Glass powder for dental glass ionomer cement

申请号 JP2978887 申请日 1987-02-13 公开(公告)号 JPH0755882B2 公开(公告)日 1995-06-14
申请人 而至歯科工業株式会社; 发明人 健太郎 富岡; 一男 広田; 敏 戸崎; 正治 赤羽;
摘要
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】比重が2.4〜3.5平均粒径が0.02〜10μmであり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,Al 2
    O 3 20〜40重量%,SrO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O 5 0
    〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちBe,M
    g,Baを含まない歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末。
  • 【請求項2】比重が2.4〜3.5、平均粒径が0.02〜10μm
    であり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,A
    l 2 O 3 20〜40重量%,SrO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O
    5 0〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちB
    e,Mg,Ca,Baを含まない歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末。
  • 【請求項3】比重が2.4〜3.5、平均粒径が0.02〜10μm
    であり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,A
    l 2 O 3 20〜40重量%,SrO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O
    5 0〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちB
    e,Mg,Baを含まないガラス粉末100重量部に対し0.01〜5
    重量部の酸及び/またはフッ化物で該ガラス粉末表面が処理されている事を特徴とする歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末。
  • 【請求項4】比重が2.4〜3.5、平均粒径が0.02〜10μm
    であり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,A
    l 2 O 3 20〜40重量%,SrO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O
    5 0〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちB
    e,Mg,Ca,Baを含まないガラス粉末100重量部に対し0.01
    〜5重量部の酸及び/またはフッ化物で該ガラス粉末表面が処理されている事を特徴とする歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は歯科用セメント、特に歯科用グラスアイオノマーセメントに関するものである。 更に詳細に述べると歯科用グラスアイオノマーセメント用に提供されるフルオロアルミノシリケートガラス粉末に関するものである。

    〔従来の技術〕

    歯科用グラスアイオノマーセメントは基本的にはポリアクリル酸を主成分とした酸成分とフルオロアルミノシリケートガラス粉末とをの存在下で反応させ硬化させるものであり、歯科分野では広範に使用される様になって来た材料の一つである。 グラスアイオノマーセメントは主体に対する親和性が極めて良好であり、歯質接着性があり、しかも硬化体が判透明性を有し審美性に優れているなどの特徴に加え、ガラス中にフッ素が含まれており、フッ素による歯質強化作用が期待出来る。 この様な多くの特徴を活かしてグラスアイオノマーセメントはう蝕窩洞の修復充填、クラウン・インレー・ブリッジや矯正用バンドの合着、窩洞の裏層、支台築造や予防填塞などの歯科分野で幅広い用途に使用されている。

    しかしながら単にアルミノシリケートガラス粉末とポリアクリル酸とを組み合わせただけでは練和物の流動性が無く、操作性が悪い。 しかも硬化する迄に長時間を要するため口腔内ではセメント表面が唾液との接触によって崩壊し脆弱化すると共に最終強度も充分発揮するこが出来ない。 之等の欠点を克服するため数多くの方法が検討されて来たことは公知である。 例えば特開昭52−101893
    号にはポリアクリル酸またはアクリル酸共重合体の45〜
    60%水溶液と1種または2種以上の多塩基性カルボン酸とを総重量の7〜25%含んだ硬化液が開示されている。
    之により反応速度が速くなると共に破砕抗が向上するという効果が得られた。 特開昭57−2210号公報ではアクリル酸共重合体に加え酒石酸とフルオロ錯塩とを添加したグラスアイオノマーセメント用硬化液は上記の効果に加え溶解性が減少することが開示されている。 一方、特願昭60−206299号(特開昭62−67008号公報参照)ではガラス粉末表面をフッ化物で処理されたガラス粉末を使用した歯科用グラスアイオノマーセメントは練和直後のセメント泥の流動性が増加し、練和操作性が向上することが述べられている。

