積層セラミック電子部品の製造方法

申请号 JP2013520460 申请日 2012-04-25 公开(公告)号 JPWO2012172871A1 公开(公告)日 2015-02-23
申请人 株式会社村田製作所; 发明人 浜中 建一; 建一 浜中; 伊藤 英治; 英治 伊藤; 泰治 山下; 泰治 山下; 岡島 健一; 健一 岡島; 透悟 松井; 透悟 松井;
摘要 【課題】積層体チップの側面に対して所望の絶縁体部の厚みを有することにより、電気特性の安定した信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることを可能とする積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】内部電極の両側端縁が側面に露出するように形成された積層体チップを用意する工程と、積層体チップの一方側面および他方側面に、任意の体積の溝を有し体積の溝に絶縁体部用ペーストを充填した金属プレートに押し当て、金属プレートから積層体チップを引き離す際に金属プレートを任意の方向に揺動させて、第1絶縁体部および第2絶縁体部を形成する工程と、さらに第1絶縁体部および第2絶縁体部を形成した積層体チップを焼成する工程とを含む積層セラミック電子部品の製造方法である。絶縁体部用ペーストは、 粘度 が、500Pa・s〜2500Pa・sであり、無機固形分の含有量C(vol%)が、所定の条件を満たすことを特徴とする。
权利要求
  • 複数のセラミック層と複数の内部電極とが積層されており、前記内部電極の両側端縁が側面に露出するように形成された積層体チップを用意する工程と、
    前記積層体チップを複数個整列して、前記積層体チップの一方側面を、任意の体積の溝を有し前記体積の溝にセラミックペーストからなる絶縁体部用ペーストを充填した金属プレートに押し当て、前記金属プレートから前記積層体チップを引き離す際に前記金属プレートまたは前記積層体チップを任意の方向に揺動させて、前記一方側面上に前記絶縁体部用ペーストを塗布して第1絶縁体部を形成する工程と、
    前記積層体チップの他方側面を、任意の体積の溝を有し前記体積の溝に絶縁体部用ペーストを充填した金属プレートに押し当て、前記金属プレートから前記積層体チップを引き離す際に前記金属プレートまたは前記積層体チップを任意の方向に揺動させて、前記他方側面上に前記絶縁体部用ペーストを塗布して第2絶縁体部を形成する工程と、
    前記第1絶縁体部および前記第2絶縁体部を形成した積層体チップを焼成する工程と、
    を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記絶縁体部用ペーストは、粘度が、500Pa・s〜2500Pa・sであり、無機固形分の含有量C(vol%)が、
    C≧(S×t/(V/2))×100
    を満たすことを特徴とし、式中のCは無機固形分の含有量(vol%)であり、tは絶縁層の保証厚み(μm)であり、Sは絶縁層形成面の面積(μm 2 )であり、V:チップ1個当たりに対応した金属プレートの溝体積(μm 3 )である、積層セラミック電子部品の製造方法。
  • 前記絶縁体部用ペーストを構成する溶剤成分は、前記積層体チップに含まれるバインダ成分に非相溶であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  • 说明书全文

    この発明は、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品の製造方法に関する。

    従来、積層セラミック電子部品の焼成前における積層体チップの製造は、セラミックグリーンシートに積層体チップ1個分の内部電極を縦横に多数印刷し、そのセラミックグリーンシートを必要数について積層し圧着した後、1個のチップ状にカットすることにより行われる。 この工法では、セラミックグリーンシートの積層位置精度や積層体チップの形状にカットするための位置精度の関係上、積層体チップの側面(引き出し電極がない面)における絶縁体部を、一定幅確保する必要がある。 そのため、この絶縁体部を設けることにより、積層体チップのサイズが大きくなる場合や内部電極の面積が小さくなるために取得容量が小さくなる等の問題があった。 また、内部電極の印刷された部分は、内部電極の分だけ厚くなる。 そのため、電極積層数が多くなると、内部電極の印刷された部分と絶縁体部との間に大きな段差が生じる。 この段差の影響で、焼成後の積層体チップに構造欠陥が発生する問題もあった。

    上記の問題点を改善する方法として、例えば、下記のような積層セラミックコンデンサの製造方法が提案されている。 すなわち、この積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミックグリーンシートに対して内部電極となる導電膜をストライプ状に印刷し、そのセラミックグリーンシートを必要数について積層し圧着した後、1個の積層体チップにカットして積層体チップを製造する。 そして、図7に示すような絶縁体部形成装置1において、平な金属プレート2上に、積層体チップに用いられているセラミック材料を共通のものにし、かつ積層体を溶解しないような溶剤を用いた絶縁体部用ペースト3の塗膜を形成する。 その後、その塗膜に対して、保持プレート4により保持された積層体チップ5の側面に対して、絶縁体部用ペースト3を塗布することにより、積層体チップ5に絶縁体部を形成する方法である(特許文献1参照)。

    特開昭61−248413号公報

    しかしながら、絶縁体部用ペーストとして、積層体チップの側面にその積層体に用いられているセラミック材料と共通のものにし、かつ積層体を溶解しないような溶剤を用いたとしても、上述したような従来の方法により積層体チップの側面に対して絶縁体部用ペーストを塗布した場合、積層体チップの稜部における塗布厚みが電気特性を維持できる許容範囲を超えて薄くなったり、平滑に塗布できなかったりといった問題があった。

