【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はセラミック繊維を含む断熱材に関し、さらに詳しくは高温応用分野において有用なセラミック繊維断熱材に関する。 【0002】 【従来の技術】高温応用分野で使用される断熱材は古くはアスベストから作られていた。 そのすぐれた断熱材に加えて、アスベストは個々の応用、用途のための種々の形状に製造することができる。 例えば、アスベストの環状円板は、高温ローラーコンベヤのための外側断熱カバーを形成するのに使用できる。 ローラーコンベヤは内側金属軸と外側断熱カバーとで製作できる。 それらのアスベスト円板を軸の上に積み重ねて、軸方向に一体に押圧する(例えば米国特許第3,802,495号に記載されている)。 またそれらの円板は、米国特許第3,11 6,053号に記載されるように油圧(液圧)手段によって一体に押圧(プレス)することもできる。 アスベストは、バインダーと共に、環状円板以下の多数の形状、 例えば板製品、あるいは炉の端部蓋に成形されうる。 アスベスト暴露による健康問題は無アスベスト断熱の必要性を生じさせた。 【0003】セラミック繊維は、ある種の応用分野においてアスベスト代替品として首尾よく使用されてきている。 例えば、米国特許第5,205,398号及び第5,378,219号には、セラミック繊維をロールカバーとして使用することが記載されいる。 凝集セラミック繊維の環状円板を内側金属軸の上に積み重ね、繊維の初期密度の約50%よりも大きくなる点まで軸方向に圧縮する。 金属軸上の圧縮された環状円板はコロイド状シリカを流布され、そして乾燥させることができる。 次いでそれらの環状円板を再圧縮し、永久的に圧縮状態に維持する。 この方法で製造される断熱ロールカバーはアスベストよりも改善された断熱性を示し、そして不安定なバインダーを実質的に含まない。 得られる製品は約0. 640g/cm 3 (40ポンド/立方フィート)以上の密度を有しうる。 この技術の変形法では、米国特許第5,355,996号に記載されるように、セラミック円板の間に周期的に有孔、剛性、金属円板を挾み込むことにより完全された耐磨耗性が得られる。 【0004】セラミック繊維は複雑な形状を必要とするそれらの応用分野におけるアスベストの代替物としても使用されてきている。 繊維は一般的には適当なバインダーとブレンドされて混合物とされる。 真空(減圧)によって、繊維及びコロイド状混合物を型内に引き込み、そしてバインダーを実質的に除去する。 多孔性の繊維製品が残る。 この技術によれば、セラミック繊維成分が多様な形に成形可能となる。 しかし、圧縮法と異なり、真空(減圧)成形法は、セラミック繊維を高密度にまで圧密化せず、従って物品に所望の強度を与えられないことがある。 得られる製品は低密度であり、典型的には0.2 88g/cm 3 (18ポンド/立方フィート)以下である。 製品の表面は硬いが、内部は弱く、脆いことがある。 真空成形物品の強度を、例えば物品を内側の金属メッシュの周囲に成形することにより、向上させる試行が行なわれてきている。 【0005】セラミック繊維断熱技術におけるこれらの改善にもかかわらず、工業においては、圧縮なしでしかもアスベストの堅固性と長寿命を保持する多様な形に成形されうる改善された無アスベスト断熱材の必要性がなおも存在する。 セラミック繊維を圧縮する最近の技術では、製品はすぐれた性質を有するが、複雑な形状に成形できない。 真空成形セラミック繊維物品は種々の形状に成形されうるが、圧縮法により成形される物品のような強度及び耐久性を欠く。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は圧縮繊維の堅固性と繊維スラリーの加圧容易性を兼備する新規な断熱組成物に関する。 ほとんどの場合に、本発明の断熱ブレンドは、セラミック繊維充填剤を混ぜ合わされたゲル化コロイドを含む。 本発明ではその他の充填剤(このものはセラミック繊維充填剤と組み合わされたものであってもよい)を使用することも意図されている。 本発明ブレンドは、物体表面へ塗布することができ(例えば金属表面へコテ塗りできる)、あるいは複雑な形状に成形することもできる。 