    〔本発明が解決しようとする問題点〕

    前述した様に歯科用グラスアイオノマーセメントの改良に就いては種々検討されて来たが、未だ多くの欠点を有しており、理想的な歯科用セメントであるとは言い難い。 例えば歯科用リン酸亜鉛セメントのJIS規格T6602に従って測定された蒸留中の溶解度はリン酸亜鉛セメントの場合は0.03%程度であるが、グラスアイオノマーセメントの場合は0.2%以上であり、更に溶解性の低減が望まれている。 溶解性の低減により実際口腔内で臨床に供される場合の耐久性の向上が期待出来る。 この溶解性と関係するが、現在のグラスアイオノマーセメントは硬化過程の初期に於いて唾液に接触するセメント表面が脆弱化する現象が存在している。 完全に硬化していないセメント硬化体は表面が水に影響を受け易く、表面が溶解し透明性が失なわれる欠点がある。 この事は充填用として使われる場合、審美性に重大な欠陥をもたらす。 このめ充填直後に防水能力の有るバーニッシュを表面に塗布し、水の影響を遮断する必要がある。 更にセメント硬化体の破砕抗力は改良されて来てはいるが、歯質と比べて充分であるとは言えず、更に破砕抗力の向上が望まれている。

    更に半製品の形で臨床家に供給される歯科材料の一般的特性として操作余裕時間が充分優り、しかも硬化時間は速い方が良い。 即ちセメント泥の流動性は必要なだけ保持され、その後出来るだけシャープに硬化して了うことが望まれる。 現在のグラスアイオノマーセメントはこの点に関しても必ずしも理想的であるとは言えないのが実情である。

    〔問題点を解決するための手段〕

    本発明者等は前述した点の改良を目標として歯科用グラスアイオノマーセメントに使用されるフルオロアルミノシリケートガラス粉末に就いて検討を進めた結果、意外にもアルカリ金属を含まないガラスの特定のものは本発明の目的に叶ったものであることを見出した。 すなわち「比重が2.4〜3.5、平均粒径が0.02〜10μmであり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,Al 2 O 3 20〜40
    重量%,SrO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O 5 0〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちBe,Mg,Baを含まない歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末。 」を使用したグラスアイオノマーセメントは溶解度が低下し耐水性に優れ硬化過程初期に於ける感水性も非常に少ないことを見出し本発明を完成した。 更に該ガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは可使時間即ち操作余裕時間が充分有ると共に迅速に硬化する。 またこのグラスアイオノマーセメントは破砕抗力など物性も向上し、更にレントゲン造影性も付与されるという多くの利点を得られることが判明した。 このうえ本発明では該ガラス粉末で更にCaO
    を含まないガラス粉末をも提供する。 すなわち「比重が
    2.4〜3.5、平均粒径が0.02〜10μmであり、その成分中に換算量としてSiO 2 20〜50重量%,Al 2 O 3 20〜40重量%,S
    rO15〜40重量%,F 2 1〜20重量%,P 2 O 5 0〜15重量%を含み、実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンのうちBe,Mg,Ca,Baを含まない歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末」を使用したグラスアイオノマーセメントは前述の効果が一段と向上することを見出した。 Caを含まない該ガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは耐水性の向上、硬化初期に於ける感水性の低下、練和操作性の向上、より一層シャープな硬化特性、レントゲン造影性の向上、物性の向上などの効果がより一層顕著になる。 更にまた本発明は「本発明で開示している前述した様なガラス粉末100重量部に対し
    0.01〜5重量部の酸及び/またはフッ化物で該ガラス粉末表面が処理されていることを特徴とする歯科用グラスアイオノマーセメント用フルオロアルミノシリケートガラス粉末」を提供する。 この様に表面処理された本発明のガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは耐水性の向上、硬化初期に於ける感水性の低下などの効果に加えて、セメント練和泥の流動性が向上し練和操作性が尚一層優れた特性を発揮する。

    〔作用〕

    本発明によるフルオロアルミノシリケートガラス粉末を使用した歯科用グラスアイオノマーセメントは前述した様に溶解性が減少し耐久性が向上する。 しかも練和直後、硬化初期に於ける感水性が減少する。 また、硬化特性は極めて良好となり、セメント泥の流動性を有する時間がより接続し、硬化が進行すれば極めて速く硬まる。
    従って合着、充填などの臨床操作を余裕を以て行なえ、
    しかも迅速に硬化する。 更に破砕抗力の向上、耐溶解性の向上など物性は一段と良好となっていると共にレンドゲン造影性が付与されている。 しかもセメント泥の流動性は充分ある。