    それゆえに、この発明の主たる目的は、積層体チップの側面に対して所望の絶縁体部の厚みを有することにより、電気特性の安定した信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることを可能とする積層セラミック電子部品の製造方法を提供することである。 また、積層セラミック電子部品の外観品位の低下を抑える積層セラミック電子部品を得ることを可能とする積層セラミック電子部品の製造方法を提供することである。

    この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミック層と複数の内部電極とが積層されており、内部電極の両側端縁が側面に露出するように形成された積層体チップを用意する工程と、積層体チップを複数個整列して、積層体チップの一方側面を、任意の体積の溝を有し体積の溝にセラミックペーストからなる絶縁体部用ペーストを充填した金属プレートに押し当て、金属プレートから積層体チップを引き離す際に金属プレートまたは積層体チップを任意の方向に揺動させて、一方側面上に絶縁体部用ペーストを塗布して第1絶縁体部を形成する工程と、積層体チップの他方側面を、任意の体積の溝を有し体積の溝に絶縁体部用ペーストを充填した金属プレートに押し当て、金属プレートから積層体チップを引き離す際に金属プレートまたは積層体チップを任意の方向に揺動させて、他方側面上に絶縁体部用ペーストを塗布して第2絶縁体部を形成する工程と、第1絶縁体部および第2絶縁体部を形成した積層体チップを焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、絶縁体部用ペーストは、粘度が、500Pa・s〜2500Pa・sであり、無機固形分の含有量C(vol%)が、C≧(S×t/(V/2))×100を満たすことを特徴とし、式中のCは無機固形分の含有量(vol%)であり、tは絶縁層の保証厚み(μm)であり、Sは絶縁層形成面の面積(μm 2 )であり、V:チップ1個当たりに対応した金属プレートの溝体積(μm 3 )である、積層セラミック電子部品の製造方法である。
    また、この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法では、絶縁体部用ペーストを構成する溶剤成分は、積層体チップに含まれるバインダ成分に非相溶であることが好ましい。

    この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法によれば、絶縁体部用ペーストの粘度を500Pa・s以上、2500Pa・s以下に設定し、かつセラミック原料の含有量が上記の数式を満たすことにより、積層体チップの側面に絶縁体部を形成するにあたり、その絶縁体部の塗布厚みのばらつきを抑え、ツノ状の突起等のような塗布形状に異常がなく、さらに保証厚みよりも実測厚みが下回らない積層セラミック電子部品を製造することができる。 従って、積層体チップの側面に対して所望の絶縁体部の厚みを有することにより、電気特性の安定した信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることができる。
    また、この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法では、絶縁体部用ペーストに含有されるペースト溶剤を積層体チップのセラミック層を形成しているバインダ成分を溶かさない溶媒を使用することにより、電気特性の安定した積層セラミック電子部品を得ることができる。

    この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。

    この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造される積層セラミック電子部品の外観の一例を示す概略斜視図である。

    発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造される積層セラミック電子部品のA−A線における断面を示す断面図解図である。

    この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップの製造工程を示した概略図であり、(a)は準備されるセラミックグリーンシートに導電膜が帯状に印刷された状態の図であり、(b)は第1及び第2のセラミックグリーンシートを積層する工程を示した図であり、(c)は積層体を示す概略斜視図である。

    (a)は図3に示される積層体チップの製造工程により製造された積層体チップの外観の一例を示す概略斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ内部電極の形状を説明するための平面断面図である。

    この発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程を示した概略図であり、(a)は積層体チップを溝有り金属プレートに突入させる状態を示した図であり、(b)は積層体チップを溝有り金属プレートに押し当てる状態を示した図であり、(c)は積層体チップを溝有り金属プレートから揺動させながら引き上げる状態を示している。

    (a)は図5に示される積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程により製造された絶縁体部付き積層体チップの外観の一例を示す概略斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ内部電極の形状を説明するための平面断面図である。

    従来の積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程を示した概略図である。

    10 積層セラミック電子部品 12 セラミック素体 14a、14b 外部電極 16a、16b セラミック層 18a 一方主面 18b 他方主面 20a 一方側面 20b 他方側面 22a 一方端面 22b 他方端面 24a、24b 内部電極 26a、26b 対向部 28a、28b 引出し電極部 30a、30b セラミックグリーンシート 32a、32b 導電膜 34a、34b ギャップ 36 積層体 38 第1切断線 40 第2切断線 42 積層体チップ 44a、44b 側面部電極 50 絶縁体部形成装置 52 溝有り金属プレート 52a 溝部 54 絶縁体部用ペースト 56 保持プレート 56a 本体部 56b 保持部 60 絶縁体部付き積層体チップ 62a 第1絶縁体部 62b 第2絶縁体部

    本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造される積層セラミック電子部品の一実施形態について説明する。 図1は、セラミック素体と外部電極とにより構成された積層セラミック電子部品の外観の一例である積層セラミック電子部品の概略斜視図を示し、図2は、図1に示される積層セラミック電子部品のA−A線における断面を示す断面図解図を示す。