乾燥後、得られるセラミック繊維断熱材は、高温用途においてすぐれた断熱性を有し、また亜鉛及びアルミニウムのような溶融金属による抑制された濡れを示す表面を備えている。 【0007】 【課題を解決するための手段】第1の態様において、本発明は、ゲル化コロイドと少なくとも実質的なセラミックの繊維充填剤とを含むセラミック繊維断熱ブレンドであって、約10〜約40重量%のセラミック繊維充填剤及び約60〜約90重量%のゲル化コロイドとを含み、 かつそのゲル化コロイドが約5,000センチポアズ以上の粘度を有しまた無機酸化物のコロイドからなる、上記断熱ブレンドに関する。 【0008】もう一つの態様において、本発明は、上記の断熱ブレンドであって、そのゲル化コロイドがアニオン安定化コロイド状シリカとカチオン安定化コロイド状アルミナとのコロイド状ブレンドからなり、そのアニオン安定化コロイド状シリカがゲル化コロイドの約20〜 約65重量%をなし、そしてそのカチオン安定化コロイド状アルミナがゲル化コロイドの約35〜約80重量% をなしている、断熱ブレンドに関する。 【0009】さらに別の態様において、一般的には本発明は、金属酸化物のコロイドとゲル化剤とを含む上記断熱ブレンド、さらに特定的には少なくとも実質的に水溶性のノニオン高分子ゲル化剤と混合されたコロイド状シリカを含む上記断熱ブレンドに関する。 これに関連する一態様において、本発明は、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、コロイド状ジルコニア、コロイド状チタニアまたはそれらの混合物のコロイドを含む前記断熱ブレンドに関する。 【0010】本発明のさらに別の態様は、ゲル化コロイド及び充填剤を含むブレンドであって、そのゲル化コロイドが前述のものでありかつ前述の量で存在するブレンドに関する。 その充填剤はセラミック繊維充填剤とブレンドされたものであっても、セラミック繊維充填剤以外のものであってもよい。 【0011】本発明の別の態様は、無機酸化物の水性コロイドからセラミック繊維断熱ブレンドを製造する方法であって: (a) 未ゲル化状態であり、5,000センチポアズより小さい粘度である該水性コロイドを形成し、(b) そのコロイドをゲル化させて、約5,000センチポアズ以上の粘度を有するゲル化コロイドとし;そして(c) 得られる断熱ブレンド中に約10〜約40重量%の該セラミック繊維充填剤を与える量の少なくとも実質的なセラミック繊維充填剤と前記ゲル化コロイドをブレンドする、ことからなる上記方法に関する。 【0012】本発明のさらに別の態様は、充填剤とブレンドして断熱ブレンドを形成するためのゲル化コロイドに関しており、そのゲル化コロイドは、無機酸化物の水性懸濁液からなり、約5,000センチポアズ以上の粘度を有する。 【0013】本発明のさらに別の態様は、上記のいずれかの断熱ブレンドを乾燥することによって作られた高温用途において使用されるセラミック繊維断熱材である。 乾燥によって、典型的には約0.320〜約1.120 g/cm 3 (約20〜70ポンド/立方フィート)の密度を有する断熱材製品が得られる。 【0014】前述のように、本発明ブレンドは、ある形状に成形することができ、あるいは表面へコテ塗りできる。 それはポンブ圧送することができ、またガン吹付けできる。 次いで乾燥時に得られる断熱材は実質的に無収縮である。 【0015】本発明のその他の詳細、目的及び利点は、 本発明の好ましい具体例についての以下の説明から明らかとなろう。 【0016】最も一般的には、本発明のブレンドを得るためには、充填剤は繊維であろう、そして使用される繊維は無機耐火性繊維であり、ある量、例えば存在する耐火性繊維の合計量の約20重量%〜100重量%のセラミック繊維を含むであろう。 普通は約50重量%以上がセラミック繊維であろう。 その他の耐火性繊維も使用することができ、例えばガラス繊維または炭素繊維のような合成繊維あるいはセピオライト、ウールアストナイト、ミネラルウール(添加剤入りミネラルウールを包含)のような天然鉱物繊維またはそれらの天然鉱物繊維を含む繊維混合物がある。 無機耐火性繊維はほとんどの場合、若干ないし全てセラミック繊維であるから、本明細書で「セラミック繊維」とは、全ての耐火性繊維を包含しうるものである。 