Calcium silicate hardened body |
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申请号 | JP2004519255 | 申请日 | 2003-07-03 | 公开(公告)号 | JP4343108B2 | 公开(公告)日 | 2009-10-14 |
申请人 | 旭化成ホームズ株式会社; 旭化成建材株式会社; | 发明人 | 晃博 小川; 博圭 松山; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | 以下工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする珪酸カルシウム硬化体の製造方法。 (1)水及び固体混合物を含む水性スラリーを提供し、 該固体混合物は、実質的に、珪酸質原料、セメント、硫酸アルミニウムとその水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルミニウム化合物、その他の硫酸化合物、及び場合によっては石灰質原料からなり、 該アルミニウム化合物の該水性スラリー中の量が、酸化物換算(Al 2 O 3 )で固体混合物の重量に対して0.09〜10重量%、及びその他の該硫酸化合物の該水性スラリー中の量が、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO 3量換算で固体混合物の重量に対して0.15〜15重量%であり、 該水の該固体混合物に対する重量比が2.3〜5.5であり、 該石灰質原料の該セメントに対する重量比が0.6以下である。 (2)該水性スラリーに発泡剤を添加する。 (3)該水性スラリーを型枠に注入する。 (4)該水性スラリーを予備硬化した後、オートクレーブ養生する。 該発泡剤が、アルミニウム粉末及びアルミニウム含有水性スラリーからなる群より選ばれる少なくとも1種であって、該発泡剤を、固体換算で、固体混合物の重量に対して0.03〜0.95重量%用いることを特徴とする請求項 1に記載の方法。 以下工程(1)〜(4)を包含することを特徴とする珪酸カルシウム硬化体の製造方法。 (1)水及び固体混合物を含む水性スラリーを提供し、 該固体混合物は、実質的に、珪酸質原料、セメント、硫酸アルミニウムとその水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルミニウム化合物、その他の硫酸化合物、 及び石灰質原料からなり、 該アルミニウム化合物の該水性スラリー中の量が、酸化物換算(Al 2 O 3 )で固体混合物の重量に対して0.09〜10重量%、及びその他の該硫酸化合物の該水性スラリー中の量が、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO 3量換算で固体混合物の重量に対して0.15〜15重量%であり、 該水の該固体混合物に対する重量比が2.3〜5.5であり、 該石灰質原料の該セメントに対する重量比が0.6を超える。 (2)該水性スラリーに発泡剤を添加する。 (3)該水性スラリーを型枠に注入する。 (4)該水性スラリーを予備硬化した後、オートクレーブ養生する。 但し、該水性スラリーに、界面活性剤、粘度調整剤及び消泡剤からなる群より選ばれる少なくとも2種を添加し、その際、該粘度調整剤及び該消泡剤の添加は、工程(1)の後であって工程(2)の前に行ない、該界面活性剤の添加は工程(2)において該発泡剤の添加と同時に行なう。 該発泡剤が、アルミニウム粉末及びアルミニウム含有水性スラリーからなる群より選ばれる少なくとも1種の発泡剤であって、該発泡剤を、固体換算で、該固体混合物の重量に対して0.03〜0.95重量%用いることを特徴とする請求項 3に記載の方法。 該界面活性剤が、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコール硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であって、該界面活性剤を、該発泡剤の固体換算重量に対して0.01〜200重量%用いることを特徴とする請求項 3又は 4に記載の方法。 該粘度調整剤が、メチルセルロースやポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であって、該粘度調整剤を、該固体混合物の重量に対して0.01〜1重量%以下用いることを特徴とする請求項 3〜5のいずれかに記載の方法。 該消泡剤が、シリコーン、脂肪酸、脂肪酸エステル、アルコール、及びリン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であって、該消泡剤を、該固体混合物の重量に対して0.001〜3重量%用いることを特徴とする請求項 3〜6のいずれかに記載の方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、動的断熱性を有する珪酸カルシウム硬化体に関する。 更に詳しくは、曲げ強度が0.05MPa以上、熱伝導率が0.02〜0.1Wm −1 K −1 、及び 通気率が5×10 −4 〜1m 2 h −1 Pa −1以下であって、動的断熱性を示す珪酸カルシウム硬化体に関する。