For a honeycomb structure bonding material and the honeycomb structure using the bonding material

申请号 JP2009524514 申请日 2008-07-25 公开(公告)号 JP5486305B2 公开(公告)日 2014-05-07
申请人 日本碍子株式会社; 发明人 篤 渡辺; 優 児玉; 周一 市川; 史治 佐藤;
摘要
权利要求
  • 接合材に含まれる無機粒子のD90/D10が10〜500であって、D10が100μm以下、D90が4μm以上であるハニカム構造体用接合材。
    (D10、D90は、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定の体積基準の積算分率における粒径が小さい側からの10%、90%径の値である。)
  • 前記無機粒子の長軸短軸比が1.0〜4.0である請求項1記載のハニカム構造体用接合材。
  • 接合材が、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミナチタネート、及びチタニアからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機粒子を含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体用接合材。
  • 接合材がさらに酸化物繊維を含み、酸化物繊維の平均長さが30〜600μmであり、平均径が1〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。
  • 接合材がさらに シリカゾル、アルミナゾル、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の成分を含む請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。
  • 接合材がさらに有機バインダー、及び中空フィラーを含む請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。
  • 請求項1〜6のいずれかに記載の接合材にて接合されたハニカム構造体。
  • 说明书全文

    本発明は、ハニカム構造体用接合材及びその接合材を用いたハニカム構造体に関する。 詳しくは、複数のハニカムセグメントが接合材層を介して互いの接合面で一体的に接合されたハニカムセグメント接合体と、前記ハニカムセグメント接合体の外周面を被覆する外周コート層とを備え、流体の流路となる複数のセルが中心軸方向に互いに並行するように配設された構造を有するハニカム構造体の製造に用いる接合材及びその接合材を用いたハニカム構造体に関する。 さらに詳しくは、内燃機関、ボイラー、化学反応機器及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体又は排ガス中の微粒子捕集フィルター等に好適に用いることができるハニカム構造体に用いる接合材、及びその接合材により製造されたハニカム構造体に関し、更に詳しくは、例えば大型でありながらも、複数個のハニカムセグメントどうしの接合が確実になされているハニカム構造体用接合材、及びハニカム構造体に関する。

    内燃機関、ボイラー、化学反応機器、及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体、又は排ガス中の微粒子、特にディーゼル微粒子の捕集フィルター(以下、DPFという)等に、セラミックスからなるハニカム構造体が用いられている。

    この種のセラミックハニカム構造体は、隔壁により仕切られ軸方向に貫通する多数の流通孔を有する多孔質ハニカムセグメントが接着剤層を介して複数個結束されて構成されている(例えば、特許文献1参照)。 すなわち、セラミックハニカム構造体、四柱形状の多孔質ハニカムセグメントを、列組み合わせて接着剤層を介して互いに接合することによって構成されている。 このときの接合は、多孔質ハニカムセグメントの被接着面間に接着剤層を介在させた後、前記ハニカムセグメントに押圧を加えることにより行う。

    ハニカムセグメントを接合する接合材については、炭化珪素粉末が提案されているが、「炭化珪素粉末は、その粒径が0.01〜100μm、好ましくは0.1 〜15μm,より好ましくは0.1〜10μmであることが望ましい。この理由は、粒径が100μmを超えると、接着力(強度)および熱伝導性の低下を招き、一方、0.01μm未満ではコスト高になるからである。」との指摘があった(例えば、特許文献2参照)。

    そして、特許文献2では、シール材を介して各セラミック部材が一体に接着され、無機粒子として、炭化珪素、窒化珪素、および窒化素から選ばれる少なくとも一種以上の無機粉末またはウィスカーを用いることが提案されている。 しかし、特許文献2の方法では、接合材スラリーの流動性および保性の向上と熱伝導率の向上を両立させることが困難であった。 接合材スラリーの無機粒子を粗粒化することにより、熱抵抗となる粒界が減少するため、熱伝導率の向上することができる。 しかしながら、無機粒子の粗粒化により接合材スラリーの流動性を著しく損なってしまうため、接合部分にスラリーを完全に充填することが難しく、接合強度の低下が発生する。 また、無機粒子の粒度分布が粗粒化することで、スラリー表面の乾燥が速くなるため、接合部の界面密着性が阻害されることがあった。