【0017】経済のためにはセラミック繊維がシリカ含有繊維であるのが好ましいが、セラミック繊維はシリカ含有繊維以外のものでもよく、例えばアルミナ繊維、ホウ素化合物の繊維、(例えば酸化ホウ素、炭化ホウ素あるいは窒化ホウ素の繊維)である。 シリカ含有繊維は、 単純にシリカ繊維であってよく、あるいはさらに一般的であるように、シリカがアルミナ、ジルコニア、クロミアあるいはチタニアの1種またはそれ以上と一緒に存在してもよい。 その他の繊維は、窒化シリカ、炭化ケイ素、カルシウム・アルミニウム・シリケート、カルシウム・マグネシウム・シリケート等からなるものでもよい。 【0018】セラミック繊維は、セラミック繊維を製造するための任意の有用な方法によって製造することができる。 商業的に用いられる方法の例は、溶融流を繊維化させる方法であり、例えば溶融流を吹いて溶融物を繊維化させ、あるいは溶融流を紡糸ホイールに迅速に衝突させその紡糸ホイールによって溶融物を繊維化させる方法等である。 商業的な製造方法としては、ゾル−ゲル法、 例えば高アルミナ繊維用ゾル−ゲル法もある。 市販セラミック繊維は若干のショット(shot)を含んでいることがある。 ここにショットとは、非繊維状の普通は塊状のセラミック粒子を指称するものであり、このような粒子は集積されたセラミック繊維、例えばセラミック繊維材料層中に見出される。 使用に供されうる繊維はショットを含むことがあるが、本発明で使用されるセラミック繊維は低減されたショット含量となるように、すなわち実質的にショットを含まないように、加工することもできる。 本発明での使用のために供されうるセラミック繊維の一例は、54重量%のSiO 2含量、43.5重量%のAl 2 O 3含量、1.5重量%のFe 2 O 3含量及び残部1重量%のその他の酸化物類含量を有する。 【0019】典型的には、製造されたままのセラミック繊維は一緒に集積される。 そのような集積物は、例えば、製造されたばかりのばらばらの繊維を容器(例えば貯蔵または輸送用の袋)に押し込むことにより詰められる。 このように一緒に圧縮された繊維は、バルク繊維と称することができるものであって、集積形態を有しないばらばらの繊維と対照的である。 バルク繊維は、ばらばらの繊維に分離するのが困難であるような組織構造を有する。 バルク繊維は、マットの形に集積された繊維からなることもある。 そのような繊維マットは、約0.03 2〜約0.128g/cm 3 (約2〜8ポンド/立方フィート)の密度を有しうる。 このようなマットは、しばしばさらなる団結によって、セラミック繊維について典型的には約0.064〜約0.160g/cm 3 (約4 〜10ポンド/立方フィート)のオーダーの密度を有する層状体(ブランケット)とすることもできる。 バルク繊維として、あるいはマットもしくは層状体として、耐火性繊維は、本明細書では、便宜上から単に「集積された」形であると称する。 ばらばらの繊維または集積された繊維を本発明では使用できるが、繊維が、例えばシリングまたはハンドショレッディングによって、使用に供される寸法の個々の節片にまず引き離されるのが有利である。 個々の繊維は適宜な長さであってよいが、好ましくは長さ20センチ(8インチ)以下であろう。 【0020】さらには、充填剤が繊維である場合に、それは有機繊維を含んでいてもよく、それには天然及び合成繊維、例えば木綿またはアラミドが包含されうる。 無機繊維としては、金属、半金属及び非金属の繊維が包含されうる。 従って広義には、セラミック繊維充填剤以外の充填剤を使用することも本発明では意図されている。 例えば本発明では繊維充填剤に加えてさらに他の充填剤が使用でき、それはゲル化コロイドと相容性である任意の形状であってよい。 そのような充填剤としては、粒状充填剤、例えばフレークあるいは粉末、ならびに塊状体充填剤が包含される。 特定な充填剤の例としては、滑石、石英及び雲母等がある。 【0021】従って、例えば、この明細書で述べる「ブレンド」自体は、セラミック繊維断熱ブレンド以外のものでありうる。 広義には本明細書での用語「ブレンド」 は、ゲル化コロイドと繊維とを含むものである。 セラミック繊維を含むブレンドは「セラミック繊維断熱ブレンド」と称される。 セラミック繊維を含まないその他のブレンドも、それらが断熱性を有する乾燥物になる限り、 断熱ブレンドと称されうる。 