セラミックハニカム構造体用セメント及び表皮材

申请号 JP2014531945 申请日 2012-09-20 公开(公告)号 JP6308943B2 公开(公告)日 2018-04-11
申请人 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー; 发明人 ジュン・カイ; チャン・ハン; マイケル・ティー・マラグナ; アシシュ・コティシュ;
摘要
权利要求

ハニカム構造体を形成する方法であって、 多孔質壁を有するセラミックハニカムの少なくとも一の面上に、未硬化無機セメント組成物の層を形成する手順と、 前記未硬化無機セメント組成物と前記セラミックハニカムとを焼成して、前記セラミックハニカムの少なくとも一の面上に硬化セメント層を形成する手順と、を含む方法であって、 前記セラミックハニカムは10〜30μmの細孔径を有し、 前記未硬化無機セメント組成物は、1以上の無機フィラー粒子と、1以上のキャリア流体と、無機バインダとを含み、前記無機フィラー粒子は前記セメント組成物中の固体の重量の70〜90%を構成し、前記無機バインダは前記セメント組成物中の固体の重量の10〜30%を構成し、 前記無機バインダの75重量%以上は粘土鉱物であり、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が前記無機バインダの重量の0〜25%を構成し、前記未硬化無機セメント組成物のpHは2〜8である、方法。請求項1に記載の方法であって、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜10%を構成する、方法。請求項1に記載の方法であって、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜2%を構成する、方法。請求項1乃至3のいずれかに記載の方法であって、前記粘土鉱物が、カオリン−蛇紋石グループの粘土鉱物である、方法。請求項1乃至4のいずれかに記載の方法であって、前記粘土鉱物が、カオリン又はボールクレイとして提供される、方法。請求項1乃至5のいずれかに記載の方法であって、前記未硬化無機セメント組成物は、前記無機フィラー粒子と粘土鉱物とをキャリア流体と混合することで調製され、前記粘土鉱物と混合される際の前記キャリア流体のpHは2〜8である、方法。請求項1乃至6のいずれかに記載の方法であって、前記ハニカム構造体はセグメント化されており、前記硬化セメント層は前記セグメント化されたハニカム構造体のセグメント間の接着層である、方法。請求項1乃至7のいずれかに記載の方法であって、前記硬化セメント層は前記セラミックハニカムの表皮層である、方法。請求項1乃至8のいずれかに記載の方法であって、前記無機バインダはコロイド状アルミナ及びコロイド状シリカを含まない、方法。

说明书全文

本発明は、セラミックフィルタ用セメント及び表皮材、ならびに、セラミックフィルタに表皮を適用する方法及びセグメント化されたセラミックフィルタを組み立てる方法に関する。

セラミックのハニカム状構造体は、特に内燃機関を有する車両の排ガス制御装置等の用途に広く用いられている。これらの構造体は、また、触媒担体としても用いられている。ハニカム構造体は、構造体の入口端から出口端までの全長に亘って延伸する多数の軸方向セルを有する。セルは、同じく構造体の長手方向長さに亘って延伸する多孔質壁によって定義及び区画される。それぞれのセルは入口端又は出口端において封鎖されており、それぞれ出口セルと入口セルとされる。入口セルと出口セルを交互に配置することで、入口セルは少なくとも部分的に出口セルに包囲され、逆もまた同様である。動作中、ガス流は入口セルに流入し、多孔質壁を通過して出口セルに流入し、該出口セルの出口端から排出される。粒子状物質及びエアロゾル液滴は、ガス流が壁を通過する際に壁によって捕捉される。

これらのハニカム構造体は、使用中しばしば大きな温度変化にさらされる。その1つの用途であるディーゼル微粒子フィルタを例示する。ディーゼル微粒子フィルタとして利用されるセラミックハニカム構造体は、車両の通常運転中、−40℃といった低温から数百℃までの温度にさらされる。また、これらのディーゼル微粒子フィルタは、「燃焼」つまり再生サイクルにおいて高温酸化により捕捉した有機すす粒子を除去する際、更なる高温に定期的に曝露される。これらの温度変化に伴う熱膨張及び熱収縮によって、ハニカム構造体中に大きな機械的応が発生する。この応力の結果、部品はしばしば機械的破損を起こす。大きく急激な温度変化によりハニカム構造体中に大きな温度勾配が発生する「熱衝撃」の際にはこの問題が特に顕著となる。したがって、これらの用途に用いられるセラミックハニカム構造体は、高い耐熱衝撃性を有するよう設計される。