    特開2000−7455号公報

    特開平08−28246号公報

    本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接合材スラリーの流動性および保水性の向上と熱伝導率の向上を両立させることである。 その結果、接合部において隙間を生じる等の接合不具合を生ずることもなく確実に接合されてなるハニカム構造体用接合材、及びこのような接合材で接合されたハニカム構造体を提供することにある。

    上記目的を達成するため、本発明によれば、以下のハニカム構造体用接合材、及びこのような接合材で接合されたハニカム構造体が提供される。

    [1]接合材に含まれる無機粒子のD90/D10が10〜500であって、D10が100μm以下、D90が4μm以上であるハニカム構造体用接合材。 (D10、D90は、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定の体積基準の積算分率における粒径が小さい側からの10%、90%径の値である。)。

    [2]前記無機粒子の長軸短軸比が1.0〜4.0である前記[1]記載のハニカム構造体用接合材。

    [3]接合材が、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミナチタネート、及びチタニアからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機粒子を含む前記[1]または[2]に記載のハニカム構造体用接合材。

    [4]接合材がさらに酸化物繊維を含み、酸化物繊維の平均長さが30〜600μmであり、平均径が1〜20μmである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。

    [5]接合材がさらにシリカゾル、アルミナゾル、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種の成分を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。

    [6]接合材がさらに有機バインダー、及び中空フィラーを含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体用接合材。

    [7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の接合材にて接合されたハニカム構造体。

    本発明によれば、接合材スラリーの流動性・保水性を確保することができ、かかる接合材を用いることで容易にセグメントを接合することを可能としつつ、かつ、作製したハニカム構造体の接合材の熱伝導率の向上を図ることができる。 更に、本発明によれば、微粒子が粗粒子に対してコロのようなはたらきをすることで、スラリーの流動性を確保する。 また、微粒子により形成される微細孔がもつ強い毛管力により、スラリーの保湿性を保つことによりスラリーの流動性を確保する。 更に、無機粒子の粗粒部分により接合材の熱伝導率の向上を図ることができるので、相反する特性であるスラリーの流動性および保水性の向上と、熱伝導性の向上を両立させることが可能となる。

    本発明のハニカム構造体の一実施形態を説明する図面であり、ハニカムセグメントの斜視図を示す。

    本発明のハニカム構造体の一実施形態を説明する図面であり、ハニカム構造体の斜視図を示す。

    本発明のハニカム構造体の一実施形態を説明する図面であり、ハニカム構造体の平面図を示す。

    符号の説明

    1:ハニカム構造体、2:隔壁、3:セル、5:セル構造体、7:外壁、8:接合材、12:ハニカムセグメント。

    以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。

    本発明は、ハニカム構造体を製造するための接合材、およびその接合材により製造されたハニカム構造体に係るものである。 接合材というのは、乾燥前はスラリー状であって、流動性・保水性が重要であり、乾燥・熱処理後においては、スラリーではなくなる。 本発明において、接合材は乾燥前のスラリー及び乾燥・熱処理後の状態のいずれも含む。 また、本発明において、上記のように、接合材が流動し得るスラリー状のものを指す場合があるため、本明細書では、接合材スラリーと称することもある。

    一般に、無機粒子等は、多数の粒子からなる粒子群であり、粒子群には大きさの異なる複数の粒子が混在している。 レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定とは、多数ある粒子分布測定法の一つである。 測定対象の粒子が発せられる光強度分布パターンがそれぞれの粒子からの回折・散乱光の重ね合わせとなることから、この光強度分布パターンを検出して解析することで、どれくらいの大きさの粒子がどれくらいの割合で含まれているか(粒度分布)を求めることができる。

    一般に、無機粒子等の粒子径とは、存在する粒子等の平均粒子径であって、平均粒子径を中心に一定の範囲で分布していると考えられている。 この粒子分布を求めると、いわゆる山が一つのものであっても、シャープな粒子分布を持つもの、ブロードな粒子分布を持つものがある。 ここで、ブロードな粒子分布とは、一般には、粒子分布曲線がシャープな鋭いピークを持たずに、広い範囲の粒径の粒子分布からなると考えられている。 ブロードな粒子分布をもつ粒子は、相対的に、大粒子のみではなく、中粒子、小粒子が存在している。

    さらに、無機粒子等は、その粒子分布について検討すると、粒子分布の山が2以上あるものも存在する。 かかる無機粒子等を製造する場合には、例えば、平均粒子径の異なる粒子群を混合することで簡単に得ることができる。