    この実施形態にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造される積層セラミック電子部品10は、セラミック素体12と、セラミック素体12の表面に形成される外部電極14aおよび14bとから構成される。

    この実施形態にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造される積層セラミック電子部品10に用いられるセラミック素体12は、複数の積層されたセラミック層16aおよび16bから構成される。 そして、セラミック素体12は、直方体状に形成され、長さ(L)方向および幅(W)方向に沿って延びる一方主面18aおよび他方主面18bと、長さ(L)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方側面20aおよび他方側面20bと、幅(W)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方端面22aおよび他方端面22bとを有する。 ここで、積層セラミック電子部品10は、必要な容量を確保した上で、その一方側面20aおよび他方側面20bは、絶縁されていることが求められる。 なお、セラミック素体12は、部および稜部に丸みがつけられていることが好ましい。

    セラミック層16aおよび16bの材料には、例えば、BaTiO 3 、CaTiO 3 、SrTiO 3 、CaZrO 3などの主成分からなる誘電体セラミックを用いることができる。 また、これらの主成分に、Mn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。 その他、PZT系セラミックなどの圧電体セラミック、スピネル系セラミックなどの半導体セラミックなどを用いることもできる。

    なお、この実施形態にかかるセラミック素体12については、誘電体セラミックを用いるので、コンデンサとして機能する。

    セラミック素体12は、複数のセラミック層16aおよび16bに挟まれるように複数の内部電極24aおよび24bを有する。 内部電極24aおよび24bの材料には、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。 焼成後の内部電極28aおよび28bの厚みは、0.3〜2.0μmであることが好ましい。 また、焼成後のセラミック層16aおよび16bの厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。

    内部電極24aは、対向部26aと引出し電極部28aとを有する。 対向部26aは、内部電極24bと対向する。 引出し電極部28aは、対向部26aからセラミック素体12の一方端面22aに引出される。 そして、内部電極24aの引出し電極部28aの端部がセラミック素体12の一方端面22aに延びて露出するように形成される。

    また、内部電極24bは、内部電極24aと同様に、内部電極24aと対向する対向部26bと、対向部26bからセラミック素体12の他方端面22bに引出された引出し電極部28bとを有する。 内部電極24bの引出し電極部28bの端部がセラミック素体12の他方端面22bに延びて露出するように形成される。

    セラミック素体12の一方端面22aには、外部電極14aが引出し電極部28aを介して内部電極24aに電気的に接続され、一方端面22a及び内部電極24aを覆うように形成される。 同様に、セラミック素体12の他方端面22bには、外部電極14bが引出し電極部28bを介して内部電極24bに電気的に接続され、他方端面22b及び内部電極24bを覆うように形成される。

    外部電極14aおよび14bの材料には、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等を用いることができる。 このうち、例えば、Cu、Ni等の卑金属を用いることが好ましい。 外部電極14aおよび14bの厚みは、10〜80μmであることが好ましい。

    次に、本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法についての一実施形態について説明する。 図3(a)〜(c)は、本発明にかかる一実施形態における積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップの製造工程を示した概略図である。 本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートにストライプ状電極を印刷し積層し積層体を形成した上で、その積層体をカットして側面部に電極を露出した積層体チップを作成後、絶縁体部用ペーストを充填した任意の体積の溝を有する金属プレートに積層体チップを押し当てることにより積層体チップに絶縁体部を形成する工程を含む、積層セラミック電位部品の製造方法である。 以下、詳細に説明する。

    まず、積層セラミック電子部品10を製造する際には、セラミック材料粉末、焼結助剤、バインダおよび可塑剤などを混合して、セラミックスラリーが形成される。 セラミックスラリーは、例えば、ドクターブレード法を用いてキャリアフィルム上にセラミックグリーンシートが形成される。 そして、複数枚のセラミックグリーンシート30aおよび30bが準備される。 バインダ成分は、例えば、ポリビニルブチラールが使用される。 また、可塑剤は、例えば、ジオクチルフタレートが使用される。

    続いて、図3(a)に示されるように、セラミックグリーンシート30aの表面には、帯状に複数の導電膜32aが互いに平行に印刷される。 また、セラミックグリーンシート30bの表面には、帯状に複数の導電膜32bが互いに平行に印刷される。 導電膜32aと導電膜32aとの間は、適宜ギャップ34aが設けられ、導電膜32bと導電膜32bとの間は、適宜ギャップ34bが設けられる。 結果、セラミックグリーンシート30aの表面には、ストライプ状に導電膜32aが形成され、セラミックグリーンシート30bの表面には、ストライプ状に導電膜32bが形成される。 次に、セラミックグリーンシート30aおよび30bの表面に印刷された導電膜32aおよび32bを乾燥する。 なお、この導電膜32aは、積層セラミック電子部品10における内部電極24aとなり、導電膜32bは、積層セラミック電子部品10における内部電極24aとなる。 導電膜32aおよび32bの材料は、導電成分、バインダ成分および可塑剤が含まれる。 導電成分は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどが使用される。 また、バインダ成分は、エチルセルロースが使用される。 また、可塑剤は、例えば、アルキッドが使用される。

