生じやすい。 また、セル壁が厚く、外径寸法が大きいことは、膨張、収縮の仕方も大きく、寸法精度を制御することが困難となりやすいことにつながる。 また、自重による変形も生じやすい。 そこで、上記の本発明の温度制御を行うことにより、効果的に寸法精度を向上させることができる。

    また、その結果、セラミック成形体の外周部を研削したり、外周スキン部を形成するためにセラミック原料を塗布したりする必要もなくなり、生産性も向上する。
    このように、本発明は、特にDPFの製造方法において大きな作用効果を得ることができる。

    (実施例1)
    本発明の実施例にかかるセラミックハニカム構造体及びその製造方法につき、図1〜図4を用いて説明する。
    本例のセラミックハニカム構造体1は、図1、図2に示すごとく、径方向の外周に設けた外周スキン部2と、該外周スキン部2の内側においてハニカム状のセル11を形成するセル壁2とを有する。 そして、セラミックハニカム構造体1は、コージェライトセラミックからなる。

    セル壁3におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Aと、外周スキン部2におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Bとの比A/Bは、0.80〜1.25である。
    また、外周スキン部2及びセル壁3におけるコージェライトセラミックの結晶配向度は、75%以上とすることが好ましい。
    また、セル壁3の厚みは0.1〜0.4mm、外周スキン部2の厚みは0.3〜0.9mmとすることができる。

    また、セラミックハニカム構造体1は、外径が50〜400mm、軸方向長さが50〜400mmの円柱形状を有する。
    また、セル壁3と外周スキン部2とは一体成形されている。
    また、上記セラミックハニカム構造体1における軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における各外径は、これらのうちの最大値と最小値との差が、上記3箇所における外径の平均値の2.5%以下である。

    ここで、上記3箇所における外径は、例えば、以下のように測定する。 即ち、図5に示すごとく、セラミックハニカム構造体1の両端面からそれぞれ5mm内側(軸方向中心側)に入った位置の外径a、cと、これらの測定位置の中間点である中間部の外径bとを測定する。 これらの外径a、b、cは、それぞれの位置において、図6に示すごとく、セル壁3の方向に沿った2つの直径a1(b1、c1)及びa2(b2、c2)と、これらに対して45°傾斜した直径a3(b3、c3)及びa4(b4、c4)とを測定し、これらの平均値として導く。

    即ち、a=(a1+a2+a3+a4)/4、b=(b1+b2+b3+b4)/4、c=(c1+c2+c3+c4)/4である。
    これらにより得られるa、b、cの値のうちの最大値と最小値との差が、平均値「(a+b+c)/3」に対して、2.5%以下の値になっている。

    また、セラミックハニカム構造体1は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(粒子状物質)を含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルターに用いられる。 従って、図1に示すごとく、セラミックハニカム構造体1は、軸方向の両端面12において、栓材4をいわゆる市松模様状にセル11の端部に配設してなる。

    本例のセラミックハニカム構造体1を製造するに当っては、コージェライトセラミック原料をハニカム状に押出成形すると共に所定長さに切断することにより、外周スキン部2とセル壁3とからなるハニカム成形体10を一体成形する。
    次いで、ハニカム成形体10をマイクロ波を用いて乾燥させる。
    次いで、ハニカム成形体10の両端面12における所定のセル11の端部に、上記栓材4を充填する。
    その後、ハニカム成形体10を焼成することにより、セラミックハニカム構造体1を得る。

    そして、上述のごとくハニカム成形体10を乾燥させる際に、次のような温度制御を行う。 即ち、図2〜図4に示すごとく、ハニカム成形体10の中心軸付近である基材中央部101の温度T1と、上記ハニカム成形体10の外縁部である基材外縁部102の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1の50%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすように温度制御を行う。

    本例においては、図4に示すごとく、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1が約88秒、昇温開始から確実にT1>T2の関係を満たすまでにかかる時間t0が約34秒である。 よって、t1までの時間において、確実にT1>T2の関係を満たしている時間は(t1−t0)に等しく、約54秒である。 即ち、上記温度T1とT2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1の約61%の時間において、T1>T2の関係を満たしている。