セラミックハニカム中の耐熱衝撃性を向上させる方法の1つは、セグメント化である。ハニカム構造体全体を単一の一体構造体から構成するのではなく、より小型のハニカムを別々に多数製造し、その後組み立てて大きな構造体とする。小型のハニカムを互いに接着するために、無機セメントが用いられる。無機セメントは、一般に、ハニカム構造体よりも柔軟性が高い。この高い柔軟性によって、熱に起因する応力を構造体全体に放散し、亀裂発生の原因となる局所的な応力を低減できる。セグメント化のアプローチの例は、米国特許第7,112,233号明細書、米国特許第7384441号明細書、米国特許第7488412号明細書、及び米国特許第7666240号明細書に開示されている。

セグメント化のアプローチは有効であるが、それ自体の問題もある。無機セメント材料は、セメント層に隣接するセルの壁に染み込む傾向がある。多くの場合、セメントはこれらの壁を通過して各セグメントの隣接するセルへ浸入し、これらのセルを狭窄、又は閉塞させることさえある。この浸入が及ぼす悪影響はいくつかある。細孔がセメントで満たされるため、隣接する壁の密度が高くなる。高密度化した壁はヒートシンクとして機能し、構造体中のその他の部分に比べ温度がより緩やかに変化するため、温度勾配が発生する。更に、浸入してきたセメントにより狭窄又は閉塞したセルでは、通過できるガス量が減少するため、やはり構造体中の温度勾配の増大につながる。このような温度勾配は、亀裂や破損を発生しやすくする。

セグメント化の有無にかかわらず、ハニカム構造体の周囲に皮膜層を適用して表皮を形成することも広く行われている。この表皮の材料は、セグメント化されたハニカムの接着に用いられるものと同様の無機セメントである。これは外周壁及びハニカムのセルに浸入しうるもので、浸入があった場合、セグメント化されたハニカム内のセメント層と同様に大きな温度勾配の原因となる。このような大きな温度勾配は、ハニカムの耐熱衝撃性を低下させる。

これらの問題を改善する方法の1つとして、ハニカムを保護膜(例えば、燃焼工程で消散する有機重合体層)で被覆することが挙げられる。別の方法として、セメント組成物の粘度を上昇させることが挙げられる。いずれの方法にも、加工工程の増加(及びそれに付随するコスト)、セメント硬化に必要な乾燥時間の延長、セメント層の亀裂及び破損の発生、等の欠点がある。

高い耐熱衝撃性を有するセラミックハニカムを製造する方法を提供することが望ましい。特に、セラミックハニカムの壁に浸入しにくい無機セメント及び表皮材料を提供することが望ましい。

本発明は、ハニカム構造体を形成する方法であって、多孔質壁を有するセラミックハニカムの少なくとも一の面上に、未硬化無機セメント組成物の層を形成する手順と、前記未硬化無機セメント組成物と前記セラミックハニカムとを焼成して、前記セラミックハニカムの少なくとも一の面上に硬化セメント層を形成する手順と、を含む方法であって、前記未硬化無機セメント組成物は、1以上の無機フィラー粒子と、1以上のキャリア流体と、無機バインダと、を含み、前記無機バインダの75重量%以上は粘土鉱物であり、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜25%を構成する、方法である。

硬化したセメント層は、セグメント化されたハニカム構造体のセグメント間の接着層、表皮層、又はこれらの両方を構成してよい。

コロイド状アルミナ及び/又はコロイド状シリカではなく粘土鉱物をベースとしたセメント組成物は、コロイド状アルミナ及びシリカの粒子に比べセラミックハニカムの多孔質壁に浸入しにくいことが判明している。粘土鉱物の粒子径は一般的にハニカムの壁の細孔よりもはるかに小さく、液状キャリアの存在下においては、毛細管現象によって細孔に引き込まれると予想されるため、これは想定外のことである。バインダの浸入が抑制されることで、壁及び隣接するセルに染み込むセメント組成物の量が減少し、セメントの染み込みに伴う温度勾配が軽減される。これにより、コロイド状材料でバインダを構成する場合に比べ、より高い耐熱衝撃性を得ることにつながる。