ある材料が充填剤を含み、 かつ(同一であるが充填剤を含まない材料と比較して) 少なくとも限界断熱特性を与える限り、その充填剤含有材料は断熱性を有すると称される。 【0022】本明細書において、ゲルとも称されることがあるゲル化コロイドは充填剤とブレンドされてブレンドを作りうる。 ゲルはブレンド中に、ゲルが充填剤粒子同志を一体に凝集混合物として結合させうる量で存在すべきである。 しかし、充填剤は、ブレンドに湿潤強度を与えかつ最終断熱材中で乾燥強度を維持するのに充分な量で存在すべきである。 充填剤としてセラミック繊維が使用される場合、その繊維は、セラミック繊維とゲルとの合計100重量%の基準で約10〜約40重量%で存在しうる。 好ましくは、ブレンドは約15〜約30重量%のセラミック繊維を含む。 約10重量%より少ないセラミック繊維を使用するとブレンドに湿潤強度を与えるのには不充分であり、他方約40重量%より多いセラミック繊維はブレンド中で充填剤を凝集混合物に結合するのに不充分なゲル量をもたらすことになる。 【0023】ゲルはコロイドからなり、本明細書では懸濁液と称されることもある。 現在のところ、ゲルは、 (1)コロイドをゲル化剤と混合することにより、あるいは(2)非相容性の安定化系を有する少なくとも2種のコロイドを混合することによる、2つの異なる方法により作りうることが判明している。 コロイドは水性コロイド状シリカであってよいが、その他のアルミナ、ジルコニア、チタニアまたは他の金属酸化物のようなものの水性コロイドを含んでもよい。 コロイド状固形分についての懸濁の粒子寸法は、普通約4ナノメートル〜約10 0ナノメートルの範囲となろう。 普通に商業的に入手できる懸濁液は、約15重量%から約50重量%またはそれ以上のコロイド状固形分を含む。 懸濁液の粒子寸法の範囲及び固形分含量の範囲は、一般的にはコロイド化学からの制限であり、本発明の実施を制限すると解釈されるべきではない。 しかし、典型的にはコロイド化学に基く制限は固形分含量の下限については無い。 市販懸濁液は普通約15重量%以下の濃度にまで容易に希釈することができるが、経済の面からは、固形分が少なくとも1 5重量%またはそれ以上の懸濁液を本発明では一般的には有利に使用される。 【0024】コロイドは連続媒体として水または非水性溶媒を使用しうる。 最も一般的には、コロイドは水に基くものであり、コロイド粒子を安定化させるための静電気的反発力に依存している。 安定化系としては、アニオン系化合物及びカチオン系化合物があり、これらのものはしばしばコロイド粒子の表面上に分散される。 これらのイオン性成分の反発力は、コロイド粒子同志間にある分離空間を維持し、粒子同志が合体するのを防止する。 例えばシリカコロイドは、しばしば、ナトリウムまたはアンモニウムにより安定化される。 ナトリウムにより安定化された市販シリカコロイドは、典型的には、Na 2 O換算で約0.3〜約0.8重量%のナトリウムを含む。 そのようなコロイドは10センチポアズ未満の低い粘度から50センチポアズまたはそれ以上の高い粘度までを有しうる。 本発明の目的にとって、コロイドが水性または非水性溶媒及びいずれかのタイプの安定化系を含みうることは了解されよう。 しかし、便宜のためには、 本明細書における液体媒体についての言及は、普通単に水または水性媒体と称されることになろう。 【0025】本発明において、コロイドは最も典型的には、E. I. デュポン社製のLUDOX(商標)分散液またはアトランタ州ジョージアのエカ・ケミカルズ社製のNYACOL(商標)分散液の様な、水性の、アニオン安定化コロイド状シリカからなる。 前述のようにその他のコロイドとしては、コロイド状チタニア、コロイド状ジルコニア、コロイド状アルミナ、ならびにそれらの混合物がある。 カチオン安定化アルミナコロイドとアニオン安定化シリカコロイドとの混合物は、以下に詳しく説明するように、殊に興味あるものである。 コロイド状シリカのようなコロイド状組成物、殊に市販のコロイドが添加物を含んでいてもよいことは理解されるべきことである。 【0026】本発明に関するゲルを製造するための第1 の方法においては、ゲル化剤をコロイドに対して添加する。 ゲル化剤は実質的に水溶性である。 