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、軽量且つ高強度であるだけでなく、不燃性であり、更に高い断熱性と高い通気性を併せ持つことから、動的断熱性を有することが要求される建築用壁材などとして有利に用いることができる。 なお、「動的断熱性」とは、高い通気性を示し且つ断熱効果を示す特性を意味し、動的断熱性を有する建築用壁材は、計画換気(常時又は定期的に換気を行なうことによって、常に室内の空気を新鮮に保つようにすること)を行うと同時に熱エネルギー損失の低減を図るダイナミックインシュレーション法(以下、「動的断熱法」と称す)に有利に用いることができる。 また、本発明は、上記珪酸カルシウム硬化体の製造方法に関する。 化石燃料の枯渇や、化石燃料を大量に使用することによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化が大きな社会問題となっている現在、省エネルギーの必要性はますます高まっている。 中でも、住宅やビルでのエネルギー消費量は、冷暖房を利用した快適な生活空間を望む傾向が強まるとともに上昇していることから、建物の高断熱高気密化による省エネルギー化が取り組まれてきた。 しかしながら、高断熱高気密化により密閉された空間においては、生活活動によりその空気質が悪化することから、清浄な状態を維持するために除湿器、加湿器、空気清浄機が使用されてきた。 その結果、省エネルギーに対する効果が失われてしまっている。 このことから、近年では高断熱高気密化の建物に対しては計画換気(常時又は定期的に換気を行なうことによって、常に室内の空気を新鮮に保つようにすること)が必要とされ、断熱と換気の両者の機能を併せ持つ設計及び材料が求められている。 このような状況下、熱エネルギー損失の低減を図りながら、同時に計画換気を行なえるダイナミックインシュレーション法(以下、「動的断熱法」と称す)が北欧諸国を中心に研究されている。 動的断熱法とは、外気を壁や天井体内の断熱材を通して室内に導入し、壁や天井体内からの熱損失を回収しようとする方法である。 この方法においては、断熱材を通して室内に導入された空気は新鮮であり、壁体内で暖められた状態で室内に供給される。 その結果、見かけ上の熱貫流率の低減を図りながら、給気予熱が実現され、室内の高い空気質が維持される。 従来、断熱材としては有機発泡系断熱材が使われてきた。 しかし、有機発泡系断熱材は独立気泡率を高めているため通気率が低く、動的断熱法には適さない。 また、不燃性に問題がある。 無機系断熱材として、ガラスを発泡して得られるフォームグラスがあるが、高価であり、独立気泡の割合が多いため通気率が低く、動的断熱材に適さない。 また、WO02/066 396や日本国特開2001−122674に珪酸カルシウム硬化体に関する技術が開示されている。 しかし、これらの技術によって得られた珪酸カルシウム硬化体は、通気率が低く動的断熱材としては機能しない。 これまでの動的断熱法においては、主として古紙パルプの粉砕物やロックウール等の無機系繊維を一定範囲に区切られた枠内に充填する方法が取られてきた。 その結果、型枠自身の熱伝導率が断熱材よりも高いために型枠を通して熱伝導が生じ、動的断熱の有効性が発揮しきれないという問題があった。 さらに、断熱材吹き込みの際に生じる型枠と断熱材粉末の隙間によって起こる熱損失ために、実際には必要以上の厚さに断熱材を施工しなければいけないという問題があった。 従来から建材として用いられてきた木質セメント板やコンクリートブロックでは、嵩比重が0.5以上であるため、熱伝導率が大きく、熱伝導による熱エネルギー損失が大きくなるため、動的断熱の効果を十分に発揮できないという問題があった。 また、日本国特開2001−348283号に吸音材の技術が開示されているが、嵩比重が0.35付近であり、熱伝導率が大きいため、動的断熱材として適さない。 また、熱伝導率が低いロックウールボードやガラスウールマットの使用も検討されてきた。 しかし、ボード状やマット状といっても硬化体でなく、綿状あるいは繊維状の繊維が絡み合っているだけなので、曲げ強度が低く、施工時に梁や枠が必要となり、それ自身からの熱伝導が生じ、動的断熱の有効性が得られないという問題があった。 さらに、現場での切断時に有害とされている微細繊維が多く飛散して作業者の健康を害するという問題があった。 さらに、通気率が高すぎるために単独では動的断熱材として用いることができず、微細な穴を多数開けたプラスチックシートを室内側に配する必要があり、施工が煩雑になるだけでなく、断熱材全体としての不燃性が低下するという問題があった。 以上の状況に鑑み、本発明者らは、従来技術の上記問題を解決するために鋭意研究した。 