「粘土鉱物」とは、鉄、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び微量のその他の金属を含有し得る両性のケイ酸アルミニウムであって、層構造を有し、5μm未満の一次粒子径を有し、焼成の際に、非晶質、又は部分的又は全体的に結晶質のセラミックを形成する両性のケイ酸アルミニウムを指す。好適な粘土鉱物の例としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、クリソタイル、アンチゴライト、リザルダイト、グリーナライト等のカオリン‐蛇紋石グループの粘土鉱物と、パイロフィライト、タルク、フェリパイロフィライト等のパイロフィライト‐タルクグループの粘土鉱物と、白雲母、金雲母、黒雲母、セラドナイト、海緑石、イライト等の雲母鉱物グループの粘土鉱物と、バーミキュライトグループの粘土鉱物と、スメクチックグループの粘土鉱物と、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、クーカイト等の緑泥石グループの粘土鉱物と、レクトライト、トスダイト、コレンサイト、ハイドロバイオタイト、アリエッタイト、及びカルカイト等の混合層粘土鉱物と、イモゴライトと、アロフェンと、が挙げられる。

粘土鉱物は、粘土鉱物に加え、石英粒子又はその他の結晶状粒子等の鉱物粒子を含有する天然粘土の形で好都合に入手可能である。本発明においては、カオリン及びボールクレイ等の天然粘土が好適なバインダとして利用できる。

コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計は、無機バインダの重量の好ましくは10%以下、より好ましくは2%以下を構成する。バインダは、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカを含まなくてもよい。

セメント組成物は、無機フィラー粒子を含有する。これらの無機フィラー粒子は、粘土鉱物、コロイド状アルミナ、及びコロイド状シリカのいずれでもなく、セメント組成物が焼成される際に結合相を形成しない。無機フィラー粒子は非晶質であっても、結晶質であっても、部分的に非晶質及び結晶質であってもよい。無機フィラー粒子の例としては、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ムライト、コージェライト、チタン酸アルミニウム、非晶質ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩、部分結晶化ケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩、等が挙げられる。アルミノケイ酸塩は、希土類、ジルコニウム、アルカリ土類、鉄等の他の成分を含有してよく、これらの他の成分は、材料中の金属イオンの実に40モル%を構成し得る。

この無機フィラー粒子の一部又は全ては、天然カオリン及びその他の粘土に一般的に含有される石英粒子等、天然粘土材料の成分であってよい。

無機フィラー粒子は、焼成工程の完了後、ハニカム材料とほぼ同じCTE(熱膨張率)(つまり、100〜600℃の温度範囲で1ppm/℃以内)を有するように選択されてよい。この比較は焼成されたセメントを基に行われ、例えば、起こり得る結晶化度及び/又は組成の変化に起因して焼成工程中に繊維及び/又はその他の粒子に起こり得るCTEの変化を求める。

無機フィラー粒子は、低アスペクト比(例えば10未満)粒子、繊維(アスペクト比が10以上の粒子)、板状晶、もしくは低アスペクト比粒子と、繊維と、板状晶とのいずれかの組み合わせ、といった形状で存在してよい。低アスペクト比粒子の最長寸法は、好ましくは約500μm以下、好ましくは100μm以下である。繊維の長さは10マイクロメートル〜100ミリメートルであってよい。一部の実施形態では、繊維の長さは10マイクロメートル〜1000ミクロンである。別の実施形態においては、長さ10マイクロメートル〜1000マイクロメートルの短繊維と、長さ1ミリメートル超、好ましくは1ミリメートル超〜100ミリメートルの長繊維とを含む混合物が用いられる。繊維径は、約0.1マイクロメートル〜約20マイクロメートルであってよい。

セメント組成物は、キャリア流体を更に含む。このキャリア流体は、例えば又は任意の有機液体であってよい。好適な有機液体としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、アルデヒド、エステル、カルボン酸、カルボン酸塩化物、アミド、アミン、ニトリル、ニトロ化合物、硫化物、スルホキシド、スルホン、等が挙げられる。脂肪族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素(アルケン及びアルキンを含む)、及び/又は芳香族炭化水素を含む炭化水素がキャリアとして有用である。有機金属化合物もキャリアとして有用である。好ましくは、キャリア流体は、水、アルカン、アルケン、又はアルコールである。より好ましくは、該流体はアルコール、水、又はこれらの組み合わせである。アルコールを用いる場合、メタノール、プロパノール、エタノール、又はこれらの組み合わせが好ましい。最も好ましいキャリア流体は水である。