最も典型的なアニオン安定化コロイド状シリカと共に使用されるときに、ゲル化剤はノニオン性であるのが有利である。 ゲル化剤の機能を妨害しない量でイオン成分が存在してもよいことは理解されよう。 実質的に水溶性であるとは、ゲル化剤が、50重量%より少ない量で、水に可溶であるよりもむしろ分散しうることを意味する。 最も典型的には、ゲル化剤は水溶性ノニオン高分子剤であろう。 一般に、このタイプのゲル化剤は、エトキシル化アルコール、アルキルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンエステル、またはそれら混合物よりなる群から選択される有機高分子剤であろう。 これらの有機高分子剤については、エチル構成分の全部または一部分の位置に置換されるその他の置換基、例えばメチルまたはプロピルのようなその他のアルキル基が存在してもよいことは了解されよう。 好ましくは、ノニオン性ゲル化剤はポリオキシエチル化アルコールである。 【0027】ゲル化剤は、ゲル化コロイド中に約0.3 〜約20重量%のゲル化剤を与える量で添加されることになる。 ゲル化剤を約0.3重量%より少ない量で使用することはゲルを作るのに不充分であり、他方ゲル化剤を約20重量%より多い量で使用することは不経済である。 普通は、効率的かつ経済的なゲルの形成のためには、約0.4〜約10重量%のゲル化剤、そして好ましくは約0.5〜約5重量%のゲル化剤が使用されよう。 【0028】ゲル化剤をコロイドと混合すると、ゲルが形成される。 そのような混合は、諸成分、例えば液体同志を一緒に混ぜ合せる、単純な手作業混合あるいは機械混合のような任意の手段で実施できる。 普通、数分程度、例えば2〜10分の混合時間が必要とされる。 ゲル中に所望されうるその他の追加成分は、この時に添加されうる。 ゲルは、均質で、粗粒や塊を実質的に含まない高粘度物質である。 ゲルの粘度は約5,000センチポアズを超え、好ましくは約10,000センチポアズ以上である。 これと比較して、ゲル化剤が存在しないコロイドは、典型的には約50センチポアズ以下の粘度を有する。 得られるゲルは、次いで、粒状固体を液体媒質と混合する任意の手段によって充填剤と混ぜ合せられる。 例えば、ゲルは充填剤と共に機械的に混合されてブレンドを生成する。 【0029】本発明に関するゲルを生成するための第2 の方法においては、少なくとも2種のコロイドを一緒に混合してゲルを作る。 それらのコロイドを、液体同志を一緒に合せる任意の手段によって、混合することが意図されている。 この混ぜ合せ中に、ゲル中に所望されるその他の成分(代替物)も添加されうる。 一緒にされるコロイドは、アニオン性安定剤またはカチオン性安定剤のいずれかを用いて安定化されうる。 典型的にはアニオン性コロイドは約9以上のpHで供給され、そしてカチオン性コロイドは通常約5以下のpHを有する。 各懸濁液の安定性は、pHに大きく依存し、すなわち、アニオン性/カチオン性懸濁液のpH値を低下/上昇させるとコロイドの安定性が崩れて凝集もたらされる。 従って、アニオン性懸濁液をカチオン性懸濁液と混合すると、両者の安定性がなくなることが予期されうる。 【0030】しかしながら、アニオン安定化コロイドをカチオン安定化コロイドと混合すると、凝集せずに、ゲルを形成することができ、このものは断熱ブレンドを与えうることが判明した。 例えば、典型的には9付近のp Hを有する、アニオンで安定化されたコロイド状シリカは、典型的には5付近のpHを有する、カチオンで安定化されたコロイド状アルミナと混合されると、有用なゲルを形成しうる。 そのような2種のコロイドの混合によって、シリカコロイドのpHが低下しねそしてアルミナコロイドのpHが上昇し、従って、両方のコロイドが安定化を崩されて、ゲルを形成するに至る。 これが生じる臨界的pH値は、約5〜約7.5の範囲内である。 これは約20〜約65重量%のコロイド状シリカに相等し、 ここに残部はコロイド状アルミナ、すなわち約35〜約80重量%のコロイド状アルミナである。 ゲル化が生じる個々のpH値が、個々のコロイドの使用量ならびにそれらのコロイドの個々の安定化剤系等を含む諸因子に依存しうる。 