その結果、意外にも、実質的に、珪酸質原料、セメント、硫酸アルミニウムとその水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルミニウム化合物、その他の硫酸化合物、及び場合によっては石灰質原料からなる、特定の組成を有する固体混合物の水性スラリーに発泡剤を添加し、発泡剤を含む該水性スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生することにより珪酸カルシウム硬化体を得る方法において、該水性スラリーにおける水/固体混合物重量比を0.6以下に調整するか、もしくは上記重量比が0.6を超える場合には、該水性スラリーに界面活性剤、粘度調整剤及び消泡剤からなる群より選ばれる少なくとも2種を添加することによって、曲げ強度が0.05MPa以上、熱伝導率が0.02〜0.1Wm −1 K −1 、及び通気率が5×10 −4 〜1m 2 h −1 Pa −1以下であって、動的断熱性を示す珪酸カルシウム硬化体が得られることを見出した。 上記の珪酸カルシウム硬化体は、軽量且つ高強度であるだけでなく、不燃性であり、更に高い断熱性と高い通気性を併せ持つことから、動的断熱性を有することが要求される建築用壁材などとして有利に用いることができる。 この知見に基づき、本発明を完成した。 従って、本発明の目的は、軽量且つ高強度であるだけでなく、不燃性であり、更に高い断熱性と高い通気性を併せ持つことから、動的断熱性を有することが要求される建築用壁材などとして有利に用いることができる珪酸カルシウム硬化体を提供することにある。 即ち、本発明の1つの態様によれば、 図1及び図2は、実施例13の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データ、及びIa、Ibの算出方法を示すX線回折図である。 なお、各図においてCPSとは、counts per secondの意味である。 本発明の珪酸カルシウム硬化体とは、珪酸カルシウム化合物を含み、かつ硬化して得られる任意の形状を有する材料の総称であり、一般にコンクリート、硬化モルタル、軽量気泡コンクリート(以下、屡々「ALC」と称する)、繊維補強珪酸カルシウム板(ケイカル板)等を指す。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、曲げ強度が0.05MPa以上であり、好ましくは0.07MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上である。 曲げ強度が0.05MPa未満では動的断熱材として好適なパネル形状を維持することが困難となり、施工性が低下する。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、通気率が5×10 −4 〜1m 2 h −1 Pa −1であることが好ましく、より好ましくは1×10 −3 〜0.5m 2 h −1 Pa −1であり、特に好ましくは5×10 −3 〜0.1m 2 h −1 Pa −1以下である。 通気率が上記の範囲に入ることにより、珪酸カルシウム硬化体を動的断熱材として用いた際に、実質的な熱貫流率の低減及び換気が実現できる。 通気率が5×10 −4 m 2 h −1 Pa −1未満になると、外気を取り込むことができず動的断熱材として機能せず、また換気性能が失われる。 例えば、上記WO02/066 396に記載の方法で得られた珪酸カルシウム硬化体は通気率が5×10 −4 m 2 h −1 Pa −1未満であるため、動的断熱材としては機能しない。 また、通気率が1m 2 h −1 Pa −1を超えると、空気の流速が速くなり過ぎ、給気予熱を行うことが困難となる。 また、通気率が大きくなり過ぎると、壁の両側での圧力差が小さくなり、動的断熱に必要である十分な空気の流れをつくることができなくなる。 具体的に、本発明においては、珪酸カルシウム硬化体の円柱形のサンプル(長さL、断面積S)の両端の面を除く側面部をエポキシ樹脂でシールし、真空ポンプ用いて該サンプル両端での圧力を制御し、該サンプル両端での差圧が1kPaのときサンプル内に流れた空気の流量を測定し、式(1)により計算した値を通気率と定義する。 以下、図3に参照して、通気率の測定方法を説明する。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、主としてトバモライト(5CaO・6SiO 2・5H 2 O)からなり、粉末X線回折において観察される、トバモライトの(220)回折ピーク強度Ibの、2つのトバモライトの回折線(220)、(022)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaに対する比(Ib/Ia)が3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。 ここでX線粉末回折とは、X線としてCuKα線を用いた粉末X線回折を言う。 本発明の珪酸カルシウム硬化体において、トバモライトが主体であるか否かは、珪酸カルシウム硬化体の破断面の走査型電子顕微鏡観察と粉末X線観察を併用することにより以下のように判断する。 通常トバモライトは、低結晶性ケイ酸カルシウム水和物(これ以後CSHと略記する。)と共存することが多い。 CSHは様々な粒子形態をとることが知られているが、通常、繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとるために電子顕微鏡下でトバモライト粒子でないことを明確に区別できる。 