    その後、図3(b)に示されるように、ストライプ状に導電膜32aおよび32bが印刷されたセラミックグリーンシート30aおよび30bは、導電膜32aおよび32bの印刷方向に対して直交する方向に、少なくとも内部電極24aおよび24bにおける引出し電極部28aおよび28bを確保するために必要な大きさだけ交互にずらされて積層される。 このように積層されたセラミックグリーンシートの上面および下面に、必要に応じて導電膜が形成されていないセラミックグリーンシートが所定枚数積み重ねられる。 そして、積み重ねられたセラミックグリーンシートは、プレスして互いに圧着され、帯状に印刷された導電膜32aおよび32bを含む積層体38が形成される。

    そして、図3(c)に示されるように、形成された積層体38を長さ(L)方向に第1切断線38でカットし、幅(W)方向に第2切断線40でカットすることにより、積層体チップ42が製造される。 このとき、積層体チップ42において、導電膜32aは内部電極24aとして機能し、導電膜32bは内部電極24bとして機能する。

    図4(a)は、図3に示される積層体チップの製造工程において製造された積層体チップの外観の一例を示す概略斜視図である。 積層体38よりカットされた積層体チップ42は、積層セラミック電子部品10と同様に、直方体状に形成されており、長さ(L)方向および幅(W)方向に沿って延びる一方主面18aおよび他方主面18bと、長さ(L)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方側面20aおよび他方側面20bと、幅(W)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方端面22aおよび他方端面22bとを有する。

    図4(b)及び(c)は、それぞれ内部電極の形状を説明するための平面断面図である。 積層体チップ42は、複数のセラミック層16aおよび16bに挟まれるように複数の内部電極24aおよび24bを有する。 従って、積層体チップ42には、複数のセラミック層16aおよび16bと内部電極24aおよび24bとが積層されて構成される。

    図4(b)に示すように、内部電極24aは、対向部26a、引出し電極部28a、側面部電極44aおよび側面部電極44bを有する。 そして、引出し電極部28aは、対向部26aから積層体チップ42の一方端面22aに引き出される。 そして、内部電極24aの引出し電極部28aの端部が積層体チップ42の一方端面22aに延びて露出するように形成される。 また、側面部電極44aは、積層体チップ42の一方側面20aに露出しており、側面部電極44bは、積層体チップ42の他方側面20bに露出している。

    また、図4(c)に示すように、内部電極24bは、対向部26b、引出し電極部28b、側面部電極44aおよび側面部電極44bを有する。 そして、引出し電極部28bは、対向部26bから積層体チップ42の他方端面22bに引き出される。 そして、内部電極24bの引出し電極部28bの端部が積層体チップ42の他方端面22bに延びて露出するように形成される。 また、側面部電極44aは、積層体チップ42の一方側面20aに露出しており、側面部電極44bは、積層体チップ42の他方側面20bに露出している。

    次に、積層体チップに絶縁体部を形成するための工程について説明する。 この工程により、露出している側面部電極44aおよび44bを覆うために、上述の方法により製造された積層体チップ42の一方側面20aおよび他方側面20bに対して絶縁体部用ペーストが塗布される。 まず、積層体チップ42に絶縁体部用ペーストを塗布する工程に使用される絶縁体部形成装置50について説明する。

    図5(a)に示すように、絶縁体部形成装置50は、溝有り金属プレート52、絶縁体部用ペースト54および保持プレート56を備える。 絶縁体部形成装置50は、その他にも、図示を省略しているが、溝有り金属プレート52に絶縁体部用ペースト54を充填させるためのスキージ、積層体チップ42を保持した保持プレート56を上下左右方向等の任意の形に揺動させたり、移動させたりするための保持プレート揺動・移動機構等を備える。

    絶縁体部形成装置50は、絶縁体部用ペースト54をスキージ動作で溝有り金属プレート52に形成される溝部に絶縁体部用ペースト54を充填させた上で、その絶縁体部用ペースト54が充填された溝有り金属プレート50に対して積層体チップ42を浸漬させることで絶縁体部を形成することにより、絶縁体部付き積層体チップを製造する装置である。

    溝有り金属プレート52は、積層体チップ42に塗布するための絶縁体部用ペースト54を供給するために設けられる。 溝有り金属プレート52は、金属プレートに複数の溝部52aを形成したものである。 溝部52aは、直方体状の凹部に形成される。 溝部52aは、積層体チップ42の長さ方向に対して交差する方向に格子状に形成される。 また、溝部52aの体積の大きさは、絶縁体部用ペースト54を塗布する積層体チップ42の側面面積に基づいて決定される。

    絶縁体部用ペースト54は、積層体チップ42に絶縁体部を形成するために使用される。 絶縁体部用ペースト54の材料には、バインダ成分、セラミック原料、可塑剤およびペースト溶剤が含まれる。 バインダ成分は、例えば、ポリビニルブチラール、エチルセルロースおよびセルロースブチレートアセテートが使用される。 セラミック原料は、BaTiO 3 、CaTiO 3 、SrTiO 3 、CaZrO 3などが使用される。 可塑剤は、例えば、ジオクチルフタレートが使用される。