    本発明に使用されるガラス粉末の真比重は2.4〜3.5の範囲にあるものが望ましい。 ガラス粉末の真比重は比重ビンなどを用い通常用いられている方法で測定することが出来る。 粉末の比重が2.4未満の場合には粉末が軽過ぎ練和操作性が劣り練和し難いため比重は2.4以上であることが望ましい。 また、この粉末の組成では比重が3.5
    を超えた場合では却って反応性に影響するAl 2 O 3 ,SiO 2 ,F
    2の割合が本発明の好ましい組成に入らなくなり、反応性は低下する。 従って本発明のガラス粉末の比重としては2.4以上3.5以下が好ましい。

    本発明のガラス粉末の粒径は平均粒径が10μm以下であり0.02μm以上であることが必要である。 平均粒径が10
    μmを超える場合は合着用セメントとして使用する際に精密鋳造冠の浮き上がりなどの原因となり好ましくない。 クラウン・インレー・ブリッヂなどと歯質の間が離れ過ぎて了う。 このため咬合調整が困難になると共にセメントの耐久性に対しても悪影響を及ぼす。 また平均粒径が10μmを超えた粒径の粉末を充填に用いた場合には表面と平滑性が研磨によって得られないので、接触感が良くなく問題が残る。 更に液との硬化反応も緩慢であり硬化初期に於ける感水性も悪化する。 このためガラス粉末の平均粒径は10μm以下である必要がある。 一方、ガラス粉末の平均径が0.02μm未満の微粉では練和が極端に困難となり練和操作性が極めて悪化する。 この事は粉末量が液量に対して入り難くなり粉液比が低下することを意味し物性が低下する。 之等のため本発明に於けるガラス粉末の平均粒径を0.02μm以上10μm以下と規定した。 ガラス粉末の粒径測定は電子顕微鏡を用い容易に直接測定することが出来る。 尚、粒径は長径と短径との平均値を採った所謂長短平均径のことを示している。

    従来、一般的にグラスアイオノマーセメントに使用されて来たアルミノシリケートガラス粉末は所謂シリケートガラスである。 Si位置にAlが置換した構造を採るため電気的なバランスを採るためにも金属イオンの存在が必須である。 之等金属イオンの中で、特にアルカリ金属イオンはガラスの溶融点を下げる効果を有し、ガラス作製を容易にする効果もある。 しかしながらグラスアイオノマーセメントの性質には悪影響を及ぼすことが見出された。 例えば之等アルカリ金属イオンの含まれているガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメント硬化体は水中での溶解度が大きいことが判明した。 即ち、口腔内で使用された場合に耐水性悪化の一因となる。 従って之等アルカリ金属イオンを含有していないガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは溶解度が非常に減少する。 この事は長時間に渉って口腔内でセメントが適応された場合、硬化体の保持及び耐水性能に好結果をもたらす。 更に硬化初期過程に於ける感水性もアルカリ金属イオンを取り除くことにより減少した。 従ってセメント表面が初期硬化中に水に接触しても表面が白濁して透明性及び審美性を損なう現象も大幅に改良された。 従って本発明では実質的にLi,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオンの含有量は零である。 即ち、本発明では故意にアルカリ金属化合物をガラス製造の原料に用いることはない。 更に本発明のアルカリ金属イオンを含まないフルオロアルミノシリケートガラス粉末は硬化特性に就いても好影響をもたらす。 セメント泥の充分な流動性を有する時間が延び、即ち操作余裕時間がより長く確保される。 つまり逆に言うならばアルカリ金属イオンを含んだガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは練和直後のセメント泥の粘度上昇が著しく、操作余裕時間が短いと言える。

    一方、一般にグラスアイオノマーセメントの硬化過程に於いてはガラス粉末中のアルカリ土類金属イオンはアルミニウムイオより速く反応するため反応初期にはアルカリ土類金属イオンの役割が大きい。 しかしながらアルカリ土類金属イオンのうちBa 2+は稍々毒性を有していることが知られており、本発明の目的となる生体材料の1種である歯科用グラスアイオノマーセメントのガラス粉末中の反応成分に加えることは好ましくない。 Be及びMgのイオンが本発明のアルミノシリケートガラスに添加された場合、硬化反応を遅延し、シャープな硬化特性が得られない。 更に各種物性も低下する。 従って好ましいアルカリ土類金属イオンとしてはCa及びSrのイオンが挙げられるが、Srイオンがより好ましい。 CaイオンよりもSrイオンを含有したアルミノシリケートガラスの方が硬化反応はよりシャープであり、破砕抗力などの各種物性も優れている。 本発明ではSrイオンが必須成分である。 Caイオンは入らなくて何等差支えない。 Srイオンを含有したアルミノシリケートガラスはX線造影性が付与されるという利点もある。 X線造影性は予後の診断の際重要であり、特に充填や裏層などに用いられた場合にその位置の確認のために必要である。