このようなCSHは、トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有できる。 しかし、CSHは強度、耐候性、耐久性等建材としての様々な必要性能を低下させることがある。 珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在すると、乾湿繰り返し時の寸法安定性が低下する。 さらに長期間大気中に放置されると、これらCSHは大気中に含まれる二酸化炭素と容易に反応して、炭酸カルシウムと非晶質珪酸に分解する炭酸化反応を起こす。 この時、体積の収縮を伴うことから亀裂、組織劣化が発生する。 従って、X線回折並びに電子顕微鏡観察で、主としてトバモライトからなると判定された場合でも、CSHを可能な限り含有しないことが好ましい。 上述のようにCSH粒子は電子顕微鏡下、トバモライト粒子で無いことは容易に判断される。 しかし、CSHが様々な粒子形態をとるために、他の微量共存物質、例えば繊維状の石膏、粒子状の炭酸カルシウム等と電子顕微鏡観察で明確に区別できない場合がある。 このため、電子顕微鏡でCSH含有割合を決定することは難しい。 トバモライトとCSHが共存する硬化体について、粉末X線回折を行うと、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域に、ブロードなCSHの回折ピークが認められる。 このCSHの回折ピークは通常29.1〜29.4°(2θ)付近に出現する。 また、CSHがトバモライトに比べて少ない場合、CSHの回折ピークは、トバモライトの回折線に吸収された形になり、通常CSHの回折強度の測定は不可能となる。 ところがCSHが多量に存在する場合、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域におけるX線の回折強度は、バックグランドに比べて高い値となることから、CSHが多量に存在するかどうかを判定することができる。 珪酸カルシウム硬化体がCSHを全く含まず、かつ高結晶性のトバモライトを主体とする場合、同領域におけるX線強度の最低値はバックグランド強度と一致する。 本発明の低比重珪酸カルシウム硬化体は粉末X線回折において観察されるトバモライトの回折ピークのうち、(002)面の回折ピーク強度Iの(220)面の回折ピーク強度I(220)に対する比(I(002)/I(220))が好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.30以上である。 トバモライトの板状あるいは短冊状の粒子は、平面に垂直な方向すなわち厚み方向が結晶のC軸方向と考えられている。 従ってI(002)の相対強度が増加することは、C軸方向の相対的な規則性が増すことであり、それに伴い板状結晶の厚みも増加することを意味する。 JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standard)カードNo. 19−1364によれば、理想的なトバモライト結晶のI(002)/I(220)は0.8と記載されており、この値に近づくことで結晶の厚みが増し、単一結晶の強度が増加する。 結果として、これら結晶から構成される硬化体の強度も増加する。 これら、I(002)、I(220)の算出方法を図2に示すが、I(002)は回折角6〜9°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度であり、I(220)は回折角20〜40°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度である。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、嵩比重が0.05〜0.25であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2、特に好ましくは0.05〜0.18である。 ここで言う嵩比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、すなわち絶乾比重を指す。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、上記の動的断熱材や通常の断熱材、吸音材などの建築用壁材として有利に用いることができる。 上記のような建築用壁材として用いる際の形状に関しては、パネルの形状を有することが好ましく、その大きさ、厚みはパネルの形状が保持できれば、特に限定するものではない。 パネルの形状を有することにより、動的断熱技術に必要な気密性を確保することが容易となり、施工が簡便となる。 以下、本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法について説明する。 本発明において、珪酸質原料とは、SiO 2の含有量が70重量%以上、残りの成分として酸化アルミニウム等の金属酸化物を含む原料を言う。 たとえば、結晶質の珪石、珪砂、石英及びそれらの含有率の高い岩石、並びに珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、天然の粘土鉱物及びそれらの焼成物等である。 