    使用する絶縁体部用ペースト54は、次の様な特徴を有する。 すなわち、絶縁体部用ペースト54は、上述したバインダ成分の種類、各バインダ成分の分子量、無機固形分であるセラミック原料の含有量、セラミックの体積分率を変化させることによって、その粘度を変化させることができる。 本発明にかかる実施形態において、絶縁体部用ペースト54の25℃における粘度は、500Pa・s以上、2500Pa・s以下となるように、上述のバインダ成分が含有される。 粘度が低い領域では、絶縁体部用ペースト54が流動しやすいため、積層体チップ42の稜部における絶縁体部の厚みが薄くなる。 一方、粘度が高い領域では、絶縁体部用ペースト54が流動しにくいため、塗布直後の形状が維持され、絶縁体部の形状異常となる。 なお、絶縁体部用ペーストの25℃における粘度は、コーンプレート型回転粘度計で3°×R9.7mmのコーンを使用し、ずり速度0.2(1/s)で測定する。

    また、絶縁体部用ペースト54に含有される無機固形分であるセラミック原料の含有量が下記の数式1を満たす必要がある。

    [数1]
    C≧(S×t/(V/2))×100

    ここで、Cはセラミック原料の含有量(vol%)であり、tは第1絶縁体部62aまたは第2絶縁体部62bの保証厚み(μm)であり、Sは、第1絶縁体部62aまたは第2絶縁体部62bの形成面の面積(μm 2 )であり、Vは積層体チップ40における1個当りに対応した溝有り金属プレート52の溝部52aにおける溝体積(μm 3 )である。 なお、保証厚みとは、積層体チップの側面に形成される絶縁体部における狙い厚みのことをいう。

    すなわち、溝有り金属プレート52を使用した場合、積層体チップ42における1個当りに対応した溝部の空間体積の1/2以上に相当する絶縁体部用ペースト54が積層体チップ42に塗布される。 したがって、所望の保証厚みを達成するための絶縁体部用ペースト54のセラミック原料の含有量は、保証厚み、溝体積、第1絶縁体部62aまたは第2絶縁体部62bの形成面の面積に基づいて決定される。

    また、絶縁体部用ペースト54に含有されるペースト溶剤には、積層体チップ42のセラミック層16aおよび16bを形成しているバインダ成分を溶かさない溶媒を使用する。 ペースト溶剤が積層体チップ42のセラミック層16aおよび16bを形成しているバインダ成分を溶かす場合、積層体チップ42にダメージが加えられ、ショート不良の原因となるからである。 例えば、絶縁体部用ペースト54に含まれるペースト溶剤は、セラミックグリーンシート30aおよび30bで用いられたペースト溶剤との関係で、積層体チップ42に含まれるバインダ成分に非相溶であるペースト溶剤を使用するのが好ましい。 該ペースト溶剤は、例えば、ジヒドロターピネオールアセテートが使用される。

    保持プレート56は、積層体チップ42を保持した上で、浸漬条件により保持プレート揺動・移動機構の制御により、積層体チップ42を溝有り金属プレート52に浸漬させるように移動させるために設けられる。 保持プレート56は、本体部56aおよび保持部56bにより構成される。 積層体チップ42の一方側面20aまたは他方側面20bは、保持部56bにおいて保持される。 なお、保持部56bは、例えば、粘着ゴムが使用される。 また、保持部56bには、積層体チップ42が、例えば、45列×22行で配列される。 積層体チップ42の他方側面20bが保持プレート56により保持された場合、保持プレート56は、積層体チップ42の一方側面20aを溝有り金属プレート52に押し当てることにより絶縁体部用ペースト54に浸漬させ、溝有り金属プレート52から引き離す際に、積層体チップ42を上下左右方向に任意の形に揺動させるように保持プレート揺動・移動機構により制御される。 同様に、積層体チップ42の一方側面20aが保持プレート56により保持された場合、保持プレート56は、積層体チップ42の他方側面20bを溝有り金属プレート52に押し当てることにより絶縁体部用ペースト54に浸漬させ、溝有り金属プレート52から引き離す際に、積層体チップ42を上下左右方向に任意の形に揺動させるように保持プレート揺動・移動機構により制御される。

    次に、図5を用いて、積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程について説明する。 図5(a)〜(c)は、本発明にかかる一実施形態における積層セラミック電子部品の製造方法において、積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程を示した概略図である。

    まず、図5(a)に示すように、溝有り金属プレート52の溝部52aにスキージを使用して絶縁体部用ペースト54が充填される。 図5(b)に示すように、次に、絶縁体部用ペースト54を充填した溝有り金属プレート54の溝部52aに、上述したように保持プレート56により複数の積層体チップ42の他方側面20bを保持した状態で、積層体チップ42の一方側面20aを押し当てる。 そして、図5(c)に示すように、溝有り金属プレート52から積層体チップ42を引き離す際に、積層体チップ42を上下左右方向に任意の形に揺動させ、積層体チップ42の一方側面20aに対して絶縁体部用ペースト54を濡れ広がらせる。

    また、図5(a)〜(c)において、積層体チップ42の一方側面20aに対して絶縁体部用ペースト54を塗布する工程について説明した工程と同様の工程により、積層体チップ42の他方側面20bにも絶縁体部用ペースト54が塗布される。 結果、他方側面20bには、第2絶縁体部62bが形成される。 そして、絶縁体部付き積層体チップ60が製造される。