    本発明では、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定の体積基準の積算分率における粒径が小さい側からの10%、90%径の値D10、D90を求めることにより、粒子分布を求める。 本発明では、ブロードな粒子分布の無機粒子を利用している。 本発明では、粒子分布のブロード化を、ピークの山が一つで粒子分布が広がったブロード化、ピークの山が2つ以上ある粒子分布のブロード化により、達成している。 ブロードな粒子分布を持たせることにより、微粒子(粒子径系が相対的に小さな粒子)が粗粒子(粒子径系が相対的に大きな粒子)に対してコロのようなはたらきをすることで、スラリーの流動性を確保することができる。

    本発明では、粒子分布のブロード化について、接合材(接合材スラリーを含む)中の無機粒子のD90/D10を求めることにより評価する。 D90/D10は、10〜500が好ましく、10〜430が特に好ましい。 D10は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、15μm以下が特に好ましい。 D90は、4μm以上が好ましく、8μm以上が特に好ましい。 そして、D90/D10が10〜500あり、かつ、D10が100μm以下、D90が4μm以上の粒子分布の範囲にあるとき本発明の効果を奏し、D90/D10が10〜430であり、かつ、D10が15μm以下、D90が8μm以上の粒子分布の範囲にあるとき本発明は著しい効果を奏する。

    また、微粒子により形成される微細孔がもつ強い毛管力により、スラリーの保湿性を保つことができる。 一方、無機粒子の粗粒部分により接合材の熱伝導率の向上を図ることができる。 かかる粒子の作用により、相反する特性であるスラリーの流動性および保水性の向上と、熱伝導性の向上を両立させることが可能となった。

    本発明では、走査型電子顕微鏡にて各粉末の観察を行い、個々の無機粒子の長軸短軸比(長軸/短軸)を測定し、それらの平均値を長軸短軸比とした。

    また、無機粒子は、一般に、完全な球形でなく、楕円状の球形、平板状、円柱状、棒状等種々の形状をしているのが通常であって、その粒径というとき、長い粒径と短い粒径が存在する。 この長い粒径と短い粒径との比を長軸短軸比(長軸/短軸)として測定したところ、本発明では、1.0〜4.0のものが好ましく、1.0〜3.4のものが特に好ましい。

    接合材は、好ましくは、上記D90/D10、D90、D10の条件を満たす炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、アルミナチタネート、チタニア、及びコージェライトからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機粒子であり、特に好ましくは、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、コージェライトから選ばれた少なくとも1種の無機粒子である。

    接合材はさらに無機繊維を含むことが好ましい。 無機繊維としては、例えば、アルミノシリケート、アルミナ、マグネシウムシリケート等の酸化物繊維、その他の繊維(例えば、SiC繊維)等を挙げることができる。

    本発明では、走査型電子顕微鏡にてファイバーの観察を行い、個々のファイバー長、および径を測定することにより、ファイバーの平均長さ、および平均径を算出した。

    本発明における無機繊維としては、酸化物繊維をもっとも好適な物として挙げることができる。 具体的には、シリカ、ムライト、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア等のセラミックスファイバを好適例として挙げることができる。 その平均長さが30〜600μmであり、平均径が1〜20μmである無機繊維が好ましく、その平均長さが50〜500μmであり、平均径が1〜20μmである無機繊維が特に好ましい。

    本発明の接合材は、コロイド状酸化物、及び無機バインダーを含むことが好ましい。 コロイド状酸化物としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等が挙げられる。 これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、粘土等を挙げることができる。

    本発明の接合材は、また有機バインダー、及び中空フィラーを含むことも好ましい。

    有機バインダーとは、一般には、有機物である結合剤をいい、結合剤とは、一般には、同種又は異種固体を結合あるいは固定して、材料や製品などを形成するのに用いる素材をいう。 セラミック製造の場合には、一般に、有機バインダーは、セラミックス原料粉末を成形可能にし、その形状維持に必要な強度を与えるために加えられる各種有機化合物を意味している。 従って、代表的な有機バインダーとして、天然由来のデンプン、ゼラチン、寒天、半合成のアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等の合成系の水溶性高分子等を例示することができる。 本発明の有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等を挙げることができる。