形成されたゲルは、充填剤と混ぜ合せて適当なブレンドすることもでき、例えばセラミック繊維充填剤と混ぜ合せてセラミック繊維断熱ブレンドとすることができる。 【0031】シリカコロイドとアルミナコロイドとのブレンドは、経済的理由のみならず、アルミナがシリカコロイド単独使用と比較してクリストバライト生成を実質的に抑制するので、好ましいコロイドブレンドである。 さらには、その抑制は相乗的で望ましい。 例えば100 %のシリカコロイドから作られ1288℃(2350° F)の温度に暴露された製品は、約54重量%のクリストバライトを含むことが見出された。 そのときに、わずか23重量%のシリカ(すなわち100%シリカコロイドの約4分の1のみ)を含む製品は、約4分の1(すなわち13重量%を超える)だけのクリストバライトを含むことが予期された。 しかしながら、その製品はわずかに6.6重量%のクリストバライトを含むことが見出された。 【0032】ゲル化コロイドに充填剤を加えたブレンド、あるいはゲルは、迅速に基体へ塗布できる。 それはコテ塗り可能であり、ポンプ圧送可能であり、ガン吹き付け可能である。 そのブレンドあるいはゲルは、注型、 プレス成形またはその他の方法で種々の形に成形できる。 塗布後、そのブレンドを乾燥させると製品が得られる。 例えば、セラミック繊維断熱ブレンドの乾燥によって、セラミック繊維断熱ブレンドが得られる。 水がゲルのコロイドの液体媒質である場合に、一般的に乾燥は約21℃(70°F)以上で進行される。 乾燥を高温で、 好ましくは液体媒質の沸点よりもはるかに高い温度で乾燥することは、最終製品の効率的製造のために有利である。 従って水がコロイドの連続相である場合に、乾燥は100℃(212°F)以上から約204.4℃(40 0°F)あるいはさらに例えば260℃(500°F) またはそれ以上で実施するのが好ましい。 【0033】乾燥時間はいくつかの因子に依存し、例えば、塗布される断熱ブレンドの厚さ、乾燥炉のタイプ、 湿度、及び空気流によって左右される。 1インチ(2. 54cm)厚の塗布ブレンドについて適当な乾燥時間スケジュールは約15〜約24時間でありうる。 より厚い材料はさらに長い乾燥時間を必要としうる。 この明細書において「乾燥」とは、指触乾燥でありうるが、乾燥度は蒸発で去った水の量を策定するために材料の重量測定することにより決定するのが好ましい。 本発明のブレンドは微小の収縮乾燥中に示し、得られる材料はゴム、木材、金属(例えば鋼のような鉄合金)のような多様多種の物体表面へ強力に接着しうる。 【0034】セラミック繊維断熱材は、1204℃(2 200°F)またはそれ以上のような高温においてすぐれた断熱性を有する。 例えば、アルミナコロイドとシリカコロイドとのブレンドであって、ゾル・ゲル法によって作られたセラミック繊維を含むブレンドから作られた断熱材は、1649℃(3000°F)までの可使用性を示しうる。 断熱材は、高温において実質的に収縮がなく、例えば約982.2℃(1800°F)までは実質的に完全に収縮がなく、それ以上では55.6℃(10 0°F)当り約4分の1%ないし1%のオーダーの収縮率を示すだけである。 微小の収縮は、繊維を熱処理することにより達成される。 シリカコロイド及びゲル化剤のセラミック繊維断熱ブレンドから作られたもののような断熱材は、望ましい機械的性質、例えば望ましい破断モジュラスを有しうる。 セラミック繊維断熱材は、約0. 320〜約1.120g/cm 3 (約20〜約70ポンド/立方フィート)の密度を有しうるが、その値は極めて強く圧縮されたセラミック繊維の密度に匹敵するものである。 乾燥された材料の最終密度は、例えば使用充填剤の寸法及び形状によって影響を受けうる。 ブレンドを製造するのに使用されることがありうる小さな平均粒子寸法の高密度粒状充填剤は、高密度材料を生じうる。 【0035】慣用バインダー、例えばセメント、またはデンプン、または粘土を必要とする他のセラミック繊維断熱製品と異なり、本発明に係るセラミック繊維断熱材はそのようなバインダーを含ませることなく製造するのが好ましい。 もしそのようなバインダーが、ブレンド中へ、例えばブレンド製造の混合中に、加えられる場合には、使用バインダーは典型的には少量存在し、最も一般的にはデンプン、ラテックス材及び繊維素系材のような有機バインダーである。 