    図6(a)は、図5に示される積層体チップに絶縁体部用ペーストを塗布する工程により製造された絶縁体部付き積層体チップの外観の一例を示す概略斜視図である。

    上述の製造方法により製造された絶縁体部付き積層体チップ60は、積層セラミック電子部品10や積層体チップ42と同様に、直方体状に形成されており、長さ(L)方向および幅(W)方向に沿って延びる一方主面18aおよび他方主面18bと、長さ(L)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方側面20aおよび他方側面20bと、幅(W)方向および高さ(T)方向に沿って延びる一方端面22aおよび他方端面22bとを有する。

    図6(b)及び(c)は、それぞれ内部電極の形状を説明するための平面断面図である。 絶縁体部付き積層体チップ60は、複数のセラミック層16aおよび16bに挟まれるように複数の内部電極24aおよび24bを有する。

    図6(b)に示すように、内部電極24aは、対向部26a、引出し電極部28a、側面部電極44aおよび側面部電極44bを有する。 そして、引出し電極部28aは、対向部26aから積層体チップ42の一方端面22aに引き出される。 そして、内部電極24aの引出し電極部28aの端部が積層体チップ42の一方端面22aに延びて露出するように形成される。 一方、側面部電極44aは、所望の幅を有する第1絶縁体部62aにおり覆われており、側面部電極44bは所望の幅を有する第2絶縁体部62bにより覆われている。

    また、図6(c)に示すように、内部電極24bは、対向部26b、引出し電極部28b、側面部電極44aおよび側面部電極44bを有する。 そして、引出し電極部28bは、対向部26bから積層体チップ42の他方端面22bに引き出される。 そして、内部電極24bの引出し電極部28bの端部が積層体チップ42の他方端面22bに延びて露出するように形成される。 一方、側面部電極44aは、所望の幅を有する第1絶縁体部62aにおり覆われており、側面部電極44bは所望の幅を有する第2絶縁体部62bにより覆われている。

    続いて、上述の工程により製造された絶縁体部付き積層体チップ60が焼成される。 そして、焼成された絶縁体部付き積層体チップ60の一方端面22a及び他方端面22bに対して導電ペーストが塗布され、導電ペーストが塗布された絶縁体部付き積層体チップ60が焼き付けられる。 そうすると、一方端面22a及び他方端面22bには外部電極14a及び14bがそれぞれ形成され、積層セラミック電子部品が製造される。

    本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法によれば、絶縁体部用ペーストの粘度を500Pa・s以上、2500Pa・s以下に設定し、かつセラミック原料の含有量が所定の条件を満たすので、積層体チップ42の側面に絶縁体部を形成するにあたり、その絶縁体部の塗布厚みのばらつきを抑え、ツノ状の突起等のような塗布形状に異常がなく、さらに保証厚みよりも実測厚みが下回らない積層セラミック電子部品を製造することができる。 したがって、積層体チップ42の側面に対して所望の絶縁体部の厚みを有することにより、電気特性の安定した信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることができる。 さらに、本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法によれば、積層セラミック電子部品の外観品位の低下を抑える積層セラミック電子部品を得ることができる。

    また、本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法によれば、絶縁体部用ペースト54に積層体チップ42に対して非相溶性のペースト剤を使用するので、このペースト剤による積層体チップ40の本体に対するダメージをなくすことができる。

    続いて、本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法にかかる一実施例について説明する。 本実施例にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートにストライプ状の電極を印刷し積層し、それをカットして側面部の電極を露出した積層体チップを作成後、絶縁体部用ペーストを充填した任意の体積の溝を有する溝有り金属プレートに積層体チップを押し当てることにより積層セラミック電子部品を製造する工法である。

    本実施例において、バインダの種類、バインダの分子量、セラミック原料の含有量、セラミックの体積分率を変化させて、絶縁体部用ペーストの粘度を変化させた絶縁体部用ペーストを試作した。 各々の絶縁体部用ペーストを用いて、溝有り金属プレートに対して積層体チップを浸漬し、その積層体チップを上下左右方向に任意の形に揺動させながら引き上げることにより、積層体チップの側面に絶縁体部を形成した。 そして、各積層体チップの絶縁体部の厚みばらつきと絶縁体部の形状を確認した。 また、溝有り金属プレートの空間体積を変化させて、セラミック原料の含有量と絶縁体部の厚みの関係を確認した。 結果を表1および表2並びに表3および表4に示す。 なお、本実施例にかかる実験条件は、以下の通りである。

    ・実験条件 ・積層体チップのサイズ:L1.0mm×W0.5mm×T0.5mm
    ・積層体チップの個数:990個(粘着ゴム上に45列×22行で配置)
    ・積層体チップの配置間隔:列間1.0mm、行間2.0mm
    ・積層体チップの有機成分 誘電体層:
    (バインダ成分):主に、ポリビニルブチラール (可塑剤):ジオクチルフタレート 内部電極(導電膜)
    (バインダ成分):エチルセルロース (可塑剤):アルキッド ・絶縁体部用ペーストの有機成分 (バインダ成分):ポリビニルブチラール、エチルセルロース、セルロースブチレートアセテート (可塑剤):ジオクチルフタレート (溶剤):ジヒドロターピニルアセテート ・溝有り金属プレート空間体積(積層体チップ1個に相当する溝部の空間体積):
    1.0mm×1.0mm×0.05mm, 1.0mm×1.0mm×0.10mm
    1.0mm×1.0mm×0.15mm, 1.0mm×1.0mm×0.20mm