    ここで、基材中央部101における温度T1は、図3に示すごとく、円筒形状のハニカム成形体10の中心軸上における一点であって、ハニカム成形体10の軸方向中心となる点において測定する。
    また、基材周縁部102における温度T2は、図3に示すごとく、ハニカム成形体10の軸方向に直交すると共に上記基材中央部101の測定点を含む平面上であって、ハニカム成形体10の外周面13から10mm内側に入った点において測定する。

    また、上記ハニカム成形体10を乾燥させる際に、40〜80℃の間における、基材中央部101の昇温速度V1と基材外縁部102の昇温速度V2とは、V1≧V2を満たし、更には、V1−V2≧0.25℃/秒を満たす。 図4に示すごとく、本例においては(V1−V2)が約0.32℃/秒である。
    なお、ここでは昇温速度V1、V2は、40〜80℃の間の平均の昇温速度である。
    また、基材中央部101の温度T1が95℃に達した時点で、基材外縁部102の温度T2は60℃以上となっている。

    また、上記基材中央部101の温度T1が95℃に達する時間t1と、上記基材外縁部102の温度T2が95℃に達する時間t2とは、t2−t1≦5分を満たし、更には、t2−t1≦2分を満たす。 図4に示すごとく、本例においては、t1が約88秒、t2が約138秒である。 よって、(t2−t1)が約50秒である。

    また、上記コージェライトセラミック原料は、発泡性有機物を含有しており、該発泡性有機物は、ハニカム成形体10の乾燥時に容積が膨張する。 そして、焼成工程において、発泡性有機物が消失して、発泡性有機物が存在していた部分に気孔が形成される。 ただし、その容積は、焼成反応によるセラミックの収縮により、発泡した状態の発泡性有機物の体積よりは小さくなる。

    次に、本例の作用効果につき説明する。
    本例のセラミックハニカム構造体1は、セル壁3と外周スキン部2とにおけるコージェライトセラミックの結晶配向度の比A/Bが0.80〜1.25であるため、セル壁3と外周スキン部2との熱膨張率の差を小さくすることができる。 そのため、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体1を得ることができる。 即ち、セラミックハニカム構造体1の使用時等、例えばDPFを高温の排気ガスが通過する際などにおいて、急激な温度変化が生じた場合にも、クラックの発生を抑制することができる。

    また、セラミックハニカム構造体1は、外径が50〜400mmである。 そのため、優れた耐熱衝撃性を有すると共に、外径寸法精度を確保することができる、製造容易なセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
    また、セラミックハニカム構造体1における軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における各外径は、これらのうちの最大値と最小値との差が、上記3箇所における外径の平均値の2.5%以下である。 そのため、外径寸法精度の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。

    また、セラミックハニカム構造体1の製造方法においては、外周スキン部2とセル壁3とを一体成形する。 そのため、外周スキン部3とセル壁2とにおけるコージェライトセラミックの結晶配向度を共に高くすることができると共に、互いに近似させることができる。 そのため、上述のごとく、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。

    また、外周スキン部2とセル壁3とを一体成形することにより、従来のように、ハニカム成形体の外周を削る工程と、外周にセラミック原料を塗布する工程とを行う必要がないため、生産性を向上し、コストを低減することができる。

    また、ハニカム成形体10を乾燥させる際に、基材中央部101の温度T1と、基材外縁部102の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1の50%以上の時間において、T1>T2の関係を満たす。 そのため、ハニカム成形体10の内部から乾燥が始まり、徐々に外側に向かって乾燥が進むこととなり、乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形を抑制することができる。

    即ち、仮に、ハニカム成形体の外周から内側に向かって乾燥が進む場合を考えると、外周部が先に乾燥して半硬化した後、内部が乾燥に伴って収縮もしくは膨張することとなる。 そして、外周部の半硬化も部分的にばらつきがあるため、内部の変形が抑制される部分とされない部分が生じ、その結果、ハニカム成形体が変形しやすくなると考えられる。
    これに対し、本例によれば、上記のごとくT1>T2の関係を満たすことにより、かかる現象を抑制し、ハニカム成形体10の変形を抑制することができる。

    また、ハニカム成形体10を乾燥させる際に、40〜80℃の間における、基材中央部101の昇温速度V1と基材外縁部102の昇温速度V2とは、V1≧V2、更にはV1−V2≧0.25℃/秒を満たす(図4)。 そのため、乾燥工程における変形を一層抑制することができ、外径寸法精度が一層高いセラミックハニカム構造体を製造することができる。