    本発明のガラスは従ってSi,Al,Sr,F,Oのイオンが主成分となりPイオンが入った方が好ましい組成となっている。 本発明では一般的にガラス組成を重量%で表示する場合に通常行なわれている様にSi,Al,Sr,PなどF以外のイオンを酸化物の状態に換算しFをその侭の量で計算して総重量を100%として組成範囲を100分率で限定した。
    従って、本発明の主成分はSio 2 ,Al 2 O 3 ,SrO,P 2 O 5 ,F 2である。

    本発明ガラス組成中のSio 2の割合はガラス粉末全重量に対して20〜50重量%である。

    Sio 2が50重量%を超えると強度が低下すると共に反応性が鈍くなり、グラスアイオノマーセメントとして使用出来なくなる。 更に硬化体の溶解性も増し、耐水性も劣る。 SiO 2が20重量%未満の場合はガラス作製が困難となると共にセメント硬化体の水中での溶解性が却って大きくなる強度が低下する。 SiO 2の原料としては珪砂(Si
    O 2 ),カオリン(Al 2 O 3・2SiO 2・2H 2 O)などが主なものである。

    本発明ガラス組成中のAl 2 O 3の割合はガラス粉末全重量に対して20〜40重量%であ。 20重量%未満では硬化反応が極めて緩慢となり、硬化体の物性にも悪影響を及ぼす。 Al 2 O 3が40重量%を超えた場合にはガラス溶融点が高くなり過ぎると共に透明性が得られる歯科用セメントとして審美性に劣る。 従って本発明ではAl 2 O 3の範囲を粉末全重量に対して20〜40重量%と規定した。

    Al 2 O 3の原料としては例えばアルミナ(Al 2 O 3 ),水酸化アルミニウム〔Al(OH) 〕,カオリン(Al 2 O 3・2SiO 2
    ・2H 2 O),フッ化アルミニウム(AlF 3 ),リン酸アルミニウム(AlPO 4 )などが挙げられる。

    本発明のSrOは粉末全重量に対して15〜40重量%と限定した。 15重量%未満ではセメント泥の反応性が鈍くなると共にガラス作製が困難になる。 また、レントゲン造影性も低下してしまう。 40%を超えてガラス作製が困難になると共に操作余裕時間が短くなり、物性も低下し実際上、使用することが出来ない。 本発明のSrOの原料としては炭酸ストロンチウム(SrCO 3 )水酸化ストロンチウム〔Sr(OH) 〕,酸化ストロンチウム(SrO),フッ化ストロンチウム(SrF 2 ),リン酸ストロンチウム〔Sr
    3 (PO 4 〕などが挙げられる。

    本発明のF 2は粉末全重量に対して1〜20重量%の範囲と規定した。 フッ素が1%未満ではガラスの溶融点が高過ぎる。 フッ素はガラス溶融工程上必要である。 即ちフッはガラスの溶融点を低下させる効果が大きく、融剤として作用する。 1%未満ではガラスの融点降下が顕著に表われない。 また1%未満では粉末の反応性も低下する。
    フッ素(F 2 )が20%を超えて配合された場合もガラス粉末の反応性は低下し、セメント硬化体の物性も低下する。 また溶解性も増大する。 従ってフッ素の含有量は1
    〜20重量%の範囲としたのである。 フッ素の原料としてはフッ化ストロンチウム(SrF 2 ),フッ化アルミニウム(AlF 3 )などが挙げられる。

    リン酸塩もガラスの溶融点を低下させるのに、便利に使用出来るが、必ずしも含有させる必要はない。 但しリン酸塩はセメント泥の操作余裕時間を延長する効果がある。 このため或る程度含まれていた方が練和操作性は向上する。 但しP 2 O 5として15%を超えて含まれる場合は硬化反応が鈍くなり歯科用セメントとして適当でない。 従ってP 2 O 5としては0〜15重量%の範囲とした。 P 2 O 5の原料としては、例えばリン酸アルミニウム(AlPO 4 ),リン酸ストロンチウム〔Sr 3 (PO 4 〕などが挙げられる。