    なお、絶縁体部用ペーストの組成のバインダ成分のバインダの種類および分子量の詳細は、以下の通りである。
    ポリビニルブチラール:重量平均分子量Mw:25000
    エチルセルロースA:重量平均分子量Mw:35000
    エチルセルロースB:重量平均分子量Mw:11000
    セルロースアセテートブチレートA:重量平均分子量Mw:20000
    セルロースアセテートブチレートB:重量平均分子量Mw:11000
    セルロースアセテートブチレートC:重量平均分子量Mw:4000

    絶縁体部用ペーストのペースト粘度は、コーンプレート型回転粘度計で3°×R9.7mmのコーンを使用し、ずり速度を0.2(1/s)で測定した。 詳細な粘度の測定条件は以下の通りである。
    ・粘度計 :東機産業株式会社製TV−30型粘度計 ・コーンプレートタイプ:TV−30H
    ・コーンローター名称 :3°×R9.7
    ・測定サンプル量 :0.2ml
    ・測定温度 :25℃
    ・回転数 :0.1rpm
    ・測定時間 :60秒(粘度計回転開始から60秒後の粘度を測定)

    表1および表2並びに表3および表4はそれぞれ、上記の実験条件において示したように、絶縁体部用ペーストを構成するバインダ成分の種類等を変化させることにより粘度を変化させ、合わせて溝有り金属プレートにおける溝体積を変化させた場合の絶縁体部の厚みの変化についての実験結果を示したものである。 表1および表2は、絶縁体部の保証厚みが20μmと設定した場合の実験例を示し、表3および表4は、絶縁体部の保証厚みが30μmと設定した場合の実験例を示す。 また、表1および表2における試料番号1〜58と表3および表4における試料番号61〜118とは、試料番号1と61、2と62、…がそれぞれ同じペースト組成、チップ物性および溝有り金属プレートを使用している。 なお、各表中の※は、本発明の範囲外である。

    ここで、表1および表2並びに表3および表4において、チップ物性における側面面積Sは、積層体チップの側面における絶縁体部の形成面の面積(μm 2 )を示す。 また、PVC(Pigment Volume Concentration)とは、固形分中に占める粒子(ピグメント)の体積割合を表すものと定義されるが、ここでは、{セラミック粒子/(セラミック粒子+固形のバインダ成分)}×100[vol%]の式で求められる値である。 また、表1および表2並びに表3および表4における絶縁体部の実測厚みは、次のように求めた。 すなわち、まず、端面に沿って絶縁体部付き積層体チップを切断し、一方側面上の絶縁体部(9ヵ所)の状態をSEMで観察し、セラミック素体の一方側面または他方側面から絶縁体部の端部までの長さを絶縁体部の厚みとして測定した。 この9ヵ所の測定結果について平均値を求め、その平均値を実測厚みの値とした。 また、絶縁体部の厚みばらつきとは、実測厚みに対して9ヵ所の測定結果それぞれの値がどれだけ増減しているかの比率の最大値と最小値を表す。 絶縁体部の保証厚みとは、積層体チップの側面に形成される絶縁体部における狙い厚みである。 また、ツノ形状とは、積層体チップに塗布された絶縁体部用ペーストがツノ状に形成されたか否かの判定結果を示す。

    本実施例における絶縁体部用ペーストの粘度は、実測厚みと比較して厚みばらつきが±50%以内におさえられ、かつ絶縁体部の形状異常が発生しない範囲で決定した。 なお、絶縁体部の形状について異常か否かの判定は、ツノ状の突起等が形成されていない絶縁体部ついて、「○」として行った。 その結果、絶縁体部用ペーストの25℃における粘度が、500Pa・s以上、2500Pa・s以下の場合に厚みばらつきが低減され、また、絶縁体部の形状がツノ状の突起等が形成されないことが確認された。

    続いて、絶縁体部の厚みばらつき及び絶縁体部の形状について問題のない絶縁体部用ペーストを選出した中から、実測厚みと保証厚みとの関係から絶縁体部用ペーストのセラミック原料と溝有り金属プレートの溝部における空間体積との関係を確認した。 各絶縁体部用ペーストの絶縁体部の実測厚みの実測値は、溝有り金属プレートの溝部における空間体積の1/2以上に相当する絶縁体部用ペーストが積層体チップに塗布されるとした計算値とほぼ一致しており、この計算値より小さくなることはない。 この結果より、絶縁体部の保証厚みを達成する絶縁体部用ペーストのセラミック原料は、以下の数式2を満たせばよいことが明らかとなった。