    また、基材中央部101の温度T1が95℃に達した時点で、基材外縁部102の温度T2は60℃以上となっている。 また、基材中央部101の温度T1が95℃に達する時間t1と、基材外縁部102の温度T2が95℃に達する時間t2とは、t2−t1≦5分、更にはt2−t1≦2分を満たす(図4)。 そのため、乾燥工程において、中央部付近と外周部付近との乾燥速度に差が生じすぎることがなく、ハニカム成形体10の変形を防止することができる。

    また、ハニカム成形体10の乾燥は、マイクロ波を用いて行うため、ハニカム成形体10の基材中央部101の温度T1を基材外周部102の温度T2より高くした状態で乾燥させることが容易となる。
    また、コージェライトセラミック原料は、発泡性有機物を含有しており、該発泡性有機物は、ハニカム成形体10の乾燥時に容積が膨張する。 そのため、セル壁3に充分大きな気孔を容易に設けることができる。
    DPFにおいては、セル壁3に気孔を設ける必要があるが、その気孔は、予めコージェライトセラミック原料に、有機物を含有させ、セラミック成形体10を焼成する際にこの有機物を消失させることにより形成する。

    ところが、有機物が消失した後、セラミック成形体10の焼成時の収縮によって、気孔の大きさが小さくなる。 そこで、上記のごとく、発泡性有機物をコージェライトセラミック原料に含有させておく。 これにより、乾燥工程において、発泡性有機物の体積が膨張し、その状態で焼成が行われるため、焼成時の収縮によって気孔の大きさが小さくなっても、充分にその大きさを確保することができる。

    また、セラミックハニカム構造体1は、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に用いられる。 そのため、本発明の作用効果を一層発揮することができる。 即ち、耐熱衝撃性、外径寸法精度、生産性の一層の向上、及び一層の低コスト化を図ることができる。

    DPFは、その機能を確保すべく、セル壁3の厚みや外径寸法を比較的大きくする必要がある。 例えば、セル壁3の厚みを0.25〜0.35mm、外径を129〜400mmとする。 そのため、大きな熱応力が働きやすくなる。 ところが、本発明の製造方法は、上記のごとく、セル壁3と外周スキン部2とを一体成形するため、セル壁3と外周スキン部2との結晶配向度を共に高くすると共に互いに近似させて、熱膨張率の差を小さくすることができる。 そのため、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体1を得ることができる。

    また、上記のごとく、セル壁3が厚く、外径寸法も大きいため、乾燥時にハニカム成形体10に与える乾燥エネルギーを大きくする必要がある。 そのため、上述した本発明の温度制御を行わないと、ハニカム成形体10の変形が生じやすい。 また、セル壁3が厚く、外径寸法が大きいことは、膨張、収縮の仕方も大きく、寸法精度を制御することが困難となりやすいことにつながる。 また、自重による変形も生じやすい。 そこで、上記の本発明の温度制御(図4)を行うことにより、効果的に寸法精度を向上させることができる。

    また、その結果、セラミック成形体10の外周部を研削したり、外周スキン部を形成するためにセラミック原料を塗布したりする必要もなくなり、生産性も向上する。
    このように、本発明は、特にDPFの製造方法において大きな作用効果を得ることができる。

    以上のごとく、本例によれば、耐熱衝撃性、外径寸法精度、生産性に優れた低コストのセラミックハニカム構造体及びその製造方法を提供することができる。

    (実施例2)
    本例は、図7に示すごとく、ハニカム成形体10の基材中央部101の温度T1と基材周縁部102の温度T2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1の90%以上の時間において、T1>T2の関係を満たすよう温度制御した例である。

    本例においては、同図に示すごとく、昇温開始から確実にT1>T2の関係を満たすまでにかかる時間t0は0秒である。 即ち、昇温開始からT1>T2の関係を満たしている。 そして、上記温度T1とT2とは、昇温開始から上記温度T1が95℃に到達するまでにかかる時間t1のすべて(100%)の時間において、T1>T2の関係を満たしている。
    その他は、実施例1と同様である。

    本例の場合には、乾燥工程における変形を一層抑制することができ、外径寸法精度が一層高いセラミックハニカム構造体を製造することができる。
    その他、実施例1と同様の作用効果を有する。