しかしながら、その他の成分が、ブレンド内ならびに最終材料内に存在してよいことは理解されよう。 そのような成分は、充填剤と共に、繊維充填剤によってもたらされた滑剤として存在しうる。 あるいは、コロイドによって、安定剤、pH調節剤及びカップリング剤のようなその他の成分が与えられうる。 そのような成分は、染料または着色剤のように目的を以て添加されることがある。 普通、すべてのそのような成分は製品中に非常に少ない量、例えば製品の5〜10重量%よりも少ない量で存在する。 【0036】断熱材はロールカバー(ロールの被覆)、 板あるいはブロック型製品のような用途に用いられ、そしてさらに複雑な形状が要求される用途において使用される。 ロールカバーとして、本発明の断熱材は、すぐれて縦方向亀裂抵抗を示す。 複雑な形状の片に成形されたときに、それらの片は実質的に均質でありうる。 それらの片の表面及び内部の両者は摩耗抵抗性であり、また内部は耐崩壊性である。 【0037】以下の実施例は本発明が如何に実施されるかを例示するものであるが、本発明を限定する意図のものではない。 本発明の多様な改変及び変更は本明細書の記載に鑑み可能である。 従って、特許請求の範囲における記載の範囲内において、本発明はここに特定的に記載した態様以外でも実施可能である了解されるべきである。 【0038】 【実施例1】容器中へNyacol 9950(固形分含量50重量%、粘度約15センチポアズ、pH9. 0、比重1.4及び平均粒径約100ナノメートルの市販の水性コロイド状シリカ)を入れた。 そのコロイド状シリカの中へゲル化剤を10分間にわたり機械的撹拌下に中程度で撹き混ぜながら導入すた。 3800mlのコロイド状シリカに35mlのゲル化剤を使用した。 そのゲル化剤は、約10容量%の水を伴なうポリオキシエチレン化(6)デシルアルコールの透明な住流動性液体であった。 このものは水溶性のノニオン性高分子剤1.0 の比重を有し、バンドロック(Buntrock)インダストリーズ社製のものであった。 このような混合によって、ゲル化剤はコロイド状シリカと完全にブレンドされて、滑らかな均質な、そして実質的に粒状物を含まないゲルを形成した。 このゲルの粘度は10,000センチポアズを超える値であることが判明した。 【0039】ユニフラックス社製のLo−Con(商標)のバルク状の市販セラミック繊維を選択した。 このセラミック繊維は50重量%のアルミナと実質上残部のシリカを含んでいた。 このバルク状繊維を手によってばらばらの繊維に分離し、次いで機械的混合によって、上記ゲルと約20分間混ぜ合わせた。 セラミック繊維は繊維1部:ゲル6部の重量比で使用した。 この混合によって、セラミック繊維は得られたブレンドの全体にわたって均一に分散し、かくしてブレンドは分散されないセラミック繊維を実質上含んでいなかった。 得られた断熱ブレンドはポンプ圧送可能であることが判明した。 【0040】このブレンドの第1の部分を、機密容器中で90日間貯蔵し、その後に容器を開けて、ブレンドを目視観察したところ、最初と同じ均一性が維持されており、従って新しく調製されたブレンドのように使用されうることが判断された。 90日を超える貯蔵についてのデータは集めなかったが、6ケ月またはそれ以上の貯蔵寿命が可能であると考えられた。 【0041】上記の製造したばかりのブレンドの第2の部分を、コテ塗りにより鋼板の平らな表面へ塗布した。 ブレンドは、接着剤のように、容易に下の基板に密着した。 その基板の上に約1インチ(2.54cm)厚の層を設けるために足る量で断熱ブレンドを塗布した。 塗布後、その断熱ブレンドを約177℃(350°F)の温度で約24時間乾燥させた。 乾燥に際して、そのブレンドは実質的に無収縮であり、すなわち、塗布されたばかりのときとほぼ同じ寸法を保持していた。 得られた断熱材は白色で、多孔質で、可視欠陥がなく、そして掻傷抵抗性表面を有した。 しかし、その表面は手で加えた圧力に対し、わずかに屈した。 その断熱材は0.752g/ cm 3 (47ポンド/立方フィート)の最終密度を有した。 断熱材は1204℃(2200°F)の温度まで使用可能であると判断された。 【0042】 【実施例2】容器に、ナトリウム安定化用イオン使用のアニオン安定化水性コロイド状シリカであるNyaco l 9950(実施例1を参照)を入れた。 