セメント組成物は、セラミックセメントの調製において公知の、その他の有用な成分を含有してよい。その他の有用な成分の例としては、J.Reed著「Introduction to the Principles of Ceramic Processing」(John Wiley and Sons社刊、ニューヨーク、1988年)10章〜12章に記載のような、分散剤、解凝剤、凝集剤、可塑剤、消泡剤、潤滑油、保存剤が挙げられる。有機可塑剤を用いる場合は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、又はこれらの組み合わせが望ましい。

セメント組成物は、1種以上のバインダを更に含んでもよい。バインダの例としては、J. Reed著「Introduction to the Principles of Ceramic Processing」(John Wiley and Sons社刊、ニューヨーク、1988年)11章に記載のようなセルロースエーテルが挙げられる。好ましくは、バインダは、商標METHOCEL及びETHOCELとしてダウ・ケミカル・カンパニーにより販売されているようなメチルセルロース又はエチルセルロースである。バインダはキャリア液体に溶解することが好ましい。

セメント組成物は、更にポロゲンを含んでよい。ポロゲンは、乾燥されたセメントに空隙を形成するために添加される材料である。一般的にポロゲンとは、乾燥又は焼成の行程中に分解、蒸発、又はその他の方法でガス化して空隙を形成する微粒子である。例として、小麦粉、木粉、炭素微粒子(非晶質又は黒鉛状)、ナッツの殻の粉、又はこれらの組み合わせが挙げられる。

粘土鉱物は、セメント組成物中の固体の重量の10〜85%、好ましくは15〜50%、より好ましくは15〜30%を構成してよい。無機フィラー粒子は、セメント組成物の固体の10重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上を構成するべきである。無機フィラー粒子は、固体の重量の90%、又は85%以下を構成してよい。この算出において、「固体」はセメント組成物中の、フィラー及び無機結合相を含む無機材料からなり、セメント組成物の焼成後もセメント中に残留する。キャリア流体、ポロゲン、及び有機材料は、乾燥及び/又は焼成工程中に組成物中から失われ、乾燥後の表皮には存在しない。したがって、これらの材料はセメント組成物のいずれの固体も構成しない。

キャリア流体の使用量は広範囲にわたって選択され得る。キャリア流体の合計量は、通常、未硬化セメント組成物の約40体積%〜約90体積%である。キャリア流体の量はしばしば、未硬化セメント組成物を加工可能な粘度にするために選択される。セメント組成物の好適なブルックフィールド粘度は、#6スピンドルを用いて回転速度5rpmで測定した場合、25℃で15Pa・s以上、好ましくは25Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上である。この条件下のブルックフィールド粘度は、1000Pa・s、好ましくは500Pa・s以下であってよい。

ポロゲンを含む場合のその量は、焼成されたセメント層に所望の多孔性が提供されるよう選択される。焼成されたセメント層の多孔性は広範囲にわたって選択され得るが、通常は約20%〜90%である。多孔性は25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上であり、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下であってよい。

未硬化セメント組成物のpHは好ましくは10以下であり、より好ましくは9以下であり、さらに好ましくは2〜8である。高pHでは、粘土鉱物がキャリア流体内に分散しすぎ、これによりセラミックハニカムの多孔質壁に浸入しやすくなる。

未硬化セメント組成物は、単純な混合工程により好都合に調製できる。粘土鉱物と組み合わせた際のキャリア流体のpHは、粘土鉱物がキャリア流体内に分散しすぎるのを防ぐため、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、さらに好ましくは2〜8である。

ハニカム構造体は、セメント組成物を用い、多孔質壁を有するセラミックハニカムの1以上の表面上に未硬化無機セメント組成物の層を形成することで製造される。未硬化無機セメント組成物はその後焼成され、硬化セメント層を形成する。焼成工程は、粘土鉱物の一部又は全体を結合相へと変換し、この結合相によって焼成されたセメントがセラミックハニカムに接着し、また、無機フィラー粒子が硬化セメント層に結合する。