    以上、述べた様に本発明のアルミノシリケートガラスは
    SiO 2 ,Al 2 o 3 ,Sro,F 2 ,P 2 O 5が主成分であり、実質的にLi,N
    a,K,Rb,Csなどのアルカリ金属イオンを含まず、しかもB
    e,Mg,Baなどのアルカリ土類金属イオン含まないものであるが、特に多の元素については限定するものではない。 また、之等SiO 2 ,Al 2 O 3 ,Sro,F 2 ,P 2 O 5の割合は、操作余裕時間,初期硬化時間,溶解度などの物性や透明性,
    比重など多方面に渉って影響することは詳述した通りである。 之等の物質の原料としても前述したものに限定されるものではなく、調合計算に基ずいて予測し配合することが出来る。 要はガラス中の限定成分が本発明の範囲に入ていれば差支えない。

    本発明のガラス粉末は通常の方法で溶解後、冷却し粉砕して得ることが出来る。 例えば原料を調合し混合して10
    00℃以上の高温で溶解し、空気中に放冷した後、ボールミルなどを用いて粉砕し得ることが出来る。 更に極端に大きな粒子を取り除くため篩を通すことはより好ましい。 通常は80 篩を通過した粉末が好ましいが、120メッシュの篩を通過した粉末はより好ましい。

    本発明の表面処理に使用する酸としては、例えばリン酸,塩酸,ピロリン酸,酒石酸,クエン酸,グルタル酸,リンゴ酸,酢酸などが挙げられるが、酸性物質である第1リン酸塩や第2リン酸塩なども含まれる。 また本発明の表面処理に使用するフッ化物としては特願昭60−
    206299号(特開昭62−67008号公報参照)で例示されているフッ化物が使用される。 即ち本発明で開示されているアルカリ金属イオンと一部のアルカリ土類金属イオンを含まないアルミノシリケートガラス粉末を之等の酸及び/またはフッ化物で表面処理することにより更に物性が向上するばかりでなく、セメント泥の流動性が増加し操作性も向上する。 また、硬化がよりシャープになると言える。 この様に本発明で開示されたアルミノシリケートガラスを酸及び/またはフッ化物で処理した場合に歯科用グラスアイオノマーセメントとしての性能が従来公知であるものに比べ一段と優れたものとなる。 酸またはフッ化物はとちらかと言うとフッ化物で処理した方が物性は良好である。 勿論、酸及びフッ化物の両方で同時に、または順次処理することも出来る。 処理の方法はミルなどを用いて機械的に混合してもよいが、酸またはフッ化物を蒸留水または何等かの溶媒に溶かしガラス粉末と混合し、蒸留水または溶媒を乾燥させる方法がある。

    本発明のガラス粉末を歯科用グラスアイオノマーセメントに用いる場合に組み合わせるポリマー酸は公知のグラスアイオノマーセメント用硬化液が使用出来る。 例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、ポリマレイン酸などが挙げられる。 しかも既知の改良された硬化液も使用出来る。 例えば、特開昭52−101893号公報で開示されている多塩基性カルボン酸を含んだ硬化液は特に好ましい。 また、之等のポリマー酸や多塩基性カルボン酸の一部または全部を粉末化し本発明のガラス粉末と混合して実用に供することも出来る。 この場合、適量の水の存在下で練和すれば問題は無い。

    〔実施例〕

    以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。

    実施例 1 水酸化アルミニウム〔Al(OH) 〕25.6g、珪砂(Si
    O 2 )37.4g、炭酸ストロンチウム(SrCO 3 )2.1g、フッ化アルミニウム(AlF 3 )11.0g、リン酸ストロンチウム〔S
    r 3 (PO 4 〕23.9gを各々秤量し乳鉢で充分混合した。
    混合後に磁製ルツボに入れ電気炉内に静置した。 電気炉を昇温し1200℃で3時間一定温度に制御した。 空気中に放冷した後、ボールミルで20時間粉砕し120メッシュの篩を通過させセメント粉末とした。 このセメント粉末の比重は2.68、平均粒度は3.4μmであった。 このセメント粉末1.8gに対し市販のグラスアイオノマーセメント硬化液(而至歯科工業株式会社製 商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号120641)1.0gの割合で練和し、
    物性を測定した。 初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率を歯科用リン酸亜鉛セメントのJIS規格T−6602に従って測定した。 また操作余裕時間はセメント泥の流動性をセメント練和用ヘラのへラ先で触れ決定した。 更に初期硬化直後の崩壊率は練和開始10分後から60分後迄の崩壊率を
    JIS規格T−6602に準じて測定した。 蒸留水へは練和開始10分後に浸漬し、60分後に引き上げた。 またセメント泥の流動性の程度を測定するためJIS規格T−6602の標準ちょう度測定法に準じて、0.5mlのセメント泥に120g
    の荷重を掛け、そのセメント泥の拡がった直径(長径と短径の平均)を計測した。 但し、荷重は練和開始1.5分後に掛けた。 この様にして測定されたちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率は夫々30mm,2分55秒,5分15秒,1650±80kg/cm
    2 ,0.09%,0.52%であった。 之等は歯科用の合着用セメントとして優れたものであった。