    [数2]
    C≧(S×t/(V/2))×100

    ここで、Cはセラミック原料の含有量(vol%)であり、tは絶縁体部の保証厚み(μm)であり、Sは、絶縁体部の形成面の面積(μm 2 )であり、Vは積層体チップ1個当りに対応した溝有り金属プレートの溝体積(μm 3 )である。 なお、保証厚みとは、積層体チップの側面に形成される絶縁体部における狙い厚みのことをいう。

    従って、本実験結果より、積層体チップの側面に対して所望の厚みの絶縁体部を形成するためには、絶縁体部用ペーストの25℃における粘度が500Pa・s以上、2500Pa・s以下が好ましく、さらに、上記数式2の条件を満たす必要があることが明らかとなった。

    さらに、表1および表2並びに表3および表4において、保証厚みをそれぞれ20μmと30μmと異なっている。 このように、保証厚みを30μmにしたとき、20μmの場合に比較して本発明の請求範囲外の比較例が増加していることが分かる。 従って、保証厚みを厚く設定することにより、それに対応して塗布条件を変更しなければならないことが明らかとなった。 このことは、保証厚みを大きく設定すると、積層セラミック電子部品の電気特性を維持できる許容条件が厳しくなることを示唆している。

    次に、本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法にかかる他の実施例について説明する。 本実施例にかかる積層セラミック電子部品の製造方法は、実施例1と同様に、複数のセラミックグリーンシートにストライプ状に電極を印刷し積層し、それをカットして側面部の電極を露出した積層体チップを作成後、絶縁体部用ペーストを充填した任意の体積の溝を有する溝有り金属プレートに積層体チップを押し当てることにより積層セラミック電子部品を製造する工法である。

    セラミックグリーンシート成形用バインダに、高分子量で水酸基の多いタイプのポリビニルブチラールを使用した積層セラミック電子部品において、本発明の実施例を示す。 ペースト溶剤に積層体のセラミック層に含まれるバインダ成分に非相溶である溶剤と、積層体のセラミック層に含まれるバインダ成分に相溶する溶剤を使用して絶縁体部用ペーストを作製した。 各絶縁体部用ペーストで積層体チップに対して絶縁体部を形成して、積層セラミック電子部品を作製した上で、そのショート率を確認した。 なお、本実施例にかかる実験条件は、以下の通りである。

    ・実験条件 ・積層体チップのサイズ:L1.0mm×W0.5mm×T0.5mm
    ・積層体チップの個数:990個(粘着ゴム上に45列×22行で配置)
    ・席相対チップの配置間隔:列間1.0mm、行間2.0mm
    ・積層体チップの有機成分 誘電体層:
    (バインダ成分):ポリビニルブチラール《重量平均分子量200000、水酸基34mol%》
    (可塑剤):ジオクチルフタレート 内部電極(導電膜)
    (バインダ成分):エチルセルロース (可塑剤)アルキッド ・絶縁体部用ペーストの有機成分 (バインダ成分):セルロースブチレートアセテート (可塑剤)ジオクチルフタレート (溶剤)ジヒドロターピニルアセテート、ターピネオール ・溝有り金属プレート空間体積(積層体チップ1個に相当する溝部の空間体積):
    1.0mm×1.0mm×0.10mm

    表5は、絶縁体部用ペーストに含まれるペースト溶剤と積層体セラミック電子部品のショート率との関係を示したものである。 表5に示すように、絶縁体部用ペーストのペースト溶剤に、積層体チップのセラミック層を形成している有機成分に対して非相溶のジヒドロターピネオールアセテートを使用したペーストは、ショート率が0%であった。 一方、ペースト溶剤に、積層体チップのセラミック層を形成しているバインダ成分に相溶するターピネオールを使用したペーストは、ショート率が100%であった。 この結果から、ペースト溶剤には、積層体チップのセラミック層を形成しているバインダ成分に非相溶の溶剤を使用する必要があることが明らかとなった。

    本発明にかかる積層セラミック電子部品の製造方法によれば、絶縁体部用ペーストの粘度を500Pa・s以上、2500Pa・s以下に設定し、かつセラミック原料の含有量が所定の条件を満たすことにより、所望の絶縁体部の厚みを有する積層セラミック電子部品を得ることができるので、電気特性の安定した信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることができる。

    また、本実施形態においては、絶縁体部用ペーストとして積層体チップのセラミック層に含まれるバインダ成分に対して非相溶のペースト溶剤を使用することにより、積層体チップのセラミック層を形成するバインダ成分が溶かされないため、電気特性の安定した積層セラミック電子部品を得ることができる。

    本発明にかかる実施例においては、保持プレートを上下左右方向に任意の形に揺動させることにより積層体チップを揺動させて溝有り金属プレートから離すようにしたが、これに限られるものではなく、溝有り金属プレートを上下左右方向に任意の形に揺動させて積層体チップを引き離すようにしてもよい。

    また、本発明にかかる実施形態におけるセラミック素体は、誘電体セラミックを用いるので、コンデンサとして機能しているが、これに限られるものではなく、圧電体セラミックを用いた場合は圧電部品として機能し、半導体セラミックを用いた場合はサーミスタとして機能し、磁性体セラミックを用いた場合は、インダクタとして機能する。 また、インダクタとして機能する場合は、内部電極は、コイル状の導体となる。

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