    (実施例3)
    本例は、図8に示すごとく、ハニカム成形体10を乾燥させる際における、基材中央部101と基材外縁部102との昇温速度の差と、セラミックハニカム構造体1の変形量との関係を調べた例である。
    即ち、40〜80℃の間における、基材中央部101の昇温速度V1と基材外縁部102の昇温速度V2との差(V1−V2)を、種々の値に設定して、それぞれの条件で乾燥させた。 各条件につき、30個の試験体を作製し、得られたそれぞれのセラミックハニカム構造体1の変形量を測定した。

    ここで、セラミックハニカム構造体1の変形量は、セラミックハニカム構造体1における軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における各外径のうちの最大値と最小値との差である。 即ち、実施例1において示したセラミックハニカム構造体1の3箇所の外径a、b、c(図5参照)のうちの最大値と最小値との差を上記変形量とした。 外径a、b、cの測定、算出方法は、実施例1において説明したとおりである。

    そして、その変形量を、各条件につきN数(30個)の平均値として算出したものを、図8にプロットした。
    なお、本例においては、セラミックハニカム構造体1として、外径160mmのものを用いた。

    図8から分かるように、V1≧V2(V1−V2≧0)を満たすことにより、変形量を2.0mm以下に抑えることができる。 また、V1−V2≧0.25℃/秒を満たすことにより、変形量を1.5mm以下に抑えることが可能となる。
    なお、変形量を1.5mm以下に抑えることにより、セラミックハニカム構造体1の外径を160±2.0mmとする工程能力(Cp)として1.33を確保することができる。

    (実施例4)
    本例は、図9に示すごとく、セラミックハニカム構造体1のセル壁3におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Aと、外周スキン部2におけるコージェライトセラミックの結晶配向度Bとの比A/Bと、耐熱衝撃性との関係を調べた例である。
    即ち、結晶配向度の比A/Bを種々変更したセラミックハニカム構造体1を作製し、それぞれについての耐熱衝撃性を評価した。 耐熱衝撃性は、各試料を加熱したときにクラックが入り始める温度により評価した。

    測定結果を図9に示す。
    同図より、結晶配向度の比A/Bが0.80以上であれば、高い耐熱衝撃性を確保することができることが分かる。 また、比A/Bが0.80未満となると、耐熱衝撃性が低下することが分かる。

    そして、セル壁3の結晶配向度Aが外周スキン部2の結晶配向度Bよりも大きい場合には、結晶配向度の比A/Bの逆数B/Aを、A/Bに置き換えれば、同様の結果、即ち図9に示す結果が得られると考えられる。 従って、B/Aが0.80以上、即ちA/Bが1.25以下であれば、高い耐熱衝撃性を確保することができることが分かる。
    以上から、0.80≦A/B≦1.25とすることにより、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体1を得ることができることが分かる。

    上記実施例においては、マイクロ波を用いて上記ハニカム成形体の乾燥を行う例を示したが、マイクロ波に代えて、高周波を用いて行うこともできる。
    また、本発明のセラミックハニカム構造体は、上述したDPFに限らず、例えば、ガソリンエンジン用排ガス浄化フィルターとして用いることもできる。

    実施例1における、セラミックハニカム構造体の斜視図。

    図1のA−A線矢視断面図。

    実施例1における、基材中央部の温度T1及び基材外縁部の温度T2の測定点を説明するための、セラミックハニカム構造体の縦断面図。

    実施例1における、乾燥工程の基材中央部及び基材外縁部の温度変化を表す線図。

    実施例1における、セラミックハニカム構造体の外径の測定位置を説明する側面説明図。

    実施例1における、セラミックハニカム構造体の外径の測定位置を説明する断面説明図。

    実施例2における、乾燥工程の基材中央部及び基材外縁部の温度変化を表す線図。

    実施例3における、昇温速度差V1−V2とセラミックハニカム構造体の変形量との関係を表す線図。

    実施例4における、結晶配向度の比と耐熱衝撃性との関係を示す線図。

    符号の説明

    1 セラミックハニカム構造体 10 ハニカム成形体 101 基材中央部 102 基材周縁部 11 セル 2 外周スキン部 3 セル壁

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