    実施例 2 カオリン(Al 2 O 3・2SiO 2・2H 2 O)34.0g、炭酸ストロンチウム(SrCO 3 )25.8g、リン酸アルミニウム(AlPO 4 )1
    5.6g、フッ化アルミニウム(AlF 3 )13.3g、珪砂(Si
    O 2 )11.3gを各々秤量し乳鉢で充分混合した後、白金ルツボに入れ電気炉内で昇温した。 昇温した後に1250℃で3時間炉内温度を一定に保った。 溶融後、空気中に放冷しホールミル25時間粉砕し120メッシュの篩を通過させセメント粉末とした。 このセメント粉末の比重は2.77、
    平均粒度は2.8μmであった。 このセメント粉末1.8gに対し市販のグラスアイオノマーセメント硬化液(商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号120641)1.0gの割合で練和し、ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を実施例1と同様に処理した処、夫々31mm,3分05秒,5分15秒,178
    0±90kg/cm 2 ,0.07%,0.42%であった。 之は歯科用の合着用セメントとして優れたものであった。

    実施例 3 カオリン(Al 2 O 3・2SiO 2・2H 2 O)52.3g、フッ化ストロンチウム(SrF 2 )31.9g、リン酸アルミニウム(AlPO 4
    8.3g、珪砂(SiO 2 )7.5gを夫々秤量し乳鉢で充分混合した後、白金ルツボに入れ電気炉内で昇温した。 昇温後12
    80℃で3時間炉内温度を一定に保った。 溶融後、空気中に放冷しボールミルで20時間粉砕し、120メッシュの篩を通過させ、セメント粉末とした。 このセメント粉末の比重は2.87、平均粒度は2.9μmであった。 このセメント粉末1.8gに対し市販のグラスアイオノマーセメント硬化液(商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号12
    0641)1.0gの割合で練和し、実施例1と同様にちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,
    初期硬化直後の崩壊率を測定した処、夫々30mm,3分00
    秒,5分15秒,1750±80kg/cm 2 ,0.08%,0.45%であった。
    之は歯科用の合着用セメントとして優れたものであった。

    実施例 4 カオリン(Al 2 O 3・2SiO 2・2H 2 O)45.4g、珪砂(SiO 2
    8.1g、炭酸ストロンチウム(SrCO 3 )20.2g、フッ化カルシウム(CaF 2 )8.8g、フッ化アルミニウム(AlF 3 )6.8
    g、リン酸水素カルシウム(CaHPO 4・2H 2 O)10.7gを夫々秤量し乳鉢で充分混合した。 混合後、磁製ルツボに入れ電気炉内で静置した。 電気炉を昇温し1150℃で5時間一定温度に制御した。 空気中に放冷した後、ボールミルで
    20時間粉砕し12メッシュの篩を通過させセメント粉末とした。 このセメント粉末の比重は2.61、平均粒度は3.2
    μmであった。 このセメント粉末1.8gに対し市販のグラスアイオノマーセメン硬化液商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号120641)1.0gの割合で練和し、ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を実施例1と同様に測定した処、29mm,2分35秒,5分30秒,1580±60kg/cm 2 ,0.12%,0.6
    5%であった。 之は歯科用の合着用セメンタとして優れたものであった。

    実施例 5〜8 実施例1〜4の夫々で作製されたガラス粉末100gに対して1%チタンフッ化カリウムの水溶液を100g混合しスラリーを作製した。 水分を温度120℃の乾燥機で蒸発させ表面処理を行なった。 この様にして得られた粉末を夫々
    1.9gに対して市販とグラスアイオノマーセメント硬化液(商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号12064
    1)1.0gの割合で練和し、ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を実施例1と同様に所定した処、表1の様になった。 之は合着用セメントとして優れているばかりか、対応する無処理の実施例1〜4と比べても優れた操作性を示した。