    中空フィラーとは、一般には、有機および/または無機の中空粒子をいい、以下のものを例示することができる。 有機中空粒状フィラーとしては、例えば、アクリル系中空粒子、発泡粒子、発泡樹脂、スポンジ状発泡体等である。 無機の中空粒状フィラーとしては、例えば、中空酸化チタン粒子、中空酸化鉄、フライアッシュバルーン等の中空酸化物微粒子である。

    図1A〜Cは、本発明の接合材を用いて接合されたハニカム構造体の一実施形態を説明する図面であり、図1Aはハニカムセグメントの斜視図、図1Bはハニカム構造体の斜視図、図1Cはハニカム構造体の平面図を示す。 本実施形態のハニカム構造体1は、多孔質の隔壁2によって区画された流体の流路となる複数のセル3を有するセル構造体5と、セル構造体5の外周に配設された多孔質の外壁7とを備えたハニカムセグメント12の複数個が、これらの外壁7どうしが接合材8で接合されることにより一体化されてなるものである。

    本発明において、材料の混合及び混練は、従来公知の混合機ないし混練機、例えば、シグマニーダ、バンバリーミキサ、スクリュー式の押出混練機等により行うことができる。 特に、坏土中に含まれるエアを脱気させるための真空減圧装置(例えば、真空ポンプ等)を備えた混練機(いわゆる真空土練機)を用いると、欠陥が少なく、成形性の良好な坏土を得ることができる点において好ましい。

    本発明のハニカム構造体は、ハニカムセグメントを接合材にて接合することによって製造される。 ハニカムセグメントは、原料として、例えば、炭化珪素や、炭化珪素−金属珪素複合物を形成するための炭化珪素粉及び金属珪素粉、その他のセラミックス原料に、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシメチルセルロース等のバインダー、界面活性剤、水等を添加し、これを混練して可塑性の坏土を形成する。 次に、得られた坏土を成形工程において押出成形することにより、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム形状の成形体を成形する。 押出成形にはプランジャ型の押出機や二軸スクリュー型の連続押出機などを用いることができる。 二軸スクリュー型の連続押出機を用いると、坏土化工程と成形工程を連続的に行うことができる。 得られたハニカム成形体を、例えばマイクロ波、誘電及び/又は熱風等で乾燥した後、焼成して、ハニカム焼成体を得ることができる。

    得られたハニカム焼成体を、所定形状のハニカムセグメントとなるように、必要に応じて形状加工する。 バンドソー、メタルソー等の手段を用いて加工することにより、接合面を有する四角柱状のハニカムセグメントを得ることができる。

    接合材をハニカムセグメントに塗布する方法に特に制限はなく、例えばスプレー法、ハケや筆等により塗布する方法、ディッピング法等を採用することができる。

    接合したハニカム構造体は、熱風乾燥等により、接合材が含む水分が飛散することで形状を保つ強度を発現する。 この際、接合材近傍の温度上昇は、水分の気化熱により75〜100℃で停滞する。 この間、接合部には局所的に強い部分、弱い部分が散在し、振動あるいは自重により接合収縮の不均一、接合部のずれを生じる。 そこで、結着力、あるいは熱ゲル化性を有する有機バインダーを添加することにより、温度上昇の停滞前に、接合部へ強度を付与する。 この有機バインダーの結着力、および熱ゲル化性は、0.1質量%未満では接合材の粒子全体へ行き渡らず、結着力、および熱ゲル化挙動の効果が期待できない。 好ましくは、有機バインダーの量が0.1質量%以上を含む接合材にて接合されたときであり、0.2質量%以上含む場合は特にその効果が顕著となる。 有機バインダー量が5質量%を超えると、接合材スラリーを作製するために多量の水分が必要となり、乾燥後、接合材中の気孔が増加するため接合材強度が低下する。 結着力、熱ゲル化性を有する有機バインダーとしては、特に好ましいものとして、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、あるいはポリビニルアルコール等を挙げることができる。

    また、乾燥の硬化促進剤として、熱硬化性樹脂もその効果が期待できる。 熱硬化性樹脂とは、一般には、触媒作用、加熱、光照射などのエネルギーにより、液状又は可塑性物質が効果すなわち不溶不溶融化する性質を有する天然および合成樹脂などの化合物をいう。 本発明の熱硬化性樹脂は、加熱により分子間に架橋反応が起こり、三次元網状構造の不融不溶の高分子に変化する。 例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などがあげられる。 いずれも化学反応性官能基を分子中に有する樹脂であって、硬化物の性質は化学組成によって異なる。 本発明では、乾燥の硬化促進剤として熱硬化性樹脂が使用でき、特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。