これらのうちで結晶質の珪酸質原料とは、珪石、珪砂、石英及びそれらの含有率の高い岩石であり、粉末X線回折においてα−石英あるいはクリストバライト等のシャープな回折ピークを呈するものをいう。 また、非晶質珪酸原料とは、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ等の粉末X線回折において固有の明瞭な回折ピークを示さないものを言う。 本発明において、セメントとは普通ポルトラントセメント、早強ポルトラントセメント、ビーライトセメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセメントを言う。 また、石灰質原料とは生石灰(CaO)を50重量%以上、残りの成分として消石灰(Ca(OH) 2 )、炭酸カルシウム(CaCO 3 )などを含む原料である。 さらに、本発明において、硫酸アルミニウムとは、化学式(Al 2 (SO 4 ) 3 )からなる物質を言い、その水和物とは例えば、化学式(Al 2 (SO 4 ) 3・17H 2 O)で示されるような結晶水を含む化合物を言う。 原料形態としては粉末、スラリーいずれでも構わないが、結晶水を除いた状態で(Al 2 (SO 4 ) 3 )として80重量%以上含有するものを用いる。 硫酸アルミニウムもしくはその水和物の添加量は、固体混合物の総重量に対して酸化物換算(Al 2 O 3 )で0.09〜10重量%であり、好ましくは0.2〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜8重量%である。 さらに、その他の硫酸化合物とは、特に限定されるものではなく、SO 3あるいはSO 4を含有する化合物であればよい。 例えば、亜硫酸、硫酸、無水石膏(CaSO 4 )、二水石膏(CaSO 4・2H 2 O)、半水石膏(CaSO 4・1/2H 2 O)等の石膏の水和物、硫酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属の硫酸塩、硫酸銅や硫酸銀等の金属硫酸塩等であり、これらを単独で用いても、複数同時に用いても良いが、好ましくは二水石膏もしくはその水和物が用いられる。 その他の硫酸化合物の添加量は上記の硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めてSO 3換算で固体混合物の総重量に対して0.15〜15重量%であり、好ましくは0.2〜10重量%である。 また、上記石灰質原料のセメントに対する重量比は酸化物換算(CaO換算)で0.6以下であることが好ましく、より好ましくは0.4以下で、特に好ましくは0.3以下である。 また、上記の該石灰質原料の該セメントに対する重量比が0.6を超す場合でも、該水性スラリーに、界面活性剤、粘度調整剤及び消泡剤からなる群より選ばれる少なくとも2種を添加することにより、本発明の珪酸カルシウム硬化体を得ることができる。 その際、該粘度調整剤及び該消泡剤の添加は、工程(1)の後であって工程(2)の前に行ない、該界面活性剤の添加は工程(2)において該発泡剤の添加と同時に行なう。 尚、上記の該石灰質原料の該セメントに対する重量比が0.6以下の場合でも、同様に界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等を添加してもよい。 上記の界面活性剤とは、アニオン性界面活性剤である高級アルコール硫酸エステルまたは高級アルコール硫酸ナトリウム等、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル等であり、その添加量は発泡剤の固体換算における重量に対して0.01〜200重量%であり、より好ましくは0.1〜100重量%である。 また、消泡剤とは、ジメチルシリコーンやそのメチル基が炭素数2以上の炭化水素で置換されたアルキル変性シリコーン等のシリコーン、グリセリン脂肪酸などの脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、オクチルアルコール等の高級アルコール、芳香族リン酸エステル、脂肪族リン酸エステル等のリン酸エステル等が用いられるが、撥水性の付与と併せてシリコーン、中でもジメチルシリコーン、アルキル変性シリコーンが好ましく用いられ、その添加量は固体混合物の重量に対して0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜2重量%、より好ましくは0.01〜2重量%である。 また、本発明の方法において、上記固体混合物の重量に対する水の重量比(水/固体比)は、2.3〜5.5である必要がある。 この比が2.3未満であると本発明の目的とする嵩比重の成型体が得られず、熱伝導が大きくなる傾向があり、5.5を超すと水性スラリーを型枠に注入した際、固体原料と水が分離し成型体が得られない傾向がある。 本発明において、発泡剤とは、一般に軽量気泡コンクリートで用いられているアルミニウム粉末などである。 