    実施例 9,10 実施例3及び4で作製されたガラス粉末100gに対して、


    第1リン酸アルミニウム[Al(H

    2 PO

    4

    ]の1%水溶液100gを夫々混合した。 水分を120℃の乾燥機で完全に蒸発させ表面処理を行なった。 この様にして得られた粉末夫々1.9gに対して市販のグラスアイオノマーセメント硬化液(商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号


    120641)1.0gの割合で練和し,ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を実施例1と同様に測定した処、表1の様になった。 之等は合着用セメントとして優れた性能を示した。

    実施例 11〜14 実施例5〜8と同じ様に表面処理されたガラス粉末2.70
    に対し市販の充填用グラスアイオノマーセメント硬化液(而至歯科工業株式会社製 商品名フジアイオノマータイプII液、製造記号220461)1.0gの割合で練和し実施例1と同様に物性を測定した処、表2の様になった。 なおちょう度測定の際加える荷重は2.5kgとした。

    この結果、本例は充填用のグラスアイオノマーセメントとして優れた性能を示した。

    比較例 1 珪砂(SiO

    2 )40g、アルミナ(Al

    2 O

    3 )26g、フッ化ソーダ(NaF)12g、炭酸カルシウム(CaCO

    3 )15g、及びリン酸カルシウム〔Ca

    3 (PO

    4

    )〕7gを秤量し、混合した後、磁製ルツボに入れ1150℃で3時間電気炉内で溶融した。 溶融後、空気中で放冷しボールミルで20時間粉砕し


    120メッシュの櫛を通過させセメント粉末とした。 このセメント粉末1.4gに対し市販のグラスアイオノマーセメント硬化液(商品名フジアイオノマータイプI液、製造記号120641)1.0gの割合で練和し、物性を測定した。 ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を実施例1と同様に測定した処、27mm,1分30秒,5分30秒,1350±70kg/cm

    2 ,0.65%,1.5


    2%であった。 実施例1〜8は比較例1と比べ、物性面全般に渉り、歯科用の合着用セメントとして優れていた。

    比較例 2 比較例1のガラス粉末100gに対し1%のチタンフッ化カリウムの水溶液を100g混合しスラリーを作製した。 水分を温度120℃の乾燥機で蒸発させて表面処理を行なった。 この様にして得られた粉末1.5gに対し市販のグラスアイオノマーセメント硬化液1.0gの割合で練和し、実施例1と同様にちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,
    破壊抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率を測定した処、28mm,1分45秒,6分00秒,1470±80kg/cm 2 ,0.40%,1.2
    2%であった。 実施例1〜10は比較例2と比べ、物性面で優れた歯科用の合着用セメントであると言える。

    比較例 3 比較例2と同様のセメント粉末と硬化液を準備し、その練和の割合を粉末2.2gに対し液1.0gとして充填用のちょう度とした。 この物性を実施例11〜14と全く同様に求めた。

    ちょう度,操作余裕時間,初期硬化時間,破砕抗力,崩壊率,初期硬化直後の崩壊率は夫々30mm,2分20秒,4分15
    秒,1680±100kg/cm 2 ,0.32%,0.75%であった。 実施例11
    〜14は比較例3に比べて物性面全般に渉り優れた歯科用の充填用セメントと言える。

    実験例 1 実施例1〜10及び比較例1のセメント練和泥を厚さ1mm
    に硬化させた。 一方、歯牙も厚さ1mmに切断した。 この様にして歯科用レントゲン装置によりレントゲン写真を撮りレントゲン造影性を比較した処、実施例1〜10は歯のエナメル質より強い造影性があった。 しかし比較例1
    は造影性を示さなかった。

    〔発明の効果〕

    本発明のグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末を使用したグラスアイオノマーセメントは、特に崩壊性が少なく、初期硬化直後の感水性が少ないばかりか、操作余裕時間が延びると共に初期硬化時間が遅れないなど硬化特性が改良され、更に練和操作性が向上すると共に破砕抗力など物性に優れた性能を発揮する。 更にその硬化体にはレントゲン造影性も付与されていることから予後の診断が非常にし易くなった。 この様に歯科用セメントとして優れたものであった。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−215234(JP,A)

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