    さらに、熱ゲル化性を有する有機バインダー又は熱硬化性樹脂を含む接合材を使用して、さらに増粘開始温度、熱硬化温度へ短時間で到達させるためには、マイクロ波を当てて乾燥する方法、外部からだけではなくハニカム構造体の内部から加熱し乾燥を進める方法も効果がある。 加熱したハニカムセグメントを使用することにより、増粘開始温度、熱硬化温度への温度上昇時間を短縮できる。 接合材を使用して、接合後、即、100℃の雰囲気に晒す接合方法も効果的である。

    本発明にいう、接合材を「乾燥する」とは、接合材に含まれる成分が溶融等することのない温度、即ち、実質的に焼成しない温度で液体成分を蒸発させて固化(ゲル化)させることを意味する。 即ち、本実施形態のハニカム構造体は、接合材が焼成されることなく、乾燥するのみで接合層が形成されてハニカムセグメントの外壁どうしが接合されてなるものであるため、接合層とハニカムセグメントとの熱膨張率や収縮率の差等に起因して接合層にヒビが入ったり、接合層自体が剥離したりする等の接合欠陥が生じ難いものである。

    また、本実施形態のハニカム構造体は、接合材が焼成されることなく、乾燥するのみで接合層が形成されてハニカムセグメントの外壁どうしが接合されるため、特に大型のハニカム構造体である場合に、接合欠陥が生じ難いといった効果が顕著に発揮される。

    なお、ハニカムセグメントを接合して形成したハニカム構造体(接合体)の外周の少なくとも一部を、必要に応じて除去してもよい。

    また、本発明の接合材は、焼成することなく、乾燥するのみで接合層が形成されて被接合体どうしを接合することができるため、特に被接合体が大型(接合材の塗布面積が大きい)である場合に、接合欠陥が生じ難いといった効果が顕著に発揮される。

    以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。

    (実施例1〜18、比較例1〜4)
    原料として、SiC粉末及びSi粉末を80:20の質量割合で混合し、これに造孔材として澱粉、発泡樹脂を加え、更にメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、界面活性剤及び水を添加して、可塑性の坏土を作製した。 この坏土を押出成形し、マイクロ波及び熱風で乾燥して隔壁の厚さが310μm、セル密度が約46.5セル/cm (300セル/平方インチ)、断面が一辺35mmの正方形、長さが152mmのハニカムセグメントを得た。 これを、端面が市松模様状を呈するように、隣接する前記流通孔が互いに反対側となる一方の端部でハニカムセグメントの製造に用いた材料と同様の材料で目封じして、乾燥させた後、大気雰囲気中約400℃で脱脂し、その後Ar不活性雰囲気中にて約1450℃で焼成して、Si結合SiCの焼成ハニカムセグメントを得た。

    無機粒子として、表1に示す特性を持つ炭化珪素粉末、窒化珪素粉末、アルミナ粉末、コージェライト粉末を40質量%、酸化物繊維として、表1に示す長さのアルミナシリケートファイバーを30質量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを表1に示す質量%、無機バインダーとしてコロイダルシリカを20質量%加え、水を9.5質量%加えて30分混練を行い、表1の各接合材スラリーを得た。 そして、前記の焼成ハニカムセグメントを16本接合、乾燥して得られた接合体の外周を研削した後、その外周部に対して、コーティング材を塗布し、200℃で2時間乾燥して、ハニカム構造体を得た。 表1における接合材A〜Rのうち、A〜J、およびO〜Rは後述するとおり本発明の実施例に用いられ、K〜Nは比較例に用いられる。

    JIS R1629(ファインセラミックス原料のレーザ回析・散乱法による粒子径分布測定方法)により無機粒子のD10、D90を求めた。 D10、D90は、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定の体積基準の積算分率における粒径が小さい側からの10%、90%径の値である。

    接合材については、流動性、保水性、熱伝導率をそれぞれ測定することにより評価した。 流動性は、各スラリーをハニカムセグメントに塗布後、室温にて3分、および10分それぞれ放置した後に接合した接合体の接合部の隙間の発生有無により評価した。 保水性は、室温3分、および10分放置後の各接合材スラリー表面の乾燥発生の有無により評価した。 熱伝導率は、作製したハニカム構造体から接合材を切出し、レーザフラッシュ法により評価した。 結果を表2から表6に示す。