アルミニウム粉末の添加形態は特に限定されるものではなく、通常軽量気泡コンクリートの製造に用いられる添加形態を用いることができ、アルミニウム粉末を粉末のままの状態で添加する方法、分散性をよくするために、使用する水の一部をあらかじめ別にしておき、その水にアルミニウム粉末を混合してアルミニウムスラリーとして添加する方法、軽量気泡コンクリート製造用のアルミニウムペースト(米国特許第4,318,270号明細書参照)を添加する方法などを用いることができる。 ここでアルミニウムスラリーとは、アルミニウム粉末を水に分散させたものを指す。 上記アルミニウムスラリーにおけるアルミニウム粉末の濃度は、水に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜10重量%である。 発泡剤の添加量は、発泡剤の固体換算で固体混合物の総重量に対して0.03〜0.95重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%、より好ましくは0.08〜0.5重量%である。 また、発泡後の体積の原料スラリーに対する体積比が1.5〜4.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜3.5で、特に好ましくは2.5〜3.5である。 本発明の珪酸カルシウム硬化体を製造するにあたっては、用いる珪酸質原料のうち50重量%以上が結晶質であることが好ましい。 また、結晶質の珪酸質原料は、ブレーン比表面積で測定して5000cm 2 /g以上の微粉珪石が好ましく、より好ましくは7000cm 2 /g以上である。 微粉珪石は余り細かくしても、却って取り扱いにくいという弊害が生じることからブレーン比表面積で測定して300000cm 2 /g以下であることが好ましい。 本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法においては、実質的に、珪酸質原料、セメント、硫酸アルミニウムとその水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルミニウム化合物、その他の硫酸化合物、及び場合によっては石灰質原料からなる固体混合物を含む水性スラリーを攪拌する。 該水性スラリー温度は40℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。 また、攪拌時間は2分以上が好ましく、より好ましくは10分以上である。 これら固体混合物と水を含む水性スラリーの混合には、通常工業的に使用されるミキサーが使用可能であるが、好ましくは低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機、例えば攪拌槽に邪魔板を有するパドルミキサーが用いられる。 本発明の製造方法において、石灰質原料を用いる場合、石灰質原料の全部を珪酸質原料及びセメントと同時に混合すると、石灰質原料がセメントの初期水和を遅らせる場合もある。 従って、予備硬化を早めたい場合には、石灰質原料以外の固体混合物の成分と水、または石灰質原料の一部を含む固体混合物と水を40〜100℃で、スラリー状態で10分以上5時間未満混合する第一工程を行った後に、石灰質原料の全部もしくは石灰質原料の残りを加えて、さらに40〜100℃で好ましくは30秒以上1時間以内、より好ましくは1分以上30分以内で混合する第二工程を経てから型枠に注入して予備硬化させる方法も好ましく用いられる。 ここで原料の投入にあたり、最初の第一工程における水性スラリーへの添加を一次投入、後の第二工程における水性スラリーへの添加を二次投入と以後称する。 上記アルミニウム化合物は、それ以外の固体混合物の成分及び水と一緒に第一工程に於いて添加し40〜100℃で10分以上5時間未満混合することが好ましい。 本発明の珪酸カルシウム硬化体はプレフォーム法でも得られる。 すなわち、起泡剤またはその水溶液に空気を送り込んでフォームを形成し、そのフォームを上記の水性スラリーに混合させる方法(日本国特開昭63−295487号公報参照)、起泡剤を水性スラリーに混合した後に起泡機によってフォームを形成させる方法が好ましく用いられる。 但し、プレフォーム法では粘度調整剤及び消泡剤を入れることが必要であり、その添加量は発泡剤を用いたときと同様である。 ここで、起泡剤はこの分野で従来用いられているものを用いることができ、その種類は特に限定されないが、例えば、合成界面活性剤系起泡剤、樹脂セッケン系起泡剤、加水分解たんぱく質系起泡剤等が挙げられる。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、撥水性物質を0.1〜3.0重量%含有することが好ましい。 撥水性物質を用いて撥水性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、例えば気相蒸着法によって、100°以上の高い水接触角を発現させることが好ましい。 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、少量の補強繊維、軽量骨材、樹脂等も物性に影響のない範囲で含有することができる。 補強繊維は、強度を向上するために好ましく用いられる。 