その容器中へ、硝酸塩安定化用イオンを有するカチオン安定化水性コロイド状アルミナであるWesbond D3070 (商標)を前記シリカと同重量で混入した。 このコロイド状アルミナは、30重量%の固形分含量、約4.5のpH、約10センチポアズの粘度、及び70ナノメートルの粒子寸法を有した。 二つのコロイドの混合は実施例1と同様に実施し、これにより滑らかに、実質的に粒状物を含まないゲルが形成され、その粘度は5,000センチポアズ以上であり、最終pHは約7であった。 【0043】実施例1と同様な操作を用いて断熱ブレンドを形成したが、セラミック繊維充填剤:ゲルの比は、 実施例1の1:6ではなく本例では1:5とした。 得られた断熱ブレンドはコテ塗り可能であり、ポンプ圧送可能であった。 この断熱ブレンドを実施例1と同様に鋼板に塗布し、乾燥させた。 乾燥後の断熱材の物理的性質は、実施例1におけるものと同様であった。 この断熱材は1204℃(2200°F)まで使用可能であると判断された。 【0044】 【実施例3】容器に、実施例1で使用したものと同じN yacol 9950水性コロイド状シリカを入れ、実施例1の操作と同様にしてゲル化剤を混入した。 そのコロイド状シリカ10lに対して75mlのゲル化剤を用いた。 ゲル化剤の割合は約0.48重量%であった。 ゲル化剤は実施例1と同じ水溶性ノニオン性高分子剤であった。 この混合操作によって、5,000センチポアズを超える粘度を有する滑らかなゲルが生成した。 【0045】実施例1と同じ操作を用いて断熱ブレンドを作ったが、本例においては、セラミック繊維充填剤: ゲルの重量比は1:6(実施例1)ではなく1:3であった。 得られた断熱ブレンドを有孔金型に手で押し込んだ。 その鋳込ブレンドに軽圧を掛けて、閉じ込められていた空気を押し出し、次いで実施例1のように乾燥させた。 金型から取り出して、2.54×2.54×20. 32cm(1×1×8インチ)のセラミック繊維断熱材の試験片(棒)を得た。 【0046】この試験片の溶融アルミニウムに対する抵抗試験を真空誘導加熱炉中で実施した。 アルミニウムの固体インゴットを炉の底のアルミナるつぼ内に入れた。 試験片を対かせい金属固定具に取り付けることにより、 金属上に懸架した。 固定具の軸を、蓋を貫通して延ばし、低速電気駆動装置に接続した。 炉を閉じ、そして試験期間中は炉内に強制流動アルゴン雰囲気を作った。 炉を850℃に加熱して、アルミニウムを熔融させ、そして試験片を部分的に熔融アルミニウム中へ押し下げた。 次いで駆動装置(モーター)にスイッチを入れ試験片を溶融アルミニウム中で約15rpmで回転(軸回転)させて。 4時間後、試験片を溶融アルミニウムから引き上げ、モーターのスイッチを切った。 試験片を閉じた炉の内側で一晩放冷させた。 この試験のために選択されたアルミニウム合金は、5.1〜6.1%のZn、2.5〜 3%のMg、1.2〜1.6%のCu、0.18〜0. 28%のCr及び残部のアルミニウム(いずれも重量基準)を含んでいた。 【0047】対照として、市販(標準)石英ガラスの棒(試験片)を上記と同様に試験した。 試験後、その標準石英ガラスは広範囲にわたり亀裂を生じていた。 これと比較して、本発明のセラミック繊維断熱材の試験片は溶融アルミニウム中で極めて良く耐え、そして外部亀裂は見えなかった。 【0048】それの試験片を次いで長手方向に鋸引きして、アルミニウム浸入を目視観察できるような新鮮断面を生じさせた。 標準の石英ガラスは可成りのアルミニウム浸入を示し余り望ましくないように見えた。 鋸引き面で観察できた最大の金属(アルミニウム)浸入を下表に示す。 【0049】 表 材料 アルミニウム浸入深さ 標準石英ガラス 3.2mm(1/8インチ) セラミック繊維断熱材 1.6mm(1/16インチ) これらの試料の鋸引き面は、セラミック繊維断熱材が望ましい、実質的に無孔質の組織を有することも示した。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 594135287 7209 South GalahadPla ce,Painsville,Ohio 44077,UnitedStates of America |