未硬化セメント組成物を塗布した層の厚さは、約0.1mm〜約10mmであってよい。

一部の実施形態において、硬化セメント組成物は、セグメント化されたハニカム構造体のセグメント間にセメント層を形成する。このような実施形態において、第1のハニカムセグメントの1以上の表面に未硬化セメント組成物が塗布され層を形成する。第1のハニカムセグメントと第2のハニカムセグメントとの間にセメント組成物が介在するように第2のハニカムセグメントを該層に接触させ、その後組み立てたものを焼成することで、粘土鉱物の一部又は全体を、セメントをハニカムセグメントに結合してセグメント化ハニカム構造体を形成する結合相へと変換する。

別の実施形態では、硬化セメント組成物が、ハニカム構造体の周囲に表皮を形成する。ここでハニカム構造体は一体的でもセグメント化されていてもよい。この場合、未硬化セメント組成物をハニカム構造体の外周に塗布して層を形成し、その後焼成してセラミック表皮を形成する。これらの実施形態におけるハニカム構造体がセグメント化されている場合、本発明の未硬化セメント組成物は、ハニカム構造体のセグメント同士の結合にも用いることができる。

セラミックハニカムは、交差する軸方向に延設される多孔質壁によって定義される、軸方向に延設されるセルを有することを特徴とする。セラミックハニカムは、例えば、断面積の平方インチあたり20〜300個(約3〜46セル/cm2)のセルを有する。細孔径は、例えば1〜100ミクロン(μm)、好ましくは5〜50ミクロン、より一般的には約10〜50ミクロン又は10〜30ミクロンであってよい。本発明において「細孔径」とは、水銀圧入法(円筒状の細孔を想定する)で測定された見かけ上の容積平均細孔径である。浸漬法で測定された多孔性は、約30%〜85%、好ましくは45%〜70%である。

セラミックハニカムは、焼成温度(及び使用要件)に耐えうる任意の多孔質セラミックであってよく、例えば、ディーゼルすすのフィルタ技術で周知のものであってよい。セラミックの例として、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素、ムライト、コージェライト、βスポジュメン、チタン酸アルミニウム、ストロンチウムアルミニウムケイ酸塩、リチウムアルミニウムケイ酸塩が挙げられる。好適な多孔質セラミック体としては、炭化ケイ素、コージェライト、及びムライト、又はこれらの組み合わせが挙げられる。炭化ケイ素は、米国特許第US6,669,751B1号、EP1142619A1、又はWO 2002/070106A1に記載のものが好ましい。その他の好適な多孔質体は、US 4,652,286、US 5,322,537、WO 2004/011386A1、WO 2004/011124A1、US 2004/0020359A1、及びWO 2003/051488A1に記載されている。

ムライトハニカムは、好ましくは針状の微細構造を有する。このような針状のムライトセラミック多孔質体の例として、米国特許第5,194,154号、5,173,349号、5,198,007号、5,098,455号、5,340,516号、6,596,665号、及び6,306,335号、米国特許出願公開第2001/0038810号、国際特許公開第WO 03/082773号に記載のものが挙げられる。

焼成工程は、一般に約600℃、800℃、又は1000℃以上、かつ約1500℃、1400℃、1300℃、又は1100℃以下の温度で行われる。焼成工程に先立って、やや低い温度の予備加熱工程を設け、キャリア液体、ポロゲン、及び/又は有機バインダの一部又は全体が除去されるようにしてもよい。焼成工程(予備加熱工程を行う場合はそれも)の実行方法は、その条件がハニカムの熱変形又は熱劣化を引き起こすのでない限り、重要とは見なされない。焼成工程中、粘土鉱物の一部又は全体が、非晶質、結晶質、又は部分的に非晶質及び部分的に結晶質であってよい結合相を形成する。粘土鉱物は、約500〜600℃の温度で脱水酸基を起こしてよく、また、1000℃以上の温度でムライト層を形成してよい。

本明細書に記載のセメント組成物は、コロイド状アルミナ及び/又はコロイド状シリカのバインダを含有するセメント組成物に比べて、セラミックハニカムの多孔質壁に浸入しにくいことが確認されている。このように浸入が軽減されていることで、コロイド状アルミナ及び/又はコロイド状シリカをバインダとして用いた場合のような程度にまで、セメント層と隣接するハニカムの壁がセメントに含浸されることはない。したがって、壁の多孔性はそれほど低下せず、多孔性のより高い壁がヒートシンクのように機能することがない。さらに、ハニカムの外周チャネルへのセメント材料の浸入が軽減される。セメントの浸入が軽減されると、使用中のハニカム構造体内の温度勾配も軽減されることにつながり、ハニカム構造体の耐熱衝撃性の向上に寄与する。