    表2に示したとおり、実施例1、2、3、4では、無機粒子のD90/D10の値が10から500の間にあり、D10が100μm以下、D90が4μm以上であるので、流動性、保水性が確保されつつ、熱伝導率を向上させるという本発明の効果が達成される。

    一方、比較例1では、D90が3.5μmで、4μm以下になっているので、熱伝導率が0.24となり低下を招いた。 比較例2では、D10が125μmであるため、保水性が著しく低下し、接合材スラリー表面が3分以内に乾燥したため、流動性の著しい低下を招き、接合部隙間が発生した。 比較例3では、無機粒子のD90/D10が4.04であり、10以下の値であり、小粒子のコロとしての効果が低下したため、スラリー流動性が著しく低下し、接合部隙間が発生した。 また、比較例4は、無機粒子のD90/D10の値が632で、500以上であるので、比較例3と同様に、スラリー流動性が著しく低下し、接合部隙間が発生した。

    表2の結果から、接合材中の無機粒子のD90/D10が10〜500であって、D10が100μm以下、D90が4μm以上であるハニカム構造体用接合材の優れた効果が確認された。

    表3に示したとおり、実施例5、6では、無機粒子の長軸短軸比がそれぞれ1.5、3.4であり、4.0以下であるので、流動性、保水性、熱伝導率ともに優れる。 一方、実施例7は、無機粒子の長軸短軸比が4.6になるので、実施例5、6と比べると、接合材を塗布してから3分放置後に接合した場合には接合隙間が発生しなかったが、10分放置後に接合するとスラリー流動性が低下し、接合部隙間が発生した。 接合材を塗布してから10分放置して接合することはまれであるので、実用上は問題がなかった。

    表3の結果から、接合材中の無機粒子のD90/D10が10〜500であって、D10が100μm以下、D90が4μm以上であって、かつ、長軸短軸比が1.0〜4.0であるハニカム構造体用接合材の優れた効果が確認された。

    表4に示したとおり、実施例8に用いた炭化珪素を、実施例9では窒化珪素に、実施例10ではアルミナに、実施例11ではコージェライトに、無機粒子の種を変更したが、スラリー流動性、保水性はほぼ同等であることを確認できた。 表4の結果から、接合材スラリーまたは接合材中の無機粒子として、炭化珪素の他に、窒化珪素、アルミナ、コージェライトの優れた効果が確認された。

    表5に示したとおり、接合材に用いたファイバー長が、実施例12では300μmであり、実施例13では50μmであり、実施例14では500μmである。 一方、実施例15では15μmであり、実施例16では700μmである。 表5に示したとおり、実施例12〜14では接合部隙間が発生せず、保水性、熱伝導性も良好であった。 一方、ファイバー長が30μm以下となる実施例15では、熱伝導率が低下したが、0.5W/mKは確保され、実用上問題はなかった。 また、ファイバー長が601μm以上となる実施例16では、ファイバーがダマ状になって、接合材を塗布してから3分放置後に接合した場合には接合隙間が発生しなかったが、10分放置後に接合するとスラリー流動性が低下し、接合部隙間が発生した。 接合材を塗布してから10分放置して接合することはまれであるので、実用上は問題がなかった。

    表5の結果から、接合材が酸化物繊維を含み、その平均長さが30〜600μmであり、平均粒径が1〜20μmであるハニカム構造体用接合材の優れた効果が確認された。

    表6に示したとおり、接合材への有機バインダー添加量が、実施例17では0.5質量%であり、実施例18では0.05質量%である。 実施例17では、接合部隙間が発生せず、保水性、熱伝導率も良好であった。 一方、有機バインダーの添加量が0.05質量%である実施例18では、接合材を塗布してから3分放置後に接合した場合には接合隙間が発生しなかったが、10分放置後に接合すると、保水性の低下により接合材表面が乾燥したため、スラリー流動性が低下し、接合部隙間が発生した。 接合材を塗布してから10分放置して接合することはまれであるので、実用上は問題がなかった。

    本発明のハニカム構造体用接合材およびハニカム構造体は、ディーゼルエンジン排ガス処理装置、脱塵装置、水処理装置等の各種フィルターを必要とする各種産業分野において有効に利用される。

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