ここでいう補強繊維とは、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、パルプ繊維等の有機繊維であり、このうち一種、あるいは二種類以上の混合物として用いることができる。 珪酸カルシウム硬化体において、目的の補強性能を得るためには、アラミド繊維、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維が好ましく、さらにパラ系アラミド繊維を用いることが好ましい。 また、安価であることから、パルプ繊維が好適に用いられ、特に微粉砕されたパルプが好ましく用いられる。 補強繊維の繊維長も特に限定されるものではないが、補強性能と成形性の観点から好ましくは1〜20mm、より好ましくは3〜10mm、さらに好ましくは5〜8mmである。 補強繊維の含有量も特に限定されるものではないが、空隙まで含めた硬化体の体積に対して、0.05〜3vol%が好ましく、より好ましくは0.1〜2vol%である。 0.05vol%未満では所望の補強効果が得られず、一方3vol%を超えると混合時に繊維がからまって糸まり状の塊(ファイバーボール)ができやすく、硬化体中への均一な分散が困難になる。 軽量骨材とは、例えばシラスバルーンやパーライト等であり、一般にコンクリートの軽量化に使用されるものであればよい。 軽量骨材の添加量は特に限定されるものではないが、好ましくは固体混合物の重量に対して0.1〜30重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。 また、樹脂とは、耐熱性のあるものが好ましく、例えば、フェノール樹脂、レゾール樹脂等である。 樹脂の添加量は特に限定されるものではないが、固体混合物の重量に対して0.1〜30重量%以下であり、好ましくは1〜20重量%以下である。 この様にして混合された水性スラリーに、必要に応じて撥水性物質あるいは補強繊維が混合され、そのまま型枠に流しこまれ成形される。 この時、必要に応じて補強鉄筋あるいは補強金網が配置された型枠に流し込まれ成形される。 この時、補強鉄筋あるいは補強金網は防錆処理が施されていることが好ましい。 型枠に注入された水性スラリーは、自己発熱あるいは外部加熱等により、好ましくは40〜100℃の間で1〜48時間以上かけて予備硬化される。 予備硬化は、蒸気養生室等の水分蒸発を抑制した環境下で行うことが好ましい。 得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高圧養生される。 切断は軽量気泡コンクリートの製造に一般に用いられる方法、例えばワイヤーによる切断法も使用できる。 オートクレーブの条件としては160℃(ゲージ圧力:約5.3kgf/cm 2 )以上、220℃(ゲージ圧力:約22.6kgf/cm 2 )以下が好ましい。 得られた硬化体は乾燥され、本発明の珪酸カルシウム硬化体が得られる。 このようにして得られた本発明の珪酸カルシウム硬化体は高い断熱性に加えて、通気性を併せ持つので好適な動的断熱材として使用できる。 また、施工が容易で、安価で、強度が高いことに加え、不燃性であることからも、本発明の珪酸カルシウム硬化体は動的断熱材として最適である。 以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、何らこれに限定されるものではない。 [通気率] [曲げ強度、圧縮強度] [嵩比重] [粉末X線回折:Ia,Ibの測定] [粉末X線回折:I(002)、I(220)の測定] [鋸引き性] 実施例1〜8では、50℃に加温した水を投入した容量15Lのステンレス槽に珪石粉砕粉、シリカフューム、生石灰、早強ポルトラントセメント、硫酸アルミニウム18水和物、二水石膏、粘度調整剤及び消泡剤を一次投入し、ステンレス槽を50℃に加温しながら、攪拌機(ウルトラ攪拌機 DC−CHRM25;日本国、(株)井内盛栄堂製)の回転数1200rpmで水分の蒸発を抑制した状態で大気圧下に2時間攪拌、混合した。 次いで、実施例4及び5のみ水性スラリーを40℃にした後、生石灰を二次投入し、40℃の条件下で1分間攪拌した。 固体混合物の成分を全て混合した後に、発泡剤として、界面活性剤を添加したアルミニウム粉末を投入し20秒攪拌し、得られた水性スラリーを型枠(30cm×30cm×20cm)に流し込み型枠内で発泡させた。 型枠に水性スラリーを流し込んだ直後から水分の蒸発を防いだ状態で60℃に保持して、予備硬化させた。 実施例9〜13では、セメントとして普通ポルトランドセメントを用い、60℃に加温した水を用い、60℃で加温しながら攪拌した事以外は実施例1と同様に行った。 但し、実施例13のみ生石灰を二次投入し、60℃の条件下で1分間攪拌した。 [実施例14] 比較例1及び2 比較例9 比較例10 本発明の珪酸カルシウム硬化体は、軽量且つ高強度であるだけでなく、不燃性であり、更に高い断熱性と高い通気性を併せ持つことから、動的断熱性を有することが要求される建築用壁材(動的断熱材)や吸音材などとして有利に用いることができる。 1 サンプル2 ゴム付きサンプルホルダー3 真空ポンプ4 圧力調整弁5 圧力調整槽6 差圧計7 流量計 |