本発明のハニカム構造体は、広範なフィルタリング用途、特に、有機フィルタが適さない、高温での運転及び/又は腐食性の高い及び/又は反応性の高い環境での運転が伴う用途において有用である。フィルタの用途の1つとして、ディーゼルフィルタやその他の車両排気フィルタを含む、燃焼排気ガスのフィルタリングが挙げられる。

本発明のハニカム構造体は、広範な化学工程及び/又はガス処理工程で用いられる触媒担体としても有用である。触媒担体としての用途において、担体は1種以上の触媒材料を担持する。この触媒材料は、1以上の区別層に含まれ(又はこれを構成し)てよく、及び/又はセラミックハニカムの壁の細孔構造内に含まれてよい。触媒材料は、多孔質壁の、区別層が設けられているのとは逆の側に塗布されてよい。触媒材料は、任意の好都合な方法によって担体に塗布されてよい。

触媒材料は、例えば、以上に記載した種類のうちいずれであってもよい。一部の実施形態では、触媒材料は、燃焼排気ガス中にしばしば見られるNOx化合物の化学変換を触媒するプラチナ、パラジウム、その他の金属触媒である。一部の実施形態において、本発明の製品は、ディーゼルエンジン排気ガス流等の燃焼排気ガス流からすす粒子の除去と同時にNOx化合物の化学変換を触媒する、すすフィルタと触媒コンバータを組み合わせたものとして有用である。 本願発明には以下の態様が含まれる。 項1. ハニカム構造体を形成する方法であって、 多孔質壁を有するセラミックハニカムの少なくとも一の面上に、未硬化無機セメント組成物の層を形成する手順と、 前記未硬化無機セメント組成物と前記セラミックハニカムとを焼成して、前記セラミックハニカムの少なくとも一の面上に硬化セメント層を形成する手順と、を含む方法であって、 前記未硬化無機セメント組成物は、1以上の無機フィラー粒子と、1以上のキャリア流体と、無機バインダと、を含み、 前記無機バインダの75重量%以上は粘土鉱物であり、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜25%を構成する、方法。 項2. 項1に記載の方法であって、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜10%を構成する、方法。 項3. 項1に記載の方法であって、コロイド状アルミナ及びコロイド状シリカの合計が、前記無機バインダの重量の0〜2%を構成する、方法。 項4. 項1乃至3のいずれかに記載の方法であって、前記粘土鉱物が、前記未硬化無機セメント組成物中の固体の重量の15〜50%を構成し、前記無機フィラー粒子が、前記未硬化無機セメント組成物中の固体の重量の50〜85%を構成する、方法。 項5. 項1乃至4のいずれかに記載の方法であって、前記粘土鉱物が、カオリン−蛇紋石グループの粘土鉱物である、方法。 項6. 項1乃至5のいずれかに記載の方法であって、前記粘土鉱物が、カオリン又はボールクレイとして提供される、方法。 項7. 項1乃至6のいずれかに記載の方法であって、前記未硬化無機セメント組成物のpHは2〜8である、方法。 項8. 項1乃至7のいずれかに記載の方法であって、前記未硬化無機セメント組成物は、前記無機フィラー粒子と粘土鉱物とをキャリア流体と混合することで調製され、前記粘土鉱物と混合される際の前記キャリア流体のpHは2〜8である、方法。 項9. 項1乃至8のいずれかに記載の方法であって、前記ハニカム構造体はセグメント化されており、前記セメント層は前記セグメント化されたハニカム構造体のセグメント間の接着層である、方法。 項10. 項1乃至9のいずれかに記載の方法であって、前記セメント層は前記セラミックハニカムの表皮層である、方法。

本発明の例示のため、以下に実施例を示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。特に指定がない限り、全ての部及び百分率は重量によるものである。

実施例1 以下の構成要素を混合して未硬化セメント組成物を調製する。

このボールクレイは、カオリナイト(粘土材料)68.4%及び石英(繊維と共にこのセメント組成物中で無機フィラーを構成する)31.6%を含有する。1100℃で焼成した後、このクレイは、ムライト56.5%、石英35.8%、及びクリストバライト7.7%に変換される。焼成された材料のCTEは、0〜800℃の温度範囲にわたる針状ムライトのそれと非常に近い。

このセメント組成物中、無機フィラーの粘土材料に対する重量比は88.1:11.9である。

未硬化セメント組成物の一部は、平方センチメートル当たり31のセルを有する、10セル×10セル×7.6cmの針状ムライトハニカムの外周にコーティングされ、表皮層を形成する。表皮層は1100℃で焼成される。ハニカムの圧力損失は、表皮の適用前後に、100標準リットル/分の速度でハニカムに通気することによって測定する。表皮層の追加に起因する、ハニカムの圧力損失の上昇は3%のみである。

未硬化セメント組成物の他の一部を、セグメント化ハニカムを形成するためのセメント層として用いる。7.5×7.5cm×20.3cmの針状ムライトハニカムセグメント(それぞれ断面1平方センチメートル当たり31のセルを有する)9つを、すべての継ぎ目が未硬化セメント組成物の層を有するようにして組み立てる。この集合体を直径22.9cmの円筒状に切り出し、その外周にさらに未硬化セメント組成物を塗布して表皮を形成する。その後、この集合体を1100℃で焼成する。

得られたセグメント化ハニカムを、以下の通り温度ベンチテストの対象とする。熱電対を、表皮ならびに表皮から10mm離れたチャネルと、1つの継ぎ目ならびにその継ぎ目に配置した熱電対から10mm離れた1つのチャネルと、に配置する。100標準立方フィート/分(4.7L/s)の速度でセグメント化ハニカムを通過する空気流を発生させる。空気は、100℃/分のスピードで290℃から700℃へ昇温し、700℃で約3分間維持し、その後100℃/分のスピードで290℃まで低下させ、その温度で3分間維持し、サイクルを完了する。このサイクルを2回以上繰り返す。サイクル中、2つの熱電対によって温度を継続的に測定する。温度サイクル中、熱電対同士の間で測定された最大の温度差を温度勾配とする。温度サイクルを、53立方フィート/分(25L/s)の空気流量で繰り返す。この低流量テストは負荷がより高く、ハニカムにより大きな温度勾配とより大きな熱応力とを発生させる。

未硬化セメント組成物の他の一部を、層として形成し、1100℃で焼成し、その弾性係数と破断係数とを測定する。

温度ベンチテストの結果と、弾性係数及び破断試験の係数とを、減圧試験の結果と合わせ、以下の表2に示す。

実施例2及び比較例A 未硬化セメント組成物が以下の表1に示す材料を混合して調製される点を除き、実施例1に記載の方法と同様にして、実施例2と比較例Aとを製造及び試験する。

試験の結果は、表2に示すとおりである。

表2のデータから、硬化された本発明のセメントは、比較例Aと比べて、フィルタを通じた圧力損失の上昇がはるかに小さいことが分かる。これらの結果は、実施例1及び2のハニカムでは、隣接する多孔質壁に浸入するバインダの量がより少ないことを示す。本発明のハニカム構造体はさらに、温度勾配の大きな低減をもたらしており、これは耐熱衝撃性がより高いことを示す。破断係数及び弾性係数は、比較例Aよりも実施例1のほうが低いが、これは、実施例1のセメント組成物はバインダの含有率がはるかに少ないためであると考えられる。実施例2のセメント組成物ではバインダの含有率がより高く、その破断係数及び弾性係数は比較例Aの2倍以上となっている。

焼成した実施例2の組成物は、CTEが、0〜800℃の温度範囲にわたる針状ムライトのそれと非常に近い。

実施例3 以下の構成要素を混合することにより、未硬化セメント組成物を調製する。

この組成物中、無機フィラーの粘土鉱物に対する重量比は82.9:17.1である。1100℃で焼成した後の弾性係数は6.0GPa、このセメントの破断係数は4.3MPaである。

実施例4 実施例1と同様の組成を有する未硬化セメント組成物を、1400℃で焼成する。弾性係数は6.6GPaで、破断係数は4.9MPaである。

実施例5 実施例2と同様の組成を有する未硬化セメント組成物を、1400℃で焼成する。弾性係数は11.9GPaで、破断係数は7.4MPaである。

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